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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-14
(54)【発明の名称】老化細胞表面マーカー
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/02 20060101AFI20250206BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20250206BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250206BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20250206BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20250206BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20250206BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250206BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20250206BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20250206BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250206BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20250206BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250206BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250206BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
C12Q1/02
C07K16/18
A61K45/00
A61P3/04
A61P9/10
A61P9/12
A61P17/00
A61P19/02
A61P25/28
A61P27/02
A61P27/06
A61P35/00
A61P11/00
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024568166
(86)(22)【出願日】2023-01-31
(85)【翻訳文提出日】2024-09-17
(86)【国際出願番号】 US2023061703
(87)【国際公開番号】W WO2023147605
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】63/305,227
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/395,289
(32)【優先日】2022-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524288148
【氏名又は名称】センス リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100227329
【弁理士】
【氏名又は名称】延原 愛
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ,アミット
(72)【発明者】
【氏名】キム,クリスティ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB01
2G045DA14
2G045DA36
2G045FB02
2G045FB03
2G045FB07
2G045FB12
4B063QA01
4B063QA19
4B063QA20
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QR08
4B063QR48
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS10
4B063QS25
4B063QS33
4B063QS34
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA16
4C084ZA33
4C084ZA42
4C084ZA45
4C084ZA59
4C084ZA70
4C084ZA89
4C084ZA96
4C084ZB11
4C084ZB26
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
老化細胞は、ある態様では、加齢に伴う健康の衰えに関係しており、特定の疾患の原因となり得る。実施形態は、老化細胞に特有のバイオマーカーを含む。バイオマーカーは、老化関連の疾患および障害の診断および治療に使用される。実施形態は、1つ以上のバイオマーカーの存在または不在に基づき、非老化細胞と老化細胞を区別する方法も含む。老化細胞を選択的に標識して、対象における疾患を検出でき、治療を考案でき、かつ/または老化細胞除去剤の有効性を決定できる。実施形態は、患者または影響を受けた組織から老化細胞を除去する方法も含む。方法は、リソソームのエクソサイトーシスを阻害することにより老化細胞を標的にできる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非老化細胞と老化細胞を区別する方法であって、前記非老化細胞と老化細胞からの1つ以上のバイオマーカーのレベルを比較するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上のバイオマーカーが、CO8A1、CATC、LYAG、IBP7、TPP1から選択されるタンパク質から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のバイオマーカーが、CO8A1、VCAM1、CATC、LYAG、PTGIS、IBP7、TPP1、CA2D1、MA2B1、CAVN2、FBLN1、LYOX、PCP、DPP4、GLCM、HEXB、PCYOXおよびGGALNSから選択されるタンパク質から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のバイオマーカーが、TPP1、LYAG、VCAM1、GARS、CATC、NCEH1、CSPG4、ELOV1、CO8A1、IBP7、PTGIS、MA2B1、CAH2、GLCM、S10A6、DPP4、LYOX、PCP、HACD3、SDCB1、MGST3、EZRI、LEG3、FBLN1、PCYOX、HEXB、GALNS、ESYT1、ACTN4およびDHCR7から選択されるタンパク質から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のバイオマーカーが、LYAG、VCAM1、FBLN1、GALNS、CATC、IBP7、LRC15、CREL1、EZRI、CAVN2、NCEH1、PCYOX、SDCB1、MA2B1、TPP1、HEXB、PCP、PTGIS、CSPG4、SYNPO、CD248、FKB11、GOT1B、DPP4、CO8A1、ITA1、LYOX、GLCM、TOR1AおよびPHB2から選択されるタンパク質から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
非老化細胞から老化細胞を選択的に除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
老化細胞を選択的に標識するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
疾患を検出するまたは疾患の予後を決定する方法であって、
a)検査対象由来のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベルを検出することと、
b)前記サンプル中の前記1つ以上のバイオマーカーの発現の上昇されたレベルに基づき前記疾患を特定するまたは前記疾患の予後を決定することと、
c)前記疾患を予防するまたは改善するために老化細胞除去剤で前記対象を治療すること、
を含み、
前記疾患が、老化関連の疾患または障害である、方法。
【請求項9】
前記1つ以上のバイオマーカーが、CO8A1、CATC、LYAG、IBP7、TPP1から選択されるタンパク質から成る、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のバイオマーカーが、CO8A1、VCAM1、CATC、LYAG、PTGIS、IBP7、TPP1、CA2D1、MA2B1、CAVN2、FBLN1、LYOX、PCP、DPP4、GLCM、HEXB、PCYOXおよびGGALNSから選択されるタンパク質から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のバイオマーカーが、TPP1、LYAG、VCAM1、GARS、CATC、NCEH1、CSPG4、ELOV1、CO8A1、IBP7、PTGIS、MA2B1、CAH2、GLCM、S10A6、DPP4、LYOX、PCP、HACD3、SDCB1、MGST3、EZRI、LEG3、FBLN1、PCYOX、HEXB、GALNS、ESYT1、ACTN4およびDHCR7から選択されるタンパク質から成る、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のバイオマーカーが、LYAG、VCAM1、FBLN1、GALNS、CATC、IBP7、LRC15、CREL1、EZRI、CAVN2、NCEH1、PCYOX、SDCB1、MA2B1、TPP1、HEXB、PCP、PTGIS、CSPG4、SYNPO、CD248、FKB11、GOT1B、DPP4、CO8A1、ITA1、LYOX、GLCM、TOR1AおよびPHB2から選択されるタンパク質から成る、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記老化細胞除去剤が、リソソームのエクソサイトーシスを阻害する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記老化関連の疾患または障害が、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、高血圧、関節炎、白内障、がん、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症、白髪、サルコペニア、肥満、神経新生、線維症および緑内障の1つ以上である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
対象において疾患を検出する方法であって、
(a)前記対象由来のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベルを検出するステップと、
(b)前記1つ以上のバイオマーカーの上昇されたレベルに基づき疾患を特定するステップと、
(c)前記疾患の独自性に基づき老化細胞除去剤の治療量を投与するステップ、
を含む、方法。
【請求項16】
前記1つ以上のバイオマーカーが、CO8A1、CATC、LYAG、IBP7、TPP1から選択されるタンパク質から成る、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上のバイオマーカーが、CO8A1、VCAM1、CATC、LYAG、PTGIS、IBP7、TPP1、CA2D1、MA2B1、CAVN2、FBLN1、LYOX、PCP、DPP4、GLCM、HEXB、PCYOXおよびGGALNSから選択されるタンパク質から成る、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上のバイオマーカーが、TPP1、LYAG、VCAM1、GARS、CATC、NCEH1、CSPG4、ELOV1、CO8A1、IBP7、PTGIS、MA2B1、CAH2、GLCM、S10A6、DPP4、LYOX、PCP、HACD3、SDCB1、MGST3、EZRI、LEG3、FBLN1、PCYOX、HEXB、GALNS、ESYT1、ACTN4およびDHCR7から選択されるタンパク質から成る、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上のバイオマーカーが、LYAG、VCAM1、FBLN1、GALNS、CATC、IBP7、LRC15、CREL1、EZRI、CAVN2、NCEH1、PCYOX、SDCB1、MA2B1、TPP1、HEXB、PCP、PTGIS、CSPG4、SYNPO、CD248、FKB11、GOT1B、DPP4、CO8A1、ITA1、LYOX、GLCM、TOR1AおよびPHB2から選択されるタンパク質から成る、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記疾患が、老化関連の疾患または障害である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記老化関連の疾患または障害が、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、高血圧、関節炎、白内障、がん、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症、白髪、サルコペニア、肥満、神経新生、線維症および緑内障の1つ以上である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記老化細胞除去剤が、リソソームのエクソサイトーシスを阻害する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
1つ以上のバイオマーカーの存在に基づき老化細胞を同定する方法であって、前記1つ以上のバイオマーカーが、CO8A1、CATC、LYAG、IBP7、TPP1から選択されるタンパク質から成る、方法。
【請求項24】
1つ以上のバイオマーカーの存在に基づき老化細胞を同定する方法であって、前記1つ以上のバイオマーカーが、CO8A1、VCAM1、CATC、LYAG、PTGIS、IBP7、TPP1、CA2D1、MA2B1、CAVN2、FBLN1、LYOX、PCP、DPP4、GLCM、HEXB、PCYOXおよびGGALNSから選択されるタンパク質から成る、方法。
【請求項25】
疾患を検出もしくは診断するまたは疾患を有する対象の予後を決定する方法であって、
a)前記対象由来の検査サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを測定するステップと、
b)コンピュータにより前記検査サンプル中の前記少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを受け取るステップと、
c)同じ少なくとも1つのバイオマーカーについての基本サンプル中のレベルと前記検査サンプル中の前記少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを比較するステップと、
d)a)で測定された前記検査サンプル中の前記少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルとc)で測定された前記基本サンプル中の前記少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを比較した結果を受け取るステップと、
e)コンピュータで決定される前記基本サンプルと比較し、前記検査サンプル中の前記少なくとも1つのバイオマーカーの変化された発現に基づき前記疾患を診断するまたは前記疾患の予後を決定するステップと、
f)前記診断または予後に基づき前記疾患について前記対象を治療するステップ、
を含む、方法。
【請求項26】
前記疾患が、老化関連の疾患または障害である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記老化関連の疾患または障害が、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、高血圧、関節炎、白内障、がん、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症、白髪、サルコペニア、肥満、神経新生、線維症および緑内障の1つ以上である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのバイオマーカーが、タンパク質CO8A1、CATC、LYAG、IBP7、TPP1から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つのバイオマーカーが、タンパク質CO8A1、VCAM1、CATC、LYAG、PTGIS、IBP7、TPP1、CA2D1、MA2B1、CAVN2、FBLN1、LYOX、PCP、DPP4、GLCM、HEXB、PCYOXおよびGGALNSから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つのバイオマーカーが、TPP1、LYAG、VCAM1、GARS、CATC、NCEH1、CSPG4、ELOV1、CO8A1、IBP7、PTGIS、MA2B1、CAH2、GLCM、S10A6、DPP4、LYOX、PCP、HACD3、SDCB1、MGST3、EZRI、LEG3、FBLN1、PCYOX、HEXB、GALNS、ESYT1、ACTN4およびDHCR7から選択されるタンパク質から成る、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つのバイオマーカーが、LYAG、VCAM1、FBLN1、GALNS、CATC、IBP7、LRC15、CREL1、EZRI、CAVN2、NCEH1、PCYOX、SDCB1、MA2B1、TPP1、HEXB、PCP、PTGIS、CSPG4、SYNPO、CD248、FKB11、GOT1B、DPP4、CO8A1、ITA1、LYOX、GLCM、TOR1AおよびPHB2から選択されるタンパク質から成る、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記対象を治療するステップが、老化細胞除去剤の治療量を投与することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記老化細胞除去剤が、リソソームのエクソサイトーシスを阻害する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記対象を治療するステップが、前記対象から老化細胞を除去することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記老化細胞除去剤の治療量の投与後にステップa)、b)およびc)を繰り返すことにより前記老化細胞除去剤の効力を評価するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
前記対象を治療するステップが、前記対象に薬物コンジュゲート体を投与することを含み、
前記薬物コンジュゲート体が、(a)前記少なくとも1つの老化細胞バイオマーカーを標的としかつそれに結合するように構成された老化細胞標的化剤と(b)前記結合された老化細胞を死滅させる、細胞毒性剤を含む、
請求項25に記載の方法。
【請求項37】
前記標的化剤が、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、プラスチック抗体または低分子である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記細胞毒性剤が、老化細胞除去剤、放射性同位元素、毒素または毒性ペプチドである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
対象における老化関連の疾患または障害を治療する方法であって、前記対象に老化細胞除去剤の治療量を投与することを含み、前記老化細胞除去剤が、リソソームのエクソサイトーシスを阻害する、方法。
【請求項40】
前記老化関連の疾患または障害が、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、高血圧、関節炎、白内障、がん、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症、白髪、サルコペニア、肥満、神経新生、線維症および緑内障の1つ以上である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記老化細胞除去剤が、バクオリン-1またはアピリモドである、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
対象において加齢プロセスを遅らせるかつ/または加齢の兆候を低減する方法であって、前記対象に老化細胞除去剤の治療量を投与することを含み、前記老化細胞除去剤が、リソソームのエクソサイトーシスを阻害する、方法。
【請求項43】
前記老化細胞除去剤が、バクオリン-1またはアピリモドである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
細胞の集団中の老化細胞を選択的に死滅させる方法であって、前記細胞の集団中のリソソームのエクソサイトーシスを阻害することを含む、方法。
【請求項45】
疾患を治療する方法であって、1つ以上のリソソームタンパク質の活性を調節するステップまたは1つ以上のリソソームタンパク質の発現もしくは活性を調節するステップを含み、
前記1つ以上のリソソームタンパク質が、リソソームエクソサイトーシスに関与する、方法。
【請求項46】
前記疾患が、老化関連の疾患または障害である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記老化関連の疾患または障害が、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、高血圧、関節炎、白内障、がん、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症、白髪、サルコペニア、肥満、神経新生、線維症および緑内障の1つ以上である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
加齢プロセスを遅らせるかつ/または加齢の兆候を低減する方法であって、1つ以上のリソソームタンパク質の活性を調節するまたは1つ以上のリソソームタンパク質の発現もしくは活性を調節するステップを含み、
前記1つ以上のリソソームタンパク質が、リソソームエクソサイトーシスに関与する、方法。
【請求項49】
1つ以上のリソソームタンパク質の活性を調節するまたは1つ以上のリソソームタンパク質の発現を調節することにより老化関連の疾患または障害を治療する方法であって、
前記1つ以上のリソソームタンパク質が、COLINA1、LOX、PBLN1、PTGIS、VCAM1、CACNA2D1、IGFBF3、GALN8、PCYOX1、SDPFR、DPP4、PRCP、CT8C、TPP1、NAN281、HEXB、CAA、NAN281およびGBAから選択される、方法。
【請求項50】
前記老化関連の疾患または障害が、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、高血圧、関節炎、白内障、がん、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症、白髪、サルコペニア、肥満、神経新生、線維症および緑内障の1つ以上である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
1つ以上のリソソームタンパク質の活性を調節するまたは1つ以上のリソソームタンパク質の発現を調節することにより加齢プロセスを遅らせるかつ/または加齢の兆候を低減する方法であって、
前記1つ以上のリソソームタンパク質が、COLINA1、LOX、PBLN1、PTGIS、VCAM1、CACNA2D1、IGFBF3、GALN8、PCYOX1、SDPFR、DPP4、PRCP、CT8C、TPP1、NAN281、HEXB、CAA、NAN281およびGBAから選択される、方法。
【請求項52】
老化細胞を死滅させるための薬物コンジュゲート体であって、(i)使用時に、CO8A1、CATC、LYAG、IBP7、およびTPP1の群から選択される少なくとも1つの老化細胞バイオマーカーを特異的に標的としかつ結合するように構成された老化細胞標的化剤と(ii)結合された老化細胞を死滅させる、細胞毒性剤を含む、薬物コンジュゲート体。
【請求項53】
前記標的化剤が、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、プラスチック抗体または低分子である、請求項52に記載の薬物コンジュゲート体。
【請求項54】
前記細胞毒性剤が、老化細胞除去剤、放射性同位元素、毒素または毒性ペプチドである、請求項52に記載の薬物コンジュゲート体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2022年1月31日に出願された米国仮特許出願第63/305,227号および2022年8月4日に出願された米国仮特許出願第63/395,289号に対する優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は診断に関するものであり、より具体的には、老化に関連した疾患および障害の診断方法および治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
加齢は、年齢を重ねる過程として定義され得る。ヒトの場合、加齢は、経時的な変化の蓄積を表し、身体的、心理的、および社会的変化を包含し得る。高齢は、多くの慢性疾患の最大のリスク要因である。65歳以上の成人の90%より多くが、がん、糖尿病、心血管疾患などの慢性疾患の少なくとも1つを経験する。多様な高齢と関連した疾患および障害を含む、加齢の表現型および病状は、年齢に伴う老化細胞の負荷の蓄積と因果的につながっている。
【0004】
老化細胞は、増殖性細胞(proliferation-competent cell)の不可逆的な細胞周期停止、形態学的および代謝的変化、遺伝子発現の変化、クロマチン再編成、および固有の炎症誘発性老化関連分泌形質(SASP)により特徴付けられる。高齢者の老化細胞は、慢性的な炎症および周囲組織への損傷の原因となる。トランスジェニックマウスモデルにおける遺伝子操作による老化細胞の除去は、組織機能不全を予防するまたは遅延させ、加齢に伴う病状を改善し、健康寿命を延長できることが明示されている。これは、高齢者における老化細胞の負荷の除去は、加齢という疾患の治療および予防のための目的の治療標的としてさらに研究する価値があることを示唆している。老化細胞除去薬(Senolytic drug)はまた、マウスおよびヒトの細胞培養モデルにおいて有望な結果を示している。
【0005】
最近の取り組みは、老化細胞を同定する方法に焦点を合わせている。老化細胞と非老化細胞を区別する能力は、様々な治療法および診断法につながり得る。老化細胞表面マーカーの同定および検証は、細胞老化の研究における革新的で強力な進歩を表している。それは、免疫療法、ライブイメージ標識、薬物標的化、および老化細胞と非老化細胞の区別を介する、老化細胞の選択的な除去のための有望な標的を明らかにできる。しかし、老化および加齢をシグナル伝達する強力かつ普遍的なバイオマーカーの欠如は、治療法を開発する取り組みを妨げている。信頼できるマーカーなしでは、老化の負荷を正確に定量化すること、またはセノ治療薬(seno therapeutics)の効力を評価することは困難である。
【0006】
研究は、老化細胞の特徴である細胞内分子および分泌タンパク質を同定した。いくつかのタンパク質が老化細胞の表面で上方制御されるとして同定されているが、これらはいずれも、特にin vivoで、高い確信をもって老化細胞に特有であると証明されていない。例えば、いくつかの表面タンパク質が、老化細胞培養モデルで同定されている。しかし、これらの実験は、がん細胞株で行われ、老化は、従来の老化モデル(例えば、持続的なDNA損傷の誘導またはがん遺伝子の活性化)ではなく、p16またはp21の過剰発現により誘導された。別の研究では、Kim et al.は、老化の潜在的なマーカーとしてDDP4を特定した(Kim et al.,Genes Dev 31:1529-1534,2017)。しかし、様々な免疫細胞でのDPP4の広い表面発現は、in vivoでのバイオマーカーとしてのその応用を制限する。さらに、老化細胞の細胞表面でのおよび老化関連分泌形質(SASP)におけるSCAM4または酸化ビメンチンの増大された発現が明らかにされているが、これらの分子の表面発現は、まだ確認されていない。
【0007】
したがって、老化細胞を同定するための信頼性の高いバイオマーカーが必要とされている。本発明は、高い特異性および信頼性で老化細胞を同定できるタンパク質バイオマーカーを含む。また含まれるのは、老化細胞を同定する、関連する疾患を診断する方法、および老化細胞の選択的な排除により加齢に伴う疾患および状態を治療する方法である。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に記載され請求される発明は、この簡単な概要において記載され、説明され、または参照されるものを含むがこれらに限定されない、多くの属性および実施形態を有する。本明細書に記載され請求される発明は、この概要で特定される特徴または実施形態に限定されず、この概要は、説明のみを目的として含まれ制限を意図しない。
【0009】
本明細書に記載のとおり、本出願人らは、老化細胞の新規表面マーカーを同定した。したがって、実施形態は、老化バイオマーカーを同定する方法を含む。本出願者らは、ドキソルビシンおよび放射線処置の両方により老化細胞の表面で増加される18種類のタンパク質を同定した。5つの特定のタンパク質が、さらに研究され、細胞老化の指標として検証された。
【0010】
実施形態は、老化細胞の普遍的な表面マーカーとして同定されたタンパク質(すなわち、バイオマーカー)も含む。
【0011】
実施形態はまた、老化関連の疾患および障害の診断、予後、セラノシス(theranosis)および/または予測のための特定のバイオマーカーの使用も含む。
【0012】
実施形態はまた、1つ以上のバイオマーカーを使用して老化関連の疾患または障害を診断する/同定する方法も含む。
【0013】
実施形態はまた、老化細胞除去剤を使用する老化関連の疾患および障害の治療法も含む。
【0014】
実施形態は、非老化細胞と老化細胞を区別する方法を含む。方法は、非老化細胞および老化細胞からの1つ以上のバイオマーカーのレベルを比較するステップを含み得る。方法は、老化細胞を選択的に標識するステップ、および/または非老化細胞から老化細胞を選択的に除去するステップを含み得る。
【0015】
実施形態はまた、疾患を検出する方法、または疾患の予後を決定する方法を含む。方法は、(a)検査対象由来のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベルを検出するステップと、(b)サンプル中の1つ以上のバイオマーカーの上昇された発現レベルに基づき、疾患を特定するまたは疾患の予後を決定するステップと、(c)疾患を予防するかまたは改善するために、老化細胞除去剤で対象を治療するステップを含み得る。ある態様では、疾患は、老化関連の疾患または障害である。
【0016】
実施形態はまた、対象において疾患を検出する方法も含む。方法は、(a)対象由来のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーのレベルを検出するステップと、(b)1つ以上のバイオマーカーの上昇されたレベルに基づき疾患を特定するステップと、(c)疾患の特定に基づき治療量の老化細胞除去剤を投与するステップ、を含み得る。ある態様では、疾患は、老化関連の疾患または障害である。ある態様では、老化細胞除去剤は、リソソームのエクソサイトーシスを阻害する。
【0017】
実施形態はまた、疾患を検出もしくは診断する方法、または疾患を有する対象の予後を決定する方法も含む。方法は、(a)対象由来の検査サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを測定するステップと、(b)コンピュータにより検査サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを受け取るステップと、(c)検査サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを、同じ少なくとも1つのバイオマーカーについての基本サンプル中のレベルと比較するステップと、(d)a)で測定された検査サンプル中およびc)で測定された基本サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルを比較した結果を受け取るステップと、(e)コンピュータで決定される、基本サンプルと比較して検査サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現の変化に基づき、疾患を診断するまたは疾患の予後を決定するステップと、(f)診断または予後に基づき、その疾患について対象を治療するステップ、を含み得る。ある態様では、疾患は、老化関連の疾患または障害である。ある態様では、老化細胞除去剤が、治療のために使用される。ある態様では、老化細胞除去剤は、リソソームのエクソサイトーシスを阻害する。老化細胞除去剤は、例えば、バクオリン-1またはアピリモドであり得る。
【0018】
実施形態では、バイオマーカーは、CO8A1、CATC、LYAG、IBP7、TPP1の1つ以上を含む。実施形態では、バイオマーカーは、CO8A1、VCAM1、CATC、LYAG、PTGIS、IBP7、TPP1、CA2D1、MA2B1、CAVN2、FBLN1、LYOX、PCP、DPP4、GLCM、HEXB、PCYOXおよびGGALNS(表4に特定する)の1つ以上を含む。実施形態では、バイオマーカーは、表2に列挙されたタンパク質の1つ以上を含む。実施形態では、バイオマーカーは、表3に列挙されたタンパク質の1つ以上を含む。
【0019】
実施形態では、バイオマーカーは、TPP1、LYAG、VCAM1、GARS、CATC、NCEH1、CSPG4、ELOV1、CO8A1、IBP7、PTGIS、MA2B1、CAH2、GLCM、S10A6、DPP4、LYOX、PCP、HACD3、SDCB1、MGST3、EZRI、LEG3、FBLN1、PCYOX、HEXB、GALNS、ESYT1、ACTN4およびDHCR7(表5に列挙される)から選択されるタンパク質の1つ以上を含む。
【0020】
実施形態では、バイオマーカーは、LYAG、VCAM1、FBLN1、GALNS、CATC、IBP7、LRC15、CREL1、EZRI、CAVN2、NCEH1、PCYOX、SDCB1、MA2B1、TPP1、HEXB、PCP、PTGIS、CSPG4、SYNPO、CD248、FKB11、GOT1B、DPP4、CO8A1、ITA1、LYOX、GLCM、TOR1AおよびPHB2(表6に列挙される)から選択されるタンパク質の1つ以上を含む。
【0021】
実施形態はまた、疾患(すなわち、老化関連の疾患または障害)を診断する方法、または疾患を有する検査対象の予後を決定する方法も含む。方法は、a)疾患を有する対象由来の1つ以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップと;b)健康な対象から得た1つ以上のバイオマーカーの発現レベルを測定するステップと;c)疾患を有する対象由来のサンプルからの1つ以上のバイオマーカーの発現レベルを健康な対象由来のサンプル中のレベルと比較するステップと;d)疾患を有する対象由来のサンプルから得た発現の変化したレベルを有するバイオマーカーを同定するステップと;e)検査対象のバイオマーカーのレベルを健康な対象および疾患を有する対象由来のものと比較することにより、検査対象における疾患を診断するまたは疾患の予後を決定するステップ;を含んでよい。方法は、疾患を治療するステップ(例えば、老化細胞除去剤により)を含み得る。方法は、発現の変化したレベルを有するバイオマーカーからバイオマーカーフィンガープリントを作成するステップも含む。
【0022】
実施形態はまた、疾患(すなわち、老化関連の疾患または障害)を診断するための診断キットも含む。キットは、1つ以上のバイオマーカーの存在に基づき老化細胞を同定するために使用され得る。
【0023】
実施形態はまた、診断および/または治療の目的で老化細胞を除去する方法も含む。
【0024】
実施形態はまた、老化細胞への老化細胞除去薬または老化細胞阻害薬の標的型送達のための方法も含む。
【0025】
実施形態はまた、標的型療法のために老化細胞を同定する方法も含む。
【0026】
実施形態はまた、1つ以上のリソソームタンパク質の活性を調節する方法、または1つ以上のリソソームタンパク質の発現を調節する方法も含む。リソソームタンパク質は、リソソームエクソサイトーシスに関与する可能性がある。1つ以上のリソソームタンパク質は、例えば、COLINA1、LOX、PBLN1、PTGIS、VCAM1、CACNA2D1、IGFBF3、GALN8、PCYOX1、SDPFR、DPP4、PRCP、CT8C、TPP1、NAN281、HEXB、CAA、NAN281、および/またはGBAであり得る。
【0027】
実施形態はまた、対象の罹患組織から老化細胞を除去する方法も含む。方法は、リソソームのエクソサイトーシスを阻害することにより、老化細胞を標的にできる。
【0028】
実施形態はまた、老化細胞除去剤(例えば、低分子)を投与することを含む、老化関連の疾患または障害を治療するための方法も含み、老化細胞除去剤は、非老化細胞よりも老化細胞を選択的に死滅させる。実施形態では、老化細胞除去剤は、バクオリン-1またはアピリモドである。
【0029】
実施形態はまた、1つ以上のバイオマーカーの発現レベルを測定すること、および老化細胞を選択的に死滅させるために老化細胞除去剤を投与することにより、老化関連の疾患または障害を治療する方法も含む。老化細胞除去剤は、リソソームのエクソサイトーシスを阻害することにより、老化細胞を標的にできる。
【0030】
ある態様では、本明細書に記載の方法は、老化細胞を非老化細胞を上回って同定することかつ選択的に除去することにより、加齢に伴う疾患または状態の発症または進行を遅らせることができる。
【0031】
実施形態は、老化細胞を死滅させるために薬物コンジュゲート体を使用する方法を含む。コンジュゲート体は、(i)使用時に、本明細書に記載の少なくとも1つの老化細胞バイオマーカーを特異的に標的としかつ結合するように構成された老化細胞標的化剤と、(ii)結合された老化細胞を死滅させる細胞毒性剤、を含み得る。ある態様では、標的化剤は、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、プラスチック抗体、または低分子である。ある態様では、細胞毒性剤は、老化細胞除去剤、放射性同位元素、毒素、または毒性ペプチドである。ある態様では、老化細胞除去剤は、(a)Bcl-2抗アポトーシスタンパク質ファミリーメンバーの阻害剤、(b)MDM2阻害剤、または(c)Akt特異的阻害剤である。
【0032】
実施形態は、老化細胞除去剤の有効性を決定するためにバイオマーカーを使用する方法を含む。ある態様では、マーカーのレベルが、この剤の投与前および投与後に対象において測定される。レベルをその後、比較することができる。低下されたレベルは、老化細胞除去活性を反映する。
【0033】
添付の図面は、本発明の態様を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A】SAβ-Gal染色された老化細胞と非老化細胞IMR-90の画像のグループである。非老化細胞(NS)を、ドキソルビシン(S-Doxo)およびX線照射(S-IR)で処置した細胞と比較した。
図1B】非老化(NS)および老化(S-DoxoおよびIR処置)IMR-90細胞におけるEdUの取り込みの定量化のグラフ描写である。
図1C】非老化および老化IMR-90細胞中の細胞周期調節因子p16およびp21のmRNA発現のグラフ描写である。
図1D】非老化および老化IMR-90細胞中の細胞ラミンB1のmRNA発現のグラフ描写である。
図1E】SASP因子IL-6、IL-8、およびIL-1αのmRNA発現のグラフ描写である。
図1F】非老化および老化IMR-90細胞中のγ-H2AXおよびHMGB1の発現を検出するために行った免疫蛍光アッセイの画像の一群である。細胞を、HMGB1(赤)およびγ-H2AX(緑)で染色した。核を、Hoechst(青)で染色した。非老化細胞(NS)を、300nMドキソルビシン(S-Doxo)および10GyのX線(S-IR)で処置した細胞と比較した。
図2A】サーフェソーム(Surfaceome)-TriCEPSにおける手順のフローチャートである。
図2B】細胞をドキソルビシンで処置した後の細胞表面タンパク質の存在量を示すボルケーノプロットである。
図2C】細胞を放射線で処置した後の細胞表面タンパク質の存在量を示すボルケーノプロットである。
図2D】対照細胞と比較してドキソルビシン処置および放射線照射時に差次的に発現されるタンパク質のベン図である。
図3A】非老化細胞(NS)および老化(S)IMR-90線維芽細胞中のタンパク質の発現(CATC、LYAG、IBP7、TPP1、p16 INK4A、およびβ-アクチン)を示すブロットである。
図3B】非老化細胞(NS)および老化(S)一次内皮細胞中のタンパク質(CATC、LYAG、IBP7、TPP1、p16INK4A、およびβ-アクチン)のタンパク質発現を示すブロットである。
図3C】非老化細胞(NS)および老化細胞(S)IMR-90線維芽細胞の膜画分中およびサイトゾル画分中のタンパク質の発現(CO8A1、IBP7、TPP1、Na/KATPase)を比較するウエスタンブロットである。
図3D】非老化細胞(NS)および老化細胞(S)IMR-90線維芽細胞の膜画分中およびサイトゾル画分中のタンパク質の発現(CATC、LYAG、およびNa/KATPase)を比較するウエスタンブロットである。
図3E】非老化(NS)および老化(Sen)IMR-90細胞中のTPP1発現の免疫蛍光アッセイの画像の一群である。
図4A】それらの遺伝子メンバーシップ間のカッパ統計的類似性に基づき階層的にクラスター化された、統計的に強化された用語として同定された22個のタンパク質間の強化されたオントロジークラスターの分析である。0.3カッパスコアを、用語クラスターを生成するためのしきい値として適用した。
図4B】アイソタイプ対照(灰色)と比較した、NS(青)およびS(赤)における、LAMP-1表面発現のフローサイトメトリー分析の結果を示す。
図4C】IMR-90線維芽細胞中の非老化(NS)および老化(S)におけるTFEB発現の免疫ブロットを示す。
図4D】NS一次内皮細胞対S一次内皮細胞中のTFEB発現の免疫ブロットを示す。
図4E】PIKfyve阻害剤であるバクオリン-1で処置したNS線維芽細胞対S線維芽細胞の定量化のグラフである。
図4F】3つの独立した実験からの、アピリモドで処置したNS線維芽細胞対S線維芽細胞の定量化のグラフである。統計解析を、処置の48時間後に1μMの薬剤濃度において、NS細胞対S細胞を比較する対応のないt検定を用いて行った。
図4G】アピリモド処置(1μM)の48時間後の老化細胞の選択的細胞死の代表的な光学顕微鏡画像を示す。
図4H】老化細胞の選択的細胞死の定量化の棒グラフである。3つのフィールドを、ウェルごとに定量化し(n=3)、NS条件およびS条件について、それぞれ、合計5997個および1293個の線維芽細胞をカウントした。エラーバーは、±SEMを表す。統計解析を、対応のないt検定を用いて行った。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図5】フローサイトメトリーによる老化細胞表面マーカーの検証試験の結果を示す。
【0035】
定義
「一実施形態/態様」または「実施形態/態様」への本明細書における言及は、実施形態/態様に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態/態様に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所での「一実施形態/態様では」または「別の実施形態/態様では」という語句の使用は、必ずしもすべてが同じ実施形態/態様を指すものではなく、また、別個のまたは代替の実施形態/態様が他の実施形態/態様と相互に排他的であるものでもない。さらに、いくつかの実施形態/態様により示され、かつ他の実施形態/態様により示されない可能性がある様々な特徴が、記載される。同様に、いくつかの実施形態/態様についての要件であるが、他の実施形態/態様についての要件ではない可能性がある様々な要件が、記載される。実施形態および態様は、場合によっては互換的に使用され得る。
【0036】
本明細書で使用される用語は一般に、当該技術分野において、開示の文脈内で、および各用語が使用される特定の文脈において、それらの通常の意味を有する。開示内容を記載するために使用される特定の用語は、開示内容の説明に関して実務者に追加の指図を提供するために、以下のまたは明細書の他の場所で論じられる。同じことが複数の方法で言えることが、理解されるであろう。
【0037】
したがって、代替言語および同義語が、ここで論じられる用語のいずれか1つ以上について使用され得る。また、ある用語が本明細書で詳述されるかまたは論じられるか否かについて、何らかの特別な重要性はない。特定の用語について同義語が、提供される。1つ以上の同義語の記載は、他の同義語の使用を除外しない。本明細書で論じられる任意の用語の例を含む、本明細書の任意の場所での例の使用は、例示のみであり、本開示またはあらゆる例示された用語の範囲および意味をさらに限定すると意図されない。同様に、本開示は、本明細書に記載される様々な実施形態に限定されない。
【0038】
本開示の範囲をさらに限定する意図はないが、本開示の実施形態による機器、装置、方法およびそれらに関連する結果の例を、以下に示す。主題および副題が読者の便宜のために実施例において使用される場合があるが、これは開示の範囲を制限するものでは決してない。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が関係する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含み、本明細書が優先される。
【0039】
「老化」という用語は、生物における機能特性の緩やかな低下を指す。細胞の老化は多くの場合、ストレスにより引き起こされる、以前は複製能力のあった細胞(replication-competent cell)の永続的な細胞周期停止として定義される。老化細胞の影響は、宿主の生理機能および疾患に関して有益または有害であると考えられ得るが、状況によっては、老化細胞は、特定の状態を促進するおよび妨害する両方の複雑な様式で、疾患状態に影響する。
【0040】
「老化関連の疾患または障害」という用語は、加齢に関連する疾患を指し、例えば、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、高血圧、関節炎、白内障、がん、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および特発性肺線維症を含み得る。加齢または老化に関連する他の疾患(加齢に伴う状態を含む)としては、白髪、サルコペニア、肥満、神経新生、線維症、および緑内障が挙げられる。
【0041】
「セラノシス」または「セラノスティクス」という用語は一般に、患者に対する治療法を調整するために使用されるプロセスを指す。それは、任意の1種の薬物、薬物(複数可)、医薬品、もしくは治療薬により適している患者を特定するため、または任意の薬物(複数可)、医薬品(複数可)、もしくは治療薬(複数可)がどのぐらいよく作用しているかを決定するための診断検査の使用である。
【0042】
加齢または老化に関連するさらに他の疾患としては、心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、狭心症、不整脈、心筋症、うっ血性心不全、冠動脈疾患、頸動脈疾患、心内膜炎、冠動脈血栓症、心筋梗塞、高血圧、大動脈瘤、心臓拡張機能不全、高コレステロール血症、高脂血症、僧帽弁逸脱、末梢血管疾患、心臓ストレス耐性、心臓線維症、脳動脈瘤、および脳卒中)が挙げられる。老化関連の疾患または障害はまた、炎症性または自己免疫性の疾患または障害(例えば、変形性関節症、骨粗鬆症、口腔粘膜炎、炎症性腸疾患、または脊柱後弯症)であり得る。老化関連の疾患または障害はまた、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、認知症、軽度認知障害、または運動ニューロン機能不全)であり得る。老化関連の疾患または障害はまた、代謝性疾患(例えば、糖尿病、糖尿病性潰瘍、メタボリックシンドローム、または肥満)であり得る。老化関連の疾患または障害はまた、肺疾患(例えば、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、嚢胞性線維症、肺気腫、気管支拡張症、または加齢に伴う肺機能の低下)であり得る。老化関連の疾患または障害はまた、眼疾患または障害(例えば、黄斑変性、緑内障、白内障、老眼、または視力低下)であり得る。老化関連の疾患または障害は、腎疾患、腎不全、虚弱、難聴、筋肉疲労、皮膚疾患、皮膚創傷治癒、肝線維症、膵線維症、口腔粘膜下線維症、またはサルコペニアであり得る、加齢に伴う障害である。老化関連の疾患または障害はまた、皮膚疾患または障害(例えば、湿疹、乾癬、色素沈着、母斑、発疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、光線過敏症または光老化に関連する疾患または障害)であり得る。
【0043】
「老化関連β-ガラクトシダーゼ」、「SA-β-gal」または「SABG」という用語は、老化細胞中のみにおいて、β-ガラクトシドの単糖類への加水分解を触媒する仮説の加水分解酵素である。老化関連ベータガラクトシダーゼは、p16Ink4Aとともに、細胞老化のバイオマーカーとして使用可能である。
【0044】
「老化細胞除去」または「老化細胞除去剤」という用語は、老化細胞の死を選択的または優先的に誘導できる低分子などの治療薬を指す。老化細胞除去剤は、細胞死につながるアポトーシス経路を誘導する(活性化させる、刺激する、またはその阻害を取り除く)ことにより、老化細胞を死滅させ得る。老化細胞除去剤は、老化関連の疾患または障害の治療に有効であり得る。ダサチニブ、ケルセチン、フィセチン、およびナビトクラックスなどの薬物は、潜在的な老化細胞除去作用を有する。
【0045】
「バイオマーカー」という用語は一般に、DNA、RNA、タンパク質、炭水化物、または糖脂質ベースの分子マーカーを指し、対象のサンプル中でのその発現または存在は、標準的方法(または本明細書に開示される方法)により検出することができ、疾患を有する哺乳動物の対象の有効な応答性または感受性を予測または予知するものである。バイオマーカーは、検査サンプル中に存在するが対照サンプル中に不在であってよく、検査サンプル中に不在であるが対照サンプル中に存在してよく、またはバイオマーカーの量が、検査サンプルと対照サンプルとの間で異なり得る。例えば、タンパク質バイオマーカーは、そのようなサンプル中には存在するが、対照サンプル中には存在しない、または特定のバイオマーカーは、サンプル中で血清陽性であるが、対照サンプル中で血清陰性であり得る。また、このようなバイオマーカーの発現は、対照サンプルから観察されるものより高いと決定され得る。「マーカー」および「バイオマーカー」という用語は、本明細書で互換的に使用される。
【0046】
「上方制御され」るバイオマーカーは一般に、所与の治療または状態に応答する発現のレベルにおける上昇を指す。「下方制御され」るバイオマーカーは一般に、所与の治療または状態に応答するバイオマーカーの発現のレベルにおける減少を指す。いくつかの状況では、バイオマーカーのレベルは、所与の治療または状態時に変化しないままであり得る。患者サンプルからのバイオマーカーは、「上方制御され」得、すなわち、そのレベルは、基準レベルと比較して、例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約500%、約1,000%、約5,000%またはそれを超えて増加し得る。あるいは、バイオマーカーは、「下方制御され」得、すなわち、レベルは、例えば、基準レベルと比較して、約99%、約95%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約5%、約2%、約1%またはそれ未満、減少し得る。
【0047】
記載されるバイオマーカーの発現レベルは、転写された核酸またはタンパク質の発現を検出するための様々な既知の方法のいずれかにより評価され得る。このような方法の非限定的な例としては、分泌、細胞表面、細胞質、または核タンパク質を検出するための免疫学的方法、タンパク質精製方法、タンパク質機能または活性アッセイ、核酸ハイブリダイゼーション法、核酸逆転写法、および核酸増幅法が挙げられる。
【0048】
一実施形態では、バイオマーカーセットの発現は、それが腫瘍細胞中で通常受ける翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、メチル化など)の全部または一部を受けたバイオマーカータンパク質を含む、バイオマーカータンパク質またはその断片と特異的に結合する、抗体(放射標識された、発色団標識された、蛍光標識された、または酵素標識された抗体)、抗体誘導体(例えば、基質とまたはタンパク質-リガンドペア(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン)のタンパク質もしくはリガンドとコンジュゲートされた抗体)、または抗体断片(例えば、単鎖抗体、単離された抗体の超可変ドメインなど)を使用して評価される。
【0049】
バイオマーカーの量は、検査サンプル中で測定され、基準限界、識別限界、リスク定義閾値などの技術を使用して、「正常対照レベル」と比較されて、疾患についてのカットオフポイントおよび異常値を定義できる。正常対照レベルは、疾患に罹患していない(またはLOADなどの疾患に罹患しやすい)対象において典型的に見られる1つ以上のバイオマーカーまたは組み合わされたバイオマーカーの指標のレベルを意味する。このような正常対照レベルおよびカットオフポイントは、バイオマーカーが単独で使用されるか、または他のバイオマーカーと組み合わせて1つの指標にするための手順で使用されるかにより異なり得る。あるいは、正常対照レベルは、臨床的に関連する期間にわたり疾患を経験しなかった、以前に検査された対象からのバイオマーカーパターンのデータベースであり得る。
【0050】
バイオマーカーのセットの選択後に、相互相関、主成分分析(PCA)、因子回転、ロジスティック回帰(LogReg)、線形判別分析(LDA)、Eigengene線形判別分析(ELDA)、サポートベクターマシン(SVM)、ランダムフォレスト(RF)、再帰分割ツリー(RPART)、関連する決定木分類技術、シュランケンセントロイド(SC,Shrunken Centroids)、StepAIC、K近傍法、ブースティング、決定木、ニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、サポートベクターマシン、隠れマルコフモデル、線形回帰もしくは分類アルゴリズム、非線形回帰もしくは分類アルゴリズム、バリアント解析(ANOVA)、階層分析もしくはクラスタリングアルゴリズム;決定木を使用した階層アルゴリズム;カーネル部分最小二乗アルゴリズム、カーネルマッチング追跡アルゴリズム、カーネルフィッシャー判別分析アルゴリズム、カーネル主成分分析アルゴリズムなどのカーネルベースのマシンアルゴリズムなどの周知の技術、または他の数学的および統計的方法を使用して、リスクスコアの計算のための式を開発できる。選択された個人集団が使用され、ここで履歴情報が、その集団におけるバイオマーカーの値およびその臨床結果に関して利用可能である。特定の個人のリスクスコアを計算するために、バイオマーカー値を、その個人から収集された1つ以上のサンプルから取得し、入力データとして使用する。
【0051】
バイオマーカーおよびバイオマーカーパネルを測定する検査は、様々な診断検査システムに実装され得る。診断検査システムは、生物学的サンプルから検査結果を得るための手段を典型的に備える装置である。このような手段の例としては、検査を自動化するモジュール(例えば、化学、免疫学、核酸検出アッセイ)が挙げられる。いくつかの診断検査システムは、複数の生物学的サンプルを取り扱うように設計され、各サンプルに対して同じ検査または異なる検査を行うようにプログラムされ得る。診断検査システムは、通常はデータ構造またはデータベースにおいて、各サンプルの検査結果を収集する、保存する、および/または追跡するための手段を典型的に備える。例としては、周知されている物理的および電子的データストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、フラッシュメモリ、磁気テープ、紙のプリントアウトなど)が挙げられる。診断検査システムが検査結果を報告するための手段を備えることもまた、典型的である。報告手段の例としては、ビジュアルディスプレイ、データ構造またはデータベースへのリンク、プリンターなどが挙げられる。報告手段は、データ構造、データベース、ビジュアルディスプレイ、プリンターなどの外部デバイスに検査結果を送信するためのデータリンクであり得る。
【0052】
「曲線下面積」または「AUC」という用語は、受信者動作特性(ROC)曲線の曲線下面積を指し、いずれも当技術分野で周知されている。AUC測定は、データ範囲全体にわたり分類子の精度を比較するために有用である。より大きなAUCを有する分類子は、目的の2つの群(影響を受けたサンプルと正常なまたは対照のサンプルなど)間で未知のものを正しく分類するより高い能力を有する。ROC曲線は、2つの集団(例えば、疾患を有する症例と疾患を有しない対照群)を区別する際に特定の特性(例えば、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれか、および/または追加の生物医学的情報の任意の項目)の性能をプロットするために有用である。典型的には、集団全体にわたる特徴データ(例えば、症例および対照)が、単一の特徴の値に基づき昇順に仕分けされる。次に、その特徴の各値について、データの真陽性率および偽陽性率が計算される。真陽性率は、その特徴の値を超える症例の数をカウントすること、およびそれを症例の総数で割ることにより決定される。偽陽性率は、その特徴の値を超える対照の数をカウントすること、およびそれを対照の総数で割ることにより決定される。この定義は、ある特徴量が対照と比較して症例において高められるというシナリオを指すが、この定義はまた、ある特徴量が対照と比較して症例においてより低いというシナリオ(このようなシナリオでは、その特徴量の値を下回るサンプルがカウントされる)にも適用される。ROC曲線は、単一の特徴に対してのみでなく、他の単一の出力に対しても生成され得、例えば、2つ以上の特徴の組み合わせが、数学的に組み合わされて(例えば、加算される、減算される、乗算されるなど)単一の合計値を提供でき、この単一の合計値を、ROC曲線にプロットできる。さらに、その組み合わせが単一の出力値を導出する、複数の特徴の任意の組み合わせが、ROC曲線にプロットされ得る。特徴のこれらの組み合わせが、検査を構成し得る。ROC曲線は、検査の偽陽性率(1-特異度)に対する検査の真陽性率(感度)のプロットである。
【0053】
バイオマーカー値に関する「検出する」または「決定する」という用語は、バイオマーカー値に対応するシグナルを観察および記録するために必要とされる装置と、そのシグナルを生成するために必要とされる材料(複数可)の両方の使用を含む。様々な実施形態では、バイオマーカー値は、蛍光、化学発光、表面プラズモン共鳴、表面音波、質量分析、赤外分光法、ラマン分光法、原子間力顕微鏡法、走査トンネル顕微鏡法、電気化学検出法、核磁気共鳴、量子ドットなどの任意の好適な方法を使用して検出される。
【0054】
「フィンガープリント」、「疾患フィンガープリント」、または「バイオマーカーシグネチャ」という用語は、疾患を有する対象において上昇されたまたは低下されたレベルを有するバイオマーカーの複数の存在またはパターンを指す。フィンガープリントは、疾患を有する対象と健康な対象を比較することにより生成でき、疾患のスクリーニング/診断のために使用できる。
【0055】
「治療する」または「治療」という用語は、(1)疾患、状態または障害の病理または症状を経験しているまたは呈している個体において疾患、状態または障害を阻害すること(すなわち、病理および/または症状のさらなる進行を阻止すること)、および(2)疾患、状態または障害の病理または症状を経験しているまたは呈している個体において疾患、状態または障害を改善すること(すなわち、病理および/または症状を逆転させること)、例えば疾患の重症度を低減すること、の1つ以上を指す。
【0056】
「投与」という用語は、特定の好適な方法による、患者中への任意の量の所定の物質の導入を指す。本明細書に開示される組成物は、それが所望の組織に到達できる限り、例えば、吸入、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、経口、局所、鼻腔内、肺内、または直腸内投与など、一般的な経路のいずれかを介して投与されてよい。
【0057】
「対象」という用語は、疾患(例えば、老化に関連する疾患)に罹患しやすい人、またはその疾患を有することが疑われる人、もしくはその疾患と診断された人を指す。しかし、本明細書に記載の治療方法で治療されるあらゆる対象が、限定なしに含まれる。
【0058】
「TriCEPS」という用語は、ペプチドおよびタンパク質などの多様なオーファンリガンドについて、生細胞上の細胞表面受容体およびオフターゲットを識別するためのリガンドベースの受容体捕捉(LRC)技術を指す。「TriCEPS」分子は、3つの部分:a)アミノ基を含むリガンドを結合する部分、b)生細胞上のグリコシル化受容体を結合する第2の部分、およびc)定量質量分析法による同定のために受容体ペプチドを精製するためのビオチンタグ、を備えるケモプロテオミクス試薬を含む(例えば、Frei et al.,NatureBiotechnology30:997-1001,2012を参照されたい)。
【0059】
「抗体依存性細胞傷害」、「ADCC」または「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」という用語は、これにより、その膜表面抗原が特定の抗体により結合されている標的細胞を、免疫系のエフェクター細胞が積極的に溶解する、細胞媒介性免疫防御のメカニズムを指す。これは、それにより抗体が、体液性免疫応答の一部として、感染を制限し封じ込めるために作用する、メカニズムの1つである。
【0060】
「リソソーム」という用語は、多くの動物細胞中に見られる膜で区切られた細胞小器官を指す。これらは、多くの種類の生体分子を分解できる加水分解酵素を含む、球状の小胞である。リソソームの内腔は、加水分解に関与する酵素に最適な低いpH(約4.5~5.0)を有する。加水分解消化のプロセスは、4つのステップで説明され得る。第1のステップでは、物質が、形質膜を通って食胞に入る(すなわち、エンドサイトーシス)。次のステップでは加水分解酵素が、食胞が形質膜から離れるにつれて活性化する。第3のステップでは、リソソームが食胞と融合し、加水分解酵素が食胞に入る。最終ステップでは、加水分解酵素が、食物粒子を消化する。リソソームはまた、分泌、形質膜修復、アポトーシス、細胞シグナル伝達、およびエネルギー代謝を含む、様々な細胞プロセスに関与している。
【0061】
リソソームは、細胞の内側および外側の両方から、細胞質中の使用された材料を消化することにより、細胞の廃棄物処理システムとして働く。細胞の外側からの材料は、エンドサイトーシスにより取り込まれ、一方で細胞の内側からの材料は、オートファジーにより消化される。
【0062】
「エンドサイトーシス」という用語は、物質が細胞内に取り込まれる細胞プロセスを指す。内在化される物質は、細胞膜領域に取り囲まれ、それはその後、細胞内で分離して、摂取された物質を含む小胞を形成する。哺乳動物細胞のエンドサイトーシス経路は、明確な膜区画を有し、それは、形質膜から分子を内在化させ、かつそれらを表面に戻してリサイクルさせる(初期エンドソームおよびリサイクルエンドソームにおいて)、またはそれらを選別して分解する(後期エンドソームおよびリソソームにおいて)。
【0063】
「エクソサイトーシス」という用語は、細胞が分子(例えば、神経伝達物質およびタンパク質)を細胞外に輸送する、能動輸送およびバルク輸送の一形態を指す。リソソームエクソサイトーシスは、リソソームの主な出力経路であり、形質膜の修復、分泌および伝達物質の放出、神経突起の伸長、マクロファージにおける粒子の取り込みを含む、いくつかの細胞プロセスにとって重要である。刺激時に、リソソームは、核周囲および細胞質領域から微小管に沿って形質膜に移動する。ドッキング後に、リソソームは、形質膜と直接融合してリソソームの内容物を細胞外空間中に放出する。
【0064】
「リソソーム関連膜タンパク質1」または「LAMP-1」という用語はまた、リソソーム関連膜糖タンパク質1およびCD107a(分化抗原群107a)としても知られ、ヒトではLAMP1遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。ヒトLAMP1遺伝子は、染色体13の長腕(q)の領域3、バンド4(13q34)に位置する。LAMP-1糖タンパク質は、少なくとも76の異なる正常組織細胞型において高レベルまたは中レベルで発現されるI型膜貫通タンパク質である。それは、主にリソソーム膜にわたり存在し、セレクチンに炭水化物リガンドを提供するように機能する。
【0065】
「FYVEフィンガーを含む5つの位置のホスホイノシチドキナーゼ」または「PIKfyve」という用語は、ホスファチジルイノシトール-3-リン酸(PI(3)P)をリン酸化して、PI(3,5)P2を生成する脂質キナーゼである。PIKfyveは、エンドソームおよびリソソーム系において重要な役割を果たし、膜の恒常性、エンドソーム輸送、およびオートファジーを調節する(例えば、Toxicol.Appl.Pharmacol.383,114771;2019を参照されたい)。
【0066】
「アピリモド」という用語は、脂質キナーゼ酵素PIKfyveの阻害剤を指す。
【0067】
「バクオリン-1」という用語は、細胞透過性があり水溶性のトリアジンベースの化合物を指す。バクオリン-1は、強力で細胞透過性のリソソームエクソサイトーシス阻害剤である。研究は、バクオリン-1がエンドソームとリソソームの急速な同型融合を誘導して、大きく膨張した構造を形成するが、それは細胞の細胞骨格ネットワークを乱さなかったことを明らかにした。
【0068】
「遺伝子オントロジータームエンリッチメント」という用語は、遺伝子をその機能特性に応じて事前に定義された一連のビンに割り当てる遺伝子オントロジー(GO)分類システムを利用して遺伝子セットを解釈するための手法を指す。
【0069】
すべての数値指定は、例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量は、範囲を含めて、当該技術分野における一般的な慣行に従う近似値として理解される。本書で使用される「約」という用語は、文脈に応じて、記載された量の(+)または(-)1%、5%、10%、15%、または20%の変動を含み得る。また、必ずしも明示的に示されないが、本明細書に記載の試薬は、単に例示的であること、およびその等価物は、当技術分野で知られているということも理解されたい。
【0070】
多くの既知で有用な化合物などは、様々な種類の投与に関する標準的な参考文献であるRemington’s Pharmaceutical Sciences(13th Ed),Mack Publishing Company,Easton,PAに掲載されている。本明細書において使用される用語「製剤(複数可)」は、少なくとも1つの有効成分と、独立して活性または不活性であり得る、一般に賦形剤とも呼ばれる1つ以上の他の成分の組み合わせを指す。「製剤」という用語は、ヒトまたは動物に投与するための薬学的に許容される組成物を指しても指さなくてもよく、および保管または研究の目的にとって有用な中間体である組成物を含んでよい。
【0071】
本明細書で使用される他の技術用語は、様々な技術辞書により例示されるように、それらが使用される技術分野における通常の意味を有する。これらの非限定的な例で論じられている特定の値および構成は、様々であり、単に少なくとも1つの実施形態を説明するために引用され、その範囲を制限することを意図しない。
【発明を実施するための形態】
【0072】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的であり、かつ請求される主題の技術のさらなる説明を提供すると意図されることが理解される。主題技術の追加の特徴および利点は、以の説明に記載され、一部には、説明から明らかである、または主題技術の実践により習得され得る。主題技術の利点は、本明細書の明細書および特許請求の範囲で特に指し示される構造により実現され、達成される。
【0073】
いくつかの種類のストレス要因は、細胞内分子または分泌タンパク質により特徴付けられる明確な老化表現型を引き起こす可能性がある。しかし、老化細胞の表面構造は依然として、ほとんど不明のままである。本出願人は、老化細胞に独自に存在する普遍的な表面マーカーを同定した。したがって、本発明は、特定のタンパク質バイオマーカーの発現に基づき老化を確実に特定できるという発見に基づく。バイオマーカーの発現は、上方および下方に制御されたレベルの両方を含み得るが、ここで同定されたバイオマーカーは、上方制御される。
【0074】
ドキソルビシンおよび放射線照射を、ヒトIMR-90胎児肺線維芽細胞において細胞老化を誘導するために使用した。本出願人は、非老化対照細胞と比較して、老化細胞の表面上で著しく増加された明確なタンパク質を同定した。合計64個の統計的に有意な差次的に豊富なタンパク質が、ドキソルビシン処置した(S-Doxo)老化細胞および放射線照射した(S-IR)老化細胞の両方に共通していた。これらのタンパク質のうち、22個の共通タンパク質は、以下に説明するように、両方の細胞において差次的に存在していた。これらのタンパク質を、さらに検証し、5つのタンパク質を、ウエスタンブロット法および免疫蛍光アッセイを実施することにより増加されたタンパク質発現に基づき、最終候補にした。したがって、実施形態は、老化細胞の普遍的な表面マーカーであるタンパク質を含む。一実施形態では、タンパク質バイオマーカーは、表1に示す1つ以上のタンパク質を含む。一実施形態では、タンパク質バイオマーカーは、表2に示す1つ以上のタンパク質を含む。一実施形態では、タンパク質バイオマーカーは、表3に示す1つ以上のタンパク質を含む。一実施形態では、タンパク質バイオマーカーは、表4に示す1つ以上のタンパク質を含む。一実施形態では、タンパク質バイオマーカーは、表5に示す1つ以上のタンパク質を含む。一実施形態では、タンパク質バイオマーカーは、表6に示す1つ以上のタンパク質を含む。
【表1】
【0075】
実施形態はまた、老化の診断、予後、および/または治療のためにバイオマーカーを使用する方法も含む。本明細書に記載される方法は、ヒト血清、血漿、血液誘導体、または血液自体からの少なくとも1つのタンパク質/ペプチドバイオマーカーおよび/またはタンパク質バイオマーカーの断片の組み合わされた測定を含み得る。
【0076】
TriCEPS
老化細胞の新規表面マーカーを同定するために、TriCEPS技術を使用して老化細胞の表面タンパク質を捕捉し強化した。図2Aは、サーフェソーム-TriCEPS法のステップのフローチャートである。老化細胞表面糖タンパク質を、酸化し、その後TriCEPSv.3.0試薬のNHSエステルに共有結合させた(すなわち、標識する)。タグ付けされた糖タンパク質をその後、質量分析法に基づくプロテオミクスにより精製し、同定し、定量化した。表2は、ドキソルビシンで処置した細胞において上方制御された表面タンパク質を列挙する。同様に、表3は、放射線照射で処置した細胞において上方制御された表面タンパク質を列挙する。両方の処置に共通するタンパク質(すなわち、ドキソルビシンおよび放射線処置の両方において見られるタンパク質)を、表4に示す。
【0077】
図2Bは、非老化細胞と比較した場合の、ドキソルビシン処置により上方制御された約50個の(B-i)表面タンパク質、および放射線照射により上方制御された35個の表面タンパク質(図2C)の存在量を示す一連のボルケーノプロットである。0.01未満の調整されたp値を有するタンパク質を、「高い信頼性の」タンパク質として定義した。0.01未満の統計的有意性を有するが、4を超える倍率変化の差を有するタンパク質を、差次的に発現される「中程度の信頼性」であると定義した。表5は、0.01未満の調整されたp値を有した、ドキソルビシンで処置された細胞(S-Doxo)から同定された表面タンパク質を列挙する。表6は、0.01未満の調整されたp値を有した、放射線(S-IR)で処置された細胞から同定された表面タンパク質を列挙する。
【0078】
図2Dは、対照細胞と比較してドキソルビシン処置および放射線照射時に差次的に豊富であると見出されたタンパク質のベン図である。ドキソルビシン処置したおよび放射線照射した老化細胞の両方に共通であった、差次的に豊富なタンパク質を調査するために、64個の統計的に有意な差次的に豊富に存在するタンパク質を、分析した。ドキソルビシン処置および放射線照射で処置された細胞において差次的に存在した、22個の共通タンパク質を同定した。
【0079】
老化細胞の新規表面マーカーの同定には、以下を含む多くの重要な利点がある:
1.老化細胞のバイオマーカー;
2.ex vivoの細胞治療生成物および組織工学生成物からの老化細胞の除去;
3.治療目的での老化細胞の除去;
4.診断目的での老化細胞の除去;
5.老化細胞表面マーカーを用いる老化細胞に対する標的型色素の開発;
6.老化細胞除去薬もしくは老化細胞阻害薬、または他の薬物もしくは治療薬の標的型送達;
7.老化細胞に対する細胞の細胞毒性の強化(例えば、抗体依存性細胞傷害またはADCCを介して);
8.CAR改変T細胞、NK細胞、またはgd T細胞、マクロファージ、樹状細胞による老化細胞の死滅を阻害するための免疫療法アプローチの開発。
【0080】
リソソームタンパク質
公開された文献は、分解のためにリソソームに細胞物質を送達するオルガネラ(例えば、オートファゴソームおよびエンドソーム)が、リソソームエクソサイトーシスとして公知である現象により、リソソームとの融合から細胞外放出のための形質膜との融合へと、それらの行き先を変更できるという証拠を示した(例えば、Buratta et al., Int J Mol Sci.2020 Apr 8;21(7):2576を参照されたい)。リソソームエクソサイトーシスはまた、すべての細胞型における形質膜修復において重要な役割を果たすことが知られている(例えば、Samie et al.,J Lipid Res.2014 Jun;55(6):995-1009を参照)。このプロセスは、損傷後の形質膜の完全性を回復することを助ける。なぜなら創傷部位の近くに位置するリソソームが素早く移動し形質膜と融合し、損傷を効率的に再密封し組織をリモデリングするからである。
【0081】
本出願者らは、非老化対照細胞と比較して老化細胞の表面で増加された、リソソームタンパク質を同定した。タンパク質を、図中で同定する。したがって、実施形態は、老化関連の疾患または障害を治療するために、1つ以上のリソソームタンパク質の活性を調節する方法を含む。
【0082】
実施例
以下の非限定的な例は、ここで企図される代表的な実施形態のより完全な理解を容易にするために、例示的目的のみのために提供される。これらの例は、製剤の構成成分が組み合わせられ得る、すべての考えられる状況の単なるサブセットであると意図される。したがって、これらの例は、製剤の構成成分の種類および量、ならびに/またはその方法および使用に関するものを含む、本明細書に記載される実施形態のいずれかを制限するものと解釈されるべきではない。
【0083】
方法
細胞培養
IMR-90線維芽細胞(ATCC,USA:カタログ番号CCL-186)を、5%COおよび3%Oを含む加湿空気中で37℃にて維持した。線維芽細胞を、集団が倍加するレベル(PDL)30~47で使用し、10%ウシ胎児血清(FBS)(Millipore Sigma,USA;カタログ番号F4135)および1Xペニシリン-ストレプトマイシン(Corning;カタログ番号30-001-CI)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Corning;カタログ番号10-013-CV)を含むDMEM完全培地中で維持した。累積PDLを、次式を使用して計算した:
【数1】

式中、Hは、採取時の細胞数であり、Sは、播種された細胞数である。Coriell Institute for medical research(AG10770)から購入した一次ヒト内皮細胞を、成長培地MV2サプリメントパック(PromoCell;カタログ番号C-39221)を補充したpromo cell基礎培地MV2(PromoCell;カタログ番号C-22221)中で維持し、継代数10回未満以内でアッセイした。内皮細胞を、5%COを含む加湿空気中で37℃にて維持した。静止状態を、分析前に24~72時間0.2%FBSを含む培地で培養培地を置換することにより、誘導した。すべての細胞は、マイコプラズマフリーであった。
【0084】
老化の誘導。
ヒトIMR-90線維芽細胞(ATCC,USA)を、24時間DMEM完全培地中で300nMの塩酸ドキソルビシン(Millipore Sigma,USA;カタログ番号504042)で処置し、または電離放射線(10Gy X線)で処置し、培養で維持した。初代ヒト内皮細胞を、24時間成長培地MV2サプリメントパックを補充したpromo細胞基礎培地中の250nMのドキソルビシンで処置し、培養で維持した。老化細胞を、処置後7~13日後に使用した。
【0085】
老化関連β-ガラクトシダーゼ染色
IMR-90細胞における老化負荷を、製造業者の指示に従い、Senescence Detection Kit(BioVision;カタログ番号K320)を用いて、以前に報告されたように(Laberge et al.2015)老化関連β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)活性アッセイを実施することにより決定した。アッセイのために、線維芽細胞を、ウェルあたり2.5mlのDMEM完全培地を含む6ウェル細胞培養プレート(Greiner Bio-One;カタログ番号657160)に老化誘導の1日前に蒔いた(8x10個/ウェル)。非老化細胞もまた、SA-β-gal染色の4日前に6ウェル細胞培養プレートに蒔いた(5x10個/ウェル)。培地を、染色の24時間前に低血清培地と交換した。染色を、IMR-90細胞のドキソルビシン処置の13日後に実施した。染色中、細胞を、COの不在下で37℃で24時間インキュベートし、その後明視野顕微鏡により可視化し、撮像した。
【0086】
リアルタイム定量PCR
非老化線維芽細胞を、細胞を採取する4日前に、4ml/フラスコのDMEM完全培地が入ったT-25細胞培養フラスコ(Cellstar;カタログ番号690160)に蒔いた(1.5x10/ウェル)。老化細胞については、線維芽細胞を、T-25細胞培養フラスコに、老化誘導の1日前に蒔いた(2.5x10/ウェル)。老化細胞ペレットを、ドキソルビシン処置または放射線照射の14日後に収集した。培地を、すべての細胞ペレットを収集する24時間前に、低血清培地に交換した。細胞ペレットを、RNA単離前に-80°Cで保存した。全RNAを、製造業者のプロトコルに従い、Quick-RNA MiniPrep(Zymo Research;カタログ番号R1055)を使用して、細胞ペレットから単離した。サンプルあたり1μgの総RNAを、PrimeScript RT Master Mix(Takara;カタログ番号RR036B)を使用して逆転写し、cDNAを、TaqMan Fast Advanced Master MixApplied Biosystems;カタログ番号4444557)(StepOnePlus(商標)Real-Time PCR System)を使用して、リアルタイムqPCRにより分析した。遺伝子発現解析を、Applied Biosystems TaqMan Gene Expressionシングルチューブアッセイを使用して実施した。すべての反応を、3連で行い、各遺伝子の相対的発現レベルを、アクチンに対し正規化した。mRNAの相対的発現を、標的cDNA Ct値をアクチンの値に対し正規化することにより比較閾値(Ct)法を用いて決定した。
【0087】
細胞増殖の分析。
細胞増殖を、製造業者の指示に従い、イメージング用Click-IT EdU細胞増殖キット、Alexa Fluor 488色素(Thermo Scientific;カタログ番号C10337)を使用して、分裂する細胞中のEdUの取り込みにより測定した。非老化線維芽細胞を、染色の1日前に0.5ml/ウェルのDMEM完全培地中で、NuncLab-Tek8ウェルチャンバースライド(Thermo Scientific;カタログ番号177402PK)に蒔いた(2x10/ウェル)。老化細胞のために、線維芽細胞を、老化誘導の1日前に蒔いた(1x10/ウェル)。染色を、老化誘導の7日後に実施した。EdUの取り込みを、蛍光顕微鏡を使用して可視化し撮像した。EdU陽性細胞の割合を、アッセイごとに12個の顕微鏡視野にわたり、細胞の総数およびEdU陽性細胞をカウントすることにより定量化した。
【0088】
免疫蛍光(IF)
線維芽細胞を、250μl/ウェルのDMEM完全培地を含む角型ウェルおよび透明な平底を有する黒色の96ウェルプレート(Ibidi;カタログ番号89626)にドキソルビシン処置の1日前に老化誘導のために蒔いた(1~2x10/ウェル)。非老化細胞を、染色の1日前に蒔いた(1~2x10/ウェル)。免疫蛍光のためのすべての染色を、IMR-90細胞の老化誘導の7日後に実施した。細胞を、室温で15分間200μl/ウェルの1XPBS中の4%パラホルムアルデヒド(Thermo Scientific;カタログ番号AAJ19943K2)で固定し、1XPBS(Corning;カタログ番号21-031-CV)で注意深くすすぎ、次に室温で10分間、300μl/ウェルの0.5%トリトンX-100で透過処理した。細胞を次に、1XPBSで1回すすぎ、4℃で一晩1XPBS中で、5%BSA(Research Products International;カタログ番号A30075)で希釈した、250μl/ウェルの抗γH2AX[pSer139](Novus Biologicals;カタログ番号NB100-74435)および抗HMGB1(abcam;カタログ番号ab18256)抗体とインキュベートした。その後、細胞を、1XPBSで5回洗浄し、暗所で室温にて20分間5% BSAで希釈した、250μl/ウェルのAlexa Fluor 488ヤギ抗マウス抗体(Invitrogen;カタログ番号A11029)、Alexa Fluor 546ヤギ抗ウサギ抗体(Invitrogen;カタログ番号A11010)、およびHoechst33342、三塩酸塩、三水和物(Invitrogen;カタログ番号H3570)とインキュベートした。細胞を、1XPBSで5回洗浄し、その後200μlの1XPBSを、Molecular Devices Image Express Micro(Molecular Devices,San Jose,CA,USA)で画像を取得する前に、各ウェルに加えた。7つの画像を、ウェルごとに取得し、条件(NSまたはS)ごとに6つのウェルを捕らえた。
【0089】
免疫ブロット法および細胞膜の単離
全細胞溶解液の分析のために、細胞を、1Xプロテアーゼ阻害剤カクテル(Cell Signaling Technology;カタログ番号5871)を含むRIPA緩衝液(20mMTris-HClpH7.5、150mM NaCl、1mM Na EDTA、1mM EGTA、1% NP-40、1%デオキシコール酸ナトリウム、2.5mMピロリン酸ナトリウム、1mMベータグリセロリン酸、1mMNa3VO4、および1μg/mlロイペプチン)中で溶解した。細胞懸濁液を、氷上で10分間インキュベートし、次いで4℃で15分間遠心分離して、溶解液から細胞デブリを除去した。細胞膜タンパク質を抽出するために、細胞溶解物を、Mem-PER Plus膜タンパク質抽出キット(Thermo Scientific;カタログ番号89842)を使用して調製した。タンパク質濃度を、BCAタンパク質アッセイ(Thermo Scientific;カタログ番号23227)を使用して定量した。等量のタンパク質を、SDS/PAGEにより分離し、セミドライ転写装置(Bio-Rad)を使用してPVDFメンブレンに転写した。メンブレンを、4℃で一晩一次抗体とインキュベートし、その後室温で1時間二次抗体とインキュベートした。ブロットを、Pierce ECL Western Blotting substrate(Thermo Scientific;カタログ番号32209)を使用して現像した。以下の抗体を、免疫ブロッティング分析のために使用した:COL9A1(Sigmal Aldrich,USA;HPA053107)、カテプシンC(D-6)(Santa Cruz;sc-74590)、GAA(Sigma-Aldrich,USA;HPA029126)、IGFBP7(Abcam;ab171085)、TPP1クローン2E12(Millipore Sigma,US;MABN1806)、およびNa/K ATPase(Invitrogen;MA5-32184)。使用した他の一次抗体は、抗TFEB(Santa Cruz Biotechnology;カタログ番号sc-166736)、抗p16(Santa Cruz;カタログ番号56330)、および抗βアクチン(Cell Signaling;カタログ番号4967)を含んだ。以下の二次抗体を、含めた:抗ウサギIgG H&L(HRP)(Abcam;カタログ番号ab6802)および抗マウスIgG H&L(HRP)(ThermoScientific;カタログ番号G-21040)。
【0090】
TriCEPS(商標)ベースのリガンド受容体の捕捉(LRC-TriCEPS)。
生細胞の細胞表面でタンパク質を捕捉するためのキットであるDualsystems Biotech AG、TriCEPS(商標)V.3.0(カタログ番号:P0529)を、製造業者の指示書を使用して、以前に記載されたとおり、ドキソルビシンによる処置または電離放射線照射への曝露により老化させたIMR-90細胞中で富化された表面タンパク質を同定するために使用した。それぞれ24x10個のIMR-90細胞を含むNS、Sen(IR)、Sen(Doxo)の3つの別々の50mLチューブを、PBS(pH6.5)中に掻き入れて、細胞を剥離した。その後、細胞を洗浄し、4℃に冷却した。残りのステップをすべて、4℃で実施した。メタ過ヨウ素酸ナトリウム(1.5mM)を、細胞表面タンパク質の穏やかな酸化のために細胞懸濁液に加え、細胞を、穏やかに回転させながら、15分間暗所において4℃でインキュベートした。細胞を次に、5分間300xgで2回洗浄し、20mlのサーフェソーム緩衝液に再懸濁した。サーフェソーム標識のために、クエンチしたTriCEPSv.3.0を、酸化した細胞に加え、回転装置上で穏やかに撹拌しながら90分間暗所でインキュベートした。サンプルを、4℃で5分間、1200gで遠心分離した。細胞ペレットを、Dualsystemsに送られる前に-80℃で保管し、Dualsystemsでサンプルを、固相クロマトグラフィーを使用して精製し、厳密に洗浄して非特異的な相互作用を除去し、還元し、アルキル化しトリプシンで消化した。トリプシンペプチドをその後、LC-MS/MS分析のために収集した。統計分析を行うために、実験を、生化学的に3連で行った。
【0091】
質量分析
サーフェソーム-TriCEPSサンプルを、3連でエレクトロスプレーイオン源を備えたThermo Orbitrap Elite分光計により分析した。トリプシンペプチドを、15cm C18パックドカラムを使用して、80分間の勾配で、データ依存取得モード(TOP20)で測定した。
【0092】
データ分析
PROGENESIS(登録商標)ソフトウェアを、生のファイルの整列および特徴の検出のために使用した。Comet検索エンジンを、スペクトルの識別のために使用した。トランスプロテオミクスパイプライン(Trans proteomic pipeline)を、推定的同定およびタンパク質推論の統計的検証に使用した。タンパク質推論では、サンプルの相対定量化を、イオン抽出強度に基づき行い、差次的タンパク質の存在量を、統計的ANOVAモデルを使用して検査し、その後多重検定補正を行った。このモデルは、測定誤差がガウス分布に従うと仮定し、個々の特徴をタンパク質の存在量の反復と見なし、この冗長性を明示的に考慮する。それは、すべての一対比較において各タンパク質の差次的存在量を検査し、そのp値を報告する。次に、p値を、多重比較について調整して、実験全体の偽発見率(FDR)を制御する。各タンパク質について得られた調整されたp値(q値)を、2つの実験条件間の倍数エンリッチメントの大きさに対しプロットする。
【0093】
変動間の定量的差を、ボルケーノプロットとして示す。ボルケーノプロットは、統計検査からの統計的有意性の尺度(この場合ANOVAモデルからの調整されたp値)と変化の大きさを組み合わせ、統計的に有意でもある変化を示すタンパク質の迅速な視覚的識別を可能にする。x軸は、倍率変化の平均比(logスケール)を表す。Y軸は、各タンパク質の倍率変化比の統計的有意性p値を表す(-log10スケールで)。サンプルの1つにおいて差次的に豊富であるタンパク質は、X軸の原点の左または右にプロットされ、そのタンパク質が富化されたサンプルを示す。
【0094】
フローサイトメトリー
細胞を、100μlのPBSに再懸濁した。細胞を次に、APCコンジュゲート抗ヒトCD3抗体(MiltenyiBiotec;カタログ番号130-113-135)とインキュベートした。LAMP-1抗体(BioLegend;カタログ番号328601)を、細胞と氷上で30分間インキュベートした。細胞を、1mlの氷冷PBSで洗浄し、100μlの氷冷PBSに再懸濁した。APCコンジュゲート抗マウスIgG(H+L)二次抗体(Thermo Scientific;Cat#A-865)を、細胞と氷上で30分間インキュベートした。次に、細胞を、1mlの冷PBSで洗浄し、100μlの氷冷PBSに再懸濁した。データを、フローサイトメーター(DB Accuri C6)により収集した。細胞生存率を、PI染色により決定し、生細胞を、下流の分析のためにゲートした。データを、Flowlogicソフトウェア(Miltenyi Biotech,Germany)を使用して分析した。
【0095】
クリスタルバイオレット染色
アピリモド(1μM)またはバクオリン-1(1μM)処置48時間後の細胞生存率を、クリスタルバイオレットにより推定した。6ウェル細胞培養プレート(Greiner Bio-One;カタログ番号657160)中の細胞を、PBSで2回洗浄し、4%パラホルムアルデヒドと室温で15分間インキュベートし、その後0.25%クリスタルバイオレットで10分間染色した。細胞を、脱イオン水で洗浄し、ウェルあたり3枚の画像を撮影した。
【0096】
インピーダンス測定
バックグラウンド値の測定のために、50μlの完全培地を、E-Plates96(Agilent)に添加した。細胞を、10,000個/ウェルの密度でウェルあたり合計200μlの培地中で播種した。細胞接着を、RTCA MP(Agilent)装置およびRTCAソフトウェア(Agilent)を使用して監視した。培地を、DMSO、バクオリン-1、またはアピリモドのいずれかを含む培地に交換した。0.2%トリトンX-100で処置した細胞を、細胞毒性アッセイの100%死細胞陽性対照として使用した。薬物添加後に、インピーダンス測定を、15分ごとに記録した。すべての実験を、各用量について少なくとも5回繰り返して行った。インピーダンスの変化を、細胞指数(CI)値として表す。この値は、電極センサーの細胞被覆率に対応する相対的なインピーダンスの変化から得られ、培地のみのベースラインインピーダンス値に対し正規化される。取得したデータを分析するために、CI値を、エクスポートし、付着された細胞表面の割合を、陽性対照およびDMSO処置細胞と比較して計算した。
【0097】
バイオマーカーを用いる診断方法
バイオマーカーの1つ以上を、疾患(例えば、老化関連の疾患または障害)を診断する方法、または疾患を有する検査対象の予後を決定する方法において使用し得る。このように、1つのバイオマーカー、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および/または22個のバイオマーカーの組み合わせを、疾患を診断する方法、または疾患を有する検査対象の予後を決定する方法において使用し得る。このように、少なくとも1つのバイオマーカー、または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および/または22個のバイオマーカーの組み合わせを、疾患を診断する方法、または疾患を有する検査対象の予後を決定する方法において使用し得る。
【0098】
このように、1つ以下のバイオマーカー、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および/または22個以下のバイオマーカーの組み合わせを、疾患を診断する方法、または疾患を有する検査対象の予後を決定する方法において使用し得る。このように、約1つのバイオマーカー、または約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および/または22個のバイオマーカーの組み合わせを、疾患を診断する方法、または疾患を有する検査対象の予後を決定する方法において使用する。
【0099】
方法の第1のステップでは、1つ以上のタンパク質の発現レベルを、疾患を有する対象由来の血漿サンプル中で測定する。一実施形態では、1つのバイオマーカーの発現レベル、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および/または22個のバイオマーカーの組み合わせを使用して、患者のその後の診断のためのフットプリントまたはシグネチャを生成する。一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベル、または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および/または22個のバイオマーカーの組み合わせを使用して、患者のその後の診断のためのフットプリントまたはシグネチャを生成する。
【0100】
一実施形態では、1つ以下のバイオマーカーの発現レベル、または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および/または22個以下のバイオマーカーの組み合わせを使用して、患者のその後の診断のためのフットプリントまたはシグネチャを生成する。一実施形態では、約1つのバイオマーカーの発現レベル、または約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および/または22個のバイオマーカーの組み合わせを使用して、患者のその後の診断のためのフットプリントまたはシグネチャを生成する。
【0101】
次に、同じタンパク質の発現レベルを、健康な対象由来の血漿サンプル、血液サンプル、または組織サンプル中で測定する。これを、対照として使用する。その後、健康な患者由来のサンプルを、疾患を有する対象由来の血漿サンプル中で変化した発現レベルを有するタンパク質を同定するために比較できる。バイオマーカーのフィンガープリントまたはシグネチャを、変化した発現レベルを有するタンパク質から作出できる。これを、検査対象の血漿からのタンパク質のレベルを比較することにより、検査対象における疾患を診断するかまたは疾患の予後を決定するために使用できる。従来の統計分析を使用して、例えば信頼レベルを決定できる。
【0102】
疾患をスクリーニングするための診断キット
次の実施例は、上記の構成に基づく。本発明の実施形態は、老化関連の疾患または障害などの疾患を診断するための診断キットへとまとめられ得る。キットは、検査対象からの血漿中で疾患のバイオマーカーを有する1つ以上の標的細胞を同定できる。
【0103】
キットは、検査対象由来のサンプル中の1つ以上のタンパク質の発現レベルの変動を特定するために使用できる試薬を含んでよい。タンパク質の発現レベルは、疾患の存在を示すフィンガープリントを有する検査サンプルの比較/分析に使用され得る。
【0104】
特定の実施形態では、本開示は、老化に関連する疾患を診断するためのキットを提供する。キットは、本明細書に開示される1つのバイオマーカー、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、および/または22個のバイオマーカーの組み合わせを含み得る。当業者であれば、バイオマーカーの数は、本開示の性質から逸脱することなく変更され得ること、およびしたがって、バイオマーカーの他の組み合わせも本開示に含まれることを理解するであろう。当業者であれば、疾患に罹患している患者の症状に基づき、どの1つのバイオマーカー、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および/または22個のバイオマーカーの組み合わせを使用するかを知っているであろう。
【0105】
特定の実施形態では、キットは、本明細書に開示される1つのバイオマーカー、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および/または22個のバイオマーカーの組み合わせを含む。キットはさらに任意で、使用のための説明書を含み得る。キットはさらに任意で、上記のバイオマーカーを含むチューブ、アプリケーター、バイアル、または他の保管容器および/またはバイオマーカーの1つ以上を含むバイアルを含み得る(例えば、これらを含む、これらから本質的になる、これらからなる)。一実施形態では、各バイオマーカーは、独自のチューブ、アプリケーター、バイアル、もしくは保管容器中にある、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、および/または22個のバイオマーカーが、チューブ、アプリケーター、バイアル、または保管容器中にある。
【0106】
キットは、その種類にかかわらず、その中に1つのバイオマーカー、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、および/または22個のバイオマーカーの組み合わせが入れられ、好ましくは適切に分注された、1つ以上の容器を通常含む。キットの構成要素は、水性媒体中でまたは凍結乾燥形態でのいずれかでパッケージされてよい。
【0107】
実施例1
老化の遺伝毒性ストレス誘導モデル
新規老化細胞表面マーカーを同定するために、老化の細胞培養モデルで一般的に使用されている、IMR-90ヒト胎児肺線維芽細胞を使用した。IMR-90細胞における老化負荷を、老化関連β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)活性を観察することにより決定し、これは、老化細胞の特徴であるリソソームβ-ガラクトシダーゼの増加された活性を測定するために使用可能である(例えば、Itahana et al., Methods Mol Biol 371:21-31,2007を参照されたい)。リソソームベータガラクトシダーゼの強力な誘導が、図1Aにグラフで示すように、処置後13日で静止細胞と比較した場合、ドキソルビシン(300nM)または10GyのX線のいずれかで処置したIMR-90細胞において観察された。
【0108】
老化細胞の別の特徴は、細胞増殖の喪失である。増殖する細胞数の大幅な減少が、図1Bに示すとおり、EdU細胞増殖アッセイにより測定されるように、ドキソルビシンまたは放射線による処置の7日後に観察された。ドキソルビシン処置した(S-Doxo)および放射線照射した(S-IR)IMR-90細胞の両方において、非老化対照細胞は、老化細胞よりも大きい増殖活性を示した。
【0109】
細胞を、8ウェルチャンバースライドに蒔き、処置後7日目にカウントした。4つのフィールドを、ウェルごとに定量化し(n=3)、NS、S(Doxo)、S(IR)細胞について、それぞれ、合計1276、672、1102個の細胞をカウントした。
【0110】
増殖の喪失を、非老化性線維芽細胞と比較して、ドキソルビシン処置および放射線照射を受けた線維芽細胞におけるp16INK4Aおよびp21CIP1Aなどの細胞周期チェックポイントマーカーの増加された発現を測定することにより、さらに確認した(例えば、Baker et al.,Nature 530:184-189,2016を参照されたい)。結果を、図1Cでグラフにより示す。
【0111】
老化細胞はラミンB1の減少された発現などの核ラミナにおける変化を含む顕著な形態変化を受けるため、出願人らは、核ラミンB1のmRNA発現を測定した。結果は、図1Dに示すように、静止対照細胞と比較して、ドキソルビシン処置したおよび放射線照射した老化IMR-90細胞の両方において、ラミンB1の発現の大幅な減少を示す。ラミンB1の喪失により引き起こされるクロマチン変化が、p53およびp38MAPKの増加された発現をもたらし、このことは、SASP発現の強固な増加と因果関係がある(例えば、Freund et al.,Mol Biol Cell 23:2066-2075,2012;Lopes-Paciencia et al.,Cytokine 117:15-22,2019を参照されたい)。出願人らは、いくつかの原型的なSASP因子の発現を実証し、図1Eに示すようにqRT-PCR分析によりIL-6、IL-8、およびIL-1aの強力な誘導を観察した。さらに、これまでの試験は、老化細胞が、非ヒストンの核DNA結合タンパク質である、HMGB1の喪失を呈することを示している(Davalos et al.,J Cell Biol 201:613-629,2013)。図1Fに示すように、ドキソルビシン処置したおよび放射線照射した老化細胞の両方からHMGB1の核喪失を確認した。さらに、図1Fに示すように、静止細胞と比較して、老化細胞におけるgH2AX染色により測定されるように老化細胞における持続的なDNA損傷巣を明示した。総合的に、これらのデータは、老化の遺伝毒性ストレス誘導モデルが、IMR-90線維芽細胞において強力な老化表現型をうまく誘導したことを明示する。
【0112】
実施例2
老化細胞表面マーカーの同定
細胞応答は一般に、細胞表面上にあるタンパク質との相互作用を介して媒介される。細胞の老化に関与する分子メカニズムの解明は進歩している。しかし、老化細胞の表面の特徴付けが、欠けている。いくつかの報告は、老化細胞表面マーカーの同定を示唆する。しかし、さらなる分析は、これらのマーカーは普遍的ではなく、かつそれらの表面発現は老化細胞に特有でないことを示している(例えば、Frescas et al.,Proc Natl Acad Sci USA 114:E1668-E1677,2017)。
【0113】
実施例3
老化したIMR-90線維芽細胞のサーフェソーム特性づけ
サーフェソーム-TriCEPS実験の後、約50個の表面タンパク質を、上記のプロトコルを使用して、非老化(NS)細胞と比較して老化細胞(S-Doxo)中で差次的に豊富であると同定した。一方でおよそ35個の表面タンパク質の存在量が、放射線照射後の老化細胞において影響を受けた。差次的に豊富なタンパク質を、2つのグループ:高信頼性および中程度の信頼性、に割り当てた。高信頼性の差次的発現を、0.01未満の調整されたp値(-Log10(調整p値)>2)を有するタンパク質として定義する。中程度の信頼性で差次的に発現されるタンパク質を、4より大きい倍率変化の差を有するが、0.01未満の統計的有意性を有するタンパク質として定義する。これらの結果を、NSと老化細胞(S-DoxoまたはS-IR)の間の比較を示すボルケーノプロット(図2B図2C)で示す。
【0114】
表2は、0.01未満の調整されたp値を有したドキソルビシン処置(S-Doxo)された細胞から同定された、表面タンパク質のリストである。表3は、0.01未満の調整されたp値を有した放射線(S-IR)で処置された細胞から同定された表面タンパク質のリストである。ドキソルビシン処置したおよび放射線照射した老化細胞の両方に共通した、差次的に豊富なタンパク質を調査するために、合計64個の統計的に有意な差次的に豊富に存在するタンパク質を、分析した。22個の共通タンパク質を、図2Bおよび図2Cに示すように、両方において差次的に存在すると同定した。
【0115】
2つの変動の間で共通した22個のタンパク質から、本出願者らは、NS細胞と比較して、両方の条件(S-Doxo、S-IR)において上方制御された18個のタンパク質に注目した。NS対照と比較して、老化細胞中で少なくとも2.2log2倍高かった高信頼性の候補を、選択した。リストを、タンパク質アトラス(例えば、www.proteinatlas.orgを参照)に従い、生体組織サンプルの表面で発現されなかったものを選択することによりさらに狭めた。このようにして、CO8A1、CATC、LYAG、IBP7、およびTPP1の5つのタンパク質が、最終候補となった。
【0116】
これらの候補のタンパク質発現を評価すると、CATC、LYAG、およびTPP1の増加されたタンパク質発現が、非老化(NS)対照細胞と比較して、老化IMR-90線維芽細胞(図3A)および一次内皮細胞(図3B)の両方の全細胞溶解物中で検証された。次に、ウエスタンブロット分析を、老化(S)線維芽細胞および非老化(NS)線維芽細胞の膜画分および細胞質画分に対して実施した。NS細胞と比較して、老化細胞の膜分画におけるCATC、LYAG、およびTPP1の増加された発現が、観察された。Na/KATPaseを使用して、細胞の分画を監視した(図3C)。これらの結果は、非老化対照と比較したときに老化IMR-90線維芽細胞および老化内皮細胞の表面でのTPP1の増加された発現を示した免疫蛍光データによりさらに裏付けられた(図3D)。
【0117】
実施例3
老化細胞は生存のためにリソソームのエクソサイトーシスを利用する
非老化(NS)対照細胞と比較したときに、ドキソルビシン処置した(300nM、24時間)および放射線照射した(20Gy)細胞の両方に共通の22個の差次的に発現される表面タンパク質の解析は、いくつかのリソソームタンパク質が、老化細胞の表面で不釣り合いに豊富に存在することを明らかにした(図1A)。それにより老化細胞がそれらの表面にリソソームタンパク質を提示し得る基礎となるメカニズムを、以下のようにさらに調査した。
【0118】
老化細胞の表面に存在するリソソームタンパク質の豊富さを考慮して、リソソームエクソサイトーシスのマーカーを、老化細胞において検証した。リソソームのエクソサイトーシス後に、LAMP-1などのリソソーム膜タンパク質が、細胞表面に存在することが示された。したがって、LAMP-1の表面発現はしばしば、リソソームエクソサイトーシスのマーカーとして使用される。老化IMR-90細胞のフローサイトメトリー分析は、非老化対照細胞と比較して、LAMP-1表面発現の顕著な増加を明らかにした(図1B)。転写因子EB(TFEB)は、リソソーム生合成およびオートファジーのマスター調節因子として知られている。TFEBはまた、リソソームのエクソサイトーシスを調節すると知られている。老化IMR-90細胞および一次内皮細胞のウエスタンブロット解析は、非老化対照細胞と比較して、TFEBの増加された発現を示した(図1C)。
【0119】
老化細胞は、それらの生存率を高めるためにいくつかのメカニズムを採用することが知られている。例えば、生存促進性BCLファミリータンパク質の増加された発現は、広く研究されている。実際に、BCL拮抗作用は、多くの老化細胞除去薬の基礎となっている(例えば、Zhu,et al.,Aging Cell.2016 Jun;15(3):428-35を参照されたい)。バクオリン-1を、リソソームのエクソサイトーシスが老化細胞の生存のメカニズムであるかを決定するために使用した。バクオリン-1は、リソソームを形質膜と融合させるリソソームエクソサイトーシスにおいて重要な役割を果たす、ホスファチジルイノシトール-3-リン酸5-キナーゼIII型(PIKfyve)の強力な阻害剤である。生存率アッセイを、経時的に細胞の健康および生存率を監視するために標識非含有細胞インピーダンスを使用するxCELLigenceリアルタイム細胞分析(RTCA)システムを使用して、老化IMR-90細胞において実施した。結果は、バクオリン-1を介するリソソームエクソサイトーシスをブロックすることが、用量依存的に老化IMR-90細胞を選択的に死滅させ、1μMのバクオリン-1で48時間処置後の平均正規化細胞指数が、NS細胞では1.2、老化細胞では0.4であったことを明示した(図1D)。
【0120】
アピリモドは、臨床的PIKfyve阻害剤である。アピリモドを、PIKfyve阻害剤の老化細胞除去効果をさらに検証するために使用した。結果は、バクオリン-1のように、アピリモドが老化細胞の生存率の用量依存的低下を引き起こすことを明示した。老化細胞は、1μMおよび5μMのアピリモドで48時間処置した後、生存しなかった(図1D)。非老化細胞対老化細胞に対するアピリモドの強力な細胞毒性効果をさらに特徴付けるために、IMR-90線維芽細胞を、1μMのアピリモドで処置した。アピリモド処置の48時間後のクリスタルバイオレット染色細胞の光学顕微鏡画像は、老化細胞の生存率の顕著な低下を明示し、非老化細胞の生存率に対する影響はなかった(図1E)。接着細胞の定量化は、老化状態でのわずか17%の生存細胞に対し、92%の非老化細胞の生存率を明らかにした(図1E)。注目すべきことに、処置後48時間での生存可能なアピリモド処置された非老化細胞の減少はおそらく一部には、アピリモド処置された細胞の生存率でなく増殖の低下による。
【0121】
実施例4
フローサイトメトリーによる老化細胞表面マーカーの検証
IMR90細胞を、10日間ドキソルビシン(DOX、300nM)で処置して老化を誘導した。老化細胞(S-Doxo)および非老化細胞(NS)を、採取し、4℃で30分間一次抗体およびAPC標識二次抗体で染色した。細胞を、フローサイトメトリーにより分析した。細胞を、抗TPP1抗体(クローン2E12、EMD Millipore)で染色した。アイソタイプ対照のMFI(灰色の線)は1154であり、非老化細胞のMFI(青の線)は1134であり、老化細胞のMFI(赤の線)は3251である。データは、Lamp-1およびTPP1が老化細胞の表面で提示されることを明示した。結果を図5に示す。
【0122】
実施例5
老化細胞の治療的除去
この実施例では、患者(55歳男性)は内科を受診し、アテローム性動脈硬化症および高血圧の兆候および症状を呈している。医療従事者は、患者の老化細胞の標的型除去が患者の心血管疾患を改善するのではないかと考えている。
【0123】
組織サンプルおよび血液サンプルは、以下のタンパク質:CO8A1、CATC、LYAG、IBP7、TPP1、の上昇したレベルを明示する。これらのマーカーは、その年齢の患者での正常レベルよりも高いレベルでの老化細胞の存在を示している。
【0124】
患者はまた、老化細胞を死滅させるための薬物コンジュゲート体を投与される(静脈内に)。コンジュゲート体は、抗体(CO8A1を認識する)と細胞毒性剤(すなわち、毒性ペプチド)を含む。患者はまた、老化細胞除去剤を投与される。患者の血圧は、徐々に改善する。医療提供者は、アテローム性動脈硬化症および高血圧を継続して監視する。
【0125】
使用の方法
実施形態は、疾患(すなわち、老化関連の疾患または障害)を診断する方法、または疾患を有する検査対象の予後を決定する方法を含む。方法は、1つ以上のバイオマーカーの発現レベルを測定して、変化した発現レベルを有するものを同定することを含む。実施形態はまた、老化関連の疾患または障害を治療するための治療法を含む。一実施形態では、方法は、老化細胞を選択的に死滅させる(すなわち、非老化細胞よりも老化細胞を選択的に死滅させる)治療剤を含む医薬製剤を投与することを含む。治療レジメンは、老化細胞を選択的に死滅させるのに十分な時間の間および量で医薬製剤を投与することを含み得る。
【0126】
本明細書に記載の実施形態に従う組成物は、所望の溶解性、粘度、注射可能性、および安定性などの、所望の特性を有する。本明細書に記載の実施形態に従う凍結乾燥物(Lyophilate)はまた、所望の回復、安定性、および再構成などの、所望の特性を有する。
【0127】
一実施形態では、医薬製剤のpHは、少なくとも約3.5、3.75、4、4.25、4.5、4.75、5、5.25、5.5、5.75、6、6.25、6.5、6.75、7、7.25、7.5、7.75、8、8.25、8.5、8.75、または9である。
【0128】
一実施形態では、医薬製剤のpHは、約1~約14、約2~約14、約3~約14、約4~約14、約5~約14、約6~約14、約7~約14、約8~約14、約9~約14、約10~約14、約11~約14、約12~約14、約13~約14、約1~約10、約2~約10、約3~約10、約4~約10、約5~約10、約6~約10、約7~約10、約8~約10、約9~約10、約1~約11、約2~約11、約3~約11、約4~約11、約5~約11、約6~約11、約7~約11、約8~約11、約9~約11、約10~約11、約1~約12、約2~約12、約3~約12、約4~約12、約5~約12、約6~約12、約7~約12、約8~約12、約9~約12、約10~約12、約11~約12、約1~約13、約2~約13、約3~約13、約4~約13、約5~約13、約6~約13、約7~約13、約8~約13、約9~約13、約10~約13、約11~約13、約12~約13、約1~約9、約2~約9、約3~約9、約4~約9、約5~約9、約6~約8、約6~約7、約6~約9、約5~約6、約5~約7、約5~約8、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約3~約8、約3~約7、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約7~約8、約7~約9、約7~約10である。
【0129】
本発明を実施するための発明者に知られている最良の様態を含む、本発明の特定の実施形態が、本明細書に記載される。当然のことながら、これらの記載された実施形態の変形は、前述の説明を読むときに当業者には明らかとなるであろう。発明者は、当業者がそのような変形を適切に採用すると予測し、発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載される以外の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用法により認められるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題のすべての変更および等価物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、すべての可能な変形における上記の実施形態の任意の組み合わせが、本発明に包含される。
【0130】
本発明の代替的な実施形態、要素、またはステップのグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個々に、または本明細書に開示される他のグループメンバーと任意に組み合わせて、参照されおよび特許請求され得る。簡便性および/または特許性の理由により、グループの1以上のメンバーがグループに含められ得るか、またはグループから削除され得ることが予想される。こうした何らかの包含または排除が生じた場合には、本明細書は、修正され、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュグループの記述を満たすようにそのグループを含むものと見なされる。
【0131】
別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される特徴、項目、数量、パラメータ、特性、用語などを表すすべての数値は、用語「約」によりすべての場合において修飾されると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「約」は、そのように限定された特徴、項目、数量、パラメータ、特性、または用語が、記載された特徴、項目、数量、パラメータ、特性、または用語の値の上および下のプラスマイナス10パーセントの範囲を包含することを意味する。したがって、そうではないと示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、変化し得る近似値である。少なくとも、均等法理の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値表示は、報告された有効桁数に照らして、および通常の丸め手法を適用することにより少なくとも解釈されるものとする。本発明の広い範囲を記載した数値範囲および値が近似値であるにもかかわらず、具体例に記載される数値範囲および値は、可能な限り正確に報告される。しかし、任意の数値の範囲または値は、本質的に、それぞれの試験測定値で求められた標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含む。本明細書における数値範囲の列挙は、範囲内に入るそれぞれ別個の数値を個々に言及する簡単な方法として機能すると単に意図される。本明細書で別段の指示がない限り、数値範囲の各個々の値は、本明細書で個別に列挙されるように、本明細書に組み込まれる。
【0132】
本発明を説明する文脈において(特に以下の請求項の文脈において)使用される用語「a」、「an」、「the」および類似の言及は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書中で提供される任意のすべての例または例示的な言語(例えば、「など(such as)」)の使用は、単に本発明をより良好に明らかにすると意図され、さもなければ特許請求される本発明の範囲に限定をもたらすものではない。本明細書中の言語は、本出願の実施に必須の特許請求されないあらゆる要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0133】
本明細書に開示される特定の実施形態は、「~からなる」または「~から本質的になる」という言語を使用して、請求項においてさらに限定されてよい。請求項で使用される場合、出願時または補正により追加された場合でも、移行用語「からなる」は、請求項に指定されないあらゆる要素、ステップ、または成分を含まない。「本質的にからなる」という移行用語は、指定された材料またはステップ、かつ基本的および新規な特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないものに特許請求の範囲を限定する。このように特許請求される本発明の実施形態は、本明細書において本質的にまたは明示的に記載され、実現される。
【0134】
本発明の代替的な実施形態、要素、またはステップのグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個々に、または本明細書に開示される他のグループメンバーと任意に組み合わせて、参照されおよび特許請求され得る。グループの1以上のメンバーは、簡便性および/または特許性の理由により、グループに含められ得るか、またはグループから削除され得ることが予想される。こうした何らかの包含または排除が生じた場合、本明細書は、修正され、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュグループの記述を満たすようにそのグループを含むものと見なされる。
【0135】
本明細書において引用および同定される全ての特許、特許公報、および他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用され得るそのような刊行物に記載される組成物および方法論を記載するおよび開示する目的で、参照によりその全体が個々かつ明示的に本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日より前の開示のためのみに提供される。この点に関するいかなるものも、発明者が、先行発明または任意の他の理由により、そのような開示に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。これらの文書の内容に関する日付または表明に関するすべての記述は、出願者に入手可能な情報に基づき、かつこれらの文書の日付または内容の正確性に関するいかなる承認を構成しない。
【0136】
最後に、本明細書の態様は特定の実施形態を参照することにより強調されるが、当業者は、これらの開示される実施形態が、本明細書に開示される主題の原理を例示するのみであることを容易に認識するであろうことを理解すべきである。したがって、開示される主題は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコル、および/または試薬などに決して限定されないことを理解されたい。したがって、本明細書の趣旨から逸脱することなく、本明細書の教示に従い、開示される主題に対する様々な修正もしくは変更、または代替構成を行うことができる。最後に、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を記述することのみを目的としており、本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、それは請求項によってのみ定義される。したがって、本発明は、正確に示されおよび説明されるものに限定されない。
【表2】

【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
































図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5
【国際調査報告】