(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】多孔質シリカ粒子を含む口腔ケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20250130BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61K8/25
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546197
(86)(22)【出願日】2023-02-03
(85)【翻訳文提出日】2024-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2023052641
(87)【国際公開番号】W WO2023148307
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524289732
【氏名又は名称】シグリッド・セラピューティクス・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】ベク,ジンハ
(72)【発明者】
【氏名】ベングソン,トーレ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアニドウ,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト-ニクード,ジスレイン・モニク・ニコル
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB472
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC312
4C083AD352
4C083DD17
4C083DD22
4C083DD23
4C083EE32
4C083EE33
4C083EE36
(57)【要約】
本明細書は、メソポーラス範囲の細孔を有する多孔質シリカ粒子を含む口腔ケア組成物を提供し、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約7.0~約25.0nmである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メソポーラス範囲の細孔を有する多孔質シリカ粒子を含む口腔ケア組成物であって、前記メソポーラス範囲の前記細孔の平均細孔サイズは、約7.0~約25.0nmである、口腔ケア組成物。
【請求項2】
前記口腔ケア組成物は、歯磨き剤である。請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、練り歯磨き、歯磨き粉又はマウスウォッシュである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、実質的に界面活性剤を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記メソポーラス範囲の前記細孔の前記平均細孔サイズは、約7.0~約22.0nmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記メソポーラス範囲の前記細孔の前記平均細孔サイズは、約7.0~約20.0nmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記メソポーラス範囲の前記細孔の前記平均細孔サイズは、約8.0~約13.0nmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも約40%の細孔容積がメソポーラス範囲にある、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記シリカ粒子は、少なくとも約200m
2/gのBET表面積を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記シリカ粒子は、約0.1~約20.0μmの平均粒子サイズを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記シリカ粒子は、約1.0~約5.0μmの平均粒子サイズを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記シリカ粒子は、約0.7~約1.3cm
3/gの全細孔容積を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
う蝕、歯垢の蓄積、歯周病、歯周炎及び/もしくは歯の喪失の防止、又は
口腔感染症の治療もしくは防止
における、請求項1~12のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物の使用。
【請求項14】
う蝕、歯垢の蓄積、歯周病、歯周炎及び/もしくは歯の喪失の防止、又は
口腔感染症の治療もしくは防止
における使用のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項15】
う蝕、歯垢の蓄積、歯周病、歯周炎及び/もしくは歯の喪失の防止、又は
口腔感染症の治療もしくは防止を、
それを必要とする対象において行う方法であって、請求項1~12のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物の有効量を使用するステップを含む、方法。
【請求項16】
請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物の、口腔ケア製品としての使用。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物の、口腔を洗浄する方法における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカを含有する口腔ケア組成物に関する。特に、本発明は、多孔質シリカ粒子を含む口腔ケア組成物に関し、該組成物は、虫歯及びう蝕の形成の防止に有用である。
【背景技術】
【0002】
本明細書における以前に出版された文書のいずれのリストや考察も、必ずしもその文書が最先端技術の一部であるか、共通の一般知識であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0003】
虫歯(Tooth(dental)decay)又はう蝕の発症は、歯のエナメル質が損傷し、歯内に病変が生じ、歯の空洞に発展し得るときに発生する。歯の空洞によって生じた感染は、歯の周囲の組織の炎症、歯の喪失、感染、膿瘍の形成などの合併症を引き起こし得る。
【0004】
う蝕は、様々な理由で発症する可能性がある。特に、口内の細菌が糖を代謝して酸を生成し、歯の硬組織(エナメル質と象牙質)を脱灰することで発症する可能性がある。このような糖は、食物摂取の直接的な結果として口内に存在する場合もあれば、唾液中のアミラーゼ酵素がデンプンを糖(麦芽糖など)に分解する作用などによってその場で生成される場合もある。その後、細菌はそのような糖を発酵させて酸(乳酸など)を生成し、それが歯のエナメル質に損傷を与える。
【0005】
う蝕の形成を減らすことは、通常、口腔衛生の改善によって達成され、その目的は、口から食べ物を除去してデンプンや糖の供給源を取り除き、口腔内の細菌数を減らして発酵による酸の生成を減らすことである。練り歯磨き製品を使用した歯磨きは、通常、食べ物を除去することを目的とするが、抗菌効果も生じ得る。抗菌剤や変性剤(アルコールなど)を含有するマウスウォッシュ製品の使用によっても細菌数の減少が達成され得る。
【0006】
練り歯磨きは、通常、ペースト又はジェルの形で提供され、歯の表面から食べ物や歯垢を取り除くことができる1つ以上の研磨剤を含有する。このような製品は、歯のエナメル質を強化するため(フッ化物など)、風味を良くするため、製品の外観を変えるため(着色剤など)、口臭を抑えるためなどの他の薬剤を含む。
【0007】
練り歯磨き製品に一般的に使用される研磨剤は、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、炭酸カルシウム(CaCO3)、様々なリン酸水素カルシウム、ハイドロキシアパタイト(Ca5(PO4)3OH)、シリカ材料(SiO2)の粒子を含み、典型的には、固体粒子の形態をしている。
【0008】
多孔質シリカ粒子が、薬剤の充填や治療薬の送達のための媒体の提供など、様々なヘルスケア用途で使用されてきた。多孔質シリカ粒子は、熱的にも化学的にも安定しており、純粋な二酸化ケイ素のみで構成される。
【0009】
これらのシリカ粒子は、制御可能な細孔寸法を持つ規則的な多孔質を有し、高い表面積と大きな全細孔容積を実現する。これらの特性は、安定性や生体適合性など他の特性とともに、バイオメディカル用途に特に適する(例えば、Wang,Y.et al.,Nanomedicine Nanotechnology,Biol.Med.11,313-327(2015)を参照のこと)。さらに、同様の物質が、以前にも食品添加物として承認されている(European Center for Ecotoxicology and Toxicology of Chemicals Synthetic Amorphous Silica (CAS No.7631-86-9),JACC No.51,page 14(ECETOC,2006))。
【0010】
WO2014/072363では、肥満や脂質異常症などの症状の治療における、メソポーラス範囲の特定の平均細孔サイズを有する高度に構造化された多孔質シリカ材料の使用が考察される。口腔衛生、う蝕の防止や軽減に関するいかなる教示も提供されない。
【発明の概要】
【0011】
(発明の詳細な説明)
われわれは、メソポーラス範囲の特定の平均細孔サイズを有するある特定の多孔質シリカ材料が、生体内で、ある特定の生体分子に対する分子ふるいとして効果的に機能し、そのため、う蝕の形成の防止又は軽減などの口腔ケアに有用な特性を有することを発見した。
【0012】
具体的には、本発明による多孔質シリカ粒子は、本明細書に記載されるように、ある特定の生理化学的特性を有するように設計されており、上記の用途に関連する重要な生物学的効果を可能にする。平均細孔サイズなどの特定の粒子特性を制御すると、唾液アミラーゼ酵素の口内での吸収を可能にするなど、これらの生物学的効果が得られることが予想外に判明し、その結果、口腔(歯など)の健康に有害なう蝕菌による酸の生成が減少し得る。
【0013】
口腔ケア組成物
本発明の第1態様において、メソポーラス範囲の細孔を有する多孔質シリカ粒子を含む口腔ケア組成物が提供され、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約7.0~約25.0nmである。
【0014】
疑義を避けるために、本発明の第1態様(その全ての実施形態及び特徴を含む)で定義されるシリカ粒子は、「本発明の(又は本発明の第1態様の)シリカ(又はシリカ材料もしくはシリカ粒子)」などとも呼ばれ得る。同様に、本発明の第1態様で定義される組成物(その全ての実施形態及び特徴を含む)は、「本発明の組成物(又は本発明の第1態様の組成物)」などとも呼ばれ得る。
【0015】
別途記載がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が関連する当業者が理解する一般的な意味を持つ。
【0016】
本明細書において特定の値(量など)に関連して使用される場合、「約」という用語(又は「およそ」などの類似の用語)は、そのような値が定義された値の最大10%(具体的には、最大5%、例えば、最大4%、3%、2%又は1%)変化し得ることを示すものと理解される。各事例において、そのような用語は、「±10%」などの表記(又は関連する値に基づいて計算された特定の量の変動を示すことによって)に置き換えられ得ることが企図される。また、各事例で、そのような条件が削除され得ることも想定される。
【0017】
疑義を避けるために、当業者であれば、ある特定の特徴の百分率が異なる(すなわち、重複しない)グループに属するものとして定義される場合、これらの百分率の合計は、100%を超えることはできないことを理解するであろう。同様に、このような特徴が他の指定されないグループに属し得る場合、指定された特徴の合計が100%になる必要はない。
【0018】
当業者であれば、本発明の第1態様の組成物に提供される多孔質シリカ粒子は、その複数と称され得、その複数が、多孔質シリカ材料と称され得ることを理解するであろう。
【0019】
当業者であれば、本発明の第1態様の口腔ケア組成物は、口腔表面の洗浄(例えば、ブラッシング、研磨、洗浄及び/又はすすぎに使用することによる)に適した一般的なタイプの組成物を含むことを理解するであろう。
【0020】
従って、当業者であれば、本発明の目的における口腔ケア組成物は、歯及び/又は口腔内の他の表面を洗浄する(例えば、ブラッシング、研磨、洗浄、すすぎなどによる)のに適した形態のペースト、粉末、液体、ガム、セラム又はその他の調製物の形態の組成物を含み得ることを理解するであろう。
【0021】
特定の実施形態では、本発明の第1態様の口腔ケア組成物は、歯磨き剤(半固体形態、例えば、ペースト、粉末又はゲルであり得る)又は液体の形態で送達され得る。
【0022】
具体的には、当業者であれば、歯磨き剤という用語は、ペースト(すなわち、練り歯磨き)やゲルなどの押し出し可能な半固体形態の組成物、及び粉末(すなわち、歯磨き粉)(ルース及び圧縮パウダー(例えば、ルースパウダー)を含む)を含み、これらの組成物は、歯のブラッシング及び/又は研磨(例えば、ブラッシング)(例えば、歯ブラシなどの適切な歯の清掃用具を使用して)に使用するのに適し得ることを理解するであろう。従って、歯磨き剤という用語は、口腔(の表面)を洗浄するために使用される上記のような口腔用組成物を指すことができる。
【0023】
当業者であれば、ゲルという用語は、液体の物理的特性を有するが実質的に流動がゼロである物質を指すこともできることも理解するであろう。
【0024】
特定の実施形態では、口腔ケア組成物は、歯磨き剤、例えば、練り歯磨き又は歯磨き粉(例えば、練り歯磨き)の形態であり得、これらの用語は当業者に既知である。
【0025】
このような実施形態では、歯磨き剤は、そのような製品の使用者の一般的な理解に従って、適切な清掃用具(例えば、歯ブラシ)と組み合わせて、口腔(例えば、歯)の表面をブラッシング及び/又は研磨(例えば、ブラッシング)するためのものであると言える。
【0026】
特定の実施形態では、歯磨き剤は、当業者に既知のように、ペースト、すなわち、練り歯磨き(又は同様にゲル)の形態であり得る。このような実施形態では、組成物は、本明細書に記載の多孔質シリカ粒子に加えて、本明細書に記載のものを含むそのような組成物を形成するために典型的に提供される1つ以上の追加成分を含み得る。
【0027】
従って、特定の実施形態では、口腔ケア組成物は、練り歯磨きに置き換えられ得、この用語は、当業者が、歯ブラシなどの適切な歯の清掃用具(例えば、そのような組成物と組み合わせて、例えば、約1~2分間歯を磨くことによって歯を洗浄するためのもの)とともに使用する組成物を指すと理解するであろう。
【0028】
さらなる実施形態では、組成物は、液体の形態であり得、その場合、組成物は、マウスウォッシュ(又はマウス/デンタルリンス)の形態であり得る。このような実施形態では、組成物は、本明細書に記載の多孔質シリカ粒子に加えて、本明細書に記載のものを含むそのような組成物を形成するために典型的に提供される1つ以上の追加成分を含み得る。
【0029】
従って、特定の実施形態では、口腔ケア組成物は、マウスウォッシュ(又はマウスリンスなど)に置き換えられ得、この用語は、当業者であれば、組成物を一定時間(例えば、約1分間)口の中に保持し、その後、組成物を口から排出する(吐き出す)などして、口腔(例えば、歯の表面)をすすぐ及び/又は洗浄する(例えばすすぐ)ための組成物を指すと理解するであろう。
【0030】
従って、本発明の実施形態によれば、本発明のシリカを含むマウスウォッシュが提供される。
【0031】
さらなる実施形態では、組成物は、ゲルの形態であり得、歯磨き剤及び/又はマウスウォッシュに関連して本明細書に記載されるような用途に適し得る。ゲルは、ペースト、ムース、クリームなどを含み得る。
【0032】
当業者であれば、このような組成物は、典型的には、治療薬の全身投与の目的で意図的に飲み込まれるのではなく、口腔に適用され、その後、口から体外に排出される(例えば、吐き出される)ことを理解するであろう。従って、本明細書に記載の組成物は、非全身性、局所性(口腔に関係するため、例えば、経口局所性)、嚥下用ではない、食用ではない、などと呼ばれ得る。歯ブラシなどの清掃用具と組み合わせて使用される場合、このような組成物は、歯ブラシの毛に適用し、その後、口腔の進入可能な表面(例えば、歯の進入可能な表面)をブラッシングすることを必要とする方法で使用され得る。
【0033】
疑義を避けるために、本明細書に記載のマウスウォッシュ及びその他の製品(ペースト、ゲル、ムース、クリームなど)の使用後、口腔内のすすぎを行うかどうかは任意である。
【0034】
本明細書で論じられるように、口腔ケア組成物は、関連するタイプの組成物に典型的に存在する追加の成分を含み得、これらの成分は、当業者に既知である。
【0035】
例えば、口腔ケア組成物が練り歯磨きの形態で提供される場合、口腔ケア組成物は、以下が挙げられる成分を含む。
【0036】
結合剤、増粘剤などの構造化剤。構造化剤は、組成物の全重量に基づいて約0.1~1.0重量%の量で存在し得る。挙げられ得る適切な結合剤又は増粘剤は、カルボキシビニルポリマー(ポリアリルスクロース又はポリアリルペンタエリスリトールで架橋されたポリアクリル酸など)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、天然ガム(カラギーナン、カラヤガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガム、トラガカントガムなど)を含む。天然ガムベースの増粘剤、特にカラギーナンも挙げられ得る。
【0037】
水性連続相。水と多価アルコール(様々な相対量)との混合物から形成され得るようなものであり、水の量は、組成物の全重量に基づいて、一般的に約10~約60重量%(例えば、約40%)の範囲であり、多価アルコールの量は、組成物の全重量に基づいて、一般的に約5~約70重量%(例えば、約30%)の範囲である。挙げられ得る多価アルコールは、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、キシリトール(及びその他の食用多価アルコール)、水素化部分加水分解多糖類及びそれらの混合物などの湿潤剤を含む。より具体的には、挙げられ得る多価アルコールは、グリセロール及びソルビトール(例えば、ソルビトール)を含む。ある特定の実施形態では、水及び/又は多価アルコールの量は、通常、組成物の全重量に基づいて、水及び/又は多価アルコールの全重量で、少なくとも約10重量%、例えば、少なくとも約30重量%、例えば、少なくとも約50重量%である。このような実施形態では、水及び/又は多価アルコールは、全組成物の約90重量%未満、例えば、約85重量%未満であり得る。
【0038】
研磨材。研磨剤は、歯磨き剤の全重量に基づいて、約0.5~約75.0重量%、例えば、約3.0~約60重量%の量で存在し得る。挙げられ得る特定の研磨材(すなわち、研磨洗浄剤)は、シリカキセロゲル、ヒドロゲル、エアロゲル、沈降性粒子状シリカ(これらのシリカ(複数可)は、本発明の第1態様で必要とされる多孔質シリカ材料に加えて存在する)、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、焼成アルミナ、メタリン酸ナトリウムとメタリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウムとピロリン酸カリウム、トリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、粒子状ヒドロキシアパタイト及びそれらの混合物を含む。疑義を避けるために、当業者であれば、本発明の第1態様の必須シリカ成分が研磨剤としても機能し得ることを理解するであろう。
【0039】
増粘剤及び/又はゲル化剤(いずれの場合も、無機、天然又は合成)。増粘剤及び/又はゲル化剤は、全組成物の約0.1~約15.0重量%の量で存在し得る。当業者であれば、増粘剤(複数可)の量(及び割合)は、チューブから歯ブラシに絞り出すことができ、歯ブラシの毛の間に落ちることなく、むしろその形状を実質的に維持する、押し出し可能な形状保持製品を形成するために選択されることを理解するであろう。挙げられ得る特定の増粘剤及びゲル化剤は、微細シリカ(このシリカ(複数可)は、本発明の第1態様で必要とされる多孔質シリカ材料に加えて存在する)、ヘクトライト、炭酸カルシウム、コロイド状マグネシウムアルミニウムケイ酸塩とそれらの混合物、及び/又はアイリッシュモス、イオタカラギーナン、トラガカントガム、ポリビニルピロリドンなどのガムを含む。疑義を避けるために、当業者であれば、本発明の第1態様の必須シリカ成分が増粘剤としても機能し得ることを理解するであろう。
【0040】
スズ又は亜鉛(例えば、亜鉛)などの金属イオン。挙げられ得る特定の金属イオンは、亜鉛イオン、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、フッ化亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、モノグリセロ酸亜鉛、酒石酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、マレイン酸亜鉛及びそれらの混合物を含む。
【0041】
フッ化物源。挙げられ得る特定のフッ化物源は、フッ化ナトリウム、フッ化スズ、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛アンモニウム、フッ化スズアンモニウム、フッ化カルシウム、フッ化コバルトアンモニウム及びそれらの混合物を含む。
【0042】
当該技術分野で慣用のさらなる任意成分、例えばクロルヘキシジン、サンギナリンエキス、メトロニダゾール、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化セチルピリジニウム)、ビスグアニド(例えば、クロルヘキシジンジグルコン酸塩、ヘキセチジン、オクテニジン、アレキシジン)、ハロゲン化ビスフェノール化合物(例えば、2,2’メチレンビス-(4-クロロ-6-ブロモフェノール))などの抗菌剤、イブプロフェン、フルルビプロフェン、アスピリン、インドメタシンなどの抗炎症剤、フッ化ナトリウム、フッ化スズ、アミンフッ化物、モノフルオロリン酸ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、カゼインなどの虫歯予防剤、尿素、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、ポリアクリル酸ストロンチウムなどのプラーク緩衝剤、ビタミンA、C、Eなどのビタミン、植物エキス、フラボノイド、カテキン、ポリフェノール、タンニン化合物及びそれらの混合物などの植物由来の抗酸化物質、クエン酸カリウム、塩化カリウム、酒石酸カリウム、重炭酸カリウム、シュウ酸カリウム、硝酸カリウム、ストロンチウム塩などの脱感作剤、アルカリ金属ピロリン酸、次亜リン酸含有ポリマー、有機ホスホン酸、リン酸クエン酸などの歯石防止剤、バクテリオシン、抗体、酵素などの生体分子、ペパーミント、スペアミントオイルなどの香料、コラーゲンなどのタンパク質性物質、防腐剤、乳白剤、アルギニンなどのアミノ酸、着色料、甘味料、デンプン、ショ糖(上記の水又は水/アルコール系に加えて)などの薬学的に許容される担体、口腔ケア組成物のpHとイオン強度を緩衝するための緩衝剤及び塩を含むpH調整剤、ペルオキシ化合物(例えば、ペルオキシ二リン酸カリウム)などの漂白剤、重炭酸ナトリウム/クエン酸系などの発泡系、色変更系。
【0043】
同様に、口腔ケア組成物が液体(例えば、マウスウォッシュ)の形態で提供される場合、口腔ケア組成物は、水、皮膚軟化剤(例えば、グリセロール)、甘味料(例えば、キシリトール)、防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウム)及び/又はフッ化ナトリウムを含む成分をさらに含み得る。
【0044】
当業者であれば、このようなマウスウォッシュ製剤は、抗菌剤(アルコールなど)、着色剤、及び/又は香料(メントールなど)など、状況に応じて望ましくあり得るさらなる成分をさらに含み得ることも理解するであろう。
【0045】
理論に縛られるつもりはないが、口腔ケア組成物(例えば、練り歯磨き)に一般的に使用される界面活性剤の存在は、シリカ粒子の効果を阻害又は低減し、従って組成物の有益な効果を低減する可能性があると考えられる。
【0046】
従って、特定の実施形態では、口腔ケア組成物(例えば、練り歯磨き又はマウスウォッシュなどの歯磨き剤)は、界面活性剤を実質的に含まない。
【0047】
挙げられ得る特定の界面活性剤は、以下の通りである。
ラウリル硫酸ナトリウムなどの陰イオン界面活性剤、
コカミドプロピルベタインなどの両性イオン性(正味電荷ゼロ)界面活性剤、ならびに
ポリエトキシル化脂肪酸ソルビタンエステル(例えば、ポリソルベート80)、エトキシル化脂肪酸、ポリエチレングリコールのエステル、脂肪酸のエトキシレート、モノグリセリドとジグリセリド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー、及び脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル、特に、単位当たり2~200(例えば、20~40)個のエチレンオキシド基を有するポリエチレングリコールエーテル、例えば、ポリオキシエチレン(2~100、例えば、4)ラウリルエーテル、及び「ステアレス」界面活性剤、例えば、ステアレス30などの非イオン性界面活性剤。
【0048】
本明細書で使用される場合、当業者であれば、界面活性剤を実質的に含まないことへの言及は、界面活性剤として分類される成分(本明細書で言及されるものなど)が、全組成物の約0.5重量%以下の濃度、例えば、全組成物の約0.4、0.3、0.02、又は特に0.1重量%以下の濃度(例えば、全組成物の約0.09、0.08、0.07、0.06又は0.05重量%以下、特に全組成物の約0.04、0.03、0.02又は0.01重量%未満)で存在することを意味することを理解するであろう。
【0049】
特定の実施形態では、当業者であれば、界面活性剤を実質的に含まないことへの言及は、界面活性剤として分類される成分が存在しない(すなわち、検出可能なレベルが存在しない)ことを指し、そのような組成物の調製がそのような成分の添加を含まないことを示し得ることを理解するであろう。
【0050】
本明細書で使用される場合、ある成分を実質的に含まないことは、組成物がその成分をそれぞれ「実質的な濃度で含有しない」又は「含有しない」と述べることによって示され得る。
【0051】
当業者であれば、存在する可能性のある界面活性剤の最大量は、界面活性剤成分の性質に応じて変化し、そのようなレベルは、日常的な技術を使用して決定されることも理解するであろう。
【0052】
例えば、
ラウリル硫酸ナトリウムなどの陰イオン界面活性剤に関しては、界面活性剤が約0.05重量%以下(例えば、約0.04、0.03、0.02又は特に0.01重量%未満)のレベルで存在し得、又は界面活性剤が存在しないという観点から言及され得、
コカミドプロピルベタインなどの両性イオン性(正味電荷ゼロ)界面活性剤に関しては、界面活性剤は、約0.05重量%以下のレベルで存在し得、
非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエトキシル化脂肪酸ソルビタンエステル(例えば、ポリソルベート80)の場合、界面活性剤が約0.1(又は特に0.05)重量%以下のレベルで存在してもよいし、又は界面活性剤が存在しないという観点から言及され得る。
【0053】
特定の実施形態では、特定の界面活性剤の量が言及される場合、組成物は、他の界面活性剤を実質的に含まない。
【0054】
当業者であれば、口腔ケア組成物は、その様々な成分の混合物の形態で提供され得ることを理解するであろう。具体的には、当業者であれば、このような混合物は、液体(又はゲル)相と固体相(例えば、固体粒子)の両方の成分を含み得、その場合、使用時に固体成分が液体(又はゲル)成分全体に実質的に均一に分散され得、液体組成物の場合には、使用前に組成物を撹拌(例えば、振盪)する必要がある可能性があることを理解するであろう。
【0055】
疑義を避けるために、液体組成物(例えば、マウスウォッシュ)の場合、シリカ粒子は、液体組成物と不均質であり得、その結果、保管中に粒子が沈殿し得る。従って、組成物の使用は、使用前に(例えば、振盪及び/又は反転による)混合を必要とし得る。
【0056】
疑義を避けるために、当業者であれば、本明細書における組成物の一部を形成する粒子は、組成物の一部を形成するとみなされる適切なサイズの粒子(すなわち、組成物の成分として機能できる可能性のある粒子)のみを含むことを理解するであろう。
【0057】
当業者は、本明細書に記載の効果を提供するために本発明の組成物中に必要な本発明のシリカの量を決定することができ、その量は、使用する組成物のタイプに依存し得る。
【0058】
特定の実施形態では、本発明のシリカは、本発明の組成物中に約0.1~約20.0重量%の量で存在し得る。
【0059】
例えば、本発明のシリカは、本発明の組成物中に約0.5重量%(例えば、約0.44重量%)の量で存在し得る。
【0060】
本明細書で使用される場合、「本質的に~からなる」という用語は、関連する組成物が少なくとも90重量%(例えば、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、特に少なくとも99.9%)の関連する物質で構成されることを示し得る。
【0061】
本発明の第1態様のある特定の実施形態では、例えば、組成物が歯磨き粉の形態である場合、組成物は、本明細書で定義される多孔質シリカ粒子(すなわち、複数のそのような粒子)からなる(又は本質的に本明細書で定義される多孔質シリカ粒子からなる)。
【0062】
本発明の第1態様の代替実施形態では、組成物中の多孔質シリカ粒子含有量(又は、代替的に、シリカ粒子含有量)は、本明細書で定義されるシリカ粒子からなる(又は本質的に本明細書で定義されるシリカ粒子からなる)(すなわち、多孔質シリカ材料以外の成分が存在し得る)。
【0063】
当業者であれば、本発明のシリカの特性は、他の酵素阻害/変性及び/又は吸着材料/物質の使用を必要としない可能性があることを理解するであろう(すなわち、本発明の組成物は、そのような薬剤の存在を必要とせずに、本明細書に記載の効果を生み出すことができる)。
【0064】
本発明の第1態様の特定の実施形態では、組成物は、酵素を吸着することができる唯一の(すなわち、たった一つの)成分として、多孔質シリカ材料(本発明の第1態様で定義される)を含む。
【0065】
従って、本発明の第1態様のさらなる実施形態では、組成物は、他の酵素吸着成分を実質的に含まない。
【0066】
他の酵素吸着成分に関連して使用される場合、実質的に含まないという用語は、必須物質(例えば、言及された組成物)が、言及された他の物質(例えば、他の治療有効成分)を有意な量(すなわち、臨床的に有意な量)含まないことを指し、これは、10重量%未満(例えば、5重量%未満、例えば、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、又は特に、0.1重量%未満、0.01重量%未満、又は0.001重量%未満)の他の物質の存在、あるいは、より具体的には、検出可能な量の他の物質が存在しないことを示すことができる。
【0067】
多孔質シリカ粒子
当業者であれば、本明細書では、細孔が、ある特定のサイズであることへの言及は、関連する細孔の平均直径(すなわち、細孔の寸法を考慮した個々の細孔の平均直径)を指すことを理解するであろう。疑義を避けるために、当業者であれば、平均細孔サイズへの言及は、特に各細孔の開口部の平均サイズ(又は細孔のチャネルが粒子本体を内部で横断する細孔の場合には、細孔(複数可)への全ての開口部の平均サイズ)を指すことができ、これは、細孔窓(複数可)(又は細孔の窓(複数可))と呼ばれ得ることを理解するであろう。
【0068】
疑義を避けるために、特に明記しない限り、本明細書で言及される平均は、算術平均として計算される。
【0069】
特に明記しない限り、本明細書で説明する細孔サイズは窒素吸着によって測定され、密度汎関数理論(DFT)法を使用して計算される(例えば、Landers,J.et al.,Colloids and Surfaces A:Physicochem.Engineering Aspects,437,3-32(2013)に記載の方法を参照のこと)。従って、特に明記しない限り、本明細書における平均細孔サイズへの言及は、窒素吸着によって測定され、密度汎関数理論(DFT)を使用して計算された細孔サイズを指す。
【0070】
あるいは、細孔サイズは、窒素吸着によって測定され、バレット・ジョイナー・ハレンダ(BJH)モデルを使用して計算される(Barrett,E.P.;Joyner,L.S.;及びHalenda,P.P.,J.Am.Chem.Soc.73,373-380(1951)を参照のこと)、この方法で計算された細孔サイズの測定値は、そのように示される。
【0071】
当業者であれば、存在する細孔の百分率が特定の範囲にあることへの言及は、そのような粒子の細孔サイズ分布(PSD)を指すと理解され得ることを理解するであろう。従って、存在する細孔の百分率が特定の範囲にあることへの言及は、各範囲に存在する細孔の合計容積を、関連する細孔グループ(複数可)(例えば、メソポーラス範囲の細孔)の全細孔容積の百分率として指す。
【0072】
疑義を避けるために、特定の平均細孔サイズを有する粒子への言及は、ある特定の場合には、そのような平均細孔サイズを有する粒子と機能的に同等である細孔(例えば、本明細書に記載の方法で使用される場合)への言及を含み得る。
【0073】
当業者であれば、シリカ材料の細孔サイズ分布は、当業者によく理解されている技術であるDFT細孔サイズ分布曲線を使用して測定できることを理解するであろう (例えば、Olivier,J.P.,Conklin,W.B.及びSzombathely,M.V.,Studies in Surface Science and Catalysis,87,81-89(1994)を参照のこと)。細孔の百分率は、DFT累積細孔サイズ分布曲線から計算される。
【0074】
当業者であれば、メソポーラス範囲の細孔を有する多孔質シリカ粒子への言及は、当該技術分野における通常の意味、すなわち、直径が2~50nmの範囲の細孔を有する(又は含有する/含む)多孔質シリカ粒子を指すものであり、その材料は、メソポーラスと呼ばれ、その細孔は、メソ細孔と呼ばれ得ることを理解するであろう。
【0075】
疑義を避けるために、当業者であれば、本発明の第1態様で言及される多孔質シリカ材料が、マイクロポア(すなわち、直径が2nm未満の細孔)及び/又はマクロポア(すなわち、直径が50nmを超える細孔)を有するなど、メソポーラス範囲外の直径を有する細孔を有する(すなわち、さらに含有する/含む)こともできることを理解するであろう。
【0076】
疑義を避けるために、特に明記しない限り、本明細書で使用される細孔の百分率は、容積の百分率を指す。
【0077】
特定の実施形態では、本発明のシリカ材料中に存在する細孔の少なくとも約40%(すなわち、40容積%)は、メソポーラス範囲にある。
【0078】
より特定の実施形態では、本発明のシリカ材料中に存在する細孔の少なくとも約 50%、例えば、少なくとも約60%、特に少なくとも約70%がメソポーラス範囲にある。
【0079】
当業者であれば、所定の範囲内の細孔に関して、平均(すなわち、算術平均)細孔サイズも計算できることを理解するであろう。本明細書に記載されるように、このような平均細孔サイズは、窒素吸着技術によって測定され、当業者に既知の密度汎関数理論(DFT)を使用して計算される(Olivier,J.P.,Conklin,W.B.及びSzombathely,M.V.,Studies in Surface Science and Catalysis,87,81-89(1994);Landers,J.,et al.,Colloids and Surfaces A:Physicochem.Eng.Aspects,437,3-32(2013)を参照のこと)。従って、特に明記しない限り、本明細書における平均細孔サイズは、窒素吸着によって測定され、DFTを使用して計算された平均細孔サイズを指す。
【0080】
特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約7.0~約22.0nmである。
【0081】
より特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約7.0~約21.0nmである。
【0082】
さらに、より特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約7.0~約20.0nmである。
【0083】
例えば、ある実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、以下のとおりである。
約7.0~約19.0nm、
約7.0~約18.0nm、
約7.0~約17.0nm、
約7.0~約16.0nm、
約7.0~約15.0nm、
約7.0~約14.0nm、
約7.0~約13.0nm、又は
約7.0~約12.0nm。
【0084】
ある特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約8.0~約13.0nmである。
【0085】
より特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約8.0~約12.0nmである。
【0086】
より特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約8.0~約11.0nmである。
【0087】
代替実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約9.0~約11.0nmである。
【0088】
さらに、より特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約9.2~約11.0nmである。
【0089】
さらに、より特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約9.4~約10.8nmである。
【0090】
さらに、より特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約9.5~約10.7nmである。
【0091】
さらに、より特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約9.6~約10.7nmである。
【0092】
さらに、より特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約9.5~約10.6nmである。
【0093】
最も特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズは、約9.6~約10.6nmである。
【0094】
当業者であれば、本明細書に記載されるように、(算術)平均細孔サイズを参照することに加えて、本発明のシリカ材料は、メソポーラス範囲の細孔の細孔サイズの分布などの細孔サイズの分布を参照して定義することもできることを理解するであろう。
【0095】
本発明の第1態様の特定の実施形態では、メソポーラス範囲(容積基準)内の細孔の少なくとも21%(例えば、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%又は少なくとも29%)が、平均細孔サイズの指定範囲(すなわち、平均細孔サイズについて指定された範囲)内の直径を有する。
【0096】
本発明の第1態様のより特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の少なくとも約30%が、平均細孔サイズの範囲内の直径を有する。
【0097】
さらに、本発明の第1態様のより特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の少なくとも約35%(少なくとも40%又は少なくとも45%)が、平均細孔サイズの範囲内の直径を有する。
【0098】
さらに、本発明の第1態様のより特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の少なくとも約50%(例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、又は特に少なくとも約72%)が、平均細孔サイズの範囲内(すなわち、本明細書で定義されるメソポーラス範囲の細孔の平均細孔サイズについて与えられた範囲)の直径を有する。
【0099】
例えば、ある特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の少なくとも約50%(例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、又は特に少なくとも約72%)が、約7.0~約25.0nmの範囲内の直径を有する。
【0100】
ある特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の最大約100%(又は最大約99%、約95%、又は約90%)が、平均細孔サイズ(すなわち、本明細書で規定される平均細孔サイズの範囲)の範囲内の直径を有する。
【0101】
ある特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の約21%~約100%(又は特に約25%~約99%もしくは100%)が、平均細孔サイズの範囲内の直径を有する。
【0102】
さらに、本発明の第1態様のより特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の少なくとも約30%(例えば、約30%~約99%もしくは100%)が、平均細孔サイズの範囲内の直径を有する。
【0103】
さらに、本発明の第1態様のより特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の少なくとも約35%(例えば、約35%~約99%)が、平均細孔サイズの範囲内の直径を有する。
【0104】
さらに、本発明の第1態様のより特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の約40%~約90%(又は約99%もしくは100%)が、平均細孔サイズの範囲内の直径を有する。
【0105】
本発明の第1態様のある特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の約50%~約90%(又は約99%もしくは100%)が、平均細孔サイズの範囲内の直径を有する。
【0106】
本発明の第1態様のある特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の約55%~約90%(又は約99%もしくは100%)は、平均細孔サイズの範囲内の直径を有する。
【0107】
本発明の第1態様のある特定の実施形態では、メソポーラス範囲の細孔の約60%~約90%(又は約99%もしくは100%)が、平均細孔サイズの範囲内の直径を有する。
【0108】
例えば、特定の実施形態(すなわち、本発明の第1態様の特定の実施形態)では、シリカ粒子の細孔の少なくとも約25%(例えば、約25%~約99%、約50%~約99%もしくは100%など)が、約7.0~約25.0nm(例えば、約7.0~約18.0nm、又は約7.0~約13.0nm)の範囲のサイズのメソ細孔である。
【0109】
同様に、特定の実施形態では、シリカ粒子の細孔の少なくとも約50%(例えば、約50%~約99%、約50%~約90%など)が、約7.0~約25.0nm(例えば、約7.0~約18.0nm、又は約7.0~約13.0nm)の範囲のサイズのメソ細孔である。
【0110】
特定の実施形態(すなわち、本発明の第1態様の特定の実施形態)では、シリカ粒子の細孔の少なくとも約50%(例えば、約50%~約99%)が、約9.0~約12.0nmの範囲のサイズのメソ細孔である。
【0111】
さらなる実施形態では、シリカ粒子の細孔の少なくとも約25%(例えば、少なくとも約50%、約60%又は約70%)が、約9.0~約10.2nmの範囲のサイズのメソ細孔である。
【0112】
さらなる実施形態では、シリカ粒子の細孔の少なくとも約25%(例えば、少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%又は約70%)が、約9.0~約11.0nmの範囲のサイズのメソ細孔である。
【0113】
より特定の実施形態では、シリカ粒子の細孔の少なくとも約25%(例えば、約25%~約99%)が、約9.0~約11.0nmの範囲のサイズのメソ細孔である。
【0114】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子の細孔の少なくとも約25%(例えば、約25%~約99%)が、約9.0~約10.2nmの範囲のサイズのメソ細孔である。
【0115】
当業者であれば、メソポーラス範囲の細孔を有する多孔質シリカ粒子に言及する場合、必然的にそのような粒子が多孔質であることが必要であり、これは多孔質の挙動を示す粒子を含むことを理解するであろう。従って、多孔質シリカ粒子は、かなりの多孔度を有する粒子を指し、ある特定の実施形態では、粒子の細孔容積及び/又は表面積などの特徴を参照して定義され得、例えば、本明細書で定義されるパラメータを参照して定義され得る(本明細書で説明される特徴は、本明細書で説明される他の特徴と同様に、単独でも組み合わせても使用できる)。
【0116】
当業者であれば、各粒子内の細孔の全容積が粒子の表面積に影響を及ぼし得ることも理解するであろう。従って、より大きな細孔容積を有する粒子を調製すると、より大きな粒子表面積が可能になり、より大きな粒子表面積の観点から定義され得る。
【0117】
当業者であれば、粒子(又は粒子のサンプル)の表面積は、当業者に既知の技術であるブルナウアー・エメット・テラー(BET)理論を使用して計算できることを理解するであろう(例えば、Brunauer,S.,Emmett,P.H.,及びTeller,E.,J.Am.Chem.Soc.,60(2),309-319(1938)を参照のこと)。
【0118】
特定の実施形態では、シリカ粒子は、少なくとも約150m2/gのBET表面積を有する。
【0119】
より特定の実施形態では、シリカ粒子は、少なくとも約200m2/gのBET表面積を有する。
【0120】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子は、少なくとも約300m2/g(例えば、少なくとも約350m2/g)のBET表面積を有する。
【0121】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子は、少なくとも約400m2/g(例えば、少なくとも約450m2/g)のBET表面積を有する。
【0122】
特定の実施形態では、シリカ粒子は、少なくとも約500m2/gのBET表面積を有する。
【0123】
特定の実施形態では、BET表面積は、最大約1500m2/g(最大約1200m2/g又は1000m2/gなど)である。
【0124】
例えば、特定の実施形態では、シリカ粒子は、約200~約1500m2/gのBET表面積を有する。
【0125】
さらなる実施形態では、シリカ粒子は、約500~約1200m2/gのBET表面積を有する。
【0126】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約600~約1200m2/gのBET表面積を有する。
【0127】
代替実施形態では、シリカ粒子は、約600~約1000m2/gのBET表面積を有する。
【0128】
さらなる代替実施形態では、シリカ粒子は、約500~約900m2/g、例えば、約550~約900m2/gのBET表面積を有する。
【0129】
さらに、さらなる代替実施形態では、シリカ粒子は、約600~約850m2/gのBET表面積を有する。
【0130】
当業者であれば、多孔質シリカ粒子が様々な形状で提供され得ることを理解するであろう。
【0131】
特定の実施形態では、シリカ粒子は、実質的に非球形の形態(すなわち、アスペクト比が1:1より大きい、例えば、1.1:1より大きい)を有する。
【0132】
より特定の実施形態では、シリカ粒子のアスペクト比は、1.5:1より大きく、例えば、1.8:1より大きい。
【0133】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子のアスペクト比は、2:1以上である。
【0134】
本明細書で使用される場合、「アスペクト比」という用語は、シリカ粒子の最大断面直径と最小断面直径との間の比を指すものと理解される。
【0135】
あるいは、このような粒子(すなわち、実質的に非球形の形態を有する粒子)は、少なくとも1つの非対称な(すなわち、粒子の形態が平面を中心に異なる)平面(すなわち、粒子を二分する均等に分割する平面)を有するものとして説明され得る。
【0136】
より特定の実施形態では、シリカ粒子は、本質的に棒状の形態を有する。従って、特定の実施形態では、多孔質シリカ粒子は、電子顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)など、当業者に既知の技術を使用)で観察されるように、本質的に棒状の形態を有することによって特性評価され得、例えば、棒の長さは、約0.5~約5.0μmである。
【0137】
本明細書で使用される場合、本質的に棒状という用語は、棒に似た細長い形状の粒子を指すものと理解され、棒は、直線であっても湾曲してもよい(例えば、このような棒状の粒子は、実質的に直線であってもよい)。
【0138】
代替実施形態では、本発明のシリカ粒子は、実質的に球形であり得る(又は球形と呼ばれ得る)。従って、特定の実施形態では、本発明のシリカ粒子は、約1:1のアスペクト比(又は平均アスペクト比)を有し得る。
【0139】
さらなる実施形態では、本発明のシリカ粒子は、非晶質形状であり得る。
【0140】
当業者であれば、本明細書で使用される平均粒子サイズという用語は、粒子の最大点における平均直径を指し(例えば、棒状の粒子の場合はその長さ、球形の粒子の場合はその直径)、これは、当業者に記載の技術、例えば、電子顕微鏡技術を使用して(例えば、当業者に既知の走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)技術により)測定できることを理解するであろう。特定の実施形態では、粒子サイズは、電子顕微鏡(例えば、SEM)を使用して決定される。
【0141】
特定の実施形態では、例えば、粒子が球形であるなどの場合、粒子サイズは、その直径を基準にして定義され得る。
【0142】
特定のこのような実施形態では、シリカ粒子は、約0.1~約20.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0143】
より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約0.1~約15.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0144】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約0.1~約10.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0145】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約0.5~約10.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0146】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約0.5~約5.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0147】
ある特定の実施形態では、シリカ粒子は、約0.5~約4.5μmの平均粒子サイズを有する。
【0148】
特定の実施形態では、シリカ粒子は、約1.0~約10.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0149】
特定の実施形態では、シリカ粒子は、約1.0~約5.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0150】
より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約1.0~約4.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0151】
より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約1.0~約4.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0152】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約2.0~約4.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0153】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約3.0~約4.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0154】
さらなる実施形態では、例えば、粒子が棒状のものなどでは、粒子サイズは、その幅(最も狭い点の直径を指す)を基準にして定義され得る(又は、また定義され得る)。
【0155】
特定のこのような実施形態では、シリカ粒子は、約0.05~約0.6μmの平均幅を有する。
【0156】
より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約0.1~約0.6μmの平均幅を有する。
【0157】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約0.1~約0.4μmの平均幅を有する。
【0158】
さらに、より特定の実施形態では、シリカ粒子は、約0.2~約0.4μmの平均幅を有する。
【0159】
当業者であれば、本発明で説明されるタイプの多孔質シリカ材料は、典型的には、非結晶性であることを理解するであろう。従って、ある特定の実施形態では、多孔質シリカ粒子は、実質的に非結晶性の多孔質シリカ粒子として説明され得る(そして、複数のそのような粒子で形成された材料も同様に説明され得る)。従って、多孔質シリカ粒子は、非結晶性多孔質シリカ粒子として説明され得る。
【0160】
代替実施形態では、本発明の第1の態様に記載の粒子中に存在するシリカ材料は、非晶質であると説明され得る。このような実施形態では、非晶質という用語は、シリカ材料の構造(そこに存在する細孔を除く)が、結晶性物質に存在する可能性のある秩序などの実質的な秩序を持たないことを示すことが理解される(すなわち、多孔質シリカ粒子、又はシリカ材料は、非結晶性と呼ばれ得る)。
【0161】
本明細書で説明される場合、当業者であれば、本発明のシリカ材料が多孔質であることを理解するであろう。従って、本発明のシリカ粒子は、窒素吸着法(例えば、P/P0の最高値、例えば、P/P0=0.995で吸着された容積としてとられる)を使用して測定される、ある特定の最小全細孔容積、又はそのような容積の範囲を有すると言われ得る。
【0162】
特定の実施形態では、全細孔容積は、少なくとも約0.2cm3/g(例えば、少なくとも約0.3、0.4、0.5、0.6又は0.7cm3/g)である。
【0163】
特定の実施形態では、全細孔容積は、約0.2~約2.5cm3/gである。
【0164】
より特定の実施形態では、全細孔容積は、約0.2~約2.0cm3/gである。
【0165】
さらに、特定の実施形態では、全細孔容積は、約0.5~約1.5cm3/gである。
【0166】
さらに、より特定の実施形態では、全細孔容積は、約0.6~約1.4cm3/gである。
【0167】
例えば、ある特定の実施形態では、全細孔容積は、約0.7~約1.3cm3/gである。
【0168】
使用及びプロセス
本明細書で説明されるように、本発明の第1態様の口腔ケア組成物は、口腔ケア、例えば、う蝕、歯垢の蓄積、歯周病、歯周炎、及び/又は歯の喪失の防止(又は予防)を、それを必要とする対象で行うことにおいて有用であり得る。
【0169】
いくつかの実施形態では、本発明の第1態様の口腔ケア組成物は、口腔ケア、例えば、う蝕、歯垢の蓄積、歯周病、及び/又は歯の喪失の防止(又は予防)を、それを必要とする対象で行うことにおいて有用であり得る。
【0170】
本発明の第2態様では、う蝕、歯垢の蓄積、歯周病、歯周炎、及び/又は歯の喪失の防止(又は予防)における本発明の第1態様で定義される口腔ケア組成物の使用が提供される。
【0171】
いくつかの実施形態では、口腔ケア組成物の使用は、う蝕、歯垢の蓄積、歯周病、及び/又は歯の喪失の防止(又は予防)におけるものである。
【0172】
本発明の代替的な第2態様では、本発明の第1態様で定義される口腔ケア組成物が、う蝕、歯垢の蓄積、歯周病、歯周炎、及び/又は歯の喪失の防止(又は予防)に使用するために提供される。
【0173】
いくつかの実施形態では、口腔ケア組成物は、う蝕、歯垢の蓄積、歯周病、及び/又は歯の喪失の防止(又は予防)に使用されるものである。
【0174】
本発明のさらなる代替的な第2態様では、本発明の第1態様で定義される口腔ケア組成物の有効量を使用する(又は、口腔、すなわち、口、例えば、歯及び歯茎の表面などに投与/適用する)ステップを含む、う蝕の形成、歯垢の蓄積、歯周病、歯周炎、及び/又は歯の喪失を防止(又は予防)することを、それを必要とする対象において行う方法が提供される。
【0175】
いくつかの実施形態では、本発明の第1態様で定義される口腔ケア組成物の有効量を使用する(又は、口腔、すなわち、口、例えば、歯及び歯茎の表面などに投与/適用する)ステップを含む、う蝕の形成、歯垢の蓄積、歯周病、及び/又は歯の喪失を防止(又は予防)することを、それを必要とする対象において行う方法が提供される。
【0176】
本明細書で使用される場合、「防止(prevention)」(及び同様に、「防止すること(preventing)」)という用語は、病状の予防を含む(逆も同様)。具体的には、このような用語は、対象がその症状を発症する可能性の低減(例えば、少なくとも10%の低減、少なくとも20%、30%又は40%の低減など、例えば、少なくとも50%の低減)を達成することを指すことができる。
【0177】
疑義を避けるために、当業者であれば、そのような使用及び方法が、それを必要とする対象において行われることを理解するであろう。対象に対するこのような使用及び方法の必要性は、当業者が日常的な技術を使用して評価することができる。
【0178】
本明細書で使用される場合、対象への言及は、哺乳類(例えば、ヒト)の患者を含む、治療対象となる生体を指す。具体的には、対象は、成人年齢のヒト(すなわち、18歳以上のヒト)などのヒトを指す。
【0179】
当業者であれば、本発明の第1態様の口腔ケア組成物に関連する使用及び方法は、提供された形態での使用に適切であり得るステップをさらに含み得ることを理解するであろう。
【0180】
例えば、口腔ケア組成物が歯磨き剤の形態で提供される場合、そのような使用及び方法は、組成物を適切な清掃用具(例えば、歯ブラシ)に適用し、その後、それを使用して歯を洗浄(ブラッシング又は研磨、ブラッシングなど)するなど、組成物を使用して歯をブラッシング又は研磨する(すなわち、例えば、ブラッシングによって洗浄する)ステップ(複数可)を含み得る。
【0181】
同様に、口腔ケア組成物が液体(例えば、マウスウォッシュ)の形態で提供される場合、そのような使用及び方法は、組成物を適量口中に取り、一定時間(例えば、約30秒~約60秒)口中に保持し(及び任意選択で口の周りを動かし)、その後、組成物を口から排出するなどして、口をすすぐ又は洗浄する(例えば、すすぐ)ために組成物を使用するステップ(複数可)を含み得る。
【0182】
本明細書で説明されるように、本発明の組成物は、粉末又はゲル(例えば、ムース)の形態をとることもでき、当該技術分野で知られているような製品の一般的な使用法に従って使用することができる。例えば、ムースの形態の場合、組成物は、口腔内に一定時間(例えば、約1分間)適用され、その後、口腔は水ですすがれてもされなくてもよい(例えば、口腔はすすがれず、その場合、組成物は、非すすぎ型と呼ばれ得る)。
【0183】
本明細書で説明されるように、本発明の第1態様に記載の組成物は、一般的に口腔ケア、例えば、口腔の洗浄(例えば、ブラッシング、研磨、すすぎ、洗浄などによる歯の表面の洗浄)に使用され得る。
【0184】
本発明の第3態様では、本発明の第1態様で説明される組成物を口腔ケア製品として使用することが提供される。
【0185】
当業者であれば、口腔ケア製品への言及は、歯垢の蓄積、歯周病、歯周炎、及び/又は歯の喪失の防止又は予防、ならびに口腔の感染症の治療又は防止(又は予防)のための製品などの口腔衛生製品(すなわち、口腔の健康を促進するための製品)への言及を含むことを理解するであろう。
【0186】
本発明の第4態様では、口腔(例えば、歯、その表面など)の洗浄(例えば、ブラッシング、研磨、すすぎ又は洗浄による)における本発明の第1態様に記載の組成物の使用が提供される。
【0187】
当業者であれば、本明細書で説明される口腔(すなわち、口の内部、例えば、歯及び歯茎の表面)を洗浄する方法は、本発明の第1態様で説明される組成物を口腔に適用するステップを含み得ることを理解するであろう。
【0188】
当業者であれば、本発明の第1態様で説明される口腔ケア組成物は、その成分を混合するなど、当該技術分野で知られている標準的な技術を使用して調製できることを理解するであろう。
【0189】
従って、本発明のさらなる態様では、組成物の成分を混合物(実質的に均質な混合物など)の形態にすることを含む、口腔ケア組成物を調製するためのプロセスが提供される。
【0190】
さらに、本発明のさらなる態様では、本明細書で定義される組成物(例えば、本発明の第1態様及び第2態様)の製造に対する本発明の第1の態様に関連して定義されるシリカ材料の使用が提供される。
【0191】
理論に縛られるつもりはないが、生体内で生体分子の分子ふるいとして効果的に機能することができるメソポーラス範囲の特定の平均細孔サイズを有する、ある特定の多孔質シリカ材料の使用により、う蝕の形成の軽減及び口腔衛生の改善の他の態様において特性が改善された口腔ケア組成物を調製できると考えられる。
【0192】
具体的には、本明細書で説明されるように、メソポーラス範囲内の特定の平均細孔サイズを有すメソポーラスシリカ粒子の使用により、口内での唾液アミラーゼ酵素の効果的な吸収が可能になると考えられており、これは、このような細孔を欠くシリカ粒子では観察されないため、当技術分野で知られている口腔ケア組成物よりも優れた利点が得られる。さらに、このようなメソポーラスシリカ粒子の使用は、う蝕原性細菌バイオフィルムの形成を減少させると考えられており、口腔の健康の改善にもさらなる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【
図1.1】(A)~(D)は、窒素吸着分析である。実施例1で説明される様々なタイプのシリカの吸着-脱着等温線(
図1.1(A)及び1.1(B))、及びDFTモデルを使用した吸着曲線から導出された細孔サイズ分布(
図1.1(C)及び1.1(D))である。
【
図1.2】実施例1のシリカのSEM顕微鏡写真である。
【
図2.1】練り歯磨きに含まれるシリカは、炭水化物の消化を効果的に抑制する。様々なタイプのシリカが界面活性剤を含めずに練り歯磨き(TP1)に配合され、ヒト唾液アミラーゼによる炭水化物の消化を抑制する効果を試験した。いかなるシリカも含まない同じ練り歯磨き製剤(シリカなし)が対照として含まれており、これは基礎消化レベル(点線)を表す。データは、平均±標準誤差(SE)(n=2)として示される。
【
図2.2】界面活性剤を含まないマウスウォッシュ製剤のシリカは、炭水化物の消化を効果的に抑制する。様々なタイプのシリカが界面活性剤を含まないマウスウォッシュ(MW1)に配合され、ヒト唾液アミラーゼによる炭水化物の消化を抑制する効果を試験した。シリカを含まない同じマウスウォッシュ製剤(シリカなし)が対照として含まれており、これは基礎消化レベル(点線)を表す。データは、平均±SE(n=2)として示される。
【
図2.3】界面活性剤を含有するマウスウォッシュは、炭水化物の消化を抑制するシリカの効力を低下させる。様々なタイプのシリカを、ポリソルベート80(A、MW2)又はPEG-40ヒマシ油(B、MW3)を含有するマウスウォッシュ製剤で調製し、ヒト唾液アミラーゼによる炭水化物の消化を抑制する効果を試験した。データは、平均±SE(n=2)として示される。
【
図2.4】炭水化物消化アッセイにおけるコカミドプロピルベタインの効果である。シリカ3を様々な濃度のコカミドプロピルベタイン溶液(界面活性剤)に懸濁し、ヒト唾液アミラーゼによる炭水化物の消化を抑制する効果を評価した。シリカを含まない同じ濃度のコカミドプロピルベタイン溶液(シリカなし)も評価し、それらの濃度での消化の基礎レベルを得た。データは、平均±SE(n=2)として示される。
【
図2.5】炭水化物消化アッセイにおけるポリソルベート80の効果である。シリカ3を様々な濃度のポリソルベート80溶液(界面活性剤)に懸濁し、ヒト唾液アミラーゼによる炭水化物の消化を抑制する効果を評価した。シリカを含まない同じ濃度のポリソルベート80溶液(シリカなし)も評価し、それらの濃度での消化の基礎レベルを得た。データは、平均±SE(n=2)として示される。
【
図2.6】炭水化物消化アッセイにおけるポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルの効果である。シリカ3を様々な濃度のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル溶液(界面活性剤)に懸濁し、ヒト唾液アミラーゼによる炭水化物の消化を抑制する効果を評価した。シリカを含まない同じ濃度のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル溶液(シリカなし)も評価し、それらの濃度での消化の基礎レベルを得た。データは、平均±SE(n=2)として示される。
【
図2.7】本発明のシリカと同様の平均細孔サイズを有するが、細孔サイズ分布が広いシリカ(シリカ8)は、炭水化物の消化を抑制することができなかった。「シリカなし」のサンプルは、消化の基礎レベルを表し、シリカ8の消化レベルは、基礎レベルと変わらない。データは、平均±SE(n=2)として示される。
【
図3】シリカは、ヒト唾液中の唾液アミラーゼによる炭水化物の消化を抑制する。2つのタイプの異なるシリカをヒト唾液とともに培養し、炭水化物の消化を抑制する効果を調べた。データは、平均±標準偏差(SD)(n=4)として示される。
【
図4.1】(A)~(E)は、様々なシリカがう蝕原性細菌の増殖に対する効果である。シリカ3及び4を、ヒト唾液アミラーゼとともに事前にインキュベートし、その後、炭水化物消化アッセイにかけた。酵素を不活性化した後、デンプンの消化産物をS.mutans培養物に与えた。いくつかの測定、すなわち最初の8時間の細菌の増殖(A、B)、様々な時点での唾液アミラーゼ不活性化後の消化混合物中の未消化デンプンの量(C)、消化産物への曝露から24時間後の細菌質量(D)、及び消化産物への曝露から24時間後の培養培地中の未消化デンプンの量(E)の測定が行われた。データは、平均±SE(n=28)として示される。
【
図4.2】(A)~(E)は、1%デンプン培地における様々なシリカのう蝕原性細菌の増殖に対する効果である。シリカ3及び4をヒト唾液アミラーゼとともに事前にインキュベートした。プレインキュベーション混合物を、1%デンプンを含有するS.mutans培養物に加えた。いくつかの測定、すなわち細菌の増殖(A、B)、様々な時点でのプレインキュベーション混合物への曝露後の培養培地中の未消化デンプンの量(C)、プレインキュベーション混合物への曝露から24時間後の細菌質量(D)、プレインキュベーション混合物への曝露から24時間後の培養培地中の未消化デンプンの量(E)の測定が行われた。データは、平均±SE(n=28)として示される。
【
図4.3】(A)~(E)は、1%デンプンを含有する培養培地における様々なシリカのう蝕原性細菌の増殖に対する効果である。シリカ3、5及び7をヒト唾液アミラーゼとともに事前にインキュベートした。プレインキュベーション混合物を、1%デンプンを含有するS.mutans培養物に加えた。いくつかの測定、すなわち最初の8時間の細菌の増殖(A~C)、プレインキュベーション混合物の添加後24時間での細菌質量(D)、プレインキュベーション混合物の添加後24時間での培養培地中の未消化デンプンの量(E)の測定が行われた。データは、平均±SE(n=11)として示される。
【
図5】様々なシリカの、う蝕原性細菌バイオフィルムの形成に対する効果である。シリカ3、5及び7をヒト唾液アミラーゼとともに事前にインキュベートした。プレインキュベーション混合物中のアミラーゼを、1%デンプンを含有するS.mutans培養物に加えた。いくつかの測定、すなわちプレインキュベーション混合物の添加後24時間における細菌の増殖(A)、プレインキュベーション混合物の添加後24時間における培養培地中の未消化デンプンの量(B)、及びプレインキュベーション混合物の添加後24時間における形成されたバイオフィルムの量(C)の測定が行われた。データは、平均±SE(n=22)として示される。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0194】
本発明は、以下の実施例を参照してさらに説明されるが、実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0195】
実施例1:多孔質シリカ材料の調製/特性評価
材料
シリカ1、シリカ2及びシリカ3は、以前に記載されたプロセスに従って製造された(Waara,ER et al.,Adv.Healthcare Mater.9(11),e2000057(2020)及びBaek,J et al.,Nanomedicine(2021)、特にそこに記載の実験手順を参照のこと)。
【0196】
簡単に説明すると、メソ構造テンプレート剤(P123、平均分子量=5800gmol-1のトリブロック共重合体、PEO20PPO70PEO20)を、1.6Mに相当する酸濃度で塩酸(HCl)に溶解した。P123を完全に溶解した後、40℃で激しく撹拌しながらテトラエチルオルトケイ酸(TEOS)を加えた。溶液中のP123:TEOSの最終モル比は、0.02:1.00であり、TEOS:HCl:H2Oのモル比は、1:6:235(シリカ1)、1:7:250(シリカ2)又は1:7:230(シリカ3)であった。合成は、40℃で20時間静止状態に保たれ、さらに100℃で20時間(シリカ1)、85℃で1.3時間(シリカ2)又は100℃で10時間(シリカ3)水熱処理された。
【0197】
シリカ4は、Nouryon Pulp and Performance Chemicals ABから購入したKromasil 100-13-SILであった。
【0198】
シリカ5(Sylodent)は、W.R.Grace & Co.から入手した、練り歯磨きによく使用される非多孔質シリカであるSylodent SM850Cであった。
【0199】
シリカ6は、AGC Si-Techから入手したSunsphere H-31であった。
【0200】
シリカ7は、AGC Si-Techから入手したSunsphere NP-30であった。
【0201】
シリカ8は、PPG Industries,Inc.から入手したLO-VEL 6200であった。
【0202】
窒素吸着分析
ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積は、相対圧力(p/p°)<0.2での吸着等温線から計算された(
図1.1A及び
図1.1Bのグラフ)。全細孔容積は、相対圧力(p/p°)=0.995で記録された。平均細孔サイズと細孔サイズ分布は、密度汎関数理論(DFT)法を使用した吸着曲線、又はバレット・ジョイナー・ハレンダ(BJH)法を使用した脱着曲線から導出された。DFTと円筒形細孔-酸化物表面モデルを使用した吸着曲線から得られたシリカ粒子の細孔サイズ分布データは、
図1.1C及び
図1.1Dに示される。測定は、TriStar II容積吸着分析装置を使用して液体窒素温度(-196℃)で行われ、データ分析は、TriStar IIバージョン2.03用ソフトウェアMicroActive(Micromeritics Instrument Corp.,GA,USA)を使用して行われた。
【0203】
粒子サイズ
JSM-7401F(JEOL Ltd.,Tokyo,Japan)を使用した走査型電子顕微鏡法が、SEM顕微鏡写真から粒子サイズと形態を特性評価するために使用された(
図1.2)。平均粒子サイズ(棒状粒子シリカ1、シリカ2及びシリカ3の長さと幅、球形粒子シリカ4、シリカ6及びシリカ7の直径)は、ImageJを使用して50個以上の粒子から分析された(Fiji;see Schindelin J,Arganda-Carreras I,Frise E et al.,Fiji:an open-source platform for biological-image analysis.,Nat.Methods,9(7),676-682(2012))。試験対象のシリカ材料の様々な特性は、上記技術と動作条件を使用して測定された。特定された特徴は、以下の表1に記載される。
【表1】
これらのシリカ材料の特性の分析は、本明細書で説明された
図1.1(A)~(D)及び
図1.2にも示される。
【0204】
実施例2:炭水化物消化アッセイ
作業溶液と標準曲線サンプルの調製
アッセイの前に、いくつかの作業溶液を調製した。まず、60~80mgのメソポーラスシリカ又は対照シリカを秤量し、120℃で一晩乾燥させた。翌日、シリカを再度秤量し、乾燥後の正確な重量を取得し、二回蒸留水(ddH2O)を使用して20mg/mLシリカ懸濁液を調製した。シリカ3の場合、均質な懸濁液を得るために超音波処理が必要であった。簡単に説明すると、2mmのマイクロチップ(Vibra cell)を超音波処理装置(Vibra cell)に取り付け、シリカ懸濁液をパルスなしで40%の振幅で3分間超音波処理した。超音波処理後、シリカ懸濁液を反転させて数回混合し、目視で検査した。シリカの塊がまだ残っている場合は、超音波処理をもう一度繰り返した。一般的に、超音波処理を2回行うと、塊がほとんど残らないか、ほとんど残らない分散液を得た。1×PBSをPBSタブレット(Medicago、09-2052-100)1錠を200mLのddH2Oに溶解して調製した。溶解後、pHを5.4に調整した。凍結乾燥したヒト唾液アミラーゼをddH2Oで再水和して40mg/mLの原液を作製した。実験当日に、必要量の原溶液を1×PBS(pH5.4)で希釈して、作業溶液(8mg/mL)を新たに調製した。デンプン原液(6mg/mL)を、純粋なデンプン粉末(Generation Ucan)を1×PBS(pH5.4)に混合して調製した。デンプンはPBSに容易に溶解しないため、デンプン溶液が沸騰し始めてデンプン粉末が底に沈まなくなるまで、デンプン溶液を電子レンジで数回(毎回10~20秒)加熱した。全てが溶解した後も、デンプン溶液は不透明なままであった。アッセイの消化部分を実行する際、消化を開始する前にデンプン原液を室温に平衡化した。デンプン標準曲線サンプル(各300μL)を、1xPBS(pH5.4)を使用して段階希釈によって調製した。標準曲線サンプルの濃度は、1.5、0.75、0.375、0.1875、0.0938、0.0465及び0mg/mLであった。連続希釈後、各標準曲線サンプルに75μLの1N HCl(Sigma Aldrich、1090571000)を加えた。界面活性剤(コカミドプロピルベタイン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル)原液(1.0重量%)を、ddH2Oを使用して調製した。
【0205】
試験製剤の調製
試験製剤は、水中シリカ懸濁液40μl(20mg/mL)と原液又はストックゲル140μl(濃度が表2による)を混合して調製した。
【表2】
【0206】
唾液アミラーゼのシリカによる吸着
デンプン消化ステップの前に、各サンプルをまず唾液アミラーゼとともに37℃で15分間インキュベートし、酵素の吸着/捕捉を行った。
【0207】
マウスウォッシュ製剤については、唾液アミラーゼ溶液(8mg/mL)20μLとシリカを含有するマウスウォッシュ製剤(表2に従って調製)180μLを1.5mLマイクロ遠心管で混合してインキュベーション混合物を調製した。このインキュベーション混合物を、ローテータ(Harvard Apparatus、74-2302)によって垂直回転させながら、37℃で15分間インキュベートした。
【0208】
練り歯磨き製剤については、唾液アミラーゼ溶液(8mg/mL)15μLとシリカを含有する練り歯磨き製剤(表2に従って調製)135μLを1.5mLマイクロ遠心管で混合してインキュベーション混合物を調製した。このインキュベーション混合物を、水平振盪(200rpm)しながら37℃のウォーターバスでインキュベートした。
【0209】
個々の界面活性剤溶液を試験するために、界面活性剤(コカミドプロピルベタイン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル)の原液(1.0重量%)を、ddH2Oを使用して0.5、0.25、0.1、0.05重量%の濃度になるように希釈し、各溶液にシリカを4mg/mLの濃度で分散した。インキュベーション混合物を、1.5mLマイクロ遠心管で唾液アミラーゼ溶液(8mg/mL)20μLとシリカを含有する希釈界面活性剤溶液(4mg/mL)180μLを混合して調製した。このインキュベーション混合物を、ローテータ(Harvard Apparatus、74-2302)によって垂直回転させながら、37℃で15分間インキュベートした。
【0210】
シリカ8を試験するために、水中のシリカ懸濁液40μl(20mg/mL)を140μlの1×PBS溶液と混合して、4mg/mLのシリカ分散液を作成した。インキュベーション混合物を、1.5mLマイクロ遠心管に唾液アミラーゼ溶液(8mg/mL)20μLとシリカ懸濁液(4mg/mL)180μLを混合して調製した。このインキュベーション混合物を、ローテータ(Harvard Apparatus、74-2302)によって垂直回転させながら、37℃で15分間インキュベートした。
【0211】
インキュベーション後、150μLのインキュベーション混合物を1.45mLのddH2Oと3.4mLの1×PBS(pH5.4)と混合して、希釈インキュベーション混合物を調製した。各炭水化物消化アッセイでは、基礎消化レベルを監視するために、ブランクサンプル(シリカサンプルなし)が常に含まれた。このサンプルでは、シリカ懸濁液の代わりにddH2Oを試験製剤に加えた。
【0212】
デンプンの消化
デンプンの消化は、0、5又は20分という様々な期間にわたって行われた。各時点に反応混合物(800μL)を調製し、これは、デンプン(6mg/mL)と希釈インキュベーション混合物の1:1の比率を含有した。各時点において、400μLのデンプン原液(6mg/mL)を1.5mLマイクロ遠心管に分注した。次に、希釈したインキュベーション混合物を各管に400μL加えた。0分の時点で、まず、200μLの1N HClをデンプン溶液に加え、次に、400μLの希釈インキュベーション混合物を加えた。各反応混合物をすぐに反転させて混合し、その後、それぞれの時間にわたって水平振盪(200rpm)しながら37℃のウォーターバスでインキュベートした。インキュベーションが完了したら、すぐに1N HCl 200μLを加えて消化を終了した。
【0213】
消化デンプンの比色定量
消化されたデンプンの量を、5mMヨウ素(Merck、1.09099.1003)を使用して、様々な時点で定量化した。各反応混合物は、96ウェルプレート(Corning、CLS3370)に分注する前に軽くボルテックスした。各反応混合物(シリカサンプルと標準曲線サンプル)の75μLを2重に分注した。各ウェルに、マルチチャンネルピペットを使用して5mMヨウ素溶液75μLを分注し、570nmで吸光度を読み取った。
【0214】
消化デンプンの量の計算
消化デンプンの量は、所定のシリカが消化を抑制する効果を示す。各サンプル中の未消化デンプンの濃度を、デンプン標準曲線の傾きと切片から推定した。次に、0分の時点を100%未消化デンプンとして、未消化デンプンの百分率を計算した。消化デンプンの百分率は、100から消化されなかったデンプンの百分率を差し引いて計算された。5分の時点(シリカ8の試験を除く全ての消化アッセイ)又は20分の時点(シリカ8の試験)での消化デンプンの百分率を棒グラフとしてプロットした。全ての消化アッセイで、シリカサンプルを含めず、それが基礎消化レベルを表した。
【0215】
これらの実験の結果は、本明細書で説明されるように、
図2.1、
図2.2、
図2.3(A)~(B)、
図2.4、
図2.5、
図2.6及び
図2.7にも示される。
【0216】
実施例3:ヒト唾液を使用した炭水化物消化アッセイ
2×PBSの調製
2×PBSは、2錠のPBSタブレット(Medicago、09-2052-100)を200mLの二回蒸留水(ddH2O)に溶解して調製した。溶解後、pHを5.4に調整した。
【0217】
ヒト唾液の採取及び調製
ヒト唾液(2~3mL)を試験管に採取した。採取後すぐに唾液サンプルを5000rpmで5分間遠心分離し、粒子や沈殿物を除去した。上清(サンプルあたり250μL)を採取し、分析まで-20℃で保存した。分析当日に唾液サンプルを解凍し、2×PBS(pH5.4)を使用して1:50に希釈した。これは、唾液作業溶液と呼ばれた。
【0218】
シリカ及びその作業溶液の調製
約60~80mgのメソポーラスシリカを量り、120℃で一晩乾燥させた。翌日、シリカを再度秤量し、乾燥後の正確な重量を取得し、ddH2Oを使用して20mg/mLのシリカ懸濁液を調製した。シリカを均質に分散させるには、シリカ懸濁液の超音波処理が必要であった。マイクロチップ(Vibra cell、630-0423)を超音波処理装置(Vibra cell、VCX 130)に取り付け、シリカ懸濁液をパルスなしで40%の振幅で3分間超音波処理した。一般的に、超音波処理を2回行うと、塊がほとんど残らない均質な溶液を得た。
【0219】
デンプン溶液及びDNS試薬の調製
デンプン溶液(3mg/mL)を、純粋なデンプン粉末(Sigma Aldrich、33615)を1×PBS(pH7.4)に混合して調製した。デンプンがPBSに容易に溶解しないため、デンプン溶液が沸騰し始めてデンプン粉末が底に沈まなくなるまで、デンプン溶液を電子レンジで数回(毎回10~20秒)加熱した。全てが溶解した後も、デンプン溶液は不透明なままであった。アッセイの消化部分を実行する際、消化を開始する前にデンプン溶液を室温に平衡化した。3,5-ジニトロサリチル酸(DNS、Sigma Aldrich、D0550、0.2μM)を、1gのDNSを20mLの2M NaOHに溶解して調製した。この溶液に酒石酸ナトリウム30gを加えた。溶液にddH2Oを加えて最終容積を100mLにした。溶液をマグネティックスターラで絶えず撹拌し、50℃で2時間加熱した。最終溶液を濾過し、4℃で保存した。
【0220】
唾液アミラーゼのシリカによる吸着
様々なシリカ濃度(0.312~20mg/mL、各60μL)を、ddH2Oを使用して96ウェルPCRプレート(VWR、732-2387)で段階希釈して調製した。唾液作業溶液60μLを各ウェルに分注した。プレートを密封し(Bio-rad、MSB1001)、ローテータ(Harvard Apparatus、74-2302)を使用して回転させながら37℃で30分間インキュベートした。インキュベーションが完了したら、プレートを室温にて2000×gで5分間遠心分離した。各ウェルの上清(30μL)を新しい96ウェルPCRプレートに移した。
【0221】
還元糖の比色定量
上清を含有する各ウェルに、30μLのデンプン溶液(3mg/mL)を加えた。プレートを密封し、ローテータを使用して回転させながら37℃で30分間インキュベートした。インキュベーションが終了したら、各ウェルに60μLのDNS溶液(0.2μM)を加えた。プレートを密封し、PCR装置を使用して95℃で7分間再度インキュベートした。最終インキュベーション後、100μLの溶液を96ウェルプレート(Corning、CLS3370)に移し、540nmで吸光度を読み取った。
【0222】
これらの実験の結果は、本明細書で説明するように
図3にも示される。
【0223】
実施例4:う蝕原性細菌の増殖測定
作業溶液の調製
1×PBS:1×PBSを、PBSタブレット(Medicago、09-2052-100)1錠を200mLの再蒸留水(ddH2O)に溶解して調製した。溶解後、pHを5.4に調整した。その後、溶液をオートクレーブ処理(121℃、20分)した。
【0224】
ブレインハートインフュージョン(BHI)培養液:37gのBHI粉末(BD Diagnostic Systems、237500)を1LのddH2Oに溶解した。1%デンプンを含有するBHIブロスを調製するために、BHI培養液に10gのデンプン粉末(Generation Ucan)を加えた。その後、培養液をオートクレーブ処理(121℃、20分)した。
【0225】
デンプン原液(6mg/mL):デンプン原液を調製するために、デンプン粉末を120℃で6時間加熱して滅菌した。滅菌したデンプン粉末をオートクレーブ処理した1×PBS(pH5.4)に加え、6mg/mLの原液を作製した。デンプンがPBSに容易に溶けないため、溶液が沸騰し始めてデンプン粉末が底に沈殿しなくなるまで、溶液を電子レンジで数回(毎回10~20秒)加熱した。全てが溶解した後も、デンプン溶液は不透明なままであった。
【0226】
シリカ(20mg/mL):60~80mgのメソポーラスシリカ又は対照シリカを秤量し、120℃で一晩乾燥させた。翌日、シリカを再度秤量し、乾燥後の正確な重量を取得し、オートクレーブ処理したddH2Oを使用して20mg/mLシリカ懸濁液を調製した。シリカ3の場合、均質な懸濁液を得るために超音波処理が必要であった。簡単に説明すると、2mmのマイクロチップ(Vibra cell)を超音波処理装置(Vibra cell)に取り付け、シリカ懸濁液をパルスなしで40%の振幅で3分間超音波処理した。超音波処理後、シリカ懸濁液を反転させて数回混合し、目視で検査した。シリカの塊がまだ残っている場合は、超音波処理をもう一度繰り返した。一般的に、超音波処理を2回行うと、塊がほとんど残らないか、ほとんど残らない分散液を得た。
【0227】
ヒト唾液アミラーゼ:凍結乾燥したヒト唾液アミラーゼ(Sigma Aldrich、A1031)をddH2Oで再水和して40mg/mLの原液を作製した。実験当日に、必要量の原溶液をオートクレーブ処理した1×PBS(pH5.4)で希釈して、作業溶液(8mg/mL)を新たに調製した。
【0228】
ミュータンス菌培養の準備
ミュータンス連鎖球菌(S.mutans)は、口腔内に生息する主なう蝕原性細菌の一つで、う蝕に大きく寄与する。凍結乾燥したS.mutans(American Type Culture Collection(ATCC)、25175)を5mLのBHI培養液で再水和した。0.5mLの懸濁液を4つのオートクレーブ処理した試験管に分注し、その後、4.5mLのBHI培養液を全ての試験管に加えた。接種管を、一定速度で撹拌しながら(シェーカを120rpmに設定)、37℃で少なくとも30時間培養した。インキュベーション後、培養サンプルを10又は20%グリセロール(Sigma Aldrich、G9012)中、-80℃で保存した。S.mutansをBHI培養液又は1%デンプンを含有するBHI培養液で培養した。10%グリセロールストック中のS.mutansを各培養液45mLに接種し、一定速度で撹拌しながら37℃で24~30時間培養した。培養物を実験当日まで4℃で保管したが、48時間を超えないようにした。実験当日、それぞれの培養液40mLを培養物に加え、回転プラットフォーム上、37℃で1時間培養した。インキュベーション後、細菌培養物をそれぞれの培養液で希釈し、OD600を約0.1(対数増殖期初期)に調整した。
【0229】
唾液アミラーゼのシリカによる吸着
デンプン消化ステップの前に、各シリカサンプルをまず唾液アミラーゼとともにインキュベートして酵素吸着させた。インキュベーション混合物を、1.5mLマイクロ遠心管に140μLの1×PBS(pH5.4)、40μLのシリカ(4mg/mL)及び20μLの唾液アミラーゼ作業溶液(8mg/mL)を混合して調製した。対照として、シリカの代わりにddH2Oが追加されたブランクサンプル(シリカなしのサンプル)が常に含まれた。インキュベーション混合物を、ローテータ(Harvard Apparatus、74-2302)を使用して垂直回転させながら、37℃で15分間インキュベートした。インキュベーション後、150μLのインキュベーション混合物を1.48mLのddH2Oと3.4mLの1×PBS(pH5.4)で希釈した。
【0230】
デンプン消化及びS.mutansへのデンプン消化産物の摂取
400μLの希釈インキュベーション混合物を400μLのオートクレーブ滅菌デンプン原液(6mg/mL)と混合し、37℃のウォーターバスで水平振盪(200rpm)しながら10分間インキュベートした。その後、サンプルを95℃で45分間インキュベートして唾液アミラーゼを不活性化した。不活性化後、サンプルを室温にて5000rpmで5分間遠心分離した。次に上清を新しい1.5mLのマイクロ遠心管に移した。この反応混合物の最終濃度は、以下のとおりである。60μg/mLシリカ、12μg/mL唾液アミラーゼ、3mg/mLデンプン。
【0231】
150μLの細菌培養物を96ウェルプレート(Corning、CLS3370)に分注し、各ウェルに50μLの反応混合物を加えた。対照として、反応混合物の代わりに100μLの1×PBSを加えた。培養物を、一定速度で撹拌しながら37℃で24時間培養した。最初の8時間は、30分ごとにOD600を測定して細菌の増殖を監視した。24時間後、最終的なOD600を測定した。24時間後は、ヨウ素を使用した比色測定によって未消化デンプンの量も定量化した。
【0232】
デンプン分解が培養中にリアルタイムで起こる間のS.mutansの増殖
この設定では、S.mutansを、1%デンプンを含有するBHI培養液で培養した。希釈した唾液アミラーゼ-シリカインキュベーション混合物を細菌培養物に加えると、BHI培養液中のデンプン消化がリアルタイムで起こった。唾液アミラーゼのシリカによる吸着は、上記のように行われた。シリカによる酵素吸着後、インキュベーション混合物を室温にて5分間5000rpmで遠心分離した。次に、上清150μLを1.48mLのddH2Oと3.4mLの1×PBS(pH5.4)で希釈し、希釈唾液アミラーゼ-シリカインキュベーション混合物を調製した。96ウェルプレートで、細菌培養液(1%デンプンを含有するBHI培養液)150μLを各ウェルに分注し、希釈した唾液アミラーゼ-シリカインキュベーション混合物50μLを加えた。対照として、インキュベーション混合物の代わりに50μLの1×PBS(pH5.4)を加えた。培養物を、最大24時間、一定に撹拌しながら37℃で培養した。最初の8時間は、30分ごとにOD600測定によって細菌の増殖を監視し、24時間後に最終的なOD600測定値を読み取った。培養期間中の培養液中の未消化デンプンの量を定量化するために、代表的な培養時点(0、4、8及び24時間)ごとにプレートを準備した。未消化デンプンの量を、ヨウ素を使用した比色測定によって定量化した。
【0233】
未消化デンプンの比色定量
培養液中の未消化デンプンの量を、ヨウ素(Merck、1.09099.1003)を使用して定量化した。簡単に説明すると、30μLの培養液を新しい96ウェルプレートに移し、次に、45μLのddH2Oを各ウェルに分注した。次に、5mMヨウ素75μLを全てのウェルに加え、570nmで吸光度を読み取った。
【0234】
これらの実験結果は、本明細書で説明されるように、
図4.1(A)~(E)、
図4.2(A)~(E)及び
図4.3(A)~(E)にも示される。
【0235】
実施例5:バイオフィルム形成アッセイ
バイオフィルム形成のための細菌培養の準備
Streptococcus mutans細菌培養物を調製し、96ウェルプレート(Corning、CLS3370)に播種した。細菌増殖評価で説明したように、各ウェルに50μLのプレインキュベーション反応混合物を加えた。培養物を撹拌せずに37℃で24時間培養した。
【0236】
バイオフィルム質量の比色測定
24時間培養後、プレートを反転させてS.mutans培養培地を除去し、ウェルを150μLの1×PBSで洗浄した。プレートを反転させPBSを廃棄し、各ウェルに残っている溶液を200μLピペットで除去した。バイオフィルムを固定するために、全てのウェルにメタノール(Sigma Aldrich、179957)200μLを加え、プレートを室温で20分間静置した。プレートを反転させてメタノールを除去した後、プレートを室温で約10分間開いたままにして、各ウェルに残っているメタノールを蒸発させた。メタノールが蒸発し、ウェルが乾燥した後、各ウェルに200μLの0.002%クリスタルバイオレット溶液を加えてバイオフィルムを染色した。0.002%クリスタルバイオレット溶液を、1%クリスタルバイオレット原液(Sigma Aldrich、V5265)をddH2Oで希釈して調製した。0.002%クリスタルバイオレットを加えた後、プレートをアルミホイルで覆い、室温で40分間静置した。インキュベーション後、プレートを反転させて0.002%クリスタルバイオレット溶液を廃棄して、残った溶液を200μLピペットで除去した。各ウェルに200μLの98%エタノール(Sigma Aldrich、1009831011)を加え、プレートをアルミホイルで覆い、振盪プラットフォーム上、室温で30分間インキュベートした。形成されたバイオフィルムの量は、エタノールによる脱色ステップの直後に、波長590nmでウェル内のODを測定することによって評価した。
【0237】
その他の測定
24時間の培養後、(600nmでODを測定することにより)細菌の増殖を上記のように評価した。測定後、30μLの培養培地を新しい96ウェルプレートに移し、各ウェルに45μLのddH2Oを分注した。培地中に残っている未消化デンプンのレベルを定量化するために、5mMヨウ素75μLを加え、上記のように比色測定を行った。
【0238】
これらの実験の結果は、本明細書で説明するように、
図5(A)~(C)にも示される。
【国際調査報告】