(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】硬い摩耗性表面に作用するための挿入物を装備したシステム
(51)【国際特許分類】
B28D 1/28 20060101AFI20250130BHJP
B23P 11/02 20060101ALI20250130BHJP
B23B 31/117 20060101ALI20250130BHJP
E21B 10/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B28D1/28
B23P11/02 A
B23B31/117 610F
E21B10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024565388
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 IT2022050301
(87)【国際公開番号】W WO2023139617
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】102022000001115
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524279009
【氏名又は名称】コリマグ ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】アンドリーナ,ジョバンニ
【テーマコード(参考)】
2D129
3C032
3C069
【Fターム(参考)】
2D129GA02
3C032BB11
3C069AA05
3C069BA10
3C069BB02
3C069BB03
3C069CA01
3C069EA03
(57)【要約】
硬い摩耗性表面を加工するためのシステム(1)であって、格納穴(5)を装備した支持および格納構造物(3)と、格納穴(5)に挿入されることになるスピンドル(7)とを備え、格納穴(5)が、細長く、第1の直径(A)が構造物(1)の外側に向かって方向付けられており、かつ第2の直径(B)が第1の直径(A)よりも大きく、構造物(1)の内側に向かって方向付けられている円錐形の区間を有し、スピンドル(7)が、細長く、第3の直径(A’)が構造物(1)の外側に向かって方向付けられており、かつ第4の直径(B’)が第1の直径(A’)よりも大きく、構造物(1)の内側に向かって方向付けられている円錐形の区間を有し、スピンドル(7)が、支持および格納構造物(3)の温度を上げまたは下げることによって、格納穴(5)の中に挿入される、システム(1)が記載されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬い摩耗性表面を加工するためのシステム(1)であって、
格納穴(5)を備えた支持および格納構造物(3)と、
前記格納穴(5)に挿入されるように設計されているスピンドル(7)と
を備えるシステム(1)において、
前記格納穴(5)が、細長く、第1の直径(A)が前記構造物(1)の外側に向かって方向付けられており、かつ第2の直径(B)が前記第1の直径(A)よりも大きく、前記構造物(1)の内側に向かって方向付けられている円錐形の区間を有し、
前記スピンドル(7)が、細長く、第3の直径(A’)が前記構造物(1)の外側に向かって方向付けられており、かつ第4の直径(B’)が前記第1の直径(A’)よりも大きく、前記構造物(1)の内側に向かって方向付けられている円錐形の区間を有し、
前記第1の直径(A)および前記第3の直径(A’)が、実質的に同一であり、
前記第2の直径(B)および前記第4の直径(B’)が、実質的に同一であり、
前記スピンドル(7)が、前記支持および格納構造物(3)の温度を上げることにより、前記第1の直径(A)が前記第4の直径(B’)よりも大きくなるまで前記穴を拡張させることによって、前記格納穴(5)の内側に挿入され、これにより前記スピンドル(7)が前記格納穴(5)に入ることができ、
前記格納穴(5)の内側への前記スピンドル(7)の動作的な連結が、前記支持および格納構造物(3)の温度を前記スピンドル(7)と均一にして、前記第4の直径(B’)が前記第1の直径(A)よりも大きい元々の寸法に戻すことを実現することによって行われ、これにより前記スピンドル(7)が前記格納穴(5)から出てくることを防止する
ことを特徴とするシステム(1)。
【請求項2】
前記第4の直径(B’)が前記第1の直径(A)よりも小さくなり、次いで前記スピンドル(7)を前記穴(5)に挿入することができるように、前記スピンドル(7)の温度を下げることによって、前記スピンドル(7)が前記格納穴(5)の内側に挿入されることを特徴とする請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記第1の直径(A)が、前記第2の直径(B)よりも小さく、前記第3の直径(A’)が、前記第4の直径(B’)よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記スピンドル(7)が、60HRCよりも高い硬度と最大500℃の温度への耐性とを有するタングステン合金で作られていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記支持および格納構造物(5)が、鋼で作られていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬い摩耗性表面に作用するための挿入物を装備したシステムに言及する。一般に本発明は、干渉による熱装着によって生じる張力の問題を有する用途において使用されることになるシステムに関する。さらに一般に本発明は、熱膨張を発展させるすべての物質とともに使用することができる。最後に、特に本発明は、硬い摩耗性表面で作用するための改善された工具に言及する。
【背景技術】
【0002】
工具構造物の内側に挿入されている挿入物(芯)を装備した工具が当分野で既知である。この挿入物は、高い硬度(最大60HRC)と非常に高い温度(最大500℃)への耐性とを有する特別なタングステン合金から作られている。
【0003】
いくつかの対策を用いると、耐用年数は確実に標準的な工具よりもはるかに長くなる。作用中、挿入物の損耗は最小限であるが、工具の外部部分を形成する鋼が、硬度および耐熱性の異なる特性を有し、したがって、500℃よりも高い温度が、挿入物を保持する鋼工具の部分に問題を発生させることになるため、長い行程時間による工具の過熱を回避する必要があることが考慮されなければならない。
【0004】
最適な性能、非常に硬い物質(800kg/cm2以上)に作用することを得るために、最小部分および低減された打撃時間で解体を開始する必要があり、これにより、操作員の一部に対するより大きな責任およびより大きな注意が必要であったとしても、(物質の硬度に関して)良好な生産が可能になる。
【0005】
タングステン部分は、常に鋼工具の残りの部分から突出しており、岩石と接触するときに損耗し、その結果、工具は常に鋭利で、最良の取付け点に位置付けることがより容易になり、すべての槌打力を小さな表面に集中させることが可能であり、そうして破壊係数を増加させる。
【0006】
しかしながら、これらの工具は十分ではなく、後によりよくわかるように、構造物が、(円筒形の形状である)挿入物の支持部を保証できず、非常に少ない作業サイクルの後に、挿入物自体によって(挿入物を包含するために構造物の中に作られている円形の穴から始まる)構造物が受ける応力により、破損するという問題を有する。
【0007】
EP-A2-2812532(特許文献1)は、上述の問題を有する従来技術のシステムを開示している。DE-U1-202005011770(特許文献2)は、長方形の区間を有する受容要素3の円筒形の凹部11を開示しており、受容要素は、連結心棒2と連結されているとき、すなわち本発明に対する別の位置にあるときに、わずかに先細りした形状を有する。
【0008】
さらに、DE-U1-202005011770(特許文献2)の
図1において明らかにわかるように、部品2と部品3との間の連結が、心棒2に対して外部から受容要素3を置くことによって行われると仮定すると、それらの連結部の円錐形の具現化は、心棒2の非常に速い動作速度を考慮して、それらの動作速度によって外部の連結要素3が短時間後に取り外されるであろうことを仮定すると、いずれの改善にもつながらないであろう。これは、支持部の外側または内側に向かう心棒2の先細りの方位に関わらない(なお、心棒は通常円錐形では決してない)。動作速度は、その位置にどのタイプの先細りが採用されていても、すぐに心棒2から連結要素3(およびしたがって、そこに接続されている工具)を少しずつ崩すであろう。
【0009】
したがって、DE-U1-202005011770(特許文献2)は、実際には、(空隙が、円筒形であり、長方形の区間を有する図面からの)いずれの直接教示も提供せず、またはさらには、EP-A2-2812532(特許文献1)から始まる本発明の解決手段へ到達する方法に対して、いずれの間接教示も提供しない(明細書における先細りの言及が、本発明のものと正反対の教示ですらある)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2812532号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202005011770号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、硬い摩耗性表面に作用するための挿入物を装備したシステムであって、挿入物と支持構造物との間の連結が、簡潔かつ効果的に達成されて、構造物自体のいずれのタイプの破損も回避する、システムを提供することによって、上述の従来技術の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記ならびに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるように、請求項1に記載されるものなどの挿入物を装備したシステムによって達成される。本発明の好ましい実施形態および非自明の変形形態は、従属請求項の主題を形成する。
【0013】
添付の特許請求の範囲のすべては、本明細書の不可欠な部分を形成することが理解される。
【0014】
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられる本発明のいくつかの好ましい実施形態によって、よりよく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】分離した位置にある、本発明によるシステムの2つの構成部品の概略側部断面図である。
【
図2】連結された位置にある、本発明によるシステムの2つの構成部品の概略側部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照すると、本発明の挿入システムの好ましい実施形態が図示および説明されている。添付の特許請求の範囲から明らかになる本発明の保護範囲から逸脱することなく、(例えば、等価の機能を有する形状、寸法、配置、および部品に関する)無数の変形形態および修正形態が、説明されているものに対してなされてもよいことが、すぐに明らかであろう。
【0017】
本発明のシステム1は、
格納穴5を装備した支持および格納構造物3と、
格納穴5に挿入されるように設計されているスピンドル7と
を備える。
【0018】
格納穴5は、細長く、第1の直径Aが構造物1の外側に向かって方向付けられており、かつ第2の直径Bが第1の直径Aよりも大きく、構造物1の内側に向かって方向付けられている円錐形の区間を有する。
【0019】
スピンドル7は、細長く、第3の直径A’が構造物1の外側に向かって方向付けられており、かつ第4の直径B’が第1の直径A’よりも大きく、構造物1の内側に向かって方向付けられている円錐形の区間を有する。
【0020】
第1の直径Aおよび第3の直径A’は実質的に同一であり、同様に、第2の直径Bおよび第4の直径B’は実質的に同一である。
【0021】
格納穴5の内側にスピンドル7を挿入することは、支持および格納構造物3の温度を上げて、第1の直径Aの膨張を実現することによって行われ、これによりスピンドル7が穴5に入ることができる。同じ目的は、スピンドル7の温度を下げ、そうして直径B’を縮小することによって得られる。すべての直径および温度は、所望の目的のための機能的な膨張および収縮を得るために、正確に設計されている。
【0022】
格納穴5の内側へのスピンドル7の動作的な連結は、2つの構造物の温度の均一性を介して、それらを元々の測定値に戻すことによって行われ、これによりスピンドル7が穴5から出てくることを防止する。
【0023】
特に、第2の直径Bは、第1の直径Aよりも大きく、第4の直径B’は、第3の直径A’よりも大きい。
【0024】
スピンドル7は、60HRCよりも高い硬度と最大500℃の温度への耐性とを有するタングステン合金で作られており、一方で支持および格納構造物3は、鋼で作られていることが好ましい。
【0025】
したがって、本発明は、スピンドル7の熱間かつ干渉を有する組立てのための機械的解決手段を用いて作られた、特別な挿入物を装備したシステムに関し、スピンドル7は、スピンドル7および相互座部5の両方がそれらの挿入される穴5の熱膨張を活用する組立てによって生じる機械的干渉のために受ける荷重および引張応力の影響を被ることなく、固定的に定位置に留まらなければならない。
【0026】
通常、熱間干渉組立て(hot interference assembly)のために採用される従来技術の解決手段は、組み立てられることになる部品が円筒形であり、特に2つの対象物が同じ温度にあるときにスピンドル7が穴5よりも大きな直径を有する本出願の解決手段のような円錐形ではないことを提供する。増加の程度は、技術的仕様によって許可される温度までの加熱を加えることによって穴5で得られる熱膨張に依存する。熱膨張は、物質のタイプおよび温度に紐付けられている非常に正確な値である。
【0027】
加熱温度に達したときの穴5の直径が、期待される量だけ増加し、(より低い温度である)スピンドル7の直径よりも大きくなったときに、スピンドル7を労力なく挿入することができる。
【0028】
両方の部品が同じ温度に戻ると、極めて堅固な組立体が得られたことになり、この組立体は、2つの部品間で半径方向に非常に高い力を加え、相対移動を防止する。
【0029】
この非常に高い荷重は、いくつかの用途において、例えば部品が衝撃または振動の下で使用される場合に禁忌を有することがわかった。それは、この荷重により破損が生じ、この荷重が非常に強い張力下で物質の繊維を引き、物質の繊維が完全に決裂するまで徐々に撓み始めることである。
【0030】
提案されている解決手段は、スピンドル7を引き出す可能性なしで、しかし最小のまたは0ですらある半径方向荷重とともに、組立てを達成する。
【0031】
図面に示されている状況において、穴5では、第1の直径Aが第2の直径Bよりも小さく、スピンドル7では、第3の直径A’が第4の直径B’よりも小さく、同じ温度において、スピンドル7の第4の直径B’は、穴5の第1の直径Aよりも大きく、部品を連結することができない(
図1)。構造物3をこのプロジェクトで推定される温度まで加熱することによって、第1の直径Aがスピンドル7の第4の直径B’を超えるまで増大し、この時スピンドル7を穴5に自由に挿入することができる。
【0032】
同じ効果は、直径B’がAよりも小さくなるようにスピンドルの温度を下げることによって得られ、スピンドル7を穴5に挿入することができる。
【0033】
両方の部品が同じ温度に戻ると、極めて堅固な組立体を得たことになり、この組立体は、スピンドル7が引き出されることを可能にせず、しかし、2つの先細り部が連結されているが干渉状態にない(
図2)ため、著しい半径方向荷重を加えない。
【0034】
この解決手段は、干渉嵌合によって発生させられる張力による問題を解決する。
【0035】
本発明のいくつかの好ましい実施形態が、上記で図示および説明された。明らかに、前の実施形態と機能的に等価であり、添付の特許請求の範囲で強調される本発明の保護範囲内に入る多数の変形形態および修正形態が、当業者にはすぐに明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬い摩耗性表面を加工するためのシステム(1)であって、
格納穴(5)を備えた支持および格納構造物(3)と、
前記格納穴(5)に挿入されるように設計されているスピンドル(7)と
を備えるシステム(1)において、
前記格納穴(5)が、細長く、第1の直径(A)が前記
システム(1)の外側に向かって方向付けられており、かつ第2の直径(B)が前記第1の直径(A)よりも大きく、前記
システム(1)の内側に向かって方向付けられている円錐形の区間を有し、
前記スピンドル(7)が、細長く、第3の直径(A’)が前記
システム(1)の外側に向かって方向付けられており、かつ第4の直径(B’)が前記
第3の直径(A’)よりも大きく、前記
システム(1)の内側に向かって方向付けられている円錐形の区間を有し、
前記第1の直径(A)および前記第3の直径(A’)が、実質的に同一であり、
前記第2の直径(B)および前記第4の直径(B’)が、実質的に同一であり、
前記スピンドル(7)が、前記支持および格納構造物(3)の温度を上げることにより、前記第1の直径(A)が前記第4の直径(B’)よりも大きくなるまで前記穴を拡張させることによって、前記格納穴(5)の内側に挿入され、これにより前記スピンドル(7)が前記格納穴(5)に入ることができ、
前記格納穴(5)の内側への前記スピンドル(7)の動作的な連結が、前記支持および格納構造物(3)の温度を前記スピンドル(7)と均一にして、前記第4の直径(B’)が前記第1の直径(A)よりも大きい元々の寸法に戻すことを実現することによって行われ、これにより前記スピンドル(7)が前記格納穴(5)から出てくることを防止する
ことを特徴とするシステム(1)。
【請求項2】
前記第4の直径(B’)が前記第1の直径(A)よりも小さくなり、次いで前記スピンドル(7)を前記
格納穴(5)に挿入することができるように、前記スピンドル(7)の温度を下げることによって、前記スピンドル(7)が前記格納穴(5)の内側に挿入されることを特徴とする請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記第1の直径(A)が、前記第2の直径(B)よりも小さく、前記第3の直径(A’)が、前記第4の直径(B’)よりも小さいことを特徴とする
請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記スピンドル(7)が、60HRCよりも高い硬度と最大500℃の温度への耐性とを有するタングステン合金で作られていることを特徴とする
請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記支持および格納構造物
(3)が、鋼で作られていることを特徴とする
請求項1に記載のシステム(1)。
【国際調査報告】