(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩の、1-ヘキセンのエポキシ化反応の触媒における使用
(51)【国際特許分類】
B01J 29/89 20060101AFI20250130BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20250130BHJP
C07D 301/12 20060101ALI20250130BHJP
C07D 303/04 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B01J29/89 Z
B01J37/08
C07D301/12
C07D303/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546330
(86)(22)【出願日】2023-10-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 CN2023123509
(87)【国際公開番号】W WO2024139510
(87)【国際公開日】2024-07-04
(31)【優先権主張番号】202211736091.6
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524290624
【氏名又は名称】チャイナ ナショナル ペトロリアム コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CHINA NATIONAL PETROLEUM CORPORATION
【住所又は居所原語表記】9 Dongzhimen North Street, Dongcheng District, Beijing 100007, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャオ コアンホイ
(72)【発明者】
【氏名】フォン シアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ チンチョン
(72)【発明者】
【氏名】リウ イーピン
(72)【発明者】
【氏名】リー チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チャオホー
(72)【発明者】
【氏名】カオ モン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チュンチー
(72)【発明者】
【氏名】ツォン チュンイン
(72)【発明者】
【氏名】チェン チエン
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA08
4G169BA02C
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC50C
4G169BD13C
4G169BE06C
4G169BE14C
4G169BE17C
4G169BE32C
4G169CB73
4G169FA01
4G169FB78
4G169FC02
4G169FC07
4G169FC08
4G169FC09
4G169ZA37A
4G169ZA37B
4G169ZB02
4G169ZB03
4G169ZB07
4G169ZB08
4G169ZB09
(57)【要約】
本願は、表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩の、1-ヘキセンのエポキシ化反応の触媒における使用を提供し、表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩は、有機テンプレート剤、チタン源、シリコン源を混合して第1混合溶液を得て、前記第1混合溶液を濃縮して、第1濃縮液を得て、前記第1濃縮液に対して第1結晶化処理を行い、処理終了後、第1結晶化生成物を得て、前記第1結晶化生成物とシリコン源を混合して第2混合溶液を得て、前記第2混合溶液に対して第2結晶化処理を行い、処理終了後、チタン・シリコン分子篩を得る、ように製造される。本願は、チタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH濃度の正確な調整を実現しており、1-ヘキセンのエポキシ化反応の選択性を向上させるのに役立つ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩の、1-ヘキセンのエポキシ化反応の触媒における使用であって、
前記表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩は、
有機テンプレート剤、チタン源、シリコン源を混合して第1混合溶液を得て、前記第1混合溶液を濃縮して、第1濃縮液を得て、前記第1濃縮液の中に、H
2OとSiO
2との質量比は0.1~10であり、前記第1濃縮液に対して第1結晶化処理を行い、処理終了後、第1結晶化生成物を得て、
前記第1結晶化生成物とシリコン源を混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液のpHを7~11に保持して、前記第2混合溶液に対して第2結晶化処理を行い、処理終了後、前記表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩を得る、ように製造される、使用。
【請求項2】
前記第1結晶化生成物とシリカゾルを混合して前記第2混合溶液を得て、前記第1結晶化生成物と前記シリカゾル中のSiO
2との質量比は0.1~10である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記濃縮の温度は、50~200℃である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記有機テンプレート剤が、エチレンジアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、n-ブチルアミン、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドから1種又は複数種選ばれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記シリコン源が、無機シリコン源、有機シリコン源から1種又は2種選ばれ、前記無機シリコン源は、シリカ、シリカゾルのうちの1種又は2種であり、前記有機シリコン源は、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル、ジメトキシジエトキシシランから1種又は複数種選ばれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記チタン源が、オルトチタン酸テトラブチル、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトライソプロピル、塩化チタン(III)、塩化チタン(IV)から1種又は複数種選ばれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記シリコン源と前記チタン源との物質量の比は、(30~1000):1である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記シリコン源と前記有機テンプレート剤との物質量の比は、(0.1~50):1である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記第1結晶化処理及び第2結晶化処理は、温度が100~200℃であり、時間が5時間以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記エポキシ化反応は、温度が30~80℃であり、時間が1~5時間である、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、触媒の技術分野に関し、表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩の、1-ヘキセンのエポキシ化反応の触媒における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
分子篩は、無機微細孔結晶材料の一種で、エネルギーや環境に密接に関係している持続可能な開発において重要な役割を果たしているだけでなく、反応触媒としても幅広い用途を持っている。イタリアのEnichem社は1980年代に、チタン骨格を含有する新しいタイプのヘテロ原子分子篩であるチタン・シリコン分子篩(TS-1)を開発した。TS-1はZSM-5分子篩と同じ細孔構造を備え、両方ともMFI構造であるが、ZSM-5はシリコン、アルミニウム、酸素からなり、TS-1はシリコン、チタン、酸素からなることで異なる。TS-1は、「Z」字状のチャンネルと、それと交差した楕円形の直線チャンネルからなる直方晶系で、平均細孔径のサイズが0.54~0.56nmである。
【0003】
チタン・シリコン分子篩は、様々なタイプの有機物の酸化反応、例えば、アルケンのエポキシ化、アルカンの部分酸化、アルコールの酸化、フェノールの水酸化、環状ケトンのアンモ酸化などの重要な反応を触媒できる。チタン・シリコン分子篩は、有機物の酸化反応では、汚染を起こさない低濃度の過酸化水素を酸化剤として用いることができるため、酸化プロセスの複雑さと汚染環境の問題が避けられ、従来の酸化系なら比べ物にならないほどの省エネ、経済性、環境配慮性などの利点だけでなく、良好な反応選択性も有している。
【0004】
チタン・シリコン分子篩の触媒活性はその表面のチタン活性中心の微環境に顕著に影響されるため、チタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH濃度を調整することは、その生成物選択性を改善するための重要な対策である。チタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH濃度を調整する方法として、表面のシラン処理、コアシェル構造の構築などが挙げられるが、これらの方法は、一方では、界面活性剤及びシラン化試薬を使用することで、深刻な汚染問題を起こすだけでなく、合成プロセスの複雑さと厳しい要件が工業的合成の時間的コストを大幅に増やしてしまい、他方では、これらの方法はチタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH部位を指向性をもって認識できないため、表面のTi-OH濃度の正確な制御を実現できない。したがって、上記の問題点を解決できるチタン・シリコン分子篩をどのように提供するかは、当業者から継続的に注目されている。
【発明の概要】
【0005】
本願は、表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩の、1-ヘキセンのエポキシ化反応の触媒における使用を提供し、界面活性剤又はシラン化試薬を添加することなく、チタン・シリコン分子篩の表面の等電点を調整して、シリコンアイランドをチタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH部位という標的に堆積させることにより、チタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH濃度の正確な調整を実現しており、当該製造方法で製造したチタン・シリコン分子篩を1-ヘキセンのエポキシ化反応の触媒として、触媒生成物である1,2-エポキシヘキサンへの選択性を向上させるために用いることができる。
【0006】
本願は、表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩の、1-ヘキセンのエポキシ化反応の触媒における使用を提供し、前記表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩は、
有機テンプレート剤、チタン源、シリコン源を混合して第1混合溶液を得て、前記第1混合溶液を濃縮して、第1濃縮液を得て、前記第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は0.1~10であり、前記第1濃縮液に対して第1結晶化処理を行い、処理終了後、第1結晶化生成物を得て、
前記第1結晶化生成物とシリコン源を混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液のpHを7~11に保持して、前記第2混合溶液に対して第2結晶化処理を行い、処理終了後、前記表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩を得る、ように製造される。
【0007】
本願は、チタン・シリコン分子篩を製造するプロセスで、界面活性剤又はシラン化試薬を添加することなく、チタン・シリコン分子篩の表面の等電点を調整して、シリコンアイランドをチタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH部位という標的に堆積させることにより、チタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH濃度の正確な調整を実現しているため、本願により提供されるチタン・シリコン分子篩を1-ヘキセンのエポキシ化反応の触媒として用いて、触媒生成物である1,2-エポキシヘキサンを得ることができ、触媒生成物である1,2-エポキシヘキサンへの選択性を向上させることもでき、また、本願は、合成ステップ及び合成条件を簡素化しており、チタン・シリコン分子篩の生産コストを低減しており、合成プロセスの経済性、グリーン化及び効率性を向上させる。
【0008】
具体的な一実施形態では、チタン・シリコン分子篩は、具体的には、以下の製造方法により製造される。
ステップ1では、有機テンプレート剤、チタン源、シリコン源を混合して第1混合溶液を得る。
有機テンプレート剤、チタン源及びシリコン源を溶媒である水に溶解して、第1混合溶液を得て、ただし、前記有機テンプレート剤は、エチレンジアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、n-ブチルアミン、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドから1種又は複数種選ばれる。
シリコン源とは、水に溶解可能なケイ素含有化合物を指し、無機シリコン源、有機シリコン源から1種又は2種選ばれてもよく、ただし、前記無機シリコン源は、シリカ、シリカゾルのうちの1種又は2種であり、シリカゾルはアルカリ性シリカゾル、中性シリカゾル、酸性シリカゾルのうちの1種又は複数種であってもよく、前記有機シリコン源は、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル、ジメトキシジエトキシシランのうちの1種又は複数種を含む。
チタン源とは、水に溶解可能なチタン含有化合物を指し、具体的には、オルトチタン酸テトラブチル、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトライソプロピル、塩化チタン(III)、塩化チタン(IV)から1種又は複数種選ばれる。
【0009】
さらに、前記シリコン源とチタン源との物質量の比は(30~1000):1であり、前記シリコン源と有機テンプレート剤との物質量の比は(0.1~50):1であり、なお、原料の配合がチタンの骨格に入る速度に影響を与えるため、最終的には、分子篩のチタン含有量は異なり、しかも特定の範囲内でチタン含有量の増加に伴い、反応の転化率は上昇するため、実際のニーズに応じて具体的に配合してよい。
【0010】
有機テンプレート剤、シリコン源、チタン源を所定の比率で混合して、撹拌で均一になると第1混合溶液を得て、ただし、撹拌時間は多量の非チタン骨格の形成時間より短く、具体的には、撹拌時間は0.5~6時間であり、さらに、撹拌時間は0.5~3時間であり、撹拌を終了して第1混合溶液を得る。
【0011】
ステップ2では、前記第1混合溶液を濃縮して、第1濃縮液を得る。
研究したところ、第1混合溶液に対して濃縮処理を行って、第1混合溶液中の水分を蒸発させて、高濃縮系を形成すると、分子篩の結晶化過程で結晶を成長させて、優れた性能を有するチタン・シリコン分子篩の前駆体を得るのに役立ち、チタン・シリコン分子篩の製造に備えて準備が整うということを見出した。そのために、第1混合溶液に対する濃縮処理で、濃縮処理の温度は50~200℃であり、さらに、濃縮処理の温度はTであり、50℃<T≦70℃とする。
【0012】
濃縮処理後、第1濃縮液を得て、第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は0.1~10であり、さらに、H2OとSiO2との質量比は0.5~3である。
【0013】
ステップ3では、前記第1濃縮液に対して第1結晶化処理を行い、処理終了後、第1結晶化生成物を得る。
第1結晶化処理は結晶化釜内で行ってもよく、前記第1結晶化処理の温度は100~200℃であり、さらに、第1結晶化処理の温度は140~180℃であり、当該結晶化の温度は分子篩の成長温度より高く、且つ分子篩の骨格の許容温度より低い。
【0014】
さらに、第1結晶化処理の時間は5時間より長く、さらに、第1結晶化処理の時間は72時間である。
【0015】
第1結晶化処理は静的結晶化及び/又は回転結晶化であってもよく、具体的な操作は、当分野の通常の技術的手段に従って行ってもよく、さらに、第1結晶化処理は回転結晶化である。
【0016】
第1結晶化処理の終了後、系を冷却する必要があり、冷却の方式は、水冷又は自然放冷を含み、さらに、冷却の方式は水冷である。
【0017】
室温に冷却した後、結晶化生成物を固液分離し、固体生成物を収集して乾燥し、乾燥温度は有機テンプレート剤の分解温度より低くする必要があり、具体的には、前記乾燥温度は40~120℃であり、さらに、前記乾燥温度は70~90℃である。
【0018】
また、乾燥後の第1固体生成物に対して焙焼処理を行ってもよく、これにより、有機テンプレート剤を除去して、細孔がブロックされていない分子篩を形成し、具体的には、焙焼温度は有機テンプレート剤の分解温度より高く、且つ分子篩の骨格の許容温度より低くする必要があり、具体的には、焙焼温度は500~700℃であり、さらに、焙焼温度は550~600℃である。
【0019】
さらに、焙焼する過程で、焙焼処理の昇温速度は分子篩の骨格の許容昇温速度より低く、焙焼時間は分子篩の骨格の許容焙焼時間より短くする必要があり、具体的には、昇温速度は1~10℃/分で、焙焼時間は4~8時間であり、さらに、昇温速度は4~6℃/分で、焙焼時間は5~7時間である。
【0020】
ステップ4では、前記第1結晶化生成物とシリコン源を混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液のpHを7~11に保持する。
ステップ3で調製した第1結晶化生成物とシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液にアルカリ溶液を加え、混合溶液のpHを制御することにより、第1結晶化生成物とシリコン源を混合して結晶化させ、チタン・シリコン分子篩の表面の等電点を調整することにより、シリコンアイランドによるチタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH濃度の正確な調整を実現する。
【0021】
さらに、第2混合溶液のpHを8~10に保持する。アルカリ溶液はアンモニア水、NaOH、KOHなどの当分野の通常のアルカリ溶液であってもよい。
【0022】
さらに、前記第1結晶化生成物とシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、第1結晶化生成物とシリカゾル中のSiO2との質量比は0.1~10であり、さらに、第1結晶化生成物とシリカゾル中のSiO2との質量比は0.5~3である。
【0023】
さらに、第1結晶化生成物とシリカゾルを混合する過程で温度を25~120℃に制御し、さらに、温度は35~60℃である。
【0024】
ステップ5では、前記第2混合溶液に対して第2結晶化処理を行い、処理終了後、前記チタン・シリコン分子篩を得る。
【0025】
第2結晶化処理の方法は第1結晶化処理の場合を参照しながら、結晶化処理の終了後、固体生成物に対して乾燥及び焙焼処理を行ってもよく、これにより、チタン・シリコン分子篩を得る。乾燥及び焙焼処理の具体的な要件は前述したとおりである。
【0026】
上記の製造方法で製造したチタン・シリコン分子篩は、触媒として、1-ヘキセンのエポキシ化反応を触媒でき、具体的には、エポキシ化反応では、1-ヘキセン及び過酸化水素水を原料とし、上記の製造方法で製造したチタン・シリコン分子篩を触媒として、30~80℃でエポキシ化反応を行い、1~5時間反応させた後、触媒を遠心分離し、反応液を収集して、触媒生成物である1,2-エポキシヘキサンを得る。
【0027】
本願により提供されるチタン・シリコン分子篩触媒は、1-ヘキセンのエポキシ化反応を触媒して、1,2-エポキシヘキサンを生成することができ、反応原料の転化率を保証しながら、1,2-エポキシヘキサンへの反応選択性を向上させる。
【発明の効果】
【0028】
本願の実施により、少なくとも以下の利点を得られる。
1.本願により提供されるチタン・シリコン分子篩触媒は、1-ヘキセンのエポキシ化反応を触媒して、1,2-エポキシヘキサンを生成することができ、反応原料の転化率を保証しながら、1,2-エポキシヘキサンへの反応選択性を向上させる。
【0029】
2.本願により提供されるチタン・シリコン分子篩の製造方法で、界面活性剤又はシラン化試薬を添加することなく、チタン・シリコン分子篩の表面の等電点を調整して、シリコンアイランドをチタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH部位という標的に堆積させることにより、チタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH濃度の正確な調整を実現しており、また、合成ステップ及び合成条件を簡素化しており、チタン・シリコン分子篩の生産コストを低減しており、合成プロセスの経済性、グリーン化及び効率性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本願の実施例又は従来技術に係る技術的解決手段の説明が一層明瞭になるように、以下、実施例又は従来技術の記述で用いる図面について簡単に説明し、いうまでもないが、以下の記述に出る図面は本願のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労働をすることなく、これらの図面から他の図面を得ることができる。
【
図1】
図1は、本願の実施例1により提供されたチタン・シリコン分子篩のUV-Visスペクトルである。
【
図2】
図2は、本願の実施例1により提供されたチタン・シリコン分子篩のXRDパターンである。
【
図3】
図3は、本願の実施例1により提供されたチタン・シリコン分子篩のSEM画像である。
【
図4】
図4は、本願の実施例1により提供されたチタン・シリコン分子篩のTEM画像である。
【
図5】
図5は、本願の実施例1により提供されたチタン・シリコン分子篩の
1H MAS NMRスペクトルである。
【
図6】
図6は、本願の比較例1により提供されたチタン・シリコン分子篩のSEM画像である。
【
図7】
図7は、本願の比較例2により提供されたチタン・シリコン分子篩のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本願の目的、技術的解決手段及び利点が一層明瞭になるように、以下、本願の実施例を用いて、本願の実施例に係る技術的解決手段を明瞭に、完全に記述する。いうまでもないが、記述される実施例は、全ての実施例ではなく、本願のいくつかの実施例である。当業者が本願の実施例を踏まえ、創造的な労働をすることなく得ている他の実施例の全てが、本願の保護範囲に属するものとする。
【0032】
以下の実施例では、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドは、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの質量分率が25wt%であるテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの水溶液であり、シリカゾル中のSiO2の質量分率は30%である。
【0033】
(実施例1)
本実施例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
28gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、1.1954gのオルトチタン酸テトラブチル及び30gのオルトケイ酸テトラエチルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得て、次に、60℃で24時間高濃縮処理して、第1濃縮液を得て、第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は0.9であった。
第1濃縮液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、第1結晶化生成物を得た。
0.5gの第1結晶化生成物と10gのシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液にNaOH溶液を加え、第2混合溶液のpHを8±0.5に保持して、24時間撹拌した。第2混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0034】
本実施例で得たチタン・シリコン分子篩の分析及び特性評価を行った。
【0035】
図1は、本願の実施例1により提供されたチタン・シリコン分子篩のUV-Visスペクトルであり、
図1に示すように、当該分子篩のUVスペクトルには4配位チタン骨格の220nmのピークが出現しているため、チタン骨格が良好な形態であることが示唆された。
図2は、本願の実施例1により提供されたチタン・シリコン分子篩のXRDパターンであり、
図2に示すように、チタン・シリコン分子篩の合成が成功し、典型的なMFI構造であった。
図3は、本願の実施例1により提供されたチタン・シリコン分子篩のSEM画像であり、
図4は、本願の実施例1により提供されたチタン・シリコン分子篩のTEM画像であり、
図3、
図4に示すように、チタン・シリコン分子篩の表面はシリコンアイランドによって覆われており、且つシリコンアイランドはサイズが2~10nmで、均一に分布している。
図5は、本願の実施例1により提供されたチタン・シリコン分子篩の
1H MAS NMRスペクトルであり、
図5に示すように、図中、7.5ppmあたりのTi-OHピークが出現していないため、シリコンアイランドが分子篩の表面のチタンヒドロキシルの大半を有効に覆っていることを示した。
【0036】
(実施例2)
本実施例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
28gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、1.0954gのオルトチタン酸テトラブチル及び60gのシリカゾルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得て、次に、60℃で24時間高濃縮処理して、第1濃縮液を得て、第1濃縮液で、H2OとSiO2との質量比は1.8であった。
第1濃縮液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、第1結晶化生成物を得た。
0.5gの第1結晶化生成物と10gのシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液にNaOH溶液を加え、第2混合溶液のpHを8±0.5に保持して、24時間撹拌した。第2混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で6時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0037】
実施例1と同じ方法で、本実施例で製造した分子篩の分析及び特性評価をした結果、合成した分子篩は、良好なチタン骨格を備え、典型的なMFI構造であり、シリコンアイランドはサイズが2~10nmで、均一な分布を示しており、シリコンアイランドが表面のチタンヒドロキシルの大半を有効に覆っていることが明らかになった。
【0038】
(実施例3)
本実施例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
20gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、1.2936gのオルトチタン酸テトラブチル及び30gのオルトケイ酸テトラエチルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得て、次に、70℃で24時間高濃縮処理して、第1濃縮液を得て、第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は0.9であった。
第1濃縮液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、第1結晶化生成物を得た。
0.5gの第1結晶化生成物と10gのシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液にNaOH溶液を加え、第2混合溶液のpHを8±0.5に保持して、24時間撹拌した。第2混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0039】
実施例1と同じ方法で、本実施例で製造した分子篩の分析及び特性評価をした結果、合成した分子篩は、良好なチタン骨格を備え、典型的なMFI構造であり、シリコンアイランドはサイズが2~10nmで、均一な分布を示しており、シリコンアイランドが表面のチタンヒドロキシルの大半を有効に覆っていることが明らかになった。
【0040】
(実施例4)
本実施例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
20gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、1.2936gのオルトチタン酸テトラブチル及び30gのオルトケイ酸テトラエチルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得て、次に、70℃で24時間高濃縮処理して、第1濃縮液を得て、第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は0.8であった。
第1濃縮液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、第1結晶化生成物を得た。
0.5gの第1結晶化生成物と5gのシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液にNaOH溶液を加え、第2混合溶液のpHを9±0.5に保持して、24時間撹拌した。第2混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0041】
実施例1と同じ方法で、本実施例で製造した分子篩の分析及び特性評価をした結果、合成した分子篩は、良好なチタン骨格を備え、典型的なMFI構造であり、シリコンアイランドはサイズが2~10nmで、均一な分布を示しており、シリコンアイランドが表面のチタンヒドロキシルの大半を有効に覆っていることが明らかになった。
【0042】
(実施例5)
本実施例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
40gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、0.7956gのオルトチタン酸テトラブチル及び100gのシリカゾルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得て、次に、60℃で24時間高濃縮処理して、第1濃縮液を得て、第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は3であった。
第1濃縮液を結晶化釜に入れて、140℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、第1結晶化生成物を得た。
0.5gの第1結晶化生成物と10gのシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液にNaOH溶液を加え、第2混合溶液のpHを8±0.5に保持して、24時間撹拌した。第2混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0043】
実施例1と同じ方法で、本実施例で製造した分子篩の分析及び特性評価をした結果、合成した分子篩は、良好なチタン骨格を備え、典型的なMFI構造であり、シリコンアイランドはサイズが2~10nmで、均一な分布を示しており、シリコンアイランドが表面のチタンヒドロキシルの大半を有効に覆っていることが明らかになった。
【0044】
(実施例6)
本実施例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
32gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、0.7956gのオルトチタン酸テトラブチル及び60gのシリカゾルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得て、次に、60℃で24時間高濃縮処理して、第1濃縮液を得て、第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は0.9であった。
第1濃縮液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、第1結晶化生成物を得た。
0.5gの第1結晶化生成物と20gのシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液にNaOH溶液を加え、第2混合溶液のpHを8±0.5に保持して、24時間撹拌した。第2混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0045】
実施例1と同じ方法で、本実施例で製造した分子篩の分析及び特性評価をした結果、合成した分子篩は、良好なチタン骨格を備え、典型的なMFI構造であり、シリコンアイランドはサイズが2~10nmで、均一な分布を示しており、シリコンアイランドが表面のチタンヒドロキシルの大半を有効に覆っていることが明らかになった。
【0046】
(実施例7)
本実施例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
32gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、1.1956gのオルトチタン酸テトラブチル及び30gのシリカゾルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得て、次に、60℃で24時間高濃縮処理して、第1濃縮液を得て、第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は0.9であった。
第1濃縮液を結晶化釜に入れて、140℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、第1結晶化生成物を得た。
0.5gの第1結晶化生成物と10gのシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液にNaOH溶液を加え、第2混合溶液のpHを8±0.5に保持して、24時間撹拌した。第2混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0047】
実施例1と同じ方法で、本実施例で製造した分子篩の分析及び特性評価をした結果、合成した分子篩は、良好なチタン骨格を備え、典型的なMFI構造であり、シリコンアイランドはサイズが2~10nmで、均一な分布を示しており、シリコンアイランドが表面のチタンヒドロキシルの大半を有効に覆っていることが明らかになった。
【0048】
(実施例8)
本実施例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
32gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、0.5956gのオルトチタン酸テトラブチル及び30gのオルトケイ酸テトラエチルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得て、次に、70℃で24時間高濃縮処理して、第1濃縮液を得て、第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は0.9であった。
第1濃縮液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、第1結晶化生成物を得た。
0.5gの第1結晶化生成物と10gのシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液にNaOH溶液を加え、第2混合溶液のpHを8±0.5に保持して、24時間撹拌した。第2混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0049】
実施例1と同じ方法で、本実施例で製造した分子篩の分析及び特性評価をした結果、合成した分子篩は、良好なチタン骨格を備え、典型的なMFI構造であり、シリコンアイランドはサイズが2~10nmで、均一な分布を示しており、シリコンアイランドが表面のチタンヒドロキシルの大半を有効に覆っていることが明らかになった。
【0050】
(比較例1)
本比較例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
28gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、1.1954gのオルトチタン酸テトラブチル及び30gのオルトケイ酸テトラエチルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得た。
第1混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、第1結晶化生成物を得た。
0.5gの第1結晶化生成物と10gのシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液にNaOH溶液を加え、第2混合溶液のpHを8±0.5に保持して、24時間撹拌した。第2混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0051】
本比較例により提供されたチタン・シリコン分子篩を走査型電子顕微鏡下で観察し、観察の結果を
図6に示しており、チタン・シリコン分子篩の表面には均一なシリコンアイランドの分布が出現していないことが分かった。
【0052】
(比較例2)
本比較例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
28gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、1.1954gのオルトチタン酸テトラブチル及び30gのオルトケイ酸テトラエチルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得て、次に、60℃で24時間高濃縮処理して、第1濃縮液を得て、第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は0.8であった。
第1濃縮液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、第1結晶化生成物を得た。
0.5gの第1結晶化生成物と10gのシリカゾルを混合して第2混合溶液を得て、塩酸溶液を加え、第2混合溶液のpHを3±0.5に保持して、24時間撹拌した。第2混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0053】
本比較例により提供されたチタン・シリコン分子篩を走査型電子顕微鏡下で観察し、観察の結果を
図7に示しており、チタン・シリコン分子篩の表面にはシリコンアイランドが出現していないことが分かった。
【0054】
(比較例3)
本比較例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
28gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、1.0954gのオルトチタン酸テトラブチル及び30gのシリカゾルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得て、次に、60℃で24時間高濃縮処理して、第1濃縮液を得て、第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は0.9であった。
第1濃縮液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0055】
(比較例4)
本比較例により提供されたチタン・シリコン分子篩の製造方法は、以下のステップを含む。
28gのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(25wt%)、5gの水、1.1954gのオルトチタン酸テトラブチル及び30gのオルトケイ酸テトラエチルを混合し、30℃で30分間撹拌して、第1混合溶液を得て、次に、60℃で24時間高濃縮処理して、第1濃縮液を得て、第1濃縮液の中に、H2OとSiO2との質量比は0.9であった。
第1濃縮液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、第1結晶化生成物を得た。
0.5gの第1結晶化生成物と10gのセチルトリメチルアンモニウムブロミドを混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液にNaOH溶液を加え、第2混合溶液のpHを8±0.5に保持して、24時間撹拌した。第2混合溶液を結晶化釜に入れて、170℃で72時間結晶化し、結晶化終了後、結晶化生成物を取り出して、室温になるまで自然放冷し、遠心分離して固体生成物を収集し、固体生成物を80℃で乾燥した後、550℃で8時間焙焼して、チタン・シリコン分子篩を得た。
【0056】
1-ヘキセン及び過酸化水素水を原料とし、実施例1~8及び比較例1~4で製造したチタン・シリコン分子篩を触媒として、60℃でエポキシ化反応を行い、3時間反応させた後、上層の液体を取り出して分析し、1-ヘキセン及び過酸化水素水の転化率、ならびに1,2-エポキシヘキサンへの選択性を計算し、計算結果は表1に示される。
【表1】
【0057】
表1から分かるように、実施例1~8により提供されたチタン・シリコン分子篩触媒は、エポキシ化反応を触媒できるだけでなく、1,2-エポキシヘキサンへの選択性を向上させることもでき、また、本願により提供される方法は、界面活性剤の使用を避けているため、チタン・シリコン分子篩の生産コストを低減し、合成プロセスの経済性、グリーン化及び効率性を向上させている。
【0058】
比較例1~3から分かるように、濃縮、pH調整又は第2結晶化処理をしない場合、チタン・シリコン分子篩の表面にシリコンアイランドが出現しないため、チタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH濃度を効果的に調整できず、さらには、チタン・シリコン分子篩の触媒活性に影響を与える。
【0059】
比較例4から分かるように、セチルトリメチルアンモニウムブロミドは、カチオン界面活性剤として、チタン・シリコン分子篩の表面のTi-OH濃度を調整できるため、チタン・シリコン分子篩の触媒活性は比較例1~3より向上しているが、その効果は実施例1~8に劣っている。
【0060】
なお、以上の各実施例は本願の技術的解決手段を説明するもので、制限を加えるためのものではない。前述した各実施例を参照して本願を詳細に説明しているが、当業者であれば、依然として前述した各実施例に記載の技術的解決手段を変更するか、又はその一部若しくは全ての技術的特徴を等価に置換してもよいということが理解でき、これらの変更又は置換は、対応する技術的解決手段の趣旨を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させることにはならない。
【0061】
[関連出願の相互参照]
本願は、2022年12月30日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202211736091.6で、出願名が「チタン・シリコン分子篩、その製造方法及び使用」である中国特許出願の優先権を主張し、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩の、1-ヘキセンのエポキシ化反応の触媒における使用であって、
前記表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩は、
有機テンプレート剤、チタン源、シリコン源を混合して第1混合溶液を得て、前記第1混合溶液を濃縮して、第1濃縮液を得て、前記第1濃縮液の中に、H
2OとSiO
2との質量比は0.1~10であり、前記第1濃縮液に対して第1結晶化処理を行い、処理終了後、第1結晶化生成物を得て、
前記第1結晶化生成物とシリコン源を混合して第2混合溶液を得て、第2混合溶液のpHを7~11に保持して、前記第2混合溶液に対して第2結晶化処理を行い、処理終了後、前記表面にシリコンアイランドを備えるチタン・シリコン分子篩を得る、ように製造される、使用。
【請求項2】
前記第1結晶化生成物とシリカゾルを混合して前記第2混合溶液を得て、前記第1結晶化生成物と前記シリカゾル中のSiO
2との質量比は0.1~10である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記濃縮の温度は、50~200℃である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記有機テンプレート剤が、エチレンジアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、n-ブチルアミン、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドから1種又は複数種選ばれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記シリコン源が、無機シリコン源、有機シリコン源から1種又は2種選ばれ、前記無機シリコン源は、シリカ、シリカゾルのうちの1種又は2種であり、前記有機シリコン源は、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル、ジメトキシジエトキシシランから1種又は複数種選ばれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記チタン源が、オルトチタン酸テトラブチル、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトライソプロピル、塩化チタン(III)、塩化チタン(IV)から1種又は複数種選ばれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記シリコン源と前記チタン源との物質量の比は、(30~1000):1である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記シリコン源と前記有機テンプレート剤との物質量の比は、(0.1~50):1である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記第1結晶化処理及び第2結晶化処理は、温度が100~200℃であり、時間が5時間以上である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記エポキシ化反応は、温度が30~80℃であり、時間が1~5時間である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の使用。
【国際調査報告】