(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】可変剛性材料を含むウェーハチャック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20250204BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540714
(86)(22)【出願日】2023-01-24
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 US2023011457
(87)【国際公開番号】W WO2023146861
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】イップ,ネーサン
(72)【発明者】
【氏名】ネジャドサデージ,ニマ
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA60
5F131CA07
5F131EA10
5F131EB01
5F131EB54
5F131EB56
5F131EB58
5F131EB79
5F131EC43
(57)【要約】
ウェーハ接合装置は、処理チャンバにある第1のチャックであって、第1のチャックが第1のウェーハを保持するように構成され、第1のチャックが、チャック本体と、複数のアクチュエータを備える可変剛性層であって、複数のアクチュエータが可変剛性材料を含み、可変剛性層がチャック本体の下方に配置される、可変剛性層と、を備える、第1のチャックと、複数のアクチュエータのうちの1つ以上に制御信号を送信するように構成されたコントローラと、第1のチャックに真空ポンプからの真空圧を印加するように構成された、チャック本体上にある真空ラインと、処理チャンバにある第2のチャックであって、第2のチャックが、第1のウェーハに接合される第2のウェーハを保持するように構成される、第2のチャックと、を備え、複数のアクチュエータの剛性が、コントローラからの制御信号に基づいて変化するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバにある第1のチャックであって、前記第1のチャックが第1のウェーハを保持するように構成され、前記第1のチャックが、
チャック本体と、
複数のアクチュエータを備える可変剛性層であって、前記複数のアクチュエータが可変剛性材料を含み、前記可変剛性層が前記チャック本体の下方に配置される、可変剛性層と、
を備える、第1のチャックと、
前記複数のアクチュエータのうちの1つ以上に制御信号を送信するように構成されたコントローラと、
前記第1のウェーハに真空圧を印加するように構成された、前記チャック本体上にある真空ラインと、
前記処理チャンバにある第2のチャックであって、前記第2のチャックが、前記第1のウェーハに接合される第2のウェーハを保持するように構成される、第2のチャックと、
を備える、ウェーハ接合装置であって、
前記複数のアクチュエータの剛性が、前記コントローラからの前記制御信号に基づいて変化するように構成される、ウェーハ接合装置。
【請求項2】
前記複数のアクチュエータの前記剛性における変化が、前記第1のチャックに面する前記第1のウェーハの表面における表面応力を補償するように構成される、請求項1に記載のウェーハ接合装置。
【請求項3】
前記複数のアクチュエータの前記剛性における変化が、前記第1のチャックに面する前記第1のウェーハの表面における表面ひずみを補償するように構成される、請求項1に記載のウェーハ接合装置。
【請求項4】
前記複数のアクチュエータが熱アクチュエータを含み、前記可変剛性材料が形状記憶材料を含み、前記制御信号が前記熱アクチュエータに熱エネルギーを供給するように構成される、請求項1に記載のウェーハ接合装置。
【請求項5】
前記複数のアクチュエータが圧力アクチュエータを含み、前記可変剛性材料が粒状材料を含み、前記可変剛性材料の剛性が前記圧力アクチュエータに印加される圧力に基づいて変化する、請求項1に記載のウェーハ接合装置。
【請求項6】
前記複数のアクチュエータが電気アクチュエータを含み、前記可変剛性材料が感圧材料を含み、前記制御信号が電気信号を含む、請求項1に記載のウェーハ接合装置。
【請求項7】
前記複数のアクチュエータが磁気アクチュエータを含み、前記可変剛性材料が磁気粘性エラストマーを含み、前記制御信号が磁気信号を含む、請求項1に記載のウェーハ接合装置。
【請求項8】
前記コントローラが、前記第1のチャック上の前記第1のウェーハのゆがみの程度に関連する受信情報にしたがって前記制御信号を決定する、請求項1に記載のウェーハ接合装置。
【請求項9】
前記第1のチャック上の前記第1のウェーハのゆがみの前記程度を検知するように構成されたセンサを備える、メトロロジシステムを更に備える、請求項8に記載のウェーハ接合装置。
【請求項10】
ウェーハ接合装置の処理チャンバに第1のチャックを通して真空圧を印加することと、
前記第1のチャック上に第1のウェーハを配置することであって、前記第1のウェーハが、前記真空圧によって前記第1のチャックに保持され、前記第1のチャックが、
チャック本体と、
複数のアクチュエータを備える可変剛性層であって、前記複数のアクチュエータが可変剛性材料を含み、前記可変剛性層が前記チャック本体の下方に配置される、可変剛性層と、
を備える、ことと、
前記複数のアクチュエータのうちの1つ以上に制御信号を送信することと、
前記制御信号に基づいて、前記複数のアクチュエータのうちの前記1つ以上を作動させて、前記可変剛性層の剛性を変化させることと、
を含む、ウェーハ接合方法。
【請求項11】
前記可変剛性層の前記剛性を変化させることが、前記第1のチャックに面する前記第1のウェーハの表面における表面応力を補償する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
メトロロジシステムから、前記第1のチャック上の前記第1のウェーハのゆがみの程度に関連する情報を受信することと、
コントローラにおいて、前記情報にしたがって前記制御信号を決定することと、
を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記メトロロジシステムが前記処理チャンバの一部であり、前記情報に基づいて前記真空圧を調整することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記処理チャンバ内にある第2のチャック上に第2のウェーハを配置することと、
前記第1のウェーハに前記第2のウェーハを接合して、接合されたウェーハを形成することと、
を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のチャック上に前記第2のウェーハを配置することの後、前記可変剛性層の別の複数のアクチュエータに別の制御信号を送信することであって、前記別の複数のアクチュエータが前記可変剛性材料を含む、ことと、
前記別の制御信号に基づいて、前記別の複数のアクチュエータを作動させて、前記可変剛性層の前記剛性を更に変化させることであって、前記別の制御信号が、前記制御信号とは異なる前記可変剛性層の前記剛性の設定を示す、ことと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のウェーハに前記第2のウェーハを接合させることの後、前記第1のチャック上にある前記接合されたウェーハのゆがみの程度に関連する情報を受信することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記接合されたウェーハのゆがみの前記程度に関連する前記情報に基づいて、前記接合されたウェーハのゆがみの前記程度が閾値を下回るか否かを判定することと、
前記接合されたウェーハのゆがみの前記程度が前記閾値よりも大きい場合、前記接合されたウェーハを前記第1のウェーハと前記第2のウェーハとに分離し、前記第1のウェーハに前記第2のウェーハを再び接合して、再接合プロセスを行うことと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
処理チャンバにある第1のチャックであって、前記第1のチャックが第1のウェーハを保持するように構成され、前記第1のチャックが、第1のアクチュエータを備える可変剛性層を備え、前記第1のアクチュエータが可変剛性材料を含む、第1のチャックと、
前記第1のアクチュエータに制御信号を送信するように構成されたコントローラと、
前記処理チャンバにある第2のチャックであって、前記第2のチャックが、前記第1のウェーハに接合される第2のウェーハを保持するように構成される、第2のチャックと、
を備える、ウェーハ接合装置であって、
前記可変剛性層の剛性が、前記コントローラからの前記制御信号に基づいて変化するように構成される、ウェーハ接合装置。
【請求項19】
前記コントローラに結合され、前記コントローラからの更なる制御信号を受信するように構成された複数のアクチュエータであって、前記可変剛性層の前記剛性が、前記更なる制御信号に基づいて変化されるように構成される、複数のアクチュエータ
を更に備える、請求項18に記載のウェーハ接合装置。
【請求項20】
前記可変剛性層が、10GPa/m以上の剛性を有するポリマー材料を含む、請求項18に記載のウェーハ接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月27日に出願された米国仮特許出願第63/303,787号明細書の利益を主張するものであり、同米国仮特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、ウェーハチャックの設計に関し、特定の実施形態では、可変剛性材料を含むウェーハチャックに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造プロセスでは、成膜、パターン化、エッチング、及び集積化の技法を通じて、シリコンウェーハ基板上に微小電気デバイスが作成される。2枚のシリコンウェーハを1つに接合する1つのプロセスが、ウェーハ接合として知られている。ウェーハ接合は、微小電気機械システム(MEMS)、ナノ電気機械システム(NEMS)、マイクロエレクトロニクス、及びオプトエレクトロニクスの製造において使用されるパッケージング技術である。あるウェーハ接合プロセスでは、1枚のパターン化された(デバイス)ウェーハがブランク(キャリア)ウェーハ上に接合されることがある。別のウェーハ接合プロセスでは、1枚のデバイスウェーハが別のデバイスウェーハ上に接合されることがある。いずれの場合も、ウェーハ間のアライメントは、デバイス製品性能全体において重要な役割を果たす。接合プロセスにおいて2枚のウェーハ間のミスアライメント(又はゆがみ)が大きい場合、デバイス上の電気回路が正常に接続されないことがある。ウェーハ接合ゆがみを最小限に抑制することの成否は、ウェーハ上のデバイスの歩留まりに直結する。ウェーハ接合プロセスに関する最新のゆがみ要件は、ウェーハ全体で3σのばらつきにおいて100nm未満であり得る。プロセスのばらつきに起因して、ゆがみは、ウェーハ上で局所的に変わり得る。全体のゆがみを改善することに加えて、局所的なゆがみのばらつきを緩和することも重要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一実施形態によれば、ウェーハ接合装置は、処理チャンバにある第1のチャックであって、第1のチャックが第1のウェーハを保持するように構成され、第1のチャックが、チャック本体と、複数のアクチュエータを備える可変剛性層であって、複数のアクチュエータが可変剛性材料を含み、可変剛性層がチャック本体の下方に配置される、可変剛性層と、を備える、第1のチャックと、複数のアクチュエータのうちの1つ以上に制御信号を送信するように構成されたコントローラと、第1のウェーハに真空ポンプからの真空圧を印加するように構成された、チャック本体上にある真空ラインと、処理チャンバにある第2のチャックであって、第2のチャックが、第1のウェーハに接合される第2のウェーハを保持するように構成される、第2のチャックと、を備え、複数のアクチュエータの剛性が、コントローラからの制御信号に基づいて変化するように構成される。
【0005】
本発明の一実施形態によれば、ウェーハ接合方法は、ウェーハ接合装置の処理チャンバに第1のチャックを通して真空圧を印加することと、第1のチャック上に第1のウェーハを配置することであって、第1のウェーハが、真空圧によって第1のチャックに保持され、第1のチャックが、チャック本体と、複数のアクチュエータを備える可変剛性層であって、複数のアクチュエータが可変剛性材料を含み、可変剛性層が、チャック本体の下方に配置される、可変剛性層と、を備える、ことと、複数のアクチュエータのうちの1つ以上に制御信号を送信することと、制御信号に基づいて、複数のアクチュエータのうちの1つ以上を作動させて、可変剛性層の剛性を変化させることと、を含む。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、ウェーハ接合装置は、処理チャンバにある第1のチャックであって、第1のチャックが第1のウェーハを保持するように構成され、第1のチャックが、第1のアクチュエータを備える可変剛性層を備え、第1のアクチュエータが可変剛性材料を含む、第1のチャックと、第1のアクチュエータに制御信号を送信するように構成されたコントローラと、処理チャンバにある第2のチャックであって、第2のチャックが、第1のウェーハに接合される第2のウェーハを保持するように構成される、第2のチャックと、を備え、可変剛性層の剛性が、コントローラからの制御信号に基づいて変化するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明及びその利点のより完全な理解のために、ここで、以下の説明を添付図面と併せて参照する。
【0008】
【
図1】様々な実施形態による、可変剛性材料を含む例示的なウェーハ接合装置の断面図である。
【
図2】別の実施形態による、可変剛性材料を含む別の例示的なウェーハ接合装置の断面図である。
【
図3】他の実施形態による、可変剛性材料を含む例示的なウェーハチャックの断面図である。
【
図4】様々な実施形態による、例示的なウェーハチャックのチャック本体の上面図である。
【
図5】様々な実施形態による、例示的なウェーハチャックの可変剛性層の上面図である。
【
図6】様々な実施形態による、可変剛性材料の剛性を調整する際の、可変剛性材料を含む例示的なウェーハチャックの断面図である。
【
図7】別の実施形態による、可変剛性材料の剛性を調整する際の、可変剛性材料を含む別の例示的なウェーハチャックの断面図である。
【
図8】様々な実施形態による、可変剛性材料及びセンサを備える例示的なウェーハチャックの断面図である。
【
図9】様々な実施形態による、垂直方向変形を誘導する可変剛性材料を含む例示的なアクチュエータの断面図である。
【
図10】様々な実施形態による、せん断変形を誘導する可変剛性材料を含む例示的なアクチュエータの断面図である。
【
図11】一実施形態による、せん断変形した状態の可変剛性層の上面図である。
【
図12】別の実施形態による、せん断変形した状態の可変剛性層の上面図である。
【
図13】様々な実施形態による、ウェーハ接合プロセスのプロセスフロー図である。
【
図14】垂直方向変位に対するチャック剛性のシミュレーションされた結果を示す図面である。
【
図15】横方向変位に対するチャック剛性及び真空圧のシミュレーションされた結果を示す図面である。
【
図16】10kPaの真空圧差におけるシミュレーションされた最大横方向変位をチャック剛性の関数として示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本出願は、ウェーハチャックの設計に関し、より詳細には、可変剛性材料を含むウェーハチャックに関する。様々な実施形態において、ウェーハチャックは半導体デバイス製造に使用されるウェーハ接合装置の一部である。典型的なウェーハ接合プロセスでは、ウェーハ間のミスアライメントがウェーハ上のデバイスの歩留まりを低下させ得るため、接合するウェーハの局所的及び全体的なゆがみを最小限に抑えることが重要である。例えば、局所ゆがみでは、ウェーハの中央領域のゆがみは小さいかもしれないが、ウェーハの縁部のゆがみは、仕様外のかなりのゆがみであることがある。この局所ゆがみは、ウェーハ固有のばらつき、先行するプロセスのばらつきやウェーハ接合プロセスに起因し得る。局所ゆがみに関する1つの解決策は、独立して制御される複数の真空ゾーンを下部チャックに設けることである。局所的及び全体的なゆがみを修正するために、程度の異なる真空圧を印加することによって、ウェーハはゾーンによって異なって変形する。しかしながら、真空ゾーンの数及びサイズは、システムで利用可能な圧力調整器の数によって制限される。更に、これらのノブのいくつかは、ゆがみを調整できる範囲が限られている。したがって、ゆがみ修正について異なるコンセプトを利用してウェーハチャックを設計することが望ましいことがある。本出願の実施形態は、ウェーハチャックの剛性を局所的に調製することによって局所ゆがみを修正することを可能にする可変剛性材料を含むウェーハチャックを開示する。様々な実施形態において、ウェーハ接合プロセスにおいて、ウェーハ全体で3σのばらつきで100nm未満のウェーハゆがみが達成され得る。本開示で説明されるウェーハチャックは、有利なことに、ゆがみ修正のポイントを複数提供しながら、複数の真空ゾーンに代わって1つの真空ゾーンのみを有するシステムを可能にし得る。本開示では主に局所ゆがみ修正の実施形態を説明するが、様々な実施形態におけるウェーハチャックはまた、全体的なグローバルゆがみ修正を可能にし得る。
【0010】
以下では、まず
図1~
図3を参照しながら、様々な実施形態による、ウェーハ接合装置及びウェーハ接合装置のウェーハチャックの設計を説明する。次いで、
図4~
図5を参照しながら、例示的なチャック本体及び可変剛性層の設計を説明する。
図6~
図7は、可変剛性層の例を、その剛性を局所的に変えながら提供する。
図8では、ウェーハチャックが保持するウェーハの特性を明らかにするセンサを備える別の例示的なウェーハチャックを説明する。
図9~
図12を参照しながら、可変剛性層の垂直方向変形及び横方向(例えば、せん断)変形を説明する。
図13は、様々な実施形態による、ウェーハ接合プロセスのプロセスフロー図を提示する。
図14~
図16を参照しながら、ウェーハチャック上の様々な変位に対するチャック剛性の影響をシミュレーションし、説明する。本開示におけるすべての図面は、例示のみを目的として描かれており、特徴のアスペクト比を含めて原寸に比例していない。ウェーハ接合装置は、図面に示されていない、ウェーハ接合のための任意の他の有用な構成要素を備え得る。本開示における以下の説明は、主にウェーハ接合装置を対象としているが、開示されたウェーハチャックの設計は、他のシステム、例えばメトロロジチャンバに適用されてもよい。
【0011】
図1は、様々な実施形態による、可変剛性材料を含む例示的なウェーハ接合装置10の断面図を示している。
【0012】
図1では、ウェーハ接合装置10は、第1のウェーハ100及び第2のウェーハ105をそれぞれ保持するように構成された下部チャック11及び上部チャック12を備える。これらの2枚のウェーハは、ウェーハ接合装置10を使用して接合されることになっている。特定の実施形態では、上部チャック12は、ウェーハ接合プロセスにおいて第1のウェーハ100と第2のウェーハ105とを接合のために接触させ得るように、第2のウェーハ105の位置を変えるために垂直方向に移動するように構成される。いくつかの実施形態では、下部チャック11は、第1のウェーハ100を移動させるために垂直方向に移動するように構成され得る。ウェーハ接合装置10は、ウェーハ接合プロセスのための処理パラメータ(例えば、ガス環境、温度、及び圧力)を適切に制御し得る処理チャンバ13に配置され得る。処理チャンバ13は、処理チャンバ13のガス環境を制御するガス供給/排気システム14を備え得る。様々な実施形態において、ウェーハ接合装置10は、200mm又は300mmのウェーハを収容するように構成され得る。それに応じて、ウェーハ接合装置10の構成要素(例えば、下部チャック11、上部チャック12、及び処理チャンバ13)のサイズが設計される。
【0013】
様々な実施形態において、第1のウェーハ100及び第2のウェーハ105は、作製される多数の半導体デバイスを含み得る。それに応じて、第1のウェーハ100及び第2のウェーハ105は、様々なマイクロエレクトロニクスに有用な半導体の層を備え得る。特定の実施形態では、第1のウェーハ100及び第2のウェーハ105は、シリコンウェーハ、又はシリコンオンインシュレータ(SOI)ウェーハであり得る。いくつかの実施形態では、第1のウェーハ100及び第2のウェーハ105は、シリコンゲルマニウムウェーハ、シリコンカーバイドウェーハ、ヒ化ガリウムウェーハ、窒化ガリウムウェーハ、及び他の化合物半導体を含み得る。他の実施形態では、第1のウェーハ100及び第2のウェーハ105は、シリコンオンシリコンの層又はSOI基板と同様に、シリコンゲルマニウムオンシリコン、窒化ガリウムオンシリコン、シリコンカーボンオンシリコンなどの異種層を含む。
【0014】
様々な実施形態において、下部チャック11は、チャック本体120と、チャック本体120の下方に配置された可変剛性層130との2層を備える。様々な実施形態において、チャック本体120は、第1のウェーハ100を支持するのに十分な剛性(例えば、10GPa/m以上)を有する任意の適切な材料を含み得る。特定の実施形態では、チャック本体120はアルミニウムを含み得る。1つ以上の実施形態において、チャック本体120、可変剛性層130、又はこれらの両方が、1cm~15cmの厚さを有し得る。図示のように、チャック本体120の表面は溝110を有し得る。溝110は、有利なことに、第1のウェーハ100とチャック本体120との間の接触面積を減少させて、摩擦に起因する第1のウェーハ100に対するいかなる損傷も回避され得るようにし得る。特定の実施形態では、チャック本体120は、なんら溝を持たない、又は
図1とは異なる数の溝を有し得る。ウェーハ接合装置10は、第1の真空ライン150を介してチャック本体120に結合された第1の真空システム160を更に備える。第1の真空ライン150は、第1の真空システム160からの真空圧を第1のウェーハ100に印加して、第1のウェーハ100が下部チャック11によって真空で保持され得るように構成される。
図1のウェーハ接合装置10は、真空によって駆動される真空チャックとして示されているが、他の実施形態では、真空の代わりに、又は真空に加えて、他の力がウェーハ接合装置10において使用されてもよい。例えば、特定の実施形態では、ウェーハ接合装置10は静電チャック(ESC)を備え得る。一実施形態では、可変剛性層130は、第1のウェーハ100とESC本体との間に配置され得る。
【0015】
引き続き
図1を参照すると、可変剛性層130は、可変剛性材料を含むアクチュエータ140を有する。
図1では、アクチュエータ140のそれぞれがコントローラ170に結合され、コントローラ170が、アクチュエータ140に制御信号を送信して、アクチュエータ140の剛性を局所的に変化させる。様々な実施形態において、可変剛性層130における剛性の局所的な変化が、後で詳述するように、ウェーハ接合プロセスの前又は最中にゆがみを修正するために利用される。特定の実施形態では、図示のように、コントローラ170はまた、剛性及び真空の動的制御を可能にするために、第1の真空システム160に結合され得る。アクチュエータ140のそれぞれが個別に制御され得るが、他の実施形態では、アクチュエータ140うちのいくつかがグループ化されて、一緒に単一の制御信号で制御されてもよい。
【0016】
様々な実施形態において、可変剛性材料は、剛性が制御信号によって調整され得る任意の材料である。制御信号は、熱信号、圧力信号、電気信号、又は磁気信号を含み得る。特定の実施形態では、可変剛性材料はポリマー材料であり得る。可変剛性材料のためのポリマー材料のいくつかの例としては、熱信号若しくは磁気信号に反応する形状記憶ポリマー、圧力に反応する粒状材料、電気信号に反応する電気活性ポリマー、又は磁気信号に反応する磁気粘性エラストマーが挙げられる。一実施形態では、熱エネルギーを提供する信号に反応する熱アクチュエータが使用され得る。このような信号は、熱アクチュエータで使用される可変剛性材料に吸収され得る熱又は電磁波であり得る。別の実施形態では、制御信号の代わりに、圧力アクチュエータ(例えば、粒状材料)が使用される場合、アクチュエータに印加される圧力が剛性の変化を直接誘導し得る。いくつかの実施形態では、可変剛性材料の剛性は、他のメカニズム又は上記の信号の任意の組み合わせによって調整され得る。また、セラミック材料などの他の材料を使用することもできる。様々な実施形態において、可変剛性材料は、チャック本体120に匹敵する最小剛性(例えば、10GPa/m以上)を有する。特定の実施形態では、可変剛性材料は、0.1mの層厚で、自らのヤング率を少なくとも100GPa変化させることができる。
【0017】
特定の実施形態では、可変剛性材料は、制御信号に応じて変形し得る圧電材料を含み得る。圧電材料が可変剛性層130のアクチュエータ140に使用される場合、制御信号(例えば、電気信号)は、アクチュエータ140の変形を誘導し得る。アクチュエータ140の変形の方向及び程度は、以下に詳述するように(
図9及び
図10)、第1のウェーハ100の局所ゆがみが局所的に修正され得るように調整され得る。一実施形態では、アクチュエータ140は、65Nの力を印加し、最大2μmまでの変形を引き起こすことができる2mmの立方体形状の圧電チップを備え得る。
【0018】
1つ以上の実施形態において、ウェーハ接合装置は、アクチュエータ140の熱管理のための温度制御システム(例えば、冷却システム)を更に備え得る。剛性の変化は、アクチュエータ140又は周囲の構成要素に影響を及ぼし得るかなりの熱を発生させるため、アクチュエータ140を制御する場合には、熱管理は特に重要であり得る。
【0019】
図2は、別の実施形態による、可変剛性材料を含む別の例示的なウェーハ接合装置20の断面図を示している。
【0020】
様々な実施形態において、
図1に示したように、上部チャック12は、上部チャック本体125と、第2の真空システム165と、第2の真空ライン155(
図1)とを備え得る。特定の実施形態では、
図2に示すように、上部チャック12は、上部チャック本体125の上方に上部可変剛性層135を更に備え得る。上部可変剛性層135は、可変剛性材料を含むアクチュエータ145を備える。下部チャック11と同様に、アクチュエータ145のそれぞれが上部コントローラ175に結合され、上部コントローラ175が、アクチュエータ145に制御信号を送信して、アクチュエータ145の剛性を局所的に変化させる。特定の実施形態では、図示のように、上部コントローラ175はまた、剛性及び真空の動的制御を可能にする第2の真空システム165に結合され得る。
図1及び
図2における上部チャック12の設計は例にすぎず、他の実施形態では、上部チャック12が可変剛性材料を含むか否かにかかわらず、任意の他のチャック設計が使用されてもよい。
【0021】
図3は、他の実施形態による、可変剛性材料を含む例示的な下部ウェーハチャック11の断面図を示している。
【0022】
図3では、下部チャックにおいて2層構造を有する先の実施形態とは異なり、下部チャック11は、チャック本体を構成し、第1のウェーハ100と接触するように構成された可変剛性層130を備え得る。このような実施形態は、有利なことに、チャック設計を簡素化することができ、局所ゆがみ修正のために可変剛性層130における剛性の変化を第1のウェーハ100に変換するのに有益であり得る。真空システム160などの下部チャック11の他の特徴は、
図1及び
図2に示した先の実施形態と同じであるため、繰り返さない。ウェーハ接合装置が示される以下の図面(
図6~
図8)では、説明のために下部チャックのみが示され、上部チャック及び下部チャックの一部の特徴(例えば、コントローラ170)は示されていない。しかしながら、様々な実施形態において、図示の例ではこれらの特徴が存在することが想定される。
【0023】
図4は、様々な実施形態による、例示的なウェーハチャックのチャック本体120の上面図を示している。
【0024】
図4では、7つの溝110が円形の溝として設けられている。溝110は、共通の中心を有し、チャック本体120の表面に分布している。他の実施形態では、溝110は、正方形、楕円形などの異なる形状を有してもよいし、溝の数が多くても少なくてもよい。
【0025】
図5は、様々な実施形態による、例示的なウェーハチャックの可変剛性層130の上面図を示している。チャック本体120は可変剛性層130の上に配置され得るが、
図5では説明のために図示されていない。
【0026】
図5では、可変剛性層130は、格子によって複数の正方形のセクションに分割され(例えば、
図5では500超のセクション)、正方形のセクションのそれぞれが、その剛性を個別に調整可能なアクチュエータ140で作られ得る。
図5に示す正方形のセクションのサイズ及び数は一例であり、正方形セクションには異なるサイズ及び数が選択されてもよい。様々な実施形態において、可変剛性層130に700から18,000の正方形のセクションが設けられ得る。特定の実施形態では、正方形のセクションの一辺が2mm~10mmであり得る。他の実施形態では、セクションの形状はまた、正方形とは異なってもよく、例えば三角形であってもよい。様々な実施形態において、セクションのそれぞれがアクチュエータ140に使用され得るが、他の実施形態では、セクションの一部がアクチュエータ140のために選択されてもよい。可変剛性層130におけるセクションの数を増やし、それに応じてアクチュエータ140の数を増やすことにより、第1のウェーハ100の局所ゆがみは、垂直方向及び横方向の解像度が改善されることにより修正され得る。一方、セクションの数及びアクチュエータ140の数を減らすことは、ウェーハチャックの設計を簡素化し、それによりウェーハチャックの製造コストを削減するのに有利であり得る。特定の実施形態では、アクチュエータ140は互いに隔てられて、有利なことに、横方向の変形修正のための空間がもたらされ得る。
【0027】
図6は、様々な実施形態による、可変剛性材料の剛性を調整する際の、可変剛性材料を含む例示的な下部チャック11の断面図を示している。
【0028】
図6では、下部チャック11は、先に
図1及び
図2に示したものと同じ特徴を有し得、アクチュエータ140のうちのいくつかは剛性を変化させるために作動されて(作動されたアクチュエータ142として示す)、第1のウェーハ100の局所ゆがみ修正を可能にする。第1のウェーハ100の初期状態が点線で示されており、局所ゆがみがいくつかの窪みを伴って存在している。第1のウェーハ100の局所ゆがみは、例えば、場所によって圧力が異なることに起因し得る。これらの局所ゆがみは、可変剛性層130を利用して修正され得る。可変剛性材料を含むアクチュエータ140は、作動されると、自らの剛性を変化させ得る。図示の例では、第1のウェーハ100の窪んだ領域の下方にあるアクチュエータ140が、第1のウェーハ100のゆがみが局所的に打ち消され得るように、自らの剛性を増加させるように作動され得る。
図6において矢印で示したこの局所ゆがみ修正の結果、第1のウェーハ100の窪みが除去され得る、又は最小限に抑えられ得る。作動されたアクチュエータ142によって局所的に修正された第1のウェーハ100を実線で示す。
【0029】
図7は、別の実施形態による、可変剛性材料の剛性を調整する際の、可変剛性材料を含む別の例示的な下部チャック11の断面図を示している。
【0030】
図7では、局所ゆがみ修正前の第1のウェーハ100は、点線で示すように、真空ライン150の位置を中心とした窪みを1つのみ有する。この窪みは、
図6の窪みと比べて大きく深い。
図6と同様に、局所ゆがみ修正は、アクチュエータ140のうちのいくつかを作動させることによって行われ得る。
図6では別々の領域のアクチュエータ140が作動されている一方、
図7のこれらの実施形態では、ただ1つの領域のアクチュエータ140が作動されるが、可変剛性層130にわたる作動されたアクチュエータ142に対して複数の離散的な程度の剛性の変化がもたらされる。
図7では、作動されたアクチュエータ412の剛性の変化の程度を、コントラストの違い及び矢印の大きさによって定性的に示してある。可変剛性層の剛性の変化は、初期の窪みが最も大きい第1の真空ライン150の近くでは大きく、真空ライン150から離れた場所では、初期の窪みが小さくなるにつれて小さくなるように局所的に調整され得る。
【0031】
図6及び
図7に示すように、ウェーハ接合装置10は局所ゆがみ修正を可能にし得る。これらの例では、第1のウェーハ100は表面ひずみを有して局所的にゆがんでいる。したがって、可変剛性層の剛性における変化は、第1のウェーハ100の下部チャック11に面する表面における表面ひずみを補償するように構成される。或いは、予想される局所ゆがみ修正に必要な可変剛性層の剛性における変化に関する情報をメモリに格納することができ、第1のウェーハ100が表面ひずみ(すなわち、ゆがみ)を発生させる前であっても、剛性の変化をそれに応じて制御することができる。
【0032】
様々な実施形態はまた、平面応力条件又は平面ひずみ条件など、他の条件でも使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、可変剛性層の剛性における変化は、平面ひずみにおける、第1のウェーハ100の下部チャック11に面する表面における残留表面応力を補償するように構成される。
【0033】
図6及び
図7は、ウェーハ接合プロセスの前に下部チャック11上のウェーハ形状に基づいて局所ゆがみを修正することを主に説明するために示されているが、第1のウェーハ100が第2のウェーハ105に接合される際に、剛性の変化が局所ゆがみ修正のために更に利用されてもよい。ウェーハ接合プロセスもまた、いくらかのゆがみを生じ得る。可変剛性層130の剛性を調整して、全体のゆがみを最小化又は除去することにより、接合プロセス由来のゆがみを相殺することもできる。特定の実施形態では、局所ゆがみ修正のための剛性の変化によって、下部チャック11の表面は平坦な表面になることもならないこともある。
【0034】
様々な実施形態における可変剛性材料を有するウェーハ接合装置は、剛性の変化に基づく局所ゆがみ修正が可能であるため、ウェーハ接合装置のこの設計は、有利なことに、従来の装置における複数の真空ゾーンの必要性をなくし、
図1~
図3及び
図6~
図8に示すように、1つのチャックにつき1つの真空ゾーンのみに置き換えることができる。複数の真空ゾーンを1つの真空ゾーンに置き換えることにより、ウェーハチャックの設計を大幅に簡素化し、コストを削減し、スペースを節約することができる。複数の真空ゾーンに必要な真空ラインに比べ、アクチュエータ及び制御回路に必要なスペースは大幅に小さくなり得る。或いは、複数の真空ゾーンを有するウェーハチャックの設計では、可変剛性層を追加することにより、有利なことに、真空制御によって局所ゆがみ修正を補足し得る追加の制御パラメータを提供し得る。
【0035】
様々な実施形態において、アクチュエータ140は、コントローラ170からの制御信号をアクチュエータ140に送信することによって、理想的な剛性を提供するように個別に制御され得る。この目的のために、ゆがみ修正及びウェーハ接合プロセスの前に、全体的な(グローバルな)ゆがみ及び局所ゆがみの種類及び程度を決定することができるように、入ってくるウェーハがその形状に関して特性を明らかにされ得る。特定の実施形態では、このような測定は、別個のメトロロジシステムで行われ得るが、他の実施形態では、ウェーハ接合プロセスのために処理チャンバで行われてもよい。更に、測定は、様々な段階、すなわち、ウェーハ接合プロセスの前、最中、又は後に行われてもよい。適切な検知システムが処理チャンバに結合されることにより、局所ゆがみ修正中の第1のウェーハ100のリアルタイム測定が可能になり得る。様々な実施形態において、局所ゆがみ修正のプロセスは、ウェーハ形状の測定値に基づいて制御信号を決定することを含み得、このことはまた、制御信号にしたがって、アクチュエータ140のうちのどの1つ以上が作動され得るかを決定することを含み得る。
【0036】
特定の実施形態では、ウェーハ形状の複数の測定値に基づいて、ゆがみ修正が複数のモードで行われ得る。例えば、まず2枚のウェーハを接合する前に、局所ゆがみ修正が第1の測定値に基づいて行われ得る。そして、2枚のウェーハを接触させた後に、局所的又は全体的なゆがみ修正が第2の測定値に基づいて行われ得る。このことは特に有用であり得、それは、2枚のウェーハを接触させたとき、第1のウェーハ100に付加的な力がかかり、局所的及び/又は全体的なゆがみに変化が生じる可能性があり得るためである。したがって、ウェーハ形状の2回目の測定値は、制御信号を更新し、アクチュエータ140を微調整するために利用され得る。
【0037】
図8は、様々な実施形態による、可変剛性材料及びセンサ800を備える例示的な下部チャック11の断面図を示している。
【0038】
図8では、センサ800を除く、下部チャック11のすべての特徴が
図1及び
図2に示した先の実施形態と同じであるため、繰り返さない。可変剛性層130のいくつかのセクションは、局所ゆがみ修正中の第1のウェーハ100のリアルタイム測定を可能にするセンサ800を備え得る。例えば、センサ800は、真空圧が比較的高い領域を特定するために、第1のウェーハ100上の圧力を局所的に測定する圧力センサを含み得る。特定の実施形態では、圧力データが、ゆがみ修正のプロセスの前に収集され得る。圧力センサによって収集されたデータにしたがって、圧力マップが生成され、作動されるアクチュエータ140及び実現すべき剛性の変化の程度を決定するために使用され得る。更なる実施形態では、ゆがみ修正において、アクチュエータ140のうちのいくつかが作動された後、局所ゆがみが十分に修正されたか否かを判定するために、新たなデータセットが収集され得る。一実施形態では、許容可能なゆがみの閾値が予め決められ得、新しいデータセットが、修正されたゆがみが閾値を下回ることを示す場合、ウェーハ接合プロセスは次のステップに進み得る。一方、修正されたゆがみが閾値を上回る場合、アクチュエータ140は、局所ゆがみを更に最小化するように調整され得る。様々な実施形態において、ウェーハ接合装置10は、例えば上述のステップを含む、局所ゆがみ修正のプロセスを実行するプログラムを有するマイクロプロセッサを備え得る。
【0039】
図9は、様々な実施形態による、垂直方向変形を誘導する例示的な作動されたアクチュエータ142の断面図を示している。
【0040】
図9では、圧電材料を含む可変剛性層の2つの作動されたアクチュエータ142が示されている。点線は、アクチュエータの上面の初期位置を示す。制御信号に応じて、圧電材料は変形する。図示の例では、アクチュエータは、垂直方向に変形が生じるように配置される。特定の実施形態では、制御信号によって作動されると、
図9に矢印で示すように、圧電材料が垂直方向に伸びて、上面を引き上げ得る。どのアクチュエータを作動させ得るかを特定し、それらのアクチュエータを選択的に作動させることにより、可変剛性層に垂直方向の変形を局所的に誘導することが可能となる。このような可変剛性層の局所的な変形が、第1のウェーハ100の局所ゆがみ修正に利用され得る。一実施形態では、第1のウェーハ100の1箇所における圧電材料の変形の程度が、垂直方向において10nmから5μmまでの範囲で調整され得る。特定の実施形態では、アクチュエータを作動させる前に、第1のウェーハ100が真空でチャックされ得るが、他の実施形態では、アクチュエータを作動させた後に真空でチャックされてもよい。
【0041】
図10は、様々な実施形態による、せん断変形を誘導する例示的な作動されたアクチュエータ142の断面図を示している。
【0042】
垂直方向の変形に加えて、又はその代わりに、圧電材料はまた、横方向におけるアクチュエータの変形(例えば、
図10に示すような、圧電せん断アクチュエータによって誘導されるせん断変形)を誘導し得る。点線は、アクチュエータの初期位置を示す。一実施形態では、制御信号によって作動されると、
図10に矢印で示すように、圧電材料がせん断変形を誘導し得る。様々な実施形態において、第1のウェーハ100は、まず真空でチャックされ得る。十分な真空圧が第1のウェーハ100に印加されると、アクチュエータのこのせん断変形は、第1のウェーハ100に変換されて、横方向における局所ゆがみ修正が可能となる。特定の実施形態では、アクチュエータのせん断変形は、まずチャック本体120に変換され、次いで、チャック本体120の変形が第1のウェーハ100に変換され得、このことは、有利なことに、第1のウェーハ100に生じる変形を平滑化し得る。他の実施形態では、アクチュエータを備える可変剛性層130は、第1のウェーハ100と直接接触でき、それにより、アクチュエータの変形は、直接且つ効率的に第1のウェーハ100に変換され得る。様々な実施形態において、横方向の変形を第1のウェーハ100に変換することができるように、アクチュエータの下側が基部に固定され得る。一実施形態では、第1のウェーハ100の1箇所における圧電材料の変形の程度が、横方向において1nmから50nmまでの範囲で調整され得る。
【0043】
図11は、一実施形態による、せん断変形した状態の可変剛性層130の上面図を示している。
【0044】
図11では、局所ゆがみ修正の例が、アクチュエータ140のサブセット(すなわち、作動されたアクチュエータ142)が作動された状態で示されている。サブセットは、例えば図示の実施形態では、サイズの異なる10の隔てられた領域から構成されるが、他の実施形態では、サブセットに関するアクチュエータの任意の構成が可能である。
図11の矢印は、可変剛性層130の上面におけるせん断変形の方向及び程度を示している。隔てられた領域のそれぞれが、コントローラ170から受信した制御信号にしたがってせん断変形を誘導し、矢印で示すように、せん断変形の方向及び程度は、隔てられた領域のそれぞれについて個別に決定され得る。例えば、各領域は、X方向及びY方向(すなわち、ウェーハ表面上の直交する2つの方向)に作動するように構成されたアクチュエータを有し得る。作動の量を変化させることにより、任意の効果的な作動方向が実現され得る。
【0045】
様々な実施形態において、第2のウェーハ105を第1のウェーハ100に接触させる前に、この局所ゆがみ修正が第1のウェーハ100に対して行われ得る。特定の実施形態では、第2のウェーハ105を第1のウェーハ100に接触させながら、局所ゆがみ修正がウェーハ接合プロセスにおいて行われ得る。
【0046】
図12は、別の実施形態による、せん断変形した可変剛性層130の上面図を示している。
【0047】
図12では、全体的なゆがみ修正の例が、すべてのアクチュエータ140(すなわち、作動されたアクチュエータ142)が作動された状態で示されている。
図12の矢印は、可変剛性層130の上面におけるせん断変形の方向を示している。すべてのアクチュエータ140が同期して一方向に同じ程度で変形すると、局所ゆがみ修正が結果として得られないことになり得る。しかしながら、可変剛性層130の上面全体が変位されて、2枚のウェーハ間のミスアライメントを低減し得る。様々な実施形態において、アクチュエータ140を制御するこのモードは、ウェーハ接合プロセスの前又はその最中に、第2のウェーハ105に対する第1のウェーハ100の位置を微調整するために利用され得る。或いは、すべてのアクチュエータ140を一方向に同期させるが、その程度が異なることにより、局所ゆがみ修正もまた可能になり得る。
【0048】
図13は、様々な実施形態による、ウェーハ接合プロセス1300のプロセスフロー図を示している。
【0049】
図13では、第1のウェーハ及び第2のウェーハに関するウェーハ接合プロセス1300のプロセスフローが、第1のウェーハのゆがみの程度の特性を明らかにするためにウェーハ形状を測定することにより開始する(ブロック1310)。ゆがみの程度に関連する情報を得るためのこの測定は、センサを使用してウェーハ接合プロセスのための処理チャンバにおいて行われてもよいし、ウェーハを処理チャンバに移す前に別個のメトロロジシステムにおいて行われてもよい。測定からのデータに基づいて、下部ウェーハチャックの可変剛性層に関する制御信号が決定され、可変剛性層のアクチュエータに結合されたコントローラに送信され得る(ブロック1320)。一実施形態では、測定からのデータはまた、第1のウェーハに印加する真空圧を調整するために利用され得る。次に、コントローラから受信した制御信号にしたがって、アクチュエータのうちの1つ以上が制御される(ブロック1330)。局所ゆがみ修正のプロセスが完了すると、2枚のウェーハが結合され得る(ブロック1340)。
【0050】
特定の実施形態では、ウェーハ形状を測定するステップ、制御信号を決定して送信するステップ、及びアクチュエータを制御するステップが繰り返し実行され得る。1つ以上の実施形態において、アクチュエータのうちの1つ以上が制御された(ブロック1330)後、且つ接合(ブロック1340)の前に、チャック上のウェーハ(すなわち、チャックされたウェーハ)の形状が再び測定され(ブロック1335)、制御信号を決定して送信するステップ(ブロック1320及び1330)を繰り返すことによって、ゆがみの更なる修正が実現され得る。このような繰り返しの実施形態はまた、接合ステップ(ブロック1340)を含め、可能である。例えば、デバイス製造に許容されるゆがみの程度に関して閾値が設定されてもよく、ウェーハ接合(ブロック1340)の後の最終的なゆがみの程度が許容されない(すなわち、閾値よりも大きい)場合、接合されたウェーハは、更新されたプロセスレシピにしたがって分離され、再び結合され得る。プロセスレシピは、先行する接合プロセスからの最終的なゆがみの程度に基づいて更新され得る。別の実施形態では、同様に更新されたプロセスレシピが、次に接合されるウェーハセットに利用され得る。1つ以上の実施形態において、ウェーハ接合プロセス(ブロック1340)と可変剛性層の剛性の変化(ブロック1330)とは、時間的に重なってもよいし、同時に進行されてもよい。換言すれば、ゆがみの程度に関連する情報は、結合ステップ(ブロック1340)の前、最中、及び/又は後に取得されてもよく、制御信号を更新して局所/全体的なゆがみを最小限に抑制するために利用され得る。したがって、ウェーハ形状の測定(ブロック1310)は、第1のウェーハ又は接合されたウェーハのためのものであってもよい。
【0051】
様々な実施形態において、剛性の変化に基づく局所ゆがみ修正が、ゆがみ修正に対してより幅広い調整可能性を提供し得る。例えば、真空ゾーンのみでは最大差圧は約100kPa未満であるが、剛性の変化を局所ゆがみ修正に利用する場合、100kPaよりも大きい同等の圧力の差圧が可能になり得る。
【0052】
特定の実施形態では、ウェーハ接合プロセスはプロセスモデルを使用し、モデルの最適化ステップを含み得る。例えば、プロセスモデルは、所望のウェーハ形状に対する制御信号の分布マップ(例えば、アクチュエータに電気信号を送信するための電圧値)を含み得、最適化ステップは、入ってくるウェーハの測定値に基づいて分布マップを更新するために使用され得る。
【0053】
様々な実施形態において、2枚のウェーハは、従来の方法、例えば、融着(一般に直接接合とも呼ばれる)によって接合され得る(ブロック1340)。融着の実施形態では、ウェーハを一体化し、ウェーハの表面が接触し始めると2枚のウェーハは接合し始め、接合後ウェーハを形成する。次いで、接合後ウェーハを高温でアニールすることが行われて、2枚のウェーハ間の接合強度を増大させ、融着ウェーハを形成する。ウェーハ接合のプロセス条件の例としては、とりわけ、接合温度、処理チャンバの環境条件、及び印加する力が挙げられる。
【0054】
図14は、垂直方向変位に対するチャック剛性のシミュレーションされた結果のグラフを示している。
【0055】
チャック剛性が変位に及ぼす影響を調べるために、第1のウェーハを下部チャック上に真空で保持した状態で有限要素シミュレーションを行った。各シミュレーションにおいて、チャック剛性は指定された値に設定される。剛性は面積当たりで表される。
図14では、下部ウェーハチャックの垂直方向(z方向)における変位に対するチャック剛性の影響が、径方向の位置の関数として示されている。300mmウェーハ(すなわち、半径150mm)に関して、4つの異なるチャック剛性値(15、30、45、60GPa/m)で影響をシミュレーションした。4つすべてのチャック剛性値において、垂直方向の変位は3つのプラトー領域、すなわち、約25~60mmにある第1のプラトー領域、約75~100mmにある第2のプラトー領域、及び約120~130mmにある第3のプラトー領域を示している。例えば、15GPa/mでは、垂直方向の変位は、第1のプラトー領域では約-4μm、第2のプラトー領域では約-4.7μm、第3のプラトー領域では約-3.2~-3.5μmである。プラトー領域間には、垂直方向の変位があるレベルから別のレベルに移行する移行領域がある。これらのウェーハ全体の一般的な傾向は、4つすべてのチャック剛性値に共通しているが、チャック剛性値が大きくなるにつれて、垂直方向の変位は小さくなる。例えば、60GPa/mでは、垂直方向の変位は第1のプラトー領域で約-1μmしかなく、15GPa/mでの垂直方向の変位の約4分の1である。したがって、この垂直方向の変位の減少は、チャック剛性の増加を垂直方向におけるウェーハ上の局所ゆがみの修正に使用することができることを示している。
【0056】
図15は、横方向変位に対するチャック剛性及び真空圧のシミュレーションされた結果を示している。
【0057】
図15では、下部ウェーハチャックの横方向(r方向)における変位に対するチャック剛性及び真空圧の影響が、径方向の位置の関数として示されている。
図12と同じ4つのチャック剛性値に加えて、3つの異なる真空圧値(-10、-50、及び-70kPa)がシミュレーションの変数として使用される。4つすべてのチャック剛性値において、横方向の変位は4つのピーク、すなわち、約0~25mmにある第1のピーク、約60~70mmにある第2のピーク、約100~120mmにある第3のピーク、約140~150mmにある第4のピークを示している。例えば、15GPa/mでは、横方向の変位は第1のピークでは約95nm、第2のピークでは約20nm、第3のピークでは約-40nm、第4のピークでは約-100nmである。チャック剛性値が大きくなるにつれて、横方向の変位は小さくなる。例えば、60GPa/mでは、横方向の変位は第2のピークで約5nmしかなく、15GPa/mでの横方向の変位の約4分の1である。
図12と同様に、シミュレーションされた結果は、チャック剛性の増加はまた、横方向におけるウェーハ上の局所ゆがみを修正するために使用することもできるが、その変位は、垂直方向の場合よりも数桁小さいものであり得ることを示している。
【0058】
図16は、10kPaの真空圧差におけるチャック剛性の関数として、シミュレーションされた最大横方向位を示している。
【0059】
図16では、チャック剛性が増加するにつれて、最大横方向の変位が減少する。この傾向は、
図15の示すものと一致する。横方向の最大変位は15GPaでは最大約95nmであり、60GPa/mでは約30nmまで徐々に低下する。
【0060】
次に、例示的な実施形態を要約する。他の実施形態も、本明細書の全体及び本明細書で出願される特許請求の範囲から理解することができる。参照数字は、説明の目的のためにのみ以下に付したものであり、様々な例は、異なって実施され得るものであり、これらの例示のみに限定されるものとして解釈されるものではない。
【0061】
例1.処理チャンバにある第1のチャックであって、第1のチャックが第1のウェーハを保持するように構成され、第1のチャックが、チャック本体と、複数のアクチュエータを備える可変剛性層であって、複数のアクチュエータが可変剛性材料を含み、可変剛性層がチャック本体の下方に配置される、可変剛性層と、を備える、第1のチャックと、複数のアクチュエータのうちの1つ以上に制御信号を送信するように構成されたコントローラと、第1のチャックに真空ポンプからの真空圧を印加するように構成された、チャック本体上にある真空ラインと、処理チャンバにある第2のチャックであって、第2のチャックが、第1のウェーハに接合される第2のウェーハを保持するように構成される、第2のチャックと、を備える、ウェーハ接合装置であって、複数のアクチュエータの剛性が、コントローラからの制御信号に基づいて変化するように構成される、ウェーハ接合装置。
【0062】
例2.複数のアクチュエータの剛性における変化が、第1のチャックに面する第1のウェーハの表面における表面応力を補償するように構成される、例1に記載のウェーハ接合装置。
【0063】
例3.複数のアクチュエータの剛性における変化が、第1のチャックに面する第1のウェーハの表面における表面ひずみを補償するように構成される、例1又は2に記載のウェーハ接合装置。
【0064】
例4.複数のアクチュエータが熱アクチュエータを含み、可変剛性材料が形状記憶材料を含み、制御信号が熱アクチュエータに熱エネルギーを供給するように構成される、例1~3のいずれか一例に記載のウェーハ接合装置。
【0065】
例5.複数のアクチュエータが圧力アクチュエータを含み、可変剛性材料が粒状材料を含み、可変剛性材料の剛性が圧力アクチュエータに印加される圧力に基づいて変化する、例1~4のいずれか一例に記載のウェーハ接合装置。
【0066】
例6.複数のアクチュエータが電気アクチュエータを含み、可変剛性材料が感圧材料を含み、制御信号が電気信号を含む、例1~5のいずれか一例に記載のウェーハ接合装置。
【0067】
例7.複数のアクチュエータが磁気アクチュエータを含み、可変剛性材料が磁気粘性エラストマーを含み、制御信号が磁気信号を含む、例1~6のいずれか一例に記載のウェーハ接合装置。
【0068】
例8.コントローラが、第1のチャック上の第1のウェーハのゆがみの程度に関連する情報にしたがって制御信号を決定する、例1~7のいずれか一例に記載のウェーハ接合装置。
【0069】
例9.第1のチャック上の第1のウェーハのゆがみの程度を検知するように構成されたセンサを備えたメトロロジシステムを更に備える、例1~8のいずれか一例に記載のウェーハ接合装置。
【0070】
例10.ウェーハ接合装置の処理チャンバに第1のチャックを通して真空圧を印加することと、第1のチャック上に第1のウェーハを配置することであって、第1のウェーハが、真空圧によって第1のチャックに保持され、第1のチャックが、チャック本体と、複数のアクチュエータを備える可変剛性層であって、複数のアクチュエータが可変剛性材料を含み、可変剛性層がチャック本体の下方に配置される、可変剛性層と、を備える、ことと、複数のアクチュエータのうちの1つ以上に制御信号を送信することと、制御信号に基づいて、複数のアクチュエータのうちの1つ以上を作動させて、可変剛性層の剛性を変化させることと、を含む、ウェーハ接合方法。
【0071】
例11.複数のアクチュエータの剛性を変化させることが、第1のチャックに面する第1のウェーハの表面における表面応力を補償する、例10に記載の方法。
【0072】
例12.メトロロジシステムから、第1のチャック上の第1のウェーハのゆがみの程度に関連する情報を受信することと、コントローラにおいて、情報にしたがって制御信号を決定することと、を更に含む、例10又は11に記載の方法。
【0073】
例13.メトロロジシステムが処理チャンバの一部であり、情報に基づいて真空圧を調整することを更に含む、例10~12のいずれか一例に記載の方法。
【0074】
例14.処理チャンバ内にある第2のチャック上に第2のウェーハを配置することと、第1のウェーハに第2のウェーハを接合して、接合されたウェーハを形成することと、を更に含む、例10~13のいずれか一例に記載の方法。
【0075】
例15.第2のチャック上に第2のウェーハを配置することの後、可変剛性層の別の複数のアクチュエータに別の制御信号を送信することであって、別の複数のアクチュエータが可変剛性材料を含む、ことと、別の制御信号に基づいて、別の複数のアクチュエータを作動させて、可変剛性層の剛性を更に変化させることであって、別の制御信号が、制御信号とは異なる可変剛性層の剛性の設定を示す、ことと、を更に含む、例10~14のいずれか一例に記載の方法。
【0076】
例16.第1のウェーハに第2のウェーハを接合させることの後、第1のチャック上にある接合されたウェーハのゆがみの程度に関連する情報を受信することを更に含む、例10~15のいずれか一例に記載の方法。
【0077】
例17.接合されたウェーハのゆがみの程度に関連する情報に基づいて、接合されたウェーハのゆがみの程度が閾値を下回るか否かを判定することと、接合されたウェーハのゆがみの程度が閾値よりも大きい場合、接合されたウェーハを第1のウェーハと第2のウェーハとに分離し、第1のウェーハに第2のウェーハを再び接合して、再接合プロセスを行うことと、を更に含む、例10~16のいずれか一例に記載の方法。
【0078】
例18.処理チャンバにある第1のチャックであって、第1のチャックが第1のウェーハを保持するように構成され、第1のチャックが、第1のアクチュエータを備える可変剛性層を備え、第1のアクチュエータが可変剛性材料を含む、第1のチャックと、第1のアクチュエータに制御信号を送信するように構成されたコントローラと、処理チャンバにある第2のチャックであって、第2のチャックが、第1のウェーハに接合される第2のウェーハを保持するように構成される、第2のチャックと、を備える、ウェーハ接合装置であって、可変剛性層の剛性が、コントローラからの制御信号に基づいて変化するように構成される、ウェーハ接合装置。
【0079】
例19.コントローラに結合され、コントローラからの更なる制御信号を受信するように構成された複数のアクチュエータであって、可変剛性層の剛性が、更なる制御信号に基づいて変化するように構成される、複数のアクチュエータを更に備える、例18に記載のウェーハ接合装置。
【0080】
例20.可変剛性層が、10GPa/m以上の剛性を有するポリマー材料を含む、例18又は19に記載のウェーハ接合装置。
【0081】
例21.第1のチャックが、第1のチャック上の第1のウェーハのゆがみの程度を検知するように、またゆがみの程度に関連する情報をコントローラに送信するように構成された複数のセンサを更に備え、コントローラが、複数のセンサからの受信情報にしたがって制御信号を決定する、例18~20のいずれか一例に記載のウェーハ接合装置。
【0082】
例22.複数のセンサが、第1のチャック上に第1のウェーハを配置することの後、その場で第1のウェーハのゆがみの程度を検知するように更に構成される、例18~21のいずれか一例に記載のウェーハ接合装置。
【0083】
例23.処理チャンバにある第1のチャックであって、第1のチャックが第1のウェーハを保持するように構成され、第1のチャックが、チャック本体と、複数の圧電せん断アクチュエータを備える可変剛性層であって、可変剛性層がチャック本体の下方に配置される、可変剛性層と、を備える、第1のチャックと、複数の圧電せん断アクチュエータのうちの1つに信号を送信するように構成されたコントローラと、第1のウェーハに真空ポンプからの真空圧を印加するように構成されたチャック本体上にある真空ラインと、第1のウェーハに接合される第2のウェーハを保持するように構成された第2のチャックと、を備える、ウェーハ接合装置であって、複数の圧電せん断アクチュエータのそれぞれが、コントローラからの信号に基づいて、可変剛性層のせん断変形を横方向に引き起こすように構成される、ウェーハ接合装置。
【0084】
例24.可変剛性層のせん断変形が、一方向に同時に起こる、例23に記載のウェーハ接合装置。
【0085】
例25.第1のチャックが、可変剛性層のせん断変形を横方向に引き起こしながら、その場でチャック上の第1のウェーハの変形の程度を検知し、ゆがみの程度に関連する情報をコントローラに送信し、コントローラが、複数のセンサからの受信情報にしたがって信号を更新するように構成された複数のセンサを更に備える、例23又は24に記載のウェーハ接合装置。
【0086】
例示的な実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、この説明は、限定的な意味で解釈されることを意図されていない。例示的な実施形態の様々な修正形態及び組み合わせ並びに本発明の他の実施形態は、上記の説明を参照すれば当業者には明らかになるはずである。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態又は実施形態を包含することが意図されている。
【国際調査報告】