(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ギヤボックス、ギヤボックスを含む車両のためのパワートレイン、およびギヤボックスを含む車両
(51)【国際特許分類】
B62M 6/55 20100101AFI20250212BHJP
【FI】
B62M6/55
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024545272
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2023051833
(87)【国際公開番号】W WO2023144225
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】102022000001361
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524284391
【氏名又は名称】メニケッティ,パオロ
【氏名又は名称原語表記】MENICHETTI, Paolo
【住所又は居所原語表記】Via della Torre, 492/F, Santa Maria a Colle, 55100 Lucca, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メニケッティ,パオロ
(57)【要約】
ギヤボックス(29)は、環状支持体(31)を含み、ギヤボックス(29)に運動を入力するための歯車対(33A~33J)が環状支持体(31)上に回転可能に支持される。歯車対の各々は、入力運動を受けるように適合された第1の歯車(35)と、第2の歯車(37)と、を含む。第1の歯車(35)および第2の歯車(37)は同軸にあり、一体的に回転するように互いに角度的に結合される。歯車対の各々は、他の歯車対によって定義される変速比とは異なる変速比を定義する。環状支持体は、選択軸の周りで角度的に移動可能であり、これにより、1つの歯車対を、ギヤボックスに対する角度的な運動離脱位置に選択的に配置することができる。ギヤボックスは、ギヤボックスへの角度的な運動離脱位置にある歯車対のうちの第2の歯車と、選択軸と平行であるか、それと一致する回転軸(A-A)を有する出力シャフトとの間の機械的接続と、をさらに含む。ここで出力シャフトは、環状支持体内を通る。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギヤボックス(29)であって、
(a)前記ギヤボックス(29)に運動を入力するための歯車対(33A~33J)がその上に回転可能に支持される環状支持体(31)であって、
前記歯車対(33A~33J)の各々は、入力運動を受けるように適合された第1の歯車(35)と、第2の歯車(37)と、を含み、前記第1の歯車(35)および前記第2の歯車(37)は同軸にあり、一体的に回転するように互いに角度的に結合され、
前記歯車対(33A~33J)の各々は、他の歯車対によって定義される変速比とは異なる変速比を定義し、
前記環状支持体(31)は、選択軸の周りで角度的に移動可能であり、これにより、1つの前記歯車対(33A~33J)を、前記ギヤボックス(29)に対する角度的な運動離脱位置に選択的に配置することができる、
環状支持体(31)と、
(b)前記ギヤボックス(29)への前記角度的な運動離脱位置にある前記歯車対(33A~33J)のうちの前記第2の歯車(37)と、前記選択軸と平行であるか、それと一致する回転軸(A-A)を有する出力シャフト(45)との間の機械的接続であって、前記出力シャフト(45)は、前記環状支持体(31)内を通る、機械的接続と、
を含む、ギヤボックス(29)。
【請求項2】
前記歯車対(33A~33J)の前記第1の歯車(35)および前記環状支持体(31)は、前記角度的な運動離脱位置にある前記第1の歯車(35)が、駆動部材(12)のピニオン(27)から入力運動を周辺で受けるような位置に配置され、前記ピニオン(27)は、前記環状支持体(31)の外部にある、請求項1に記載のギヤボックス(29)。
【請求項3】
前記環状支持体は、回転角度の制限を受けることなく前記選択軸を中心に回転するように適合される、請求項1または2に記載のギヤボックス(29)。
【請求項4】
前記機械的接続は、前記ギヤボックス(19)への入力において前記角度的な運動離脱位置にある前記歯車対(33A~33J)の少なくとも前記第2の歯車(37)と噛み合う第1のリングギヤ(41)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のギヤボックス(29)。
【請求項5】
前記第1のリングギヤ(41)は、外歯と、前記環状支持体(31)内を通る回転軸と、を有し、前記回転軸は、前記選択軸と平行であるか、それと一致している、請求項4に記載のギヤボックス(29)。
【請求項6】
前記機械的接続は、減速機(47)を含み、前記減速機(47)は、前記第1のリングギヤ(41)を含む、請求項4または5に記載のギヤボックス(29)。
【請求項7】
前記環状支持体(31)および前記第1のリングギヤ(41)は、平行な軸または同じ軸を有し、前記第1のリングギヤ(41)は、前記環状支持体(31)の任意の角度位置において、前記歯車対(33A~33J)のそれぞれの前記第2の歯車(37)と噛み合う、請求項5または6に記載のギヤボックス(29)。
【請求項8】
前記減速機(47)は、遊星歯車機構を含み、前記第1のリングギヤ(41)は、前記遊星歯車機構(47)の遊星キャリアを構成し、前記遊星キャリアは、前記出力シャフト(45)の軸と一致する前記遊星歯車機構(47)の中心軸を中心に回転し、少なくとも1つの前記遊星キャリアは、前記遊星キャリア上に遊動自在に支持され、互いに角度的に結合された同軸にある第1の歯付きホイールおよび第2の歯付きホイールを含む、請求項6または7に記載のギヤボックス(29)。
【請求項9】
前記遊星部(51)の前記第1の歯付きホイール(53)は、ベアリング構造に対して固定される、前記第1のリングギヤ(41)と同軸にある第2のリングギヤ(5)と噛み合い、前記遊星部(51)の前記第2の歯付きホイール(55)は、前記出力シャフト(45)の軸を中心に回転可能な第3のリングギヤ(61)と噛み合い、機械的カップリングが、前記第3のリングギヤ(61)から前記出力シャフト(45)に運動を伝達するように配置される、請求項8に記載のギヤボックス(29)。
【請求項10】
歯付きの前記第3のリングギヤ(61)と前記出力シャフト(45)との間の前記機械的カップリングは、第1のフリーホイール(62)を含み、好ましくは、前記出力シャフト(45)は、中空のシャフトであり、補助運動源からの運動の入力のための補助シャフト(63)は、前記出力シャフト(45)と同軸に延在しており、第2のフリーホイール(69)は、中空の前記出力シャフト(45)と前記補助シャフト(63)との間に配置される、請求項9に記載のギヤボックス(29)。
【請求項11】
前記環状支持体(31)を回転させるための装置(71)をさらに含み、前記装置(71)は、前記環状支持体(31)を複数の角度位置に選択的に配置するように適合され、前記角度位置の各々において、1つの前記歯車対がアクティブ位置にある、請求項1~10のいずれか1項に記載のギヤボックス(29)。
【請求項12】
車両用のパワートレイン(11)であって、
ピニオン(27)を有する駆動シャフト(25)を有するモータ(12)と、
請求項1~11のいずれか1項に記載のギヤボックス(29)と、
を含み、
前記ギヤボックス(29)の環状支持体(31)は、選択軸を中心とする前記環状支持体(31)の回転によって、要求される変速比に応じて、歯車対(33A~33J)のうちの1つの第1の歯車(35)と前記ピニオン(27)とが選択的に噛み合うように配置され、前記ピニオンは、前記環状支持体(31)の外部に回転軸を有し、これにより、運動が、運動離脱位置にある前記歯車対(33A~33J)のうちの前記第1の歯車(35)を介して前記ギヤボックスの周辺に入力される、
パワートレイン(11)。
【請求項13】
前記モータ(12)は、ステータ(12S)およびロータ(12R)を含む電動モータであり、前記ロータ(12R)と前記駆動シャフト(25)との間に第1のフリーホイール(162)が介在し、前記駆動シャフト(25)と、前記駆動シャフト(25)と同軸で補助動力源からのトルクを受けるように適合された補助歯車(171)との間に介在する第2のフリーホイール(169)は、前記駆動シャフト(25)にキー止めされている、請求項12に記載のパワートレイン(11)。
【請求項14】
前記補助歯車(171)は、補助シャフト(63)にキー止めされた補助リングギヤ(173)と噛み合い、好ましくは、前記補助シャフト(63)は、前記出力シャフトの軸と同軸にあり、好ましくは、前記補助シャフトは、前記出力シャフト(45)内に回転可能に支持され、前記補助シャフト(63)の両側端部において、前記補助シャフト(63)に筋力を加えるための部材(15、16)が好ましくはキー止めされている、請求項12に記載のパワートレイン(11)。
【請求項15】
車両(1)であって、
フレーム(3)と、
少なくとも1つの駆動輪(5)と、
少なくとも1つの操作輪(7)と、
駆動シャフト(25)、および前記駆動シャフトによって回転されるピニオン(27)を含むモータ(12)と、
前記モータ(25)と前記駆動輪(5)との間に介在するギヤボックス(29)と、
を含み、
前記ギヤボックスは、請求項1~10のいずれか1項に記載されているように構成され、前記駆動シャフト(25)の前記ピニオン(27)は、前記ギヤボックスの環状支持体(31)の外側に配置され、前記環状支持体(31)は、複数の角度位置に配置されるように適合され、これにより、前記角度位置の各々において、歯車対(33A~33J)のそれぞれの第1の歯車(35)が前記駆動シャフトの前記ピニオン(27)から離脱した状態で、前記歯車対(33A~33J)はアクティブ位置にある、
車両(1)。
【請求項16】
前記車両は、動力アシスト車両であり、補助シャフト(63)を含み、前記補助シャフト(63)には、前記補助シャフト(63)に筋力を加えるための部材(15、16)がキー止めされており、前記補助シャフトは、フリーホイールを含むシステムを介して、出力シャフト(45)に接続される、請求項15に記載の車両(1)。
【請求項17】
前記モータ(12)は、ステータ(12S)およびロータ(12R)を含む電動モータであり、
前記フリーホイールを含む前記システムは、
前記ロータ(12R)と前記駆動シャフト(25)との間に介在する第1のフリーホイール(162)と、
前記駆動シャフト(25)にキー止めされ、前記駆動シャフト(25)と同軸にある補助歯車(171)と前記駆動シャフト(25)との間に介在し、前記補助シャフト(63)にキー止めされた補助歯付きホイール(173)と噛み合う第2のフリーホイール(169)と、
を含み、
前記補助シャフト(63)は、前記出力シャフト(45)の軸と同軸にあり、前記出力シャフト(45)内で回転可能に支持される、
請求項16に記載の車両(1)。
【請求項18】
前記車両は、ボトムブラケットを含む自転車であり、前記出力シャフト(45)は、前記ボトムブラケットと同軸にある、請求項15~17のいずれか1項に記載の車両(1)。
【請求項19】
人力の車両(1)を動力アシスト車両に変換する方法であって、請求項11~13のいずれか1項に記載のパワートレインを前記車両(1)の駆動輪(5)のトルク伝達ラインに挿入するステップを含む、方法。
【請求項20】
前記車両(1)は、自転車であり、前記パワートレインは、前記自転車のボトムブラケットの代わりに使用される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギヤボックスに関し、より詳細には、例えばペダルアシスト自転車などの人力車両を含むがこれに限定されない用途のためのギヤボックスに関する。
【0002】
特定の態様によれば、本発明は、推進アシストシステム、すなわち駆動アシストを含む、様々なタイプの自転車、自転車タクシー、三輪車、四輪車、魚雷、都市型人力車、および2人用自転車などの車両に関する。本明細書および添付の特許請求の範囲において、駆動アシストまたは推進アシストという用語は、特に明言されない限り、同義語として使用される。推進アシストまたは駆動アシスト車両とは、モータ、例えば特に電動モータによって発生するトルクと組み合わせて、筋力の使用によって推進することができる車両を意味する。本明細書で説明するように、駆動アシストまたは推進アシスト車両の典型的な例として、ペダルアシスト自転車が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
自転車のような人力車両の変速比を変更するための装置が知られている。該装置は、駆動輪のハブに同軸に取り付けられた複数のピニオンを含む。各ピニオンは、異なる変速比を定義するように異なる直径を有する。また、該装置は、歯車を変えるために、ピニオンから駆動チェーンを切り離し、別のピニオンと噛み合わせるための変速機と、変速機を操作するための制御部(通常は手動ケーブル制御部)と、を含む。
【0004】
このような装置では、様々なピニオンが駆動輪のハブに対して垂直な別個の平面上に配置される。そのため、一般に、クラウンと同一平面上に配置されるピニオンは最大1つである。したがって、一般に、駆動チェーンのリンクは同一平面ではなく、互いに角度をつけて配置される。駆動チェーンの理想的な作動条件は、リンクが同一平面上に並ぶことである。上述した配置では、リンク間の摩擦が大きい。そのため、様々な歯車における伝達性能の低下が多かれ少なかれ強調され、騒音が発生し、摩耗しやすく、横方向の剛性が失われるため、頻繁なメンテナンスが必要となり、ギヤボックスの機能が損なわれる。
【0005】
変速歯車装置の別の欠点として、連続しない歯車比の間を迅速に且つ/または直接的に変更できないことが挙げられる。これは、特に道路の勾配が急激に大きく変化した場合に、車両の性能を低下させる。
【0006】
さらに、変速歯車装置では、車両が停止しているときに変速比を変更することができず、適切な変速比が既に設定された状態で坂道に立ち向かうこともできない。
【0007】
これらの問題を解決するために、駆動輪のハブ、典型的には後輪のハブ、または中央軸に一体化された、歯車を含むボックスからなる歯車装置が開発されてきた。これらの装置は、複数の歯付きホイールを含む。歯付きホイールの各々は、所与の変速比に対応し、それ自体の軸に沿って配置されるので、その軸の方向に沿って特に細長い形状を有する。しかしながら、これらの装置には様々な欠点がある。
【0008】
駆動輪のハブに組み込まれた装置は、後付けには適していない。すなわち、一般に、既存の車両、特に旧式の技術に基づく車両を近代化するために容易に組み込むことができない。実際、これらを取り付けるには、組み立てに適したホイールに交換するか、そうなるように改造する必要があり、ユーザによる作業は非常に困難である。さらに、ギヤボックス一体型ハブは、通常のハブに代わってホイールの一部となるため、ホイールが損傷した場合、ホイールとギヤボックスの迅速な回収は、2つ目のホイールにもギヤボックスが設けられている場合にのみ可能であり、コストが大幅に増加する。
【0009】
さらに、駆動輪のハブに組み込まれた装置は、後輪に全重量がかかるため、車両の動的バランスを低下させる。
【0010】
その一方で、中心軸に組み込まれた装置は、その設置のために特殊な形状のフレームを必要とするため、同一の装置としか交換できず、ユーザの選択の自由が制限される。さらに、同じ理由で、これらの装置には後付けの可能性もない。
【0011】
また、車輪のハブに組み込まれた装置、および上述したタイプの中央シャフトに組み込まれた一体化された装置は、特に様々な変速比に対応する歯付きホイールの軸に沿った配置による歯車チェンジ装置の軸方向の大きさのために、ペダルアシストモータの導入を不利にするか、不可能にする。
【0012】
実際、駆動輪のハブに設置されるための既知のタイプのギヤボックス装置は、モータを設置するために通常使用されるスペースを完全に占有するため、中央軸または別の車輪(通常は前輪)に取り付けるための、一般的でなく負担の大きいモータを使用せざるを得ない。その一方で、中心軸に組み込まれた装置は、クランクの間に配置するには長すぎる一体化装置となるため、同軸モータとの一体化が不可能である。このため、モータは、駆動輪のハブ(典型的には後輪)に個別に設置される必要があり、車両の重量配分にも同様の問題が生じる。これは、電気バッテリが駆動輪の上方に取り付けられている場合はさらに悪化する。
【0013】
ドイツ特許出願第740086号には、可変直径を有する複数の中央従動歯車がキー止めされた中央従動シャフトを有する車両用ギヤボックスが記載されている。従動シャフトと同軸である駆動シャフトが駆動歯車に運動を伝達する。従動シャフトの周囲には、補助シャフトが配置されている。各補助シャフトには、駆動歯車に噛み合うように適合された第1の歯付きホイールと、中央歯車の1つに噛み合うように適合された第2の歯付きホイールとがキー止めされている。従動シャフトの数は、中央従動歯車の数に等しい。駆動シャフトから従動シャフトに運動を伝達するために、補助シャフトの一方または他方が選択される。各補助シャフトの第2ピニオンが異なる中央従動歯車に噛み合うため、各補助シャフトは、駆動シャフトと中央従動シャフトとの間に異なる歯車比を提供する。所望の変速比に対応する補助シャフトを作動位置にもたらすために、補助シャフトには、駆動シャフトおよび中央従動シャフトに向けて半径方向の移動が課される。このため、各補助シャフトは、駆動シャフトおよび中央従動シャフトの軸に対して半径方向に移動可能なパッドによって支持される。半径方向の移動は、補助シャフトの支持パッドの並進によって行われ、駆動シャフトと中央従動シャフトの軸の周りを回転するリングに取り付けられたカムによって制御される。
【0014】
米国特許出願第2019/0368579号(国際公開第2018095910号)には、特に自転車に適したギヤボックスが記載されている。このギヤボックスは、いくつかのバージョンにおいて、ペダルアシスト車両を形成するために電動モータと一体化されている。この装置は、先行技術の装置の欠点の多くを克服しているが、依然としていくつかの制限と改善の余地がある。特に、この先行技術の公報に記載された装置は、特にペダルアシストバージョンにおいて、既存の車両、例えば既存の自転車に自由に挿入することはできず、アドホックフレームを作製する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、先行技術の装置の欠点を完全にまたは部分的に克服する一体型モータを有するギヤボックスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様によれば、本明細書において、環状支持体を含むギヤボックスが記載されている。環状支持体上には、ギヤボックスへの運動の入力のための歯車対が回転可能に支持されている。歯車対の各々は、入力運動を受け取るように適合された第1の歯車と、第2の歯車とを含む。第1の歯車および第2の歯車は同軸にあり、一体的に回転するように互いに角度的に結合される。
【0017】
実際、歯車対の各々は、同軸にある2つの歯車に共通の軸を中心に回転するという意味で、環状支持体上に回転可能に支持されている。その軸は、環状支持体と一体になっている。換言すると、環状支持体は、各歯車対を回転可能に支持している。
【0018】
歯車対の各々は、他の歯車対によって定義される変速比とは異なる変速比を定義する。環状支持体は、選択軸の周りで角度的に移動可能であり、これにより、1つの歯車対を、ギヤボックスに対する角度的な運動離脱位置に選択的に配置することができる。さらに、ギヤボックスは、ギヤボックスへの角度的な運動離脱位置にある歯車対のうちの第2の歯車と、環状支持体内を通り、選択軸と平行であるか、それと一致する回転軸を有する出力シャフトとの間の機械的接続、すなわち、出力シャフトと環状ベアリングとが同軸である配置を含む。実際、出力シャフトも環状支持部内に延在する。基本的に、本発明のギヤボックスにおいて、運動は、環状支持体によって担持された歯車の1つを介して、周辺から導入され、ギヤボックス内に向けて伝達され、環状支持体を通るシャフトまで伝達される。このために、有利には、歯車対のそれぞれの第1の歯車および環状支持体は、角度的な運動離脱位置にある第1の歯車が、駆動部材のピニオンから入力運動を周辺で受けるような位置に配置される。ここで、ピニオンは、環状支持体の外部にある。実際、このようにしてギヤボックスへの入力トルクを低減することができる。また、例えば低トルクのモータを使用することができるようになる。また、それぞれの歯車対とともにギヤボックスの入力部材を構成する環状支持体への機械的応力も低減される。
【0019】
これにより、本明細書で説明するいくつかの用途において、特にコンパクトで効率的な駆動システムを作製することができる。これは、必要に応じて、既存の車両のフレームに容易に後付けすることができる。
【0020】
実用的な実施形態において、機械的接続は、ギヤトレインを含む。これは、典型的には、減速歯車を構成してもよい。
【0021】
一部の実施形態において、機械的接続は、ギヤボックスへの入力において角度的な運動離脱位置にある歯車対の第2の歯車と噛み合う第1のリングギヤを含む。好ましくは、リングギヤは、複数の外歯を有するリングギヤであり、例えば、環状支持体がそれを中心に回転する選択軸と一致するか、またはこれと平行である、環状支持体内を通る回転軸を有する。
【0022】
第1のリングギヤは、出力に要求されるトルクと、運動をギヤボックスに伝達する運動源によって利用可能なトルクとに応じて、減速ギヤトレインまたは増速ギヤトレインの一部であり得る。
【0023】
機械的接続が減速ユニットを含む場合、これは、第1のリングギヤを含んでもよく、遊星歯車機構の形態を有してもよい。実用的な実施形態において、第1のリングギヤは、遊星歯車の遊星キャリアを構成する。
【0024】
減速比の低い減速機、または(状況に応じて)増速機を使用する可能性も排除されない。
【0025】
有利な実施形態において、環状支持体および第1のリングギヤは、同軸にあるか、または平行であり、わずかに間隔を置いて配置される。このような場合、第1のリングギヤは、環状支持体の任意の角度位置において、歯車対のそれぞれの第2の歯車と噛み合うことができる。
【0026】
ギヤボックスのさらなる有利な特徴および実施形態を、添付の図面および添付の特許請求の範囲を参照して後述する。
【0027】
また、さらなる態様によれば、本発明の主題は、車両用のパワートレインを含む。これは、ピニオンを有する駆動シャフトを有するモータと、上述し、以下により詳細に説明するギヤボックスと、を含む。有利には、本明細書に記載の実施形態において、ピニオンは、環状支持体の外部に回転軸を有する。これにより、運動が、運動離脱位置にある歯車対のうちの第1の歯車を介してギヤボックスの周辺に入力される。
【0028】
有利には、ギヤボックスの環状支持体は、選択軸を中心とする環状支持体の回転によって、要求される変速比に応じて、歯車対のうちの1つの第1の歯車をピニオンと選択的に噛み合わせるように配置されてもよい。選択的な回転は、単一の周角(360°)に限定されないという意味で、自由である。
【0029】
パワートレインのさらなる有利な特徴および実施形態を、添付の図面および添付の特許請求の範囲を参照して後述する。
【0030】
また、本発明は、上述したパワートレインを含む車両に関する。
【0031】
特に、車両は、トラクションアシスト車両、すなわち推進アシスト車両、例えばペダルアシスト自転車であり得る。
【0032】
具体的には、一部の実施形態によれば、本発明は、フレームと、少なくとも1つの駆動輪と、少なくとも1つの操作輪と、駆動シャフト、および駆動シャフトによって回転されるピニオンを含むモータと、モータと駆動輪との間に介在するギヤボックスと、を含む車両に関する。ギヤボックスは、環状支持体を含み、環状支持体の上には、入力歯車対が回転可能に支持されている。歯車対の各々は、一体的に回転するように互いに角度的に結合される同軸にある第1の歯車および第2の歯車を含む。歯車対の各々は、他の歯車対によって定義される変速比とは異なる変速比を定義する。環状支持体は、選択軸の周りで角度的に移動可能であり、これにより、アクティブ位置にある歯車対のうちの第1の歯車が駆動シャフトのピニオンと噛み合うように、1つの歯車対を選択的にアクティブ位置に配置することができる。さらに、車両は、アクティブ位置にある歯車対の第2の歯車と、環状支持体を通り選択軸と平行な回転軸を有する出力シャフトとの間の機械的接続を含む。シフト、すなわち変速比の変更を行うために、環状支持体を回転させる装置を設けることができる。これは、環状支持体を複数の角度位置に選択的に配置することができる。各角度位置において、それぞれの第1の歯車が駆動シャフトのピニオンに噛み合った状態で、それぞれの歯車対がアクティブ位置にある。制御装置は、自動装置、半自動装置、サーボアシスト装置、または完全手動装置であり得る。好ましい実施形態は、自動または半自動のギヤチェンジシステムを提供する。
【0033】
車両のさらなる特徴および実施形態を、添付の図面および添付の特許請求の範囲を参照して後述する。
【0034】
また、本発明は、例えば自転車などの人力の車両を動力アシスト車両または推進アシスト車両に変換する方法に関する。該方法は、車両の少なくとも1つの駆動輪への筋力発揮機構を、上述し、以下の様々な実施形態により詳細に説明するパワートレインに置き換えるステップを含む。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、ペダルアシスト、トラクションアシスト、または推進アシスト車両は、一般に、車両のユーザまたは車両の複数のユーザの筋力によって発生するトルクを車両の駆動輪または車輪に同時に加えることを可能にする機構と適切な組み合わせ機構を介して組み合わされたモータ、例えば電動モータを有する車両を指す。
【0036】
トルクは、ユーザの下肢または上肢によって、一般に、ペダルクランク、レバー、アーム、ハンドルバー、または筋力を加えるための他の部材を回転またはスイングさせることによって発生させることができる。
【0037】
したがって、「ペダルアシスト」またはトラクションアシストもしくは推進アシストを有する車両は、本明細書で理解される意味において、筋力がユーザの上肢(腕)によって生成され、下肢(脚)によって必ずしも生成されない車両も含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明は、以下の説明および本発明の非限定的な実施形態を例示的に示す添付の図面により、より明確になるであろう。
【
図1】ペダルアシスト用モータと一体化した、本発明の第1の実施形態によるギヤボックスを含む自転車の側面図である。
【
図3】
図2の線III-IIIによる部分側面図である。
【
図7】シフトおよびペダルアシストシステムを有する車両の制御システムの機能ブロック図である。
【
図8】
図2の線VIII-VIIIによる第2実施形態の、
図2と同様の平面図である。
【
図9】
図4の線IX-IXによる第2実施形態の、
図5の断面図と同様の断面図である。
【
図10】
図4の線X-Xによる第2実施形態の、
図6の断面図と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、ペダルアシスト自転車に適用されるギヤボックスについて説明する。この適用例は特に有利であるが、本明細書で説明するギヤボックスは他の用途を有することができることに留意されたい。例えば、ギヤボックスは、三輪車や四輪車など、二輪の自転車以外の車両、または手押し式の車両に使用されてもよい。さらに、ギヤボックスは、ギヤボックスに付随するモータによってのみ駆動される、すなわちペダルクランクまたは筋力を加えるための他の部材を有さない車両にも有利な用途を見出すことができる。
【0040】
図1~
図7には、本発明によるペダルアシスト自転車のギヤボックスの第1の実施形態が示されている。
図1は、自転車1の側面図であり、
図2は、その上面図である。自転車1は、フレーム3と、後輪駆動輪5と、前輪操作輪7と、ハンドルバー9と、を含む。図に示す例において、自転車1は、ペダルアシスト自転車である。参照符号11は、ここではパワートレインとして示される作動装置を全体として示している。作動装置は、モータ、典型的には後述する電動モータ12を含み、バッテリまたは蓄電部13によって駆動され、後述する中央制御ユニットによって制御される。参照符号15は、パワートレイン11にユーザによって発揮された筋力を加えるためのそれぞれのペダル16を有するペダルクランクを示している。駆動ユニット11は、チェーン用の歯付きホイール、いわゆるチェーンリング19を含む。このチェーンリング19の周囲には、伝達チェーン17が掛けられている。この伝達チェーン17は、後輪駆動輪5にキー止めされたピニオン21に運動を伝達する。
【0041】
また、パワートレイン11は、電動モータ12とチェーンリング19との間にギヤボックスを含む。さらに、パワートレイン11は、電動モータ12によって発生された駆動トルクを、ペダルクランク15を介して加えられる筋力によって発生される駆動トルクと組み合わせることができる機構を含む。ギヤボックスおよび駆動トルクの組み合わせ機構については、
図3~
図7を参照して後述する。
【0042】
特に
図3~
図6に示すように、パワートレインは、全体として参照符号23で示されるハウジングを含む。このハウジングは、一緒に組み立てられたいくつかの部品から構成され得る。その内側には、モータ12、ギヤボックス、およびモータ12によって生成された駆動トルクと相対するペダル16を有するペダルクランク15によって生成された駆動トルクの組み合わせ機構が収容される。ハウジング23はフレーム3と一体である。
【0043】
図に示す実施形態において、ハウジング23は、フレーム3の円筒部品3Aに収容されたブッシュ23Aを含む。ブッシュ23Aは、後述するように、自転車1のボトムブラケット、すなわち、ペダルクランク15、ペダル16、およびペダルクランク15を接合するシャフトまたはピンを含む組立体の座部を構成する。
【0044】
モータ12は、ピニオン27がキー止めされた出力シャフト25を有する。ピニオン27は、キー溝または他のタイプのカップリングによって、シャフト25に固定され得る。あるいは、ピニオン27は、シャフト25と一体的に形成され得る。線X-Xは、モータ12と、相対するシャフト25との回転軸を示す。
【0045】
ピニオン27は、全体として参照符号29によって示されているギヤボックスを介して、モータ12によって発生したトルク、ひいては運動をチェーンリング19に伝達する。ギヤボックス29は、環状支持体31を含む。環状支持体31は、図に示す例ではペダルクランク15の回転軸と一致する軸A-Aの周りを回転できるようにハウジング23に支持されており、後述するように、変速比を選択するための選択軸を構成する。図に示す実施形態において、環状支持体31は、互いに一体の2つのリングを含む。環状支持体31上、より詳細にはその主要部を形成する2つのリングの間に、複数の歯車対33が回転可能に支持される。図に示す実施例において、ギヤボックス29が10の異なる変速比を有するので、33Aから33Jまで順次記された10の歯車対が設けられている。以下、参照符号33は、一般的な歯車対を示している。
【0046】
歯車対33の各々は、第1の歯車35と第2の歯車37とを含む(特に
図5および
図6参照)。歯車対のそれぞれの2つの歯車35および37は、同軸にあり、互いに一体であり、単一の部材として作製され得る。歯車対33の各々は、環状支持体31に遊動自在に支持される。このようにして、歯車対33の各々は、環状支持体31上に回転可能に支持される。図に示すように、実際、歯車対33の各々は、シャフトを有し、環状支持体31上で歯車対を回転可能に支持するための支持ベアリングと関連している。歯車対33のそれぞれの軸は、環状支持体31に対して静止している。
【0047】
すべての歯車対33の第1の歯車35は、相互に共平面である。同様に、すべての歯車対33の第2の歯車37は、相互に共平面である。より具体的には、第1の歯車35は、環状支持体31の回転軸A-Aに直交する平面上に配置され、各第1の歯車35がモータ12のシャフト25にキー止めされたピニオン27と選択的に噛み合うことができるように配置される。
図4に示す位置では、歯車対33Aの第1の歯車35がピニオン27に噛み合う。軸A-Aを中心に環状支持体31を回転させることで、歯車対33のいずれか1つのうちの第1の歯車35を選択的にピニオン27に噛み合わせることができる。
【0048】
第2の歯車37が配置された平面は、第2の歯車37が軸A-Aを中心に回転する第1のリングギヤ41と噛み合うように配置される。図に示す実施形態において、環状支持体31、歯車対33、および第1のリングギヤ41の位置は、特に
図4に示すように、すべての歯車対33A~33Jの第2の歯車37が同時に第1のリングギヤ41に噛み合うようになっている。
【0049】
第1のリングギヤ41は、ベアリング43によって軸A-Aを中心に遊動自在に回転するように支持される。後者は、後述するように、ギヤボックス29およびパワートレイン11の出力シャフトを構成する中空シャフト45と第1のリングギヤ41との間に配置される。出力シャフト45は、軸A-Aを中心に回転し、チェーンリング19と一体となってチェーン17に運動を伝達する。第1のリングギヤ41は、全体として参照符号47によって示されている遊星歯車機構の要素を構成する。これは、ピニオン27から、歯車対33A~33Jのうちの1つを介して運動を受け、適切な減速比で、出力シャフト45を介してその運動をチェーンリング19に伝達する。軸A-Aは、遊星歯車機構の軸を構成し、後述するように、この軸を中心に構成部品が回転する。
【0050】
第1のリングギヤ41は、遊星歯車機構47の遊星キャリアを形成する。第1のリングギヤ41からなる遊星キャリアには、2つの遊星部51が遊動自在に支持されている。遊星部51の数は図に示すものと異なっていてもよい。簡略化された実施形態において、単一の遊星部51で十分である。2つ以上の遊星部を使用することで、関係する力をより良好に分配することができる。
【0051】
各遊星部51は、第1の歯付きホイール53と第2の歯付きホイール55とを含む(
図5参照)。各遊星部51の2つの歯付きホイール53および55は同軸にあり、それぞれの軸を中心に一体的に回転するように互いに角度的に一体となっている。各遊星部51は、ベアリング71によって、第1のリングギヤ41によって構成される遊星キャリアに遊動自在に支持されている。各遊星部51の第1の歯付きホイール53は、第1のリングギヤ41と同軸にある第2のリングギヤ59と噛み合う。第2のリングギヤ59は、遊星歯車機構47の太陽歯車を構成し、ハウジング23、ひいては自転車1のフレーム3に対して固定されている。ベアリング60は、第2のリングギヤ59と同軸に配置され、中空の出力シャフト45のラジアルベアリングを形成する。
【0052】
したがって、遊星歯車機構47の遊星キャリアを構成する第1のリングギヤ41が軸A-Aを中心に回転すると、遊星部51の軸が軸A-Aを中心に回転し、遊星部51の第1の歯付きホイール53が第2のリングギヤ59上を転動する。
【0053】
遊星部51のそれぞれの第2の歯付きホイール55は、第1のリングギヤ41および第2のリングギヤ59と同軸にある第3のリングギヤ61に噛み合う。第3のリングギヤ61は、遊星歯車機構47の太陽歯車を構成し、軸A-Aと同軸にある。第2のリングギヤ59がハウジング23に対して固定されているのに対して、第3のリングギヤ61は、軸A-Aを中心に回転可能に支持されている。
【0054】
一般に、第3のリングギヤ61は、中空の出力シャフト45に機械的に接続され、モータ12によって生成された回転運動をそこに伝達する。一部の実施形態(図示せず)において、第3のリングギヤ61は、出力シャフト45にキー止めされ得る。対照的に、図に示す実施形態において、第3のリングギヤ61と出力シャフトとの間の機械的接続は、後述する目的のために、フリーホイール62(
図5、
図6参照)を介在させることで得られる。
【0055】
第1のリングギヤ41によって構成される遊星キャリアが遊星歯車機構47の軸A-Aを中心に回転すると、第2の歯付きホイール55は、遊星歯車機構47と第3のリングギヤ61とによって定義される減速を伴う回転運動を第3のリングギヤ61に伝達する。この運動は、中空の出力シャフト45を介してギヤボックス19に伝達され、ここからチェーン17を介して後輪駆動輪5に伝達される。
【0056】
一般に、車両1は、モータ12から供給される動力によって移動する電動モータ車両であり得る。この場合、フリーホイール62は、出力シャフト54と第3のリングギヤ61との間の固定ねじり結合によって置き換えられ得る。また、出力シャフト45は、中空ではなく固体であってもよい。
【0057】
その一方で、図に示す実施形態において、車両1は、ペダルクランク15およびペダル16を介して、ユーザの筋力によっても前進運動が得られるペダルアシスト自転車である。2つのペダルクランク15は、ピン63の端部63Aに固定される。その軸は、遊星歯車機構47および環状支持体31の構成要素の回転軸A-Aと一致している。ピン63は、筋力によって発生する駆動トルクの伝達シャフトを構成し、車両1を前進させるために、駆動シャフト25によって伝達される駆動トルクに加えて、またはその駆動トルクに代えて利用することができるので、以下では補助シャフトと呼ぶ。補助シャフトまたはジャーナル63は、ベアリング65によって、ブッシュ23A内で回転可能に支持されている。補助シャフトは、中空の出力シャフト45を通り、ニードルローラベアリングなどのベアリング67によってそこに支持されている。このようにして、補助シャフト63および出力シャフト45は、共通の軸A-Aを中心に互いに対して回転することができる。
【0058】
しかしながら、補助シャフト63および中空の出力シャフト45は、特定の条件下では中空のシャフト45が補助シャフト63の周りを自由に回転でき、他の条件下では補助シャフト63が中空の出力シャフト45を回転させることができるように、第2のフリーホイール69によって互いに接続される。
【0059】
モータ12と、ギヤボックス29と、補助シャフト63を含むボトムブラケットと、ペダル16を有するペダルクランク15とを含む組立体は、次のように動作する。環状支持体31を回転させることで、変速比を得るのに必要な歯車対33を選択して、所望の変速比を手動または自動で設定することができる。モータ12によって発生された駆動トルクは、ギヤボックス19に伝達され、そこから、予め選択された歯車対35、37を介して、後輪駆動輪5に伝達される。これらの歯車35、37は、それぞれの第1の歯車35がピニオン27に噛み合った状態で、角度的な運動離脱位置、すなわちアクティブ位置にある。トルクは、第2の歯車37を介して第1のリングギヤ41(遊星歯車機構47の遊星キャリアを構成する)に伝達され、そこから、歯付きホイール53、55を介して第3のリングギヤ61に伝達される。補助シャフト63が静止しているか、または第3の歯付きホイール61の角速度よりも低い角速度で回転している場合、運動は、補助シャフト63によって、第1のフリーホイール62を介して出力シャフト45に、ひいてはギヤボックス19に伝達される。
【0060】
第2のフリーホイール69は、出力シャフト45が補助シャフト63に対して回転し、角速度でそれを上回ることを可能にする。
【0061】
ペダルクランク15およびペダル16によって、ユーザが補助シャフト63を第3のリングギヤ61の角速度よりも大きい角速度で回転させると、補助シャフト63は、第2のフリーホイール69によって出力シャフト45にねじり結合され、2つのシャフト63、45が共に回転し、その一方で、第1のフリーホイール62は、補助出力シャフト45を第3のリングギヤ61に対してねじり解放し、シャフト45が第3のリングギヤ61よりも速く回転することを可能にする。
【0062】
電動モータ12と出力シャフト45との間の変速比は、環状支持体31を段階的に回転させて、環状支持体31に遊動自在に支持された複数の歯車対33A~33Jのうちの1つをアクティブ位置、すなわち運動離脱位置(図において歯車対33Aが配置されている位置)に配置することによって変更され得る。
【0063】
上記で説明したパワートレイン11を、新しく作られた自転車に簡単に組み込むことができ、また既存の自転車をアップグレードするための後付けとして使用することもできる。実際、部品一式(モータ、遊星歯車機構を含むギヤボックス)は、改造されることなく、通常の既存の自転車フレームに収容され得る。通常、自転車の従来のボトムブラケットを収容するためにフレーム3に設けられる座部3Aは、改造されることなく、座部23のブッシュ23Aを収容することができる。
【0064】
したがって、パワートレイン11は、自動または手動のギヤチェンジシステムにより、従来の自転車をペダルアシスト自転車に変換するために使用され得る。特に、後述するように、パワートレイン11には、制御ユニットと、適切なセンサとが設けられ得る。これらを介して、制御ユニットがギヤボックスを制御し、適切に動力の流れを管理するように、駆動モードを設定することができる。
【0065】
所望の変速比を設定するための環状支持体31の回転は、ハンドルバーに配置されたレバーまたは制御ノブからの動きを環状支持体31に伝達するための適切な機構を用いて手動で行うことができる。しかしながら、好ましい実施形態において、変速比の変更操作を容易にし、場合によっては制御ユニットによって自動的に行うために、ギヤボックスは、全体として参照符号71で示されている、環状支持体31を回転させるための装置を含むことができる。この回転装置は、米国特許出願第2019/0368579号(国際公開第2018095910号)に記載されているようにされ得、その全文が参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
図に示す実施形態において、回転装置71は、例えば電動モータ73などのアクチュエータを含む。これは、成形されたディスク77と一体の軸80が軸Y-Yを中心にキー止めされたシャフト75を回転させる。後者は、ピン79と、三日月形または半円形の2つのカム81とを介して、環状支持体31と協働する。ピン79は、環状支持体31の半径方向の溝83にはめ込まれるように適合され、半円部81は、環状支持体31を形成するリング上に設けられた相補的な形状の凹部31Aと協働するように適合される。環状支持体31は、それを構成する2つのリング上に、歯車対33A~33Jの数に等しい数の凹部31Aと、歯車対33A~33Jの数に等しい数の半径方向の溝83と、を有する。成形されたディスク77のそれぞれの回転により、ギヤボックス29の環状支持体31が1ピッチだけ回転する。したがって、歯車対33のピニオン27との噛み合わせ位置において、隣接する歯車対との置き換えが行われる。適切な変速比を有する歯車チェーン87を介してシャフト75に機械的に接続されたアブソリュートエンコーダ85は、停電が発生した場合でも、ディスク77の角度位置、ひいては環状支持体31の角度位置を記憶する。このようにして、中央制御ユニット89は、どの変速比が係合したか、すなわち、様々な歯車対33のうちのどれがピニオン27と噛み合うアクティブ位置にあるかについての情報を常にもつことができる。
【0067】
歯車変更動作は、軸Y-Yを中心とするディスク77の完全な回転を必要とするので、一部の実施形態において、例えば、ディスク77と一体の磁石93と協働するホールセンサなどのセンサ91が設けられる。このセンサを介して、中央制御ユニット89は、歯車変更動作が完了したことを確認することができる。
【0068】
図7は、車両1を管理するためのセンサおよび中央制御ユニット89を模式的に示している。この図には、係合している歯車を識別するアブソリュートエンコーダ85と、センサ91と、歯車変更アクチュエータ73と、ユーザがペダルクランク15に加える力を検出する力センサ95と、補助シャフト63およびペダルクランク15の角速度を検出する角速度センサ97と、車両1の速度を検出する速度センサ99と、電気エネルギー蓄積部13と、が示されている。
【0069】
モニタまたはディスプレイ101、車両前進システム管理モードを設定するためのボタンセットまたは他のインタフェース103、および所望により非自動式で変速比を設定するための第2のインタフェース105を含む部材が、ハンドルバー9上に配置され得る。
【0070】
上述した電気・電子部品の配置により、電動モータ12とギヤボックス29の一連の管理方法を実現することができる。パワートレイン11の性能および動作の種類の管理は、
図7に示す上述した様々な電気装置間の接続ネットワークの中央ノードを構成する中央制御ユニット89によって実行され得る。性能は、いくつかの例を以下に示す様々なコマンドおよび制御モードを通じて管理され得るが、それらに限定されるものではないことに留意されたい。
【0071】
可能な手動管理方法によれば、変速比は、利用可能な変速比を自由に選択できる可能性をもって、ギヤボックス29に作用することによって手動で選択される。設定された変速比は、アブソリュートエンコーダ85によって検出され、ディスプレイ101に表示される。この手動制御は、モータ12の複数の一定の性能レベルから手動で選択する可能性と関連付けることができる。また、これらの性能レベルも、ディスプレイ101に表示され得る。モータ12およびギヤボックス29のこのタイプの手動管理において、補助シャフト63を介して装置に入力されるエネルギーは、電動モータ12から入力されるエネルギーに加算される。これらは共に、最大許容速度の達成までの車両1の前進速度を決定することに寄与する。これには、ユーザによって選択され、モータ12によって生成される一定のトルクを利用される。モータ12への電力供給は、徐々に減少し、最終的に、車両が速度センサ99によって検出された最大許容速度に達したときに遮断される。
【0072】
別の半自動管理方法によれば、ギヤボックス29は、自動的に動作することができる。これは、ディスプレイ101に表示された複数のモータ性能レベルを選択する可能性を有する、電動モータ12によって供給される一定トルクレベルの手動選択と組み合わせることができる。この半自動コマンドおよび制御モードでは、ギヤボックス29の自動管理は、電動モータ12のためにユーザによって設定された駆動トルク制限によって可能になる範囲内で、車両1の最大許容速度に到達する傾向があるアルゴリズムの結果に依存し、中央制御ユニット89に流れるデータ、特に、電動モータ12の回転速度、車両1の速度、電動モータ12の電流吸収を処理する。このため、電動モータ12は、中央制御ユニット89とインタフェース接続された、特に速度センサなどの各センサと関連付けることができる。
【0073】
一部の実施形態において、電動モータ12は、ブラシレスモータであってもよい。実施形態において、モータ12には、それ自体で既に必要なすべてのセンサ、すなわち特に速度センサが設けられ得る。
図7では、モータの速度センサは図示されておらず、モータ自体に組み込まれており、すなわちモータ12の計器の一体部分を形成している。
【0074】
さらなる半自動管理方法によれば、前述の場合と逆の場合、すなわち、電動モータ12によって供給されるトルクのレベルの自動管理と、ギヤボックス29の手動制御とを、前述のものと同じ自動化用途で提供することができる。
【0075】
さらに別の自動管理モードによれば、ギヤボックス29および電動モータ12の自動制御は、中央制御ユニット89上で実行されるアルゴリズムを介して提供され得る。これは、例えば電気エネルギーの節約を有利にすることができる。この完全に自動化されたコマンドおよび制御モードでは、特定のアルゴリズムが、前述のセンサを介して中央制御ユニット89に流れるデータを処理し、ギヤボックスのコマンドおよび電動モータ12の制御に有用な情報を返す。ここで、ペダル16とモータ12という2つの異なる入力経路を介して、機械的エネルギーの補償管理モードが装置に供給される。このモードは、補助シャフト63およびペダルクランク15を介して装置に供給されるエネルギー値と、電動モータ12を介して導入されるエネルギー値を相補的にし、補助シャフトからのエネルギーを優先させ、2つのエネルギーの合計を、所定の尺度で選択された所望のエネルギーレベルの選択を介してユーザによって設定された、装置に供給されるエネルギーの合計に常に等しく保つ。
【0076】
モータ12のエネルギー、ひいては電力は、規格または装置の製造者によって許容される最大値を有し、モータの管理はこの値内で動作し、上述のように、ユーザによって設定される動作モードを介してさらなる制限が設定される。
【0077】
すなわち、手動または半自動管理方法では、ユーザまたは中央制御ユニットは、モータ12に一定のトルクレベルを加え、到達する可能性のある最大許容出力限界は、中央制御ユニット89によって制御され、その一方で、完全自動モードでは、モータ12の性能は、ユーザによって選択された性能レベルおよび加えられる筋力トルクに応じて、トルクおよび出力の両方において、ゼロと可能か許容される最大値との間で変動する。
【0078】
この最後の完全自動モードでは、ペダルクランク15からのより大きなエネルギー量は、ペダル操作を介して完全に導入されるエネルギーの限界条件まで、電動モータ12からのより小さなエネルギー量に対応する。
【0079】
完全自動管理モードは、上述したエネルギー源のバランス作用に加えて、歯車の変速比の選択を介して、車両の自律性を最大化する目的を追求する。変速比は、モータ12を最大効率と最小エネルギー消費に近い回転体制に維持するように適切に選択される。
【0080】
上述したように、自動コマンドおよび制御モードでは、補助シャフト63を介して入力されるエネルギーに関するデータが必要である。このため、ペダルクランク15を介して補助軸63に作用する力を検出する力センサ95が設けられる。力センサ95からの出力データは、速度センサ97によって検出された補助シャフト63の回転速度の値とともに、筋力経路によって供給されるエネルギーの値を計算することを可能にする。
【0081】
図8、
図9および
図10には、本発明によるギヤボックスのさらなる実施形態が示されている。
図4および
図7は、さらなる実施形態においても同じである部分を示している。同様の参照符号は、
図1~
図7を参照して説明した部分と同一または同等である部品を示しており、これらについては再度詳細に説明しない。
【0082】
図8~
図10の実施形態は、主に、ペダルクランク15とペダル16を介してユーザが発生させた筋力がパワートレインに導入される方法が異なるという点で、
図1~
図7の実施形態から異なる。
【0083】
図8~
図10の実施形態において、補助シャフト63は、ベアリング65および67によって中空の出力シャフト45およびブッシュ23A内に支持されているが、第2のフリーホイール69による接続は設けられていない。さらに、第3のリングギヤ61は、中空の出力シャフト45に直接キー止めされ、モータ12およびペダルクランク15の回転速度にかかわらず、これと一体的に回転する。実際、例えば
図8~
図10の実施形態において、第3のリングギヤ61は、中空の出力シャフト45と一体に形成されている。
【0084】
ペダルクランク15を介してユーザによって加えられた筋力によって発生するトルクの伝達は、モータ12を介して行われる。実際、本実施形態において、第1のフリーホイール/ベアリング162は、駆動シャフト25にキー止めされ、駆動シャフト25と電動モータ12のロータ12Rとの間に介在する。参照符号12Sは、電動モータ12のステータを模式的に示している。第2のフリーホイール/ベアリング169は、シャフト25にキー止めされ、駆動シャフト25と、駆動シャフト25と同軸にある補助歯車171との間に介在する。補助歯車171は、ペダルクランク15からの運動を受ける補助シャフトまたはピン63にキー止めされた補助リングギヤ173に噛み合う。補助リングギヤ173は、保護ケーシング175に収容されている。
【0085】
上述した部材により、ペダルクランク15の運動と、補助ピンまたは補助シャフト63の運動とが、次のようにしてモータ12によって付与される運動と組み合わされる。ユーザの筋力によって加えられた推力によりペダルクランク15が回転すると、補助シャフト63は、軸A-Aを中心に回転する。この回転は、補助リングギヤ173および補助歯車171を介してフリーホイール/ベアリング169に伝達される。これにより、補助歯車171に付与される角速度がモータ12のロータ12Rの角速度よりも大きい場合に、補助歯車171から駆動シャフト25にその運動が伝達される。このような状態では、トルクは、第2のフリーホイール/ベアリング169およびシャフト25を介してピニオン27に伝達され、第1のフリーホイール/ベアリング162は、ロータ12Rの回転を解放する。
【0086】
その一方で、モータ12のロータ12Rの角速度が、ペダルクランク15によって補助歯車171に加えられた角速度よりも高い場合、第2のフリーホイール/ベアリング169は、補助歯車171を駆動シャフト25から角度をもって切り離し、第1のフリーホイール/ベアリング162は、ロータ12Rから駆動シャフト25へトルクを伝達し、そこからピニオン27へトルクを伝達する。
【0087】
すなわち、
図8~
図10に示す実施形態は、モータ12の角速度が補助歯車171の角速度を上回るとき、
図1~
図7に示す実施形態と同様に動作する。また、ペダルクランク15を介してユーザによって加えられた速度が、補助歯車171の角速度がモータの角速度を上回るようなものであるとき、筋力はもはやピンまたは補助軸63から中空のシャフト出力歯車45に直接通ることなく、補助リングギヤ173、補助歯車171、駆動シャフト25、ピニオン27、およびギヤボックス29の運動連鎖を経て出力シャフト45に至り、そこからチェーンリング19に至る。
【0088】
機械的効率の観点から、
図8~
図10に示す実施形態は、
図1~
図7に示す実施形態と比較して不利である。これは、筋力の一部が、ピンまたは補助シャフト63から、駆動シャフト25と、遊星歯車機構47からなる相対減速機を有するギヤボックス29とを通り、出力シャフト45に至る、上述した運動連鎖の中で消散されるからである。その一方で、
図8~
図10に示す実施形態は、モータ12の動力を使用することなくペダル操作だけで車両1を使用する場合であっても、ユーザがギヤボックス29によって変速比を変更できるという利点を有する。
【0089】
上述した両方の実施形態において、変速比の変更に関して可動要素を構成する歯車対を有する環状支持体31は、減速機の下流ではなく上流に配置され、ひいては同様の用途の他の変速機とは異なり、低トルクに配置される。これにより、変速機の可動構成要素に加えられる応力が低減される。
【0090】
電動モータ12が設けられた本装置は、車両のOEM機器としても、複数のチェーンリングおよびピニオンを有する従来のギヤボックス装置を既に具備しているか、または具備していない車両の後付けアップグレード部品としても使用され得る。実際、本明細書に記載の装置は、標準的なフレームに取り付けることができるように構成され得、車輪への運動伝達の他の可能な構成要素に置き換えることができる。このように、これらの車両をペダルアシスト車両、またはより一般的には推進アシスト車両またはトラクションアシスト車両に改造することが可能になる。
【0091】
本明細書に記載の装置は、従来のギヤボックスとは異なり、車両への設置時や使用中に調整を必要としない。したがって、設置者、とりわけユーザに特別な技術を必要としない。
【0092】
メンテナンスの必要性は、ギヤボックス内のオイルレベルの定期的な確認(ただし、オイルの消費はない)や、チェーン17の清掃および注油と非常に限られている。
【0093】
一部の実施形態において、チェーン17は、有利には、歯付きベルトまたは他の連続的な可撓性部材によって置き換えられ得る。これにより、車両のメンテナンスをさらに低減することができる。可能な適切な伝動ジョイントを用いてシャフト伝達部材に運動を伝達する可能性も排除されない。
【0094】
持続時間と信頼性の特質を最大化することにより、システムは、運動伝達装置全体の機能安全性を必要とする、集中的に使用される車両での使用に適切なものとなる。例えば、自転車タクシー、三輪車、四輪車、魚雷、都市型人力車、カーゴバイクなどの車両を考えてみる。これらの車両には、高い信頼性が要求され、また、従来の伝達システムで生じるように、チェーンが単純に外れるなどした場合に、使用中に機械伝達装置に簡単にアクセスして修理またはそれに介入することができない。
【0095】
さらに、チェーン17は、常に整列した状態で、すなわち、駆動輪のピニオンとチェーンリング19が常に同一平面上にある状態で走行するので、変速機を有するシステムでは典型的な早期摩耗の問題の影響を受けない。したがって、チェーン17は、変速歯車を有する車両で従来から使用されているチェーンよりも幅の広いチェーンとすることができる。これにより、動作期間がさらに長くなり、摩耗した部品を交換するための介入の必要性を最小限に抑えることができる。
【0096】
この結果、チェーンドライブ(チェーンリング19、チェーン17、スプロケット21)は、通常、摩耗する期間が非常に長くなる。さらに、この伝達装置の摩耗の進行は、従来の変速機システムで発生するように、歯車の変更における適切な機能に影響を与えない。
【0097】
本明細書に記載のシステムは、ギヤボックスの存在、特に小さな電動モータの使用により、重量が最小限に低減されているが、比較的低速で生成される十分な出力があり、ギヤボックス/減速機システムの複雑さ、重量および性能に対してさらに有益な効果をもたらす。
【0098】
さらなる利点として、モータ12を車両のボトムブラケットの下方(すなわち、軸A-Aよりも低い位置)に配置することにより、車両全体の重心位置が低くなる結果、車両1の動的特徴およびハンドリングが大幅に改善されることが挙げられる。
【0099】
車両の動的特徴を最大にするためには、中央制御ユニット89、とりわけバッテリ13をフレーム3の斜めの管3B(
図1)の下方に配置するのが有利であり、その結果、重心を可能な限り最小の高さに位置させることができる。
【0100】
ギヤボックスと、相対的な減速機とからなる組立体は、特に、自転車または他のサドル付き車両の推進に使用される場合に有利であるが、これに限定されるものではない。上述したような有利な実施形態において、筋力によるトラクションのためのペダルクランクのボトムブラケットを具備する車両におけるギヤボックスの減速機システムを容易に組み込むことができるため、トラクションアシストまたは推進アシスト車両の場合に、ギヤボックスおよびそれぞれの減速機を特に有利に使用することができる。しかしながら、他の用途のために、相対的な減速機を有するギヤボックスを使用する可能性も排除されない。ここでは、例えば、歯車対33に運動を伝達するモータ12等からなる第1の動力源によって供給される運動と、補助シャフト63を介して補助動力源によって供給される運動との組み合わせが想定され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギヤボックス(29)であって、
(a)前記ギヤボックス(29)に運動を入力するための歯車対(33A~33J)がその上に回転可能
且つ誘導自在に支持される環状支持体(31)であって、
前記歯車対のそれぞれの軸は、前記環状支持体に対して静止しており、
前記歯車対(33A~33J)の各々は、入力運動を受けるように適合された第1の歯車(35)と、第2の歯車(37)と、を含み、前記第1の歯車(35)および前記第2の歯車(37)は同軸にあり、一体的に回転するように互いに角度的に結合され、
前記歯車対(33A~33J)の各々は、他の歯車対によって定義される変速比とは異なる変速比を定義し、
前記環状支持体(31)は、選択軸の周りで角度的に移動可能であり、これにより、1つの前記歯車対(33A~33J)を、前記ギヤボックス(29)に対する角度的な運動離脱位置に選択的に配置することができる、
環状支持体(31)と、
(b)前記ギヤボックス(29)への前記角度的な運動離脱位置にある前記歯車対(33A~33J)のうちの前記第2の歯車(37)と、前記選択軸と平行であるか、それと一致する回転軸(A-A)を有する出力シャフト(45)との間の機械的接続であって、前記出力シャフト(45)は、前記環状支持体(31)内を通
り、前記機械的接続は、減速機(47)または増速機を含み、前記減速機(47)または前記増速機は、前記ギヤボックス(29)に対する前記角度的な運動離脱位置にある前記歯車対(33A~33J)のうちの少なくとも前記第2の歯車(37)と噛み合う第1のリングギヤ(41)を含む、機械的接続と、
を含む、ギヤボックス(29)。
【請求項2】
前記歯車対(33A~33J)の前記第1の歯車(35)および前記環状支持体(31)は、前記角度的な運動離脱位置にある
前記歯車対(33A~33J)の前記第1の歯車(35)が、駆動部材(12)のピニオン(27)から入力運動を周辺で受けるような位置に配置され、前記ピニオン(27)は、前記環状支持体(31)の外部にある、請求項1に記載のギヤボックス(29)。
【請求項3】
前記環状支持体は、回転角度の制限を受けることなく前記選択軸を中心に回転するように適合される、請求項1または2に記載のギヤボックス(29)。
【請求項4】
前記第1のリングギヤ(41)は、外歯と、前記環状支持体(31)内を通る回転軸と、を有し、前記回転軸は、前記選択軸と平行であるか、それと一致している、請求項
1~3のいずれか1項に記載のギヤボックス(29)。
【請求項5】
前記環状支持体(31)および前記第1のリングギヤ(41)は、平行な軸または同じ軸を有し、前記第1のリングギヤ(41)は、前記環状支持体(31)の任意の角度位置において、前記歯車対(33A~33J)のそれぞれの前記第2の歯車(37)と噛み合う、請求項
1~4のいずれか1項に記載のギヤボックス(29)。
【請求項6】
前記減速機(47)は、遊星歯車機構を含み、前記第1のリングギヤ(41)は、前記遊星歯車機構(47)の遊星キャリアを構成し、前記遊星キャリアは、前記出力シャフト(45)の軸と一致する前記遊星歯車機構(47)の中心軸を中心に回転し、少なくとも1つの遊星
部(51)は、前記遊星キャリア上に遊動自在に支持され、互いに角度的に結合された同軸にある第1の歯付きホイールおよび第2の歯付きホイールを含む、請求項
1~5のいずれか1項に記載のギヤボックス(29)。
【請求項7】
前記遊星部(51)の前記第1の歯付きホイール(53)は、ベアリング構造に対して固定される、前記第1のリングギヤ(41)と同軸にある第2のリングギヤ(5)と噛み合い、前記遊星部(51)の前記第2の歯付きホイール(55)は、前記出力シャフト(45)の軸を中心に回転可能な第3のリングギヤ(61)と噛み合い、機械的カップリングが、前記第3のリングギヤ(61)から前記出力シャフト(45)に運動を伝達するように配置される、請求項
6に記載のギヤボックス(29)。
【請求項8】
前記環状支持体(31)を回転させるための装置(71)をさらに含み、前記装置(71)は、前記環状支持体(31)を複数の角度位置に選択的に配置するように適合され、前記角度位置の各々において、1つの前記歯車対が
前記ギヤボックス(29)に対する前記角度的な運動離脱位置にある、請求項1~
7のいずれか1項に記載のギヤボックス(29)。
【請求項9】
前記第3のリングギヤ(61)と前記出力シャフト(45)との間の前記機械的カップリングは、第1のフリーホイール(62)を含む、請求項7に記載のギヤボックス(29)。
【請求項10】
前記出力シャフト(45)は、中空のシャフトであり、補助運動源からの運動の入力のための補助シャフト(63)は、前記出力シャフト(45)と同軸に延在しており、第2のフリーホイール(69)が、中空の前記出力シャフト(45)と前記補助シャフト(63)との間に配置される、請求項9に記載のギヤボックス(29)。
【請求項11】
車両用のパワートレイン(11)であって、
ピニオン(27)を有する駆動シャフト(25)を有するモータ(12)と、
請求項1~10のいずれか1項に記載のギヤボックス(29)と、
を含み、
前記ギヤボックス(29)の環状支持体(31)は、選択軸を中心とする前記環状支持体(31)の回転によって、要求される変速比に応じて、歯車対(33A~33J)のうちの1つの第1の歯車(35)と前記ピニオン(27)とが選択的に噛み合うように配置され、前記ピニオンは、前記環状支持体(31)の外部に回転軸を有し、これにより、運動が、
前記ギヤボックスに対する角度的な運動離脱位置にある前記歯車対(33A~33J)のうちの前記第1の歯車(35)を介して前記ギヤボックスの周辺に入力される、
パワートレイン(11)。
【請求項12】
前記ギヤボックス(29)は、請求項1~8のいずれか1項に記載のものであり、
前記モータ(12)は、ステータ(12S)およびロータ(12R)を含む電動モータであり、前記ロータ(12R)と前記駆動シャフト(25)との間に第1のフリーホイール(162)が介在し、前記駆動シャフト(25)と、前記駆動シャフト(25)と同軸で補助動力源からのトルクを受けるように適合された補助歯車(171)との間に介在する第2のフリーホイール(169)は、前記駆動シャフト(25)にキー止めされている、請求項
11に記載のパワートレイン(11)。
【請求項13】
前記補助歯車(171)は、補助シャフト(63)にキー止めされた補助リングギヤ(173)と噛み合い、好ましくは、前記補助シャフト(63)は、前記出力シャフトの軸と同軸にあり、好ましくは、前記補助シャフトは、前記出力シャフト(45)内に回転可能に支持され、前記補助シャフト(63)の両側端部において、前記補助シャフト(63)に筋力を加えるための部材(15、16)が好ましくはキー止めされている、請求項12に記載のパワートレイン(11)。
【請求項14】
車両(1)であって、
フレーム(3)と、
少なくとも1つの駆動輪(5)と、
少なくとも1つの操作輪(7)と、
駆動シャフト(25)、および前記駆動シャフトによって回転されるピニオン(27)を含むモータ(12)と、
前記モータ(25)と前記駆動輪(5)との間に介在するギヤボックス(29)と、
を含み、
前記ギヤボックスは、請求項1~
9のいずれか1項に記載されているように構成され、前記駆動シャフト(25)の前記ピニオン(27)は、前記ギヤボックスの環状支持体(31)の外側に配置され、前記環状支持体(31)は、複数の角度位置に配置されるように適合され、これにより、前記角度位置の各々において、歯車対(33A~33J)のそれぞれの第1の歯車(35)が前記駆動シャフトの前記ピニオン(27)から離脱した状態で、前記歯車対(33A~33J)はアクティブ位置にある、
車両(1)。
【請求項15】
前記車両は、動力アシスト車両であり、補助シャフト(63)を含み、前記補助シャフト(63)には、前記補助シャフト(63)に筋力を加えるための部材(15、16)がキー止めされており、前記補助シャフトは、フリーホイールを含むシステムを介して、出力シャフト(45)に接続される、請求項
14に記載の車両(1)。
【請求項16】
前記モータ(12)は、ステータ(12S)およびロータ(12R)を含む電動モータであり、
前記ギヤボックス(29)は、請求項1~8のいずれか1項に記載されているように構成され、
前記フリーホイールを含む前記システムは、
前記ロータ(12R)と前記駆動シャフト(25)との間に介在する第1のフリーホイール(162)と、
前記駆動シャフト(25)にキー止めされ、前記駆動シャフト(25)と同軸にある補助歯車(171)と前記駆動シャフト(25)との間に介在し、前記補助シャフト(63)にキー止めされた補助歯付きホイール(173)と噛み合う第2のフリーホイール(169)と、
を含み、
前記補助シャフト(63)は、前記出力シャフト(45)の軸と同軸にあり、前記出力シャフト(45)内で回転可能に支持される、
請求項
15に記載の車両(1)。
【請求項17】
前記出力シャフト(45)は、中空のシャフトであり、補助運動源からの運動の入力のための補助シャフト(63)は、前記出力シャフト(45)と同軸に延在しており、第2のフリーホイール(69)は、中空の前記出力シャフト(45)と前記補助シャフト(63)との間に配置される、請求項
14に記載の
車両(1)。
【請求項18】
前記車両は、ボトムブラケットを含む自転車であり、前記出力シャフト(45)は、前記ボトムブラケットと同軸にある、請求項
14~17のいずれか1項に記載の車両(1)。
【請求項19】
人力の車両(1)を動力アシスト車両に変換する方法であって、請求項11~13のいずれか1項に記載のパワートレインを前記車両(1)の駆動輪(5)のトルク伝達ラインに挿入するステップを含む、方法。
【請求項20】
前記車両(1)は、自転車であり、前記パワートレインは、前記自転車のボトムブラケットの代わりに使用される、請求項19に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2025-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギヤボックス(29)であって、
(a)前記ギヤボックス(29)に運動を入力するための歯車対(33A~33J)がその上に回転可能且つ誘導自在に支持される環状支持体(31)であって、
前記歯車対のそれぞれの軸は、前記環状支持体に対して静止しており、
前記歯車対(33A~33J)の各々は、入力運動を受けるように適合された第1の歯車(35)と、第2の歯車(37)と、を含み、前記第1の歯車(35)および前記第2の歯車(37)は同軸にあり、一体的に回転するように互いに角度的に結合され、
前記歯車対(33A~33J)の各々は、他の歯車対によって定義される変速比とは異なる変速比を定義し、
前記環状支持体(31)は、選択軸の周りで角度的に移動可能であり、これにより、1つの前記歯車対(33A~33J)を、前記ギヤボックス(29)に対する角度的な運動離脱位置に選択的に配置することができる、
環状支持体(31)と、
(b)前記ギヤボックス(29)への前記角度的な運動離脱位置にある前記歯車対(33A~33J)のうちの前記第2の歯車(37)と、前記選択軸と平行であるか、それと一致する回転軸(A-A)を有する出力シャフト(45)との間の機械的接続であって、前記出力シャフト(45)は、前記環状支持体(31)内を通り、前記機械的接続は、減速機(47)または増速機を含み、前記減速機(47)または前記増速機は、前記ギヤボックス(29)に対する前記角度的な運動離脱位置にある前記歯車対(33A~33J)のうちの少なくとも前記第2の歯車(37)と噛み合う第1のリングギヤ(41)を含む、機械的接続と、
を含む、ギヤボックス(29)。
【請求項2】
前記歯車対(33A~33J)の前記第1の歯車(35)および前記環状支持体(31)は、前記角度的な運動離脱位置にある前記歯車対(33A~33J)の前記第1の歯車(35)が、駆動部材(12)のピニオン(27)から入力運動を周辺で受けるような位置に配置され、前記ピニオン(27)は、前記環状支持体(31)の外部にある、請求項1に記載のギヤボックス(29)。
【請求項3】
前記環状支持体は、回転角度の制限を受けることなく前記選択軸を中心に回転するように適合される、請求項
1に記載のギヤボックス(29)。
【請求項4】
前記環状支持体は、回転角度の制限を受けることなく前記選択軸を中心に回転するように適合される、請求項2に記載のギヤボックス(29)。
【請求項5】
前記第1のリングギヤ(41)は、外歯と、前記環状支持体(31)内を通る回転軸と、を有し、前記回転軸は、前記選択軸と平行であるか、それと一致している、請求項
1に記載のギヤボックス(29)。
【請求項6】
前記第1のリングギヤ(41)は、外歯と、前記環状支持体(31)内を通る回転軸と、を有し、前記回転軸は、前記選択軸と平行であるか、それと一致している、請求項2、3、または4に記載のギヤボックス(29)。
【請求項7】
前記環状支持体(31)および前記第1のリングギヤ(41)は、平行な軸または同じ軸を有し、前記第1のリングギヤ(41)は、前記環状支持体(31)の任意の角度位置において、前記歯車対(33A~33J)のそれぞれの前記第2の歯車(37)と噛み合う、請求項
1に記載のギヤボックス(29)。
【請求項8】
前記環状支持体(31)および前記第1のリングギヤ(41)は、平行な軸または同じ軸を有し、前記第1のリングギヤ(41)は、前記環状支持体(31)の任意の角度位置において、前記歯車対(33A~33J)のそれぞれの前記第2の歯車(37)と噛み合う、請求項2、3、または4に記載のギヤボックス(29)。
【請求項9】
前記減速機(47)は、遊星歯車機構を含み、前記第1のリングギヤ(41)は、前記遊星歯車機構(47)の遊星キャリアを構成し、前記遊星キャリアは、前記出力シャフト(45)の軸と一致する前記遊星歯車機構(47)の中心軸を中心に回転し、少なくとも1つの遊星部(51)は、前記遊星キャリア上に遊動自在に支持され、互いに角度的に結合された同軸にある第1の歯付きホイールおよび第2の歯付きホイールを含む、請求項1~5
および7のいずれか1項に記載のギヤボックス(29)。
【請求項10】
前記遊星部(51)の前記第1の歯付きホイール(53)は、ベアリング構造に対して固定される、前記第1のリングギヤ(41)と同軸にある第2のリングギヤ(5)と噛み合い、前記遊星部(51)の前記第2の歯付きホイール(55)は、前記出力シャフト(45)の軸を中心に回転可能な第3のリングギヤ(61)と噛み合い、機械的カップリングが、前記第3のリングギヤ(61)から前記出力シャフト(45)に運動を伝達するように配置される、請求項
9に記載のギヤボックス(29)。
【請求項11】
前記環状支持体(31)を回転させるための装置(71)をさらに含み、前記装置(71)は、前記環状支持体(31)を複数の角度位置に選択的に配置するように適合され、前記角度位置の各々において、1つの前記歯車対が前記ギヤボックス(29)に対する前記角度的な運動離脱位置にある、請求項1~
5および7のいずれか1項に記載のギヤボックス(29)。
【請求項12】
前記第3のリングギヤ(61)と前記出力シャフト(45)との間の前記機械的カップリングは、第1のフリーホイール(62)を含む、請求項
10に記載のギヤボックス(29)。
【請求項13】
前記出力シャフト(45)は、中空のシャフトであり、補助運動源からの運動の入力のための補助シャフト(63)は、前記出力シャフト(45)と同軸に延在しており、第2のフリーホイール(69)が、中空の前記出力シャフト(45)と前記補助シャフト(63)との間に配置される、請求項
12に記載のギヤボックス(29)。
【請求項14】
車両用のパワートレイン(11)であって、
ピニオン(27)を有する駆動シャフト(25)を有するモータ(12)と、
請求項1~
5および7のいずれか1項に記載のギヤボックス(29)と、
を含み、
前記ギヤボックス(29)の環状支持体(31)は、選択軸を中心とする前記環状支持体(31)の回転によって、要求される変速比に応じて、歯車対(33A~33J)のうちの1つの第1の歯車(35)と前記ピニオン(27)とが選択的に噛み合うように配置され、前記ピニオンは、前記環状支持体(31)の外部に回転軸を有し、これにより、運動が、前記ギヤボックスに対する角度的な運動離脱位置にある前記歯車対(33A~33J)のうちの前記第1の歯車(35)を介して前記ギヤボックスの周辺に入力される、
パワートレイン(11)。
【請求項15】
前記モータ(12)は、ステータ(12S)およびロータ(12R)を含む電動モータであり、前記ロータ(12R)と前記駆動シャフト(25)との間に第1のフリーホイール(162)が介在し、前記駆動シャフト(25)と、前記駆動シャフト(25)と同軸で補助動力源からのトルクを受けるように適合された補助歯車(171)との間に介在する第2のフリーホイール(169)は、前記駆動シャフト(25)にキー止めされている、請求項
14に記載のパワートレイン(11)。
【請求項16】
前記補助歯車(171)は、補助シャフト(63)にキー止めされた補助リングギヤ(173)と噛み合
う、請求項
15に記載のパワートレイン(11)。
【請求項17】
前記補助シャフト(63)は、前記出力シャフトの軸と同軸である、請求項16に記載のパワートレイン(11)。
【請求項18】
前記補助シャフトは、前記出力シャフト(45)内に回転可能に支持されている、請求項16に記載のパワートレイン(11)。
【請求項19】
前記補助シャフト(63)の両側端部において、前記補助シャフト(63)に筋力を加えるための部材(15、16)がキー止めされている、請求項16に記載のパワートレイン(11)。
【請求項20】
車両(1)であって、
フレーム(3)と、
少なくとも1つの駆動輪(5)と、
少なくとも1つの操作輪(7)と、
駆動シャフト(25)、および前記駆動シャフトによって回転されるピニオン(27)を含むモータ(12)と、
前記モータ(25)と前記駆動輪(5)との間に介在するギヤボックス(29)と、
を含み、
前記ギヤボックスは、請求項1~
5および7のいずれか1項に記載されているように構成され、前記駆動シャフト(25)の前記ピニオン(27)は、前記ギヤボックスの環状支持体(31)の外側に配置され、前記環状支持体(31)は、複数の角度位置に配置されるように適合され、これにより、前記角度位置の各々において、歯車対(33A~33J)のそれぞれの第1の歯車(35)が前記駆動シャフトの前記ピニオン(27)から離脱した状態で、前記歯車対(33A~33J)はアクティブ位置にある、
車両(1)。
【請求項21】
前記車両は、動力アシスト車両であり、補助シャフト(63)を含み、前記補助シャフト(63)には、前記補助シャフト(63)に筋力を加えるための部材(15、16)がキー止めされており、前記補助シャフトは、フリーホイールを含むシステムを介して、出力シャフト(45)に接続される、請求項
20に記載の車両(1)。
【請求項22】
前記モータ(12)は、ステータ(12S)およびロータ(12R)を含む電動モータであり、
前記フリーホイールを含む前記システムは、
前記ロータ(12R)と前記駆動シャフト(25)との間に介在する第1のフリーホイール(162)と、
前記駆動シャフト(25)にキー止めされ、前記駆動シャフト(25)と同軸にある補助歯車(171)と前記駆動シャフト(25)との間に介在し、前記補助シャフト(63)にキー止めされた補助歯付きホイール(173)と噛み合う第2のフリーホイール(169)と、
を含み、
前記補助シャフト(63)は、前記出力シャフト(45)の軸と同軸にあり、前記出力シャフト(45)内で回転可能に支持される、
請求項
21に記載の車両(1)。
【請求項23】
前記出力シャフト(45)は、中空のシャフトであり、補助運動源からの運動の入力のための補助シャフト(63)は、前記出力シャフト(45)と同軸に延在しており、第2のフリーホイール(69)は、中空の前記出力シャフト(45)と前記補助シャフト(63)との間に配置される、請求項
20に記載の車両(1)。
【請求項24】
前記車両は、ボトムブラケットを含む自転車であり、前記出力シャフト(45)は、前記ボトムブラケットと同軸にある、請求項
20に記載の車両(1)。
【請求項25】
人力の車両(1)を動力アシスト車両に変換する方法であって、請求項
17に記載のパワートレインを前記車両(1)の駆動輪(5)のトルク伝達ラインに挿入するステップを含む、方法。
【請求項26】
前記車両(1)は、自転車であり、前記パワートレインは、前記自転車のボトムブラケットの代わりに使用される、請求項
25に記載の方法。
【国際調査報告】