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特表2025-504169眼障害の処置で使用するための血小板由来ミトコンドリア含有細胞外小胞
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  • 特表-眼障害の処置で使用するための血小板由来ミトコンドリア含有細胞外小胞 図1
  • 特表-眼障害の処置で使用するための血小板由来ミトコンドリア含有細胞外小胞 図2A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】眼障害の処置で使用するための血小板由来ミトコンドリア含有細胞外小胞
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/19 20150101AFI20250130BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250130BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250130BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20250130BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20250130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250130BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20250130BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20250130BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20250130BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20250130BHJP
   C12N 1/04 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61K35/19
A61K45/00
A61P27/02
A61P3/10
A61P27/06
A61P43/00 121
A61P7/02
A61K47/26
A61K47/36
C12N5/071
C12N1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546335
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-09-04
(86)【国際出願番号】 US2023011888
(87)【国際公開番号】W WO2023150085
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/267,422
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524290705
【氏名又は名称】ミトリックス・バイオ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ビー・ベンソン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AC20
4B065BA22
4B065BA30
4B065BD09
4B065BD12
4B065BD14
4B065BD15
4B065BD21
4B065CA44
4C076AA12
4C076BB24
4C076CC10
4C076CC21
4C076DD67
4C076EE30
4C076FF36
4C076FF56
4C076FF63
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA58
4C084NA08
4C084NA14
4C084ZA331
4C084ZA541
4C084ZC351
4C084ZC521
4C084ZC751
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB38
4C087DA21
4C087DA32
4C087MA02
4C087MA17
4C087MA58
4C087NA08
4C087NA14
4C087ZA33
4C087ZA54
4C087ZC35
4C087ZC52
4C087ZC75
(57)【要約】
ミトコンドリアを含む血小板由来細胞外小胞(PEV)が、眼障害又は眼障害の症状を処置する際に使用される。PEVは、1つ又は複数のドナーから血液を取得する工程と、抗凝固剤及びバッファーを血液に添加して混合物を形成する工程と、混合物を上清及び血小板に富んだ血漿(PRP)に分離する工程と、PRPを収集する工程と、収集されたPRPを刺激し、これによりPRP内の血小板から細胞外小胞を排除する工程と、細胞外小胞をPEVとして収集する工程とにより収集される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼障害又は前記眼障害の症状の処置で使用するための、ミトコンドリアを含む血小板由来細胞外小胞(PEV)であって、
1つ又は複数のドナーから血液を取得する工程と、
抗凝固剤及びバッファーを前記血液に添加して混合物を形成する工程と、
前記混合物を上清及び血小板に富んだ血漿(PRP)に分離する工程と、
前記PRPを収集する工程と、
収集されたPRPを刺激し、これにより前記PRP内の血小板から細胞外小胞を排除する工程と、
前記細胞外小胞を前記PEVとして収集する工程と
により収集された、血小板由来細胞外小胞。
【請求項2】
前記処置が実施される部位とは異なる部位において収集された、請求項1に記載のPEV。
【請求項3】
眼内に前記PEVを送達するように構成されているシリンジ内に提供される、請求項1又は2に記載のPEV。
【請求項4】
眼内に前記PEVを持続送達するためのPEVインプラントを提供するポート送達システム内に提供される、請求項1又は2に記載のPEV。
【請求項5】
眼の硝子体腔に投与される、請求項1から4のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項6】
前記収集されたPRPが、Ca2+の存在下、免疫複合体で刺激される、請求項1から5のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項7】
前記免疫複合体が加熱凝集化IgGを含む、請求項6に記載のPEV。
【請求項8】
前記収集されたPRPが凍結融解サイクルにより刺激される、請求項1から5のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項9】
前記加熱凝集化IgGの濃度が約0.1mg/mL~約2.5mg/mLであり、前記Ca2+の濃度が約1mM~約25mMである、請求項7に記載のPEV。
【請求項10】
前記抗凝固剤が抗凝固剤のクエン酸デキストロース(ACD)である、請求項1から9のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項11】
前記バッファーが、約pH6~約pH7のTyrodeのバッファーである、請求項1から10のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項12】
前記分離する工程が遠心分離により実施される、請求項1から11のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項13】
前記血液が4日以上保管されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項14】
前記血液が最長1年まで保管されている、請求項13に記載のPEV。
【請求項15】
前記PEVが眼の少なくとも1つの細胞と接触する方式で投与される、請求項1から14のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項16】
前記PEVが前記細胞と接触した後に、前記細胞内に内部移行する、請求項15に記載のPEV。
【請求項17】
PEV約3個/細胞~PEV約100個/細胞の投薬量で投与される、請求項16に記載のPEV。
【請求項18】
保管中凍結される、請求項13又は14に記載のPEV。
【請求項19】
凍結されたPEVが凍結保護物質と組み合わせて保管される、請求項18に記載のPEV。
【請求項20】
前記凍結保護物質が、糖類、オリゴ糖、及び多糖類からなる群から選択される、請求項19に記載のPEV。
【請求項21】
前記眼障害が加齢性黄斑変性症である、請求項1から20のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項22】
前記眼障害が網膜色素変性症である、請求項1から20のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項23】
前記眼障害がLeberの遺伝性視神経症である、請求項1から20のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項24】
前記眼障害が糖尿病性網膜症である、請求項1から20のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項25】
前記眼障害が緑内障である、請求項1から20のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項26】
前記少なくとも1つの細胞が網膜色素上皮細胞を含む、請求項15から25のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項27】
前記少なくとも1つの細胞が網膜神経節細胞を含む、請求項15から20、及び23のいずれか一項に記載のPEV。
【請求項28】
前記少なくとも1つの細胞が眼の網膜黄斑周辺に位置する、請求項15から25のいずれか一項に記載のPEV。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される及び特許請求にかかる発明は、眼の眼内空間内への送達を介して眼障害を処置するための血小板由来ミトコンドリア含有細胞外小胞(PEV)の使用と一般的に関連する。
【背景技術】
【0002】
説明
ミトコンドリアは、それ自身のDNA(mtDNA)、並びにRNA及びタンパク質を合成するためのそれ自身の機構を備える膜限局型細胞内オルガネラである。ミトコンドリアはほとんどすべての真核細胞において見出され、また細胞型に応じて数及び場所が変動する。
【0003】
ミトコンドリアは、真核細胞において、非常に多くの必要不可欠な役目、例えばピルビン酸酸化、クレブス回路、並びにアミノ酸、脂肪酸、及びステロイドの代謝等を実施する。ミトコンドリアの主たる機能は、電子伝達鎖及び酸化的リン酸化系(「呼吸鎖」)によってエネルギーをアデノシン三リン酸(ATP)として生成することである。ミトコンドリアが関与する追加のプロセスとして、熱産性、カルシウムイオンの貯蔵、カルシウムシグナル伝達、プログラム細胞死(アポトーシス)、及び細胞増殖が挙げられる。ミトコンドリアは、細胞の制御及びシグナル伝達事象(すなわち、とりわけCa2+フラックス、酸化ストレス、及びエネルギー関連のシグナル伝達の制御)において役割を演じることが開示されている。
【0004】
従って、ミトコンドリア機能障害は、心血管系疾患、がん、アルツハイマー病、糖尿病、視力喪失、及び虚弱を含む複数の疾患における潜在的要因である。視力喪失は、いくつかの眼障害、例えば加齢性黄斑変性症(AMD)、網膜色素変性症(RP)、Leberの遺伝性視神経症(LHON)、緑内障、及び糖尿病性網膜症等に起因する結果でありうる。このリストは網羅的なものではないが、このような障害間で共通する1つの側面は、視力喪失又は視力低下の病理を引き起こすミトコンドリア機能障害である。例えば、網膜色素上皮(RPE)細胞は、AMD病理における重要な因子と考えられている。RPE細胞におけるミトコンドリア機能障害に起因して活性酸素種(ROS)が過剰に生成すると、網膜においてRPE細胞の損傷、最終的にはその変性を引き起こすおそれがあると考えられている。AMDにおけるミトコンドリア機能障害は、ROSに起因する損傷がミトコンドリアDNA(mtDNA)に長期にわたり蓄積することによりもたらされると考えられる。RPE細胞の主要な機能のうちの1つは、光受容体の健康を維持することなので、RPE細胞の変性は光受容体の機能障害を引き起こし、AMDと関連する視覚的変動を引き起こす。別の事例は遺伝性のミトコンドリア遺伝子障害であることが知られているLHONであり、この障害は症例の90%に認められる3つの主要なミトコンドリアDNA(mtDNA)突然変異により顕在化する。このようなmtDNA突然変異に起因して、LHONは網膜神経節細胞(RGC)に主に影響を及ぼし、その変性を引き起こし、視力喪失をもたらす。変性及び内部網膜からの最終的なRGCの喪失は、この障害の細胞的特長である。
【0005】
損傷を受け又は突然変異したmtDNAが矯正されることを期待して、遺伝子療法を使用することにより、このような眼障害を処置する問題にアプローチした者もいた。しかしながら、そのようなアプローチに起因する遺伝毒性的有害反応が、安全性関連の問題を提起するおそれがある。代替的アプローチとして、健康なミトコンドリアを、そのような眼障害に罹患した細胞内に移入することが挙げられる。ミトコンドリア移入技術(外部供給源からミトコンドリアを収集し、そして身体内に移入すること)は、いくつかの主要な大学により近年開発された。ミトコンドリアの移入は、その他のアプローチよりも一般的に低侵襲性であるが、移入するためのミトコンドリア供給源を見つけ出し、それを調製することが長い間難題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第9,968,603号
【特許文献2】米国特許第10,537,594号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Lee等のAdvanced Functional Materials、doi.org/10.1002/adfm.202000086(2020)
【非特許文献2】Hartwig等、Proteomics、2009、(9):3209~3214頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書に開示される方法はそれぞれいくつかの側面を有するが、そのうちの1つがその望ましい特性に単独で関与するわけではない。特許請求の範囲を限定することなく、いくつかの顕著な特性についてここで簡潔に議論する。より少数の、追加の、及び/又は異なるコンポーネント、工程、特性、目的、利益、及び利点を有する実施形態を含む、非常に多くのその他の実施形態についても検討される。コンポーネント、側面、及び工程は、異なって構成及び順序づけされうる。この議論について検討した後、特に「本発明を実施するための形態」と題するセクションを閲読した後に、本明細書で開示されるデバイス及び方法の特性が、どのようにその他の既知デバイス及び方法に対する利点を提供するか理解される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態では、それを必要としている患者において、眼障害又は眼障害の症状について処置する方法が提供されるが、同方法はミトコンドリアを含む血小板由来細胞外小胞(PEV)を取得する工程を含み、その場合、PEVは、1つ又は複数のドナーから血液を取得する工程と、抗凝固剤及びバッファーを血液に添加して混合物を形成する工程と、混合物を上清及び血小板に富んだ血漿(PRP)に分離する工程と、PRPを収集する工程と、収集されたPRPを刺激し、これによりPRP内の血小板から細胞外小胞を排除する工程と、細胞外小胞をPEVとして収集する工程とにより収集される。いくつかの実施形態では、方法は、有効量のPEVを患者の眼に対して投与し、これにより眼障害を処置する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、PEVは処置が実施される部位とは異なる部位において収集される。
【0010】
いくつかの実施形態では、投与する工程は、PEVを眼内に送達するように構成されているシリンジからPEVを送達することを含む。いくつかの実施形態では、投与する工程は、眼内にPEVを持続送達するためのPEVインプラントを提供するポート送達システムを介してPEVを送達することを含む。いくつかの実施形態では、投与する工程は、有効量のPEVを眼の硝子体腔に送達することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、収集されたPRPは、Ca2+の存在下、免疫複合体で刺激される。いくつかの実施形態では、免疫複合体は加熱凝集化IgGを含む。いくつかの実施形態では、収集されたPRPは凍結融解サイクルにより刺激される。いくつかの実施形態では、加熱凝集化IgGの濃度は約0.1mg/mL~約2.5mg/mLであり、及びCa2+の濃度は約1mM~約25mMである。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、抗凝固剤のクエン酸デキストロース(ACD)である。いくつかの実施形態では、バッファーは約pH6~約pH7のTyrodeのバッファーである。いくつかの実施形態では、分離する工程は遠心分離により実施される。いくつかの実施形態では、血液は4日以上保管されている。いくつかの実施形態では、血液は最長1年まで保管される。
【0012】
いくつかの実施形態では、PEVを眼内に投与する期間中及び/又はその後に、PEVは眼の少なくとも1つの細胞と接触する。いくつかの実施形態では、PEVが細胞と接触した後、PEVは細胞内に内部移行する。いくつかの実施形態では、有効量は内部移行したPEVの量に対応し、その量はPEV約3個/細胞~PEV約100個/細胞の範囲である。いくつかの実施形態では、PEVは保管中凍結される。いくつかの実施形態では、凍結されたPEVは凍結保護物質と組み合わせて保管される。いくつかの実施形態では、凍結保護物質は、糖類、オリゴ糖、及び多糖類からなる群から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態では、眼障害は加齢性黄斑変性症である。いくつかの実施形態では、眼障害は網膜色素変性症である。いくつかの実施形態では、眼障害はLeberの遺伝性視神経症である。いくつかの実施形態では、眼障害は糖尿病性網膜症である。いくつかの実施形態では、眼障害は緑内障である。いくつかの実施形態では、細胞は網膜色素上皮細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞は網膜神経節細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞は眼の網膜黄斑周辺に位置する。
【0014】
本開示の実施例の特性は、下記の詳細な説明及び図面を参照することにより明らかとなる。同様の参照番号は、類似するがおそらく同一ではないコンポーネントに対応する。簡潔にするために、既に記載された機能を有する参照番号又は特性は、それが現れるその他の図面と関連付けて記載される場合もあれば、そうでない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】いくつかの実施形態に記載のPEVを取得する方法を表す概略図を示す図である。
図2A】RPEC内へのPEVの取り込みを表す、培養において増殖させた網膜色素上皮細胞(RPEC)の蛍光画像を示す図である。図2Aは20×で示す。
図2B】RPEC内へのPEVの取り込みを表す、培養において増殖させた網膜色素上皮細胞(RPEC)の蛍光画像を示す図である。図2Bは40×で示す。
図3】培養されたRPEC内へのPEVの取り込み及び内部移行を示す蛍光画像を示す図である。
図4】3及び6時間後の、RPECによる、DsRed標識PEV/ミトレット(mitlet)のin vitroでの取り込みを実証する蛍光画像を示す図である。
図5】培養されたRPEC内の内部移行したPEV送達ミトコンドリアを表す蛍光画像を示す図である。
図6A】様々な有効量のPEVの、異なる細胞型内への取り込みについて例証する図である。図6AはPEVのRPEC内への取り込みについて例証する。
図6B】様々な有効量のPEVの、異なる細胞型内への取り込みについて例証する図である。図6Bは脳内皮細胞(bEND)内へのPEVの取り込みについて例証する。
図7A】少なくともミトコンドリアの一部が様々な有効量でPEVからRPEC内に移入された際の、RPECのミトコンドリア内で生ずる酸化的リン酸化の様々なステージにおける酸素消費速度(OCR)を示す図である。
図7B】少なくともミトコンドリアの一部が様々な有効量でPEVからRPEC内に移入された際の、RPECのミトコンドリア内で生ずる酸化的リン酸化の様々なステージにおける酸素消費速度(OCR)を示す図である。
図7C】少なくともミトコンドリアの一部が様々な有効量でPEVからRPEC内に移入された際の、RPECのミトコンドリア内で生ずる酸化的リン酸化の様々なステージにおける酸素消費速度(OCR)を示す図である。
図7D】少なくともミトコンドリアの一部が様々な有効量でPEVからRPEC内に移入された際の、RPECのミトコンドリア内で生ずる酸化的リン酸化の様々なステージにおける酸素消費速度(OCR)を示す図である。
図8】様々な量のネイキッドミトコンドリアの投与を受けるRPECのOCRを、基底呼吸に関して示す図である。
図9】骨髄及び脾臓の細胞内へのPEVのin vivo内部移行を表す蛍光画像を示す図である。
図10】いくつかの実施形態に記載の眼障害について処置する方法を表す概略図を示す図である。
図11】DsRedで標識されたPEVが全CD41+PEVのおよそ40%を占めるPEV集団を表すドットプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記「発明の概要」セクション及び「発明を実施するための形態」セクション及び下記の特許請求の範囲において、本発明の具体的な特性について参照される。本明細書内の本発明の開示には、そのような具体的な特性のあらゆる考えうる組合せが含まれるものと理解される。例えば、具体的な特性が、本発明の特定の態様若しくは実施形態、又は特定の特許請求の範囲の文脈において開示される場合、当該特性は、可能な範囲で、本発明のその他の特定の態様や実施形態と組み合わせて及び/又はその文脈においても、また一般的に本発明において使用可能である。
【0017】
図1に示すように、いくつかの実施形態は、血小板由来ミトコンドリア含有細胞外小胞(PEV)を抽出する方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、1)工程110において、血液をドナーから取得する工程と、2)工程120において、抗凝固剤及びバッファーを血液に添加して混合物を形成する工程と、3)工程130において、混合物を上清と血小板に富んだ血漿(PRP)に分離する工程と、4)工程140において、血小板に富んだ血漿(PRP)を収集する工程と、5)工程150において、収集された血小板を刺激する工程と、6)工程160において、PEVを収集する工程とを含む。
【0018】
移植するためのミトコンドリアの供給源を見出すことは難題である。あらゆる供与臓器と同様に、若年健常ドナー由来のミトコンドリアは不足している。いくつかの疾患又は傷害は、自家ミトコンドリア(例えば、自身の身体内の脚部筋肉から取り出される)により治癒されうる、しかしながら、多くのその他の疾患の場合、年齢又はミトコンドリアDNA(mtDNA)の突然変異に起因して、「患者」のミトコンドリアの質は低下している。このような患者の場合、供与ミトコンドリアが好ましい解決策である。それに加えて、新たに完全単離されたミトコンドリアは単離から数分以内に速やかに死滅し、また血流中にネイキッドの状態で導入されたとき、免疫反応を誘発するおそれもあり、療法としてのその有効性を低下させる。従って、即時供与用ミトコンドリア(同時に、免疫系からそれを保護するコーティング、小胞、又は媒体懸濁物(又は任意のこれらの組合せ)のようなもので封入される)の手軽ですぐに入手できる供給源を見出すことが好都合である。
【0019】
ヒト血液由来の血小板は、平均して4~5個のミトコンドリアを含有し、血小板が活性化されるときに細胞外小胞内に排出される。血小板由来のミトコンドリア含有細胞外小胞は、本明細書ではPEVと呼ばれる。このPEVは、その他の血小板抽出物又はライセート(30~100nM)よりも通常大きく(>400nM)、またそれほど周知されていないが、その他のサイズも適用されうる。
【0020】
PEVは、そのミトコンドリアを近隣の細胞に供与し、(図2A図2B図3図4、及び図5に示す)、図7A図7Dに示すように、PEVを取り込んだ異なる細胞は、PEVを吸収する細胞の呼吸活性を増加させることが可能であり、従って組織を再生し、そしていくつかの加齢性の疾患を治癒させることができる(図6A及び図6Bに示す)ことが明らかにされている。PEVは、早期商品化のためのいくつかの長所を有する:特に、PEVは「期限切れ」で廃棄しなければならない供与血小板から抽出されうる;PEVは、さもなければ廃棄処分されうる血小板について、別の優良で医学的に有効な用途を提供する;PEVは、ほとんどの血液バンク(必要とされる熟練した要員、クリーンハンドリング実践法、及び必要とされる機器のすべてを既に保有しており、また病院に既に隣接していることから、国際的に使用するために利用可能となる可能性のあるPEV製品を極めて迅速に作製する)において収集されうる。PEVは様々な血小板輸液であり、従って包含される可能性がより高く、そして血液輸液療法に既に精通している医療専門家によりテストされる。更に、PEVは、既に市販されている送達デバイスを使用しながら、様々な臨床的障害を処置するために、様々な内部解剖学的領域内への局所的輸液用として調製されうる。
【0021】
いくつかの実施形態では、送達デバイスの非限定的な例は、少なくとも内部空間を形成する中空バレルと、中空バレルに連結しており、またそれに嵌め込まれたプランジャーと、バレルに連結している針であって、針がバレルと連結するとき、中空バレルの内部空間と連続する空間を含む針とを備えるシリンジである。プランジャー及び針の両方は、中空バレルと直接的又は間接的に連結しうる。シリンジは、PEV及び/又はネイキッドミトコンドリアを眼内又は硝子体内に送達するように構築される。シリンジは、PEV及び/又はネイキッドミトコンドリアを網膜下送達するように構築されうる。いくつかの実施形態では、シリンジは、PEV及び/又はネイキッドミトコンドリアを皮下送達するように構築される。いくつかの実施形態では、シリンジは、PEV及び/又はネイキッドミトコンドリアを腹腔内に送達するように構築される(腹腔内注射)。いくつかの実施形態では、シリンジは、患者に対して、PEV及び/又はネイキッドミトコンドリアを全身送達するように構築される。
【0022】
いくつかの実施形態では、送達デバイスの非限定的な例は、ポート送達システムであり、その眼内又は硝子体内送達を介して、PEV及び/又はネイキッドミトコンドリア(そのいずれもその他の治療剤と任意選択的に併用されうる)の持続放出を提供する。ポート送達システムが米国特許第9,968,603号により記載されており、その開示は本明細書により参照により組み込まれる。
【0023】
いくつかの実施形態におけるもう1つの非限定的な例として、PEVの送達用として考案されうるORBIT(商標)網膜下送達システムが、Gyroscope Therapeutics社により開発された。別の送達システムは、コンタクトレンズ上にPEV(次に罹患している眼内に配置される)を提供することと関係する。またPEVは、Lee等のAdvanced Functional Materials、doi.org/10.1002/adfm.202000086(2020)(その開示は本明細書により参照により組み込まれる)に記載されるように、ゲル様の材料内に包埋され、そして「マイクロニードル」内に留置される場合もある。多くのその他のそのような送達システムが公知であり、そしてPEVを送達するために考案されうる。
【0024】
]いくつかの実施形態では、血液は哺乳動物対象に由来する。別の実施形態によれば、哺乳動物対象はヒト対象である。別の実施形態によれば、哺乳動物対象は、ヒト、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、及びヒツジからなる群から選択される。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。別の実施形態によれば、本発明のPEVは哺乳動物細胞に由来する。別の実施形態によれば、哺乳動物細胞はヒト細胞である。別の実施形態によれば、PEVは培養における細胞に由来する。別の実施形態によれば、PEVは組織に由来する。
【0025】
別の実施形態によれば、PEVは、ヒト胎盤、培養において増殖させたヒト胎盤細胞、及びヒト血液細胞からなる群から選択される細胞又は組織に由来する。別の実施形態によれば、本発明のPEVは、胎盤、培養において増殖させた胎盤細胞、及び血液細胞からなる群から選択される細胞又は組織に由来する。別の実施形態によれば、ネイキッドミトコンドリアは、ドナーの肝臓、骨髄、胎盤、ヒト胎盤細胞、又は任意のその他の組織からなる群から選択される細胞又は組織から単離されうる。別の実施形態によれば、ネイキッドミトコンドリアは、培養において増殖させた細胞、又はドナーの肝臓、骨髄、胎盤、ヒト胎盤細胞、又は任意のその他の組織からなる群から選択される、培養において増殖させた組織から単離されうる。
【0026】
本明細書で使用される場合、慣用句「ネイキッドミトコンドリア」とは、細胞又は組織から単離されるミトコンドリアを指す。いくつかの実施形態では、細胞は培養において増殖させた細胞である。いくつかの実施形態では、組織は培養において増殖させた組織である。ネイキッドミトコンドリアは、凍結バッファー、ヒドロゲル、ネイキッドミトコンドリアを支援する能力を有する薬学的に許容される液体媒体、又は糖類を含むバッファー溶液に懸濁可能である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、生体適合性、生分解性であり、及びネイキッドミトコンドリアを支援する能力を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは熱感受性でありえ、これには温度依存性の親水性及び疎水性が含まれる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、生体適合性、生分解性であり、ネイキッドミトコンドリアを支援する能力を有し、及び温度感受性である(温度感受性には温度依存性の親水性及び疎水性を有するヒドロゲルが含まれる)。
【0027】
本明細書で使用される場合、慣用句「培養において増殖させた細胞」又は「培養において増殖させた組織」とは、細胞又は組織が由来する生物の外部で、液体、半固体、又は固体培地において増殖させた多数の細胞又は組織をそれぞれ指す。いくつかの実施形態によれば、培養において増殖させた細胞は、バイオリアクターにおいて増殖させた細胞である。非限定的な例によれば、細胞はバイオリアクターにおいて増殖させることができ、それに後続してPEVが細胞から単離されうる。別の非限定的な例によれば、細胞はバイオリアクターにおいて増殖させることができ、細胞からのミトコンドリアの単離がそれに後続する。いくつかの実施形態では、バイオリアクターにおいて増殖させた細胞から単離されたミトコンドリアは、ネイキッドミトコンドリアである。
【0028】
いくつかの実施形態では、血液はマウス由来である。マウス血液が、PEV抽出法の実現可能性をテストするのに使用される。いくつかの実施形態では、血液はヒトドナー由来である。
【0029】
血液が工程110において得られたら、血液が粘稠化及び固体化するのを防止するために、工程120において抗凝固剤及びバッファーが添加される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤はACD(20%)である。いくつかの実施形態では、バッファーは、約6~約7のpH、好ましくはpH6.5を有する40% Tyrodeのバッファーである。
【0030】
工程120において抗凝固剤及びバッファーを血液に添加した後、混合物は次に工程130において、上清及び血小板に富んだ血漿(PRP)に分離される。いくつかの実施形態では、分離は遠心分離による。血漿は全血の液体部分である。血漿は主に水及びタンパク質から構成され、また赤血球、白血球、及び血小板が身体を通じて循環するための媒体を提供する。血小板は血餅及びその他の必要な増殖治癒機能をもたらす血液細胞である。混合物の遠心分離後に、血液細胞はチューブの底部に蓄積するペレットを形成する。ペレットは、血小板に富んだ血漿(PRP)と呼ばれ、濃縮された血小板を含有する。ペレットは、次に工程140において収集される。
【0031】
次に血小板を再懸濁するために、工程140において収集されたPRPにバッファーが添加される。血小板は、次に工程150において活性化されるか又は刺激を受ける。血小板を活性化させるための多くの方法が存在する。炭素放射性同位体、プロスタグランジン、セロトニン、アデノシン三リン酸、コラーゲン、l-乳酸脱水素酵素、トロンビン、マグネシウム、アデノシン、カルシウム、及び加熱凝集化抗体を含むいくつかの物質のいずれかが、この目的のために使用可能である。いくつかの実施形態では、血小板は凍結融解サイクルにより活性化される。本明細書で使用される場合、用語「凍結融解サイクル」とは、本発明のミトコンドリアを0℃未満の温度で凍結すること、ミトコンドリアを0℃未満の温度において定義された期間維持すること、及び室温又は体温又は0℃を上回る任意の温度でミトコンドリアを解凍することを指す。用語「室温」とは、本明細書で使用される場合、18℃~25℃の温度を指す。用語「体温」とは、本明細書で使用される場合、35.5℃~37.5℃、好ましくは37℃の温度を指す。
【0032】
別の実施形態では、凍結融解サイクルが施されたミトコンドリアは少なくとも-70℃の温度で凍結された。別の実施形態では、凍結融解サイクルが施されたミトコンドリアは、少なくとも-20℃の温度で凍結された。別の実施形態では、凍結融解サイクルが施されたミトコンドリアは、少なくとも-4℃の温度で凍結された。別の実施形態では、凍結融解サイクルが施されたミトコンドリアは、少なくとも0℃の温度で凍結された。別の実施形態によれば、ミトコンドリアの凍結は段階的である。いくつかの実施形態によれば、ミトコンドリアの凍結は瞬間冷凍による。本明細書で使用される場合、用語「瞬間冷凍する」とは、ミトコンドリアを極低温に晒すことにより急速に凍結することを指す。
【0033】
別の実施形態では、凍結融解サイクルが施されたミトコンドリアは、解凍前に少なくとも30分間凍結された。別の実施形態によれば、凍結融解サイクルは、部分的に精製された機能的ミトコンドリアを、解凍前に少なくとも30、60、90、120、180、210分間凍結することを含む。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。別の実施形態では、凍結融解サイクルが施されたミトコンドリアは、解凍前に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、24、48、72、96、120時間凍結された。各凍結時間は本発明の個別の実施形態を表す。別の実施形態では、凍結融解サイクルが施されたミトコンドリアは、解凍前に少なくとも4、5、6、7、30、60、120、365日間凍結された。各凍結時間は本発明の個別の実施形態を表す。別の実施形態によれば、凍結融解サイクルは、部分的に精製された機能的ミトコンドリアを、解凍前に少なくとも1、2、3週間凍結することを含む。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。別の実施形態によれば、凍結融解サイクルは、部分的に精製された機能的ミトコンドリアを、解凍前に少なくとも1、2、3、4、5、6か月凍結することを含む。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。
【0034】
別の実施形態によれば、凍結融解サイクルが施されたミトコンドリアは、凍結バッファー内で凍結された。別の実施形態によれば、凍結融解サイクルが施されたミトコンドリアは、単離バッファー内で凍結された。本明細書で使用される場合、用語「単離バッファー」とは、本発明のミトコンドリアがその中で部分的に精製されたバッファーを指す。非限定的な例では、単離バッファーは、200mMスクロース、10mMトリス-MOPS、及び1mM EGTAを含む。いくつかの実施形態によれば、BSA(ウシ血清アルブミン)が、部分的精製期間中に単離バッファーに添加される。いくつかの実施形態によれば、0.2% BSAが、部分的精製期間中に単離バッファーに添加される。いくつかの実施形態によれば、HSA(ヒト血清アルブミン)が、部分的精製期間中に単離バッファーに添加される。いくつかの実施形態によれば、0.2% HASが、部分的精製期間中に単離バッファーに添加される。その他の実施形態によれば、HSA又はBSAが、部分的精製の後に、本発明のミトコンドリアから除去される。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。いかなる機構又は理論にも拘泥されるものではないが、単離バッファー内でミトコンドリアを凍結すれば、凍結前に単離バッファーを凍結バッファーと置換するか又は解凍時に凍結バッファーを置換する必要性がなくなるので、時間及び単離工程の節約となる。
【0035】
別の実施形態によれば、凍結バッファーは凍結保護物質を含む。いくつかの実施形態によれば、凍結保護物質は、糖類、オリゴ糖、又は多糖類である。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。別の実施形態によれば、凍結バッファー内の糖類濃度は、ミトコンドリアの機能を維持するように作用するのに十分な糖類濃度である。別の実施形態によれば、単離バッファーは糖類を含む。別の実施形態によれば、単離バッファー内の糖類濃度は、ミトコンドリアの機能を維持するように作用するのに十分な糖類濃度である。別の実施形態によれば、糖類はスクロースである。別の実施形態によれば、糖類はトレハロース以外の糖類である。いかなる理論又は機構にも拘泥されるものではないが、スクロースを含む凍結バッファー又は単離バッファー内で凍結されたミトコンドリアは、凍結融解サイクルが施されなかったか、又はスクロースを含まない凍結バッファー若しくは単離バッファー内で凍結されたコントロールミトコンドリアと比較して、解凍後に、それに匹敵するか又はそれより高い酸素消費速度を示す。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、本発明のミトコンドリア組成物に対して糖類を十分な濃度で添加した場合、かかる添加はミトコンドリア機能を維持するように作用する。別の実施形態によれば、ミトコンドリア機能を維持するように作用するのに十分な糖類濃度は、100mM~400mM、好ましくは100mM~250mM、最も好ましくは200mM~250mMの濃度である。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。別の実施形態によれば、本発明による糖類はスクロースである。いくつかの実施形態によれば、本発明の糖類はトレハロース以外の糖類である。いくつかの実施形態によれば、本発明の糖類はマンニトール以外の糖類である。
【0037】
別の実施形態によれば、本発明の組成物中の糖類濃度は、100mM~150mMである。別の実施形態によれば、本発明の組成物中の糖類濃度は、150mM~200mMである。別の実施形態によれば、本発明の組成物中の糖類濃度は、100mM~200mMである。別の実施形態によれば、本発明の組成物中の糖類濃度は、100mM~400mMである。別の実施形態によれば、本発明の組成物中の糖類濃度は、150mM~400mMである。別の実施形態によれば、本発明の組成物中の糖類濃度は、200mM~400mMである。別の実施形態によれば、本発明の組成物中の糖類濃度は、少なくとも100mMである。別の実施形態によれば、本発明の組成物中の糖類濃度は、少なくとも200mMである。いかなる理論又は作用機序にも拘泥されるものではないが、100mM未満の糖類濃度は、ミトコンドリア機能を維持するのに十分でない可能性がある。
【0038】
いくつかの実施形態では、刺激剤は加熱凝集化IgGである。
【0039】
刺激を受けた血小板は、残滓血小板又は細胞を除去するために遠心分離される。PEVを含有する上清が、次に工程160において収集される。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、PEVはそれを必要としている対象に由来する。別の実施形態によれば、PEVは、それを必要としている対象とは異なる対象に由来する。別の実施形態によれば、PEVは、PEVが投与される対象と同一の対象に由来する。別の実施形態によれば、PEVは、PEVが投与される対象とは異なる対象に由来する。別の実施形態によれば、本発明のPEVは、自家、同種異系、及び異種から選択される供給源に由来する。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。本明細書で使用される場合、自家起源のミトコンドリアとは、処置される対象と同一の対象に由来するミトコンドリアを指す。本明細書で使用される場合、同種異系起源のミトコンドリアとは、処置される対象とは異なるが、同一種由来の対象に由来するミトコンドリアを指す。本明細書で使用される場合、異種起源のミトコンドリアとは、処置される対象とは異なる、異種由来の対象に由来するミトコンドリアを指す。別の実施形態によれば、本発明のPEVはドナーに由来する。いくつかの実施形態によれば、ドナーは同種異系ドナーである。いくつかの実施形態によれば、ドナーは自家ドナーである。
【0041】
用語「それを必要としている対象」とは、本明細書で使用される場合、ミトコンドリア機能の増進から利益を享受する状態に罹患しているか、又はその罹患リスクに晒されている対象を指す。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。いくつかの実施形態によれば、「それを必要としている対象」は、アポトーシス促進性の活性から利益を享受しうる状態に罹患している対象である。非限定的な例では、アポトーシス促進性の活性から利益を享受しうる状態はがんである。別の実施形態によれば、それを必要としている対象は哺乳動物である。別の実施形態によれば、それを必要としている対象はヒトである。別の実施形態によれば、それを必要としている対象は、ヒト、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、及びヒツジからなる群から選択される。
【0042】
いくつかの実施形態は、血小板由来のミトコンドリア含有細胞外小胞(PEVs)を細胞内に形質導入する方法に関する。方法は、1) PEVを血液から抽出する工程、及び2) PEVを、細胞と共に、PEVを細胞内に形質導入するのに十分な時間インキュベートする工程を含む。細胞をインキュベートする工程はin vitro又はin vivoでありえ、後者(in vivo)を図9に示す。
【0043】
ある特定のin vivoでの実施形態では、PEVを細胞と共にインキュベートする工程は、PEVを、対象の血液、脳脊髄液、胸膜液、心膜液、腹膜水/腹水、滑液、唾液、又は任意のその他の体液中に注入することを含む。これは、該当するカテーテル、例えば動脈内又は髄腔内カテーテル等の使用を含む、様々な方式で実現可能である。PEVは、対象の特定の臓器又は組織、例えば対象の眼球又は網膜等にも導入可能である。この目的のために、PEVは、硝子体内、静脈内、又は動脈内注射を介し送達可能である。
【0044】
別の実施形態によれば、図10に示すように、眼障害又は眼障害の症状について、それを必要としている患者において処置する方法が提供され、同方法はミトコンドリアを含む血小板由来細胞外小胞(PEV)を取得する工程を含む。PEVは、工程1010において、1つ又は複数のドナーから血液を取得する工程と、工程1020において、抗凝固剤及びバッファーを血液に添加して混合物を形成する工程と、工程1030において、混合物を上清及び血小板に富んだ血漿(PRP)に分離する工程と、工程1040において、PRPを収集する工程と、工程1050において、収集されたPRPを刺激し、これによりPRP内の血小板から細胞外小胞を排除する工程と、工程1060において、細胞外小胞をPEVとして収集する工程とにより収集されたが、PEVの収集と関連するこれらの工程の多くはその他の実施形態に記載されており、従ってそれらは類似する。いくつかの実施形態では、方法は、工程1070において、有効量のPEVを患者の眼に投与し、これにより眼障害を処置する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、PEVは、処置が実施される部位とは異なる部位において収集された。いくつかの実施形態では、PEVは、オンサイト又はオフサイトにおいて収集される。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「オンサイト」とは、投与工程が実施されるか又は実施される予定の場所を指す。場所は、投与工程が実施されるか又は実施される予定の部屋、オフィス、又は病棟と同一の部屋、オフィス、又は病棟内でありうる。場所は、投与工程が実施されるか又は実施される予定の建物と同一の建物内にありうる。場所は、複数の建物を含む建物複合体と同一の建物複合体内にありえ、複数の建物の少なくとも1つが、投与工程が実施されるか又は実施される予定の場所である。建物複合体は同一の提携先(ビジネス又は組織)を有しうるか、又は複数の建物の少なくとも1つが異なる提携先を有しうる。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「オフサイト」とは、投与工程が実施されるか又は実施される予定の場所から離れた外部の場所を指す。外部の場所は、投与工程が実施されるか又は実施される予定の建物及び建物複合体(建物が建物複合体の一部である場合)から離れた部屋又はラボでありうる。
【0047】
いくつかの実施形態では、血液は、約4日間以上保管されている。いくつかの実施形態では、血液は、約1年間保管されている。いくつかの実施形態では、PEVは保管中凍結される。いくつかの実施形態では、凍結されたPEVは、凍結保護物質と組み合わせて保管される。いくつかの実施形態では、凍結保護物質は、糖類、オリゴ糖、及び多糖類からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、抗凝固剤のクエン酸デキストロース(ACD)である。いくつかの実施形態では、バッファーは、約pH6~約pH7、好ましくは約pH6.5のTyrodeのバッファーである。いくつかの実施形態では、分離は遠心分離により実施される。いくつかの実施形態では、刺激する工程の場合、収集されたPEVは、Ca2+の存在下、免疫複合体により刺激される。いくつかの実施形態では、免疫複合体は加熱凝集化IgGを含む。刺激工程で使用される加熱凝集化Igの濃度は、好ましくは約0.1mg/mL~約2.5mg/mL、より好ましくは約0.5mg/mLである。刺激工程で使用されるCa2+の濃度は、約1mM~約25mM、より好ましくは約5mMである。いくつかの実施形態では、収集されたPRPは凍結融解サイクルにより刺激される。
【0048】
いくつかの実施形態では、PEVを眼内に投与した後に、PEVは眼の少なくとも1つの細胞と接触する。いくつかの実施形態では、PEVが細胞と接触した後、PEVは細胞内に内部移行する。本明細書で使用される場合、用語「~と接触する」及び「~と接触すること」とは、ミトコンドリアを含む組成物が、細胞に対して、少なくともミトコンドリアの細胞内への内部移行を惹起するのに十分近傍に位置することを指す。
【0049】
いくつかの実施形態では、眼障害を処置するための有効量は、内部移行したPEVの量に対応し、その有効量は、図6A図6BにおいてRPEC及びbENDに関して示すように、少なくとも1つの細胞について、PEV約3個/細胞~PEV約100個/細胞の範囲である。いくつかの実施形態では、有効量は内部移行したPEVの量に対応し、その有効量は、少なくとも1つの細胞について、PEV約3個/細胞、PEV約10個/細胞、PEV約30個/細胞、又はPEV約100個/細胞である。有効量は、当業者により認識されるように、投与経路、別の治療薬との同時投与の可能性、別の治療処置との同時利用の可能性、又は方法、使用される送達デバイスのタイプ、及び任意の賦形剤の利用に応じて変化する。
【0050】
いくつかの実施形態では、処置される眼障害は、加齢性黄斑変性症(AMD)である。AMDは、特に先進国における視力喪失の主原因のうちの1つである眼障害であり、最高およそ40%の有病率を有する。AMDは、網膜に影響を及ぼすミトコンドリア機能障害により特徴付けられ、この機能障害は活性酸素種(ROS)由来の酸化ストレスによりもたらされる。AMDでは、ROSがRPE細胞において高レベルで生成され、mtDNAに対する損傷を引き起こす。mtDNAの修復機構が不十分であると、ミトコンドリア細胞死を引き起こし、ひいてはRPE細胞死をもたらすポイントにまで、この損傷が経時的に蓄積するおそれがある。RPE細胞は光受容体の健康を支援するので、RPE細胞死は、RPE細胞が支援する光受容体の死滅をもたらし、視力低下を引き起こす。
【0051】
いくつかの実施形態では、処置される眼障害は網膜色素変性症(RP)である。RPは、重度の視力障害を引き起こし、また桿状体変性により特徴付けられる眼の遺伝性障害である。いくつかの実施形態では、眼障害は、症例の90%に認められる3つの主要なmtDNA突然変異により顕在化する遺伝性ミトコンドリア性遺伝子障害であるLeberの遺伝性視神経症(LHON)である。このmtDNA突然変異から、LHONは網膜神経節細胞(RGC)に主に影響を及ぼし、その変性を引き起こし、視力喪失に至る。いくつかの実施形態では、眼障害は糖尿病性網膜症であり、これは網膜微小血管の内皮細胞及び網膜の支持細胞、例えばミュラー細胞等の機能障害により特徴付けられる。糖尿病性網膜症では、内皮細胞の機能障害がその透過性の増加を引き起こし、血管漏出を引き起こす可能性がある。この血管漏出は、周辺に浮腫を引き起こすおそれがあり、従ってその他の関連する網膜疾患、例えば糖尿病性黄斑浮腫等をもたらすおそれがある。いくつかの実施形態では、眼障害は緑内障である。
【0052】
いくつかの実施形態では、PEVを受け入れる細胞として網膜色素上皮細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、PEVを受け入れる細胞として網膜神経節細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、PEVを受け入れる細胞は、眼の網膜黄斑周辺に位置する。
【0053】
ある特定の細胞型に対する「ホーミング」を促進する特定の受容体又はコーティングとPEVとを複合体形成させることにより、特定の組織及び臓器が特異的に標的となりうる。例えば、米国特許第10,537,594号(その内容は本明細書により参照により組み込まれている)は、ミトコンドリアが肝細胞を標的とするためのアシアロ糖タンパク質(AsG)受容体系の使用について例示する。類似した系は、その他の組織又は臓器を標的とするのに使用可能である。
【0054】
ミトコンドリアの細胞内への内部移行を、in vitro及びin vivoの両方において促進するために、様々な技術が採用されうる。高レベルのミトコンドリアの内部移行が、特定の罹患組織又は高齢者において実現可能であると考えられている(この場合、組織はミトコンドリアの重度欠乏状態にあるので)。エネルギー欠乏状態にある細胞は、より容易な内部移行を可能にする化学的経路を活性化させるものと予想される。遊離ミトコンドリア又はミトコンドリア充填幹細胞が浮遊するとき、細胞はその必要性をシグナル伝達し、及び/又はミトコンドリアを貪食する。大量のミトコンドリアを血流中に連続的に維持して迅速供給が常にできる状態を確実にするために、時期、頻度、及び期間を調整して、ミトコンドリアをより高レベルで取り込むことも実現可能である。動脈シャントを介してミトコンドリア物質を臓器内に直接注入することにより、正確に留置することも採用されうる。例えば、ミトコンドリアを肝臓内で濃縮して肝組織を選好的に再生するために、肝臓動脈が使用可能である。これを適切に行うことにより、ミトコンドリアが希釈されたり又は逆流したりするおそれのあるプロセス、例えばクローン増殖等を省略することができる。
【0055】
対象によるジアテルミー及び運動も、細胞によるミトコンドリアの取り込みを促進する可能性がある。運動は、骨格筋がより多くのミトコンドリアを創出する原因となる。これは、細胞がより多くの移植を受容する原因となることが予想される。研究より、この効果は、RFラジオエネルギー又は超音波を用いて、筋肉を、1セッション当たり2~4時間加熱することによっても惹起されうることが示唆される。
【0056】
対象によるカロリー制限/絶食も、ミトコンドリアの取り込みを促進する可能性がある。試験より、絶食はミトコンドリアの変化、分裂/融合、又はマイトファジーを引き起こすことが明らかである。おそらく、輸液を伴う絶食を何回か繰り返すことで、細胞は、若干余分のミトコンドリアを受容し、新しいmtDNAをミトコンドリアネットワークとより迅速に共有するように誘導される。
【0057】
その他の技術も、ミトコンドリアの取り込みを促進するために採用されうる。例えば、自食作用を誘発する部分的な中毒、化学療法、又は低酸素症と、それに後続する輸液を多数回繰り返すことも採用されうる。それに加えて、メトホルミン、メラトニン、又はその他の薬物が、細胞によるミトコンドリアの取り込みを刺激するものと考えられている。クローニングによりミトコンドリアがそれ自体を再生する能力を、薬物を使用してシャットダウンすることで、細胞が輸液ミトコンドリアにのみに依拠するように強制することができる。
【0058】
いくつかの実施形態は、細胞の呼吸を増加させる方法に関する。方法は、本明細書に記載される方法に基づき単離されたPEVを細胞に形質導入する工程、及びPEVからATPを生み出す工程を含む。
【0059】
単離されたPEVは、機能的ミトコンドリアを含む。いくつかの実施形態では、用語「機能的ミトコンドリア」とは、酸素を消費するミトコンドリアを指す。別の実施形態では、機能的ミトコンドリアは、無変性の(intact)外膜を有する。その他の実施形態は、ミトコンドリア断片、ミトコンドリアDNA、又はそのセグメント、及びミトコンドリア遺伝子産物をコードするmRNAを含む。いくつかの実施形態では、機能的ミトコンドリアは、無変性のミトコンドリアである。別の実施形態では、機能的ミトコンドリアは、長期にわたり増加した速度で酸素を消費する。別の実施形態では、ミトコンドリアの機能性は酸素消費量により測定される。別の実施形態では、ミトコンドリアの酸素消費量は、当技術分野において公知の任意の方法により測定されうる。いくつかの実施形態によれば、機能的ミトコンドリアは、ADP及びグルタミン酸塩、リンゴ酸塩、又はコハク酸塩等の、但しこれらに限定されない基質の存在下で、酸素消費の速度増加を呈するミトコンドリアである。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。別の実施形態では、機能的ミトコンドリアは、ATPを生成するミトコンドリアである。別の実施形態では、機能的ミトコンドリアは、それ自身のRNA及びタンパク質を製造する能力を有するミトコンドリアであり、また自己再生構造である。別の実施形態では、機能的ミトコンドリアは、ミトコンドリアリボソーム及びミトコンドリアtRNA分子を生成する。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「無変性のミトコンドリア」とは、外膜及び内膜、膜間腔、クリステ(内膜により形成される)、及びマトリックスを含むミトコンドリアを指す。別の実施形態では、無変性のミトコンドリアはミトコンドリアDNAを含む。別の実施形態では、無変性のミトコンドリアは、内膜に埋め込まれた活性呼吸鎖複合体I~Vを含有する。別の実施形態では、無変性のミトコンドリアは酸素を消費する。
【0061】
別の実施形態によれば、ミトコンドリア膜の無変性は、当技術分野において公知の任意の方法により決定されうる。非限定的な例では、ミトコンドリア膜の無変性は、テトラメチルローダミンメチルエステル(TMRM)又はテトラメチルローダミンエチルエステル(TMRE)蛍光プローブを使用して測定される。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。顕微鏡下で観察され、そしてTMRM又はTMRE染色を示すミトコンドリアは、無変性のミトコンドリア外膜を有する。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「ミトコンドリア膜」とは、ミトコンドリア内膜、ミトコンドリア外膜、又はその組合せからなる群から選択されるミトコンドリア膜を指す。
【0063】
いくつかの実施形態では、機能的ミトコンドリアは、部分的に精製されたミトコンドリアである。本明細書で使用される場合、用語「部分的に精製されたミトコンドリア」とは、その他の細胞コンポーネントから分離されたミトコンドリアを指し、その場合、ミトコンドリアの重量は、Hartwig等、Proteomics、2009、(9):3209~3214頁(その開示は本明細書により参照により組み込まれる)に例示する通り、ミトコンドリア及びその他の細胞下分画の組み合わされた重量の20~80%、好ましくは30~80%、最も好ましくは40~70%を占める。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。
【0064】
別の実施形態によれば、部分的に精製されたミトコンドリアは、無変性の細胞を含有しない。別の実施形態によれば、本発明の組成物は無変性の細胞を含まない。別の実施形態によれば、本発明の組成物は、ミトコンドリア凝集体若しくは凝集物、又は細胞デブリ、又は5μmよりも大きなコンポーネントを含まない。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。別の実施形態によれば、本発明の組成物は、5μmを上回る粒状物質が欠けている。本明細書で使用される場合、用語「粒状物質」とは、無変性の細胞、細胞デブリ、ミトコンドリアの凝集物、細胞デブリの凝集物、又はその組合せを指す。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。本明細書で使用される場合、5μmを上回る外因性粒状物質が欠けている組成物は、5μmを上回る粒状物質について、1μM以下、好ましくは0.5μM未満、最も好ましくは0.1μM未満の濃度を有する。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、無変性の細胞、細胞デブリ、又は凝集物が、本発明の組成物から除去される。いくつかの実施形態によれば、本明細書において下記で例示するように、あらゆる無変性の細胞、細胞デブリ、又は凝集物を取り除くために、本発明の組成物は、5μm以下のフィルターを通じてフィルター処理される。いかなる理論又は機構にも拘泥されるものではないが、本発明の方法に基づき、ミトコンドリア凝集体を含む組成物を使用すると、有効性が損なわれ、また対象に対して有害となりさえしうる。別の実施形態によれば、本発明の組成物はリポソーム又は任意のその他の粒子担体を含まない。各可能性は本発明の個別の実施形態を表す。
【0066】
別の実施形態によれば、部分的に精製されたミトコンドリア内のミトコンドリアの重量は、ミトコンドリア及びその他の細胞下分画の組み合わされた重量の少なくとも20%を占める。別の実施形態によれば、部分的に精製されたミトコンドリア内のミトコンドリアの重量は、ミトコンドリア及びその他の細胞下分画の組み合わされた重量の20%~40%を占める。別の実施形態によれば、部分的に精製されたミトコンドリア内のミトコンドリアの重量は、ミトコンドリア及びその他の細胞下分画の組み合わされた重量の40%~80%を占める。別の実施形態によれば、部分的に精製されたミトコンドリア内のミトコンドリアの重量は、ミトコンドリア及びその他の細胞下分画の組み合わされた重量の30%~70%を占める。別の実施形態によれば、部分的に精製されたミトコンドリア内のミトコンドリアの重量は、ミトコンドリア及びその他の細胞下分画の組み合わされた重量の50%~70%を占める。別の実施形態によれば、部分的に精製されたミトコンドリア内のミトコンドリアの重量は、ミトコンドリア及びその他の細胞下分画の組み合わされた重量の60%~70%を占める。別の実施形態によれば、部分的に精製されたミトコンドリア内のミトコンドリアの重量は、ミトコンドリア及びその他の細胞下分画の組み合わされた重量の80%未満を占める。
【0067】
下記の実施例は、本発明がより完全に理解されるように提示される。本発明の原理を例証するために記載される特定の技術、条件、材料、割合、及び報告データは例示的であり、また本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【実施例1】
【0068】
この実施例は、PEVがいくつかの実施形態に記載のマウス血液から収集されることを例証する。
【0069】
下記の工程を実施した:
【0070】
1.血液をマウスドナーから収集した。この特別なプロトコールでは、ドナーはオスDsRedマウス(赤色蛍光タンパク質バリアントDsRedを発現するトランスジェニックマウスである)であった。ニワトリβアクチンプロモーターの制御下のMSTを、サイトメガロウイルス(CMV)極初期エンハンサーと連結した。ここでは、3×1mL(1mL/マウス)の血液を使用した。
【0071】
2.ACD(20%)を抗凝固剤とし添加し、また40% Tyrodeのバッファー(pH6.5)も血液に添加した。血液混合物(20% ACD + 40% Tyrodeのバッファー(TB)(pH6.5))を、次に500gにおいて3分間遠心分離した。PRP及びバフィーコートを次に収集し、そして300gにおいて2分間遠心分離した。
【0072】
3.PRPを収集し、そして20% ACD + 10mM EDTAを添加した後、1300gで5分間の遠心分離工程を行った。
【0073】
4.各ペレットを0.1mLのTB(pH6.5)に懸濁し、そして0.9mLのTB(pH7.4)を添加した。
【0074】
5.血小板をプールし、セロメーター(cellometer)を使用してカウントし、そしてTB7.4内で10e8/mLに希釈した。
【0075】
6.全体で900百万個の血小板を取得し、そして5mM CaCl2を刺激前に添加した。
【0076】
7.血小板を、0.5mg/mLの加熱凝集化IgGを用いて、室温、一晩(16時間)刺激した。ヒトIgG(25mg/mL、MPBIO)を62℃において1時間凝集させることにより、加熱凝集化IgGを調製した。
【0077】
8.10mM EDTAを添加して刺激を停止した。
【0078】
9.刺激を受けた血小板を、300gで5分間遠心分離して残滓血小板又は細胞を除去した。
【0079】
10.上清を収集し、そしてフローサイトメーターを使用してPEVを分析した。
【0080】
11.残りの血小板を評価し、汚染は1%未満であった。
【0081】
12.得られたPEVをPBSで3回希釈し、そして18℃、18000gで90分間遠心分離した。
【0082】
13.ペレットを0.3mLのPBS内で再懸濁し、そしてフローサイトメトリーによりPEVをカウントした。濃度をPEV 1.5×10e9個/mlと見積もった。
【0083】
14.PEVをCD41タグでタグ化することで、PEVがフローサイトメーターにおいてカウント可能となりうる。そのようにタグ化された場合、PEVは全体(CD41+PEV)のおよそ40%を占める。PEV集団を表すドットプロットを図11において例証する。(DsRed軸はPEVを示す)。
【実施例2】
【0084】
この実施例は、PEVはいくつかの実施形態に記載の網膜細胞により内部移行しうることを例証する。
【0085】
下記の工程を実施した:
【0086】
1.不死化マウス網膜色素上皮細胞(RPEC)及び脳内皮細胞(bEND)を、PEVインキュベーション前に一晩播種した(およそ細胞20,000個/ウェル(RPEC)及び細胞16,000個/ウェル(bEND))。
【0087】
2.実施例1で概説した工程に従って、PEVをマウスドナーから収集した。
【0088】
3.1%のペニシリン-ストレプトマイシン(pH7.4)及び1%、5%、又は10%のFBS(非加熱活性化)が補充されたPrigrow IIIにおいて、RPECを、3、18、24、又は36時間のいずれかの時間、PEV(細胞1個当たりミトコンドリア約3、10、30、又は100個+ PEV)と共に又はそれを伴わずにプレインキュベートした。
【0089】
4.1%のペニシリン-ストレプトマイシン(pH7.4)及び1%、5%、又は10%のFBS(非加熱活性化)が補充されたDMEMにおいて、bENDを、24時間、PEV(細胞1個当たりミトコンドリア約3、10、30、又は100個+ PEV)と共に又はそれを伴わずにプレインキュベートした。
【0090】
5.RPEC及びbENDを洗浄し、そして2mMグルタミン、1mMピルビン酸、及び8mM D-グルコース、及び1% FBS(pH7.4)が補充されたXF培地内に導入した。
【0091】
6.洗浄後に、XF培地内のRPEC及びbENDを、CO2を含めずに、37℃、300gで5分間及び60分間遠心分離した。
【0092】
図2A図2Bは、染色された核202[DAPI(4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)]、及びRPEC 200の細胞膜204、及びPEV 210(DsRed)を示す共焦点画像である。図2A図2B(それぞれ40×及び20×の倍率)に示すように、PEV 210は、RPEC 200により大部分が内部移行する。図3に示すように、この内部移行は24時間を優に超えて安定でありうる。図4は、RPEC 400、DAPIを用いて染色されたその核402の別の群を示し、投与されたPEV/ミレット(mitlet) 410(DsRed)を、3及び6時間後に取り込むその能力を実証する。図4の左パネルは、RPEC 400(その染色された核402及びその細胞膜404を含む)を示す。また染色されたPEV/ミトレット410も左パネルに示す。図4の右パネルは、1)隣接する左パネルに由来するRPEC 400の染色された核402;及び2)隣接する左パネルに由来する染色されたPEV/ミトレット410を示す。図4に由来するパネルは40×で取得した。
【0093】
RPEC 500におけるミトコンドリア内部移行を検証するために、図5に示すように、共焦点顕微鏡を使用しながら、PEV由来の蛍光標識されたミトコンドリア510(ここでは表示付きの矢印頭部により示す)のX-Z及びY-Zスキャンを実施した。RPEC 500の核502をDAPIで染色した。図5に示すように、RPEC 500の細胞膜504をCellMask(商標)で染色した。ここで、X-Z面はY-Z面に対して直角である。X-Z、Y-Zスキャンは、蛍光標識されたミトコンドリア510(矢印頭部を参照されたい)の点光源(point source)からの最高強度がRPEC 500内でどのように位置するかを示す。この内部移行の結果を図6Aに示す。図6Bは、bENDも、PEVにより送達されたミトコンドリアを内部移行させたことを示す。従って、これらの結果は、PEVは、耐久性のあるミトコンドリアをRPEC及びbEND中に送達可能性であることを実証する。
【0094】
PEVにより送達されたミトコンドリアの活性を評価するために、Seahorse XFアッセイ(ミトコンドリアストレスについてテストする)を、PEVと共に24時間プレインキュベートしたRPEC上で実施した。使用した血清について好ましいレベルと思われる5% FBS(10% FBSのようなより高い血清レベルは細胞分裂を惹起するおそれがある)を用いながら、この実施例の工程3に提示するように、酸素消費速度(OCR)を、RPEC(PEV0、3、10、30、又は100個/細胞)について異なるプレインキュベーションパラメーター間で測定した。
【0095】
図7A図7DのOCR読み取り値に関して、PEVと共にプレインキュベートしたRPECとそうしなかったRPEC(コントロール)との間で、類似した(そうでなければ若干低い)基底呼吸レベルを図7Aに示す。基底呼吸レベルとは、ベースライン条件下でのRPECのエネルギー要求量を指す。PEVと共にプレインキュベートしたときのRPECの予備呼吸能力の増加を図7Bに示し、その結果は、エネルギー要求量に応答するRPECの能力改善(すなわち、細胞の適応性又は柔軟性の改善)を示唆する。図7Cは、PEVと共にプレインキュベートしたRPECでは、その一部においてATP生成がわずかに増強することを示すものと考えられる。図7Dは、プロトンリークは、PEVを内部移行させなかったRPECと比較して、PEVを内部移行させたRPECにとって問題ではないと考えられることを示す。
【実施例3】
【0096】
ネイキッドミトコンドリアを生の肝臓から抽出し、そして異なるウェル内の様々な量のRPEC(1、10、100、1000、及び10000ng)に投与した。群毎の酸素消費速度をSeahorse XFアッセイにより決定した。図8に示すように、ネイキッドミトコンドリアが投与されたRPECの各群は、ネイキッドミトコンドリアの投与を一切受けなかったコントロールRPEC(コントロールRPECは約4pmol/分のOCRを示した)と比較して、その各基底呼吸について有意な増加を示した。示す通り、ネイキッドミトコンドリアの投与を受けたRPECの基底呼吸の増加は、コントロールと比較して少なくとも2倍であった。
【0097】
附記
本明細書で使用されるセクションの見出しは構成的な目的に限定され、記載される主題を限定するものとはみなさないものとする。
【0098】
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、両方の意味合い又はいずれか一方の意味合いについて、明示的支持を表明するものとする。
【0099】
本明細書で使用される場合、単語「~を含む(comprise)」又は変化形、例えば「~を含む(comprises)」又は「~を含むこと(comprising)」等は、記載された要素、整数、若しくは工程、又は要素、整数、若しくは工程の群の組み入れを意味するものと理解されるが、しかし任意のその他の要素、整数、若しくは工程、又は要素、整数、若しくは工程の群の除外を意味しない。
【0100】
下記の用語及び方法の説明は、本開示をより良く記載するため、及び本開示を実践する際の当業者に対する指針となるように提供される。単数形「a」、「an」、及び「the」とは、文脈より別途明確に指示されない限り、1つ又は2つ以上を指す。例えば、用語「核酸分子を含む(comprising a nucleic acid molecule)」は、単数又は複数の核酸分子を含み、また慣用句「少なくとも1つの核酸分子を含む(comprising at least one nucleic acid molecule)」と同等と考えられる。用語「又は」とは、文脈が別途明示しない限り、記載された複数の代替的要素のうちの単一の要素、又は2つ以上の要素の組合せを指す。本明細書で使用される場合、「~を含む(comprises)」とは、「~を含む(includes)」を意味する。従って、「A又はBを含む(comprising A or B)」は、「A、B、又はA及びBを含む(including A, B, or A and B)」を意味し、追加の要素を排除しない。別途規定されない限り、本定義がその他の考えうる定義と異なる場合には、本明細書に提示される定義が優先する。
【0101】
上記概念及び下記でより詳細に議論される追加の概念(提示されるそのような概念は相互に矛盾しないものとする)について、そのすべての組合せが、本明細書で開示される発明の主題の一部分として検討されるものと認識すべきである。特に、本開示の最後に登場する特許請求にかかる主題について、そのすべての組合せが、本明細書で開示される発明の主題の一部分として検討される。本明細書において明示的に採用された専門用語は、参照により組み込まれる任意の開示にも登場しうるが、該専門用語は、本明細書で開示される特定の概念と最も整合する意味合いに一致するものとも認識すべきである。
【0102】
本明細書全体を通じて、「1つの例」、「別の例」、「一例」等と記載する場合、それは、該事例と関連して記載される特定の要素(例えば、特性、構造、及び/又は特徴)が、本明細書に記載される少なくとも1つの事例に含まれるが、その他の事例において存在する場合もあれば、存在しない場合もあることを意味する。それに加えて、任意の例に関して記載される要素は、文脈より別途明確に指示されない限り、任意の適する方式で、様々な例において組み合わせ可能であるものと理解される。いくつかの例が詳細に記載されているが、開示された例は改変されうるものと理解される。従って、上記説明は非限定的とみなされる。
【0103】
特別な態様又は例と関連して記載される特性、材料、特徴的、又は群は、本セクション、又は本明細書のいずれかに記載される任意のその他の態様又は例に、それと矛盾する場合を除き、適用されるものと理解される。本明細書において開示される特性(あらゆる付随する特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)のすべて、及び/又は開示されるあらゆる方法又はプロセスのすべての工程は、任意の組合せで組み合わせ可能であるが、但しそのような特性及び/又は工程の少なくとも一部が相互に排他的である組合せを除く。保護は上記事例のいずれかに記載の詳細事項に限定されない。保護は、本明細書において開示されるいくつかの特性のうちの任意の新規特性若しくは任意の新規組合せ(あらゆる付随する特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)、又は開示される任意の方法又はプロセスのいくつかの工程のうちの任意の新規工程若しくは任意の新規組合せまで拡張される。
【0104】
更に、個別実施の文脈において、本開示に記載されるある特定の特性は、単一の実施において、それらを組み合わせて実施することも可能である。反対に、単一の実施の文脈において、記載される様々な特性は、複数実施において個別に、又は任意の適する部分組合せにおいて実施されうる。それに加えて、複数の特性が、ある特定の組合せにおいて機能するものとして上記記載される場合もあるが、主張された組合せに由来する1つ又は複数の特性が、場合によっては組合せから切り離される可能性もあり、該組合せは部分組合せ又は部分組合せの変化形として主張される場合もある。
【0105】
それに加えて、操作は、特定の順番で図面に表されるか又は本明細書に記載されうるが、そのような操作は、示される特定の順番又は連続した順番で実施される必要はなく、又はすべての操作は望ましい結果を実現するように実施される。表されない又は記載されないその他の操作が、方法及びプロセスの例において組み込まれる場合もある。例えば、1つ又は複数の追加の操作が、記載される操作のいずれかの前後に、それと同時に、又はその間に実施可能である。更に、操作は、その他の実施において再構成又は再配列されうる。当業者は、いくつかの事例では、例証及び/又は開示されるプロセスにおいて講じられる実際の工程は、図に示す工程とは相違する場合があることを認識する。事例に応じて、上記した複数の工程のうちの特定の工程が除去される場合もあれば、またその他工程が追加される場合もある。更に、上記で開示した特定の事例の特性(feature)及び特性(attribute)は、異なる方式で組み合わせて追加の事例を形成する場合もあり、そのすべてが本開示の範囲内に収まる。
【0106】
本開示の目的に照らし、特定の態様、利点、及び新規特性が本明細書に記載される。そのような利点のすべてが、任意特定の事例に基づき達成されうるとは必ずしも限らない。従って、例えば、当業者は、本開示は、本明細書において教示されるような1つの利点又は利点の群を実現する方式で具体化又は実施することができ、本明細書において教示又は示唆されうるその他の利点は必ずしも達成されないことを認識する。
【0107】
条件付き言語、例えば「can(~できる)」、「could(~できうる)」、「might(~しうるかもしれない)」、又は「may(~しうる)」等は、特に明記されない限り、又は使用される文脈において別の意味として理解される場合を除き、ある事例には特定の特性、要素、及び/又は工程が含まれるが、その他の例には含まれないことを伝える意図合いを一般的に有する。従って、このような条件付き言語は、1つ又は複数の事例において、特性、要素、及び/又は工程が、方法如何によらず必要とされること、或いは1つ又は複数の事例には、ユーザー入力やプロンプトの有無にかかわらず、これらの特性、要素、及び/若しくは工程が含まれるか、又は任意特定の事例において実施されるかどうかを決定するための論理が必然的に含まれるということを示唆する一般的意図を有さない。
【0108】
接続的言語、例えば慣用句「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」等は、別途、特別に記載されない限り、項目、用語等がX、Y、又はZのいずれかでありうることを伝えるために、一般的に使用されるような文脈に基づいて理解される。従って、このような接続的言語は、ある特定の事例は、Xが少なくとも1つ、Yが少なくとも1つ、及びZが少なくとも1つ存在する必要があることを意味するような一般的意図を有さない。
【0109】
本明細書で使用される程度の言語、例えば用語「およそ」、「約」、「一般的に」、及び「実質的に」等は、記載された数値、量、又は特徴に類似し、なおも望ましい機能を果たすか又は望ましい結果を実現する数値、量、又は特徴を表す。
【0110】
本開示の範囲は、本セクション又は本明細書内の他の箇所に記載の好ましい事例の特定の開示により限定されるように意図するものではく、本開示の範囲は、本セクション又は本明細書内の他の箇所に提示されるか、又は将来的に提示されるような特許請求の範囲により定義されうる。特許請求の範囲の言語は、特許請求の範囲において採用される言語に基づいて広く解釈されるものとし、本明細書において、又は出願手続中に記載される事例に限定されるものではなく、これらの事例は非排他的と解釈されるものとする。
【0111】
本開示の記載された実施形態及び実施例は、制限的ではなく、例証を目的としたものであり、また本開示のあらゆる実施形態又は実施例を代表することを意図したものでもない。従って、本明細書に記載された特定の実施形態や実施例によって、その範囲が限定されるものではない。本開示の基本的な新規特性が、その様々な特定の実施形態に適用される通り、提示、記載、強調されているが、開示される方法の詳細において、様々な省略、置き換え、変更が明白となりえ、また本開示の精神から逸脱することなく、当業者によってなしうることも理解されよう。例えば、同一の結果を実現するために、実質的に同一の方式で、実質的に同一の機能を実施する方法ステップのすべての組合せは、本開示の範囲に含まれることが明示的に意図されている。それに加えて、本開示において開示された任意の形態又は実施形態に関連して提示又は記載される方法ステップは、設計選択の一般的な事案として、その他の任意の開示又は記載又は示唆された形態又は実施形態に組み込まれうることも認識すべきである。更に、下記の特許請求の範囲に記載されるような本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な改変及び変形が、文字通り及び法的に認められる同等物としてなされうる。
【符号の説明】
【0112】
110 工程110
120 工程120
130 工程130
140 工程140
150 工程150
160 工程160
200 RPEC
202 染色された核
204 細胞膜
210 PEV
400 RPEC
402 染色された核
404 細胞膜
410 PEV/ミトレット
500 RPEC
502 染色された核
504 細胞膜
510 蛍光標識されたミトコンドリア
1010 工程1010
1020 工程1020
1030 工程1030
1040 工程1040
1050 工程1050
1060 工程1060
1070 工程1070
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】