(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】粘着箔
(51)【国際特許分類】
C09J 7/50 20180101AFI20250212BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20250212BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20250212BHJP
C09D 123/08 20060101ALI20250212BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20250212BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20250212BHJP
C09J 7/25 20180101ALI20250212BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20250212BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20250212BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20250212BHJP
C09J 7/22 20180101ALI20250212BHJP
【FI】
C09J7/50
C09D201/00
C09D5/00 D
C09D123/08
C09D7/61
C09J7/38
C09J7/25
C09J201/00
C09D7/65
B32B27/00 M
C09J7/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545747
(86)(22)【出願日】2023-02-10
(85)【翻訳文提出日】2024-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2023053371
(87)【国際公開番号】W WO2023152329
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524284520
【氏名又は名称】ヘック フォーリエン ゲゼルシャフト エム.ビー.エイチ.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100227329
【氏名又は名称】延原 愛
(72)【発明者】
【氏名】リッカー,ヴァルトラウト
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AA03A
4F100AA03C
4F100AA23A
4F100AA23C
4F100AB01A
4F100AB01B
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4F100YY00A
4F100YY00C
4J004AA10
4J004AB01
4J004AB03
4J004CA06
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4J004EA05
4J004EA06
4J038CB061
4J038CB141
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4J038EA011
4J038KA08
4J038KA20
4J038PA07
4J040JA09
4J040JB01
4J040JB09
4J040NA19
(57)【要約】
本発明は、ラッカーフィルムによるコーティングを含む特にプラスチック製の粘着箔であって、ラッカーフィルムがラッカーフィルムの層厚よりも大きい平均直径を有する顔料を含有することを特徴とする粘着箔に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッカーフィルムによるコーティングを含む特にプラスチック製の粘着箔であって、ラッカーフィルムが、前記ラッカーフィルムの層厚よりも大きい平均直径を有する顔料を含有することを特徴とする粘着箔。
【請求項2】
その粒子の直径は2.0~12μmの範囲であり、好ましくは、前記平均直径は4~6μmであることを特徴とする、請求項1に記載の粘着箔。
【請求項3】
前記ラッカーフィルム中の前記顔料の重量割合は、前記ラッカーの結合剤の不揮発性画分(nfA)に対して1~50%、好ましくは10~30%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の粘着箔。
【請求項4】
前記顔料は無機もしくは有機顔料から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着箔。
【請求項5】
前記無機顔料は、土類、鉱物、金属効果顔料、白色顔料、酸化鉄顔料、ケイ酸ジルコニウムおよびポリマー顔料から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着箔。
【請求項6】
前記顔料はポリアミド顔料、好ましくはPA66またはPA12であることを特徴とする、請求項5に記載の粘着箔。
【請求項7】
前記ラッカーフィルムは粘着促進剤層であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着箔。
【請求項8】
前記粘着促進剤層の前記粘着促進剤はエチレン-アクリル酸コポリマーであることを特徴とする、請求項7に記載の粘着箔。
【請求項9】
前記箔は、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、一軸延伸ポリプロピレン(MOPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリオキシメチレン(POM)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロプロピルビニルエーテルフルオロコポリマー(PFA)、テトラフルオロメチレン-パーフルオロプロピルビニルエーテルフルオロコポリマー(MFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンフルオロポリマー(EFEP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、セルロースもしくはリグニン系プラスチック、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、熱可塑性澱粉(TPS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)および/またはこれらの材料の混合物および/またはコポリマーおよび/または紙または金属およびこれらの材料の複合材から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の粘着箔。
【請求項10】
PET箔であることを特徴とする、請求項9に記載の粘着箔。
【請求項11】
前記粘着箔は両面に前記ラッカーフィルムによるコーティングを有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の粘着箔。
【請求項12】
前記粘着箔は金属被覆層を有し、前記ラッカーフィルムによる前記コーティングは金属被覆層に塗布されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の粘着箔。
【請求項13】
自己粘着性コーティングを前記ラッカーフィルムに塗布した場合の引張強度(複合粘着)は>6N/15mmであることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の粘着箔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッカーフィルムによるコーティングを含む特にプラスチック製の粘着箔に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、比較的低い自由表面エネルギーを有し、それに応じて粘着結合、コーティングまたは印刷中に低い界面粘着を有する材料である。そのため、粘着剤による粘着結合の失敗または弱い封止が生じる可能性がある。この粘着問題が、印刷されたインクが擦れ落ちたり、インクが表面に付着しなかったりするという事実に繋がる可能性もある。
【0003】
例えば、エレクトロニクス産業で使用されるような粘着テープまたは粘着ラベルの場合、例えば粘着剤が粘着テープと共に基材から剥離されること、すなわち製品を損なう粘着剤残留物が基材上に残らないことを保証しなければならない。
【0004】
食品の鮮度維持包装やウェットティッシュなどのために使用される再剥離性粘着剤の場合、そうしなければ機能が損なわれるという理由で粘着剤を基材上に残すことも必要である。
【0005】
さらに、自動車産業における部品の粘着結合などのための永久的な粘着結合のために使用される両面粘着テープは、もはや剥離ができなくなるような良好な粘着を有していなければならない。
【0006】
しかし標準的な箔は、これらにより粘着剤転写を防止することができないため、上記用途のために使用することができない。しかし表面の良好な湿潤性のみで良好な粘着は得られない。従って箔表面を改質することが必要である。必要とされる特性を有する粘着テープおよび包装材料を提供できるようにするために、例えば箔の自由表面エネルギーを前処理により増加させることが多い。プラスチック箔のための一般的な方法は、プラズマ、コロナもしくは火炎処理ならびにオゾンまたはフッ素などの酸化ガスの効果である。
【0007】
箔の表面エネルギーを改質するために先行技術で使用されている別の方法は、トリクロロ酢酸(TCA)による化学処理である。ここでは、TCAを用いて箔をエッチングし、その結果、粘着特性に対して有利な効果を有する表面の分子修飾が達成される。
【0008】
例えば国際公開第2018/011237A1号は、片面粘着箔を作製するための方法を開示しており、ここではポリエステルフィルム(ポリエステルテレフタレート:PET)の形態の支持層を粘着層と結合する前に、ポリエステルフィルムの表面エネルギーを増加させるために、例えばトリクロロ酢酸で処理する。
【0009】
しかしTCAによる処理は、エッチングされた場合にPET箔が乳白色または無光沢になるという欠点を有し、これによりそれらの外観は大きく損われる。また未処理箔、すなわち例えば金属による既存のコーティングを有していないものしか処理することができない。
【0010】
しかしTCA改質に関する主要な問題はトリクロロ酢酸それ自体であり、これはその高い腐食作用により取り扱いが難しく、作業員および環境に安全性リスクをもたらす。
【0011】
箔の粘着特性を高めるための別の一般的な方法は、粘着促進剤いわゆるプライマーを用いたコーティングである。
【0012】
箔への金属層の粘着不良の問題を解決するために、例えば欧州特許第3733749A1号は、自己架橋ポリマーおよび/または硬化剤により架橋させることができるポリマー、例えばポリウレタンをベースとする水性ラッカー系からなる粘着促進剤層を箔と金属層との間に塗布することを教示している。
【0013】
特開2000053930A号は、ポリエチレンテレフタレート(PET)箔製の粘着テープのためのプライマー層について記載しており、ポリエステル系樹脂からなるプライマー層がウレタン、アクリル系またはシリコーン系の粘着剤の層とPET箔との間に形成されている。
【0014】
特開昭52-69942A号は、プライマー層によってポリエステル担体と遮光塗料層との間に向上した粘着が与えられた粘着テープについて記載しており、このプライマーは、塩化ビニリデンコポリマーとイソシアネート基を含むポリウレタン初期縮曾物との混合物から形成されている。
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、箔表面をTCAによるエッチングなどのコストのかかる改質または潜在的に有害であり、かつ環境的に危険な処理に供することを必要することなく、特に好適なプライマー組成物を含む粘着促進剤層を塗布することも必要とすることなく、特にプラスチック製の粘着箔の特性を向上させることにある。特に、向上した粘着特性を有し、かつ特に粘着剤コーティングの場合に、より高い粘着値を達成し、従って例えば粘着テープとして粘着箔を使用した場合に粘着剤転写が起こらない粘着箔を提供することができる。
【0016】
この目的は本発明によれば、独立請求項1の特徴によって冒頭で述べた種類の粘着箔を用いて達成される。本発明の有利なさらなる開発は従属請求項の主題である。
【0017】
本発明の主題はラッカーフィルムが、ラッカーフィルムの層厚よりも大きい平均直径を有する顔料を含有することを特徴とする、ラッカーフィルムによるコーティングを含む特にプラスチック製の粘着箔である。
【0018】
好ましくは、その粒子の直径は2.0~12μmの範囲であり、特に平均直径は4~6μmである。
【0019】
その平均直径がラッカーフィルムの層厚よりも大きい顔料がラッカーフィルムに提供されているという事実により、当該層または箔の表面積の増加が生じ、その結果、より高い粘着値が得られる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、ラッカーフィルム中の顔料の重量割合は、ラッカーの結合剤の不揮発性画分(nfA)に対して1~50%、好ましくは10~30%である。
【0021】
本発明に従って使用することができる顔料は、好ましくは無機もしくは有機顔料から選択され、無機顔料のうち、土類、鉱物、金属効果顔料、白色顔料、酸化鉄顔料、ケイ酸ジルコニウムおよびポリマー顔料が特に好ましい。
【0022】
本発明の特に好ましい構成では、当該顔料はポリアミド顔料、好ましくはPA66またはPA12である。
【0023】
別の実施形態によれば、本粘着箔にコーティングされるラッカーフィルムは粘着促進剤層である。
【0024】
プライマーともいう粘着促進剤は表面の粘着特性を向上させる薬剤である。粘着促進剤は、重い負荷がかかったり付着しづらかったりする表面およびコーティングのために、いずれの場合も塗布される物質の粘着強度を増加させるために使用される。粘着強度の増加により、水および化学薬品への抵抗性ならびに防食も高まることが多い。粘着促進剤は、特に印刷、コーティングおよび粘着テープにおいて使用される。
【0025】
従って粘着促進剤層は有利には、本箔に塗布される層の間、例えば粘着剤層と塗料層との間などの粘着をさらに強化するために使用される。
【0026】
好ましくは、粘着促進剤層の粘着促進剤はエチレンアクリル酸(EAA)コポリマーである。
【0027】
本発明は、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、一軸延伸ポリプロピレン(MOPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリオキシメチレン(POM)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロプロピルビニルエーテルフルオロコポリマー(PFA)、テトラフルオロメチレン-パーフルオロプロピルビニルエーテルフルオロコポリマー(MFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンフルオロポリマー(EFEP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、セルロースもしくはリグニン系プラスチック、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、熱可塑性澱粉(TPS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)および/またはこれらの材料の混合物および/またはコポリマーおよび/または紙または金属およびこれらの材料の複合材から選択される箔に適用可能である。
【0028】
本箔のプラスチック材料はリサイクル可能であってもよく、さらにはリサイクル材料から作られたものであってもよい。特にそれは再生可能原料から作ることもでき、生分解性および/または海洋生分解性であってもよい。
【0029】
好ましくは、本発明はPET箔に適用される。粘着の向上はこれまで一般にポリエステル箔の不都合なTCA処理によって実現されてきたため、この種のプラスチック箔により本発明の利点が特に発揮される。
【0030】
但し、向上した粘着特性は、本発明によれば任意の他の種類の(プラスチック)箔、特に上で言及した材料により得ることができることを理解されたい。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、本粘着箔は両面にラッカーフィルムによるコーティングを有する。
【0032】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、本粘着箔が金属被覆層を有することを特徴とし、ここではラッカーフィルムによるコーティングが金属被覆層に塗布されている。
【0033】
TCA処理などの表面改質は、既に層(例えば金属被覆)を有する箔に適用することができないため、今日まで塗料層や粘着剤層などのさらなる材料層のために良好な粘着を有するコーティングされた箔を提供することは難しかった。本発明は今では、向上した粘着特性を有する既にコーティングされた箔を提供することができる。
【0034】
本発明の特に有利な構成によれば、自己粘着性コーティングをラッカーフィルムに塗布する場合(複合粘着)の引張強度は>6N/15mmである。
【0035】
以下では、実施例および図面を参照しながら本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係る粘着箔を含む粘着テープ材料の概略構造を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係る粘着箔を含む金属被覆ラベルまたは鮮度シールの概略構造を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る粘着箔を含む両面粘着テープの概略構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1の層構造は、シリコーン処理またはカルバメートコーティング2と共に片面に設けられた担体箔1、例えばPET箔を示す。「離型コーティング」としても知られているコーティング2は、本箔をロール状に巻き取った場合に層が互いに貼り付くのを防止する。
【0038】
他方の面には、担体箔1にラッカーフィルム3がコーティングされており、これは好ましい実施形態では、粘着促進剤またはプライマー層、好ましくは特にポリウレタンで修飾されたエチレン-アクリル酸コポリマーであってもよい。担体箔1へのラッカーの塗布は、例えばラッカー層の良好な流れを保証するアニロックスシリンダーを用いて行うことができる。本発明によれば、その塗布厚すなわち重量が例えば0.2g/m2であるこのラッカーフィルム3は、ラッカーフィルム層の表面積を増加させるために、ラッカーフィルム3の層厚よりも大きい、すなわち2.0~12μmの範囲である平均直径を有する顔料を含有する。好ましい顔料は土類、鉱物、金属効果顔料、白色顔料、酸化鉄顔料、ケイ酸ジルコニウムおよびポリマー顔料である。特に好ましい顔料は、例えばポリアミド顔料PA66またはPA12である。ラッカーフィルム中の顔料の重量割合は、ラッカーの結合剤の不揮発性画分に対して1~50%である。
【0039】
自己粘着性コーティング4は、例えば従来のアクリル系もしくはホットメルト粘着剤をベースとするラッカーフィルム3に塗布され、エレクトロニクス産業において使用するのに適している。
【0040】
図2に示されているラベルまたは鮮度シールの層状構造は担体箔1に加えて、
図1とは対照的に本箔の片面にシリコーンもしくはカルバメートコーティングを有しないが、表面全体または部分的に印刷された塗料層5、顔料を含有するラッカーフィルム3が塗布されている金属被覆層6、例えばAlの層を含む。金属被覆層6は、例えばPVDまたはCVD法、スパッタリングまたは電子ビーム蒸発によって蒸着させることができ、本箔の具体的な用途に応じて約5~100nmの厚さであってもよい。
【0041】
図1に示されている粘着テープ構造と同様にラッカーフィルム3上に自己粘着性コーティング4が存在するが、これはこの場合、ラベルまたは鮮度シールの繰り返しの剥離および貼り付けのために適した粘着剤を含む。
【0042】
図3は、
図1の粘着箔の実施形態とは対照的に、そのそれぞれに粘着層4が塗布されたラッカーフィルムすなわち粘着促進剤層3によるコーティングを両面に有する担体箔1を示す。
【0043】
そのような両面粘着テープは、本発明に係る箔により従来の両面粘着テープよりも良好な粘着特性を有するため、物体(例えば自動車産業におけるパーツ)を永久的に互いに結合するために使用することができる。
【実施例】
【0044】
引張試験機を用いて本発明に係る粘着箔の粘着値を調べた(Zwick測定方法)。調べた粘着箔は、以下のラッカーフィルムを有するPET箔であった。
・コーティング:ポリウレタンで修飾されたエチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)
・層厚:0.2g/m2
・顔料:ポリアミド66
【0045】
以下の試験手順を行って、粘着箔の粘着特性を測定した。
【0046】
被験粘着箔において、1枚の所定の粘着剤フィルムを実行方向に対して横方向に試験試料に粘着し、ローラーで適所にしっかりと圧着する。その後、粘着剤フィルムを被験粘着箔から均一に90°の引張角度で引っ張る。
【0047】
行った測定により、粘着箔のラッカー系の粘着が>6N/15mmであることが分かった。当該粘着剤フィルムの粘着剤は粘着箔のラッカーフィルムに付着したままであり、これは、本発明に係る粘着箔の粘着特性が先行技術の粘着箔と比較して著しく向上していること、および本粘着箔を有利には、例えばエレクトロニクス産業のための粘着テープに使用できることを示している。
【国際調査報告】