(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】脈拍診断用脈波測定装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20250204BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
A61B5/02 310Z
A61B5/0245 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545243
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2023073313
(87)【国際公開番号】W WO2023143433
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524283464
【氏名又は名称】石 明正
【氏名又は名称原語表記】SHIH, MING‐CHENG
【住所又は居所原語表記】3F., NO. 13, LN. 60, DONGSHAN ST., EAST DIST., HSINCHU CITY, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石 明正
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA10
4C017AB02
4C017AC28
4C017AD01
4C017BC16
4C017FF15
(57)【要約】
エアバッグと、圧力制御モジュールと、変位検知モジュールと、走査位置制御モジュールと、コンピューターと、を備える脈拍診断用脈波測定装置を提供する。上述の圧力制御モジュール、変位検知モジュール、及び走査位置制御モジュールはコンピューターにそれぞれ通信が接続され、圧力制御モジュールのポンプはガス管路及び空気弁を介してエアバッグに接続されている。上述の脈波測定装置の使用方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明窓及び接触部を有するエアバッグであって、前記接触部は被験者の試験範囲の皮膚に接触させるために用いられ、前記試験範囲下には少なくとも1本の動脈血管を有し、前記動脈血管の伸びる方向はX軸方向と定義するエアバッグと、
前記エアバッグの内圧を制御するための圧力制御モジュールと、
変位検知モジュールであって、前記被験者の前記試験範囲の皮膚から前記変位検知モジュールまでの距離を測定するためのものであり、測定解像度が50μm未満である変位検知モジュールと、
前記圧力制御モジュール及び前記変位検知モジュールにそれぞれ通信が接続され、且つ前記圧力制御モジュール及び前記変位検知モジュールに制御信号をそれぞれ伝送し、前記圧力制御モジュール及び前記変位検知モジュールが転送した情報を受信すると共に演算するために用いられているコンピューターと、を備えていることを特徴とする脈拍診断用脈波測定装置。
【請求項2】
前記圧力制御モジュールは、
前記エアバッグの内圧を検出するための圧力センサと、
前記エアバッグの内圧を増減するためのポンプと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の脈拍診断用脈波測定装置。
【請求項3】
前記変位検知モジュールは光電変位センサを備えていることを特徴とする請求項1に記載の脈拍診断用脈波測定装置。
【請求項4】
前記光電変位センサは、レーザー変位計、光ファイバー変位計、3次元走査変位計、飛行時間距離測定装置、またはレーザー干渉計の距離測定装置を備えていることを特徴とする請求項3に記載の脈拍診断用脈波測定装置。
【請求項5】
前記変位検知モジュールは、脈動の交流信号を濾過するためのフィルターを備えていることを特徴とする請求項1に記載の脈拍診断用脈波測定装置。
【請求項6】
前記コンピューターに通信が接続されると共に、前記試験範囲において前記変位検知モジュールが距離測定走査を行うように、前記試験範囲における前記変位検知モジュールの位置を制御するための走査位置制御モジュールを備えていることを特徴とする請求項1に記載の脈拍診断用脈波測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本国際出願は、2022年01月28日に米国特許庁に出願された米国仮特許出願第63/304,367号(脈拍診断用脈波測定装置及びその使用方法)に基づく優先権を主張するものであり、米国仮特許出願第63/304,367号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
【0002】
本発明は、生理学的特性測定システムおよびその利用方法に関し、更に詳しくは、脈拍診断用脈波測定装置及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
現在、人々の生理状態を検出するための多くの異なる脈拍診断装置または機器がある。従来技術は略全て圧力フィルムセンサにより成り立っている。操作者が大まかに検脈位置を判断してから、人の肢体の中の1つの位置に圧力フィルムセンサの位置を揃え、エアバッグを組み合わせてエアバッグの圧力の大きさを調節することで、エアバッグが加圧する手首の深さを調整する。それから、圧力フィルムセンサにより人体の脈動により発生する動的圧力及び加圧深さの静的圧力を測定し、脈拍信号及び加圧深さ信号として参照の根拠とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、操作者の操作習慣の違いにより、加圧深さの静的圧力及び加圧する深さが線形関係にならず、生理状態の測定に誤差が生じた。このため、脈拍診断の脈波を測定し、被験者(被験者)の各種生理状態情報を精確に測定可能にするための測定システムを開発する必要があった。
【0005】
被験者の各種生理状態情報を精確に測定可能にするために、本発明は脈波測定装置及びその使用方法を提供することを1つの目的とする。上述の脈波測定装置は被験者の手首に装着するのに適している。前記脈波測定装置を被験者の手首の試験範囲に接触させ、前記試験範囲は被験者の動脈位置を含み、被験者の動脈の脈波に関連する生理的特徴情報を検出し、例えば、脈拍特徴波を検出する。
【0006】
本発明の技術、手段及び効果をさらに理解するために、以下の詳細な説明及び添付図面を参照することにより、本発明の目的、特徴及び概念を完全かつ具体的に理解することができる。しかしながら、以下の詳細な説明および図面は、本発明の実施を参照および例示するためにのみ使用され、本発明を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施例に係る脈拍診断用脈波測定装置の機能ブロックを示す概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る
図1に示す脈拍診断用脈波測定装置を使用して脈波測定方法を行う第1段階を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施例に係る
図1に示す脈拍診断用脈波測定装置を使用して脈波測定方法を行う第2段階を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施例に係る
図1に示す脈拍診断用脈波測定装置を使用して脈波測定方法を行う第3段階を示すフローチャートである。
【
図5】手首各部の組織の概略図と直線変位計で計測した場合のシステムを示す概略構図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る線形レーザー変位計によって血管に平行な場合で測定された寸、関及び尺パルス位置の脈波を示す概略図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る脈拍測定動作過程と脈拍特性の波形とを示す概略図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る
図1に示す脈拍診断用脈波測定装置を使用する使用方法を示すフローチャートであり、脈波測定装置100は走査位置制御モジュール400を有しておらず、変位検知モジュール300はポイント型光電変位センサである。
【
図9A】本発明の他の実施例に係る
図1に示す脈拍診断用脈波測定装置を使用する使用方法を示すフローチャートであり、脈波測定装置100は走査位置制御モジュール400を有しておらず、変位検知モジュール300は線形または面光電変位センサである。
【
図9B】本発明の他の実施例に係る
図1に示す脈拍診断用脈波測定装置を使用する使用方法を示すフローチャートであり、脈波測定装置100は走査位置制御モジュール400を有しておらず、変位検知モジュール300は線形または面光電変位センサである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義:XY平面は実質的に被験者の皮膚表面に平行し、X軸は実質被験者の血管が伸びる方向に平行し、Y軸は実質的に被験者の血管が伸びる方向に対して垂直である。よって、Z軸は実質的に被験者の皮膚表面の方向に対して垂直である。下述するX軸、Y軸、及びZ軸の定義は全てこれと同じである。
【0009】
<脈拍診断用脈波測定装置>
図1は本発明の一実施例に係る脈拍診断用脈波測定装置の機能ブロックを示す概略構成図である。
図1の例では、脈波測定装置100は、エアバッグ200と、圧力制御モジュール230と、変位検知モジュール300と、走査位置制御モジュール400と、コンピューター500と、を備えている。走査位置制御モジュール400は選択して組み合わせる素子であり、即ち、省略可能な素子である。
【0010】
上述のエアバッグ200は、透明窓210及び接触部220を少なくとも有している。エアバッグ200の主体的な材料は適用可能なあらゆる高分子材料で構成されてもよく、上述の高分子材料は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、酢酸セルロース(CA)、ナイロン-66ポリアミド樹脂(PA-66)、ナイロン-6ポリアミド樹脂(PA-6)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、パリレン(PPO)、ポリカーボネート(PC)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオキシメチレン(POM)、またはポリウレタン(PU)でもよい(本発明はこの限りではない)。
【0011】
上述の透明窓210は変位検知モジュール300に位置を揃えるために用いられ、こうすることで、高硬度の透明材料を使用して構成可能にしている。例えば、ガラス、石英、ポリスチレン(polystyrene, PS)、或いはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(Acrylonitrile Butadiene Styrene, ABS)であるが、本発明はこれらに限られない。透明窓210の表面には1層の反射防止フィルムを更にめっきし、光線の透過度を高め、反射光の散乱を減少させると共に耐摩耗性を高めてもよい。
【0012】
上述の接触部220は被験者の試験範囲600の皮膚に接触させるために用いるため、柔軟(硬度がショア硬度20C~72Dの間の範囲である)で弾性を有する高分子材料を使用して構成され、被験者の試験範囲600の皮膚に緊密に貼着し易くなっている。上述の高分子材料は、例えば、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic elastomers, TPE)であり、使用可能な熱可塑性エラストマーは、例えば、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、TPO(ポリオレフィンエラストマー)、TPV(動的硫黄架橋ポリオレフィンエラストマー)、TPS/TPR(ポリスチレン系エラストマー)、TPEE(ポリエーテルエステルエラストマー)、TPA(ポリアミド系エラストマー)である。上述の接触部220のエアバッグに対向する内面は滑らかであるか、或いは1層の反射材料がめっきされて光線の反射を強化しており、光線が均一に反射されるようにしている(散乱しない)。
【0013】
上述の圧力制御モジュール230はエアバッグ200の内部に対して給気加圧または排気減圧を行う方式によりエアバッグ200の内圧を制御している。幾つかの実施例によると、圧力制御モジュール230は、例えば、圧力センサと、ポンプと、ガス管路と、空気弁と、を備えてもよい。圧力センサはエアバッグ200の内圧を検出可能であり、ガス管路の両端はポンプ及びエアバッグ200にそれぞれ接続され、ガス管路中の適切な位置に適切な空気弁が取り付けられている。このようにすれば、ポンプのモーターの運転(正逆回転)及び空気弁の組み合わせにより、ガスのエアバッグ200への流入またはエアバッグ200からの流出を制御し、エアバッグ200の内圧を更に制御することで、Z軸における被験者の試験範囲600の皮膚に対するエアバッグ200の加圧深さを制御する。よって、エアバッグの機能は、加圧位置の調整及びレーザーセンサに反射光を取得させることである。
【0014】
上述の変位検知モジュール300は、変位検知モジュール300が被験者の試験範囲600の皮膚(エアバッグ200の接触部220が透明材料で構成されている場合)に達した際のZ軸方向の距離を測定するか、或いは、変位検知モジュール300がエアバッグ200の接触部220(エアバッグ200の接触部220が非透明材料で構成されている場合)に達した際のZ軸方向の距離を測定するために用いられている。
【0015】
変位検知モジュール300は適用可能なあらゆる変位センサでもよく、その測定解像度は最低100μmであり、例えば、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、または1μmの解像度を有する変位センサである。上述の変位センサは、例えば、各種光源を使用して距離測定を行う光電変位センサでもよい。上述の光電変位センサは、例えば、レーザー変位計(Laser Displacement Meter)、光ファイバー変位計(Fiber-Optic Sensors)、3次元走査変位計(3 dimension scanner, 3D scanner;例えば、両眼立体視CCDにプログラマブル構造光システムを加えたもの)、飛行時間距離測定(Time of Flight、略称TOF)装置またはレーザー干渉計の距離測定装置でもよい。変位検知モジュール300の検出可能領域の形状に基づいて分類した場合、上述の変位検知モジュール300はポイント型、線形、または面型の変位センサでもよい。
【0016】
以上述べた如く、変位検知モジュール300が光電変位センサである場合、変位検知モジュール300がエアバッグ200の透明窓210に近接しているため、変位検知モジュール300の光源から発せられる光線はエアバッグ200の透明窓210を透過可能である。
【0017】
エアバッグ200の接触部220が透明材料で構成されている場合、変位検知モジュール300の光源から発せられる光線は被験者の試験範囲600の皮膚に直接照射されてから、変位検知モジュール300の受光器に戻るように反射され、変位検知モジュール300が変位検知モジュール300から被験者の試験範囲600の皮膚までの間の距離を測定可能になっている。
【0018】
エアバッグ200の接触部220が非透明材料で構成されている場合、変位検知モジュール300の光源から発射される光線がエアバッグ200の接触部220のエアバッグに対向する内面に直接照射されてから、変位検知モジュール300の受光器に戻るように反射されることで、変位検知モジュール300が変位検知モジュール300からエアバッグ200の接触部220までの間の距離を測定可能になっている。よって、接触部220のエアバッグに対向する内面が十分に滑らかであるか、1層の反射フィルムがめっきされている場合、光線が反射されてからの散乱程度が効果的に低下し、S/N比(S/N ratio)が好ましい信号を変位検知モジュール300の受光器が受信可能になり、変位検知モジュール300の距離測定が更に精確になる。
【0019】
また、ちなみに、変位検知モジュール300はフィルターを更に備えてもよい。変位検知モジュール300により獲得した元の変位信号は脈動の交流信号を有する変位値を含み、フィルターにより脈動の交流信号を濾過し、安定的な直流信号を残してZ軸の深さの変位値として示すことができる。変位検知モジュール300がフィルターを備えていない場合、脈動の交流信号も含まれ、得られる測定数値は動的脈拍信号となる。また、所謂変位信号とは、エアバッグ200が加圧していない際に(または軽く加圧する際に)接触する被験者の試験範囲600を第1位置とし、エアバッグ200が加圧してから(または強く加圧してから)接触する被験者の試験範囲600を第2位置とし、第1位置から第2位置を減算して獲得した差分値を変位信号とすることを指す。後述の脈波測定方法に関連する説明を参照する。
【0020】
上述の走査位置制御モジュール400は変位検知モジュール300を被験者の試験範囲600に移動するように制御するために用いられ、且つ変位検知モジュール300を試験範囲600の範囲内で距離測定走査を行うように制御する。例えば、被験者の手首の橈骨動脈の脈動を測定する場合、被験者の脈動状態は随時変動するため、変位検知モジュール300から被験者の試験範囲600の皮膚までの間または変位検知モジュール300からエアバッグ200の接触部220までの間の「脈拍測定距離」が変化し、よって、走査位置制御モジュール400を用いて、変位検知モジュール300が被験者の橈骨動脈の上方の体表箇所の試験範囲600に移動してから、上述の「脈拍測定距離」の時間変化に追随しての測定を行い、且つ試験範囲600内で走査を行って距離を測定する。
【0021】
走査位置制御モジュール400は選択して組み合わせる素子であり、即ち、省略可能な素子である。走査位置制御モジュール400が無い場合、ユーザーは自分で変位検知モジュール300を被験者の試験範囲600まで移動させ、変位検知モジュール300に被験者の試験範囲600に対しての距離測定走査を行わせる。変位検知モジュール300は検出領域がポイント型、線形、面光電変位センサでもよい。
【0022】
さらなる実施形態によれば、上述の走査位置制御モジュール400はX-Y2軸位置制御装置(X-Y2軸移動プラットフォームまたは円柱座標移動機構)を備えてもよく、組み合わせる変位検知モジュール300はポイント型の光電変位センサでもよく、被験者の試験範囲600に対する距離測定走査を行う。
【0023】
上述のコンピューター500は、上述の圧力制御モジュール230、変位検知モジュール300、及び走査位置制御モジュール400にそれぞれ信号が接続され、制御信号を上述の圧力制御モジュール230、変位検知モジュール300、及び走査位置制御モジュール400にそれぞれ伝送するか、或いは上述の圧力制御モジュール230、変位検知モジュール300、及び走査位置制御モジュール400から伝送された情報を受信する。上述のコンピューター500は適用可能な計算能力を有するあらゆる機器でもよく、例えば、各種コンピューター、マイクロプロセッサやモバイル用演算装置等でもよい。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、コンピューター500は、計算モジュール510と、操作モジュール540と、電源モジュール550と、表示モジュール570と、記憶モジュール580と、を備えている。
【0025】
上述の計算モジュール510は計算モジュール5100及び分析モジュール530を備えてもよい。上述の計算モジュール5100は、圧力制御モジュール230、変位検知モジュール300、及び走査位置制御モジュール400に制御命令を提供する役割を担っている。上述の分析モジュール530は、圧力制御モジュール230、変位検知モジュール300、及び走査位置制御モジュール400から伝送された情報を演算、分析する役割を担っている。
【0026】
上述の操作モジュール540はユーザーインターフェースを提供する。ユーザーは操作モジュール540により、圧力制御モジュール230、変位検知モジュール300、及び走査位置制御モジュール400を動作するように操作するための操作命令を発信する。
【0027】
上述の電源モジュール550はコンピューター500に必要な電力を供給するために用いられている。電源モジュール550は交流電源(例えば、一般的な電力ソケットにより取得する発電所から供給された電力)または直流電源(例えば、各種乾電池や重複充電可能な蓄電池)でもよい。
【0028】
上述の表示モジュール560は、計算モジュール5100のユーザーインターフェース、圧力制御モジュール230、変位検知モジュール300、及び走査位置制御モジュール400から分析モジュール530に伝送された情報、及び分析モジュール530がこれらの情報を分析した結果を表示するために用いられている。
【0029】
上述の通信モジュール570は、圧力制御モジュール230、変位検知モジュール300、走査位置制御モジュール400、及び幾つかの外部データベースに通信を接続するために用いられている。上述の外部データベースは、例えば、脈拍比較データベース、漢方薬データベース、或いはそれらの組み合わせである(本発明はこの限りではない)。
【0030】
上述の記憶モジュール580は適用可能な揮発性または非揮発性のあらゆるデータ保存装置でもよく、変位検知モジュール300が測定過程で生成したあらゆるデータを保存する。
【0031】
上述のように、エアバッグ200及び圧力制御モジュール230の組み合わせにより、Z軸におけるエアバッグ200の加圧深さを提供し、変位検知モジュール300がZ軸上のS/N比が最良な脈波測定位置を探し出せるようにしている。走査位置感知モジュール400は変位検知モジュール300がX-Y平面におけるS/N比が最良な脈波測定位置を探し出せるようにしている。こうすることで、上述の脈波測定装置が被験者の試験範囲600内で、血管の径方向に変位する脈波のS/N比が最良な脈波測定位置を容易に探し出せるようになり、元の脈波変位信号の強度を高め、高精度及び高直線性の変位センサにより測定を行い、中国医学の脈拍診断に必要になる被験者の脈波に関係する更に多くの詳細な情報を提供可能にしている。
【0032】
<脈波測定方法:中国医学の脈診を例にする>
脈波測定機器が被験者の脈拍特徴波を如何に獲得するかを更に詳しく説明するため、以下では
図1に示す脈波測定装置を使用して脈波を測定する方法について説明する。
図1乃至
図4を参照し、
図2は本発明の一実施例に係る
図1に示す脈拍診断用脈波測定装置を使用して脈波測定方法を行う第1段階を示すフローチャートである。
図3は本発明の一実施例に係る
図1に示す脈拍診断用脈波測定装置を使用して脈波測定方法を行う第2段階を示すフローチャートである。
図4は本発明の一実施例に係る
図1に示す脈拍診断用脈波測定装置を使用して脈波測定方法を行う第3段階を示すフローチャートである。
【0033】
図1に示す脈波測定装置100を使用した脈波測定方法は、主に3つの段階に分けられる。第1段階では、被験者の手首の寸、関、尺脈の位置を確認する。第2段階は、被験者の手首の寸、関、尺の脈の位置を確認してから、寸、関、尺の検脈位置に対してそれぞれ加圧し、寸、関、尺脈の検脈位置の検脈深さを計算する。第3段階では、脈波を測定し、寸、関、尺の脈波の波形及び波量をそれぞれ取得する。以下、3つの段階の測定方法についてそれぞれ説明する。
【0034】
<第1段階:被験者の手首の寸、関、尺の脈の位置を確認する>
図2の例では、被験者の試験範囲600の走査領域の位置の大きさを確認し、試験範囲600でエアバッグ200を軽く加圧する及び強く加圧するという2種類の条件を提供する。ステップS602において、計算モジュール510の脈診プログラムに基づいて、実行順序、初期圧力設定値、終了圧力設定値、走査領域開始位置、及び走査領域終了位置を決定する。初期圧力設定値はエアバッグ200が皮膚を軽く加圧する際の圧力値を指し、終了圧力設定値はエアバッグ200が皮膚を強く加圧する際の圧力値を指し、且つ終了圧力設定値はエアバッグ200が手の骨の深さまで加圧された後の略不変の圧力値である。また、走査領域開始位置及び走査領域終了位置は走査位置制御モジュール400の走査位置の開始位置及び終点位置を記録する。
【0035】
図2に示す如く、まず、被験者の試験範囲600の走査領域を確認するため、走査領域にエアバッグ200を軽く加圧する及び強く加圧するという2種類の条件を提供する。ステップS202において、計算モジュール510の脈診プログラムに基づいて、実行順序、初期圧力設定値、終了圧力設定値、走査領域開始位置、及び走査領域終了位置を決定する。初期圧力設定値はエアバッグ200が皮膚を軽く加圧する際の圧力値を指し、終了圧力設定値はエアバッグ200が皮膚を強く加圧する際の圧力値を指し、且つ終了圧力設定値の圧力値はエアバッグ200が手の骨の深さまで加圧された後の略不変の圧力値である。また、走査領域開始位置及び走査領域終了位置は走査位置制御モジュール400の複数の点の走査位置の開始位置及び終点位置を記録する。
【0036】
ステップS204において、圧力制御モジュール230が測定命令を受信し、即ち、脈拍を測定する命令である。圧力制御モジュール230は圧力制御命令を発信することでエアバッグ200の空気弁を開き、エアバッグ200に空気を進入させ、エアバッグ200の圧力を初期圧力設定値まで徐々に増加させる。アナログ-デジタルコンバーターを使用してエアバッグ200が被験者の皮膚に加えた圧力(初期圧力設定値)を圧力制御モジュール230に返信する。
【0037】
ステップS208において、制御モジュール520は変位検出命令を発信してから、変位検知モジュール300に走査領域開始位置及び走査領域終了位置の設定値に基づいて、手首部分の走査領域の走査を開始するように要求する。
【0038】
次は、ステップS208において、走査位置制御モジュール400が変位検知モジュール300を移動させると、同時またはその前後に、変位検知モジュール300が走査領域開始位置及び走査領域終了位置の設定値の走査作業を完了するまで、変位検知モジュール300が獲得した変位信号の数値の読み取りを行う。走査位置制御モジュール400及び変位検知モジュール300は走査領域内の各測定点の座標及び測定した深さ(初期走査領域座標と称する)を、コンピューター500の記憶モジュール580にそれぞれ同時に伝送する。
【0039】
ステップS210において、被験者の走査領域開始位置及び走査領域終了位置の走査が完了しているかどうかを判断する。手首の走査面積の走査が完了していない場合、ステップS208に戻り、全ての走査領域が完了するまで、変位検知モジュール300が走査領域開始位置と走査領域終了位置との間の走査作業を継続的に実行する。走査が完了したら、ステップS212に進む。
【0040】
ステップS212において、圧力制御モジュール230は圧力制御命令によりエアバッグ200内の圧力が終了圧力設定値(強く加圧)に達するように要求する。このステップは、手首の橈骨動脈領域を走査し、先に腕骨の位置及び橈骨動脈の位置を判別するためのものである。同様に、強く加圧する場合、変位検知モジュール300により手首の全ての走査領域の変位信号の読み取り値を獲得し、即ち、走査領域内の各測定点の座標及び測定する深さであり、走査する最大深さの範囲である。
【0041】
そして、ステップS214において、圧力制御モジュール230が軽く加圧(初期圧力設定値)及び強く加圧(終了圧力設定値)する状況において、変位検知モジュール300が同じ点の座標の初期走査領域の座標深さの変位量から終了走査領域の座標深さの変位量を減算し、同じ点の座標で測定した皮膚から変位検知モジュール300までの測定距離の改変量を獲得する。
【0042】
図5を参照し、
図5は手首各部の組織の概略図と直線変位計で計測した場合のシステムを示す概略構図である。
【0043】
ステップS216において、橈骨動脈付近の硬組織部分(即ち、
図5の手首の骨502及び橈側手根屈筋腱504)は、エアバッグ200で2回圧迫する中で、深さの改変量が最小であり、且つ軟組織(即ち、5の橈骨動脈506及びその付近領域)の部分は、2回の深さの改変量が最大である。この深さの改変量が小さい領域が分布する位置は、腕骨、手の骨、及び橈側手根屈筋腱を判別する相対的位置であり、深さの改変量が大きい領域は、相対的に橈骨動脈が分布する領域である。撓骨及び橈側手根屈筋腱が包囲する位置内で、腕骨及び橈側手根屈筋腱が包囲する位置内の脈動する領域を探し出し、これを橈骨動脈の位置とする。
【0044】
次は、橈骨動脈の位置に沿って、腕骨の位置の前の橈骨動脈の位置にある脈動の最大点を探し出し、その座標を「寸」の座標位置とする。最後に、腕骨の後及び橈側手根屈筋腱が包囲する位置内で脈動する血管領域において、脈動が最大になる前後の2点を探し出し、腕骨に近接する座標点を「関」の位置座標とし、腕骨から離れる位置の作標点を「尺」の位置座標とする。
図5に対応し、
図6にはリニアレーザー変位計が血管に平行する状況において測定した寸、関、尺の脈の位置の脈波の概略図を示す。
【0045】
最後に、ステップS218において、上述のステップを完了してから、制御モジュール520が表示モジュール560により、表示モジュール560に
図7の波形を表示する。
図7は本発明の一実施例に係る脈拍測定動作過程と脈拍特性の波形とを示す概略図である。
【0046】
<第2段階:寸、関、尺の検脈位置をそれぞれ加圧し、寸、関、尺の検脈位置の検脈深さを計算する>
第1段階において被験者の手首の寸、関、尺の位置を探し出してから、被験者がどのような検脈深さにあるか確認することで、最も明確に脈動信号を測定可能になる。
【0047】
図3の例では、第1段階と類似し、ステップS302では、圧力制御モジュール230が寸、関、尺の位置の測定点において、エアバッグ200内の圧力を初期圧力設定値の圧力に達するようにしている。
【0048】
次は、ステップS304において、圧力制御モジュール230が空気弁を制御し、エアバッグ200が給気し、終了圧力設定値まで徐々に加圧する。それから、エアバッグ200を安定させる圧力において、精確な加圧力量に調節することで安定的な検脈深さを取得し、変位検知モジュール300が脈拍信号を十分な時間キャプチャ可能にし、且つS/N比が最高となる脈拍信号をキャプチャし、後続の信号の判別及び処理に利用する。次に、圧力制御モジュール230が圧力の読み取り値をコンピューター500の記憶モジュール580に返信するか、通信モジュール570によりコンピューター500の外部データ保存装置に保存する。ここで留意すべき点は、初期の変位値は皮膚に接触した際の読み取り値を0とし、継続的に加圧(強く加圧してから)する際の読み取り値を負値とし、相対的な距離を異なる人の間で比率を計算する場合の根拠とする。
【0049】
ステップS306において、変位検知モジュール300の走査位置制御モジュール400により被験者の寸、関、尺の位置を走査し、且つ変位検知モジュール300により圧力直が無い状況から強く加圧するまでの条件における変位信号の読み取り値を計算し、且つ直角座標及び円柱座標の位置に換算し、走査領域内の異なる点の位置座標を測定深さの結果に結合可能にする。変位信号の読み取り値は深さの変位値及び脈動の変位値を同時に混合しているため、フィルターにより、安定的な直流信号を取得し、深さの変位値を取得する。脈動の交流信号を濾過しない場合、この測定の数値は動的脈拍信号であり、脈動信号中の最大振幅の深さ値を算出する。
【0050】
次は、ステップS308において、脈診プログラムの演算により、寸、関、尺の位置の検脈深さを獲得する。脈動の振幅が最大時の位置の深さは、検脈深さである。
【0051】
<第3段階、脈波量の測定を行い、寸、関、尺の脈波の波形及び波量をそれぞれ取得する>
図4の例では、ステップS402において、圧力制御モジュール230が被験者の寸、関、尺の位置の検脈深さに基づいてエアバッグ200の加圧深さを制御し、初期設定の寸、関、尺の検脈深さとする。
【0052】
次は、ステップS404において、エアバッグ200の加圧深さが検脈深さに達したかどうかを判断する。エアバッグ200内の圧力の大きさは圧力制御モジュール230により調整し、精確な検脈深さを取得する。達していない場合、ステップS402に戻り、圧力制御モジュール230によりエアバッグ200の加圧を継続的に制御する。達している場合、ステップS406において、圧力制御モジュール230によりエアバッグ200が検脈深さに達したことを検出してから、変位検知モジュール300により被験者の寸、関、尺の位置座標を初期設定の寸、関、尺の検脈座標とし、一定期間(例えば、1分間)の脈波データをキャプチャすると共にコンピューター500に保存する。
【0053】
次は、ステップS408において、ステップS406で取得した脈波データに基づいて、分析モジュール530が脈拍数、脈波形態、及び脈波の振幅等の結果を算出すると共に、コンピューター500またはコンピューター500の外部データ保存装置に保存する。
【0054】
次は、ステップS410において、分析モジュール530が脈波測定結果データを読み取り、
図6に示す寸C、関G、尺Chの3つの位置、及び
図7に示す検脈深さ及び検脈深さ比率を計算する。
【0055】
図7は本発明の一実施例に係る脈拍測定動作過程と脈拍特性の波形とを示す概略図である。
図7の例では、脈波測定結果データにより、脈拍数、脈波形態、または/及び脈波の振幅等の脈拍特徴を獲得する。
【0056】
さらに、
図7の例では、変位検知モジュール300が接触する試験範囲600の皮膚の深さはD1であり、脈動信号が出現し始める深さはD2であり、脈動信号の最大の深さはD3であり、脈拍信号が消失し始める信号はD4であり、終了圧力保存部に達する圧力読み取り値の深さはD5である。この場合、全部の深さはD5からD1を減算したものである(D5-D1)。また、脈動信号が出現し始める深さの比率は(D1-D2)/(D5-D1)であり、脈拍信号が消失し始める深さの比率は(D1-D4)/(D5-D1)であり、信号が出現する比率は(D2-D4)/(D5-D1)であり、検脈振幅が最大点となる深さの比率は(D1-D3)/(D5-D1)である。
【0057】
脈拍数の結果を計算する場合、まずデジタルフィルタリングプログラムを1回実行し、呼吸に起因する低周波ノイズを先に濾過する。それから、ピークを計算する下限値を設定する。最後に、
図7に示す結果のように、分析モジュール530により一定期間(例えば、1分間)内の脈動回数を算出すると共に、コンピューター500またはその外部データ保存装置に保存する。
【0058】
脈波形態を計算する場合、同様に、まず呼吸に起因する低周波ノイズを濾過してから、フーリエ変換(Fourier transform、略称FFT)スペクトル演算を実行し、時間領域(time domain)からキャプチャされた波形を、異なる周波数の波で構成される量化分析結果に分解する。最後に、この脈波スペクトル分析結果をコンピューター500またはその外部データ保存装置に保存する。
【0059】
また、ステップS412において、上述のステップを重複して実行し、被験者のもう一方の手首の脈拍特徴を測定すると共に、被験者データ保存データベースに保存する。また、ステップS414において、両手の測定を完了してから、制御モジュール520が表示モジュール560により、例えば、
図7に示すような波形を表示モジュール560に被験者の脈波を表示するが、本発明はこれに限られない。
【0060】
<脈波測定方法1:走査位置制御モジュールを取り外してポイント型光電変位センサを使用する>
以下、システム構造図の走査位置制御モジュール400を取り外した状況において、変位検知モジュール300はポイント型光電変位センサである。この状況において、変位検知モジュール300を被験者の試験範囲600に移動するように手動で操作し、測定を行う。
【0061】
図1及び
図8を同時に参照し、
図8は本発明の一実施例に係る
図1に示す脈拍診断用脈波測定装置を使用する使用方法を示すフローチャートであり、脈波測定装置100は走査位置制御モジュール400を有しておらず、変位検知モジュール300はポイント型、線形または面光電変位センサである。以下、被験者の手首の橈骨動脈を試験範囲600とする例を挙げて説明する。
【0062】
前述の第1段階の測定に進み、
図8の例では、ステップS802において、測定者は被験者の手首に触れ、手首の橈骨動脈上の振幅が最大になる箇所に記号を付け、被験者の試験範囲600とする。ステップS804において、ポイント型光電変位センサを被験者の手首の橈骨動脈箇所の試験範囲600に配置し、測定を行う。
【0063】
次は、第2段階の測定に進み、ステップS806において、圧力制御モジュール230によりエアバッグ200の内圧を調節し、Z軸方向において被験者の試験範囲600箇所の皮膚を加圧し、初期圧力設定値(軽く加圧)まで調整する。また、ステップS808において、位置を揃える位置の血管の径方向の変位脈波を記録する。
【0064】
ステップS810に進み、終了圧力設定値に達したかどうかを比較する。
【0065】
達していない場合、ステップS807に進み、圧力制御モジュール230が圧力を持続的に増加させ、Z軸方向にエアバッグ200が加圧する深さを調節する。ステップS808において、血管の径方向の脈波により発生する被験者の試験範囲600箇所の皮膚の変位の変化を持続的に記録する。
【0066】
達している場合、ステップS812に進み、記録した被験者の試験範囲600箇所の皮膚の変位が時間に連れて推移する変化曲線(以下、この変化曲線を略称記録脈波として記録する)に基づいて、脈波の検脈深さ及び被験者の手首の厚さに対する検脈深さ比率を計算する。
【0067】
第3段階に進むと、続いてステップS814に進み、エアバッグ200のZ軸における加圧深さから検脈深さまでを調整する。ステップS816において、エアバッグ200が検脈深さまで加圧したかどうかを比較する。加圧していない場合、ステップS814に戻り、Z軸に加圧するエアバッグ200を検脈深さまで調整する。加圧している場合、ステップS818に進み、一定期間(例えば、1分間)の脈波の波形をキャプチャして記録し、且つ脈波の波形特徴を計算する。
【0068】
<脈波測定方法2:走査位置制御モジュールを用いてポイント型、線形または面形を組み合わせる光電変位センサ>
線形光電変位センサ及び面光電変位センサに圧力制御モジュール230を組み合わせ、Z軸方向に加圧して変位させる操作フローチャートは、その2種類の操作過程が略同じである。唯一の相違点は、線形光電変位センサは測定者が被験者の手首に触れ、且つ手首の振幅が最大になる寸、関、尺の位置に記号を付ける必要がある点である。ステップS904Bにおいて、被験者の手首を測定位置に置き、点性光電変位センサから射出するレーザー光線を3つの記号の位置に位置を揃え、面光電変位センサの検出位置は、検出面積が大きいため計算により獲得できる。
【0069】
図1及び
図9A~
図9Bを同時に参照し、
図9Aと
図9Bは本発明の他の実施例に係る
図1に示す脈拍診断用脈波測定装置を使用する使用方法を示すフローチャートであり、脈波測定装置100の変位検知モジュール300は線形または面光電変位センサであり、走査位置制御モジュール400は、Y軸位置コントローラを有する。以下、被験者の手首の橈骨動脈を試験範囲600とする例を挙げて説明する。
【0070】
図9Aの例では、ステップS902において、測定者は被験者の手首に触れ、手首の振幅が最大になる箇所に記号を付け、被験者の試験範囲600とする。ステップS904において、被験者の手首を測定位置に置き、線形光電変位センサから射出する線形レーザー光線を記号の位置に位置を揃え、線形レーザー光線照射領域をX軸に平行させる。
【0071】
前述の第1段階の検出を開始し、ステップS906において、圧力制御モジュール230によりエアバッグ200の内圧を調節し、Z軸方向において被験者の試験範囲600箇所の皮膚を加圧し、初期圧力設定値(軽く加圧)まで調整する。ステップS908において、線形レーザー光線照射領域の手首の各位置の血管の径方向に沿って変位する脈波を記録する。
【0072】
ステップS911において、終了圧力設定値に達したかどうかを比較する。
【0073】
達していない場合、ステップS909に進み、手首の各位置の脈波の振幅を記録し、ステップS910に進み、Z軸で加圧するエアバッグ200の圧力を増加するように調整してから、ステップS908を重複して実行する。
【0074】
達している場合、ステップS912に進み、エアバッグ200の空気弁を開き、エアバッグ200の圧力を逃がす。ステップS914に進み、最大振幅が出現するX軸座標位置及び対応する圧力を比較し、被験者の寸、関、尺の脈拍の振幅が最大になる位置を獲得する。
【0075】
次は、第2段階に進み、ステップS914で取得した被験者の寸、関、尺の脈拍の振幅が最大になる位置に基づいて、
図9BのステップS916~S922に進む。被験者の手首の寸、関、尺の位置で上述のステップS906~ステップS912を重複して実行してから、ステップS924に進み、脈波の検脈深さ及び深さ比率を計算する。
【0076】
さらに、第3段階に進み、ステップS926において、Z軸でエアバッグ200を検脈深さまで加圧するように調整し、且つステップS928において、検脈深さに達したかどうかを比較する。達していない場合、ステップS926に戻り、Z軸でエアバッグ200を検脈深さまで加圧するように調整する。達している場合、ステップS930に進み、一定期間(例えば、1分間)の脈波をキャプチャし、脈波特徴を計算する。
【0077】
且つ、ちなみに、被験者のもう一方の手首にも上述のステップを重複して実行し、脈波特徴を獲得する必要がある。
【符号の説明】
【0078】
100 脈波測定装置
200 エアバッグ
210 透明窓
220 接触部
230 圧力制御モジュール
300 変位検知モジュール
400 走査位置制御モジュール
500 コンピューター
502 骨
504 橈側手根屈筋腱
506 橈骨動脈
510 計算モジュール
520 制御モジュール
530 分析モジュール
540 操作モジュール
550 電源モジュール
560 表示モジュール
570 通信モジュール
580 記憶モジュール
S202~S218 ステップ
S302~S308 ステップ
S402~S412 ステップ
S802~S818 ステップ
S902~S930 ステップ
【国際調査報告】