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特表2025-504725半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料及び製造方法
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  • 特表-半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料及び製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/852 20230101AFI20250212BHJP
   H10N 10/856 20230101ALI20250212BHJP
   H10N 10/857 20230101ALI20250212BHJP
   H10N 10/01 20230101ALI20250212BHJP
【FI】
H10N10/852
H10N10/856
H10N10/857
H10N10/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530293
(86)(22)【出願日】2023-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 CN2023089102
(87)【国際公開番号】W WO2024148702
(87)【国際公開日】2024-07-18
(31)【優先権主張番号】202310039639.X
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523070263
【氏名又は名称】江蘇上達半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】Jiang Su Leader-Tech Semiconductor Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100130993
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 弘揮
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼彬
(72)【発明者】
【氏名】王健
(72)【発明者】
【氏名】▲陸▼文
(57)【要約】
本発明では、銀スルフィドナノ粒子と、前記銀スルフィドナノ粒子の周りに被覆されるポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンとを含む、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料において、前記銀スルフィドナノ粒子の化学式はAgTeS(式中、x=3.9~4.1)である、熱電材料の技術分野における半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料及び製造方法が開示されている。本発明において、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンは非局在化π結合を有するので、一定の導電能力を有し、有機重合体半導体として用いることができる。製造された銀スルフィドナノ粒子は良い熱電性能を有し、電気伝導率と熱伝導率が相乗効果を達成することで、熱電変換効率を向上させる効果が実現される。ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンの有機骨格に銀スルフィドナノ粒子を入れて、構造がコンパクトとなることで、電子移動率が向上する。本発明のフレキシブル熱電材料は、高い電気伝導率とゼーベック係数を有することで、該材料の出力係数が向上する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀スルフィドナノ粒子と、前記銀スルフィドナノ粒子の周りに被覆されるポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンとを含む、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料において、前記銀スルフィドナノ粒子の化学式はAgTeS(式中、x=3.9~4.1)であることを特徴とする、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料。
【請求項2】
前記銀スルフィドナノ粒子の化学式はAgTeS(式中、x=3.95~4.0)であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料。
【請求項3】
前記銀スルフィドナノ粒子とポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンは質量比2:3で調製されることを特徴とする、請求項2に記載の半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料。
【請求項4】
前記銀スルフィドナノ粒子の製造過程は、Ag、Te、S単体を秤量するステップ1と、
前記ステップ1で秤量された単体はマッフル炉で溶融しアニールされるステップ2と、
前記ステップ2でアニールされた生成物をボールミリングし、前記銀スルフィドナノ粒子を得るステップ3とを含むことを特徴とする、請求項3に記載の半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料。
【請求項5】
前記ステップ1において、Ag、Te、S単体に必要な質量の計算式は、
【数1】
(式中、mは質量であり、Nはアボガドロ定数であり、Vは単位セル体積であり、dは直径であり、hは厚さである)であることを特徴とする、請求項4に記載の半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料。
【請求項6】
前記ステップ2で溶融温度は900~1000℃であり、溶融時間は24~48時間であることを特徴とする、請求項5に記載の半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料。
【請求項7】
前記ステップ2でアニール温度は500~600℃であり、アニール時間は1~2時間であることを特徴とする、請求項6に記載の半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料。
【請求項8】
前記ステップ3でボールミリング回転速度は200~300r/minであり、ボールミリング時間は30~60分間であることを特徴とする、請求項7に記載の半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料。
【請求項9】
前記ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンの純度は98%であることを特徴とする、請求項8に記載の半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料。
【請求項10】
前記請求項3で製造された銀スルフィドナノ粒子とポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンを質量比で20mLイソプロピルアルコールによく混合し反応させるステップ1と、
前記ステップ1で反応した生成物を乾燥箱に入れて70℃で60分間乾燥すればよいステップ2と、
前記ステップ2の生成物を金型に入れて、厚さが1~2mmであるように、室温で圧片処理するステップ3と、
前記ステップ3の生成物を火花放電プラズマ焼結システムに置き、焼結温度400~500℃で焼結した後、室温まで自然に冷却し、前記フレキシブル熱電材料を得るステップ4とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱電材料の技術分野に属し、詳しくは、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電材料は固体内部のキャリア運動により、熱エネルギーと電気エネルギーが直接互いに変換されることを実現する機能材料であり、1823年に発見されたゼーベック効果と1834年に発見されたペルチェ効果は、熱電エネルギー変換器と熱電冷却の応用に理論的基礎を与えた。フレキシブル熱電材料は大きく導電重合体、導電重合体と無機半導体充填剤の複合材、無機半導体薄膜の3種類に分けられる。
【0003】
世界的な工業化の歩みが速まるにつれて、グローバル的なエネルギー不足及び枯渇は各国の無視できない問題となっており、社会の長期的で安定的な発展を厳しく制約しており、新エネルギーの研究と開発はグローバル的なエネルギー発展の傾向となっている。従って、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料及び製造方法の研究開発は重要な意義を有するが、従来のフレキシブル熱電材料及びその製造方法は以下のデメリットがある。
国内のフレキシブル熱電材料の研究は立ち遅れており、欧米の先進国に比べ、依然として大きな差がある。フレキシブル熱電材料の発展に伴い、フレキシブル熱電材料の熱電変換効率は依然として低く、フレキシブル熱電材料の熱電変換効率の向上が急がれている。従来技術で製造されたフレキシブル熱電材料の電気伝達性能に劣り、早急に適切なフレキシブル熱電材料を探索して導電性能を向上しなければならない。現在製造されたフレキシブル熱電材料はコストが高く、製造方法が複雑であり、市場価値が低い。
【発明の概要】
【0004】
上記の状況について、従来技術のデメリットを克服するために、本発明は、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料及び製造方法を提供する。従来のフレキシブル熱電材料は電気伝達性能に劣り、熱電変換効率が低いという問題を解決するために、本発明は、銀スルフィドナノ粒子と、前記銀スルフィドナノ粒子の周りに被覆されるポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンとを製造する。ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンは非局在化π結合を有するので、一定の導電能力を有し、有機重合体半導体として用いることができる。製造された銀スルフィドナノ粒子そのものは良い熱電性能を有し、熱エネルギーと電気エネルギーが直接互いに変換され得、電気伝導率と熱伝導率が相乗効果を達成することで、熱電変換効率を向上させる効果が実現される。なかでも、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンの有機骨格に銀スルフィドナノ粒子を入れて、中空構造フレームに綿状構造が充填されて、構造がコンパクトとなることで、電子移動率が向上する。次に、本発明のフレキシブル熱電材料は高い電気伝導率とゼーベック係数を有することで、該材料の出力係数が向上し、最終的に優れた熱電性能を示させる。
【0005】
上記目的を実現するために、本発明が採用した技術的手段は下記の通りである。本発明は、銀スルフィドナノ粒子と、前記銀スルフィドナノ粒子の周りに被覆されるポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンとを含む、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料において、前記銀スルフィドナノ粒子の化学式はAgTeS(式中、x=3.9~4.1)である半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料を提供する。
【0006】
好ましくは、前記銀スルフィドナノ粒子の化学式はAgTeS(式中、x=3.95~4.0)である。
【0007】
さらに、前記銀スルフィドナノ粒子とポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンは質量比2:3で調製される。
【0008】
さらに、前記銀スルフィドナノ粒子の製造過程は、Ag、Te、S単体を秤量するステップ1と、
前記ステップ1で秤量された単体はマッフル炉で溶融しアニールされるステップ2と、
前記ステップ2でアニールされた生成物をボールミリングし、前記銀スルフィドナノ粒子を得るステップ3と、を含む。
【0009】
さらに、前記ステップ1において、Ag、Te、S単体に必要な質量の計算式は、
【数1】
(式中、mは質量であり、Nはアボガドロ定数であり、Vは単位セル体積であり、dは直径であり、hは厚さである)である。
【0010】
さらに、前記ステップ2で溶融温度は900~1000℃であり、溶融時間は24~48時間であり、前記ステップ2でアニール温度は500~600℃であり、アニール時間は1~2時間であり、前記ステップ3でボールミリング回転速度は200~300r/minであり、ボールミリング時間は30~60分間である。
【0011】
さらに、前記ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンの純度は98%である。
【0012】
本発明は、請求項3で製造された銀スルフィドナノ粒子とポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンを質量比で20mLイソプロピルアルコールによく混合し反応させるステップ1と、
前記ステップ1で反応した生成物を乾燥箱に入れて70℃で60分間乾燥すればよいステップ2と、
前記ステップ2の生成物を金型に入れて、厚さが1~2mmであるように、室温で圧片処理するステップ3と、
前記ステップ3の生成物を火花放電プラズマ焼結システムに置き、焼結温度400~500℃で焼結した後、室温まで自然に冷却し、前記フレキシブル熱電材料を得るステップ4と、を含む半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料の製造方法をさらに提出する。
【0013】
上記方法により本発明が取得した効果は下記の通りである。
(1)本発明は、銀スルフィドナノ粒子と、前記銀スルフィドナノ粒子の周りに被覆されるポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンとを製造する。ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンは非局在化π結合を有するので、一定の導電能力を有し、有機重合体半導体として用いることができる。
(2)製造された銀スルフィドナノ粒子そのものは良い熱電性能を有し、熱エネルギーと電気エネルギーが直接互いに変換され得、電気伝導率と熱伝導率が相乗効果を達成することで、熱電変換効率を向上させる効果が実現される。
(3)なかでも、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンの有機骨格に銀スルフィドナノ粒子を入れて、中空構造フレームに綿状構造が充填されて、構造がコンパクトとなることで、電子移動率が向上する。
(4)次に、本発明のフレキシブル熱電材料は高い電気伝導率とゼーベック係数を有することで、該材料の出力係数が向上し、最終的に優れた熱電性能を示させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明における実施例3で製造された半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料の走査型電子顕微鏡図である。
【0015】
図面は本発明をさらに理解するために提供されたものであり、かつ明細書の一部を構成して、本発明の実施例とともに本発明を説明することに用いられ、本発明を制限するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施例中の図面を参照しながら、本発明の実施例中の技術的手段を明確で完全に説明する。明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明中の実施例に基づき、当業者であれば、創造的な工夫をせずに得られた全ての他の実施例は、全て本発明の保護範囲に属する。
【0017】
本発明の実施例において、原料又は処理技術は、特記しない限り、全て本分野で市販されている通常の原料又は通常の処理技術であることを示している。
【0018】
実施例1
本発明は、銀スルフィドナノ粒子と、銀スルフィドナノ粒子の周りに被覆されるポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンとを含む、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料を提供する。銀スルフィドナノ粒子の化学式はAgTeS(式中、x=3.95)であり、即ち、Ag3.95TeSである。
【0019】
なかでも、銀スルフィドナノ粒子とポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンは質量比2:3で調製された。
【0020】
なかでも、銀スルフィドナノ粒子の製造過程は、Ag、Te、S単体を秤量するステップ1と、
ステップ1で秤量された単体はマッフル炉で溶融しアニールされるステップ2と、
ステップ2でアニールされた生成物をボールミリングし、銀スルフィドナノ粒子を得るステップ3と、を含む。
【0021】
なかでも、ステップ1において、Ag、Te、S単体に必要な質量の計算式は、
【数1】
(式中、mは質量であり、Nはアボガドロ定数であり、Vは単位セル体積であり、dは直径であり、hは厚さである)である。
【0022】
なかでも、Agを50g秤量し、Teを11g秤量し、Sを2g秤量した。
【0023】
なかでも、ステップ2で溶融温度は900℃であり、溶融時間は24時間であり、アニール温度は500℃であり、アニール時間は1時間であり、ステップ3でボールミリング回転速度は200r/minであり、ボールミリング時間は30分間であった。
【0024】
なかでも、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンの純度は98%であった。
【0025】
本発明は、請求項3で製造された銀スルフィドナノ粒子とポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンを質量比で20mLイソプロピルアルコールによく混合し反応させるステップ1と、
ステップ1で反応した生成物を乾燥箱に入れて70℃で60分間乾燥すればよいステップ2と、
ステップ2の生成物を金型に入れて、厚さが1~2mmであるように、室温で圧片処理するステップ3と、
ステップ3の生成物を火花放電プラズマ焼結システムに置き、焼結温度500℃で焼結した後、室温まで自然に冷却し、フレキシブル熱電材料を得るステップ4とを含む、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料の製造方法をさらに提出する。
【0026】
実施例2
本発明は、銀スルフィドナノ粒子と、銀スルフィドナノ粒子の周りに被覆されるポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンとを含む、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料を提供する。銀スルフィドナノ粒子の化学式はAgTeS(式中、x=3.97)であり、即ち、Ag3.97TeSである。
【0027】
なかでも、銀スルフィドナノ粒子とポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンは質量比2:3で調製された。
【0028】
なかでも、銀スルフィドナノ粒子の製造過程は、Ag、Te、S単体を秤量するステップ1と、
ステップ1で秤量された単体はマッフル炉で溶融しアニールされるステップ2と、
ステップ2でアニールされた生成物をボールミリングし、銀スルフィドナノ粒子を得るステップ3と、を含む。
【0029】
なかでも、ステップ1において、Ag、Te、S単体に必要な質量の計算式は、
【数1】
(式中、mは質量であり、Nはアボガドロ定数であり、Vは単位セル体積であり、dは直径であり、hは厚さである)である。
【0030】
なかでも、Agを50.2g秤量し、Teを11g秤量し、Sを1.9g秤量した。
【0031】
なかでも、ステップ2で溶融温度は940℃であり、溶融時間は36時間であり、アニール温度は530℃であり、アニール時間は1.4時間であり、ステップ3でボールミリング回転速度は240r/minであり、ボールミリング時間は40分間であった。
【0032】
なかでも、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンの純度は98%であった。
【0033】
なかでも、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料の製造方法は実施例1を参照する。
【0034】
実施例3
本発明は、銀スルフィドナノ粒子と、銀スルフィドナノ粒子の周りに被覆されるポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンとを含む、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料を提供する。銀スルフィドナノ粒子の化学式はAgTeS(式中、x=3.99)であり、即ち、Ag3.99TeSである。
【0035】
なかでも、銀スルフィドナノ粒子とポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンは質量比2:3で調製された。
【0036】
なかでも、銀スルフィドナノ粒子の製造過程は、Ag、Te、S単体を秤量するステップ1と、
ステップ1で秤量された単体はマッフル炉で溶融しアニールされるステップ2と、
ステップ2でアニールされた生成物をボールミリングし、銀スルフィドナノ粒子を得るステップ3と、を含む。
【0037】
なかでも、ステップ1において、Ag、Te、S単体に必要な質量の計算式は、
【数1】
(式中、mは質量であり、Nはアボガドロ定数であり、Vは単位セル体積であり、dは直径であり、hは厚さである)である。
【0038】
なかでも、Agを50.3g秤量し、Teを10.9g秤量し、Sを2g秤量した。
【0039】
なかでも、ステップ2で溶融温度は970℃であり、溶融時間は41時間であり、アニール温度は560℃であり、アニール時間は1.7時間であり、ステップ3でボールミリング回転速度は270r/minであり、ボールミリング時間は50分間であった。
【0040】
なかでも、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンの純度は98%であった。
【0041】
なかでも、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料の製造方法は実施例1を参照する。
【0042】
実施例4
本発明は、銀スルフィドナノ粒子と、銀スルフィドナノ粒子の周りに被覆されるポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンとを含む、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料を提供する。銀スルフィドナノ粒子の化学式はAgTeS(式中、x=4.0)であり、即ち、AgTeSである。
【0043】
なかでも、銀スルフィドナノ粒子とポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンは質量比2:3で調製された。
【0044】
なかでも、銀スルフィドナノ粒子の製造過程は、Ag、Te、S単体を秤量するステップ1と、
ステップ1で秤量された単体はマッフル炉で溶融しアニールされるステップ2と、
ステップ2でアニールされた生成物をボールミリングし、銀スルフィドナノ粒子を得るステップ3と、を含む。
【0045】
なかでも、ステップ1において、Ag、Te、S単体に必要な質量の計算式は、
【数1】
(式中、mは質量であり、Nはアボガドロ定数であり、Vは単位セル体積であり、dは直径であり、hは厚さである)である。
【0046】
なかでも、Agを50.3g秤量し、Teを10.8g秤量し、Sを2.1g秤量した。
【0047】
なかでも、ステップ2で溶融温度は1000℃であり、溶融時間は48時間であり、アニール温度は600℃であり、アニール時間は2時間であり、ステップ3でボールミリング回転速度は300r/minであり、ボールミリング時間は60分間であった。
【0048】
なかでも、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンの純度は98%であった。
【0049】
なかでも、半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料の製造方法は実施例1を参照する。
【0050】
性能測定
SBA458を用いて電気伝導率とゼーベック係数を測定し、流動アルゴンガス(150ml/min)雰囲気で測定した。サンプルの厚さは2mmであり、サンプルの直径は12.7mmであった。
【0051】
表1 半導体デバイスに用いられるフレキシブル熱電材料の性能
【表1】
図1及び表1に示すように、本発明により提供されるフレキシブル熱電材料の製造方法により、本発明の実施例3において、フレキシブル熱電材料のゼーベック係数、電気伝導率及び出力係数は顕著に他の実施例よりも高く、ゼーベック係数は16.4μV/Kに達し、電気伝導率は798.0S/cmに達し、出力係数は18.3μV/mKに達した。これにより、導入された材料は一定の数の範囲にあることが必要であり、導入された量が多すぎるか、又は少なすぎる場合、いずれも性能に影響を与えることが分かった。従って、フレキシブル熱電材料の総合的な影響を考えて、本発明のフレキシブル熱電材料の電気伝導率と熱伝導率は相乗効果を実現することで、熱電変換効率が向上し、優れた熱電性能を有する。
【0052】
本発明の実施形態を開示説明したが、当業者は、本発明の原理及び趣旨を逸脱することなく、これらの実施形態について、種々の変更、修飾、置換及び変形を行うことができ、本発明の範囲が特許請求の範囲及びその等価物によって限定されることが自明である。
【0053】
以上、本発明及びその実施態様を説明したが、このような説明は制限性を有せず、図面に示すのも本発明の実施態様の1つに過ぎず、実際の応用はこれに限られるものではない。つまり、当業者がその示唆を受け、本発明の創造の旨を逸脱することなく、創造性なしで設計した該技術的手段と同様な構造方式及び実施例は、すべて本発明の保護範囲に属すべきである。
図1
【国際調査報告】