(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-17
(54)【発明の名称】合成メタンの生物学的製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C02F 11/04 20060101AFI20250207BHJP
C10L 3/08 20060101ALI20250207BHJP
C12P 5/02 20060101ALI20250207BHJP
C12M 1/04 20060101ALI20250207BHJP
C12N 1/00 20060101ALN20250207BHJP
【FI】
C02F11/04 A ZAB
C10L3/08
C12P5/02
C12M1/04
C12N1/00 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024545158
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2022081022
(87)【国際公開番号】W WO2023147905
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524282917
【氏名又は名称】バイオガスクリーン エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペーター チューエセン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン トムセン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B064
4B065
4D059
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029BB01
4B029CC02
4B064AB03
4B064CA01
4B064DA16
4B065BB02
4B065BB40
4B065BC03
4B065BD22
4B065BD40
4B065CA03
4B065CA55
4D059AA01
4D059AA07
4D059AA23
4D059BA12
4D059CC01
4D059EA02
4D059EA06
4D059EB02
4D059EB06
(57)【要約】
本発明は、ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンと水に変換する方法及び装置に関する。前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスは、好ましくはバイオガス、排ガス又は合成ガスである。前記水素を含むガスは、好ましくは水の電気分解から得られるガスである。本方法及び装置は、前記反応器から前記包装材料を取り出さずに前記包装材料を効率良く洗浄することを含む。これにより、変換効率が維持され、かつ最適化される。
特に、本発明は、ガス中の二酸化炭素含有量を減らし、メタン含有量を増やすことによって、有機材料の嫌気性消化により得られるグリーンエネルギーの量を増やすことに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスを提供する工程;
b)水素を含むガスを提供する工程;
c)反応器がポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群から選択される包装材料を含み、前記反応器は一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換できる微生物を含み、また前記包装材料を前記反応器から取り外すことができる、前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスと前記水素を含むガスを前記反応器に導く工程;
d)液体を提供し、前記液体を前記包装材料の上方にある前記反応器に供給する工程;
e)前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスと前記水素を含むガスを、前記液体と前記微生物を含む前記包装材料に通して導き、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンと水に変換する工程;
f)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素がメタンに変換された前記ガスを出口に導く工程、及び
g)液体を前記反応器に充填し、前記包装材料の下方にある前記反応器内に加圧空気を吹き込むことによって前記包装材料を洗浄及び減圧する工程;
を含む、前記ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換する方法。
【請求項2】
前記微生物がメタン生成微生物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体が水及び嫌気性消化装置の処理排水からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
液体を前記反応器に供給することが連続散布である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記連続散布の前記液体の流量が、前記反応器の断面積あたり0.5~2.5m
3/m
2の範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスが、バイオガス、排ガス及び合成ガスからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスが嫌気性ガスである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応器内の温度が40℃~70℃の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が嫌気下に行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
以下の装置:
i)包装材料がポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群から選択され、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換することができる微生物が前記包装材料の表面で増殖しており、包装材料(2)を反応器(1)から取り外すことができる、前記包装材料(2)を含む前記反応器(1);
ii)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスを前記反応器(1)に供給する入口(3);
iii)前記反応器(1)に水素を含むガスを供給する入口(4);
iv)前記反応器(1)に液体を供給する入口(5);
v)前記反応器(1)の下部から前記包装材料の上方にある前記反応器(1)の上部に液体を循環させる手段(5A);
vi)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素がメタンに変換されたガスを排出する出口(6);
vii)前記反応器(1)から液体を排出する出口(7)、及び
viii)入口(9)が前記包装材料(2)の下方に配置されている、前記反応器(1)に加圧空気を吹き込む前記入口(9)、
を含む、前記ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換する装置。
【請求項11】
前記反応器(1)が、前記液体を前記包装材料の上方に散布するための散布手段(8)を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記散布手段(8)が、前記反応器内に散布される前記液体の流量を前記反応器の断面積あたり0.5~2.5m
3/m
2の範囲に制御するための制御手段を備える、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに効率良く変換する方法及び装置に関する。前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスは、バイオガス、排ガス又は合成ガスであることが好ましい。前記水素を含むガスは、水の電気分解から得られるガスであることが好ましい。特に、本発明は、変換効率を最適化し維持するために、反応器から包装材料を取り出すことなく、前記包装材料を効率良く洗浄することを含む、ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換する方法及び装置に関する。また、本発明は、再生可能エネルギー源を使って駆動される水の電気分解又は同様の技術によって生成した水素を、メタンなどの再生可能で貯蔵可能なエネルギーに変換することに関する。さらに、本発明は、一実施形態において、バイオガス中の二酸化炭素含有量を減らしメタン含有量を増やすことによって、有機物の嫌気性消化により得られるグリーンエネルギー量を増やすことに関する。これにより、環境に放出される二酸化炭素の量も削減される。
【背景技術】
【0002】
世界人口の急激な増加により、エネルギー需要が急激に増加している。現在、主なエネルギー供給源は、石炭、石油、天然ガスなどの炭素含有化石燃料源である。しかし、非再生型エネルギーから産生されるエネルギー源は、まもなく枯渇すると言われている。他方、化石燃料を燃焼させて需要に見合うエネルギーを得る必要がある。化石燃料を燃焼することによって、二酸化炭素などの温室化効果が最大であるガスが大気中に放出され、地球の温暖化が引き起こされている。
【0003】
世界中で環境保護への関心が高まっており、多くの国が再生可能エネルギー源の活用など、代替エネルギー源として、よりクリーンで環境に優しいエネルギーの産生に向けて動きつつある。利用できそうな再生可能エネルギー源としては、バイオガスが挙げられるが、バイオガスが候補となる理由は、当ガスがエネルギー産生に使用可能なメタンを含むためである。前記バイオガスは、嫌気性消化装置中で有機物を消化することにより得られる副産物である。前記バイオガスは、風力や太陽光発電と同様に再生可能エネルギー源である。しかし、前記バイオガスを、再生可能エネルギーを供給するためだけに産生するのではなく、前記バイオガスを生産することは、数多くの製品を生産することによって生じる有機廃棄物が持続的に処理されるという、現代生活における前提条件を満す、という点で非常に重要になってきている。さらに、前記バイオガスには、風力や太陽エネルギーと比較して、天候に関係なく一年中生産できるという利点がある。これと対照的に、風力や太陽エネルギーは、風が吹くか太陽がでるかに左右される。さらに、前記バイオガスには貯蔵できるという利点がある。
【0004】
前記嫌気性消化装置で処理される有機物は基質と呼ばれ、豚、牛、鶏などの動物の糞尿、食品加工工場、醸造所、パーム油工場、デンプン工場、エタノール工場、製紙工場、都市下水処理場、家庭の分別ごみなど、様々な供給源から得られる。前記嫌気性消化装置での処理により、消化された水とバイオマスが排出されるが、そこで肥料や灌漑に有効利用したりすることができるように、多くの有害成分が前記処理液から除去される。
【0005】
前記嫌気性消化プロセスにより、バイオガスと呼ばれるガス状の副産物が生成する。前記バイオガスには通常、50~70%のメタン(CH4)、30~50%の二酸化炭素(CO2)、及び約0.1~5.0%の硫化水素(H2S)が含まれる。
【0006】
前記バイオガスは、化石燃料の再生可能な代替物として重要な資源となり得る。しかし、エネルギー源として使用する前に、前記バイオガスから不要な化合物を除去する必要がある。例えば、前記バイオガスをボイラーやエンジンで使用する前に、機器の腐食防止のため、また人体に有毒なため、当該ガス中に含まれている硫化水素を除去する必要がある。前記バイオガスから硫化水素を除去することは、例えば、欧州特許出願第3487606(A1)明細書に開示されている。前記バイオガスを燃焼エンジンやボイラーでの発電に直接使用する場合、二酸化炭素は除去する必要はない。しかし、前記バイオガスを天然ガスの代替として使用する場合には、二酸化炭素を除去するか少なくともその含有量を減らして、前記バイオガスをバイオメタンに「アップグレード」して、天然ガスとして使える仕様条件を満たす必要がある。得られたガスのことを再生可能天然ガス(RNG)とも呼ぶ。
【0007】
ガス中の二酸化炭素を除去又はその含有量を低減することに関していくつかの技術が知られている。例えば、化学溶媒による吸収、水スクラビング洗浄による物理的吸収、極低温分離、膜分離、及び生物学的又は化学的方法による二酸化炭素固定などである。例えば、欧州特許第2032709(B1)明細書には、バイオリアクター内でメタン生成微生物を使用して二酸化炭素と水素をメタンと水に変換する方法が開示されている。前記メタン生成微生物を、前記バイオリアクター/発酵槽内の適切な液体培養培地の下で増殖すると、二酸化炭素と水素を含むガスが液体中で泡立ってくる。しかし、前記ガスを液体中で泡立たせて、二酸化炭素と水素をメタンと水に変換する上での欠点として、1)二酸化炭素を含むガスと水素を含むガスとが液体全体中でうまく分散しない、2)水素ガスが水に難溶である、3)液体中を自由に遊泳する微生物の成長が最適化されない、などがある。
【0008】
前記欧州特許第3013937(B1)明細書には、メタン生成微生物を使用して反応器内で水素と二酸化炭素をメタンに変換するバイオメタン化の方法及び装置が開示されている。この方法及び装置には、水性媒体を含む反応器が備えられ、前記微生物は水性媒体内に置かれる。前記欧州特許第3013937(B1)明細書には、反応促進装置について記載されており、この反応促進装置に供えられた、例えば、ノズル、撹拌機などの機械的動的手段によってエネルギーを供給することで、水性媒体と基質ガスを混合又は撹拌できることが記載されている。
【0009】
日本特許出願公開第2004-041929号明細書には、担体上に担持された微生物を含む発酵槽を備えたメタン発酵装置が開示されている。
【0010】
米国特許出願公開2010/273242(A)号明細書には、バイオガスの生物学的脱硫装置が開示されている。この装置には、反応槽と、微生物を付着させるための、前記反応タンク内に充填された担体層とが備えられている。
【0011】
以上、ガス中の二酸化炭素及び/又は一酸化炭素並びにガス中の水素をメタンに変換する方法としては、当該方法の改良方法の方が有利であり、特に、ガス中の二酸化炭素及び/又は一酸化炭素並びに水素を、効率良くメタンと水に変換する方法が有利である。
【発明の概要】
【0012】
したがって、本発明の目的は、ガス中の二酸化炭素及び/又は一酸化炭素並びに水素をメタンと水に変換するための改良方法及び装置を提供することに関する。二酸化炭素及び/又は一酸化炭素は、通常、1つのガス源から供給され、水素は別のガス源から供給される。本発明によれば、例えば、本発明の方法及び装置は効率良い洗浄及び減圧が可能なシステムを備えているため、ガス中の二酸化炭素及び/又は一酸化炭素並びに水素をメタンと水に変換する効率を高めることができる。さらに、本発明によれば、有機基質を嫌気性消化することにより得られるグリーンエネルギーの量を増やすことができる。
【0013】
特に、本発明の目的は、ガス(例えば、嫌気性消化装置からのガス)からの二酸化炭素及び/又は一酸化炭素、並びに水の電気分解(又は風力、太陽エネルギー、水力などの再生可能エネルギー源で駆動される同様の技術)から産生される水素を再生可能エネルギーに変換することである。前記再生可能エネルギー(メタン)は、圧縮ガス又は液化ガスとして貯蔵することができる。再生可能エネルギーから貯蔵可能なエネルギー形態へ電力を変換することは、Power-to-Xとしても知られている。したがって、本発明を、生物学的なPower-to-X方法及び装置として説明することもできる。
【0014】
さらに、本発明の目的は、ガス中の二酸化炭素及び/又は一酸化炭素並びに別のガス中の水素をメタン及び水に変換する方法及び装置を提供することであり、この方法及び装置では、従来技術で知られている方法に比べて、二酸化炭素及び/又は一酸化炭素並びに水素をメタン及び水に変換する効率が改善されている。本発明に係る方法及び装置では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABSプラスチック)の群から選択される包装材料を含む反応器を使用するが、このことによってガス中の二酸化炭素及び/又は一酸化炭素並びに水素をメタン及び水にさらに効率良く変換することができる。上記で開示された包装材料を使用することにより、前記反応器内で二酸化炭素及び/又は一酸化炭素並びに水素を含むガスの分布が改善される。さらに、二酸化炭素及び水素及び/又は一酸化炭素並びに水素をメタンと水に変換する微生物の生育条件が改善される。前記微生物は、液体中に直に存在する場合よりも、前記包装材料の表面上でよりよく増殖することができる。前記包装材料により、前記微生物がより良く増殖するのに必要な広い増殖場が提供される。さらに、本発明における包装材料は、前記反応器から取り外すことができる。これにより、前記包装材料を前記反応器から取り出さなくても、より簡便に洗浄及び減圧でき、前記包装材料上に堆積したバイオスラッジを除去することができる。これにより、ガスのチャネリングが回避される。というのは、前記包装材料上でバイオスラッジが圧縮され堆積することによって、前記包装材料内にチャネルが形成され、ガスが前記反応器内で効率良く分配されなくなるからである。したがって、本発明の洗浄及び減圧システムにより、前記ガス中の二酸化炭素及び/又は一酸化炭素並びに水素のメタン及び水への変換が改善される。
【0015】
本発明のさらなる目的は、従来技術に代わる方法を提供することである。
【0016】
本発明の一態様は、ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換する方法であって、以下の工程:
a)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスを提供する工程;
b)水素を含むガスを提供する工程;
c)反応器がポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群から選択される包装材料を含み、前記反応器は一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換できる微生物を含み、また前記包装材料は反応器から取り外すことができる、前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスと前記水素を含むガスを前記反応器に導く工程;
d)液体を提供し、前記液体を前記包装材料の上方にある前記反応器に供給する工程;
e)前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスと前記水素を含むガスを、前記液体と前記微生物を含む前記包装材料に通して導き、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンと水に変換する工程;
f)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素がメタンに変換された前記ガスを出口に導く工程、及び
g)液体を前記反応器に充填し、前記包装材料(2)の下方にある前記反応器(1)に加圧空気を吹き込むことによって前記包装材料(2)を洗浄及び減圧する工程;
を含む。
【0017】
本発明の他の態様は、ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換する装置に関するものであり、前記装置は以下の装置:
i)包装材料がポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群から選択され、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換することができる微生物が前記包装材料の表面で増殖しており、包装材料(2)を反応器(1)から取り外すことができる、前記包装材料(2)を含む前記反応器(1);
ii)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスを前記反応器(1)に供給する入口(3);
iii)前記反応器(1)に水素を含むガスを供給する入口(4);
iv)前記反応器(1)に液体を供給する入口(5);
v)前記反応器(1)の下部から前記包装材料の上方にある前記反応器(1)の上部に液体を循環させる手段(5A);
vi)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素がメタンに変換されたガスを排出する出口(6);
vii)前記反応器(1)から液体を排出する出口(7)、及び
viii)入口(9)が前記包装材料(2)の下方に配置されている、前記反応器(1)に加圧空気を吹き込む前記入口(9)。
を含む。
【0018】
本発明、特にその好ましい実施形態について、添付の図を参照しながらさらに詳しく説明する。本発明の図は本発明を実施する一方法を示すものであり、添付の請求項の範囲内にある他の実施可能な実施形態を限定するものとして解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る、ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素をメタンに変換するために使用される装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下において、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0021】
本発明に係る方法:
第1の態様において、本発明は、ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換する方法であって、以下の工程:
a)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスを提供する工程;
b)水素を含むガスを提供する工程;
c)反応器がポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群から選択される包装材料を含み、前記反応器は一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換できる微生物を含み、また前記包装材料は前記反応器から取り外すことができる、前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスと前記水素を含むガスを反応器に導く工程;
d)液体を提供し、前記液体を前記包装材料の上方にある前記反応器に供給する工程;
e)前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスと前記水素を含むガスを、前記液体と前記微生物を含む前記包装材料に通して導き、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンと水に変換する工程;
f)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素がメタンに変換された前記ガスを出口に導く工程、及び
g)液体を前記反応器に充填し、前記包装材料の下方にある前記反応器に加圧空気を吹き込むことによって前記包装材料を洗浄及び減圧する工程;
を含む方法に関する。
【0022】
本発明は、ガス中の水素と併用された一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を、請求項1に従ってメタンに変換する方法に関する。
【0023】
前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスは、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含む任意のガスであってもよい。ただし、前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスは嫌気性ガスであることが好ましい。
【0024】
一実施形態では、前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスは、バイオガス、排ガス及び合成ガスからなる群から選択される。好ましい実施形態では、前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスは、嫌気性消化装置で生成するバイオガスである。
【0025】
バイオガスは、嫌気性消化装置で生成する廃棄物/副産物としてのガスである。前記嫌気性消化装置では、酸素のない環境下で、産業有機廃棄物及び農業有機廃棄物が処理される。前記嫌気性消化装置で処理される前記有機物は、家畜、食品加工工場、醸造所、パーム油工場、デンプン工場、エタノール工場、製紙工場、都市下水処理場及び家庭の分別ごみ由来の肥料であると考えられる。前記嫌気性消化装置で処理した後に得られるバイオガスは嫌気性であり、つまり酸素を含んでいない。バイオガスの他の例は、有機堆積物を含む埋立地から出てくるバイオガスである、埋立地ガスである。
【0026】
排ガスは、暖炉、オーブン、炉、ボイラー、又は蒸気発生器から出てくる排ガスであって、これらを運ぶパイプ又はチャネルである煙道を通じて大気中に排出されるガスである。多くの場合、前記排ガスとは、石炭又はバイオマスをベースとする発電所及び焼却炉で生成する燃焼排ガスのことを意味する。たとえば、排ガスは、火力発電所、廃棄物焼却プラント、又はセメント工場で発生し得る。排ガスの成分は、被燃焼物によっても異なるが、通常は窒素、二酸化炭素、及び水蒸気で構成される。また、酸素と、粒子状物質(たとえば、煤)、一酸化炭素、窒素酸化物、及び硫黄酸化物等の少量の汚染物質が含まれる場合もある。二酸化炭素は、前記排ガス中に10~25体積%以上含まれる場合がある。
【0027】
合成ガスは、石炭、バイオマス、及び原則として、木材や藁などのあらゆる炭化水素原料などの有機材料が熱分解及びガス化して生成してくる燃料ガスである。前記合成ガスの組成は、使用する有機材料によって異なるが、通常は水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及びメタンで構成される。
【0028】
前記水素を含むガスは、水素を含むあらゆるガスであってよい。たとえば、前記水素ガスは、水の電気分解又は同様の技術によって得られうる。水素ガスは、ガス中の二酸化炭素及び/又は一酸化炭素の少なくとも一部がメタン及び二酸化水素(水)に変換されるような量でもって前記反応器に供給される。前記供給水素量は、前記反応器に導かれるガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素の量にも依存する。したがって、前記供給水素量は、本発明における必須パラメータではなく、所望する一酸化炭素及び/又は二酸化炭素の変換量に依存する。
【0029】
前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスを反応器に導入する前に、前記水素ガスに前記水素ガスを直接加えても良く、これにより前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガス並びに前記水素を含むガスの混合物が反応器に導入される。あるいは、前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガス並びに前記水素を含むガスを別々に反応器に導入してもよい。発明の好ましい実施形態では、前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガス並びに前記水素を含むガスを、前記反応器に導入する前に混合する。
【0030】
本発明の一実施形態では、前記反応器に導入される、水素を含むガス並びに前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスの量を制御する。例えば、周波数調整ブロワーを使用して、例えば、導入する一酸化炭素及び/又は二酸化炭素の量に合わせて前記水素を含むガスの注入量を調整し、水素量を一酸化炭素及び/又は二酸化炭素をメタン及び水に変換するのに必要な量となるようにしても良い。
【0031】
本発明に係る方法において使用される前記反応器は、包装材料を含むため、バイオトリックリングフィルター又はバイオトリックリング反応器と呼ばれることがある。
【0032】
本発明における重要な態様は、前記反応器内の前記包装材料が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群から選択される材料で作られていることである。ポリウレタンは、包装材料として使用されることが知られている別の材料である。しかし、ポリウレタンは、圧力及び/又は高温に曝されると柔らくなりすぎるため、適さない。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレンから選択される包装材料は、例えばポリウレタンよりも、包装材料自体の重量に基づく圧力に対して耐性を有する。本格的な商業プラントでは、前記包装材料が数メートルの高さまで積み重ねられることがある。前記包装材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレンから選択されるが、前記反応器に液体を供給する(前記包装材料に散布する)際、また前記包装材料上にバイオスラッジが形成されると、前記包装材料自体の重量及び液体の重量によって前記包装材料が圧縮される恐れがある。したがって、前記包装材料を、本発明に従って定期的に洗浄し、減圧することが重要である。洗浄することで、堆積したバイオスラッジが除去され、また仮に前記包装材料が圧縮されていたとしてもその圧力は緩和される。
【0033】
アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)が最も強靭で、次いでポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンの順である。本発明に係る包装材料を本発明の洗浄及び減圧システムと組み合わせて使用することにより、前記反応器内の温度が最大70℃になりながらも、前記包装材料を10~12メートルの高さまで積み重ねることができる。強度の低い包装材料を選択した場合、前記包装材料は圧縮され、微生物が増殖できる表面積が減少し、最終的には、前記包装材料が圧縮されすぎて、ガス及び液体がフィルターを通過できなくなる。したがって、前記包装材料が圧縮されている場合は、前記包装材料を迅速かつ効率良く洗浄及び減圧することが重要である。洗浄のために前記包装材料を前記反応器から取り出すのには時間がかかり、メタン化プロセス、すなわちガス中の二酸化炭素及び/又は一酸化炭素をメタンと水に変換する工程が停止してしまう。本発明に係る装置の構成及び本発明の方法によれば、前記反応器内の前記包装材料を迅速かつ効率良く洗浄及び減圧することができる。これにより、ガス中の二酸化炭素及び/又は一酸化炭素をメタンと水に変換する、改良された方法及び装置が提供される。
【0034】
さらに、従来技術にて開示されているように、例えばガスを液体中に通して泡立てる代わりに、前記包装材料を前記反応器内で使用することには、いくつかの利点がある。その利点の一つは、微生物の成長が向上する点である、というのは、前記微生物は液体中よりも前記包装材料の表面上での方がより良く成長するからである。前記包装材料を使用することによって、微生物が成長できる場の面積をより広げることができる。前記包装材料全体に供給される前記液体は、前記包装材料の表面上に広がって薄膜状になる。前記微生物は、それらの薄膜内にある前記包装材料の表面上で成長する。したがって、前記微生物が水素と接触して、ガス中の二酸化炭素及び/又は一酸化炭素をメタンと水に変換することが容易になる。さらに、水素は水に溶けにくいため、包装材料と、前記包装材料上に供給される少量の液体のみを含む反応器を使用する方法により、前記反応器内の前記水素ガスの溶解性及びその分布が改善される。しかし、前記包装材料自体の重量と、前記反応器に供給される水及び堆積したスラッジの重量によって、前記包装材料が圧縮されるおそれもある。しかし、本発明の方法及び装置のような、前記包装材料を前記反応器から取り出すことなく、迅速かつ効率良く前記包装材料を洗浄及び減圧できる洗浄及び減圧システムを備えることで、包装材料の圧縮問題及び包装材料上に堆積したスラッジの問題を克服できる。
【0035】
したがって、本発明の一態様では、前記包装材料を前記反応器から取り外すことができる。前記包装材料は、前記反応器の底部及び側壁の両方から取り外すことができる。これにより、前記反応器を効率良く洗浄することができる
【0036】
前記包装材料の圧縮や詰まりを避けるために、前記包装材料を含む前記反応器を時々洗浄する必要がある。前記包装材料が圧縮されたり詰まったりすると、時間の経過とともに前記包装材料を通過するガスや液体の量が減少するか又は完全に遮断される。これにより、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素のメタンへの変換度が減少し、最後には変換されなくなる。前記洗浄は、水や消化装置の排液などの液体を前記反応器に充填し、その後、加圧空気を前記反応器の下部に吹き込むことにより行うことができる。前記加圧空気を、前記包装材料の下方にある前記反応器内に吹き込む。こうすることによって、前記包装材料はタンクの底から持ち上げられ、液体中を自由に移動することで、洗浄される。この洗浄により、前記包装材料の圧縮が回避でき、さらに前記反応器から前記包装媒体を取り出して反応器を空にする必要もなく、堆積後したバイオスラッジも除去される。したがって、前記包装材料を前記反応器から取り外すことができれば、前記反応器を効率良く洗浄し又減圧することができる。
【0037】
本発明係る方法における前記洗浄工程g)中に適用される液体は、例えば、水及び嫌気性消化装置の処理液からなる群から選択することができる。前記洗浄工程中に適用される前記液体は、本発明に係る方法における工程d)中で前記反応器に供給される液体と同じ液体であってもよく、又は異なる液体であってもよい。好ましくは、前記工程d)及び前記工程g)で供給される液体は同じ液体である。
【0038】
「バイオスラッジ」及び「スラッジ」という用語は、本発明中において、固形物の堆積物を指す。
【0039】
本発明の一実施形態では、前記加圧空気は、前記加圧空気を供給する入口から前記反応器に吹き込まれる。前記加圧空気の前記入口は、前記包装材料の下方に配置される。前記入口には、一実施形態では、加圧空気を吹き込む2つ以上の入口が含まれてよい。
【0040】
加圧空気を供給する前記入口は、好ましくは、2つ以上あって、互いに離れた位置に配置される。前記加圧空気用の複数の入口をこのような構成にすることで、前記加圧空気を前記反応器の断面全体に行き渡るように前記反応器内に供給でき、そして前記包装材料を効率良く持ち上げて洗浄することができる。好ましくは、前記反応器の断面積10m2までに対して1つの入口が提供されるように、前記複数の入口を互いに離して配置し、好ましくは、前記反応器の断面積7m2までに対して1つの入口が提供されるように前記入口を互いに離して配置し、例えば、前記反応器の断面積5m2までに対して1つの入口が提供されるように前記入口を互いに離して配置し、より好ましくは、前記反応器の断面積3m2までに対して1つの入口が提供されるように前記入口を互いに離して配置し、最も好ましくは、前記反応器の断面積2m2までに対して1つの入口が提供されるように前記入口を互いに離して配置する。
【0041】
本発明で使用する微生物は、一酸化炭素と水素及び/又は二酸化炭素並びに水素を、メタン及び二酸化水素(水)に変換できるあらゆる微生物であってもよい。好ましくは、前記微生物はメタン生成菌、すなわちメタン生成微生物である。前記微生物は前記包装材料の表面上で増殖している
【0042】
前記微生物は、水素との反応によって二酸化炭素及び/又は一酸化炭素をメタン及び水に変換する:
-CO2+4H2→CH4+2H2O+熱
-CO+3H2→CH4+H2O+熱
【0043】
水素の量は、存在する二酸化炭素の量及び存在する一酸化炭素の量に依存する。例えば、前記ガスに二酸化炭素のみが含まれ、一酸化炭素が含まない場合、水素を、好ましくは二酸化炭素1モルに対して4モル供給しないといけない。
【0044】
前記メタン生成微生物、又は独立栄養性メタン生成微生物は、嫌気性古細菌であってもよい。前記メタン生成微生物は、1つの株として使用しても良いし、2つ以上の株を組み合わせて使用してもよい。本発明で使用されるメタン生成微生物の株は特定株に含まれる株ではなくて、任意のメタン生成微生物を使用することができる。したがって、本発明では、二酸化炭素及び/又は一酸化炭素をメタンに変換することができる微生物の株については、特定株に限定されるものではない。しかしながら、本発明に適したメタン生成微生物の例としては、メタノバクテリウム、メタノブレビバクター、メタノサーモバクター、メタノコッカス、メタノサルシナ、メタノピルス、又はそれらの混合物である。
【0045】
使用に適した特定菌株の例は、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム、メタノバクテリウム・オメリアンスキー、メタノバクテリウム・フォルミシカム、メタノコッカス・バニエリ、メタノコッカス・バーケリ、及びメタノコッカス・サーモリソトロフィカスである。
【0046】
本発明において、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタン及び水に変換するのに使用する微生物は、嫌気性消化装置で処理される後の処理液中に自然に発生する。したがって、この処理液は、前記反応器内のプロセスに接種することができる。前記プロセスが始動すると、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換できる微生物が増殖し、前記反応器が長期間運転されていない場合を除き、さらに嫌気性消化装置処理液を供給する必要はない。
【0047】
嫌気性消化装置によって得られる処理液は、例えば、農場の動物、食品加工工場、醸造所、パーム油工場、デンプン工場、エタノール工場、製紙工場、都市下水処理場、家庭の分別ごみ由来の肥料などのあらゆる有機物の消化により得られる。嫌気性消化装置により得られる処理液の組成は、バイオガスリアクターで脱ガスされる有機物/基質に依存する。
【0048】
さらに、前記微生物は窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)などの栄養素を必要とする。本プロセスでは、メタンと熱のほかに水も生成する。前記反応器からは余分な水は排出されるが、通常は液体を前記反応器内に加えて前記プロセスに栄養素を供給する。
【0049】
本発明の一実施形態では、前記液体は、水及び嫌気性消化装置の処理液の群から選択される。本発明の方法の工程d)で水を液体源として使用する場合、肥料を前記水に供給するか、又は前記肥料を前記反応器に直接供給する。前記肥料はNPK肥料であってもよい。好気性消化装置の処理液を液体源として使用する場合、通常、栄養素の一部又はすべてが前記処理液内に存在するので、前記NPK肥料の消費量を減らす又は前記肥料を使わなくて良くなる。
【0050】
pHを微生物の最適pH値である6~8の範囲に保つことも重要である。したがって、適切な塩基を前記反応器に添加してpHレベルを維持する。あるいは、嫌気性消化装置の処理水を加えることもpHを調整する上で機能する。本発明では添加する塩基の種類は限定されず、任意の塩基を使用できる。
【0051】
前記微生物が成長するのに必要な水分と栄養素を提供すること、かつ前記包装材料上に液体を供給し前記微生物を冷却することが重要である。
【0052】
前記液体は、工程d)において連続的又は定期的に前記反応器に供給することができる。
【0053】
工程d)で前記液体を定期的に供給する場合、前記液体を定期的に散布するか、前記液体を定期的に前記包装材料に注ぎ、その後で前記液体を排出することができる。
【0054】
しかしながら、好ましい実施形態では、工程d)において、前記液体を前記反応器へ供給は、連続散布により行う。前記液体の連続散布は、好ましくは、前記液体の流量を反応器断面積あたり0.5~2.5m3/m2の範囲にして散布することにより行われる。前記液体の流量は0.5m3/m2未満の量であってはならない。というのは前記流量が0.5m3/m2未満の量であると、前記反応器内の温度が上昇し、前記微生物が増殖する最適温度よりも高くなるからである。前記液体は冷却媒体として機能する。さらに、前記流量が0.5m3/m2未満の量であると、バイオスラッジが形成し、前記包装材料に堆積してしまい、その結果、効率が低下する。
【0055】
前記流量は、反応器断面積あたり2.5m3/m2の量を超えてはならない。前記流量が高すぎると、前記包装材料の表面(バイオフィルム)で増殖する微生物にストレスがかかるからである。さらに、流量が2.5m3/m2の量を超えると、前記バイオフィルム(微生物を含む)が前記包装材料から洗い流されて、二酸化炭素及び/又は一酸化炭素がメタンに変換されなくなってしまう。二酸化炭素及び/又は一酸化炭素並びに水素をメタンに変換する方法を効率良く行うためには、前記流量は1.0~2.0m3/m2の範囲にあることが好ましく、前記流量は1.2~1.8m3/m2の範囲にあることが最も好ましい。一例では、流量は約1.5m3/m2である。
【0056】
工程d)において、前記包装材料の上方にある前記反応器に供給する前記液体は、一実施形態では、前記反応器の底部の液溜まりから再循環される液体であってもよい。このような液溜まりにある液体を再循環させ、前記反応器の上部に供給する場合、供給前に前記液溜まりを冷却してもよい。このような冷却は、その冷却に適した任意の既知の装置を使って行ってよい。
【0057】
前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガス並びに前記水素を含むガスを、微生物が増殖している前記包装材料に通す。前記ガスを前記包装材料に通すと、前記微生物により、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素はメタンと水に変換される。
【0058】
前記ガスを、例えば、前記包装材料の上方にある前記反応器の上部に適用し、前記包装材料の中を通るガス流を並流にする。この場合、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素がメタンに変換された前記ガスは、前記反応器の下部にある出口から排出される。
【0059】
前記ガスを、前記包装材料の下方にある、前記反応器の下部にも適用し、前記包装材料を通るガス流を逆流とする。この場合、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素がメタンに変換された前記ガスは、前記反応器の上部にある出口から排出される。
【0060】
前記ガス流を並流か逆流にするかは、前記反応器の設計に依存する。
【0061】
前記反応器内で生成した余分な水を、前記反応器の下部、好ましくは前記包装材料の下方に配置された出口から排出することができる。
【0062】
本発明に係る方法では、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素をメタンに変換する間に前記反応器内で発生する熱を放出する冷却システムも備えていてもよい。例えば、前記反応器に供給される前記液体を使って、前記反応器を冷却する。
【0063】
本発明の一実施形態では、前記反応器内の温度を40℃~65℃の範囲にする必要がある。前記反応器を冷却することで前記反応器内の温度を当該温度に維持する。前記冷却には任意の適切な冷却システムを使用することができ、そして本発明においては、冷却システムの使用については特に制限されない。通常、前記反応器の冷却は前記反応器に供給される液体を使って行う。例えば、汚水を前記反応器の底部から前記反応器に再循環させて、前記反応器を冷却する場合、前記汚水を前記反応器に供給する前に冷却手段に通す。前記冷却手段とは、通常、熱交換器のことを言う。前記微生物はこの温度範囲で増殖するため、前記反応器内の温度は40℃~65℃の範囲に保つ必要がある。好ましくは、前記反応器内の温度は、前記微生物が増殖するのに最適な温度条件である45℃~60℃である。
【0064】
本発明に係る方法には、前記反応器に熱を供給する加熱システムも備えていてもよい。本方法を実施する時に、嫌気性消化装置の処理液を前記反応器に供給する。前記処理水には、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンと水に変換できる微生物が含まれている。しかし、微生物の成長が最適となるための条件として、前記反応器に熱を供給してその温度を40℃~65℃に上げる必要がある。前記加熱システムとしては任意の適切なものを使用することができ、本発明においては前記加熱システムの使用については特に限定されない。例えば、前記加熱は熱交換器を使用して行うことができる。本方法を実施すると、発熱プロセスがゆえに熱が発生するので、加熱の代わりに冷却が必要となる。
【0065】
熱帯気候の国では、前記反応器の断熱は不要であるが、温暖な気候や寒冷な気候の下では、前記反応器を断熱してもよい。
【0066】
本発明に係る方法の好ましい実施形態においては、前記冷却及び加熱システムは、冷却加熱複合システムである。
【0067】
本発明に係る方法には、前記液体のpHを安定化してpHを6.0~8.0に維持することも含まれる。前記微生物が増殖するための最適pHは、6.0~8.0の範囲である。pH安定化には、任意のpH調整剤を使用することができる。しかし、本発明の一実施形態では、pHを安定化するために、嫌気性消化装置からディキャント及び脱ガスされた処理液が供給される。
【0068】
本方法では、前記反応器内の圧力を200ミリバール未満の正圧にしておいて、前記反応器内が真空状態になるのを防ぐ。したがって、本発明に係る方法の一実施形態では、前記反応器内の圧力は200ミリバール以下である。
【0069】
したがって、本発明に係る方法により、例えば水の電気分解によって得られる一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素を、効率良くかつ生物学的にメタンに変換することができる。本発明の方法では、通常、常温(40~65℃)下、圧力をかけないで(200ミリバール未満)も実施できるという利点がある。しかし、本方法は、例えば2~10バールの範囲の圧力下で実施することもできる。したがって、本発明に係る方法では、圧力は特に限定されない。触媒プロセスでは、250~900℃の温度及び10~30バールの圧力条件を採用する。さらに、ガスとして、例えばバイオガスを使用する場合、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスから硫化水素を除去して使用するが、本発明に係る方法は前記硫化水素の影響は受けないので、通常、3000~5000ppmの硫化水素を含む「生」のバイオガスを使用することができる。しかし、本方法では硫化水素は必要ないので、本発明の方法を実施する前に、任意選択で一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含む前記ガスから硫化水素を除去しておいてもよい。
【0070】
本発明に係る方法により、バイオガス、排ガス、合成ガスなどのガス中のメタン含有量を増やすことができる。例えばバイオガスの場合、前記ガス中のメタン含有量は、通常50~60%のところ、95%超に増加する。したがって、嫌気性消化装置から得られるバイオガスの利用率は大幅に増加する。
【0071】
前記反応器中の液体を前記反応器から排出してもよく、一実施形態では、前記反応器から排出された前記液体を前記反応器に再循環し、工程d)において、前記包装材料の上方に、又は工程g)において前記洗浄の際に供給する。
【0072】
好ましい実施形態では、本発明に係る方法は嫌気性下、すなわち、本方法は嫌気性条件下で実行される。一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換できる微生物は、嫌気性条件下で順調に成長する。
【0073】
本発明に係る装置:
以下、
図1を参照し、特にその図に示されている参照番号を使って説明する。
図1は、ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換する、本発明に係る装置を示す概略図である。
【0074】
第2の態様において、本発明は、ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換する装置に関するものであり、以下の装置:
i)包装材料がポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群から選択され、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換することができる微生物が前記包装材料の表面で増殖しており、包装材料(2)を反応器(1)から取り外すことができる、前記包装材料(2)を含む前記反応器(1);
ii)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスを前記反応器(1)に供給する入口(3);
iii)前記反応器(1)に水素を含むガスを供給する入口(4);
iv)前記反応器(1)に液体を供給する入口(5);
v)前記反応器(1)の下部から前記包装材料の上方にある前記反応器(1)の上部に液体を循環させる手段(5A);
vi)一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素がメタンに変換されたガスを排出する出口(6);
vii)前記反応器(1)から液体を排出する出口(7)、及び
viii)入口(9)が前記包装材料(2)の下方に配置されている、前記反応器(1)に加圧空気を吹き込む前記入口(9)
を備える。
【0075】
図1に示すように、前記装置は、前記包装材料(2)を含む前記反応器(1)を備える。前記包装材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)からなる群から選択される。さらに、前記装置は、前記包装材料の表面で増殖する微生物を含むように構成されており、前記微生物は、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換することができる。前記反応器は、前記反応器に含まれるさまざまな成分に対して耐性のある材料で作られいてもよく、例えば、繊維強化プラスチック、ステンレス鋼、又はコーティングされた炭素鋼で作られる。
【0076】
本発明の装置の一態様では、前記包装材料(2)を前記反応器(1)から取り外すことができる。前記包装材料を前記反応器から取り外すことができると、前記タンクに液体を充填し、加圧空気を入口から前記反応器に吹き込むことにより、前記包装材料を持ち上げることができる。これにより、堆積したバイオスラッジを前記反応器から取り除くことができるので、前記包装材料の詰まりや圧縮を防ぐことができる。前記包装材料が詰まったり圧縮されたりすると、前記包装材料を通るガスや液体の流量が減る。
【0077】
前記加圧空気の吹き込み用の入口(9)には、前記加圧空気を吹き込む入口が2つ以上備えられていることが好ましい。
【0078】
加圧空気供給用の入口(9)は、2つ以上あって、それぞれ互いに離れた位置に備えられていることが好ましい。加圧空気用の入口をこのような構成にすることにより、前記加圧空気が、前記反応器の断面の全体にわたって前記反応器に供給されるので、前記包装材料を効率良く持ち上げて洗浄することができる。前記入口は、好ましくは、前記反応器の断面積10m2あたり1つとなるように互いに離れた位置に配置され、好ましくは、前記反応器の断面積7m2あたり1つとなるように互いに離れた位置に配置され、例えば、前記反応器の断面積5m2あたり1つとなるように互いに離れた位置に配置され、さらに好ましくは、前記反応器の断面積3m2あたり1つとなるように互いに離れた位置に配置され、最も好ましくは、前記反応器の断面積2m2あたり1つとなるように互いに離れた位置に配置される。
【0079】
前記装置は、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガスを前記反応器(1)に供給する入口(3)と、水素を含むガスを前記反応器(1)に供給する入口(4)とを備える。
図1では、ガス供給用の前記入口(3)及び(4)は、前記反応器(1)の上部、前記包装材料(2)の上方に配置されている。本発明の本実施形態では、前記ガスは前記包装材料を通り、ガス流は並流、すなわち前記液体の流れと同じ方向に向かって流れ、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素がメタンに変換されたガスを排出する前記出口(6)は、前記反応器(1)の下部に配置されている。しかし、前記ガス供給用の入口(3)及び(4)を、前記包装材料(2)の下方にある前記反応器(1)の下部に配置してもよい。本発明のこのような実施形態では、前記ガスは前記包装材料(2)を通り、ガス流は逆流、すなわち前記液体の流れと反対方向に向かって流れる。前記ガスが逆流で流れる場合、前記出口(6)は、前記反応器(1)の上部、前記包装材料(2)の上方に配置される。
【0080】
図1では、前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガス並びに前記水素を含むガスは、前記反応器に供給される前に混合される。しかしながら、これに代わる本発明の実施形態では、前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を含むガス並びに前記水素を含むガスを、前記反応器に別々に供給してもよい。
【0081】
前記ガスの入口には、前記反応器(1)に前記ガスを導くブロワー(図示せず)が設けられてもよい。前記ガスの圧力が前記反応器内の圧力よりも高い場合、前記ブロワーを、前記反応器への前記ガスの流量を制御する制御弁(図示せず)に置き換えてもよい。前記ガスを前記反応器に導く際、前記一酸化炭素及び二酸化炭素を含むガス並びに前記水素を含むガスの量を制御することができるようにする必要がある際に、前記ブロワーと前記制御弁とを組み合わせて使う方がより好ましいことがある。さらに、流量の調整に関して、上記にて開示の手段を適用してもよい。
【0082】
本明細書で示されるように、本発明は、前記反応器(1)内にある前記包装材料(2)の表面で増殖する微生物も含む。前記微生物は、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタン及び水に変換することができる任意の微生物である。前記微生物は、先に開示されたように、好ましくはメタン生成微生物であり、例えば、本発明の方法において言及された前述の微生物のいずれかであってもよい。
【0083】
前記装置はさらに、前記反応器に液体を供給する入口(5)を含む。前記入口(5)には、1つ又は複数の入口があってもよい。前記液体を供給する入口(5)は、好ましくは、前記反応器(1)の下部に配置される。前記装置はさらに、手段(5A)として、液体を、前記反応器(1)の下部から前記包装材料(2)の上方にある前記反応器(1)の上部に循環させる手段を備え、前記液体の流れは前記包装材料を通って導かれる。これにより、前記微生物の増殖に必要な水気が提供される。
図1に示す本発明の実施形態では、前記入口(5)は前記反応器(1)の下部に位置し、そこで、前記包装材料を通って既に導かれた前記液体と混合され、混合後の液体は、再循環手段(5A)によって再循環されて、そして前記包装材料(2)の上方にある前記反応器(1)の上部にある反応器内に供給される。したがって、前記反応器は、前記反応器(1)の下部から前記反応器(1)の上部へと液体を循環手させる前記循環手段(5A)を備える。前記再循環された液体は、通常、前記液体を前記反応器に供給する前に、前記液体を冷却する冷却手段、例えば熱交換器を通過させる。したがって、一実施形態では、前記装置は、前記反応器に供給される前記液体を冷却する手段も備える。
【0084】
別の実施形態(図示せず)では、前記液体の入口(5)は、前記反応器(1)の上部に接続されたバルブを設ける位置とすることができる。
【0085】
本発明のさらなる実施形態では、前記反応器(1)は、前記液体を前記反応器に散布する散布手段(8)を備える。前記散布手段は、前記液体を再循環する手段(5A)に接続することが好ましい。さらに、前記散布手段(8)には、前記反応器に散布される液体の流量を制御する制御手段が備えられていてもよい。前記反応器に供給される液体の流量としては、好ましくは、前記反応器の断面積あたり0.5~2.5m3/m2の範囲であり、より好ましくは、1.0~2.0m3/m2の量である。
【0086】
前記装置は、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素がメタンに変換された前記ガスを排出する出口(6)も備える。このガスはメタンガス又はバイオメタンガスとも呼ばれる。前記一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素を含むガスは、前記反応器内でメタンに変換され、得られた生成バイオメタンガスは前記出口(6)を通じて前記反応器から排出される。
【0087】
さらに、前記装置は、好ましくは、前記反応器(1)から液体を排出する出口(7)を備える。一酸化炭素及び水素並びに/又は二酸化炭素及び水素がメタンに変換されると、水が形成される。したがって、前記反応器内の水分含有量が増加する場合があり、その場合には対応したいくつかの液体を排出しなければならないであろう。
【0088】
ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換する前記装置が起動すると、例えば、メタン生成微生物を含む嫌気性消化装置の処理液を供給すると同時に、微生物が前記反応器に導入される。加熱により前記反応器内の温度を上昇させ、前記微生物が成長するのに最適な温度、すなわち、前記反応器内の温度が40~70℃の範囲になるようにする。前記装置において、ガス中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換する準備を行えば、変換後に熱が発生するため、加熱はもはや必要ではない。その代わりに、前記反応器の温度を40℃~70℃の範囲に保つために、前記反応器を冷却する必要はある。
【0089】
本発明の一実施形態では、前記反応器(1)には、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素並びに水素をメタンに変換する間に、前記反応器内で発生した熱を放出する冷却システムが備わる。
【0090】
本発明の別の実施形態では、前記反応器(1)には、前記装置の始動時に前記反応器に熱を供給する加熱システムが備わる。前記冷却及び加熱システムは、冷却加熱複合システムであってもよい。
【0091】
前記冷却及び/又は加熱システムは、前記反応器内の温度を40℃~70℃の範囲に維持するのに設けられる。当該温度は、微生物の成長に最適な温度である。
【0092】
本発明の態様のうち、一文脈中に記載された実施形態及び特徴は、本発明の他の態様にも適用されることに留意されたい。例えば、本発明の方法に関連して説明された実施形態は、本発明の装置にも適用される。
【0093】
本発明を、以下の非限定的な実施例でさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0094】
実施例1:
1)ポリウレタンフォーム、2)ポリエチレン、3)ポリプロピレンを包装材料として圧縮する例を示す。
【0095】
高さ46cmの各包装材料サンプルを、内径100mmのパイプに入れた。温度は30℃であった。各パイプに1.9kgの荷重を加え、表面にかかる重量が240kg/m2となるようなシミュレーションを行った。これは、本発明の方法及び装置にて使用する前記包装材料上の液体及びバイオフィルムにかかる重量をシミュレーションするためのものである。240kg/m2の荷重は中程度の荷重の典型的なものであると考えられる。各パイプに荷重を加えた後、前記包装材料の高さを再度測定し、前記包装材料がどの程度圧縮されたかを確認した。
【0096】
以下の表1に、重量負荷前後の様々な包装材料の高さを示す。
【表1】
【0097】
上記のように、ポリウレタンを前記包装材料として使用した場合、この典型的中程度の負荷にもかかわらず、包装材料は約28%圧縮される。したがって、ポリウレタンフォームは、本発明に係る方法及び装置における包装材料としては不適切である。逆に、ポリエチレン又はポリプロピレンは、240kg/m2の負荷が加えられても圧縮されない。
【0098】
例2:
1)ポリエチレン及び2)ポリプロピレンを包装材料として使用し、より高い負荷をかけた例において、それぞれの圧縮される程度の違いを調べた。
【0099】
各包装材料サンプルを、内径100mmのパイプに入れた。温度は32℃であった。各パイプに48kgの負荷を加えて、本発明で使用される高さ10mの包装材料の下部にかかると予想される最大荷重が表面あたり6000kg/m2となるようなシミュレーションを行った。前述のような高負荷を加えた理由は、前記包装材料の表面に湿ったバイオスラッジが堆積した場合に、それに相当する負荷が包装材料にかかると想定されるからである。
【0100】
以下の表2に、重量負荷前と負荷後の様々な包装材料の高さを示す。
【表2】
【0101】
上記したように、48kgの荷重をかけることによって、前記ポリエチレン製の包装材料は19mm圧縮された(4.19%に相当)。対照的に、前記ポリプロピレン製の包装材料は、この非常に高い荷重下でも7mmしか圧縮されなかった(1.54%に相当)。
【0102】
上記の試験結果から、ポリプロピレンとポリエチレンの両方を前記包装材料として使用した場合、前記包装材料が圧縮されたことがわかる。最も高い圧縮率を示したのは、ポリエチレンを前記包装材料として使用した場合であった。
【0103】
以上のことから、前記包装材料はメタン化プロセス中に圧縮される。前記包装材料が詰まって前記変換効率が低下するのを回避するためには、本発明に係る効率良い洗浄と減圧が必要である。
【国際調査報告】