(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】コンドーム保持具
(51)【国際特許分類】
A61F 6/04 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
A61F6/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546343
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2024-09-30
(86)【国際出願番号】 RU2022000028
(87)【国際公開番号】W WO2023149813
(87)【国際公開日】2023-08-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524291159
【氏名又は名称】ゲラシメンコ・ヴァディム・ミハイロヴィッチ
【氏名又は名称原語表記】GERASIMENKO, Vadim Mihajlovich
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100230248
【氏名又は名称】杉本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】ゲラシメンコ・ヴァディム・ミハイロヴィッチ
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA06
4C098EE30
(57)【要約】
【課題】避妊や感染症伝播防止の手段として使用されるコンドームの個包装体、詳細には、コンドームを装着し易くして装着過程でのコンドームの汚染や破損を防止するように構成されたコンドーム保持具を提供する。
【解決手段】コンドーム保持具は、コンドームのリングの把持手段を有する基部と、係止装置と、を備える。前記係止装置は、ストッパを有する係止爪の形態で形成されている。前記基部は、切離し可能に形成されている。前記コンドームのリングの前記把持手段は、フック形状である。前記基部には、指で握るための手持ち部が設けられている。技術的な結果として、コンドームは、装着過程(コンドームのリングが巻き延ばされている最中)や個包装体内での輸送時や保管時に、確実に固定された状態となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンドームのリングの把持手段を有する基部を備えるコンドーム保持具において、さらに、係止装置、を備えることを特徴とする、コンドーム保持具。
【請求項2】
請求項1に記載の保持具において、前記係止装置が、ストッパを有する係止爪の形態で形成されていることを特徴とする、保持具。
【請求項3】
請求項1に記載の保持具において、前記基部が、切離し可能に形成されていることを特徴とする、保持具。
【請求項4】
請求項1に記載の保持具において、前記コンドームのリングの前記把持手段が、フック形状であることを特徴とする、保持具。
【請求項5】
請求項1に記載の保持具において、前記基部に、指で握るための手持ち部が設けられていることを特徴とする、保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生や人の健康の分野、つまりは、避妊や感染症伝播防止の手段として使用されるコンドームの個包装体、詳細には、コンドームを装着し易くして装着過程でのコンドームの汚染や破損を防止するように構成されたコンドーム保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚の可撓性フィルムシートからなり、その両端を溶着することにより、巻かれた状態のコンドームを配置するための空洞を形成してなる、コンドームの包装体が、先行技術から知られている(2015年9月10日付公告のRU2562052(特許文献1))。一方の可撓性シートには、円状形態に形成された最弱抵抗線(開封線)が設けられている。このシートには、指で掴んで開封し易くするタブが設けられている。開封後、使用者はコンドームを取り出し、それを勃起した陰茎に手で装着させる。
【0003】
このような包装体は、勃起した陰茎にコンドームを装着し易くするための手段を備えておらず、また、十分に清潔でない可能性がある手で使用者がコンドームを取り出して装着を行うことから、衛生レベルが望ましくない。しかも、指でコンドームに直接触れる必要があるため、指の爪や宝石類や乾いたザラザラの皮膚によって傷付いたり潤滑剤が手で擦り取られたりすることで、破損が生じてしまう(コンドームが乾いて、破れてしまう)。以上の各事項は、使用者の気持ちが高ぶった状態では、コンドームを過度に引っ張らずには勃起した陰茎に正しく配置できないという理由で、余計に悪化する。
【0004】
最も近い先行技術は、コンドームの縁を固定する把持部、およびコンドームを配置することが可能な空間を少なくとも部分的に画定し且つ少なくとも部分的に弾性を有する該把持部間の連結部を備えた、コンドーム保持具であって、その連結部の形状を、上記空間が縮小する第1の形態と上記空間が拡張する第2の形態との2つの形態間で変化させるように構成されてなる、2009年1月20日付公告のRU2343880(特許文献2)に開示されたコンドーム保持具である。ここで、第1の形態では、上記連結部の少なくとも一部が歪みを伴っているとともに第2の形態へと変形し易くなっており、第2の形態では、その歪みの少なくとも一部が解放される。把持部は、フック形状になっている。この保持具には、コンドームの装着過程で使用者が手で握るように構成された手持ち部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ロシア国特許第2562052号明細書
【特許文献2】ロシア国特許第2343880号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既知の技術的な解決手段を原型としたとき、(輸送時や保管時の未使用状態の)畳まれた状態のコンドームの保持が不安定である点や、勃起した陰茎への装着過程でのコンドームの保持が不安定になる点が、短所として挙げられる。これは、使用者による器具の保持が片手だけで行われ、しかも、その手が利き手でない(すなわち、手の運動スキルが発達していない)場合もあるため、コンドームを装着する際の力の度合いが、望ましいものにならないからである。この際、片手で装着しようとすると、器具の軌道が陰茎軸と平行になるように(コンドームのリングの平面が陰茎軸を通る平面と直交するように)器具を正しく位置決めすることができない。以上の各事項が原因となり、巻かれたコンドームのリングが装着開始時に把持部から外れて器具の使用が不可能になったり、装着過程でコンドームのリングの厚みが薄くなっていく最中に該リングが把持部から外れて器具とそのコンドームを使って続行することが不可能になったりするといった状況に陥る。
【0007】
技術的な課題として、コンドームを、装着過程(コンドームのリングが巻き延ばされている最中)や個包装体内での輸送時や保管時に、確実に固定された状態とするコンドーム保持具を提供することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、コンドーム保持具が、コンドームのリングの把持手段を有する基部を備え、さらに、係止装置を備えることで、技術的な結果が得られる。
【0009】
本発明の具体的な実施形態では:係止装置が、ストッパを有する係止爪の形態で形成され;前記基部が、切離し可能に形成され;前記コンドームのリングの前記把持手段が、フック形状であり;前記基部に、指で握るための手持ち部が設けられている。
【0010】
本コンドーム保持具に係止装置が存在していることで、歪みを伴うことなくコンドームを一様に巻き開く(巻き延ばす)とともに、指でコンドームに触れることなくコンドームのリングから基部の各部位を素早く簡単に分離させることができる。さらに、輸送時や保管時に衝撃が個包装体に加わって基部が(仮止め部の線に沿って)破断したとしても、係止装置によってコンドームが個包装体内で常時確実に固定されているので、基部が破断したままコンドームを使用することが可能となる。
【0011】
本請求のコンドーム保持具の開発時に、本請求の技術的な結果の達成を確かめる試験を実施した。この目的のために、様々なサイズの100個のコンドームを、勃起した陰茎を模倣した装置(ガラス球)に装着させた。半数(50個)は、手で巻き開くという昔ながらの様式で装着させ、残りの半数は、本請求の保持具を使って装着させた。第1群の(昔ながらの装着方法による)装着は慎重になり、13~20秒程度かかった。装着に要する時間を早めようとすると、コンドームのリングの歪みによってコンドームの巻き開きが妨げられて、その結果、一部のコンドーム(43%)が破れた。(本請求の器具を使って装着させる)第2群の装着は、破れたり皺が出来たり係止装置が外れたりすることもなく2~3秒で済んだ。このように、本保持具の設計構成によれば、コンドームは、装着過程(コンドームのリングが巻き延ばされている最中)や個包装体内での輸送時や保管時に、確実に固定された状態となる。
【0012】
本請求の発明には、図面を添付している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】コンドーム保持具を示す平面図である(2つの係止爪が開放されている)。
【
図2】コンドーム保持具を示す底面図である(2つの係止爪が開放されている)。
【
図3】コンドーム保持具を示す概要図(不等角投影図)である(1つの係止爪が閉止している)。
【
図5】コンドーム保持具の使用時を示す平面図である(コンドームは図示していない)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
コンドーム保持具は、基部1に、コンドームのリング(すなわち、畳まれた状態のコンドーム)の把持手段2と係止装置3とが設けられてなるものである(
図1~
図5)(コンドームは図示していない)。
【0015】
基部1は、切離し可能に形成されており、好ましくは、2つの部位に割くことが可能に形成されている。ここで、個包装体内での保管時や輸送時にコンドームが確実に保護された状態となるように、前記基部の各部位は、該基部を(例えば、ジャンパー等で)別々の方向に引っ張ったり若干曲げたりした際に破断する仮止め部によって互いに繋がっている。
【0016】
基部1の中央部分は孔部4を有しており、コンドームのリング(ニンバス)が孔部4の縁に沿って配置される。
【0017】
基部1には、コンドームのリングの把持手段2が、前記孔部の縁に沿って設けられている。把持手段2は、コンドームを孔部4に対して決まった向きにする形状であればどのような形状に形成されてもよく、また、コンドーム装着過程でコンドームに軽度ながらも影響を加えるように(前記基部の各部位が別々の方向に広げられた際にコンドームを引っ張るように)構成されたものであり得る。好ましい実施形態において、この手段2は、例えば
図1~
図5に示すようにフック形状であり、その端部は、基部1の幾何学的中心から外向きに向いている(各把持体は配置済みのコンドームのリングの内側に位置することになる)。ここで、把持手段2の曲げ径は、巻かれた状態のコンドームのリングの厚みよりも若干大きいか又はそれと同じとされ得る(但し、コンドームの完全性を損なうことがないよう該厚み未満には設定されない)。コンドームの把持手段2の数は、基部1や配置済みのコンドームの大きさに応じて増減されてもよく、好ましくは、4つ以上である。具体的な実施形態として、本保持具には、フック形状の端部が基部1の幾何学的中心側に向いた追加の把持手段5が設けられてもよい。このような把持手段5は、例えば輸送時や保管時に包装体(したがって、前記基部)が強く曲がった際に、主要な把持手段2からコンドームが外れてしまうのを防ぐ。
【0018】
基部1のうち、コンドームのリングの外側に、係止装置3が位置している。係止装置3の設計としては、様々なものがあり得る。本器具の好ましい実施形態において、係止装置3は、ストッパ6を有する係止爪の形態、つまり、前記基部に回動可能に固定されて閉止状態ではフックの形態のストッパ6により確実な固定を行うフック形状の構成品の形態に形成され得て、フック形状の各構成品の端部とそれに対応する把持手段2の端部との間には隙間7(空間)が生じる(図中の双方向矢印が隙間7を指している)。具体的な実施形態では、フック形状の構成品の端部と基部1との間に隙間7(図示せず)が生じ得る。
【0019】
本器具の他の実施形態において、係止装置3は、(所望の弾性度の材料を用いることで)弾性的に屈曲可能に形成され得て、製造時や包装時に弾性的に曲げられることでコンドームを(露出後に)設置するよう屈曲できるほか、自身の端部と前記把持手段の端部との間に隙間7(空間)を生じさせる。
【0020】
コンドームの巻き延ばしが確実に一様になる(すなわち、コンドームのリングが同一平面上に確実に位置決めされる)限り、係止装置3の数は、該係止装置3の形状や位置に応じて増減されてもよい。
【0021】
基部1、把持手段2および係止装置3の材料としては、所望の性能特性(最適な可撓性、強度、細胞毒性パラメータなど)を有する高分子材料であれば、どのような材料が使用されてもよい。
【0022】
係止装置3は、前記基部との一体品であってもよい。
【0023】
基部1には、指で握るための手持ち部8が設けられている。手持ち部8の形状、大きさおよび数は、多種多様であり得る。好ましい実施形態では、基部1の各部位に手持ち部8が設けられている。ここで、前記基部の各部位を別々の方向に引っ張った際に指が滑らないように、載置部9や溝10が手持ち部8に設けられてもよいし手持ち部8が(例えば、上向きに曲がった)湾曲形状で形成されてもよい。
【0024】
本保持具は、次のように使用する。
【0025】
個包装体(例えば、昔ながらの箔製包装体等)の開封後、コンドーム付きの保持具を取り出す。このとき、前記係止装置は閉止状態にあってコンドームが確実に固定されている。そして、使用者は、前記手持ち部を握って、(前記基部を相対する方向に引っ張るか又は前記基部を曲げて)前記基部を破断し、前記基部の各部位を別々の方向に広げる。この際、引っ張られる過程で(
図1及び
図5において二点鎖線で示す)平面形態が長方形状から正方形状に変化する前記把持手段によってコンドームが引っ張られることでコンドームの引張面積が最大化し、使用者は指で触れることなくコンドームを素早く装着させることが可能となる。コンドームの装着過程では、コンドームのリングをそのあいだ同一平面上に確実に固定された状態にする前記係止装置の作用によってコンドームが円滑かつ一様に巻き延ばされる(巻き開かれる)ので、前記把持手段から外れてしまうようなことがなくなる。装着過程の最終段階では、コンドームのリングの厚みが最も薄くなった時点で、前記フック形状の構成品の端部と前記把持手段の端部との間の前記隙間(空間)から、薄くなったリングが抜けるため、前記基部の各部位を分離させ易くなる。
【0026】
このように、本発明により、装着過程や個包装体内での輸送時や保管時に、コンドームを確実に保持することが可能となる。
【国際調査報告】