(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ハンドヘルドLIBS器具とその応用のためのデュアルビームシングル空間モードレーザー
(51)【国際特許分類】
H01S 3/113 20060101AFI20250212BHJP
H01S 3/0941 20060101ALI20250212BHJP
H01S 3/16 20060101ALI20250212BHJP
H01S 3/08 20230101ALI20250212BHJP
G01N 21/71 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H01S3/113
H01S3/0941
H01S3/16
H01S3/08
G01N21/71
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545225
(86)(22)【出願日】2023-01-19
(85)【翻訳文提出日】2024-09-26
(86)【国際出願番号】 US2023060865
(87)【国際公開番号】W WO2023147241
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524283327
【氏名又は名称】サイアプス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ウェルフォード
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・アール・デイ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ピー・ミトラノ
【テーマコード(参考)】
2G043
5F172
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043BA03
2G043EA08
2G043HA05
2G043JA01
2G043KA09
5F172AE03
5F172AF02
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5F172EE13
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5F172NN29
5F172NP02
5F172NQ23
5F172NQ35
5F172NQ53
(57)【要約】
ハウジングと、ハウジング内に光共振器サブシステムと、を含んでいるレーザーアセンブリを備えているハンドヘルドLIBSデバイスが挙げられる。共振器サブシステムは、利得媒質と、利得媒質を介して2つの光路を確立するように構成されているプリズムと、2つの光路を遮るように配置されているQスイッチと、を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
光学共振器サブシステムであって、
利得媒質及び前記利得媒質を介して2つの光路を確立するように構成されているプリズムと、
前記2つの光路を遮るように配置されているQスイッチと、
を含んでいる前記ハウジング内の光学共振器サブシステムと、
2つのTEM
00空間モードパルスレーザー出力ビームが生成されるまで、前記利得媒質を介して前記2つの光路に沿った光をリダイレクトし、前記利得媒質に戻すプリズムに光を向ける、前記利得媒質にポンプエネルギーを供給する光源と、
焦点で2つの前記パルスレーザー出力ビームを組み合わせる集光光学系と、
を含んでいるレーザーアセンブリを備えている、ハンドヘルドLIBSデバイス。
【請求項2】
前記プリズムがポロプリズムである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記光源がダイオードレーザーである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
出力カプラーをさらに含んでいる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記利得媒質の端部が前記出力カプラーとして機能するようにコーティングされている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記利得媒質が前記出力カプラーと前記プリズムとの間に配置されるように、前記出力カプラーが配置されている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記利得媒質が半球ロッドである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記利得媒質がNd-YAGで構成され、前記光源が前記利得媒質を側面励起するように向けられている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
QスイッチがパッシブCr-YAG Qスイッチである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ハウジングに対して調節可能なプリズムマウントをさらに含んでいる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記プリズムマウントが傾きを調節可能である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記プリズムマウントは横方向に調節可能である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記利得媒質及び前記光源が前記ハウジング内に所定の位置に固定されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記レーザーアセンブリがパルスする時を検知するために前記ハウジング内にディテクタをさらに含んでいる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記ディテクタは前記利得媒質から放出されるエネルギーを収集するように配置されているフォトダイオードである、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記出力カプラーは前記ハウジングの壁に位置している、請求項6に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ハウジングに対して調節可能なQスイッチマウントをさらに含んでいる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
Qスイッチマウントは前記ハウジングに対して回転可能である、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
Qスイッチマウントは、前記利得媒質及び前記プリズムの間、又は前記利得媒質及び出力カプラーの間に位置している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
焦点または前記焦点の近傍でプラズマ放射線に対して応答し、サンプル元素の波長を検知するように構成されている分光器サブシステムをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
ハウジングと、
共振器サブシステムであって、
利得媒質と、
プリズムと、
前記利得媒質及び前記プリズムの間、又は前記利得媒質及び出力カプラーの間に配置されているQスイッチと、
を含んでいる前記ハウジング内の共振器サブシステムと、
2つの間隔の空けられたレーザー出力ビームを供給するために前記利得媒質にポンプエネルギーを供給する前記ハウジング内の光源と、
を含んでいるレーザーアセンブリと、
焦点で前記2つの間隔の空けられたレーザー出力ビームを組み合わせる集光光学系と、
プラズマ放射線に対して応答し、サンプル元素の波長を検知するように構成されている分光器サブシステムと、
を備えている、ハンドヘルドLIBSデバイス。
【請求項22】
前記プリズムがポロプリズムである、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記光源がダイオードレーザーである、請求項21に記載のデバイス。
【請求項24】
前記利得媒質がNd-YAGで構成され、前記光源が前記利得媒質を側面励起するように向けられている、請求項21に記載のデバイス。
【請求項25】
前記QスイッチがパッシブCr-YAG Qスイッチである、請求項21に記載のデバイス。
【請求項26】
前記出力カプラーをさらに含んでいる、請求項21に記載のデバイス。
【請求項27】
前記利得媒質の端部が前記出力カプラーとして機能するようにコーティングされている、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記利得媒質が前記出力カプラーと前記プリズムとの間に位置するように、前記出力カプラーが配置されている、請求項26に記載のデバイス。
【請求項29】
傾きを調節可能であり、及び/又は前記ハウジングに対して横方向に調節可能であるプリズムマウントをさらに含んでいる、請求項21に記載のデバイス。
【請求項30】
前記ハウジングに対して調節可能なQスイッチマウントをさらに含んでいる、請求項21に記載のデバイス。
【請求項31】
前記Qスイッチは前記利得媒質と前記プリズムとの間に位置している、請求項21に記載のデバイス。
【請求項32】
利得媒質と、
前記利得媒質を介して2つの間隔の空けられた光路を確立するように構成されているプリズムと、
前記2つの光路を遮るように配置されているQスイッチと、
2つの間隔の空けられたパルスレーザー出力ビームが生成されるまで、前記利得媒質を介して前記2つの光路に沿った光をリダイレクトし、前記利得媒質に戻すプリズムに光を向ける、前記利得媒質にポンプエネルギーを供給する光源と、
を備えている、レーザーアセンブリ。
【請求項33】
前記プリズムがポロプリズムである、請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項34】
前記光源がダイオードレーザーである、請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項35】
前記利得媒質がNd-YAGで構成され、前記光源が前記利得媒質を側面励起するように向けられている、請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項36】
前記QスイッチがパッシブCr-YAG Qスイッチである、請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項37】
ハウジングに対して調節可能なプリズムマウントをさらに含んでいる、請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項38】
前記レーザーアセンブリがパルスする時を検知するためにハウジング内にディテクタをさらに含んでいる、請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項39】
ハウジングに対して調節可能なQスイッチマウントをさらに含んでいる、請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項40】
焦点でより高い出力密度のレーザービームを供給する方法であって、
利得媒質に励起エネルギーを供給することと、
前記利得媒質を介して2つの間隔の空けられた光路に沿った光を戻すプリズムに、前記利得媒質からの光を向けることと、
前記2つの間隔の空けられた光路に沿って前記利得媒質に前記光を戻すことと、
2つの間隔の空けられたTEM
00空間モードパルスレーザー出力ビームを生成することと、
前記焦点で2つの間隔の空けられたレーザー出力ビームを組み合わせることと、
を含んでいる、方法。
【請求項41】
前記プリズムがポロプリズムである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
光源がダイオードレーザーである、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記利得媒質がNd-YAGレーザーロッドであり光源が前記ロッドを側面励起するように向けられている、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
2つのパルスレーザー出力ビームを生成することは、前記2つの光路を遮るためにQスイッチを用いることを含んでいる、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記QスイッチがパッシブCr-YAG Qスイッチである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ハウジングに対して前記プリズムを調節することをさらに含んでいる、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
レーザーアセンブリがパルスする時を検知することをさらに含んでいる、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
ハウジングに対して前記Qスイッチを調節することをさらに含んでいる、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記Qスイッチが前記利得媒質と前記プリズムとの間に位置している、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
2つのパルスシングル空間モード出力ビームを生成するレーザーアセンブリと、
サンプルにおいて、焦点で前記2つのパルスシングル空間モード出力ビームを組み合わせる集光光学系と、
焦点または前記焦点の近傍でプラズマ放射線に対して応答し、サンプル元素の波長を検知するように構成されている分光器サブシステムと、
を含んでいる外側ハウジングと、
前記2つのパルスシングル空間モード出力ビームのための出力カプラー窓を備えているレーザーアセンブリハウジングと、
利得媒質を介して2つの光路を確立するように構成されているプリズムを保持する前記レーザーアセンブリハウジング内の前記出力カプラー窓と調節可能なプリズムマウントとの間の前記レーザーアセンブリハウジング内の利得媒質と、
前記利得媒質に励起エネルギーを供給する前記レーザーアセンブリハウジング内の光源と、
前記プリズムと前記利得媒質との間に配置されているQスイッチと、
を備えているレーザーアセンブリと、
を備えている、ハンドヘルドLIBSデバイス。
【請求項51】
前記Qスイッチが前記レーザーアセンブリハウジング内の調節可能なQスイッチマウント内に保持されている、請求項50に記載のハンドヘルドLIBSデバイス。
【請求項52】
前記利得媒質がNd-YAGで構成され、光源が前記利得媒質を側面励起するように向けられている、請求項50に記載のハンドヘルドLIBSデバイス。
【請求項53】
QスイッチがパッシブCr-YAG Qスイッチである、請求項50に記載のハンドヘルドLIBSデバイス。
【請求項54】
前記レーザーアセンブリハウジングは、前記レーザーアセンブリがパルスする時を検知するためのディテクタを前記レーザーアセンブリハウジング内にさらに含んでいる、請求項50に記載のハンドヘルドLIBSデバイス。
【請求項55】
焦点でより高い出力密度のレーザービームを供給する方法であって、
利得媒質に励起エネルギーを供給することと、
2つの間隔の空けられた光路に沿って光を前記利得媒質に戻すプリズムに、前記利得媒質からの光を向けることと、
前記2つの間隔の空けられた光路に沿って前記利得媒質に前記光を戻すことと、
2つのロブでシングルTEM
01又はTEM
10空間モードパルスレーザー出力ビームを生成することと
前記2つのロブを焦点で組み合わせることと、
を含んでいる、方法。
【請求項56】
前記プリズムがポロプリズムである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
光源がダイオードレーザーである、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記利得媒質がNd-YAGレーザーロッドであり光源が前記ロッドを側面励起するように向けられている、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記2つの光路を遮るQスイッチをさらに含んでいる、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記QスイッチがパッシブCr-YAG Qスイッチである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
ハウジングに対して前記プリズムを調節することを更に含んでいる、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
レーザーアセンブリがパルスする時を検知することをさらに含んでいる、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
ハウジングに対してQスイッチを調節することをさらに含んでいる、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
Qスイッチが前記利得媒質と前記プリズムとの間に位置している、請求項55に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年1月27日に出願された米国仮特許出願第63/305,565号に対して、米国特許法第119条、120条、363条、365条、及び米国特許法施行規則1.55条、1.78条の下でこの仮出願に基づく優先権及び利益を主張し、当該参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、例えば、ハンドヘルドLIBSアナライザに用いられるレーザーに関する。
【背景技術】
【0003】
レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)デバイスはサンプル中の元素の存在及び濃度を検知するのに用いられる。LIBSデバイスはプラズマを生成するためにサンプルの一部を十分に加熱するレーザーを含んでいる。プラズマが冷えるにつれて、電子は高エネルギー励起状態から低エネルギー状態に戻る。その過程で、光子はサンプルの特定の元素に特有の波長で放出される。当該参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許9,719,853を参照のこと。
【0004】
現場作業の多くのユーザに望まれる、ハンドヘルドLIBSアナライザのために、レーザー及び電子サブシステムはバッテリ駆動である。そのため、低出力レーザーが典型的な実験器具と比較して一般に用いられる。ハンドヘルドLIBS器具で用いられる小さなレーザーは一般に12mJよりも小さく作動中はマルチモードである。
【0005】
マルチモード作動はたいていレーザービームの焦点で低出力密度に繋がり、モードホップが生じるようにショットトゥショットの出力変化にもまた繋がる。これらの要素の両方が低S/N比及びマルチパルスデータ収集における低い安定性に繋がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高エネルギー密度で集光することができるパルスシングルモードデュアルレーザービームを生成する新しいレーザーアセンブリと、マルチモードレーザーよりもよりショットトゥショットのコンシステンシーと、を備えているバッテリ駆動のハンドヘルドLIBSデバイスが一例として挙げられる。
【0007】
現場の使用のために十分にコンパクトで頑丈であるようなレーザーアセンブリがいくつかの実施形態においてもまた挙げられ、内部光学部品の任意のアライメント不良に対してより耐性がある。
【0008】
いくつかの態様において、新たなレーザーアセンブリは光学アライメントのために特定の光学部品を容易に調節することができるように設計されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
しかしながら、他の実施形態において、対象の発明は、これら全ての目的を達成することを必要とせず、本願の特許請求の範囲はこれらの目的を達成することができる構造又は方法に制限されるべきではない。
【0010】
ハウジングと、ハウジング内に光共振器サブシステムと、を含んでいるレーザーアセンブリを備えているハンドヘルドLIBSデバイスが挙げられる。共振器サブシステムは、利得媒質と、利得媒質を介して2つの光路を確立するように構成されているプリズムと、2つの光路を遮るように配置されているQスイッチと、を含んでいる。ハウジング内の光源は、2つのTEM00空間モードパルスレーザー出力ビームが生成されるまで、利得媒質を介して2つの光路に沿った光をリダイレクトし、利得媒質に戻すプリズムに光を向ける、プリズムに励起エネルギーを供給する。集光光学系は、焦点で2つのパルスレーザー出力ビームを組み合わせる。
【0011】
いくつかの実施例において、プリズムはポロプリズムであり、光源はダイオードレーザーである。好適なデバイスは出力カプラーをさらに含んでいる。一実施例において、利得媒質の端部は出力カプラーとして機能するようにコーティングされている。出力カプラーは、利得媒質が出力カプラーとプリズムとの間に位置するように配置することができる。一実施例において、利得媒質は半球ロッドである。利得媒質はNd-YAGで構成され得、光源は好ましくは利得媒質を側面励起するように向けられている。一実施例において、QスイッチはパッシブCr-YAG Qスイッチである。
【0012】
デバイスはハウジングに対して調節可能なプリズムマウントをさらに含んでいてもよい。一つの好適なプリズムマウントは傾きを調節可能であり、横方向に調節可能である。いくつかの実施例において、利得媒質及び光源はハウジング内の所定の位置に固定されている。
【0013】
デバイスは、利得媒質から放出されるエネルギーを収集するように配置されているフォトダイオード等の、レーザーアセンブリがパルスを発する時を検知するためのハウジング内のディテクタをさらに含んでいてもよい。
【0014】
一実施例において、出力カプラーはハウジングの壁に位置している。Qスイッチマウントはハウジングに対して好ましくは調節可能であり、例えば、Qスイッチマウントはハウジングに対して回転可能である。Qスイッチは、いくつかの実施例において、利得媒質とプリズムとの間又は利得媒質と出力カプラーとの間に位置している。
【0015】
分光器サブシステムは、一実施例において、焦点または焦点の近傍でプラズマ放射線に対して応答し、サンプル元素の波長を検知するように構成されている。
【0016】
ハウジングと、ハウジング内に共振器サブシステムと、を含んでいるレーザーアセンブリを備えているハンドヘルドLIBSデバイスもまた挙げられる。好適な共振器サブシステムは、利得媒質と、プリズムと、プリズム及び利得媒質の間又は利得媒質及び出力カプラーの間に位置しているQスイッチと、2つの間隔の空けられたレーザー出力ビームを供給する利得媒質に、励起エネルギーを供給するハウジング内の光源と、を含んでいる。集光光学系は、2つの間隔の空けられたレーザー出力ビームを焦点に集束させ、分光器サブシステムはプラズマ放射線に対して応答し、サンプル元素の波長を検知するように構成されている。
【0017】
利得媒質と、利得媒質を介して2つの間隔の空けられた光路を確立するように構成されているプリズムと、2つの光路を遮るように配置されているQスイッチと、利得媒質を介して2つの光路に沿った光をリダイレクトし、2つの間隔の空けられたパルスレーザー出力ビームが生成されるまで利得媒質を介して戻すプリズムに光を向ける、利得媒質にポンプエネルギーを供給する光源と、を備えている新たなレーザーアセンブリもまた挙げられる。
【0018】
焦点で高出力密度レーザービームを供給する新たな方法は、利得媒質に励起エネルギーを供給することと、利得媒質を介して戻る2つの間隔の空けられた光路に沿った光をリダイレクトするプリズムに、利得媒質からの光を向けることと、2つの間隔の空けられた光路に沿って利得媒質を介して光をリダイレクトすることと、2つの間隔の空けられたTEM00空間モードパルスレーザー出力ビームを生成することと、焦点で2つの間隔の空けられたレーザー出力ビームを結合することと、を含んでいる。
【0019】
新たなハンドヘルドLIBSデバイスは、2つのパルスシングル空間モード出力ビームを生成するレーザーアセンブリと、サンプルで焦点において2つのパルスシングル空間モード出力ビームを結合する集光光学系と、焦点または焦点の近傍でプラズマ放射線に対して応答し、サンプル元素の波長を検知するように構成されている分光器サブシステムと、を含んでいる。レーザーアセンブリは、2つのパルスシングル空間モード出力ビームのための出力カプラー窓を備えているレーザーアセンブリと、出力カプラーウインドウ、及び利得媒質を介して2つの光路を確立するように構成されているプリズムを保持するレーザーアセンブリハウジング内の調節可能なプリズムマウントの間のレーザーアセンブリハウジング内の利得媒質と、利得媒質に励起エネルギーを供給するレーザーアセンブリハウジング内の光源と、プリズムと利得媒質との間に位置しているQスイッチと、を含んでいる。
【0020】
焦点で高出力密度レーザービームを供給する新たな方法は、利得媒質に励起エネルギーを供給することと、2つの間隔の空けられた光路に沿って利得媒質に戻る光をリダイレクトするプリズムに、利得媒質からの光を向けることと、2つの間隔の空けられた光路に沿って利得媒質に光を戻すことと、2つのロブでシングルTEM01又はTEM10空間モードパルスレーザー出力ビームを生成することと、焦点で2つのロブを結合することと、を含んでいる。
【0021】
好適な実施形態及び添付の図面の以下の説明から、当業者にとっての他の目的や特徴、利点が生じることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施例に従った、ハンドヘルドLIBSアナライザの一例を示している模式図である。
【
図2】
図1のハンドヘルドLIBSアナライザの表示画面を示している背面の概略図である。
【
図3】一実施例に従ったハンドヘルドLIBSアナライザに関連する第一コンポーネントを示している模式ブロック図である。
【
図4】一実施例に従ったレーザーサブアセンブリの第一コンポーネントを示している上面図である。
【
図5】
図4のレーザーサブアセンブリの側面図である。
【
図6】利得媒質の全長を横切る2つのビーム経路のために利得媒質の励起領域の内部にTEM00モードの空間的な重なりを示している破線の円とともに半円筒形の利得媒質の曲面を励起するダイオードレーザーを示す図である。
【
図8A】プリズムがアライメント不良に対してどのように鈍感であるかを示している図である。
【
図8B】プリズムがアライメント不良に対してどのように鈍感であるかを示している図である。
【
図9】好適な一レーザーアセンブリに関連する第一コンポーネントを示している模式図である。
【
図10】レーザー出射窓(10A)における2つの放出されるビームの断面強度プロファイルと、その後最小スポット径にまで集光された場合(10D)の断面強度プロファイルである。
【
図11】本明細書で説明されるレーザーアセンブリを用いて128回のレーザーショットの後にアルミサンプル内に生成される(端から端まで約100μmの)円形のクレーターの一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下で説明される好適な実施形態は別として、本発明は他の実施形態であることができ、様々な方法で実践し、実行することができる。そのため、本発明は当該応用において、図面で説明される又は以下の説明において明らかにされる要素の構造及び配置の詳細に限定されないことが理解されることとなる。もし一つの実施形態のみが本明細書で説明される場合、本願の特許請求の範囲は当該実施形態に限定されるものではない。さらに、本願の特許請求の範囲は、特定の除外や制限、又は免責事項を明示する明瞭で説得力のある証拠がない限り、限定的に理解されてはならない。
【0024】
図1の、ハンドヘルドLIBSアナライザ10は、レーザーアセンブリを包囲している外側ハウジング12と、一つ以上の分光器と、様々な光学部品と、光学ステージと、プロセッサと、後述するようなものと、を好ましくは含んでいる。レーザーエネルギーは、エンドプレート16のオリフィス14を出る。サンプル隣接エンドプレート16上に生成される結果として生じるプラズマは自動的に分析され、その結果は、
図2のスクリーン16に表示される。当該参照によって本明細書に組み入れられる、米国特許11079333号を参照のこと。一例示的な設計において、
図3の光学ステージ20は、器具のハウジングに対して移動可能であり、レーザー集光レンズ22を含んでいる。
【0025】
レーザーアセンブリ24は好ましくは外側ハウジングに装着され、2つの間隔の空けられたレーザービームを、軸から外れた開口パラボラミラー30と、その後2つの間隔の空けられたレーザービームを、サンプル31の内部又はサンプル31上で焦点26において組み合わせる調節可能な集光レンズ22と、に向けるように好ましくは構成されている。プラズマ放射線32は集光レンズ22を介して戻り得、その後ミラー30によってファイバー光学バンドル42の共通端40に向けられることができる。ファイバー光学バンドル42の共通端40は調節可能なアライメントマウント又はクランプ44を用いて器具ハウジングの内部に装着されていてもよい。ファイバー光学バンドルの一つ以上のブランチ46a、46bは分光器48a、4bなどの分光器サブシステムに各々接続されている。各々のブランチは、好ましくは複数のファイバーを含んでいるが、いくつかの設計においては、一つのファイバーのみを含んでいてもよい。追加の分光器及びブランチが可能である。レーザーデリバリ光学部品から独立している代替の放射線収集光学設計もまた可能である。当該参照によって本明細書に組み込まれている米国特許9568430号及び9036146号を参照のこと。
【0026】
上述のように、好ましくは、レーザーアセンブリは幾何学的に互いに物理的に離れて2つのパルスレーザービームを生成し(すなわち、時間内で、空間内で対抗して)、
図3のレンズ22はプラズマを生成するために(一般に、サンプル31の表面に、又はサンプルの表面の僅かに下に位置している)焦点で、2つのビームを組み合わせる。
【0027】
特定の一実施例において、レーザーアセンブリは
図4~
図6のNd-YAG半円筒形ロッド52等の利得媒質を含んでいる共振器サブシステムを包囲しているハウジングを含んでいる。好ましくは、半円筒形ロッド52は円形のロッドのちょうど半分である。しかしながら、他の構成が可能である。半円筒形ロッド52の
図4の近位端53は好ましくはブリュスター角で切断され、遠位端57は好ましくは反射防止コーティング又は部分反射ミラーコーティングのいずれかとともに、平坦であり光学軸に対して垂直である。ロッド端57が反射防止である場合、出力窓54は部分反射コーティングを有し、レーザー出力カプラーとして機能する(
図4及び
図5を参照のこと)。ロッド端57が部分反射ミラーコーティングを有している場合、ロッド端それ自身はレーザー出力カプラーとして機能することができ、窓54はレーザー波長で反射防止コーティングを有していてもよい。ロッド端57で反射防止コーティングが用いられる又はコーティングが用いられない場合、その表面もまた、全ての部品の向きが適切に調節されている状態で、ブリュスター角で切断されていてもよい。
【0028】
好ましくは、利得媒質は(例えば、出力カプラー54として機能する)窓54と、利得媒質を介して2つの間隔の空けられた光路56a、56bを確立するように構成されているプリズム58と、の間に配置されている。
図7に示されているように、ナイフエッジ直角プリズムミラー58(例えば、ポロプリズム)を用いてもよい。
図4及び
図5のQスイッチ光学系60は、好ましくは2つの間隔の空けられた光路を遮るためにプリズム58と利得媒質52との間に配置されている。好適な一実施例において、Qスイッチ光学系60はパッシブCr-YAG Qスイッチであってもよい。別の実施例において、Qスイッチは利得媒質52と窓54との間に位置している。そのような設計において、好ましくは窓54は出力カプラーとして機能する。別の設計において、QスイッチはアクティブQスイッチであってもよい。
【0029】
光源64(例えば直線的に間隔の空けられた一列以上のエミッタを備えているダイオードレーザー)は利得媒質52に励起エネルギーを供給する。好ましくは、光源64はレーザー励起エネルギー55で半円筒形ロッド52を側面励起する。
図6を参照のこと。
【0030】
任意の特定の理論によって束縛されることを望まないが、光は、利得媒質を介して2つの間隔の空けられた(つまり並んで)光路56a、56bに沿って光をリダイレクトし、
図4のプリズム58に向けられ、出力カプラーによって利得媒質に戻され、Qスイッチが飽和するまで、又は別の方法で減衰を止めるまで、又は状態を切り替えるまで、プリズムに向けられ、結果として2つの物理的に間隔の空けられた(つまり並んで)パルスレーザー出力ビーム70a、70bが生成され、出力カプラー54を介して出射する。一つの設計において、出力カプラー54は好ましくはレーザー出力波長で部分反射後方コーティング80a及び反射防止前方コーティング80bの両方を有している。他の設計において、光学系54は窓であり、出力カプラーは利得媒質52の端部に形成されている。
【0031】
結果として、回折限界で、高輝度で、並んだ2つのTEM00空間モードビームに、利得媒質からの蓄積されたエネルギーを効率的に抽出することができる。共振器ビーム路を固定するためのポロプリズムの使用は利得媒質の励起された領域の2回の通過を提供し、それによってより高次の空間モードにおいて貯蔵されるエネルギーを低下させ、それらのレージングを防ぐ一方で、TEM00モードにおけるエネルギー抽出を向上させる。ポロプリズムは、ダイオードレーザー励起波長と関連する吸収温度のチューニングに伴って変化する励起ビーム誘起熱勾配に起因する利得媒質の内部で小角光偏光を補償するために利得媒質において励起ビームの方向に並べられるビーム固定面において、角度に対して鈍感であることをまた好ましくは示す。固定された共振器ジオメトリーは好ましくはレーザーパッケージサイズを引き延ばすことなく共振器の長さを倍にし、ダブルビームはレーザーロッド励起領域を満たすのにより良く一致したより長いTEM00モードサイズを引き起こす。レーザー共振器の長さ及び利得媒質のクリアアパーチャの調節は、互いの関係において、利得媒質の横方向の寸法の半分を満たすようにTEM00モードサイズを好ましくは調節し、それによって利得媒質アパーチャを介して望ましいTEM00モードの低い透過損失のみを可能にする。高次空間モードはレージングを防ぐために利得媒質において十分なアポダイゼーションの損失を受ける。
【0032】
共振器ロッドにおける2つのビーム路のためのプラノ出力ミラー54は好ましくは平行な間隔の空けられた出力ビームの組を生成し、それによって、サンプル31上のレンズ(例えばレンズ22、
図3)で集光しているとき、焦点面にそれらの空間的な重なりを保証する。
【0033】
好適な半円筒形利得媒質断面は、励起ビーム路を2倍にするために、円筒面で(放出の速軸からの)異なるダイオードレーザー励起光と、後方平坦面で励起光の反射光と、をコリメートし、それによって励起光の吸収を最大化する。Welford, D.M. Rines, and B.J. Dinerman, “Efficient TEMOO-mode Operation of a Laser-Diode Side-Pumped Nd:YAG Laser,” Optics Lett., 16, 1850 (1991)、D. Welford, D.M. Rines, and B.J. Dinerman, “Observation of Thermal Lensing Due to Near-Gaussian Pump Energy Deposition in A Laser-Diode Side-Pumped Nd:YAG Laser,”、IEEE J. Quantum Electron. QE-28, 1075 (1992)、 Y. Isyanova and D. Welford, “2.4-ns pulse generation in a solid-state passively Q switched laser-diode-pumped Nd:YAG laser,” in OSA Proceedings on Advanced Solid State Lasers (OSA Proceedings Vol. 15, Optical Society of America, Washington, D.C.) paper AMB2 (1993)、及び Q. Lu and J. Eicher. “Off-axis prism resonator for improved beam quality of slab lasers,” Opt. Letts., 15, 1357 (1990)を参照のこと。
【0034】
ポロプリズムのナイフエッジに対して平行な軸についてQスイッチを傾けることによってレーザー共振器においてビームを横方向に変位させる能力は、共振器のビーム固定面における共振器の配置の高精度なチューニングのための手段をもたらし得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、好ましくは、
図7のプリズム58は、頂点がナイフエッジ仕上げを有する、すなわち前記頂部に沿って最小限の欠け又は欠陥が存在する、単一の90度頂点プリズムであり、一つの面の光学ビームと、一つの面とを逆反射するのに用いられる。
【0036】
プリズムは
図7に示される円形入射面/出射面59を有し得、又は端部がレーザービームから取り除かれる限り、任意の他の形(例えば長方形)を有し得る。入射面はレーザー波長で反射防止コーティングを有していてもよい。好適なプリズムの方向が利得媒質からのエネルギー抽出を最大化するように
図4において示されているが、光軸周りの他のプリズム回転角も可能である。
【0037】
よりよいビーム品質(一つのTEM00モード)によって、同一のエネルギービームを、(例えば外部レンズ22、
図3によって)サンプル31の集光においてより高い出力密度を生み出すレンズ焦点においてよりタイトで、より小さいスポットに対して集光することができる。LIBS信号は出力密度に依存し、そのためより大きいLIBS輝線が生成される。
【0038】
図9はハウジング50の内部のレーザーアセンブリ24、及びハウジング50に固定されている様々な光学部品及び光学マウントの実施例を示している。
【0039】
一実施例において、プリズムハウジング56は(97で示されているように)傾きを調節可能である。プリズムは光軸及びプリズムナイフエッジで定義される面内で傾きを好ましくは調節可能である。プリズムは、入射ビームが来る方向に直接戻って入射ビームを反射するように好ましくは構成されている。そのため、プリズムの傾斜角を変更することにより、反射されるビームが出力カプラー面に対して正確に垂直になるように調節可能である。プリズムは最終の組立及びテストの間に都合よく調節することができる。
【0040】
プリズムマウント56もまた矢印98の方向(すなわち光軸及びプリズムナイフエッジによって定義される面に対して垂直な方向)において横方向に調節可能である。プリズムマウント56の横方向の調節は2つの光路57a、57bの間の距離を調節する。ハウジングの面内でプリズムを平行移動させる代わりに、ナイフエッジと一致していない軸周りにプリズムを傾けることができる。これは平行移動と傾きとを組み合わせた調節に相当する。好ましくは、ハウジングの面内において傾けることに対して鈍感である(ナイフエッジ周りの小さな回転に対して基本的に鈍感である)。
【0041】
通常は、一般的なQスイッチは入射ビームに対して垂直な方向を向くことになる。しかし、本明細書では、2つの光路の間の間隔を精度よくチューニングするために、Qスイッチハウジング62は軸120に対して好ましくは回転可能である。パッシブQスイッチは、レーザービーム路に対して、平坦及び名目上平行な光学表面が垂直入射又は垂直に近い入射で配置される状態で、好ましくはCr:YAGの薄型ディスクである。しかしながら、その垂直軸についてQスイッチを回転させることは、レーザー共振器を並べるのに用いられるプリズムの横方向の平行移動に類似する、レーザーロッドとプリズムとの間のビームの非常に小さい横方向の変位を引き起こす。Qスイッチ回転を調節することによって得られる極めて小さいビームの平行移動は、より粗いプリズム平行移動機構が所定の位置でロックされた後でレーザーアライメントを精度よくチューニングするのに用いられる。
【0042】
高速フォトダイオード/フィルタアセンブリ150は、利得媒質が2つのレーザービームをパルス化する時を検知するのに用いることができる。Nd-YAG利得媒質の例として、フォトダイオードアセンブリの内部でフォトダイオードの正面に位置している適切なフィルタの使用を介して808nm励起ダイオード光を拒絶する一方で、シリコンベースフォトダイオードはレーザーパルス波長(例えば1064)を検知するのに用いることができる。フォトダイオードからの信号は、利得媒質に向かう又は遠ざかるようにアセンブリを回転させることによって、所望の強度に調節することができる。従ってフォトダイオードはレーザーパルスを検知するのに用いることができ、それに応じて、コントローラはその際バッテリ出力を節約するのと同様に励起源を過熱から保護するために、光源64が利得媒質を励起させるのを止めることができる。
【0043】
図3のコントローラ23は、他のもののうち、レーザー24を制御し、分光器の出力を処理するように構成されている(例えばプログラムされている)。
【0044】
デュアルビーム70a、70b出力プロファイルの一例は、ビームが最小限のスポットサイズで(10D)集光される(10B~10C)ように、複数のプロファイルに沿って10Aに示されている。
【0045】
図11は集光された128回のレーザーショットの後にアルミニウムサンプル31で生成された円形クレーター33の一例を図示している。
【0046】
好適なレーザーアセンブリは、サンプル上又はサンプル内に集光されたスポットにおけるより高いレーザーエネルギー密度によって、既知のハンドヘルドLIBSデバイスよりも明るいプラズマを生成するためにサンプル上又はサンプル内に小さなスポットに集束するように組み合わせることができる2つのコヒーレントな高品質レーザービームを提供する。よりよいビームの品質(例えば一つのTEM
00モード)によって、同一のエネルギービームを、サンプル31上の焦点でより高い出力密度を生み出すレンズ焦点においてよりタイトで、より小さいスポットに対して(例えばレンズ22、
図3によって)集光することができる。LIBS信号は出力密度に依存し、従ってより大きいLIBS輝線が生成される。
【0047】
一実施例において、5倍の炭素信号強度が、異なるグレードのステンレス鋼などの多くの様々な金属の分類を可能にする分光器サブシステムによって検知された。
【0048】
本明細書で説明されるように最終の組立及びテストの間に光学部品を調節する能力によって、光学系を介した2つの光路間の空間の正確なチューニングと、出力カプラーの方向でプリズム反射角を合わせることとを可能にし、それによって2つの光路は互いに平行又は殆ど平行になる。プリズムの傾斜及びプリズムの平行移動が可能であり、そのうち後者はQスイッチ回転で正確にチューニングすることができる。
【0049】
それでもなお、レーザーアセンブリは大量の出力を消費せず、当該分野で用いられるハンドヘルドデバイスに役立つようにバッテリ駆動することができる。
【0050】
プリズムは、好ましくはアライメントの容易性を向上させる。利得媒質を介した2つの光路は、より効率的なエネルギー抽出をもたらし得る。また、好適なレーザーアセンブリは、いくつかのアライメント不良に対して耐性があり、設計においてもまた頑丈である。
【0051】
焦点でより高い出力密度のレーザービームを提供する新たな方法もまた挙げられる。当該方法は利得媒質に励起エネルギーを供給することと、2つの光路に沿った光を利得媒質に戻すリダイレクトするプリズムに、利得媒質からの光を向けることと、2つの間隔の空けられた光路に沿って利得媒質に光を戻すことと、を含んでいてもよい。シングルTEM01又はTEM10空間モードパルスレーザー出力ビームは2つのロブで生成される。2つのロブは焦点で組み合わせられる。
【0052】
本発明の技術的特徴はいくつかの図において示され、他の図においては示されていないないが、これは、各々の特徴が本発明に従って他の任意の特徴又は全ての特徴に組み合わせられ得るために、利便性のためのみである。本明細書で用いられる用語「含む」「備える」「有する」「ともに(with)」は広く包括的に解釈されるべきであり、任意の物理的な相互接続に限定されない。さらに、本願で開示されている任意の実施形態は唯一の可能な実施形態とみなすべきではない。他の実施形態は当業者が思い浮かぶものであり、以下の特許請求の範囲内である。
【0053】
さらに、当該特許のための本願の手続中に提示される任意の補正は、本願に存在する任意の特許請求の範囲の要素を否認するものではない。すなわち、当業者は全ての可能な均等物を文字通り包含する特許請求の範囲を記載することを合理的に期待されず、多くの均等物は補正時に予期できず、(もしあれば)放棄するものの公正な解釈を超えるものであり、補正の基礎となる根拠は多くの均等物に関して少しの関係しかなく、及び/又は、出願人が任意の補正される特許請求の範囲の要素のための特定の実体のない代替品を記載することを期待されていない多くの他の理由がある。
【手続補正書】
【提出日】2025-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
光学共振器サブシステムであって、
利得媒質及び前記利得媒質を介して2つの光路を確立するように構成されているプリズムと、
前記2つの光路を遮るように配置されているQスイッチと、
を含んでいる前記ハウジング内の光学共振器サブシステムと、
2つのTEM00空間モードパルスレーザー出力ビームが生成されるまで、
又は2つのロブでシングルTEM01又はTEM10空間モードパルスレーザー出力ビームが生成されるまで、前記利得媒質を介して前記2つの光路に沿った光をリダイレクトし、前記利得媒質に戻すプリズムに光を向ける、前記利得媒質にポンプエネルギーを供給する光源と、
焦点で2つの前記パルスレーザー出力ビームを組み合わせる集光光学系と、
を含んでいるレーザーアセンブリと、
焦点または前記焦点の近傍でプラズマ放射線に対して応答し、サンプル元素の波長を検知するように構成されている分光器サブシステムと、
を備えている、ハンドヘルドLIBSデバイス。
【請求項2】
前記プリズムがポロプリズムである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記光源がダイオードレーザーである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
出力カプラーをさらに含んでいる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記利得媒質の端部が前記出力カプラーとして機能するようにコーティングされている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記利得媒質が前記出力カプラーと前記プリズムとの間に配置されるように、前記出力カプラーが配置されている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記利得媒質が半球ロッドである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記利得媒質がNd-YAGで構成され、前記光源が前記利得媒質を側面励起するように向けられている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
QスイッチがパッシブCr-YAG Qスイッチである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ハウジングに対して調節可能なプリズムマウントをさらに含んでいる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記プリズムマウントが傾きを調節可能である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記プリズムマウントは横方向に調節可能である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記利得媒質及び前記光源が前記ハウジング内に所定の位置に固定されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記レーザーアセンブリがパルスする時を検知するために前記ハウジング内にディテクタをさらに含んでいる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記ディテクタは前記利得媒質から放出されるエネルギーを収集するように配置されているフォトダイオードである、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記出力カプラーは前記ハウジングの壁に位置している、請求項6に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ハウジングに対して調節可能なQスイッチマウントをさらに含んでいる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
Qスイッチマウントは前記ハウジングに対して回転可能である、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
Qスイッチマウントは、前記利得媒質及び前記プリズムの間、又は前記利得媒質及び出力カプラーの間に位置している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
利得媒質と、
前記利得媒質を介して2つの間隔の空けられた光路を確立するように構成されているプリズムと、
前記2つの光路を遮るように配置されているQスイッチと、
2つの間隔の空けられたパルスレーザー出力ビームが生成されるまで、
又は2つのロブでシングルTEM01又はTEM10空間モードパルスレーザー出力ビームが生成されるまで、前記利得媒質を介して前記2つの光路に沿った光をリダイレクトし、前記利得媒質に戻すプリズムに光を向ける、前記利得媒質にポンプエネルギーを供給する光源と、
を備えている、レーザーアセンブリ。
【請求項21】
前記プリズムがポロプリズムである、
請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記光源がダイオードレーザーである、
請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記利得媒質がNd-YAGで構成され、前記光源が前記利得媒質を側面励起するように向けられている、
請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記QスイッチがパッシブCr-YAG Qスイッチである、
請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項25】
ハウジングに対して調節可能なプリズムマウントをさらに含んでいる、
請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項26】
前記レーザーアセンブリがパルスする時を検知するためにハウジング内にディテクタをさらに含んでいる、
請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項27】
ハウジングに対して調節可能なQスイッチマウントをさらに含んでいる、
請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項28】
焦点でより高い出力密度のレーザービームを供給する方法であって、
利得媒質に励起エネルギーを供給することと、
前記利得媒質を介して2つの間隔の空けられた光路に沿った光を戻すプリズムに、前記利得媒質からの光を向けることと、
前記2つの間隔の空けられた光路に沿って前記利得媒質に前記光を戻すことと、
2つの間隔の空けられたTEM00空間モードパルスレーザー出力ビームを生成する
又は2つのロブでシングルTEM01又はTEM10空間モードパルスレーザー出力ビームが生成することと、
前記焦点で2つの間隔の空けられたレーザー出力ビーム
又は2つのロブを組み合わせることと、
を含んでいる、方法。
【請求項29】
前記プリズムがポロプリズムである、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
光源がダイオードレーザーである、
請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記利得媒質がNd-YAGレーザーロッドであり光源が前記ロッドを側面励起するように向けられている、
請求項28に記載の方法。
【請求項32】
2つのパルスレーザー出力ビームを生成することは、前記2つの光路を遮るためにQスイッチを用いることを含んでいる、
請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記QスイッチがパッシブCr-YAG Qスイッチである、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ハウジングに対して前記プリズムを調節することをさらに含んでいる、
請求項28に記載の方法。
【請求項35】
レーザーアセンブリがパルスする時を検知することをさらに含んでいる、
請求項28に記載の方法。
【請求項36】
ハウジングに対して前記Qスイッチを調節することをさらに含んでいる、
請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記Qスイッチが前記利得媒質と前記プリズムとの間に位置している、
請求項32に記載の方法。
【国際調査報告】