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特表2025-504883決定可能な親和性で特定のペプチドを結合する抗原認識コンストラクト、およびKRASに抗原特異性を有するT細胞レセプター、ならびに、対応する核酸配列、ベクター、宿主細胞、医薬組成物、およびキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】決定可能な親和性で特定のペプチドを結合する抗原認識コンストラクト、およびKRASに抗原特異性を有するT細胞レセプター、ならびに、対応する核酸配列、ベクター、宿主細胞、医薬組成物、およびキット
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/725 20060101AFI20250212BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250212BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20250212BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20250212BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20250212BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20250212BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250212BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20250212BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20250212BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250212BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250212BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20250212BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250212BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20250212BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20250212BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20250212BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20250212BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20250212BHJP
【FI】
C07K14/725 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/30
C12N15/12
A61P35/00
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K38/17
A61K48/00
A61K35/12
A61P35/02
G01N33/574 A
G01N33/53 M
C12N5/0783
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543380
(86)(22)【出願日】2023-01-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2023051554
(87)【国際公開番号】W WO2023139257
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】22152794.8
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524273649
【氏名又は名称】テ-クニフェ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】T-KNIFE GMBH
(71)【出願人】
【識別番号】518330110
【氏名又は名称】マックス-デルブリュック-セントラム フュール モルキュラー メディツィーン イン デル ヘルムホルツ-ゲマインシャフト
【氏名又は名称原語表記】MAX-DELBRUCK-CENTRUM FUR MOLEKULARE MEDIZIN IN DER HELMHOLTZ-GEMEINSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】ポンツェッテ,ルツィア
(72)【発明者】
【氏名】キーバック,エリーザ
(72)【発明者】
【氏名】オードゥロ,イェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ドハモーダラン,アルンライ
(72)【発明者】
【氏名】クナックシュテット,ローレンツ
(72)【発明者】
【氏名】レリアヴィスキ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】ブランケンシュタイン,トーマス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA02
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA53
4C084DC50
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZB27
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG08
4C085GG10
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087MA52
4C087MA56
4C087MA59
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、なかでも、決定可能な親和性で特定のペプチドに結合する抗原認識コンストラクト、KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター、上記抗原認識コンストラクトまたは上記T細胞レセプターをコードする核酸配列、上記核酸配列を含むベクター、および上記抗原認識コンストラクトまたは上記T細胞レセプターを含む宿主細胞に関する。また、本発明は、医学における使用、または疾患の予防および/もしくは処置における使用のための、抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、核酸配列、ベクター、または宿主細胞に関する。さらに、本発明は、疾患を処置する方法、ならびに医薬組成物およびキットに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決定可能な親和性でペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を結合する抗原認識コンストラクトであって、
前記抗原認識コンストラクトは、配列番号10、16、4、22、および28からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/または、
前記抗原認識コンストラクトは、配列番号13、19、7、25、および31からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含む、抗原認識コンストラクト。
【請求項2】
前記抗原認識コンストラクトは、抗体もしくはそのフラグメント、またはT細胞レセプター(TCR)もしくはそのフラグメントである、請求項1に記載の抗原認識コンストラクト。
【請求項3】
前記抗原認識コンストラクトは、約1×10-6M未満のEC50で、ペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を特異的に結合する、請求項1または2に記載の抗原認識コンストラクト。
【請求項4】
前記EC50の値は、実施例2において行われる手順によって決定される、請求項3に記載の抗原認識コンストラクト。
【請求項5】
前記抗原認識コンストラクトは、MHC I分子によって提示される前記ペプチドを結合する、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクト。
【請求項6】
前記MHC I分子はHLA-A分子である、請求項5に記載の抗原認識コンストラクト。
【請求項7】
前記HLA-A分子はHLA-A*11:01である、請求項6に記載の抗原認識コンストラクト。
【請求項8】
前記抗原認識コンストラクトは、少なくとも80%の抗原特異性でペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を結合する、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクト。
【請求項9】
前記抗原認識コンストラクトはT細胞レセプター(TCR)である、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクト。
【請求項10】
前記T細胞レセプターは、配列番号8、14、2、20、および26からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含み、ならびに/または、前記T細胞レセプターは、配列番号11、17、5、23、および29からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含む、請求項9に記載のT細胞レセプター。
【請求項11】
前記T細胞レセプターは、配列番号9、15、3、21、および27からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含み、ならびに/または、前記T細胞レセプターは、配列番号12、18、6、24、および30からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含む、請求項9または10に記載のT細胞レセプター。
【請求項12】
前記T細胞レセプターは、配列番号10、16、4、22、および28からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/または、前記T細胞レセプターは、配列番号13、19、7、25、および31からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含む、請求項9~11のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
【請求項13】
前記T細胞レセプターは、配列番号8、14、2、20、および26からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含み、ならびに/または、前記T細胞レセプターは、配列番号11、17、5、23、および29からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含む、請求項9~12のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
【請求項14】
前記T細胞レセプターは、配列番号9、15、3、21、および27からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含み、ならびに/または、前記T細胞レセプターは、配列番号12、18、6、24、および30からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含む、請求項9~13のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
【請求項15】
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(c)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3を含む、請求項9~14のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
【請求項16】
(a)配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3を含む、請求項9~15のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
【請求項17】
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3を含む、請求項9~16のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
【請求項18】
(a)配列番号8、9、および10のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号11、12、および13のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(b)配列番号14、15、および16のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号17、18、および19のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(c)配列番号2、3、および4のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号5、6、および7のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(d)配列番号20、21、および22のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号23、24、および25のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(e)配列番号26、27、および28のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号29、30、および31のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖を含む、請求項10~17のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
【請求項19】
(a)配列番号32の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号33の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(b)配列番号34の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号35の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(c)配列番号36の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号37の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(d)配列番号38の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号39の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(e)配列番号40の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号41の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項9~18のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
【請求項20】
(a)配列番号32のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号33のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(b)配列番号34のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号35のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(c)配列番号36のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号37のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(d)配列番号38のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号39のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(e)配列番号40のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号41のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖を含む、請求項9~19のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
【請求項21】
突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)であって、前記TCRは、
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(c)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3を含む、T細胞レセプター(TCR)。
【請求項22】
突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)であって、前記TCRは、
(a)配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3を含む、T細胞レセプター(TCR)。
【請求項23】
突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)であって、前記TCRは、
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3を含む、T細胞レセプター(TCR)。
【請求項24】
突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)であって、前記TCRは、
(a)配列番号8、9、および10のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号11、12、および13のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(b)配列番号14、15、および16のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号17、18、および19のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(c)配列番号2、3、および4のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号5、6、および7のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(d)配列番号20、21、および22のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号23、24、および25のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(e)配列番号26、27、および28のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号29、30、および31のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖を含む、T細胞レセプター(TCR)。
【請求項25】
突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)であって、前記TCRは、
(a)配列番号32の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号33の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(b)配列番号34の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号35の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(c)配列番号36の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号37の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(d)配列番号38の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号39の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(e)配列番号40の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号41の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、T細胞レセプター(TCR)。
【請求項26】
突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)であって、前記TCRは、
(a)配列番号32のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号33のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(b)配列番号34のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号35のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(c)配列番号36のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号37のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(d)配列番号38のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号39のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(e)配列番号40のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号41のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖を含む、T細胞レセプター(TCR)。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトまたはT細胞レセプターをコードする核酸配列。
【請求項28】
請求項27に記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項29】
請求項1~26のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または請求項27に記載の核酸配列、または請求項28に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項30】
医学における使用のための、請求項1~26のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または請求項27に記載の核酸配列、または請求項28に記載のベクター、または請求項29に記載の宿主細胞。
【請求項31】
疾患の予防および/または処置における使用のための、請求項1~26のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または請求項27に記載の核酸配列、または請求項28に記載のベクター、または請求項29に記載の宿主細胞。
【請求項32】
前記疾患は悪性腫瘍疾患または良性腫瘍疾患である、請求項31に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
【請求項33】
前記疾患は突然変異KRASを発現する腫瘍である、請求項31または32に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
【請求項34】
前記疾患は突然変異KRASを発現する進行期の腫瘍である、請求項33に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
【請求項35】
前記疾患は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、膵臓がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、前立腺がん、胃(stomach)がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形神経膠芽腫、星細胞腫、黒色腫、肺がん、食道がん、胃(gastric)がん、乳がん、卵巣がん、中皮腫がん、膀胱がん、肛門がん、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、肉腫がん、腺腫がん、原始神経外胚葉性がん(原始神経外胚葉性腫瘍(PNET))、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項31~34のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
【請求項36】
前記肺がんは、肺の扁平上皮癌、非小細胞肺がん、および小細胞肺がんからなる群より選択される、請求項35に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
【請求項37】
前記乳がんは、乳管がん、管状乳がん、髄様乳がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項35に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
【請求項38】
前記胃(gastric)がんは、胃腺がんである、請求項35に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
【請求項39】
前記肉腫がんは、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項35に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
【請求項40】
前記腺腫がんは、胃腺癌、膵臓腺癌、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項35に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
【請求項41】
疾患を処置する薬剤の製造のための、請求項1~26のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または請求項27に記載の核酸配列、または請求項28に記載のベクター、または請求項29に記載の宿主細胞の使用。
【請求項42】
前記疾患は悪性腫瘍疾患または良性腫瘍疾患である、請求項41に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
【請求項43】
前記疾患は突然変異KRASを発現する腫瘍である、請求項41または42に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
【請求項44】
前記疾患は突然変異KRASを発現する進行期の腫瘍である、請求項43に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
【請求項45】
前記疾患は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、膵臓がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、前立腺がん、胃(stomach)がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形神経膠芽腫、星細胞腫、黒色腫、肺がん、食道がん、胃(gastric)がん、乳がん、卵巣がん、中皮腫がん、膀胱がん、肛門がん、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、肉腫がん、腺腫がん、原始神経外胚葉性がん(原始神経外胚葉性腫瘍(PNET))、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項41~44のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
【請求項46】
前記肺がんは、肺の扁平上皮癌、非小細胞肺がん、および小細胞肺がんからなる群より選択される、請求項45に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
【請求項47】
前記乳がんは、乳管がん、管状乳がん、髄様乳がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項45に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
【請求項48】
前記胃(gastric)がんは、胃腺がんである、請求項45に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
【請求項49】
前記肉腫がんは、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項45に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
【請求項50】
前記腺腫がんは、胃腺癌、膵臓腺癌、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項45に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
【請求項51】
治療有効量である、請求項1~26のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または請求項27に記載の核酸配列、または請求項28に記載のベクター、または請求項29に記載の宿主細胞を投与するステップを含む、疾患を処置する方法。
【請求項52】
前記疾患は悪性腫瘍疾患または良性腫瘍疾患である、請求項51に記載の疾患を処置する方法。
【請求項53】
前記疾患は突然変異KRASを発現する腫瘍である、請求項51または52に記載の疾患を処置する方法。
【請求項54】
前記疾患は突然変異KRASを発現する進行期の腫瘍である、請求項53に記載の疾患を処置する方法。
【請求項55】
前記疾患は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、膵臓がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、前立腺がん、胃(stomach)がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形神経膠芽腫、星細胞腫、黒色腫、肺がん、食道がん、胃(gastric)がん、乳がん、卵巣がん、中皮腫がん、膀胱がん、肛門がん、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、肉腫がん、腺腫がん、原始神経外胚葉性がん(原始神経外胚葉性腫瘍(PNET))、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項51~54のいずれか1項に記載の疾患を処置する方法。
【請求項56】
前記肺がんは、肺の扁平上皮癌、非小細胞肺がん、および小細胞肺がんからなる群より選択される、請求項55に記載の疾患を処置する方法。
【請求項57】
前記乳がんは、乳管がん、管状乳がん、髄様乳がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項55に記載の疾患を処置する方法。
【請求項58】
前記胃(gastric)がんは、胃腺がんである、請求項55に記載の疾患を処置する方法。
【請求項59】
前記肉腫がんは、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項55に記載の疾患を処置する方法。
【請求項60】
前記腺腫がんは、胃腺癌、膵臓腺癌、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項55に記載の疾患を処置する方法。
【請求項61】
請求項1~26のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または請求項27に記載の核酸配列、または請求項28に記載のベクター、または請求項29に記載の宿主細胞を含む医薬組成物。
【請求項62】
請求項1~26のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または請求項27に記載の核酸配列、または請求項28に記載のベクター、または請求項29に記載の宿主細胞を含む、医学における使用のためのキット。
【請求項63】
前記キットは、腫瘍の細胞が突然変異KRASを発現する腫瘍の処置のために患者を選択するための診断キットである、請求項62に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2022年1月21日に出願の欧州特許出願第22152794.8号の優先権を主張し、その内容の全体が言及することによってあらゆる目的で本願に援用される。
【0002】
本発明は、決定可能な親和性でペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を結合する抗原認識コンストラクト、突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)、上記抗原認識コンストラクトまたは上記T細胞レセプターをコードする核酸配列、核酸配列を含むそれぞれのベクター、および抗原認識コンストラクトまたはT細胞レセプターを含む宿主細胞に関する。また、本発明は、医学における使用、または疾患の予防および/もしくは処置における使用のための、抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、核酸配列、ベクター、または宿主細胞に関する。さらに、本発明は、疾患を処置する薬剤の製造のための、抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、核酸配列、ベクター、または宿主細胞の使用に関する。また、本発明は、治療有効量である抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、核酸配列、ベクター、または宿主細胞を投与するステップを含む、疾患を処置する方法に関する。加えて、本発明はまた、本発明の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、核酸配列、ベクター、または宿主細胞を含む医薬組成物、および医学における使用のためのそれぞれのキットにも関する。
【背景技術】
【0003】
Rasファミリータンパク質は、例えば細胞増殖の伝達を含む、細胞内におけるシグナルの伝達に関与する低分子GTPアーゼである。例のRASタンパク質は、KRAS(C-K-RAS、CFC2、K-RAS2A、KRAS2B、K-RAS4A、K-RAS4B、KI-RAS、KRAS1、KRAS2、NS、NS3、RALD、RASK2、K-ras、KRAS癌原遺伝子、GTPアーゼ、およびc-Ki-ras2とも呼ばれる)、HRAS、ならびにNRASを含む。負の成長シグナリングを阻害するRASタンパク質の突然変異は、細胞の持続的な増殖につながり得る。
【0004】
突然変異KRASは、活性化されると、グアノシン-5’-三リン酸(GTP)に結合し、GTPをグアノシン-5’-二リン酸(GDP)に変換する。突然変異KRASタンパク質生成物は恒常的に活性化され得る。
【0005】
突然変異KRASタンパク質は、様々なヒトがん、例えば、膵がん(例えば、膵癌)、結腸直腸がん、肺がん(例えば、肺腺癌)、子宮内膜がん、卵巣がん(例えば、卵巣上皮がん)、前立腺がん、黒色腫、甲状腺がん、および乳がん、ならびに、いくつかの場合の骨髄性白血病、例えばAMLなどのいずれかにおいて発現され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、突然変異RASタンパク質を標的とする新しい治療が必要とされている。したがって、そうした治療を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、なかでも、それぞれの独立請求項の特徴を有する抗原認識コンストラクト、TCR、核酸、ベクター、宿主細胞、方法、組成物、およびキットによって達成される。
【0008】
第1の態様において、本発明は、決定可能な親和性でペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を結合する抗原認識コンストラクトを提供し、抗原認識コンストラクトは、配列番号10、16、4、22、および28からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/または、抗原認識コンストラクトは、配列番号13、19、7、25、および31からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含む。
【0009】
第2の態様において、本発明は、突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、を含む。
【0010】
第3の態様において、本発明は、抗原認識コンストラクトまたはT細胞レセプターをコードする核酸配列を提供する。
【0011】
第4の態様において、本発明は、核酸配列を含むベクターを提供する。
【0012】
第5の態様において、本発明は、本発明の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、核酸配列、またはベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0013】
第6の態様において、本発明は、医学における使用、または疾患の予防および/もしくは処置における使用のための、本発明の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、核酸配列、ベクター、または宿主細胞を提供する。
【0014】
第7の態様において、本発明は、疾患を処置する薬剤の製造のための、抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、核酸配列、ベクター、または宿主細胞の使用を提供する。
【0015】
第8の態様において、本発明は、治療有効量である、本発明の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞を投与するステップを含む、疾患を処置する方法を提供する。
【0016】
第9の態様において、本発明は、本発明の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、核酸配列、ベクター、または宿主細胞を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
第10の態様において、本発明は、本発明の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞を含む、医学における使用のためのキットを提供する。
【0018】
本発明は、非限定的な実施例および図面と併せて考慮される、詳細な説明を参照してよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、KRASG12V発現細胞株(インタクトもしくはHLA-A*11:01で形質導入)と共培養した、または単独培養した(「T細胞」)、ヒトドナーからの、TCRまたは模擬の形質導入末梢血白血球(PBL)を示す。PMAおよびイオノマイシン刺激(「P/I」)を、T細胞活性化の陽性コントロールとして使用した。T細胞活性化の際における培養上清中のIFNγ分泌をELISAによって測定した。
図2図2は、下降性の濃度(10-6M~10-12M)の認識ペプチド(VVGAVGVGK)を負荷したHLA-A*11:01発現細胞と共培養した、ヒトドナーからの、TCR形質導入PBLを示す。T細胞活性化の際における培養上清中のIFNγ分泌をELISAによって測定した。ノーマライズしたIFNγ分泌曲線を示す。
図3図3は、フローサイトメトリーによって解析した際の、2人のドナーからのTCR形質導入CD8+T細胞の表面におけるTCRの発現を示す。TCR発現は、抗マウスTCRβ鎖またはHLA-A*11:01-VVGAVGVGKデキストラマー(「Dex」)で細胞を染色することによって測定した。TCR発現は、CT1のTCRに対してノーマライズした平均蛍光強度(MFI)として表す。
図4図4は、HLA-A*11:01発現細胞株と共培養したTCR形質導入ヒトPBLを示す。CFPAC-1細胞はKRASG12Vを発現し(「CFPAC-1-A11」)、またはK-562細胞に認識ペプチド(VVGAVGVGK、10-6M)を負荷した(「K562-A11+G12V」)。負荷していないK-562細胞を陰性コントロールとした(「K562-A11」)。T細胞活性化の際における培養上清中のタンパク質分泌を、マルチアナライトビーズフローアッセイによって測定した。
図5図5は、本発明のTCR4-13、3-13、3-14、3-7、および3-10におけるαおよびβ鎖の全長配列を示す配列番号32~41を示す。可変領域は下線、定常領域は太字となっている。また、「可変領域」という用語は、本明細書において使用するように、「可変ドメイン」とも呼ばれることがあり、両方の用語が同義で使用され得る。また、「定常領域」という用語は、本明細書において使用するように、「定常ドメイン」とも呼ばれることがあり、両方の用語が同義で使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述のように、第1の態様において、本発明は、決定可能な親和性でペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を結合する抗原認識コンストラクトを対象とし、抗原認識コンストラクトは、配列番号10、16、4、22、および28からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/または、抗原認識コンストラクトは、配列番号13、19、7、25、および31からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含む。このように、本発明の第1の態様はまた、決定可能な親和性でペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を結合する抗原認識コンストラクトを含み、抗原認識コンストラクトは、配列番号10、16、4、22、および28からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含む、または、抗原認識コンストラクトは、配列番号13、19、7、25、および31からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含む。また、本発明の第1の態様は、決定可能な親和性でペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を結合する抗原認識コンストラクトを対象とし得、抗原認識コンストラクトは、配列番号10、16、4、22、および28からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに、抗原認識コンストラクトは、配列番号13、19、7、25、および31からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含む。また、本発明の第1の態様は、決定可能な親和性でペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を結合する抗原認識コンストラクトを対象とし得、抗原認識コンストラクトは、配列番号10のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/または、抗原認識コンストラクトは、配列番号13のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含む。
【0021】
ペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)は、突然変異KRASペプチド、すなわち点突然変異G12Vを有するKRASのアミノ酸8~16の領域(KRASG12V)の突然変異KRASペプチドである。このように、本明細書において使用するように、「突然変異KRAS」または「突然変異標的」という用語は、具体的に、KRASのアミノ酸8~16のG12V点突然変異体を意味し得る。ペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)は、このように、それぞれ突然変異KRASエピトープである。したがって、本発明における抗原認識コンストラクトまたはTCRは、決定可能な親和性でVVGAVGVGK(配列番号1)の突然変異KRASエピトープ/ペプチド(KRASG12V)を結合する能力を有する。
【0022】
本明細書において使用するように「決定可能な親和性で」という用語は、本発明における抗原認識コンストラクトまたはT細胞レセプターが、それぞれのペプチドを、すなわち少なくとも10-1の親和定数で、結合し得ることを意味する。本明細書において使用するように「親和定数」という用語は、平衡会合定数Kaを意味する。より低い親和性は、一般に、慣例的な測定方法ではもはや正確に記録することができないため、実際的応用では重要性が低い。抗原認識コンストラクトまたはT細胞レセプターは、例えば、100μMの平衡解離定数Kdに対応する、少なくとも10-1の親和定数で、それぞれのペプチドを結合し得る。抗原認識コンストラクトまたはT細胞レセプターとそれぞれのペプチドとの結合親和性は、当業者によって、数多くの方法を使用して、例えば蛍光滴定法を使用して、競合ELISAを使用して、または表面プラズモン共鳴技術を使用して、決定することができる。
【0023】
「エピトープ」または「抗原エピトープ」という用語は、免疫グロブリン、T細胞レセプター(TCR)、キメラ抗原レセプター、または他の結合分子、ドメイン、もしくはタンパク質などの同族結合分子によって認識されて、特異的に結合される、任意の分子、構造、アミノ酸配列、またはタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は、一般に、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基を含み、特定の3次元構造特性および特定の電荷特性を有し得る。
【0024】
本発明の第1の態様における抗原認識コンストラクトは、抗体もしくはそのフラグメント、またはT細胞レセプター(TCR)もしくはそのフラグメントであり得る。
【0025】
このように、抗原認識コンストラクトが抗体またはそのフラグメントであることは、本発明の第1の態様の範囲内である。種々の文法上の形式における「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性の部分、すなわち、抗体結合部位またはパラトープを含む分子を指すように本明細書において使用される。また、このような分子は、免疫グロブリン分子の「抗原結合フラグメント」とも呼ばれる。本発明はさらに、本明細書に記載する抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分を提供する。抗体は、当該技術分野において知られている、任意の種類の免疫グロブリンであり得る。例えば、抗体は、任意のアイソタイプ、例えばIgA、IgD、IgE、IgG、IgMなどであり得る。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであり得る。抗体は、自然起源の抗体、例えば、哺乳動物、例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ、ハムスター、ヒトなどから単離および/または精製された抗体であり得る。あるいは、抗体は、遺伝子操作した抗体、例えばヒト化抗体またはキメラ抗体であり得る。抗体は、単量体または多量体形態であり得る。
【0026】
「T細胞」または「Tリンパ球」は、胸腺において成熟するとともに、T細胞レセプター(TCR)を産生する、免疫系細胞である。T細胞は、ナイーブ(「T」;抗原に曝露されていない;TCMと比較してCD62L、CCR7、CD28、CD3、CD127、およびCD45RAの発現が増加し、CD45ROの発現が減少するか、またはない)、幹細胞メモリーT細胞を含むメモリーT細胞(T)(抗原を経験し、長命である)、ならびにエフェクター細胞(抗原を経験し、細胞傷害性である)であり得る。Tはさらに、セントラルメモリーT細胞(TEM、CD62L、CCR7、CD28、CD95、CD45RO、およびCD127を発現)、ならびにエフェクターメモリーT細胞(TEM、CD45ROを発現、CD62L、CCR7、CD28、およびCD45RAの発現は減少する)のサブセットに分けることができる。エフェクターT細胞(T)は、CD45RAを発現して、TCMと比較してCD62L、CCR7、およびCD28の発現が減少し、ならびに、グランザイムおよびパーフォリンが陽性である、抗原を経験したCD8+細胞傷害性Tリンパ球を指す。CD4+細胞は、サイトカインを放出することによって、他の免疫細胞の活性に影響を与える。CD4+T細胞は、適応免疫応答を活性化および抑制することができ、この2つの機能のどちらが誘発されるかは、他の細胞およびシグナルの存在によって決まり得る。T細胞は、既知の技術を使用して採取することができ、種々の分集団またはその組合せは、既知の技術によって、例えば抗体への親和性結合、フローサイトメトリー、免疫磁気選択などによって、濃縮または除去することができる。他の例のT細胞は、CD4+CD25+(Foxp3+)制御性T細胞およびTreg17細胞、ならびに、Tr1、Th3、およびQa-1制限性T細胞などの制御性T細胞を含む。
【0027】
「T細胞レセプター」(TCR)は、可変結合ドメイン、定常ドメイン、膜貫通領域、および短い細胞質側末端を有する免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーを指し、MHCレセプターに結合した抗原ペプチドに特異的に結合することができ、例えば、Janewayら、Immunobiology:The Immune System in Health and Disease、3rd Ed.、Current Biology Publications、p.433、1997が参照される。TCRは、細胞の表面または可溶性形態で見受けられ、一般に、α鎖およびβ鎖(それぞれTCRαおよびTCRβとしても知られている)、またはγ鎖およびδ鎖(それぞれTCRγおよびTCRδとしても知られている)を有するヘテロ二量体を含む。本開示の結合タンパク質、例えばTCRをコードするポリヌクレオチドは、特定の宿主細胞、例えば免疫系の細胞、造血幹細胞、T細胞、初代T細胞、T細胞株、NK細胞、またはナチュラルキラーT細胞などにおける発現を増強するようにコドン最適化することができる(Scholten el al.,Clin.Immunol.119:135,2006)。
【0028】
「相補性決定領域」および「CDR」という用語は、「超可変領域」または「HVR」と同義であり、抗原特異性および/または結合親和性を付与するとともに、フレームワーク領域によって一次アミノ酸配列において互いに分離されている、免疫グロブリンまたはTCR可変領域内のアミノ酸配列を指すように当該技術分野において知られている。一般に、各TCRα鎖可変領域には3つのCDR(αCDR1、αCDR2、αCDR3)があり、各TCRβ鎖可変領域には3つのCDR(βCDR1、βCDR2、βCDR3)がある。TCRにおいて、CDR3は、プロセスされた抗原の認識を担う主なCDRであると考えられている。一般に、CDR1およびCDR2は主にあるいは排他的にMHCと相互作用する。
【0029】
抗原認識コンストラクトは、約1×10-6M未満の半数有効濃度EC50で、ペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を特異的に結合し得る。具体的な例において、抗原認識コンストラクトは、約1×10-8M未満、約2×10-8M未満、または約6×10-8M未満のEC50で、ペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を特異的に結合し得る。EC50の値は、本明細書に記載する実施例2において行われる手順によって決定され得る。
【0030】
本明細書において使用するように、「特異的に結合する」という用語は、抗原認識コンストラクト(例えば、TCRレセプター)と標的ペプチドとが、10-1以上(この会合反応におけるオン率[kon]とオフ率[koff]との比率に等しい)である親和性またはK(すなわち、1/Mの単位での特定の結合相互作用の平衡会合定数)で会合または結合しながら、試料中において任意の他の分子または成分と有意に会合または結合しないことを指す。
【0031】
ペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を結合する、本発明の第1の態様における抗原認識コンストラクトは、MHC I分子によって提示され得る。例えば、MHC I分子はHLA-A分子であり得る。HLA-A分子は、例えばHLA-A*11:01であり得る。HLA-A*11:01の例のアミノ酸配列は、IMGT/HLA受託番号HLA00043である(https://www.ebi.ac.uk/ipd/imgt/hla/alleles/allele/?accession=HLA00043参照)。
【0032】
MHC分子には、MHCクラスIおよびMHCクラスIIの2つのクラスがある。ペプチドとMHCクラスIとの複合体は、適切なT細胞レセプター(TCR)を保持するCD8陽性T細胞によって認識されるが、ペプチドとMHCクラスII分子との複合体は、適切なTCRを保持するCD4陽性T細胞によって認識される。CD8およびCD4T細胞依存性応答という両方の種類の応答は、共同かつ相乗して抗腫瘍効果に寄与するので、腫瘍関連および腫瘍特異的抗原と、対応するT細胞レセプターとの同定および特性評価は、ワクチンや細胞治療などのがん免疫療法の開発において重要である。
【0033】
抗原認識コンストラクトが少なくとも80%の抗原特異性でペプチドを結合し得ることは、本発明の第1の態様の範囲内である。抗原認識コンストラクトが、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の抗原特異性でペプチドを結合し得ることは、本発明の第1の態様の範囲内である。
【0034】
本明細書において使用するように、「抗原特異性」という用語は、抗原認識コンストラクトが、突然変異標的、例えば突然変異KRASに特異的に結合し、免疫学的に認識できることを意味する。これは、特有の分子実体として特異的に抗原を認識し、精緻な精度で他からこれを識別する能力を意味し得る。例えば、抗原認識コンストラクトは、(a)低濃度の突然変異標的ペプチド(例えば、約0.05ng/mL~約5ng/mL、0.05ng/mL、0.1ng/mL、0.5ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、または上述の値のいずれか2つで定められる範囲)を瞬間適用した抗原陰性のHLA-A11:01標的細胞、または、(b)標的細胞が突然変異標的を発現するように、突然変異標的をコードするヌクレオチド配列が導入された抗原陰性HLA-A11:01標的細胞、と共培養した際に、抗原認識コンストラクトを発現する約1×10~約1×10のT細胞が、少なくとも約200pg/mL以上(例えば、200pg/mL以上、300pg/mL以上、400pg/mL以上、500pg/mL以上、600pg/mL以上、700pg/mL以上、1,000pg/mL以上、5,000pg/mL以上、7,000pg/mL以上、10,000pg/mL以上、20,000pg/mL以上、または上述の値のいずれか2つで定められる範囲)のIFNγを分泌する場合、突然変異標的に対する「抗原特異性」を有すると考えられ得る。また、本発明に係る抗原認識コンストラクトを発現する細胞は、高濃度の突然変異標的ペプチドを瞬間適用した抗原陰性HLA-A11:01標的細胞との共培養の際にも、IFNγを分泌し得る。
【0035】
KRASを特異的に結合する任意の抗体分子が、本明細書において使用され得る。抗体分子は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、または典型的にモノクローナル抗体に由来するフラグメント、例えば二価抗原結合抗体フラグメント、一価抗原結合抗体フラグメントなどであり得る。適切な二価抗体フラグメントの例は、(Fab)’-フラグメント、二価単鎖Fvフラグメント、または二価単一ドメインラクダ抗体(ナノボディとしても知られている)であり、これは、そうした単一ドメインラクダ抗体を、2つの単一ドメインラクダ抗体の間にリンカーを有する融合タンパク質として作製することによって得ることができる。適切な一価抗体フラグメントの例は、Fabフラグメント、Fvフラグメント、または単鎖Fvフラグメント(scFv)を含むが、これらに限定されない。
【0036】
具体的に、上述したように、抗原認識コンストラクトはT細胞レセプター(TCR)であってもよい。そうしたTCRは、配列番号8、14、2、20、および26からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含み得、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号11、17、5、23、および29からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含む。さらに、T細胞レセプターは、配列番号8からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含み得、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号11のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含む。
【0037】
さらに、T細胞レセプターは、配列番号9、15、3、21、および27からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含み得、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号12、18、6、24、および30からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含み得る。さらに、T細胞レセプターは、配列番号9のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含み得、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号12のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含み得る。
【0038】
また、本発明の第1の態様において、T細胞レセプターは、配列番号10、16、4、22、および28からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み得ること、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号13、19、7、25、および31からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み得ることを、含む。また、本発明の第1の態様において、T細胞レセプターは、配列番号10のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み得ること、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号13のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み得ることを、含む。T細胞レセプターは、配列番号8、14、2、20、および26からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含み得、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号11、17、5、23、および29からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含み得る。T細胞レセプターは、配列番号8のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含み得、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号11のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含み得る。T細胞レセプターは、配列番号9、15、3、21、および27からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含み得、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号12、18、6、24、および30からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含み得る。
【0039】
本発明の第1の態様におけるT細胞レセプターは、
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(c)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、を含み得る。
【0040】
本発明の第1の態様におけるT細胞レセプターは、
(a)配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、を含み得る。
【0041】
本発明の第1の態様におけるT細胞レセプターは、
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、を含み得る。
【0042】
本発明の第1の態様におけるT細胞レセプターは、
(a)配列番号8、9、および10のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号11、12、および13のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(b)配列番号14、15、および16のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号17、18、および19のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(c)配列番号2、3、および4のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号5、6、および7のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(d)配列番号20、21、および22のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号23、24、および25のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(e)配列番号26、27、および28のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号29、30、および31のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖を、含み得る。
【0043】
本発明の第1の態様におけるT細胞レセプターは、
(a)配列番号32の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号33の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(b)配列番号34の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号35の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(c)配列番号36の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号37の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(d)配列番号38の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号39の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(e)配列番号40の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号41の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を、含み得る。それぞれの配列番号の可変ドメインまたは領域は、本明細書の表2および図5において下線によって示されている。
【0044】
本発明の第1の態様におけるT細胞レセプターは、
(a)配列番号32のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号33のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(b)配列番号34のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号35のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(c)配列番号36のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号37のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(d)配列番号38のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号39のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(e)配列番号40のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号41のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖を、含み得る。
【0045】
またさらなる態様において、本発明は、突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(c)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、を含む。
【0046】
またさらなる態様において、本発明は、突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、を含む。
【0047】
第2の態様において、本発明は、突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、を含み得る。
【0048】
第2の態様において、本発明は、突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号8、9、および10のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号11、12、および13のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(b)配列番号14、15、および16のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号17、18、および19のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(c)配列番号2、3、および4のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号5、6、および7のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(d)配列番号20、21、および22のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号23、24、および25のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖、または、
(e)配列番号26、27、および28のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むα鎖、ならびに、配列番号29、30、および31のアミノ酸配列を含むCDR配列を含むβ鎖を、含み得る。
【0049】
第2の態様において、本発明は、突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)を提供し、TCRは、
(a)配列番号32の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号33の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(b)配列番号34の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号35の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(c)配列番号36の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号37の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(d)配列番号38の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号39の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
(e)配列番号40の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/もしくは、配列番号41の可変ドメインに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を、含み得る。それぞれの配列番号の可変ドメインまたは領域は、本明細書の表2および図5において下線によって示されている。
【0050】
第2の態様において、本発明は、突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)を提供し、TCRは、(a)配列番号32のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号33のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(b)配列番号34のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号35のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(c)配列番号36のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号37のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(d)配列番号38のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号39のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖、または、
(e)配列番号40のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むα鎖、および/もしくは、配列番号41のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むβ鎖を、含み得る。
【0051】
本発明の範囲には、少なくとも1つのαTCR鎖および/またはβTCR鎖を含むTCRを含み、上述のαTCR鎖は、配列番号32、34、36、38、もしくは40のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含み、および/または、上述のβTCR鎖は、配列番号33、35、37、39、もしくは41のアミノ酸配列に対して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0052】
本発明の範囲には、本明細書に記載する本発明に係る抗原認識コンストラクトまたはTCRの機能性変異体を含む。本明細書において使用するように、「機能性変異体」という用語は、親抗原認識コンストラクトまたはTCRと実質的または有意な配列同一性または類似性を有する抗原認識コンストラクトまたはTCRを指し、この機能性変異体は、その変異体である抗原認識コンストラクトまたはTCRの生物学的活性を保持している。機能性変異体は、例えば、本明細書に記載する抗原認識コンストラクトまたはTCR(親抗原認識コンストラクトまたはTCR)の変異体であって、親抗原認識コンストラクトまたはTCRが親抗原認識コンストラクトまたはTCRと同様の程度、同じ程度、またはより高い程度の抗原特異性を有する突然変異標的、例えば突然変異KRASに特異的に結合する能力を保持する変異体を包含する。親抗原認識コンストラクトまたはTCRに関して、機能性変異体は、例えば、親抗原認識コンストラクトまたはTCRと、アミノ酸配列が少なくとも約30%、50%、75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の同一性であり得る。
【0053】
本発明において使用するにように、「配列同一性」または「同一性」という用語は、本発明のポリペプチドの配列と対象の配列との相同アラインメントに続く、これら2つの配列のうち長い方の残基の数に対する、対で同一である残基のパーセンテージを意味する。
【0054】
配列相同性または配列同一性のパーセンテージは、例えば、BLASTPプログラムのバージョンblastp2.2.5を使用して本明細書において決定され得る(November 16,2002;Altschul,S.F.et al.(1997)Nucl.Acids Res.25,3389-3402参照)。相同性のパーセンテージは、それぞれの配列を含むポリペプチド配列全体のアラインメント(マトリックス:BLOSUM 62、ギャップコスト:11.1、カットオフ値は10-3に設定)に基づいている。これは、BLASTPプログラムの出力において結果として示された「陽性」(相同アミノ酸)の数を、アライメントのためにプログラムによって選択されたアミノ酸の総数で除算したパーセンテージとして計算される。
【0055】
機能性変異体は、例えば、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む親抗原認識コンストラクトまたはTCRのアミノ酸配列を含み得る。保存的アミノ酸置換は当該技術分野において知られており、所定の物理的および/または化学的特性を有する1つのアミノ酸を、同じ化学的または物理的特性を有する別のアミノ酸と交換するアミノ酸置換を含む。例えば、保存的アミノ酸置換は、別の酸性アミノ酸に置換された酸性アミノ酸(例えば、AspまたはGlu)、非極性側鎖を有する別のアミノ酸に置換された非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、Ala、Gly、Val、lle、Leu、Met、Phe、Pro、Trp、Valなど)、別の塩基性アミノ酸に置換された塩基性アミノ酸(Lys、Argなど)、極性側鎖を有する別のアミノ酸に置換された極性側鎖を有するアミノ酸(Asn、Cys、Gln、Ser、Thr、Tyrなど)などであり得る。
【0056】
「KRAS」という用語は、カーステンラット肉腫ウイルスを意味し、そのタンパク質配列は、例えばUniProtKB受託番号P01116(RASK_HUMAN)として寄託されている。
【0057】
本発明の態様に戻ると、第3の態様において、本発明は、本発明の第1または第2の態様における抗原認識コンストラクトまたはT細胞レセプターをコードする核酸配列を対象とする。
【0058】
本明細書において使用するように、「核酸」という用語は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸分子」を含み、一般に、一本鎖または二本鎖であり得、合成されるまたは天然由来源から取得することができ(例えば、単離および/または精製)、天然、非天然、または変化したヌクレオチドを含むことができ、ならびに、非修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間に見られるホスホジエステルの代わりに、ホスホロアミダート結合またはホスホロチオエート結合などの天然、非天然、または変化したヌクレオチド間結合を含むことができる、DNAまたはRNAのポリマーを意味する。
【0059】
第4の態様において、本発明は、本発明の第3の態様における核酸配列を含むベクターを対象とする。
【0060】
本発明の文脈において、「ベクター」という用語は、プラスミド、バクテリオファージ、ファージミド、ウイルス、または他のビヒクルなどのDNA分子を包含し、このDNA分子は、1つ以上の異種または組換えヌクレオチド配列(例えば、機能性プロモーター、および場合によってはエンハンサーの制御下にもある、上述の本発明の核酸分子)を含み、当業者に理解される意味においてベクターとして機能することができる。適切なファージおよびウイルスベクターは、ラムダ(X)バクテリオファージ、EMBLバクテリオファージ、サルウイルス40、ウシパピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、モロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳がんウイルス、レンチウイルス、およびラウス肉腫ウイルスを含むが、これらに限定されない。
【0061】
望ましくは、ベクターは発現ベクターまたは組換え発現ベクターである。「組換え発現ベクター」という用語は、本発明の文脈において、適切な宿主細胞においてmRNA、タンパク質、またはポリペプチドを発現させる核酸コンストラクトを指す。本発明の組換え発現ベクターは、任意の適切な組換え発現ベクターとすることができ、任意の適切な宿主を形質転換または遺伝子導入するために使用することができる。適切なベクターは、プラスミドおよびウイルスなど、増殖および拡大のため、または発現のため、またはその両方のために設計されるものを含む。動物発現ベクターの例は、pEUK-Cl、pMAM、およびpMAMneoを含む。具体的な例において、組換え発現ベクターはウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクターである。組換え発現ベクターは、ベクターが導入され、本発明の核酸の発現が行われる宿主細胞の種類(例えば、細菌、真菌、植物、または動物)に特異的な、調節配列、例えば転写および翻訳の開始コドンおよび終止コドンなどを含む。さらに、本発明のベクターは、形質転換または遺伝子導入された宿主の選択を可能にする1つ以上のマーカー遺伝子を含み得る。組換え発現ベクターは、本発明のコンストラクトをコードするヌクレオチド配列、または、本発明のコンストラクトをコードするヌクレオチド配列に相補的であるか、もしくは本発明のコンストラクトをコードするヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列に作動可能に連結された天然または標準的プロモーターを含み得る。プロモーターの選択は、例えば、強力なプロモーター、弱いプロモーター、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、および発生特異的プロモーターを含む。プロモーターは非ウイルス性プロモーターまたはウイルス性プロモーターであり得る。本発明に係る組換え発現ベクターは、一時発現、安定発現、またはその両方のいずれかのために設計することができる。また、組換え発現ベクターは、恒常的発現または誘導的発現のために作製することができる。
【0062】
本発明は、これらの態様のいずれか、いくつか、またはすべてを参照して、以下にさらに説明される。これらの態様のうちの1つのみを参照する場合であっても、この参照は、該当する場合、本発明の他のすべての態様への参照を含むことが当業者に理解される。
【0063】
第5の態様において、本発明は、本発明の第1もしくは第2の態様における抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または本発明の第3の態様における核酸配列、または本発明の第4の態様におけるベクターを含む宿主細胞を対象とする。
【0064】
具体的に、本発明の宿主細胞は、本明細書において上述したような核酸、またはベクターを含む。宿主細胞は、真核生物細胞、例えば植物、動物、真菌、もしくは藻類であり得、または原核生物細胞、例えば細菌もしくは原虫であり得る。宿主細胞は、培養細胞、または初代細胞、すなわち、例えばヒトなどの生物体から直接的に単離された細胞であり得る。宿主細胞は、接着細胞、または懸濁細胞、すなわち懸濁液中において増殖する細胞であり得る。組換えTCR、ポリペプチド、またはタンパク質を産生する目的のために、宿主細胞は例えば哺乳動物細胞である。別の具体的な例において、宿主細胞はヒト細胞である。宿主細胞は、任意の細胞型のものとし、任意の種類の組織に由来し、任意の発生段階のものとすることができる一方、宿主細胞は、末梢血白血球(PBL)または末梢血単核細胞(PBMC)とし得る。別の具体的な例において、宿主細胞はT細胞である。T細胞は、任意のT細胞、例えば、培養したT細胞、例えば初代T細胞、または培養したT細胞株からのT細胞、例えばジャーカット、SupT1など、または哺乳動物から得たT細胞、具体的にヒト患者からのT細胞もしくはT細胞前駆体などとすることができる。T細胞は、哺乳動物から得る場合、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または、他の組織もしくは体液を含むがこれらに限定されない多数の供給源から得ることができる。また、T細胞は濃縮または精製することもできる。別の具体的な例において、T細胞はヒトT細胞である。別の具体的な例において、T細胞は、ヒトから単離したT細胞である。T細胞は、任意の種類のT細胞とすることができ、CD4陽性および/またはCD8陽性、CD4陽性ヘルパーT細胞、例えばTh1およびTh2細胞、CD8陽性T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、メモリーT細胞、ナイーブT細胞などを含むが、これらに限定されない任意の発生段階のものとすることができる。別の具体的な例において、T細胞は、CD8陽性T細胞またはCD4陽性T細胞である。
【0065】
具体的な例において、本発明の宿主細胞は、リンパ球、具体的にはCD4またはCD8陽性T細胞などのTリンパ球である。さらに、宿主細胞は、具体的に、突然変異KRAS発現腫瘍細胞に特異的な腫瘍反応性T細胞であってもよい。
【0066】
第6の態様において、本発明は、医学における使用のための、本発明の第1もしくは第2の態様における抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または本発明の第3の態様における核酸配列、または本発明の第4の態様におけるベクター、または本発明の第5の態様における宿主細胞を対象とする。
【0067】
第7の態様において、本発明は、疾患の予防および/または処置における使用のための、本発明の第1もしくは第2の態様における抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または本発明の第3の態様における核酸配列、または本発明の第4の態様におけるベクター、または本発明の第5の態様における宿主細胞を対象とする。
【0068】
本明細書において使用するように、「処置する」および「予防する」という用語、ならびに「処置」または「予防」のようなそこから派生する文言は、必ずしも100%または完全である処置または予防を意味するものではない。むしろ、当業者が利益の可能性または治療的効果を有すると認識する処置または予防の程度は様々である。これに関して、本発明に係る方法は、哺乳動物のがんにおいて、任意のレベルの任意の量の処置または予防を提供することができる。さらに、本発明に係る方法によって提供される処置または予防は、処置または予防されるがんにおける1つ以上の状態または症状の処置または予防を含むことができる。例えば、処置または予防は腫瘍の退縮を促進することを含み得る。また、本明細書の目的のため、「予防」は、がん、またはその症状もしくは状態の発症を遅延することを包含し得る。
【0069】
本発明の第6または第7の態様において、疾患は悪性腫瘍疾患または良性腫瘍疾患であり得る。
【0070】
本発明の文脈における「腫瘍」または「腫瘍疾患」という用語は、例えば、黒色腫、肝細胞癌、肝内および肝外胆管細胞癌、扁平上皮癌や、頭部、頸部、肺、または食道の腺癌および未分化癌、結腸直腸癌、軟骨肉腫、骨肉腫、髄芽腫、神経芽細胞腫、頭部または頸部の非扁平上皮癌、卵巣腫瘍、リンパ腫、急性および慢性リンパ球性白血病、急性および慢性骨髄性白血病、膀胱癌、前立腺癌、膵臓腺癌、乳癌、ならびに胃癌から選択される疾患を意味する。具体的な例において、本発明の製品および/または方法によって処置される疾患は、黒色腫、非小細胞肺がん、膵臓腺癌、および胆管細胞癌を含む。
【0071】
本発明の第6または第7の態様において、疾患は突然変異KRASを発現する腫瘍であり得る。具体的に、疾患は突然変異KRASを発現する進行期の腫瘍であり得る。
【0072】
本発明の第6または第7の態様に関して、疾患は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、膵臓がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、前立腺がん、胃(stomach)がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形神経膠芽腫、星細胞腫、黒色腫、肺がん、食道がん、胃(gastric)がん、乳がん、卵巣がん、中皮腫がん、膀胱がん、肛門がん、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、肉腫がん、腺腫がん、原始神経外胚葉性がん(原始神経外胚葉性腫瘍(PNET))、およびそれらの組合せからなる群より選択され得る。
【0073】
肺がんは、肺の扁平上皮癌、非小細胞肺がん、および小細胞肺がんであり得るが、これらに限定されない。他の具体的な例において、乳がんは、乳管がん、管状乳がん、髄様乳がん、およびそれらの組合せであり得るが、これらに限定されない。さらに別の具体的な例において、胃(gastric)がんは胃腺がんであり得る。肉腫がんに目を向けると、肉腫がんは、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、およびそれらの組合せであり得るが、これらに限定されない。また、腺腫がんは、胃腺癌、膵臓腺癌、およびそれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。
【0074】
本発明の第8の態様は、疾患を処置する薬剤の製造のための、本発明の第1もしくは第2の態様における抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または本発明の第3の態様における核酸配列、または本発明の第4の態様におけるベクター、または本発明の第5の態様における宿主細胞の使用を対象とする。疾患は悪性腫瘍疾患または良性腫瘍疾患であり得るが、これらに限定されない。さらに別の具体的な例において、疾患は突然変異KRASを発現する腫瘍であり得る。疾患は、限定されることなく、突然変異KRASを発現する進行期の腫瘍である。
【0075】
本発明の第8の態様に関して、疾患は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、膵臓がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、前立腺がん、胃(stomach)がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形神経膠芽腫、星細胞腫、黒色腫、肺がん、食道がん、胃(gastric)がん、乳がん、卵巣がん、中皮腫がん、膀胱がん、肛門がん、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、肉腫がん、腺腫がん、原始神経外胚葉性がん(原始神経外胚葉性腫瘍(PNET))、およびそれらの組合せからなる群より選択され得る。肺がんは、肺の扁平上皮癌、非小細胞肺がん、および小細胞肺がんであり得るが、これらに限定されない。他の具体的な例において、乳がんは、乳管がん、管状乳がん、髄様乳がん、およびそれらの組合せであり得るが、これらに限定されない。さらに別の具体的な例において、胃(gastric)がんは胃腺がんであり得る。肉腫がんに目を向けると、肉腫がんは、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、およびそれらの組合せであり得るが、これらに限定されない。また、腺腫がんは、胃腺癌、膵臓腺癌、およびそれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。
【0076】
本発明の第9の態様は、治療有効量である、本発明の第1もしくは第2の態様における抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または本発明の第3の態様における核酸配列、または本発明の第4の態様におけるベクター、または本発明の第5の態様における宿主細胞を、投与するステップを含む、疾患を処置する方法を対象とする。疾患は悪性腫瘍疾患または良性腫瘍疾患であり得るが、これらに限定されない。さらに別の具体的な例において、疾患は突然変異KRASを発現する腫瘍であり得る。疾患は、限定されることなく、突然変異KRASを発現する進行期の腫瘍である。
【0077】
本発明の第9の態様に関して、疾患は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、膵臓がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、前立腺がん、胃(stomach)がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形神経膠芽腫、星細胞腫、黒色腫、肺がん、食道がん、胃(gastric)がん、乳がん、卵巣がん、中皮腫がん、膀胱がん、肛門がん、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、肉腫がん、腺腫がん、原始神経外胚葉性がん(原始神経外胚葉性腫瘍(PNET))、およびそれらの組合せからなる群より選択され得る。肺がんは、肺の扁平上皮癌、非小細胞肺がん、および小細胞肺がんであり得るが、これらに限定されない。他の具体的な例において、乳がんは、乳管がん、管状乳がん、髄様乳がん、およびそれらの組合せであり得るが、これらに限定されない。さらに別の具体的な例において、胃(gastric)がんは胃腺がんであり得る。肉腫がんに目を向けると、肉腫がんは、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、およびそれらの組合せであり得るが、これらに限定されない。また、腺腫がんは、胃腺癌、膵臓腺癌、およびそれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。
【0078】
ここで、疾患、例えば腫瘍の処置についてさらに詳しく述べると、処置の方法は、任意の適切ながん処置、例えば低分子化学療法薬剤または免疫療法による処置などに適用することができる。免疫療法処置は、治療有効量の養子細胞治療剤または突然変異KRASを特異的に結合する薬剤を患者に投与することを含み得る。
【0079】
細胞治療剤の例は、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞など、免疫系の遺伝子改変された細胞であり得る。このような遺伝子改変された細胞は、キメラ抗原レセプターT細胞(CAR T細胞、Jakobsen & Gjerstorff “CAR T-Cell Cancer Therapy Targeting Surface Cancer/Testis Antigens”,Front.Immunol.2020年9月2日、Article 01568,doi:10.3389/fimmu.2020.01568参照)、または突然変異KRASを特異的に結合する、遺伝子改変されたT細胞を含む。遺伝子改変された細胞は、処置される患者由来の自己細胞であり得るだけでなく、同種細胞、すなわち、対象の患者から得た細胞ではなく、「ユニバーサル」ドナー細胞由来である細胞であり得る。この「ユニバーサル」ドナー細胞は、ヒトドナーからのT細胞またはNK細胞などの自然起源の細胞に由来し得る(これに関して、例えば、Perezらの総説論文、Off-the-Shelf Allogeneic T Cell Therapies for Cancer:Opportunities and Challenges Using Naturally Occurring “Universal” Donor T Cells,Front.Immunol.,2020年11月11日、Article 583716,https://doi.org/10.3389/fimmu.2020.583716参照)。しかしながら、このような「ユニバーサル」ドナー細胞を誘導多能性幹細胞(iPSC)から得ることもまた可能である(Flahouらの総説論文、“Fit-For-All iPSC-Derived Cell Therapies and Their Evaluation in Humanized Mice With NK Cell Immunity” Front.Immunol.,2021年4月2日、Article 662360,https://doi.org/10.3389/fimmu.2021.662360参照)。遺伝子改変されたT細胞が細胞治療剤として使用される場合、T細胞は、例えばCD8+T細胞、CD4+T細胞、またはそれらの組合せなどであるが、これらに限定されない、任意の適切な表現型のものであり得る。自己(患者由来)T細胞または同種T細胞が使用されるかにかかわらず、T細胞は、突然変異KRASを特異的に結合する組換えT細胞レセプター(TCR)を発現し得る。
【0080】
遺伝子改変したT細胞などの細胞生成物/薬剤を本発明の処置の方法に使用するとき、そのような細胞は任意の適切な投与量(治療有効量)で使用することができる。T細胞の総数として定められる、患者に投与されるT細胞の投与量は、約0.5×10T細胞~約1×1010T細胞であり得る。T細胞の総数として定められる、患者に投与されるT細胞の投与量の例は、約0.75×10T細胞、約1×10T細胞、約1×10T細胞、約3×10T細胞、約4×10T細胞、約5×10T細胞、約6×10T細胞、約7×10T細胞、約8×10T細胞、または約9×10T細胞であり得る。T細胞の総数として定められる、患者に投与されるT細胞の投与量は、このように、約1×10細胞~約9×10細胞の範囲、または約3×10細胞~約9×10細胞の範囲であり得る。ここで、投与に使用される細胞の投与量/数に関して本明細書において使用するように、「約」という用語は、それぞれの値から最大1%、最大2%、最大3%、最大4%、最大5%のずれ、または所与の値の10%以下のずれを含むことを意味することに留意されたい。これは、例えば、「約1×10T細胞」の投与量が、1×10%±10%の範囲の細胞の総数、すなわち0.9×10~1.1×10の突然変異KRAS結合TCR発現T細胞を含み得ることを意味する。
【0081】
上述の開示において、本発明はまた、本発明の第1もしくは第2の態様における抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または本発明の第3の態様における核酸配列、または本発明の第4の態様におけるベクター、または本発明の第5の態様における宿主細胞を含む医薬組成物を提供する。
【0082】
この医薬組成物は、(患者に投与する所望の方法に応じて)任意の適切な形態であり得る。これは、単位投与形態において提供され得、一般に密封容器において提供され得、キットの一部として提供され得る。このようなキットは、通常(必ずしもそうではないが)使用指示書を含み得る。これは、複数の上述の単位投与剤形を含み得る。適切な組成物および投与の方法は当業者に知られており、例えば、臨床試験番号NCI-07-C-0175およびNCI-07-C-0174に関する、Johnsonら、Blood.2009年7月16日、114(3):535-46を参照されたい。したがって、細胞は、通常は薬学的に許容される担体を含み得る滅菌医薬組成物の一部として供給され得る。例えば、本発明のTCRを遺伝子導入したT細胞は、薬学的に許容される担体とともに医薬組成物において提供され得る。薬学的に許容される担体は、クリーム、乳濁液、ゲル、リポソーム、ナノ粒子、または軟膏であり得る。
【0083】
医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば非経口(皮下、筋肉内、または静脈内を含む)、経腸(経口または経直腸を含む)、吸入または鼻腔内経路などによる投与に適応させることができる。このような組成物は、製剤の技術分野において知られている任意の方法によって、例えば、滅菌条件下で有効成分を担体または賦形剤と混合することによって、調製することができる。
【0084】
本発明の医薬組成物の具体的な例において、組成物に含まれるT細胞の総数は、約0.75×10T細胞、約1×10T細胞、約1×10T細胞、約3×10T細胞、約4×10T細胞、約5×10T細胞、約6×10T細胞、約7×10T細胞、約8×10T細胞、または約9×10T細胞であり得る。
【0085】
医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体をさらに含み得る。担体が、投与されるT細胞の生存率に影響を与えず、担体が、医薬組成物の選択された投与経路に適している限り、任意の薬学的に許容される担体を使用することができる。薬学的に許容される担体は、任意で、ヒト血清アルブミンなど、突然変異KRAS結合TCRを発現するT細胞の生存率を向上させることができる成分を含む、生理食塩水であり得る。また、突然変異KRAS結合T細胞は、その作製後に、例えば-20℃~-80℃の温度の凍結形態において保存されることも可能である。この場合、医薬組成物は、凍結プロセスによる損傷から細胞を保護するために添加された凍結保護剤を含み得る。本明細書において、形質導入したT細胞を含む医薬組成物の凍結に使用され得る凍結保護剤の例は、グリセロール、DMSOを含む。これらの凍結保護剤は、輸液用として承認されているとともに、医薬品グレードで入手可能である、市販のHypoThermosolまたはPlasmaLyte-A溶液などの、晶質液と共に使用することができる。医薬組成物の担体として使用できる他の可能な培地は、「CryoStorファミリー」の培地、つまり、Biolife Solutionsから市販されている動物タンパク質非含有凍結保存合成培地、例えば、CyroStor2(CS2、2%DMSOを予め配合した最適化凍結培地)、CyroStor5(CS5、5%DMSOを予め配合した最適化凍結培地)、またはCyroStor10(CS10、10%DMSOを予め配合した最適化凍結培地)などである。
【0086】
ここで本発明のキットを取り上げ、そのようなキットは、本発明の第1もしくは第2の態様における抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または本発明の第3の態様における核酸配列、または本発明の第4の態様におけるベクター、または本発明の第5の態様における宿主細胞を含む医薬組成物を含む、医学における使用のためのキットである。キットは、これに限定されないが、腫瘍の細胞が突然変異KRASを発現する腫瘍の処置のために患者を選択するための診断キットであり得る。
【0087】
本発明を以下の非限定的実施例によってさらに例示する。
【0088】
本明細書において使用するような配列を、以下の表1および表2に示す。
【0089】
表1は、本明細書において使用する配列を示す。
【表1】
【0090】
表2は、本明細書において使用するさらなる配列を示す。
【表2】
可変領域は下線、定常領域は太字となっている。また、「可変領域」という用語は、本明細書において使用するように、「可変ドメイン」とも呼ばれることがあり、両方の用語が同義で使用され得る。また、「定常領域」という用語は、本明細書において使用するように、「定常ドメイン」とも呼ばれることがあり、両方の用語が同義で使用され得る。
【0091】
また、これらの配列番号32~41の配列は、本明細書における図5にも示されている。
【0092】
本明細書および表2に記載するようなTCRの定常ドメインにおいて、例えば、ヒトα鎖の4つの位置およびヒトβ鎖の5つの位置を、それぞれのマウスアミノ酸で置換することによって、例えば、ヒトα鎖においてマウス残基Ser90、Asp91、Val92、およびPro93、ならびにヒトβ鎖においてマウス残基Lys18、Ala22、Ile133、Ala136、およびHis139で置換することによって、「最小マウス化」を行い得る。
【0093】
あるいは、本明細書に記載し、表2に示すように、完全ヒト化配列を定常ドメインに使用してもよい。このようなα鎖のヒト化配列は、例えば、受託番号UniProtKB-P01848(TRAC_HUMAN)として寄託されており、β鎖のヒト化配列は、例えば、受託番号UniProtKB-A0A5B9(TRBC2_HUMAN)として寄託されている。
【実施例
【0094】
実施例1
ヒトドナーからの、TCRまたは模擬の形質導入末梢血白血球(PBL)を、突然変異KRAS(KRASG12V)発現細胞株(インタクトもしくはHLA-A*11:01で形質導入)と共培養した、または単独培養した(「T細胞」)。PMAおよびイオノマイシン刺激(「P/I」)を、T細胞活性化の陽性コントロールとして使用した。T細胞活性化の際における培養上清中のIFNγ分泌を、サンドイッチELISAによって測定した。この実施例の結果を、本明細書に含まれる図1に示す。
【0095】
本発明の発明者らは、本明細書においてCT1およびCT2と名付けた、ヒトドナーおよび免疫付与マウス由来の2つのコントロールTCRのデータを常に追加で作成してきた。これらのコントロールは、Cafriらに従ったもの(“Memory T cells targeting oncogenic mutations detected in peripheral blood of epithelial cancer patients”,Nat.Commun.10,449,2019)およびWangらからのもの(“Identification of T-cell Receptors Targeting KRAS-Mutated Human Tumors”,Cancer Immunol.Res.2016 Mar;4(3):204-14.doi:10.1158/2326-6066.CIR-15-0188)である(国際公開第2016/085904号および国際公開第2019/112941号も参照されたい)。
【0096】
実施例2
ヒトドナーからの、TCR形質導入PBLと、下降性の濃度(10-6M~10-12M)の認識ペプチド(VVGAVGVGK、配列番号1)を負荷したHLA-A*11:01発現細胞とを、共培養した。T細胞活性化の際における培養上清中のIFNγ分泌を、サンドイッチELISAによって測定した。ノーマライズしたIFNγ分泌曲線を、本明細書に含まれる図2に示す。
【0097】
実施例3
2人のドナーからのTCR形質導入CD8+T細胞の表面におけるTCRの発現を、フローサイトメトリーによって解析した。その結果を図3において本明細書に示す。TCR発現は、抗マウスTCRβ鎖またはHLA-A*11:01-VVGAVGVGKデキストラマー(「Dex」)で細胞を染色することによって測定した。TCR発現は、CT1のTCRに対してノーマライズした平均蛍光強度(MFI)として表した。
【0098】
実施例4
TCR形質導入ヒトPBLをHLA-A*11:01発現細胞株と共培養した。その結果を図4において本明細書に示す。KRASG12Vを発現するCFPAC-1細胞(「CFPAC-1-A11」)またはK-562細胞に認識ペプチド(VVGAVGVGK、10-6M)を負荷した(「K562-A11+G12V」)。負荷していないK-562細胞を陰性コントロールとした(「K562-A11」)。T細胞活性化の際における培養上清中のタンパク質分泌を、LEGENDplexマルチアナライトフローアッセイキット(Biolegend)によって、ヒトCD8/NK群を使用して、製造業者の指示に従って測定した。
【0099】
材料および方法
動物免疫付与
KRASG12Vエピトープに対するCD8+T細胞応答を生じさせるため、Liら(2010,Nature Medicine 16,1029-1034)に記載されているABabDIIマウスから派生したヒト化TCR/HLAクラスIトランスジェニックマウスを、ペプチドまたはアデノウイルスベクターによる免疫付与に使用した。
【0100】
ペプチド免疫付与では、マウスに、CpG1826オリゴヌクレオチドを添加して不完全フロイントアジュバント中において乳化したKRASG12VペプチドVVGAVGVGKで、毎月、皮下刺激および追加免疫を行った。
【0101】
アデノウイルス免疫付与では、マウスに、CMVプロモーターの制御下でKRASG12Vミニ遺伝子(アミノ酸1~35をコード)を発現するヒト5型(dE1/E3)アデノウイルスベクターを腹腔内注入した。
【0102】
特異的T細胞応答を、追加免疫の1週間後にin vitroにおいてKRASG12Vペプチドまたはミニ遺伝子発現細胞株で末梢血を再刺激することによってモニタリングした。
【0103】
TCRの同定および特性評価
レスポンダーマウスの脾細胞を、記載するようにin vitroにおいて再刺激し、抗原特異的活性化CD3+CD8+CD137+T細胞を、10xGenomicsの技術を使用して、製造業者のプロトコールに従って、cDNAライブラリー調製および単一細胞TCRシーケンシングを行うために選別した。拡張TCRクローン型をレトロウイルスベクターにクローニングし、ヒト末梢血リンパ球に形質導入した。
【0104】
本発明を以下の非限定的な項によってさらに例示する。
1.決定可能な親和性でペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を結合する抗原認識コンストラクトであって、
抗原認識コンストラクトは、配列番号4、10、16、22、および28からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/または、
抗原認識コンストラクトは、配列番号7、13、19、25、および31からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含む、抗原認識コンストラクト。
2.抗原認識コンストラクトは、抗体もしくはそのフラグメント、またはT細胞レセプター(TCR)もしくはそのフラグメントである、項1に記載の抗原認識コンストラクト。
3.抗原認識コンストラクトは、約1×10-6M未満のEC50で、ペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を特異的に結合する、項1または2に記載の抗原認識コンストラクト。
4.EC50の値は、実施例2において行うわれる手順によって決定される、項3に記載の抗原認識コンストラクト。
5.抗原認識コンストラクトは、MHC I分子によって提示されるペプチドを結合する、項1~4のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクト。
6.MHC I分子はHLA-A分子である、項5に記載の抗原認識コンストラクト。
7.HLA-A分子はHLA-A*11:01である、項6に記載の抗原認識コンストラクト。
8.抗原認識コンストラクトは、少なくとも80%の抗原特異性でペプチドVVGAVGVGK(配列番号1)を結合する、項1~7のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクト。
9.抗原認識コンストラクトはT細胞レセプター(TCR)である、項1~8のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクト。
10.T細胞レセプターは、配列番号2、8、14、20、および26からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含み、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号5、11、17、23、および29からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含む、項9に記載のT細胞レセプター。
11.T細胞レセプターは、配列番号3、9、15、21、および27からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含み、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号6、12、18、24、および30からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含む、項9または10に記載のT細胞レセプター。
12.T細胞レセプターは、配列番号4、10、16、22、および28からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含み、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号7、13、19、25、および31からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域3(CDR3)を含む、項9~11のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
13.T細胞レセプターは、配列番号2、8、14、20、および26からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含み、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号5、11、17、23、および29からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域1(CDR1)を含む、項9~12のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
14.T細胞レセプターは、配列番号3、9、15、21、および27からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するα鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含み、ならびに/または、T細胞レセプターは、配列番号6、12、18、24、および30からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するβ鎖の相補性決定領域2(CDR2)を含む、項9~13のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
15.(a)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(b)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(c)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3を含む、項9~14のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
16.(a)配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3を含む、項9~15のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
17.(a)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3を含む、項9~16のいずれか1項に記載のT細胞レセプター。
18.突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)であって、TCRは、
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(b)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(c)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、および、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3を含む、T細胞レセプター(TCR)。
19.突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)であって、TCRは、
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3を含む、T細胞レセプター(TCR)。
20.突然変異KRASに対する抗原特異性を有するT細胞レセプター(TCR)であって、TCRは、
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号3のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号4のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号5のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号6のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号7のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(b)配列番号8のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号9のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号10のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号11のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号12のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号13のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(c)配列番号14のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号15のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号16のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号17のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号18のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号19のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(d)配列番号20のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号21のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号22のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号23のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号24のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号25のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3、または、
(e)配列番号26のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR1、
配列番号27のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR2、
配列番号28のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、α鎖のCDR3、
配列番号29のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR2、および、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、もしくはそれからなる、β鎖のCDR3を含む、T細胞レセプター(TCR)。
21.項1~20のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトまたはT細胞レセプターをコードする核酸配列。
22.項21に記載の核酸配列を含むベクター。
23.項1~20のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または項21に記載の核酸配列、または項22に記載のベクターを含む宿主細胞。
24.医学における使用のための、項1~20のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または項21に記載の核酸配列、または項22に記載のベクター、または項23に記載の宿主細胞。
25.疾患の予防および/または処置における使用のための、項1~20のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または項21に記載の核酸配列、または項22に記載のベクター、または項23に記載の宿主細胞。
26.疾患は悪性腫瘍疾患または良性腫瘍疾患である、項25に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
27.疾患は突然変異KRASを発現する腫瘍である、項25または26に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
28.疾患は突然変異KRASを発現する進行期の腫瘍である、項27に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
29.疾患は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、膵臓がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、前立腺がん、胃(stomach)がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形神経膠芽腫、星細胞腫、黒色腫、肺がん、食道がん、胃(gastric)がん、乳がん、卵巣がん、中皮腫がん、膀胱がん、肛門がん、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、肉腫がん、腺腫がん、原始神経外胚葉性がん(原始神経外胚葉性腫瘍(PNET))、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項25~28のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
30.肺がんは、肺の扁平上皮癌、非小細胞肺がん、および小細胞肺がんからなる群より選択される、項29に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
31.乳がんは、乳管がん、管状乳がん、髄様乳がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項29に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
32.胃(gastric)がんは、胃腺がんである、項29に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
33.肉腫がんは、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項29に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
34.腺腫がんは、胃腺癌、膵臓腺癌、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項29に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞。
35.疾患を処置する薬剤の製造のための、項1~20のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または項21に記載の核酸配列、または項22に記載のベクター、または項23に記載の宿主細胞の使用。
36.疾患は悪性腫瘍疾患または良性腫瘍疾患である、項35に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
37.疾患は突然変異KRASを発現する腫瘍である、項35または36に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
38.疾患は突然変異KRASを発現する進行期の腫瘍である、項37に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
39.疾患は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、膵臓がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、前立腺がん、胃(stomach)がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形神経膠芽腫、星細胞腫、黒色腫、肺がん、食道がん、胃(gastric)がん、乳がん、卵巣がん、中皮腫がん、膀胱がん、肛門がん、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、肉腫がん、腺腫がん、原始神経外胚葉性がん(原始神経外胚葉性腫瘍(PNET))、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項35~38のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
40.肺がんは、肺の扁平上皮癌、非小細胞肺がん、および小細胞肺がんからなる群より選択される、項39に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
41.乳がんは、乳管がん、管状乳がん、髄様乳がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項39に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
42.胃(gastric)がんは、胃腺がんである、項39に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
43.肉腫がんは、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項39に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
44.腺腫がんは、胃腺癌、膵臓腺癌、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項39に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または核酸配列、またはベクター、または宿主細胞の使用。
45.治療有効量である、項1~20のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または項21に記載の核酸配列、または項22に記載のベクター、または項23に記載の宿主細胞を投与するステップを含む、疾患を処置する方法。
46.疾患は悪性腫瘍疾患または良性腫瘍疾患である、項45に記載の疾患を処置する方法。
47.疾患は突然変異KRASを発現する腫瘍である、項45または46に記載の疾患を処置する方法。
48.疾患は突然変異KRASを発現する進行期の腫瘍である、項47に記載の疾患を処置する方法。
49.疾患は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、膵臓がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胆道がん、肝臓がん、骨髄腫、前立腺がん、胃(stomach)がん、腎臓がん、骨がん、軟部組織がん、頭頸部がん、多形神経膠芽腫、星細胞腫、黒色腫、肺がん、食道がん、胃(gastric)がん、乳がん、卵巣がん、中皮腫がん、膀胱がん、肛門がん、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、肉腫がん、腺腫がん、原始神経外胚葉性がん(原始神経外胚葉性腫瘍(PNET))、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項45~48のいずれか1項に記載の疾患を処置する方法。
50.肺がんは、肺の扁平上皮癌、非小細胞肺がん、および小細胞肺がんからなる群より選択される、項49に記載の疾患を処置する方法。
51.乳がんは、乳管がん、管状乳がん、髄様乳がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項49に記載の疾患を処置する方法。
52.胃(gastric)がんは、胃腺がんである、項49に記載の疾患を処置する方法。
53.肉腫がんは、軟骨肉腫がん、骨肉腫がん、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項49に記載の疾患を処置する方法。
54.腺腫がんは、胃腺癌、膵臓腺癌、およびそれらの組合せからなる群より選択される、項49に記載の疾患を処置する方法。
55.項1~20のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または項21に記載の核酸配列、または項22に記載のベクター、または項23に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
56.項1~20のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトもしくはT細胞レセプター、または項21に記載の核酸配列、または項22に記載のベクター、または項23に記載の宿主細胞を含む、医学における使用のためのキット。
57.キットは、腫瘍の細胞が突然変異KRASを発現する腫瘍の処置のために患者を選択するための診断キットである、項56に記載のキット。
【0105】
当業者にとって、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本明細書に開示される発明に対して種々の代替形および変形を行うことができるということは、直ちに明らかであろう。
【0106】
本明細書において言及されているすべての特許および刊行物は、本発明が属する技術分野における当業者のレベルを示すものである。すべての特許および刊行物は、個々の刊行物が参照することによって援用されることが具体的かつ個別に示されている場合と同程度に、参照することによって本明細書に援用される。
【0107】
本明細書において使用するように、「約」という用語は、特に示さない限り、指示された範囲、値、または構成の±20%を意味する。本明細書において使用するように、「a」および「an」という用語は列挙した構成の「1つ以上」を指すことを理解する必要がある。代替形の使用(例えば「または」)は、代替形のいずれか一方、両方、またはそれらの任意の組合せを意味すると理解される必要がある。本明細書において使用するように、「含む」、「有する」、および「備える」という用語は、同義的に使用され、これらの用語およびその変形は非限定的に解釈されることが意図される。
【0108】
本明細書に例示的に記載する本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素、限定がなくとも適切に実施することができる。このように、例えば、「備える」、「含む」、「包含する」などの用語は、広範に、限定することなく解釈されることとなる。さらに、本明細書に使用される用語および表現は、限定ではなく記載するための用語として用いられており、そうした用語および表現の使用において、提示され記載される特徴、またはその一部の任意の同等物を排除するという意図は存在しないが、記載の本発明の範囲内において種々の変形が可能であるということが認められる。このように、本発明は好ましい実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書にて具体化および開示される本発明の変形および変化形が当業者によって採用され得、そうした変形および変化形が本発明の範囲内にあると考えられるということを理解する必要がある。本発明は、本明細書において広範かつ包括的に記載されている。また、包括的な開示に該当する狭義の種および下位の分類のそれぞれも本発明の一部をなす。これは、実施されるものが本明細書に具体的に記載されているかどうかに関わらず、その属から任意の限定事項を除くという前提または負の限定を伴う本発明の包括的な記載を含むものである。さらに、本発明の特徴または態様はマーカッシュ群において記載されるところ、本発明がまたそれによってマーカッシュ群の任意の個々の構成物または下位群の構成物においても記載されるということを、当業者は認めるであろう。本発明のさらなる実施形態は、以下の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5
【配列表】
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【国際調査報告】