(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】二酸化炭素を長鎖炭化水素に変換するための方法及び触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 23/80 20060101AFI20250204BHJP
B01J 23/745 20060101ALI20250204BHJP
B01J 27/232 20060101ALI20250204BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20250204BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20250204BHJP
C07C 9/14 20060101ALI20250204BHJP
C07C 1/12 20060101ALI20250204BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20250204BHJP
【FI】
B01J23/80 Z
B01J23/745 Z
B01J27/232 Z
B01J37/04 102
B01J37/08
C07C9/14
C07C1/12
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541163
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 US2023010444
(87)【国際公開番号】W WO2023137002
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524400647
【氏名又は名称】エアー カンパニー ホールディングス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Air Company Holdings, Inc.
【住所又は居所原語表記】10 Grand Street,Level 3,Brooklyn,New York 11211,USA
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーハン,スタッフォード,ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チー
(72)【発明者】
【氏名】ガレデュー-バラード,マーレット
(72)【発明者】
【氏名】ルスリア,ネバ
(72)【発明者】
【氏名】シャー,ミヒール アール.
(72)【発明者】
【氏名】ウー,キーユアン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA08
4G169BA01A
4G169BA02A
4G169BA07A
4G169BA08A
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BB15A
4G169BB16B
4G169BC01A
4G169BC02A
4G169BC03A
4G169BC03B
4G169BC04A
4G169BC06A
4G169BC08A
4G169BC10A
4G169BC18A
4G169BC22A
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC32A
4G169BC35A
4G169BC35B
4G169BC40A
4G169BC43A
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4G169BC51A
4G169BC55A
4G169BC59A
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC68A
4G169BC70A
4G169BC72A
4G169BC75A
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4G169BD05A
4G169CB02
4G169CB62
4G169CB63
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4G169CB66
4G169EC02X
4G169EC03X
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4G169EC07X
4G169EC08X
4G169FB09
4G169FB30
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC29
4H006BA05
4H006BA07
4H006BA18
4H006BA30
4H006BA55
4H006BC10
4H006BC11
4H039CA19
4H039CB20
(57)【要約】
本開示は、二酸化炭素及び水素ガスをパラフィン、オレフィン、及び他の炭化水素生成物に変換するための触媒、反応器システム、及び方法を提供する。炭化水素を生成するために、従来のフィッシャー-トロプシュ反応器とは異なる様式における、二酸化炭素、一酸化炭素、及び水素ガスの混合物の利用のための方法も含まれる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾CZA触媒であって、
銅と、
亜鉛と、
鉄又はコバルトから選択される1つ以上の第1の元素と、
酸素と、
任意選択的に、アルミニウムと、
任意選択的に、1つ以上のIA又はIIA族金属と、を含み、
前記1つ以上の第1の元素が、前記銅、亜鉛、1つ以上の第1の元素、及び前記任意選択的なIA又はIIA族金属の総量の約1~約40重量%の量で存在する、修飾CZA触媒。
【請求項2】
前記1つ以上の第1の元素が、前記銅、亜鉛、前記1つ以上の第1の元素、及び前記任意選択的なIA族金属の総量の約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、又は約40重量%から選択される量で存在する、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記1つ以上の第1の元素が、前記銅、亜鉛、前記1つ以上の第1の元素、及び前記任意選択的なIA族金属の総量の1~10重量%、10~20重量%、又は20~30重量%、20~25重量%、22~24重量%、25~40重量%、30~40重量%、又は35~40重量%から選択される量で存在する、請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
前記触媒が、還元された銅金属ナノ粒子及びアルミナ修飾酸化亜鉛のコバルト埋め込み相互接続マトリックスを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項5】
前記コバルトが、酸化コバルトとして存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
前記銅が、酸化銅として存在する、請求項4又は5に記載の触媒。
【請求項7】
コバルト対銅対亜鉛(Co:Cu:Zn)のモル比が、コバルトで約0.1~100、銅で1~4、及び亜鉛で0.4~1.5である、請求項4~6のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項8】
前記コバルト対銅対亜鉛(Co:Cu:Zn)のモル比が、コバルトで0.1~100、銅で1~3、及び亜鉛で0.4~1の範囲である、請求項4~7のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項9】
前記コバルト対銅対亜鉛(Co:Cu:Zn)のモル比が、約100:1:0.5である、請求項4~8のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項10】
前記触媒が、還元された銅金属ナノ粒子及びアルミナ修飾酸化亜鉛の鉄埋め込み相互接続マトリックスを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項11】
前記鉄が、酸化鉄として存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項12】
前記銅が、酸化銅として存在する、請求項10又は11に記載の触媒。
【請求項13】
鉄対銅対亜鉛(Fe:Cu:Zn)のモル比が、鉄で約0.05~100、銅で1~4、及び亜鉛で0.5~4である、請求項10~12のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項14】
前記鉄対銅対亜鉛(Fe:Cu:Zn)のモル比が、鉄で約0.4~100、銅で1~3、及び亜鉛で0.5~3である、請求項10~13のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項15】
前記鉄対銅対亜鉛(Fe:Cu:Zn)のモル比が、約100:1:0.5である、請求項10~14のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項16】
銅対前記1つ以上の第1の元素のモル比が、約0.5:1~約5:1である、請求項1~15のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項17】
前記銅対前記1つ以上の第1の元素のモル比が、約1:1~約10:1である、請求項1~15のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項18】
前記銅対前記1つ以上の第1の元素のモル比が、約2:1~約9:1である、請求項1~15のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項19】
前記銅対前記1つ以上の第1の元素のモル比が、約2.3:1~約8.4:1である、請求項1~15のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項20】
前記銅対前記1つ以上の第1の元素のモル比が、約2.3:1である、請求項1~15のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項21】
前記銅対前記1つ以上の第1の元素のモル比が、約8.4:1である、請求項1~15のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項22】
前記触媒が、前記1つ以上のIA又はIIA族金属を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項23】
前記1つ以上のIA又はIIA族金属が、カリウム、ナトリウム、セシウム、マグネシウム、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項22に記載の触媒。
【請求項24】
前記1つ以上のIA又はIIA族金属が、カリウムを含む、請求項22又は23に記載の触媒。
【請求項25】
カリウム対銅のモル比が、約0.05:1、約0.09:1、約0.1:1、約0.15:1、約0.2:1、約0.25:1、約0.3:1、約0.35:1、約0.4:1、約0.45:1、又は約0.5:1から選択される、請求項24に記載の触媒。
【請求項26】
前記カリウム対銅のモル比が、約0.09:1である、請求項24に記載の触媒。
【請求項27】
前記1つ以上のIA又はIIA族金属が、マグネシウムを含む、請求項22又は23に記載の触媒。
【請求項28】
マグネシウム対銅のモル比が、約0.01:1、約0.016:1、約0.02:1、約0.05:1、又は約0.1:1から選択される、請求項27に記載の触媒。
【請求項29】
前記マグネシウム対銅のモル比が、約0.016:1である、請求項27に記載の触媒。
【請求項30】
前記触媒が、アルミニウムを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項31】
アルミニウム対銅のモル比が、約0.1:1~約10:1である、請求項30に記載の触媒。
【請求項32】
前記アルミニウム対銅のモル比が、約0.1:1~約1:1である、請求項30に記載の触媒。
【請求項33】
前記アルミニウム対銅のモル比が、約0.1:1~約0.2:1である、請求項30に記載の触媒。
【請求項34】
前記アルミニウム対銅のモル比が、約0.1:1である、請求項30に記載の触媒。
【請求項35】
前記アルミニウム対銅のモル比が、約0.2:1である、請求項30に記載の触媒。
【請求項36】
前記アルミニウムが、酸化アルミニウム(例えば、Al
2O
3、すなわちアルミナ)として存在する、請求項30~35のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項37】
亜鉛対銅(Zn:Cu)のモル比が、約0.3:1~約3:1である、請求項1~36のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項38】
前記亜鉛対銅(Zn:Cu)のモル比が、約0.3:1~約1:1である、請求項1~37のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項39】
前記亜鉛対銅(Zn:Cu)のモル比が、約0.4:1~約1:1である、請求項1~38のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項40】
前記亜鉛対銅(Zn:Cu)のモル比が、約0.4:1である、請求項1~39のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項41】
前記亜鉛対銅(Zn:Cu)のモル比が、約1:1である、請求項1~40のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項42】
前記亜鉛が、酸化亜鉛として存在する、請求項1~41のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項43】
前記触媒が、
銅と、
酸化亜鉛と、
コバルトと、
アルミニウムと、を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項44】
銅対コバルト(Cu:Co)のモル比が、約8.4:1であり、
亜鉛対コバルト(Zn:Co)のモル比が、約3.3:1であり、
アルミニウム対コバルト(Al:Co)のモル比が、約1.8:1である、請求項43に記載の触媒。
【請求項45】
前記銅対コバルト(Cu:Co)のモル比が、約8.4:1であり、
前記亜鉛対コバルト(Zn:Co)のモル比が、約3.3:1であり、
前記アルミニウム対コバルト(Al:Co)のモル比が、約0.9:1である、請求項43又は44に記載の触媒。
【請求項46】
前記触媒が、
銅と、
酸化亜鉛と、
鉄と、
アルミニウムと、を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項47】
銅対鉄(Cu:Fe)のモル比が、約2.3:1であり、
亜鉛対鉄(Zn:Fe)のモル比が、約2.3:1であり、
アルミニウム対鉄(Al:Fe)のモル比が、約0.8:1である、請求項46に記載の触媒。
【請求項48】
前記銅対鉄(Cu:Fe)のモル比が、約2.3:1であり、
前記亜鉛対鉄(Zn:Fe)のモル比が、約2.3:1であり、
前記アルミニウム対鉄(Al:Fe)のモル比が、約0.4:1である、請求項46又は47に記載の触媒。
【請求項49】
前記触媒が、
銅と、
酸化亜鉛と、
コバルトと、
アルミニウムと、
IA族金属と、を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項50】
銅対コバルト(Cu:Co)のモル比が、約8.4:1であり、
亜鉛対コバルト(Zn:Co)のモル比が、約3.3:1であり、
アルミニウム対コバルト(Al:Co)のモル比が、約1.8:1であり、
前記1つ以上のIA又はIIA族金属対コバルトのモル比が、約0.14:1である、請求項49に記載の触媒。
【請求項51】
前記銅対コバルト(Cu:Co)のモル比が、約8.4:1であり、
前記亜鉛対コバルト(Zn:Co)のモル比が、約3.3:1であり、
前記アルミニウム対コバルト(Al:Co)のモル比が、約0.9:1であり、
前記1つ以上のIA又はIIA族金属対コバルトの前記モル比が、約0.14:1である、請求項49又は50に記載の触媒。
【請求項52】
前記触媒が、
銅と、
酸化亜鉛と、
鉄と、
IA族金属と、を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項53】
銅対鉄(Cu:Fe)のモル比が、約2.3:1であり、
亜鉛対鉄(Zn:Fe)のモル比が、約2.3:1であり、
前記1つ以上のIA又はIIA族金属対鉄のモル比が、約0.4:1である、請求項52に記載の触媒。
【請求項54】
前記触媒が、
銅と、
酸化亜鉛と、
鉄と、
アルミニウムと、
IA族金属と、を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項55】
銅対鉄(Cu:Fe)のモル比が、約2.3:1であり、
亜鉛対鉄(Zn:Fe)のモル比が、約2.3:1であり、
アルミニウム対鉄(Al:Fe)のモル比が、約0.4:1であり、
前記1つ以上のIA又はIIA族金属対鉄のモル比が、約0.4:1である、請求項54に記載の触媒。
【請求項56】
パラフィンの生成のための触媒であって、
1つ以上の金属と、
任意選択的に、銅及び亜鉛から選択される1つ以上の第2の元素と、
任意選択的に、1つ以上のVI、VII、VIII、IX、X、又はXI族金属添加剤と、
任意選択的に、IA又はIIA族金属プロモーターと、を含む、触媒。
【請求項57】
前記1つ以上の金属が、コバルト、鉄、ニッケル、インジウム、イットリウム、ランタニド、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項56に記載の触媒。
【請求項58】
前記1つ以上の金属が、コバルトである、請求項56又は57に記載の触媒。
【請求項59】
前記1つ以上の金属が、鉄である、請求項56又は57に記載の触媒。
【請求項60】
前記1つ以上の金属が、鉄及びコバルトの組み合わせである、請求項56又は57に記載の触媒。
【請求項61】
前記1つ以上の金属が、酸化物、窒化物、又は炭化物の形態で存在する、請求項56~60のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項62】
前記1つ以上の第2の元素が、銅である、請求項56~61のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項63】
前記1つ以上の第2の元素が、亜鉛である、請求項56~61のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項64】
前記1つ以上の第2の元素が、銅及び亜鉛である、請求項56~61のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項65】
前記1つ以上の第2の元素が、酸化物、窒化物、又は炭化物の形態で存在する、請求項56~64のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項66】
前記1つ以上のVI、VII、VIII、IX、X、又はXI族金属添加剤が、存在する場合、マンガン、銀、ニオブ、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、白金、又はニッケルから選択される、請求項56~65のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項67】
前記IA又はIIA族金属プロモーターが、存在する場合、IA族元素である、請求項56~66のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項68】
前記IA又はIIA族金属プロモーターが、存在する場合、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムである、請求項56~66のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項69】
前記1つ以上の第2の元素が、前記1つ以上の金属、前記第2の元素、前記任意選択的な1つ以上のVI、VII、VIII、IX、X、又はXI族金属添加剤、及び前記任意選択的なIA又はIIA族金属プロモーターの総量の約0.5~約40重量%の量で存在する、請求項56~68のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項70】
請求項1~69のいずれか一項に記載の触媒と、追加の支持体と、を含む、触媒組成物。
【請求項71】
前記追加の支持体が、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、セリウム、マグネシウム、イットリウム、ランタン、亜鉛、鉄、及びスズから選択される元素の酸化物、窒化物、フッ化物、ケイ酸塩、又は炭化物から選択される1つ以上の材料を含む、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
前記追加の支持体が、炭素、シリカ、ゼオライト、アルミナ、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び炭化シリカから選択される、請求項70又は71に記載の組成物。
【請求項73】
前記追加の支持体が、γ-アルミナを含む、請求項70又は71に記載の組成物。
【請求項74】
前記追加の支持体が、前記触媒の一部として、インサイチュで形成される酸化アルミニウムである、請求項70に記載の組成物。
【請求項75】
前記追加の支持体が、Al
2O
3、ZrO
2、SnO
2、SiO
2、ZnO、TiO
2、Fe
2O
3、Fe
3O
4、FeO、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項70に記載の組成物。
【請求項76】
前記追加の支持体が、1つ以上の炭素系材料を含む、請求項70に記載の組成物。
【請求項77】
前記炭素系材料が、活性炭、カーボンナノチューブ、グラフェン、酸化グラフェン、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
前記追加の支持体が、メソ多孔性材料である、請求項70~77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項79】
前記追加の支持体が、約0.01~約3.0cc/gのメソ細孔容積を有する、請求項78に記載の組成物。
【請求項80】
前記追加の支持体が、約10m
2/g~約1000m
2/gの表面積を有する、請求項70~79のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項81】
前記組成物が、約10m
2/g~約1000m
2/gの表面積を有する、請求項70~80のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項82】
前記組成物が、約10nm~約5μmの平均サイズを有する粒子の形態である、請求項70~81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項83】
前記組成物が、約20nm~約5μmの平均サイズを有する粒子の形態である、請求項70~81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項84】
前記組成物が、約50nm~約1μmの平均サイズを有する形態である、請求項70~81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項85】
前記組成物が、約100nm~約500nmの平均サイズを有する粒子の形態である、請求項70~81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項86】
前記組成物が、約50nm~約300nmの平均サイズを有する形態である、請求項70~81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項87】
前記組成物が、約5重量%~約80重量%の前記触媒を含む、請求項70~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項88】
前記組成物が、約5重量%~約70重量%の前記触媒を含む、請求項70~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項89】
前記組成物が、約20重量%~約70重量%の前記触媒を含む、請求項70~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項90】
前記組成物が、約30重量%~約70重量%の前記触媒を含む、請求項70~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項91】
請求項1~69のいずれか一項に記載の触媒、又は請求項70~90のいずれか一項に記載の触媒組成物を作製する方法。
【請求項92】
前記方法が、
(a)コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、塩基、及び水の源を含む、第1の溶液を提供することと、
(b)前記第1の溶液を第1の温度で第1の期間にわたって加熱し、それにより、第1の反応混合物を生成することと、
(c)前記第1の反応混合物を第2の温度で第2の期間にわたって加熱して、水を除去し、それにより、固体前駆体を生成することと、
(d)前記固体前駆体を第3の温度に第3の期間にわたって加熱し、それにより、前記触媒を単離することと、を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記方法が、
(a)コバルト、銅、亜鉛、鉄、及び水の源を含む第2の溶液を提供することと、
(b)塩基を含む第3の溶液を提供することと、
(c)前記第3の溶液を第3の温度で第3の期間にわたって加熱することと、
(d)アルミナを前記第3の溶液に添加し、それにより、第2の反応混合物を生成することと、
(e)前記第2の溶液を第4の温度で第4の期間にわたって前記第2の反応混合物に添加し、それにより、第3の反応混合物を生成することと、
(f)前記第3の反応混合物を第5の温度で第5の期間にわたって加熱し、それにより、固体前駆体を生成することと、
(g)前記固体前駆体を単離することと、
(h)前記固体前駆体を、IA族金属を含む溶液と接触させ、それにより、触媒前駆体を生成することと、
(i)前記触媒前駆体を第6の温度に第6の期間にわたって加熱し、それにより、前記触媒を単離することと、を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記方法が、コバルトの源、銅の源、亜鉛の源、及びアルミニウムの源を含む第1の溶液を提供することと、前記第1の溶液を、炭酸塩などの塩基性沈殿物と組み合わせて、金属塩含有溶液のpHを増加させ、それにより、固体粒子を沈殿させることと、前記固体粒子を乾燥及びか焼して、固体触媒を形成することと、を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記方法が、コバルト源を含む第1の溶液を提供することと、前記第1の溶液を、初期湿潤すなわち湿式含浸を介して、予め作製された銅-亜鉛アルミナ材料に導入し、続いて乾燥及びか焼することによって、固体触媒を形成することと、を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
前記方法が、ミルジャー内でコバルト源及び支持体を混合して、第1の混合物を提供することと、前記第1の混合物を2時間~2週間ボールミル加工し、それにより、第1の沈殿物を提供することと、前記第1の沈殿物を濾過し、第1の温度に加熱して、ボールミル加工されたコバルト源を提供することと、前記ボールミル加工されたコバルト源を銅及び亜鉛の源及びアルミナの源と混合して、第2の混合物を提供することと、前記第2の混合物から固体材料を単離することと、を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項97】
前記方法が、前記固体材料を前記1つ以上のIA族金属の源と組み合わせることを更に含む、請求項91~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記方法が、前記固体材料を加圧してペレットにすることを更に含む、請求項91~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記方法が、前記固体材料を、流動反応器内への導入の前に、加圧してペレットにすることを更に含む、請求項91~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
CO
2及び還元ガス(例えば、H
2)を長鎖炭化水素に変換するための方法であって、CO
2及び前記還元ガスを含む供給混合物を、請求項1~69のいずれか一項に記載の触媒、又は請求項70~90のいずれか一項に記載の触媒組成物と還元温度及び還元圧力で接触させて、長鎖炭化水素を含む生成物混合物を生成することを含む、方法。
【請求項101】
前記変換が、単一の反応器内で実施される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記生成物混合物が、C
1アルカン又はアルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド又はメタンを含まない、請求項100又は101に記載の方法。
【請求項103】
前記生成物混合物が、約0.5重量%未満のホルムアルデヒド又はメタンを含む、請求項100又は101に記載の方法。
【請求項104】
前記生成物混合物が、約0.05重量%未満のホルムアルデヒド又はメタンを含む、請求項100又は101に記載の方法。
【請求項105】
前記生成物混合物が、約50ppm未満のホルムアルデヒド又はメタンを含む、請求項100又は101に記載の方法。
【請求項106】
前記生成物混合物が、約25ppm未満のホルムアルデヒド又はメタンを含む、請求項100又は101に記載の方法。
【請求項107】
前記生成物混合物が、約5ppm未満のホルムアルデヒド又はメタンを含む、請求項100又は101に記載の方法。
【請求項108】
前記方法が、アルコール中間体を介して進行する、請求項100又は101に記載の方法。
【請求項109】
前記生成物混合物が、気体生成物混合物及び液体生成物混合物を含む、請求項100~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記液体生成物混合物が、水性液体生成物混合物及び非水性液体生成物混合物を含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記水性液体生成物混合物が、アルコールを含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記水性液体生成物混合物が、メタノールを含む、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記非水性液体生成物混合物が、炭化水素を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項114】
前記非水性液体生成物混合物が、パラフィン(例えば、C
6-C
20炭化水素)を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項115】
前記非水性液体生成物混合物が、パラフィン、オレフィン、及び他の炭化水素を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項116】
前記非水性液体生成物混合物が、6~26の炭素数を有する直鎖アルカンを含む、請求項110に記載の方法。
【請求項117】
前記非水性液体生成物混合物が、6~26の炭素数を有する直鎖アルカンから本質的になる、請求項110に記載の方法。
【請求項118】
前記非水性液体生成物混合物が、6~26の炭素数を有する直鎖アルカンからなる、請求項110に記載の方法。
【請求項119】
前記非水性液体生成物混合物が、8~16の炭素数を有する直鎖アルカンを含む、請求項110に記載の方法。
【請求項120】
前記非水性液体生成物混合物が、8~16の炭素数を有する直鎖アルカンから本質的になる、請求項110に記載の方法。
【請求項121】
前記非水性液体生成物混合物が、8~16の炭素数を有する直鎖アルカンからなる、請求項110に記載の方法。
【請求項122】
前記非水性液体生成物混合物が、6~30の炭素数を有する炭化水素を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項123】
前記非水性液体生成物混合物が、6~30の炭素数を有する炭化水素から本質的になる、請求項110に記載の方法。
【請求項124】
前記非水性液体生成物混合物が、6~30の炭素数を有する炭化水素からなる、請求項110に記載の方法。
【請求項125】
前記パラフィンの量が、前記液体生成物混合物の少なくとも10重量%である、請求項109~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記パラフィンの量が、前記液体生成物混合物の少なくとも50重量%である、請求項109~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記液体生成物混合物が、ASF分布に従わない、請求項109~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記液体生成物混合物が、従来のフィッシャー-トロプシュプロセスよりも狭い、ディーゼル及び航空燃料用の所望の炭化水素の分布を有する、請求項109~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記パラフィンの量が、前記液体生成物混合物の少なくとも5重量%である、請求項109~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記パラフィンの量が、前記液体生成物混合物の少なくとも2重量%である、請求項109~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記液体生成物混合物中の前記パラフィンの量対炭素含有生成物の総量が、約1:2~約1:10である、請求項109~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記液体生成物混合物中のギ酸の量が、1,000ppm未満である、請求項109~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記液体生成物混合物中のイソプロパノールの量が、1,000ppm未満である、請求項109~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
前記還元ガスが、CH
4、エタン、プロパン、又はブタンなどの炭化水素を含む、請求項100~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記炭化水素が、CH
4である、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記CH
4が、エタン、プロパン、又はブタンなどの他の炭化水素も含むガス混合物の成分である、請求項134に記載の方法。
【請求項137】
CH
4を供給するために使用される前記ガス混合物が、フレアガス、廃棄ガス、天然ガス、又は同等物であり得る(又はそれらに由来し得る)、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記還元剤ガスが、H
2である、請求項100~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記供給混合物が、COを更に含む、請求項100~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記供給混合物が、25%未満のCO、20%未満のCO、15%未満のCO、10%未満のCO、5%未満のCO、又は1%未満のCOを含む、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記供給混合物が、COを実質的に含まない、請求項100~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記還元温度が、約100~約600℃である、請求項100~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記還元温度が、約275~約350℃である、請求項100~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記還元温度が、約275℃である、請求項100~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記還元温度が、約300℃である、請求項100~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
前記還元圧力が、約50~約3000psiである、請求項100~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記還元圧力が、約900~約1100psiである、請求項100~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
前記還元圧力が、約1000psiである、請求項100~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
前記供給混合物中のCO
2の分圧が、約20~約1500psiである、請求項100~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
前記供給混合物中のCO
2の分圧が、約200~約800psi、約200~約600psi、約200~400psi、又は約300~約400psiである、請求項100~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
前記供給混合物中のCO
2の分圧が、約200psi、約250psi、約300psi、約350psi、約400psi、約450psi、約500psi、約550psi、約600psi、約650psi、約700psi、約750psi、約800psi、約850psi、約900psi、約950psi、又は約1000psiである、請求項100~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記供給混合物中のCO
2の分圧が、約330psiである、請求項100~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記供給混合物中の還元剤ガス:CO
2の比が、約10:1~約1:10である、請求項100~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記供給混合物中の還元剤ガス:CO
2の比が、約5:1~約0.5:1である、請求項100~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記供給混合物中の還元剤ガス:CO
2の比が、約4:1~約1:1である、請求項100~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記供給混合物中の還元剤ガス:CO
2の比が、約3:1である、請求項100~155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記方法が、
前記生成物混合物を監視することと、
前記供給混合物から未反応成分及び部分的に反応した成分を捕捉して、リサイクルされたガス混合物を生成することと、
前記リサイクルされたガス混合物を前記供給混合物と組み合わせることと、
前記リサイクルされたガス混合物対前記供給混合物の比を適合させることと、を更に含む、請求項100~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記生成物混合物を監視することが、熱伝導率検出器及び赤外線検出器を備えた合成ガス分析器を用いて、前記生成物混合物を分析することを含む、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
前記反応器に導入される前記供給混合物及びリサイクルされたガス混合物のGHSVが、約10~約20000である、請求項157又は158に記載の方法。
【請求項160】
前記反応器に導入される前記供給混合物及びリサイクルされたガス混合物のGHSVが、約10~約100である、請求項157又は158に記載の方法。
【請求項161】
前記方法が、前記触媒を前記供給混合物と少なくとも8,000時間接触させることを含む、請求項100~160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記方法が、前記触媒を前記供給混合物と少なくとも96時間接触させることを含む、請求項100~160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記方法が、前記触媒を前記供給混合物と少なくとも24時間接触させることを含む、請求項100~160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
前記生成物混合物及び異性化ガスを、異性化温度及び異性化圧力で異性化触媒と接触させて、直鎖パラフィン、分岐パラフィン、及び/又はナフテンを含む異性化生成物混合物を得ることを更に含む、請求項100~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
請求項164に記載の方法、ここで、H
2、炭化水素、合成ガス(CO/H
2)、又はフレアガス、廃棄ガス、若しくは天然ガスであるか、又はそれらに由来するガスから選択される前記異性化ガス。
【請求項166】
前記異性化ガスが、H
2である、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
前記異性化ガスが、合成ガスである、請求項165に記載の方法。
【請求項168】
前記異性化ガスが、CH
4、エタン、プロパン、又はブタンなどの炭化水素である、請求項165に記載の方法。
【請求項169】
前記異性化ガスが、フレアガス、廃棄ガス、若しくは天然ガスであるか、又はそれらに由来する、請求項165に記載の方法。
【請求項170】
前記異性化ガスが、CH
4である、請求項165に記載の方法。
【請求項171】
前記異性化温度が、約50℃~約450℃である、請求項164~170のいずれか一項に記載の方法。
【請求項172】
前記異性化圧力が、約50psi~約1000psiである、請求項164~171のいずれか一項に記載の方法。
【請求項173】
前記異性化生成物混合物が、直鎖パラフィン、分岐パラフィン、及びナフテンを含むC
9-15炭化水素を含む、請求項164~172のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素を長鎖炭化水素に変換するための方法及び触媒に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月11日に出願された米国仮特許出願第63/298,402号及び2022年9月22日に出願された米国仮特許出願第63/409,085号の優先権の利益を主張するものである。これらの出願の各々の全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
大気中の二酸化炭素濃度が増加するにつれて、空気から二酸化炭素を除去する技術を開発することは、社会福祉、人間の健康、及びエネルギー安全保障の観点から有利になりつつある。二酸化炭素変換技術は、CO2の空気捕捉と一体になると、輸送のコスト又は危険性がなく、世界中のいずれの場所でも現場で汎用化学品を生産するという付加利点を有する。空気からCO2を除去する必要性は、太陽光電池及び風力タービンなどの再生可能発電方法の世界的利用の増加と相まっている。これらのような技法は、夕方に沈んで朝に昇る太陽、及び断続的に吹く風などの断続的エネルギー源を使用する。したがって、これらの源から配電網への電気の供給は、いくつかの時点では急増し、他の時点では低い。これは、電気を断続的に利用して、所望の製品を現場で生産することができる技術の機会を提示する。
【0004】
二酸化炭素から化学物質を生成するための利用可能な技術のうち、カーボンニュートラルな水素ガスを生成する水電解槽又は等価システムから再生可能に導出された水素ガスを使用する、二酸化炭素又は一酸化炭素の水素化は、再生可能な(太陽光、風力、水力発電などの)電力によって完全に給電されることが可能である。このような方法は、外部エネルギー源を使用して、炭素系原料(二酸化炭素又は一酸化炭素)及び水を炭化水素化学物質に変換し、これは、地球上の生命を可能にする基本的な光合成プロセスに類似する。例えば、植物は、光合成を使用して、糖及び他の複雑な炭化水素を作成することによって、二酸化炭素、水、及び太陽エネルギーを化学エネルギーに変換する。これは、太陽からのエネルギーを炭素系化合物の化学結合に効果的に貯蔵する。このプロセスは、何十億年もの間、地球の生態系を支援し、大気中の二酸化炭素濃度の平衡を保っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前世紀には、人間は、化石燃料などの光合成の副産物を利用して、現代の生活に必要なエネルギーを提供してきた。これは、何百万年にもわたって光合成によって化石燃料に以前は隔離されていた何百万トンもの二酸化炭素を地球の大気中に放出してきた。科学的証拠は、人為的源からの大気中の二酸化炭素濃度のこの急激な増加が地球規模の気候にとって潜在的に壊滅的であることを指摘している。したがって、二酸化炭素を隔離する天然のプロセスを模倣するカーボンネガティブプロセスの開発は、地球の将来にとって重要であり、1つのそのような発明を開示することが本出願の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある特定の態様では、本開示は、触媒であって、銅と、亜鉛と、鉄又はコバルトから選択される1つ以上の第1の元素と、酸素と、任意選択的にアルミニウムと、V、VI、VII、VIII、IX、X、及びXI族金属(例えば、マンガン、銀、ニオブ、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、若しくはパラジウム)から選択される1つ以上の第2の元素と、任意選択的に、1つ以上のIA族金属と、を含み、1つ以上の第1の元素が、銅、亜鉛、1つ以上の第1の元素、任意選択的な第2の元素、及び任意選択的なIA族金属の総量の約1~約50重量%(例えば、約1~約10重量%、約25~約40重量%、約30~約40重量%、又は約35~約50重量%)の量で存在する、触媒を提供する。
【0007】
ある特定の態様では、本開示は、銅亜鉛アルミニウム(CZA)触媒であって、銅と、亜鉛と、任意選択的に、コバルト、鉄、又はニッケルから選択される1つ以上の第1の元素と、酸素と、任意選択的にアルミニウムと、任意選択的に、V、VI、VII、VIII、IX、X、及びXI族金属(例えば、マンガン、銀、ニオブ、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、又はパラジウム)から選択される1つ以上の第2の元素と、任意選択的に1つ以上のIA族金属と、を含み、銅対亜鉛のモル比が、約1対約5である、銅亜鉛アルミニウム(CZA)触媒を提供する。
【0008】
ある特定の態様では、本開示は、触媒であって、1つ以上の金属であって、好ましくは、金属が鉄である、1つ以上の金属と、任意選択的に、銅及び/又は亜鉛から選択される1つ以上の第2の元素と、任意選択的に、1つ以上のVI、VII、VIII、IX、X、又はXI族金属添加剤(例えば、マンガン、銀、ニオブ、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、若しくはパラジウム)と、任意選択的にIA又はIIA族金属プロモーターと、を含む、触媒を提供する。
【0009】
ある特定の態様では、本開示は、本明細書に開示される触媒と、任意選択的な追加の支持体と、を含む、触媒組成物を提供する。
【0010】
ある特定の態様では、本開示は、共沈殿、湿式含浸、若しくはボールミル加工、又はこれらの組み合わせによって触媒を調製することを含む方法などの、本明細書に開示される触媒又は触媒組成物を調製する方法を提供する。
【0011】
ある特定の態様では、本開示は、CO2、CO、又はこれら2つの混合物を液体生成物混合物に還元する方法であって、本明細書に開示される触媒又は他の触媒組成物を、CO2、CO、又はこれら2つの混合物、及び還元剤ガスを含む供給混合物と、還元温度及び還元圧力で接触させ、それにより、液体生成物混合物を提供することを含む、方法を提供する。
【0012】
ある特定の態様では、本開示は、1つ以上のパラフィン金属酸化物と、任意選択的に支持体と、任意選択的に1つ以上の金属添加剤と、を含む触媒を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】例示的なコバルト銅亜鉛触媒によって生成された炭化水素混合物中の主な個々の炭化水素化合物、すなわち直鎖アルカンを識別するガスクロマトグラムを示す。
【
図2】直鎖アルカン及び一級オレフィンを含む、例示的な鉄銅亜鉛触媒によって生成された炭化水素混合物中の主な個々の炭化水素化合物を識別するガスクロマトグラムを示す。
【
図3】二級オレフィン、芳香族化合物、及びシクロアルカンを含む、例示的な鉄銅亜鉛触媒によって生成された炭化水素混合物中の個々の炭化水素化合物を識別するズームインガスクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
二酸化炭素隔離に向けた主要な障害物のうちの1つは、二酸化炭素又は一酸化炭素の効果的な利用及び有用な化学物質への触媒変換である。植物は、遷移金属を利用して、一酸化炭素、ギ酸、又はセルロースのいくつかの他の構成要素への二酸化炭素の水素化に触媒作用を及ぼす、脱水素酵素を介してこれを達成する。人工システムは、この経路を複製することを試行しており、二酸化炭素変換のための化学的方法は、何十年も知られている。しかしながら、これらのうちの多くは、いずれの大規模展開のためにも非現実的なエネルギー要件を有する。
【0015】
炭素質供給原料から化学物質を生成するために、フィッシャー-トロプシュ(FT)プロセスは、今日、燃料生成のために最も広く使用されている石油化学プロセスのうちの1つである。アルカリ鉄触媒(alkaline iron catalysts)を使用して1922年にフィッシャー及びトロプシュによって最初に報告されたFTプロセスは、高温高圧でCO及びH2の混合物を利用して、パラフィン及び他の炭化水素を生成する。ほぼ全ての近代的なFTプロセスは、酸化アルミニウム(Al2O3)支持体上に堆積されたコバルト、鉄、炭化鉄、又はルテニウムから構成される商業用触媒を使用する。FTプロセスの経済性を改善することを最終目標として、これらの触媒の数千の変形が、生成されている。これらの改善された経済性は、触媒開発の観点から、触媒の時空収率を増加させて、より小さく、より効率的な反応器設計を可能にすること、炭化水素生成物の分布を狭めること、又は非経済的な副生成物に対する選択性を減少させることによってもたらされ得る。
【0016】
FTプロセスからの生成物分布は、FT触媒の表面上のCHx反応中間体の重合によって特徴付けられる。CHxモノマーは、FT触媒の表面上で重合して、異なる炭素数のCyHz中間体になり、CyHz中間体は、パラフィン、オレフィン、及び他の炭化水素化合物を形成するために、更なる水素化又は脱水素化の下に。FTプロセスでは、FT触媒の表面上の活性CHx及びCyHz種のC-Cカップリングを制御することが困難であり、それにより、炭化水素生成物の統計的分布につながる。FTにおける炭化水素生成物の分布は、Anderson-Schulz-Flory(ASF)モデルによって予測され、典型的にはASF分布と称される。ASFモデルは、求核性FT触媒、活性部位の還元化学ポテンシャル、C-Cカップリングのための触媒の有効性、及びFT反応器内の反応条件に影響される鎖成長確率変数に依存する。
【0017】
典型的なASF分布では、より軽い炭化水素(ペンタンよりも小さい)は、低い鎖成長確率がある場合、高い選択性で生成される。より大きい鎖成長確率(1に近づく)では、21超の炭素数を有する、より重い炭化水素が予想される。合成原油(シンクルード)を生成する現在の工業用FTプロセスは、1~80の炭素数を有する広範囲に分布する炭化水素生成物を生成する。これには、8~20の炭素数を有する飽和アルカンが好ましい、持続可能なディーゼル又は航空燃料としての使用に好適な炭化水素混合物を生成するために、分留及び水素化処理を含むがこれらに限定されない、かなりの下流処理が必要である。したがって、持続可能な航空燃料などの特定の燃料生成物が所望される場合、FTプロセスの全収率は減少する。例えば、ASFモデルに従う工業用FTプロセスは、10~20の炭素数を有する生成物に対して約39%の最大選択性を有する。したがって、ASFモデルからの逸脱を可能にする化学反応を伴うガスツーリキッドプロセスを開発することが望ましい。
【0018】
合成ガス(シンガス)を使用して汎用化学品を生成する別のプロセスが、メタノール生成である。銅-亜鉛-アルミナ又は「CZA」触媒として知られる、アルミナ足場上に酸化亜鉛を有する、銅から作製される触媒は、典型的には、一酸化炭素及び水素ガスから構成される合成ガスからメタノールを生成するために使用され、メタノールは、年間数百万トンの規模で生成される汎用化学品である。CZA触媒のある特定の変形も、それらの高い選択性のために、メタノールへのCO2の水素化に有用であるが、生成物の純度、メタンの共生成、及び限定された触媒寿命などのいくつかの他の欠点を抱えている。しかしながら、メタノールに対するこの高い選択性が、高級アルコール又は高級炭化水素が所望され得る状況では、高級アルコール又は高級炭化水素の生成を妨げる。
【0019】
これらのプロセスのうちのいずれにおいても、重要な構成要素は、炭素質供給原料及び水素ガス(又は水素等価物)を変換する触媒である。CO2変換のための触媒は、具体的には、CO2が他の化合物に変換するために相当量のエネルギーを必要とするという大きい課題に直面している。これにより、安定性及び活性がCO2変換のための工業用触媒にとって重要な課題となる。CO2の熱化学還元のためのいくつかの触媒が、学術文献で実証されているが、高コスト又は不良な安定性のいずれかにより、いずれも工業的使用に移行していない。Ni系触媒は、主にCO2をCH4に水素化するために使用される。Co、Fe、Ru、Ir、Zn、Pd、Cu、及びRh化合物も、高級炭化水素の形成のためのCO2水素化触媒として使用されている。二金属及び三金属触媒における特定の比率でのこれらの元素のいくつかの組み合わせも、試行されている。しかしながら、大規模な商業的展開のために好適である上記に列挙された低コストの金属(Cu、Zn、Fe、Co、又はNiなど)(すなわち、Ru、Ir、及びRhなどのPt族金属でない)をベースとする触媒は、ディーゼル又は航空燃料としての使用に好適なパラフィン又は他の炭化水素へのCO2の水素化のための商業用触媒として、いずれもまだ実証されていない。
【0020】
これは、1つには、これらの触媒が、反応器内での操業中に崩壊して、より低い活性の材料になるため、先に報告された化合物が、材料をスケールアップするために必要とされる安定性を示していないからである。また、商業用反応器条件下で生成される炭素鎖長の分布に基づく、適切な炭化水素に対する触媒の選択性が低いためでもある。本開示の前に、このプロセスのための安定した効率のよい触媒の欠如により、(サバティエプロセスの場合のように)最初にCO2をCO又はCH4に変換する化学プロセスにおける別個のステップを伴わずに、二酸化炭素を、ディーゼル又は航空燃料での使用に好適な炭化水素生成物に変換する商業的化学プロセスは、知られていなかった。
【0021】
本開示は、銅及び酸化亜鉛から作製され、CO2の長鎖炭化水素への変換のために、鉄又はコバルトから選択される金属を任意選択的に更に含み、アルミナ、ゼオライト、又はシリカなどの支持材料を任意選択的に含む触媒、並びにCO2からの炭化水素の生成のためにそのような触媒を使用する方法を提供する。本明細書に更に説明されるように、本開示の触媒は、炭素-炭素結合形成を促進する金属として、第1の元素(Co又はFe)を含む。これまで、アルミナ上の銅及び酸化亜鉛(CZA)触媒などの銅-亜鉛ファミリー触媒は、パラフィンなどの多炭素生成物へのCO2水素化のための有能な触媒として実証されていなかった。他の利点の中でも、本開示の修飾銅亜鉛触媒は、炭素質供給原料、CO2、CO、又はCH4からの炭化水素の生成を、いずれの他の報告されたCZA又はFT触媒よりも高速で触媒する。これらの触媒を使用して、稼働中の気体副生成物、例えば、CH4の形成を抑制し、マルチパスガスツーリキッド反応器(multi-pass gas to liquids reactor)内の生成物ガスリサイクル中の未反応ガスの効果的なリサイクルを更に可能にすることもできる。
【0022】
ある特定の実施形態では、本開示は、酸化鉄を含む触媒であって、任意選択的に、銅及び/又は亜鉛から選択される1つ以上の追加の金属を更に含む、触媒を提供する。ある特定のそのような実施形態では、1つ以上の追加の金属は、CO2の活性化及び変換を支援する(例えば、金属プロモーターとして機能することによって)。更なる実施形態では、酸化鉄を含む触媒は、アルミナ、ゼオライト、又はシリカを含む支持体を更に含む。ある特定の実施形態では、酸化鉄を含む触媒は、CO2を長鎖炭化水素に変換するのに有用である。
【0023】
本明細書に更に説明されるように、本開示の触媒は、好ましくは、CO2活性化を促進する金属として、更なる追加の金属(Cu及び/又はZn)のうちの1つを含む。これまで、酸化鉄触媒などの鉄ファミリー触媒は、パラフィンなどの多炭素生成物へのCO2水素化のための有能な触媒として実証されていない。
【0024】
ある特定の態様では、本開示は、単一の反応器内でCO2及びH2から長鎖炭化水素を生成する化学プロセスを提供する。このプロセスは、多炭素種、特に、6~20の炭素数を有する長鎖アルカンを生成する点で、以前のCZAベースのプロセスと違って新規であり、以前のCZAベースのプロセスは、1~約5の炭素数を有する生成物しか生成しない。更に、このプロセスは、COではなくCO2が供給原料である点で、FTベースのプロセスとは異なる。典型的なコバルト触媒FTプロセスの供給原料流中のCO2の濃度を増加させると、当業者に知られているように、反応器に排他的にメタンを生成させることになる。したがって、本発明は、CO2及びH2から構成される供給原料流を使用して、ほとんど又はまったくメタンが生成されない触媒及び反応条件を使用することによって、ガスツーリキッド化学反応における重要な一歩を表す。いくつかの実施形態では、本発明は、コバルトを使用して、C-C結合及び鎖成長を促進しながら、同時に、反応器条件、反応生成物の適応監視、及び触媒組成物の組み合わせを通して、CH4の生成を防止する。
【0025】
ある特定の態様では、本開示は、単一の反応器内で、アルコール中間体を介して、CO2及びH2から長鎖炭化水素を生成する化学プロセスを提供する。いくつかの実施形態では、アルコールが、長鎖炭化水素と共生成される。いくつかの実施形態では、長鎖炭化水素と共生成されるアルコールは、主にメタノールである。いくつかの実施形態では、アルコールは、単一反応器内で起こる化学反応における長鎖炭化水素への中間体である。これらの場合、長鎖炭化水素の生成は、最初にアルコールを生成し、次にアルコールを脱水して、結合したCHx中間体又はエチレン若しくはプロピレンなどの遊離オレフィンのいずれかを生成することによって達成される。結合したCHx中間体又は遊離オレフィンを更にオリゴマー化して、長鎖炭化水素を生成する。いくつかの実施形態では、アルコールは、単一反応器内で起こる化学反応における長鎖炭化水素への副生成物である。
【0026】
ある特定の態様では、本開示は、ASF分布に従わない炭素質供給原料から長鎖炭化水素を生成する化学プロセスを提供する。いくつかの実施形態では、ASF分布は、機械的一意性のために、従来のFTプロセスから逸脱する。いくつかの実施形態では、本発明は、従来のFTプロセスよりも狭い、ディーゼル及び航空燃料用の所望の炭化水素の分布を生成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、6~26の炭素数を有する直鎖アルカンを選択的に生成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、8~16の炭素数を有する直鎖アルカンを選択的に生成する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、6~30の炭素数を有する炭化水素を選択的に生成する方法を提供する。
【0027】
ある特定の態様では、本開示は、Co促進触媒とFe促進触媒との間の明確な違いを有する、炭素質供給原料から長鎖炭化水素を生成するための触媒を提供する。
図1に示されるように、Co促進銅亜鉛触媒は、典型的には、長鎖炭化水素を完全に水素化して、6~30の様々な炭素数の飽和直鎖アルカンを生成する。
図2に示されるように、Fe促進銅亜鉛触媒は、典型的には、長鎖炭化水素を部分的に水素化して、飽和アルカン、オレフィン、並びにより低濃度の分岐及びシクロアルカン、芳香族化合物、アルコール、及びカルボン酸の混合物を生成する。いくつかの実施形態では、本発明は、銅及び酸化亜鉛から構成される触媒中に様々な比率でCo及びFeの両方を使用して、分岐が生じるか、又は反応中間体が水素化される程度を制御する。いくつかの実施形態では、Co:Feの比は、100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1:1、1:2、1:5、1:10、1:20、1:50、又は1:100である。
【0028】
ある特定の態様では、本開示は、副生成物の形成なしに、単一の反応器内でCO2及びH2から長鎖炭化水素を連続的に生成するための反応器の適応監視のための方法を提供する。CO2及びH2から長鎖炭化水素を生成する反応器システムの動作中、気体副生成物を伴わずに液体生成物の生成を可能にする温度、圧力、及びガス組成物の狭い操作窓が、存在する。本発明は、ガスツーリキッド反応器システムにおける気体リサイクルループの組成のリアルタイム監視、及び供給ガス比並びに温度の適応調整の方法を提供する。いくつかの実施形態では、気体リサイクルループの組成のリアルタイム監視は、熱伝導率検出を使用してH2の相対濃度を判定し、赤外線検出を使用してCO2、CO、CH4、及び他の炭化水素の相対濃度を判定する合成ガス分析器によって達成される。いくつかの実施形態では、ソフトウェア又はオペレータの介入のいずれかを使用して、CH4などのリサイクル不可能な副生成物の形成を回避するために、検出器の出口組成に基づいて、CO2及びH2の供給比を調整する。
【0029】
触媒
ある特定の態様では、本開示は、触媒であって、銅と、亜鉛と、鉄又はコバルトから選択される1つ以上の第1の元素と、酸素と、任意選択的にアルミニウムと、任意選択的に、V、VI、VII、VIII、IX、X、及びXI族金属(例えば、マンガン、銀、ニオブ、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、白金、又はニッケル)から選択される1つ以上の第2の元素と、任意選択的に、1つ以上のIA族金属と、を含み、1つ以上の第1の元素が、銅、亜鉛、1つ以上の第1の元素、任意選択的な第2の元素、及び任意選択的なIA族金属の総量の約1~約40重量%(例えば、約1~約10重量%、約25~約40重量%、約30~約40重量%、又は約35~約40重量%)の量で存在する、触媒を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第1の元素は、銅、亜鉛、1つ以上の第1の元素、任選選択的な第2の元素、及び任意選択的なIA族金属の総量の約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、又は約40重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上の第1の元素は、銅、亜鉛、1つ以上の第1の元素、任意選択的な第2の元素、及び任意選択的なIA族金属の総量の総量の1~10重量%、10~20重量%、又は20~30重量%、20~25重量%、22~24重量%、25~40重量%、30~40重量%、又は35~40重量%の量で存在する。
【0031】
いくつかの実施形態では、触媒は、還元された銅金属ナノ粒子及びアルミナ修飾酸化亜鉛のコバルト埋め込み相互接続マトリックスを含む。いくつかの実施形態では、コバルトは、酸化コバルトとして存在する。いくつかの実施形態では、銅は、酸化銅として存在する。いくつかの実施形態では、コバルト対銅対亜鉛(Co:Cu:Zn)のモル比は、コバルトで約0.1~3、銅で1~4、及び亜鉛で0.5~1.5である。いくつかの実施形態では、Co:Cu:Zn比は、コバルトで1~2、銅で1~3、及び亜鉛で0.5~1の範囲である。いくつかの実施形態では、Co:Cu:Zn比は、約1:2.5:1である。いくつかの実施形態では、亜鉛は、好ましくは、銅のモル含有量の0.3~1である。いくつかの実施形態では、コバルトは、好ましくは、銅のモル含有量の0.1~1である。
【0032】
いくつかの実施形態では、触媒は、還元された銅金属ナノ粒子及びアルミナ修飾酸化亜鉛の鉄埋め込み相互接続マトリックスを含む。いくつかの実施形態では、鉄は、酸化鉄として存在する。いくつかの実施形態では、銅は、酸化銅として存在する。いくつかの実施形態では、鉄対銅対亜鉛(Fe:Cu:Zn)のモル比は、鉄で約0.05~3、銅で1~4、及び亜鉛で0.5~4である。いくつかの実施形態では、Fe:Cu:Zn比は、鉄で0.4~2、銅で1~3、及び亜鉛で0.5~3の範囲である。いくつかの実施形態では、Fe:Cu:Zn比は、約1:2.3:2.3である。いくつかの実施形態では、亜鉛は、好ましくは、銅のモル含有量の0.3~1である。いくつかの実施形態では、鉄は、好ましくは、銅のモル含有量の0.5~5である。
【0033】
ある特定の実施形態では、本開示の触媒は、銅、例えば、還元銅ナノ粒子、及び鉄支持体上に担持された酸化亜鉛を含む。更なる実施形態では、鉄支持体は、酸化鉄として存在する。なお更なる実施形態では、銅は、酸化銅として存在する。また更なる実施形態では、触媒は、鉄で約0.05~約3、銅で約1~約3、及び亜鉛で約0.5~約3であるFe:Cu:Zn比で、鉄、銅、及び亜鉛を含む。ある特定の実施形態では、Fe:Cu:Zn比は、鉄で約0.4~約3、銅で約0.4~約3、及び亜鉛で約0.4~約3である。ある特定の好ましい実施形態では、Fe:Cu:Zn比は、約2.3:1:1である。ある特定の好ましい実施形態では、触媒は、銅のモル含有量の約0.3~約1倍であるモル含有量の亜鉛を含む。ある特定の好ましい実施形態では、触媒は、銅のモル含有量の約0.5~約5倍であるモル含有量の鉄を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、触媒は、VI、VII、VIII、IX、X、又はXI族金属から選択される1つ以上の元素を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、VI族金属から選択される1つ以上の第2の元素を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、VII族金属から選択される1つ以上の第2の元素を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、VIII族金属から選択される1つ以上の第2の元素を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、IX族金属から選択される1つ以上の第2の元素を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、X族金属から選択される1つ以上の第2の元素を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、XI族金属から選択される1つ以上の第2の元素を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の元素は、マンガン、銀、ニオブ、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、白金、又はニッケルを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の元素は、ニッケルを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の元素は、銀を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の元素は、パラジウムを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の元素は、ニオブを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の元素は、マンガンを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の元素は、ジルコニウムを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の元素は、モリブデンを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.15~約2のモル比で1つ以上の第2の元素を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.15~約1.5のモル比で1つ以上の第2の元素を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.15~約1のモル比で1つ以上の第2の元素を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.15~約0.75のモル比で1つ以上の第2の元素を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.15~約0.5のモル比で1つ以上の第2の元素を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.15~約0.25のモル比で1つ以上の第2の元素を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上の第1の元素に対して約0.5~約5のモル比で銅を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上の第1の元素に対して約1~約10のモル比で銅を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上の第1の元素に対して約2~約9のモル比で銅を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上の第1の元素に対して約2.3~約8.4のモル比で銅を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上の第1の元素に対して約2.3のモル比で銅を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上の第1の元素に対して約8.4のモル比で銅を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上の第1の元素に対して約1.5のモル比で銅を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上の第1の元素に対して約1.0のモル比で銅を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上の第1の元素に対して約0.75のモル比で銅を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上の第1の元素に対して約0.5のモル比で銅を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.3~約3のモル比で亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.3~約3のモル比で亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.4~約1のモル比で亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約1.5のモル比で亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約1.0のモル比で亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.75のモル比で亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.5のモル比で亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.4のモル比で亜鉛を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の元素は、ニオブを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の元素は、ニオブからなる。いくつかの実施形態では、ニオブは、銅に対して約0.05~約1のモル比で存在する。いくつかの実施形態では、ニオブは、銅に対して約0.2のモル比で存在する。いくつかの実施形態では、ニオブは、銅に対して約0.3のモル比で存在する。いくつかの実施形態では、ニオブは、銅に対して約0.1のモル比で存在する。
【0041】
いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上のIA族金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.01~約1.0のモル比で、1つ以上のIA又はIIA族金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.05~約0.50のモル比で、1つ以上のIA又はIIA族金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.20~約0.50のモル比で、1つ以上のIA又はIIA族金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.30~約0.50のモル比で、1つ以上のIA又はIIA族金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.40~約0.50のモル比で、1つ以上のIA又はIIA族金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.15のモル比で1つ以上のIA又はIIA族金属を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、触媒は、1つ以上のIA族金属を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のIA又はIIA族金属は、カリウム、ナトリウム、又はセシウムを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のIA族又はIIA金属は、カリウム、ナトリウム、又はセシウムからなる。いくつかの実施形態では、1つ以上のIA又はIIA族金属は、カリウムを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のIA又はIIA族金属は、ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のIA又はIIA族金属は、セシウムを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のIA又はIIA族金属は、カリウムからなる。いくつかの実施形態では、1つ以上のIA又はIIA族金属は、ナトリウムからなる。いくつかの実施形態では、1つ以上のIA又はIIA族金属は、セシウムからなる。
【0043】
いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.05、約0.09、約0.1、約0.15、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、又は約0.5のモル比でカリウムを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.09のモル比でカリウムを含む。
【0044】
ある特定の実施形態では、触媒は、銅に対して約0.1~約10のモル比で鉄を含む。更なる実施形態では、触媒は、銅に対して約0.1~約1のモル比で鉄を含む。なお更なる実施形態では、触媒は、銅に対して約0.1~約0.2のモル比で鉄を含む。ある特定の実施形態では、触媒は、銅に対して約0.5~約1のモル比で鉄を含む。ある特定の実施形態では、触媒は、銅に対して約0.1、約0.2、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、及び約10から選択されるモル比で鉄を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.1~約10のモル比でアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.1~約1のモル比でアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.1~約0.2のモル比でアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.5~約1のモル比でアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.1のモル比でアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、銅に対して約0.2のモル比でアルミニウムを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、触媒は、酸化亜鉛を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、触媒は、酸化銅を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、触媒は、酸化コバルトを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、触媒は、酸化鉄を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、触媒は、酸化ニッケルを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、触媒は、アルミナを含む。
【0052】
ある特定の実施形態では、1つ以上のIA又はIIA族金属は、ナトリウム若しくはセシウムを含むか、又はそれらからなる。本開示の触媒では、ナトリウム又はセシウムをカリウムに代用することは、触媒活性に実質的に影響を及ぼさず、ナトリウム及びセシウムの両方は、カリウムが提供する同じ安定性を提供することが見出されている。これは、カリウム、ナトリウム、又はセシウムの選択が活性に大きく影響を及ぼす、既知の合成ガス触媒との対比である。
【0053】
いくつかの実施形態では、触媒は、酸化アルミニウム(Al2O3)を含むか、又はそれからなり、アルミニウムは、銅に対して約0.02~約3のモル比で存在する。いくつかの実施形態では、アルミニウムは、銅に対して約0.1~約0.8のモル比で存在する。いくつかの実施形態では、アルミニウムは、銅に対して約0.7のモル比で存在する。いくつかの実施形態では、アルミナは、銅及び亜鉛の表面積を増加させるための支持体として添加されるか、又は触媒の成分として、例えば、第1の元素、銅、及び亜鉛前駆体との硝酸アルミニウム共沈殿からインサイチュで生成され得る。
【0054】
ある特定の実施形態では、触媒は、酸化鉄(例えば、Fe3O4、Fe2O3、並びに/又はFeO)及び銅を含む。更なる実施形態では、鉄は、銅に対して約0.2~約20のモル比で存在する。なお更なる実施形態では、鉄は、銅に対して、約0.2~約10、約0.2~約5、約0.2~約2、約0.2~約1、約0.2~約0.5、約1~約20、約1~約10、又は約1~約2のモル比で存在する。また更なる実施形態では、鉄は、銅に対して、約1、約2、約5、約10、約15、及び約20から選択されるモル比で存在する。
【0055】
いくつかの実施形態では、触媒は、銅及び亜鉛の表面積を増加させる支持体として、酸化鉄を含む。他の実施形態では、酸化鉄は、触媒の成分として、例えば、硝酸鉄を銅及び亜鉛前駆体と共沈殿させることによって、インサイチュで生成される。
【0056】
いくつかの実施形態では、触媒は、銅、酸化亜鉛、コバルト、及びアルミナを含む。そのようないくつかの実施形態では、成分のモル比は、上で説明されるとおりである。いくつかの実施形態では、触媒は、コバルトと、コバルトに対して約8.4のモル比で銅と、コバルトに対して約3.3のモル比で亜鉛と、コバルトに対して約1.8のモル比でアルミニウムを有するアルミナと、を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、コバルトに対して約8.4のモル比で銅と、コバルトに対して約3.3のモル比で亜鉛と、コバルトに対して約0.9のモル比でアルミナと、を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、触媒は、銅、酸化亜鉛、ニッケル、及びアルミナを含む。そのようないくつかの実施形態では、成分のモル比は、上で説明されるとおりである。いくつかの実施形態では、触媒は、ニッケルと、ニッケルに対して約2.5のモル比で銅と、コバルトに対して約1のモル比で亜鉛と、ニッケルに対して約0.7のモル比でアルミニウムを有するアルミナと、を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、ニッケルに対して約2.5のモル比で銅と、ニッケルに対して約1のモル比で酸化亜鉛と、ニッケルに対して約0.35のモル比でアルミナと、を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、触媒は、銅、酸化亜鉛、鉄、及びアルミナを含む。そのようないくつかの実施形態では、成分のモル比は、上で説明されるとおりである。いくつかの実施形態では、触媒は、鉄と、鉄に対して約2.3のモル比で銅と、鉄に対して約2.3のモル比で亜鉛と、鉄に対して約0.8のモル比でアルミニウムを有するアルミナと、を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、鉄に対して約2.3のモル比で銅と、鉄に対して約2.3のモル比で酸化亜鉛と、鉄に対して約0.4のモル比でアルミナと、を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、触媒は、銅、酸化亜鉛、コバルト、アルミナ、及びIA族金属を含む。いくつかの実施形態では、成分のモル比は、上で説明されるとおりである。いくつかの実施形態では、触媒は、コバルトと、コバルトに対して約8.4のモル比で銅と、コバルトに対して約3.3のモル比で亜鉛と、コバルトに対して約1.8のモル比でアルミニウムを有するアルミナと、コバルトに対して約0.14のモル比でIA又はIIA族金属と、を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、コバルトに対して約8.4のモル比で銅と、コバルトに対して約3.3のモル比で酸化亜鉛と、コバルトに対して約0.9のモル比でアルミナと、コバルトに対して約0.14のモル比でIA又はIIA族金属と、を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、触媒は、銅、酸化亜鉛、ニッケル、アルミナ、及びIA族金属を含む。いくつかの実施形態では、成分のモル比は、上で説明されるとおりである。いくつかの実施形態では、触媒は、ニッケルと、ニッケルに対して約2.5のモル比で銅と、ニッケルに対して約1のモル比で亜鉛と、ニッケルに対して約0.7のモル比でアルミニウムを有するアルミナと、ニッケルに対して約0.1のモル比でIA族と、を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、ニッケルに対して約2.5のモル比で銅と、ニッケルに対して約1のモル比で酸化亜鉛と、ニッケルに対して約0.35のモル比でアルミナと、ニッケルに対して約0.1のモル比でIA又はIIA族金属と、を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、触媒は、銅、酸化亜鉛、鉄、アルミナ、及びIA族金属を含む。いくつかの実施形態では、成分のモル比は、上で説明されるとおりである。いくつかの実施形態では、触媒は、鉄と、鉄に対して約2.3のモル比で銅と、鉄に対して約2.3のモル比で亜鉛と、鉄に対して約0.4のモル比でアルミニウムを有するアルミナと、鉄に対して約0.4のモル比でIA又はIIA族金属と、を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、鉄に対して約2.5のモル比で銅と、鉄に対して約1のモル比で酸化亜鉛と、鉄に対して約0.35のモル比でアルミナと、鉄に対して約0.1のモル比でIA又はIIA族金属と、を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Al、O、及びアルカリ金属を含む。ある特定の実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Fe、及びOを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Ni、Al、O、及びアルカリ金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Fe、Al、O、及びアルカリ金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Co、Fe、Al、O、及びアルカリ金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Co、Al、O、及びアルカリ金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Co、Nb、Al、及びO、並びにアルカリ金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Co、Ni、Al、及びO、並びにアルカリ金属を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Co、Mo、Al、及びO、並びにアルカリ金属を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Al、及びOを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Fe、Al、及びOを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Ni、Al、及びOを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Co、Al、及びOを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Co、Fe、Al、及びOを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Co、Nb、Al、及びOを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Co、Ni、Al、及びOを含む。いくつかの実施形態では、触媒は、Cu、Zn、Co、Mo、Al、及びOを含む。
【0064】
ある特定の実施形態では、触媒材料の元素組成は、Cu(ZnO)CoA/Al2O3、Cu(ZnO)CoFeA/Al2O3、Cu(ZnO)CoNbA/Al2O3、Cu(ZnO)CoNiA/Al2O3、Cu(ZnO)CoMoA/Al2O3、又はCu(ZnO)A/Fe3O4であり、式中、Aは、アルカリ金属であり、更に、元素成分の相対量は、上記のとおりである。
【0065】
ある特定の実施形態では、触媒材料の元素組成は、Cu(ZnO)Co/Al2O3、Cu(ZnO)CoFe/Al2O3、Cu(ZnO)CoNb/Al2O3、Cu(ZnO)CoNi/Al2O3、Cu(ZnO)CoMo/Al2O3、Cu(ZnO)Nb/Fe3O4であり、元素成分の相対量は、上記のとおりである。
【0066】
いくつかの実施形態では、触媒は、以下の例示的な触媒:Al2O3上のCuO(ZnO)、Cu(ZnO)Co、Cu(ZnO)CoK、Cu(ZnO)CoFe、Cu(ZnO)Fe、Cu(ZnO)CoFeK、Cu(ZnO)FeK、Cu(ZnO)CoNi、Cu(ZnO)CoNiK、Cu(ZnO)CoNb、Cu(ZnO)CoNbK、Cu(ZnO)CoMo、Cu(ZnO)CoMoKから選択され、元素成分の相対量は、上記のとおりである。ある特定のそのような実施形態では、触媒は、およそCuO(2)(ZnO)(1)、Cu(2.5)(ZnO)(1)Co(1)、Cu(2.5)(ZnO)(1)Co(1)K(0.1)、Cu(1)(ZnO)(1)Co(1)Fe(1)、Cu(1)(ZnO)(1)Fe(1)、Cu(1)(ZnO)(1)Co(1)Fe(1)K(0.15)、Cu(1)(ZnO)(1)Fe(1)K(0.15)、Cu(2)(ZnO)(1)Co(1)Ni(1)、Cu(2)(ZnO)(1)Co(1)Ni(1)K(0.15)、Cu(2)(ZnO)(1)Co(1)Nb(1)、Cu(2)(ZnO)(1)Co(1)Nb(1)K(0.15)、Cu(2)(ZnO)(1)Co(1)Mo(1)、Cu(2)(ZnO)(1)Co(1)Mo(1)K(0.15)である。
【0067】
更なる態様では、本明細書には、パラフィンの生成のための触媒であって、
1つ以上の金属と、
任意選択的に、銅及び亜鉛から選択される1つ以上の第2の元素と、
任意選択的に、1つ以上のVI、VII、VIII、IX、X、又はXI族金属添加剤と、
任意選択的に、IA又はIIA族金属プロモーターと、を含む、触媒が提供される。
【0068】
ある特定の実施形態では、1つ以上の金属は、コバルト、鉄、ニッケル、インジウム、イットリウム、ランタニド、及びこれらの組み合わせから選択される、から選出される。更なる実施形態では、1つ以上の金属は、コバルトである。なお更なる実施形態では、1つ以上の金属は、鉄である。また更なる実施形態では、1つ以上の金属は、鉄及びコバルトの組み合わせである。
【0069】
ある特定の実施形態では、1つ以上の金属は、酸化物、窒化物、又は炭化物の形態で存在する。更なる実施形態では、1つ以上の第2の元素は、銅である。なお更なる実施形態では、1つ以上の第2の元素は、亜鉛である。また更なる実施形態では、1つ以上の第2の元素は、銅及び亜鉛である。ある特定の実施形態では、1つ以上の第2の元素は、酸化物、窒化物、又は炭化物の形態で存在する。
【0070】
ある特定の実施形態では、1つ以上のVI、VII、VIII、IX、X、又はXI族金属添加剤は、存在する場合、マンガン、銀、ニオブ、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、白金、又はニッケルから選択される。更なる実施形態では、IA又はIIA族金属プロモーターは、存在する場合、IA族元素である。なお更なる実施形態では、IA又はIIA族金属プロモーターは、存在する場合、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムである。また更なる実施形態では、1つ以上の第2の元素は、1つ以上の金属、第2の元素、任意選択的な1つ以上のVI、VII、VIII、IX、X、又はXI族金属添加剤、及び任意選択的なIA又はIIA族金属プロモーターの総量の約0.5~約40重量%の量で存在する。
【0071】
ある特定の態様では、本開示のシステム及び方法は、それぞれ、生成された炭化水素の一部を異性化又は水素化するための水素化触媒及び異性化触媒の使用を伴う。ある特定の実施形態では、本開示の水素化触媒及び異性化触媒は、独立して、以下に説明される触媒から選択され得る。
【0072】
ある特定の実施形態では、本開示の異性化触媒及び/又は水素化触媒は、ゼオライトなどのアルミノシリケート触媒である。更なる実施形態では、異性化触媒及び/又は水素化触媒は、AlCl3である。なお更なる実施形態では、異性化触媒及び/又は水素化触媒は、Pt、Pdなどの遷移金属でドープされる。また更なる実施形態では、異性化触媒及び/又は水素化触媒は、β-ゼオライト上のPtである。ある特定の実施形態では、本開示の異性化触媒及び/又は水素化触媒は、異性化触媒金属及びゼオライト支持体を含む。更なる実施形態では、異性化触媒金属は、Pd、Pt、Ni-Co、Ni-W、及びNi-Moから選択される。なお更なる実施形態では、ゼオライト支持体は、SiAlOx、SO4-ZrO2、Y型ゼオライト、β-ゼオライト、ZSM5、ZSM22、SAPO11、SAPO31、SAPO41、及びTiO2から選択される。また更なる実施形態では、異性化触媒及び水素化触媒は、独立して、Pt/SiAlOx、Pt/SO4-ZrO2、Pt/ZSM5、Pt/ZSM22、Pt/SAPO、Ni-W/SiAlOx、Ni-W/SO4-ZrO2、Ni-W/ZSM5、Ni-W/ZSM22、及びNi-W/SAPOから選択される。
【0073】
ある特定の実施形態では、異性化金属は、異性化触媒及び/又は水素化触媒の約0.5重量%~約40重量%を構成する。更なる実施形態では、異性化金属は、異性化触媒及び/又は水素化触媒の約0.5重量%を構成する。なお更なる実施形態では、異性化金属は、異性化触媒及び/又は水素化触媒の約1重量%を構成する。また更なる実施形態では、異性化金属は、異性化触媒及び/又は水素化触媒の約10重量%を構成する。ある特定の実施形態では、異性化金属は、異性化触媒及び/又は水素化触媒の約20重量%を構成する。更なる実施形態では、異性化金属は、異性化触媒及び/又は水素化触媒の約30重量%を構成する。なお更なる実施形態では、異性化金属は、異性化触媒及び/又は水素化触媒の約40重量%を構成する。
【0074】
ある特定の実施形態では、異性化触媒がPt/Al2O3であるとき、異性化温度は、約250℃であり、異性化圧力は、約750psiである。ある特定の実施形態では、異性化触媒がゼオライト系触媒であるとき、異性化温度は、約300℃であり、異性化圧力は、約750psiである。
【0075】
触媒組成物
ある特定の態様では、本開示は、本明細書に開示される触媒のうちの1つ以上と、追加の支持体とを含む、触媒組成物を提供する。追加の支持体は、触媒支持体としての役割を果たし得る、任意の好適な材料であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、追加の支持体は、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、セリウム、マグネシウム、イットリウム、ランタン、亜鉛、及びスズから選択される元素の酸化物、窒化物、フッ化物、ケイ酸塩、又は炭化物から選択される1つ以上の材料を含む。更なる実施形態では、追加の支持体は、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、セリウム、マグネシウム、イットリウム、ランタン、亜鉛、鉄、及びスズから選択される元素の酸化物、窒化物、フッ化物、ケイ酸塩、又は炭化物から選択される1つ以上の材料を含む。いくつかの好ましい実施形態では、追加の支持体は、γ-アルミナを含む。ある特定の実施形態では、追加の支持体は、炭素、シリカ、ゼオライト、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び炭化シリカから選択される。ある特定の実施形態では、追加の支持体は、炭素、シリカ、ゼオライト、アルミナ、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び炭化シリカから選択される。いくつかの実施形態では、追加の支持体は、触媒の一部としてインサイチュで形成される酸化アルミニウムである。いくつかの実施形態では、追加の支持体は、以下に限定されないが、Al2O3、ZrO2、SnO2、SiO2、ZnO、及びTiO2から選択される。いくつかの実施形態では、追加の支持体は、Al2O3、ZrO2、SnO2、SiO2、ZnO、及びTiO2から選択される。いくつかの実施形態では、追加の支持体は、Al2O3、ZrO2、SnO2、SiO2、ZnO、Fe2O3、Fe3O4、FeO、及びTiO2から選択される。
【0077】
いくつかの実施形態では、追加の支持体は、1つ以上の炭素系材料を含む。いくつかの実施形態では、炭素系材料は、活性炭、カーボンナノチューブ、グラフェン、及び酸化グラフェンから選択される。
【0078】
いくつかの実施形態では、追加の支持体は、メソ多孔性材料である。いくつかの実施形態では、追加の支持体は、約0.01~約3.0cc/gのメソ細孔容積を有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、追加の支持体は、約10m2/g~約1000m2/gの表面積を有する。いくつかの好ましい実施形態では、追加の支持体と、本明細書に開示された触媒とを含む触媒組成物は、約10m2/g~約1000m2/gの表面積を有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、触媒組成物は、約10nm~約5μmの平均サイズを有する粒子の形態である。いくつかの実施形態では、触媒組成物は、約20nm~約5μmの平均サイズを有する粒子の形態である。いくつかの実施形態では、触媒組成物は、約50nm~約1μmの平均サイズを有する粒子の形態である。いくつかの実施形態では、触媒組成物は、約100nm~約500nmの平均サイズを有する粒子の形態である。いくつかの実施形態では、触媒組成物は、約50nm~約300nmの平均サイズを有する粒子の形態である。
【0081】
いくつかの実施形態では、触媒組成物は、約5重量%~約80重量%の触媒を含む。いくつかの実施形態では、触媒組成物は、約5重量%~約70重量%の触媒を含む。いくつかの実施形態では、触媒組成物は、約20重量%~約70重量%の触媒を含む。いくつかの実施形態では、触媒組成物は、約30重量%~約70重量%の触媒を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、支持体は、高表面積足場である。いくつかの実施形態では、支持体は、メソ多孔性シリカを含む。いくつかの実施形態では、支持体は、炭素同素体を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、触媒は、ナノ粒子触媒である。いくつかの実施形態では、足場の表面上の触媒の粒子サイズは、約1nm~5nmである。いくつかの実施形態では、足場の表面上の触媒の粒子サイズは、約5nm~100nmである。いくつかの実施形態では、足場の表面上の触媒の粒子サイズは、100~500nmである。いくつかの実施形態では、凝集を受けない粒子は、粒子サイズが100~500nmである。
【0084】
調製の方法
本開示の触媒及び触媒組成物は、任意の好適な方法によって調製され得る。ある特定の態様では、本開示は、共沈殿、湿式含浸、又はボールミル加工によって触媒を調製することを含む、本明細書に開示される触媒又は触媒組成物を調製するための方法を提供する。
【0085】
いくつかの実施形態では、本方法は、
(a)コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、塩基、及び水の源を含む、第1の溶液を提供するステップと、
(b)第1の溶液を第1の温度で第1の期間にわたって加熱し、それにより、第1の反応混合物を生成するステップと、
(c)第1の反応混合物を第2の温度で第2の期間にわたって加熱して、水を除去し、それにより、固体前駆体を生成するステップと、
(d)固体前駆体を第3の温度に第3の期間にわたって加熱し、それにより、触媒を単離するステップと、を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、本方法は、
(a)コバルト、銅、亜鉛、鉄、及び水の源を含む第2の溶液を提供するステップと、
(b)塩基を含む第3の溶液を提供するステップと、
(c)第3の溶液を第3の温度で第3の期間にわたって加熱するステップと、
(d)アルミナを第3の溶液に添加し、それにより、第2の反応混合物を生成するステップと、
(e)第2の溶液を第4の温度で第4の期間にわたって第2の反応混合物に添加し、それにより、第3の反応混合物を生成するステップと、
(f)第3の反応混合物を第5の温度で第5の期間にわたって加熱し、それにより、固体前駆体を生成するステップと、
(g)固体前駆体を単離するステップと、
(h)固体前駆体を、IA族金属を含む溶液と接触させ、それにより、触媒前駆体を生成するステップと、
(i)触媒前駆体を第6の温度に第6の期間にわたって加熱し、それにより、触媒を単離するステップと、を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、本方法は、以下のステップ:コバルト源、銅源、亜鉛源、及びアルミニウム源を含む、第1の溶液を提供するステップ。第1の溶液を、炭酸塩などの塩基性沈殿物と組み合わせて、金属塩含有溶液のpHを増加させ、それにより、固体粒子を沈殿させるステップ。固体粒子を乾燥及びか焼して、固体触媒を形成するステップを含む。
【0088】
ある特定の実施形態では、塩基は、炭酸塩、及びカリウム、ナトリウム、アンモニウム、リチウム、及びセシウムから選択されるカチオンを含む。他の実施形態では、塩基は、重炭酸塩、及びカリウム、ナトリウム、アンモニウム、リチウム、及びセシウムから選択されるカチオンを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、本方法は、以下の、コバルト源を含む第1の溶液を提供するステップと、第1の溶液を、初期湿潤すなわち湿式含浸を介して、予め作製された銅-亜鉛アルミナ材料に導入し、続いて乾燥及びか焼して固体触媒を形成するステップと、を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、本方法は、以下の、ミルジャー内でコバルト源及び支持体を混合して、第1の混合物を提供するステップと、第1の混合物を2時間~2週間ボールミル加工し、それにより、第1の沈殿物を提供するステップと、第1の沈殿物を濾過し、第1の温度に加熱して、ボールミル加工されたコバルト源を提供するステップと、
ボールミル加工されたコバルト源を、銅並びに亜鉛の源及びアルミナ源と混合して、第2の混合物を提供するステップと、第2の混合物から固体材料を単離するステップと、を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、本方法は、固体材料を1つ以上のIA族金属の源と組み合わせることを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、固体材料を加圧してペレットにすることを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、流動反応器の中への導入の前に、固体材料を加圧してペレットにすることを更に含む。
【0092】
水素化の方法
ある特定の態様では、本開示は、炭素質供給原料、すなわちCO2を液体生成物混合物に還元する方法であって、本明細書に開示される触媒組成物の触媒を、CO2と還元剤ガスとを含む供給混合物と、還元温度及び還元圧力で接触させ、それにより、液体生成物混合物を提供することを含む、方法を提供する。
【0093】
いくつかの実施形態では、還元剤ガスは、H2である。いくつかの実施形態では、還元剤ガスは、CH4、エタン、プロパン、又はブタンなどの炭化水素である。好ましい実施形態では、炭化水素は、CH4である。ある特定のそのような実施形態において、CH4は、エタン、プロパン、又はブタンなどの他の炭化水素も含む、ガス混合物の成分である。例えば、CH4を供給するために使用されるガス混合物は、フレアガス、廃棄ガス、天然ガス、又は同等物であり得る(又はそれに由来し得る)。
【0094】
いくつかの実施形態では、供給混合物は、COを更に含む。いくつかの実施形態では、供給混合物は、25%未満のCO、20%未満のCO、15%未満のCO、10%未満のCO、5%未満のCO、又は1%未満のCOを含む。いくつかの実施形態では、供給混合物は、COを実質的に含まない。
【0095】
いくつかの実施形態では、還元温度は、約100~約600℃である。いくつかの実施形態では、還元温度は、約275~約350℃である。いくつかの実施形態では、還元温度は、約275℃である。いくつかの実施形態では、還元温度は、約300℃である。
【0096】
いくつかの実施形態では、還元圧力は、約50~約3000psiである。いくつかの実施形態では、還元圧力は、約900~約1100psiである。いくつかの実施形態では、還元圧力は、約1000psiである。
【0097】
いくつかの実施形態では、供給混合物中のCO2の分圧は、約20~約1500psiである。いくつかの実施形態では、供給混合物中のCO2の分圧は、約200~約800psi、約200~約600psi、約200~約400psi、又は約300~約400psiである。例えば、供給混合物中のCO2の分圧は、約200psi、約250psi、約300psi、約350psi、約400psi、約450psi、約500psi、約550psi、約600psi、約650psi、約700psi、約750psi、約800psi、約850psi、約900psi、約950psi、又は約1000psiである。いくつかの実施形態では、供給混合物中のCO2の分圧は、約330psiである。
【0098】
いくつかの実施形態では、供給混合物中の還元剤ガス:CO2の比は、約10:1~約1:10である。いくつかの実施形態では、供給混合物中の還元剤ガス:CO2の比は、約5:1~約0.5:1である。いくつかの実施形態では、供給混合物中の還元剤ガス:CO2の比は、約4:1~約1:1である。いくつかの実施形態では、供給混合物中の還元剤ガス:CO2の比は、約3:1である。
【0099】
いくつかの実施形態では、液体生成物混合物は、メタノールを含む。いくつかの実施形態では、液体生成物混合物は、メタノール、エタノール、及びn-プロパノールを含む。いくつかの実施形態では、液体生成物混合物は、メタノール、エタノール、酢酸、及びn-プロパノールを含む。いくつかの実施形態では、エタノール及び高級アルコールの量は、総量の少なくとも10重量%である。いくつかの実施形態では、エタノール及び高級アルコールの量は、液体生成物混合物の総量の少なくとも7重量%である。いくつかの実施形態では、エタノール及び高級アルコールの量は、液体生成物混合物の総量の少なくとも5重量%である。いくつかの実施形態では、エタノール及び高級アルコールの量は、液体生成物混合物の総量の少なくとも2重量%である。いくつかの実施形態では、液体生成物混合物中のエタノール及び高級アルコール対メタノール及びn-プロパノールの総量のモル比は、約1:5~約1:10である。いくつかの実施形態では、液体生成物混合物中のギ酸の量は、10ppm未満である。いくつかの実施形態では、液体生成物混合物中のイソプロパノールの量は、10ppm未満である。
【0100】
いくつかの実施形態では、液体生成物混合物は、炭化水素を含む。いくつかの実施形態では、液体生成物混合物は、パラフィンを含む。本明細書で使用される場合、「パラフィン」という用語は、好ましくは直鎖であるが、分岐炭化水素を含み得る炭化水素を指す。例示的なパラフィンは、6~20、好ましくは9~16の炭素数を有する。
【0101】
本明細書に説明される方法について、「液体生成物混合物」という用語は、大気圧及び大気温度で液体である生成物を指す。
【0102】
いくつかの実施形態では、液体生成物混合物は、パラフィン、オレフィン、及び他の炭化水素を含む。いくつかの実施形態では、パラフィンの量は、液体生成物混合物の総量の少なくとも50重量%である。いくつかの実施形態では、パラフィンの量は、液体生成物混合物の総量の少なくとも10重量%である。いくつかの実施形態では、パラフィンの量は、液体生成物混合物の総量の少なくとも5重量%である。いくつかの実施形態では、パラフィンの量は、液体生成物混合物の総量の少なくとも2重量%である。いくつかの実施形態では、液体生成物混合物中のパラフィン対炭素含有生成物の総量のモル比は、約1:2~約1:10である。いくつかの実施形態では、液体生成物混合物中のギ酸の量は、1,000ppm未満である。いくつかの実施形態では、液体生成物混合物中のイソプロパノールの量は、1,000ppm未満である。
【0103】
本発明の目的は、低GHSV(ガス毎時空間速度)を使用して、高いガス生成物のリサイクル性を提供し、ホルムアルデヒド又はメタンなどのある特定の副生成物を回避することである。いくつかの実施形態では、本方法は、ホルムアルデヒド又はメタンなどのC1アルカン又はアルデヒドを生成しない。いくつかの実施形態では、本方法は、約0.5重量%未満のホルムアルデヒド又はメタンを生成する。いくつかの実施形態では、本方法は、約0.05重量%未満のホルムアルデヒド又はメタンを生成する。いくつかの実施形態では、本方法は、約50ppm未満のホルムアルデヒド又はメタンを生成する。いくつかの実施形態では、本方法は、5ppm未満のホルムアルデヒド又はメタンを生成する。
【0104】
いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、10である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、100である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、500である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、1,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、2,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、5,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、10,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、20,000以上である。
【0105】
いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約10~約20,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約10~約10,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約10~約5,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約10~約2,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約10~約1,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約10~約500である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約10~約100である。
【0106】
いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約10未満である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約100未満である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約500未満である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約1,000未満である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約2,000未満である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約5,000未満である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約10,000未満である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、約20,000未満である。
【0107】
いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、100である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、500である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、1,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、2,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、5,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、10,000である。いくつかの実施形態では、反応器に導入される反応性ガス及びリサイクルガスのGHSVは、20,000である。
【0108】
いくつかの実施形態では、本方法は、触媒を供給混合物と少なくとも8,000時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、触媒を供給混合物と少なくとも96時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、触媒を供給混合物と少なくとも24時間接触させることを含む。
【0109】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、液体生成物混合物及び第1の還元ガスを、異性化温度及び異性化圧力で異性化触媒と接触させて、直鎖パラフィン、分岐パラフィン、及び/又はナフテンを含む異性化生成物混合物を得ることを更に含む。
【0110】
更なる実施形態では、異性化生成物混合物は、
追加のC1-8炭化水素と、
直鎖パラフィン、分岐パラフィン、及びナフテンを含む追加のC9-15炭化水素と、
追加のC16+炭化水素と、を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、本開示のある特定の実施形態を説明及び特許請求するために使用される数字は、いくつかの事例では「約」という用語によって修飾される。いくつかの実施形態では、数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、かつ通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。本発明のいくつかの実施形態の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体的実施例に記載される数値は、実行可能である限り正確に報告される。本発明のいくつかの実施形態で提示される数値は、それらの個別の試験測定で見出される標準偏差から必然的に生じる、ある特定の誤差を含み得る。
【0112】
ある特定の実施形態では、「約」という用語は、所与の値又は範囲の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。
【実施例】
【0113】
本発明は、ここで一般的に説明されているが、本発明のある特定の態様及び実施形態の例証の目的のためにのみ含まれ、本発明を限定することを意図していない、以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
【0114】
実施例1:例示的なコバルト銅亜鉛アルミナ触媒の元素組成。
【表1】
【0115】
実施例2:共沈及び湿式含浸の組み合わせによる例示的なコバルト銅亜鉛アルミナ触媒の合成。
硝酸亜鉛(1モル当量)、硝酸銅(3モル当量)、硝酸アルミニウム(1.4モル当量)を含む第1の溶液と、炭酸ナトリウム(9.7モル当量)を含む第2の溶液とを反応器内で組み合わせる。得られた混合物を、70~90℃で2時間素早く撹拌し、加熱し、次いで濾過する。得られた固体材料を、110℃で12時間、空気下で乾燥し、得られた固体材料を破砕し、2℃/分の加熱速度で350℃に空気中で加熱し、350℃で6時間か焼する。か焼後、得られたパワーを、次いで、乳鉢及び乳棒で更に粉砕する。粉末をペレット化し、水に溶解したCo(NO3)2・6H2Oからなる液体(水溶液中8重量%のCo)を、初期湿潤含浸によって、ペレット化された触媒に添加し、加熱して、コバルト銅亜鉛アルミナ触媒(CCZA)をもたらす。
【0116】
実施例3:共沈及び湿式含浸による例示的な鉄触媒の合成
硝酸第二鉄(1モル当量)の第1の溶液、及び炭酸ナトリウム(1.2モル当量)を含む塩基性溶液を、約60℃で反応器内で組み合わせる。得られた混合物を、70℃~90℃で2時間、素早く撹拌し、加熱し、次いで、濾過及び乾燥する。得られた固体材料を、110℃で12時間、空気下で乾燥し、得られた固体材料を破砕し、2℃/分の加熱速度で350℃に空気中で加熱し、350℃で6時間か焼する。か焼後、得られた粉末を、乳鉢及び乳棒で更に粉砕する。
【0117】
実施例4:アルミナを有する、及び有しない例示的な鉄銅亜鉛触媒の元素組成。
【表2】
【表3】
【0118】
実施例5:例示的なコバルト銅亜鉛触媒の存在下でのCO2還元。
CCZAの存在下でのCO2還元を、以下の条件下で、14日間にわたって実施した:
3:1のH2:CO2比;
GHSVは、約2000時間-1であった;
パス当たりCO2変換率約30%;
温度270℃;
圧力1000psi。
【0119】
反応から得られた液体生成物画分の組成を表1に示す。
【表4】
【0120】
実施例6:鉄銅亜鉛触媒を使用する、炭化水素へのCO2の触媒還元
FCZKの存在下でのCO2還元を、以下の条件下で、14日間にわたって実施した:
3:1のH2:CO2比;
GHSVは、5000時間-1であった;
パス当たりCO2変換率約20%;
温度270℃;
圧力1000psi。
【0121】
反応から得られた液体生成物画分の組成を表2に示す。
【表5】
【0122】
実施例7:パラフィンの水素異性化の一般手順
パラフィンを、水素異性化触媒(β-ゼオライト上のPt、0.5重量%Pt)を装填した異性化反応器に供給する。反応は、水素/炭化水素のモル比を500に設定した状態で、750psi及び250℃、並びに1.0時間-1の液体重量毎時空間速度で実施する。パラフィンは、C8-C15の炭素鎖数の選択範囲を有する飽和n-パラフィンとイソ-パラフィンとの混合物に変換される。
【0123】
参照による組み込み
本明細書で言及される全ての刊行物及び特許は、各個別の刊行物又は特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されたかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、本明細書におけるあらゆる定義を含む本出願が優先する。
【0124】
均等物
主題の発明の特定の実施形態が考察されているが、上記明細書は、例解的であり、制限的ではない。本発明の多くの変形例は、本明細書及び以下の特許請求の範囲を見直すと当業者には明白になるであろう。本発明の全範囲は、それらの均等物の全範囲とともに特許請求の範囲、及びそのような変形例とともに本明細書を参照することによって決定されるべきである。
【国際調査報告】