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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-14
(54)【発明の名称】太陽電池パネルアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20250206BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20250206BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/38 150
H02J3/32
H02J7/35 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545226
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-09-09
(86)【国際出願番号】 GB2023050192
(87)【国際公開番号】W WO2023144556
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】2201109.2
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524283316
【氏名又は名称】パルスアイブイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PULSIV LIMITED
【住所又は居所原語表記】Milton Hall Ely Road Milton Cambridge The United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】アーメッド,モハンメド ザキ
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA06
5G503BA04
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
複数の太陽光発電パネル(10)を含む太陽光発電所(5)で使用するための装置であって、複数の太陽光発電パネル(10)からパネル電圧で直流電力を集電し、直流電力をケーブル配線などの中間送電線(20)に渡すように構成されてなる、複数のパワーコンディショニングユニット(15)と、複数のパワーコンディショニングユニット(15)から中間送電線(20)を介して直流電力を受け取り、直流電力を交流電力に変換して出力するように構成されてなる共通インバータユニット(30)とを含む装置。対応する動作方法が記載される。装置は、低直流電力の集電の期間中、安定した交流電力を提供するために使用されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽光発電パネルを含む太陽光発電所で使用するための装置において、
複数のパワーコンディショニングユニットであって、各パワーコンディショニングユニットは、パワーコンディショニングユニットに関連する1つまたは複数の太陽光発電パネルのそれぞれからパネル電圧で直流電力を集電し、直流電力をケーブル配線などの中間送電線に渡すように構成されてなる、複数のパワーコンディショニングユニットと、
複数のパワーコンディショニングユニットから中間送電線を介して直流電力を受け取り、直流電力を交流電力に変換して出力するように構成されてなる共通インバータユニットとを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
各パワーコンディショニングユニットが、高電圧直流電力として中間送電線を介して共通インバータユニットに伝送するために、集電された直流電力の電圧を交流電力のピーク電圧以上、およびいずれの関連する太陽光発電パネルのパネル電圧以上に上げるように構成されてなり、任意だが、共通インバータユニットが前記交流電力を出力しているとき、高電圧直流電力が少なくとも350V、または少なくとも400Vの電圧を有するように配設されたとを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各パワーコンディショニングユニットに結合されるエネルギー貯蔵ユニットをさらに含み、該パワーコンディショニングユニットは、集電された直流電力の少なくとも一部を選択的に貯蔵し、貯蔵された直流電流の少なくとも一部を中間送電線を介して共通インバータユニットに選択的に放出するように配設され、エネルギー貯蔵ユニットによる直流電流の貯蔵は、実質的に高電圧直流電力の電圧であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
集電された直流電力の少なくとも一部の選択的貯蔵が高電圧直流電力の電圧に依存するように制御されるように配設されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
高電圧直流電力の電圧が、共通インバータユニットによる出力のための交流電力のための同時需要、および複数のパワーコンディショニングユニットと関連する太陽光発電パネルからの同時に集電された直流電力のいずれか一方または両方に依存するように配設されることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
各パワーコンディショニングユニットは、最大電力点追従を用いて、集電された直流電力を調整して、パワーコンディショニングユニットと関連する1つまたは複数の太陽光発電パネルのそれぞれのパネル電圧および/または出力電流を制御するように配設されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
各パワーコンディショニングユニットは、4つ以下の関連する太陽光発電パネルから直流電力を集電するように適合され、または各パワーコンディショニングユニットは、ただ1つの関連する太陽光発電パネルから直流電力を集電するように適合されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
共通インバータユニットは、複数の別個のインバータ回路を含み、各インバータ回路は、中間送電線から直流電力の一部を受け取り、受け取った直流電力の一部を出力用の交流電力に変換するように配設され、共通インバータユニットは、インバータ回路の1以上を選択的に作動または非作動にするように配設されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
インバータ回路の少なくとも2つは、変換される電力量に関して互いに異なる効率特性を有し、共通インバータユニットは、インバータ回路の異なる効率特性および出力用の交流電力の検出された電流需要に従って、異なるインバータ回路を選択的に作動および非作動にするように配設されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
共通インバータユニットは、故障のあるインバータ回路を検出し、その後、直流電力を出力用の交流電力変換するために、その故障のあるインバータ回路の選択を回避するように配設されることを特徴とする請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
共通インバータユニットは、1つまたは複数のインバータ回路の信頼性の尺度を維持し、信頼性の尺度に従ってこれらのインバータ回路の1つまたは複数の電力負荷を制限するように配設されることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
全てのパワーコンディショニングユニットは、中間送電線を介して、共通インバータユニットに電気的に並列に接続されることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の装置と、複数の太陽光発電パネルと、中間送電線とを含むことを特徴とする太陽光発電所。
【請求項14】
高電圧直流電力を中間送電線を介して共通インバータユニットに渡すように構成される少なくとも10のパワーコンディショニングユニットを含むことを特徴とする請求項13に記載の太陽光発電所。
【請求項15】
各パワーコンディショニングユニットと共通インバータユニットとの間の中間送電線の平均長さは、少なくとも10メートルであることを特徴とする請求項13または14に記載の太陽光発電所。
【請求項16】
各パワーコンディショニングユニットは、パワーコンディショニングユニットに関連する複数の太陽光発電パネルまたは複数の太陽光発電パネルの1つに、組み込まれる、搭載される、または5メートル以内に位置する、のいずれか1つであることを特徴とする請求項13~15のいずれか1項に記載の太陽光発電所。
【請求項17】
太陽光発電所を動作させる方法であって、
複数のパワーコンディショニングユニットであって、それぞれがパネル電圧で直流電力を集電し、直流電力をケーブル配線などの中間送電線に渡すように配設されたパワーコンディショニングユニットのそれぞれにおいて、1つまたは複数の太陽光発電パネルから集電された直流電力を受け取ることと、
各パワーコンディショニングユニットから、中間送電線を介して、共通インバータユニットに直流電力を伝送することと、
共通インバータユニットにおいて、直流電力をピーク電圧を有する交流電力に変換して電力網に出力することとを含む方法。
【請求項18】
各パワーコンディショニングユニットにおいて、集電された直流電力の電圧を、パネル電圧を上回り、ピーク電圧を下回るより高い直流電圧に上げて中間送電線を介して伝送することをさらに含み、任意だが、パネル電圧は100V以下であり、より高い直流電圧は、共通インバータユニットが交流電力を電力網に出力するとき、少なくとも350Vまたは少なくとも400Vであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
集電された直流電力の少なくとも一部を選択的に貯蔵し、貯蔵された直流電力の少なくとも一部を共通インバータユニットに選択的に放出することをさらに含み、貯蔵および放出の動作は、より高い直流電圧のレベルに依存することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
より高い直流電圧のレベルは、電力網への出力のための交流電力の同時需要、および太陽光発電パネルから同時に集電された直流電力の一方または両方に少なくとも部分的に依存することを特徴とする請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
全てのパワーコンディショニングユニットは、中間送電線を介して共通インバータユニットに電気的に並列に接続されることを特徴とする請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
共通インバータユニットは、複数の別個のインバータ回路を含み、該方法は、各インバータ回路を制御して、中間送電線から直流電力の一部を受け取り、直流電力の受け取った一部を出力用の交流電力に変換することと、共通インバータユニットを制御して、1つまたは複数のインバータ回路を選択的に作動または非作動にすることとをさらに含むことを特徴とする請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
インバータ回路の少なくとも2つは、変換される電力量に関して互いに異なる効率特性を有し、出力用の交流電力の電流需要を検出することと、共通インバータユニットを制御して、インバータ回路の異なる効率特性と出力用の交流電力の電流需要とに従って異なるインバータ回路を選択的に作動および非作動にすることとを含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
故障したインバータ回路を検出することと、直流電力を出力用の交流電力に変換するために故障したインバータ回路の選択を回避することとを含むことを特徴とする請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
共通インバータユニットを制御して、1つまたは複数のインバータ回路の信頼性の尺度を維持し、信頼性の尺度に従ってこれらの1つまたは複数のインバータ回路の電力負荷を制限することを特徴とする請求項17~24のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電所やその他の太陽光発電パネルの集合体に関する。このような太陽光発電所は、典型的には、広い面積に分散配置された多数の太陽光発電パネルを含む。
【背景技術】
【0002】
実用規模の太陽光発電所は、典型的には、広大な土地に分散配置された数千から数十万の個別の太陽光発電パネルを含み、商業・産業規模の太陽光発電所も同様に、典型的には、少なくとも数百の個別の太陽光発電パネルを含む。
【0003】
現在、このような設備に使用されている適切な太陽光発電パネルの面積は、典型的には、約1.0~3.0mであり、それぞれが約100個の独立した発電用太陽電池であって、直列で約50ボルトの電気を発生することができる発電用太陽電池を含む。強い太陽光の下でのこのような太陽光発電パネルの典型的な最大出力は、500W程度であってもよい。太陽光から電力への変換効率は、単接合シリコン技術であっても、現在では20%前後が日常的に実現されている。
【0004】
特定の入射光条件下では、各太陽電池は、開回路電圧の約70~80%で電力出力のピークを示す電流電圧関係に従って動作する。しかしながら、正確なピーク電力点は、入射する太陽光の強度、スペクトル、偏光特性などのパラメータや、周囲温度などの運用要因によって変化する。そのため、動的最大電力点(MPP)制御は、典型的には、集電された電流を制御することによって、設置されたソーラーパネルから最大電力を集電するために使用される。
【0005】
さらに、太陽光発電パネルは直流電力を生成するが、交流電力は典型的には、送電網への注入や地域の産業・商業目的のほとんどに必要とされる。そのため、太陽光発電パネルから集められた直流電力を交流電力に変換するために、直流-交流電力変換回路が使用される。
【0006】
太陽光発電所の太陽光発電パネルから電力を集めるために、パネルの小さなグループは、単一のストリングインバータユニットに電気的に直列に接続することができ、このストリングインバータユニットは、典型的には、最大電力点制御とパネルのためのインバータ機能の両方を実装している。各ストリングインバータユニットは、選択した電圧で最適化されたレベルの交流電力を出力し、多くの場合は三相電力として、地域の送電網への注入や地域の産業用または商業用に適している。一般的なストリングインバータユニットは、5~10枚程度の太陽光発電パネルに接続するように設計され、220~240V(RMS)で数kWを出力する。
【0007】
しかしながら、直列に接続された複数の太陽光発電パネルに単一のストリングインバータを提供することは、製造、設置、メンテナンスが比較的簡単であるという点では効率的であるが、パネル間の電気的な直列接続は、最大電力点追従が、直列に接続されたパネル間の動作特性の違いを考慮できないことを意味する。この特性は、劣化や汚れの蓄積、電気的な故障、あるいは複数のパネル間の短期的または長期的な照度の違いによって、時間とともに変化する可能性がある。そのため、接続されたパネルのストリング全体は、最も性能の悪いパネルの出力に制約される傾向がある。ストリングインバータが故障すると、そのユニットが修理または交換されるまで、パネルのストリング全体も動作不能となる。
【0008】
そのため、太陽光発電所では、各太陽光発電パネルに設置され、接続された個別のマイクロインバーターユニットを使用することがあり、マイクロインバーターは、最大電力点制御と、関連するパネルでの直流電力から交流電力への反転の両方を行う。このようなマイクロインバータは、同等の必要なストリングインバータよりも製造および設置コストが高くなる可能性があるが、各パネルの電力を個別に最適化することによって、優れた総合出力を提供することができ、1つのパネルまたは1つのマイクロインバータユニットの劣化または故障は、ストリングインバータが使用されて、同様の劣化または故障が起こった場合よりも、総合出力への影響が小さい。
【0009】
特に実用的な規模では、有用な電力への光変換の全体的な効率と、ストリングインバータまたはマイクロインバータおよび関連するケーブル配線を含む電力処理インフラのコストと、保守および修理のコストとの間の最適なバランスを達成することは、複雑な問題である。本発明は、関連する従来技術のこれらおよびその他の難点に対処しようとするものである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の実施形態は、ストリングインバータとマイクロインバータのアーキテクチャとの利点を、太陽光発電パネルを含む太陽光発電所または同様のシステムにおける使用に適した単一のシステムに統合し、太陽光発電パネルから電力を伝送するケーブルの電力損失を最小化しようとするものである。
【0011】
従って、本発明は、複数の太陽光発電パネルを含む太陽光発電所または他のシステムにおける使用のための装置を提供し、該装置は、複数のパワーコンディショニングユニットであって、各パワーコンディショニングユニットが、パワーコンディショニングユニットに関連する1つまたは複数の太陽光発電パネルのそれぞれからパネル電圧で直流電力を集電し、直流電力をケーブル配線などの中間送電線に渡すように構成されてなる複数のパワーコンディショニングユニットと、複数のパワーコンディショニングユニットから中間送電線を介して直流電力を受け取り、出力のために、たとえば輸出のために、直流電力を交流電力に変換するように構成されてなる共通インバータユニットであって、交流電力は、送電網、地域の電力網、または他の交流電力網もしくは分配システムに輸出可能である、共通インバータユニットとを含む。
【0012】
本発明はまた、太陽光発電所またはその他のシステムを提供し、該太陽光発電所またはその他のシステムは、上記の装置と、各パワーコンディショニングユニットに関連する1つまたは複数の太陽光発電パネルとを含み、典型的には中間送電線をも含む。
【0013】
すべてのパワーコンディショニングユニットは、中間送電線を介して共通インバータユニットに電気的に並列に接続することができる。理解されるように、中間送電線は、中間ケーブル配線、または中間バスバー配置のような電力転送のための他の適切な接続配置によって構成されてもよい。理解されるように、異なる送電線タイプを使用し、設置において組み合わせてもよい。
【0014】
典型的には、各太陽光発電パネルは、少なくとも1平方メートルの活性光起電力表面積を有し、および/または少なくとも100Wの電力を生成する定格を有する。
【0015】
各パワーコンディショニングユニットは、ブーストコンバータ、フライバックコンバータ、プッシュプルコンバータ、フォワードコンバータなどのコンバータ、または中間送電線を横切って伝送するために集電された直流電力の電圧をより高いレベルまで上げるように配設された他の装置を含んでもよい。この高い電圧は、たとえば、出力用の交流電力のピーク電圧以上であってよく、また、関連する太陽光発電パネルのいずれかまたはすべてのパネル電圧以上であってもよい。より高い電圧の直流電力は、特に、中間送電線のすべて、およびパワーコンディショニングユニットのすべてについて同じ電圧または実質的に同じ電圧であってよく、共通インバータへのパワーコンディショニングユニット間で使用され得る並列電気接続に注意する必要がある。
【0016】
高圧直流電力は、運転条件に応じて可変の電圧レベルであってよいが、典型的には、少なくとも共通インバータユニットが交流電力を出力または輸出しているときには、少なくとも350V、または少なくとも400Vの電圧を有することができる。このようにして、複数のパネルのインバータ機能を単一の共通インバータユニットに統合しながら、ケーブル配線および/またはコネクタリンクなどにおける電力損失を大幅に低減することができる。
【0017】
さらに、たとえば、高電圧直流電力の電圧が、出力または輸出のための交流電力の同時需要と、複数の太陽光発電パネルから同時に集電された直流電力との一方または両方に依存するようにシステムが配設されている場合、高電圧直流電力の電圧レベルは、適切な制御措置を実施するために、装置またはシステムの様々な部分への動作条件の通知のために使用することができる。
【0018】
本装置は、各パワーコンディショニングユニットに結合されたエネルギー貯蔵ユニットをさらに含んでいてもよく、パワーコンディショニングユニットは、集電された直流電力の少なくとも一部を選択的に貯蔵し、貯蔵されたエネルギーの少なくとも一部を、その直流電力から共通インバータユニットに中間送電線を介して選択的に放出するように配設されている。好都合なことに、エネルギー貯蔵ユニットによる直流電力の貯蔵は、実質的に高電圧直流電力においてでもよく、高電圧直流電力の使用範囲内においてでもよい。
【0019】
集電された直流電力の少なくとも一部を選択的に貯蔵することは、パワーコンディショニングユニットにおいて、高圧直流電力の電圧に少なくとも部分的に依存して制御されることが好都合である。
【0020】
各パワーコンディショニングユニットは、関連する1つまたは複数の太陽光発電パネルのそれぞれのパネル電圧および/または出力電流を制御するために、最大電力点追従を用いて集電された直流電力を調整するように配設され得る。
【0021】
各パワーコンディショニングユニットと共通インバータユニット間のケーブル配線形態の中間送電線の平均長さは、少なくとも5メートル、または少なくとも10メートル、または少なくとも20メートルである。中間送電バスバーシステムの平均長さは、リンクの寸法によって異なる場合がある。中間ケーブル配線を介して共通インバータユニットに高電圧直流電力を渡すパワーコンディショニングユニットの数は、少なくとも10であってよく、共通インバータユニットがそのように構成されてなるものでもよい。各パワーコンディショニングユニットは、限られた数の太陽光発電パネル、たとえば4つ以下の太陽光発電パネルと、または1つの太陽光発電パネルと関連していてもよく、各パワーコンディショニングユニットがそのように構成されてなるものでもよい。
【0022】
各パワーコンディショニングユニットは、関連する太陽光発電パネルに内蔵されるか、取り付けられるか、3m以内に設置されるか、5m以内に設置されるか、複数の太陽光発電パネルがある場合は関連する太陽光発電パネルの1つに設置されるかのいずれかであってよい。
【0023】
共通インバータユニットは、複数の別個のインバータ回路を含んでもよく、各インバータ回路は、中間送電線から直流電力の少なくとも一部を受け取り、受け取った直流電力の一部を出力または輸出用の交流電力に変換するように配設される。そして、共通インバータユニットは、インバータ回路の1つ以上を選択的に作動または非作動にするように配設される。
【0024】
これによって、共通インバータユニットは、出力または輸出される交流電力のレベル範囲にわたって、改善されたレベルの電力変換効率で動作することができる。たとえば、インバータ回路の少なくとも2つは、変換される電力量に関して互いに異なる効率特性を有することができ、共通インバータユニットは、それらのインバータ回路の異なる効率特性と、接続された電力網による交流電力出力または輸出に対する検出された現在の需要などの需要特性に従って、インバータ回路の異なるものを選択的に作動および非作動にするように配設されることができる。
【0025】
インバータ回路は、システムの中で最も故障しやすい部分であることが多い。これに対処するため、共通インバータユニットは、故障や障害のあるインバータ回路を検出し、出力または輸出のために直流電力を交流電力に変換するために、その故障または障害のあるインバータ回路の選択を自動的に回避するように配設することができる。共通インバータ回路は、アラームまたは警告信号を生成することもでき、この信号は、たとえばデータネットワークを介してオペレータに伝達され、故障または故障したインバータ回路の識別を示すことができる。
【0026】
共通インバータユニット全体または各共通インバータユニットの信頼性を向上させるために、共通インバータユニットは、1つまたは複数のそのインバータ回路の信頼性の尺度を維持し、信頼性の尺度に従ってこれらのインバータ回路の電力負荷を選択的に制限または低減するように配設することもできる。信頼性の尺度は、製造業者の試験、年数、現在までの総電力変換量、同時に測定された温度など、さまざまな要因に基づくことができる。
【0027】
共通インバータユニットは、他のインバータ回路を切断することなく、インバータ回路のいずれかを取り外して交換できるように、特に配設することができる。たとえば、ホットスワップ可能な配設では、他のインバータ回路の動作を中断することなく交換できる。
【0028】
本発明はまた、上述の装置、その装置の個々の構成要素、または上述の装置を含む太陽光発電所もしくは他のシステムを構築する方法および動作させる方法を提供する。このような方法は、たとえば、複数のパワーコンディショニングユニットであって、それぞれがパネル電圧で直流電力を集電し、直流電力を中間送電線に渡すように配設されたパワーコンディショニングユニットのそれぞれにおいて、1つまたは複数の太陽光発電パネルから集電された直流電力を受け取ることと、各パワーコンディショニングユニットから、中間送電線を介して、共通インバータユニットに直流電力を伝送することと、共通インバータユニットにおいて、直流電力をピーク電圧を有する交流電力に変換して、電力網に出力または輸出することとを含むことができる。
【0029】
本方法はさらに、各パワーコンディショニングユニットにおいて、集電された直流電力の電圧を、パネル電圧を上回り、中間送電線を介して伝送するためのピーク電圧を下回る、より高い直流電圧に引き上げることを含んでいてもよい。たとえば、パネル電圧は100V以下であり、より高い直流電圧は、少なくとも共通インバータユニットが交流電力を電力網に出力している時間において、少なくとも350V、または少なくとも400Vである。より高い直流電圧のレベルは、電力網に出力するための交流電力の同時需要、および1つまたは複数の太陽光発電パネルから同時に集電された直流電力の一方または両方に少なくとも部分的に依存することがある。
【0030】
本方法はさらに、集電された直流電力の少なくとも一部を選択的に貯蔵すること、または貯蔵された集電された直流電力の少なくとも一部を選択的に共通インバータユニットに放出することを含んでよく、貯蔵および放出は、より高い直流電圧のレベルに依存して制御される。
【0031】
説明した装置および方法のいくつかの変形例では、パワーコンディショニングユニットは、太陽光発電パネルから直流電力の代わりに交流電力を受け取ることができる。他の変形例では、太陽光発電パネルは、風力または水力タービンなどの異なる発電装置と置き換えられてもよく、これらの発電装置は、パワーコンディショニングユニットによって集電される直流電力または交流電力のいずれかを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照してほんの一例として説明する。
【0033】
図1】太陽光発電所または同様のシステムを示し、太陽光発電所の複数の太陽光発電パネルが、それぞれ1つまたは複数の関連するパワーコンディショニングユニットを有し、出力または輸出用の交流電力を供給するための共通インバータユニットにどのように接続されるかを示している。
図2図1のパワーコンディショニングユニットおよび共通インバータユニットのより詳細な態様を示している。
図3】パワーコンディショニングユニットと共通インバータユニット間の中間ケーブル配線によって運ばれる高圧直流電力の電圧レベルに関して、図1および図2の太陽光発電所または同様のシステムがどのように動作するかを示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1を参照すると、複数の太陽光発電パネル10を含む太陽光発電所5が示されている。これらは、典型的には、フレームに取り付けられ、任意だが、何らかの方法で太陽を追尾するように移動可能であり、典型的には、広大な土地に分散して設置されるが、建物やその他の構造物、水域などに取り付けられてもよい。典型的な太陽光発電所5は、数百から数十万のこのような太陽光発電パネル10を含んでもよい。各太陽光発電パネル10は、1.0~3.0m程度の有効面積を持ち、強い太陽光の下で少なくとも100W、500W程度の発電が可能である。各太陽光発電パネルは、少なくとも10V、より典型的には、50Vの電圧で発電するように配設され、太陽光発電所全体は約50kWから約100MW以上の発電が可能である。しかしながら、本発明は、たとえば、強い太陽光の下で少なくとも100Wを発電する定格の太陽光発電パネルを少なくとも10枚ずつ備えた小規模の太陽光発電所にも適用可能である。
【0035】
太陽光発電所はまた、複数のパワーコンディショニングユニット15を含む。各パワーコンディショニングユニット15は、太陽光発電パネル10の1つ以上に関連付けられている。図1では、各パワーコンディショニングユニット15は、太陽光発電パネル10の1つだけに関連付けられているが、パネルの最大4つ、または潜在的にはそれ以上に関連付けられ得る。図1では、各パワーコンディショニングユニット15は、関連する太陽光発電パネルに取り付けられているが、その代わりに、関連するパネル内に組み込むことも、パネルに近接して配設することも可能である。
【0036】
各パワーコンディショニングユニット15は、関連する1つまたは複数の太陽光発電パネル10から直流電力を集電し、その直流電力を中間電力ケーブル配線20を介して共通インバータユニット30に転送するように配設されている。共通インバータユニット30は、直流電力を交流電力に変換して出力または輸出する、たとえば主要送電網に、または商業、工業あるいはその他のコンテキスト内のよりローカルな電力供給システムに出力するように配設される。典型的には、一般的なインバータユニット30は、AC220~240V(RMS)、または必要に応じてより高い電圧で交流電力を出力することができ、たとえば単相または三相電力を出力し得る。太陽光発電所5は、このような共通インバータユニット30と、その共通インバータユニットに給電するパワーコンディショニングユニット15とのグループを、たとえば数十から数万まで、多数含み得る。
【0037】
1つの共通インバータユニット30は、少なくともいくつかのパワーコンディショニングユニット15、たとえば5つまたは10以上のそのようなユニットから直流電力を受け取ることができ、したがって、同じまたはより多数の太陽光発電パネル10から受け取ることができる。太陽光発電所で使用される太陽光発電パネル10の典型的なサイズが少なくとも1.0m程度であること、およびこれらが相互の太陽光の影を避けるように配設される必要性を考慮すると、各パワーコンディショニングユニット15から共通インバータユニット30までの中間ケーブル配線20の平均的な長さは、たとえば少なくとも5メートル、少なくとも10メートル、または少なくとも20メートルなど、かなりの長さになる可能性がある。各パワーコンディショニングユニット15から共通インバータユニット30までの中間ケーブル配線20は、他のパワーコンディショニングユニットからのものとは別個であってもよいし、中間ケーブル配線20内の適切な電気的接続または接合によって、そのようなケーブル配線の一部が共有されてもよい。特に、中間ケーブル配線20は、すべてのパワーコンディショニングユニットが共通インバータユニット30に電気的に並列に接続されるように配設することができる。ここで、ケーブル配線20は、中間送電線の一形態を構成する。いくつかの実施形態では、送電線は、バスバー配置または他の適切な接続などの他の手段によって提供されてもよく、または他の手段を含んでもよい。
【0038】
中間ケーブル配線20における電力損失を低減するために、各パワーコンディショニングユニット15は、したがって、中間ケーブル配線を介して共通インバータユニットに伝送するために、直流電力の電圧をより高い、すなわち高電圧の直流に上げるように配設される。典型的には、この高電圧は、任意の特定の時間に太陽光発電パネルから集電できる直流電力と、共通インバータユニットによる交流電力出力の同時需要に応じて変動し得る。しかしながら、発電所の運転中、少なくとも共通インバータユニット30が交流電力を出力しているとき、この高電圧は、共通インバータユニットによって出力される交流電力のピーク電圧(たとえば、実効電圧が220~240Vの交流の場合、約310~340V)を上回るとともに、パワーコンディショニングユニットによって太陽光発電パネルから集電される直流電力の電圧(パネル電圧と呼ばれることもある)を上回る。
【0039】
すべてのパワーコンディショニングユニットが中間ケーブル配線の同じ部分に共通に接続されている場合、またはより詳細には共通インバータユニット30に電気的に並列に接続されている場合のように、すべてのパワーコンディショニングユニットによって供給される高電圧DCの電圧は同じであってもよい。このような配設は、中間ケーブル配線20と共通インバータユニット30とを簡素化するという利点もある。別個の太陽光発電パネルそれぞれのパネル電圧は、たとえば、各パネルの性能および制御に応じてわずかに異なる場合があるが、直流高電圧は、これらのパネル電圧の平均値以上または最高値以上であり得る。典型的には、パネル電圧は約50Vであってもよい。高電圧DCの電圧は、典型的には少なくとも350V、または少なくとも400Vであってもよく、たとえば約450Vまたは900V、またはたとえば420~460Vの動作範囲に設定し得る。
【0040】
図2は、図1の太陽光発電所5の態様がどのように実施され得るかをより詳細に概略的に示している。各パワーコンディショニングユニット15は、パネルから直流電力を集電するために1つまたは複数の関連する太陽光発電パネル10(図2の具体的な実装では1つだけに接続されている)に接続され、すべてのパワーコンディショニングユニットが共通インバータユニット30に電気的に並列に接続されるように、共通インバータユニット30に直流電力を送信するための中間ケーブル配線20に接続されている。
【0041】
関連する太陽光発電パネル10から、改善されたまたは最大の量の直流電力を取り出すために、各パワーコンディショニングユニット15は最大電力点追従装置40を含む。最大電力点追従装置40は、電気回路のみで実装されてもよいし、コンピュータソフトウェアと組み合わせた電気回路で実装されてもよい。このような最大電力点追跡がどのように実装されるかのいくつかの例は、K.H.Hussein, I. Muta, T. Hshino, M. Osakada:“Maximum photovoltaic power tracking: an algorithm for rapidly changing atmospheric conditions”, IEE Proceedings - Generation, Transmission and Distribution, Vol.142, Issue 1, January 1995, pp.59-64に挙げられている.
【0042】
集電された直流電力を、パネルの最大電力点または最大電力点に非常に近い状態に保つための、最大電力点追従装置40による太陽光発電パネル10からの電流および/または電圧の検知および制御は、わずか数ミリ秒の時間スケールで動作可能であり、パネル電圧の摂動は、たとえば約150W以上の集電された直流電力の高いレベルでは約2~5kHzの高速レートで発生し、典型的には、たとえば20Wの低い抽出電力では約100Hzまでの一層低速のレートで発生する。
【0043】
各パワーコンディショニングユニット15はまた、DC/DCコンバータ50を含み、集電されたDC電力の電圧を、中間ケーブル配線20に渡されるより高い電圧のDC電力に上昇させる。コンバータ50は、絶縁設計または非絶縁設計を使用することができ、たとえば、ブーストコンバータ、フライバックコンバータ、プッシュプルコンバータ、またはフォワードコンバータの設計を使用して、様々な方法で実装することができ、これについては、https://www.ti.com/seclit/ug/slyu036/slyu036.pdfにあるMarkus ZehendnerおよびMatthias Ulmann著、Texas Instruments Incorporated、”Power Topologies Handbook”, 2016の関連する章を参照されたい。コンバータ50は、集電された直流電力の電圧を、最大電力点追従装置40によって出力された集電電力のパネル電圧、典型的には約50Vから、パネル電圧よりも高く、共通インバータユニット30によって出力されたピーク電圧よりも高い電圧まで上昇させる。この高い電圧は、たとえば、少なくとも350V、または少なくとも400V、たとえば450Vまたは900V程度とすることができる。典型的には、上述のように、この高い電圧レベルは、パネルからの利用可能な直流電力、交流電力出力の需要、および有効または利用可能な電力貯蔵に応答して変化する。
【0044】
各パワーコンディショニングユニット15はまた、集電された直流電力の少なくとも一部を、対応するまたは関連するエネルギー貯蔵ユニット70に選択的に導くように、および、適切なタイミングで、貯蔵された直流電力の少なくとも一部を、対応するエネルギー貯蔵ユニット70から中間ケーブル配線を介して共通インバータユニット30に選択的に放出するように、配設されたエネルギー貯蔵スイッチ60を含んでいてもよい。エネルギー貯蔵スイッチ60は、好ましくは、コンバータ50によって出力された高電圧直流電力に接続され、直流電力が実質的に高電圧直流電力の電圧でエネルギー貯蔵ユニット70に貯蔵されるようにする。
【0045】
任意の特定の時間に、エネルギー貯蔵スイッチ60が、集電された直流電力を蓄積するように動作するか、放出するように動作するかは、様々な方法で制御することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵スイッチ60は、高電圧直流電力がより高い電圧レベルにあるときに、エネルギー貯蔵ユニット70に直流電力を蓄積するように動作し、高電圧直流電力がより低い電圧レベルにあるときに、たとえば、高電圧直流電力が特定の電圧閾値を上回るか下回るか、第1の閾値を上回るか第2の閾値を下回るか、または何らかの他の機能に従って、共通インバータユニット30に直流電力を放出するように動作する。そして、高圧直流電力は、共通インバータユニットによる出力のための交流電力の需要と、太陽光発電パネルからの集電のための直流電力の利用可能性との現在のバランスを貯蔵スイッチに示すために使用することができる。
【0046】
このようにして、パワーコンディショニングユニット15は、エネルギー貯蔵ユニット70とともに動作して、通過する雲が太陽を陰らせるときなど、関連する太陽光発電パネルによる電力出力の著しい変化および/または急激な変化の影響を低減することができる。パネル出力の低下は、エネルギー貯蔵ユニット70からの電力の引き出しによって即座に補償することができ、これによって、パワーコンディショニングユニットは、一定期間、直前のレベルの電力を共通インバータユニットに供給し続けることができるか、または徐々に低下するレベルの電力を供給して、供給される電力レベルの変動を平滑化するのを支援することができる。
【0047】
エネルギー貯蔵ユニット70は、たとえば、1つ以上の電気コンデンサのバンクを使用したり、リチウムイオンセルのような1つ以上の化学電池セルのバンクを使用したりするなど、様々な方法で実装され得る。エネルギー貯蔵ユニット70は、パワーコンディショニングユニット15内に配置され得るか、またはパワーコンディショニングユニット15に結合され得るか、関連する太陽光発電パネル10内に配置され得るか、または太陽光発電パネル10に結合され得るか、またはパワーコンディショニングユニットおよび/またはパネルの近くに配置され得る。1つまたは複数のそのようなエネルギー貯蔵ユニットは、各パワーコンディショニングユニットに結合されてもよく、または1つまたは複数のそのようなエネルギー貯蔵ユニットは、2つまたは複数のパワーコンディショニングユニット間で共有されてもよい。
【0048】
共通インバータユニット30は、中間ケーブル配線を介して高圧直流電力を受け取り、これを交流電力に変換して送電網または地域の電力網に出力する。このため、共通インバータユニットは、複数の別個のインバータ回路80-1、80-2、80-3で構成することができる。図2には、このようなインバータ回路が6つ示されているが、これより少なくても、多くてもよい。
【0049】
インバータ回路の少なくとも2つは、互いに、また変換される電力量に関して、異なる効率特性を持つことがある。典型的には、各インバータ回路は、その回路の最大電力レベルよりも幾分低い電力レベルでピーク効率を有する効率曲線を有する。この目的のために、1つまたは複数のインバータ回路80-1の第1のグループは、たとえば各回路について約20Wまでの電力変換のいくつかのより低いレベルで最も効率的になるように設計され、1つまたは複数のインバータ回路80-2の第2のグループは、たとえば各回路について約20Wから約80Wまでの電力変換の中間レベルで最も効率的になるように設計され、1つまたは複数のインバータ回路80-3の第3のグループは、たとえば各回路について約80Wから300Wまでの電力変換のより高いレベルで最も効率的になるように設計される。
【0050】
そして、共通インバータユニット30に設けられたインバータ制御ユニット85は、高電圧直流電力を交流電力に変換して出力する際の共通インバータユニット30の全体効率を向上または最適化するために、インバータ回路80-1~80-3のそれぞれを選択的に作動および非作動させ、および/またはデューティサイクルまたはその他の作動レベルを制御するように配設される。理解されるように、この方法では、所望の電力変換と出力を達成するために、適切な寸法のインバータ回路の任意の適切な数を選択または選択解除することができる。インバータ回路を選択解除できることによって、故障したインバータ回路や利用できないインバータ回路に対するシステムの耐性を高めることができる。
【0051】
共通インバータユニット30は、共通インバータユニット30によって交流電力が送出される送電網または他の電力網の状態を検出するように配設されたグリッド検出器90を含んでいてもよい。共通インバータユニット30はまた、またはその代わりに、たとえばデータネットワーク110を介して送電網または他の電力網のオペレータ105から、共通インバータユニット30によって送出される交流電力の量を制御するための要求または指示を受信することができ、共通インバータユニット30はその後、そのような要求または指示を実施するように構成されることができる。たとえば、オペレータ105は、出力される交流電力の量をある値に固定すること、減少させること、あるレベル以下に保つこと、増加させること、またはあるレベル以上に保つことを要求することができる。
【0052】
グリッド検出器90が電力網が供給過剰であることを検出した場合、またはオペレータ105から供給を減らす要求を受信した場合、インバータ制御ユニット85は、より少ない出力交流電力を供給するために、最も適切な減少したインバータ回路のサブセットを選択することができる。グリッド検出器90が電力網が供給不足であることを検出した場合、またはオペレータ105から供給を増やす要求を受信した場合、インバータ制御ユニット85は、より多くの出力交流電力を供給するために、インバータ回路の最も適切な増加したサブセットを選択することができる。
【0053】
これらおよび/または他の技術を使用して、インバータ制御ユニット85は、グリッド検出器の出力に応答して、および/またはオペレータの要求に応答して、および/または太陽光発電パネルから集電するための利用可能な直流電力に応答して、共通インバータユニットによって交流電力出力に供給される交流電力の量を増加または減少させることができる。図2のインバータ制御ユニット85は、各インバータ回路から分離された単一の要素として描かれているが、代わりに同じ機能をインバータ回路自体の全部または一部に設けてもよい。
【0054】
電力網の状態は、電力網上の交流電力の位相を内部で作成された正弦波基準信号と比較することなどによって、グリッド検出器90によって検出することができる。典型的には、電力網の位相が早いほど供給過剰を示し、電力網の位相が遅いほど供給不足を示すことができる。パワーコンディショニングユニットと共通インバータユニットとは、同時に出力される交流電力の需要が太陽光発電パネルから集電されるものを上回れば、高電圧直流の電圧が低下し、同時に太陽光発電パネルから集電される電力が交流電力の需要を上回れば、高電圧直流の電圧が上昇するように配設することができる。したがって、高圧直流の電圧は、パワーコンディショニングユニットおよび共通インバータユニットのさまざまな電力制御および貯蔵機能のいずれかまたはすべての指標として使用することができる。
【0055】
たとえば、各パワーコンディショニングユニットにエネルギー貯蔵ユニットを設けるだけでなく、共通インバータユニット30に、共通インバータユニット30に、または共通インバータユニット30に近接して、さらなるエネルギー貯蔵ユニット95を設けることができ、さらなるエネルギー貯蔵ユニット95に分流される、またはさらなるエネルギー貯蔵ユニット95から回収される高圧直流電力の量は、共通インバータユニット30のさらなるエネルギー貯蔵スイッチ100によって制御される。
【0056】
インバータ制御ユニット85は、電力変換の効率を最大化するため、および/または出力交流電力の同時需要に一致させるために、各インバータ回路を選択的に起動、停止、またはその他の方法で制御するのと同様に、またはその代わりに、他の目的のために、または他の設計特徴またはインバータ回路の現在の性能特性に応じて、インバータ回路80-1~80-3を起動、停止、またはその他の方法で制御してもよい。たとえば、インバータ制御ユニット85は、インバータ回路の1つに欠陥があることを検出し、その後、直流電力を交流電力に変換して出力するために、その欠陥のあるインバータ回路の選択を回避するように、あるいは、1つまたは複数のインバータ回路の効率が低下したレベルまたはあるレベルの劣化を検出し、それに応じてそれらの欠陥または劣化したインバータ回路の使用を低減するように配設することができる。
【0057】
同様に、インバータ制御部85は、インバータ回路80-1~80-3の一部または全部の信頼性の尺度を保持し、それに応じて各インバータ回路による電力負荷または電力変換のレベルを制御し、たとえば信頼性の尺度が低いインバータ回路の電力負荷を低減または制限することができる。このようにして、信頼性の尺度が低いインバータ回路は、インバータ回路の寿命を延ばし、共通インバータユニット全体の信頼性を向上させるために、より低い電力変換レベルで動作させることができる。このような信頼性の尺度は、たとえば、設置時のインバータ回路の既知の信頼性(たとえば、標準的な製造業者の試験、既知の製造品質などに基づく)、経年変化(たとえば、設置以来の総運転時間)、現在までの総電力変換量、および/または類似の尺度に基づくか、それを利用することができる。
【0058】
また、共通インバータユニット30に複数の別個のインバータ回路80-1~80-3を使用することによって、残りのインバータ回路に干渉することなく、ただ1つの故障したインバータ回路を取り外し、修理または交換することができるため、より便利で費用効果の高い保守が可能になる。この目的のために、共通インバータユニット30は、たとえば、各インバータ回路が別個のアンプラグユニット内の別個の回路基板上に提供されることによって、単一のインバータ回路の容易なまたは「プラグアンドプレイ」の取り外しを可能にするように設計されてもよく、この機能性は、共通インバータユニット30の電源を落とすことなくインバータ回路のいずれか1つを取り外しおよび/または交換することができるようにホットスワップ可能な形態で提供されてもよい。
【0059】
この目的のために、インバータ制御ユニット85、および/または、共通インバータユニット30の他の態様は、保守スタッフが修理または交換を実施できるように、共通インバータユニットの動作態様、たとえば、インバータ回路の1つの故障または性能低下を知らせるために、従来の制御パネル、パーソナルコンピュータ、または他の装置によって提供され得るリモートモニタユニット120に、データネットワーク110を介してデータ信号を提供することができる。
【0060】
図3は、パワーコンディショニングユニット15と共通インバータユニット30とが、太陽光発電パネルから利用可能な電力と、中間ケーブル配線を使ってこれらのユニット間に結合された高圧直流電力の電圧レベルの変化に対応して、直流電力の集電と出力交流電力への変換とを管理するためにどのように動作するかを示している。図の縦軸は、説明された機能を実装するために使用され得る高圧DCの典型的な電圧レベルを示しているが、もちろん他の特定の電圧レベルが使用されてもよい。
【0061】
図の一番下には、共通インバータユニットによる電力網への出力のための交流電力のピーク電圧が340Vとして示されている。太陽光発電パネル10の光レベルが上昇し、各パネルでかなりのレベルの電力、たとえば少なくとも約10Wの電力が生成されると、いずれかのパワーコンディショニングユニット15のコンバータ50による高電圧直流出力の電圧レベルは、共通インバータユニット30による交流電力の出力が開始されるベースレベルに達する。このベースレベル電圧は、たとえば420V程度であり、このようなベースレベルは、共通インバータユニット30のインバータ制御ユニット85によって検出される可能性があり、インバータ制御ユニット85は、このような低レベルの集電された直流電力を交流出力用に変換するための適切な1つ以上のインバータ回路80を選択する。
【0062】
パネルの光レベルがさらに上昇すると、各コンバータ50は高圧直流電力の電圧レベルを上昇させるように動作し、これはインバータ制御ユニット85によって検出され、インバータ制御ユニット85は、より高い電力レベルでより効率的なインバータ回路を切り替え、適切であれば、より低い電力レベルでより効率的なインバータ回路を切り替えてもよい。パネルから集電された直流電力が十分に高いレベルに達し、高電圧直流電力の電圧レベルが上限レベル(図3では460Vとして図示)に達した場合、各パワーコンディショニングユニットは、たとえば最大電力点追従装置40および/またはコンバータ50の適切な制御によって、共通インバータユニットに渡される直流電力の増加をフェードアウトするか、上限を適用するか、または減少させるように動作するか、またはそのような直流電力の供給を完全に停止するように動作することができる。典型的には、これらの効果は、各コンバータの適切な制御、またはコンバータを完全に停止することによって達成することができる。一般に、このようなコンバータ制御は、たとえば制御回路が高電圧直流電力の電圧レベルを測定し、コンバータ50にまたはコンバータ50内に適切な制御信号を供給するような能動的な制御手段を用いて、またはコンバータ50が上述のように高電圧直流電力に受動的または自動的に応答するように構成されてなる、より受動的な手段を用いて実施することができる。
【0063】
高電圧DCのレベルが共通インバータユニット30へのAC電力出力の開始を知らせるために作用する、図3に420Vとして示されるベースレベルより上では、図3に440Vとして示される貯蔵レベルが、パワーコンディショニングユニット15のエネルギー貯蔵スイッチ60がDC電力の少なくとも一部をローカルに接続されたエネルギー貯蔵ユニット70にリダイレクトし始める、および/または共通インバータユニットのさらなるエネルギー貯蔵スイッチ100がDC電力の少なくとも一部をローカルに接続されたさらなるエネルギー貯蔵ユニット95にリダイレクトし始める電圧閾値を提供する。
【0064】
いくつかの実施形態では、共通インバータユニットによる交流電力の輸出は、電圧が貯蔵レベルを上回ると停止するか、電圧が上限レベルに近づくにつれてこのレベルを上回り徐々に減少する。
【0065】
本発明の特定の実施形態を図面を参照して説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に変形および修正を適用できることを認識するであろう。たとえば、本発明は太陽光発電所の太陽光発電パネルについて説明したが、他の状況においては太陽光発電パネル、または風力タービン、波力もしくは潮力発電装置などの他の再生可能エネルギー源と共に使用することもできる。本発明の態様は、具体的には、説明したパワーコンディショニングユニット自体、共通インバータユニット自体、およびこれらの態様の組み合わせ、ならびに太陽光発電所のような電力システムで実施される場合のこれらの態様に関する。
図1
図2
図3
【国際調査報告】