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2025-504418高齢者のための個人用リハビリテーション装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】高齢者のための個人用リハビリテーション装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 21/008 20060101AFI20250204BHJP
   A63B 23/02 20060101ALI20250204BHJP
   A63B 23/04 20060101ALI20250204BHJP
   A63B 23/12 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
A63B21/008
A63B23/02 Z
A63B23/04 Z
A63B23/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541889
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 US2022031557
(87)【国際公開番号】W WO2023140881
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】63/300,267
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524261299
【氏名又は名称】シル,ソン-チェ
【氏名又は名称原語表記】SHYR, Song-Tse
【住所又は居所原語表記】2355 Westwood Boulevard, Unit 275, Los Angeles, CA 90064-2109 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シル,ソン-チェ
(57)【要約】
エクササイズ装置は、一般的に、床や壁に固く取り付けられた設計で、ユーザがバランスをとって歩いたりしっかり立ったりできることを前提とする。高齢者/体の弱い人のために作られた装置は、主に可動域を作り出すことで筋肉をほぐすのに役立つ。エクササイズが寿命を延ばすためのライフラインになると、高齢者が設置するには嵩高すぎたり、複雑すぎたりすることがしばしばある。図1Aに示すような、小型で、軽量で、低コストで、携帯性に優れた新しい発明が必要とされている。リスクのない環境で操作でき、自己完結型であるべきである。骨格筋力を徐々に再構築するためには、調整可能な抵抗機能を含むべきである。これは、歩行運動をシミュレートする全身のワークアウト(各手足並びにコア領域を分離)を提供する単純な装置であるべきであり、健康維持のための全体的エクササイズには最適でありうる。高齢者の歩く能力を回復することは、車椅子への依存を解消するのに役立つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩く能力を、仰臥位において直接回復/回復させることを目的とした新しい装置である。歩くことは、延命の恩恵、自立した生活および生活の質の改善、身体的な衰えの危機に瀕している高齢者の個別の目的と前向きな姿勢の促進への鍵である。この発明は、集中的な理学療法施設/専門家、直接訪問/監督を補充(それらの使用に対する需要を軽減)する。
【請求項2】
この発明は、仰向けに寝た状態で使用すれば、その場でのリスクのないエクササイズを促すものである。歩くことは、転倒のリスクを伴う。このリスクは、歩行運動ならびに自己バランスに必要な骨格筋強度を作り上げることによって軽減される。利用可能な一般の人々向けのエクササイズソリューションは、ユーザが少なくとも自分で立ってバランスをとることができることを前提としているため、怪我をし易い高齢者には適さない。この発明の推奨される使用方法は、そもそもベッドから離れる必要がないため、椅子に座るどんなシステムよりも安全である。この安全性/保安性が、家族や支援者仲間の安心感を即座に向上させ、全ての利害関係者に恩恵をもたらす。
【請求項3】
本発明は、多くのエクササイズ装置のように単に筋肉の動きを誘発するだけでなく、運動に増分を調整可能な抵抗を与える(ピストン-バルブを閉鎖する)が、そうでなければ、健康に関連する傷害や事故から回復する間、筋肉は動きの欠如から萎縮する可能性がある。自宅/アパート/居室のプライベート空間中で、寝室やソファでテレビを見たり音楽を聴いたりしながら、さらには屋外の芝生の家具の上でも使用できる。患者自身は、自身の回復のペースを決定し、そうでなければ怠惰に費やされる時間を利用し、容易に入手可能な高性能な装置や物品を活用して、活動レベルを測定して家族や医療専門家に接続された装置に送信する。
【請求項4】
本発明の最も優れた特徴の1つは、ほとんどの全身エクササイズシステムとは異なり、任意の固定位置から取り外されても、依然としてあらゆるユーザの手足および体幹のワークアウトを提供することである。床設置面積は、必要な場合でもごく僅かであって、空間を要しない。この設計により、例えば所望に応じてベッド枠の端部に取り付けることが可能である。この装置は、筋肉のコンディショニングを一方の手足または体幹だけに分離し、身体の他の部分を使用し、対向する力を介して所定の位置に装置を安定させるのに十分な柔軟性を備えている。これにより、この装置は、身体自体のより早い治癒を可能にし、消化機能、食欲、および睡眠パターンを改善して、全般的な健康状態を向上させる。
【請求項5】
本発明は、最も軽量で手軽なソリューションの1つである。高齢のユーザは、一般的に他の人々よりも弱く、エクササイズシステムを簡単に持ち上げて持ち運べることを評価する。この対象ユーザには財政的な制約もあるため、比較的安価で配送料が安いことも役立つ。病院もしくは熟練した/介護された居住滞在からの迅速な回復への道程を提供し、集中理学療法(PT)施設への通所を減らし、定期的なPT専門家訪問への依存を減らすことよって、医療保険会社および/またはユーザ患者によるコスト支出を最小限にできるおかげで、本発明自体の採算が取れ、ひいては、迅速な回復へのインセンティブが、装置を使用するモチベーションの増加につながる。
【請求項6】
この発明は、コンパクトで、組立済で調整可能である、という利点を有する。パッケージ/箱に半分に折りたたまれた状態で入っていて、出して直ぐに使用できることを、高齢のユーザは評価するであろう。上部および下部のセグメントは、ユーザのサイズや最も快適な可動域に合わせて、必要に応じて伸ばすことができる。贈り物/旅行目的には、十分に小さい寸法(スーツケースのサイズ)に折りたたむこともできる。加えて、その心血管系の恩恵や屋外での使用は、認知/感情の改善にまで及んでユーザ患者の気分を高めるのに役立ち、全体的に若々しい健康状態をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総じて、筋肉のリハビリテーションおよび理学療法のための装置および方法に関する。さらに、この理学療法装置および方法は、何年も経過した患者や怪我から回復中の患者が、理学療法のために別の施設に移動することも、ベッドから離れることもなく、割り当てられた病室の通常の安全性の中で体力を取り戻すことを可能にする。これにより、この方法は、患者またはその受託者に、有資格理学療法士(PT)によって設定された適切な指示および制限を伴った自己コンディショニングへのアクセスを提供することにより、入院患者の回復を迅速化できる。これにより、彼らは、望む限り、または可能な限り迅速に可動性を取り戻すことに集中するための新しい選択肢を得ることができる。これにより、家族や保険会社は、入院患者の滞在を短縮し、コストを節約し、より複雑なニーズを有する他の患者のためにリソースを解放することができる。これにより、患者は自宅で治療を再開することを選択できる。これにより、患者は、自らのコンディショニングを続けながら高い生活の質を維持するという選択肢を有する。
【0002】
歩くのに使用する筋肉を強化するための典型的な方法は、歩くこと自体である。高齢者は、さりげない/積極的な監督下、歩行器を使用して歩く練習をするが、そうすることで怪我をするリスクがある。利用可能なベッド内エクササイズシステムも幾つかある。これらは、ジムをベッドに持ち込んだものと見なすことができる。これには、ユーザが足を使って仰臥位でサイクリングできるようにする、Excyソリューションが含まれる。このソリューションおよび他のソリューションは、ベッドの中、ベッドの上、またはベッドの周りに取り付けられる。サイクリング運動を使用しない場合、他の一般的なソリューションは、抵抗のために例えば何らかの方法でゴムバンドを使用する。それらはすべて、嵩高いか設置困難の何れか、或いは、嵩高いと同時に設置プロセスを必要とする。座った状態で使用するために設計されたエクササイズ装置も沢山ある。ただし、嵩高さおよび設置に同様の問題がある。自立して生活している高齢者は、事実上すべてのケースで、自分自身で歩くための手足の力を取り戻すために、他の誰かからの援助を必要とするであろう。歩くために必要な力の喪失は、簡単には回復できない。これが、宇宙飛行士が宇宙でトレッドミルの一種を使用する理由である。
【図面の簡単な説明】
【0003】
以下、本発明を、添付の図面を参照して実施例として説明する。
【0004】
図1A図1Aは、本発明の一実施形態に係る、歩行不能なユーザ患者の個別コンディショニングのための一例示的装置を上面から示している。
【0005】
図2図2は、側面から見た、本発明の一実施形態に係る、個別理学療法のための例示的な方法の筋肉コンディショニング装置の一次的な使用例の構成を示している。なお、二次的な使用例は、屋外や公園環境で柔らかく水平な草地を覆う毛布もしくは発泡シート上に患者ユーザが横臥している場合であろう。
【0006】
図3図3Aは、個別理学療法のための例示的な方法の筋肉コンディショニング装置の初期構成を示している。4つのピストンはすべて別々に使用できるが、本体の片側および反対側のいずれかにおいて対で操作することが推奨される。図3Bは、完全なエクササイズ管理のために、同じ側のピストンの対が関与するこの動作を前後に交互に行い得ることを示している。
【発明の詳細な説明】
【0007】
以下の詳細な説明は、本質的に単に例示的なものであり、記載された実施形態や適用、或いは、記載された実施形態の使用に限定することを意図するものではない。本明細書中で使用する「例示的な」または「例示的」という語は、「実施例、例証、または例示としての役割を果たす」ことを意味する。本明細書で「例示的な」または「例示的」と記載されている実装形態は、必ずしも他の実装形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。以下に記載される実装形態はすべて、開示の実施形態を当業者が作成または使用できるようにするために提供される例示的な実装形態であり、特許請求の範囲によって定義される開示の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書における説明の目的のため、「第1」、「第2」、「左」、「後」、「右」、「前」、「鉛直」、「水平」、およびそれらの派生語は、図1の向きの本発明に関するものとする。さらに、前述の技術分野、背景、概要、または後述の詳細な説明で提示される明示的もしくは黙示的な理論に拘束されることを意図するものではない。添付の図面に示され、後述の明細書に記載されている特定の装置およびプロセスは、添付の特許請求の範囲に規定される発明概念の単なる例示的な実施形態であることも、理解されるべきである。よって、本明細書に開示された実施形態に関する特定の寸法およびその他の物理的特性は、特許請求の範囲が明示的に別段の定めをしない限り、限定的なものと見なされるべきではない。
【0008】
図1に表された本発明の一実施形態では、個人の筋肉育成のための装置100は、指定された訓練を受けた専門家146の単純な指示の下で、独立した移動に必要な動きに対する手足抵抗を、ベッドに寝たきりの患者148に提供する。この装置は、脚および腕の骨格筋それぞれに緊張を構築するため、接続されたエアピストン部品102,104を含む。本体の各側面には、特定の手足のコンディショニングを分離するための別々のバルブ122を備えた、別々のシリンダ/ピストンがある。上半身用セグメントおよび下半身用セグメントは、患者の身長に合わせてカスタムフィットするように別々に長さを調整可能108であって、装置を折り畳んだり捩じったりすることを許容する二重ヒンジ106または弾性拘束スロットで連結されている。各ピストンバレル/シリンダ110は、主ヒンジ付ステムに取り付けられており112、上肢専用のピストンは、やや広いオフセット128を備えている。ハンドグリップ132は、調整可能な自体の抵抗をもって上半身用ピストンの端部に直接取り付けられている一方、足用の「ペダル」120は、ピストンの上部に接続されているが、下半身用ピストンバレル/シリンダ118の側面に沿ってスライドする。オプションのアセンブリ138-144があり、安定させるために、ヒンジ付ステムを病院のベッドの脚に据付可能である。軽量で快適な医療用ブーツを含む、足の位置を固定するためのさまざまな「ペダル」アタッチメントがあるが、推奨される足の置き場には、軽量のビーチサンダルを下半身用アセンブリにストラップ固定することが含まれる。足置き場アセンブリは、収納目的で、折り畳んで邪魔にならないようにすることができる。装置の設計により、ペアになった同じ側の動きを使って、左腕を右脚と同期させて外側に伸ばしたり、その逆を行ったりすることができる。そうすることで、装置全体が安定して維持され、対向する力が相殺される。固定された場所への取り付けは必要ない。繰り返される交互のサイドアクション(図3B)は、ある意味、歩くことに加えて、梯子の上り下りをシミュレートする。上部ステムアセンブリおよび下部ステムアセンブリは、ヒンジ106での捩じり運動に対応して、患者の体幹筋肉をコンディショニングすることができる。図2の側面図から、腹筋運動は、漸次間隔を空けたループ236を備えた外部ストラップ234によって補助され得る。患者ユーザは、腹筋や体幹の筋肉の曲げを増加もしくは減少させながら、足に向かって1つのループから次のループへと手を「歩かせる」。装置は、使用しないときは半分に折り畳んで、再び必要になるまでベッドの側面もしくは壁に立て掛けられるように、設計されている。
【0009】
装置100のさらに別の利点は、静かで且つ目立たないということである。装置100は、頭上/壁面に取り付けられたスクリーン上でテレビを見ながら、同時に実行できる。エクササイズのためのこの個人用キャパシティは、共有PT施設の拡張であり、特殊な機器でのトレーニングが必要な場合を除いて、共有PT施設の需要を軽減する。患者は、いつでも好きなときに好きなだけ、自身をコンディショニングすることを選択できる。その結果、患者は、PT専門家を直接訪問するように予定されているときと比べて、大幅に強化されるであろう。移動性および自立性を備えた質の高い生活への道は、短縮される。ケア施設での患者の滞在期間は短くなり、指定保険会社にとってはコスト削減につながる。
【0010】
よって、本開示の筋肉コンディショニング装置100は、種々の効果および利点を提供する。第一に、寝たきりになることはもはや死刑宣告ではない、という延命の側面がある。第二に、装置100は、非常に低い二酸化炭素排出量を有する。加えて、装置100は、贈り物として渡され/配送されて、保険に加入していない個人にも入手可能であるように、介護者/親族が積極的に関与して個人の健康状態を個別に制御できるように、設計されている。これにより、あらゆる利害関係者にウィン-ウィンの結果がもたらされる。予定小売価格は、インフレ調整後の2020年通貨で100米ドルから250米ドルと想定されている。ある装置のバージョンは、容易に持ち運べるよう通常のスーツケースに快適に収まるように設計でき、「小」から「特大」までのさまざまなサイズとすることができる。装置の「スマート」バージョンは、スマートフォンの「アプリ」に信号を送信できるバッテリに結合された誘導充電器を含み、装置100を使用するほど、バッテリに蓄積される電荷が高くなって、小さな内蔵LEDディスプレイまたは「アプリ」を用いて表示される。
【0011】
一側面において、筋肉コンディショニング装置100は、軽量で、部品244によって病院ベッド枠の脚元250bに固定的に取り付けることができ、患者および/またはベッドのサイズに合わせて接続部240で調整することができる(ただし、患者はベッド枠に対して力を加える必要はなく、ベッドの起き上がり部分250aを押す必要もない)。装置100は、下のものを含む。
ステム/セグメント104/204によって分離された上半身用のコンディショニング、
ステム/セグメント102/202によって下半身用のコンディショニングを分離する、
装置自体を折り畳むことを許容するだけでなく、患者ユーザの体幹を強化するために下部ステムに対して上部ステムを捩じることが可能となるように、二重ヒンジ106/206または弾性拘束スロットによって上半身用ステムおよび下半身用ステムを連結する、
ノブボルト108/208によって、所定の位置に固定された各ステムを伸縮させる、
2つのブラケット112を使用して、ステムの両側に空気圧シリンダ110/210を取り付ける、
各空気圧シリンダ内に、ピストン114/126/214/226を封入する、
足場116/118のために、患者ユーザのサイズのゴム製ビーチサンダル220(または軽量スリッパ)を取り付けるストラップ(図示せず)を含む拡張アセンブリを嵌める、
バルブ122/130/230を使用して空気圧シリンダバレル/チャンバへの空気流を調整する、
杖、歩行器、手すり、または車椅子の使用を安定させて患者の歩行運動をサポートするために必要な患者ユーザの手を強化するため、各手のための別々に調整可能な抵抗132/232を備えた把持エクササイズ装備を取り付ける、
装置の下部ステムセグメントの端部に、病院のベッドの端部250bに留具(図示しない)で固定するためのオプションの取付アセンブリ140/142/144用のヒンジ138/238を接続する。
【0012】
別の側面では、腹筋運動を行う際に、患者ユーザが手で保持して自身を前方に引っ張るための複数のループ236を備えたストラップ234をクリップする。
【0013】
本発明の一目的は、各所における個々の自己改善のための装置100/200を提供することである。装置は十分に軽量であって、装置全体を完全に組み立てた後に、患者ユーザ自身が持ち上げることができる。装置を、予め組み立てて販売/配送されることも意図されている。他のコンディショニング装備は、多くの場合、高齢者には重すぎたり設置が複雑すぎたりする。装置100/200の部品は、工具の有無にかかわらず最小限の力で、互いにまたは所定の位置に嵌合するように設計されている。
【0014】
別の目的は、個人の移動性の回復に希望を与えることである。患者には、再生および延命の選択肢が提示される。ポジティブな感情が生まれることで、骨格筋の回復速度を上げるためのフィードバックループを確立できる。
【0015】
別の目的は、ベッドに横になったり座ったりしている怠惰な長い期間を利用して、生産的な活動に置き換えることである。心血管活動は、食欲および代謝の増進をもたらす。患者の腸内調節にも、身体の動き、特に脚筋肉のコンディショニングの作用を通して関与する。
【0016】
別の目的は、代謝活動を促進することにより、患者が睡眠時間中により良い休息をとれるようにすることである。併存疾患がある場合、個人の活動習慣が、身体の全体的自己治癒能力を助ける。
【0017】
別の目的は、登攀運動コンディショニングを行いながら、身体の体幹領域の筋肉を間接的に強化することである。足嵌めによって足を固定し、ヒンジ付ステムの長さに沿ったストラップのループの助けを借りて、ベッドの上で安全に少し前屈みになって腹筋を引き締める方法を、患者に示すこともできる。
【0018】
別の目標は、精神と身体とのより良いバランスを実現することである。身体の活動は、認知能力の改善を促進し得る。脳機能の向上は、感情的な面における独自のポジティブなフィードバックループを有し、さらなる身体的活動への動機付けを与える。一貫したエクササイズ療法によって、エンドルフィンが患者の体内に放出され、軽い中毒になり得る。病院環境で確立された個人の習慣が、自宅での生活およびケアに引き継がれ得る。結果は、文字通り人生を変える可能性がある。さらに覚醒すると、患者ユーザの生活の質は改善する。したがって、装置を「ライフスパナ」と名付けて、関連するインターネットドメインに「www.thelifespanner.com」を使用することを提案する。
【0019】
さらに別の目的は、医療支援施設や家族からの外部ケアの需要を軽減することである。この発明は、患者の親族および/または支援サークルに心の安らぎを創出/強化する可能性を秘めている。家族は、将来歩ける状態に戻るという動機付けを患者が得ていることに、勇気付けられるであろう。
【0020】
身体的リハビリテーションの当業者は、現在、病院環境における身体的コンディショニングの機会は限られており、安全上の理由から車椅子での移動が必要であることを認めるであろう。装置100/200がなければ、歩行筋のエクササイズは監督を必要とする。監視されていない自分のベッドで装置100/200を使用することは、可能な限りまたは想像可能な限り安全な設定である。筋肉コンディショニングの機会を拡大することは、大いに必要とされている。そうでなければ、施設内での滞在は、治癒プログラムの意図もなくホテルに滞在することに似ている。
【0021】
身体的リハビリテーションの当業者は、全体的健康の改善に向けての進歩をもたらすためには、患者側の努力がある程度必要であることを認めるであろう。殆どの人は、歩けるようになるという高齢者の決意を、単に彼らが高齢であるために、つまり彼らは遅かれ早かれ死ぬと予想されているために過小評価しており、評価していたとしても本質的に緊急性に欠ける。自己歩行運動への道程がより広く利用可能になれば、そのときが、迅速な治癒が加速される転換点となり、広範囲で一貫した結果を高齢者人口にもたらす可能性がある。多くの国で高齢化が進んでいる人口統計プロファイルは、しばしば疎外されるこの人口統計グループのニーズに対処するために、この発明のようなソリューションを求めている。
【0022】
身体的リハビリテーションの当業者は、自己歩行運動を支援/安定させ、または置き換える装置は、依存度を増大させるものであってほどほどに使用すべきであることを認めるであろう。しかし、杖、歩行器、車椅子は、高齢者の閉じ込めや差し迫る死へと向かう、いわば「ドミノ倒し(slippery slope)」をしばしば提示する。骨格の強さがなければ、身体の全体的健康を維持する身体能力は危険にさらされる。この依存の傾向に対抗するための補足ツールの必要性を、過小評価することはできない。健康状態の悪化を逆転させることは非常に重要であるが、当発明によってかつてなく簡単になった。この発明に保護を与えることは、何百万人もの人々に数え切れない付加的寿命を与えることと同じくらい重要である。NASAが、最終的な地球への帰還準備をするため、宇宙飛行士に宇宙で身体的コンディショニングをしながら訓練させるという先見の明を持っていたように、病院や、施設および自宅での熟練した看護に従事する我々は、高齢者が一時的な健康上の問題から立ち直り、外来へ、そして個人的な自立へ戻るための安全で新しい道程を可能にするべきである。
【0023】
本発明の記載された好ましい実施形態には多くの詳細の修正、変形、および変更を行うことができるので、前述の明細書および添付の図面に示されているすべての事項は、例示的に解釈されることが意図されており、限定的な意味ではない。よって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物によって決定されるべきである。

図1A-1C】
図2
図3A-3B】
【国際調査報告】