(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-12
(54)【発明の名称】単位剤型形体を製造するための、方法、システム及び材料
(51)【国際特許分類】
A61J 3/07 20060101AFI20250204BHJP
【FI】
A61J3/07 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024566188
(86)(22)【出願日】2023-01-24
(85)【翻訳文提出日】2024-08-30
(86)【国際出願番号】 US2023061170
(87)【国際公開番号】W WO2023141652
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524279320
【氏名又は名称】オーエフディー バイオファーマ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】OFD BIOPHARMA, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター ペブリー
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド グレイ ジョンソン ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ジャナルダン エム デサイ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン ディー モーガス
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサロ レオン ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジョセフ フリーマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル スコット フランクリン
(72)【発明者】
【氏名】クリステン エヌ ローグナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ハーヴェイ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ラヴ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA40
4C047BB40
4C047CC03
4C047CC30
4C047FF10
4C047LL20
(57)【要約】
治療用及び生物治療用の剤を投与するための固体単位剤型形体、特に、様々な、経腸、鼻腔内、経肺、膣内、局所、及びその他の適切な、非-注射投与のデリバリー経路のための剤型形体、を製造するための、システム、方法、及び材料を、記載する。接触凍結法を、凍結乾燥又は真空乾燥と併用して、液体製剤を処理する、及び、高い構造安定性を有する固体単位剤型形体を、その含まれる剤の治療活性を保持しつつ、製造する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位剤型形体をバルク製造するための方法、ここで、前記方法は、以下を含む:
回転軸を中心に、ある回転速度で、ドラムを回転させるステップ、ここで、前記ドラムは、外表面を有し、その外表面上には、複数の空洞が形成されている;
前記ドラムの外表面を、目標温度まで冷却するステップ;
前記ドラムを、その回転軸を中心に、回転させながら、治療用又は生物治療用の剤を含む液体製剤を、1つ以上の前記複数の空洞の中に、分注するステップ;
前記ドラムの外表面上で、凍結単位を形成するために、前記1つ以上の前記複数の空洞内の液体製剤を、凍結させるステップ;
前記1つ以上の前記複数の空洞から、前記凍結単位を回収するステップ;及び、
前記単位剤型形体を形成させるために、その回収した凍結単位を乾燥させるステップ。
【請求項2】
請求項1に記載の方法、ここで、前記方法は、前記ドラムの回転サイクルに基づいて、前記ドラムの外表面を冷却するための前記目標温度を選択するステップを、更に、含む、ここで、前記液体製剤を凍結させるステップを、液体製剤を分注した後、前記ドラムの1回転サイクル内に、行う。
【請求項3】
請求項1又は2の何れか一項に記載の方法、ここで、前記ドラムの外表面の目標温度は、約-50°Cから約-150°Cまでの間の範囲である。
【請求項4】
請求項1又は2の何れか一項に記載の方法、ここで、前記ドラムの外表面を冷却するステップは、冷却剤を、前記外表面と熱的接触させるために、デリバリーするステップを、更に、含む。
【請求項5】
請求項4に記載の方法、ここで、前記冷却剤をデリバリーするステップは、前記ドラムの内部空洞の中に、冷却剤を注入するステップを、含む。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の方法、ここで、前記液体製剤は、分注中、約4°Cから約25°Cまでの温度である。
【請求項7】
請求項1に記載の方法、ここで、前記乾燥させるステップは、前記回収した凍結単位を、約0.02から約0.1までの範囲の水活性レベルまで、乾燥させるステップを、更に、含む。
【請求項8】
先行する請求項の何れか一項に記載の方法、ここで、前記液体製剤を分注する前に、前記方法は、前記液体製剤の相転移温度を決定するために、前記液体製剤を特性評価するステップを、更に、含む、及び、ここで、前記ドラムの外表面の目標温度は、前記液体製剤の相転移温度に基づく。
【請求項9】
請求項1に記載の方法、ここで、前記方法は、前記液体製剤を分注するステップ中に、前記ドラムの回転速度を調整するステップを、更に、含む。
【請求項10】
単位剤型形体をバルク製造するためのシステム、ここで、前記システムは、以下を含む:
第1の支持構造及び第2の支持構造を有するドラム・フレーム;
前記第1の支持構造及び前記第2の支持構造にカップリングしたドラム、ここで、前記ドラムは、前記ドラム・フレームに対して、回転軸を中心に、回転することが可能である、ここで、前記ドラムは、外表面を有し、その外表面上には、複数の空洞が形成されている;
前記ドラムの外表面上の複数の空洞のうちの1つ以上の空洞の中に、治療用又は生物治療用の剤を含む液体製剤を分注するように動作可能なディスペンサー;
1つ以上の凍結単位を形成させるために、1つ以上の空洞内の液体製剤を凍結させることができる目標温度に、前記ドラムの外表面を冷却するための冷却性構成成分;
前記1つ以上の空洞から1つ以上の凍結単位を回収するために、前記ドラムに対して配置した、回収トレー;及び、
固体単位剤型形体を得るために、1つ以上の凍結単位を乾燥させるための乾燥機。
【請求項11】
請求項10に記載のシステム、ここで、前記ドラムの外表面上の複数の空洞は、前記ドラムの外表面上に形成された一連の平行な溝、又は前記ドラムの外表面に形成された複数の個別のポケット、の何れかを、含む。
【請求項12】
請求項10又は11の何れか一項に記載のシステム、ここで、前記システムは、前記ドラムから分離したドラム・スリーブを、更に、含む、ここで、前記ドラム・スリーブは、前記ドラムを取り囲む、及び前記ドラム・スリーブの上に形成された複数の空洞を含む、ここで、前記ドラム・スリーブは、前記ドラムから取り外すことが可能である。
【請求項13】
請求項10から12の何れか一項に記載のシステム、ここで、前記ディスペンサーは、複数のノズルを、更に、含む、ここで、前記複数のノズルは、各々が、開口部を、前記ドラムの外表面の方向に向けている、及び、前記ドラムの回転中に、前記複数の空洞のうちの対応する空洞と、半径方向に並ぶように配置している。
【請求項14】
請求項10から13の何れか一項に記載のシステム、ここで、前記ディスペンサーは、前記ドラム・フレームの、第1の支持構造及び第2の支持構造、によって支持を受けている、ここで、前記ディスペンサーは、前記ドラムの外表面に対して、前記ディスペンサーの高さを調整し易いように動作可能な調整メカニズムを、更に、含む。
【請求項15】
請求項10に記載のシステム、ここで、前記冷却性構成成分は、冷却剤を、前記ドラムの外表面と熱的接触させるための、デリバリー・システムを含む。
【請求項16】
請求項15に記載のシステム、ここで、前記ドラムは、中空の内部チャンバーを含む、及び、ここで、前記冷却性構成成分を、前記中空の内部チャンバーの中に注入して、前記ドラムの外表面を冷却する。
【請求項17】
請求項10から16の何れか一項に記載のシステム、ここで、前記システムは、前記ドラム・フレーム内に配置された冷却プレートを、更に、含む、ここで、前記回収トレーは、前記冷却プレート上に配置される、及び、前記冷却プレートは、前記回収トレーを冷却するように動作可能である。
【請求項18】
請求項10に記載のシステム、ここで、前記システムは、前記ドラム・フレーム内に取り付けられた取り除きメカニズムを、更に、含む、前記取り除きメカニズムは、前記ドラムの外表面から、前記凍結単位を取り除くために、動作可能である。
【請求項19】
請求項10に記載のシステム、ここで、前記ドラムの外表面を冷却するための目標温度は、前記ドラムの回転速度に基づく。
【請求項20】
固体単位剤型形体を調製するための液体製剤、ここで、前記液体製剤は、以下を含む:
治療用又は生物治療用の剤、ここで、前記剤は、前記液体製剤の全体にわたり、均一に分布している;
凍結保存剤(cryopreservative);
凍結乾燥保存剤(lyopreservative);及び、
1種以上の賦形剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2022年1月24日に出願された米国仮特許出願第63/267,091号の、非仮出願であり、35 U.S.C§119(e)に基づく利益を主張し、その開示は、その全体が本出願に参照により取り込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、広く、固体医薬剤型形体を製造するための、プロセス及び材料、に関する。
【背景技術】
【0003】
[背景]
凍結乾燥した、経口の及びバイアルの、剤型形体を調製するための従来の方法は、典型的には、単位用量の製造及び包装アプローチを含む、ここで、前記剤型形体は、投薬単位に分割され、その各々は、ブリスター・パック又はガラス・バイアル等の区画化されたパック中に、個々に、封止される。そのようなプロセスは、扱いにくく、大型で高価なブリスター形成装置、ブリスター・トレーを装填するステップ、個々のセル(cell)又はバイアルを充填するための装置、凍結及び凍結乾燥(lyophilization)/凍結-乾燥(freeze-drying)するステップ、ブリスターを封止するステップ、目打ち線をつけるステップ、ブリスター・パックに切り分けるステップ、バイアルに栓を配置するステップ、バイアルにラベル付けをするステップ及びバイアルを検査するステップ、並びに他の関連する方法論、を必要とすることがある。この装置の設置面積及びコストは、経口デリバリー媒体、特に、頬からの又は舌下からの取り込みのための経口デリバリー媒体、を、バルク調剤すること及びパッケージングすること、と比較した場合、ブリスター・パック及びバイアルを個々に加工するステップに由来する非効率性と相まって、より高い製造コストとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明者らは、最終製品に関する所望の有効性を保持しながら、バルク剤型形体を生成するために設計された、改善された、及び合理化された、システム及びプロセス、に対するニーズを特定した。本発明者らはまた、所望に応じて、たくさんの形状、大きさ、及び投薬量である、剤型形体を効率的に産生するために適合可能であるようなシステム、に対するニーズも特定した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[本開示の概要]
本発明は、固体医薬投薬単位をバルクで製造するための、システム及び方法、に関する。いくつかの実施形態では、単位剤型形体のバルク製造のためのシステムは、水平に取り付けられたドラムを含むことがある、ここで、前記ドラムは、その長軸を中心に、回転するように構成されている、前記ドラムは、複数の空洞を有する外表面を有する、前記複数の空洞は、一定体積の液体を、受ける、及び含む、ような形状をしている、前記一定体積の液体は、前記空洞の中に前記液体を分注するために配置したディスペンサーを介して、導入される。前記システムは、前記空洞内の液体を急速に凍結して凍結単位を形成することができる好適な温度まで、前記ドラムの外表面を冷却するように動作可能な冷却性構成成分を、更に含む。前記凍結単位を、その後、前記ドラムが回転しながら、前記空洞から前記凍結単位を受けるための、前記ドラムに対して配置された、回収トレーの中に、置くことがある。その回収した凍結単位を乾燥して、包装、シェルビング(Shelving)、及び使用のための、低い水活性レベルである固体単位剤型形体を得るために、乾燥機を提供することがある。
【0006】
本開示の一態様は、前記ドラムは、外表面(その上に置いた液体製剤を、正確な量を含む別個の部分へと配置するように、特殊化した外表面)を有する。いくつかの実施形態では、前記外表面は、置いた液体の流れを、コントロールするように、又は制限するように、適合化した複数の空洞を含み、その結果、前記液体は、前記表面と接している間、特定の空間を占める。前記液体は、固化するにつれて、得られる固体は、前記空洞の形状によって、少なくとも部分的に、決定される形状をとる。いくつかの実施形態では、前記複数の空洞は、前記ドラムを取り囲む一連のエンドレスな溝を含む。他の実施形態では、前記複数の空洞は、前記ドラムの外表面上に配置した、多くの別個のポケットを含むことがある。前記ポケットは、前記ドラムの長軸に沿って、前記ドラムの周縁の周りに、又はその両方に、分布していることがある。各ポケットは、前記ポケットの中に分注される液体製剤の部分の境界として機能し、凍結過程の液体を拘束し、それによって、得られる固体単位に特定の形状を付与する。同様に、各ポケットの体積は、生成され得る固体の体積の範囲を、及びそれらの対応する効力を、決定する。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記システムは、前記空洞が組み込まれている1つ以上の交換可能なスリーブを含む、ここで、前記スリーブは、前記ドラムにフィットするように設計される、及び前記ドラムに取り外し可能なように固定される。このようにして、前記スリーブは、単一のシステム内に所望の寸法を有する様々な投薬単位を生成するために、種々の幾何学形(geometries)(例えば、種々の形状(shape)及びサイズ)の、並びに/又は体積の、一連の空洞を提供することがある。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記システムは、治療薬剤を含む液体製剤の別個の部分を受けるように、及び前記部分を凍結して正確な量の治療薬剤を含む凍結単位を生成するように、装備された専用の回転ドラム・フリーザーを、含むことがある。本出願で使用する場合、用語「ドラム」は、広く読まれることが意図され、概して、円筒の構成を、同様に多面を有する構成等の他のタイプの構成を、有する好適なデバイスを、包含することがある。本出願に記載される方法及びシステムはドラムを使用することを例示するが、本出願に記載される使用に適合され得る、連続的なプロセスにおいて使用される他の類似の構造としては、ベルト、プラテン、及びローラー、が挙げられる。前記ドラムは、ステンレス・スチールで、又は高い熱伝導率を有する他の物質で、形成された外表面を含むことがある。いくつかの実施形態では、前記外表面の少なくとも一部は、低い濡れ性(wettability)、例えば、高度に疎水性から超疎水性まで、を示す。前記ドラムの内部は、冷却剤を、前記ドラムの内部に導入するように、及び外表面と熱的に接触することを可能にするように、中空であることがある、又はサーキットになっている(circuited)ことがある。前記ドラムは、前記ドラムがその長軸に沿って少なくとも一方向に回転可能であるように、軸又はフレームに、回転可能に取り付けられる。
【0009】
上述のように、前記システムは、前記ドラムの空洞及び外表面を所望の温度に、特に前記空洞内に置かれた液体製剤の部分を凍結させるのに適した温度に、冷却するための冷却性構成成分を、更に、含む。いくつかの実施形態では、前記冷却性構成成分は、冷却剤と外表面との間の熱的接触を確立するように設計される。例えば、前記冷却性構成成分は、冷却剤を前記ドラムの内部にデリバリーし、その結果、前記冷却剤は、前記ドラムの内表面との接触を介して、前記外表面の材料と、熱的接触するようになることがある。いくつかの場合では、前記熱的接触は、間接的、例えば、介在する伝熱性流体を介して等、であることがある。
【0010】
前記システムは、液体製剤の分注中に、前記ドラムを回転させるためのメカニズムを、更に、含むことがある。様々な実施形態では、前記メカニズムは、前記ドラムの長軸を通って延びる軸への動作可能な連結を介して、前記ドラムを回転させるためのモーターを含む。前記モーターは、任意の好適なモーター、例えば、可変速度モーター等、であることがある、及び前記メカニズムは、所望のように、回転速度を、設定するための、及び/又は調整するための、コントローラを更に、含むことがある。
【0011】
いくつかの実施形態では、単位剤型形体をバルク製造するための方法は、回転可能なドラムの外表面上に、又は、より具体的には、前記ドラムの外表面に特徴とする画定された空洞の中に、治療薬剤を含む液体製剤を置くステップを、含むことがある。前記外表面は、例えば、前記ドラムの内部を冷却媒体に曝露することによって等、極低温に冷却され、それによって、前記ドラムの外表面の空洞内に収容された分注された液体を、急速に凍結させる。前記方法は、更に、前記ドラムを回転させるステップを含み、その結果、その置かれた液体製剤は、前記ドラムの回転の少なくとも一部を経て、前記ドラムの外表面と接しながら、運ばれ、分注した部分を凍結単位へと凍結するステップを促進することがある。前記方法は、凍結単位の各々を、又はその複数を、回収するステップを、及び低い水活性レベルを有する単位剤型形体を得る為に、各単位を乾燥させるステップを、更に、含むことがある。
【0012】
本出願において更に詳細に記載するように、急速凍結プロセスの使用は、凍結乾燥(lyophilization)/凍結-乾燥(freeze-drying)のための生物学的安定化にとって、重要である。本出願に記載される、システム及び方法、に関連したコントロールを受けた体積のデリバリーによって、その製造された剤型形体の物理的な形状/体積の、及びその生物学的有効性の、両方を維持するための、コントロールを受けた生物学的有効用量を急速に凍結するステップが、提供される(例えば、プロバイオティクス安定化)。これらの開示されたプロセスから利益を得ることができる、ある特定の治療アプローチとしては、微生物治療、免疫療法、並びに、細胞療法及び遺伝子療法、が挙げられる。これらの及び他の実施形態に関する、更なる態様及び利点は、以下の例示的な実施形態に関する詳細な説明(これを、添付の図面を参照しながら、進める)から明らかになるであろう。
【0013】
本出願における書面による開示は、限定することを、又は包括的であることを、全く意図しない例示的な実施形態を説明する。図面に描かれているそのような理解を助ける実施形態のうちのいくつかを参照する:
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、1つの実施形態に係るフリーザー・システムの要素のサブセットの拡大図である。
【
図2】
図2は、
図1のフリーザー・システムの拡大図であり、1つの実施形態に係るノズルの細部を更に示すために、構成成分を除いている。
【
図3】
図3は、1つの実施形態に係る、
図1のフリーザー・システムを介して製造した、1バッチの凍結した投薬単位を図示する。
【
図4】
図4Aは、1つの実施形態に係るフリーザー・システムの要素を特徴とするプロセスの流れを示す。
図4Bは、1つの実施形態に係るフリーザー・システムの付加要素を特徴とするプロセスの流れを示す。
【
図5】
図5は、1つの実施形態に係るフリーザー・システムの正面図である。
【
図7】
図7は、
図5のフリーザー・システムの上部斜視図である。
【
図8】
図8は、
図5のフリーザー・システムの断面図であり、
図6中に示した断面8-8での断面を取った。
【
図9】
図9は、
図5のフリーザー・システムの分解図であり、前記フリーザー・システムに関する、より核心的な態様が不明瞭になることを避けるために、ディスペンサーを除いた。
【
図10】
図10は、
図5のフリーザー・システムのディスペンサーを示す拡大図である。
【
図11】
図11は、1つの実施形態に係る、フィーディング・メカニズム(feeding mechanism)を含むフリーザー・システムの実施形態を示す。
【
図12】
図12は、1つの実施形態に係る、取り外し可能なドラム・スリーブを示すために構成成分を除いた、
図11のフリーザー・システムを示す。
【
図13】
図13は、種々のサイズ、形状、及び構成の投薬単位を生成するための取り外し可能なドラム・スリーブの例示的な実施形態を示す。
【
図14】
図14は、1つの実施形態に係る固体投薬単位を製造する方法を示すフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[例示的な実施形態の詳細な説明]
本図面を参照しながら、このセクションは、フリーザー・システムの様々な実施形態を、並びに、その詳細な構築及び動作を、説明する。本明細書を通して、「1つの実施形態」、「実施形態」、又は「いくつかの実施形態」への言及は、記載した特徴、構造、又は特性が、前記フリーザー・システムの少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。従って、この明細書全体にわたる様々な箇所において、「1つの実施形態では」、「実施形態では」、又は「いくつかの実施形態では」という語句が出てきたら、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。更に、記載した特徴、構造、及び特性を、1つ以上の実施形態において、任意の好適な方法で、組み合わせることがある。本出願での開示を考慮すると、本出願に示され説明された様々な実施形態を、1つ以上の詳細を具体化すること無く、又は他の方法、構成成分、材料等を用いて、実施することができることを、当業者は、認識するのであろう。
【0016】
本開示は、治療用の及び生物治療用の剤を投与するための固体単位剤型形体、特に、経腸、舌下、頬側、鼻、肺、膣、局所、又は他の好適な非-注射デリバリー経路、の為の剤型形体、を製造するための、フリーザー・システムの、及び関連する方法の、実施形態を記載する。開示したシステム及び方法の1つの目的は、注射投与の代替としての固体単位剤型形体を製造することであり、前記注射投与の代替では、正確な効力を、経口、吸入、又は肺デリバリー、することが必要とされ、それによって、治療を施すための、コールド・チェーンを、及び/又は特殊な専門家を、必要としない治療条件の開発が促進される。
【0017】
簡潔に説明すると、以下で詳細に説明される前記フリーザー・システムは、外表面を有する回転可能なドラムを含み、前記外表面には、その上に形成された複数の空洞があり、前記空洞は、ディスペンサーから、治療薬剤を含む一定体積の液体を受ける。前記システムは、更に、前記ドラムの外表面を冷却して、前記空洞内の液体を凍結させ、凍結単位を形成するように、動作可能な冷却性構成成分を含む。いくつかの実施形態では、乾燥機を使用して、前記凍結単位を乾燥させ、包装するための及び使用をするための、低い水活性レベルを有する固体単位剤型形体を得ることがある。
【0018】
本開示は、保管、輸送、及び更なる加工のために、バルクの用量フォーマットとして、又は個々の用量フォーマットとして、の何れかで容易に包装することができる、固体単位剤型形体をバルクで製造するためのハイ-スループットな製造プロセスを使用するステップを記載する。本出願に記載されるように、接触凍結方法を、凍結乾燥又は真空乾燥と併用して、使用し、液体製剤を処理し、高い程度の構造的安定性を有する固体単位剤型形体を、そこに含まれる薬剤の治療活性及び治療有効性を維持しながら、生成することができる。
【0019】
以下で詳細に更に説明するように、本開示の実施形態は、従来の方法論と比較して、いくつかの利点及び利益を提供する。例えば、本開示のシステム及び方法は、ブリスター・フォーマットと比較して、凍結乾燥チャンバー(バッチ)におけるより大きな製造量を、及びより高いスループットを、提供する。更に、本開示のシステムは、前記投薬単位の生物学的な滞留及び有効性を最大限にするための、製剤-特異的な、コントロールされた凍結速度に対応する。加えて、本開示のシステム及び方法を合理化して、ブリスター・プロセスと比較して、用量当たり、より低い総製造コストが、及び製造プロセスにわたって、用量当たり、はるかに少ないパッケージングが、もたらされる。最後に、本開示のシステム及び方法によって、初回通過効果、即ち、薬物が、活性を発揮する部位に、又は全身循環に、到達する前に、薬物の濃度が減少する現象、を回避する経路によって、より少ない用量デリバリーが可能になる。
【0020】
図1から
図4をまとめて参照しながら、例示的なフリーザー・システムの、及び1種以上の治療薬剤を含む固体単位剤型形体を作製するための関連する方法の、全体像について、以下の説明を行い、続いて、特に、
図5から
図13を参照しながら、フリーザー・システムの別の例示的な実施形態について、より詳細な検討を行う。フリーザー・システムについての、これらの及び他の、実施形態に関する更なる詳細を、添付の図面に参照しながら、以下で更に検討する。
【0021】
図1から
図2は、各々、1つの実施形態に係るフリーザー・システム100の一部の拡大図である。
図1から
図2を一般的に参照すると、フリーザー・システム100は、ドラム102を含み、ドラム102は、長軸を中心に回転するために、フレーム(
図5のフレーム530を参照)に水平に取り付けられている。ドラム102は、外表面104を有し、外表面104は、その上に形成された複数の空洞106を有する。いくつかの実施形態では、空洞106は、(
図1及び
図2に示すように)ドラム102を取り囲む、一連の、並列チャネル又は溝を、含むことがある。他の実施形態では、前記複数の空洞106は、代わりに、ドラム102の外表面104上に配置された、多数の別個のポケット(図示せず)を含むことがある。前記ポケットは、ドラム102の長軸に沿って、ドラム102の周縁の周りに、又はその両方に、分布していることがある。更に他の実施形態では、空洞106は、以下で更に説明するように、任意の好適な形状又はサイズを含み、得られる固体単位に具体的な構成を付与することがある。
【0022】
フリーザー・システム100は、1種以上の治療薬剤を含む液体製剤を分注するように動作可能なディスペンサー108を、更に含む。いくつかの実施形態では、前記液体製剤は、分注中、温度が約4℃から約25℃である。ディスペンサー108は、前記液体製剤を、ドラム102の外表面104上に、特に、空洞106の中に、分注するために配置された、ずらりと並んだノズル110を、又は他の任意の好適なメカニズムを、含むことがある。ディスペンサー108は、ドラム102が回転しながら、前記液体製剤を分注して、その結果、前記液体は、空洞106内に収容され、空洞106の寸法に少なくとも部分的に基づいた、形状及び体積を、取る。
【0023】
いくつかの実施形態では、ディスペンサー108は、ドラム102の長軸に沿って並列に配置された複数のノズル110を含み、各々のノズル110は、ドラム102の外表面104の別個のゾーンの方向に向く。上述のように、複数の空洞106はまた、ドラム102の長軸に沿って、同様にその周縁の周りに、分布することもある。従って、いくつかの実施形態では、各々のノズル110は、少なくとも1つの空洞106と、並べられることがある。例えば、(
図1に示されるように)空洞106が溝を含む場合、各々のノズル110は、ドラム102が回転しながら、液体製剤を溝106の中に分注するために、それぞれの溝106と、並べられることがある。別の例では、空洞106が、代わりに、ポケットを含む場合(図示せず)、各々のノズル110は、ドラム102が回転しながら、液体製剤を前記ポケットの中に分注するために、ドラム102が完全に回転する中のある点で、少なくとも1つの対応するポケット106と、半径方向に並ぶことがある。いくつかの実施形態では、複数のポケット106は、その回転軸に沿った所与の点で、ドラム102の周縁の周りに、配置されることがあり、その結果、単一のノズル110は、ドラム102の回転中に、液体製剤を、ポケット106の、一部の中に、又は全部の中に、分注することがある。
【0024】
フリーザー・システム100は、
図2-
図4を参照しながら以下で更に検討するように、凍結した投薬単位を形成するために、空洞106中の液体を凍結させるのに適した温度まで、ドラム102の外表面104を冷却するように動作可能な冷却性構成成分(図示せず)を更に含む。いくつかの実施形態では、前記冷却性構成成分は、冷却剤とドラム102の外表面104との間に、熱的接触を確立することがある。例えば、前記冷却性構成成分は、冷却剤を、ドラム102の内部にデリバリーすることがあり、その結果、前記冷却剤は、ドラム102の内表面との接触を介して、外表面104の材料と熱的接触するようになる。他の実施形態では、前記熱的接触は、間接的、例えば、介在する伝熱性流体を介して等、であることがある。
【0025】
本出願に記載の実施形態で使用するための冷却剤としては、ある状態から別の状態に、例えば、液体又は固体の状態からガス状の状態に、変化すると、隣り合う材料において、非常に低い温度を生成するために、大量の熱を吸収することができる任意の材料を、挙げることができる。前記冷却剤は、冷却性固体、冷却性ガス、冷却性液体、又は伝熱性流体、を含むことがある。いくつかの実施形態では、前記冷却剤は、液体冷却剤である。非常に低い沸点を有する任意の適切な冷却性液体を使用することがある。例としては、限定されるものではないが、液体ヘリウム、液体アルゴン、液体二酸化炭素、液体酸素、及び液体窒素又は過冷却アンモニア、が挙げられる。前記液体はまた、化学的に不活性であることもある。ある特定の実施形態では、前記冷却剤は、液体窒素である。いくつかの実施形態では、前記冷却剤は、液体として、前記ドラムにデリバリーされるが、蒸気、液体/蒸気の混合物、又は気体、として、前記外表面と熱的接触をするようになる。例えば、液体冷却剤を、前記ドラムの中に注入し、次いで、例えば、ファンなどによって、霧化させ、得られた蒸気が、前記外表面と熱的接触するようになることがある。使用した冷却剤を、前記ドラムから再捕捉する、必要に応じて凝縮する、及び外表面を更に冷却するステップのために再循環する、又は他の使用に向ける、ことがある。
【0026】
図2-
図4をまとめて参照すると、以下は、フリーザー・システム100を介して、凍結した投薬単位30を製造するためのプロセスに関する更なる詳細を提供する。理解を容易にするために、且つ本開示の実施形態の関連する構成成分が不明瞭になることを避けるために、
図2に示したフリーザー・システム100を、ディスペンサー108を除くように、及び単一のノズル110を示すように、改変した。
【0027】
図1を参照しながら記載したように、フリーザー・システム100は、液体製剤を、並行にずらりと並んだノズル110を介して、ドラム102の外表面104上に、分注するために配置したディスペンサー108を含む。ドラム102は、その外表面104上に、複数の空洞106を含む、及び空洞106内の液体製剤を、置いた後に、凍結するように動作可能な冷却性構成成分を含む。特に
図2を参照すると、フリーザー・システム100を、ノズル110を介した、空洞106の中への、液体製剤の分注をコントロールするように、適合化することがある。より具体的には、フリーザー・システム100は、ドラム102の回転サイクルに対して、特定のタイミングに、正確な量の液体製剤を分注するように、適合化している。別の言い方をすれば、ディスペンサー108と、ドラム102を駆動する回転メカニズムとは、ノズル110は、ドラム102の各々の回転中に、液体製剤の、複数の別個の、正確に測定された、部分を、空洞106の中に、分注するように、協働的にコントロールを受けることがある。更に、ドラム102の外表面104の温度を選択して、その結果、液体製剤の各々の分注された部分は、ドラム102の単一の回転サイクル内で、分注された後、所望のレベルに凍結する。いくつかの実施形態では、フリーザー・システム100は、目標の外表面温度を提供するように装備されており、その結果、液体製剤の各々の分注された部分は、ドラム102が回転サイクルを完了する前に、十分に凍結し、回収の準備が整う。例えば、いくつかの実施形態では、前記液体製剤は、ドラム102が半回転する以内に、凍結することがある。
【0028】
図2に示すように、ノズル110は、回転するドラム102の外表面104上の複数の溝106のうちの1つの中に、前記液体製剤の複数の別個の投薬部分20を、分注する。フリーザー・システム100の冷却性構成成分は、外表面104を目標温度まで冷却し、その結果、各々の投薬部分20は、置かれたときに凍結し始め、ドラム102が回転しながら凍結が続き、凍結した投薬単位30が形成される(
図3を参照)。ドラム102の回転によって、所与の頻度で、前記液体製剤が持続的に置かれるようになり、各々の空洞106は、凍結の様々な段階にある、複数の投薬部分20を含むことができるようになる。
【0029】
好ましくは、空洞106の中に置かれた液体製剤が、最終的に凍結して、空洞106への付着性を最小限にしながら、固体投薬単位30を形成するように、ドラム102の外表面104は、構成される。いくつかの実施形態では、外表面104の少なくとも一部、特に空洞106の間に画定される部分は、液体製剤に対して低い濡れ性(wettability)を示すように構成される、ここで、前記表面の濡れ性(wettability)は、高度に疎水性から超疎水性までの範囲であることがある。その一態様では、前記疎水性は、前記表面上の水滴によって示される接触角として、表すことができる、ここで、前記表面は、少なくとも120°の、より具体的には少なくとも150°の、水接触角を示す。別の態様では、空洞106内の外表面104は、低い滑り角(sliding angle)、例えば、凍結した投薬単位30が滑り落ちる外表面104の傾き角度、を提供することがある。いくつかの実施形態では、空洞106内の外表面104は、約90°以下の、より具体的には60°以下の、又は45°以下の、滑り角度を提供するように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、ドラム102の外表面104は、凍結した投薬単位30の付着を最小限に抑えるために、任意の好適な、面形態及び/又は表面化学を、含むことがある。例えば、外表面104は、マイクロ-スケール及び/又はナノ-スケールで構成された、表面の粗さ等の形態学的特徴を含むことがあり、それによって、液体が接触している間、凹凸間の空間に、空気の層を維持することが可能になる。その表面化学は、より低い表面エネルギーを示し、濡れ性を低減するように、構成されることがある。場合によっては、外表面104は、外表面104の疎水性を高めるコーティングを含むことがある。
【0031】
投薬単位30が、ドラム102の外表面104上で、一度凍結すると、投薬単位30は、ドラム102から落下しながら、回収されることがある。
図1-
図2を参照しながら上述したフリーザー・システム100の構成では、前記液体製剤は、ノズル110を介して、ドラム102の外表面104の空洞106の中に、その軌道経路の最高点付近で、分注され、その結果、外表面104との接触時間が最大になることがある。投薬単位30が、一度凍結すると、それを、その後、ドラム102の軌道経路の最下点付近の外表面104から、取り出すことができる。上述のように、空洞106は、物理的な取り除きメカニズムを必要とすることなく、空洞106を傾けることによって、空洞106から、凍結した投薬単位30を、容易に分離するように構成された表面を、含むことがある。そのような実施形態では、空洞106は、その中の凍結単位30が、空洞106を傾けたときに、落下するように、成形される。他の実施形態では、フリーザー・システム100は、取り除きメカニズム(例えば、ドクター・ブレード(doctor blade)又はドクター・ナイフ(doctor knife)と一般的に呼ばれるタイプの構造)[これは、ドラム102の回転サイクルの中のある特定の点で、各々の空洞106に入って、そこに収容されている凍結した投薬単位30を取り除く]を、含むことがある。
【0032】
凍結した投薬単位30が、ドラム102の空洞106から、一度除かれると、凍結した投薬単位30は、凍結単位を受けるための、ドラム102に対して配置されたトレー40(
図3参照)に、回収されることがある。いくつかの実施形態では、凍結した投薬単位30を凍結状態として保つために、及び/又は凍結した投薬単位30が所望の凍結レベルに達したことを確実にするために、回収トレー40を、選択した温度に、冷却することがある。いくつかの実施形態では、回収トレー40を、例えば、複数回の回転サイクル中に生成される凍結単位30の総数など、ある量の凍結単位30を、回収するように装備する。
【0033】
前述のように、本開示は、低含水量を、及び/又は低水活性レベルを、有する、固体単位剤型形体30を製造するための、方法及びシステムを、包含する。従って、いくつかの実施形態では、フリーザー・システム100は、凍結後に回収された凍結した投薬単位30を乾燥するための乾燥機(
図4の乾燥機414を参照)を、更に含むことがある。前記乾燥機は、凍結乾燥機、真空乾燥機、又は凍結した投薬単位30から、それらの構造的な健全性を維持しつつ、液体内容物、例えば、溶媒、を除くのに好適な他の装置、を含むことがある。ある特定の実施形態では、前記乾燥機は、凍結乾燥機(freeze dryer)、又は少なくとも、凍結乾燥(lyophilization)、即ち、低圧下で、水、及び/又は他の溶媒を蒸気に昇華させること、を達成するように適合化した機器、を含む。
【0034】
図4A及び
図4Bは、本出願に記載のフリーザー・システム100の実施形態を特徴とする、例示的なプロセス・フロー400を、まとめて示す。
図4Aを参照すると、1種以上の治療薬剤を有する液体製剤を収容するディスペンサー408は、
図1-
図3を参照しながら記載したように、前記液体製剤を、凍結単位に凍結されるように、冷却したドラム402上に、その回転サイクルのうちの高い点で、分注する。回収凍結トレー412は、その回転サイクルのうちの低い点で、ドラム402から放出される際に、前記凍結単位を回収するために、配置される。凍結単位のバッチは、その後、保管のためにフリーザー416に移されることがある、又は、凍結乾燥のための凍結乾燥機(freeze dryer)414及び/若しくは他の乾燥サイド・プロセス(dry side process)418に移されることがある。
【0035】
4Bを特に参照すると、フリーザー・システム100は、液体製剤を貯蔵するための容器420を含むことがある。いくつかの実施形態では、容器420を、液体製剤の調製を、達成するように、又は完了するように、装備することがある。前記容器は、マニホールド(manifold)422に、動作可能に接続されることがある、ここで、マニホールド(manifold)422は、容器420からの液体製剤のストリーム424を、1つ以上のディスペンサー(例えば、ディスペンサー408)に向けられた複数の出力ストリーム426に、分配する。マニホールド(manifold)の出力を超える製剤のフローは、リターン・ストリーム(return stream)428として、容器420に戻され、再循環することがある。
【0036】
図5-
図13をまとめて参照しながら、以下で、1種以上の治療薬剤を含む凍結した投薬単位を作製するための、フリーザー・システム500の詳細を、更に説明をする。フリーザー・システム500は、
図1-
図4のフリーザー・システム100を参照しながら前述したのと、多くの同じ構成成分を含むことがある、及び、同様の様式で動作する。従って、重複を回避するために、これらの構成成分のいくつかは、フリーザー・システム100を参照しながら説明した同様の構成成分がフリーザー・システム500に組み込まれ得ることを理解するとして、以下の検討においては、更に詳しく説明されない場合がある。
【0037】
図5-
図9は、例示的な一実施形態に係る、フリーザー・システム500を様々な角度から見た図を、まとめて示す。
図5-
図9を全体的に参照すると、フリーザー・システム500は、外表面504を有するドラム502を含む、その外表面504上に複数の空洞(図示せず)が形成されている、前記空洞は、ドラム502の長軸に沿って配置した、且つフリーザー・システム100を参照しながら前述したのと同様の様式で、ドラム502の外表面504の方向に向いた、ディスペンサー508(例えば、ノズル510を介して等)から、液体製剤を受ける。
図9の分解図(本実施形態のより関連する態様が不明瞭になることを避けるために、ディスペンサー508を、図から除く)を参照すると、ドラム502は、ドラム・フレーム530に対して回転するように、ドラム・フレーム530に、回転可能に取り付けられている。1つの例示的な構成では、ドラム502は、ドラム502を通る長軸に沿って延びるドラム軸538を含み、ドラム軸538は、第1の支持構造540に沿って、且つ対向する第2の支持構造542に沿って、ドラム・フレーム530に取り付けられる。第1の及び第2の支持構造540、542の各々は、それにカップリングした軸マウント544、556を含み、軸マウント544、556は、ドラム軸538の直径に対応する直径を有する孔546、558を有する、その結果、ドラム軸538の一部が、それぞれの孔546、558を通って延在し、軸マウント544、556による支持を受けるようになる。フリーザー・システム500は、窒素シール548、560(テフロン又は他の好適な材料、でできている)、シール・リテーナ(seal retainer)550、562、並びにシュラウド552、564、及びシュラウド・シール(shroud seal)554、566(シリコン又は他の好適な材料、でできている)、を更に含み、これらは全て、フリーザー・システム500の内部を囲み、適切に密封された環境を維持するように、軸マウント544、556にカップリングする。
【0038】
特に
図8及び
図9を参照すると、ドラム502は、
図1-
図4のフリーザー・システム100を参照して前述したように、内部からドラム502の外表面504を(例えば、冷却剤を使用することによって)冷却するための中空内部532含むことがある。手短に言えば、前記冷却剤(例えば、液体窒素又は他の好適な構成成分等)は、中空内部532にデリバリーされることがあり、そこで、外表面504と熱的に接触するようになり、外表面504を、好適な温度にまで、冷却する。他の実施形態では、開示された実施形態の原理から逸脱することなく、ドラム502の外表面504を、所望の温度にまで、冷却するように、他の好適な構成が配置されてもよいことを理解されたい。
【0039】
分注した液体製剤の部分を、特定の速度で、目標温度にまで、冷却するように、フリーザー・システム500によって処理を受ける液体製剤の特性に基づいて、外表面温度を、選択することがある。ある特定の実施形態では、フリーザー・システム500の冷却性構成成分は、外表面504の温度が約-50℃未満であるように構成される。他の実施形態では、外表面温度は、約-80℃未満、約-90℃未満、約-100℃未満、約-110℃未満、約-120℃未満、約-130℃未満、約-140℃未満、約-150℃未満、最大で-270℃未満等、であることがある。別の言い方をすれば、前記外表面温度は、約-50℃から約-270℃まで、-50℃から約-150℃まで、約-60℃から約-130℃まで、若しくは約-80℃から約-120℃まで、又は液体製剤に、及び投薬単位の所望の凍結特性に、依存して、広い範囲に及ぶことがある。均質な核生成を生じるように、液体製剤の部分の過冷却をもたらす温度を選択することがある。例えば、生きている細胞を含む液体製剤において、純水のTg(ガラス転移温度)未満に冷却することは、全ての分子的なプロセスを中断させ、フリー・ラジカルの生成を防止し、それによって生存性を維持する。しかしながら、冷却が急速すぎると、細胞構造を破壊し得る氷の結晶の形成がもたらされることがある、一方、冷却が遅すぎると、脱水及び前記細胞に対する他の浸透圧的な損傷がもたらされることがある。そのような場合、前記温度を、約0.9℃/分から約2℃/分までの冷却速度を提供するように、選択することがある。
【0040】
図9を特に参照すると、フリーザー・システム500は、第1の及び第2の支持構造540、542の間に延在し、それらにブレース(brace)574を介して取り付けられた、内部クロス・バー568、570、572を、更に含む。1つの実施形態では、ドラム502から、凍結単位30(
図3を参照)を、回収し、それらを、凍結した状態として維持するために、ドラム502の下方に配置された回収トレー40を冷却するように動作する冷却プレート534を、中間クロス・バー570は、支持する。いくつかの実施形態では、上部クロス・バー568(又は第1の及び第2の支持構造540、542、内の他の任意の好適な構造)は、スクレーパー・バー組立体(scraper bar assembly)576を支持し、ドラム502が回転しながら、凍結単位30を、ドラム502から、取り除く。フリーザー・システム500は、更に、閉じたときに、ドラム502及び/又は凍結単位30を、周囲環境から遮蔽するように、並びに、開いたときに、回収トレー40に接近して、凍結単位30を受けることができるように、構成された、1つ以上のドア536を、含むことがある。
【0041】
図10は、
図5のフリーザー・システム500のディスペンサー508に関して、更に詳しく示す拡大図である。
図10を参照すると、ディスペンサー508は、第1のガイド580及び第2のガイド582を支持するクロス・バー578を、並びに第1の及び第2のガイド580、582にカップリングした両端が向かい合っているノズル・バー584を、含む。ディスペンサー508は、ドラム・フレーム530の第1の支持構造540にカップリングした第1のマウント586を、及び、ドラム・フレーム530の第2の支持構造542にカップリングした第2のマウント588を、更に、含む。マウント586、588は、任意の好適な方法(例えば、留めるメカニズム又は溶接等を介して)で、ドラム・フレーム530に、カップリングすることがある。ディスペンサー508は、第1の及び第2のマウント586、588に、それぞれ、カップリングした、第1の調整スリーブ590を、及び第2の調整スリーブ592を、更に含む。クロス・バー578は、その端部に沿って、調整スリーブ590、592に、カップリングする。この構成では、必要に応じて、ディスペンサー508を、ドラム502に対する所望の高さに調整することが容易なように、調整スリーブ586、588は、それぞれの第1及び第2のマウント586、588に対して調整可能である。
図10に示すように、ドラム502の外表面504に対して、任意の好適な構成で、ディスペンサー508のノズル510を支持するために、ノズル・バー584は、その上に形成された複数の孔594を、互い違いに、含む。
【0042】
図11は、1つの実施形態に係る配置構成として、完全に組み立てたフリーザー・システム1100の実施形態、を示す。
図11を参照すると、フリーザー・システム1100は、回転可能なドラム(図示せず)を収容するドラム・フレーム1102を、
図5-
図10のフリーザー・システム500に関して前述した他の構成成分と共に、含む。基準フレームを確立するために、
図11に示したフリーザー・システム1100を、クリーンルーム50内に部分的に配置する、そして、ドラム、ディスペンサー1104、回収トレー(ドラム・フレーム1102内に収容される)、及び凍結した投薬単位30(
図3を参照)を製造するための他の構成成分、をクリーンルーム50内に配置して、凍結した投薬単位30が無菌環境で製造されることを確実にする。ドラムのための、モーター又は他の好適な駆動メカニズム(図示せず)を、壁60の他方の側で、クリーンルーム50の外側に、置く。
【0043】
図11に示すように、システム1100は、製造プロセスの様々な態様(例えば、前記ドラムの回転速度、前記ドラムの外表面の温度、ディスペンサー1104を介して分注する液体製剤の量、及び本出願に記載するフリーザー・システム100、500、1100の他の特徴等)をコントロールするためのコントローラ・キャビネット1108を含むキャビネット・フレーム1106、を含む。キャビネット・フレーム1106は、導管1114(例えば、ホース又は他の好適な導管)を介して、ディスペンサー1104のノズル(図示せず)に接続した、一連のポンプ1112を有するポンプ・キャビネット1110を、更に、含む。導管1114は、全て、前記液体製剤がディスペンサー1104に均一に分布することを確実にするために、等しい長さであることがある。ポンプ・キャビネット1110は、1種以上の治療薬剤を有する液体製剤を含むケトル1116と流体連通している、ここで、ポンプ・キャビネット1110は、前記液体製剤を、前述のように、前記ドラムの外表面上へ分布させるためのディスペンサー1104のノズルにデリバリーするために、ケトル1116から前記液体製剤を引き出すように、動作可能である。いくつかの実施形態では、ケトル1116からの液体製剤を、本プロセスに圧入がかかることを回避するために、大気に対して開放された、保持チューブ1118にポンプで送ることがある。
【0044】
上述のように、本出願に記載のフリーザー・システム100、500、1100を、コントロールされた環境(例えば、クリーンルーム50等)の中での動作のために、構成することがある。例えば、治療薬剤の凍結剤型形体30を製造するために、そのようなシステムを使用することには、生成物が大気由来の粒子によってコンタミネーション(contamination)することを回避するために、あるレベルの大気の質を維持するステップを含むことがある。いくつかの実施形態では、(上述のように)前記システムの少なくともいくつかの構成成分を、例えば、ISO 14644で規定されているように、クリーンルーム50の中に配置することがある。より具体的には、クリーンルーム50は、製造される製品に適用可能なISO 14644標準に準拠することがある。いくつかの実施形態では、クリーンルーム50内にオペレーターが、いる、又はいない、に関わらず動作するように、フリーザー・システム100、500、1100を、構成することがある。
【0045】
例えば、システム1100は、少なくともディスペンサー1104及びドラム・フリーザー(図示せず)に接続したコントローラ・キャビネット1108と動作可能に通信するリモート-コントロール・デバイス(図示せず)を、含むことがある、その結果、これらの構成成分を、クリーンルーム50内に置きつつ、それぞれの機能(例えば、液体製剤を分注するステップ及び前記ドラムの回転等)を、クリーンルーム50の外部からコントロール可能にすることができる。いくつかの実施形態では、システム1100に関する、更なる構成成分及び機能もまた、リモート-コントロール・デバイスによって、コントロール可能である(例えば、ドラム外表面を及び/又は回収トレーを冷却するステップ、凍結単位の回収、並びに凍結単位の凍結乾燥等)。いくつかの実施形態では、上記の機能のうちの1つ以上を、自動化することがある。
【0046】
図12-
図13は、フリーザー・システム1100と共に使用するための、取り外し可能なドラム・スリーブ1300を、まとめて示している。前述のように、凍結した投薬単位30の幾何学的寸法は、ドラム102の外表面104上の空洞(例えば、空洞106)の対応する幾何学的寸法に、少なくとも部分的に、基づいて、コントロール可能である(
図1を参照)。従って、
図12及び
図13を参照して、いくつかの実施形態では、ドラム・フレームの一部分を除くことによって、ドラム1200にアクセスすることができる。
図12を参照すると、ドラム・フレームの支持構造のうちの1つが、除かれている。ドラム1200を露出させるために支持構造を取り外した後、既存のドラム・スリーブ1202をドラム1200から取り外し、別のドラム・スリーブ1300と交換して、任意の好適な幾何学的構成を有する凍結した投薬単位30を生成することができる。基準フレームを確立するために、ドラム・スリーブ1300は、種々の凍結した投薬単位30を生成するための4つの別個のパターン・ゾーンと一緒に示すことで、広範囲の構成を提供する。単一のドラム・スリーブ1300は、1サイクルで様々な形状及びサイズの凍結した投薬単位30を生成するために、複数の別個のパターンを含むことがあるが、合理化した製造プロセスでは、製造後に、凍結した投薬単位30を選別しなければならないことを回避するために、1つの一貫したパターンを有するドラム・スリーブ1300が使用される可能性が高い。
図13を参照すると、ドラム・スリーブ1300は、任意の好適なパターン、例えば:ほぼ楕円形の凍結した投薬単位30を生成するための楕円形のポケット1302、分注する液体製剤の量、前記ドラムの回転速度、及び/又は前記ドラムの外表面の凍結温度、に応じて、円形又は楕円形の凍結した投薬単位30を生成することができる、細溝パターン1304及びより広い溝パターン1306、並びに、丸い、ピル-形状の凍結した投薬単位30を生成するための円形のポケット1308等、を含むことがある。
【0047】
図14は、1つの実施形態に係る単位剤型形体をバルク製造するための方法1400を示すフロー・チャートである。方法1400は、上述のようなシステム100、500、1100のうちの何れかを、又はそのようなシステムの少なくとも1つ以上の構成成分を、使用する、任意の数のステップを含むことがある。
図14を参照すると、方法1400は、ステップ1402で始まる、ここで、前記ドラムは、所望のスピードで回転する。前述のように、前記ドラムは、任意の好適な構成(例えば、前述のようなポケット及び溝等)を含むことがある複数の空洞を含む外表面を有する。ステップ1404では、前記ドラムの外表面を、任意の好適な方法を使用して、非常に低い温度にまで、冷却する。いくつかの実施形態では、その冷却ステップは、前述のように、冷却剤を前記ドラムにデリバリーするステップを含むことがあり、その結果、前記冷却剤は、前記ドラムの外表面と熱的接触をするようになる。好ましくは、前記ドラムの外表面の温度は、以下で更に検討するように、様々な要因に依存して、-50℃から約-150℃までの間の範囲である。ステップ1406では、ディスペンサー・システムは、治療薬剤を含む液体製剤の一部を、前記ドラムの外表面上の1つ以上の空洞の各々の中に、分注する。前記液体製剤を、ディスペンサー・システムを介して、分注するが、前記ドラムは、所望のスピードで、回転する。ステップ1408では、前記液体製剤の分注した部分を、前記ドラムが回転し続けつつ、前記ドラムの外表面上で、目標レベルにまで、凍結する。いくつかの実施形態では、分注した部分は、実質的にその体積全体にわたって、固体状態にまで、凍結される。
【0048】
様々な実施形態では、前記ドラムの、外表面温度及び回転速度のうちの、一方又は両方を、ステップ1408において、所望の時間フレーム内で、及び所望の凍結レベルで、前記液体製剤の分注した部分が凍結するように、選択することがある。例えば、上記のステップ1404は、液体製剤の分注された部分が、前記ドラムの外表面との接触後に、非常に急速に、又は実質的に瞬時に、凍結するであろう温度まで、前記外表面を冷却するステップを含むことがある。他の実施形態では、前記ドラムの外表面の温度を、前記ドラムの回転サイクルに基づいて、選択し、凍結を実現させることがある。例えば、いくつかの実施形態では、前記投薬単位が、前記ドラムの1回転サイクル未満で、凍結するように、前記温度を、選択することがある。他の実施形態では、前記温度を、前記ドラムの、4分の1回転内で、又は2分の1回転内で、凍結するように、選択することがある。しかしながら、ドラムの回転速度をまた、前記液体製剤が、所望の様に、確実に十分に凍結するようにするために、前記ドラムの外表面の温度、と組み合わせて、又は別々に、の何れかで、選択することもあることが、理解されるであろう。
【0049】
他の実施形態では、ステップ1404を参照しながら説明した外表面の温度を、各々の分注した部分の体積に部分的に基づいて、選択することもあり、その分注した部分の体積を、今度は、結果として得られる剤型形体によってデリバリーされる治療薬剤の量を考慮して、選択することがある。いくつかの実施形態では、前記ディスペンサーから分注される部分は、特定の用量の治療薬剤を提供するように選択した、ある量の液体製剤を含む。例えば、分注する部分は、約0.01 μlから約1.0 mlまでの体積を、有することがある。そのような実施形態では、前記ドラムの外表面の温度は、前記液体製剤の具体的な組成、前記ドラムの回転速度、及び/又は他の好適な要因、に依存しながら、-50℃から約-150℃までの間の範囲に広く及ぶことがある。
【0050】
方法1400を参照して記載された凍結プロセスの、凍結時間及び他の態様は、上記のような液体製剤の、物理的及び化学的特性に依存することがある。従って、いくつかの実施形態では、方法1400は、液体製剤を特性評価するステップを更に含むことがあり、1つ以上のこれらの特性、例えば、前記製剤の相転移温度等、例えば、そのガラス転移温度(Tg)、を決定する。いくつかの実施形態では、このステップは、熱重量解析(thermogravimetric analysis (TGA))、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry (DSC))、凍結乾燥顕微鏡法(freeze-drying microscopy (FDM))、又はこれらの技術の組合せ、を含むことがある。その後、ステップ1404は、液体製剤の特性に基づいて外表面の冷却温度を選択するステップを含むことがある。
【0051】
図14に戻ると、ステップ1410では、凍結した投薬単位を、前記空洞から回収する。前述のように、凍結した投薬単位は、回転するドラムから、前記ドラムの下に配置した回収トレーの中に、単純に落下することがある、ここで、前記トレーを冷却して、その凍結単位を、凍結状態として保つことがある。例えば、1つの実施形態では、液体製剤の一部を、ステップ1406において、前記ドラムの外表面の位置に、その軌道経路の最高点付近で、分注する、次いで、ステップ1408において、凍結単位に凍結できるようにすることがある。前記凍結単位を、その後、前記ドラムの外表面から、その最低軌道点付近で、除く。いくつかの実施形態では、このプロセスは、上述のように、前記凍結単位を、その空洞から落下させるステップを含むことがある。前述のように、回収プロセスを簡単にするために、前記凍結単位と空洞との間の付着性を、ほとんど又は全く、もたらさないように、前記ドラムの外表面の、形態、化学的性質、及び温度を、選択することがある。
【0052】
しかしながら、他の実施形態では、方法1400は、例えば、前記ドラムが回転する間に、各々の空洞の中に入り、凍結した投薬単位に接触して、それらを、前記空洞から、取り除く、取り除きメカニズムを介する等、前記空洞から、その凍結した投薬単位を除くステップを、更に含むことがある。前述のように、本開示の1つの態様は、単位-用量包装ステップを必要とせずに、バルクの固体剤型形体を、製造することができる、及び包装することができる、ことである。従って、ステップ1410は、それらを、更なる加工に供する前に、複数の凍結単位を、バッチの中に回収するステップを、更に含むことがある。
【0053】
最後に、ステップ1412において、その回収した凍結した投薬単位を乾燥させて、固体剤型形体を得る。その乾燥させるプロセスは、その凍結した剤型形体の含水量を減少させて、包装及び保管のための安定性を提供する一方で、それらの物理的な構造を、並びにそれらの中に含まれる治療薬剤の効力を、維持する。乾燥させるステップは、その凍結単位を、凍結乾燥に、又は真空乾燥に、供する等の様々な好適なプロセスを含むことがある。いくつかの実施形態では、乾燥させるステップは、1バッチの凍結した投薬単位を含む回収トレーを、凍結乾燥機の中に入れるステップ、及び、それらを所望の特性を有する固体剤型形体を生成するように設計した凍結乾燥プロセスに供するステップ、を含む。いくつかの実施形態では、前記乾燥させるステップは、選択した水分量、例えば約3% w/w未満、を有する固体剤型形体を生成するように適合化される。いくつかの実施形態では、前記乾燥させるステップは、選択した水活性レベル、例えば、約0.02 μlから約300 μl、を有する固体剤型形体を生成するように適合化される。その凍結乾燥した剤型形体を、保管及び/又は輸送のために、バルクとして包装することがある。また、そのバルクの量を、単位投薬量フォーマットとして、又は特定の用量数を含む複数の包装容器の中に、配分することがある、及び包装することがある。いくつかの実施形態では、剤型形体のバッチを、前記ドラムから回収した後に、保管及び/又は輸送のために、処理をしてもよい(即ち、乾燥ステップを介さない)。このアプローチを、例えば、前記剤型形体が乾燥に対して不耐性である治療薬剤を含む場合に、使用することがある。
【0054】
前述のように、上述の方法1400のステップ内の様々なパラメータを、所望の特性を有する固体剤型形体を生成するように、選択することがある。様々な実施形態では、固体剤型形体の性質及び量は、少なくとも部分的に、以下のうちの何れかによって決まることがある:前記ドラムの外表面の構成;前記外表面の温度;前記ドラムの回転の、モード及び速度;前記液体製剤の特性、及び前記液体製剤を前記ドラム上に分注する方法。しかしながら、上記は、本開示の助けを借りた当業者が使用することがあるパラメータの考えられる組合せに関して、網羅的であることを、又は限定することを、意図するものではないことに留意されたい。
【0055】
従って、いくつかの実施形態では、方法1400は、前記ドラムの外表面の構成、例えば、表面形態、表面化学、前記空洞の形体及び配置、前記ドラムの回転中に、前記液体製剤を分注する方法、又はこれらの任意の組合せ等、を選択するステップを更に含むことがある。例えば、前記方法は、前記ドラムを回転させながら、前記外表面の溝の中に、液体製剤の一部を分注するステップを含み、その結果、各々の部分は、前記ドラムの外表面の最上位置付近で、分注される。しかしながら、前記液体製剤は、様々な位置で、前記ドラム上にデリバリーされることがあることも理解されよう。いくつかの実施形態では、前記液体製剤の分注された部分の先端は、回転するドラムによって、分注された部分の残りの部分から引き出され、その結果、前記部分を凍結するステップによって、細長い凍結単位がもたらされる。前記凍結単位の長さは、回転サイクル長に対する分注持続時間によって、決まり、一方で、その幅、高さ、及び形状は、前記ドラムの外表面上の空洞の、幅、深さ、及び断面形状によって、少なくとも部分的に、決まる。上述のように、複数のそのような凍結単位は、各々の空洞内に複数の部分を分注することによって、更に、複数の空洞を利用することによって、即ち、前述のように、別個のノズルを各々の空洞に対して並べることによって、前記ドラムが1回転する内に、生成され得る。
【0056】
別の例示的な実施形態では、前記ドラムは、外表面を含み、その上に、複数の別個のポケットが存在する、及び方法1400の分注するステップ1406は、前記ドラムの回動中に、選択した空間的及び時間的なパターンで、前記液体製剤を分注するステップを含むことがあり、その結果、前記製剤の一部は、各々の複数のポケットの中に置かれる。前記空間的及び時間的パターンは、空洞がノズルの開口部に隣接するとき、回転サイクル中の点で、ノズルが製剤を分注するように、選択される。いくつかの実施形態では、前記方法1400は、前記液体製剤の一部が、各々のポケットの中に完全に分注されることを可能にするために、そのような点で前記ドラムの回転を、減速させるステップを、又は中断させるステップを、更に含むことがある。
【0057】
記載されるように、図に示される方法及び関連するシステムは、凍結した剤型形体をバルクで製造するための、合理化したプロセスを、提供する。いくつかの実施形態では、上記で説明した方法1400におけるある特定のステップを、本開示の主題の原理から逸脱することなく、組み合わせる、変更する、変える、及び/又は省略する、ことがあることを理解されたい。更に、本出願の1つの部分で開示する主題は、1つ以上の本出願の他の部分の主題と、組み合わせることができることが、そのような組み合わせが、相互に排他的でないか、又は動作不能でない限り、意図される。加えて、本出願に記載のシステム及び方法の、多くの変形、向上、及び修正が、可能である。
【0058】
本開示は、更に、乾燥した(例えば、凍結乾燥した)固体剤型形体を製造する際に、上述のフリーザー・システム100、500、1100及び関連する方法1400と共に、使用するのに適した、液体製剤を包含する。特に、前記液体製剤を、バルクでの、包装、保管、及び取り扱いにとって、安定である剤型形体に、並びに高レベルの治療効力を、再水和及び/又は投与時に実現されるように保持する剤型形体に、形成することができる。前記液体製剤は、再水和状態、例えば、溶媒中で、又は経口若しくは経粘膜経路による投与時に、容易に崩壊する剤型形体にとって、更に有用である。包含される剤型形体としては、限定されるものではないが、トローチ剤、錠剤、散剤、座薬剤、及びサシェ剤、が挙げられる。前記液体製剤を、多くのタイプの好適な治療薬剤、例えば、低分子、植物からの単離物、生体治療分子及び高分子、核酸、並びに、細胞性薬剤(例えば、幹細胞及びプロバイオティクス等)、の有効な投薬及びデリバリーに対して、適合化させることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、液体製剤は、治療薬剤と1種以上の賦形剤との混合物を、含むことがある。前記治療薬剤の、及び他の構成要素の、性質に応じて、前記液体製剤を、液剤、懸濁剤、乳剤、又はスラリーとして、調製することがある。例えば、水溶性低分子を含む剤型形体を製造するための液体製剤を、水溶液として調製することがある。単位間及びプロセス全体にわたって、正確且つ一貫した投薬量を容易にするために、前記液体製剤を、前記治療薬剤が前記製剤内に均一に分布するように、調製することがある。
【0060】
賦形剤としては、限定されるものではないが、1種以上の、凍結保存剤(cryopreservative)、凍結乾燥保存剤(lyopreservative)、増量剤、吸収増強剤、崩壊剤、香味料、甘味料、界面活性剤、及び増粘剤、が挙げられる。本出願で使用する場合、「凍結保存剤(cryopreservative)」は、治療薬剤を含む混合物に添加する場合、再水和又は再構成の際に、前記治療薬剤の効力を実質的に失うことなく、前記混合物を凍結させるステップを、適応化する化合物を指す。特に、細胞ベースの治療薬剤に関して、凍結保存剤(cryopreservative)は、細胞内の氷晶形成、浸透圧不均衡、及び細胞生存率を低下させる他の凍結-関連現象を、最小限に抑えることができる、又は防止することができる。好適な凍結保存剤としては、限定するものではないが、単糖、二糖、及び多糖類の糖、例えば、ショ糖又はトレハロース、ジメチル・スルホキシド(DMSO)、グリセロール、プロピレン・グリコール、及びエチレン・グリコール等、が挙げられる。本出願で使用する場合、「凍結乾燥保存剤(lyopreservative)」は、治療薬剤を含む混合物に添加する場合、再水和又は再構成の際に、前記治療薬剤の効力を実質的に失うことなく、前記混合物を凍結乾燥することを可能にする化合物を指す。好適な凍結乾燥保存剤(lyopreservative)としては、限定されるものではないが、二糖類糖類、例えば、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース及びトレハロース等;多価アルコール;ラフィノース及び他の非-還元多糖類、並びにそれらの誘導体、が挙げられる。
【0061】
増量剤としては、特に固体剤型形体において、バルク及び構造を追加するために使用される様々な材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記増量剤は、以下の群より選択される炭水化物ベース(carbohydrate base)を含むことがある:マンニトール、デキストロース、ショ糖、ラクトース、マルトース、マルトデキストリン及びラクトース。他の増量剤の例としては、限定されるものではないが、リン酸水素カルシウム、微結晶性セルロース、ケイ酸塩、酸化マグネシウム、タルク、ジャガイモ又はトウモロコシのデンプン、イソマルト、及びポリビニル・アルコール、が挙げられる。特に、増量剤を、前記剤型形体が乾燥しているときには構造的な健全性をもたらし、液体の存在下で急速に崩壊するように、選択することがある。
【0062】
治療薬剤が、上皮を、又は他の標的膜を、浸透することを増強させるために、特に、治療薬剤が大きな分子又は高親水性分子を含む場合に、1種以上の吸収増強剤を含めることがある。例えば、第四級アンモニウム塩、ポリエチレン・グリコール及びポリエチレン・グリコール・エステル、天然及び合成界面活性剤、脂肪酸、脂肪アルコール、胆汁酸塩及び胆汁酸、糖エステル及びキレート化剤、が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記液体製剤は、経細胞経路及び/又は傍細胞経路の短期的な拡大を増強するように(そうではない場合、これらの経路にとっては、大きすぎる活性化合物のために)、選択した化合物を、含むことがある。そのような化合物としては、糖が、グリコシド結合、アミド結合、エステル結合又は他の結合によって、アルキル側鎖に結合しているアルキル糖類、が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記吸収増強剤としては、アルキル・グリコシド、特に、C6からC18、又はより具体的には、C12からC16、若しくはC12からC14の、炭素鎖長を有するアルキルを含むアルキル・グリコシド、が挙げられる。好適なアルキル・グリコシドとしては、限定されるものではないが、ドデシル・マルトシド、テトラデシル・マルトシド、及びN-ラウリル-b-d-マルトピラノシド、が挙げられる。
【0063】
本出願に記載のシステム及び方法を、投与時に容易に崩壊する固体マトリックスを作製するために、前記液体製剤と併せて、適合化させることがある。いくつかの実施形態では、崩壊剤を添加することがある。好適な崩壊剤としては、架橋ポリマー、例えば、架橋ポリビニル・ピロリドン及び架橋カルボキシメチルセルロース・ナトリウム等、が挙げられる。
【0064】
増粘剤は、治療薬剤を均質な懸濁液中に維持し、それによって、その混合物全体に均一に分布するようになることに、役立つ。前記増粘剤はまた、前記マトリックスの形成に寄与し、口腔剤型形体での、崩壊の前に、及び崩壊の最中に、より受け入れられる口当たりを提供することができる。いくつかの実施形態では、前記増粘剤は、ガム(gum)である。好適なガムとしては、限定されるものではないが、キサンタン・ガム、カラギーナン・ガム、ガラクトマンナン・ガム、アカシア、グアー、及びトラガント・ガム、が挙げられる。
【0065】
界面活性剤はまた、潜在的な利益の特性を付与するために、含まれることもある。例えば、界面活性剤は、構成要素が分散することを増強させるために、及び、凍結単位が、それが形成される空洞に付着することを防止するために、含まれることがある。薬学的に許容可能な界面活性剤の例としては、以下が挙げられる:ポリオキシエチレン・ヒマシ油誘導体、例えば、ポリオキシエチレングリセロール・トリリシノレエート、若しくはポリオキシル35ヒマシ油、又はポリオキシエチレングリセロール・オキシステアレート、例えば、ポリエチレングリコール40水添ヒマシ油、若しくはポリエチレングリコール60水添ヒマシ油;又はエチレン・オキサイド及びプロピレン・オキサイドのブロック・コポリマー、これは、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック・コポリマー若しくはポリオキシエチレン・ポリプロピレングリコールとしても知られる;又はポリオキシエチレン(20)ソルビタンのモノ脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・モノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・モノステアレート、ポリオキシエチレン(60)ソルビタン・モノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・モノパルミテート、又はポリオキシエチレン(20)ソルビタン・モノラウレート。
【0066】
香味料及び甘味料は、感覚的魅力を提供し、他の構成要素の苦味を隠すために、前記液体製剤中に含まれることがある。香味料としては、任意の好適な、天然の、人工的な、若しくは天然及び人工的の香味料の組み合わせ、又はフレーバー増強剤、例えば、香味油、果実調製物、マルトール、エチル・マルトール、クエン酸、アスコルビン酸又はアセトアルデヒド、を挙げることができる。他の実施形態では、果実粉末、濃縮物、又はピューレを、より多量に、使用することがある。いくつかの実施形態では、人工甘味料は、その効力が故に使用を最小限にすることができるので、特に有用であり得る。好適な甘味料としては、アセスルファム-K、アスパルテーム、ナトリウム・サッカリン、カルシウム・サッカリン、及びグリチルリチン酸モノ-アンモニウム(mono-ammonium glycyrrihizinate)(MAG)、が挙げられる。
【0067】
前記液体製剤のある特定の特性は、上記のシステム及び方法におけるその使用に関して、特に重要であることがある。例えば、前記製剤の粘度は、それがノズルを介して分注され得る流速に、並びに所与の形状を有する空洞を、満たし、それに適合する、その性向に、影響を及ぼすことがある。これらの要因の各々を、所与の形状を有する剤型形体中の治療薬剤の量をコントロールする能力において、考慮することができる。加えて、前記液体製剤の粘度は、ドラム外表面の所与の温度で、凍結するのにかかる時間に、影響を及ぼすことがある。急速凍結では、大きな氷結晶の形成を回避することができ、これは、前記治療薬剤が、細胞又は生物学的高分子(これらは、ゆっくり凍結する間に生じる結晶形成によって損傷を受けることがある)を含む剤型形体にとって、特に有益であることがある。いくつかの実施形態では、前記液体製剤は、約0.1 cPから約1000 cPまで、又は約20 cPから約150 cPまで、の粘度を有することがある。
【0068】
本開示はまた、本出願に記載の、システム、方法及び物質、を使用することによって作製される固体剤型形体を、包含する。いくつかの実施形態では、前記固体剤型形体は、薬学的有効量の治療薬剤、0.1-3.0%のガム(gum)、及び10-60%の炭水化物ベース(carbohydrate base)、を含む。ある特定の実施形態では、前記固体剤型形体は、以下を含むことがある(乾燥重量による):1-60%の量の(好ましくは10-60%の量の) 治療薬剤、10-60%の量の炭水化物ベース(carbohydrate base)、0.1-3.0%の量のガム、0.001-5.0%の量の香味料、1%未満の量の界面活性剤、及び約1%未満の量の甘味料。
【0069】
本開示は、液体製剤及び使用される凍結試験のための、以下の特定の具体例を参照することによって、より良く理解され得る。
【実施例】
【0070】
実施例
実施形態に係る例示的な液体製剤(製剤1)は、以下の構成要素を含有する:
【表1】
【0071】
上記の実施例において、使用した封入化アセトアミノフェンは、イリノイ州LisleのVan Den Bergh Food Ingredients Groupから入手したDurkote APAP 145-75であり、前記ガムは、Kelco Xanthan Gum K1B111であり、前記香味料は、DM Wintergreen 1348であった。
【0072】
本開示の実施形態に係る、更なる例示的な液体製剤(2-81)は、以下に示される構成要素を含有する:
【表2】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【表10】
ゼイン(アルコールに可溶なトウモロコシのタンパク質)の中に封入されたアセトアミノフェン
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
インスリンの鼻腔内デリバリーを増強させるための、2つの例示的な製剤(「サンプルA」及び「サンプルB」)を以下に記載する:
【表14】
【0085】
種々の凍結及び凍結乾燥レジメンを用いて、これらの配合を用いて、固体剤型形体を作製し、その結果を以下にまとめる:
【表15】
【0086】
【0087】
【0088】
上記で使用した用語及び記載は、例示のためだけに示されており、本開示のシステム及び関連する方法を記載する際の限定を意味するものではない。当業者は、本発明の根底にある原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に対して、多くの改変を行うことができることを、認識するであろう。
【国際調査報告】