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特表2025-504750アペリン作動性マクロサイクルおよびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】アペリン作動性マクロサイクルおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/50 20060101AFI20250212BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20250212BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
C07K7/50 ZNA
A61P9/00
A61K38/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536131
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 CA2022051838
(87)【国際公開番号】W WO2023108291
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,394
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524226667
【氏名又は名称】ソクプラ シオンス サンテ エ ユーメンヌ エス.ウー.セー.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サレ, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブロー, ピエール-リュック
(72)【発明者】
【氏名】ミュルザ, アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】トラン, キエン
(72)【発明者】
【氏名】マルソー, エリック
(72)【発明者】
【氏名】ロンプレ, ジャン-ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】コテ, ジェロム
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA09
4C084BA18
4C084BA23
4C084BA25
4C084NA14
4C084ZA36
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA15
4H045BA16
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
アペリン作動性マクロサイクル化合物が提供される。特に、式(II):
の化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物が提供される。有効量の化合物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における心血管疾患を治療するための、本開示のアペリン作動性マクロサイクル化合物を使用する方法もまた、提供される。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物であって、
【化18】
式中、
は、存在しないか、またはX-Xであり、
は、-(CH)q-CHもしくは-(CF)q-CF、qは、0~11である、天然のアミノ酸、合成のアミノ酸、その側鎖は、Hである、-(C1-C12)アルキル、-(CF)q-CF、式中、qは、0~11である、-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、式中、pは、0~5である、であり、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、前記アルキル、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSであり、
は、存在しないか、または天然もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSであり、
Yは、存在しないか、NH-、Ac-NH-、グアニジン、またはHであり、
Aは、-(CH)n-、-(CH)nNH=C(NH)N-CH-CH=CH-(好ましくは、アリル-グリシンまたはNα-アリル-アルギニン)、式中、nは、2、3または4である、または-CH=CH-(CH)m-、式中、mは、0、1または2である、であり、
Bは、存在しないか、または
【化19】
式中、Rは、O、P、m-アルキル、ハロゲンまたはニトロであり、nは、1、2、または3である、
【化20】
式中、Rは、H、C3-C7アルキル、ベンジルまたはアリールアルキルであり、nは、1、2または3である、
【化21】
式中、nは、1、2、3または4であり、mは、0または1である、あるいは
【化22】
式中、Xは、CHまたはNである、であり、
およびXは、それぞれ独立して、存在しないか、または天然もしくは合成のアミノ酸であり、その前記側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中の前記ヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSであり、
は、正に荷電または荷電していない側鎖を有する天然または非天然のアミノ酸であり、
は、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)であり、
は、X10-X11-X12であり、式中、
10は、任意の天然のアミノ酸、または合成のアミノ酸であり、その前記側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換されており、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、p’は、0~5である、であり、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中の前記ヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである)。特定の実施形態では、X10は、アミノ酸であり、その前記側鎖は、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、または-(CH)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、であり、前記アリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリールと任意選択的に融合され、前記アリールは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、pは、0~5である、である。特定の実施形態では、それは、Alaではない。より具体的な実施形態では、X10は、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニン、Phe、Tic((S)-N-Fmoc-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)、Tyr、1Nal、2Nal、TyrOBn、cypTyr(OBn)、dcypTyr(OBn)、cypTyr(OCyp)、cypTyr(OPr)、D-1Nal、D-2Nal、D-TyrOBn、またはD-Tyrであり、
11は、存在しないか、またはGly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypもしくはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、それは、存在しないか、またはProであり、
12は、存在しないか、またはPheである、化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項2】
- XおよびXが、それぞれ独立して、アミノ酸であり、その前記側鎖が、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、もしくは-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジン、もしくは-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、であり、および/または
- X10が、アミノ酸であり、その前記側鎖が、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、または-(CH)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、であり、前記アリールが、一つまたは二つの(C3-C8)アリールと任意選択的に融合され、前記アリールが、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基が、独立して、-OH、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、p’は、0~5である、である、請求項1に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項3】
- XおよびXが、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、His、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)もしくはアルファ-メチルフェニルアラニンであり、
- Xが、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)であり、
- Xが、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypもしくはHyp(OBn)であり、および/または
- X10が、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニン、Phe、Tic((S)-N-Fmoc-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)、Tyr、1Nal、2Nal、TyrOBn、cypTyr(OBn)、dcypTyr(OBn)、cypTyr(OCyp)、cypTyr(OPr)、D-1Nal、D-2Nal、D-TyrOBn、もしくはD-Tyrである、請求項1に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項4】
- XおよびXが、それぞれ独立して、Lys、Arg、hArg、Nle、Leu、Phe、もしくはChaであり、
- Xが、Glyであり、および/または
- Xが、Proである、請求項3記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項5】
- Xが、存在せず、
- Yが、NH、Ac-NH-、グアニジン、もしくはHであり、
- Aが、-CH=CH-(CH)m-、式中、mは、0、1または2である、であり、
- Bが、存在せず、
【化23】
Rが、O、P、m-アルキル、ハロゲンもしくはニトロであり、nが、1、2、もしくは3であり、
【化24】
が、CHもしくはNであり、および/または
- X10が、アミノ酸であり、その前記側鎖が、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、または-(CH)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、であり、前記アリールが、一つまたは二つの(C3-C8)アリールと任意選択的に融合され、前記アリールが、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基が、独立して、-OH、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、p’は、0~5である、である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項6】
10が、NleもしくはD-1Nalである、請求項5に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項7】
- Xが、X~Xであり、および/または
- Yが、存在しない、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項8】
- Xが、X-Xであり、Xが、アミノ酸であり、その前記側鎖が、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、もしくは-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジン、もしくは-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、である、請求項7に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項9】
- Aが、-(CH)n-または-CH=CH-(CH)m-、式中、mは、0、1または2である、である、請求項7または8に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項10】
式(I)~(VIII)のいずれか一つの化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項11】
化合物3~4、9~29、35~46、62~70、72~79、84、および89~94のいずれか一つ、好ましくは、化合物11、13、15~16、18~20、および42~44のいずれか一つである、請求項10に記載の化合物:
【表5-1】
【表5-2】
式中、Xは、アリルグリシン、dXは、D-アリルグリシンを表し、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項12】
化合物13~25、27~29、35~37および42~45のいずれか一つである、請求項11に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、立体異性体、混合物、薬学的に許容される塩、エステルまたは溶媒和物、および少なくとも一つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項14】
それを必要とする対象における心血管疾患を治療するための、式(I)~(IV)のいずれか一つの化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物を使用する方法であって、有効量の前記化合物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項15】
前記化合物が、請求項10において定義された化合物3~4、9~29、および35~46のいずれか一つ、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、請求項1~8のいずれか一項において定義された式(II)の化合物である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、請求項10において定義された化合物13~25、27~29、35、36~37および42~45のいずれか一つ、好ましくは、化合物13、15~16、18~20、23および42~44のいずれか一つ、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、化合物42もしくは43、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年12月15日に出願されたPCT出願番号第PCT/CA2022/05であり、PCT第21条(2)に基づき英語で公開されており、それ自体が、2021年12月16日に出願された米国仮出願番号第63/290,394号の利益を主張する。上記のすべての文書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府が後援する研究または開発に関する声明
該当なし
本開示は、アペリン作動性マクロサイクルおよびその使用に関する。より具体的には、本開示は、アペリン-13、アペリン-17、およびエラベラに由来するアペリン作動性マクロサイクルに関する。
【0003】
配列表の参照
37 C.F.R.1.821(c)に従い、配列表は、2022年12月15日に作成され、80キロバイトのサイズを有するG14692-0087.xmlという名前のASCII準拠のテキストファイルとして提出される。G14692-0087.xmlと名付けられた前述のファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
APJ受容体は、心血管系および代謝活性の調節因子である。二つの内因性リガンドであるアペリンおよびエラベラは、APJ受容体にナノモルのオーダーの親和性で結合し、心収縮を刺激し、末梢血管疾患に対する抵抗性、内皮細胞の増殖および新しい血管の形成を低下させる。それらの保護効果は、心筋虚血、脳虚血、糖尿病、肺動脈高血圧、敗血症、および神経障害性疼痛の病理モデルで実証されている。しかしながら、これらの内因性ペプチドは、血漿安定性が乏しく、これが、その使用を制限する。研究の大部分は、アペリンおよびエラベラが、治療有効性を維持するための持続点滴によって投与されなければならないことを示す。
【0005】
アドレナリン作動薬類似体は、敗血症に関連する心機能不全の標準的な処置として使用される。しかしながら、それらは、必ずしも有効ではなく、心筋または末梢虚血などの複数の副作用を引き起こす。処置に対する抵抗性は、肺動脈高血圧の再発の問題である。利用可能な薬物が、様々な有効性を示し、この疾患の予後は、依然として不良である。用量漸増および副作用を避けるためには、オピオイド以外の疼痛緩和剤も必要である。
【0006】
改良されたアペリン作動性類似体のニーズがある。
【0007】
本説明は、多数の文書を参照し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、アペリン13、アペリン17、およびエラベラ(アペリン作動性マクロサイクル)の新規マクロサイクル類似体を提供する。マクロサイクル化をアペリンアイソフォームおよびエラベルに適用し、安定性が有意に改善された分子(アペリン-13およびエラベル24~30分の血漿半減期と比較して、5時間~24時間の血漿半減期)を得た。親和性は、放射標識リガンド(Nle75、Tyr77)[125I]]-Pyr-アペリン13の置換によって測定され、これは、一部のマクロサイクルペプチドが、アペリン(Ki0.2~5.7nM)と同様の、APJに対する親和性を示すことを示す。
【0009】
特定の実施形態では、本開示のマクロサイクル類似体は、受容体との良好な親和性を維持しながら(Ki0.8~5nM対アペリン-13、Ki0.8nM)、サイズが低減している(アペリン-13に対して分子量が33%減少)。
【0010】
特定の実施形態では、マクロサイクルアペリン作動性類似体は、内因性リガンドに匹敵する心血管効果を生じる。
【0011】
より具体的には、本開示により、以下の項目および項目‘が提供される。
【0012】
項目1.
式(I)~(VIII)のいずれか一つの化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0013】
項目2.
表I~IIIの化合物3~4、9~29、35~46、62~70、72~79、84、および89~94のうちのいずれか一つである、項目1の化合物。
【0014】
項目3.
項目1または2の化合物、立体異性体、混合物、薬学的に許容される塩、エステルまたは溶媒和物、および少なくとも一つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【0015】
項目4.
有効量の化合物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における心血管疾患を処置するための、式(I)~(IV)のいずれか一つの化合物を使用する方法。
【0016】
項目5.
化合物が、化合物3~4、9~29、および35~46のうちのいずれか一つである、項目4の方法。
【0017】
項目6.
化合物が、化合物42または43である、項目5の方法。
【0018】
項目‘1.
式(II)の化合物であって、
(II)
式中、
X1は、存在しないか、またはX7-X8であり、
X7は、-(CH2)q-CH3もしくは-(CF2)q-CF3、qは、0~11である、天然のアミノ酸、合成のアミノ酸、その側鎖は、Hである、-(C1-C12)アルキル、-(CF2)q-CF3、式中、qは、0~11である、-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH2)p-(C3-C8)アリール、-(CH2)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH2)p-(C3-C8)シクロアルキル、または-(CH2)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、アルキル、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH2)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH2)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSであり、
X8は、存在しないか、または天然もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH2-(CH2)p-NH2、-CH2-(CH2)p-グアニジン、-(CH2)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH2)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH2)p-(C3-C8)アリール、または-(CH2)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSであり、
Yは、存在しないか、NH2-、Ac-NH-、グアニジン、またはHであり、
Aは、-(CH2)n-、-(CH2)nNH=C(NH2)N-CH2-CH=CH-(好ましくは、アリル-グリシンまたはNα-アリル-アルギニン)式中、nは、2、3または4である、または-CH=CH-(CH2)m-、式中、mは、0、1または2である、であり、
Bは、存在しないか、または
Rは、O、P、m-アルキル、ハロゲンまたはニトロであり、nは、1、2、または3であるか、Rは、H、C3-C7アルキル、ベンジルまたはアリールアルキルであり、nは、1、2または3であり、nは、1、2、3または4であり、mは、0または1であるか、またはX9は、CHまたはNであり、
X2およびX3は、それぞれ独立して、存在しないか、または天然もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH2-(CH2)p-NH2、--CH2-(CH2)p-グアニジン、-(CH2)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH2)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH2)p-(C3-C8)アリール、または-(CH2)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSであり、
X4は、正に荷電または荷電していない側鎖を有する天然または非天然のアミノ酸であり、
X5は、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)であり、
X6は、X10-X11-X12であり、式中、
X10は、任意の天然のアミノ酸、または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH2)p-(C3-C8)アルキル、-(CH2)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH2)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH2)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH2)p-(C3-C8)アリール、-(CH2)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH2-(CH2)p-NH2、-CH2-(CH2)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換されており、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH2)p’-(C3-C8)アリール、-O-(CH2)p’-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、p’は、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである)。特定の実施形態では、X10は、アミノ酸であり、その側鎖は、-(CH2)p-(C3-C8)アルキル、または-(CH2)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、であり、アリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリールと任意選択的に融合され、アリールは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、O-(C1-C6)アルキル、-(CH2)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH2)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、pは、0~5である、である。特定の実施形態では、それは、Alaではない。より具体的な実施形態では、X10は、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニン、Phe、Tic((S)-N-Fmoc-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)、Tyr、1Nal、2Nal、TyrOBn、cypTyr(OBn)、dcypTyr(OBn)、cypTyr(OCyp)、cypTyr(OPr)、D-1Nal、D-2Nal、D-TyrOBn、またはD-Tyrであり、
X11は、存在しないか、またはGly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypもしくはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、それは、存在しないか、またはProであり、
X12は、存在しないか、またはPheである、化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0019】
項目‘2.
- X2およびX3が、それぞれ独立して、アミノ酸であり、その側鎖が、-CH2-(CH2)p-グアニジン、-CH2-(CH2)p-NH2、もしくは-(CH2)p-イミダゾール、好ましくは、-CH2-(CH2)p-グアニジン、もしくは-CH2-(CH2)p-NH2、式中、pは、0~4である、であり、および/または
- X10が、アミノ酸であり、その側鎖が、-(CH2)p-(C3-C8)アルキル、または-(CH2)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、であり、アリールが、一つまたは二つの(C3-C8)アリールと任意選択的に融合され、アリールが、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基が、独立して、-OH、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH2)p’-(C3-C8)アリール、-O-(CH2)p’-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、p’は、0~5である、である、項目‘1の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0020】
項目‘3.
- X2およびX3が、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、His、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)もしくはアルファ-メチルフェニルアラニンであり、
- X4が、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypもしくはHyp(OBn)であり、
- X5が、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypもしくはHyp(OBn)であり、および/または
- X10が、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニン、Phe、Tic((S)-N-Fmoc-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)、Tyr、1Nal、2Nal、TyrOBn、cypTyr(OBn)、dcypTyr(OBn)、cypTyr(OCyp)、cypTyr(OPr)、D-1Nal、D-2Nal、D-TyrOBn、もしくはD-Tyrである、項目‘1の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0021】
項目‘4.
- X2およびX3が、それぞれ独立して、Lys、Arg、hArg、Nle、Leu、Phe、もしくはChaであり、
- X4が、Glyであり、および/または
- X5が、Proである、項目‘3の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0022】
項目‘5.
- X1が、存在せず、
- Yが、NH2、Ac-NH-、グアニジン、もしくはHであり、
- Aが、-CH=CH-(CH2)m-、式中、mは、0、1または2である、であり、
- Bが、存在せず、Rが、O、P、m-アルキル、ハロゲンもしくはニトロであり、nが、1、2、もしくは3であり、X9が、CHもしくはNであり、および/または
- X10が、アミノ酸であり、その側鎖が、-(CH2)p-(C3-C8)アルキル、または-(CH2)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、であり、アリールが、一つまたは二つの(C3-C8)アリールと任意選択的に融合され、アリールが、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基が、独立して、-OH、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH2)p’-(C3-C8)アリール、-O-(CH2)p’-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、p’は、0~5である、である、項目‘1~4のいずれか一つの化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0023】
項目‘6.
X10が、NleもしくはD-1Nalである、項目‘5の化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0024】
2.
- X1が、X7-X8であり、および/または
- Yが、存在しない、項目‘1~4のいずれか一つの化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0025】
項目‘7.
- X1が、X7-X8であり、X8が、アミノ酸であり、その側鎖が、-CH2-(CH2)p-グアニジン、-CH2-(CH2)p-NH2、もしくは-(CH2)p-イミダゾール、好ましくは、-CH2-(CH2)p-グアニジン、もしくは-CH2-(CH2)p-NH2、式中、pは、0~4である、である、項目‘7の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0026】
項目‘8.
- Aが、-(CH2)n-または-CH=CH-(CH2)m-、式中、mは、0、1または2である、である、項目‘7または8の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0027】
項目‘9.
式(I)~(VIII)のいずれか一つの化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0028】
項目‘10.
化合物3~4、9~29、35~46、62~70、72~79、84、および89~94のいずれか一つ、好ましくは、化合物11、13、15~16、18~20、および42~44のいずれか一つ:
化合物番号 名称 構造
3 KT01-16Pyr-c[X-P-R-X]c-S-H-K-G-P-Nle-P-F
4 KT01-17 Pyr-c[X-P-R-L-S-X]c-K-G-P-Nle-P-F
9 KT02-98 Pyr-R-P-R-L-S-H-K-[dX-P-Nle-P-X]
10 KT03-32 Pyr-R-P-R-L-S-H-K-[X-P-Nle-P-dX]
11 KT02-136 Pyr-R-P-R-L-S-H-K-G-P-[X-P-X]
12 KT02-137 Pyr-R-P-R-L-S-H-K-G-P-[dX-P-X]
13 KT01-125 Pyr-R-c*[X-R-L-S-X]c-K-G-P-Nle-P-F
14 KT01-105 Pyr-R-c[Dap-R-L-S-Asp]c-K-G-P-Nle-P-F
15 KT01-98 Pyr-R-c[X-R-L-S-Alh]c-K-G-P-Nle-P-F
16 KT01-123 Pyr-R-c[X-R-L-S-Alnb]c-K-G-P-Nle-P-F
17 KT01-106 Pyr-R-c[Lys-R-L-S-Asp]c-K-G-P-Nle-P-F
18 KT01-126 Pyr-R-c[X-R-L-S-Alb]c-K-G-P-Nle-P-F
19 KT01-122 Pyr-R-c[X-R-L-S-Almb]c-K-G-P-Nle-P-F
20 KT01-100 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-Nle-P-F
21 KT01-118 Ac-NH-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-Nle-P-F
22 KT01-110 φ-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-Nle-P-F
23 KT01-121 グアニジン-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-Nle-P-F
24 KT01-133 NH2-c[X-Nle-L-S-X]c-K-G-P-Nle-P-F
25 KT01-127 NH2-c[X-R-L-S-Alh]c-K-G-P-Nle-P-F
26 KT01-120 NH-c[Rx-R-L-S-AlH]-K-G-P-Nle-P-F
27 KT01-111 φ-c[X-R-L-S-AlH]-K-G-P-Nle-P-F
28 KT01-135 NH2-c[X-R-L-S-Alnb]c-K-G-P-Nle-P-F
29 KT01-116 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-Nle
35 KT03-57 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-1Nal
36 KT03-58 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-2Nal
37 KT03-51 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-TyrOBn
38 KT03-67 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-cypTyr(OBn)
39 KT03-68 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-dcypTyr(OBn)
40 KT03-69 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-cypTyr(OCyp)
41 KT03-70 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-cypTyr(OPr)
42 KT04-43 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-(D-1Nal)
43 KT04-44 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-(D-2Nal)
44 KT04-42F1 NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-(D-TyrOBn)
45 KT04-42b NH2-c[X-R-L-S-X]c-K-G-P-(D-Tyr)
46 KT01-145 Ac-c[E-N-T-N-(8-アミノオクタン酸)-R-P-R-L-K]-H-K-G-P-Nle-P-F
62 KT02-62 Ac-K-F-R-R-Q-R-P-R-L-[E-H-A-K]-P-A-P-F
63 KT02-76 Ac-K-F-R-R-Q-R-P-R-L-[E-H-K-K]-P-Nle-P-cypTyrOBn
64 KT02-78 Ac-K-F-R-R-Q-R-P-R-L-[E-H-K-K]-P-Nle-P-cypY
65 KT02-99 Ac-K-F-R-R-Q-R-P-R-L-[E-H-K-K]-P-Nle-P-dcypTyrOBn
66 KT03-02 Ac-K-F-R-R-Q-R-P-R-L-[E-H-K-K]-P-Nle-P-TyrOBn
67 KT02-18 Ac-K-F-R-R-Q-R-P-R-L-[E-H-K-K]-P-Nle-P-B1
68 KT02-19 Ac-K-F-R-R-Q-R-P-R-L-[E-H-K-K]-P-Nle-P-B2
69 KT02-20 Ac-K-F-R-R-Q-R-P-R-L-[E-H-K-K]-P-Nle-P-B3
70 KT02-21 Ac-K-F-R-R-Q-R-P-R-L-[E-H-K-K]-P-Nle-P-B4
72 AM03-37 c[K-R-R-E]-Nle-P-L-H-S-R-V-P-F-P
73 AM03-66 c[K-R-R-E]-Nle-P-L-H-S-R-V-Oic-F-P
74 AM03-38 Pyr-R-R-c[K-Nle-P-E]-H-S-R-V-P-F-P
75 ABB01-105 Pyr-R-R-c[E-Nle-P-K]-H-S-R-V-P-F-P
76 AM03-40 Pyr-R-R-S-c[K-P-L-H-E]-R-V-P-F-P
77 ABB01-106 Pyr-R-R-S-c[E-P-L-H-K]-R-V-P-F-P
78 AM03-67 Pyr-R-R-S-c[E-P-L-H-K]-R-V-Oic-F-P
79 AM03-68 c[K-R-R-E]-Nle-c[C-L-H-C]-R-V-P-F-P
84 ABB01-109 Nle-P-c[E-H-S-R-K]-P-F-P
89 KT03-14 4BrBz-R-R-S-[E-P-L-H-K]-R-V-P-F-P
90 KT03-16 Pyr-hR-R-S-[E-P-L-H-K]-R-V-P-F-P
91 KT03-17 Pyr-R-hR-S-[E-P-L-H-K]-R-V-P-F-P
92 KT03-15 Pyr-R-R-S-[E-P-L-H-K]-R-V-P-4BrF-P
93 KT03-19 Pyr-R-R-S-[E-P-L-H-K]-R-V-P-F-Hyp(OBn)
94 KT04-16 4BrBz-R-R-S-[E-P-L-H-K]-R-V-P-4BrF-Pである、項目‘9の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0029】
項目‘11.
化合物13~25、27~29、35~37および42~45のいずれか一つである、項目‘10の化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
【0030】
項目‘12.
項目‘1~11のいずれか一つの化合物、立体異性体、混合物、薬学的に許容される塩、エステルまたは溶媒和物、および少なくとも一つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【0031】
項目‘13.
それを必要とする対象における心血管疾患を治療するための、式(I)~(IV)のいずれか一つの化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物を使用する方法であって、有効量の化合物を対象に投与することを含む、方法。
【0032】
項目‘14.
化合物が、項目‘10において定義された化合物3~4、9~29、および35~46のいずれか一つ、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物である、項目‘13の方法。
【0033】
項目‘15.
化合物が、項目‘1~8のいずれか一つにおいて定義された式(II)の化合物である、項目‘13の方法。
【0034】
項目‘16.
化合物が、項目‘10において定義された化合物13~25、27~29、35、36~37および42~45のいずれか一つ、好ましくは、化合物13、15~16、18~20、23および42~44のいずれか一つ、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物である、項目‘15の方法。
【0035】
項目‘17.
化合物が、化合物42もしくは43、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物である、項目‘16の方法。
【0036】
本開示の他の目的、利点および特徴は、添付図面を参照して例示的にのみ与えられる、その特定の実施形態の以下の非制限的な説明を読み取ると、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、Ape13および化合物97の構造を示す。環化位置、Pro3およびHis7を示し、取り囲んだ。
図2A図2A~Bは、様々なリンカーを有するマクロサイクルApe13類似体(図2A)および様々な非天然残基有するマクロサイクルApe13類似体(図2B)を示す。
図2B】同上。
図3A図3A~Bは、97、16、18、および19の前駆体を生成するための閉環メタセシスによるマクロサイクル化を示す。97(配列番号87~89)(図3A)、ならびに16、18、および19(配列番号90~92)(図3B)の直鎖前駆体および環状前駆体。
図3B】同上。
図4図4は、Nα-Fmoc-(Nπ-アリル)-L-ヒスチジン-OHの合成を示す。(a)MeOH、HOBt、EDC、DCM、室温、ovn73%、(b)i.TfO(1.1当量)、DIPEA(1.2当量)、アリルアルコール(1.1当量)、-78℃で10分間および室温で一晩、ii.TFA、TIPS、DCM、室温、2時間、2工程で70%、(c)HCl 2M、ジオキサン-水、還流、一晩、77%。
図5図5は、Fmoc-Alnb含有ペプチドの合成。化合物15、18および19の直鎖前駆体を示す。
図6図6は、Nα-Fmoc-cypTyr(OR)-OH類似体の合成を示す。(a)リン酸85%、シクロペンタノール、100℃、一晩、(b)SOCl、MeOH、室温、一晩、2工程aおよびbで26%、(c)BocO、NaHCO、THF-水(1:1)、室温、1時間、84%、(d)RBr、KCO、ACN、還流、一晩、収率17a(57%)、17b(54%)、17c(52%)、(e)LiOH、THF-水(1:1)、室温、3時間、収率113(96%)、114(100%)、115(93%)、(f)i.TFA-DCM(1:1)、室温、2時間;ii.Fmoc-Cl、NaHCO、THF-水(2:1)、室温、2時間、収率116(68%)、117(41%)、118(71%)。
図7図7は、97、15、および16のN末端切断類似体、すなわち、化合物20~23、および24~28を示す。
図8図8は、天然アミノ酸および非天然アミノ酸によるNle11(化合物29)の置換による、化合物34~45の生成を示す。
図9A図9A~Bは、式VIの例示的な化合物(例えば、表IIIの化合物79、AM03-68)の合成スキームを示す。
図9B】同上。
図10図10は、式VIIの例示的な化合物(例えば、表IIIの化合物75、77~78および89~93)の合成スキームを示す。
図11A図11A~Bは、式VIIIの例示的な化合物(例えば、表IIIの化合物72~73)の合成スキームを示す。
図11B】同上。
図12図12は、Gai1、Ga12およびb-アレスチン2経路のApe13マクロサイクル類似体の濃度応答曲線を示す。BRETベースのGタンパク質解離アッセイ(Gales et al.,2006)を使用してモニターされたGタンパク質Gαi1(A)のリガンド誘導結合。BRETベースβ-アレスチン2動員アッセイ(Gales et al.,2006)を使用したβ-アレスチン2(B)のリガンド誘導動員。各セットは、少なくとも三回の独立した実験の平均を表し、平均±SEMとして表される。
図13図13は、雄のスプラーグドーリーラット(n=3)におけるマクロサイクル42および43のインビボ薬物動態特性を示す。化合物は、3mg/kgで静脈内投与され、血液試料中のそれらの濃度は、LC/MS-MSによって定量された。
図14図14は、麻酔された雄のスプラーグドーリーラットにおける化合物15、20、29、42および43の減弱効果を示す。トレースは、頸静脈を介して二つの用量(65nmol/kgおよび19.6nmol/kg)またはApe13の化合物15、20、29、39、42および43のボーラス(i.v.)を受けた際の血圧の変化を示した(1群当たりn=4~6)。
図15A図15A~Bは、左心室分画短縮(図15A)および心拍出量(図15B)に対するマクロサイクル42および43の効果(全群についてn=5)を示す。p<0.05、**p<0,01対一元配置分散分析検定を使用した時間一致NS(刺激なし)。
図15B】同上。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示の化合物
本開示は、アペリン13類似体、アペリン17類似体およびエラベラ類似体を含む新規アペリン作動性化合物を提供する。
【0039】
アペリンは、クラスAのGタンパク質共役APJ受容体の内因性リガンドとして作用するペプチドホルモンである(Tatemoto et al.,1998、O’Dowd et al.,1993、およびRead et al.,2019)。GPCR標的として、APJ受容体は、主にアデニル酸シクラーゼ活性を阻害することによってcAMP依存性経路を阻害するGαなどの別個のGタンパク質に結合することが知られている(Masri et al.2006、およびHabata et al.,1999)。APJ受容体はまた、受容体脱感作と関連しているβ-アルレチンの動員を介してシグナル伝達する(Besserer-Offroy et al.,2018、et Gurevich et al.,2019)。β-アルレチン経路は、様々なエフェクターと結合し、それ自体で下流のシグナル伝達を開始することも知られている。(Gurevich et al.,2019;and Reiter et al.,2012)。
【0040】
アペリンおよびエラベラは、APJの二つの内因性ペプチドリガンドであり、非常に異なる一次配列にもかかわらず、類似の結合効力およびシグナル伝達特性を有する(Chng et al.,2013、Pauli et al.,2014、およびMurza et al.,2016)。アペリンは、いくつかのアイソフォーム:アペリン-36、アペリン-17、アペリン-13、[Pyr]-アペリン-13および[Pyr]-アペリン-13(1-12)が存在する。中でも、[Pyr]-アペリン-13(Ape13)は、ヒト血漿および心臓組織で循環する主要なアイソフォームである。(Tatemoto et al.,1998、Maguire et al.,2009、Yang et al.,2017、Nyimanu et al.,2019、Zhen et al.,2013)。
【0041】
本開示の化合物
特定の実施形態では、本開示のマクロサイクル化合物は、アペリン-13(PyrRPRLSHKGPMPF(配列番号47))、アペリン-17(KFRRQRPRLSHKGPMPF(配列番号86))またはエラベラの断片(PyrRRCMPLHSRVPFP(配列番号85))に由来する合成のペプチド(一般的に天然アミノ酸および/または非天然アミノ酸から作製される)の環化から発展される。
【0042】
特定の実施形態では、ペプチドの環化は、側鎖と側鎖の環化である。特定の実施形態では、合成のペプチドの環化は、N部分および中心のアミノ酸(または酸)部分の側鎖の各々の末端におけるアルケン(-C=C-)(またはアルキン(-C≡C-))基の閉環メタセシスの反応を介して達成され、環化は、単一の炭素と炭素二重結合(またはアルキン基が使用される場合、単一の炭素と炭素の三重結合)をもたらす。次いで、マクロサイクルは、パラジウム触媒水素化を介して単結合によって二重結合を置き換えるようにさらに修飾されてもよい(例えば、化合物13を参照)。
【0043】
他の特定の実施形態では、ペプチドの環化は、N末端アミノ酸のうちの一つの側鎖の末端のアミンと、環または裏を閉環するために使用されるアミノ酸残基の側鎖の末端のカルボン酸との間のマクロラクタマイゼーション反応を介して達成される。
【0044】
特定の実施形態では、本開示の化合物は、いずれか一つの式I~VIIIの化合物であるか、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物である。本開示の化合物またはその一部について、本明細書に言及される名称(残基のリスト)と構造(式)との間に本明細書において矛盾がある場合、構造(式)が優先される。本開示の化合物またはその一部について、配列表に記載される化合物と本明細書に言及される名称(残基のリスト)および/または構造(式)との間に本明細書において矛盾がある場合、名称(残基のリスト)および/または構造(式)が優先される。
【0045】
本開示の分子の一部であるアミノ酸または酸への本明細書での言及は、アミノ酸または酸残基を指定すると理解されるべきである。それらの末端のうちの少なくとも一つを別のアミノ酸または酸に連結させて、例えば、ペプチド結合を形成し、それによって、アミン基のヒドロキシ基および/または一つの水素を失う。ゆえに、例えば、X1、X2、X3、X4、X5およびX6の定義のいずれか一つに列挙されるアミノ酸または酸は、対応するアミノ酸または酸残基であると理解されるべきである。
【0046】
本開示の化合物は、1000nM未満、特定の実施形態では、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、35、30、35、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、もしくは2nM未満、または1nM未満のAPJに対する結合親和性(Ki結合(nM))を有する。特定の実施形態では、本開示の化合物は、1000nM未満、特定の実施形態では、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、35、30、35、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、もしくは2nM未満または1nM未満のAPJに対する結合親和性(Ki結合(nM))を有する、いずれか一つの式I~VIII、または表I~IIIの化合物である。
【0047】
別段示されない限り、本明細書に提供される残基についての定義は、LおよびD配置を含む。
【0048】
アペリン13類似体
本開示は、式(I)~(IV)に記載されるものなどのアペリン13環状類似体を包含する。
【0049】
特定の実施形態では、アペリン13環状類似体は、以下の式(I)を含むか、または有し、
X1-X2-Y-[X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12]-X13-X14-X15-X16-X17-X18
式中、
X1は、存在しない、-(CH)q-CHもしくは-(CF)q-CF、式中、qは、0~11である、であるか、任意の天然のアミノ酸もしくは任意の合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、--(C1-C12)アルキル、-(CF)q-CF、式中、qは、0~11である、-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、アルキル、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSである。特定の実施形態では、それは、Pyrであるか、または存在せず、
X2およびX7は、それぞれ独立して、存在しないか、または天然もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSであり、好ましくは、Nである。特定の実施形態では、X2およびX7は、それぞれ独立して、存在しないか、またはアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、X2およびX7は、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、Hisであるか、または存在しない。より具体的な実施形態では、X2およびX7は、それぞれ独立して、存在しない、-CH-(CH)p-グアニジン、もしくは-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、か、またはそれぞれ独立して、ArgもしくはLysであり、
Yは、H、Ac、Ac-NH、-NH、グアニジンであるか、または存在せず、
X3およびX12は、環を閉じ、同一または異なっており、脂肪族残基、アルケニル残基、酸残基または天然もしくは非天然のアミノ酸、あるいはその誘導体であり、これらの部分は任意選択的に置換される。特定の実施形態では、それらは、末端のアルケンまたは遊離カルボン酸もしくはアミン官能基を生じる残基である。特定の実施形態では、それらは、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Asp、Glu、アリルGly、Nα-アリル-アルギニン、Nπ-アリル-ヒスチジン、Nγ-アリル-Nγ-ノシル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、Nγ-アリル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、またはNγ-アリル-Nγ-メチル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸であり、それによって、環は、アミド架橋またはアルケンによって閉じられる。特定の実施形態では、X3およびX12のうちの少なくとも一方または両方は、アリルグリシンである。特定の実施形態では、X3がアリルグリシンである場合、X12は、アリルグリシンではない。
【0050】
X4、X5およびX6は、それぞれ独立して、Ser、Thr、Asn、Gln、Asn-(8-アミノオクタン酸)、Trp-(8-アミノオクタン酸)であるか、または存在しない。特定の実施形態では、X4、X5およびX6は、それぞれ独立して、Thr、Asn、Asn-(8-アミノオクタン酸)、Trp-(8-アミノオクタン酸)であるか、または存在しない。別の特定の実施形態では、それらは、すべて存在しない。
【0051】
X8は、存在しないか、またはGly、Phe、Leu、Ile、Ser、Pro、Aib、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、存在しないか、またはProである。
【0052】
X9は、任意の天然のアミノ酸、または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。より具体的な実施形態では、X9は、存在しないか、または任意の天然もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、 is 1、2または3つのN、OまたはS、好ましくは、Nである。より具体的な実施形態では、X9は、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジン、または-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、である。より具体的な実施形態では、X9は、Nle、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、またはhArgである。より具体的な実施形態では、X9は、Argであり、
X10は、任意の天然のアミノ酸、または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。より具体的な実施形態では、X10は、Leu、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン、アルファ-メチルフェニルアラニン、Ala、Val、Ileである。より具体的な実施形態では、それは、Leuであり、
X11は、存在しないか、または任意の天然のアミノ酸、または任意の合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。より具体的な実施形態では、X11は、Serであるか、または存在せず、
X13は、天然または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。特定の実施形態では、X13は、Lys、Orn、Dab、Dap、Arg、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~4である、またはHisである。特定の実施形態では、X13は、Lysである。
【0053】
X14は、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Pro、Aib、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、それは、Glyであり、
X15およびX17は、それぞれ独立して、Pro、Aib、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、X15およびX17は、それぞれ独立して、存在しないか、またはProである。
【0054】
X16は、任意の天然のアミノ酸、または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。特定の実施形態では、それは、アミノ酸であり、その側鎖は、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、または-(CH)p-(C3-C8)アリールであり、アリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリールと任意選択的に融合され、アリールは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルである。より具体的な実施形態では、それは、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン、アルファ-メチルフェニルアラニン、Phe、Tic((S)-N-Fmoc-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)、Tyr、1Nal、2Nal、TyrOBn、cypTyr(OBn)、dcypTyr(OBn)、cypTyr(OCyp)、cypTyr(OPr)、D-1Nal、D-2Nal、D-TyrOBn、またはD-Tyrであり、
X18は、存在しないか、任意の天然のアミノ酸、または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。特定の実施形態では、それは、存在しないか、またはアミノ酸であり、その側鎖は、-(CH)p-(C3-C8)アリールであり、アリールは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、ハロゲン、アミン、-OH、Sまたは-(C1-C6)アルキルである。別の特定の実施形態では、それは、Pheまたはハロゲン置換Pheである。別の特定の実施形態では、それは、存在しない。別の実施形態では、それは、Pheである。
【0055】
式(I)の化合物の特定の実施形態では、X3が、アリルグリシンである場合、X12は、アリルグリシンではない。式(I)の化合物の特定の実施形態では、X17およびX18が、存在しない場合、X16はAlaではない。特定の実施形態では、式(I)の化合物は、表Iの化合物13~29、および35~46のうちのいずれか一つである。他の特定の実施形態では、式(I)の化合物は、表Iの化合物13、15~16、18~20、28、および42~44のうちのいずれか一つである。
【0056】
本開示は、式(I)の化合物を含み、X1~X18の各々は、式(I)中のこれらの残基について上で提供されたより一般的またはより具体的な定義のいずれかを使用して独立して定義される。
【0057】
別の特定の実施形態では、アペリン13環状類似体は、以下の式(II):
【化1】
式中、Xは、存在しないか、またはX~Xであり、
は、-(CH)q-CHまたは-(CF)q-CF、qは、0~11である、天然のアミノ酸、合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(C1-C12)アルキル、-(CF)q-CF、qは、0~11である、-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、アルキル、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSである)を含むか、または有する。特定の実施形態では、Xは、Pyrであり、
は、存在しないか、または天然もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはS、好ましくは、Nである。特定の実施形態では、Xは、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジン、または-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、Xは、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、Hisであるか、または存在せず、好ましくは、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、またはhArgである。より具体的な実施形態では、Xは、Argである。
【0058】
Yは、存在しないか、NH-、Ac-NH-、グアニジン、またはHであり、
Aは、-(CH)n-、-(CH)nNH=C(NH)N-CH-CH=CH-(好ましくは、Nα-アリル-アルギニン)、式中、nは、2、3または4である、または-CH=CH-(CH)m、式中、mは、0、1または2である、(好ましくは、アリル-グリシン)であり、
Bは、存在しないか、または
【化2】
式中、Rは、O、P、m-アルキル、ハロゲン、またはニトロであり、nは、1、2、または3である、
【化3】
式中、Rは、H、C3-C7アルキル、ベンジルまたはアリールアルキルであり、nは、1、2または3である、
【化4】
式中、nは、1、2、3または4であり、mは、0または1である、または
【化5】
式中、Xは、CHまたはNである、である。
【0059】
およびXは、それぞれ独立して、存在しないか、または天然もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはS、好ましくは、Nである。特定の実施形態では、XおよびXは、それぞれ独立して、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジン、または-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、XおよびXは、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、His、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)またはアルファ-メチルフェニルアラニンである。特定の実施形態では、XおよびXは、それぞれ独立して、Lys、Arg、hArg、Nle、Leu、Phe、またはChaである。より具体的な実施形態では、XおよびXは、それぞれ独立して、ArgまたはLysである。
【0060】
は、正に荷電または荷電していない側鎖を有する天然または非天然のアミノ酸である。特定の実施形態では、Xは、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、それは、Glyであり、
は、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、それは、Proであり、
は、X10-X11-X12であり、式中、
10は、任意の天然のアミノ酸、または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、p’は、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである)である。特定の実施形態では、X10は、アミノ酸であり、その側鎖は、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、または-(CH)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、であり、アリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリールと任意選択的に融合され、アリールは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、-OH、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、pは、0~5である、である。特定の実施形態では、それは、Alaではない。より具体的な実施形態では、X10は、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニン、Phe、Tic((S)-N-Fmoc-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)、Tyr、1Nal、2Nal、TyrOBn、cypTyr(OBn)、dcypTyr(OBn)、cypTyr(OCyp)、cypTyr(OPr)、D-1Nal、D-2Nal、D-TyrOBn、またはD-Tyrであり、
11は、存在しないか、またはGly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypもしくはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、それは、存在しないか、またはProであり、
12は、存在しないか、またはPheである。
【0061】
特定の実施形態では、式(II)の化合物は、表Iの化合物13~25、27~29、35~37、および42~45のうちのいずれか一つである。他の特定の実施形態では、式(II)の化合物は、表Iの化合物13、15~16、18~20、28、および42~44のうちのいずれか一つである。
【0062】
特定の実施形態では、Xは、Pyr-Argであり、Yは、-NH-であり、Aは、-CH-CH-であり、Bは、存在せず、Xは、Argであり、Xは、Lysであり、Xは、Glyであり、Xは、Proであり、Xは、Nle-Pro-Pheである。
【0063】
別の特定の実施形態では、X1は、Pyr-Argであり、Yは、-NH-であり、Aは、-CH=CH-であり、Bは、
【化6】
であり、Xは、Argであり、Xは、Lysであり、X4は、Glyであり、X5は、Proであり、Xは、Nle-Pro-Pheである。
【0064】
別の特定の実施形態では、X1は、Pyr-Argであり、Yは、-NH-であり、Aは、-CH=CH-であり、Bは、
【化7】
であり、Xは、Argであり、Xは、Lysであり、Xは、Glyであり、Xは、Proであり、Xは、Nle-Pro-Pheである。
【0065】
別の特定の実施形態では、X1は、Pyr-Argであり、Yは、-NH-であり、Aは、-CH-CH-であり、Bは、
【化8】
であり、X2は、Argであり、X3は、Lysであり、X4は、Glyであり、X5は、Proであり、X6は、Nle-Pro-Pheである。
【0066】
別の特定の実施形態では、X1は、Pyr-Argであり、Yは、-NH-であり、Aは、-CH=CH-であり、Bは、
【化9】
であり、X2は、Argであり、X3は、Lysであり、X4は、Glyであり、X5は、Proであり、X6は、Nle-Pro-Pheである。
【0067】
別の特定の実施形態では、X1は、Hであり、Yは、-NH-であり、Aは、-CH=CH-であり、Bは、存在せず、X2は、Argであり、X3は、Lysであり、X4は、Glyであり、X5は、Proであり、X6は、Nle-Pro-Pheである。
【0068】
別の特定の実施形態では、X1は、存在せず、Yは、-H-であり、Aは、-CH=CH-であり、Bは、存在せず、X2は、Argであり、X3は、Lysであり、X4は、Glyであり、X5は、Proであり、X6は、Nleである。
【0069】
別の特定の実施形態では、X1は、Hであり、Yは、-NH-であり、Aは、-CH=CH-であり、Bは、存在せず、X2は、Nleであり、X3は、Lysであり、X4は、Glyであり、X5は、Proであり、X6は、Nleである。
【0070】
別の特定の実施形態では、X1は、Hであり、Yは、-NH-であり、Aは、-CH=CH-であり、Bは、存在せず、X2は、Argであり、X3は、Lysであり、X4は、Glyであり、X5は、Proであり、X6は、Nleである。
【0071】
別の特定の実施形態では、X1は、Hであり、Yは、-NH-であり、Aは、-CH=CH-であり、Bは、存在せず、X2は、Argであり、X3は、Lysであり、X4は、Glyであり、X5は、Proであり、X6は、D-1Nalである。
【0072】
別の特定の実施形態では、X1は、Hであり、Yは、-NH-であり、Aは、-CH=CH-であり、Bは、存在せず、X2は、Argであり、X3は、Lysであり、X4は、Glyであり、X5は、Proであり、X6は、D-2Nalである。
【0073】
式(II)の化合物の特定の実施形態では、Aが、アリルグリシンである場合、Bは、アリルグリシンではない。
【0074】
本開示は、式(II)の化合物を含み、式中、変数X、X、X、X、X、X、Y、AおよびBの各々は、式(II)のこれらの残基について上で提供されたより一般的またはより具体的な定義のいずれかを使用して独立して定義される。
【0075】
別の実施形態では、アペリン13環状類似体は、以下の式(III):
X1-[X2-X3-X4-X5-X6-X7]-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15
式中、X1は、存在しない、-(CH)q-CHまたは-(CF)q-CF、qは、0~11である、天然のアミノ酸、合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(C1-C12)アルキル、-(CF)q-CF、qは、0~11である、-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、アルキル、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSである、を含むか、または有する。特定の実施形態では、X1は、Pyr、-(CH)q-CHまたは-(CF)q-CF、qは、0~11である、であり、
X2およびX7は、環を閉じ、同一または異なっており、脂肪族残基、アルケニル残基、酸残基または天然もしくは非天然のアミノ酸、あるいはその誘導体であり、これらの部分は任意選択的に置換される。特定の実施形態では、それらは、末端のアルケンまたは遊離カルボン酸もしくはアミン官能基を生じる残基である。特定の実施形態では、それらは、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Asp、Glu、アリルGly、Nα-アリル-アルギニン、Nπ-アリル-ヒスチジン、Nγ-アリル-Nγ-ノシル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、Nγ-アリル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、またはNγ-アリル-Nγ-メチル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸であり、それによって、環は、アミド架橋またはアルケンによって閉じられる。特定の実施形態では、X2およびX7のうちの少なくとも一方または両方は、アリルグリシンであり、
X3は、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、それは、存在しないか、またはProであり、
X4は、天然または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはS、好ましくは、Nである。特定の実施形態では、X4は、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジンまたは-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、X4は、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、またはHisである。より具体的な実施形態では、X4は、ArgまたはLysである。より具体的な実施形態では、X4は、Argである。
【0076】
X5およびX6は、それぞれ独立して、存在しないか、または任意の天然のアミノ酸、もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。特定の実施形態では、X5は、Leuであり、および/またはX6は、Serであり、
X8は、存在しないか、または任意の天然のアミノ酸、もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。特定の実施形態では、X8は、Serであり、
X9は、存在しないか、または天然もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、好ましくは、1、2または3つのN、OまたはSである。特定の実施形態では、X9は、存在しないか、またはアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-(CH)p-イミダゾール、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、X9は、存在しないか、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、またはHisである。より具体的な実施形態では、X9は、存在しないか、またはHisであり、
X10は、天然または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。より具体的な実施形態では、X10は、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジン、または-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、X10は、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、またはHisである。より具体的な実施形態では、X10は、Lysであり、
11、X12およびX14は、それぞれ独立して、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Pro、Aib、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、X11は、Glyである。特定の実施形態では、X12および/またはX14は、Proであり、
X13は、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニン、好ましくは、Nleであり、
X15は、アミノ酸であり、その側鎖は、-(CH)p-(C3-C8)アリールであり、アリールは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、ハロゲン、アミン、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルである。特定の実施形態では、X15は、Pheまたはハロゲン置換Pheである。特定の実施形態では、X15は、Pheである。
【0077】
特定の実施形態では、式(III)の化合物は、表Iの化合物3および4のいずれか一つである。
【0078】
本開示は、式(III)の化合物を含み、X1~X15の各々は、式(III)中のこれらの残基について上で提供されたより一般的またはより具体的な定義のいずれかを使用して独立して定義される。
【0079】
別の実施形態では、アペリン13環状類似体は、以下の式(IV):
X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-[X11-X12-X13-X14-X15]
式中、Xaa1は、-(CH)q-CHまたは-(CF)q-CF、qは、0~11である、天然のアミノ酸、合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(C1-C12)アルキル、-(CF)q-CF、qは、0~11である、-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、アルキル、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSである)を含むか、または有する。特定の実施形態では、X1は、Pyr、-(CH)q-CHまたは-(CF)q-CF、qは、0~11である、である。より具体的な実施形態では、それは、Pyrであり、
X2、X4、X7およびX8は、それぞれ独立して、天然または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはS、好ましくは、Nである。特定の実施形態では、X2、X4、X7およびX8は、それぞれ独立して、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、X2、X4、X7およびX8は、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、またはHisである。より具体的な実施形態では、X2、X4、X7およびX8は、それぞれ独立して、Arg、HisまたはLysである。より具体的な実施形態では、X2、X4、およびX8は、それぞれ独立して、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、もしくは-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、であるか、またはそれぞれ独立して、ArgもしくはLysであり、および/またはX7は、アミノ酸であり、その側鎖は、-(CH)p-イミダゾール、式中、pは、0~4である、であるか、またはHisであり、
X3は、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Pro、Aib、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、X3は、Proであり、
X5およびX6は、それぞれ独立して、任意の天然のアミノ酸、もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。特定の実施形態では、X5は、Leuであり、および/またはX6は、Serであり、
X9は、存在しないか、または正に荷電もしくは荷電していない側鎖を有する天然もしくは非天然のアミノ酸である。特定の実施形態では、Xは、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、それは、Glyであり、
X10およびX12は、それぞれ独立して、存在しないか、またはGly、Phe、Leu、Ile、Ser、Pro、Aib、Sar、Oic、βAla、HypもしくはHyp(OBn)である。より具体的な実施形態では、X10は、存在しない。特定の実施形態では、X10およびX12は、それぞれ独立して、存在しないか、またはProであり、
X11およびX15は、環を閉じ、同一または異なっており、脂肪族残基、アルケニル残基、酸残基または天然もしくは非天然のアミノ酸、あるいはその誘導体であり、これらの部分は任意選択的に置換される。特定の実施形態では、それらは、末端のアルケンまたは遊離カルボン酸もしくはアミン官能基を生じる残基である。特定の実施形態では、それらは、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Asp、Glu、アリルGly、Nα-アリル-アルギニン、Nπ-アリル-ヒスチジン、Nγ-アリル-Nγ-ノシル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、Nγ-アリル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、またはNγ-アリル-Nγ-メチル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸であり、それによって、環は、アミド架橋またはアルケンによって閉じられる。特定の実施形態では、X12およびX15は、独立して、アリルグリシンまたはD-アリルグリシンであり、
X13は、存在しないか、または任意の天然のアミノ酸、もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、 -CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。特定の実施形態では、X13は、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニン、好ましくは、Nleである。
【0080】
X14は、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Pro、Aib、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、X14は、Proである。
【0081】
式IVの化合物の特定の実施形態では、X9およびX10は、不在ではない。特定の実施形態では、X11が、アリルグリシンである場合、X15は、アリルグリシンではない。特定の実施形態では、X11は、B1またはB2ではない。
【0082】
特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、表Iの化合物9~12のうちのいずれか一つである。他の特定の実施形態では、式(I)の化合物は、表Iの化合物12である。
【0083】
本開示は、式(IV)の化合物を含み、X1~X15の各々は、式(IV)中のこれらの残基について上で提供されたより一般的またはより具体的な定義のいずれかを使用して独立して定義される。
【0084】
式(I)~(IV)の特定の実施形態では、AP-13(配列番号47)の対応する残基とは異なる環を閉じる残基を除き、残基(例えば、上で定義された位置Xn、式中、nは、式(I)については1~18、式(II)については1~12、または式(III)および(IV)については1~18である、残基)のうちの少なくとも4個(または少なくとも5、6、7、8、9、または10個)は、AP-13(配列番号47)の残基に対応する。例えば、化合物3は、AP-13(配列番号47)中の残基に対応する少なくとも10個の残基を有する。
【0085】
他の特定の実施形態では、本開示の化合物は、Ap13 PyrRPRLSHKGPMPF(配列番号47)のマクロサイクル類似体に対応し、化合物は、環を閉じる位置での少なくとも二つの置換によって、ならびに少なくとも一つ(または2、3、4、5、6、7もしくは8つ)のさらなる置換、欠失および/または挿入によって、Ap13と異なる。これらの置換、欠失および/または挿入は、上記の式(I)~(IV)の様々なXnにおいて定義される。これらのXnとAp13との間の対応は、以下の表Aに示され、「[「および」]」の記号は、式(I)~(IV)の閉環残基の位置およびこれらの式を満たす本開示の化合物を示すために使用される。
【表A】
【表B】
【表C】
【0086】
アペリン17類似体
特定の実施形態では、アペリン17環状類似体は、以下の式(V):
X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-[X10-X11-X12-X13]-X14-X15-X16-X17,
式中、X1は、天然または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-R-CH-(CH)p-NH、-R-CH-(CH)p-グアニジン、-R-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-R-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-R-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-R-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはS、好ましくは、Nであり、Rは、存在しないか、またはアセチルである)を含むか、または有する。特定の実施形態では、X1は、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジン、または-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、X1は、R-HisのR-Lys、R-Orn、R-Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、R-Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、R-Arg、R-hArgであり、Rは、存在しないか、またはアセチルである。特定の実施形態では、X1は、Ac-Lysであり、
X2は、Pheであり、
X3、X4、X6、X8、X11およびX12は、それぞれ独立して、天または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはS、好ましくは、Nである。特定の実施形態では、X2、X4、X7、X8、X11およびX12は、それぞれ独立して、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジン、または-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、X3、X4、X6、X8、X11およびX12は、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、またはHisである。特定の実施形態では、X3、X4、X6、X8、X11およびX12は、それぞれ独立して、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、もしくは-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、であるか、またはそれぞれ独立して、Arg、HisもしくはLysである。特定の実施形態では、X3、X4、X6およびX8は、各々、それぞれ独立して、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~4である、もしくはArgであり、および/またはX11は、アミノ酸であり、その側鎖は、-(CH2)p-イミダゾール、式中、pは、0~4である、もしくはHisであり、および/またはX12は、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、またはX12は、Lysであり、
X5は、Glnであり、
X7、X14およびX16は、それぞれ独立して、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Pro、Aib、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、X7、X14およびX16のうちの少なくとも1、2または3つ全ては、Proであり、
X9およびX15は、それぞれ独立して、任意の天然のアミノ酸、または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。より具体的な実施形態では、X9およびX15は、それぞれ独立して、天然または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、である。より具体的な実施形態では、X9およびX15は、それぞれ独立して、天然または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-(C3-C6)アルキルである。別の特定の実施形態では、X9およびX15は、それぞれ独立して、Nle、Leu、Ala、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニンであり、より具体的な実施形態では、X9は、Leuであり、および/またはX15は、AlaもしくはNleであり、
X10およびX13は、環を閉じ、同一または異なっており、脂肪族残基、アルケニル残基、酸残基または天然もしくは非天然のアミノ酸、あるいはその誘導体であり、これらの部分は任意選択的に置換される。特定の実施形態では、それらは、末端のアルケンまたは遊離カルボン酸もしくはアミン官能基を生じる残基である。特定の実施形態では、それらは、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Asp、Glu、アリルGly、Nα-アリル-アルギニン、Nπ-アリル-ヒスチジン、Nγ-アリル-Nγ-ノシル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、Nγ-アリル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、またはNγ-アリル-Nγ-メチル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸であり、それによって、環は、アミド架橋またはアルケンによって閉じられる。特定の実施形態では、X10およびX13のうちの一方は、Gluであり、他方は、Lysであり、
X17は、任意の天然のアミノ酸もしくは任意の合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルもしくは-(CH)p-CONH-アリール、または-(CH)p-CON(アリール)(アルキルアリール)、式中、pは、0~5である、であり、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、-O-(C3-C8)アリール、-O-(C3-C8)シクロアルキル、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSであり、特定の実施形態では、X17は、任意の天然のアミノ酸または任意の合成のアミノ酸であり、その側鎖は、置換されているか、またはされていない、-(CH)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、である。特定の実施形態では、X17は、Phe、cypTyrOBn、cypTyr、dcypTyrOBn、TyrOBn、B1、B2、B3またはB4である。
【0087】
特定の実施形態では、式(V)の化合物は、表IIの化合物62~70のうちのいずれか一つである。
【0088】
本開示は、式(V)の化合物を含み、X1~X17の各々は、式(V)中のこれらの残基について上で提供されたより一般的またはより具体的な定義のいずれかを使用して独立して定義される。
【0089】
式(V)の特定の実施形態では、上で定義された位置Xn、式中、nは、1~12および14~17である、の残基(すなわち、AP-17(配列番号86)の対応する残基とは異なる環を閉じる残基X10およびX13以外)のうちの少なくとも4個(または少なくとも5、6、7、8、9、10、11もしくは12個)は、AP-17(配列番号86)の残基に対応する。例えば、化合物62は、AP-17(配列番号86)中の残基に対応する11個の残基を有する。式(V)の他の特定の実施形態では、AP-13(配列番号47)の対応する残基と異なる環を閉じる残基を除き、残基のうちの少なくとも4個(または少なくとも5、6、7、8、もしくは9個)は、AP-13(配列番号47)の残基に対応する。例えば、化合物62は、AP-13(配列番号47)中の残基に対応する8個の残基を有する。
【0090】
他の特定の実施形態では、本開示の化合物は、Ap17 KFRRQRPRLSHKGPMPF(配列番号86)のマクロサイクル類似体に対応し、化合物は、環を閉じる位置での少なくとも二つの置換によって、ならびに少なくとも一つ(または2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10)のさらなる置換、欠失および/または挿入によって、Ap17と異なる。これらの置換、欠失および/または挿入は、上記の式(V)の様々なXnにおいて定義される。これらのXnとAp13とA17との間の対応は、上の表Bに示され、「[「および」]」の記号は、式(V)の閉環残基の位置およびこの式を満たす本開示の化合物を示すために使用される。
【0091】
エラベラ環状類似体
本開示はまた、式(VI)~(VIII)のうちののいずれか一つに記載されるエラベラ環状類似体などのエラベラ環状類似体を包含する。
【0092】
特定の実施形態では、エラベラ環状類似体は、以下の式(VI)を含むか、または有し、
c[X1’-X2’-X3’-X4’]c-X5’-X6’-c[C-X7’-X8’-X9’-C]c-X10’-X11’-X12’-X13’-X14’、
式中、
X1’およびX4’は、環を閉じ、同一または異なっており、脂肪族残基、アルケニル残基、酸残基または天然もしくは非天然のアミノ酸、あるいはその誘導体であり、これらの部分は任意選択的に置換される。特定の実施形態では、それらは、末端のアルケンまたは遊離カルボン酸もしくはアミン官能基を生じる残基である。特定の実施形態では、それらは、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Asp、Glu、アリルGly、Nα-アリル-アルギニン、Nπ-アリル-ヒスチジン、Nγ-アリル-Nγ-ノシル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、Nγ-アリル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、またはNγ-アリル-Nγ-メチル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸であり、それによって、環は、アミド架橋またはアルケンによって閉じられる。特定の実施形態では、X1’およびX4’のうちの一方は、Gluであり、他方は、Lysである。特定の実施形態では、それらは、LysおよびGluまたはGluおよびLysであり、
X2’、X3’およびX9’およびX10’は、それぞれ独立して、天然または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。特定の実施形態では、X2’、X3’、X9’およびX10’は、それぞれ独立して、存在しないか、またはアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジン、または-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、X2’、X3’、X9’およびX10’は、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、Hisであるか、または存在しない。より具体的な実施形態では、X2’およびX3’は、それぞれ独立して、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~4である、またはArgであり、および/あるいはX9’は、-(CH)p-イミダゾール、式中、pは、0~4である、もしくはHisであり、および/あるいはX10’は、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-CH-(CH)p-グアニジン、もしくは-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、であるか、またはArg、Orn、Lys、もしくは4-アミノメチル-フェニルアラニンであり、
X12’およびX14’は、それぞれ独立して、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Pro、Aib、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、X12’および/またはX14’は、Proであり、
X5’、X7’、およびX11’は、それぞれ独立して、任意の天然のアミノ酸、または任意の合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、アルキル、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルであり、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSである。他の特定の実施形態では、X5’、X7’、およびX11’は、Nle、Leu、Ala、Val、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン、アルファ-メチルフェニルアラニン、Trp、チアゾール-5-yl-アラニン、3-(2-ピリジル)-アラニン、3-(3-ピリジル)-アラニン、または3-(4-ピリジル)-アラニンである。特定の実施形態では、X5’、X7’、およびX11’は、それぞれ独立して、-(CH)p-(C3-C8)アルキルまたは-(CH)p-(C3-C8)ヒドロキシアルキル、式中、pは、0~5である、である。別の特定の実施形態では、X5’、X7’、およびX11’は、それぞれ独立して、Nle、Leu、Ala、Val、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)またはアルファ-メチルフェニルアラニンである。より具体的な実施形態では、X5’は、Nleであり、および/またはX7’は、Leuであり、X11’は、Valであり、
X6’およびX8’は、それぞれ独立して、存在しないか、またはそれぞれ独立して、任意の天然のアミノ酸、または任意の合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、アルキル、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルであり、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSである。より具体的な実施形態では、X6’および/またはX8’は、存在しない。
【0093】
X13’は、アミノ酸であり、その側鎖は、-(CH)p-(C3-C8)アリールであり、アリールは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、ハロゲン、アミン、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルである。特定の実施形態では、X14’は、ブロモフェニルなどのPheまたはハロゲン置換Pheである。
【0094】
特定の実施形態では、式(VI)の化合物は、以下の表IIIの化合物79である。
【0095】
本開示は、式(VI)の化合物を含み、X1’~X14’の各々は、式(VI)中のこれらの残基について上で提供されたより一般的またはより具体的な定義のいずれかを使用して独立して定義される。
【0096】
別の特定の実施形態では、化合物は、以下の式(VII)を含むか、または有し、
X1’-X2’-X3’-X4’-c[X5’-X6’-X7’-X8’-X9’-X10’]c-X11’-X12’-X13’-X14’-X15’-X16’-X17’,
式中、
X1’は、存在しない、-(CH)q-CHまたは-(CF)q-CF、qは、0~11である、天然のアミノ酸、合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(C1-C12)アルキル、-(CF)q-CF、qは、0~11である、-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-C(O)-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、アルキル、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~3である、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSである)を含むか、または有する。特定の実施形態では、X1は、Pyr、-(CH)q-CHまたは-(CF)q-CF、qは、0~11である、である。より具体的な実施形態では、それは、Pyrである。
【0097】
X2’、X3’およびX13’は、それぞれ独立して、天然または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはS、好ましくは、Nである。特定の実施形態では、X2’、X3’およびX13’は、それぞれ独立して、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、例えば、アリールで任意選択的に置換される、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、X2’、X3’およびX13’は、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、またはHisである。より具体的な実施形態では、X2’、X3’およびX13’は、それぞれ独立して、例えば、アリールで任意選択的に置換される、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~4である、である。より具体的な実施形態では、X2’およびX3’は、それぞれ独立して、Arg、アリール置換Arg(例えば、4ブロモベンゾイルなどの-C(O)-(C3-C8)アリール)、hArg、Nle、Leu、Ala、Val、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)またはアルファ-メチルフェニルアラニンである。より具体的な実施形態では、X2’、および/またはX3’は、それぞれ独立して、ArgまたはhArg(置換されているか、もしくは置換されていない(例えば、4ブロモベンゾイルで置換されたArg)であり、X13’は、Argである。
【0098】
X4’、X6’、X8’およびX12’は、それぞれ独立して、存在しないか、または任意の天然のアミノ酸、もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。より具体的な実施形態では、X4’、X6’、X8’およびX12’は、それぞれ独立して、-(CH)p-(C3-C8)アルキルまたは-(CH)p-(C3-C8)ヒドロキシアルキル、式中、pは、0~5である、である。より具体的な実施形態では、X4’、X6’、X8’およびX12’は、それぞれ独立して、Leu、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニン、Ala、Val、Ile、SerまたはThrである。より具体的な実施形態では、X4’、X6’、X8’およびX12’は、それぞれ独立して、Ser、NleまたはLeuである。より具体的な実施形態では、X4’および/またはX12’は、Serであり、および/またはX6’は、Nleであり、および/またはX8’は、Leuである。
【0099】
X5’およびX10’は、環を閉じ、同一または異なっており、脂肪族残基、アルケニル残基、酸残基または天然もしくは非天然のアミノ酸、あるいはその誘導体であり、これらの部分は任意選択的に置換される。特定の実施形態では、それらは、末端のアルケンまたは遊離カルボン酸もしくはアミン官能基を生じる残基である。特定の実施形態では、それらは、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Asp、Glu、アリルGly、Nα-アリル-アルギニン、Nπ-アリル-ヒスチジン、Nγ-アリル-Nγ-ノシル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、Nγ-アリル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、またはNγ-アリル-Nγ-メチル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸であり、それによって、環は、アミド架橋またはアルケンによって閉じられる。特定の実施形態では、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab、Dap、Asp、Glu、またはアリルGlyが存在し、環は、アミド架橋またはアルケンによって閉じられる。特定の実施形態では、X1’およびX4’のうちの一方は、Gluであり、他方は、Lysである。特定の実施形態では、それらは、LysおよびGluまたはGluおよびLysであり、
X7’、X15’およびX17’は、それぞれ独立して、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Pro、Aib、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、X7’、X15’およびX17’は、各々、Proである。
【0100】
X9’およびX11’は、それぞれ独立して、存在しないか、または天然もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはS、好ましくは、Nである。特定の実施形態では、X9’およびX11’は、それぞれ独立して、存在しないか、またはアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、X9’は、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、Hisであるか、または存在しない。より具体的な実施形態では、X9’およびX11’は、それぞれ独立して、存在しない、-(CH)p-イミダゾール、式中、pは、0~4である、またはHisである。
【0101】
X14’は、任意の天然のアミノ酸、または任意の合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、アルキル、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルであり、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSである。別の特定の実施形態では、X14’は、Nle、Leu、Ala、Ile、Val、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)またはアルファ-メチルフェニルアラニンであり、特定の実施形態では、X14’は、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、式中、pは、0~5である、またはAla、Val、Ile、Nle、もしくはLeuであり、
X16’は、アミノ酸であり、その側鎖は、-(CH)p-(C3-C8)アリールであり、アリールは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、ハロゲン、アミン、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルである。特定の実施形態では、X14’は、ブロモフェニルなどのPheまたはハロゲン置換Pheである。
【0102】
特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、以下の表IIIの化合物74~78および89~94のうちのいずれか一つである。別の特定の実施形態では、式(VII)の化合物は、以下の表IIIの化合物77、89、91、および94のうちのいずれか一つである。
【0103】
本開示は、式(VII)の化合物を含み、X1’~X16’の各々は、式(VIII)においてこれらの残基について上で提供されたより一般的またはより具体的な定義のいずれかを使用して独立して定義される。別の特定の実施形態では、化合物は、以下の式(VIII)を含むか、または有し、
c[X1’-X2’-X3’-X4’]c-X5’-X6’-X7’-X8’-X9’-X10’-X11’-X12’-X13’-X14’
式中、
X1’およびX4’は、環を閉じ、同一または異なっており、脂肪族残基、アルケニル残基、酸残基または天然もしくは非天然のアミノ酸、あるいはその誘導体であり、これらの部分は任意選択的に置換される。特定の実施形態では、それらは、末端のアルケンまたは遊離カルボン酸もしくはアミン官能基を生じる残基である。特定の実施形態では、それらは、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Asp、Glu、アリルGly、Nα-アリル-アルギニン、Nπ-アリル-ヒスチジン、Nγ-アリル-Nγ-ノシル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、Nγ-アリル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸、またはNγ-アリル-Nγ-メチル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸であり、それによって、環は、アミド架橋またはアルケンによって閉じられる。特定の実施形態では、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab、Dap、Asp、Glu、またはアリルGlyが存在し、環は、アミド架橋またはアルケンによって閉じられ、特定の実施形態では、X1’およびX4’のうちの一方は、Gluであり、他方は、Lysである。特定の実施形態では、それらは、LysおよびGluまたはGluおよびLysであり、
X2’、X3’、X8’およびX10’は、それぞれ独立して、天然または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはS、好ましくは、Nである。特定の実施形態では、X2’、X3’、X8’およびX10’は、それぞれ独立して、アミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、または-(CH)p-イミダゾール、式中、pは、0~4である、である。特定の実施形態では、X2’、X3’、X8’およびX10’は、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、またはHisである。より具体的な実施形態では、X2’、X3’、X8’およびX10’は、それぞれ独立して、-CH-(CH)p-グアニジン、または-(CH)p-イミダゾール、式中、pは、0~4である、である。別の特定の実施形態では、X2’、X3’およびX10’は、それぞれ独立して、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~4である、である。別の特定の実施形態では、X2’、X3’およびX10’は、それぞれ独立して、Arg、もしくはhArgであり、および/またはX8’は、Hisである。
【0104】
X5’、X7’、X9’、およびX11’は、それぞれ独立して、天然のアミノ酸、または合成のアミノ酸であり、その側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルであり、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである。別の特定の実施形態では、X5’、X7’、X9’、およびX11’は、それぞれ独立して、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、式中、pは、0~5である、である。別の特定の実施形態では、X5’、X7’、X9’、およびX11’は、それぞれ独立して、Leu、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニン、Ala、Val、Ile、SerまたはThrである。より具体的な実施形態では、X5’、X7’、X9’、およびX11’は、それぞれ独立して、Ser、Nle、LeuまたはValである。より具体的な実施形態では、X5’は、Nleであり、および/またはX7’は、Leuであり、および/またはX9’は、Serであり、および/またはX11’は、Valである。
【0105】
X6’、X12’およびX14’は、それぞれ独立して、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Pro、Aib、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)、好ましくは、ProまたはOicである。特定の実施形態では、X6’、X12’およびX14’は、各々、Proである。
【0106】
X13’は、アミノ酸であり、その側鎖は、-(CH)p-(C3-C8)アリールであり、アリールは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、ハロゲン、アミン、-OH、Sまたは(C1-C6)アルキルである。別の特定の実施形態では、それは、Pheまたはハロゲン置換Pheである。別の実施形態では、それは、Pheである。
【0107】
特定の実施形態では、式(VIII)の化合物は、以下の表IIIの化合物72および73のうちのいずれか一つである。より具体的な実施形態では、それは、化合物72である。
【0108】
式(VI)~(VIII)の特定の実施形態では、エラベラ(19~32)(配列番号85)の対応する残基とは異なる環を閉じる残基を除き、残基(例えば、上で定義された位置Xn、式中、nは、式(VI)および(VIII)において1~14、または式(VII)において1~17)のうちの少なくとも4個(または少なくとも5、6、7、8、9、10、11または12個)は、エラベラ(19~32)(配列番号85)の残基に対応する。例えば、化合物79は、エラベラ(19~32)(配列番号85)中の残基に対応する8個の残基を有する。
【0109】
他の特定の実施形態では、本開示の化合物は、エラベラ(19~32)PyrRRCMPLHSRVPFP(配列番号85)のマクロサイクル類似体に対応し、化合物は、環を閉じる位置での少なくとも二つの置換によって、ならびに少なくとも一つ(または2、3、4、5、6、7もしくは8つ)のさらなる置換、欠失および/または挿入によって、エラベラ(19~32)と異なる。これらの置換、欠失および/または挿入は、上記の式(VI)~(VIII)の様々なXnにおいて定義される。これらのXnとエラベラ(19~32)との間の対応は、上の表Cに示され、「[「および」]」の記号は、式(VI)~(VIII)の閉環残基の位置およびこれらの式を満たす本開示の化合物を示すために使用される。
【0110】
式(I)~(VIII)において、特に明記しない限り、二つのアミノ酸残基(天然または非天然)の間の結合は、ペプチド結合である。
【0111】
式(I)~(VIII)の別の特定の実施形態では、環閉鎖残基’のうちの一方はLys、Dap、Dab、Ornであり、他方は、GluまたはAspである。
【0112】
一実施形態では、閉環に使用される末端(天然または非天然)アミノ酸残基の一方は、閉環前に、その側鎖にアミンを有する(天然または非天然)アミノ酸であり、他方の末端は、閉環前に、その側鎖にカルボン酸を有する(天然または非天然)アミノ酸であり、アミンとカルボン酸が反応して、マクロラクタム化を介してアミドを形成する。より具体的には、末端(天然または非天然)アミノ酸残基のうちの一方は、閉環前に置換され得る。閉鎖後、カップリング剤によって活性化された側鎖カルボン酸は、他の残基の側鎖のアミノ基と反応して、例えば、マクロラクタマー化反応を使用してペプチド結合を形成する。
【0113】
本明細書で使用される場合、構造中の上で列挙された天然または非天然のアミノ酸または酸残基に関して「置換された」という用語は、ハロゲン(例えば、Cl、F、Br、I)、-OH、(C1-C6)アルキル、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、(C3-C6)アリール、(C3-C6)アリール(C1-C6)アルキル、(C3-C6)シクロアルキル、ヘテロ(C3-C6)アリール、ヘテロ(C3-C6)アリール(C1-C6)アルキル、ヘテロ(C3-C6)シクロ(C1-C6)アルキル、アミノ(C1-C6)アルキル、アミノ(C3-C6)アリール、アミノ(C3-C6)アリール(C1-C6)アルキル、アミノ(C3-C6)シクロアルキル、アミノヘテロ(C3-C6)アリール、アミノヘテロ(C3-C6)アリール(C1-C6)アルキル、またはアミノヘテロ(C3-C6)シクロ(C1-C6)アルキルによる置換を指す。
【0114】
特定の実施形態では、マクロサイクルのサイズは、14~24個の環原子(または15~23、16~22、17~20個)であり得る。特定の実施形態では、マクロサイクルのサイズは、17~20個の環原子であり得る。
【0115】
前述の化合物のすべてにおいて、残基(例えば、X1~Xn)は、LまたはD配置であってもよい。二つの残基の前述の組み合わせのすべてにおいて、それらは、L-L、L-D、D-L、またはD-D配置であってもよい。
【0116】
そのように制限されるものではないが、本開示の特定の化合物は、式(I)~(VIII)を満たす化合物を包含する。より具体的な実施形態では、本開示の化合物は、表I~IIIに列挙される化合物を包含する。
【0117】
化学基
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、指定範囲の炭素原子数を有する一価の直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指す。したがって、例えば、「(C1-12)アルキル」(または「C1-12アルキル」)は、ヘキシルアルキルおよびペンチルアルキル異性体ならびにn-、iso-、sec-およびt-ブチル、n-およびiso-プロピル、エチル、およびメチルのものを含む、最大12個の炭素原子の任意のアルキルを指す。別の例として、「(C1-4)アルキル」は、n-、iso-、sec-およびt-ブチル、n-およびイソプロピル、エチル、およびメチルを指す。別の例として、「C1-3アルキル」は、n-プロピル、イソプロピル、エチル、およびメチルを指す。アルキルは、アルキン(R-C≡C-R)、および/またはアルケン(R-C=C-R)を含む不飽和脂肪族炭化水素を含む。
【0118】
「ハロゲン」(または「ハロ」)という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素(フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードと代わりに称される)を指す。「ハロアルキル」という用語は、水素原子のうちの一つまたは複数が、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Brおよび/またはI)で置換されている、上で定義されたアルキル基を指す。したがって、例えば、「C1-10ハロアルキル」(または「C1-C6ハロアルキル」)は、一つまたは複数のハロゲン置換基を有する、上で定義されたC1~C10直鎖または分岐アルキル基を指す。「フルオロアルキル」という用語は、ハロゲン置換基が、フルオロに限定されることを除き、類似の意味を有する。適当なフルオロアルキルとしては、一連の(CH0-4CF(すなわち、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロ-n-プロピルなど)が挙げられる。
【0119】
「ヘテロアルキル」という用語は、当該技術分野で通常の意味を与えられ、一つまたは複数の炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、またはその誘導体など)で置換される、本明細書に記載されるアルキル基を指す。ヘテロアルキル基の例としては、アルコキシ、アルキル置換アミノ、チオール、例えば、メチオニン側基が挙げられるが、これらに限定されない。最大2個のヘテロ原子が、連続していてもよい。C2-6などの接頭辞が、ヘテロアルキル基を指すために使用されるとき、炭素の数(本実施例では、2~6)は、ヘテロ原子を同様に含むことを意味する。
【0120】
「アミノアルキル」という用語は、水素または炭素原子のうちの一つまたは複数が、窒素または非限定的にグアニジンなどのアミノ誘導体で置換されている、上で定義されたアルキル基を指す。したがって、例えば、「C1-6アミノアルキル」(または「C-Cアミノアルキル」)は、一つまたは複数のアミノ誘導体(例えば、NH、アミド、ジアジリン、アジドなど)を有する上で定義されたC~C直鎖または分岐アルキル基を指す。
【0121】
「チオアルキル」という用語は、水素または炭素原子のうちの一つまたは複数が、硫黄原子またはチオール誘導体で置換されている、上で定義されたアルキル基を指す。したがって、例えば、「C1-6チオアルキル」(または「C-Cチオアルキル」)は、一つまたは複数の硫黄原子またはチオール誘導体(例えば、S、SHなど)を有する上で定義されたC~C直鎖または分岐アルキル基を指す。
【0122】
アミノアルキルおよびチオアルキルは、ヘテロ原子が、炭素原子または水素原子を置き換えるのに応じて、「ヘテロアルキル」または置換アルキルという用語の特定の実施形態であり、それによって包含される。
【0123】
「シクロアルキル」という用語は、追加の(1~3)脂肪族(シクロアルキル)または芳香族環系と任意選択的に融合された飽和の3~8員環からなる飽和脂環式炭化水素を指し、各追加の環は、3~8員の環からなる。これは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル(cyp)(例えば、化合物38~41および63~65)、シクロヘキシル、ならびにシクロヘプタンを含むが、これらに限定されない。
【0124】
「ヘテロシクリル」という用語は、(i)N、O、およびSから独立して選択される1~3個のヘテロ原子を含有する4~7員の飽和ヘテロシクリル式環、または(ii)ヘテロ二環式環(例えば、ベンゾシクロペンチル、オクタヒドロインドール(例えば、化合物166))を指す。本開示の範囲内の4~7員の飽和ヘテロシクリル式環の例としては、例えば、アゼチジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、ピロリジニル、ピリジン、イミダゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラゾリジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、チアジナニル、チアゼパニル、アゼパニル、ジアゼパニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、およびジオキサニルが挙げられる。本開示の範囲内の4~7員の不飽和ヘテロシクリル式環の例としては、単結合が、二重結合で置換される(例えば、炭素と炭素の単結合が、炭素と炭素の二重結合で置換される)、前述の文に列挙される飽和ヘテロシクリル式環に対応する一価不飽和ヘテロシクリル式環が挙げられる。
【0125】
「C(O)」という用語は、カルボニルを指す。「S(O)」および「SO」という用語は、それぞれスルホニルを指す。「S(O)」という用語は、スルフィニルを指す。
【0126】
「アリール」という用語は、追加の(1~3)脂肪族(シクロアルキル)または芳香族環系と任意選択的に融合された3~8員環からなる芳香族(不飽和)化合物を指し、各追加の環は、3~8員環(アントラセン、インダン、Tic、3-ベンゾチエニルラニン、またはジヒドロインドールなど)からなる。特定の実施形態では、それは、フェニル、ベンゾシクロペンチル、またはナフチルを指す。
【0127】
「ヘテロアリール」という用語は、(i)チオフェニル、チエニル、ピリジンなどの、N、OおよびSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を含有する3、4、5、6、7、または8員のヘテロ芳香族環(より具体的には、3~7もしくは3~6員環)を指すか、あるいは(ii)インドリル、キノリニル、イソキノリニル、Tic、ジヒドロインドリルグリシンおよびキノキサリニルから選択されるヘテロ二環式環である。適当な3、4、5、および6員のヘテロ芳香族環としては、例えば、ジアジリン、ピリジル(ピリジニルとも呼ばれる)、ピロリル、ジアジン(例えば、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル)、トリアジニル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル(例えば、1、2、3トリアゾリル)、テトラゾリル(例えば、1、2、3、4テトラゾリル)、オキサゾリル、イソ-オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、およびイソチアゾリルが挙げられる。特に対象となるヘテロアリールは、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、キノリニル(またはキノリル)、イソキノリニル(またはイソキノリル)、およびキノキサリニルである。適当なヘテロ二環式環sとしては、インドリルが挙げられる。
【0128】
「アラルキル」、より具体的には、「(C4-C14)アラルキル」または「C4-14アラルキル」という用語は、本明細書では、1~7個のアルキルによって置換された3~7員環アリールを含む化合物を指す。特定の実施形態では、それは、ベンジルまたはフェネチルを指す。
【0129】
本明細書で使用される場合、別段指定されない限り、「アルキル」、「ハロアルキル」、「アミノアルキル」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクリル」、「アリール」、「ヘテロアルキル」および「ヘテロアリール」という用語ならびにそれらの特定の実施形態を示す用語(例えば、ブチル、フルオロプロピル、アミノブチル、シクロプロパン、モルホリン、フェニル、ピラゾールなど)は、これらの基の置換された実施形態(すなわち、ハロアルキルおよびアミノアルキルの場合、それぞれ、そのハロゲンおよび窒素置換基に加えて)ならびにこれらの基の置換されていない実施形態を包含する。ゆえに、例えば、「フェニル」という用語は、非置換フェニルならびにフルオロフェニル、ヒドロキシフェニル、メチルスルホニルフェニル(またはビフェニル)、ジフェニル、トリフルオロメチル-ジアジリン-フェニル、イソプロピル-フェニル、トリフルオロヒドロキシ-フェニルを包含する。同様に、ピラゾールという用語は、非置換ピラゾールならびにメチルピラゾールを包含する。一つまたは複数の置換基は、アミン、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-6アミノアルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6ハロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル基(など)であり得る。
【0130】
上で列挙された特定の環は、本開示で使用され得る環に対する制限ではないことは理解される。これらの環は、単に代表的なものである。
【0131】
特定の文脈において反対に明示的に記載されない限り、本明細書に記載される様々な環状環および環系のいずれかは、任意の環原子(すなわち、任意の炭素原子または任意のヘテロ原子)で化合物の残りの部分に付着してもよいが、但し、安定な化合物は、それから生じる。
【0132】
異性体、互変異性体および多形体
本明細書で使用される場合、「異性体」という用語は、光学異性体(エナンチオマー)、ジアステレオ異性体ならびに他の既知のタイプの異性体を含む立体異性体を指す。
【0133】
本開示の化合物は、少なくとも5個の不斉炭素原子を有し、したがって、光学的に純粋なエナンチオマー(光学異性体)の形態で、かつその混合物(ラセミ体)として存在し得る。別段指定されない限り、本開示は、本開示の化合物のラセミ体、エナンチオマーおよび/またはジアステレオ異性体ならびにその混合物を包含することが理解されるべきである。さらに、本発明の特定のマクロサイクル化合物は、環を閉じるアルケンを含む。こうした化合物は、ZおよびE異性体を有する。
【0134】
さらに明確にするために、(S)-Hまたは(S)-CHは、HまたはCH置換基を有する立体形成中心が(S)立体化学のものであることを示す。
【0135】
さらに、本開示は、すべての幾何異性体を包含する。例えば、本開示の化合物が、二重結合または縮合環を組み込むとき、シス形態とトランス形態の両方、ならびに混合物は、本開示の範囲内に包含される。
【0136】
本開示では、本開示の化合物は、互変異性現象を示してもよく、本明細書内の式図は、可能性のある互変異性形態のうちの一つのみを表し得ることは、理解されるべきである。本開示は、任意の互変異性形態を包含し、単に式図内で利用される任意の一つの互変異性形態に限定されるものではないことは、理解されるべきである。
【0137】
また、本開示の特定の化合物は、多型を示してもよく、本開示は、全てのそのような形態を包含することも理解されるべきである。
【0138】

本開示は、本明細書において上で定義された本開示の化合物ならびにその塩に関する。本明細書で用いられる場合、「塩」という用語は、無機塩基および/または有機塩基で形成される塩基性塩を意味する。医薬組成物で使用するための塩は、薬学的に許容される塩であるが、他の塩は、本開示の化合物の生成に有用であり得る。「薬学的に許容される塩」という用語は、それらが投与される対象に対して薬理学的に許容され、かつ実質的に無毒性である、本開示の化合物の塩を指す。より具体的には、これらの塩は、本開示の抗アテローム性動脈硬化症化合物の生物学的有効性および特性を保持し、適当な無毒性の有機酸もしくは無機酸または塩基から形成される。
【0139】
例えば、本開示の化合物が、十分に酸性である場合、本開示の塩は、無機塩基または有機塩基で形成される塩基塩を含む。こうした塩には、ナトリウム、リチウム、およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩およびコバルト塩などの金属塩、アンモニウムまたは例えば、トリメチルアンモニウム塩などの置換アンモニウムなどの無機アミン塩、ならびにクロロプロカイン塩、ジベンジルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン塩、エチルアミン塩(ジエチルアミン塩およびトリエチルアミン塩を含む)、エチレンジアミン塩、グルコサミン塩、グアニジン塩、メチルアミン塩(ジメチルアミン塩およびトリメチルアミン塩を含む)、モルホリン塩、モルホリン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、N-ベンジル-フェネチルアミン塩、N-メチルグルカミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、ピペラジン塩、ピペリジン塩、プロカイン塩、t-ブチルアミン塩、テトラメチルアンモニウム塩、t-オクチルアミン塩、トリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン塩、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩などの有酸塩基(例えば、有機アミン)を有する塩が挙げられる。好ましい塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムで形成される塩が挙げられる。
【0140】
こうした塩は、標準的な技術を使用して当業者によって日常的に形成され得る。実際に、塩への医薬化合物(すなわち、薬物)の化学修飾は、医薬化学者に周知の技術である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、H.Ansel et.al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(6th Ed.1995)pp.196および1456-1457を参照のこと)。本開示の化合物の塩は、例えば、塩が沈殿する媒体中またはその後凍結乾燥する水性媒体中などの媒体中、等量などの酸または塩基量と本開示の化合物を反応させることによって形成され得る。
【0141】
エステル
本開示は、本明細書において上で定義された本開示の化合物ならびにそのエステルに関する。本明細書で用いられる場合、「エステル」という用語は、カルボン酸がアルコールおよびカップリング試薬を使用してヒドロキシ基を対応するエステルに変換した本開示の化合物またはその塩を指す。医薬組成物で使用するためのエステルは、薬学的に許容されるエステルであるが、他のエステルは、本開示の化合物の生成に有用であり得る。
【0142】
「薬学的に許容されるエステル」という用語は、それらが投与される対象に対して薬理学的に許容され、かつ実質的に無毒性である、本開示の化合物のエステルを指す。より具体的には、これらのエステルは、本開示の抗アテローム性動脈硬化症化合物の生物学的有効性および特性を保持し、温血動物の血流中に吸収されたとき、親アルコール化合物を生成するような様式で切断するプロドラッグとして作用する。
【0143】
本開示の化合物のエステルは、とりわけ、以下の群(1)エステル基のカルボン酸部分の非カルボニル部分が、直鎖または分岐鎖状アルキル(例えば、エチル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチル、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、またはペンチル)、n-ヘキシル、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル、アセトキシメチル、および2,2-ジメチルプロピオニルオキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、ハロゲン、C1-4アルキル、またはC1-4アルコキシ、またはアミノで任意選択的に置換されるフェニル)から選択される、エステル化によって得られるカルボン酸エステルを含む。
【0144】
医薬化合物の送達のためのエステルの例および使用に関するさらなる情報は、参照により本明細書に組み込まれる、Design of Prodrugs.Bundgaard H ed.(Elsevier,1985)において入手可能である。また、全て参照により本明細書に組み込まれる、H.Ansel et.al.,1995 at pp.108-109;Krogsgaard-Larsen,1996 at pp.152-191;Jarkko Rautio,2008;および Pen-Wei Hsieh,2009も参照されたい。
【0145】
本開示の化合物は、DIC(ジイソプロピルカルボジイミド)などのカップリング剤およびNN-ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの塩基、およびメタノール(メチルエステル)、エタノール、長鎖アルコールまたはベンジルアルコール(ベンジルエステル)などのアルコールと反応することによって、エステルが分子の酸から形成されることを含む、様々な従来の手法によってエステル化され得る。当業者は、これら、ならびに酸のエステル化の他の公知の方法をどのように首尾よく行うかを容易に理解するであろう。
【0146】
本開示の化合物のエステルは、塩を形成し得る。この場合、これは、上記のような従来技術によって達成される。
【0147】
溶媒和物
本開示の化合物は、水、エタノールなどの溶媒を用いた非溶媒和物形態および溶媒和物形態で存在し得、本開示は、溶媒和物形態と非溶媒和物形態の両方を包含することが意図される。
【0148】
「溶媒和物」は、本開示の化合物と一つまたは複数の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を含む、様々な程度のイオン結合および共有結合を伴う。特定の例では、溶媒和物は、例えば、一つまたは複数の溶媒分子が、結晶性固体の結晶格子に組み込まれるときに、単離することができる。「溶媒和物」は、溶液相と単離可能な溶媒和物の両方を包含する。医薬組成物で使用するための溶媒和物は、薬学的に許容される溶媒和物であるが、他の溶媒和物は、本開示の化合物の生成に有用であり得る。
【0149】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される溶媒和物」という用語は、それらが投与される対象に対して薬理学的に許容され、かつ実質的に無毒性である、本開示の化合物の溶媒和物を指す。より具体的には、これらの溶媒和物は、本開示の抗アテローム性動脈硬化症化合物の生物学的有効性および特性を保持し、適当な無毒性の溶媒から形成される。
【0150】
適当な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール酸塩、メタノール酸塩など、ならびに溶媒分子がHOである溶媒和物である水和物が挙げられる。
【0151】
溶媒和物の調製は、一般的に公知である。したがって、例えば、参照により本明細書に組み込まれるCaira,2004は、酢酸エチル中および水からの抗真菌フルコナゾールの溶媒和物の調製を記載する。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの同様の調製物は、van Tonder,2004、Bingham,2001に記載されており、両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
溶媒和物を調製するための典型的な非限定的なプロセスは、所望の量の所望の溶媒(有機もしくは水、またはその混合物)中に周囲温度よりも高い温度で本発明の化合物を溶解すること、および結晶を形成するのに十分な速度で溶液を冷却し、次いで標準的な方法によって単離することを含む。例えば、IR分光法などの分析技術を使用して、結晶中の溶媒(または水)の存在を溶媒和物(または水和物)として示すことができる。
【0153】
組成物、組み合わせおよびキット
組成物
本開示はまた、本開示の上述の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルおよび溶媒和物、ならびに任意選択的に薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0154】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、生理学的に忍容性があり、典型的には、対象(例えば、ヒト)に投与されたとき、胃の不調、めまいなどのアレルギー性または類似の有害な反応を生じさせない分子実体および組成物を指す。好ましくは、本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、連邦もしくは州政府の規制当局によって承認されるか、または米国薬局方もしくは動物、より具体的にはヒトで使用するための他の一般的に認められている薬局方に列挙されることを意味する。
【0155】
「担体」という用語は、一緒に本開示の化合物が投与され得る希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。滅菌水または生理食塩水溶液ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液は、担体として、特に、注射溶液のために用いられてもよい。適当な医薬担体は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences” by E.W.Martinに記載されている。本開示の医薬組成物はまた、保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、臭気剤、浸透圧の変動のための塩、緩衝剤、コーティング剤または酸化防止剤などの賦形剤/担体を含有してもよい。
【0156】
一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、様々な適当な方法のうちの一つまたは複数を使用して、一つまたは複数の投与経路によって投与される。当業者によって理解されるように、投与経路および/または投与様式は、所望の結果に応じて変化するであろう。本明細書に開示される使用のための本開示の化合物の投与経路としては、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄または他の非経口投与経路、例えば、注射または注入による、が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される、「非経口投与」という語句は、通常、注射による経腸投与及び局所投与以外の投与様式を意味し、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下腔内、脊髄内、硬膜外及び胸骨内注射及び注入を含む。あるいは、本明細書に提供される本開示の化合物は、経口(例えば、米国特許第7,875,648 B2号からMeierを参照)、局所、表皮または粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、経口、膣内、直腸内、舌下もしくは局所などの非経口経路によって投与される。
【0157】
このように限定されないが、本開示の化合物/医薬組成物が経口投与されるとき、それは、例えば、座薬を使用して直腸、例えば、軟膏、クリーム、ゲルもしくは溶液を使用して、局所、局所、もしくは経皮的、または非経口、例えば、注射液を使用して、静脈内、筋肉内、皮下、くも膜下腔内もしくは経皮による、錠剤、被覆錠剤、糖剤、硬質もしくは軟質ゼラチンカプセル剤、溶液、乳液または懸濁液の形態をとり得る。さらに、投与は、舌下、経鼻、または眼科調製物もしくはエアロゾルとして、例えば、鼻スプレーなどのスプレーの形態で行われ得る。
【0158】
本開示の化合物は、医薬調製物で一般的に用いられるビヒクルのいずれかと併せて投薬形態に組み込まれてもよい。適切な製剤を調製する方法は、当該技術分野で周知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Ed.,1980,A.Oslo Ed.,Easton,Paを参照のこと)。一般的な薬学的に許容される担体としては、滅菌水溶液または非水溶液、懸濁液、およびエマルションが挙げられるが、これらに限定されない。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、および注射用有機エステルが挙げられるが、これらに限定されない。水性担体としては、水、アルコール、生理食塩水、および緩衝溶液が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される担体はまた、生理学的に許容される水性ビヒクル(例えば、生理食塩水)または特定の投与経路に適した他の既知の担体を含み得る。
【0159】
錠剤、被覆錠剤、糖剤または硬質ゼラチンカプセル剤の調製のため、本開示の化合物は、任意の公知の医薬的に不活性な無機もしくは有機の賦形剤および/または担体と混合されてもよい。適当な賦形剤/担体の例としては、ラクトース、メイズスターチまたはその誘導体、タルクもしくはステアリン酸またはその塩が挙げられる。軟質ゼラチンカプセル剤で使用するための適当な賦形剤としては、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体または液体ポリオールなどが挙げられる。しかしながら、有効成分の性質によると、軟質ゼラチンカプセル剤には賦形剤が全く必要とされない場合がある。溶液およびシロップの調製のため、使用され得る賦形剤としては、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖およびグルコースが挙げられる。
【0160】
座薬、および局所または経皮適用のために、使用され得る賦形剤としては、例えば、天然または硬化油、ワックス、脂肪および半固体または液体ポリオールが挙げられる。
【0161】
非経口投与が投与経路として選択される場合、本開示の化合物を含有する調製物は、薬学的に許容される滅菌の水性溶媒もしくは非水性溶媒、懸濁液またはエマルションと組み合わせて患者に提供され得る。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、魚油、および注射用有機エステルである。水性担体としては、水、水性アルコール溶液、エマルションまたは生理食塩水を含む懸濁液ならびに塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース溶液、デキストロース+塩化ナトリウム溶液、ラクトースを含有するリンゲル溶液、または不揮発性油を含む緩衝医療非経口ビヒクルが挙げられる。静脈内ビヒクルは、液体および栄養補給剤、リンゲルデキストロースに基づくものなどの電解質補充剤などを含み得る。
【0162】
医薬/医薬組成物はまた、保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、臭気剤、浸透圧の変動のための塩、緩衝剤、コーティング剤または酸化防止剤を含有してもよい。それらはまた、他の治療活性薬剤を含有してもよい。
【0163】
活性化合物は、一部の実施形態では、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤などの急速放出から化合物を保護する担体を用いて調製されてもよい。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生分解性の生体適合性ポリマーが使用される。そのような製剤の調製のための多くの方法は、当業者に特許取得されているか、または一般的に公知である。例えば、Sustain and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照されたい。一部の実施形態では、治療用組成物は、当該技術分野で既知の医療装置を用いて投与される。例えば、一実施形態では、本明細書に提供される治療用組成物は、無針の皮下注射装置で投与される。
【0164】
任意の量の医薬組成物を対象に投与することができる。投与量は、患者の年齢および要件ならびに適用方法を含む多くの要因に依存する。典型的には、単回用量内に含有される本開示の化合物の量は、有意な毒性を誘発することなく、処置、遅延または予防されるべき疾患または状態を有効に予防、遅延または処置する量である。ゆえに、本開示の特定の化合物またはその組成物の「治療有効量」または「有効量」または「治療有効用量」は、対象における疼痛および/または体温の低減をもたらし得る。静脈内投与、または経口投与は、好ましい使用形態である。
【0165】
本開示の化合物の有効量も、直接測定され得る。有効量は、毎日もしくは毎週、またはその分数で与えられてもよい。典型的には、本開示の医薬組成物は、一日当たり体重1kg当たり約0.001mg~最大約500mg(例えば、10mg、50mg、100mg、または250mg)の量で投与することができる。投薬量は、単回または複数回の投与レジメンのいずれかで提供され得る。例えば、一部の実施形態では、有効量は、一日当たり約1mg~約25グラムの組成物、一日当たり約50mg~約10グラムの組成物、一日当たり約100mg~約5グラムの組成物、一日当たり約1グラムの組成物、一週間当たり約1mg~約25グラムの組成物、一週間当たり約50mg~約10グラムの組成物、一日おきに約100mg~約5グラムの組成物、および一週間に一回、約1グラムの組成物の範囲であり得る。
【0166】
実際の用量は、各患者に特有の臨床的因子に基づいて担当医によって注意深く選択され、滴定されなければならないため、これらは単にガイドラインである。最適な一日用量は、当該技術分野で公知の方法によって決定され、患者の年齢などの因子および他の臨床的に関連する因子によって影響を受ける。さらに、患者は、他の疾患または状態のための医薬を服用している場合がある。他の薬剤は、本開示の医薬組成物が、患者に投与される時間中に継続され得るが、そのような場合、有害な副作用が経験されるかどうかを決定するために低用量で開始することが特に推奨される。
【0167】
組み合わせ
別の態様によれば、本明細書に記載される化合物のうちの少なくとも一つの、本明細書に記載される化合物の別の化合物および/または別の薬物との組み合わせが提供される。
【0168】
キット
本開示の別の態様によれば、本明細書に定義される化合物または上述の組成物、および心血管疾患の予防または処置においてそれを使用するための指示書を含むキットが提供される。
【0169】
キットの特定の実施形態では、キットは、(i)本明細書に記載される化合物のうちの少なくとも一つ、(ii)心血管疾患の予防もしくは処置のための別の薬物、(iii)心血管疾患の予防もしくは処置にそれを使用するための指示書、または(iv)(i)~(iii)のうちの少なくとも二つの組み合わせを含む。
【0170】
方法
本開示はまた、式(I)および(II)のうちのいずれか一つの化合物の有効量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における心血管疾患またはその症状を予防または処置する方法に関する。
【0171】
本明細書で使用される場合、「心血管疾患」という用語は、心不全、肺動脈高血圧、敗血症における心機能障害、心虚血、および脳虚血を指すが、これらに限定されない。
【0172】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒトまたはペットまたは他の動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマなどのペット、およびウシ、魚、ブタ、家禽など)などの動物を指すが、これらに限定されない。
【0173】
本明細書で使用される場合、「それを必要とする対象」という用語は、本開示の化合物または組成物の有効量を受けることから利益を得るであろう対象を指す。疼痛を予防または処置する方法の文脈において、それは、心血管疾患を経験している、または経験するリスクがある対象を指す。
【0174】
本開示を記述する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)「a」および「an」および「the」という用語、ならびに類似の参照語の使用は、本明細書において別段示されない、または文脈によって明確に矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。
【0175】
「含むこと」、「有すること」、「含むこと」および「含有すること」という用語は、別段記載されない限り、オープンエンドな用語(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。
【0176】
本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書に別段示されない限り、その範囲内に収まる各別個の値に個別に言及する簡潔な方法として機能することを単に意図されており、各別個の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。範囲内の値の全てのサブセットも、それらが、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0177】
本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別段示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適当な順序で行うことができる。
【0178】
本明細書に提供される任意およびすべての例、または例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、単に本開示をより良く明らかにすることを意図しており、別段請求されない限り、本開示の範囲に制限をもたらさない。
【0179】
本明細書中のいかなる文言も、本開示の実施に必須である任意の非請求要素を示すと解釈されるべきではない。
【0180】
ゆえに、「約」という用語は、その通常の意味を有する。一実施形態では、それは、資格を有する数値の±10%を意味し得る。
【0181】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0182】
本開示の他の目的、利点および特徴は、添付図面を参照して例示的にのみ与えられる、その特定の実施形態の以下の非制限的な説明を読み取ると、より明らかになるであろう。
【0183】
本開示は、以下の非限定的な実施例によってさらに詳細に説明される。
【0184】
実施例1:材料および方法
試薬および機器
すべてのアミノ酸、HATU、DEPBT、DIPEA、ピペリジン、DIADおよびトリフェニルホスフィンを、Chem-Impex(Illinois、USA)から購入した。Wang樹脂(容量0.4~0.7mmol/g)を、Rapp-ポリマー(Tuebingen、Germany)から注文した。第2世代のホベイダ-グラブス触媒を、Sigma-Aldrich(Ontario、Canada)から入手した。他の溶媒および試薬を、Fischer Scientific(オンタリオ、カナダ)から購入し、受領時に使用した。
【0185】
薄層クロマトグラフィー(TLC)を、シリカゲル60F254(Merck、Darmstadt、Germany)で予めコーティングしたガラスプレート上で行い、紫外線(254nm)およびKMnO噴霧で可視化した。有機分子の精製を、Biotage Isolera Oneシステム(Charlotte、North Carolina、US)を使用したフラッシュクロマトグラフィーによって行った。高解像度エレクトロスプレー質量分析(HRMS)データを、maXis ESI-Q-Tof装置(Billerica、USA)を用いて記録した。分析LCを、Waters(Milford、USA)のUPLC-MSシステム(1.7μm粒子を充填したカラムAcquity UPLC(登録商標)CSH(商標)C18(2.1×50mm))を使用して行った。Hおよび13C NMRスペクトル(298K)を、それぞれ、Bruker Ascend 400で400MHzおよび100MHzまたはBruker 600MHz Varian INOVA分光計で600MHzにて記録した。化学シフトは、百万分率(ppm)である。残留溶媒シグナルを、内部標準として使用した。
【0186】
Fmocベースのアミノ酸合成
α-Fmoc-(Nπ-アリル)-L-ヒスチジン-OHの合成。
メチルNα-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-Nτ-トリチル-L-ヒスチジネート(Fmoc-L-His(Trt)-OMe 103)。30mLのDCM中のFmoc-L-His(Trt)-OH(1当量、3.1g、5mmol)および1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール一水和物(HOBt・HO、1.1当量、1.05g、5.5mmol)の懸濁液に、1-エチル-2-ジアミノプロピル-カルボジイミンクロリド(EDC・HCl、1.1当量、743mg、5.5mmol)を添加した。少量のMgSO4(約100mg)を添加して水を吸収し、混合物を、室温で10分間撹拌した。メタノール(1mL)を添加し、反応を室温で一晩行った。有機相を水で二回、ブラインで一回洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した。有機溶媒を真空下で除去し、生成物を、溶出剤としてDCM-MeOH(95:5)を使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。生成物を、白色の固体、2.33g、収率73%として得た。生成物の特徴は、報告された特徴(Ahn et al.,2013)と同一である。
【0187】
メチルNα-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-Nπ-アリル-L-ヒスチジネート(Nα-Fmoc-(Nπ-アリル)-L-ヒスチジン-OMe 104)。-78℃で予め冷却した26mLのDCM中の新たに蒸留したTfO(1.1当量、686μL、4.0mmol)の溶液に、18mLのDCM中のアリルアルコール(1.1当量、278μL、4.0mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、1.2当量、855μL、4.4mmol)の混合物を添加した(15分間滴下した)。反応混合物を、-78℃で30分間撹拌し、-78℃で予冷却した30mLのDCM中に溶解したFmoc-His(Trt)-OMe(1当量、2.32g、3.7mmol)の溶液にゆっくりと移した。10分後、反応混合物を室温まで加温し、室温で一晩撹拌した。残留酸を、10mLの飽和NaHCOと激しく混合することによって中和した。有機相を飽和NaHCOで二回洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。20mLのDCM中のTFA/TIPS(2mL/0.5mL)の溶液で室温で2時間粗生成物を処理することによって、トリチル基を切断した。混合物を蒸発乾固させ、残留酸を40mLの飽和NaHCOで中和し、生成物をEtOAcで抽出した。DCM-MeOH(10CV中0→10%MeOH勾配)を用いたフラッシュクロマトグラフィーを使用して、精製を行った。生成物を、白色の泡沫、1.1g、収率70%として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)8.58(s,1H),7.74(d,J=7.5Hz,2H),7.55(d,J=7.3Hz,2H),7.38(t,J=7.4Hz,2H),7.29(t,J=7.4Hz,2H),7.18(s,1H),6.09(d,J=7.2Hz,1H,プロトンアミド),5.96-5.76(m,1H),5.36(d,J=10.2Hz,1H),5.16(d,J=17.0Hz,1H),4.76-4.60(m,2H),4.59-4.49(m,1H),4.37(d,J=5.5Hz,2H),4.16(t,J=6.5Hz,1H),3.75(s,3H),3.28-3.05(m,2H).13C NMR(101MHz,CDCl)δ(ppm)170.64,156.16,143.66,143.59,141.41,135.31,129.86,129.78,127.95,127.25,125.09,121.37,120.15,119.42,67.27,53.21,52.85,49.13,47.09,26.35.HRMS[M+Na]:454.1750(計算値454.1737)。
【0188】
α-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-Nπ-アリル-L-ヒスチジン(Nα-Fmoc-(Nπ-アリル)-L-ヒスチジン-OH 105)。27mLのジオキサン中のNα-Fmoc-(Nπ-アリル)-L-ヒスチジン-OMe(602mg、1.4mmol)の溶液に、27mLのHCl 2Mを添加し、混合物を10時間還流した。溶液を、NaOH 1Mを使用してpH6に中和した。この混合物をDCMで二回抽出した。TLCを使用して、抽出プロセスの完了をモニターした。合わせた有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した。有機溶媒を真空下で除去し、粗生成物を、溶出剤としてDCM-MeOHを使用したフラッシュクロマトグラフィー(10CV中勾配5%→20%MeOH+1%AcOH)によって精製した。生成物450mg、収率77%を得た。H NMR(400MHz,MeOD-d4)δ(ppm)8.91(s,1H),7.78(d,J=7.5Hz,2H),7.62(t,J=6.8Hz,2H),7.38(t,J=7.4Hz,2H),7.35-7.25(m,3H),6.04(ddd,J=22.4,10.8,5.6Hz,1H),5.40(d,J=10.3Hz,1H),5.24(d,J=17.1Hz,1H),4.87(d,J=4.5Hz,2H),4.53(dd,J=9.4,4.6Hz,1H),4.37(d,J=6.7Hz,2H),4.18(t,J=6.6Hz,1H),3.38-3.30(m,1H),3.10(dd,J=15.9,9.6Hz,1H).13C NMR(101MHz,MeOD-d4)δ(ppm)173.27,158.40,145.16,145.07,142.60,136.54,132.85,132.08,128.83,128.16,126.12,120.96,119.36,67.88,53.63,50.24,48.36,26.82.HRMS[M+Na]:418.1759(計算値418.1759)。
【0189】
Tyr(OBn)類似体の合成および特徴決定
(S)-2-アミノ-3-(3-シクロペンチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン酸(cypTyr 107)。L-チロシン(1当量、4.0g、22mmol)を含有する250mLの丸底フラスコに、HPO 85%(7.8当量、20mL、173mmol)および3mLのシクロペンタノール(1.5当量、2.9g、33mmol)を添加し、懸濁液を撹拌し、100℃で一晩加熱した。16時間後、反応混合物を冷却し、100mLの氷水中に希釈し、酸をKOH(15.6当量、19.3g、345mmol)で中和した。NaHCOをpH5~7まで添加して、生成物を沈殿させた。沈殿物を濾過し、冷水で洗浄した。固体をドラフト下で1日間乾燥させて、モノアルキル化チロシンとジアルキル化チロシンとの混合物として4.96gの粗生成物(オフホワイト色の固体)を送達し、これを次の工程でそのまま使用した。
【0190】
メチル(S)-2-アミノ-3-(3-シクロペンチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロパノエート(cypTyr-OMe、108)。化合物107(4.0g)の粗混合物を、不活性雰囲気下で250mLの丸底フラスコ内の無水メタノール(73当量、45mL、1.1mol)中に溶解させた。溶液を0℃まで冷却し、次いで塩化チオニル(3当量、3.3mL、46mmol)をフラスコにゆっくりと添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。15時間後、メタノールを減圧下で蒸発させ、混合物を冷飽和NaHCO(15mL)で希釈した。生成物を、酢酸エチル(EtOAc、各20mL)で三回抽出した。合わせた有機相をブライン(20mL)で一回洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過した。EtOAcを減圧下で蒸発させて、3.85gの茶橙色の油を得た。得られた生成物を、順相シリカゲルカートリッジ上のDCM中の0→7%MeOHの勾配溶出を伴うフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製した。モノアルキル化生成物およびジアルキル化生成物を完全に分離し、モノアルキル化生成物15を、透明な粘着性の油(1.2g)、収率26%(2工程)として得た。H NMR(400MHz,MeOD-d4)δ(ppm)6.93(d,J=2.0Hz,1H),6.79(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),6.67(d,J=8.4Hz,1H),3.67(s,3H),3.64(t,J=6.4Hz,1H),3.32-3.22(m,1H),2.92-2.81(m,2H),2.03-1.94(m,2H),1.86-1.50(m,6H).13C NMR(101MHz,MeOD-d4)δ(ppm)176.6,155.4,133.8,12.9,128.6,128.4,116.1,56.9,52.5,41.2,40.6,34.2,34.1,26.6。
【0191】
メチル(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(3-シクロペンチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロパノエート(Boc-cypTyr-OMe 109)。化合物108(1当量、1.2g、0.7mmol)を、250mLの丸底フラスコ中のTHF/HO(1:1)の30mL混合物中に溶解した。NaHCO(2当量、114mg、1.4mmol)をフラスコに添加し、完全に溶解するまで撹拌した。ジ-tert-ブチル-ジカルボネート(1.5当量、223mg、1.0mmol)を添加し、反応を室温で1時間実行した。溶液を中和するために、HCl水溶液1M(1.4mL、1.4mmol)を添加し、THFを真空中で蒸発させた。最終生成物を、水相からEtOAc(各々20mL)で三回抽出した。合わせた有機相をブライン(20mL)で一回で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液を濾過し、溶媒を真空中で除去した。生成物を、ヘキサン中の20→30%EtOAcの勾配を使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、16を、淡黄色の油(1.64g)、収率84%として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)6.90(d,J=2.0Hz,1H),6.77(dd,J=8.1,2.2Hz,1H),6.64(d,J=8.0Hz,1H),4.99(d,J=8.2Hz,1H),4.54(dd,J=13.7,5.7Hz,1H),3.71(s,3H),3.28-3.14(m,1H),3.00(d,J=5.2Hz,2H),2.10-1.93(m,2H),1.86-1.73(m,2H),1.73-1.63(m,2H),1.61-1.51(m,2H),1.42(s,9H).13C NMR(101MHz,CDCl)δ(ppm)172.76,155.33,152.92,132.27,128.07,127.56,127.38,115.41,80.14,54.64,52.35,38.94,37.74,33.07,33.02,28.43,25.49。
【0192】
メチル(S)-3-(4-(ベンジルオキシ)-3-シクロペンチルフェニル)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-プロパノエート(Boc-cypTyr(OBn)-OMe 110)。化合物109(1当量、203mg、559μmol)を乾燥アセトニトリル(5mL)中に溶解し、KCO(1.2当量、92.6mg、670μmol)を混合物に添加し、続いて臭化ベンジル(1.3当量、130mg、760μmol)を添加した。混合物を18時間還流させた。反応が完了した後、アセトニトリルを真空中で蒸発させた。粗生成物を15mLのEtOAc中に再溶解し、水(各15mL)で3回および20mLのブラインで洗浄した。有機相を収集し、MgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物を、ヘキサン-EtOAc(8:2)を均一温度の溶出液として使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、透明な粘着性の油(158mg)、収率58%を得た。H NMR400MHz,CDCl)δ(ppm)7.42-7.24(m,5H),6.95(d,J=1.8Hz,1H),6.86(dd,J7.8,1.5Hz,1H),6.80(d,J=8.4Hz,1H),5.04(s,2H),4.95(d,J=8.1Hz,1H),4.54(q,J=7.7Hz,1H),3.70(s,3H),3.38(quint,J=8.4Hz,1H),3.02(m,2H),2.01(m,2H),1.79-1.50(m,6H),1.42(s,9H).13C NMR(101MHz,CDCl)δ(ppm)172.7,155.8,155.3,137.7,135.3,128.7,128.1,128.0,127.9,127.8,127.3,111.9,80.0,70.3,54.7,52.4,39.1,37.8,33.2,28.5,25.7。
【0193】
メチル(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(3-シクロペンチル-4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-プロパノエート(Boc-cypTyr(OCyp)-OMe 111)。109(1.00g、2.77mmol)から、110の合成と同様のプロトコルを使用して、111(640mg、1.48mmol、収率54%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)6.89(s,1H),6.83(d,J=7.6Hz,1H),6.71(d,J=8.0Hz,1H),5.05-4.84(m,1H),4.82-4.64(m,1H),4.60-4.41(m,1H),3.69(s,3H),3.21(quint,J=7.6Hz,1H),2.99(d,J=4.4Hz,2H)2.08-1.28(m,25H).13C NMR(101MHz,CDCl)δ(ppm)172.7,155.2,155.0,135.3,128.1,127.1,126.9,112.4,79.9,79.1,54.6,52.3,39.5,37.7,33.0,32.9,28.5,25.7,24.2。
【0194】
メチル(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(3-シクロペンチル-4-プロポキシフェニル)-プロパノエート(Boc-cypTyr(OPr)-OMe 112)。109(900mg、2.48mmol)から、110の合成と同様のプロトコルを使用して、112(521mg)、収率52%を得た。1H NMR(600MHz,CDCl)δ(ppm)6.90(d,J=1.2Hz,1H),6.84(dd,J=8.4Hz,1.8Hz,1H),6.71(d,J=8.4Hz,1H),4.92(d,J=7.8Hz,1H),4.51(q,J=7.8Hz,1H),3.87(t,J=5.4Hz,2H),3.69(s,3H),3.28(quint,J=8.4Hz,1H),2.99(d,J=6.6Hz,2H),2.01-1.93(m,2H),1.79(sext,J=6.0Hz,2H)1.76-1.70(m,2H),1.68-1.48(m,4H),1.40(s,9H),1.02(t,J=7.2Hz,3H).13C NMR(101MHz,CDCl)δ(ppm)172.7,156.2,155.3,135.0,128.0,127.4,127.3,111.4,80.0,69.8,54.7,52.4,39.3,37.8,33.1,28.5,25.8,23.0,11.0。
【0195】
(S)-3-(4-(ベンジルオキシ)-3-シクロペンチルフェニル)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-プロパン酸(Boc-cypTyr(OBn)-OH 113)。10mLのTHF中の化合物110(921mg、2.03mmol)の溶液に、LiOH(583mg、24.4mmol、10mLの水中に予め溶解)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。変換が完了すると(TLCに続く)、pHをHCl 1Mで5に調整し、THFを真空中で除去した。水相のpHを2に調整し、生成物を酢酸エチル(各20mL)で三回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で除去して、白色固体(860mg)、収率96%を得た。生成物は、精製することなく次の工程へと継続するのに十分に純粋である。H NMR(400MHz,CDCl),δ(ppm)7.46-7.36(m,4H),7.36-7.29(m,1H),6.95(d,J=7.8Hz,1H),6.83(d,J=8.3Hz,1H),5.06(s,2H),4.95(d,J=7.9Hz,1H),4.60(dd,J=12.4,5.6Hz,1H),3.50-3.31(m,1H),3.22-2.96(m,2H),2.09-1.95(m,2H),1.84-1.72(m,2H),1.71-1.55(m,4H),1.49-1.28(m,10H).13C NMR(101MHz,CDCl)δ(ppm)177.05,155.80,155.46,137.61,135.32,128.63,128.14,127.84,127.77,127.34,127.26,111.92,80.29,77.48,77.16,76.84,70.23,54.46,39.05,37.23,33.10,28.42,25.61。
【0196】
(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(3-シクロペンチル-4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-プロパン酸(Boc-cypTyr(OCyp)-OH 114)。111(640mg、1.48mmol)から、113の合成と同じプロトコルを使用して、114(656mg、1.57mmol、100%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)6.98(s,1H),6.92(d,J=7.9Hz,1H),6.75(d,J=8.4Hz,1H),4.91(d,J=7.9Hz,1H),4.74(p,J=4.0Hz,1H),4.56(d,J=6.6Hz,1H),3.32-3.17(m,1H),3.16-2.91(m,2H),1.95(dd,J=10.3,5.3Hz,2H),1.90-1.82(m,4H),1.81-1.71(m,4H),1.70-1.59(m,4H),1.59-1.50(m,2H),1.48-1.28(m,9H).13C NMR(101MHz,CDCl)δ(ppm)177.03,155.52,155.03,135.42,128.20,127.13,126.71,112.48,80.29,79.11,54.49,39.56,37.16,33.03,32.85,28.42,25.71,24.16。
【0197】
(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(3-シクロペンチル-4-プロポキシフェニル)-プロパン酸(Boc-cypTyr(OPr)-OH 115)。112(521mg、1.28mmol)から、113の合成と同じプロトコルを使用して、115(467mg、1.19mmol、収率93%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)6.97(s,1H),6.91(d,J=8.0Hz,1H),6.72(d,J=8Hz,1H),4.94-4.79(m,1H),4.57-4.45(m,1H),3.88(t,J=6Hz,2H),3.29(quint,J=8Hz,1H),3.13-2.91(m,2H),2.05-1.89(m,2H),1.85-1.46(m,8H),1.40(s,9H),1.02(t,J=7.6Hz,3H).13C NMR(101MHz,CDCl),δ(ppm)177.0,156.3,155.6,135.1,128.2,127.4,127.2,111.5,80.4,69.8,54.6,39.4,37.3,33.1,28.5,25.8,23.0,11.0。
【0198】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(4-(ベンジルオキシ)-3-シクロペンチルフェニル)-プロパン酸(Fmoc-cypTyr(OBn)-OH 116)。化合物113(1当量、860mg、1.96mmol)を、20mLの混合物TFA-DCM(1:1)中に溶解し、室温で2時間撹拌した。TFAおよびDCMを真空中で蒸発させて、緑茶色の固体を得た。残留酸を飽和NaHCO溶液で中和し、20mLのTHFを添加して、固体残渣を可溶化した。NaHCO(3当量、493mg、5.87mmol)を10mLの水中に溶解させ、混合物に添加し、続いてFmoc-Cl(1.1当量、607mg、2.07mmol)を添加した。反応を室温で2時間実行した。THFを真空中で蒸発させ、水相をpH3までHCl水溶液1Nで酸性化し、EtOAc(15mL)で3回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させた。有機物を真空中で蒸発させて、粗生成物を得た。生成物を、ヘキサン中の0~30%EtOAc+0.25%AcOHの勾配を使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色の油(752mg)、収率(68%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl),δ(ppm)7.76(d,J=7.5Hz,2H),7.55(t,J=7.9Hz,2H),7.46-7.27(m,10H),7.06(s,1H),6.91(d,J=8.2Hz,1H),6.81(d,J=8.3Hz,1H),5.20(d,J=8.2Hz,1H),5.03(s,2H),4.69(dd,J=13.5,5.8Hz,1H),4.46-4.32(m,2H),4.20(t,J=7.0Hz,1H),3.45-3.31(m,1H),3.17(dd,J=14.1,5.3Hz,1H),3.09(dd,J=14.0,6.1Hz,1H),2.01(s,2H),1.82-1.69(m,2H),1.68-1.51(m,5H).13C NMR(101MHz,CDCl),δ(ppm)176.67,155.94,143.89,143.85,141.42,137.53,135.49,128.65,127.99,127.88,127.42,127.39,127.29,127.24,127.20,125.23,120.13,111.99,70.22,67.33,54.81,47.24,39.13,37.27,33.13,25.62,25.60.HRMS[M+Na]584.2405(計算値584.2407)。
【0199】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(3-シクロペンチル-4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-プロパン酸(Fmoc-cypTyr(OCyp)-OH 117)。114(600mg、1.44mmol)から、116の合成と同様のプロトコルを使用して、117(321mg、593μmol、収率41%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)7.76(d,J=7.5Hz,2H),7.56(t,J=7.9Hz,2H),7.40(t,J=7.4Hz,2H),7.30(t,J=7.4Hz,2H),7.01(s,1H),6.90(d,J=8.1Hz,1H),6.74(d,J=8.3Hz,1H),5.22(d,J=8.2Hz,1H),4.79-4.64(m,2H),4.38(t,J=6.9Hz,2H),4.21(t,J=7.0Hz,1H),3.30-2.93(m,3H),2.03-1.91(m,2H),1.85(d,J=4.6Hz,4H),1.82-1.71(m,4H),1.70-1.59(m,4H),1.60-1.48(m,2H).13C NMR(101MHz,CDCl)δ(ppm)176.79,155.97,155.15,143.91,141.41,135.54,128.06,127.84,127.19,126.40,125.25,120.10,112.52,79.11,67.33,54.82,47.24,39.63,37.23,33.02,32.86,25.71,25.68,24.17.HRMS[M+H]540.2762(計算値540.2745)。
【0200】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(3-シクロペンチル-4-プロポキシフェニル)-プロパン酸(Fmoc-cypTyr(OPr)-OH 118)。115(467mg、1.19mmol)から、116の合成と同様のプロトコルを使用して、118(438mg、853μmol、収率71%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)7.76(d,J=7.6Hz,2H),7.55(t,J=7.8Hz,2H),7.40(t,J=7.4Hz,2H),7.30(t,J=7.4Hz,2H),7.02(s,1H),6.91(d,J=8.2Hz,1H),6.73(d,J=8.3Hz,1H),5.19(d,J=8.2Hz,1H),4.68(dd,J=13.6,5.8Hz,1H),4.43-4.33(m,2H),4.20(t,J=7.0Hz,1H),3.88(t,J=6.3Hz,2H),3.39-3.24(m,1H),3.16(dd,J=14.1,5.3Hz,1H),3.08(dd,J=14.0,6.2Hz,1H),2.09-1.90(m,2H),1.87-1.71(m,4H),1.70-1.61(m,2H),1.60-1.50(m,2H),1.04(t,J=7.4Hz,3H).13C NMR(101MHz,CDCl)δ(ppm)176.65,156.32,155.97,143.90,141.41,135.11,127.91,127.85,127.34,127.20,126.78,125.24,120.11,111.42,69.65,67.34,54.83,47.24,39.33,37.26,33.02,25.66,25.63,22.89,10.94.HRMS[M+H]514.2602(計算値514.2588)。
【0201】
固相合成の一般的なプロトコル
実施例2~4に提供されるより具体的なプロトコルに従い、以下は、本明細書に開示した類似体の固相合成のための一般的なプロトコルを提供する。
【0202】
ペプチドを、Fmocベースの化学を使用して0.1mmolスケールで固相で合成した。第一のアミノ酸を、光延反応を使用して樹脂に充填した。簡潔に述べると、アミノ酸(0.3当量、0.3mmol)、トリフェニルホスフィン(3当量、0.3mmol、79mg)および300mgのWang樹脂を、4mLのDCM中で5分間一緒に混合した。ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、3当量、0.3mmol、59μL)を滴下して加え、混合物を一晩振盪した。過剰な試薬を、5mLのDCMで二回洗浄することによって除去した。アミノ酸負荷量を、Fmoc脱保護から生じるジベンゾフルベン-ピペリジン付加物のUV吸光度を測定することによって定量化した。負荷量は、通常、0.25~0.35mmol/gであった。所望の負荷量が達成されたとき、樹脂を、4mLのDCM-無水酢酸-DIPEA(4:1:0.2)の溶液で1時間キャップした。樹脂を、3分間、5mLの各溶媒、DMF-DCM-iPrOH-DCM-iPrOH-DCMで洗浄した(別名、洗浄プロトコル)。次のアミノ酸を、2工程:1/Fmoc脱保護および2/アミドカップリングによって配列に加えた。樹脂を常に、二つの工程の間で前述の洗浄プロトコルを使用して洗浄した。Fmoc脱保護を、樹脂を5mLのピペリジン20%/DMFで10分間処理することによって達成した。カップリング工程については、HATU(5当量、0.5mmol、190mg)およびアミノ酸(5当量、0.5mmol)を5mLのDMF中に溶解し、樹脂に移し、次いでDIPEA(5当量、0.5mmol、87μL)を加えて、カップリング反応を開始した。反応を30分間実行し、過剰な試薬を濾過によって除去した。脱保護およびカップリング工程を繰り返して、直鎖状前駆体ペプチドを合成した。樹脂を洗浄プロトコルを使用して洗浄し、ジエチルエーテルで再び洗浄し、真空中で一晩乾燥させ、その後、環化工程を行った。
【0203】
樹脂上のFmoc-Nγ-アリル-Nγ-ノシル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸(Fmoc-Alnb-OH)の合成。Fmoc-L-Dab(Alloc)-OHを、SPPSによってHis7位に導入し、Fmoc-Alnb含有ペプチドの合成のための開始残基としての機能させた(図5)。Alloc基を、不活性雰囲気下で、樹脂をDCM中のPd(PPh(0.25当量、29mg、0.025mmol)、フェニルシラン(25当量、311μL、2.5mmol)の溶液で30分間処理することによって除去した。樹脂を、5mLのDCM、次いで5mLのDMFでそれぞれ5分間洗浄した。20mLバイアル内で、o-ノシルクロリド(NsCl、86mg、0.4mmol)を5mLのNMP中に溶解し、sym-コリジン(55μL、0.4mmol)を添加した。この混合物を樹脂に移し、室温で30分間撹拌した。樹脂を濾過し、ノシル化反応を一回繰り返した。樹脂を洗浄配列で洗浄し、アリル化工程の前に真空中で乾燥させた。アリル化工程を、福山光延反応によって行った。12mLのカートリッジに、十分に乾燥させた樹脂を4mLの無水THFで5分間膨潤させ、濾過した。3mLの無水THF中のアリルアルコール(68μL、1mmol)、PPh(106mg、0.4mmol)の混合物を樹脂上に注ぎ、5分間混合した後、DIADを滴加し(0.079mL、0.4mmol、1mLの無水THF中に希釈した。混合物を室温で20分間撹拌した。樹脂を濾過し、アリル化反応を一回繰り返した。変換をUPLC-MSによってモニターした。樹脂を洗浄プロトコルで洗浄した後、SPPSによってペプチド伸長した。
【0204】
環閉鎖メタセシスによるマクロサイクル化。メタセシスの前に、Fmoc-L-アリルグリシン-OHまたはBoc-L-アリルグリシン(切断類似体用)をPro3位置に組み込み、一方でアリル含有残基AA(L-アリルグリシン、Nπ-アリル-L-ヒスチジンまたはNγ-アリル-Nγ-ノシル-α,γ-L-ジアミノ酪酸)を固相ペプチド合成中にHis7位置に導入した(図3A)。一般的な配列は、Fmoc/Boc-アリルグリシン-Arg(Pbf)-Leu-Ser(OtBu)-AA-Lys(Boc)-Gly-Pro-(C末端)-樹脂であるべきである。乾燥樹脂(0.1mmolペプチド)および第2世代のホベイダ-グラブス触媒(0.023mmol、15mg)を、乾燥した10mLマイクロ波管に添加した。テフロン(登録商標)キャップを加え、チューブに、真空および小さな真空チャンバー内の充填サイクルによって針を通してアルゴンを充填した。アルゴンパージ後、4mLのジクロロエタンを添加し、反応混合物を、Discover SPマイクロ波オーブン(CEM、Matthews、USA)中、120℃で10分間、300Wで加熱した。溶媒および試薬を濾過によって除去した。樹脂を洗浄プロトコルで洗浄した。反応の進行をLC-MSによってモニターした。環状ペプチドと直鎖状ペプチドとの間の比が6未満である場合、環状ペプチドが所望の量(環状/直鎖状ペプチドの比率>6)まで濃縮されるまで、メタセシス工程を繰り返した。樹脂を、洗浄プロトコルを使用して洗浄した後、次の工程(最終生成物の切断またはPyr-Argの添加)に使用した。
【0205】
マクロラクタム化。ラクタム化の前に、Lys(Alloc)またはDap(Alloc)を、Pro3位置に導入し、Fmoc-Asp(OAll)-OHをHis7位置に組み込んだ。乾燥樹脂(0.1mmolペプチド)上で、Alloc保護基を、アルゴン雰囲気下で、樹脂をDCM中のPd(PPh(0.25当量、29mg、0.025mmol)およびフェニルシラン(25当量、311μL、2.5mmol)の溶液で30分間処理することによって除去した。樹脂を、5mLのDCMおよび5mLのDMFでそれぞれ5分間洗浄した。マクロサイクル化を、DEPBT(5当量、150mg、0.5mmol)およびDIPEA(5当量、0.5mmol、87μL)を使用して行った。カップリング試薬およびDIPEAを5mLのDMFに溶解してから樹脂に移し、環化反応を一晩行った。樹脂を洗浄プロトコルで洗浄した後、次の工程(Fmoc脱保護/ペプチド伸長)に進めた。
【0206】
環化後の修飾。マクロサイクル7および8を、樹脂上のマクロサイクル5から合成した。メタセシス工程およびN末端にPyr(Boc)-Arg(Pbf)-を添加して、5(保護基がまだ乗っていた)を得た後、メルカプトエタノール(8当量、57μL、0.8mmol)、DBU(5当量、0.5mmol、76μL)の混合物を15分間使用した、o-ノシル基の脱保護(完全な脱保護を確実にするためにもう一度繰り返した)によってマクロサイクル7を得た。樹脂を洗浄プロトコルで洗浄した後、最終切断した。マクロサイクル8を、一晩の、水中のホルムアルデヒド37%(40当量、324μL、4mmol)、THF-TMOF(1:1)の混合物中のNaBH(OAc)(20当量、423mg、2mmol)を使用した還元的アミノ化によって樹脂上の7(保護基を有する)から合成した。過剰なNaBH(OAc)を3mLのMeOHでクエンチした。ガス発生が停止した後、樹脂をMeOHで洗浄し、続いて洗浄プロトコルで洗浄した。ペプチドの一部が還元的アミノ化中に切断され、これが収率を減少させたことに留意されたい。
【0207】
最終切断および精製。樹脂および同時保護基の除去からの最終切断を、トリフルオロ酢酸(TFA)/トリイソプロピルシラン(TIPS)/水(95:2.5:2.5)のカクテルを使用して行った。切断反応を2時間(ペプチドが0~1アルギニンを有する場合)または4時間(ペプチドが2アルギニンを有する場合)行った。混合物をガラスウールプラグを通して濾過して、固体粒子を除去し、溶液を30mLのメチルtert-ブチルエーテルにゆっくりと滴下して(0°Cで予冷却)、生成物を沈殿させた。粗ペプチドを遠心分離(3000rpm、10分)により単離し、1mLの酢酸(AcOH)10%中に再懸濁し、10分間静置した。二つの層:残留エーテル層(上)対水層(下)を分離した。水層を単離し、1mLのAcOHを10%添加して、エーテル層から残留ペプチドを抽出した。この精密化は、混合物をさらに浄化し、精製を容易にするのに役立った。水性抽出物を合わせ、精製前に濾過した。マクロサイクルペプチドを、二成分溶媒系(アセトニトリル/水+0.1%ギ酸)を使用して、Waters(Milford,USA)(5μmの粒子を充填したカラムXSELECT(商標)CSH(商標)Prep C18(19×100mm)、UV検出器2998、MS SQ検出器2、試料マネージャ2767、および二成分勾配モジュール)のHPLC-MSシステムで精製した。純粋な断片(UPLC-MSにより確認)を合わせ、凍結乾燥させて、白色の固体を得た。ペプチドの純度を、Waters(Milford、USA)のUPLC/MSシステムを使用して、以下の勾配:アセトニトリルおよび0.1%HCOOHを含む水(0→0.2分:5%アセトニトリル、0.2→1.5分:5%→95%、1.5→1.8分:95%、1.8→2.0分:95%→5%、2.0→2.5分:5%)を有する1.7μmの粒子を充填したAcquity UPLC(登録商標)CSH(商標)C18カラム(2.1×50mm)を使用して評価した。すべてのペプチドは、21(91%)、24(93%)、32(93%)および33(90%)を除いて、純度>95%であった。HRMSスペクトルを、エレクトロスプレー注入を使用して、Bruker(Billerica、USA)のmaXis ESI-Q-Tof機器を用いて得た。
【0208】
細胞培養
YFPタグ付きヒトAPJを安定的に発現するHEK293細胞を、5%COを維持しながら、10%FBSを補充したDMEM培地中、多湿雰囲気下、37℃で培養した。抗生物質G418(400μg/mL)を添加して、APJ発現細胞の選択圧力を維持したが、ペニシリン/ストレプトマイシン(0.1%)を使用して、細菌汚染を防止した。
【0209】
結合実験
結合実験を、YFPタグ付きヒトAPJ受容体を安定的に発現するHEK293の細胞膜に対して行った。細胞を-80℃で凍結して保存し、実験直前に迅速に解凍した(37℃で1分間)。解凍した細胞を5mLのEDTA溶液(1mM EDTA、50mM Tris-HCl、pH7.4)中に再懸濁し、10mLのファルコンチューブに移し、3500gで4℃で15分間遠心分離して細胞膜を抽出した。沈殿物(細胞膜)を結合緩衝液(50mM Tris-HCl、0.2% BSA、pH7.4)中に懸濁した。結合アッセイを、96ウェルプレートで行った。15μgの膜タンパク質を、0.2nMの放射性標識した〔125I][Nle75、Tyr77][Pyr]-アペリン-13(820 Ci/mmol)および200μLの総体積中、10-5~10-11Mの範囲の濃度の試験リガンドと室温で1時間インキュベートした。インキュベーション混合物を、ガラス繊維フィルター(Millipore、PEI 0.5%を4℃で2時間予め吸収)を通して濾過して、非結合リガンドを除去し、フィルター膜を170μLの冷結合緩衝液(4℃)で三回洗浄した。γ放射を、PerkinElmer(Waltham、USA)の1470ウィザードγカウンターを使用して測定した(80%の効率)。非特異的結合は、総シグナルの5%を超えなかった(10-5Mの非標識Ape13とのインキュベーションによって決定した)。試験したリガンドの濃度を表すIC50値を、受容体から放射性標識リガンドの50%を移し、GraphPad Prism 8を使用してそれらの結果から決定した。[Pyr]-アペリン-13のKは、飽和結合アッセイによって決定し、1.8nMである。解離定数K値を、Cheng-Prusoff方程式を使用してIC50から計算し、結果を、二回~三回の独立した実験の平均±SEMとして表し、各々を二組みで行った(Yung-Chi et al.,1973)。
【0210】
Gαi1活性化およびβ-アレスチン2動員についてのBRETアッセイ
HEK293細胞を、10%FBS、100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシン、2mMのグルタミン、および20mMのHEPESを有する高グルコースDMEM培地中、37℃、T175フラスコ中、5%COの加湿チャンバー下で培養した。24時間後、PEIを使用して、ヒトAPJ、Gαi1-RlucII(91)、GFP10-Gγ、およびGβ1(BRETベースのGαi1活性化アッセイ用)をコードするプラスミド、またはAPJ-GFP10およびRlucII-β-アルレチン2(BRETベースのβ-アルレチン2リクルートアッセイ用)をコードするプラスミドで細胞をトランスフェクトした(Murza et al.,2015、Gales et al.,2006、REGNman et al.,2012)。アッセイの前に、細胞を、50,000個の細胞/ウェルの濃度で24時間、白色の96ウェルプレートBD Bioscience(Mississauga、Canada)に移し、37℃で一晩インキュベートした。次いで、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、90μLのハンクス平衡塩溶液を各ウェルに添加した。次いで、細胞を、37℃(Gαi1)で5分間、または室温で30分間(β-アレチン2)、10-5M~10-11Mの範囲の濃度で類似体で刺激した。刺激後、5μMのコエランテラジン400Aを各ウェルに添加し、GeniosProプレートリーダー(Tecan、Austria)のBRETフィルターセットを使用してプレートを読み取った。BRET比を、GFP10em/RlucIIemとして決定した。データをプロットし、GraphPad Prism 8を使用してEC50値を決定した。各データ点は、各々三組で行った少なくとも三回の異なる実験の平均±SEMを表す。
【0211】
ラット血漿安定性
血漿を、ヘパリンチューブに血液を収集し、13,000rpmで遠心分離して血液細胞を除去することによって、雄のスプラーグドーリーラットから得た。単離した血漿を-80℃で保存し、試験直前に解凍した。96ウェルプレートにおいて、1mMの6μLのペプチド溶液を、オービタルシェーカーを備えたオーブン内で、27μLの血漿と37℃でインキュベートした。インキュベーション中の水の蒸発を避けるために、厳密に嵌合したキャップを使用してウェルを密封した。0、1、2、4、6、および24時間で、0.25mMのN,N-ジメチルベンズアミド(内部標準)を含有する140μLのACN-EtOH溶液(1:1)でプラズマを不活化し、ウェルを厳密に嵌合したキャップで再び密封した。24時間で、全ての血漿を不活化したとき、キャップを除去し、混合物を96ウェル濾過プレートImpact(商標)タンパク質沈殿物(Phenomenex、California、US)に移した。96ウェルUPLCプレートを底部に置いて、試料を収集した。両方のプレートを500gで10分間、4℃で遠心分離して、濾過を加速した。収集した濾液を、80μLの水で希釈し、Acquity UPLC-MSシステムクラスH(カラムAcquity UPLC(登録商標)タンパク質BEH C4(2.1×50mm)、細孔300Åを有する1.7μmの粒子)中で分析した。残留ペプチドの量を、ペプチド半減期を計算できるGraphPad Prism 8を使用して指数関数的一相減衰曲線にプロットした。結果は、少なくとも3回の独立した実験の平均±SEMとして示し、それぞれを一組で行った。
【0212】
インビボ薬物動態
8~10週齢の雄のスプラーグドーリーラットをこの研究で使用した。実験の24時間前に、頸静脈カテーテル(Silastic(登録商標)Laboratory tubing;I.D.0.02×O.D.0.037)を、静脈注射(i.v.、生理食塩水0.9%、約350μL中の類似体42、43またはApe13について3mg/kg)および血液収集のため外科的に挿入した。動物を、血液試料採取を促進するために、静脈注射前に封じ込めチャンバーに入れた。血液試料(0.2mL、遠心分離後の0.1mLの血漿に対応する)を、静脈内投与の5、10、30、60、120および240分後([Pyr]-アペリン-13については1、2、5、10、15分間)でK2-EDTA微量管(Sarstedt、Numbrecht、Germany)に収集した。これらの試料を、粉砕した氷上に直ちに保存した後、13000rpmで5分間、4℃で遠心分離して、血漿を単離した(上層)。得られた血漿を、ポリプロピレンチューブに移し、-80℃で直ちに凍結した。
【0213】
試料調製
タンパク質沈殿と固相抽出工程との組み合わせを使用して、ペプチドを抽出した。血漿試料を、氷上で解凍した。ボルテックス撹拌(60秒)後、100μLの試料を取り出し、300μLの冷アセトニトリルを添加して、血漿タンパク質を沈殿させた。次いで、試料をボルテックス(60秒)し、4°Cで10分間、4500rpmで遠心分離した。次いで、上清を単離し、さらなる洗浄のためにHLBプライムを直接通過させた。濾液を0.1%ギ酸/水中で10倍希釈し、LC/MS/MS分析の前に0.22μmのシリンジフィルターを通して濾過した。
【0214】
質量分析
試料を、マイクロフロー液体クロマトグラフィー(Eksigient M3マイクロフロー)およびUPLC HSS-T3カラム(1mm×100mm、1.8μm、0.2μmフリットプレフィルターを装備)を備えたSciex Qtrap 6500+で分析した。溶媒流速を50μL/分に設定し、カラム温度を40℃に維持し、注入量は3μLであった。移動層は、0.1%ギ酸/水(A)および0.1%ギ酸/アセトニトリル(B)であった。溶出勾配は、2%の溶離液Bで開始し、13分の総実行時間にわたって、8分間で95%まで増加し、2分間95%に維持し、次いで、2分間で初期条件に戻る。ペプチド断片化のための最適化されたパラメータを、100ng/mLのApe13、42および43の分析標準溶液を直接注入することによって得た。分析では、二つの娘トレース(移行)を使用し、中でも、最も豊富であったのは定量用であり、二番目に豊富であったのは、確認用であった。
【0215】
インビボ血圧測定
動物
8~10週齢の成体の雄のスプラーグドーリーラット(Charles River Laboratories、St- constant、Quebec、Canada)を、自由に食餌および水にアクセスしながら、12時間明/12時間の暗サイクルで維持した。動物実験プロトコルを、Sherbrooke大学の動物ケア委員会が承認し、カナダ動物ケア委員会のポリシーおよび指令を遵守した。
【0216】
血圧検査
雄のスプラーグドーリーラット(8~10週齢)をケタミン/キシラジン注射(87/13mg/kg i.m.)で麻酔し、サーモスタットパッド上で仰臥位に配置した。それらの右頸動脈をPE 50(ヘパリン化生理食塩水を充填)でカテーテル挿入し、Micro-Med変換器(モデルTDX-300、Calabasas、USA)およびMicro-Med血圧分析器(モデルBPA-100c)に接続した。ビヒクル(等調の生理食塩水)を静脈内ボーラスにより投与し、続いて5分後に、Ape13、化合物9、20、29、42または43(19.5および65nmol/kgで投与、体積は10秒かけて0.25mL)のいずれかを、左頸静脈に挿入した別のカテーテル(PE10)を通して注射した。このi.v.カテーテルを、各注射の直後に生理食塩水(0.2mL)で流した。
【0217】
心電図検査
経胸部心エコー検査を、ペプチド(0.2および2μmol/kg)の皮下注射前(ベースライン)ならびに3、6、および24時間後、イソフルレン麻酔下(2%、1.5mL/分、Baxter)でスプラーグドーリーラットにおいてMX250変換器(FUJIFILM、VisualSonic、ON、Canada)を使用してVevo 3100超音波装置を用いて行った。LVの二次元短軸図を乳頭筋レベルで得、Mモードトレースを記録した。これらの画像から、心拍数(HR)を計算し、LV拡張末期(LVEDd)ならびにLV収縮末期直径(LVESd)を、American SocietyのEchocardiographyガイドラインに従って最先端の方法によって測定した。画分短縮(FS)を、以下の式:FS=([LVEDd-LVESd/LVEDd]×100%)によって計算した。心臓出力(CO)をLV長軸図から評価した。脳卒中体積(SV)を、収縮末期および拡張末期における心内膜境界を追跡することによって、シンプソン法に従って計算し、CO=SV×HRとして得た。
【0218】
実施例2:表Iのアペリン13類似体の合成
97のアナログを、飽和炭化水素鎖(13)、ラクタム基(14、17)、ヒスチジン模倣物(15)、スルホンアミド(16)、二次アミン(18)、および三級アミン(19)などの様々なタイプのマクロサイクルリンカーを用いて設計し、合成した(図2A)。
【0219】
前駆体直鎖状ペプチドを、古典的固相ペプチド合成(SPPS)およびFmoc化学を使用して合成した。マクロサイクルを構築するために、Pro3残基およびHis7残基を、リンカーの一部である非天然アミノ酸によって置換した。化合物97については、アリルグリシン残基を両方の位置に導入して、環閉鎖メタセシス(RCM)を使用して環化を調製した(図3A)。化合物13を、10%Pd/C触媒を使用した水素化によって97から得た(Green et al.,2013)。化合物14、17、46および47を、前述のプロトコル(Alcaro et al.,2004)に従い、それぞれ、Pro3位置にDap(Alloc)またはLys(Alloc)、およびHis7位置にAsp(OAll)を用いたマクロラクタマー化により合成した。マクロサイクル15、16、18、および19も、RCMを使用して調製した(図3B)。この目的のため、アリルグリシンをPro3位置に導入し、Nπ-アリル-ヒスチジン(15についてはAlh)またはNγ-アリル-Nγ-ノシル-α,γ-ジアミノ-ブタン酸(16、17、18についてはAlnb)をHis8位置に配置した。本発明者らの以前の研究(Trrunn et al.,2018)に記載したように、Pro3→アリルグリシン変異を、Arg2とArg4との間で局在化し、Arg2の導入後に、ペプチドの環化を不可能にし、これはおそらく、アルギニン残基による立体障害および触媒キレート化に起因する。この理由から、環化を、Pyr1-Arg2部分を加える前に行った(図3B)。
【0220】
RCM工程の変換率は、概して>50%であったが、ある場合では、化合物14と同様に、収率は、最良の場合で約20~25%であり、Nπ-アリル-ヒスチジンの存在に起因して、より長い加熱(100℃、2時間)が必要であった。考えられる説明は、ヒスチジンのイミダゾール環がキレート剤として作用し、ホベイダ-グルブス触媒を毒する可能性があることである。
【0221】
中間体Fmoc-L-Nπ-アリル-ヒスチジン-OH(Fmoc-Alh-OH)を、Fmoc-L-His(Trt)-OH102から三工程で調製した(図4)。重要な工程は、原位置で生成したアリルトリフラートを使用してイミダゾール環(103)のNπ位置をアルキル化して、104を得ることであった。立体的に妨害させたトリチル(Trt)保護基は、Nτ位置に留まり、Nπ位置の選択的なアリル化を可能にする。次の工程では、メチルエステル104を、還流条件下でジオキサン水(1:1)中のHCl 2Mを使用して加水分解して、Fmoc-L-Nπ-アリル-ヒスチジン-OH 105を得た。
【0222】
類似体16、18、19の合成は、残基Fmoc-Alnb-OH(図3B)を必要とし、これは、固相上のFmoc-Dab(Alloc)-OHから容易に調製した。Alloc保護基を、スカベンジャーとしてPd(PPhおよびPheSiHを使用して選択的に除去した。γ-アミン基のノシル化を、塩化o-ノシルおよびsym-コリジンを用いて行い、続いて福山-光延反応を使用してアリル化を行い、Fmoc-Alnb含有ペプチドを得た(図5)。
【0223】
Ape13類似体のサイズを減少させるために、マクロサイクル類似体のN末端およびC末端を漸進的に切断した。切断ペプチドを、上記と同じプロトコルを使用して合成した(図3A~B)。最後のシリーズで、C末端Nle11残基を、非天然アミノ酸で置換した。Tyr(OBn)の組み込みは、結合ポケットに対する親和性を増加させることを以前に見出された(Murza et al.,2015)ため、非天然残基のうち、本発明者らは、cypTyr(OBn)、dcypTyr(OBn)、cypTyr(OPr)、およびcypTyr(OCyp)などのいくつかのTyr(OBn)類似体を含ませていた。シクロペンチル基(Cyp)は、本発明者らの以前の研究(Tran et al.、2021)において、Tyr(OBn)含有ペプチドの結合およびシグナル伝達特性に影響を及ぼすことが見出された。これを、還流条件下で85%リン酸中の2当量のシクロペンタノールを使用してチロシン(106)上に導入して、前駆体107を形成させた(図6)。この中間体は、一連の変換(107のエステル化、108のBoc保護、109のアルキル化、110~112のエステル加水分解、113~115のBoc除去およびFmoc保護)に続き、SPPSに適した、Fmoc-cypTyr(OBn)-OH(116)、Fmoc-cypTyr(OCyp)-OH(117)およびFmoc-cypTyr(OPr)-OH(118)を得た。
【0224】
化合物20~45、48~59を、97の合成に使用される方法と同様の方法を使用して調製した。簡単に言うと、第一のアミノ酸を、光延反応を使用してWang樹脂に充填した(充填0.3mmol/g)。Fmocベースの化学を使用して線形ペプチドを合成し、ホベイダ-グラブス触媒II(120℃、10分)を用いて大環状化を行った。末端のアルケンを有する非天然アミノ酸、例えばLys(N-ブテニル)、Lys(N-All)、Orn(N-ブテニル)、Dab(N-ブテニル)を、上述のFmoc-Alnb-OHの合成と同様の化学を使用して、Lys(Aloc)、Orn(Aloc)およびDab(Aloc)から樹脂上で調製した。
【化10】
【0225】
N末端での修飾については、化合物21、23、4、47、49と同様に、Fmoc保護基を環化後に除去し、遊離アミノ基を、アセチル化またはグアニジニル化のいずれかによって誘導体化した(1H-ピラゾール-1-カルボキサミジンヒドロクロリド、CAS:4023-02-3を使用)。化合物15、16、20、28~29および34~45については、図7~8を参照されたい。
【0226】
実施例3:表IIのアペリン17類似体の合成
工程1:樹脂2-クロロトリチル400mgへの充填(充填0.35mmol/g)。
まず、樹脂を膨潤させ、DCMで洗浄した。アミノ酸およびDIPEA2.5当量を、4mLのDCM中に溶解し、この溶液を樹脂上に注いだ。混合物を一晩混合した。未反応の2-クロロトリチルクロリドを、5mLの混合物DCM-MeOH-DIPEA(7:2:1)を使用してキャップした。樹脂を、各反応(キャッピング、Fmoc脱保護、アミドカップリング)後に、各溶媒について3分間、DMF-DCM-iPrOH-DCM-iPrOH-DCMで洗浄した。
【0227】
工程2:アミノ酸カップリング
Fmocを、DMF中のピペリジン20%で樹脂を10分間処理することによって除去した。樹脂を排出し、脱保護工程をもう一度繰り返した。遊離N末端アミンを、5当量の対応するFmoc保護アミノ酸、5当量の HATUおよび5当量の DIPEAと反応させることによって、次のアミノ酸を加えた。Glu(OAll)およびLys(Alloc)を、ペプチド配列上のそれらの対応する位置に組み込んだ。
【0228】
工程3:アロクおよびアリルの脱保護
乾燥樹脂を、10mLのマイクロ波管に移し、5mLのDCM中で膨潤させた。混合物をキャップで閉じ、アルゴン下で10分間泡立てた後、PheSiH3を添加した。キャップをわずかに開き、アルゴン流を増加させるとき、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(Ph3)4)を反応混合物に添加した。混合物をアルゴンで2分間通気し、室温で30分間撹拌した。樹脂を洗浄配列:DMF-DCM-MeOH-DCM-MeOH-DCM(各溶媒5mLで3分)で洗浄した。
【0229】
工程4:ペプチド環化
4mLのDMF中の5当量のDEPBTの溶液に、DIPEAを添加した。この溶液を樹脂を含む反応器に移し、混合物を一晩振盪した。
Ac-Lys(Boc)-Phe-Arg(Pbf)-Arg(Pbf)-Gln(Trt)-Arg(Pbf)-Pro-Arg(Pbf)-Leu-c[Glu-HIs(Trt)-Lys(Boc)-Lys]c-Pro-Nle-Pro-cypTyr(OBn)-樹脂(類似体76の前駆体)。
【0230】
工程5:最終切断、脱保護および精製
TFA-TIPS-H2O(95:2.5:2.5)の5mLの切断カクテルを調製し、よく混合した。樹脂を20mLのバイアルに移し、切断カクテルを添加した。この混合物を5時間撹拌した。樹脂を濾過し、濾液を予冷却したTBME中で滴下して添加して、ペプチドを沈殿させた。懸濁液を遠心分離して、固体を引き下げた(4℃で3000rpm×10分)。上清を除去し、残留エーテルを弱い気流下で30分間蒸発させた。得られた固体を、1900μLの、水中の酢酸10%中で可溶化し、PTFE 0.22umのフィルターを通して、LC-MS分取バイアル(最大3mL)に濾過した。ペプチドを、15分間で10~25%ACN(+0.1%ギ酸)の勾配を使用して分取HPLC-MSで精製した。純粋な画分を凍結乾燥して、3mgの白色の粉末(類似体76)を得た。
【0231】
実施例4:表IIのエラベラ類似体の合成
材料
Fmoc保護(L)-アミノ酸、2-クロロトリチルクロリド樹脂および[O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート](HATU)を、Matrix Innovation(Canada)から購入した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)および非天然アミノ酸を、Chem Impex(USA)から購入した。ピペリジンを、ACP(Canada)から購入した。全ての他の溶媒を、Sigma-Aldrich(Canada)またはFisher Scientific(USA)から購入し、それらは、最も高い市販で入手可能な純度のものであった。すべての試薬および出発材料を、受け取ったまま使用した。ペプチド伸長を、Gyros Protein Technology(USA)のSymphony(商標)Xペプチド合成装置を用いて行った。
【0232】
工程1:2-クロロトリチルクロリド樹脂の充填
配列の第一のアミノ酸をロードするために、2-クロロトリチルクロリド樹脂(0.25mmol/g、400mg)を、ジクロロメタン(DCM、4mL)中のFmoc保護アミノ酸(1当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、2当量)で処理した。混合物を室温で軌道振盪器上で2時間振盪し、次いで樹脂をDCM(2×5mL)、2-プロパノール(1×5mL)、DCM(1×5mL)、2-プロパノール(1×5mL)、DCM(2×5mL)で3分間連続的に洗浄した。次いで、DCM/MeOH/DIPEAのキャッピング溶液(7/2/1、5mL)を添加し、混合物を室温で1時間振盪し、上記の溶媒配列で洗浄した。
【0233】
工程2:ペプチド伸長
ペプチド合成を、典型的なFmoc固相ペプチド合成(SPPS)手法で行った。2-クロロトリチルクロリド樹脂(0.25mmol/g、400mg、配列の第一のアミノ酸を充填)を、ペプチド合成器反応器に入れ、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(3×6分、4.5mL)中で膨潤させた。カップリング、脱保護、および洗浄工程中、樹脂を、N通気を介して混合することに留意されたい。次いで、Fmoc基を20%ピペリジン/DMF(2×5分、4.5mL)で脱保護し、次いで、続くFmoc保護アミノ酸(5当量)を、HATU(5当量)の存在下で、DMF/NMP(4.5mL)中のDIPEA(10当量)と付着させ、反応を30分間進めた。次いで、ピペリジン(DMF中20%)を使用して、各工程でFmoc基を脱保護した。樹脂を、各カップリングおよびDMF(4×1分30秒間、4.5mL)を用いたFmoc脱保護工程の後に洗浄した。
【0234】
工程3:アリル/Aloc脱保護
典型的な手法では、配列の最後のアミノ酸をカップリングした後、アリル/Aloc保護基を、アルゴン脱気DCM(5mL)中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)(0.2当量)およびフェニルシラン(PhSiH)(20当量)で選択的に脱保護し、反応を30分間進めた)。次いで、樹脂をDMF(3×1分30秒間、4.5mL)およびDCM(5×6分、4.5mL)で洗浄した。
【0235】
工程4:マクロラクタム化-切断/脱保護
次いで、DMF(5mL)中の3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン(DEPBT)(5当量)およびDIPEA(5当量)を用いて、16時間、マクロラクタム化を行った。樹脂洗浄(DMF、5×1分30秒間、4.5mL)後、マクロサイクルを樹脂から切断し、保護基をTFA(トリフルオロ酢酸)/HO/TIPS(トリイソプロピルシラン)95/2.5/2.5、v/v(2mL/0.2gの樹脂)の混合物を用いて室温で4時間除去した。粗製物を0℃でtert-ブチルメチルエーテル(TBME)中に沈殿させ、遠心分離し、上清を除去したか、または粗生成物を真空下で直接蒸発させた。次いで、粗生成物を7:3のHO/アセトニトリル(ACN)に再溶解し、凍結乾燥した後、逆相HPLCによって精製した。
【0236】
工程4:環閉鎖メタセシス(RCM)-切断/脱保護
次いで、環閉鎖メタセシス(RCM)を、DCE(4mL)中、50℃で1時間、CEMマイクロ波中、Hoveyda Grubbs第2世代触媒(0.2当量)およびベンゾキノン(1当量)を用いて行った。次いで樹脂を、DCM(3×)、MeOH(3×)およびDCM(3×)で洗浄し、切断工程の前に乾燥させた。樹脂および保護基をTFA(トリフルオロ酢酸)/HO/TIPS(トリイソプロピルシラン)95/2.5/2.5、v/v(2mL/0.2gの樹脂)の混合物を用いて室温で4時間除去した。粗製物を0℃でtert-ブチルメチルエーテル(TBME)中に沈殿させ、遠心分離し、上清を除去したか、または粗生成物を真空下で直接蒸発させた。次いで、粗生成物を7:3のHO/アセトニトリル(ACN)に再溶解し、凍結乾燥した後、逆相HPLCによって精製した。
【0237】
工程5:精製および特徴決定
粗生成物を、7:3のHO/アセトニトリル(ACN)中に再懸濁し、アセトニトリルおよび水+0.1%ギ酸を溶出液として使用して、Waters(Milford、USA)(5μmmp粒子を充填したカラムXSELECT(商標)CSH(商標)Prep C18(19×100mm)、UV検出器2998、MS SQ検出器2、試料マネージャ2767および二成分勾配モジュール)の分取HPLC-MSシステムで精製した。純粋な画分を凍結乾燥させて、白色の固体として最終生成物を得た。純度評価のため、化合物を、Waters(Milford、USA)のUPLC-MSシステムで、以下の勾配:アセトニトリルおよび0.1%HCOOHを含む水(0→0.2分:5%アセトニトリル、0.2→1.5分:5%→95%、1.5→1.8分:95%、1.8→2.0分:95%→5%、2.0→2.5分:5%)を有する1.7μmの粒子を充填したAcquity UPLC(登録商標)CSH(商標)C18カラム(2.1×50mm)を使用して分析した。
【0238】
表IIIの化合物の合成スキームも、図9A~B、10および11A~Bに示す。
【0239】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0240】
【表2】
【0241】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0242】
実施例8:アペリン作動性化合物の結合親和性およびその他の生物学的特性
本開示のアペリン作動性化合物の様々な特性を決定し、以下の表I~IIIに提示する。
【0243】
解離定数Kは、その受容体に対するリガンドの結合親和性(K結合(nM))を反映し、放射性標識ピル-アペリン-13の50%を変位させたリガンドの濃度に対応する。これを、[125I][Nle75、Tyr77][Pyr]-Ape13を使用した競合的結合アッセイによって、ヒトAPJ(hAPJ)を安定的に発現するHEK293細胞から調製した膜上で測定した。
【0244】
EC50 Gαi1測定は、hAPJ受容体を発現するHEK293細胞におけるBRETベースのバイオセンサーによるG ai1活性化の最大応答の50%を誘発するリガンドの濃度を決定する。
【0245】
EC50 β-arr2測定は、hAPJ受容体を発現するHEK293細胞におけるBRETベースのバイオセンサーによるb-アレスチン2動員の最大応答の50%を誘発するリガンドの濃度を決定する。
【0246】
半減期のインビトロのデータは、37℃で最大24時間のいくつかの時間点でのラット血漿中のインキュベーション後の類似体のタンパク分解性安定性を表す。残りの類似体の割合を、化合物のAUと内部標準のAUCとの間の比をとることによって計算した。半減期を曲線から推定した。
【表I-1】
【表I-2】
【表I-3】
【表II】
【表III-1】
【表III-2】
【0247】
実施例9:変異APJ受容体上の受容体結合に関するアペリン13類似体
APJ受容体の細胞外表面は、EE20、D23、D92、D94、D172、E174、D184、およびE194などの、そのN末端尾部および細胞外ループ上にいくつかの負に荷電した残基を有する(Ma et al.,2017)。マクロサイクル類似体の受容体結合におけるそれらの役割を調べるために、これらの変異を、アペリンのカチオン性部分の潜在的な結合部位として従前に示した(表IV)ため、化合物20(N末端のアセチル化)、22(N末端アミンが存在しない)、24(Arg4Nle)の親和性を、APJ E20AおよびD23A変異受容体上で決定した。結果は、20、22および24の親和性が、Ape13のもの(2.4倍~7.7倍減少)と比較して、これらの変異による影響を受けないことを示し(<2.5倍の変化)、これは、APJのE20およびD23が、これらのマクロサイクル類似体の結合において有意な役割を果たし得ないが、N末端部分において正の電荷を有する化合物により高い親和性を付与することが重要であり得ることを示唆している。
【表IV】
【0248】
実施例10:アペリン13類似体の機能活性
<20nMを有するすべてのアペリン13類似体を、APJ受容体の下流シグナル伝達経路を活性化する能力について試験した。この目的のために、BRETベースのバイオセンサーを使用して、Gタンパク質(Gαi1)活性化およびβ-アレスチン2動員をモニターした。注目すべきことに、この分析は、マクロサイクルのうちのいくつかが、部分的アゴニストとして挙動し、一方他のものは、研究した経路のうちのいくつかに対してバイアスされたシグナル伝達を示すことを明らかにしている(図12、パネルA~B、表V)。
【表V-1】
【表V-2】
【0249】
実施例11:インビトロ血漿安定性
APJ受容体に対して20nM未満の親和性を有する化合物の血漿安定性を評価した(上の表V)。第1世代のマクロサイクル類似体97、13、15、16、18および19は、ラット血漿中で良好な安定性を示し、2~5時間の範囲のt1/2を示し、Ape13をはるかに上回る(t1/2 0.4時間)。リンカー上に極性基を有するペプチド(18、19t1/2、2.0~2.2時間)は、より短い半減期(対97、13、15、16t1/2、4.0~4.7時間)を示し、これはリンカーが、マクロサイクルの安定性に影響を与えることを示唆している。
【0250】
N末端尾部(Pyr1-Arg2)の切断は、化合物97と比較して、血漿安定性をわずかに低減し、これは、N末端アミンの曝露に起因し得、化合物をアミノペプチダーゼに対してより脆弱にする。それにもかかわらず、類似体20、23および28は、依然として3時間を超える半減期を示した。マクロサイクル類似体は、それらの線形類似体よりも常に安定していた。いくらか驚くべきことは、C末端の切断(Pro12-Phe13除去)の影響であり、これもまた、ペプチド安定性を低下させた。実際に、C末端とN末端の両方で切断した類似体29(t1/2 0.9時間)は、N末端でのみ切断した20よりも3倍低い安定性であり、完全長の類似体13(t1/2 4.7時間)よりも5倍低い安定性であった。Ape13のC末端は、最後から二番目の位置でACE2およびPRCPなどのメタロプロテアーゼによって切断されることが知られている(Yang et al.,2017)。しかしながら、この切断部位は、これらの切断類似体において除去した。
【0251】
類似体29のペプチド安定性は、C末端のNle11位にD-アミノ酸を導入することによって改善した。D-アミノ酸は、一般的には身体によって使用されず、タンパク質分解酵素は、それらの認識のために進化せず(Feng et al,2016)、これは、何故、それぞれD-1Nal、D-2Nal、D-Tyr(OBn)およびD-Tyr置換を有するマクロサイクル42、43、44、45が、親化合物29よりもはるかに安定であり、半減期は、2.4~>24時間の範囲であることを説明する。43は、この一連の最も安定な化合物であり、半減期>24時間を示す。
【0252】
実施例12:インビボ薬物動態
最も強力な切断マクロサイクル(42)および最も安定な類似体(43)を、インビボ薬物動態プロファイリングのために選択した。化合物を、3mg/kgの頸静脈を介してラットに静脈内投与し、注射の5分、10分、15分、20分、30分、60分、120分、および240分後に血液を採取し、続いてLC/MS-MS分析を行った(図13)。予想通り、42および43は安定しており、注射後2時間までラット血漿中で検出し、一方Ape13は、5分後に完全に消失した。化合物42は、24分の半減期および2.29mL/分/kgの血漿クリアランスを示した(表VII)。特に、類似体43は、220分のインビボt1/2を有し、注射の4時間後に8.6μg/mLの循環濃度をもたらした(5分で36.1μg/mLと比較して)。長い半減期および低い血漿クリアランス(0.34mL/分/kg)により、この化合物は、単回ボーラス注射で心臓保護薬としてApe13類似体を使用する可能性を暗示する。
【表VII】
【0253】
実施例13:血圧に対する効果
本発明者らは、ラット血漿中の化合物15、20、29、42、および43が血圧を調節する能力を評価した。血圧に対するそれらの効果を、19.6および65nmol/kgの二つの用量で評価した。19.6nmol/kgの用量は、Ape13の最大効果に対応し、一方65nmol/kgのより多い用量を、あまり強力ではない類似体が、効果を生じさせ得るかを確認するために選択した。
【0254】
切断類似体は、そのサイズが減少したときに、血圧に対するその効果を徐々に失い、β-アレスチン2を動員する能力も失った(Besserer-Offroy et al.,2018)。化合物15(β-arr2 EC50 33nM、Emax 115%)は、Ape13と類似した血圧の低下(ΔMABP-40mmHg)を生じ、応答は、おそらく長い半減期およびβ-アルレチン2の動員におけるより高い効力に起因して、わずかに長かった(図14)。対照的に、切断したN末端尾部を有する類似体20(β-arr2 EC50 143nM、Emax 98%)は、試験した高用量(ΔMABP-27mmHg)であっても、Ape13と同じ程度の応答に達しなかった(図14)。同様に、N末端とC末端の切断の両方を有する類似体29(β-arr2 EC50 743nM、Emax 69%)は、血圧にほとんど効果を示さず(ΔMABP -13mmHg)、一方43(β-arr2 EC50 232nM、Emax 55%)は、効果を示さなかった。化合物42は、APJ結合(31、K0.6nM対Ape13、K0.6nM)およびβ-アレスチン2の動員(42、EC5031nM対Ape13、EC5037nM)に対する類似の効力にもかかわらず、Ape13よりも血圧のより小さな低下(ΔMABP-24mmHg)を誘導した。差は、β-アレチン2動員に対する42の最大有効性が低いこと(Emax 70%)によって説明することができ、この経路に対するその部分的なアゴニスト活性を示す。同様に、化合物43は、b-アレスチン2経路に部分的な有効性(Emax 55%)および低い効力(43、EC50 232nM)のみを有し、これは、血圧に対するその有効性の欠如を説明する可能性が最も高い。
【0255】
実施例14:心機能に対する効果
心エコー検査を使用して、本発明者らは、小さなサイズ、APJに対する良好な親和性ならびにインビトロおよびインビボ半減期の改善を示すマクロサイクル42および43の心臓効果を研究した。また、両方の化合物は、Gαi1に対して良好な効力を有する完全なアゴニストであり、一方、それらは、β-アレチンに対する部分的なアゴニストであるが、42は、それらの経路に対して43よりも強力(6.2~7.5倍)であることも注意すべきである。
【0256】
より高い安定性を有するペプチドが、単回ボーラス投与後に心血管効果を維持できるかどうかを示すために、Ape13ならびに二つのマクロサイクル42および43を、0.2μmol/kg(低)および2μmol/kg(マクロサイクルについて高く。ほぼ2mg/kg)の二つの用量で皮下注射(s.c.)によりラットに投与した。心収縮の指標である左心室短縮率(FS)、ならびに全体的な心臓の性能を示す心拍出量(CO)をモニターした(図15A~B)。注射の三時間後、0.2μmol/kgでApe13について観察可能な効果は検出せず、一方42は、FSのみの有意な増加を示し、43は、FSとCOの両方の有意な増加を示し、その長い半減期と一致した。
【0257】
試験した最高用量の2μmol/kgでは、Ape13、42および43はすべて、注射の3時間後にベースラインから最大22~27%までFSおよびCOの有意な改善を示した。したがって、以前の研究では、非常に高用量のApe13(50mg/kgまたはおよそ32μmol/kg、s.c.)が、その短い半減期を克服し、治療有効濃度を確保するのに役立つ可能性があることを示した(Onorato et al.,2019)。しかしながら、試験した化合物のほとんどは、代謝および除去のために、注射の6時間後に有効性を失った。最高用量(2μmol/kg)で43のみが、6時間でFS(17%の増加)およびCO(ベースラインから16%の増加)に有意な効果を示した。これらの結果は、42(インビボでt1/2 24分)および43(インビボでt1/2 220分)の薬物動態特性と一致している。より高い用量(3mg/kgまたは約3μmol/kg)であっても、42は、4時間で完全に血漿から除去され(表VII)、一方で43は、6時間で3半減期未満低下し、観察可能な効果をもたらすのに十分な濃度を維持すると予想する。したがって、インビボでの半減期が長いと、特にマクロサイクル43について、心臓効果がより長くなる。
【0258】
特許請求の範囲は、実施例に記載される実施形態によって制限されるべきではなく、全体として説明と一致する最も広い解釈を与えるべきである。
【0259】
参考文献
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(項目1)
式(II)の化合物であって、
【化11】
式中、
は、存在しないか、またはX-Xであり、
は、-(CH)q-CHもしくは-(CF)q-CF、qは、0~11である、天然のアミノ酸、合成のアミノ酸、その側鎖は、Hである、-(C1-C12)アルキル、-(CF)q-CF、式中、qは、0~11である、-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、式中、pは、0~5である、であり、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、前記アルキル、ヘテロアリール、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミン、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキルであり、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、N、OまたはSであり、
は、存在しないか、または天然もしくは合成のアミノ酸であり、その側鎖は、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中のヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSであり、
Yは、存在しないか、NH-、Ac-NH-、グアニジン、またはHであり、
Aは、-(CH)n-、-(CH)nNH=C(NH)N-CH-CH=CH-(好ましくは、アリル-グリシンまたはNα-アリル-アルギニン)、式中、nは、2、3または4である、または-CH=CH-(CH)m-、式中、mは、0、1または2である、であり、
Bは、存在しないか、または
【化12】
式中、Rは、O、P、m-アルキル、ハロゲンまたはニトロであり、nは、1、2、または3である、
【化13】
式中、Rは、H、C3-C7アルキル、ベンジルまたはアリールアルキルであり、nは、1、2または3である、
【化14】
式中、nは、1、2、3または4であり、mは、0または1である、あるいは
【化15】
式中、Xは、CHまたはNである、であり、
およびXは、それぞれ独立して、存在しないか、または天然もしくは合成のアミノ酸であり、その前記側鎖は、-CH-(CH)p-NH、--CH-(CH)p-グアニジン、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、または-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、式中、pは、0~5である、であり、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、少なくとも一つのアミノまたはグアニジノ基で任意選択的に置換され、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中の前記ヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSであり、
は、正に荷電または荷電していない側鎖を有する天然または非天然のアミノ酸であり、
は、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)であり、
は、X10-X11-X12であり、式中、
10は、任意の天然のアミノ酸、または合成のアミノ酸であり、その前記側鎖は、H、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)シクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロシクロアルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(CH)p-(C3-C8)ヘテロアリール、-CH-(CH)p-NH、-CH-(CH)p-グアニジン、式中、pは、0~5である、であり、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは、一つまたは複数の置換基で置換されており、各置換基は、独立して、例えば、ハロゲン、アミノ基、グアニジノ基、-OH、S、-(C1-C6)アルキル、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、p’は、0~5である、であり、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリール、(C3-C8)ヘテロアリール、(C3-C8)シクロアルキルまたは-(C3-C8)ヘテロシクロアルキルと任意選択的に融合され、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル中の前記ヘテロ原子は、1、2または3つのN、OまたはSである)。特定の実施形態では、X10は、アミノ酸であり、その前記側鎖は、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、または-(CH)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、であり、前記アリールは、一つまたは二つの(C3-C8)アリールと任意選択的に融合され、前記アリールは、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基は、独立して、O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、pは、0~5である、である。特定の実施形態では、それは、Alaではない。より具体的な実施形態では、X10は、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニン、Phe、Tic((S)-N-Fmoc-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)、Tyr、1Nal、2Nal、TyrOBn、cypTyr(OBn)、dcypTyr(OBn)、cypTyr(OCyp)、cypTyr(OPr)、D-1Nal、D-2Nal、D-TyrOBn、またはD-Tyrであり、
11は、存在しないか、またはGly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypもしくはHyp(OBn)である。特定の実施形態では、それは、存在しないか、またはProであり、
12は、存在しないか、またはPheである、化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
(項目2)
- XおよびXが、それぞれ独立して、アミノ酸であり、その前記側鎖が、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、もしくは-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジン、もしくは-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、であり、および/または
- X10が、アミノ酸であり、その前記側鎖が、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、または-(CH)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、であり、前記アリールが、一つまたは二つの(C3-C8)アリールと任意選択的に融合され、前記アリールが、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基が、独立して、-OH、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、p’は、0~5である、である、項目1に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
(項目3)
- XおよびXが、それぞれ独立して、Lys、Orn、Dab(2,4-ジアミノ酪酸)、Dap(2,3-ジアミノプロピオン酸)、Arg、hArg、His、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)もしくはアルファ-メチルフェニルアラニンであり、
- Xが、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypまたはHyp(OBn)であり、
- Xが、Gly、Phe、Leu、Ile、Ser、Aib、Pro、Sar、Oic、βAla、HypもしくはHyp(OBn)であり、および/または
- X10が、Nle、アルファ-メチルロイシン、シクロロイシン、tert-ロイシン、シクロヘキシルアラニン(例えば、(3-シクロヘキシル-L-アラニン)、アルファ-メチルフェニルアラニン、Phe、Tic((S)-N-Fmoc-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)、Tyr、1Nal、2Nal、TyrOBn、cypTyr(OBn)、dcypTyr(OBn)、cypTyr(OCyp)、cypTyr(OPr)、D-1Nal、D-2Nal、D-TyrOBn、もしくはD-Tyrである、項目1に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
(項目4)
- XおよびXが、それぞれ独立して、Lys、Arg、hArg、Nle、Leu、Phe、もしくはChaであり、
- Xが、Glyであり、および/または
- Xが、Proである、項目3記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
(項目5)
- Xが、存在せず、
- Yが、NH、Ac-NH-、グアニジン、もしくはHであり、
- Aが、-CH=CH-(CH)m-、式中、mは、0、1または2である、であり、
- Bが、存在せず、
【化16】
Rが、O、P、m-アルキル、ハロゲンもしくはニトロであり、nが、1、2、もしくは3であり、
【化17】

が、CHもしくはNであり、および/または
- X10が、アミノ酸であり、その前記側鎖が、-(CH)p-(C3-C8)アルキル、または-(CH)p-(C3-C8)アリール、式中、pは、0~5である、であり、前記アリールが、一つまたは二つの(C3-C8)アリールと任意選択的に融合され、前記アリールが、一つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、各置換基が、独立して、-OH、-O-(C1-C6)アルキル、-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-O-(CH)p’-(C3-C8)アリール、-(C3-C8)シクロアルキル、または-O-(C3-C8)シクロアルキル、式中、p’は、0~5である、である、項目1~4のいずれか一項に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
(項目6)
10が、NleもしくはD-1Nalである、項目5に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
2.
- Xが、X~Xであり、および/または
- Yが、存在しない、項目1~4のいずれか一項に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
(項目7)
- Xが、X-Xであり、Xが、アミノ酸であり、その前記側鎖が、-CH-(CH)p-グアニジン、-CH-(CH)p-NH、もしくは-(CH)p-イミダゾール、好ましくは、-CH-(CH)p-グアニジン、もしくは-CH-(CH)p-NH、式中、pは、0~4である、である、項目7に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
(項目8)
- Aが、-(CH)n-または-CH=CH-(CH)m-、式中、mは、0、1または2である、である、項目7または8に記載の化合物、
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
(項目9)
式(I)~(VIII)のいずれか一つの化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
(項目10)
化合物3~4、9~29、35~46、62~70、72~79、84、および89~94のいずれか一つ、好ましくは、化合物11、13、15~16、18~20、および42~44のいずれか一つである、項目9に記載の化合物:
【表4-1】
【表4-2】
またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
(項目11)
化合物13~25、27~29、35~37および42~45のいずれか一つである、項目10に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物。
(項目12)
項目1~11のいずれか一項に記載の化合物、立体異性体、混合物、薬学的に許容される塩、エステルまたは溶媒和物、および少なくとも一つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
(項目13)
それを必要とする対象における心血管疾患を治療するための、式(I)~(IV)のいずれか一つの化合物、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物を使用する方法であって、有効量の前記化合物を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目14)
前記化合物が、項目10において定義された化合物3~4、9~29、および35~46のいずれか一つ、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記化合物が、項目1~8のいずれか一項において定義された式(II)の化合物である、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記化合物が、項目10において定義された化合物13~25、27~29、35、36~37および42~45のいずれか一つ、好ましくは、化合物13、15~16、18~20、23および42~44のいずれか一つ、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物である、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記化合物が、化合物42もしくは43、またはその立体異性体もしくは混合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物である、項目16に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15A
図15B
【配列表】
2025504750000001.xml
【国際調査報告】