(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】経口剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 47/32 20060101AFI20250204BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20250204BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20250204BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20250204BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20250204BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20250204BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20250204BHJP
A61K 38/31 20060101ALI20250204BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20250204BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20250204BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20250204BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20250204BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20250204BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20250204BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250204BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250204BHJP
A61P 5/02 20060101ALI20250204BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20250204BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20250204BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20250204BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20250204BHJP
A61K 38/095 20190101ALI20250204BHJP
【FI】
A61K47/32
A61K9/48
A61K47/42
A61K47/38
A61K47/20
A61K47/14
A61K38/00
A61K38/31
A61K9/20
A61K9/14
A61K47/12
A61P9/00
A61P1/16
A61P13/12
A61P25/00
A61P35/00
A61P5/02
A61P5/00
A61P1/12
A61K47/04
A61K47/26
A61K38/095
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542313
(86)(22)【出願日】2023-01-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2023060631
(87)【国際公開番号】W WO2023137428
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524266548
【氏名又は名称】アムリット・エンドゥ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド・キャロン
(72)【発明者】
【氏名】アイザック・ランダウ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
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4C076AA60
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4C084ZA431
4C084ZA731
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZB261
(57)【要約】
本発明は、概して、改善された経口送達を可能にするカプセル封入医薬組成物、およびかかる組成物を使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療剤を含むカプセルを含む経口剤形であって、前記カプセルが、ポリビニルアルコールを含む第一のコーティングと、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体(一般にEudragit L100と称される)を含む前記第一のコーティング上の第二のコーティングとによりコーティングされている、経口剤形。
【請求項2】
前記分散体中のメタクリル酸とアクリル酸エチルの比が、1.4:1~1:1.4である、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項3】
前記分散体中のメタクリル酸とアクリル酸エチルの比が、1.2:1~1:1.2である、請求項2に記載の経口剤形。
【請求項4】
前記分散体中のメタクリル酸とアクリル酸エチルの比が1:1である、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項5】
ポリビニルアルコールが部分的に加水分解される、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項6】
前記ポリビニルアルコールが、20,000~35,000Daの間の平均分子量を有する、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項7】
前記ポリビニルアルコールが、26,300~30,000Daの間の平均分子量を有する、請求項6に記載の経口剤形。
【請求項8】
メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体が、30,000~40,000Daの間の平均分子量を有する、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項9】
メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体が、約34,000Daの平均分子量を有する、請求項8に記載の経口剤形。
【請求項10】
前記第二のコーティングの上に第三のコーティングをさらに含み、前記第三のコーティングがタルクを含む、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項11】
前記カプセルが、i)ゼラチンまたはii)HPMCからなる、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項12】
前記カプセルが、硬ゼラチンカプセルからなる、請求項11に記載の経口剤形。
【請求項13】
前記第二のコーティングが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80をさらに含む、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項14】
前記第二のコーティングが重炭酸ナトリウムを含まない、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項15】
前記第二のコーティングが、二酸化チタンを含まない、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項16】
前記第一のコーティングが、タルク、グリセロールモノカプリロカプレート1型、およびラウリル硫酸ナトリウムをさらに含む、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項17】
前記第二のコーティングが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80を含む、請求項16に記載の経口剤形。
【請求項18】
前記治療剤がポリペプチドである、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項19】
前記治療剤がポリペプチドである、請求項17に記載の経口剤形。
【請求項20】
前記ポリペプチドが、テルリプレシンもしくはその類似体、またはオクトレオチドもしくはその類似体である、請求項18に記載の経口剤形。
【請求項21】
前記ポリペプチドが、テルリプレシンもしくはその類似体、またはオクトレオチドもしくはその類似体である、請求項19に記載の経口剤形。
【請求項22】
前記ポリペプチドが、テルリプレシンまたはその塩である、請求項18に記載の経口剤形。
【請求項23】
前記ポリペプチドが、オクトレオチドまたはその塩である、請求項18に記載の経口剤形。
【請求項24】
前記経口剤形がゼラチンカプセルを含む、請求項18に記載の経口剤形。
【請求項25】
前記経口剤形が、硬ゼラチンカプセルを含む、請求項24に記載の経口剤形。
【請求項26】
前記経口剤形が、5~50mgのテルリプレシンを含む、請求項22に記載の経口剤形。
【請求項27】
前記経口剤形が、5~50mgのオクトレオチドを含む、請求項23に記載の経口剤形。
【請求項28】
治療有効量の請求項22に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、低血圧、門脈圧亢進、静脈瘤出血、肝腎症候群、もしくは腹水、またはそれらの組合せを患う前記対象を治療する方法。
【請求項29】
治療有効量の請求項23に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、先端巨大症または神経内分泌腫瘍を患う前記対象を治療する方法。
【請求項30】
治療有効量の請求項23に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、神経内分泌腫瘍の症状を患う前記対象を治療する方法。
【請求項31】
神経内分泌腫瘍の前記症状が、下痢および/または潮紅のエピソードである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第一のコーティングが、40~80%(重量%)のポリビニルアルコール、20~55%(重量%)のタルク、1~20%(重量%)のモノカプリル酸グリセロール、および1~5%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウムを含み、前記第二のコーティングが、80~99.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.1%~2%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、および0.5~4%(重量%)のポリソルベートを含み、さらにクエン酸トリエチルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項33】
前記第一のコーティングが、50~60%(重量%)のポリビニルアルコール、30~40%(重量%)のタルク、4~10%(重量%)のモノカプリル酸グリセロール、および2~4%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウムを含み、前記第二のコーティングが、90~99.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.3%~1%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、および1~3%(重量%)のポリソルベートを含み、前記第二のコーティングが、クエン酸トリエチルをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項34】
前記第一のコーティングが、57.0%(重量%)のポリビニルアルコール、34.0%(重量%)のタルク、6%(重量%)のモノカプリル酸グリセロール、および3%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウムを含み、前記第二のコーティングが、97.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.7%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、および2.3%(重量%)のポリソルベートを含み、前記第二のコーティングが、クエン酸トリエチルをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項35】
前記第二のコーティングが、5~30%(重量%)のクエン酸トリエチルを含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項36】
前記第二のコーティングが、10~20%(重量%)のクエン酸トリエチルを含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項37】
第三のコーティングをさらに含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項38】
前記第三のコーティングがタルクを含む、請求項37に記載の経口剤形。
【請求項39】
前記タルクが、カプセル当たり0.1~3mgの量で存在する、請求項38に記載の経口剤形。
【請求項40】
治療剤を含む腸溶コーティングカプセルを生産する方法であって、
ポリビニルアルコール、タルク、モノカプリル酸グリセロール、およびラウリル硫酸ナトリウムを含む第一のコーティングを前記カプセルに適用することと、
前記第一のコーティングの上に第二のコーティングを適用することであって、前記第二のコーティングがメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、およびクエン酸トリエチルを含む、適用することと、を含む、方法。
【請求項41】
前記第二のコーティングの上に第三のコーティングを適用することをさらに含み、前記第三のコーティングがタルクを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記治療剤がポリペプチドである、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記ポリペプチドが、テルリプレシンまたはオクトレオチドである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
治療剤を含むペレットを含むカプセル、錠剤、またはサシェを含む経口剤形であって、前記ペレットが、ポリビニルアルコールを含む第一のコーティングと、前記第一のコーティング上の、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体(一般にEudragit L100と称される)を含む第二のコーティングとによりコーティングされている、経口剤形。
【請求項45】
前記治療剤がポリペプチドである、請求項44に記載の経口剤形。
【請求項46】
前記ポリペプチドが、オクトレオチドまたはテルリプレシンである、請求項45に記載の経口剤形。
【請求項47】
前記ペレットが、中鎖脂肪酸塩およびポリビニルピロリドン(PVP)を含む、請求項44に記載の経口剤形。
【請求項48】
カプセルを含む経口剤形であって、前記カプセルが、治療剤を含む製剤を含み、前記カプセルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、またはシェラックを含む第一のコーティングと、前記第一のコーティング上の、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体を含む第二のコーティングとでコーティングされている、経口剤形。
【請求項49】
前記治療剤がポリペプチドである、請求項48に記載の経口剤形。
【請求項50】
前記ポリペプチドが、オクトレオチドまたはテルリプレシンである、請求項49に記載の経口剤形。
【請求項51】
前記製剤が、中鎖脂肪酸塩およびポリビニルピロリドン(PVP)を含む、請求項48に記載の経口剤形。
【請求項52】
第三のコーティングをさらに含む、請求項48に記載の経口剤形。
【請求項53】
前記第三のコーティングがタルクを含む、請求項52に記載の経口剤形。
【請求項54】
請求項1~27、32~39、または44~53に記載の経口剤形のいずれかを前記対象に投与することを含み、前記投与量が、一日一回、二回、または三回投与される、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記投与が、食事の少なくとも1時間前または食事の少なくとも2時間後に行われる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記投与が空の胃上で行われる、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
疎水性油性媒体と固体形態との混和物を含む懸濁液を含むカプセルを含む経口剤形であって、前記固体形態が、治療有効量のポリペプチドと、少なくとも10重量%の量の中鎖脂肪酸の少なくとも一つの塩と、少なくとも3重量%の量のポリビニルピロリドン(PVP)とを含み、前記カプセルが、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体(一般に、Eudragit L100と称される)を含むコーティングによりコーティングされる、経口剤形。
【請求項58】
前記分散体中のメタクリル酸とアクリル酸エチルの比が、1.4:1~1:1.4である、請求項57に記載の経口剤形。
【請求項59】
前記分散体中のメタクリル酸とアクリル酸エチルの比が、1.2:1~1:1.2である、請求項57に記載の経口剤形。
【請求項60】
前記分散体中のメタクリル酸とアクリル酸エチルの比が1:1である、請求項57に記載の経口剤形。
【請求項61】
メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体が、30,000~40,000Daの間の平均分子量を有する、請求項57に記載の経口剤形。
【請求項62】
メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体が、約34,000Daの平均分子量を有する、請求項57に記載の経口剤形。
【請求項63】
タルクを含む前記コーティングの上に別のコーティングをさらに含む、請求項57に記載の経口剤形。
【請求項64】
前記カプセルが、i)ゼラチンまたはii)HPMCからなる、請求項57に記載の経口剤形。
【請求項65】
前記カプセルが硬ゼラチンカプセルである、請求項64に記載の経口剤形。
【請求項66】
前記コーティングが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80をさらに含む、請求項57に記載の経口剤形。
【請求項67】
前記コーティングが重炭酸ナトリウムを含まない、請求項57に記載の経口剤形。
【請求項68】
前記コーティングが、二酸化チタンを含まない、請求項57に記載の経口剤形。
【請求項69】
前記治療剤がポリペプチドである、請求項57に記載の経口剤形。
【請求項70】
前記治療剤がポリペプチドである、請求項66に記載の経口剤形。
【請求項71】
前記ポリペプチドが、テルリプレシンもしくはその類似体、またはオクトレオチドもしくはその類似体である、請求項69に記載の経口剤形。
【請求項72】
前記ポリペプチドが、テルリプレシンもしくはその類似体、またはオクトレオチドもしくはその類似体である、請求項70に記載の経口剤形。
【請求項73】
前記ポリペプチドが、テルリプレシンまたはその塩である、請求項72に記載の経口剤形。
【請求項74】
前記ポリペプチドが、オクトレオチドまたはその塩である、請求項72に記載の経口剤形。
【請求項75】
前記経口剤形がゼラチンカプセルを含む、請求項66に記載の経口剤形。
【請求項76】
前記経口剤形が、硬ゼラチンカプセルを含む、請求項75に記載の経口剤形。
【請求項77】
前記経口剤形が、5~50mgのテルリプレシンを含む、請求項72に記載の経口剤形。
【請求項78】
前記経口剤形が、5~50mgのオクトレオチドを含む、請求項74に記載の経口剤形。
【請求項79】
治療有効量の請求項73に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、低血圧、門脈圧亢進、静脈瘤出血、肝腎症候群、もしくは腹水、またはそれらの組合せを患う前記対象を治療する方法。
【請求項80】
治療有効量の請求項74に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、先端巨大症または神経内分泌腫瘍を患う前記対象を治療する方法。
【請求項81】
治療有効量の請求項74に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、下痢および/または潮紅などの神経内分泌腫瘍の症状を患う前記対象を治療する方法。
【請求項82】
前記コーティングが、80~99.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.1%~2%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、および0.5~4%(重量%)のポリソルベートを含み、さらにクエン酸トリエチルを含む、請求項57~78のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項83】
前記コーティングが、90~99.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体を含むメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体、0.3%~1%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、および1~3%(重量%)のポリソルベートを含み、さらにクエン酸トリエチルを含む、請求項57~78のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項84】
前記カプセルコーティングが、97.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体を含むメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体、0.7%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、2.3%(重量%)のポリソルベート、およびクエン酸トリエチルを含む、請求項57~78のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項85】
前記コーティングが、5~30%(重量%)のクエン酸トリエチルを含む、請求項82~84のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項86】
前記コーティングが、10~20%(重量%)のクエン酸トリエチルを含む、請求項82~84のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項87】
前記クエン酸トリエチルが、前記コーティングの約17%(重量%)の量で存在する、請求項82~84のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項88】
前記コーティングが、16.9%(重量%)のクエン酸トリエチルを含む、請求項82~84のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項89】
追加のコーティングをさらに含む、請求項82~84のいずれか一項に記載の経口剤形。
【請求項90】
前記追加のコーティングがタルクを含む、請求項89に記載の経口剤形。
【請求項91】
前記経口剤形が、0.1~3mgのタルクを含む、請求項90に記載の経口剤形。
【請求項92】
治療剤を含む腸溶コーティングカプセルを生産する方法であって、
ポリビニルアルコール、タルク、モノカプリル酸グリセロール、およびラウリル硫酸ナトリウムを含む第一のコーティングを前記カプセルに適用することと、
前記第一のコーティングの上に第二のコーティングを適用することであって、前記第二のコーティングがメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、およびクエン酸トリエチルを含む、適用することと、を含む、方法。
【請求項93】
前記第二のコーティングの上に追加のコーティングを適用することをさらに含み、前記追加のコーティングがタルクである、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記治療剤がポリペプチドである、請求項92に記載の方法。
【請求項95】
前記ポリペプチドが、オクトレオチドまたはテルリプレシンである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
転移性カルチノイド腫瘍に関連する重度の下痢および/または潮紅のエピソードを患う患者を治療する方法であって、前記患者に、請求項1~19、23~25、27、32~39、44~53、57~70、74~76、78、または82~91のいずれか一項に記載の経口剤形を投与することを含み、前記経口剤形が治療有効量のオクトレオチドを含有する、方法。
【請求項97】
前記投与が、食事の少なくとも1時間前または食事の少なくとも2時間後に行われる、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記投与が空の胃上で行われる、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
1日当たり10~80mgのオクトレオチドが投与される、請求項96に記載の方法。
【請求項100】
1日当たり10、20、30、40、50、60、70、または80mgのオクトレオチドが投与される、請求項96に記載の方法。
【請求項101】
請求項40に記載の方法によって生産される経口剤形。
【請求項102】
請求項92に記載の方法によって生産される経口剤形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2022年1月13日に出願された米国仮特許出願第63/299,128号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、改善された経口送達を可能にするカプセル封入医薬組成物、およびかかる組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ペプチドおよびタンパク質の経口バイオアベイラビリティは、胃腸管から血液へのインタクトな活性分子の吸収が乏しいことに起因して制限され得る。ゆえに、全身曝露に達するために、ペプチド薬は通常は注射される。Chiasma社の所有技術である一過性透過性エンハンサー(Transient Permeability Enhancer;TPE(登録商標))により、ペプチドの経口送達が可能になる。
【0004】
医薬品は油性懸濁液の形態であり、腸溶コーティングされた硬ゼラチンカプセルに充填される。活性薬剤(オクトレオチド)は、透過促進剤(カプリル酸ナトリウム=NaC8)およびマトリクス形成賦形剤と共に、懸濁液の固相を含む。医薬品は、Mycapssa(登録商標)と呼ばれ、先端巨大症の治療のための経口オクトレオチドカプセルである。オクトレオチド酢酸塩は、一過性透過性エンハンサー(TPE(登録商標))賦形剤混合物中に配合されて、親油性媒体内に固体親水性粒子の油性懸濁液を形成する。油性懸濁液を硬ゼラチンカプセルに充填し、その後、ゼラチンでバンディングし、腸溶コーティングシステムによってフィルムコーティングし、腸へのカプセル内容物の送達を可能にする。これは特に、共譲渡された米国特許第8,329,198号に記載されている。Mycapssaの経口摂取は、必要な用量を先端巨大症患者に送達し、先端巨大症患者においてGHおよびIGF-1の制御を惹起するのに十分であることが証明された。
【0005】
薬物動態特性および/または投与レジメンの改善された新製品を生産し、先端巨大症のために、またはより多くの投薬量を要する他の適応のために、必要に応じて、より高い用量のオクトレオチドの投与を可能にすることが望ましい。これにより、より高い用量の他の治療活性薬剤の投与を可能にすることができる。
【0006】
したがって、カプセル内のポリペプチドのバイオアベイラビリティのレベルを改善することが望まれていた。
【発明の概要】
【0007】
本発明の発明者らは、本明細書に記載のコーティングを用いた経口剤形で投与された場合に、対象におけるポリペプチドなどのある特定の治療剤の吸収が改善され得ることを発見してきた。
【0008】
本発明の一実施形態は、治療剤、例えば、ポリペプチドを含むカプセルを含む経口剤形であり、カプセルは、ポリビニルアルコールを含む第一のコーティング、およびメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体を含む第一のコーティング上の第二のコーティングによりコーティングされる。
【0009】
本発明の別の実施形態は、治療剤、例えば、ポリペプチドを含むカプセルを含む経口剤形であり、カプセルは、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体を含むコーティングによりコーティングされる。
【0010】
これらの例示的な態様および実施形態のさらに他の態様、実施形態、および利点を、下記に詳細に論じる。さらに、前述の情報および以下の詳細な説明はどちらも、様々な態様および実施形態の説明に役立つ例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載の態様および実施形態の性質および特徴を理解するための概要またはフレームワークを提供することが意図されることが理解されるべきである。添付の図面は、様々な態様および実施形態の例示およびいっそうの理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。図面は、本明細書の残りの部分と共に、説明および特許請求の範囲に記載される態様および実施形態の原理および動作を説明する。
【0011】
本願全体を通して、米国特許を含む様々な刊行物は、著者および年ならびに特許および出願によって番号別に参照される。これらの刊行物ならびに特許および特許出願の開示は全体で、本発明の関連する技術分野の状況をより充分に説明するために、ここに参照により本願に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
少なくとも一つの実施形態の様々な態様が、添付の図面を参照して下記に論じられる。図は、例示および説明の目的で提供されており、本発明の限定の定義として意図されていない。
【0013】
【
図1】
図1は、添付の実施例1で参照されるオクトレオチドカプセルの調製のための製造フローチャートを示す。
【0014】
【
図2】
図2は、添付の実施例2で参照されるpH6.8でのプロトタイプの溶解を示す。
【0015】
【
図3】
図3は、添付の実施例2で参照される対照(Mycapssa製品)に対するNC02およびNC04のイヌPK結果を示す。
【0016】
【
図4】
図4は、添付の実施例3で参照される新しいコーティング(NC04)を有するカプセルの製造フローチャートを示す。
【0017】
【
図5】
図5は、添付の実施例3で参照されるpH6.8でのバッチOCT-CCP-035の溶解を示す。
【0018】
【
図6】
図6は、添付の実施例4で参照されるテルリプレシンカプセルの製造フローチャートを示す。
【0019】
【
図7】
図7は、添付の実施例4で参照されるpH6.8でのテルリプレシンのプロトタイプの溶解速度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、概して、改善された送達、例えば、経口送達を可能にするコーティングを有する経口剤形内に含有される医薬組成物を含む経口剤形、およびかかる組成物を使用する方法に関する。本発明の具体的な実施形態は、医薬組成物を含む経口剤形、具体的には、改善された送達を可能にするコーティングにより腸溶コーティングされた経口剤形を含む。本発明のさらなる実施形態は、本発明の組成物を含有するカプセルを含み、様々な実施形態では、カプセルは、硬質ゲルまたは軟質ゲルのカプセルであり、カプセルは、本明細書に記載されるように腸溶コーティングされる。他の実施形態では、コーティングはペレット(微粒子またはミニタブレット)に適用され、その後、硬質ゲルカプセルなどのカプセルもしくは他の剤形に充填されるか、またはペレットが錠剤に圧縮されるか、あるいはサシェの形態で提供される。
【0021】
本発明の一実施形態は、治療剤、例えば、ポリペプチドを含むカプセルを含む経口剤形であり、カプセルは、ポリビニルアルコールを含む第一のコーティングと、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体(一般に、Eudragit(登録商標)またはKolicoat(登録商標)と称される)を含む第一のコーティングの上の第二のコーティングとによりコーティングされる。第3のコーティング(例えば、タルクを含む)が、第二のコーティングの上にコーティングされ得る。
【0022】
本発明の別の実施形態は、ポリペプチドを含むカプセルを含む経口剤形であり、カプセルコーティングは、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体(一般に、EudragitまたはKolicoatと称される)を含み、タルクは、追加のコーティングであり得る。
【0023】
本発明の別の実施形態では、分散体中のメタクリル酸とアクリル酸エチルとの比は、1.3:1~1:1.3のメタクリル酸とアクリル酸エチル共重合体、または1.2:1~1:1.2のメタクリル酸とアクリル酸エチル共重合体、または1:1のメタクリル酸とアクリル酸エチル共重合体の範囲内である。
【0024】
本発明の一実施形態では、ポリビニルアルコールは、部分的に加水分解され、ポリビニルアルコールは、20,000~35,000、好ましくは26,300と30,000との間の分子量を有する。
【0025】
本発明の別の実施形態では、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体は、30,000と40,000との間、好ましくは約34000の分子量を有する(平均数分子量(Mn)は約15000である)。
【0026】
本発明の一実施形態では、ポリビニルアルコールは、部分的に加水分解され、ポリビニルアルコールは、20,000~35,000Da、好ましくは26,300と30,000Daとの間の平均分子量を有する。
【0027】
本発明の別の実施形態では、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体は、30,000と40,000Daとの間、好ましくは約34000の平均分子量を有する(平均数分子量(Mn)は約15000Daである)。
【0028】
別の実施形態では、第二のコーティングの上に第三のコーティングがあり、このコーティングはタルクを含み得る。
【0029】
別の実施形態では、カプセルはゼラチンまたはHPMC、具体的には硬ゼラチンカプセルからなる。
【0030】
本発明の別の実施形態では、第二のコーティングは、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80をさらに含み、重炭酸ナトリウムまたは二酸化チタンを含まない。
【0031】
本発明の別の実施形態では、ポリビニルアルコール(部分的に加水分解された)を含む第一のコーティングは、タルク、グリセロールモノカプリロカプレート1型およびラウリル硫酸ナトリウムをさらに含み、これはOPADRY(登録商標)ambII(Colorcon)として商業的に入手可能である。
【0032】
本発明の別の実施形態では、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体を含む第二のコーティングはまた、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80を含み、これはEudragit L30 D-55(Evonik)またはKolicoat MAE 30DP(BASF)として商業的に入手可能である。(Eudragit L30 D55は、Eudragit L100の調製懸濁液であり、Eudragit L100はポリマー単独である。)
【0033】
本発明の別の実施形態では、治療剤はポリペプチドである。本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、テルリプレシンもしくはその類似体、またはオクトレオチドもしくはその類似体である。
【0034】
本発明の別の実施形態では、ポリペプチドは、テルリプレシンもしくはその塩、またはオクトレオチドもしくはその塩、通常はオクトレオチド酢酸塩である。オクトレオチドおよびオクトレオチド酢酸塩は、本明細書で互換的に使用される。
【0035】
本発明の別の実施形態では、治療剤、例えば、ポリペプチド、例えば、オクトレオチドまたはテルリプレシンは、1~50mg、例えば、約10~20mgの量で経口剤形中に存在する。本発明の他の実施形態では、治療剤、例えば、ポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35mgの量で経口剤形中に存在する。本発明の別の実施形態では、オクトレオチドまたはテルリプレシンは、5~50mg、好ましくは10mg、20mg、または30mgの量で経口剤形中に存在する。
【0036】
本発明の別の実施形態では、治療剤、例えば、ポリペプチド、例えば、オクトレオチドまたはテルリプレシンは、カプセル当たり1~50mg、例えば10~20mgで存在する。本発明の他の実施形態では、治療剤、例えば、ポリペプチドは、カプセル当たり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35mgで存在する。本発明の別の実施形態では、オクトレオチドまたはテルリプレシンは、カプセル当たり5~50mg、好ましくは10mg、20mg、または30mgで存在する。
【0037】
本発明の別の実施形態は、対象に、活性医薬品としてテルリプレシンを含む治療有効量の本発明の経口剤形を投与することを含む、低血圧、門脈圧亢進、静脈瘤出血、または肝腎症候群、または腹水を患う対象の治療方法を対象とする。低血圧は、例えば、起立性低血圧または食事後低血圧であることがあり、門脈圧亢進は、門脈圧亢進に関連する出血性食道静脈瘤を含むことがあり、腹水は、肝硬変と関連することがあり、肝硬変腹水または重度の肝硬変腹水であることがあり、肝腎症候群(HRS)は、HRS IまたはHRS IIであることがある。対象は、これらの状態のうちの二つ以上に罹患し得る。
【0038】
本発明の別の実施形態は、治療有効量の本発明の経口剤形を対象に投与することを含む、先端巨大症もしくは神経内分泌腫瘍(NET)、GI運動性異常、カルチノイド症候群、NET/カルチノイド症候群に関連する潮紅のエピソード、門脈圧亢進、胃麻痺、下痢、特に難治性下痢、NET/カルチノイド症候群に関連する下痢および/もしくは潮紅、膵液漏出もしくは膵仮性嚢胞、多嚢胞性疾患、例えば、多発性嚢胞腎もしくは多発性肝嚢胞もしくはPCOS、または低血圧、特に神経原性起立性低血圧および食事後低血圧を患う対象の治療方法を対象とする。
本発明の別の実施形態では、活性医薬品としてオクトレオチドを含む本発明の経口剤形は、転移性カルチノイド腫瘍に関連する重度の下痢および潮紅のエピソードの長期治療に適応される。
【0039】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載の経口剤形のいずれかを対象に投与することを含む、対象の治療方法であって、投薬量が、一日一回、二回、または三回投与され、本発明の別の実施形態では、投与が食事の少なくとも1時間前または食事の少なくとも2時間後に行われ、本発明の別の実施形態では、投与が空の胃上で行われる。本発明の一実施形態では、一つ、二つ、三つ、または四つの剤形が同時に投与され得る。特定の実施形態では、一つまたは二つの剤形が同時に投与され得る。
【0040】
本発明の別の実施形態は、第一のコーティングが、40~80%(重量%)のポリビニルアルコール、20~55%(重量%)のタルク、1~20%(重量%)のモノカプリル酸グリセロール、および1~5%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウムを含み、第二のコーティングが、80~99.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.1%~2%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、および0.5~4%(重量%)のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、経口剤形である。
【0041】
本発明の別の実施形態は、第一のコーティングが、50~60%(重量%)のポリビニルアルコール、30~40%(重量%)のタルク、4~10%(重量%)のモノカプリル酸グリセロール、および2~4%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウムを含み、第二のコーティングが、90~99.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.3%~1%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、および1~3%(重量%)のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、経口剤形である。
【0042】
本発明の別の実施形態は、カプセルコーティングが、第一のコーティングとして57.0%(重量%)のポリビニルアルコール、34.0%(重量%)のタルク、6%(重量%)のモノカプリル酸グリセロール、および3%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウムを含み、第二のコーティングが、97.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.7%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、および2.3%(重量%)のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、経口剤形である。
【0043】
本発明の別の実施形態では、クエン酸トリエチルは、第二のコーティングの5~30%(重量%)の量で、または第二のコーティングの10~20%(重量%)の量で、好ましくは第二のコーティングの17%(重量%)、最も好ましくは16.9%(重量%)の量で存在する(カプセル当たり8mg)。
【0044】
本発明の別の実施形態では、追加的に、第二のコーティングの上に第三のコーティングがある。本発明の別の実施形態では、このコーティングはタルクである。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態では、タルクは、カプセル当たり0.1~3mg、好ましくはカプセル当たり0.5~2mg、最も好ましくはカプセル当たり1mgの量で存在する。
【0046】
本発明の別の実施形態は、ポリビニルアルコール、タルク、モノカプリル酸グリセロール、およびラウリル硫酸ナトリウムを含む第一のコーティングをカプセルに適用すること、ならびに第一のコーティングの上に第二のコーティングをさらに適用することを含む、医薬的に活性なポリペプチドを含有する腸溶コーティングされたカプセルを生産する方法であって、第二のコーティングは、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、およびクエン酸トリエチルを含み、さらに別の実施形態では、本方法は、第二のコーティングの上に第三のコーティングを適用することを含み、第三のコーティングはタルクである。
【0047】
本発明の別の実施形態は、単一のコーティングが80~99.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.1%~2%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、および0.5~4%(重量%)のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、経口剤形である。
【0048】
本発明の別の実施形態は、単一のコーティングが90~99.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.3%~1%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、および1~3%(重量%)のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、経口剤形である。
【0049】
本発明の別の実施形態は、カプセルコーティングが、97.0%(重量%)のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.7%(重量%)のラウリル硫酸ナトリウム、および2.3%(重量%)のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、経口剤形である。
【0050】
本発明の別の実施形態では、クエン酸トリエチルは、コーティングの5~30%(重量%)の量、またはコーティングの10~20%の量、好ましくは第二のコーティングの17%(重量%)、最も好ましくは16.9%(重量%)の量で存在する(カプセル当たり8mg)。
【0051】
本発明の別の実施形態では、単一のコーティングの上に追加的なコーティングがある。本発明の別の実施形態では、このコーティングはタルクである。
【0052】
本発明のさらに別の実施形態では、タルクは、カプセル当たり0.1~3mg、好ましくはカプセル当たり0.5~2mg、最も好ましくはカプセル当たり1mgの量で存在する。
【0053】
本発明の別の実施形態は、カプセルに単一のコーティングを適用することを含む、医薬的に活性なポリペプチドを含有する腸溶コーティングされたカプセルを製造する方法であって、コーティングは、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、およびクエン酸トリエチルを含み、さらに別の実施形態では、本方法は、単一のコーティングの上に追加のコーティングを適用することを含み、追加のコーティングはタルクである。
【表1】
【0054】
追加的な実施形態は、治療剤を含む製剤を含有するカプセルを含む経口剤形であり、カプセルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはヒドロキシエチルセルロースまたはシェラックまたは酢酸フタル酸セルロースまたは酢酸酪酸セルロースまたはアルギン酸ナトリウムまたはカルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンを含む第一のコーティングを含み、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体を含む第一のコーティング上の第二のコーティングをさらに含む。第二のコーティング、例えば、タルクの上に、第三のコーティングがあってもよい。
【0055】
治療剤は、ポリペプチド、例えば、オクトレオチドまたはテルリプレシンであってもよい。
【0056】
配合は、本明細書に記載されるものであってもよく、例えば、中鎖脂肪酸塩およびポリビニルピロリドン(PVP)を含んでもよい。
【0057】
別の実施形態は、治療剤を含有するペレットを含有するカプセルまたは錠剤またはサシェを含む経口剤形であって、ペレット(微粒子またはミニタブレットとも称される)は、ポリビニルアルコールを含む第一のコーティングを含み、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体(一般に、Eudragit L100と称される)を含む第一のコーティング上の第二のコーティングをさらに含む。治療剤は、ポリペプチド、例えば、オクトレオチドまたはテルリプレシンであってもよい。
【0058】
配合は、本明細書に記載されるものであってもよく、例えば、中鎖脂肪酸塩およびポリビニルピロリドン(PVP)を含んでもよい。
【0059】
例示的な剤形としては、ゼラチンカプセル、またはデンプンカプセルもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)カプセルなどの植物性カプセルが挙げられ、それらは腸溶コーティングされ、バルク医薬品を含有する。本発明の組成物をカプセル封入するために使用され得るカプセルは、当該技術分野で公知であり、例えば、Podczech and Jones,Pharmaceutical Press により編集されたPharmaceutical Capsules(2004)、およびCapsugel Libraryにより出版されたHard gelatin capsules today - and tomorrow,2nd edition,Steggeman ed(2002)に記載されている。
【0060】
コーティングの例
【0061】
OPADRY AmbII
【0062】
OPADRY(登録商標)AmbIIは、PVA、可塑剤、および任意選択的な色素で構成されるブランド製剤(Colorcon社)である。これは、主に防湿フィルムコーティングとして、およびサブコーティングとして使用されて、剤形表面上への機能性コーティングの接着を改善する。
【0063】
Eudragit L 30 D-55 Eudragitは、Evonik industries(ドイツ)のブランド名である。Kollicoatは類似の生成物を生じる。
【0064】
97.0%メタクリル酸共重合体タイプC(NF、PhEur、JPE)
【0065】
0.7%ラウリル硫酸ナトリウムPh.Eur./NF
【0066】
2.3%ポリソルベート80 Ph.Eur./NF
【0067】
この生成物は、ポリソルベート80およびラウリル硫酸ナトリウムからなる水溶液中のメタクリル酸およびアクリル酸エチルを使用して生産される共重合体の分散体である。
化学名:ポリ[(メタクリル酸)-co-(アクリル酸エチル)]の分散体
構造式:
【化1】
【0068】
コーティングは、当技術分野で公知である通りに適用される。例えば、Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms(2017)Linda A.Felton ed.,CRC pressを参照されたい。
【0069】
経口剤形
【0070】
本明細書に記載の経口剤形は、医薬、具体的にはポリペプチドと、実質的に疎水性の媒体と密着または会合した中鎖脂肪酸塩とを含み、それらは、カプセルに封入され、pH4.5~6.0の間で内容物の放出を提供するように少なくとも二つの異なるコーティングによりコーティングされている。
【0071】
本発明のポリペプチドは、例えば、テルリプレシンおよびその類似体(アゴニスト)、またはオクトレオチドおよびその類似体(アゴニスト)である。
【0072】
あるいは、薬剤は非ポリペプチドであってもよい。
【0073】
例えば、ポリペプチドおよび中鎖脂肪酸またはその誘導体は、懸濁液を形成する実質的に疎水性の媒体によってコーティング、懸濁、噴霧、または浸漬されてもよい。本発明の組成物はエマルションではない。組成物は油性懸濁液であり、組成物中の水の量は非常に少なく、通常は1%以下または0.5%以下である。これは、Chiasma社のTPE(登録商標)技術として知られている。
【0074】
懸濁液は、固体材料を組み込んだ液体懸濁液であってもよいし、固体材料(軟膏)を組み込んだ半固体懸濁液であってもよい。本明細書に記載の組成物の多くは、疎水性媒体と固体形態との混和物を含む懸濁液を含み、固体形態は、治療有効量のポリペプチドと中鎖脂肪酸の少なくとも一つの塩とを含み、中鎖脂肪酸塩は、10重量%以上の量で組成物中に存在する。固体形態は、粒子を含んでもよい(例えば、本質的に粒子からなるかまたは粒子からなる)。粒子は、当技術分野で公知の方法によって、例えば、凍結乾燥によって、顆粒化による噴霧乾燥によって、またはローラー圧縮によって生産され得る。
【0075】
中鎖脂肪酸塩は、一般に、ポリペプチドの浸透性および/または吸収を促進または増強し得る。一部の実施形態では、中鎖脂肪酸塩は、中鎖脂肪酸塩の誘導体を含む。ポリペプチドおよび中鎖脂肪酸塩は、固体形態、例えば、凍結乾燥粒子、顆粒状粒子、ペレット、またはマイクロスフェアなどの固体粒子である。好ましい実施形態では、ポリペプチドおよび中鎖脂肪酸塩は両方とも同じ固体形態であり、例えば両方とも同じ粒子である。他の実施形態では、ポリペプチドおよび中鎖脂肪酸塩はそれぞれ、異なる固体形態であってもよく、例えば、それぞれ別個の粒子であってもよい。
【0076】
エマルションとは異なり、水が製剤の必須成分である場合、本明細書に記載の組成物は、粒子含有ポリペプチドなどの固体形態を提供し、これは次いで疎水性(油性)媒体と会合される。組成物中の水の量は、概して3重量%未満、通常は約2重量%未満もしくは1重量%未満、または約0.5重量%以下である。
【0077】
本明細書に記載の組成物は、疎水性媒体と固体形態との混和物を含む懸濁液であり、固体形態は、治療有効量のポリペプチドと中鎖脂肪酸の少なくとも一つの塩とを含む。固体形態は、粒子であってもよい(例えば、本質的に粒子からなるかまたは粒子からなる)。粒子は、凍結乾燥によって、または噴霧乾燥によって、または顆粒化によって、またはローラー圧縮によって生産され得る。中鎖脂肪酸塩は、概して、10重量%以上の量で本明細書に記載の組成物中に存在する。特定の実施形態では、中鎖脂肪酸塩は、組成物中に10重量%~50重量%、好ましくは11重量%~18重量%、または約11重量%~17重量%、または12重量%~16重量%、または12重量%~15重量%、または13重量%~16重量%、または13重量%~15重量%、または14重量%~16重量%、または14重量%~15重量%、または15重量%~16重量%、または最も好ましくは15重量%もしくは16重量%の量で存在し、中鎖脂肪酸は、約6個から約14個までの炭素原子、好ましくは8個、9個、または10個の炭素原子の鎖長を有する。
【0078】
上述の組成物の一部の実施形態では、ポリペプチドを含む固体形態はまた、安定剤(例えば、タンパク質構造の安定剤)を含む。タンパク質構造の安定剤は、例えば、凍結乾燥などの乾燥プロセスの間、またはローラー圧縮によって、または噴霧乾燥もしくは他の処理工程によって、水性または非水性条件下でタンパク質構造を安定化させるか、またはポリペプチドの凝集を低減もしくは防止することができる化合物である。構造の安定剤は、ポリアニオン系分子、例えば、フィチン酸、Ca、Zn、もしくはMgなどの多価イオン;糖類、例えば、二糖類(例えば、トレハロース、マルトース)、またはオリゴもしくは多糖類、例えばデキストリンもしくはデキストラン、またはマンニトールなどの糖アルコール;またはグリシンなどのアミノ酸;または界面活性剤、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 80)もしくはプルロン酸などであり得る。マンニトール、メチルセルロース、およびポリビニルアルコールなどの非荷電ポリマーも、適切な安定剤である。
【0079】
ポリビニルピロリドン(PVP)は、安定剤として当技術分野で公知であるが、本明細書に記載の本発明の組成物において、PVPポリマー、例えばPVP-12は、例えば相乗的に、透過性促進剤の効果を増加させるように機能することができる。共譲渡された米国特許第8,329,198号および第9,566,246号を参照されたい。デキストランおよび他のマトリクス形成ポリマーは、PVPと同様の効果を有し得る。
【0080】
一部の実施形態では、増量剤、例えば、マンニトールまたはグリシンなどが添加されてもよい。
【0081】
本明細書に記載の組成物の具体的な実施形態では、脂肪酸の塩はオクタン酸ナトリウムであり、疎水性媒体はヒマシ油であり、別の具体的な実施形態では、組成物は、モノオレイン酸グリセリルおよびモノパルミチン酸ソルビタンまたはモノカプリル酸グリセリルおよびトリカプリル酸グリセリルおよびモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンをさらに含み、別の具体的な実施形態では、組成物は、トリ酪酸グリセリル、レシチン、イソ吉草酸エチル、および少なくとも一つの安定剤をさらに含む。
【0082】
中鎖脂肪酸塩:
【0083】
本明細書に記載の組成物は、中鎖脂肪酸またはその誘導体の塩を固体形態で含む。例えば、中鎖脂肪酸の塩は、固体粒子などの粒子の形態である。一部の実施形態では、粒子は、顆粒状粒子として特徴付けられ得る。少なくとも一部の実施形態では、固体形態は概して、噴霧乾燥または蒸発のプロセスから生じ得る。好適な実施形態では、中鎖脂肪酸の塩は、ポリペプチドと同じ粒子中にある。例えば、ポリペプチドおよび中鎖脂肪酸の塩は、最初にポリペプチドと中鎖脂肪酸塩との両方を含む水溶液などの溶液を調製し、溶液を共凍結して、ポリペプチドと中鎖脂肪酸塩(および他の成分)との両方を含む固体形態または粒子を提供することによって、合わせて調製することができる。上述の通り、結果として得られる固体粒子は、疎水性媒体と会合され得る。例えば、固体粒子は、疎水性媒体中に懸濁または浸漬されてもよい。
【0084】
本明細書に記載の組成物の異なる実施形態では、中鎖脂肪酸塩は、APIの粒子と同じ粒子であってもよいし異なる粒子であってもよい。中鎖脂肪酸塩およびポリペプチドが親水性画分中で共に可溶化された後に乾燥される場合、それらは最終的な粉末中の同じ粒子中にあると考えられる。
【0085】
中鎖脂肪酸塩としては、約6個から約14個の炭素原子の炭素鎖長を有するものが挙げられる。脂肪酸塩の例は、ヘキサン酸ナトリウム、ヘプタン酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム(カプリル酸ナトリウムとも呼ばれる)、ノナン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ウンデカン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、トリデカン酸ナトリウム、およびテトラデカン酸ナトリウムである。一部の実施形態では、中鎖脂肪酸塩は、カリウム、リチウム、アンモニウム、および他の一価カチオンからなる群から選択されるカチオンを含有し、例えば、中鎖脂肪酸塩は、中鎖脂肪酸のオクタン酸リチウムもしくはオクタン酸カリウムもしくはオクタン酸アルギニン、または他の一価塩から選択される。
【0086】
概して、本明細書に記載の組成物中の中鎖脂肪酸塩の量は、バルク医薬組成物の10重量%から最大約50重量%であり得る。例えば、中鎖脂肪酸塩は、バルク医薬組成物の約10重量%~50重量%、好ましくは約11重量%~40重量%、最も好ましくは約11重量%~28重量%、例えば、約12重量%~13重量%、13重量%~14重量%、14重量%~15重量%、15重量%~16重量%、16重量%~17重量%、17重量%~18重量%、18重量%~19重量%、19重量%~20重量%、20重量%~21重量%、21重量%~22重量%、22重量%~23重量%、23重量%~24重量%、24重量%~25重量%、25重量%~26重量%、26重量%~27重量%、または27重量%~28重量%で存在し得る。他の実施形態では、中鎖脂肪酸塩は、バルク医薬組成物の少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約21重量%、少なくとも約22重量%、少なくとも約23重量%、少なくとも約24重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約26重量%、少なくとも約27重量%、または少なくとも約28重量%の量で存在し得る。特定の実施形態では、中鎖脂肪酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、またはアンモニウム塩、またはそれらの混合物)は、バルク医薬組成物の約12重量%~21重量%、好ましくは11重量%~18重量%、または約11重量%~17重量%、または12重量%~16重量%、または12重量%~15重量%、または13重量%~16重量%、または13重量%~15重量%、または14重量%~16重量%、または14重量%~15重量%、または15重量%~16重量%、または最も好ましくは15重量%または16重量%で存在する。特定の実施形態では、中鎖脂肪酸塩(約6個から約14個の炭素原子、具体的には8個、9個、または10個の炭素原子の炭素鎖長を有する)は、バルク医薬組成物の約12重量%~21重量%、好ましくは11重量%~18重量%、約11重量%~17重量%、または12重量%~16重量%、または12重量%~15重量%、または13重量%~16重量%、または13重量%~15重量%、または14重量%~16重量%、または14重量%~15重量%、または15重量%~16重量%、または最も好ましくは15重量%もしくは16重量%で存在する。特定の実施形態では、中鎖脂肪酸塩(例えば、オクタン酸の塩、スベリン酸の塩、ゲラン酸の塩)は、バルク医薬組成物の約12重量%~21重量%、好ましくは11重量%~18重量%、約11重量%~17重量%、または12重量%~16重量%、または12重量%~15重量%、または13重量%~16重量%、または13重量%~15重量%、または14重量%~16重量%、または14重量%~15重量%、または15重量%~16重量%、または最も好ましくは15重量%もしくは16重量%で存在する。特定の実施形態では、中鎖脂肪酸塩は、固体粉末中に50%~90%の量、好ましくは70%~80%の量で存在する。
【0087】
本発明の一実施形態は、疎水性媒体と固体形態との混和物から本質的になる懸濁液を含む組成物を含み、固体形態は、治療有効量のポリペプチドと中鎖脂肪酸の少なくとも一つの塩とを含み、中鎖脂肪酸塩はナトリウム塩ではない。塩は、別のカチオン、例えばリチウム、カリウム、またはアンモニウムの塩であってもよく、アンモニウム塩が好ましい。
【0088】
マトリクス形成ポリマー:
【0089】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、疎水性媒体と固体形態との混和物を含む懸濁液を含み、固体形態は、治療有効量のポリペプチド、中鎖脂肪酸の少なくとも一つの塩、およびマトリクス形成ポリマーを含み、マトリクス形成ポリマーは、3重量%以上の量で組成物中に存在する。特定の実施形態では、組成物は、疎水性媒体と固体形態との混和物から本質的になる懸濁液を含み、固体形態は、治療有効量のポリペプチド、中鎖脂肪酸の少なくとも一つの塩、およびマトリクス形成ポリマーを含み、マトリクス形成ポリマーは、3重量%以上の量で組成物中に存在する。特定の実施形態では、マトリクス形成ポリマーは、BASFから様々な分子量で入手可能であるデキストランまたはポリビニルピロリドンポリマー(PVP)である。特定の実施形態では、ポリビニルピロリドンは、約2重量%~約20重量%の量、好ましくは約3重量%~約18重量%の量、より好ましくは約5重量%~約15重量%の量、最も好ましくは約10重量%の量で組成物中に存在する。特定の実施形態では、ポリビニルピロリドンは、PVP-12であり、および/または約3000の分子量を有する。他のマトリクス形成ポリマーは、本発明の組成物において類似の効果を有し、このようなマトリクス形成ポリマーは、イオン性多糖類(例えば、アルギン酸およびアルギネート)または中性多糖類(例えば、デキストランおよびHPMC)、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸の誘導体、ならびに高分子量有機アルコール(例えば、ポリビニルアルコール)を含む。
【0090】
親水性画分:
【0091】
本発明の実施形態では、ポリペプチドおよび中鎖脂肪酸塩を含めた上記の化合物は、水性媒体中で可溶化され、次いで乾燥されて粉末を生じる。乾燥プロセスは、例えば凍結乾燥もしくは噴霧乾燥もしくは顆粒化によって、またはローラー圧縮によって達成されてもよい。得られた粉末を「親水性画分」と称する。親水性画分では、水は通常、6%未満、または3%未満、または約2%以下の量で存在する。
【0092】
凍結乾燥は、例えば、Interpharm/CRC Press社によって出版されたLyophilization:Introduction and Basic Principles,Thomas Jennings(1999,2002)に記載されるような、当技術分野で公知の方法によって行われてもよい。凍結乾燥物は、任意選択的に粉砕(例えば、150ミクロン未満に)されてもよいし、乳鉢で磨砕されてもよい。工業生産の間に、バッチ間の再現性を生じるために、親水性画分と疎水性媒体とを混合する前に凍結乾燥物を粉砕することが好ましい。
【0093】
噴霧乾燥は、例えば、Walters et al(2014)Next Generation Drying Technologies for Pharmaceutical Applications,J.of Pharm Sci 103;2673-2695に記載されるように、当技術分野で公知の方法によって行われてもよい。
【0094】
顆粒化は、例えば、Granulation, Salman et al,eds,Elsevier(2006)and in Handbook of Pharmaceutical Granulation Technology,2nd edition,(2005)Dilip M.Parikh,ed.に記載されるように、当技術分野で公知の方法によって示されるように行われてもよい。前掲の二つの参考文献に記載されるように、セルロース(微結晶セルロースを含む)、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物)、デキストロース、デンプンおよびマンニトール、ならびに他の結合剤などの様々な結合剤が顆粒化プロセスに使用され得る。
【0095】
疎水性媒体(親油性画分):
【0096】
油:上述のように、本明細書に記載の本発明の組成物において、ポリペプチドおよび中鎖脂肪酸塩は、疎水性媒体と密着または会合している。例えば、一方または両方が、疎水性媒体によりコーティング、懸濁、浸漬またはその他結合され得る。適した疎水性媒体は、例えば、脂肪族分子、環状分子、または芳香族分子を含み得る。適切な脂肪族疎水性媒体の例としては、以下に限定されないが、鉱油、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、エーテル、エステル、およびこれらの組合せが挙げられる。適切な脂肪酸の例は、オクタン酸、デカン酸、およびドデカン酸、またC7脂肪酸およびC9脂肪酸、ならびにセバシン酸およびスベリン酸などの二酸、ならびにそれらの誘導体である。トリグリセリドの例としては、以下に限定されないが、長鎖トリグリセリド、中鎖トリグリセリド、および短鎖トリグリセリドが挙げられる。例えば、長鎖トリグリセリドは、ヒマシ油またはココナッツ油またはオリーブ油であってもよく、短鎖トリグリセリドは、トリ酪酸グリセリルであってもよく、中鎖トリグリセリドは、トリカプリル酸グリセリルであってもよい。モノグリセリドは界面活性剤であると考えられ、以下に記載される。例示的なエステルとしては、イソ吉草酸エチルおよび酢酸ブチルが挙げられる。適切な環状疎水性媒体の例としては、以下に限定されないが、テルペノイド、コレステロール、コレステロール誘導体(例えば、硫酸コレステロール)、および脂肪酸のコレステロールエステルが挙げられる。芳香族疎水性媒体の非限定的な例としては、安息香酸ベンジルが挙げられる。
【0097】
本明細書に記載の組成物の一部の実施形態では、疎水性媒体が複数の疎水性分子を含むことが望ましい。本明細書に記載の組成物の一部の実施形態では、疎水性媒体は、一つまたは複数の界面活性剤も含む(下記参照)。
【0098】
本明細書に記載の組成物の一部の実施形態では、疎水性媒体はまた、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、またはポリ(アクリレート)誘導体Carbopol(登録商標)934P(C934P)などの一つまたは複数の接着ポリマーを含む。このような接着ポリマーは、製剤の硬化を補助し、および/または粘膜表面へのその接着に役立ち得る。
【0099】
界面活性剤(界面活性剤):
【0100】
本明細書に記載の本発明の組成物は、界面活性剤をさらに含み得る。例えば、界面活性剤は、上述の疎水性媒体の成分とすることができ、および/または界面活性剤は、上述の固体形態の成分とすることができ、例えば、ポリペプチドを含む固体形態または粒子である。
【0101】
適切な表面活性剤としては、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤が挙げられる。イオン性界面活性剤の例は、レシチン(ホスファチジルコリン)、胆汁塩、および洗浄剤である。非イオン性界面活性剤の例としては、モノグリセリド、クレモフォール、ポリエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、Solutol HS15、またはポロキサマー、またはそれらの組合せが挙げられる。モノグリセリドの例は、モノカプリル酸グリセリル(モノオクタン酸グリセリルとも呼ばれる)、モノデカン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、およびモノオレイン酸グリセリルである。ソルビタン脂肪酸エステルの例としては、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、およびモノパルミチン酸ソルビタン(Span 40)、またはそれらの組合せが挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例としては、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 80)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、またはそれらの組合せが挙げられる。使用されたモノグリセリドの市販調製物はまた、様々な量のジグリセリドおよびトリグリセリドを含有する。
【0102】
界面活性剤を含む本明細書に記載の組成物は、概して、約12重量%未満の総界面活性剤(例えば、約10重量%未満、約8重量%未満、約6重量%未満、約4重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満)を含む。本発明の具体的な実施形態では、すべての界面活性剤の合計は約6%である。
【0103】
医薬組成物を作製する方法および生産された組成物
【0104】
また、本発明には、本明細書に記載の組成物を生産する方法も含まれる。したがって、本発明の一実施形態は、治療有効量のポリペプチドと中鎖脂肪酸塩(上述の通り)とを含む水溶性組成物を調製することと、水溶性組成物を乾燥させて固体粉末を得ることと、固体粉末を疎水性媒体中に懸濁して固体形態ポリペプチドと中鎖脂肪酸塩とを含有する懸濁液を生じ、それによって医薬組成物を生産することとを含む、医薬組成物を生産するプロセスであり、この医薬組成物は、10重量%以上の中鎖脂肪酸塩を含有する。
【0105】
一実施形態は、治療有効量のポリペプチドの固体粉末と中鎖脂肪酸塩を含む固体粉末とを提供することと、固体粉末を疎水性媒体中に懸濁して、ポリペプチドおよび中鎖脂肪酸塩を固体形態で含有する懸濁液を生じ、それによって医薬組成物を生産することとを含む、医薬組成物を生産するためのプロセスであって、この医薬組成物は、10重量%以上の中鎖脂肪酸塩を含有する。
【0106】
本明細書に記載のプロセスおよび組成物の一実施形態では、水溶性組成物は水溶液である。特定の実施形態では、水溶性組成物の乾燥は、凍結乾燥によって、または噴霧乾燥によって、または顆粒化によって、またはローラー圧縮によって達成される。特定の実施形態では、乾燥工程は、バルク医薬組成物中の含水量が約6重量%、約5重量%、約4重量%、約3重量%または約2重量%または約1重量%または約0.5重量%以下となるように、十分な水を除去する。本明細書に記載のプロセスおよび組成物の特定の実施形態では、乾燥工程は、固体粉末中の含水量が6重量%未満、または5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または好ましくは2重量%未満となるように、ある量の水を除去する。含水量は通常低く、水は凍結乾燥中に固相に吸着されてもよく、すなわち、水は分子間結合によって保持されてもよい。特定の実施形態では、水溶性組成物はさらに、安定剤、例えばメチルセルロースを含む。本明細書に記載のプロセスおよび組成物の好ましい実施形態では、疎水性媒体は、ヒマシ油またはトリカプリル酸グリセリルもしくはトリ酪酸グリセリルまたはこれらの組合せであり、さらにオクタン酸を含有し得る。特定の実施形態では、疎水性媒体は、脂肪族化合物、オレフィン性化合物、環状化合物、もしくは芳香族化合物、鉱油、パラフィン、脂肪酸、例えばオクタン酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、エーテルもしくはエステル、またはこれらの組合せを含む。本明細書に記載のプロセスおよび組成物の特定の実施形態では、トリグリセリドは長鎖トリグリセリドであり、中鎖トリグリセリドは、好ましくはトリカプリル酸グリセリル、または短鎖トリグリセリドは、好ましくはトリ酪酸グリセリルであり、長鎖トリグリセリドは、ヒマシ油もしくはココナッツ油、またはそれらの組合せである。本明細書に記載のプロセスおよび組成物の特定の実施形態では、疎水性媒体は、ヒマシ油またはトリカプリル酸グリセリルまたはトリ酪酸グリセリルまたはそれらの組合せもしくは混合物を含み、さらにオクタン酸を含み得る。本明細書に記載のプロセスおよび組成物の特定の実施形態では、疎水性媒体は、トリカプリル酸グリセリルまたは低分子量エステル、例えばイソ吉草酸エチルまたは酢酸ブチルを含む。本明細書に記載のプロセスおよび組成物の特定の実施形態では、疎水性媒体の主な重量成分はヒマシ油であり、さらにトリカプリル酸グリセリルを含みうる。本明細書に記載のプロセスおよび組成物の特定の実施形態では、疎水性媒体の主な重量成分は、トリカプリル酸グリセリルであり、さらにヒマシ油を含み得る。
【0107】
特定の実施形態では、組成物は、疎水性媒体と固体形態との混和物から本質的になる懸濁液を含み、固体形態は、治療有効量のポリペプチドと中鎖脂肪酸の少なくとも一つの塩とを含み、中鎖脂肪酸塩は、10重量%以上の量で組成物中に存在する。特定の実施形態では、疎水性媒体は、ヒマシ油、モノオレイン酸グリセリル、およびトリ酪酸グリセリルから本質的になるか、または疎水性媒体は、トリカプリル酸グリセリルおよびモノカプリル酸グリセリルから本質的になるか、または疎水性媒体は、ヒマシ油、トリカプリル酸グリセリル、およびモノカプリル酸グリセリルから本質的になる。特定の実施形態では、疎水性媒体は、トリグリセリドおよびモノグリセリドを含み、特定の実施形態では、モノグリセリドは、トリグリセリドと同じ脂肪酸ラジカルを有する。これらのうち特定の実施形態において、トリグリセリドは、トリカプリル酸グリセリルであり、モノグリセリドは、モノカプリル酸グリセリルである。特定の実施形態では、水溶性組成物中の中鎖脂肪酸塩は、中鎖モノグリセリドもしくは中鎖トリグリセリドまたはそれらの組合せと同じ脂肪酸ラジカルを有する。これらのうち特定の実施形態では、中鎖脂肪酸塩は、カプリル酸ナトリウム(オクタン酸ナトリウム)であり、モノグリセリドは、モノカプリル酸グリセリルであり、トリグリセリドは、トリカプリル酸グリセリルである。
【0108】
本明細書に記載の組成物の多くは、疎水性媒体と固体形態との混和物を含む懸濁液を含み、固体形態は、治療有効量のポリペプチドと中鎖脂肪酸の少なくとも一つの塩とを含み、中鎖脂肪酸塩は、好ましくは10重量%以上の量で組成物中に存在する。固体形態は、粒子であってもよい(例えば、本質的に粒子からなるかまたは粒子からなる)。粒子は、凍結乾燥によって、または顆粒化によって、または噴霧乾燥によって、またはローラー圧縮によって生産され得る。一実施形態では、製剤は、疎水性媒体と固体形態との混和物を含む懸濁液から本質的になるか、またはそれを含み、固体形態は、治療有効量のポリペプチド、および約10~20%、好ましくは15%の中鎖脂肪酸塩、好ましくはオクタン酸ナトリウムおよびポリビニルピロリドンポリマー、例えばPVP-12を含み、疎水性媒体は、約20~80%、好ましくは30~70%の中鎖または短鎖のトリグリセリド、好ましくはトリカプリル酸グリセリルまたはトリ酪酸グリセリル、約0~50%、好ましくは0~30%のヒマシ油、約3~10%の界面活性剤、好ましくは約6%、好ましくはモノカプリル酸グリセリルおよびTween 80を含み、具体的な実施形態では、ポリペプチドは、33%未満、または25%未満、または10%未満、または3%未満もしくは2%未満の量で存在する。
【0109】
上記の製剤では、パーセンテージは重量/重量である。
【0110】
別の実施形態では、製剤は、中鎖脂肪酸塩およびポリビニルピロリドンを含む。
【0111】
通常の貯蔵条件下では、本発明の製剤内のポリペプチドは、長期間にわたって安定である。製剤の化学的状態および物理的状態は安定である。腸に投与されると、製剤が油系であるゆえに隔離された局所環境が腸内に作り出されるため、ポリペプチドはGI環境による損傷から保護される。ここでは、テルリプレシンは、インビボで安定性を付与する油中に懸濁された粒子中に含有される。
【0112】
特定の実施形態では、プロセスは、ポリペプチドおよび中鎖脂肪酸塩および疎水性媒体から本質的になる組成物を生産する。本発明の実施形態では、固体粉末(固体形態)は、ポリペプチドおよび中鎖脂肪酸塩から本質的になる。本発明のさらに別の実施形態は、本明細書に記載のプロセスによって生産される医薬組成物である。ポリペプチドおよび/もしくは中鎖脂肪酸塩、またはポリペプチドとタンパク質安定剤などの他の成分との任意の組合せは、共に凍結乾燥された後に疎水性媒体中に懸濁され得る混合物の溶液(例えば、水溶液または混合物を形成する)中で調製することができる。組成物の他の成分も任意選択的に、凍結乾燥するか、または固体材料の再構成中に添加することができる。
【0113】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、例えば、中鎖脂肪酸塩、安定剤、および/または界面活性剤などのうち一つまたは複数の追加の成分を含む混合物中で可溶化され、溶媒が除去されて、結果として得られる固体粉末(固体形態)を提供し、この固体粉末は疎水性媒体中に懸濁される。一部の実施形態では、ポリペプチドおよび/または中鎖脂肪酸塩は、次いで疎水性媒体と会合する(例えば、疎水性媒体中に懸濁されるか、または疎水性媒体によりコーティングされる)顆粒状粒子へと形成されてもよい。必要に応じて、医薬組成物はまた、pH緩衝剤などの少量の非毒性補助物質と、例えば酢酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミンなどの他の物質とを含有してもよい。
【0114】
一部の実施形態では、固体形態は、粒子であってもよい(例えば、本質的に粒子からなるかまたは粒子からなる)。一部の実施形態では、粒子は、凍結乾燥によって、噴霧乾燥によって、または顆粒化によって、またはローラー圧縮によって生産され得る。このプロセスの一部の実施形態では、脂肪酸塩はオクタン酸ナトリウムであり、このプロセスのさらに別の実施形態では、中鎖脂肪酸塩は、約11重量%から約40重量%の量、または約11重量%から約28重量%の量、または約15重量%の量で組成物中に存在する。このプロセスの一部の実施形態では、組成物は、マトリクス形成ポリマーをさらに含み、このプロセスの具体的な実施形態では、マトリクス形成ポリマーは、デキストランまたはポリビニルピロリドンポリマー(PVP)であり、このプロセスのさらに別の実施形態では、ポリビニルピロリドンは、約2重量%から約20重量%の量、または約4重量%から約15重量%の量、または約10重量%の量で組成物中に存在する。このプロセスの特定の実施形態では、ポリビニルピロリドンポリマーは、PVP-12であり、および/または約3000Daの分子量を有する。組成物はさらに、上述の界面活性剤を含んでもよい。固体形態はまた、結合剤を含有してもよい。また、上述のような少量の他の疎水性成分があってもよい。これらのプロセスの医薬品は、本発明のさらに別の実施形態である。
【0115】
キット
【0116】
経口剤形は、必要に応じて、有効成分を含有する一つまたは複数の単位剤形と指示書とを含み得る、FDAの承認したキットなどのパックまたはディスペンサーデバイスで供されてもよい。パックは、例えばブリスターパックなどの金属またはプラスチック箔を含んでもよい。パックまたはディスペンサーデバイスは、投与のための指示書を添付されることがある。パックまたはディスペンサーはまた、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形態で、容器に関連付けられた通知を添付されることがあり、その通知は、組成物の形態またはヒトへのもしくは獣医学的な投与に関する当局による承認を反映している。そのような通知は、例えば、処方薬についての米国食品医薬品局によって承認されたラベル表示、または承認された製品の折込み書面であり得る。
【0117】
定義
【0118】
本明細書で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、共有結合したアミノ酸から構成される分子を指し、この用語は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、およびペプチド模倣体を含む。ペプチド模倣体は、天然の親ペプチドの生物学的作用を模倣することができる非ペプチド性の構造要素を含有する化合物である。酵素的に断裂し易いペプチド結合などの古典的なペプチドの特徴の一部は、通常はペプチド模倣体には存在しない。ポリペプチドのペプチド模倣体は、そのポリペプチドとの類似体であり得る。
【0119】
用語「アミノ酸」は、20個の天然アミノ酸、または化学修飾されているアミノ酸、または合成アミノ酸のうちいずれか一つを含む分子を指す。
【0120】
本明細書で使用される場合、ポリペプチドの「類似体」または「アゴニスト」とは、そのペプチドと類似の化学構造および生物学的活性を有する化合物を指す。
【0121】
本明細書で使用される場合、用語「薬理学的有効量または治療有効量」とは、組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的な応答を惹起するものとなる薬物または医薬(治療)剤(例えば、テルリプレシン、オクトレオチド)の量を意味し、この量は、研究者または臨床医によって求められており、および/または治療されている状態の進行を停止もしくは低減し、またはそうでなければ本明細書に記載される状態を完全にもしくは部分的に治癒もしくは緩和的に作用するか、または本明細書に記載される状態(例えば、先端巨大症または肝腎症候群、門脈圧亢進、静脈瘤、例えば出血性食道静脈瘤、腹水および/もしくは肝硬変および/もしくは肝硬変腹水もしくは重度の肝硬変腹水)の発達を予防する。
【0122】
本明細書で使用される場合、「組合せで」投与されるとは、二つの(またはそれを超える)異なる治療剤が、対象の障害に罹患する過程の間に対象に送達されることを意味し、例えば、二つ以上の治療剤は、対象が障害であると診断された後に、および他の理由で障害が治癒するかもしくは除去される前に、または治療が停止する前に、送達される。一部の実施形態では、ある一つの治療剤の送達は、第二の送達が開始する際になおも行われ、それゆえに投与の点で重複がある。これは、本明細書では、時には「同時」または「同時送達」と呼ばれる。他の実施形態では、一方の治療剤の送達は、他方の治療の送達が始まる前に終了する。いずれの場合も一部の実施形態では、併用投与であるがゆえに、治療剤はより有効である。例えば、第二の治療剤はより効果的であり、例えば、より少ない量の第二の治療剤で同等の効果が見られるか、または第二の治療剤は、第二の治療剤が第一の治療剤の非存在下で投与された場合に見られるかもしくは第一の治療剤により類似の状況が見られる場合よりも大きな程度まで、症状および副作用をより低減する。一部の実施形態では、送達は、症状の減少、または障害に関連する他のパラメータの減少が、他方の非存在下で送達される一方の治療剤で観察されるよりも大きくなるようになる。二種の治療剤の効果は、部分的に相加的であるか、全体的に相加的であるか、または相加的よりも大きいものであり得る。送達は、送達される第一の治療剤の効果が、第二の治療剤が送達された時になおも検出可能であるようなものであり得る。
【0123】
本明細書で使用される場合、例えば「治療方法」における「治療」、または「治療する」、または「治療すること」という用語は、治療的な処置を指し、その目的は、疾患または障害の症状または副作用を低減または逆転または予防することである。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物または組成物は、疾患または障害の発症前に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物または組成物は、疾患または障害の発症中または発症後である。
【0124】
これらの実施形態およびその他の実施形態の機能および利点は、以下の実施例からより充分に理解されよう。これらの実施例は、本質的に例示であることが意図されており、本明細書で論じるシステムおよび方法の範囲を限定するものと考えられるべきではない。
【実施例】
【0125】
実施例1:Mycapssaカプセルの作製
【0126】
Mycapssaオクトレオチドカプセルの作製は、特に、共譲渡された米国特許第8,329,198号に記載されている。油性懸濁液(カプセル充填質量)は、オクトレオチド塩に加えて、10%ポリビニルピロリドンK12、15%カプリル酸(オクタン酸)ナトリウム、0.6%塩化マグネシウム、2%ポリソルベート80(Tween80)、4%モノカプリル酸グリセリル、および65.1%トリカプリル酸グリセリルを含有する。
オクトレオチドカプセル(Mycapssa(登録商標)製品)の調製のための製造フローチャートを示す
図1を参照されたい。
【0127】
実施例2:20mgオクトレオチド製剤の異なるコーティングの比較とイヌPK試験の結果
【0128】
本試験では、オクトレオチドのバイオアベイラビリティに及ぼす腸溶コーティングおよび/または透過促進剤の変更の効果を評価した。経口剤形を試験するための適切なモデルであるため、ビーグル犬を動物モデルとして使用した。Mycapssaで使用されるように、カプリン酸ナトリウム(NaC8)の代わりに、様々な腸溶性コートおよび透過促進剤であるカプリン酸ナトリウム(NaC10)を供試した。NaC10は、上皮膜を横断する巨大分子送達を高める際に、より効率的となり得ると考えられる。
【0129】
そのため、この試験では、Mycapssaおよび他の製剤/コーティングのプロトタイプをイヌへ経口投与した後の経口バイオアベイラビリティおよび薬物動態(PK)のパラメータを比較した。様々なプロトタイプを、溶解アッセイにおいてインビトロで、次いでイヌにおいてインビボで試験した。
供試したコーティングを以下の通りとした(本明細書全体を通してさらに詳細を記載)。
【表2】
製剤の変更は以下のとおりとした。
1.カプリル酸ナトリウム(NaC
8)の代わりに、透過促進剤としてカプリン酸ナトリウム(NaC
10)へ。
2.二通りの濃度のNaC
10(15%および20%)。
3.二種の腸溶性コート(NC02、NC04)―Acryl-EZEとは異なる(高い)酸耐性を有する可能性がある。目標―pH4.5まで耐性があり、pH5.5超で溶解する。pH4.5まで耐性という用語は、個別の各カプセルが、pH4.5で(および他のpH値についても同様に)クエン酸溶液中、最大2時間まで10%未満の溶解または0%の溶解を呈さなければならないことを意味する。pH5.5超で溶解という用語は、剤形のコーティングが溶解し、剤形がpH5.5超で(および他のpH値についても同様に)その内容物を放出することを意味する。NC02は、Eudragit/Eudragitである。(これをEudragit/Eudragitと称するのは、Acryl-EZEと同様に、カプセルへの接着を改善するために材料を2通りの異なる速度で噴霧するためである。最初に数mgを低速で噴霧し、次いでコーティングの完全な重量増加を達成するまで噴霧速度を増加させる。各カプセル上のEudragitの総量は、NC02およびNC04では同じである。
【0130】
NC04は、OPADRY ambIIの白色サブコート(第一のコーティング)とEudragit L 30 D-55のトップコート(第二のコーティング)とを含む。
4.NC03:pH6.5超で溶解し意図される目的に適さないことが見出されたEudragit FS30を含む、pH7超で溶解する腸溶性コート。
5.NC05:二種の腸溶性ポリマーを組み合わせた結果、約pH6.5で溶解したコートを得た。このコーティングは、Eudragit FS30とEudragit L 30 D-55との混合物を含む。このコーティングは、溶解プロセスに長い遅延を引き起こし、意図された目的に適さないことが見出された。
実験用カプセルの組成を以下の表1に示す。
【表3】
【0131】
I.溶解試験
分析方法
オクトレオチドカプセル製剤のアッセイおよび不純物/分解生成物を、Aerisペプチド(または同等物)カラムおよびアセトニトリル:水:TFA移動相を介した逆相HPLC-UV/Fluo法によって決定した。カプセル内容物をメタノールで抽出し、希釈し、HPLCに注入した。USP<711>およびPh.Eur.2.9.3に従い、二段階溶解法により、USP-II装置を使用して、薬剤の放出(溶解)プロファイルを決定した。試験を、50rpmで37±0.5℃に維持された900mLの溶解媒体中で実施した。試験は、pH4.5のクエン酸緩衝液中での二時間の酸段階溶解(0.1N HCl、pH1中で試験するMycapssaを除く)と、それに続くpH6.8のリン酸緩衝液中での最大60分間の緩衝液段階溶解とから構成された。製剤F1C4P1については、pH7.2(6.8の代わりに)の緩衝液を使用した。溶解アリコートを、指示された時点で溶解浴から取り出し、HPLCによって分析した。
【0132】
最終製品の試験結果
【0133】
被験製剤のアッセイ/不純物および含量均一性(CU)の結果を、以下の表2に示す。すべての結果は仕様の範囲内であった。
【表4】
【0134】
溶解試験の結果
【0135】
二段階(連続)溶解法を用いた。酸性段階の合格基準は、「2時間で10%超が溶解した個別のカプセルがないこと」であり、緩衝液段階では、45分でQ値75%を設定した。
緩衝液段階(pH6.8)でのプロトタイプの溶解成績を
図2に提示する。
プロトタイプ間で異なる溶解プロファイルが観察された。API放出(%)の平均データを提示する。
【0136】
差が有意であるか否かを評価するために、統計解析を実施した。統計解析の結果では、バッチOCT-CCP-010およびOCT-CCP-013など、信頼区間がオーバーラップするバッチの傾きの間に、統計的に有意な差が見出されないことが示された。バッチOCT-CCP-016は、バッチRB1(Mycapssa)、OCT-CCP-014、OCT-CCP-013、OCT-CCP-012、およびOCT-CCP-010と比べて、有意に遅い放出速度を有する。さらに、OCT-CCP-011は、OCT-CCP-016よりも有意にいっそう遅い放出を呈する。OCT-CCP-011およびOCT-CCP-016を除くすべてのバッチが共に集結して、より速い放出を示すことに留意されたい。
【0137】
Mycapssa製品と同じTPE製剤を充填したカプセルを用いて、一連の5つの異なるコーティング製剤を供試した(第1相の第1群、第2群、第3群、および第4群、第2相の第4群)。様々な実験コートの組成物は、Mycapssaのコート(Acryl-EZEコーティング)と比較して、耐酸性の改善を生じた。Mycapssa腸溶性コートはpH1で安定であったが、pH3超でカプセルを剥離させた(溶解容器に浮いているフィルムが観察された)。他の全ての実験コートが、pH4.5で2時間、開くことなく持ち堪えた。このより高い酸耐性によって、TlagおよびTmaxの変動性がより小さくなった。
【0138】
一部のコート、すなわちNC02およびNC04は、透過促進剤としてのNaC8と組み合わせて、イヌで試験された場合に、Mycapssa製品よりも高いバイオアベイラビリティを生じたことに留意されたい。対照(Mycapssa製品)に対するNC02およびNC04(最良の二種のコート)のイヌPK結果を提示する、下記および
図3を参照されたい。
【0139】
腸溶性フィルムコーティング(NC02、NC04、およびMycapssa)が、NC03およびNC05を除いて低pH(pH5.5未満)で溶解したことから、オクトレオチドの溶解速度は、pH6.8によって制御されず、ゆえに異なるフィルムコーティングの潜在的な異なる吸収速度を予測できない。
【0140】
実験コートNC03およびNC05は、NC02およびNC04よりも高いpHで溶解するように設計された。そのため、それらの溶解プロファイルは、Mycapssa、NC02、およびNC04の群とは明らかに異なっていた。NC05はpH6.8で非常にゆっくりと溶解したが、NC03はpH6.8で全く溶解せず、pH7.2でのその薬物放出プロファイルは、他のすべてのコートよりも遅い。これらの薬剤放出プロファイルの差異により、NC02、NC03、およびMycapssaと比べてTlagおよびTmaxがより長くなった。別の影響は、NC02およびNC04に比べてバイオアベイラビリティが低いことであった。
【0141】
II.動物試験
実験のデザイン
【0142】
MPI Research社の非ナイーブビーグル犬のストックコロニーから得た24頭のオスのビーグル犬(8~12kg)を、10日間の順化期間の後に使用した。すべての動物を、用量投与の少なくとも12時間前から血液試料採取の最初の4時間にわたって絶食させた。第1相の処置1~4および第2相の処置2~4では、イヌの胃を酸性化するため、用量投与の約30分前に、各動物に、ペンタガストリン(0.12mg/mL)の単回皮下(SC)注射を、用量投与レベル0.006mg/kgおよび用量投与体積0.05mL/kgで行った。
各イヌを、58日間のウォッシュアウト期間で、2つの処置(第1相および第2相)に使用した。血液を所定の時点で採取し、処理して血漿とし、-70℃で凍結した。LC-MS/MS法を用いて、オクトレオチド濃度を測定した。
オクトレオチド曝露を、線形台形法を用いて計算した。オクトレオチドSCデータを、経口投与された製剤の相対的オクトレオチドバイオアベイラビリティ(Frel)の計算のための参照として使用した。
【表5】
【0143】
被験カプセルの組成を上記表1に明示する。
【0144】
動物試験
【0145】
動物実験をMPI Research社(米国ミシガン州カラマズー)で実施した。MPI Research社ストックコロニー(8~12kg)から得た非ナイーブビーグル犬を動物モデルとして使用した。
【0146】
被験物質の投与:動物を、用量投与の少なくとも12時間前から血液試料採取の最初の4時間にわたって絶食させた(4時間の採取間隔で最後の血液試料の採取後30分以内に食餌を戻した)。
第1相および第2相の2つの投与相を隔てて58日間があった。
【0147】
カプセル投与:イヌの胃のpHは、ペンタガストリン前処理を用いたヒト絶食胃の良い代替である。胃を酸性化するために、用量投与のおよそ30分前(±5分)に、各動物にペンタガストリン(0.12mg/mL)の単回皮下注射を、用量レベル0.006mg/kgおよび用量体積0.05mL/kgで行った。ペンタガストリンの調製および使用の詳細は、当技術分野で公知である。指定動物に、表3に略述するように、適切な被験物質製剤の単回カプセル投与を行った。
皮下投与:第2相の第1群の指定動物に、0.1mgのサンドスタチンの単回皮下投与を行った。
【0148】
採血:血液試料(およそ2mL/試料)を頸静脈から採集し、K3EDTAを含有するチューブに入れた。採集時点は、SC群に対しては投与前(0時間)ならびにおよそ0.083時間後、0.25時間後、0.5時間後、0.75時間後、1時間後、1.33時間後、1.67時間後、2時間後、2.5時間後、3時間後、4時間後、および5時間後(13個の血液試料)、ならびに経口送達オクトレオチドに対しては投与前(0時間)ならびにおよそ0.5時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、2.5時間後、3時間後、3.5時間後、4時間後、4.5時間後、5.5時間後、6.5時間後、7.5時間後、および9時間後(13個の血液試料)であった。全ての血液試料を、採集後に氷塊(または湿った氷)上に置いた。試料を遠心分離し、得られた血漿を分離し、各500μlのほぼ二等分のアリコートに分けた。各血漿試料を、25μLのアプロチニンを予めロードした予冷チューブ内に入れた。血漿試料を、遠心分離後1時間以内に、予め標識されたプラスチックバイアル中、-60℃~-90℃で凍結した。
【0149】
生体分析:血漿試料の分析を、LC-MS/MS法を用いて実施して、イヌ血清中のオクトレオチドを決定した。
【0150】
薬物動態解析:オクトレオチドの薬物動態パラメータを計算した。最大血漿濃度(Cmax)およびCmaxまでの時間(Tmax)を、データから直接取り込んだ。消失速度定数、λz、および消失半減期(t1/2)を、標準的な方法を用いて計算した。
【0151】
曲線下面積を計算し、吸収遅延時間Tlagを、濃度が≧LOQであった最初のサンプリング時間の後の最初の時間としてデータから直接取り込んだ。最初のサンプリング時点で濃度が≧LOQであった場合、遅延時間を見積もらなかった。
【0152】
SC処置と比較した各経口処置のバイオアベイラビリティFを、AUC(inf)として計算した。
【0153】
薬物動態
【0154】
実験群当たりの動物が少数であったことにより、非常に高い変動性が生じ、この変動性ゆえに、処置間で統計的な有意差を示すことは困難であった。それでも、Mycapssaと他の全ての実験群との間のTlagおよびTmaxの差を指し示すことは可能である。1.76~2~2.74の範囲のTlag中央値、および各群内でより小さなTlag範囲を有する他の実験群と比較すると、MycapssaのTlagははるかに短く、変動性があった(0.51時間の中央値および0.50~3.48時間の範囲)。
【0155】
中央値Tmaxが1.76時間であった対照製剤(Mycapssa)と比較すると、全ての群について中央値はわずかに長く、2.02~3.50時間の範囲内であった。製剤F1C4P1(OCT-CCP-011)は、Mycapssaよりも約2倍長く、3.50時間であった。遅延時間と同様に、口腔処置について範囲間に重複があった
【0156】
第1相における第3群(F1C3P1=OCT-CCP-0012、NC04とも称される)のCmax、AUC(0-t)、およびAUC(inf)の平均値は、対照または他の全ての経口製剤と比較して最も高かった。第1相の第2群の製剤(F1C2P1-OCT-CCP-010、NC02とも称される)は、対照製剤とNC04製剤との間の結果を有した。
【0157】
第1相の第4群(F1C4P1―OCT-CCP-011)は、対照(Mycapssa)よりもCmax、AUC(0-t)、およびAUC(inf)の値が低かった。
【0158】
変動性があったことにより明確なランク付けはできないが、AUC(0-t)に基づくと、試験製剤および対照製剤からのバイオアベイラビリティの全体的なランクの順は、F1C3P1((NC04)>F1C2P1>F1C1P1(対照)>F1C4P1、F1C5P1>F3C2P1>F2C2P1であった。
【0159】
(代替コード:OCT-CCP-0012(NC04)>OCT-CCP-010(NC02)>Mycapssa対照>OCT-CCP-011、OCT-CCP-016>OCT-CCP-014>OCT-CCP-013)
【0160】
Mycapssa製剤であるF
1C
3P1(OCT-CCP-0012)と、OPADRY ambIIホワイトのサブコート(第一のコーティング)およびEudragit L 30 D-55のトップコート(第二のコーティング)である新しいコーティングNC04によりコーティングされたカプセルでは、最良の結果が得られた。また、Mycapssa製剤と共にNC02(コーティングとしてEudragit L 30 D-55のみ)によりコーティングされたカプセルから、良好なバイオアベイラビリティが得られた。
図3を参照されたい。
【0161】
バイオアベイラビリティに及ぼす透過促進剤タイプの影響
【0162】
Mycapssa製品で使用される透過促進剤は、カプリル酸ナトリウム(NaC
8)である。この試験では、透過促進剤としてカプリン酸ナトリウム(NaC
10)をそれぞれ15%および20%のレベルで含んだ2種の製剤(第2相の第2群および第3群)と比較した。これらの実験群を腸溶性コートNC02によりコーティングしたため、同一のコーティングを有したが透過促進剤としてNaC
8を有した第1相の第2群と比較することができる。透過促進剤としてNaC
10を使用することにより、NaC
8を促進剤として含有する製剤と比べて、バイオアベイラビリティが減少した。
二種のコート、すなわちNC02およびNC04は、透過促進剤としてのNaC
8と組み合わせると、イヌで試験された場合に、Mycapssaよりも高いバイオアベイラビリティを生じたことに留意されたい。上記および
図3を参照されたい。このさらに高いバイオアベイラビリティは、緩衝液状態(pH6.8)における溶解プロファイルに基づき予測することができなかった。これは、オクトレオチド溶解速度がpH6.8によって調節されず、それゆえに、Mycapssa、NC02、およびNC04(第1相の第1群、第2群、および第3群)のプロファイルの間に多くの差がなかったためである。
実験コートNC03およびNC05は、NC02およびNC04よりも高いpHで溶解するように設計された。そのため、それらの溶解プロファイルは、Mycapssa、NC02、およびNC04の群とは明らかに異なっていた。NC05はpH6.8で非常にゆっくりと溶解したが、NC03はpH6.8で全く溶解せず、pH7.2でのその薬物放出プロファイルは、他のすべてのコートよりも遅い。これらの薬剤放出プロファイルの差異により、NC02、NC03、およびMycapssaと比べてTlagおよびTmaxがより長くなった。別の影響は、NC02およびNC04に比べてバイオアベイラビリティが低いことであった。
【表6】
【0163】
結論
この試験では、より高いpH(最大pH4.5)でより酸安定性が高い異なる腸溶コーティングのバイオアベイラビリティを評価した。イヌにおける吸収の変動性が高かったことにより、明確なランク付けはできないが、7つ全ての経口製剤の範囲間に重複があったものの、6つの被験製剤は対照と比較して遅延時間およびTmaxの中央値が長かったと言える。
【0164】
バイオアベイラビリティは、NaC8を含む製剤ではNaC10よりも高かったことが見出された。
【0165】
AUC(0-t)に基づいて、様々な腸溶性コートのバイオアベイラビリティの一般的なランク順は、NC04>NC02>Acryl-EZE(Mycapssa)>NC05>NC03であった。第1相の第3群(NC04)のバイオアベイラビリティ推定値は、対照群および他の処置群よりも実質的に大きく(Mycapssaと比較して、およそ二倍のバイオアベイラビリティの増加)、NC02も、Mycapssaと比較してバイオアベイラビリティの有意な増加があった。表4を参照されたい。したがって、NC02コーティングおよびNC04コーティングの両方は、第二世代カプセルと呼ばれるバイオアベイラビリティの向上した経口剤形を作製するために、さらに評価されるものとなることが想定される。
【0166】
実施例3:新しいコーティングを有する30mgオクトレオチドカプセルの作製
前出の実施例2は、最大pH4.5まで酸安定性である新しい改善されたコーティング(NC04)を有するオクトレオチド第二世代20mgカプセルを記載しており、このカプセルは、Mycapssaカプセルと比べて、およそ二倍改善されたバイオアベイラビリティを呈した。
【0167】
これらの20mgカプセルのコーティングに基づいて、より高い投薬量のオクトレオチドを必要とする適応について、この実施例に記載されるのと同じコーティング(NC04)を有する30mgカプセルを開発することを決定した。
【0168】
NC04コーティングを含む20mgカプセルと同様のバイオアベイラビリティを確立する目的で、表5に指定されるように30mgの用量で五つのプロトタイプを製造した。
【表7】
【0169】
30mgオクトレオチドプロトタイプカプセルの製造フローチャートを
図4に示し、HFC親水性画分の組成を表6に示し、OS-油性懸濁液の組成を表7に示す。
【表8】
【表9】
【0170】
サイズ0の硬ゼラチンカプセルへのOSの充填
サイズ0の硬ゼラチンカプセル(HGC)に、600.0mg±2.5%の目標充填重量で、OSを手動で充填した。工程内重量確認を用いて、予め決定された間隔で充填精度を確認した。
【0171】
ゼラチンカプセルのバンディング
ゼラチン粉末(22%)、ポリソルベート80(1.3%)、および灌注用水(76.7%)を含むバンディング溶液を、温度50~55℃で調製した。バンディング溶液の調製後、溶液中の気泡の量を低減するために、低い混合速度で平衡化した。次いで、バンディングをカプセル上に43℃±2℃で適用した。全てのバンド付きカプセルを、真空下で漏出試験に供した。漏出試験に合格したカプセルのみが、コーティング段階に進んだ。
【0172】
新しいコーティング
バイオアベイラビリティが最も高い新しいコーティング製剤(NC04と称される)は、三層フィルムコートからなる。
【0173】
サブコート(第一のコーティング)―OPADRY ambIIホワイト
【0174】
OPADRY ambIIホワイトは、ポリビニルアルコール(PVA)系の高性能防湿フィルムコーティングであり、元々は環境湿度から保護する必要のある経口固形剤形のコーティング用に開発された。
【0175】
これらのカプセルでは、OPADRY ambIIホワイトは、硬ゼラチンカプセル(HGC)への腸溶性フィルムの接着を最適化するために、サブコートとして用いられる。
【0176】
本明細書に示される結果は、このサブコートを用いたAUCの増加を示す。理論に束縛されるものではないが、PVAサブコートは防湿バリアの役割を果たし、カプセルシェルにおいて必要な防湿レベルを維持することが示唆される。防湿バリアの目的は、ゼラチンカプセルシェルが干上がる、すなわち水分を失うのを防ぐことであり、水分は、カプセルが脆くならないように約13%でなければならない。通常、PVAは水分を(特に錠剤について)除外するために使用されるが、本発明では、理論に拘束されることなく、PVAは水分を保持するために使用されている。
【0177】
腸溶コート(第2のコーティング)―Eudragit L 30 D-55
Eudragit L 30 D-55は、官能基としてメタクリル酸を有するアニオン性ポリマーの水性分散体である。これは効果的かつ安定的な腸溶コーティングである。
【0178】
トップコート(第3のコーティング)―タルク
【0179】
タルクは、カプセルのバルクでの保管中の粘着性を防止するために、抗粘着剤として採用される。
【0180】
インビトロ実験を異なるカプセルで行った。イヌにおいて最良のBA結果が、カプセルOCT-CCP-035によって得られたため、このカプセルのインビトロの結果を
図5に示す。
【0181】
図5は、pH6.8でのバッチOCT-CCP-035の溶解を示す。これは、緩衝液段階(リン酸緩衝液、pH6.8)での放出が仕様に適合したことを示す(45分で≧75%)。平均API放出は、45分で111%であった。(100%超の溶解成績がみられたため、この問題を検討したところ、正確なピーク面積よりも高い結果となった方法の試料調製段階で生じた変化に起因することが見出された。)
【0182】
酸性段階pH4.5でのバッチOCT-CCP-035の溶解成績は、120分後に6/6のカプセルの酸抵抗性を示す。新しいコーティングは、pH=4.5でカプセル上に留まる。Mycapssaでは、コーティングはpH=3.5でカプセルから外れ、カプセルは溶解する。
【0183】
酸性段階(クエン酸緩衝液、pH1.2)でのMycapssaカプセルの溶解成績は、120分後に1/6のカプセルからの漏出を示した(最大3.2%のAPI放出)。API放出は基準(120分で<10%)に従った。
【0184】
酸性段階(クエン酸緩衝液、pH4.5)でのMycapssaカプセルの溶解試験成績は、60分後に6/6のカプセルからの漏出を示した。API放出は基準(120分で<10%)に従わなかった。
【0185】
pH6.8(リン酸緩衝液、pH6.8)でのMycapssaカプセルの溶解成績は、基準(45分で≧75%)に従うAPI放出を示した。平均API放出は45分で103%であった。2段階溶解=酸媒体中で2時間、続いて中性緩衝液中で45分。Mycapssaについては、pH1の酸媒体で2時間、続いてpH6.8の緩衝液で45分である。新しいコーティング(NC04)中の30mgオクトレオチドについては、pH4.5の酸媒体中で2時間、続いてpH6.8の緩衝液中で45分である。緩衝液中のMycapssaの溶解は、上記酸曝露が異なっているにもかかわらず、新しいコーティング(NC02)中の30mgオクトレオチドと同じである。
【0186】
ペンタガストリンをオスのビーグル犬に投与した場合のカプセル中のオクトレオチドの相対的なバイオアベイラビリティを、表8と比較する。製剤CHIP4F
4C
3P
1は、それぞれ30mg(第1相)用量および60mg(第2相)用量として投与された際に、それぞれ最も高い相対バイオアベイラビリティ125%および124%を有していた。より少ない量のGTCを含む製剤CHIP4F
5C
3P
1は、次に高いバイオアベイラビリティ94%を有し、製剤CHIP4F
4C
3P
4およびCHIP4F
4C
3P
2は、それぞれ篩過HFおよび噴霧乾燥HFを含み、それぞれ最も低いバイオアベイラビリティ80%および71%を有していた。
【表10】
【0187】
実施例4:テルリプレシンカプセルの作製および試験
【0188】
テルリプレシン(トリグリシルリジンバソプレシンとしても知られる)は、ニューロペプチドホルモンであるバソプレシンの合成類似体であり、8-リジンバソプレシン(LVP)のプロドラッグである。テルリプレシンは、肝硬変による門脈圧亢進を患う人々に発症する食道静脈瘤の急性出血を治療するために、病院で静脈内(iv)注入またはボーラスによって投与され、また、肝腎症候群1型および2型、ならびに肝硬変腹水または重度の肝硬変腹水であり得る腹水に対しても投与される。
【0189】
経口テルリプレシン(TP)カプセルは、30mgオクトレオチドNC04用に開発された製剤に基づき提示される(実施例3)。本試験は、IVボーラス注射(2回漸増用量)および経口カプセル(2回漸増用量)によって投与されたテルリプレシンのイヌにおける薬物動態パラメータを評価した。本実施例は、イヌPK試験に使用されるテルリプレシンカプセルプロトタイプの製造および特徴、ならびにその試験の結果を説明する。
【0190】
三つのプロトタイプを、その投薬量強度(2mgまたは10mg)、ならびに使用されるPVPの量およびタイプ(PVP-12またはPVP K-30)において異なるように製造し、製剤中のPVPの量を、同じ粘度の総製剤となるように調整した)。他の成分(カプリル酸ナトリウム、塩化マグネシウム、ポリソルベート80、モノカプリル酸グリセリル、およびトリカプリル酸グリセリル)の量は、Mycapssa(実施例1)と本質的に同じであった。
【0191】
製造工程
【0192】
テルリプレシンカプセルの製造フローチャートを
図6に図示する。
【0193】
粗親水性画分および親水性画分の調製(HF―疎水性媒体とも呼ばれる)
【0194】
テルリプレシン酢酸塩、PVP-12またはPVP-30、およびMgCl2を水に溶解して、HF-SA溶液を形成した。別途、カプリル酸ナトリウムを水に溶解して、HF-SC溶液を形成した。
透明な溶液を達成した後、灰白色の懸濁液が達成されるまで混合しながらHF-SA溶液とHF-SC溶液とを合一した(HF-SAをHF-SCに添加した)。次いで、懸濁液を凍結乾燥した。凍結乾燥後、乾燥したHFCを100メッシュ(150μm)スクリーンを通して篩別して、HFを形成した。
【0195】
親油性画分(LF)の調製
【0196】
モノカプリル酸グリセロール(GMC)を55℃のオーブンで溶融した。室温下ガラスビーカー中でGMCをポリソルベート80およびトリカプリル酸グリセロール(GTC)と混合することによって、LFを調製した。
【0197】
油性懸濁液(OS)の調製
【0198】
HFを、連続的に撹拌しながらLFに添加し、続いて、高せん断混合を行った。
【0199】
サイズ0硬ゼラチンカプセルへのOSの充填
【0200】
サイズ0の硬ゼラチンカプセルに、600.0mg±2.5%の目標充填重量で、エッペンドルフピペットを用いてOSを手動で充填した。
【0201】
ゼラチンカプセルのバンディング
【0202】
ゼラチン粉末(22%)、ポリソルベート80(1.3%)、および灌注用水(76.7%)を含むバンディング溶液を、温度50~55℃で調製した。バンディング溶液の調製後、溶液中の気泡の量を低減するために、低い混合速度で平衡化した。次いで、バンディングをカプセル上に43℃±2℃で適用した。全てのバンド付きカプセルを漏出試験に供した。漏出試験に合格したカプセルのみが、コーティング段階に進んだ。
【0203】
コーティングプロトタイプの調製
【0204】
各プロトタイプに対して三つのコーティング層を適用した。OPADRY ambIIホワイトをサブコート(第一のコーティング)として適用し、続いてEudragit L 30 D-55をトップコート(第二のコーティング)として、タルクをサードコート(第三のコーティング)として適用した。これら三つのバッチの乾燥コーティング製剤を表9に示す。表9のコーティングはNC04コーティングである。
【0205】
代替的に、テルリプレシンカプセルを、上述のように調製できるが、Eudragitのみのコーティング(NC02)を用いて調製できることに留意されたい。カプセルを上述のように製造し、コーティングを上述のように適用するが、OPADRY amb IIホワイトのコーティング(第一のコーティング)を適用しない。
【表11】
【0206】
PK試験のプロトタイプの最終製品試験の結果を表10に示し、作製されたカプセルの組成を表11に示す。
【表12】
【表13】
【0207】
溶解試験の結果
【0208】
二段階(連続)溶解法を用いた。酸性段階の合格基準は、「2時間で10%超が溶解した個別のカプセルがないこと」であり、緩衝液段階では、45分でQ値75%を設定した。
【0209】
PK試験で使用されるテルリプレシンプロトタイプのpH6.8での溶解成績を、
図7に示す。
【0210】
TP-CCP-002バッチの容器2は、外れ値の結果(30分で2440%放出)を示したため、溶解プロファイルの結果から除外された。容器5内に配置されたカプセルは、酸抵抗性を呈さなかった(120分で40.8%放出)ため、溶解プロファイル結果から除外した。
【0211】
溶解成績:
【0212】
酸性段階(pH4.5)でのバッチTP-CCP-001の溶解成績は、120分後に6/6のカプセルで酸抵抗性を示した。
【0213】
pH6.8でのバッチTP-CCP-001の溶解成績は、基準(45分で≧75%)に従う緩衝液段階(リン酸緩衝液、pH6.8)におけるAPI放出を示した。平均API放出は、45分で87%であった。
【0214】
酸性段階(pH4.5)でのバッチTP-CCP-002の溶解成績は、120分後に5/6のカプセルの酸抵抗性を示した。
【0215】
pH6.8(リン酸緩衝液)でのバッチTP-CCP-002の溶解成績は、基準(45分で≧75%)に従うAPI放出を示した。平均API放出は、45分で96%であった。
【0216】
バッチTP-CCP-003の酸性段階(pH4.5)の溶解成績は、120分後に6/6のカプセルの酸抵抗性を示した。
【0217】
pH6.8(リン酸緩衝液)でのバッチTP-CCP-003の溶解成績は、ICHガイドライン(45分で≧75%)に従う調節放出製品に期待されるよりも低い放出を示した。平均API放出は、45分で72%であった。
【0218】
テルリプレシンカプセルを用いたイヌPK試験
【0219】
テルリプレシンカプセルを用いたイヌPK試験を、基本的に実施例2に記載されるように実施した。主な違いは以下の通りである。
【0220】
被験物質の投与:動物を、用量投与の少なくとも12時間前から血液試料採取の最初の4時間にわたって絶食させた(4時間の採取間隔で最後の血液試料の採取後30分以内に食餌を戻した)。
【0221】
動物への投与を、第1相および第2相として実施した。2つの投与段階を隔てて7日間があった。
【0222】
静脈内投与:第1相(第1群および第2群)の動物に、0.04mgまたは0.2mgのテルリプレシン塩基のグリプレシンの単回静脈内投与(それぞれ0.24mL/頭または1.2mL/頭)を行った。用量投与は、カテーテルを使用して、橈側皮静脈を介した1分間の緩徐な注射によって行った。
【0223】
カプセル投与:胃を酸性化するために、用量投与のおよそ30分前(±5分)に、各動物にペンタガストリン(0.12mg/mL)の単回皮下注射を、用量レベル0.006mg/kgおよび用量体積0.05mL/kgで行った。指定された動物に、上記に略述した適切な被験物質製剤の一つまたは二つのカプセルを投与した。
【0224】
採血:血液試料(およそ3mL/試料)を、以下の時点で頸静脈から採集した:
【0225】
静注:投与前、投与後0.083時間、0.166時間、0.33時間、0.66時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、および9時間。
【0226】
経口カプセル:投与前、投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5.5時間、6.5時間、7.5時間、9時間、および12時間。
【0227】
血液試料を、K2EDTAを含有するチューブに入れた。試料を、試料採取から30分以内に冷却(2~8℃)条件下で遠心分離し、得られた血漿を分離し、ほぼ二等分のアリコートに分けた。各血漿試料を、-60℃~-90℃で凍結するまで、ドライアイス上に配した予め冷却したチューブに入れておいた。テルリプレシンおよびLVPの両方の血漿濃度について生体分析を実施した。
【0228】
血漿試料の生体分析を、イヌ血漿中のテルリプレシンおよび[Lys8]-バソプレシンの定量についてLC-MS/MS法を使用して行った。
【0229】
薬物動態解析を、基本的に実施例2に記載されるように実施した。
【0230】
結果
【0231】
【0232】
表12に示されるように、0.04mgおよび0.2mgの用量でのテルリプレシンの静注投与後、テルリプレシンの算術平均血漿濃度の用量依存的な増加があった。Cmax、AUC(0-t)、およびAUC(inf)の算術平均値は、約5倍増加し、5倍高い用量と一致した。血漿濃度は、低用量で0.67時間、高用量で1.5時間追跡することができた。したがって、0.2mg用量投与後のデータは、ビーグル犬におけるテルリプレシンのPKをより代表するものと考えられるべきである。算術平均t1/2は、0.04mgコホートでは0.074時間、0.2mgコホートでは0.232時間であった(表10C)。この差は、より長い期間により高い用量群について濃度≧LOQであったことに起因する可能性が最も高い。
【0233】
LVPの算術平均血漿濃度も用量依存的な様式で増加したが、Cmaxの増加(3.9倍)および両方のAUCの増加(3.7倍)は、5倍の用量増加よりも小さかった。算術平均t
1/2は、両方の用量で本質的に同じであり、それぞれ0.65時間および0.68時間、0.04mgおよび0.2mgであった。
第2相
【表15】
【0234】
表13に示されるように、2mgのカプセルの経口投与後(第1群)、血漿中テルリプレシンは、多くのイヌには検出することができず、またそれらのイヌでは、濃度≧LOQの数が少な過ぎて(≦3)PK解析を行うことができなかった。
【0235】
第2群および第3群の両方に、二種のテルリプレシン10mgカプセルを投与した。2種のカプセル製剤間の唯一の違いは、製剤TP-02におけるPVP-12の使用、および製剤TP-03におけるPVP-K30の使用であった。第2群(TP-02)の算術平均血漿中テルリプレシン濃度は、第3群(TP-03)のそれよりも高かった。第2群の動物は、第3群の動物よりもおよそ2倍高い算術平均Cmax、AUC(0-t)、およびAUC(inf)を有した。TlagおよびTmaxの中央値および範囲は、2回の10mg用量投与の両方に対して同等であった。これらの群のAUC(inf)および第1相の第2群(0.2mg静注)のAUC(inf)に基づくと、バイオアベイラビリティは、第3群よりも第2群の方が高かった。
【0236】
血漿中LVP濃度は、3群全てについて検出可能であったが、2mg用量投与後の算術平均濃度(第1群)は、20mgを投与された2群(第2群―TP-02群、第3群―TP-03群)よりも実質的に低かった。2mg用量投与とどちらかの20mg用量投与との間の算術平均Cmax、AUC(0-t)、およびAUC(inf)の増加は、用量に比例するよりもかなり大きかった。TlagおよびTmaxの中央値および範囲は、両方の20mg用量投与について同等であった。用量は同じ20mgであったが、TP-02製剤由来のLVPへの曝露は、TP-03製剤由来の曝露よりも>5倍高かった。
【0237】
バイオアベイラビリティは、TP-02が最も高く、続いてTP-03、次いでTP-01であった。
【0238】
結論
【0239】
テルリプレシンおよびLVPに対する生体分析法の感度は、それぞれ0.04mgおよび20mgという低い静注投与および経口投与の後の血漿濃度の決定に適しているようである。
【0240】
テルリプレシンおよびLVPのPKは、0.04mg用量および0.2mg用量の静注投与後に線形であるようである。
【0241】
2mgの経口投与後のテルリプレシンの血漿中濃度は、試料の大部分で<LOQであり、PKを決定することができなかった。したがって、経口投与後の線形性を評価することはできなかった。二種の経口20mg用量(2×10mgカプセル)、すなわちTP-02およびTP-03は、異なる程度の曝露をもたらし、TP-02のテルリプレシンのバイオアベイラビリティは、TP-03のバイオアベイラビリティよりも高かった。
【0242】
LVPのPKは、2mg製剤および20mg製剤の両方について決定することができた。2mg製剤とどちらかの20mg製剤との間の算術平均Cmax、AUC(0-t)、およびAUC(inf)の増加は、用量に比例するよりもかなり大きかったが、このことは非線形的な吸収を示唆している。LVPのバイオアベイラビリティは、TP-02が最も高く、次いでTP-03であった。
【0243】
PVP-K30を含有する製剤と比較して、PVP-12を含有する製剤によって明確な利点が示された。
【0244】
実施例5:作製されたオクトレオチドカプセルおよびテルリプレシンカプセルの説明
【0245】
改善されたコーティングの組合せにより作製された単一のオクトレオチドカプセルおよび単一のテルリプレシンカプセルの成分を表14に示す。
【表16】
【0246】
備考:代替的に、カプセルは、上述のように作製され得るが、第一のコーティングを有さない(すなわち、OPADRY amb IIを有さない)。これにより、Eudragit 30 D-55(およびTEC)のみでコーティングされたカプセルが得られ、その後、そのコーティングの上にタルクが適用される。
実施形態
1.治療剤を含有するカプセルを含む経口剤形であって、カプセルが、ポリビニルアルコールを含む第一のコーティングを含み、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体(一般にEudragit L100と称される)を含む第一のコーティング上の第二のコーティングをさらに含む、経口剤形。
2.分散体が、1.4:1~1:1.4のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体の範囲である、実施形態1に記載の経口剤形。
3.分散体が、1.2:1~1:1.2のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体の範囲である、実施形態2に記載の経口剤形。
4.分散体が、1:1のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体である、実施形態1に記載の経口剤形。
5.ポリビニルアルコールが部分的に加水分解される、実施形態1に記載の経口剤形。
6.ポリビニルアルコールが、20,000~35,000、好ましくは26,300~30,000の分子量を有する、実施形態1に記載の経口剤形。
7.メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体が、30,000と40,000との間、好ましくは約34000の分子量を有する、実施形態1に記載の経口剤形。
8.タルクを含む第二のコーティングの上に第三のコーティングをさらに含む、実施形態1に記載の経口剤形。
9.カプセルが、ゼラチン、例えば硬ゼラチンカプセルまたはHPMCからなる、実施形態1に記載の経口剤形。
10.第二のコーティングが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80をさらに含む、実施形態1に記載の経口剤形。
11.第二のコーティングが重炭酸ナトリウムを含まない、実施形態1に記載の経口剤形。
12.第二のコーティングが、二酸化チタンを含まない、実施形態1に記載の経口剤形。
13.第一のコーティングが、タルク、グリセロールモノカプリロカプレート1型、およびラウリル硫酸ナトリウムをさらに含む、実施形態1に記載の経口剤形。
14.第二のコーティングが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80を含む、実施形態13に記載の経口剤形。
15.治療剤がポリペプチドである、実施形態1に記載の経口剤形。
16.治療剤がポリペプチドである、実施形態14に記載の経口剤形。
17.ポリペプチドが、テルリプレシンもしくはその類似体、またはオクトレオチドもしくはその類似体である、実施形態15に記載の経口剤形。
18.ポリペプチドが、テルリプレシンもしくはその類似体、またはオクトレオチドもしくはその類似体である、実施形態16に記載の経口剤形。
19.ポリペプチドが、テルリプレシンまたはその塩である、実施形態15に記載の経口剤形。
20.ポリペプチドが、オクトレオチドまたはその塩である、実施形態15に記載の経口剤形。
21.経口剤形がゼラチンカプセルである、実施形態15に記載の経口剤形。
22.経口剤形が、硬ゼラチンカプセルである、実施形態21に記載の経口剤形。
23.テルリプレシンが、カプセル当たり5~50mg、好ましくは10mg、または20mg、または30mgで存在する、実施形態19に記載の経口剤形。
24.オクトレオチドが、カプセル当たり5~50mg、好ましくは10mg、または20mg、または30mgで存在する、実施形態20に記載の経口剤形。
25.治療有効量の実施形態19に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、低血圧、または門脈圧亢進、または静脈瘤出血、または肝腎症候群、または腹水(具体的には重度の肝硬変腹水)、またはそれらの組合せを患う対象の治療方法。
26.治療有効量の実施形態20に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、先端巨大症または神経内分泌腫瘍を患う対象の治療方法。
27.治療有効量の実施形態20に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、下痢および/または潮紅などの神経内分泌腫瘍の症状を患う対象の治療方法。
28.第一のコーティングが、40~80%のポリビニルアルコール、20~55%のタルク、1~20%のモノカプリル酸グリセロール、および1~5%のラウリル硫酸ナトリウムを含み、第二のコーティングが、80~99.0%のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.1%~2%のラウリル硫酸ナトリウム、および0.5~4%のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、実施形態1~5に記載の経口剤形。
29.第一のコーティングが、50~60%のポリビニルアルコール、30~40%のタルク、4~10%のモノカプリル酸グリセロール、および2~4%のラウリル硫酸ナトリウムを含み、第二のコーティングが、90~99.0%のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.3%~1%のラウリル硫酸ナトリウム、および1~3%のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、実施形態1~5に記載の経口剤形。
30.カプセルコーティングが、第一のコーティングとして、57.0%のポリビニルアルコール、34.0%のタルク、6%のモノカプリル酸グリセロール、および3%のラウリル硫酸ナトリウムを含有し、第二のコーティングが、97.0%のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.7%のラウリル硫酸ナトリウム、および2.3%のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、実施形態1~5に記載の経口剤形。
31.クエン酸トリエチルが、第二のコーティングの5~30%の量で存在する、実施形態28~30に記載の経口剤形。
32.クエン酸トリエチルが、第二のコーティングの10~20%、好ましくは第二のコーティングの約17%、最も好ましくは16.9%(カプセル当たり8mg)の量で存在する、実施形態28~30に記載の経口剤形。
33.第三のコーティングをさらに含む、実施形態28~32に記載の経口剤形。
34.第三のコーティングがタルクである、実施形態33に記載の経口剤形。
35.タルクが、カプセル当たり0.1~3mg、好ましくはカプセル当たり0.5~2mg、最も好ましくはカプセル当たり1mgの量で存在する、実施形態34に記載の経口剤形。
36.治療剤を含有する腸溶コーティングカプセルを生産する方法であって、ポリビニルアルコール、タルク、モノカプリル酸グリセロール、およびラウリル硫酸ナトリウムを含む第一のコーティングをカプセルに適用することと、第一のコーティングの上に第二のコーティングをさらに適用することとを含み、第二のコーティングが、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、およびクエン酸トリエチルを含む、方法。
37.第二のコーティングの上に第三のコーティングを適用することをさらに含み、第三のコーティングがタルクである、実施形態36に記載の方法。
38.治療剤がポリペプチドである、実施形態36に記載の方法。
39.ポリペプチドが、テルリプレシンまたはオクトレオチドである、実施形態38に記載の方法。
40.治療剤を含有するペレットを含有するカプセルまたは錠剤またはサシェを含む経口剤形であって、ペレットが、ポリビニルアルコールを含む第一のコーティングを含み、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体(一般に、Eudragit L100と称される)を含む第一のコーティング上の第二のコーティングをさらに含む、経口剤形。
41.治療剤がポリペプチドである、実施形態40に記載の経口剤形。
42.ポリペプチドが、オクトレオチドまたはテルリプレシンである、実施形態41に記載の経口剤形。
43.ペレットが、中鎖脂肪酸塩およびポリビニルピロリドン(PVP)を含む、実施形態40に記載の経口剤形。
44.治療剤を含む製剤を含有するカプセルを含む経口剤形であって、カプセルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)
またはシェラックを含む第一のコーティングを含み、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体を含む第一のコーティング上の第二のコーティングをさらに含む、経口剤形。
45.治療剤がポリペプチドである、実施形態44に記載の経口剤形。
46.ポリペプチドが、オクトレオチドまたはテルリプレシンである、実施形態45に記載の経口剤形。
47.製剤が、中鎖脂肪酸塩およびポリビニルピロリドン(PVP)を含む、実施形態44に記載の経口剤形。
48.第三のコーティングをさらに含む、実施形態44に記載の経口剤形。
49.第三のコーティングがタルクである、実施形態48に記載の経口剤形。
50.実施形態1~26、28~35、または40~49に記載の経口剤形のいずれか一つを対象に投与することを含み、投与量が、一日に一回、二回、または三回投与される、対象の治療方法。
51.投与が、食事の少なくとも1時間前または食事の少なくとも2時間後に行われる、実施形態50に記載の治療方法。
52.投与が空の胃上で行われる、実施形態50に記載の治療方法。
53.疎水性油性媒体と固体形態との混和物を含む懸濁液を含むカプセルを含む経口剤形であって、固体形態が、治療有効量のポリペプチドと、少なくとも10重量%の量の中鎖脂肪酸の少なくとも一つの塩と、少なくとも3重量%以上の量のポリビニルピロリドン(PVP)とを含み、カプセルが、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体(一般に、Eudragit L100と称される)を含むコーティングを含む、経口剤形。
54.分散体が、1.4:1~1:1.4のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体の範囲である、実施形態53に記載の経口剤形。
55.分散体が、1.2:1~1:1.2のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体の範囲である、実施形態53に記載の経口剤形。
56.分散体が、1:1のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体である、実施形態53に記載の経口剤形。
57.メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体が、30,000と40,000との間、好ましくは約34000の分子量を有する、実施形態53に記載の経口剤形。
58.タルクを含むコーティングの上に別のコーティングをさらに含む、実施形態53に記載の経口剤形。
59.カプセルが、ゼラチン、例えば硬ゼラチンカプセルまたはHPMCからなる、実施形態53に記載の経口剤形。
60.コーティングが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80をさらに含む、実施形態53に記載の経口剤形。
61.コーティングが重炭酸ナトリウムを含まない、実施形態1に記載の経口剤形。
62.コーティングが、二酸化チタンを含まない、実施形態53に記載の経口剤形。
63.治療剤がポリペプチドである、実施形態53に記載の経口剤形。
64.治療剤がポリペプチドである、実施形態60に記載の経口剤形。
65.ポリペプチドが、テルリプレシンもしくはその類似体、またはオクトレオチドもしくはその類似体である、実施形態63に記載の経口剤形。
66.ポリペプチドが、テルリプレシンもしくはその類似体、またはオクトレオチドもしくはその類似体である、実施形態64に記載の経口剤形。
67.ポリペプチドが、テルリプレシンまたはその塩である、実施形態66に記載の経口剤形。
68.ポリペプチドが、オクトレオチドまたはその塩である、実施形態66に記載の経口剤形。
69.経口剤形がゼラチンカプセルである、実施形態60に記載の経口剤形。
70.経口剤形が、硬ゼラチンカプセルである、実施形態69に記載の経口剤形。
71.テルリプレシンが、カプセル当たり5~50mg、好ましくはカプセル当たり10mg、または20mg、または30mgで存在する、実施形態66に記載の経口剤形。
72.オクトレオチドが、カプセル当たり5~50mg、好ましくはカプセル当たり10mg、または20mg、または30mgで存在する、実施形態68に記載の経口剤形。
73.治療有効量の実施形態67に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、低血圧、または門脈圧亢進、または静脈瘤出血、または肝腎症候群、または腹水(具体的には重度の肝硬変腹水)、またはそれらの組合せを患う対象の治療方法。
74.治療有効量の実施形態68に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、先端巨大症または神経内分泌腫瘍を患う対象の治療方法。
75.治療有効量の実施形態68に記載の経口剤形を対象に投与することを含む、下痢および/または潮紅などの神経内分泌腫瘍の症状を患う対象の治療方法。
76.コーティングが、80~99.0%のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.1%~2%のラウリル硫酸ナトリウム、および0.5~4%のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、実施形態53~72に記載の経口剤形。
77.コーティングが、90~99.0%のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.3%~1%のラウリル硫酸ナトリウム、および1~3%のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、実施形態1~5に記載の経口剤形。
78.カプセルコーティングが、97.0%のメタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、0.7%のラウリル硫酸ナトリウム、および2.3%のポリソルベート、ならびにさらにクエン酸トリエチルを含む、実施形態1~5に記載の経口剤形。
79.クエン酸トリエチルが、コーティングの5~30%の量で存在する、実施形態28~30に記載の経口剤形。
80.クエン酸トリエチルが、コーティングの10~20%、好ましくは第二の約17%、最も好ましくは16.9%(カプセル当たり8mg)の量で存在する、実施形態28~30に記載の経口剤形。
81.追加のコーティングを含む、実施形態28~32に記載の経口剤形。
82.追加のコーティングがタルクである、実施形態33に記載の経口剤形。
83.タルクが、カプセル当たり0.1~3mg、好ましくはカプセル当たり0.5~2mg、最も好ましくはカプセル当たり1mgの量で存在する、実施形態34に記載の経口剤形。
84.治療剤を含有する腸溶コーティングカプセルを生産する方法であって、ポリビニルアルコール、タルク、モノカプリル酸グリセロール、およびラウリル硫酸ナトリウムを含む第一のコーティングをカプセルに適用することと、第一のコーティングの上に第二のコーティングをさらに適用することとを含み、第二のコーティングが、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体分散体、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、およびクエン酸トリエチルを含む、方法。
85.コーティングの上に追加のコーティングを適用することをさらに含み、追加のコーティングがタルクである、実施形態36に記載の方法。
86.治療剤がポリペプチドである、実施形態36に記載の方法。
87.ポリペプチドが、オクトレオチドまたはテルリプレシンである、実施形態86に記載の方法。
88.上記の経口剤形のいずれかを患者に投与することによる、転移性カルチノイド腫瘍に関連する重度の下痢および/または潮紅のエピソードを患う患者の治療方法であって、経口剤形が治療有効量のオクトレオチドを含有する、方法。
89.投与が、食事の少なくとも1時間前または食事の少なくとも2時間後に行われる、実施形態88に記載の治療方法。
90.投与が空の胃上で行われる、実施形態88に記載の治療方法。
91.投与が、一日当たり10~80mgである、実施形態88に記載の治療方法。
92.投与が、一日当たり10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、または80mgである、実施形態88に記載の治療方法。
【国際調査報告】