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特表2025-504553自動車のためのブレーキシステム及びブレーキシステムのためのアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】自動車のためのブレーキシステム及びブレーキシステムのためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/40 20060101AFI20250204BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20250204BHJP
   B60T 13/16 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
B60T8/40 C
B60T13/138 A
B60T13/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544662
(86)(22)【出願日】2023-02-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 DE2023200026
(87)【国際公開番号】W WO2023151767
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】102022201471.5
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Continental-Plaza 1, 30175 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ビラー・ハーラルト
【テーマコード(参考)】
3D048
3D246
【Fターム(参考)】
3D048BB52
3D048CC54
3D048HH15
3D048HH18
3D048HH26
3D048HH53
3D048HH66
3D048HH68
3D048PP01
3D048RR06
3D246BA02
3D246CA02
3D246GA14
3D246GB37
3D246HA45A
3D246LA04Z
3D246LA19Z
3D246LA23A
3D246LA33Z
3D246LA52Z
3D246LA57Z
3D246LA61Z
3D246LA63Z
3D246LA73Z
(57)【要約】
第1の電気作動式圧力源(5)と、ブレーキペダル(12)によって作動され得るマスターブレーキシリンダ(1)とが配置された第1のアセンブリ(100)と、ホイールブレーキごとに第2の電気作動式圧力源(2)と電気作動式入口弁(6a~6d)とが配置された第2のアセンブリ(200)とを備える、自動車のためのブレーキシステムにおいて、第2の電気作動式圧力源(2)が入口弁(6a~6d)に油圧的に接続され、第1のアセンブリ(100)がホイールブレーキ(8a~8d)を作動させるためのブレーキ圧力を第2のアセンブリ(200)に伝達するための単一の圧力ポート(60)を備え、第1の圧力源(5)及びマスターブレーキシリンダ(1)がシステム圧力ライン(38)を介して圧力ポート(60)に接続される、ブレーキシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの油圧作動式ホイールブレーキ(8a~8d)のための、自動車のためのブレーキシステムであって、
第1の電気作動式圧力源(5)とブレーキペダル(12)によって作動され得るマスターブレーキシリンダ(1)とが配置された第1のアセンブリ(100)と、
第2の電気作動式圧力源(2)とホイールブレーキごとの少なくとも1つの電気作動式入口弁(6a~6d)とが配置された第2のアセンブリ(200)であって、前記第2の電気作動式圧力源(2)が前記入口弁(6a~6d)に油圧的に接続される、第2のアセンブリ(200)と
を備える、ブレーキシステムにおいて、
前記第1のアセンブリ(100)が、前記ホイールブレーキ(8a~8d)を作動させるためのブレーキ圧力を前記第2のアセンブリ(200)に伝達するための多くとも1つの圧力ポート(60)であって、前記第1の圧力源(5)と前記マスターブレーキシリンダ(1)とが、システム圧力ライン(38)を介して前記圧力ポート(60)に接続される、圧力ポート(60)を備えることを特徴とする、ブレーキシステム。
【請求項2】
すべての前記入口弁(6a~6d)が、前記第1のアセンブリ(100)の前記単一の圧力ポート(60)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項3】
前記第1のアセンブリ(100)と前記第2のアセンブリ(200)とが、多くとも1つの耐圧油圧接続要素(80)によって相互接続され、前記耐圧油圧接続要素(80)が、前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)に接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のブレーキシステム。
【請求項4】
前記第1のアセンブリ(100)が、前記マスターブレーキシリンダ(1)を前記システム圧力ライン(38)に接続する電気作動式分離弁(23)、前記第1の圧力源(5)を前記システム圧力ライン(38)に接続する電気作動式シーケンス弁(27)、前記マスターブレーキシリンダ(1)を前記第1のアセンブリ(100)に配置されたシミュレータ(3)に油圧的に接続する電気作動式シミュレータ弁(28)以外に別の電気作動式バルブを持たないことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項5】
前記第1のアセンブリ(100)が、追加的に、前記第1のアセンブリ(100)上に配置された、大気圧下にある圧力媒体リザーバ(4)に接続するための均圧化ポート(63)を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項6】
前記ブレーキペダル(12)が作動されず、前記第1のアセンブリ(100)が通電停止されるとき、前記圧力ポート(60)が、特に前記マスターブレーキシリンダ(1)の少なくとも1つの拡張ポートによって、大気圧下にある圧力媒体リザーバ(4)に接続されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項7】
前記ホイールブレーキ(8a~8d)に接続するために、前記第2のアセンブリ(200)が、ホイールブレーキごとの油圧ホイールポート(9a~9d)と、特に前記第1のアセンブリ(100)上に配置された圧力媒体リザーバ(4)に接続するための均圧化ポート(62)と、特に前記第1のアセンブリ(100)に接続するための唯一の圧力ポート(61)であって、前記第2のアセンブリ(200)の前記圧力ポート(61)が、前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)に接続される、圧力ポート(61)とを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項8】
前記第1のアセンブリ(100)の前記均圧化ポート(63)及び前記第2のアセンブリ(200)の前記均圧化ポート(62)が、前記圧力媒体リザーバ(4)の異なるチャンバ(401、402)に接続されることを特徴とする、請求項7に記載のブレーキシステム。
【請求項9】
前記第2のアセンブリ(200)において、ブレーキ供給ライン(13)が、前記第2のアセンブリ(200)の前記圧力ポート(61)及び前記第2の圧力源(2)に前記少なくとも2つの入口弁(6a~6d)を接続することを特徴とする、請求項7又は8に記載のブレーキシステム。
【請求項10】
前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)が、前記第2のアセンブリ(200)に配置された第2の電気作動式分離弁(26)によって前記ブレーキ供給ライン(13)に接続されることを特徴とする、請求項9に記載のブレーキシステム。
【請求項11】
前記第2のアセンブリ(200)に配置された電気作動式回路分離弁(40)が、前記回路分離弁(40)を閉じると前記ブレーキ供給ライン(13)が第1のライン部分(13a)と第2のライン部分(13b)とに油圧的に分離され、前記第1のライン部分(13a)が前記第2の圧力源(2)と前記少なくとも2つの入口弁のうちの少なくとも1つ(6a、6b)に油圧的に接続され、前記第2のライン部分(13b)が前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)と前記少なくとも2つの入口弁のうちの他の入口弁(6c、6d)とに油圧的に接続されるように前記ブレーキ供給ライン(13)に配置されることを特徴とする、請求項9又は10に記載のブレーキシステム。
【請求項12】
前記第2のアセンブリ(200)において、前記ブレーキ供給ライン(13)における圧力を測定する圧力センサ(19)が配置されることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項13】
前記第1のアセンブリ(100)が、請求項14~19のいずれか一項に記載のアセンブリの形態をしていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のブレーキシステム。
【請求項14】
第1の電気作動式圧力源(5)と、ブレーキペダル(12)によって作動され得るマスターブレーキシリンダ(1)とが配置された、少なくとも2つの油圧作動式ホイールブレーキ(8a~8d)のためのブレーキシステムのためのアセンブリ(100)において、前記アセンブリ(100)が、ブレーキ圧力を前記ホイールブレーキ(8a~8d)に伝達するための多くとも1つの圧力ポート(60)であって、前記第1の圧力源(5)及び前記マスターブレーキシリンダ(1)が、システム圧力ライン(38)によって前記圧力ポート(60)に接続される、圧力ポート(60)を備えることを特徴とする、アセンブリ(100)。
【請求項15】
前記圧力源(5)が、電気作動式シーケンス弁(27)によって前記圧力ポート(60)に接続されることを特徴とする、請求項14に記載のアセンブリ(100)。
【請求項16】
前記アセンブリが、電気作動式シミュレータ弁(28)によって前記マスターブレーキシリンダ(1)に接続されたシミュレータ(3)を備えることと、前記マスターブレーキシリンダ(1)が、電気作動式分離弁(23)によって前記圧力ポート(60)に接続されることとを特徴とする、請求項14又は15に記載のアセンブリ(100)。
【請求項17】
前記マスターブレーキシリンダ(1)と前記圧力ポート(60)との間の前記油圧接続には、前記分離弁(23)以外の更なる電気作動式バルブは配置されないことを特徴とする、請求項16に記載のアセンブリ(100)。
【請求項18】
前記アセンブリ(100)が、前記分離弁(23)、前記シーケンス弁(27)、及び前記シミュレータ弁(28)以外に別の電気作動式バルブを持たないことを特徴とする、請求項16又は17に記載のアセンブリ(100)。
【請求項19】
前記アセンブリが、前記ブレーキペダル(12)が作動されず、前記アセンブリ(100)が通電停止されるときに、前記圧力ポート(60)が、圧力媒体リザーバ(4)への接続のために前記アセンブリ(100)の均圧化ポート(63)に接続されるように構成されることを特徴とする、請求項14~18のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキペダルで作動可能なマスターブレーキシリンダと、第1の電気作動式圧力源と、第2の電気作動式圧力源と、ホイールブレーキごとの電気作動式入口弁とを備える、自動車のためのブレーキシステムに関する。本発明は、更に、電気作動式圧力源と、ブレーキペダルによって作動され得るマスターブレーキシリンダとを備える、ブレーキシステムのためのアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102018222478A1号明細書は、ブレーキペダルで作動可能なマスターブレーキシリンダと、2つの電気制御式圧力源と、ホイールブレーキごとの入口弁とを備えるブレーキシステムであって、マスターブレーキシリンダと電気制御式圧力源のうちの1つとが第1のアセンブリに配置され、他の電気制御式圧力源及び入口弁が第2のアセンブリに配置される、ブレーキシステムを開示している。このケースでは、第1のアセンブリと第2のアセンブリとは、少なくとも2つの耐圧油圧接続要素によって相互接続される。これに対応して、第1のアセンブリは2つ以上の圧力ポートを備え、2つ以上の圧力ポートを介して、ブレーキ圧力が第1のアセンブリから第2のアセンブリに伝達されて、ホイールブレーキを作動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、費用効果の高い仕方で製造され得る、改善されたブレーキシステムと、油圧作動式ホイールブレーキのための、ブレーキシステムのための改善されたアセンブリとを提供することである。更に、高度な自動運転に必要なブレーキシステムは、高い可用性を提供する必要がある。
【0004】
本発明の別の目的は、ブレーキシステムの油圧接続の数、特にアセンブリ間における油圧接続の数、及びブレーキシステムのアセンブリの油圧接続又はポートの数を最小限に抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、本発明によれば、請求項1に記載のブレーキシステム及び請求項14に記載のアセンブリによって達成される。
【0006】
本発明は、ブレーキシステムが、第1の電気作動式圧力源とブレーキペダルによって作動され得るマスターブレーキシリンダとが配置された第1のアセンブリを備え、またホイールブレーキごとに第2の電気作動式圧力源と少なくとも1つの電気作動式入口弁とが配置された第2のアセンブリであって、第2の電気作動式圧力源が入口弁に油圧的に接続される、第2のアセンブリを備えるという概念に基づくものである。この場合、第1のアセンブリは、ホイールブレーキを作動させるためのブレーキ圧力を第2のアセンブリに伝達するための多くとも1つの圧力ポートであって、第1の圧力源及びマスターブレーキシリンダが、システム圧力ラインを介してこの圧力ポートに接続される、圧力ポートを備える。換言すれば、第1の圧力源及びマスターブレーキシリンダは、第1のアセンブリの単一の圧力ポートに一緒に接続される。
【0007】
ブレーキシステムは、2つの電気作動式圧力源によって、高度に自動化された運転が可能であり、完全な電気的故障の場合に、機械式/油圧式フォールバックモードも提供されるという利点を提供する。この場合、個々のアセンブリのポート/油圧接続の数が少ないことに起因して、ブレーキシステムは費用効率の高い仕方で製造され得る。
【0008】
ブレーキシステムは、自動車のための少なくとも2つの油圧作動式ホイールブレーキのために構成される。好ましくは、ブレーキシステムは、少なくとも4つの油圧作動式ホイールブレーキのためのブレーキシステムである。そして、第2のアセンブリは、ホイールブレーキごとに少なくとも1つの電気作動式入口弁を備え、第2の電気作動式圧力源は少なくとも4つの入口弁に油圧的に接続される。
【0009】
ブレーキシステムは、好ましくは、大気圧下にある圧力媒体リザーバを備える。圧力媒体リザーバは、特に好ましくは、第1のアセンブリ上に配置される。
【0010】
好ましくは、ブレーキシステムは、ホイールブレーキごとに1つの出口弁を備え、この出口弁によって、各ホイールブレーキが圧力媒体リザーバに接続される。
【0011】
好ましくは、すべての入口弁が第1のアセンブリの単一の圧力ポートに接続される。よって、すべての入口弁は、第1の電気作動式圧力源又はマスターブレーキシリンダのいずれかによって作動され得る。
【0012】
好ましくは、第1の圧力源及びマスターブレーキシリンダは、第1のアセンブリの内部にあるシステム圧力ラインを介して圧力ポートに接続される。
【0013】
本発明によるブレーキシステムの1つの好ましい発展形態によれば、第1のアセンブリと第2のアセンブリとは、多くとも1つの耐圧油圧接続要素によって相互接続され、耐圧油圧接続要素は、第1のアセンブリの圧力ポートに接続される。
【0014】
特に好ましくは、すべての入口弁が、第2のアセンブリに配置されたブレーキ供給ラインに接続され、ブレーキ供給ラインは、特に耐圧油圧接続要素を介して、第1のアセンブリの単一の圧力ポートに接続される。
【0015】
好ましくは、第1のアセンブリは、圧力ポートのみを介して、第2のアセンブリと耐圧的に接続される。
【0016】
好ましくは、第1の圧力源は、第1の圧力源が故障した場合に圧力媒体がこの接続に流れ込まないように圧力ポートに接続される。
【0017】
好ましくは、第1の圧力源は、第1のアセンブリに配置された電気作動式シーケンス弁を介してシステム圧力ラインに接続される。特に好ましくは、シーケンス弁は、常時閉となるように構成される。
【0018】
好ましくは、圧力ポートは、圧力媒体リザーバに接続され得る。特に好ましくは、圧力ポートは、マスターブレーキシリンダを介して圧力媒体リザーバに接続され得る。
【0019】
本発明によるブレーキシステムの1つの好ましい発展形態によれば、ブレーキペダルが作動されず、第1のアセンブリが通電停止されるとき、圧力ポートは圧力媒体リザーバに接続される。特に好ましくは、ブレーキペダルが作動されず、第1のアセンブリが通電停止されるとき、圧力ポートは、マスターブレーキシリンダを介して圧力媒体リザーバに接続される。よって、このような状況では、圧力ポート、ひいては接続されたホイールブレーキは減圧される。
【0020】
好ましくは、マスターブレーキシリンダは、少なくとも1つの拡張ポートを備え、少なくとも1つの拡張ポートを介して、ブレーキペダルが作動されないとき、マスターブレーキシリンダの圧力チャンバが圧力媒体リザーバに接続される。
【0021】
マスターブレーキシリンダ又はその圧力チャンバは、好ましくは、第1のアセンブリに配置された電気作動式分離弁を介して、システム圧力ライン又は圧力ポートに接続される。特に好ましくは、分離弁は、第1のアセンブリが通電停止されるときに圧力媒体リザーバへの接続を確保するために、常時開となるように構成される。
【0022】
マスターブレーキシリンダに油圧的に接続されたシミュレータが、好ましくは、第1のアセンブリに配置される。シミュレータは、バイワイヤ動作モードで運転者にブレーキペダル感覚を提供する。
【0023】
マスターブレーキシリンダは、好ましくは、電気作動式シミュレータ弁を介してシミュレータに接続される。シミュレータ弁は、特に好ましくは、第1のアセンブリに配置される。シミュレータ弁は、特に好ましくは、第1のアセンブリが通電停止されるときに、シミュレータがスイッチオフにされて圧力媒体を受け入れることができないように、常時閉となるように構成される。
【0024】
好ましくは、第1のアセンブリは、追加的に、圧力媒体リザーバに接続するための均圧化ポートを備える。特に好ましくは、第1のアセンブリは、圧力ポート及び均圧化ポート以外に別の油圧ポートを持たない。
【0025】
マスターブレーキシリンダの拡張ポートは、好ましくは、均圧化ポートに接続される。
【0026】
好ましくは、第1の電気作動式圧力源は、特に好ましくは第1の圧力源の側で開く逆止弁を介して、圧力媒体を補充することができるように均圧化ポートに接続される。逆止弁は、特に好ましくは、第1のアセンブリに配置される。
【0027】
或いは、第1のアセンブリは、圧力ポートに加えて、圧力媒体リザーバに接続するための第1の均圧化ポートと、圧力媒体リザーバに接続するための第2の均圧化ポートとを備えることが好ましい。特に好ましくは、電気作動式圧力源は、圧力源の側で開く逆止弁を介して第1の均圧化ポートに接続される。マスターブレーキシリンダの拡張ポートは、特に好ましくは、第2の均圧化ポートに接続される。
【0028】
第1のアセンブリは、好ましくは、分離弁、シーケンス弁、及びシミュレータ弁以外に別の電気作動式バルブを持たない。
【0029】
第1のアセンブリは、マスターブレーキシリンダをシステム圧力ラインに接続する電気作動式分離弁、第1の圧力源をシステム圧力ラインに接続する電気作動式シーケンス弁、マスターブレーキシリンダを第1のアセンブリに配置されたシミュレータに油圧的に接続する電気作動式シミュレータ弁以外に別の電気作動式バルブを持たない。
【0030】
本発明によるブレーキシステムの1つの好ましい発展形態によれば、第2のアセンブリは、ホイールブレーキに接続するためのホイールブレーキごとの油圧ホイールポートと、圧力媒体リザーバに接続するための均圧化ポートと、第1のアセンブリに接続するための1つの、特に唯一の圧力ポートとを備える。
【0031】
第2のアセンブリは、好ましくは、ホイールブレーキに接続するための少なくとも2つ、特に好ましくは、少なくとも4つの油圧式ホイールポートと、圧力媒体リザーバに接続するための均圧化ポートと、第1のアセンブリに接続するための1つ、特に唯一の圧力ポートとを備える。
【0032】
第2のアセンブリの圧力ポートは、好ましくは、耐圧油圧接続要素を介して第1のアセンブリの圧力ポートに接続される。特に好ましくは、第2のアセンブリは別の油圧接続を持たない。
【0033】
好ましくは、第2のアセンブリにおいて、ブレーキ供給ラインが、入口弁、特に好ましくは少なくとも4つの入口弁を、第2のアセンブリの圧力ポート及び第2の圧力源に接続する。
【0034】
第1のアセンブリの均圧化ポートと第2のアセンブリの均圧化ポートとは、好ましくは、圧力媒体リザーバの異なるチャンバに接続される。
【0035】
第2の圧力源は、好ましくは、吸引側で、特に電気作動式バルブの介在なしに、圧力媒体リザーバに接続される。
【0036】
第2の圧力源は、好ましくは、吸引側で、バルブの介在なしに、圧力媒体リザーバに接続される。
【0037】
第2の圧力源は、好ましくは、第2のアセンブリの均圧化ポートを介して、圧力媒体リザーバに接続される。
【0038】
第1のアセンブリ(又はシステム圧力ライン)の圧力ポート及び第2の圧力源(又はその圧力側)は、好ましくは、入口弁、特に好ましくは少なくとも4つの入口弁が接続されるブレーキ供給ラインに接続される。
【0039】
第2のアセンブリは、好ましくは、入口弁、特に少なくとも4つの入口弁が接続され、第1のアセンブリ(又はシステム圧力ライン)の圧力ポートに及び第2の圧力源(油圧的に)接続されるブレーキ供給ラインを備える。
【0040】
好ましくは、ブレーキシステムは、ホイールブレーキごとに、ホイール固有のブレーキ圧力を調節するための入口弁及び出口弁を備え、ホイール固有のブレーキ圧力は、ブレーキ供給ラインにおけるブレーキ供給圧力から導出され、始動していない状態において、入口弁は、ホイールブレーキにブレーキ供給圧力をかけ、出口弁は、ホイールブレーキからの圧力媒体の流れを遮断する。
【0041】
特に好ましくは、すべての出口弁は、共通の戻りラインを介して、大気圧下にある圧力媒体リザーバに接続される。最も特に好ましくは、すべての出口弁は、第2のアセンブリの均圧化ポートに接続される。
【0042】
第1のアセンブリ(又はシステム圧力ライン)の圧力ポートは、好ましくは、第2の電気作動式分離弁を介してブレーキ供給ラインに接続される。第2の分離弁は、特に好ましくは、第2のアセンブリに配置される。特に好ましくは、第2の分離弁は、常時開である。
【0043】
本発明によるブレーキシステムの1つの好ましい発展形態によれば、少なくとも2つの油圧作動式ホイールブレーキの場合では、電気作動式回路分離弁が、回路分離弁を閉じるとブレーキ供給ラインが第1のライン部分と第2のライン部分とに油圧的に分離され、第1のライン部分は第2の圧力源と少なくとも2つの入口弁のうちの少なくとも1つとに油圧的に接続され、第2のライン部分は第1のアセンブリの圧力ポートと他の入口弁とに油圧的に接続されるようにブレーキ供給ラインに配置される。
【0044】
本発明によるブレーキシステムの1つの好ましい発展形態によれば、少なくとも4つの油圧作動式ホイールブレーキの場合では、電気作動式回路分離弁が、回路分離弁を閉じるとブレーキ供給ラインが第1のライン部分と第2のライン部分とに油圧的に分離され、第1のライン部分は第2の圧力源と少なくとも4つの入口弁のうちの少なくとも2つとに油圧的に接続され、第2のライン部分は第1のアセンブリの圧力ポートと他の入口弁、特に少なくとも4つの入口弁のうちの少なくとも2つの入口弁とに油圧的に接続されるようにブレーキ供給ラインに配置される。
【0045】
回路分離弁は、好ましくは、第2のアセンブリに配置される。
【0046】
回路分離弁は、好ましくは、第2のアセンブリの電子コントローラによって始動される。第1のアセンブリが故障した場合、回路分離弁によって、回路分離を依然として行うことができる。
【0047】
回路分離弁は、好ましくは、常時開であり、したがって、すべてのホイールブレーキを作動させるために、圧力源又はマスターブレーキシリンダのうちの1つによって回路分離弁を始動させる必要はない。
【0048】
マスターブレーキシリンダの発生する圧力を測定する第1の圧力センサが、好ましくは、第1のアセンブリに配置される。
【0049】
ブレーキ供給ラインの圧力、特に第2のライン部分の圧力を測定する第2の圧力センサが、好ましくは、第2のアセンブリに配置される。
【0050】
第2のアセンブリの入口圧力を測定する第3の圧力センサが、好ましくは、第2のアセンブリに配置される。特に好ましくは、第3の圧力センサは、第2の分離弁の前、つまり第1のアセンブリと第2の分離弁との間に油圧的に配置される。
【0051】
好ましくは、第2のシミュレータ及び第2のシミュレータ弁が、第2のアセンブリに配置され、第2のシミュレータは、第2のシミュレータ弁を介して第1のアセンブリの圧力ポートに接続される。
【0052】
本発明によるブレーキシステムの1つの好ましい発展形態によれば、第1のアセンブリは、第1のアセンブリの電気作動式コンポーネントを始動させる第1の電子コントローラを備え、第2のアセンブリは、第2のアセンブリの電気作動式コンポーネントを始動させる第2の電子コントローラを備える。
【0053】
ブレーキシステムは、好ましくは、互いに電気的に独立した第1の電気区画及び第2の電気区画を備え、第1の圧力源及び第1の電子コントローラが、第1の電気区画に割り当てられ、第2の圧力源、第2の電子コントローラ、及び入口弁、並びに任意選択で回路分離弁が、第2の電気区画に割り当てられる。特に好ましくは、回路分離弁は、第2の電気区画に割り当てられる。よって、第1の電気区画が故障した場合、回路分離弁によって、回路分離を依然として行うことができる。
【0054】
第1の電子コントローラ又は第1の電気区画は、好ましくは、第1の電気エネルギー源から電力を供給され、第2の電子コントローラ又は第2の電気区画は、好ましくは、第1の電気エネルギー源とは独立した第2の電気エネルギー源から電力を供給される。このように、第1のエネルギー源は第1の電気区画の一部であり、第2のエネルギー源は第2の電気区画の一部である。
【0055】
本発明の1つの発展形態によれば、第1のアセンブリと第2のアセンブリとは、多くても1つの耐圧油圧接続要素によって相互接続される。第1のアセンブリと第2のアセンブリとの間には、他の非耐圧接続要素があってもよい。
【0056】
第1のアセンブリ及び第2のアセンブリは、好ましくは、多くとも1つの耐圧油圧接続要素によって相互接続されるように構成される。任意選択で、第1のアセンブリと第2のアセンブリとは、追加の油圧接続要素によって相互接続され得るが、油圧接続要素のうち多くとも1つ、すなわち1つのみが、第1のアセンブリと第2のアセンブリとの間で耐圧となるように構成される。その場合、追加の油圧接続要素は耐圧には構成されない。
【0057】
好ましくは、第1のアセンブリと第2のアセンブリとは、ただ1つの油圧接続要素によって相互接続され、この接続要素は耐圧となるように構成される。圧力媒体リザーバへの追加の非耐圧接続要素があってもよい。
【0058】
ただ1つのアセンブリでの実装形態と比較して、2つのアセンブリに分割することは、両方のアセンブリがより小さく軽量になり、したがって取り扱いが容易になるという利点がある。また、アセンブリは既存の生産工場でより容易に製造することもできる。しかしながら、2つのアセンブリに分割された場合、これらのアセンブリ間の各油圧接続はかなりの複雑さ及び費用をもたらす。したがって、油圧接続の数をできるだけ少なく抑えることが特に有利である。油圧接続の様々な機能をできるだけ明確に分離することが有利であることが分かっている。つまり、圧力媒体が引き込まれる接続は、油圧抵抗が可能な限り小さくなるように、可能な限り大きな直径で設計され得る。この目的のために、そのような接続が耐圧である必要がないと有利である。逆に、耐圧接続は吸引機能を持つべきではない。
【0059】
第1の圧力源は、好ましくは、油圧圧力チャンバを有するシリンダ-ピストン構成によって形成され、そのピストンは電気機械アクチュエータによって前進及び後退する。第1の圧力源の吸引ポートは、好ましくは、圧力チャンバの側で開く逆止弁を介して圧力媒体リザーバに油圧的に接続される。
【0060】
第2の圧力源の吸引側は、好ましくは、圧力媒体リザーバへの出口弁の戻りラインに接続される。
【0061】
第2の圧力源の圧力側は、好ましくは、ブレーキ供給ラインの第1のライン部分に接続される。
【0062】
本発明の1つの発展形態によれば、第2の圧力源は、二重回路又は多回路構成を有する。第2の圧力源は、特に好ましくは、デュアルピストンポンプ又はマルチピストンポンプの形態をしている。
【0063】
特に好ましくは、二重回路又は多回路圧力源の圧力側が相互接続され、二重回路又は多回路圧力源の吸引側が相互接続される。
【0064】
本発明によるブレーキシステムは、高度に自動化された運転機能に特に適する。
【0065】
少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つの油圧作動式ホイールブレーキのためのブレーキシステムのためのアセンブリに関して、本発明は、アセンブリが、電気作動式圧力源と、ブレーキペダルによって作動され得るマスターブレーキシリンダとを備えるという概念に基づく。この場合、アセンブリは、ブレーキ圧力をホイールブレーキに伝達するための多くとも1つの圧力ポートを備える。この目的のために、電気作動式圧力源及びマスターブレーキシリンダは、システム圧力ラインを介してこの圧力ポートに油圧的に接続される。換言すれば、電気作動式圧力源と、ブレーキペダルによって作動され得るマスターブレーキシリンダとは、ホイールブレーキを作動させるためにブレーキ圧力を伝達する、アセンブリの単一の圧力ポートに一緒に接続される。
【0066】
アセンブリは、ポート又は油圧接続の数が少ないことに起因して、製造の費用効率が高いという利点を提供する。
【0067】
好ましくは、電気作動式圧力源及びマスターブレーキシリンダに圧力媒体を供給するために、大気圧下にある圧力媒体リザーバが(第1の)アセンブリ上に配置される。
【0068】
好ましくは、(第1の)電気作動式圧力源は、電気作動式シーケンス弁を介して圧力ポート又はシステム圧力ラインに接続される。特に好ましくは、シーケンス弁は、常時閉となるように構成される。よって、電気作動式圧力源が故障した場合、圧力媒体は圧力源への接続に流れ込まない。
【0069】
好ましくは、(第1の)アセンブリは、ブレーキペダルが作動されず、アセンブリが通電停止されるとき、圧力ポートが、圧力媒体リザーバへの接続のためにアセンブリ(100)の均圧化ポートに、又は大気圧下にある圧力媒体リザーバに接続されるように構成される。このような状況では、圧力ポート(ひいては圧力ポートに接続されたホイールブレーキ)は減圧される。特に好ましくは、圧力ポートは、マスターブレーキシリンダを介して圧力媒体リザーバに接続される。
【0070】
好ましくは、マスターブレーキシリンダは、少なくとも1つの拡張ポートを備え、少なくとも1つの拡張ポートを介して、ブレーキペダルが作動されていないとき、マスターブレーキシリンダの圧力チャンバが大気圧下にある圧力媒体リザーバに接続される。
【0071】
好ましくは、マスターブレーキシリンダ又はその圧力チャンバは、電気作動式分離弁を介して圧力ポート又はシステム圧力ラインに接続される。分離弁は、特に好ましくは、常時開となるように構成される。特に好ましくは、マスターブレーキシリンダと圧力ポートとの間の油圧接続には、分離弁以外の更なる電気作動式バルブは配置されない。
【0072】
(第1の)アセンブリは、好ましくは、マスターブレーキシリンダに油圧的に接続されたシミュレータを備える。マスターブレーキシリンダは、特に好ましくは、電気作動式シミュレータ弁を介してシミュレータに接続される。最も特に好ましくは、シミュレータ弁は、常時閉となるように構成される。最も特に好ましくは、シミュレータからマスターブレーキシリンダに向かう圧力媒体の流れを可能にする逆止弁は、シミュレータ弁と並列に接続されない。
【0073】
好ましくは、圧力ポートに加えて、(第1の)アセンブリは、圧力媒体リザーバに接続するための均圧化ポートを備える。
【0074】
好ましくは、(第1の)アセンブリは、圧力ポート及び均圧化ポート以外に別の油圧ポートを持たない。
【0075】
マスターブレーキシリンダの拡張ポートは、好ましくは、均圧化ポートに接続される。
【0076】
好ましくは、電気作動式圧力源は、圧力媒体を補充することができるように、圧力源の側で開く逆止弁を介して均圧化ポートに接続される。
【0077】
或いは、(第1の)アセンブリは、圧力ポートに加えて、圧力媒体リザーバに接続するための第1の均圧化ポートと、圧力媒体リザーバに接続するための第2の均圧化ポートとを備えることが好ましい。特に好ましくは、電気作動式圧力源は、圧力源の側で開く逆止弁を介して第1の均圧化ポートに接続される。マスターブレーキシリンダの拡張ポートは、特に好ましくは、第2の均圧化ポートに接続される。
【0078】
(第1の)アセンブリは、好ましくは、分離弁、シーケンス弁、及びシミュレータ弁以外に別の電気作動式バルブを持たない。
【0079】
好ましくは、ブレーキシステムは、本発明によるアセンブリを第1のアセンブリとして備える。
【0080】
本発明の更に好ましい実施形態は、従属請求項と図面を参照した以下の説明とから明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】本発明による、ブレーキシステムのためのアセンブリの例示的な実施形態の概略図である。
図2】本発明による、ブレーキシステムの例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1は、本発明による、自動車のためのブレーキシステムのためのアセンブリの例示的な実施形態の概略図である。
【0083】
本例によれば、アセンブリ100は、バルブブロックHCU1と第1の電子コントローラ101(ECU1)とを備える電気油圧ブレーキ制御ユニット(HECU1)の形態をしている。
【0084】
アセンブリ100は、(第1の)電気作動式圧力源5と、ブレーキペダル12によって作動され得るマスターブレーキシリンダ1とを備える。
【0085】
本例によれば、大気圧下にある圧力媒体リザーバ4が、アセンブリ100上に配置される。
【0086】
本例によれば、マスターブレーキシリンダ1は、単一回路構成を有し、油圧圧力チャンバ10の範囲を定めるピストン11を備える。圧力チャンバ10は、ピストン11内に形成された径方向ボア(拡張ポート)及び対応する均圧化ライン43を介して圧力媒体リザーバ4に接続され、この油圧接続は、ピストン11の相対運動によって遮断することができる。圧力チャンバ10は、マスターブレーキシリンダ1が作動していないときに、ピストン11を開始位置に位置決めする復元ばねを収容している。よって、ブレーキペダル12が作動されていないとき、マスターブレーキシリンダ1の圧力チャンバ10は、拡張ポート及び均圧化ライン43を介して圧力媒体リザーバ4に接続される。本例によれば、圧力チャンバ10は、圧力媒体リザーバ4の第1のチャンバ401に接続されたアセンブリ100の油圧均圧化ポート63に接続される。
【0087】
更に、アセンブリ100は、特にバイワイヤ動作モードにおいて、運転者のためにブレーキペダル感覚を発生させるシミュレータ3(ブレーキペダル感覚シミュレータ又はパスシミュレータとも呼ばれる)を備える。シミュレータ3は、マスターブレーキシリンダ1に油圧的に結合され、例えば、シミュレータチャンバ301と、シミュレータ後方チャンバ302と、2つのチャンバ301、302を互いに分離するシミュレータピストン303とを実質的に備える。シミュレータピストン303は、シミュレータ後方チャンバ302に配置された弾性要素304(例えば、シミュレータスプリング)によってアセンブリのバルブブロック上に支持される。本例によれば、シミュレータチャンバ301は、有利には常時閉となるように構成される電気作動式シミュレータ弁28によってマスターブレーキシリンダ1の圧力チャンバ10に接続され得る。シミュレータ弁28は、シミュレータ3のオン及びオフを切り替えるために使用される。
【0088】
アセンブリ100の電気制御式圧力源5は、油圧シリンダ-ピストン構成(又は単一回路電気油圧アクチュエータ(リニアアクチュエータ))の形態をしており、そのピストン36は、圧力チャンバ37内の圧力を上昇及び消散させるために、概略的に図示された電気モータ35によって、同様に概略的に図示された回転-並進機構39の介在を介して作動され、特に前進及び後退され得る。ピストン36は、圧力源5の圧力チャンバ37の範囲を定める。電動モータを始動させるために、電動モータ35のロータ位置を検出するロータ位置センサ44(単に概略的に示す)が設けられる。
【0089】
ピストン36の動作状態にかかわらず、圧力チャンバ37は(補充)ライン42を介してアセンブリ100の油圧均圧化ポート63に接続され、このポートは、圧力媒体リザーバ4又はその第1のチャンバ401に接続される。ライン42には、圧力媒体リザーバ4の側で閉じる逆止弁53が配置される。
【0090】
アセンブリ100は、均圧化ポート63及び圧力ポート60以外には他の油圧ポートを持たない。
【0091】
圧力源5及びマスターブレーキシリンダ1は両方とも、アセンブリ100の圧力ポート60に接続されるシステム圧力ライン38に接続される。アセンブリ100は、ブレーキ圧力をホイールブレーキに伝達するため、又はホイールブレーキを作動させるための唯一の圧力ポート、すなわち圧力ポート60を備える。ホイールブレーキを作動させるためのブレーキ圧力を発生させるように設計された2つの圧力発生装置、すなわち、マスターブレーキシリンダ1及び電気圧力源5は、システム圧力ライン38を介してアセンブリ100のこの単一の圧力ポート60に接続される。
【0092】
マスターブレーキシリンダ1又はその圧力チャンバ10は、有利には常時開となるように構成される電気作動式分離弁23を介して、システム圧力ライン38、ひいてはアセンブリ100の単一の圧力ポート60に接続される。マスターブレーキシリンダ1と圧力ポート60との間の油圧接続には、分離弁23以外の更なる電気作動式バルブは配置されない。
【0093】
本例によれば、マスターブレーキシリンダ1は、油圧ライン48によって分離弁23及びシミュレータ弁28に接続される。
【0094】
圧力源5又はその圧力チャンバ37は、常時閉となるように構成されるシーケンス弁27を介して、システム圧力ライン38、ひいてはアセンブリ100の単一の圧力ポート60に接続される。このように、圧力源5は、圧力源5が故障した場合に圧力媒体がこの接続に流れ込まないように圧力ポート60に接続される。本例によれば、圧力源5と圧力ポート60との間の油圧接続には、シーケンス弁27以外の更なる電気作動式バルブは配置されない。
【0095】
図2は、本発明による、自動車のためのブレーキシステムの例示的な実施形態の概略図である。本例によれば、ブレーキシステムは、4つの油圧作動式ホイールブレーキ8a~8dを作動させるように設計される。本例によれば、ホイールブレーキ8a、8bは車両の後車軸(後方)に割り当てられ、ホイールブレーキ8c、8dは車両の前車軸(前方)に割り当てられる。
【0096】
ブレーキシステムは、本例によれば、バルブブロックHCU1と第1の電子コントローラ101(ECU1)とを備える第1の電気油圧ブレーキ制御ユニット(HECU1)として構成された第1のアセンブリ100と、本例によれば、バルブブロックHCU2と第2の電子コントローラ201(ECU2)とを備える第2の電気油圧ブレーキ制御ユニット(HECU2)として構成された第2のアセンブリ200とを備える。
【0097】
図2の第1のアセンブリ100は、図1のアセンブリ100に対応する。
【0098】
第1のアセンブリ100では、本例によれば、2つのチャンバを備える圧力媒体リザーバ4が配置され、第1のチャンバ401には第1のリザーバポートが割り当てられ、第2のチャンバ402には第2のリザーバポートが割り当てられる。
【0099】
第2のアセンブリ200は、第2の電気作動式圧力源2と、ホイールブレーキごとの少なくとも1つの電気作動式入口弁6a~6dとを備え、第2の電気作動式圧力源2は、4つの入口弁6a~6dに油圧的に接続される。
【0100】
ホイールブレーキ8a~8dを作動させるためのブレーキ圧力を伝達するために、第1のアセンブリ100の単一の圧力ポート60は、油圧耐圧接続要素80を介して第2のアセンブリ200の圧力ポート61に接続される。接続80は、本例によれば、唯一の油圧圧力接続であり、第1のアセンブリ100と第2のアセンブリ200との間の唯一の油圧接続である。接続80は、ホイールブレーキ8a~8dを作動させるためのブレーキ圧力を伝達するための油圧接続である。したがって、接続要素80は耐圧のものでなければならない。
【0101】
圧力ポート60、ひいては第1の圧力源5及びマスターブレーキシリンダ1、並びに第2の圧力源2は、圧力側でブレーキ供給ライン13に接続され、ブレーキ供給ライン13には4つの入口弁6a~6dが接続される。このように、4つのホイールブレーキ8a~8dはすべて、第1の圧力源5及び/又は第2の圧力源2及び/又はマスターブレーキシリンダ1によって、動作モードに応じて任意選択で作動され得る。
【0102】
ブレーキ供給ライン13には、電気作動式回路分離弁40が配置され、したがって、回路分離弁40を閉じた場合、ブレーキ供給ライン13は、入口弁6a、6b及びホイールブレーキ8a、8bが接続される第1のライン部分13aと、入口弁6c、6d及びホイールブレーキ8c、8dが接続される第2のライン部分13bとに分割される。第2の圧力源2は第1のライン部分13aに油圧的に接続され、圧力ポート60、ひいては第1の圧力源5及びマスターブレーキシリンダ1は第2のライン部分13bに油圧的に接続される。このように、回路分離弁40を閉じた場合、ブレーキシステムは2つの油圧ブレーキ回路I及びIIに分離又は分割される。この場合、第1のブレーキ回路Iでは、圧力源2が(第1のライン部分13aを介して)ホイールブレーキ8a及び8bのみに接続され、第2のブレーキ回路IIでは、圧力ポート60又は61が(第2のライン部分13bを介して)ホイールブレーキ8c及び8dのみに接続される。回路分離弁40は、有利には、常時開となるように構成される。
【0103】
本例によれば、ブレーキシステムは、油圧作動式ホイールブレーキ8a~8dごとに、入口弁6a~6dと出口弁7a~7dとを備え、これらは、中央ポートを介して対で油圧的に相互接続され、それぞれ、対応するホイールブレーキ8a~8dが接続される第2のアセンブリ200の油圧ホイールポート9a~9dに接続される。ブレーキ供給ライン13の側で開く逆止弁70a~70dが、入口弁6a~6dのそれぞれに並列で接続される。出口弁7a~7dの出口ポートは、共通の戻りライン14を介して油圧均圧化ポート62に接続され、このポートは、圧力媒体リザーバ4又はその第2のチャンバ402に接続される。すべての入口弁6a~6dの入力ポートは、ブレーキ供給ライン13によって(つまり、回路分離弁40を開いた場合)、第1の圧力源5によって、又は例えば第1の圧力源5が故障した場合には第2の圧力源2によって、又は例えば第1の圧力源5及び第2の圧力源2が故障した場合にはマスターブレーキシリンダ1によって供給される圧力を供給され得る(油圧フォールバックモード)。
【0104】
本例によれば、第2のアセンブリ200の第2の電気制御式圧力源2は、デュアルピストンポンプの形態をしており、その2つの圧力出力が(圧力源2の圧力側220において)相互接続され、その2つの吸引側が(圧力源2の吸引側221において)相互接続される。吸引側221は、戻りライン14に、ひいては均圧化ポート62及び圧力媒体リザーバ4に接続される。圧力側220は、ブレーキ供給ライン13の第1のライン部分13aに接続される。
【0105】
均圧化ポート62、ひいては第2の圧力源2の吸引側221は、ライン又はホース90を介して圧力媒体リザーバ4に直接接続される。この接続90には圧力がかからないため、直径を大きくすることができる。本例によれば、ライン90は、圧力媒体リザーバ4の第2のチャンバ402に接続される。
【0106】
本例によれば、有利には常時開である電気作動式分離弁26が、圧力源2及びブレーキ圧力調節弁6a~6d、7a~7dに加えて、第2のアセンブリ200に配置される。分離弁26は、第2のアセンブリ200の圧力ポート61とブレーキ供給ライン13の第2のライン部分13bとの間に油圧的に配置される。このように、第1のアセンブリ100の圧力ポート60又は第1のアセンブリ100のシステム圧力ライン38は、分離弁26を介して第2のライン部分13b又はブレーキ供給ライン13と分離可能に接続される。
【0107】
本例によれば、ブレーキシステムは、ブレーキ回路II(ライン部分13b)において、圧力センサ19を備え、よって、圧力センサ19は、第2の圧力源2に割り当てられる。しかしながら、圧力センサ19をブレーキ回路Iに配置したり、第2の圧力センサを設けたりすることもでき、その結果、2つのブレーキ回路I及びIIのそれぞれを圧力センサによって直接監視することができる。
【0108】
本例によれば、漏れ監視のために、ブレーキシステムは、圧力媒体リザーバ4内の圧力媒体の液位を測定するための液位測定デバイス50を備える。
【0109】
本例によれば、コンポーネント5、53、27、1、23、3、28、及びライン部分38、42、43、48は第1のバルブブロックHCU1に配置され、コンポーネント2、6a~6d、70a~70d、7a~7d、40、26、19及びライン部分13a、13b、14(並びに一方の側である入口弁及び出口弁と、他方の側であるホイールポートとの間にあるライン部分)は第2のバルブブロックHCU2に配置される。
【0110】
各バルブブロックHCU1、HCU2には、電子コントローラ101、201(ECU1、ECU2)が割り当てられる。各電子コントローラ101、201は、関連するバルブブロックの電気作動式コンポーネント、及び任意選択で割り当てられたセンサを始動させるための電気要素及び/又は電子要素(例えば、マイクロコントローラ、パワーモジュール、バルブ駆動装置、他の電子コンポーネントなど)を備える。バルブブロック及び電子コントローラは、有利には、既知の仕方で電気油圧ユニット(HECU)として構成される。
【0111】
ブレーキシステムの個々の電気又は電気的に始動可能、作動可能、評価可能、又は同様であるコンポーネントの電気的取り付け、接続、及び供給のために、互いに電気的に独立した第1の電気区画A及び第2の電気区画Bが設けられる。
【0112】
図面では、第1の電気区画Aに割り当てられる、又は属する電気コンポーネントを矢印Aで示し、第2の電気区画Bに割り当てられる、又は属する電気コンポーネントを矢印Bで示す。
【0113】
電子コントローラ101は第1の電気区画Aに割り当てられる、又は属する一方、第2の電子コントローラ201は第2の電気区画Bに割り当てられる、又は属する。したがって、電子コントローラ101と第2の電子コントローラ201とは電気的に独立である。
【0114】
ブレーキシステムに電気エネルギーを供給するために、第1の電気エネルギー源103、例えば車両電気システム、及び第1のエネルギー源とは独立した第2の電気エネルギー源203、例えば車両電気システムが設けられる。第1の電気エネルギー源103は第1の電気区画Aにエネルギーを供給し、第2の電気エネルギー源203は第2の電気区画Bに供給する。
【0115】
第1の電子コントローラ101は第1の圧力源5を始動させる。したがって、第1の圧力源5は第1の電気区画Aに割り当てられる、又は第1の電気区画Aに関連付けられる。本例によれば、第1の圧力源5は第1の電子コントローラ101を介して(第1の電気エネルギー源103から)エネルギーを供給される。
【0116】
第2の電子コントローラ201は第2の圧力源2を始動させる。したがって、第2の圧力源2は第2の電気区画Bに割り当てられる、又は第2の電気区画Bに関連付けられる。本例によれば、第2の圧力源2は第2の電子コントローラ201を介して(第2の電気エネルギー源203から)エネルギーを供給される。
【0117】
本例によれば、第1の圧力源5は、専ら第1の電子コントローラ101によって始動され得る、又は始動され、第2の圧力源2は、専ら第2の電子コントローラ201によって始動され得る、又は始動される。
【0118】
ブレーキシステムの残りのコンポーネントは、有利には、第1の電子コントローラ101(区画A)又は第2の電子コントローラ201(区画B)のいずれかに割り当てられる。つまり、上記コンポーネントは、上記コントローラによって始動若しくは作動される、及び/又は上記コントローラによって電気エネルギーを供給される、及び/又は上記コントローラに信号側で接続される、及び/又は上記コントローラによって評価される。更なる冗長性を回避するために、有利には、コンポーネントが、2つの電子コントローラ101、201のうちの一方によってのみ(すなわち、排他的に)、始動可能若しくは作動可能である、又は電気エネルギーを供給可能である、又は信号側で接続される、又は評価可能であるが、他方の電子コントローラでは可能ではない。
【0119】
第1の電子コントローラ101は第1のアセンブリ100の電気作動式コンポーネントを始動させ、第2の電子コントローラ201は第2のアセンブリ200の電気作動式コンポーネントを始動させる。
【0120】
したがって、入口弁6a~6d及び出口弁7a~7dは第2の電気区画Bに割り当てられ、第2の電子コントローラ201によって始動される。回路分離弁40は、同様に、第2の電気区画Bに割り当てられ、第2の電子コントローラ201によって始動される。
【0121】
第1のアセンブリ100(圧力ポート60)及びブレーキ供給ライン13の油圧分離のための分離弁26も第2の電気区画Bに割り当てられ、第2の電子コントローラ201によって始動される。
【0122】
圧力センサ19も第2の電気区画Bに割り当てられる。上記センサからの信号は第2の電子コントローラ201に供給され、そこで評価されて処理される。
【0123】
しかしながら、シーケンス弁27、分離弁23、及びシミュレータ弁28は第1の電気区画Aに割り当てられ、第1の電子コントローラ101によって始動される。
【0124】
更に、液位測定デバイス50からの信号は第1の電子コントローラ101に供給され、そこで評価されて処理される。
【0125】
ブレーキシステムは、好ましくは、リアホイール(後方)に電気作動式パーキングブレーキを備える。これらのパーキングブレーキは、有利には、第1の電子コントローラ101(図1のホイールブレーキ8a、8bにおいてAで示す)によって始動されて作動される。
【0126】
本例による、第1のアセンブリ100を備えるブレーキシステムは、2つの電気始動式圧力源5、2を含むという点で高度に自動化された運転を可能にし、且つ完全に電気的に故障した場合に、(マスターブレーキシリンダ1によって)機械的/油圧的なフォールバックモードを提供する。第1のアセンブリ100は、有利には、2つの電気始動式圧力源(5)のうちの主要な圧力源と、ブレーキペダル12を介して運転者が作動させ得るマスターブレーキシリンダ1と、ペダル感覚シミュレータ3とを備える。
【0127】
本例による第2のアセンブリ200はまた、シミュレータを備えたマスターブレーキシリンダを持たない単一の圧力ポートを備える第1のアセンブリと組み合わせて使用され得る。これは本発明の利点である。
【0128】
しかしながら、他の第2のアセンブリもまた、図1の例による第1のアセンブリ100と組み合わせることができる。
【0129】
第1のアセンブリ100は単一の圧力ポート60のみを備える。同時に、この圧力ポート60は大気に接続され得、第1のアセンブリ100が電気的に故障し、ブレーキペダル12が作動されていないときは、常に大気に接続される。
【0130】
この目的のために、マスターブレーキシリンダ1は、好ましくは、拡張ポートを備え、特に好ましくは常時開である電気的に作動される分離弁23を介して圧力ポート60に接続される。更に、マスターブレーキシリンダ1は、特に好ましくは常時閉である電気的に作動されるシミュレータ弁28を介してペダル感覚シミュレータ3に接続される。主要な圧力源5は圧力ポート60に接続され、より好ましくは、主要な圧力源5が故障した場合に圧力媒体がこの接続に流れ込まないように接続される。好ましくは、特に好ましくは常時閉である電気的に作動されるシーケンス弁27がこの接続に配置される。
【0131】
通常の動作では、ブレーキペダル12が作動されたとき、又は自動操縦装置がブレーキをかけようとするときには、分離弁23が閉じられ、シミュレータ弁28が開かれ、シーケンス弁27が開かれる。ペダル感覚は、ペダル感覚シミュレータ3によって発生される。ホイールブレーキ8a~8dを作動させるための圧力上昇は、2つの圧力源5及び2によって個別に又は一緒に行われる。ホイール固有の圧力調節は、第2のアセンブリ200によって行われる。
【0132】
第2のアセンブリ200が故障した場合、第1のアセンブリ100は同様にホイールブレーキ圧力を上昇させ、ホイールブレーキ8a~8dのすべてのホイールブレーキ圧力をまとめて集中的に調節することができる。
【0133】
第1のアセンブリ100の故障後、ブレーキは自動操縦装置と運転者とで異なる仕方で行われる。
【0134】
第1のアセンブリ100が故障し、自動操縦装置がブレーキ要求を送信した場合、第2のアセンブリ200は、機械的/油圧的フォールバックモードのないブレーキシステムでどのように行われるかに対応して、ホイールブレーキ圧力の上昇及び調節を行う。
【0135】
第1のアセンブリ100が故障し、ペダル12が作動された場合、第1のアセンブリ100の故障後、マスターブレーキシリンダ1は、常時開である分離弁23を介して第1のアセンブリ100の圧力ポート60に接続される。ペダル作動中、第2のアセンブリ200は受動的なままであり、運転者によって発生された圧力をホイールブレーキ8a~8dに伝えることができる。しかしながら、第2のアセンブリ200の構成によっては、第2の圧力源2によって運転者を支援することも可能である。
【0136】
図2の例によるブレーキシステムでは、圧力センサ19がマスターブレーキシリンダ1の発生した圧力を検出すると同時に電気的に作動される回路分割弁40が閉じられ、第2の圧力源2は割り当てられたホイールブレーキの圧力をマスターブレーキシリンダの圧力を超えて高めることができる。
【0137】
第1のアセンブリ100が故障したときに、より一層多くの機能を可能にするために、第2のアセンブリ200が任意選択で補われる。例えば、(第3の)圧力センサが2つのアセンブリ100、200の圧力接続(好ましくは、第2のアセンブリ200の分離弁26の前)に取り付けられて、運転者の要求を検出することができる。そして、マスターブレーキシリンダ1において圧力が上昇すると、分離弁26は閉じられ、第2の圧力源2はホイールブレーキ8a~8dのすべてにおける圧力を上昇させる。
【0138】
任意選択で、2つのアセンブリ100、200の圧力接続はまた、好ましくは常時閉である第2のシミュレータ弁を介して第2のシミュレータ(ペダル感覚シミュレータ)に取り付けられ得、第2のシミュレータ弁及び第2のシミュレータは第2のアセンブリ200に配置される。
図1
図2
【図
【図
【手続補正書】
【提出日】2024-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0138
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0138】
任意選択で、2つのアセンブリ100、200の圧力接続はまた、好ましくは常時閉である第2のシミュレータ弁を介して第2のシミュレータ(ペダル感覚シミュレータ)に取り付けられ得、第2のシミュレータ弁及び第2のシミュレータは第2のアセンブリ200に配置される。
なお、本発明は以下の態様も包含し得る:
1.少なくとも2つの油圧作動式ホイールブレーキ(8a~8d)のための、自動車のためのブレーキシステムであって、
第1の電気作動式圧力源(5)とブレーキペダル(12)によって作動され得るマスターブレーキシリンダ(1)とが配置された第1のアセンブリ(100)と、
第2の電気作動式圧力源(2)とホイールブレーキごとの少なくとも1つの電気作動式入口弁(6a~6d)とが配置された第2のアセンブリ(200)であって、前記第2の電気作動式圧力源(2)が前記入口弁(6a~6d)に油圧的に接続される、第2のアセンブリ(200)と
を備える、ブレーキシステムにおいて、
前記第1のアセンブリ(100)が、前記ホイールブレーキ(8a~8d)を作動させるためのブレーキ圧力を前記第2のアセンブリ(200)に伝達するための多くとも1つの圧力ポート(60)であって、前記第1の圧力源(5)と前記マスターブレーキシリンダ(1)とが、システム圧力ライン(38)を介して前記圧力ポート(60)に接続される、圧力ポート(60)を備えることを特徴とする、ブレーキシステム。
2.すべての前記入口弁(6a~6d)が、前記第1のアセンブリ(100)の前記単一の圧力ポート(60)に接続されることを特徴とする、上記1.に記載のブレーキシステム。
3.前記第1のアセンブリ(100)と前記第2のアセンブリ(200)とが、多くとも1つの耐圧油圧接続要素(80)によって相互接続され、前記耐圧油圧接続要素(80)が、前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)に接続されることを特徴とする、上記1.又は2.に記載のブレーキシステム。
4.前記第1のアセンブリ(100)が、前記マスターブレーキシリンダ(1)を前記システム圧力ライン(38)に接続する電気作動式分離弁(23)、前記第1の圧力源(5)を前記システム圧力ライン(38)に接続する電気作動式シーケンス弁(27)、前記マスターブレーキシリンダ(1)を前記第1のアセンブリ(100)に配置されたシミュレータ(3)に油圧的に接続する電気作動式シミュレータ弁(28)以外に別の電気作動式バルブを持たないことを特徴とする、上記1.~3.のいずれか一つに記載のブレーキシステム。
5.前記第1のアセンブリ(100)が、追加的に、前記第1のアセンブリ(100)上に配置された、大気圧下にある圧力媒体リザーバ(4)に接続するための均圧化ポート(63)を備えることを特徴とする、上記1.~4.のいずれか一つに記載のブレーキシステム。
6.前記ブレーキペダル(12)が作動されず、前記第1のアセンブリ(100)が通電停止されるとき、前記圧力ポート(60)が、特に前記マスターブレーキシリンダ(1)の少なくとも1つの拡張ポートによって、大気圧下にある圧力媒体リザーバ(4)に接続されることを特徴とする、上記1.~5.のいずれか一つに記載のブレーキシステム。
7.前記ホイールブレーキ(8a~8d)に接続するために、前記第2のアセンブリ(200)が、ホイールブレーキごとの油圧ホイールポート(9a~9d)と、特に前記第1のアセンブリ(100)上に配置された圧力媒体リザーバ(4)に接続するための均圧化ポート(62)と、特に前記第1のアセンブリ(100)に接続するための唯一の圧力ポート(61)であって、前記第2のアセンブリ(200)の前記圧力ポート(61)が、前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)に接続される、圧力ポート(61)とを備えることを特徴とする、上記1.~6.のいずれか一つに記載のブレーキシステム。
8.前記第1のアセンブリ(100)の前記均圧化ポート(63)及び前記第2のアセンブリ(200)の前記均圧化ポート(62)が、前記圧力媒体リザーバ(4)の異なるチャンバ(401、402)に接続されることを特徴とする、上記7.に記載のブレーキシステム。
9.前記第2のアセンブリ(200)において、ブレーキ供給ライン(13)が、前記第2のアセンブリ(200)の前記圧力ポート(61)及び前記第2の圧力源(2)に前記少なくとも2つの入口弁(6a~6d)を接続することを特徴とする、上記7.又は8.に記載のブレーキシステム。
10.前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)が、前記第2のアセンブリ(200)に配置された第2の電気作動式分離弁(26)によって前記ブレーキ供給ライン(13)に接続されることを特徴とする、上記9.に記載のブレーキシステム。
11.前記第2のアセンブリ(200)に配置された電気作動式回路分離弁(40)が、前記回路分離弁(40)を閉じると前記ブレーキ供給ライン(13)が第1のライン部分(13a)と第2のライン部分(13b)とに油圧的に分離され、前記第1のライン部分(13a)が前記第2の圧力源(2)と前記少なくとも2つの入口弁のうちの少なくとも1つ(6a、6b)に油圧的に接続され、前記第2のライン部分(13b)が前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)と前記少なくとも2つの入口弁のうちの他の入口弁(6c、6d)とに油圧的に接続されるように前記ブレーキ供給ライン(13)に配置されることを特徴とする、上記9.又は10.に記載のブレーキシステム。
12.前記第2のアセンブリ(200)において、前記ブレーキ供給ライン(13)における圧力を測定する圧力センサ(19)が配置されることを特徴とする、上記9.~11.のいずれか一つに記載のブレーキシステム。
13.前記第1のアセンブリ(100)が、下記14.~19.のいずれか一つに記載のアセンブリの形態をしていることを特徴とする、上記1.~12.のいずれか一つに記載のブレーキシステム。
14.第1の電気作動式圧力源(5)と、ブレーキペダル(12)によって作動され得るマスターブレーキシリンダ(1)とが配置された、少なくとも2つの油圧作動式ホイールブレーキ(8a~8d)のためのブレーキシステムのためのアセンブリ(100)において、前記アセンブリ(100)が、ブレーキ圧力を前記ホイールブレーキ(8a~8d)に伝達するための多くとも1つの圧力ポート(60)であって、前記第1の圧力源(5)及び前記マスターブレーキシリンダ(1)が、システム圧力ライン(38)によって前記圧力ポート(60)に接続される、圧力ポート(60)を備えることを特徴とする、アセンブリ(100)。
15.前記圧力源(5)が、電気作動式シーケンス弁(27)によって前記圧力ポート(60)に接続されることを特徴とする、上記14.に記載のアセンブリ(100)。
16.前記アセンブリが、電気作動式シミュレータ弁(28)によって前記マスターブレーキシリンダ(1)に接続されたシミュレータ(3)を備えることと、前記マスターブレーキシリンダ(1)が、電気作動式分離弁(23)によって前記圧力ポート(60)に接続されることとを特徴とする、上記14.又は15.に記載のアセンブリ(100)。
17.前記マスターブレーキシリンダ(1)と前記圧力ポート(60)との間の前記油圧接続には、前記分離弁(23)以外の更なる電気作動式バルブは配置されないことを特徴とする、上記16.に記載のアセンブリ(100)。
18.前記アセンブリ(100)が、前記分離弁(23)、前記シーケンス弁(27)、及び前記シミュレータ弁(28)以外に別の電気作動式バルブを持たないことを特徴とする、上記16.又は17.に記載のアセンブリ(100)。
19.前記アセンブリが、前記ブレーキペダル(12)が作動されず、前記アセンブリ(100)が通電停止されるときに、前記圧力ポート(60)が、圧力媒体リザーバ(4)への接続のために前記アセンブリ(100)の均圧化ポート(63)に接続されるように構成されることを特徴とする、上記14.~18.のいずれか一つに記載のアセンブリ(100)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの油圧作動式ホイールブレーキ(8a~8d)のための、自動車のためのブレーキシステムであって、
第1の電気作動式圧力源(5)とブレーキペダル(12)によって作動され得るマスターブレーキシリンダ(1)とが配置された第1のアセンブリ(100)と、
第2の電気作動式圧力源(2)とホイールブレーキごとの少なくとも1つの電気作動式入口弁(6a~6d)とが配置された第2のアセンブリ(200)であって、前記第2の電気作動式圧力源(2)が前記入口弁(6a~6d)に油圧的に接続される、第2のアセンブリ(200)と
を備える、ブレーキシステムにおいて、
前記第1のアセンブリ(100)が、前記ホイールブレーキ(8a~8d)を作動させるためのブレーキ圧力を前記第2のアセンブリ(200)に伝達するための多くとも1つの圧力ポート(60)であって、前記第1の圧力源(5)と前記マスターブレーキシリンダ(1)とが、システム圧力ライン(38)を介して前記圧力ポート(60)に接続される、圧力ポート(60)を備えることを特徴とする、ブレーキシステム。
【請求項2】
すべての前記入口弁(6a~6d)が、前記第1のアセンブリ(100)の前記単一の圧力ポート(60)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項3】
前記第1のアセンブリ(100)と前記第2のアセンブリ(200)とが、多くとも1つの耐圧油圧接続要素(80)によって相互接続され、前記耐圧油圧接続要素(80)が、前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)に接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のブレーキシステム。
【請求項4】
前記第1のアセンブリ(100)が、前記マスターブレーキシリンダ(1)を前記システム圧力ライン(38)に接続する電気作動式分離弁(23)、前記第1の圧力源(5)を前記システム圧力ライン(38)に接続する電気作動式シーケンス弁(27)、前記マスターブレーキシリンダ(1)を前記第1のアセンブリ(100)に配置されたシミュレータ(3)に油圧的に接続する電気作動式シミュレータ弁(28)以外に別の電気作動式バルブを持たないことを特徴とする、請求項1又は2に記載のブレーキシステム。
【請求項5】
前記第1のアセンブリ(100)が、追加的に、前記第1のアセンブリ(100)上に配置された、大気圧下にある圧力媒体リザーバ(4)に接続するための均圧化ポート(63)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のブレーキシステム。
【請求項6】
前記ブレーキペダル(12)が作動されず、前記第1のアセンブリ(100)が通電停止されるとき、前記圧力ポート(60)が、特に前記マスターブレーキシリンダ(1)の少なくとも1つの拡張ポートによって、大気圧下にある圧力媒体リザーバ(4)に接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のブレーキシステム。
【請求項7】
前記ホイールブレーキ(8a~8d)に接続するために、前記第2のアセンブリ(200)が、ホイールブレーキごとの油圧ホイールポート(9a~9d)と、特に前記第1のアセンブリ(100)上に配置された圧力媒体リザーバ(4)に接続するための均圧化ポート(62)と、特に前記第1のアセンブリ(100)に接続するための唯一の圧力ポート(61)であって、前記第2のアセンブリ(200)の前記圧力ポート(61)が、前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)に接続される、圧力ポート(61)とを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のブレーキシステム。
【請求項8】
前記第1のアセンブリ(100)の前記均圧化ポート(63)及び前記第2のアセンブリ(200)の前記均圧化ポート(62)が、前記圧力媒体リザーバ(4)の異なるチャンバ(401、402)に接続されることを特徴とする、請求項7に記載のブレーキシステム。
【請求項9】
前記第2のアセンブリ(200)において、ブレーキ供給ライン(13)が、前記第2のアセンブリ(200)の前記圧力ポート(61)及び前記第2の圧力源(2)に前記少なくとも2つの入口弁(6a~6d)を接続することを特徴とする、請求項7に記載のブレーキシステム。
【請求項10】
前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)が、前記第2のアセンブリ(200)に配置された第2の電気作動式分離弁(26)によって前記ブレーキ供給ライン(13)に接続されることを特徴とする、請求項9に記載のブレーキシステム。
【請求項11】
前記第2のアセンブリ(200)に配置された電気作動式回路分離弁(40)が、前記回路分離弁(40)を閉じると前記ブレーキ供給ライン(13)が第1のライン部分(13a)と第2のライン部分(13b)とに油圧的に分離され、前記第1のライン部分(13a)が前記第2の圧力源(2)と前記少なくとも2つの入口弁のうちの少なくとも1つ(6a、6b)に油圧的に接続され、前記第2のライン部分(13b)が前記第1のアセンブリ(100)の前記圧力ポート(60)と前記少なくとも2つの入口弁のうちの他の入口弁(6c、6d)とに油圧的に接続されるように前記ブレーキ供給ライン(13)に配置されることを特徴とする、請求項9に記載のブレーキシステム。
【請求項12】
前記第2のアセンブリ(200)において、前記ブレーキ供給ライン(13)における圧力を測定する圧力センサ(19)が配置されることを特徴とする、請求項9に記載のブレーキシステム。
【請求項13】
第1の電気作動式圧力源(5)と、ブレーキペダル(12)によって作動され得るマスターブレーキシリンダ(1)とが配置された、少なくとも2つの油圧作動式ホイールブレーキ(8a~8d)のためのブレーキシステムのためのアセンブリ(100)において、前記アセンブリ(100)が、ブレーキ圧力を前記ホイールブレーキ(8a~8d)に伝達するための多くとも1つの圧力ポート(60)であって、前記第1の圧力源(5)及び前記マスターブレーキシリンダ(1)が、システム圧力ライン(38)によって前記圧力ポート(60)に接続される、圧力ポート(60)を備えることを特徴とする、アセンブリ(100)。
【請求項14】
前記圧力源(5)が、電気作動式シーケンス弁(27)によって前記圧力ポート(60)に接続されることを特徴とする、請求項13に記載のアセンブリ(100)。
【請求項15】
前記アセンブリが、電気作動式シミュレータ弁(28)によって前記マスターブレーキシリンダ(1)に接続されたシミュレータ(3)を備えることと、前記マスターブレーキシリンダ(1)が、電気作動式分離弁(23)によって前記圧力ポート(60)に接続されることとを特徴とする、請求項13又は14に記載のアセンブリ(100)。
【請求項16】
前記マスターブレーキシリンダ(1)と前記圧力ポート(60)との間の前記油圧接続には、前記分離弁(23)以外の更なる電気作動式バルブは配置されないことを特徴とする、請求項15に記載のアセンブリ(100)。
【請求項17】
前記アセンブリ(100)が、前記分離弁(23)、前記シーケンス弁(27)、及び前記シミュレータ弁(28)以外に別の電気作動式バルブを持たないことを特徴とする、請求項15に記載のアセンブリ(100)。
【請求項18】
前記アセンブリが、前記ブレーキペダル(12)が作動されず、前記アセンブリ(100)が通電停止されるときに、前記圧力ポート(60)が、圧力媒体リザーバ(4)への接続のために前記アセンブリ(100)の均圧化ポート(63)に接続されるように構成されることを特徴とする、請求項13又は14に記載のアセンブリ(100)。
【請求項19】
前記第1のアセンブリ(100)が、請求項13又は14に記載のアセンブリの形態をしていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のブレーキシステム。
【国際調査報告】