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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】即時放出農薬製剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/34 20060101AFI20250130BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20250130BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A01N25/34 C
A01N43/56 D
A01P7/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545111
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-09-10
(86)【国際出願番号】 KR2022018987
(87)【国際公開番号】W WO2023146099
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2022-0012424
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0152929
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524282755
【氏名又は名称】ネオイノテック・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】NEOINNOTECH. CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジヨン
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC01
4H011BB09
4H011BC06
4H011BC18
4H011BC19
4H011DA03
4H011DF01
4H011DG05
4H011DH02
(57)【要約】
本発明は、農薬活性成分;10~250 g/100 mlの水溶解度を有する増量剤;および崩壊剤を含む農薬用錠剤に関する。本発明は、飛散および粉塵生成による使用者の農薬への暴露のリスクを最小化し;各錠剤の重量が定量されているために、毎回製品を計量しなければならないという不便性を解消し、農薬を計量することが困難であることによる農薬の誤用および濫用を防ぎ;そして使用済み農薬の包装材を回収する手間を解決することができる、農薬用錠剤を提供し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬活性成分;10~250 g/100 mlの水溶解度を有する増量剤;および崩壊剤を含む、農薬錠剤。
【請求項2】
農薬活性成分が、グルホシネートP、MCPA、グリホサート、オキソリン酸、フルセトスルフロン、ダイムロン、メフェナセット、ピラゾスルフロンエチル、イマゾスルフロン、オキサジクロメホン、ペノキススラム、プレチラクロール、メソトリオン、ピリフタリド、ベンスルフロンメチル、チオベンカルブ、インダノファン、ピリミノバックメチル、オキサジクロメホン、カルフェントラゾンエチル、フェントラザミド、ピリブチカルブ、ベンゾビシクロン、メタミホップ、ベンフレセート、シクロスルファムロン、アニロホス、アジムスルフロン、ピラゾレート、メタゾスルフロン、オリサストロビン、イソプロチオラン、カルプロパミド、フルジオキソニル、チアジニル、トリシクラゾール、チフルザミド、プロベナゾール、フサライド、ジフェノコナゾール、プロピコナゾール、バリダマイシン、アゾキシストロビン、エジフェンホス、フェノキサニル、アシベンゾラルS-メチル、フェリムゾン、ペンシクロン、ヘキサコナゾール、ダイアジノン、ジノテフラン、エトフェンプロックス、メトキシフェノジド、ベンスルタップ、クロチアニジン、ブプロフェジン、イソプロカルブ、フェノブカルブ、ベンフラカルブ、イミダクロプリド、カルボフラン、カルボスルファン、カルタップ、チアメトキサム、テブフェノジド、フェノブカルブ、フェントエート、フィプロニル、およびクロラントラニリプロールからなる群より選択される少なくとも1個である、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項3】
増量剤が、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、マルトース、スクロース、キシロース、ソルビトール、グルコース、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、尿素、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸、コハク酸、酒石酸、およびマレイン酸からなる群より選択される少なくとも1個である、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項4】
硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、および尿素からなる群より選択される少なくとも1個の含有量が、100重量部の増量剤を基準として30~100重量部である、請求項3に記載の農薬錠剤。
【請求項5】
崩壊剤が、炭酸塩および固体酸、寒天、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルデンプンエーテル、アラビアガム、トラガカント、ゼラチン、カゼイン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ラウリン酸ナトリウム、カルボキシル樹脂、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリビニルポリピロリドン、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、食卓塩、尿素、アニオン性界面活性剤、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、グルコース、ラクトース、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、およびデキストリンの組合せからなる群より選択される少なくとも1個である、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項6】
農薬錠剤が、界面活性剤、結合剤、および滑沢剤からなる群より選択される少なくとも1個の添加物をさらに含む、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項7】
界面活性剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として1~30重量部である、請求項6に記載の農薬錠剤。
【請求項8】
結合剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として1~20重量部である、請求項6に記載の農薬錠剤。
【請求項9】
滑沢剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として0.1~5重量部である、請求項6に記載の農薬錠剤。
【請求項10】
崩壊剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として3.5重量部以上である、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項11】
増量剤が塩化アンモニウムを含む、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項12】
崩壊剤の含有量が、100重量部の塩化アンモニウムを基準として8~40重量部である、請求項11に記載の農薬錠剤。
【請求項13】
崩壊剤がポリビニルポリピロリドンを含む、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項14】
増量剤の含有量が、100重量部のポリビニルポリピロリドンを基準として2,857重量部以下である、請求項13に記載の農薬錠剤。
【請求項15】
農薬錠剤の崩壊および分散時間が60秒以下である、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項16】
農薬錠剤の硬度が50~200ニュートン(N)である、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項17】
農薬錠剤の懸濁率が60~80%である、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項18】
農薬錠剤の粉末度が95~100%である、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項19】
農薬錠剤が、重炭酸ナトリウムおよび無水アンモニウムミョウバンからなる群より選択される少なくとも1個の発泡増量剤をさらに含む、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項20】
農薬活性成分および第1の増量剤を混合し、そしてそれらを粉砕して第1の混合物を調製すること;
第1の混合物、第2の増量剤、および崩壊剤を混合して第2の混合物を調製すること;および
第2の混合物を打錠して錠剤すること
を含み、ここで第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれは10~250 g/100 mlの水溶解度を有する、
農薬錠剤を製造するための方法。
【請求項21】
第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれが10~110 g/100 mlの水溶解度を有する、請求項20に記載の農薬錠剤を製造するための方法。
【請求項22】
第1の混合物を調製するステップが添加物を加えることをさらに含み;そして当該添加物が界面活性剤、結合剤、および滑沢剤からなる群より選択される少なくとも1個である、請求項20に記載の農薬錠剤を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬使用者の安全性、使用の利便性、および農薬生産者の利益を最大化する希釈型農薬錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
農薬を希釈して散布する代表的な方法には、容器に20リットルの水を入れて使用者が背負ったまま散布する噴霧機、500リットルの水で農薬を希釈して高圧動力を用いてそれを噴霧する高圧噴霧機、および果樹園などで使用される乗用SS(スピードスプレー)噴霧機およびドローンを用いて散布することが含まれる。上記噴霧機では、特定の体積(20リットル~2,000リットル)の容器に水を入れ、農薬を希釈率に応じて希釈した後、使用する。しかしながら、湿潤性粉剤および顆粒湿潤性粉剤などの固形農薬は、飛散および粉塵の問題のために、作業者への安全性問題を引き起こし得る。
【0003】
現在、世界中で使用されている農薬錠剤は、有機酸、炭酸塩、および他の成分を組み合わせて製造される発泡性錠剤で、水に添加すると二酸化炭素ガスを生成し、それにより錠剤が崩壊して農薬成分が拡散する製剤である。従来の発泡性錠剤は、水に完全に溶解するか、または分散するまでに、約5分~15分とかなり長い時間を要する。
【0004】
さらに、発泡性錠剤は、保存中に空気中の水分と接触すると、二酸化炭素ガスを放出して製品の性能が低下するという問題がある。例えば、錠剤が水溶性フィルムに包まれていてさえも、保存中に水分が包装内に浸透するため、製品の性能が低下し得る。特定の期間の経過後、使用期限に達した製品は再加工ができず、そのまま全部を廃棄しなければならない。この問題を解決するために、発泡機能を有する有機酸および炭酸塩を結合剤でコーティングするなど、空気中の水分との接触を抑制するための方法が用いられる;しかしながら、その製造方法は複雑であり、製造コストの増加につながる。
【0005】
したがって、発泡性錠剤の崩壊および/または分散時間を著しく短縮させ、打錠作業性および保存安定性を維持し、同時に優れた粉末度および農薬噴霧用容器中での懸濁性を確保するための特定方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許第10-0994183号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の開示
技術的課題
本発明の目的は、従来の固形農薬製剤の飛散および粉塵生成による使用者の農薬への暴露のリスクを最小化し、各錠剤の重量が定量されているために毎回製品を計量しなければならないという不便性がなく、農薬を計量することが困難であることによる農薬の誤用および濫用の原因を排除し、そして使用済み農薬の包装材を回収する手間を除くことができる農薬錠剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題の解決策
上記の目的を達成するために、本発明の態様は、農薬活性成分;10~250 g/100 mlの水溶解度を有する増量剤;および崩壊剤を含む、農薬錠剤を提供する。
【0009】
本発明の別の態様は、農薬活性成分および第1の増量剤を混合し、そしてそれらを粉砕して第1の混合物を調製すること;第1の混合物、第2の増量剤、および崩壊剤を混合して第2の混合物を調製すること;および第2の混合物を打錠して錠剤にすることを含み、ここで第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれは10~250 g/100 mlの水溶解度を有するものである、農薬錠剤を製造するための方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
発明の有利な効果
本発明に従う農薬錠剤は、水に添加すると60秒以内に水中で崩壊または分散する錠剤として商業的に有用である。さらに、従来の固形農薬製剤の飛散および粉塵生成による使用者の農薬への暴露のリスクを最小化し、各錠剤の重量が定量されているために毎回製品を計量しなければならないという不便性がなく、農薬を計量することが困難であることによる農薬の誤用および濫用の原因を排除し、そして使用済み農薬の包装材を回収する手間を除くことによって、従来の農薬の使用から生じる様々な問題を、一度に、解決することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明を実施するための最適な形態
下に、当業者が本発明を容易に実施できるように様々な実施態様が詳細に記載されている。しかしながら、当該実施態様は、いくつかの異なる形態で実施され得て、本明細書に記載されている実施態様に限定されない。
【0012】
本明細書において、ある部分がある要素「を含む」と言及されているとき、特に断らない限り、当該部分は他の要素を同様に含み得ることが理解される。
【0013】
本明細書において、単数表現は、特に断らない限り、文脈上解釈されるとおり単数または複数をカバーするものとして解釈される。
【0014】
さらに、本明細書で用いられる成分の量、反応条件などすべての数値および表現は、特に断らない限り、「約」という用語によって修飾されているとして理解される。
【0015】
本明細書において、第1および第2などの用語は、様々な構成要素を記載するために用いられ、構成要素は当該用語によって限定されるべきではない。上記用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。
【0016】
本発明のある態様は、農薬活性成分;10~250 g/100 mlの水溶解度を有する増量剤;および崩壊剤を含む、農薬錠剤を提供する。
【0017】
農薬活性成分は、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、昆虫成長調節剤、または除草性植物成長調節剤であり得る。さらに、農薬活性成分は水不溶性農薬成分または水溶性農薬成分を含み得る。
【0018】
本発明における「錠剤」という用語は、当該技術分野において錠剤とみなされるものを含み、ブリケットおよびペレットなどの固形圧縮成形形態を含む。
【0019】
錠剤は、水への良好な分散性および良好な保存安定性を有する。
【0020】
本発明の特定の実施態様において、錠剤は、農作物用、家庭用、庭園用、または芝生用に使用される農薬活性成分を含む。そのような場合において、それは肥料などの他の成分をさらに含み得る。
【0021】
本発明の特定の実施態様において、農薬活性成分は、グルホシネートP、MCPA、グリホサート、オキソリン酸、フルセトスルフロン、ダイムロン、メフェナセット、ピラゾスルフロンエチル、イマゾスルフロン、オキサジクロメホン、ペノキススラム、プレチラクロール、メソトリオン、ピリフタリド、ベンスルフロンメチル、チオベンカルブ、インダノファン、ピリミノバックメチル、オキサジクロメホン、カルフェントラゾンエチル、フェントラザミド、ピリブチカルブ、ベンゾビシクロン、メタミホップ、ベンフレセート、シクロスルファムロン、アニロホス、アジムスルフロン、ピラゾレート、メタゾスルフロン、オリサストロビン、イソプロチオラン、カルプロパミド、フルジオキソニル、チアジニル、トリシクラゾール、チフルザミド、プロベナゾール、フサライド、ジフェノコナゾール、プロピコナゾール、バリダマイシン、アゾキシストロビン、エジフェンホス、フェノキサニル、アシベンゾラルS-メチル、フェリムゾン、ペンシクロン、ヘキサコナゾール、ダイアジノン、ジノテフラン、エトフェンプロックス、メトキシフェノジド、ベンスルタップ、クロチアニジン、ブプロフェジン、イソプロカルブ、フェノブカルブ、ベンフラカルブ、イミダクロプリド、カルボフラン、カルボスルファン、カルタップ、チアメトキサム、テブフェノジド、フェノブカルブ、フェントエート、フィプロニル、およびクロラントラニリプロールからなる群より選択される少なくとも1個であり得るが、これらに限定されない。
【0022】
本発明の別の特定の実施態様において、農薬活性成分の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、10~80重量部であり得る。具体的には、農薬活性成分の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、10重量部以上、13重量部以上、16重量部以上、19重量部以上、または22重量部以上、かつ、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、65重量部以下、60重量部以下、55重量部以下、50重量部以下、45重量部以下、または40重量部以下であり得る。より具体的には、農薬活性成分の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、13~75重量部、16~70重量部、19~65重量部、22~60重量部、22~55重量部、22~50重量部、22~45重量部、または22~40重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0023】
農薬活性成分の含有量が上記範囲外であるとき、所望の錠剤の効能を発揮することが困難である点で問題がある。他方で、農薬活性成分の含有量が上記の範囲を満たすとき、所望の時間内に水中で分散および崩壊し、優れた農薬効能を発揮することができる。
【0024】
増量剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、マルトース、スクロース、キシロース、ソルビトール、グルコース、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、尿素、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸、コハク酸、酒石酸、およびマレイン酸からなる群より選択される少なくとも1個であり得るが、これらに限定されない。
【0025】
本発明の特定の実施態様において、増量剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、10~80重量部であり得る。具体的には、増量剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、10重量部以上、15重量部以上、18重量部以上、21重量部以上、24重量部以上、または25重量部以上、かつ、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、67重量部以下、64重量部以下、61重量部以下、または58重量部以下であり得る。より具体的には、増量剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、18~67重量部、21~64重量部、24~61重量部、または25~58重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0026】
増量剤の含有量が上記範囲外であるとき、錠剤の崩壊および分散時間が長くなるか、または硬度が高くもしくは低くなりすぎ、錠剤を商業化するのが困難になる。他方で、増量剤の含有量が上記の範囲を満たすとき、錠剤はその効果を最大化する崩壊および分散時間を有し、適切な硬度の製品を製造することができる。
【0027】
本発明の別の特定の実施態様において、増量剤は、10~250 g/100 mlの水溶解度を有し得る。具体的には、増量剤の水溶解度は、10 g/100 ml以上、11 g/100 ml以上、12 g/100 ml以上、15 g/100 ml以上、または20 g/100 ml以上、かつ、250 g/100 ml以下、230 g/100 ml以下、210 g/100 ml以下、190 g/100 ml以下、170 g/100 ml以下、150 g/100 ml以下、130 g/100 ml以下、120 g/100 ml以下、110 g/100 ml以下、100 g/100 ml以下、または80 g/100 ml以下であり得る。より具体的には、増量剤の水溶解度は、10~230 g/100 ml、10~210 g/100 ml、10~190 g/100 ml、10~170 g/100 ml、10~150 g/100 ml、11~150 g/100 ml、10~130 g/100 ml、11~130 g/100 ml、10~120 g/100 ml、11~120 g/100 ml、10~110 g/100 ml、または11~110 g/100 mlであり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0028】
増量剤の水溶解度が上記範囲外であるとき、錠剤の崩壊および分散時間が長くなるか、または保存安定性が著しく低下する点で問題がある。他方で、増量剤の水溶解度が上記の範囲を満たすとき、錠剤の崩壊および分散時間を短縮でき、製品の保存安定性を高めることができる。
【0029】
本発明の別の特定の実施態様において、増量剤に含まれる、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、および尿素からなる群より選択される少なくとも1個の含有量は、100重量部の増量剤を基準として、30~100重量部であり得る。具体的には、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、および尿素からなる群より選択される少なくとも1個の含有量は、100重量部の増量剤を基準として、30重量部以上、34重量部以上、38重量部以上、42重量部以上、または45重量部以上、かつ、100重量部以下であり得る。より具体的には、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、および尿素からなる群より選択される少なくとも1個の含有量は、100重量部の増量剤を基準として、30~100重量部、34~100重量部、38~100重量部、42~100重量部、または45~100重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0030】
本発明の別の特定の実施態様において、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、および尿素からなる群より選択される少なくとも1個の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、10~80重量部であり得る。具体的には、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、および尿素からなる群より選択される少なくとも1個の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、10重量部以上、15重量部以上、18重量部以上、または20重量部以上、かつ、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、65重量部以下、または60重量部以下であり得る。より具体的には、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、および尿素からなる群より選択される少なくとも1個の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、10~75重量部、15~70重量部、18~65重量部、または20~60重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0031】
硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、および尿素からなる群より選択される少なくとも1個の含有量が上記範囲内であるとき、錠剤はその効果を最大化する崩壊および分散時間を有し、適切な硬度の製品を製造することができる。
【0032】
本発明の別の特定の実施態様において、錠剤は、重炭酸ナトリウムおよび無水アンモニウムミョウバンからなる群より選択される少なくとも1個の発泡増量剤をさらに含み得る。そのような場合において、錠剤は発泡性農薬錠剤であり得る。発泡性農薬錠剤は、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1個の発泡増量剤を本質的に含み得る。発泡性農薬錠剤は、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1個の発泡増量剤を、100重量部の発泡性農薬錠剤を基準として、10~40重量部、10~30重量部、15~30重量部、または15~25重量部の量で含み得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0033】
崩壊剤は、炭酸塩および固体酸、寒天、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルデンプンエーテル、アラビアガム、トラガカント、ゼラチン、カゼイン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ラウリン酸ナトリウム、カルボキシル樹脂、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリビニルポリピロリドン、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、食卓塩、尿素、アニオン性界面活性剤、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、グルコース、ラクトース、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、およびデキストリンの組合せからなる群より選択される少なくとも1個であり得るが、これらに限定されない。
【0034】
本発明の特定の実施態様において、崩壊剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として(100重量部の増量剤に対して)、3.5重量部以上または3.5~40重量部であり得る。具体的には、崩壊剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として、3.6重量部以上、3.7重量部以上、3.8重量部以上、3.9重量部以上、または4.0重量部以上、かつ、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下、または25重量部以下であり得る。より具体的には、崩壊剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として、3.6~35重量部、3.7~35重量部、3.8~30重量部、3.9~30重量部、または4.0~25重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0035】
本発明の別の特定の実施態様において、崩壊剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、3重量部以上または3~20重量部であり得る。具体的には、崩壊剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、3.5重量部以上、4重量部以上、4.5重量部以上、または5重量部以上、かつ、20重量部以下、17重量部以下、14重量部以下、11重量部以下、または8重量部以下であり得る。より具体的には、崩壊剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、3.5~17重量部、4~14重量部、4.5~11重量部、5~8重量部、または3.5~6.5重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0036】
本発明の別の特定の実施態様において、崩壊剤の含有量は、100重量部の農薬活性成分を基準として(100重量部の農薬活性成分に対して)、5重量部以上または5~80重量部であり得る。具体的には、崩壊剤の含有量は、100重量部の農薬活性成分を基準として、6重量部以上、7重量部以上、または8重量部以上、かつ、80重量部以下、70重量部以下、60重量部以下、50重量部以下、40重量部以下、または30重量部以下であり得る。より具体的には、崩壊剤の含有量は、100重量部の農薬活性成分を基準として、5~70重量部、5~60重量部、6~50重量部、7~40重量部、または8~30重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0037】
崩壊剤の含有量が上記範囲外であるとき、錠剤の崩壊および分散時間が長くなるか、または保存安定性が著しく低下する点で問題がある。
【0038】
本発明の別の特定の実施態様において、増量剤は塩化アンモニウムであり得て、崩壊剤の含有量は、100重量部の塩化アンモニウムを基準として(100重量部の塩化アンモニウムに対して)、8~40重量部であり得る。具体的には、崩壊剤の含有量は、100重量部の塩化アンモニウムを基準として、8重量部以上、8.5重量部以上、または9重量部以上、かつ、40重量部以下、35重量部以下、32重量部以下、30重量部以下、または28重量部以下であり得る。より具体的には、崩壊剤の含有量は、100重量部の塩化アンモニウムを基準として、8.5~35重量部、8.5~32重量部、9~30重量部、または9~28重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0039】
本発明の別の特定の実施態様において、崩壊剤はポリビニルポリピロリドンであり得て、増量剤の含有量は、100重量部のポリビニルポリピロリドンを基準として(100重量部のポリビニルポリピロリドンに対して)、2,857重量部以下または250~2,857重量部であり得る。具体的には、増量剤の含有量は、100重量部のポリビニルポリピロリドンを基準として、250重量部以上、350重量部以上、450重量部以上、550重量部以上、または650重量部以上、かつ、2,500重量部以下、2,200重量部以下、1,800重量部以下、1,500重量部以下、または1,250重量部以下であり得る。より具体的には、増量剤の含有量は、100重量部のポリビニルポリピロリドンを基準として、350~2,500重量部、450~2,200重量部、540~1,500重量部、550~1,350重量部、または555~1,250重量部であり得えるが、これらの数値範囲に限定されない。
【0040】
本発明の特定の実施態様において、農薬錠剤は、界面活性剤、結合剤、および滑沢剤からなる群より選択される少なくとも1個の添加物をさらに含み得る。
【0041】
界面活性剤は、農薬活性成分の水中での拡散および作物などへの良好な付着を補助する機能を有し、さらに、(例えば、農薬組成物の強度を高めるための)結合剤または崩壊剤としても機能し得る。
【0042】
具体的には、界面活性剤は、脂肪酸塩、アルキルスルホスクシネート、ジアルキルスルホスクシネート、ポリカルボキシレート、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルフェート、アルキルアリールスルフェート、アルキルジグリコールエーテルスルフェート、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アリールスルホネート、リグニンスルホネート、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート、ポリスチレンスルホネート、アルキルホスフェートエステル塩、アルキルアリールホスフェート、スチリルアリールホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルスルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルアリールホスフェートエステル、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、ポリアクリレート、アクリル酸ナトリウムホモポリマー、およびイソブチレン無水マレイン酸コポリマーなどのアニオン性界面活性剤;またはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセリド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、およびポリアルキレングリコールなどの非イオン性界面活性剤であり得る。これらは単独で、あるいはその2個以上の組合せで、用いられ得る。これらを混合するとき、その比率もまた適切に選択され得る。より具体的には、界面活性剤は、ナフタレンスルホネートおよびプロパンスルホネートからなる群より選択される少なくとも1個を含み得るが、これらに限定されない。
【0043】
本発明の特定の実施態様において、界面活性剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として(100重量部の増量剤に対して)、1~30重量部であり得る。具体的には、界面活性剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として、1重量部以上、5重量部以上、10重量部以上、または15重量部以上、かつ、30重量部以下、25重量部以下、または20重量部以下であり得る。より具体的には、界面活性剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として、5~25重量部、10~25重量部、10~20重量部、15~25重量部、または15~20重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0044】
本発明の別の特定の実施態様において、界面活性剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、1~30重量部であり得る。具体的には、界面活性剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、1重量部以上、2重量部以上、3重量部以上、または4重量部以上、かつ、30重量部以下、25重量部以下、20重量部以下、または15重量部以下であり得る。より具体的には、界面活性剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、2~25重量部、3~20重量部、または4~15重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0045】
結合剤は、錠剤の硬度を制御するために機能し得る。
【0046】
具体的には、結合剤は、グアーガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、キサンタンガム、およびアラビアガムなどの様々なガム;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、およびアルギン酸プロピレングリコールなどのアルギン酸誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルメタアクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、およびポリアクリル酸アミドなどの有機ポリマー化合物;卵白、アルブミン、カゼイン、およびゼラチンなどの動物性または植物性水溶性タンパク質;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;デキストリン、デンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ヒドロキシエチルデンプン、およびヒドロキシプロピルデンプンなどのデンプン;またはリグニンスルホン酸ナトリウムおよびリグニンスルホン酸カルシウムなどのリグニンスルホン酸誘導体であり得る。これらは単独で、あるいはその2個以上の組合せで、用いられ得る。これらを混合するとき、その比率もまた適切に選択され得る。これらのいくつかは、崩壊剤としても機能する。より具体的には、結合剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み得るが、これに限定されない。
【0047】
本発明の特定の実施態様において、結合剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として(100重量部の増量剤に対して)、1~20重量部であり得る。具体的には、結合剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として、1重量部以上、3重量部以上、5重量部以上、または7重量部以上、かつ、20重量部以下、15重量部以下、13重量部以下、または11重量部以下であり得る。より具体的には、結合剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として、3~15重量部、5~13重量部、または7~11重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0048】
本発明の特定の実施態様において、結合剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、1~20重量部であり得る。具体的には、結合剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、1重量部以上、1.5重量部以上、2重量部以上、2.5重量部以上、または3重量部以上、かつ、20重量部以下、16重量部以下、13重量部以下、10重量部以下、または7重量部以下であり得る。より具体的には、結合剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、1.5~16重量部、2~13重量部、2.5~10重量部、または3~7重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0049】
滑沢剤は、増量剤の流動を促進するために機能し得る。
【0050】
具体的には、滑沢剤は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンエステル、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどであり得る。これらは単独で、あるいはその2個以上の組合せで、用いられ得る。これらを混合するとき、その比率もまた適切に選択され得る。より具体的には、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムを含み得るが、これに限定されない。
【0051】
本発明の別の特定の実施態様において、滑沢剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として(100重量部の増量剤に対して)、0.1~5重量部であり得る。具体的には、滑沢剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として、0.1重量部以上、0.5重量部以上、1.0重量部以上、または1.5重量部以上、かつ、5重量部以下、4重量部以下、3重量部以下、または2重量部以下であり得る。より具体的には、滑沢剤の含有量は、100重量部の増量剤を基準として、0.5~4重量部、1.0~3重量部、または1.5~2重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0052】
本発明の別の特定の実施態様において、滑沢剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、0.1~5重量部であり得る。具体的には、滑沢剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上、または0.5重量部以上、かつ、5重量部以下、4重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、または1重量部以下であり得る。より具体的には、滑沢剤の含有量は、100重量部の農薬錠剤を基準として、0.2~4重量部、0.3~3重量部、0.4~2重量部、または0.5~1.5重量部であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0053】
界面活性剤、結合剤、および滑沢剤のそれぞれの含有量が上記範囲外であるとき、錠剤の硬度および製品の生産効率の点で問題があり得る。
【0054】
本発明の特定の実施態様において、錠剤は、60秒以下の崩壊および分散時間を有し得る。具体的には、錠剤の崩壊および分散時間は、60秒以下、58秒以下、56秒以下、54秒以下、52秒以下、50秒以下、48秒以下、または45秒以下であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0055】
例えば、錠剤の崩壊および分散時間は、1錠(5グラム)を容器に入れ、約22℃の温度の10リットルの水をその容器に添加し、1錠が完全に崩壊および分散するまでの時間を測定することによって測定される。そのような場合において、錠剤が完全に崩壊および分散したか否かを判定するために、錠剤が崩壊および分散した溶液の無作為な5か所から100 mlを採取し、5個の溶液サンプルの濃度を測定する。標準偏差が25 mg/L以下であれば、錠剤が完全に崩壊および分散していると評価する。
【0056】
錠剤の崩壊および分散時間が上記の範囲を満たすとき、農薬噴霧容器内で錠剤が短時間で崩壊するため、作業者の作業時間を短縮することができ、打錠作業効率を高めることができる。さらに、噴霧容器内で農薬活性成分が均一に分散されるため、優れた効能を達成することができる。
【0057】
本発明の特定の実施態様において、錠剤は、50~200ニュートン(N)の硬度を有し得る。具体的には、錠剤の硬度は50 N以上、60 N以上、70 N以上、80 N以上、90 N以上、または100 N以上、かつ、200 N以下、180 N以下、160 N以下、150 N以下、140 N以下、または130 N以下であり得る。より具体的には、錠剤の硬度は、60~180 N、70~160 N、80~150 N、90~140 N、または100~130 Nであり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0058】
錠剤の硬度が上記の範囲を満たすことで、保存安定性が最大化され得る。他方で、錠剤の硬度が上記範囲外であるとき、錠剤の生産性および商業化の点で問題がある。
【0059】
錠剤の形状は、円柱形、四角形、多角形、ドーナツ形、または楕円形であり得るが、これらに限定されない。
【0060】
錠剤が円柱形であるとき、平均直径が1.5 cm~3 cm、具体的には、2 cm~3 cmであり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0061】
1錠の質量は、3グラム~20グラム、3グラム~15グラム、3グラム~10グラム、または3グラム~8グラムであり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0062】
本発明の特定の実施態様において、錠剤は、60~80%の懸濁率であり得る。具体的には、錠剤の懸濁率は60%以上、65%以上、または70%以上であり得る。より具体的には、錠剤の懸濁率は、65~80%または70~80%であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0063】
錠剤の懸濁率が上記範囲外であるとき、薬効および物理的性質の点で問題がある。
【0064】
本発明の特定の実施態様において、錠剤は、95~100%の粉末度を有し得る。具体的には、錠剤の粉末度は95%以上、96%以上、97%以上、または98%以上であり得る。より具体的には、錠剤の粉末度は96~100%、97~100%、または98~100%であり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0065】
錠剤の粉末度が上記範囲外であるとき、噴霧機の故障を引き起こし得て、そして錠剤の効能の点で問題がある。
【0066】
本発明に従う農薬錠剤は、短時間で分散および崩壊する錠剤の形態であり、使用者の農薬への暴露のリスクを最小化することができ、そして簡便な定量測定が可能になり農薬の誤用および濫用を減らすことができ、従来の農薬の使用により生じる様々な問題を解決することができる。
【0067】
さらに、上記農薬錠剤は作物栽培において有用な肥料または成分を農薬錠剤に組み込むための技術として応用することができる。その結果として、安全な使用、少ない労力の投入、および環境にやさしい作物栽培のための技術として確立することができる。
【0068】
本発明の別の態様は、農薬錠剤を製造するための方法を提供する。具体的には、本発明に従う農薬錠剤を製造するための方法は、農薬活性成分および第1の増量剤を混合し、そしてそれらを粉砕して第1の混合物を調製すること;第1の混合物、第2の増量剤、および崩壊剤を混合して第2の混合物を調製すること;および第2の混合物を打錠して錠剤することを含み、ここで第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれは10~250 g/100 mlの水溶解度を有するものである。
【0069】
本発明の特定の実施態様において、第1の増量剤および第2の増量剤は、10~250 g/100 mlの水溶解度をそれぞれ有する。具体的には、第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれの水溶解度は、10 g/100 ml以上または11 g/100 ml以上、かつ、250 g/100 ml以下、230 g/100 ml以下、210 g/100 ml以下、190 g/100 ml以下、170 g/100 ml以下、150 g/100 ml以下、130 g/100 ml以下、120 g/100 ml以下、または110 g/100 ml以下であり得る。より具体的には、第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれの水溶解度は、10~230 g/100 ml、10~210 g/100 ml、10~190 g/100 ml、10~170 g/100 ml、10~150 g/100 ml、11~150 g/100 ml、10~130 g/100 ml、11~130 g/100 ml、10~120 g/100 ml、11~120 g/100 ml、10~110 g/100 ml、または11~110 g/100 mlであり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0070】
本発明に従う農薬錠剤を製造する方法において、第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれの記載は、農薬錠剤において増量剤について記載しているのと同様であり、農薬活性成分、崩壊剤、界面活性剤、結合剤、および滑沢剤の記載は、農薬錠剤において記載されているのと同じである。
【0071】
本発明に従う農薬錠剤を製造するための方法において、まず、農薬活性成分および第1の増量剤を混合し、そしてそれらを粉砕して第1の混合物を調製するステップを実施する。
【0072】
第1の混合物を調製するステップは、添加物を加えることをさらに含み得る。添加物は、界面活性剤、結合剤、および滑沢剤からなる群より選択される少なくとも1個であり得る。
【0073】
粉砕には、乾式粉砕方法を用い得る。
【0074】
当該乾式粉砕方法は、一般的な乾式粉砕方法として知られている方法であり得る。
【0075】
乾式粉砕において、パワーミル、コーヒーミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル、およびネアミルなどの粉砕機が使用され得て、適切な粉砕機は粉砕される材料の特徴および目的に応じて選択され得る。具体的には、ジェットミルが使用され得る。
【0076】
第1の混合物に含まれている粒子の平均粒子径は5~30ミクロンであり得る。具体的には、当該粒子の平均粒子径は5~25ミクロン、5~20ミクロン、5~15ミクロン、または5~10ミクロンであり得るが、これらの数値範囲に限定されない。
【0077】
次に、第1の混合物、第2の増量剤、および崩壊剤を混合して第2の混合物を調製する。
【0078】
第2の混合物を調製するステップは、添加物を加えることをさらに含み得る。添加物は、界面活性剤、結合剤、および滑沢剤からなる群より選択される少なくとも1個であり得る。
【0079】
続いて、第2の混合物を打錠して農薬錠剤にする。
【0080】
打錠は、一般的な錠剤の製造方法を用いて実施され得る。
【0081】
本発明の上記製造方法により製造される農薬錠剤の記載は、上に記載されているとおりである。
【実施例
【0082】
発明のための形態
下に、本発明を詳細に記載する。しかしながら、以下の試験例は例示的な目的のためのものであり、本発明の範囲はそれらに限定されない。
【0083】
試験例1:非発泡性農薬錠剤の製造
(1)農薬活性成分として26重量部のクロラントラニリプロール(一般名);および第1の増量剤として25重量部の塩化アンモニウムを混合し、平均粒子径が8ミクロン以下になるようにそれらを粉砕し、それにより第1の混合物を調製した。
(2)51重量部の第1の混合物;界面活性剤として7重量部のナフタレンスルホネートおよび2重量部のプロパンスルホネート;第2の増量剤として10重量部の尿素および19重量部の塩化アンモニウム;結合剤として5重量部のヒドロキシプロピルメチルセルロース;崩壊剤として5重量部のポリビニルポリピロリドン;および滑沢剤として1重量部のステアリン酸マグネシウムを均一に混合して第2の混合物を製造した。
(3)第2の混合物を直径2.5 cm、質量5グラム、および硬度120 N(ニュートン)の錠剤に製造した。
【0084】
試験例2~25:非発泡性農薬錠剤の製造
試験例2~25において、農薬活性成分、第1の増量剤、および第2の増量剤としてそれぞれ下の表1に示されているとおりの成分および重量部を用いたことを除き、試験例1と同じ方法で錠剤を製造した。
【表1-1】


【表1-2】


【表1-3】

【0085】
試験例26:発泡性農薬錠剤の製造
(1)農薬活性成分として26重量部のクロラントラニリプロール(一般名);および第1の増量剤として10重量部の炭酸ナトリウムおよび15重量部の重炭酸ナトリウムを混合し、平均粒子径が8ミクロン以下になるようにそれらを粉砕し、それにより第1の混合物を調製した。
(1)-2 第1の増量剤として15重量部の酒石酸を第1の混合物に加え、それを撹拌しながら約70℃で約30分間乾燥させ、含水量を1%未満に保ち、それにより第2の混合物を調製した。
(2)51重量部の第2の混合物;界面活性剤として7重量部のナフタレンスルホネートおよび2重量部のプロパンスルホネート;第2の増量剤として14重量部の塩化アンモニウム;結合剤として5重量部のヒドロキシプロピルメチルセルロース;崩壊剤として5重量部のポリビニルポリピロリドン;および滑沢剤として1重量部のステアリン酸マグネシウムを均一に混合して第3の混合物を製造した。
(3)第3の混合物を直径2.5 cm、質量5グラム、および硬度120 N(ニュートン)の錠剤に製造した。
【0086】
試験例26で用いた第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれの成分、水溶解度、および重量部を下の表2に示す。
【表2】
【0087】
試験例27:発泡性農薬錠剤の製造
(1)農薬活性成分として26重量のクロラントラニリプロール(一般名);および第1の増量剤として10重量部の炭酸ナトリウムおよび15重量部の重炭酸ナトリウムを混合し、平均粒子径が8ミクロン以下になるようにそれらを粉砕し、それにより第1の混合物を調製した。
(1)-2 第1の増量剤として15重量部の酒石酸を第1の混合物に加え、それを撹拌しながら約70℃で約30分間乾燥させ、含水量を1%未満に保ち、それにより第2の混合物を調製した。
(2)51重量部の第2の混合物;界面活性剤として7重量部のナフタレンスルホネートおよび2重量部のプロパンスルホネート;第2の増量剤として14重量部の無水アンモニウムミョウバン;結合剤として5重量部のヒドロキシプロピルメチルセルロース;崩壊剤として5重量部のポリビニルポリピロリドン;および滑沢剤として1重量部のステアリン酸マグネシウムを均一に混合して第3の混合物を製造した。
(3)第3の混合物を直径2.5 cm、質量5グラム、および硬度120 N(ニュートン)の錠剤に製造した。
【0088】
試験例27で用いた第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれの成分、水溶解度、および重量部を下の表3に示す。
【表3】

【0089】
試験例28~30
試験例28~30において、第1の増量剤、および第2の増量剤としてそれぞれ下の表4に示されているとおりの成分および重量部を用いたことを除き、試験例1と同じ方法で錠剤を製造した。
【表4】

【0090】
試験例31~34
試験例31~34において、第1の増量剤、第2の増量剤、結合剤、および崩壊剤としてそれぞれ下の表5に示されているとおりの成分および重量部を用いたことを除き、試験例1と同じ方法で錠剤を製造した。
【表5】

【0091】
評価例1:粉末度の評価
農薬管理法における農薬検査方法(農村振興庁告知第1999-3号)によると、原則として、その主成分および増量剤が水によって膨潤するか、もしくは水溶性である農薬は、乾式法によって粉末度を測定する。それ以外のものは湿式法によって測定する。本発明では、湿式法を使用した。
【0092】
1)50 gのサンプルを200 mlビーカーに入れ、60~80 mlの水をそれに加え、撹拌棒でよく攪拌して均一に分散させた。そのサンプルを325メッシュのふるい上に移した。
【0093】
2)100 mlの水で残っているサンプルを同様の方法でふるい上に移した。この操作を繰り返して、サンプルを完全にふるい上に移した。
【0094】
3)そして、ゴム管を通して水を少量ずつ添加し、そしてふるいを水平に振ってサンプルを通過させた。必要に応じて、ブラシで軽く掃いた。排出される液体にサンプルがほとんど含まれないことを確認した時点で、ふるい上に残っているサンプルを合わせて回収した。残りのサンプルを洗浄して、少量の水と共に時計皿に移し、しばらくの間放置した。上清をデカントで廃棄し、サンプルを水浴で乾燥させ、残留物を秤量し、そしてサンプルの通過料を百分率で計算した。その結果を下の表6に示す。
【0095】
評価例2:懸濁性の評価
サンプルの活性成分Aグラムをビーカーに入れ、そして50 mlの20℃の水をそれに添加し、十分に攪拌して均一に分散させた。それを250 mlの共栓メスシリンダーに移し、20℃の水を添加して250 mlにした。15分間静置した後、1分間当たり30回激しく回転させてよく混合し、5分間静置した。その後、25 mlのホールピペットを、そのチップが液体の中心にくるように、ゆっくり液体に入れた。25 mlの試験液体を静かに採取し、活性成分の含有量を測定した(Bグラム)。あるいは、活性成分を解析することが不可能であるとき、乾固物の重量を秤量した。その後、懸濁率を以下の式により計算した。
【数1】
【0096】
一般に、懸濁率が70%以上であるとき、懸濁性は良好であるとみなされる。懸濁率が75%以上であるとき、懸濁性は優れているとみなされる。
【0097】
上記のとおり試験した懸濁性(懸濁率)を、下の表6に示す。
【0098】
評価例3:崩壊および分散時間の評価
1錠(5グラム)を10リットルの透明な容器に入れた。10リットルの水(水温22℃)を容器に加えながら、1錠が完全に崩壊および分散する時間を測定した。その結果を下の表6に示す。
【0099】
評価例4:錠剤硬度の評価
OPTECHのモデルDS2-200Nを用いて、それぞれの錠剤の硬度を測定した。その結果を下の表6に示す。
【0100】
評価例5:打錠作業性の評価
当該試験例のそれぞれの混合物をロータリー式バンドル打錠機に移し、100 psiの圧力で圧縮成形して重さ5グラム、直径2.5センチメートル、および厚さ0.7センチメートルの外形を有する即時放出錠剤を製造した。その即時放出錠剤が容易に成形型から離れるか否か、または、混合物が上下のパンチおよびダイに付着するか否かを肉眼で観察した。それぞれの即時放出錠剤の打錠作業性を測定した。その結果を下の表6に示す。
【0101】
評価例6:保存安定性の評価
当該試験例において製造された錠剤を、それぞれアルミニウム包装材で包装するか、または空気に暴露させて保存した。アルミニウム包装材で包装したそれぞれの錠剤が50℃で6週間以上が経過した後でさえ、その外観、硬度、および機械的強度において変化がなかったとき、それを非常に安定であったと評価した。空気に暴露させた錠剤の硬度が24時間後に初期レベルと比べて10%以上低下したとき、硬度が低下したと評価した。72時間後または1時間後に、空気に暴露させた錠剤の外観が裸眼で観察される変化したとき、錠剤の外観が変化したと評価した。
【0102】
評価例7:農薬効能および毒性の評価
試験例4、8、21、および28において製造した即時放出錠剤の効能および毒性を測定するために、試験パッケージを選択した。試験パッケージでは、当該試験例において製造した即時放出錠剤をそれぞれ標準量に希釈して、希釈溶液でその後対象作物の葉を処理した。処置方法として、ペッパータバコモス(pepper tobacco moth)は発生初期に10日間隔で2回処理し、ペアアンドピーチシュートモス(pear and peach shoot moth)は発生初期に7日間隔で2回処理し、キャベジカットワーム(cabbage cutworm)は発生初期に1回処置し、そしてアップルオイスターモス(apple oyster moth)は発生初期に10日間隔で2回処置した。農薬処理後、それぞれの害虫の防除価を測定し、農薬効能を測定した。対象作物に対する毒性を、0から5段階で測定した。その結果を下の表7に示す。
【表6-1】


【表6-2】


【表6-3】


【表6-4】


【表7】
【0103】
上記評価例の結果、本発明の農薬錠剤は、硬度、打錠作業性、薬効、および保存安定性を維持すると同時に、優れた粉末度および懸濁性を示すだけではなく、水に添加すると短時間(60秒)内に完全に崩壊および分散するという優れた効果を奏することが確認された。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬活性成分;10~250 g/100 mlの水溶解度を有する増量剤;および崩壊剤を含む、農薬錠剤。
【請求項2】
農薬活性成分が、グルホシネートP、MCPA、グリホサート、オキソリン酸、フルセトスルフロン、ダイムロン、メフェナセット、ピラゾスルフロンエチル、イマゾスルフロン、オキサジクロメホン、ペノキススラム、プレチラクロール、メソトリオン、ピリフタリド、ベンスルフロンメチル、チオベンカルブ、インダノファン、ピリミノバックメチル、オキサジクロメホン、カルフェントラゾンエチル、フェントラザミド、ピリブチカルブ、ベンゾビシクロン、メタミホップ、ベンフレセート、シクロスルファムロン、アニロホス、アジムスルフロン、ピラゾレート、メタゾスルフロン、オリサストロビン、イソプロチオラン、カルプロパミド、フルジオキソニル、チアジニル、トリシクラゾール、チフルザミド、プロベナゾール、フサライド、ジフェノコナゾール、プロピコナゾール、バリダマイシン、アゾキシストロビン、エジフェンホス、フェノキサニル、アシベンゾラルS-メチル、フェリムゾン、ペンシクロン、ヘキサコナゾール、ダイアジノン、ジノテフラン、エトフェンプロックス、メトキシフェノジド、ベンスルタップ、クロチアニジン、ブプロフェジン、イソプロカルブ、フェノブカルブ、ベンフラカルブ、イミダクロプリド、カルボフラン、カルボスルファン、カルタップ、チアメトキサム、テブフェノジド、フェノブカルブ、フェントエート、フィプロニル、およびクロラントラニリプロールからなる群より選択される少なくとも1個である、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項3】
増量剤が、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、マルトース、スクロース、キシロース、ソルビトール、グルコース、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、尿素、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸、コハク酸、酒石酸、およびマレイン酸からなる群より選択される少なくとも1個である、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項4】
硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、および尿素からなる群より選択される少なくとも1個の含有量が、100重量部の増量剤を基準として30~100重量部である、請求項3に記載の農薬錠剤。
【請求項5】
崩壊剤が、炭酸塩および固体酸、寒天、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルデンプンエーテル、アラビアガム、トラガカント、ゼラチン、カゼイン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ラウリン酸ナトリウム、カルボキシル樹脂、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリビニルポリピロリドン、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、食卓塩、尿素、アニオン性界面活性剤、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、グルコース、ラクトース、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、およびデキストリンの組合せからなる群より選択される少なくとも1個である、請求項1に記載の農薬錠剤。
【請求項6】
農薬錠剤が、界面活性剤、結合剤、および滑沢剤からなる群より選択される少なくとも1個の添加物をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の農薬錠剤。
【請求項7】
界面活性剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として1~30重量部である、請求項6に記載の農薬錠剤。
【請求項8】
結合剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として1~20重量部である、請求項6に記載の農薬錠剤。
【請求項9】
滑沢剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として0.1~5重量部である、請求項6に記載の農薬錠剤。
【請求項10】
崩壊剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として3.5重量部以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の農薬錠剤。
【請求項11】
増量剤が塩化アンモニウムを含む、請求項1、2、4および5のいずれか一項に記載の農薬錠剤。
【請求項12】
崩壊剤の含有量が、100重量部の塩化アンモニウムを基準として8~40重量部である、請求項11に記載の農薬錠剤。
【請求項13】
崩壊剤がポリビニルポリピロリドンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の農薬錠剤。
【請求項14】
増量剤の含有量が、100重量部のポリビニルポリピロリドンを基準として2,857重量部以下である、請求項13に記載の農薬錠剤。
【請求項15】
農薬錠剤の崩壊および分散時間が60秒以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の農薬錠剤。
【請求項16】
農薬錠剤の硬度が50~200ニュートン(N)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の農薬錠剤。
【請求項17】
農薬錠剤の懸濁率が60~80%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の農薬錠剤。
【請求項18】
農薬錠剤の粉末度が95~100%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の農薬錠剤。
【請求項19】
農薬錠剤が、重炭酸ナトリウムおよび無水アンモニウムミョウバンからなる群より選択される少なくとも1個の発泡増量剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の農薬錠剤。
【請求項20】
農薬活性成分および第1の増量剤を混合し、そしてそれらを粉砕して第1の混合物を調製すること;
第1の混合物、第2の増量剤、および崩壊剤を混合して第2の混合物を調製すること;および
第2の混合物を打錠して錠剤すること
を含み、ここで第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれは10~250 g/100 mlの水溶解度を有する、
農薬錠剤を製造するための方法。
【請求項21】
第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれが10~110 g/100 mlの水溶解度を有する、請求項20に記載の農薬錠剤を製造するための方法。
【請求項22】
第1の混合物を調製するステップが添加物を加えることをさらに含み;そして当該添加物が界面活性剤、結合剤、および滑沢剤からなる群より選択される少なくとも1個である、請求項20または21に記載の農薬錠剤を製造するための方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
上記評価例の結果、本発明の農薬錠剤は、硬度、打錠作業性、薬効、および保存安定性を維持すると同時に、優れた粉末度および懸濁性を示すだけではなく、水に添加すると短時間(60秒)内に完全に崩壊および分散するという優れた効果を奏することが確認された。
また、本願は以下の態様も包含する。
[態様1]
農薬活性成分;10~250 g/100 mlの水溶解度を有する増量剤;および崩壊剤を含む、農薬錠剤。
[態様2]
農薬活性成分が、グルホシネートP、MCPA、グリホサート、オキソリン酸、フルセトスルフロン、ダイムロン、メフェナセット、ピラゾスルフロンエチル、イマゾスルフロン、オキサジクロメホン、ペノキススラム、プレチラクロール、メソトリオン、ピリフタリド、ベンスルフロンメチル、チオベンカルブ、インダノファン、ピリミノバックメチル、オキサジクロメホン、カルフェントラゾンエチル、フェントラザミド、ピリブチカルブ、ベンゾビシクロン、メタミホップ、ベンフレセート、シクロスルファムロン、アニロホス、アジムスルフロン、ピラゾレート、メタゾスルフロン、オリサストロビン、イソプロチオラン、カルプロパミド、フルジオキソニル、チアジニル、トリシクラゾール、チフルザミド、プロベナゾール、フサライド、ジフェノコナゾール、プロピコナゾール、バリダマイシン、アゾキシストロビン、エジフェンホス、フェノキサニル、アシベンゾラルS-メチル、フェリムゾン、ペンシクロン、ヘキサコナゾール、ダイアジノン、ジノテフラン、エトフェンプロックス、メトキシフェノジド、ベンスルタップ、クロチアニジン、ブプロフェジン、イソプロカルブ、フェノブカルブ、ベンフラカルブ、イミダクロプリド、カルボフラン、カルボスルファン、カルタップ、チアメトキサム、テブフェノジド、フェノブカルブ、フェントエート、フィプロニル、およびクロラントラニリプロールからなる群より選択される少なくとも1個である、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様3]
増量剤が、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、マルトース、スクロース、キシロース、ソルビトール、グルコース、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、尿素、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸、コハク酸、酒石酸、およびマレイン酸からなる群より選択される少なくとも1個である、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様4]
硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、ギ酸カリウム、および尿素からなる群より選択される少なくとも1個の含有量が、100重量部の増量剤を基準として30~100重量部である、態様3に記載の農薬錠剤。
[態様5]
崩壊剤が、炭酸塩および固体酸、寒天、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルデンプンエーテル、アラビアガム、トラガカント、ゼラチン、カゼイン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ラウリン酸ナトリウム、カルボキシル樹脂、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリビニルポリピロリドン、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、食卓塩、尿素、アニオン性界面活性剤、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、グルコース、ラクトース、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、およびデキストリンの組合せからなる群より選択される少なくとも1個である、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様6]
農薬錠剤が、界面活性剤、結合剤、および滑沢剤からなる群より選択される少なくとも1個の添加物をさらに含む、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様7]
界面活性剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として1~30重量部である、態様6に記載の農薬錠剤。
[態様8]
結合剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として1~20重量部である、態様6に記載の農薬錠剤。
[態様9]
滑沢剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として0.1~5重量部である、態様6に記載の農薬錠剤。
[態様10]
崩壊剤の含有量が、100重量部の増量剤を基準として3.5重量部以上である、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様11]
増量剤が塩化アンモニウムを含む、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様12]
崩壊剤の含有量が、100重量部の塩化アンモニウムを基準として8~40重量部である、態様11に記載の農薬錠剤。
[態様13]
崩壊剤がポリビニルポリピロリドンを含む、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様14]
増量剤の含有量が、100重量部のポリビニルポリピロリドンを基準として2,857重量部以下である、態様13に記載の農薬錠剤。
[態様15]
農薬錠剤の崩壊および分散時間が60秒以下である、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様16]
農薬錠剤の硬度が50~200ニュートン(N)である、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様17]
農薬錠剤の懸濁率が60~80%である、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様18]
農薬錠剤の粉末度が95~100%である、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様19]
農薬錠剤が、重炭酸ナトリウムおよび無水アンモニウムミョウバンからなる群より選択される少なくとも1個の発泡増量剤をさらに含む、態様1に記載の農薬錠剤。
[態様20]
農薬活性成分および第1の増量剤を混合し、そしてそれらを粉砕して第1の混合物を調製すること;
第1の混合物、第2の増量剤、および崩壊剤を混合して第2の混合物を調製すること;および
第2の混合物を打錠して錠剤すること
を含み、ここで第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれは10~250 g/100 mlの水溶解度を有する、
農薬錠剤を製造するための方法。
[態様21]
第1の増量剤および第2の増量剤のそれぞれが10~110 g/100 mlの水溶解度を有する、態様20に記載の農薬錠剤を製造するための方法。
[態様22]
第1の混合物を調製するステップが添加物を加えることをさらに含み;そして当該添加物が界面活性剤、結合剤、および滑沢剤からなる群より選択される少なくとも1個である、態様20に記載の農薬錠剤を製造するための方法。
【国際調査報告】