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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】エネルギー処理システム
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/10 20060101AFI20250130BHJP
   F28F 27/00 20060101ALI20250130BHJP
   F28F 13/08 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
F28D7/10 A
F28F27/00 511Z
F28F13/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545932
(86)(22)【出願日】2023-02-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2023052463
(87)【国際公開番号】W WO2023148229
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】22154864.7
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524287288
【氏名又は名称】キリアンエヌアールジーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100227329
【弁理士】
【氏名又は名称】延原 愛
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ リール,キリアン
(72)【発明者】
【氏名】ドント,フィリップ
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA17
3L103AA37
3L103DD10
(57)【要約】
エネルギーを変換、貯蔵、又は伝達するためのエネルギー処理システム(1)が記載される。エネルギー処理システム(1)は、第1の物質(110)と第2の物質(120)との間で熱を交換するための熱交換ユニット(100)を備える。熱交換ユニット(100)は、互いに隣接して配置され、かつ熱交換面(150)によって分離されている第1の内側区画(130)及び第2の外側区画(140)を備える。システムはまた、第1の内側区画(130)内に、バルーン(160)の外面と熱交換面(150)との間に密閉された容積(170)を形成するように、第1の内側区画(130)内に取り付けられたバルーン(160)を備える。密閉された容積(170)は、第1の物質(110)で充填されており、バルーン(160)は、バルーン流体(180)で充填されるように構成され、第2の外側区画(140)は、第2の物質(120)で充填されている。第1の物質(110)及び第2の物質(120)と接触している熱交換面(150)の面積は、熱交換プロセス中に実質的に同じままである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを変換、貯蔵、又は伝達するためのエネルギー処理システム(1)であって、前記エネルギー処理システム(1)が、
第1の物質(110)と第2の物質(120)との間で熱を交換するための熱交換ユニット(100、610、710a、1210a、1310a)であって、前記熱交換ユニット(100)が、第1の内側区画(130)及び第2の外側区画(140)を含み、前記第1の内側区画(130)及び前記第2の外側区画(140)が、互いに隣接して配置され、かつ熱交換面(150)によって分離されている、熱交換ユニット(100、610、710a、1210a、1310a)と、
バルーン(160)であって、前記第1の内側区画(130)内に、前記バルーン(160)の外面と前記熱交換面(150)との間に密閉された容積(170)を形成するように、前記第1の内側区画(130)に取り付けられ、前記密閉された容積(170)が、前記第1の物質(110)で充填されており、前記バルーン(160)が、バルーン流体(180)で充填されるように構成されている、バルーン(160)と、を備え、
前記第2の外側区画(140)が、前記第2の物質(120)で充填されており、
前記第1の物質(110)及び第2の物質(120)と接触している前記熱交換面(150)の面積が、熱交換プロセス中に実質的に同じままであることを特徴とする、エネルギー処理システム(1)。
【請求項2】
前記システムが、前記熱交換面(150)で熱交換を誘導するために、前記バルーン(160)内の前記バルーン流体(180)の容積又は前記第2の外側区画(140)内の前記第2の物質(120)の容積のうちの1つを制御するためのコントローラ(2、640、740)を更に備える、請求項1に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項3】
前記コントローラが、前記熱交換プロセスの少なくとも50%の間、有利には前記熱交換プロセスの少なくとも60%、又は前記熱交換プロセスの少なくとも75%、又は前記熱交換プロセスの少なくとも90%の間、実質的に等エントロピー条件、等圧条件、等温条件、及び/又はポリトロープ条件下で前記熱交換プロセスが行われるように制御するようにプログラムされている、請求項2に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項4】
前記コントローラが、実質的に同じ温度下で前記熱交換プロセスが行われるように制御するようにプログラムされている、請求項1又は2に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項5】
前記バルーン(160)が、前記密閉された容積(170)を形成するが、前記熱交換プロセス中に前記第1の内側区画(130)の壁に更に接触しないように、前記第1の内側区画(130)内の2つの位置で固定されている、先行請求項のいずれか一項に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項6】
前記バルーン(160)が、予め張力をかけられた状態で固定されている、先行請求項のいずれか一項に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項7】
前記熱交換プロセスが、200~700barの範囲、例えば、200~400barの範囲の圧力で行われるように制御されている、先行請求項のいずれか一項に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項8】
前記熱交換プロセスが、前記バルーン(160)の最大容積交換が、1.5~2.5倍の範囲、例えば、1.75~2.25倍の範囲で行われるように制御されている、先行請求項のいずれか一項に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項9】
前記第2の外側区画(140)が、隔離チューブ(190)によって外界から隔離されている、先行請求項のいずれか一項に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項10】
前記熱交換面(150)が、耐圧材料で作製されている、先行請求項のいずれか一項に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項11】
前記バルーン流体(180)が、油であり、前記第1の物質(110)が、液体、例えば、水である、先行請求項のいずれか一項に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項12】
前記第1の物質(110)が、超臨界ガスである、先行請求項のいずれか一項に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項13】
前記熱交換ユニットが、第1の熱交換ユニット(710a、1210a、1310a)であり、前記バルーン(160)が、第1のバルーンであり、前記バルーン流体(180)が、第1のバルーン流体であり、
前記エネルギー処理システム(1)が、
少なくとも第1の補助バルーン流体リザーバ(630、730、732)と、
前記第1のバルーンからの及び/又は前記第1のバルーンへの、前記第1の補助バルーン流体リザーバ(630、730a)への及び/又は前記第1の補助バルーン流体リザーバ(630、730a)からの、前記第1のバルーン流体の流れを選択的に制御するための、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニット(620、720a、1220a、1320)と、を更に備え、
前記コントローラ(2、640、740)が、少なくとも前記第1の熱交換ユニット(100、610、710a、1210a、1310a)における異なる膨張及び/又は圧縮のサイクルを誘導するように、少なくとも前記第1の油圧ポンプ/モータユニット(620、720a、1220a、1320)を制御することによって、少なくとも第1のHBVI(100、610、710a、1210a、1310a)における熱力学的プロセスを制御するように構成され、したがって、前記システム(1)が、エネルギーの変換、貯蔵、又は伝達などのエネルギー処理を制御するように、後続の膨張及び/又は圧縮のサイクルを提供する、先行請求項のいずれか一項に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項14】
前記エネルギー処理システム(1)が、
-その中に第2のバルーンが吊るされた第2の容器を含む少なくとも第2の熱交換ユニット(710b、1210b、1310b)であって、前記第2のバルーンが、その中に第1のサブ容積、及び前記第2のバルーン外部の前記第2の容器内に区画を画定する、少なくとも第2の熱交換ユニット(710b、1210b、1310b)と、
-第2の補助バルーン流体リザーバ(730b)と、
-前記第2の補助バルーン流体リザーバ(730b)への及び前記第2の補助バルーン流体リザーバ(730b)からの前記第2の補助バルーン流体の流れを選択的に制御するための第2の油圧ポンプ/モータユニット(720b、1220b、1320b)と、を更に備え、
前記第1の熱交換ユニット(710a、1210a、1310a)及び前記少なくとも第2の熱交換ユニット(710b、1210b、1310b)が、前記第1の熱交換ユニット(710a、1210a、1310a)が前記第2の熱交換ユニット(710b、1210b、1310b)に流体接続されて、それらの間の流体の流れを、前記第1の油圧ポンプ/モータユニット(720a、1220a、1320a)及び前記第2の油圧ポンプ/モータユニット(720b、1220b、1320b)の制御下で可能にするように、構成されている、請求項13に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項15】
前記システムが、前記流体接続を提供する前記流体に対して、前記第1の熱交換ユニット及び前記第2の熱交換ユニットにおいて同時に、キリアニック(Kilianic)条件と称される異なる熱力学的条件を誘導するように構成されている、請求項14に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項16】
前記エネルギー処理システム(1)が、前記エネルギー処理システム(1)の連続動作を誘導するように構成及び制御された、互いに選択的に連結されている更なる数の熱交換ユニットを備える、先行請求項のいずれか一項に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項17】
前記エネルギー処理システム(1)が、
-コンプレッサか、又は、
-エキスパンダか、又は、
-家庭用ヒートポンプであって、前記コントローラ(2、640、740)が、0℃~85℃の間の温度範囲で動作するように構成されている、家庭用ヒートポンプか、又は、
-工業用ヒートポンプであって、前記コントローラ(2、640、740)が、40℃~200℃の間の温度範囲で動作するように構成されている、工業用ヒートポンプか、又は、
-ヒートエンジンか、又は、
-流体から流体成分を分離するためのシステムか、
-液化システムか、又は、
-エネルギー備蓄システム、のうちの1つとして構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のエネルギー処理システム(1)。
【請求項18】
機械的エネルギーを生成する方法であって、前記方法が、ヒートエンジンとして、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステムを動作させるために、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットを制御することを含む、方法。
【請求項19】
熱を生成する方法であって、前記方法が、ヒートポンプとして、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステムを動作させるために、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニット(720a、1220a、1320a)を制御することを含む、方法。
【請求項20】
前記方法が、生成された前記熱を複数の異なる家庭に分配することを含む、請求項19に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー処理の分野に関する。より具体的には、本発明は、例えば、エネルギーを貯蔵、変換、又は伝達するなどエネルギーを処理し、それによって高効率かつ低損失でエネルギー処理を実施する、エネルギー処理のためのシステム、方法、及びアプリケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーの消費並びに環境に配慮した様式でのエネルギーの生成に対する需要は、過去数十年にわたって増加しており、また、とりわけ地球温暖化に起因して今後数年間で更に増加すると予想される。したがって、効率的な様式で及び/又は低コストでエネルギー処理を実施することが最も重要である。
【0003】
エネルギー処理は、流体などの材料の膨張及び/又は圧縮、材料への相転移の導入、材料の貯蔵、ある形態から別の形態へのエネルギー変換(例えば、熱エネルギーを機械的エネルギーに変換すること、又はその逆など)、エネルギー伝達などの多くの動作のうちの1つ以上を含み得る。
【0004】
過去数十年にわたり、多くのエネルギーの処理システム、貯蔵システム、及び変換システムが開発されてきたが、効率的なエネルギー処理システムに対する探求が依然として存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、エネルギーを処理する、例えば、エネルギーを貯蔵、伝達、又は変換するための良好なシステム及び方法を提供することである。本発明の実施形態の利点は、エネルギーを処理するための効率的なシステム及び方法が提供されることである。
【0006】
上記の目的は、本発明による方法及び装置によって達成される。
【0007】
一態様では、本発明は、エネルギーを変換、貯蔵、又は伝達するためのエネルギー処理システムに関する。エネルギー処理システムは、第1の物質と第2の物質との間で熱を交換するための熱交換ユニットを備える。熱交換ユニットは、第1の内側区画及び第2の外側区画を含む。第1の内側区画及び第2の外側区画は、互いに隣接して配置され、かつ熱交換面によって分離されている。熱交換ユニットはまた、第1の内側区画内に、バルーンの外面と熱交換面との間に密閉された容積を形成するように、第1の内側区画に取り付けられたバルーンを含む。密閉された容積は、第1の物質で充填されており、バルーンは、バルーン流体で充填されるように構成されている。第2の外側区画は、第2の物質で充填されている。
【0008】
第1の物質及び第2の物質と接触している熱交換面の面積は、熱交換プロセス中に実質的に同じままである。本発明の実施形態の利点は、エネルギー処理システムが、熱交換プロセス中に実質的に同じ熱交換面積を提供するユニットである、HBVIユニット(油圧バルーン容器界面)と称され得るユニットに基づいていることである。この特有の特徴は、エネルギー変換システムを高効率、すなわち高収率で実施することができるという事実をもたらす。例えば、本発明の実施形態によるシステムの利点は、HBVIユニットが互いに接触している表面に実質的に煩わされないため、摩擦に起因する損失がほとんど生じないか又は全く生じないことである。更に、摩擦がないため、バルーンの摩耗が低減及び/又は回避され得る。第1の内側区画は、容器とも称される。本発明の実施形態では、熱交換プロセス中に熱交換面の表面積が実質的に同じであると言及されている場合、これは、システムにおける熱交換の時間の少なくとも90%の間(例えば、95%の間又は98%の間)に、第1の物質及び第2の物質と接触している熱交換面の表面積が10%未満変化する(例えば、5%未満、例えば2%未満変化する)ことを意味する。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、熱交換面で熱交換を誘導するために、バルーン内のバルーン流体の容積又は第2の外側区画内の第2の物質の容積うちの1つを制御するためのコントローラを更に備えてもよい。
【0010】
コントローラは、熱交換プロセスの少なくとも50%の間、有利には熱交換プロセスの少なくとも60%、又は熱交換プロセスの少なくとも75%、又は熱交換プロセスの少なくとも90%の間、実質的に等エントロピー条件、等圧条件、等温条件、及び/又はポリトロープ条件下で熱交換プロセスが行われるように制御するようにプログラムされ得る。本発明の少なくともいくつかの実施形態の利点は、その下で熱交換プロセスが行われ得る条件を完全に制御することができ、その結果、実質的に等温プロセス、実質的に等エントロピープロセス、実質的に等圧プロセス、ポリトローププロセス、又はそれらの組み合わせを選択し、かつ完全に制御することができることである。
【0011】
コントローラは、実質的に同じ温度、すなわち等温下でエネルギー交換プロセスが行われるように制御するようにプログラムされ得る。1つの特定の実施例では、例えば、実質的に一定の温度でのバルーンと容器との間の流体の動作を得ることができ、これにより、有利には、特に効率的なエネルギー変換、例えば、熱交換がもたらされ得る。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、バルーンは、密閉された容積を形成するが、熱交換プロセス中に第1の内側区画の壁に更に接触しないように、第1の内側区画内の2つの位置で固定され得る。本発明の実施形態の利点は、低損失でエネルギー貯蔵及び/又はエネルギー変換を実施することができることである。例えば、システムが移動ピストンに基づいていないことは、後者は摩擦損失をもたらし、エネルギー交換面の一定の面積をもたらさないため、有利である。
【0013】
本発明の実施形態の利点は、本明細書に記載されるコンプレッサ用途において示されるように構成されている容器ユニットにおけるバルーンの使用によって、システム内のデッドスペースの量がゼロに近づき、システムのほぼ全容積がエネルギー変換のために使用される、効率的なエネルギー変換をもたらすことである。
【0014】
バルーンは、バルーンが充填されるときに、2つの固定点を除いて第1の内側区画に接触することなく、バルーンの形状が第1の内側区画の容積の大部分を占めるように予め成形されてもよい。
【0015】
バルーンは、予め張力をかけられた状態で固定されていてもよい。本発明の実施形態の利点は、バルーンを予め張力をかけられた状態で固定することによって、バルーンにバルーン流体を充填するときにも、バルーンと容器との間に接触が存在しないか、又はより少ない接触が存在することが確保され、それ故に、熱交換プロセス中に熱交換面の面積を実質的に一定とし、かつ一定のままとすることが可能になることである。
【0016】
少なくともいくつかの実施形態によれば、熱交換プロセスは、1~700barの範囲、例えば、200~700barの範囲、例えば、200~400barの範囲の圧力で行われるように制御され得る。本発明の実施形態の利点は、熱交換プロセスが制御される圧力が、特に効率的なシステムが得られるように選択され得ることである。本発明の実施形態の利点は、熱交換プロセスが制御される圧力が、システムがコンパクトなサイズを維持することができ、これにより典型的にはコスト削減がもたらされるように選択され得ることである。
【0017】
熱交換プロセスは、バルーンの最大容積交換が、1.5~2.5倍の範囲、例えば、1.75~2.25倍の範囲で行われるように制御され得る。バルーンは、破損することなく、その容積の少なくとも250%、例えば、その容積の少なくとも300%、例えば、その容積の少なくとも350%、例えば、その容積の少なくとも400%に向かって拡張することを可能にする材料で作製され得る。
【0018】
第2の外側区画は、隔離チューブによって外界から隔離され得る。隔離チューブは、第2の外側区画の周りに追加の空洞を提供する隔離チューブであってもよく、それによって追加の空洞は、真空下にあるか、又は例えば、隔離流体で充填され得る。
【0019】
より良好な熱処理を有するために、例えば、アルキメディアン・スクリューを使用して、区画のうちの1つ以上内に例えば乱気流を作り出してもよい。後者は熱の混合をもたらす。
【0020】
熱交換面は、耐圧材料で作製されてもよい。熱交換面は、例えば、アルミニウム又は鋼のような金属、例えば炭素系複合材料などの複合材料などの任意のタイプの材料で作製されてもよい。材料の選択は、処理が実施されることになる温度に依存し得る。本発明の実施形態は、それらが熱交換プロセスを実施するために使用される圧力及び温度に耐性である限り、選択される材料によって限定されない。
【0021】
バルーン流体は、油であってもよい。第1の物質は、いくつかの実施形態では、液体、例えば、水であり得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の物質は、超臨界ガスであり得る。
【0023】
第2の物質は、液体であり得る。第2の物質は、冷たい液体であっても暖かい液体であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の物質は、気体であり得る。熱交換ユニットは、実質的に円筒形状であってもよく、第1の内側区画及び第2の外側区画は、実質的に同心円の区画として構成されてもよい。区画は、実質的に円筒形状であってもよい。代替的に、区画はまた、例えば液滴形状などの任意の他の好適な形状を有してもよい。
【0024】
システムは、バルーン内のバルーン流体の容積を制御するためのポンプユニットを備えてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、熱交換ユニットは、システムがコンプレッサとして動作することを可能にするように構成され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、熱交換ユニットは、システムがエキスパンダとして動作することを可能にするように構成されてもよい。
【0027】
本発明の実施形態によれば、エネルギー処理システムにおいて、熱交換ユニットは、第1の熱交換ユニットであってもよく、バルーンは、第1のバルーンであってもよく、バルーン流体は、第1のバルーン流体であってもよく、エネルギー処理システムは、少なくとも第1の補助バルーン流体リザーバと、第1のバルーンからの及び/又は第1のバルーンへの、第1の補助バルーン流体リザーバへの及び/又は第1の補助バルーン流体リザーバからの、第1のバルーン流体の流れを選択的に制御するための、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットと、を更に備え得る。コントローラは、少なくとも第1の熱交換ユニットにおける異なる膨張及び/又は圧縮のサイクルを誘導するように、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットを制御することによって、少なくとも第1のHBVIにおける熱力学的プロセスを制御するように構成されてもよく、したがって、システムは、エネルギーの変換、貯蔵、又は伝達などのエネルギー処理を制御するように、後続の膨張及び/又は圧縮サイクルを提供する。
【0028】
エネルギー処理システムは、
その中に第2のバルーンが吊るされた第2の容器を含む少なくとも第2の熱交換ユニットであって、第2のバルーンが、その中に第1のサブ容積、及び第2のバルーン外部の第2の容器内に区画を画定する、少なくとも第2の熱交換ユニットと、
第2の補助バルーン流体リザーバと、
第2の補助バルーン流体リザーバへの及び第2の補助バルーン流体リザーバからの第2の補助バルーン流体の流れを選択的に制御するための第2の油圧ポンプ/モータユニットと、を更に備え、
第1の熱交換ユニット及び少なくとも第2の熱交換ユニットは、第1の熱交換ユニットが第2の熱交換ユニットに流体接続されて、それらの間の流体の流れを、第1の油圧ポンプ/モータユニット及び第2の油圧ポンプ/モータユニットの制御下で可能にするように構成され得る。
【0029】
システムは、流体接続を提供する流体に対して、第1の熱交換ユニット及び第2の熱交換ユニットにおいて同時に、キリアニック(Kilianic)条件と称される異なる熱力学的条件を誘導するように構成され得る。
【0030】
エネルギー処理システムは、エネルギー処理システムの連続動作を誘導するように構成及び制御された、互いに選択的に連結されている更なる数の熱交換ユニットを備え得る。
【0031】
エネルギー処理システムは、
コンプレッサか、又は、
エキスパンダか、又は、
家庭用ヒートポンプであって、コントローラが、0℃~85℃の間の温度範囲で動作するように構成されている、家庭用ヒートポンプか、又は、
工業用ヒートポンプであって、コントローラが、40℃~200℃の間の温度範囲で動作するように構成されている、工業用ヒートポンプか、又は、
ヒートエンジンか、又は、
流体から流体成分を分離するためのシステムか、
液化システムか、又は、
エネルギー備蓄システム、のうちの1つ又はいくつかの組み合わせとして構成されてもよい。
【0032】
本発明において、熱交換ユニットに言及する場合、HBVIユニットに言及され得る。
【0033】
一態様では、本発明はまた、エネルギーを処理する方法であって、第1の態様で説明されるように、エネルギー処理システムを使用してエネルギー交換プロセスを誘導することを含む方法に関する。
【0034】
一態様では、本発明はまた、機械的エネルギーを生成する方法であって、ヒートエンジンとして、上述するシステムを動作させるために、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットを制御することを含む方法に関する。
【0035】
一態様では、本発明はまた、熱を生成する方法であって、ヒートポンプとして、上述するシステムを動作させるために、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットを制御することを含む方法に関する。方法は、生成された熱を複数の異なる家庭に分配することを含み得る。
【0036】
また別の態様では、本発明は、エネルギーを変換、貯蔵、又は伝達するためのエネルギー処理システムに関し、エネルギー処理システムは、
その中にバルーンが吊るされた容器を含む少なくとも第1のHBVIユニットであって、バルーンが、その中に第1のサブ容積、及びバルーン外部の容器内に区画を画定する、少なくとも第1のHBVIユニットと、
少なくとも第1の補助流体リザーバと、
第1の補助流体リザーバへの及び/又は第1の補助流体リザーバからの第1の補助流体の流れを選択的に制御するための少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットと、を備え、
エネルギー処理システムは、少なくとも第1の熱交換ユニットにおける異なる膨張及び/又は圧縮のサイクルを誘導するように、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットを制御することによって、少なくとも第1のHBVIにおける熱力学的プロセスを制御するように構成され、したがって、システムが、エネルギーの変換、貯蔵、又は伝達などのエネルギー処理を制御するように、後続の膨張及び/又は圧縮のサイクルを提供する、コントローラを更に備える。
【0037】
本発明の実施形態の利点は、1つ以上のHBVIユニットに基づいて効率的かつコスト効果の高いエネルギー処理システムを得ることができることである。
【0038】
コントローラは、ヒートポンプとしてシステムを動作させるように、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットを制御するように構成され得る。本発明の実施形態の利点は、1つ以上のHBVIユニットに基づいてヒートポンプを得ることができ、効率的なヒートポンプシステムをもたらすことである。
【0039】
コントローラは、当該変換、貯蔵、又は伝達を、少なくとも部分的に、等エントロピー条件、ポリトロープ条件、又は等温条件下で実施するように、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットを制御するように構成され得る。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、エネルギー処理システムは、
その中にバルーンが吊るされた容器を含む少なくとも第2のHBVIユニットであって、バルーンが、その中に第1のサブ容積、及びバルーン外部の容器内に区画を画定する、少なくとも第2のHBVIユニットと、
第2の補助流体リザーバと、
第2の補助流体リザーバへの及び第2の補助流体リザーバからの第2の補助流体の流れを選択的に制御するための第2の油圧ポンプ/モータユニットと、を更に備え、
少なくとも第1のHBVIユニット及び少なくとも第2のHBVIユニットは、第1のHBVIユニットの容器の区画が第2のHBVIユニットの容器の区画に流体接続されて、HBVIの区画の間の第3の流体の流れを、第1の油圧ポンプ/モータユニット及び/又は第2の油圧ポンプ/モータユニットの制御下で可能にするように更に構成され得る。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、コントローラは、当該変換、貯蔵、又は伝達を、少なくともキリアニック条件下で実施するように、第1の油圧ポンプ/モータユニット及び第2の油圧ポンプ/モータユニットを制御するように構成され得る。キリアニック条件又はキリアニックプロセスは、工程が、少なくとも2つの相互接続されたHBVIユニット間の流体接続内に存在する流体に対して、異なるHBVIユニットにおいて異なる熱力学的条件下で実施される、一組の条件又はプロセスとして定義され得る。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、コントローラは、以下の:
-第1のHBVIユニットの区画内の第3の流体を圧縮し、したがって、例えば第3の流体の加熱などのエネルギー交換を誘導し、第1のHBVIユニットの区画内の圧力を第1の所定の圧力まで増大させる工程、
-第1の油圧ポンプ/モータユニットをポンプユニットとして駆動し、第2の油圧ポンプ/モータユニットをモータユニットとして駆動することによって、第3の流体を第1のHBVIユニットの区画から第2のHBVIユニットの区画へと移す工程、
-第3の流体が第2の所定の温度に及び第2の所定の圧力に達するまで、第3の流体が第2のHBVIユニットの区画内で膨張することを可能にする工程、及び、
-第2の油圧ポンプ/モータユニットをポンプユニットとして駆動し、第1の油圧ポンプ/モータユニットをモータユニットとして駆動することによって、第3の流体を第2のHBVIユニットの区画から第1のHBVIユニットの区画へと移す工程、を繰り返し実施する(したがって、キリアニックプロセスと称される)ように構成されてもよい。
【0043】
本発明の実施形態の利点は、第1及び第2の油圧ポンプ/モータユニットを正確に制御することによって、HBVIユニットで行われるプロセスを、HBVIユニットの選択された動作を得るために調整できることである。
【0044】
当該圧縮は、第1の油圧ポンプ/モータユニットをポンプユニットとして駆動し、第2の油圧ポンプ/モータユニットを遮断することによって、第1のHBVIユニットの区画内の第3の流体を圧縮し、したがって、第3の流体を第1の所定の温度に加熱することと、
第1のHBVIユニットの区画内の第3の流体を更に圧縮し、したがって、第1の油圧ポンプ/モータユニットをポンプユニットとして駆動し、第2の油圧ポンプ/モータユニットを遮断することによって、第1のHBVIユニットの区画内で圧力を第1の所定の圧力まで増大させることと、を含み得る。
【0045】
本発明の実施形態の利点は、特定の温度条件及び圧力条件を、効率的なプロセスを誘導するためにシステムで使用されるHBVIにおいて維持することができることである。
【0046】
第3の流体が膨張することを可能にすることは、第2の油圧ポンプ/モータユニットをモータユニットとして駆動し、第1の油圧ポンプ/モータユニットを遮断することによって、第3の流体が第2の所定の温度に達するまで、第3の流体が第2のHBVIユニットの区画内で膨張することを可能にすることと、
第2の油圧ポンプ/モータユニットをモータユニットとして駆動し、第1の油圧ポンプ/モータユニットを遮断することによって、第3の流体が第2のHBVIユニットの区画内で第2の所定の圧力まで更に膨張することを可能にすることと、を含み得る。
【0047】
第3の流体が更に膨張することを可能にすることは、第3の流体が等温で更に膨張することを可能にすることを含み得る。
【0048】
エネルギー処理システムは、家庭用ヒートポンプとして構成されてもよく、コントローラは、下限と上限との間の温度範囲で動作するように構成されている。下限は、例えば、-10℃~+10℃の間、例えば、-30℃~+20℃、又は更に-30℃~+35℃の間であってもよい。上限は、例えば、40℃~90℃の間、例えば、50℃~85℃の間であってもよい。この温度範囲で動作することは、熱が捕捉される温度(ソース温度)及び熱が送達される温度の両方がこの範囲内となることを意味する。
【0049】
エネルギー処理システムは、工業用ヒートポンプとして構成されてもよく、コントローラは、40℃~250℃の間、例えば、40℃~200℃の間の温度範囲で動作するように構成されている。
【0050】
少なくとも第1及び第2の油圧ポンプ/モータユニットは、閉ループ油圧システムであり得る。
【0051】
ヒートポンプは、第1のHBVI及び第2のHBVIに結合され、第1及び第2のHBVIと同様の動作を遅延して実施するように制御される、第3~第8のHBVIを更に備えてもよく、得られる生成された熱は、実質的に連続的な熱流である。
【0052】
コントローラは、ヒートエンジンとしてシステムを動作させるように、第1の油圧ポンプ/モータユニット及び第2の油圧ポンプ/モータユニットを制御するように構成され得る。
【0053】
コントローラは、以下:
第2のHBVIユニットの区画内の第3の流体を圧縮し、それによって第2の油圧ポンプ/モータユニットを使用して、第2のHBVIユニットの区画内の圧力を第1の所定の圧力まで増大させる、圧縮することと、
第2の油圧ポンプ/モータユニットをポンプユニットとして駆動し、第1の油圧ポンプ/モータユニットをモータユニットとして駆動することによって、第3の流体を第2のHBVIユニットの区画から第1のHBVIユニットの区画へと移すことと、
第3の流体が第2の所定の圧力に達するまで、第3の流体が第1のHBVIユニットの区画内で膨張することを可能にすることと、
第1の油圧ポンプ/モータユニットをポンプユニットとして駆動し、第2の油圧ポンプ/モータユニットをモータユニットとして駆動することによって、第3の流体を第1のHBVIユニットの区画から第2のHBVIユニットの区画へと移すことと、を繰り返し実施するように構成されてもよい。
【0054】
本発明の実施形態の利点は、第1及び第2の油圧ポンプ/モータユニットを正確に制御することによって、HBVIユニットで行われるプロセスを、HBVIユニットの選択された動作を得るために調整できることである。
【0055】
システムは、第1の交換ユニット及び第2の交換ユニットにおける流体に対して同時に、キリアニック条件と称される異なる熱力学的条件を誘導するように構成され得る。
【0056】
プロセスの少なくとも一部は、等エントロピー条件、ポリトロープ条件、又はキリアニック条件下で実施され得る。本発明の実施形態によれば、特定の温度条件及び圧力条件は、効率的なプロセスを誘導するためにシステムで使用されるHBVIにおいて維持することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、当該膨張は、等温膨張であり得る。
【0058】
エネルギー処理システムは、
コンプレッサか、又は、
エキスパンダか、又は、
家庭用ヒートポンプであって、コントローラが、0℃~85℃の間の温度範囲で動作するように構成されている、家庭用ヒートポンプか、又は、
工業用ヒートポンプであって、コントローラが、40℃~200℃の間の温度範囲で動作するように構成されている、工業用ヒートポンプか、又は、
ヒートエンジンか、又は、
流体から流体成分を分離するためのシステムか、
液化システムか、又は、
エネルギー備蓄システム、のうちの1つ又はいくつかの組み合わせとして構成されてもよい。
【0059】
エネルギー処理システムは、エネルギー処理システムの連続動作を誘導するように構成及び制御された、互いに選択的に連結されている更なる数の熱交換ユニットを備え得る。
【0060】
一態様では、本発明はまた、上述するシステムを使用して生成されるエネルギーに関する。エネルギーは、熱であり得る。エネルギーは、機械的エネルギー又は化学的エネルギーのうちのいずれかであり得る。
【0061】
別の態様では、本発明はまた、機械的エネルギーを生成する方法であって、ヒートエンジンとして、上述するシステムを動作させるために、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットを制御することを含む、方法に関する。
【0062】
更に別の態様では、本発明はまた、熱を生成する方法であって、ヒートポンプとして、上述するシステムを動作させるために、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットを制御することを含む、方法に関する。
【0063】
方法は、生成された熱を複数の異なる家庭に分配することを含み得る。
【0064】
この分野におけるデバイスの絶え間ない改善、変化及び進化があったが、本発明の概念は、従来の慣行からの逸脱を含む実質的な新しい新規の改善を表し、その結果、この性質のより効率的で(よりコスト効果が高いことを含む)安定した、かつ信頼性の高いデバイスの提供をもたらすと考えられる。
【0065】
本発明の上記及び他の特徴、特色、並びに利点は、例として、本発明の原理を例解する添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。この説明は、本発明の範囲を限定することなく、例示のためにのみ与えられる。以下に引用する参考図は、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本発明の実施形態によるエネルギー処理システムの概略表現である。
図2】本発明の実施形態によるエネルギー処理システムで使用することができる油圧バルーン-容器界面システムの一例である。
図3】本発明の実施形態による、異なる油圧バルーン-容器界面システムの断面図を例解する。
図4】本発明の実施形態による、予め張力をかけられた状態で容器内にバルーンを接続するための異なる方法を例解する。
図5】その下で本発明の実施形態によるエネルギー処理システムを動作させることでポリトローププロセス(左側)、等圧プロセス(中央画像)、及び等温プロセス(右側)をもたらす、条件を例解する。
図6】本発明の実施形態による、単一のHBVIに基づくエネルギー処理システムの概略図を例解する。
図7】本発明の実施形態による、2つのHBVIに基づくエネルギー処理システムの概略図を例解する。
図8】本発明の実施形態による、4つのHBVIに基づくエネルギー処理システムの概略図を例解する。
図9】本発明の実施形態による、8つのHBVIに基づくエネルギー処理システムの概略図を例解する。
図10】本発明の実施形態において流体/流体界面がどのように使用され得るかを例解する。
図11】本発明の実施形態による、HBVIを使用してシステムがコンプレッサとして機能するためにどのように使用され得るかを例解する。
図12】本発明の実施形態による、HBVIを使用してシステムがエキスパンダとして機能するためにどのように使用され得るかを例解する。
図13】本発明の一実施形態による、組み合わせられたコンプレッサ/エキスパンダを例解する。
図14】本発明の一実施形態による液化システムを例解する。
図15】本発明の一実施形態による気化システムを例解する。
図16】本発明の一実施形態による、エネルギー処理システムを例解する。
【0067】
異なる図面では、同じ参照符号は、同じか又は類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明は、特定の実施形態に関して、特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれらに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明されている図面は、概略的にすぎず、非限定的である。図面において、要素のいくつかのサイズは、例解目的のために誇張され、縮尺通りに描画されない場合がある。寸法及び相対寸法は、必ずしも本発明の実施に対する実際の縮小に対応するとは限らない。
【0069】
更に、本明細書及び特許請求の範囲における第1の、第2の、第3のなどの用語は、同様の要素を区別するために使用され、必ずしも一時的、空間的、順位付け又は任意の他の様式のいずれかで順序を説明するために使用されるとは限らない。そのように使用されるそれらの用語は、適切な状況下で交換可能であり、また本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は例解される以外の順序で動作可能であることを理解されたい。
【0070】
更に、本明細書及び特許請求の範囲における上、下、上方、下方などの用語は、説明目的のために使用されており、必ずしも相対的位置を説明するために使用されているわけではない。そのように使用されるそれらの用語は、適切な状況下で交換可能であり、また本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は例解される以外の動作で動作可能であることを理解されたい。
【0071】
特許請求の範囲で使用される「備える」という用語は、その後に列挙される手段に限定されるものとして解釈されるべきではなく、他の要素又は工程を除外しないことに留意されたい。したがって、言及されるような記載された特色、要素、工程又は構成要素の存在を特定するものとして解釈されるべきであるが、1つ以上の他の特色、要素、工程若しくは構成要素、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。したがって、「備える」という用語は、記載された特色のみが存在する状況、及びこれらの特色及び1つ以上の他の特色が存在する状況を包含する。したがって、本発明による「備える」という単語は、一実施形態として、更なる構成要素が存在しないことも含む。したがって、「手段A及びBを含むデバイス」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみからなるデバイスに限定されるものと解釈されるべきではない。これは、本発明に関して、デバイスの唯一の関連する構成要素がA及びBであることを意味する。
【0072】
同様に、特許請求の範囲内でも使用される「結合された」という用語は、直接接続のみに限定されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。「結合された」及び「接続された」という用語は、それらの派生語とともに使用され得る。これらの用語は、互いの同義語として意図されていないことを理解されたい。したがって、「デバイスBに結合されたデバイスA」という表現の範囲は、デバイスAの出力がデバイスBの入力に直接接続されるデバイス又はシステムに限定されるべきではない。これは、Aの出力と、他のデバイス又は手段を含む経路であり得るBの入力との間に経路が存在することを意味する。「結合された」とは、2つ以上の要素が直接物理的又は電気的に接触しているか、又は2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、依然として互いに協働又は相互作用していることを意味し得る。
【0073】
本明細書全体を通じて、「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特色、構造、又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通した様々な場所での「一実施形態では(in one embodiment)」又は「実施形態では(in an embodiment)」という語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を指すとは限らないが、そうである場合もある。更に、特定の特色、構造、又は特徴は、1つ以上の実施形態において、本開示から当業者には明らかなように、任意の好適な様式で組み合わされてもよい。
【0074】
同様に、本発明の例示的な実施形態の説明では、本開示を簡素化し、様々な発明態様のうちの1つ以上の理解を支援するために、本発明の様々な特色が、単一の実施形態、図、又はそれらの説明にまとめられることもあることを理解されたい。しかしながら、開示のこの方法は、特許請求される発明が、各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特色を必要とする意図を反映するものとして解釈されるものではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、単一の前述の開示の実施形態の全ての特色よりも少ない範囲にある。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲は本明細書の詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は、本発明の別個の実施形態として独立している。
【0075】
更に、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特色を含むが他の特色は含まないが、異なる実施形態の特色の組み合わせは、当業者によって理解されるように、本発明の範囲内にあることを意味し、異なる実施形態を形成する。例えば、以下の特許請求において、請求項に記載の実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0076】
更に、実施形態のいくつかは、コンピュータシステムのプロセッサによって、又は機能を実行する他の手段によって実装され得る方法又は方法の要素の組み合わせとして本明細書に記載される。したがって、そのような方法又は方法の要素を実行するために必要な命令を有するプロセッサは、方法又は方法の要素を実行するための手段を形成する。更に、本明細書に記載される装置実施形態の要素は、本発明を実行する目的で要素によって実施される機能を実行するための手段の一例である。
【0077】
本明細書で提供される説明では、多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることが理解される。他の例では、周知の方法、構造、及び技法は、本明細書の理解を曖昧にしないために詳細には示されていない。
【0078】
ここで、本発明を、本発明のいくつかの実施形態の詳細な説明によって説明する。本発明の他の実施形態は、本発明の技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成することができ、本発明は添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されることは明らかである。
【0079】
第1の態様では、本発明は、エネルギー処理システムに関する。そのようなエネルギー処理システムは、エネルギーを変換し、エネルギーを貯蔵し、エネルギーを伝達するために適合されたシステムであり得る。本発明の実施形態によるエネルギー処理システムは、第1の物質と第2の物質との間で熱を交換するための少なくとも1つの熱交換ユニットを備える。エネルギー処理システムは、2つ以上の熱交換ユニットを備え得ることに留意されたい。エネルギー処理システムは、流体の膨張又は圧縮を実施することに基づいてもよく、又は、例えば熱エネルギー、電気エネルギー、機械的エネルギー等などの異なるタイプのエネルギー間の変換の可能性をもたらす、複数の動作を実施し得る。本発明の実施形態によれば、熱交換ユニットは、第1の内側区画及び第2の外側区画を含む。第1の内側区画及び第2の外側区画は、互いに隣接して配置され、かつ熱交換面によって分離されている。熱交換ユニットはまた、第1の内側区画内に、バルーンの外面と熱交換面との間に密閉された容積を形成するように、第1の内側区画に取り付けられたバルーンを含む。密閉された容積は、第1の物質で充填されており、バルーンは、バルーン流体で充填されるように構成されている。第2の外側区画は、第2の物質で充填されている。本発明の実施形態によれば、第1の物質及び第2の物質と接触している熱交換面の面積は、熱交換プロセス中に実質的に同じままである。
【0080】
例示として、実施形態はそれに限定されないが、本発明の例示的な実施形態は、図1及び図2を参照して更に考察される。
【0081】
図1は、例示的なエネルギー処理システム1の概略表現を例解する。エネルギー処理システム1は、HBVIユニット(油圧バルーン容器界面)と称され得る、1つ以上の熱交換ユニット100に基づいている。1つ以上のエネルギー交換ユニット100、例えば、熱交換ユニットは、エネルギー処理動作で使用される流体の圧縮及び/又は膨張を実施するために使用されてもよい。エネルギー交換ユニット100では、典型的には熱が交換されるので、以下の実施例及び説明でも、熱交換ユニットについて言及され得るが、本発明は熱交換に限定されず、他のタイプのエネルギーも想定され得ることに留意されたい。1つ以上の熱交換ユニット100は、コントローラ2によって制御されてもよい。そのようなコントローラは、任意の好適なプロセッサを含み得る。いくつかの実施形態では、そのようなコントローラは、熱交換ユニット100の熱交換面でエネルギー交換、例えば熱交換を誘導するために、1つ以上の熱交換ユニット内の流体を制御するように構成され得る。コントローラ2は、熱交換プロセスの少なくとも50%の間、有利にはエネルギー交換プロセスの少なくとも60%、又はエネルギー交換プロセスの少なくとも75%、又はエネルギー交換プロセスの少なくとも90%の間、実質的に等エントロピー条件、等圧条件、等温条件、及び/又はポリトロープ条件下で熱交換プロセスが行われるように制御するようにプログラムされ得る。本発明の少なくともいくつかの実施形態の利点は、その下でエネルギー交換プロセスを行い得る条件を完全に制御することができ、その結果、実質的に等温プロセス、実質的に等エントロピープロセス、実質的に等圧プロセス、ポリトローププロセス、又はそれらの組み合わせを選択し、かつ完全に制御することができることである。一実施形態では、コントローラ2は、実質的に同じ温度下で熱交換プロセスが行われるように制御するようにプログラムされ得る。1つの特定の実施例では、例えば、実質的に一定の温度での動作を得ることができ、これは、有利には、特に効率的なエネルギー交換をもたらし得る。少なくとも1つのエネルギー交換ユニット100内の流体を制御するために、エネルギー処理システム1は、1つ以上のポンプシステム3を備えてもよい。本発明の実施形態によるシステムでは、特定の温度条件及び圧力条件は、効率的なプロセスを誘導するためにシステムで使用されるHBVIにおいて維持することができることに留意されたい。
【0082】
図2は、本発明の実施形態で使用することができるエネルギー交換ユニットを例解する。エネルギー交換ユニット100は、第1の物質110と第2の物質120との間で熱を交換することを可能にする。第1の物質は、いくつかの実施形態では、液体、例えば、水であり得る。いくつかの実施形態では、第1の物質は、超臨界ガスであり得る。更に、任意の種類の汚染を回避するために、追加の界面液体を使用してもよい。後者は、図10に更に説明される。熱交換ユニット100は、第1の内側区画130及び第2の外側区画140を含む。第1の内側区画130及び第2の外側区画140は、互いに隣接して配置され、かつ熱交換面150によって分離されている。第1の内側区画130の外面に対応する熱交換面150は、容器の外面によって画定されている。第1の内側区画130内に高圧が誘導され得るため、第1の内側区画130の外面、すなわち熱交換面150は、典型的には耐圧材料で作製されてもよい。そのような材料は、例えば、アルミニウム、鉄又は鋼のような金属、例えば炭素系複合材料、金属複合材などの任意のタイプの材料であってもよい。材料の選択はまた、処理が実施されることになる温度に依存し得る。本発明の実施形態は、それらが熱交換プロセスを実施するために使用される圧力及び温度に耐性である限り、選択される材料によって限定されない。
【0083】
容器は、実質的に円筒形状であってもよく、第1の内側区画及び第2の外側区画は、実質的に同心円の区画として構成されてもよい。区画は、実質的に円筒形状であってもよい。代替的に、区画はまた、例えば液滴形状などの任意の他の好適な形状を有してもよい。第2の外側区画は、第1の内側区画とコンフォーマルに形成されてもよい。いくつかの実施形態では、区画はまた、他の形状を有してもよい。図3は、例示として、また実施形態がそれに限定されない、使用することができる容器の断面の2つの実施例を例解し、第1の実施例は、円筒形状の容器のものであり、第2の実施例は、より大きな熱交換面積を有する代替的な形状の容器のものである。
【0084】
図2に示される例示的な実施形態によれば、バルーン160は、第1の内側区画130内に、バルーン160の外面と熱交換面150との間に密閉された容積170を形成するように、第1の内側区画130に取り付けられる。バルーン160は、温度範囲及び適用される流体に適合したゴム材料などの任意の好適な材料で作製されてもよい。材料は、システムで使用され得る温度の関数として選択され得る。有利には、バルーン160は、密閉された容積170を形成するが、熱交換プロセス中に第1の内側区画130の壁に更に接触しないように(又はできるだけそれらに接触しないように)、第1の内側区画130内の2つの位置で固定されている。バルーン160は、予め張力をかけられた状態で固定されていてもよい。例として、実施形態はそれに限定されないが、バルーンを容器に接続する4つの異なる方法が例解される。図4の実施例Aでは、バルーンは、リング形状の固定手段を介して容器に接続されている。図4の実施例Bでは、バルーンと容器との間のより大きな固定領域による接続が示されている。図4の実施例C及びDでは、容器のより広い部分への接続が得られる。図4の実施例C及びDでは、一方の側で容器形状に適合する接続要素が使用される。接続要素には、バルーン流体が容器の外側からバルーン内に導入されることを可能にする導入チューブが提供されている。
【0085】
バルーン160は、典型的には、バルーン流体180で充填され得る。バルーン流体180は、油であってもよいが、実施形態はそれに限定されない。バルーン流体180は、エネルギー処理システム内でバルーンに向かって、又はバルーン160から離れるようにポンピングされ得る。バルーンは、内側区画に対して、第1の物質110で充填された密閉された容積170を形成するように構成されている。いくつかの実施形態では、バルーンは、バルーン流体でポンピングすることによって拡張するときに、それが熱交換面と同様の形状で拡張するように、予め成形されてもよい。バルーンはまた、バルーン及びバルーン流体に作用する重力を補償するように、予め成形されてもよい。熱交換プロセスは、バルーン160の最大容積交換が、1.5~2.5倍、例えば、1.75~2.25倍の範囲で行われるように制御され得る。
【0086】
第2の外側区画140は、本発明による実施形態では、第2の物質120が充填されている。第2の物質は、液体であり得る。第2の物質120は、冷たい液体であっても暖かい液体であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の物質は、気体であり得る。いくつかの実施形態では、第2の外側区画140は、隔離チューブ190によって外界から隔離され得る。隔離チューブは、第2の外側区画の周りに追加の空洞を提供する隔離チューブであってもよく、それによって追加の空洞は、真空下にあるか、又は例えば、隔離流体で充填され得る。
【0087】
本発明の実施形態によれば、第1の物質110及び第2の物質120と接触している熱交換面150の面積は、熱交換プロセス中に実質的に同じままである。エネルギー交換プロセス中に実質的に同じ熱交換面積を提供することによって、エネルギー変換システムは、高効率で、すなわち、高収率で実施することができる。熱交換プロセス中に熱交換面の表面積が実質的に同じであると言及されている場合、これは、システムにおけるエネルギー交換の時間の少なくとも90%の間(例えば、95%の間又は98%の間)に、第1の物質及び第2の物質と接触している熱交換面の表面積が10%未満変化する(例えば、5%未満、例えば2%未満変化する)ことを意味する。
【0088】
上述するように、エネルギー処理システムは、コントローラを備えてもよく、熱交換ユニットは、熱交換面で熱交換プロセスを誘導するように制御されてもよい。熱交換プロセスは、200~700barの範囲、例えば、200~400barの範囲の圧力で行われるように制御され得る。更に上述するように、熱交換プロセスは、実質的に等温プロセス、実質的に等エントロピープロセス、実質的に等圧プロセス、ポリトローププロセス、又はそれらの組み合わせを動作させるように制御され得る。例示として、実施形態はそれに限定されないが、そのようなプロセスの実施例が図5に示される。図5の左側に示す実施例では、ポリトローププロセスが示されている。図5の中央部分には、圧力を実質的に一定に保つことができる等圧プロセスが示されている。更に、図5の右側には、温度を一定に保つことができる等温プロセスが示されている。上述のように、本発明の実施形態の利点は、特定の温度条件及び圧力条件を、効率的なプロセスを誘導するためにシステムで使用されるHBVIにおいて維持することができることである。
【0089】
一態様では、本発明は、第1の態様で説明されるように、少なくとも1つの油圧バルーン-容器界面(HBVI)ユニットを備える、エネルギーを変換、貯蔵、又は伝達するためのエネルギー処理システムに関し、その一例は、態様の実施形態がそれに限定されない図2に示される。エネルギー処理システムは、第1の補助流体を含有する少なくとも第1の補助流体リザーバと、第1の補助流体リザーバと第1のHBVIユニットのバルーンとの間の第1の補助流体の流れを選択的に制御するための少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットとを更に備える。エネルギー処理システムはまた、少なくとも第1のHBVIユニット内で膨張及び/又は圧縮を繰り返し誘導するように、少なくとも第1の油圧ポンプ/モータユニットを制御するためのコントローラを更に備える。したがって、システムは、エネルギーの変換、貯蔵、又は伝達などのエネルギー処理を制御するように、異なる膨張及び/又は圧縮のサイクルを提供し得る。エネルギー処理のための特定の用途とは別に、システムはまた、流体の熱力学的特性を評価するため、又は新しいタイプの流体の特徴を探索するために使用することができる。そのような異なるサイクルは、いくつかの実施形態では、単一のHBVIユニットで行われてもよく、それによって例えば、異なるサイクルは、後続のサイクルとして行われてもよく、又は他の実施形態では、後続で行われるサイクルとして互いに結合される複数のHBVIユニットで行われるか、又は少なくとも部分的に同時に行われ得る。本発明の実施形態の利点は、1つ以上のHBVIユニットに基づいて効率的なエネルギー処理システムを得ることができることである。いくつかの実施形態では、第1の補助流体は、第1の態様で言及されるように、バルーン流体に直接対応し得る。例えば、バルーン流体の小さな漏れが望ましくない、例えば危険な状況をもたらす他の実施形態では、第1の補助流体はまた、第2のHBVI内でバルーン流体として使用される更なる補助流体を制御するために使用され得、したがって、液体/液体界面又は流体/流体界面と称される。
【0090】
本発明の実施形態によれば、コントローラは、例えば、チップコントローラなどのマイクロコントローラとして、専用プロセッサとして、特定のコンピュータプログラム製品を介して駆動される汎用プロセッサ等に実装され得る。
【0091】
単一のHBVIユニットを有するシステムを使用することができるが、複数のHBVIユニットを有するシステムを実装することも可能であることに留意されたい。後者は、例えば、適切に制御される場合、システムの実質的に連続動作、例えば、ヒートエンジン又はヒートポンプとしての連続動作をもたらし得る。後者は、本明細書において以下で更に説明される。
【0092】
例示として、本発明の実施形態はこれに限定されない、いくつかの実施例を以下で更に説明する。
【0093】
第1の実施例は、単一のHBVIユニット610に基づいて動作するエネルギー処理システム1を示す、図6に示される。HBVIユニット610は、典型的には、循環ポンプ614を介して熱交換要素612に接続され得る。いくつかの実施形態では、HBVIユニット610の外側区画は、それ自体が熱交換要素として動作し得る。HBVIユニット610は更に、HBVIユニット610のバルーンの内側部分を流体リザーバ630と流体接続する油圧ポンプ/モータシステム620に接続される。コントローラ640を使用してポンプ/モータシステム610を制御することによって、HBVIユニット610のバルーンの充填を制御することができる。後者は、HBVIユニット610のHBVIユニット610の容器とバルーンとの間に画定された空間内の流体の膨張又は圧縮を誘導することを可能にする。コントローラ640を使用して、容器とバルーンとの間に画定された空間内の流体の膨張又は圧縮を制御することによって、膨張又は圧縮が行われる方法を制御することができる。プロセスは、エネルギー交換プロセスの少なくとも一部が実質的に等温、実質的に等エントロピー、実質的に等圧、ポリトロープ、又はそれらの組み合わせとして行われるように制御され得る。油圧ポンプ/モータシステム620は、典型的には、電気モータ/ジェネレータシステム650に接続されてもよい。そのようなモータ/ジェネレータシステム650は、電気非同期モータ/ジェネレータシステム、又はDCモータ/ジェネレータであり得る。油圧ポンプ/モータシステム620を制御するためにコントローラ640がどのように使用されるかに応じて、異なる動作がシステム内で誘導され得、システムは、例えば、ヒートポンプ又はヒートエンジンとして使用され得る。例えば、フィルタ、過剰圧力バルブ、安全弁などのバルブ、例えば温度センサ、圧力センサ、流量測定デバイス、電力測定デバイスなどのセンサ又は測定デバイスなどの更なる構成要素が、当業者によって理解されるように、適切な場合にシステム内に実装され得ることに留意されたい。
【0094】
第2の実施例は、2つのHBVIユニット710a、710bに基づいて動作するエネルギー処理システム1を示す図7に示されている。HBVIユニット710a、710bは各々、典型的には、循環ポンプ714a、714bを介して、熱交換要素712a、712bに接続され得る。いくつかの実施形態では、HBVIユニット710a、710bの外側区画は、それ自体が熱交換要素として動作し得る。HBVIユニット710a、710bは更に各々、それぞれのHBVIユニット710a、710bのバルーンの内側部分を流体リザーバ730a、730bと流体接続する油圧ポンプ/モータシステム720a、720bに接続されている。コントローラ740を使用してポンプ/モータシステム720a、720bを制御することによって、それぞれのHBVIユニット710a、710bのバルーンの充填を制御することができる。後者は、HBVIユニット710a、710bの容器とバルーンとの間に画定された空間内の流体の膨張又は圧縮を誘導することを可能にする。コントローラ740を使用して、容器とバルーンとの間に画定された空間内の流体の膨張又は圧縮を制御することによって、膨張又は圧縮が行われる方法を制御することができる。プロセスは、エネルギー交換プロセスの少なくとも一部が実質的に等温、実質的に等エントロピー、実質的に等圧、ポリトロープ、又はそれらの組み合わせとして行われるように制御され得る。いくつかの実施形態によれば、プロセスはまた、キリアニック条件、すなわち、本明細書で上述する条件が使用されるように制御されてもよい。後者は、2つ以上のHBVIユニットが互いに結合されているために得ることができる。油圧ポンプ/モータシステム720a、720bは、典型的には、電気モータ/ジェネレータシステム750に接続され得る。電気モータ/ジェネレータシステム750は、油圧ポンプ/モータシステム720a、720bの両方に接続されてもよい。そのようなモータ/ジェネレータシステム750は、電気非同期モータ/ジェネレータシステムであり得る。油圧ポンプ/モータシステム720a、720bを制御するためにコントローラ740がどのように使用されるかに応じて、圧縮及び膨張などの異なる動作がシステム内で誘導され得る。システムにおいて誘導される異なる動作により、システムは、例えば、ヒートポンプとして、又はヒートエンジンとして使用することができる。システムは、リークタンク732に接続された追加のポンプシステム722を備えてもよい。後者は、ポンプシステム720a、720bの潤滑漏れによって引き起こされる流体リザーバ730a、730b内の漏れ不足に対処するために使用され得る。漏れタンクに向かうHBVIの、又は任意選択のバルブ790a、790bの間の任意選択のバルブ780aも、システム内に実装され得ることに留意されたい。
【0095】
図8に示される更なる実施例では、第2の実施例で説明されるシステム1が示されているが、流体リザーバ730a、730bを使用するのではなく、HBVIユニット710a、710bは、ポンプ/モータシステム720a、720bを介して更なるHBVIユニット710c、710dと流体接続されている。より具体的には、これらは、HBVIユニット710a、710bと同様に配設される。HBVIユニット710c、710dは各々、典型的には、循環ポンプ(明示的には示されない)を介して、熱交換要素712c、712dに接続され得る。コントローラ740を使用してポンプ/モータシステム720a、720bを制御することによって、HBVIユニット710dのバルーンと流体連通しているそれぞれのHBVIユニット710aのバルーンの充填、及びHBVIユニット710cのバルーンと流体連通しているHBVIユニット710bのバルーンの充填を制御することができる。図面及び想定される1つの用途では、HBVIユニットごとに、それが高温(H)で環境との界面を提供するか、又は低温(C)で環境との界面を提供するかどうかも示される。HBVIの環境温度は、ポンプ/モータシステム720a、720bの各々が1つの環境温度で動作することができるようなものである。後者は、HBVIユニット710a、710b、710c、及び710dの容器とバルーンとの間に画定された空間内の流体の膨張又は圧縮を誘導することを可能にする。コントローラ740を使用して、容器とバルーンとの間に画定された空間内の流体の膨張又は圧縮を制御することによって、膨張又は圧縮が行われる方法を制御することができる。プロセスは、エネルギー交換プロセスの少なくとも一部が実質的に等温、実質的に等エントロピー、実質的に等圧、ポリトロープ、又はそれらの組み合わせとして行われるように制御され得る。本発明の実施形態の利点は、特定の温度条件及び圧力条件を、効率的なプロセスを誘導するためにシステムで使用されるHBVIにおいて維持することができることである。いくつかの実施形態によれば、プロセスはまた、キリアニック条件、すなわち、本明細書で上述する条件が使用されるように制御されてもよい。後者は、2つ以上のHBVIユニットが互いに結合されているために得ることができる。図7におけるのと同様に、任意選択の追加のバルブ780a、780bもまた、異なるHBVIの間に示される。システムの更なる特色は、例えば、第2の実施例で説明されるようなものであり得る。そのような特色は、限定されないが、フィルタ、過剰圧力バルブ、安全弁などのバルブ、例えば温度センサ、圧力センサ、流量測定デバイス、電力測定デバイスなどのセンサ又は測定デバイスなどの更なる構成要素が、当業者によって理解されるように、適切な場合にシステム内に実装され得る。
【0096】
第4の実施例では、システム1は、図9に例解される8つのHBVIユニットに基づいて示される。このシステムでは、HBVIユニットはまた、改善された動作を可能にするように、かつ液体タンクの必要性を回避するように、2つずつ相互接続されている(HBVIのバルーンは、液体タンクとして動作するか、又は追加のHBVIとして機能し得る)。
【0097】
図示されていないが、ポンプ/モータシステムはまた、コントローラの制御下にあってHBVIユニットの膨張又は圧縮を誘導することができ、したがって、エネルギー交換プロセスを制御することができる。また、そのようなプロセスは、実質的に等温、実質的に等エントロピー、実質的に等圧、ポリトロープ、又はそれらの組み合わせとして行われるように制御され得る。また、HBVIユニットが結合されているので、キリアニック条件下での処理も想定することができる。また、これらの実施形態では、当業者によって理解されるように、バルブ、漏れタンク等などの任意選択の特色が追加され得る。8つのHBVIユニットが組み合わされるシステムの実施形態では、異なるHBVIユニットにおいて後続のサイクルを誘導し、これらを組み合わせることによって、実質的に連続したエネルギー処理プロセスを得ることができることに留意されたい。
【0098】
実質的に連続的なエネルギー生成を可能にするシステム1(例えば、ヒートポンプの場合は熱、又は例えば、ヒートエンジンの場合は機械的エネルギー)を例解する図9では、HBVIユニットごとに、それが高温(H)で環境との界面を提供するか、又は低温(C)で環境との界面を提供するかどうかも示される。図9に示される連続エネルギー変換システムにおいて、HBVIユニット710a、710b、・・・・710h、並びにエネルギー交換要素712a、712b、....712hが示される。バルブ、油圧ポンプ/モータシステム、及び電気モータ/ジェネレータシステムなどの他の要素も示されている。当業者によって理解されるように、他の標準的及び任意選択の構成要素が存在してもよい。
【0099】
上記の実施例は、1つ以上のHBVIユニットの使用を概略的に例解する。HBVIユニットの数は、エネルギー処理における用途の必要に応じて、更に増加させることができることを理解されたい。
【0100】
更に、図10は、第1の流体が第2の流体に漏れることによって、第1の流体及び第2の流体が互いに反応する可能性のある危険な状況を回避するために、流体/流体界面を導入する方法を示す。後者は、例えば、反応性流体がバルーンによって形成された壁によってのみ分離されている場合に行われ得る。追加の流体/流体界面、例えば、液体/流体界面を実装する本発明の実施形態は、更なる流体/流体界面を導入することによってそのような問題を克服することができ、したがって、更なる流体によって互いに反応的に相互作用し得る流体を分離する。図10では、3つの流体1101、1103、1105の使用が示され、それによって互いに反応的に相互作用し得る流体1101、1103は、単一のバルーン壁だけでなく、2つのバルーン壁及び中間の更なる流体1105によって分離されている。そのような界面は、HBVIユニットに基づいてシステム1に実装されてもよい。
【0101】
更に、例示として、図11は、システム1がコンプレッサとしてどのように動作することができるかを示し、したがって、本発明のシステムの用途のうちの1つを例解する。2つのHBVIユニットに基づいたコンプレッサの概略表現である図11のシステム1では、第1及び第2のHBVIユニット1210a、1210bは、ポンプシステム1220aと相互接続されて示されている。各HBVIユニット1210a、1210bの容器壁とバルーンとの間の空間は、バルブ1216a、1216bによって制御されるインレットに制御可能に接続される。1つのHBVIユニット1210a内の1つの空間が、インレットを介して流体、例えば空気で充填されると、バルブ1216aが閉じられ、ポンプシステム1220を使用してバルーンにバルーン流体を充填することによって、流体を圧縮することができる。次いで、圧縮された流体は、バルブ1218aを制御することによって、高圧容器1290へと移されてもよい。圧縮された流体がHBVIユニット1210aから移されると、ポンプシステム1220及び同様の構成要素バルブ1216b及びバルブ1218bを使用して、同様のプロセスが第2のHBVIユニット1210bで実施され、したがって、圧縮された流体を第2のHBVIユニット1210bから高圧容器1290へと向かわせることが可能になり得る。
【0102】
また、例示として、図12は、システム1がエキスパンダとしてどのように動作することができるかを示し、したがって、本発明のシステムの用途のうちの1つを例解する。2つのHBVIユニットに基づいたエキスパンダの概略表現である図12のシステムでは、第1及び第2のHBVIユニット1310a、1310bは、ポンプ/モータシステム1320aと相互接続されて示されている。各HBVIユニット1310a、1310bの容器壁とバルーンとの間の空間は、バルブ1316a、1316bによって制御される高圧容器1390に制御可能に接続される。ある量の流体が1つのHBVIユニット1310aに提供され、膨張が可能になる。膨張は、HBVIユニットのバルーン内のバルーン流体を制御するために使用されてもよく、これは、ポンプ/モータシステム1320aを動作させるために使用されてもよい。更なるバルブ1318a、1318bは、HBVIユニットと外界との間の接続を提供する。圧縮された流体が膨張すると、ポンプシステム1320a及びバルブを使用して、同様のプロセスが第2のHBVIユニット1310bで実施され得る。
【0103】
図13は、単一の実施形態におけるエキスパンダ及びコンプレッサの組み合わせを示す。コンプレッサ及びエキスパンダの機能は、1つのシステムに統合されている。図12に示すように、同様の構成要素が示されている。外界へのアウトレットを有するのではなく、この実施形態では、高圧容器1390及び低圧容器1492の両方が示される。システムは、例えば、閉鎖システムとして使用され得る(例えば、特定の特徴を有する気体とともに使用可能である)。そのようなシステムは、エネルギーが過剰であるときは圧縮、エネルギーが不足しているときは膨張を使用するシステムなどのエネルギー備蓄システムで使用され得る。
【0104】
図14は、その成分中の高圧下で得られた流体を分離するための液化システム1を示す。システムは、例えば、エネルギー備蓄システムで使用することができる。システムでは、複数のHBVIシステムがカスケードで構成されており、各段階で、熱力学的条件は、流体の1つ以上の成分を分けることができるように選択される。したがって、後者のシステムは、その成分中の流体を分離することを可能にする。
【0105】
図15は、HBVIユニットを備えるサブシステムの異なる機能を組み合わせることによる気化システム1を示す。実施例の気化器は、気化器内に高温で流体をもたらすために、4つのHBVIユニットに基づいたシステムを使用する。液体を高温で流体の熱と接触させることによって、液体を気化器内で加熱して液体を気化させる。その後、蒸気をエキスパンダ内で膨張させることができる。
【0106】
更に例示として、図16は、コンプレッサの機能を組み合わせ、高圧流体源、その成分中の高圧流体を分けることを可能にする液化システム、これらの成分のうちの少なくとも1つを気化させるための気化器、及び気化された成分を膨張させるためのエキスパンダを提供する、エネルギー処理のためのシステム1を例解する。HBVIユニットを備えるシステムで得ることができる異なる機能を組み合わせることによって、効率的なエネルギー処理を得ることができる。また、このシステムは、典型的には、エネルギー備蓄のために使用することができる。
【0107】
いくつかの用途が上記に例示されているが、これらはいくつかの用途にすぎず、エネルギー処理のための他の用途も想定できることは明らかであろう。
【0108】
一態様では、本発明はまた、エネルギーを処理する方法であって、第1の態様で説明されるように、エネルギー処理システムを使用してエネルギー交換プロセスを誘導することを含む方法に関する。本発明の実施形態によれば、エネルギー交換プロセスは、実質的に等温プロセス、実質的に等エントロピープロセス、実質的に等圧プロセス、ポリトローププロセス、又はそれらの組み合わせで実施され得る。プロセスは、有利には、これらの物質と接触している第1の物質と第2の物質との間の熱交換面が、実質的にエネルギー交換プロセス全体の間に実質的に等しいままであるような様式で実施することができる。
【0109】
好ましい実施形態、特定の構造及び構成、並びに材料を、本発明によるデバイスについて本明細書で考察したが、形態及び詳細における様々な変更又は修正が、本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解されたい。本発明の範囲内で、記載の方法に対して工程が追加又は削除されてもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】