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特表2025-505037指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動装置、ならびにクライミングのための密着性を決定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動装置、ならびにクライミングのための密着性を決定する方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/16 20060101AFI20250212BHJP
   A63B 21/02 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
A63B23/16
A63B21/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547508
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 ES2022070776
(87)【国際公開番号】W WO2023099808
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】U202132384
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524299557
【氏名又は名称】ムゲルツァ エステヴァン,アシエル
【氏名又は名称原語表記】MUGERTZA ESTEVAN, Asier
【住所又は居所原語表記】C/ Romana Basterra, 41, 31174 Etxauri (Navarra) /ES
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ムゲルツァ エステヴァン,アシエル
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの長手方向ガイド(11)を含む基部(10)と、手根骨支持体(20)と、前記少なくとも1つの長手方向ガイド(11)によって案内される少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)と、前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)の摺動に対して弾性抵抗を提供するように構成された少なくとも1つの弾性要素(40)とを含み、前記手根骨支持体(20)は概ね矢状方向(DS)に面する矢状方向手根骨表面と、概ね矢状方向に垂直な長手方向(DL)に面する長手方向手根骨表面との間に凹状手根骨座部(21)を画定し、凹状手根骨座部(21)と凹状遠位指節骨座部(31)との間で手のアーチ状、半アーチ状、又は伸長したグリップを強制する、指運動装置及びシステムに関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動装置であって、
互いに直交する長手方向(DL)、横方向(DT)、及び矢状方向(DS)と、前記矢状方向(DS)に垂直な前面(A)とを画定する基部(10)であって、前記長手方向(DL)に延在する少なくとも1つの長手方向ガイド(11)を含む、該基部(10)と、
手根骨が位置する手のひらのつけ根を支持するための、前記基部(10)に関連する手根骨支持体(20)と、
遠位指節骨が位置する指の端部を支持するための、前記基部(10)に関連する少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)であって、
前記遠位指節骨支持体(30)は、前記少なくとも1つの長手方向ガイド(11)によって案内され、最大伸長位置と最小伸長位置との間の移動距離に沿って、前記長手方向(DL)における前記手根骨支持体(20)と前記遠位指節骨支持体(30)との間での相対的な摺動を可能にする、該遠位指節骨支持体(30)と、
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)の、前記長手方向(DL)における摺動に対して弾性抵抗を与えるように構成された少なくとも1つの弾性要素(40)と、を含む、指運動装置であって、
前記手根骨支持体(20)が、概ね前記矢状方向(DS)に面する矢状方向手根骨表面と、前記矢状方向手根骨表面に隣接して概ね前記長手方向(DL)に面する長手方向手根骨表面との間に凹状手根骨座部(21)を画定し、前記凹状手根骨座部(21)と前記凹状遠位指節骨座部(31)との間に、アーチ状、半アーチ状、又は伸長した手のグリップを強制することを特徴とする、指運動装置。
【請求項2】
前記運動装置は、前記遠位指節骨支持体(30)を動かすときにユーザによって加えられた力を決定するように構成されたひずみセンサー、前記遠位指節骨支持体(30)によって行われた動きを決定するように構成された動きセンサー、及び/又は前記ユーザによって選択された前記運動装置の設定のうちの少なくとも1つを検出するように構成された運動装置構成センサーから選択される少なくとも1つの測定装置(51)に接続された制御装置(50)を統合する、請求項1に記載の運動装置。
【請求項3】
前記運動装置構成センサーは、弾性要素張力調整センサー、前記移動距離の前記最小及び/又は最大伸長位置を検出するセンサー、前記手根骨支持体及び/又は前記遠位指節骨支持体の固定位置を検出する検出器、及び/又は前記様々な選択可能な支持体の中から、運動を実行するときに前記運動装置に実際に固定された前記遠位指節骨支持体を識別する識別センサーから選択される、請求項2に記載の運動装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの測定装置(51)は、湿度センサー、温度センサー、大気圧センサー、GPS測位センサー、方位センサー、運動が行われる時間及び/又は日付及び/又はその持続時間を決定するように構成された時間計から選択される別の測定装置をさらに含む、請求項2又は3に記載の運動装置。
【請求項5】
前記制御装置(50)は、前記制御装置(50)によって受信された情報を記憶するように構成されたメモリ(52)を統合する、請求項2、3又は4に記載の運動装置。
【請求項6】
前記制御装置(50)は前記制御装置によって受信された情報及び/又は前記メモリに記憶された情報を送信し、及び/又は前記制御装置に情報を入力し、又はユーザ識別情報又は地理的位置情報から選択される情報を前記制御装置に入力するように構成されたインターフェースを統合し、及び/又は通信アンテナ(53)を含む、請求項2、3、4、又は5に記載の運動装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)は交換可能な遠位指節骨支持体(30)であり、異なる遠位指節骨支持体(30)の組から、又は異なる寸法、グリップ構成、表面テクスチャを有する、及び/又は異なる材料から作製された、異なる遠位指節骨支持体(30)の組から選択され、前記交換可能な遠位指節骨支持体(30)は、取り外し可能な固定要素(32)によって、又は相補的な突起及び凹部、磁石、及び/又は面ファスナによって形成された取り外し可能な固定要素(32)によって、前記装置に固定される、請求項1~6のいずれか一項に記載の運動装置。
【請求項8】
少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)が少なくとも1つの凹状遠位指節骨座部(31)、又は膨らんだ形状又は不規則な粗さを有する少なくとも1つの凹状遠位指節骨座部(31)を画定し、
概ね前記長手方向(DL)に面する長手方向遠位指節骨表面と、概ね前記矢状方向(DS)に面する矢状方向遠位指節骨表面との間に画定されるか、
又は、前記基部(10)の前記前面(A)によって画定される矢状方向遠位指節骨表面との間に画定され、これらは互いに隣接し、及び/又は
概ね前記矢状方向(DS)に面し、少なくとも1つの摩擦遠位指節骨座部を提供する、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記矢状方向手根骨表面及び遠位指節骨表面は、互いに実質的に同一平面上にある、請求項8に記載の運動装置。
【請求項10】
前記手根骨支持体(20)及び/又は前記遠位指節骨支持体(30)は、取り外し可能な固定要素(22,32)によって、又は相補的な突起及び凹部、磁石、及び/又は面ファスナによって形成された取り外し可能な固定要素(22,32)によって、異なる位置で前記装置の残りの部分に固定し、前記手根骨支持体(20)と前記遠位指節骨支持体(30)との間の離隔距離を修正することができ、及び/又は、
調整装置が、前記手根骨支持体(20)と前記遠位指節骨支持体(30)との間の前記移動距離の前記最大伸長及び/又は最小伸長位置を修正し、異なるユーザの手の大きさに前記移動距離を適合させるように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の運動装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの弾性要素(40)は、少なくとも1つのバネ、弾性材料の少なくとも1つのバンド、又は少なくとも1つの空気圧ピストンからなり、前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)に関連する第一停止部と、前記基部(10)に関連する第二停止部(42)との間に配置され、前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)と前記手根骨支持体(20)との間の前記相対的移動に伴って、前記少なくとも1つの弾性要素の弾性圧縮及び/又は伸長を引き起こす、請求項1~10のいずれか1項に記載の運動装置。
【請求項12】
弾性抵抗調整装置(43)が、前記手根骨支持体(20)と前記遠位指節骨支持体(30)との間の前記相対的移動に必要な力を決定する、前記少なくとも1つの弾性要素(40)の張力を修正するように、又は前記長手方向(DL)における前記第一停止部と前記第二停止部(42)との間の距離を調節することによって、前記少なくとも1つの弾性要素の張力を修正するように構成される、請求項11に記載の運動装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)は前記横方向(DT)に細長く、人差し指から小指までのための支持を提供するか、又は
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)は複数の独立した遠位指節骨支持体であり、各々1つは前記長手方向(DL)に案内され、独立した凹状遠位指節骨座部(31)を画定するか、又は
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)は複数の独立した遠位指節骨支持体であり、各々1つは前記長手方向(DL)に案内され、独立した凹状遠位指節骨座部(31)を画定し、各独立した遠位指節骨支持体(30)は独立した弾性要素(40)を有し、各弾性要素(40)の弾性抵抗は独立して調整可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載の運動装置。
【請求項14】
指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動システムであって、請求項2~6のいずれか1項、又はそれらの従属請求項のいずれかに記載のものなどの運動装置と、ポータブルコンピューティングデバイス(60)とを備える、指運動システムであって、
前記ポータブルコンピューティングデバイス(60)は少なくとも1つの通信アンテナ(63)及び/又は接続ポート、メモリ(62)、インターフェース、ならびにソフトウェアアプリケーションを実行するコンピューティングデバイス(61)を備え、
前記運動装置の前記制御装置は、通信アンテナ又は接続ポートに接続され、前記少なくとも1つの測定装置から前記ポータブルコンピューティングデバイスに情報を送信するように構成され、
前記ソフトウェアアプリケーションは前記運動装置の前記制御装置によって供給される情報を分析するためのアルゴリズムを実行するように構成される、指運動システム。
【請求項15】
前記ポータブルコンピューティングデバイスは、湿度、温度、及び/又は大気圧センサー、GPS測位センサー、方位センサー、運動が行われる時間及び/又は日付及び/又はその持続時間を決定するように構成された時間計から選択される少なくとも1つの追加の測定装置を含み、前記ポータブルコンピューティングデバイスは、前記少なくとも1つの追加の測定装置によって提供された情報を前記運動装置に送信するように、及び/又は前記アルゴリズムによって前記運動装置から送信された情報とともに前記情報を分析するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ポータブルコンピューティングデバイスはリモートサーバへの接続を含み、前記センサーデバイス及び/又は追加のセンサーデバイスによって取得された情報の送信のために、又は前記アルゴリズムによって実行された分析の結果の前記リモートサーバへの送信のために構成される、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか一項に記載のものなどのシステムによって、クライミングのための密着性を決定する方法であって、
前記運動装置をクライミング現場へ運ぶステップと、
所定の調整パラメータに従って前記運動装置を構成するステップと、
前記運動装置内に手を置き、前記手のひらの手根骨領域を前記手根骨支持体(20)内に、前記手の遠位指節骨領域を遠位指節骨支持体(30)内に、前記伸長したグリップポジションで支持し、前記遠位指節骨支持体(30)がユーザの手から脱出するまでの前記移動距離に沿って、前記アーチ状のグリップポジションに向かって、前記手根骨支持体(20)と前記遠位指節骨支持体(30)との間で相対的に摺動させることによって、グリップテストを実行するステップと、
前記ソフトウェアアプリケーションによって実行される前記アルゴリズムによって、前記グリップテストの結果とクライミング性能データとを相関させる記憶された基準データに関連して、前記グリップテストの結果の解析に基づいてクライミング性能推定値を計算するステップと、を含む方法。
【請求項18】
前記基準データは、分析されるべき前記グリップテストと同じ所定のパラメータを用いて実行された前記グリップテストの結果を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記所定の調整パラメータは、概ね前記矢状方向(DS)に面する矢状方向遠位指節骨表面上の摩擦遠位指節骨座部を画定する遠位指節骨支持体(30)の配置、又は前記遠位指節骨支持体(30)の概ね前記矢状方向(DS)に面する表面の前記摩擦遠位指節骨座部としての使用を含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記脱出が生じる前記移動距離の点が、前記歪みセンサーによって、前記動きセンサーによって、又は前記歪みセンサー及び/又は前記動きセンサーによって供給される情報に対して前記アルゴリズムによって実行される分析によって決定される、請求項17、18、又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記記憶された基準データはまた、前記グリップテストの結果及び前記クライミング性能データを、前記グリップテスト及びクライミングが実行されたとき及び実行された場所における既存の環境大気値を参照して、記憶された情報と相関させ、前記方法は、前記クライミング現場における環境大気値を取得するステップと、前記測定され記憶された環境大気値を考慮して前記クライミング性能推定値を計算するステップとをさらに含む、請求項17、18、19、又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記記憶された基準データはまた、前記グリップテストの結果及び前記クライミング性能データを、前記グリップテスト及びクライミングが実行された場所の地理的位置についての記憶された情報と相関させ、前記方法は、前記グリップテストが実行される場所の地理的位置の値を取得するステップと、前記グリップテストの結果を、同じ地理的位置、又は類似のクライミング条件を有する同等の地理的位置で取得された記憶された基準データと比較することによって、前記クライミング性能推定値を計算するステップとをさらに含む、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<技術分野>
本発明は、指の指節骨(又は、指骨/ファランクス(複数)/phalanges)の筋肉、腱、及びプーリー(又は、滑車/pulley)のトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動装置(又は、指エクササイズ装置/finger exercising device)及びシステムに関する。
【0002】
本運動装置は、特にクライマーのような運動選手のための、手の損傷の回復及びリハビリテーションのための理学療法、並びに指の指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング及び強化に特に適用可能である。
【0003】
提案されたシステムは、クライミングのための密着性(又は、接着力/adhesion)を決定するための方法の実施形態にも使用し得る。
【背景技術】
【0004】
<技術水準>
例えば、クライミングなどの特定のスポーツは指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのために、指の特定のトレーニングを必要とする。
【0005】
すなわち、クライミングの場合、全ての体重が指から垂れ下がることを考慮すると、指、特に腱及びプーリーは、多大なストレス(又は、圧力/stress)を受ける。これらのストレスは手のグリップポジション(又は、グリップ位置/grip position)がアーチ状であるか、半アーチ状であるか、又は伸長しているかに応じて異なり、前記グリップポジションのそれぞれに特定の運動が必要とされる。
【0006】
アーチ状グリップは過度の緊張状態(又は、高血圧/hypertension)における中手指節間関節/metacarpophalangeal joints(中手骨metacarpalsと基節骨proximal phalangesの間)、近位指節間関節proximal interphalangeal joints(基節骨proximal phalangesと中節骨intermediate phalangesの間)、及び遠位指節間関節distal interphalangeal joints(中節骨intermediate phalangesと末節骨distal phalangesの間)の屈曲からなり、このグリップは、屈筋系、主に屈筋腱鞘(flexor tendon sheath)を指節骨に接合するプーリーに最大のストレスをかけるシステムであり、ここでは、クライマーの損傷が一般的である。
【0007】
半アーチ状グリップは、中手指節間関節の伸長、近位指節間関節の過度の緊張状態における屈曲、約90°の角度の形成、及び遠位指節間関節の過伸長(又は、過度の伸長/hyperextension)からなる。
【0008】
伸長グリップは、中手指節間関節の過伸長と、過度の緊張状態における近位指節間関節及び遠位指節間関節の屈曲からなる。
【0009】
指の指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのために、吊り下げボードなどの固定された運動装置が知られており、これらは壁に固定されるか、又は天井もしくは木から吊り下げられ、ユーザがそれから吊り下がることを可能にする。しかしながら、これらの装置は非常に嵩張り、重く、ユーザの体重に応じた、ユーザの指の指節骨の筋肉、腱、及びプーリーが耐えるストレスの調整を可能にしない。
【0010】
グリップ運動器のクロージング(又は、閉鎖)に対して調節可能な抵抗を提供するばねを備えたピンサー(pincer)の形態のハンドグリップ運動器も知られている。このタイプのハンドグリップ運動器は、親指、手のひらの一部、及び手の内側指節骨(medial phalange)の間に保持されることを意図しており、主に前腕に位置する、手を閉じることに関連する筋肉及び腱のウォーミングアップ及びエクササイズを可能にする。このタイプの運動装置の幾何学的形状は、手根骨が位置する手の領域と、末節骨が位置する指の端部との間での、その確実で(又は、固定された/secure)容易なグリッピング(又は、把持)を可能にせず、それによって、指の半アーチ状又はアーチ状による指のエクササイズを妨げる。
【0011】
主に前腕に位置する、手を閉じることに関連する筋肉及び腱を運動させるための他の装置も、例えば、文献CN103638647、US689652、及びWO2018000412によって知られている。
【0012】
これらの運動装置、及び市場に存在する多くの他の同様の装置は、2つの平行な、ガイドされたハンドルからなっており、ハンドルを分離した状態に保つ弾性要素を備える。上述のハンドグリップ運動器と同様に、これらの装置は、親指と手のひらの一部と手の内側指節骨との間に保持されるハンドルを対象とする。したがって、これらの装置は上述のハンドグリップ運動器と同等であると考えることができ、手根骨が位置する手の領域と、末節骨が位置する指の端部との間での、その確実かつ容易なグリッピングを可能にしないので、同じ制限を有する可能性がある。
【0013】
文献WO2017171534に記載されている指運動装置も知られている。この装置は、親指のための支持体を備えた基部と、基部と摺動するように関連し、バネに接続された凹状ハウジングを備えた遠位指節骨支持体(又は、末指骨支持体/遠位の指骨の支持体/遠位の指節骨の支持体/遠位のファランクス支持体/distal phalangeal support)とを有する。この装置は親指と遠位指節骨支持体の凹状ハウジング内に挿入された指の末節骨との間のグリッピングを可能にし、前記指の筋肉及び腱を運動させる。この運動装置の幾何学的形状は、指の半アーチ又はアーチによる指運動を可能にしない手の位置を決定する。
【0014】
本発明は、その幾何学的形状及び配置の結果として、3つの主な指グリップ、すなわち、伸長した、半アーチ状の、及びアーチ状のグリップの等角的及び偏心的作用(isometric and eccentric working)を可能にし、これらのグリップの全てにおいて腱の正確な摺動(又は、スライディング/sliding)を可能にする運動装置を提供することによって、上記の問題及び他の問題を解決する。
【0015】
既知の運動装置の残りは、前記運動を一緒に可能にするものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
<発明の簡単な説明>
本発明は、指節骨(又は、指骨/ファランクス/phalanx)の筋肉、腱、及びプーリー(又は、滑車/pulley)の、特に第三指骨及びプーリーの、指のアーチを通したトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動装置に関する。
【0017】
したがって、提示される目的は、以下の3つの異なる用途又は主な目的を有する:
1)ウォーミングアップと怪我の防止:
クライミングのスポーツでは、特に指の領域、極めて特に第三指節骨に重点を置いた、始動前のウォーミングアップの必要性が一般的であり、それは筋肉を有する領域よりも血液供給がより低い(低温ではよりそうである)多くの腱を有する領域であるため、より多くの注意を必要とする。この手を適切に温める(又は、ウォームアップする)必要性は、ロッククライミング(屋外クライミング、山登り)において絶対に不可欠であり、通常は低温である(ここで、中程度から高いレベルまでのクライミングは岩への皮膚の密着を容易にする低温を必要とすることに留意されたい)が、クライマーは、手を大きな緊張にさらす前に手を温めて運動させるためのツールをほとんど有さない。
【0018】
2)強度/抵抗トレーニング:
クリンプ(crimp)及びその寸法(dimensions)はクライマーによって選択され、アクセサリによって加えられる力は調整可能であるので、本発明はクライミングウォール(又は、登山壁/climbing wall)で行われるのと同じ強度トレーニングを行うことに役立つが、それに頼る(又は、それを用いる/resort to same)必要はない。その寸法により、どこでも、いつでも使用され得ることに好適となり、読書しながら、テレビを見ながら、又は様々なタスクを実行しながら、家庭で使用されることに加えて、オフィスで、座って、又は同様の条件で働くクライマーによって、ワークスペースで使用される場合にさえも有益になり得る。
【0019】
3)リハビリテーション:
指の損傷、特に腱及びプーリーの損傷は、クライミングにおいて非常に一般的である。これらの損傷は、多くの場合、悪いウォームアップに起因し、冷たい指(適切なウォームアップを欠く)はウォームアップされた場合よりもはるかに多く損害を被るからである。これらの損傷は、特に洗浄されていない領域であるときには治癒に長時間を有し、より良好な治癒のためには(したがって、例えば、可能性のある線維筋痛症を回避するためには)、患部領域に血液を運ぶのを助けるための運動を伴う期間(通常、疼痛閾値とされる)が長く(例えば、2~6ヶ月)必要とされる。提示されたアクセサリはこれらの運動を実施するのに適切な品質を有し、強度を調整できることによって改善を測定することさえでき、したがって、患部領域における強度の増加を経時的に観察する。加えて、これらの損傷が特別な強度を必要としない領域(クライマーのグループ外)における非常に稀な損傷(クライマーのグループ外)であるため、これらの損傷を治癒するために行われるべき運動を知っている理学療法士はほとんどいないことは注目に値する。したがって、この領域又はスポーツを専門とする理学療法士のみが、これらの損傷を効果的に治療する。これは、製品を、指リハビリテーションを推奨するときに医療専門家が頼りにできるもう1つのアクセサリにする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前述の目的を達成するために、提案された運動装置は、
互いに直交する長手方向、横方向、及び矢状方向(sagittal direction)と、矢状方向に垂直な前面とを画定する基部であって、長手方向に延在する少なくとも1つの長手方向ガイドを含む、該基部と、
手根骨が位置する手のひらのつけ根(base of the palm of the hand)を支持するための、基部に関連する手根骨支持体と、
遠位指節骨(又は、末節骨、末部指節骨/distal phalangeal)が位置する指の端部を支持するための、基部に関連する少なくとも1つの遠位指節骨支持体であって、
遠位指節骨支持体は、上記少なくとも1つの長手方向ガイド、例えば2つの平行な長手方向ガイドによって案内され、最大伸長位置と最小伸長位置との間の移動距離に沿った長手方向における手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の相対的な摺動を可能にする、該遠位指節骨支持体(又は、最大伸長位置と最小伸長位置との間の移動距離に沿った長手方向における手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の相対的な摺動を可能にする上記少なくとも1つの長手方向ガイド、例えば2つの平行な長手方向ガイドによって案内される該遠位指節骨支持体)と、
手根骨支持体と上述の少なくとも1つの遠位指節骨支持体との間の長手方向における相対的な摺動に対して弾性抵抗を提供するように構成された少なくとも1つの弾性要素と、を含む。
【0021】
手根骨支持体は、手根骨が位置する手のひらの部分、すなわち手首に最も近い領域の手のひらのつけ根をその中に支持するように意図された支持要素であると理解される。
【0022】
同様に、遠位指節骨支持体は、遠位指節骨が位置する指の端部の一部をその中に支持するように意図された支持要素、典型的にはクリンプ(crimp)であるとも理解される。
【0023】
上記基部はケーシングであり、その前面は矢状方向から見ることができる基部の前面であり、典型的には、前記矢状方向にほぼ垂直な面である。したがって、前面は、主に長手方向及び横方向に延在する。
【0024】
好ましくは、手根骨支持体及び遠位指節骨支持体は横方向に延在し、互いに実質的に平行であり、これらは長手方向において面している。
【0025】
本発明は、従来技術において未知の方法で、以下を提案する:
手根骨支持体は、概ね矢状方向に面する、矢状方向手根骨表面と、概ね長手方向に面し、矢状方向手根骨表面に隣接する長手方向手根骨表面との間に凹状手根骨座部を画定し、凹状手根骨座部(21)と凹状遠位指節骨座部(31)との間に、アーチ状、半アーチ状、又は伸長した手のグリップを強制する。
【0026】
任意選択的に、上述の少なくとも1つの遠位指節骨支持体は、異なる遠位指節骨支持体の組から、又は異なる大きさ、グリップ構成(又は、把持構成/grip configuration)、表面テクスチャを有する、及び/又は異なる材料から作製される、異なる遠位指節骨支持体の組から選択される交換可能な遠位指節骨支持体であってもよく、交換可能な遠位指節骨支持体(30)は取り外し可能な固定要素によって、又は相補的な突起及び凹部、磁石、及び/又は面ファスナ(又は、ベルクロ(登録商標)ファスナ/Velcro fastener)によって形成される取り外し可能な固定要素によって、上記装置に固定される。
【0027】
遠位指節骨支持体を交換することにより、装置を異なる運動に適合させることができ、異なるクライミング面をシミュレートすることができ、装置を異なるユーザの手のサイズに適合させ得る。
【0028】
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体は少なくとも1つの凹状遠位指節骨座部を、概ね長手方向に面する長手方向遠位指節骨表面と、概ね矢状方向に面する矢状方向遠位指節骨表面との間、又は、基部の前面によって画定される矢状方向遠位指節骨表面との間に画定することができ、これらは互いに隣接することも提案される。凹状遠位指節骨座部は、膨らんだ形状又は不規則な粗さを有してもよい。
【0029】
凹状の座部は、横方向に垂直な平面において、凹状の断面を有するものと理解され、手のひらのつけ根又は指の端部を位置決めするための堅固で確実な支持点を提供する。
【0030】
概ね矢状方向に面する矢状方向手根骨及び遠位指節骨表面は、矢状方向にユーザによりアクセスし得る表面であることも理解され、矢状方向における前記表面の突出は残りの長手方向及び横方向における前記表面の突出よりも大きい。
【0031】
同様に、概ね長手方向に面する長手方向手根骨及び遠位指節骨表面は、ユーザにより長手方向にアクセスし得る表面であり、長手方向における前記表面の突出は残りの矢状方向及び横方向における前記表面の突出よりも大きい。長手方向手根骨表面及び遠位指節骨表面は対向し、反対方向に配向され、互いに向かい合っていない。
【0032】
前記凹状座部は、その凹状内部への、手のひらのつけ根又は指先の、矢状方向、すなわち、遠位指節骨支持体が摺動する長手方向に垂直な方向への挿入を可能にする。
【0033】
これにより、ユーザは、手根骨を含む手の一部を凹状手根骨座部に支持し、遠位指節骨が位置する指先を凹状遠位指節骨座部に支持し得る。手の異なる間接の屈曲は遠位指節骨支持体の摺動を引き起こし、それを手根骨支持体に近づけ、弾性要素の弾性抵抗を克服する。上述の手根骨支持体及び遠位指節骨支持体の位置及び幾何学的形状は、手が運動中、アーチ状、半アーチ状、又は伸長したグリップに位置付けられることを決定する。
【0034】
好ましい実施形態によれば、長手方向遠位指節骨表面及び矢状方向遠位指節骨表面は、遠位指節骨支持体内に凹部を画定する、遠位指節骨支持体の表面であってもよい。すなわち、凹状遠位指節骨座部は、矢状方向にアクセス可能な遠位指節骨支持体の前面に画定される少なくとも1つの凹部によって画定されてもよい。例えば、支持体は、1つ又は複数の指を挿入するための1つ又は複数の凹部を含み得る。
【0035】
あるいは、長手方向遠位指節骨表面が遠位指節骨支持体の表面であり得、矢状方向遠位指節骨表面は遠位指節骨支持体に隣接する、基部の前面の表面であり得ることが提案される。すなわち、凹状遠位指節骨座部は、遠位指節骨支持体と基部の前面の矢状面との間に画定される凹状領域であってもよく、前記凹状領域は矢状方向にアクセス可能であり、遠位指節骨支持体に隣接する。この実施形態によれば、凹状遠位指節骨座部は、遠位指節骨支持体と、遠位指節骨支持体が摺動する基部の前面の一部との間に画定される。
【0036】
同様に、長手方向手根骨表面及び矢状方向手根骨表面は、手根骨支持体内に共に凹部を画定する手根骨支持体の表面であり得る。すなわち、凹状手根骨座部は、矢状方向にアクセス可能な手根骨支持体の前面に画定された凹部によって画定されてもよい。
【0037】
あるいは長手方向手根骨表面が遠位指節骨支持体の表面であってもよく、矢状方向手根骨表面は基部の前面の表面(surface of the front face of the base)であり得る。すなわち、遠位指節骨座部は手根骨支持体と基部の前面の前表面(front surface of the front face of the base)との間に画定されることができ、矢状方向にアクセス可能であり、手根骨支持体に隣接している。この第二代替形態によれば、凹状手根骨座部は、手根骨支持体と、手根骨支持体が固定される基部の前面の一部との間に画定され、基部上に手のひらのつけ根のための支持を提供する。
【0038】
あるいは、上述の少なくとも1つの遠位指節骨支持体が、概ね矢状方向に面し、少なくとも1つの摩擦遠位指節骨座部(frictional distal phalangeal seating)を提供する矢状方向遠位指節骨表面を画定し得る。矢状方向遠位指節骨表面は例えば、平坦、平滑、ハニカム形状、又は球状であってもよく、又は不規則な粗さを有してもよい。この遠位指節骨支持体は、運動装置内に配置するために利用可能ないくつかの交換可能な遠位指節骨支持体のうちの1つであってもよく、その結果、これは摩擦グリップを可能にし、一方、他のものは他のタイプの運動のために異なるグリップを提供する凹状座部を提供する。
【0039】
好ましくは、手根骨支持体及び遠位指節骨支持体に隣接し、凹状手根骨及び遠位指節骨座部を画定する基部の前面の前表面は互いに実質的に同一平面上にある。
【0040】
別の実施形態によれば、手根骨支持体及び/又は遠位指節骨支持体は、取り外し可能な(又は、解放可能な/releasable)固定要素によって、様々な位置で装置の残りの部分に固定して、手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の離隔距離(separation)を修正し得る。取り外し可能な固定要素は例えば、相補的な突起及び凹部、磁石、及び/又は面ファスナによって形成し得る。
【0041】
例えば、基部は前面上に、取り外し可能な固定要素によって基部の異なる位置に手根骨支持体を取り外し可能に固定するための多数の固定点(又は、アンカーポイント/anchoring point)をさらに含み得、これにより、手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の最初の距離の調節を可能にし、異なる手の大きさに適合される。
【0042】
そのような場合、取り外し可能な固定要素は例えば、基部の前面に設けられた相補的な開口部にしっかりと挿入され得る、矢状方向に手根骨支持体から突出するピンから構成され得る。
【0043】
代替的に又は追加的に、運動装置は手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の移動距離の最大伸長位置及び/又は最小伸長位置を修正し、異なるユーザの手の大きさに移動距離を適合させるように構成された調整装置を更に含み得る。この調整装置は例えば、その回動によって、遠位指節支持体を長手方向案内部に固定するための固定点を移動させる調節ねじからなっていてもよい。
【0044】
前述の少なくとも1つの弾性要素は例えば、少なくとも1つのばね、弾性材料の少なくとも1つのバンド、又は、少なくとも1つの空気圧ピストン(pneumatic piston)からなってもよく、前述の少なくとも1つの遠位指節骨支持体に関連する第一停止部(又は、止め具/stop)と、基部に関連する第二停止部との間に位置し、少なくとも1つの遠位指節骨支持体と手根骨支持体との間の相対的移動を伴う少なくとも1つの弾性要素の弾性圧縮及び/又は伸長(elongation)を引き起こす。
【0045】
密封された空気圧ピストンは、その中に含まれる気体の圧縮及び減圧によってスプリング(又は、ばね)を作用させると理解される。
【0046】
運動装置はまた、手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の相対的移動に必要な力を決定する、少なくとも1つの弾性要素の張力を修正するように構成された弾性抵抗調整装置(elastic resistance adjustment device)を含み得る。少なくとも1つの弾性要素の張力の前記修正は例えば、長手方向における第一停止部と第二停止部との間の距離(又は、間隔/distance)を調整することによって得ることができる。
【0047】
第二停止部は、弾性抵抗調整装置によって長手方向に移動可能であり得る。第二停止部を移動させることによって、ばね、弾性材料のバンド、又は空気圧ピストンの圧縮の程度が修正され、したがって、遠位指節骨支持体の移動に提供される弾性抵抗が、ユーザのニーズ及び好みに従って調整される。
【0048】
弾性調整装置は例えば、その回転によって、長手方向における第二停止部の位置を決定するねじであり得る。
【0049】
本発明の好ましい実施形態によれば、上述の少なくとも1つの長手方向ガイドは基部に固定された少なくとも1つのロッドからなり、上述の少なくとも1つのばねは、少なくとも1つの弾性要素を構成し、前記ロッドの周りに配置される。
【0050】
上述の少なくとも1つの長手方向ガイド及び弾性要素の他の代替実施形態も提供される。例えば、長手方向ガイドは基部自体に形成された長手方向に延在する溝であってもよく、弾性要素は、例えば板ばねの形態の、プラスチック、金属、又は別の材料で作製された可撓性構造であり得る。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、運動装置は、遠位指節骨支持体を動かすときにユーザによって加えられる力を決定するように構成されたひずみセンサー、例えば、ロードセル、遠位指節骨支持体によって行われた動きを決定するように構成された動きセンサー、及び/又はユーザによって選択された運動装置の設定のうちの少なくとも1つを検出するように構成された運動装置構成センサーから選択される少なくとも1つの測定装置に接続された制御装置を統合し得る。
【0052】
典型的には、運動装置構成センサーは、弾性要素張力調整センサー、移動距離の最小及び/又は最大伸長位置を検出するためのセンサー、手根骨支持体及び/又は遠位指節骨支持体の固定位置を検出するための検出器、及び/又は様々な選択可能な支持体の中から、運動を実行する際に運動装置に実際に固定された遠位指節骨支持体を識別するための識別センサーから選択される。
【0053】
装置に固定されるのに利用可能な異なる遠位指節骨支持体の各々は運動装置に組み込まれた識別センサーによって検出可能な識別要素、例えば、RFIDアンテナ、異なる位置及び/又は強さ及び/又は向きを決定するための磁気要素、ピン、又は光学センサーによって測定可能な位置に配置された開口部などを含み得ることが提案される。
【0054】
前述の測定装置に加えて、運動装置は、湿度センサー、温度センサー、気圧センサー、GPS測位センサー、方位センサー、運動が行われる時間及び/又は日付及び/又はその持続時間を決定するように構成された時間計(time meter)から選択される他の追加の測定装置をさらに含み得る。
【0055】
大気の値(atmospheric value)、時刻、又は年の時間が、ユーザのパフォーマンスに影響を及ぼし得るので、この情報はすべて、ユーザによって実行される運動の進展を評価するときに関連し得る。なぜなら、クライミングにおいて、岩の状態及びユーザの皮膚の状態は前記パフォーマンスにおいて不可欠であり、前記大気の条件によって影響されるからである。
【0056】
この位置(location)はまた、収集されたデータが、同じサイトにおける以前のセッションで取得されたデータと比較されること、又は同じサイトにおける将来のセッションのために記憶されることを可能にする。
【0057】
好ましくは、制御装置が前記制御装置によって受信された情報、典型的には測定装置によって提供された情報を記憶するように構成されたメモリを統合する。
【0058】
制御装置はまた、制御装置によって受信された情報及び/又は記憶装置に記憶された情報を、例えばディスプレイスクリーンによって、又は光又はサウンドインジケータによって伝える(又は、送信する/transmit)ように構成された、及び/又は例えばキーボードを介して制御装置に情報を入力するように構成されたインターフェースを統合してもよい。制御装置に入力される情報は例えば、ユーザ識別情報又は地理的位置情報から選択されてもよい。
【0059】
任意選択で、制御装置は測定装置によって取得された情報をポータブルコンピューティングデバイス、典型的にはスマートフォン、タブレット、又はラップトップに送信するために、通信アンテナに接続され得る。通信アンテナは例えば、WiFi又はBLUETOOTH(登録商標)プロトコルで送信するアンテナであり得る。
【0060】
アンテナはまた、運動装置の外部にある情報、例えば、GPS位置情報、気象情報、ユーザ識別情報などを受信するために使用され得る。
【0061】
少なくとも1つの遠位指節骨支持体は、好ましくは横方向に細長く、人差し指から小指までを支持する。
【0062】
あるいは、上述の少なくとも1つの遠位指節骨支持体が複数の独立した遠位指節骨支持体であってもよく、互いに隣り合っており、各々1つは長手方向に案内され、独立した凹状の遠位指節骨座部を画定する。
【0063】
そのような場合、各独立した遠位指節骨支持体は独立した弾性要素を有することができ、各独立した弾性要素の弾性抵抗は、独立して調整可能である。
【0064】
第二態様によれば、本発明は、指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動システムに関する。
【0065】
運動システムは、少なくとも1つの測定装置に接続された制御装置を備えた、上述したような運動装置と、ポータブルコンピューティングデバイスとを備える。
【0066】
ポータブルコンピューティングデバイス、典型的にはスマートフォン、タブレット、又はラップトップは、少なくとも1つの通信アンテナ及び/又は接続ポート、メモリ、ディスプレイスクリーン及びキーボードなどのインターフェース、ならびにソフトウェアアプリケーションを実行するコンピューティングデバイスを備える。
【0067】
運動装置の制御装置は、通信アンテナ又は接続ポートに接続され、上述の少なくとも1つの測定装置からポータブルコンピューティングデバイスに情報を送信するように構成されることが提案される。
【0068】
ポータブルコンピューティングデバイスによって実行されるソフトウェアアプリケーションは、運動装置の制御装置によって供給される情報を分析するためのアルゴリズムを実行するように構成される。
【0069】
前記分析は履歴又は他のユーザのデータと比較して傾向グラフや、将来の傾向予測を作成することのみから構成されてもよく、又は他の多くの可能な分析の中でも、実行された運動の結果に応答して新しい運動パターンを提案するために分析されてもよい。
【0070】
ポータブルコンピューティングデバイスが、湿度、温度、及び/又は大気圧センサー、GPS測位センサー、方位センサー、運動が行われる時間及び/又は日付、及び/又はその持続時間を決定するように構成された時間計から選択される少なくとも1つの追加の測定装置を含むことも提案される。
【0071】
ポータブルコンピューティングデバイスは前記少なくとも1つの追加の測定装置によって提供された情報を運動装置に送信するように、及び/又はアルゴリズムによって運動装置から送信された情報とともに前記情報を分析するように構成される。
【0072】
これは、例えば、全てのスマートフォンにおいて標準として既に統合されている多くのセンサーを利用して、運動装置に統合される測定装置の数を減らすことを可能にする。
【0073】
ポータブルコンピューティングデバイスはリモートサーバへの接続を含むことができ、センサーデバイス及び/又は追加のセンサーデバイスによって取得された情報の送信のために、又はアルゴリズムによって実行された分析の結果の前記リモートサーバへの送信のために構成し得る。
【0074】
これは、例えば、クラウド内でのデータの保存を可能にし、それが任意の装置から参照されることを可能にし、他のユーザのデータなどと比較されることを可能にする。
【0075】
第三態様によれば、上記のようなシステムを用いることによって、クライミングのための密着性を決定する方法が提案される。
【0076】
密着性は、ユーザの手と、前記手が把持している表面との間の摩擦密着係数(coefficient of frictional adhesion)であると理解されるべきである。
【0077】
提案される方法は、クライミング現場に運動装置を運ぶステップと、所定の調整パラメータに従って運動装置を構成するステップと、運動装置内に手を置いて、手のひらの手根骨領域を手根骨支持体内に、手の遠位指節骨領域を遠位指節骨支持体内に、伸張したグリップポジションで支持し、遠位指節骨支持体がユーザの手から脱出するまで、移動距離に沿ってアーチ状のグリップポジションに向かって手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間で相対的摺動を実行することによって、グリップテストを実行するステップと、を含む。
【0078】
次に、上記方法は、ソフトウェアアプリケーションによって実行されるアルゴリズムを用いて、グリップテストの結果とクライミング性能データとを相関させる記憶された基準データに関連して、グリップテストの結果の解析に基づいてクライミング性能推定値(climbing performance estimate)を計算することを提案する。
【0079】
クライミング性能データは、クライミング中のクライマーと岩とのグリップを示すデータであると理解される。このクライミング性能データは例えば、上昇(upward climb)にかかる時間、クライマーのスリップの頻度又は回数、又はクライマーの個人的評価などの他のパラメータであり得る。
【0080】
したがって、グリップテストの結果のために、クライミング性能推定値は、クライミング条件が開始前に適切であるかどうかについてのアイデアをクライマーが有することを可能にする。
【0081】
好ましくは、基準データが、分析されるべきグリップテストと同じ所定のパラメータを用いて実行されたグリップテストの結果を含む。
【0082】
所定のパラメータは、遠位指節骨支持体のタイプ及び運動装置に固定するためのその固定位置、ならびに弾性要素の張力を含むと理解される。
【0083】
好ましくは、所定の調整パラメータが、概ね矢状方向に面する矢状遠位指節骨表面での摩擦遠位指節骨座部を画定する遠位指節骨支持体の配置、又は摩擦遠位指節骨支持体の概ね矢状方向に面する表面の摩擦遠位指節骨座部としての使用を含む。
【0084】
2つの選択肢のいずれにおいても、遠位指節骨はより大きなグリップを提供する凹状の座部上に支持されず、むしろ、実質的に平坦であり、矢状方向に垂直な表面上に支持され、したがって、それが提供するグリップは、低減され、主に摩擦によって得られる。
【0085】
脱出(又は、離脱/escape)が生じる移動距離の点は、歪みセンサー、動きセンサー、又は、歪みセンサー及び/又は動きセンサーによって供給される情報に関するアルゴリズムによって実行される分析によって決定されることが提案される。
【0086】
また、記憶された基準データは、グリップテスト及びクライミングが実行されたとき及び実行された場所の既存の環境大気値(environmental atmospheric value)を参照する(referring to)記憶された情報と、グリップテストの結果及びクライミング性能データを相関させることも提案され、データは基準データとして記憶される。
【0087】
本方法はさらに、クライミング現場で環境大気値を取得し、測定された前記環境大気値及び基準データとして記憶された環境大気値を考慮して、クライミング性能推定値を計算することを提案する。
【0088】
本発明の別の実施形態によれば、記憶された基準データはまた、グリップテストの結果及びクライミング性能データを、グリップテスト及びクライミングが実行された場所の地理的位置に関する記憶された情報と相関させることができ、このデータは基準データとして記憶される。したがって、本方法は、グリップテストが実行される場所の地理的位置の値を取得するステップと、グリップテストの結果を、同じ地理的位置、又は類似のクライミング条件を有する同等の地理的位置、例えば、同様の地質及び/又は類似のクライミング難易度で取得された記憶された基準データと比較することによって、クライミング性能推定値を計算するステップとを含み得る。
【0089】
ソフトウェアアプリケーションは、上述の方法を実行するために必要とされる動作を実行するように構成され得ることが理解されよう。
【0090】
また、ユーザによる運動装置の使用履歴を考慮した、モバイルアプリケーションによって提供される調整及び使用表示(use indications)による運動装置の使用法も考えられる。
【0091】
ユーザはアプリケーションに登録され、個人プロファイルを生成し、ここで、ユーザは自分の関係データ(又は、相対データ/relative data)、例えば、自分のクライミング経験のレベル、以前の又は現在の負傷などを入力する。入力データに基づいて、ユーザはウォームアップ、強化、又はリハビリテーション運動から選択されるように、運動装置及び運動ルーチンの好ましい設定を生成するようにアプリケーションに求めることができる。
【0092】
好ましくは、アプリケーションはまた、運動装置の使用履歴を記憶し、その特定のユーザによる運動装置の事前の使用に基づいて、経時的に設定又はルーチンを修正する。
【0093】
モバイルアプリケーションは、実行されるべき提案された運動を説明する漫画(cartoon)、図面、又はビデオを示すことができる。
【0094】
本発明の他の特徴は、実施形態の以下の詳細な説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0095】
<図面の簡単な説明>
前述及び他の利点及び特徴は、例示的かつ非限定的な方法で解釈されるべき添付の図面を参照して、実施形態の以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう:
図1図1は運動装置の実施形態の斜視図を示し、不連続線を用いて、装置を使用するユーザの手の位置を示す;
図2図2図1と同じ斜視図を示すが、装置の残りの部分から分離された手根骨支持体及び遠位指節骨支持体を示す;
図3図3は、第一長手方向ガイドのうちの1つと一致する平面に沿った、図1に示される運動装置の断面を示す;
図4図4は、ねじの形態の弾性抵抗調整装置と一致する運動装置の中心面に沿った、図1に示される運動装置の別の断面を示す;
図5図5図4に示されるのと同じ断面を示すが、別の実施形態による;
図6図6は提案されたシステムの概略斜視図を示しており、このシステムでは、運動装置及びポータブルコンピューティングデバイスも示されている。
【発明を実施するための形態】
【0096】
<実施形態の詳細な説明>
添付の図面は、本発明の例示的で非限定的な実施形態を示す。
【0097】
本発明は、互いに直交する長手方向(DL)、横方向(DT)、及び矢状方向(DS)を画定する基部(10)と、矢状方向(DS)に面する前面(A)とを含む運動装置からなり、基部(10)は、長手方向(DL)に延びる少なくとも1つの長手方向ガイド(11)を含む。
【0098】
この好ましい実施形態では、前記基部(10)が携帯電話(15cm×10cm×1.4cm)よりも幾分大きい一般的な寸法を有する箱形である。
【0099】
基部は、関連の、その前面(A)から突出する、手根骨支持体(20)と、矢状方向(DS)に6mm~26mmの厚さの、例えばプラスチック、木材、又は別の材料でできた小さなスラットからなる、クライミングクリンプの形態の遠位指節骨支持体(30)とを有し、指の「伸長」、「半アーチ状」、及び「アーチ状」として知られるクライミングジェスチャを再現する。
【0100】
基部(10)の内側は、第一長手方向ガイド(11)として、長手方向(DL)に延在する2つの平行なロッドを含む。
【0101】
基部(10)の内側に収容されたホルダ(33)は、両ロッド上に配置され、基部(10)の内側で長手方向(DL)に摺動できる。各ロッドはその周りに配置されたばねを有し、前記ばねは、弾性要素(40)として作用し、ばねの第一停止機能を実行するホルダ(33)と第二停止部(42)との間で圧縮される。長手方向(DL)における第二停止部(42)の位置は弾性抵抗調整装置(43)によって調整可能であり、これは、この実施形態では、長手方向に延在するねじであり、その回転によって、第二停止部(42)を長手方向に移動させ、ばねの弾性圧縮を増加又は減少させ、したがって、ホルダ(33)を移動させるのに必要な力を調節する。
【0102】
基部(10)の前面(A)は長手方向(DL)に2つの細長いスロットを有し、これを通して、取り外し可能な(又は、解放可能な/releasable)固定要素(32)が、基部(10)の前面(A)の上方に位置する遠位指節骨支持体(30)を、基部に収容されたホルダー(33)と接続し、基部(10)の内側に収容されたホルダー(33)の移動と共に、基部(10)の前面(A)上で、遠位指節骨支持体(30)の長手方向の移動を可能にする。
【0103】
ユーザが自身の指の末端(又は、遠位端)を矢状方向(DS)に平行な方向に挿入し得る凹状の遠位指節骨座部(31)は、長手方向(DL)及び横方向(DT)に延在する平坦面の形態である基部(10)の前面(A)と、矢状方向(DS)に前記前面(A)から突出する遠位指節骨支持体(30)との間に画定される。前記遠位指節骨座部(31)は、堅固なグリップポイント(又は、把持点/gripping point)を提供する。
【0104】
同様に、ユーザが、手根骨が位置する自身の手のひらのつけ根を矢状方向(DS)に平行な方向に導入し得る手根骨座部(21)もまた、基部(10)の前面(A)の前記平坦面と、前記前面(A)から矢状方向(DS)に突出する手根骨支持体(20)との間に画定される。
【0105】
あるいは、手根骨座部(21)及び遠位指節骨座部(31)の両方が、基部(10)の前面(A)と対応する支持体との間ではなく、むしろ、手根骨支持体(20)自体及び/又は遠位指節骨支持体(30)自体に設けられた、矢状方向(DS)に面する面上のくぼみ又は穴によって画定され得る。
【0106】
手根骨座部(21)及び遠位指節骨座部(31)の前記配置は、アーチ状、半アーチ状、又は伸長したグリップにおける手の位置を決定し、これは、偏心(eccentric)及び同心等角(concentric and isometric)の両方の態様で手を運動させることを可能にする。
【0107】
さらに、取り外し可能な固定要素(32)は、異なるサイズ、テクスチャ、又はレリーフパターンをユーザに提供するために、遠位指節骨支持体(30)を、異なるテクスチャ、材料、粗さを備えた別の異なる遠位指節骨支持体(30)と交換することを可能にする。
【0108】
これは、上記装置を、ユーザのニーズに合わせて、特定のタイプの傷害の治療に合わせて、特定のクライミングテクスチャのためのトレーニングに合わせて、又は上記装置をユーザの指の寸法に適合させるように、又はそれを例えば、1本指、2本指、及び3本指のトレーニンググリップに適合させるように、カスタマイズすることを可能にする。
【0109】
異なる遠位指節骨支持体は例えば、3Dプリンティングなどの付加製造技術によって、又はコンピュータ制御工作機械による研削などの減法製造技術によって得ることができ、両方の技術は、異なる遠位指節骨支持体(30)の正確な製造を可能にする。
【0110】
基部(10)の前面(A)の平坦面は、実行される運動(又は、動き/movement)の量を観察することができ、したがって、弾性抵抗調整装置(43)がどのように調整されたかに基づいて、(取扱説明書に提供されるテーブルによって、又は第二定規によって)常に加えられる力を知ることができる、測定定規を含み得る。この力の読み取りはまた、動きを測定する小型の電子デバイスを追加することによってデジタル的に行うことができ、ユーザがそれに圧力を加えないときの弾性要素(40)の初期張力を知ることによって、遠位指節骨支持体(30)の各動きにおいてユーザによってなされる努力(effort)を計算し得る。
【0111】
本発明の一実施形態によれば、上記装置は、測定装置51に接続されたメモリ52を有する制御デバイス50、例えばプログラマブルロジックコントローラを統合し得る。この例では、測定装置が、ユーザによって弾性要素に加えられた力を測定する歪みセンサーである。この例では、測定装置51が例えば誘電体材料のロードセルからなる。
【0112】
任意選択的に、この運動装置はまた、遠隔サーバ又はポータブルコンピューティングデバイス60に取得されたデータを送信するため、又は遠隔サーバ又はリモートコンピューティング装置60によって提供されるデータ、例えば他のユーザのデータ又は気象データを受信するための通信アンテナ53を含み得る。
【0113】
図6に示される実施形態では、記載の運動装置がエクササイズシステムを形成するリモートコンピューティング装置60に接続される。リモートコンピューティング装置60は、メモリ62及び通信アンテナ63に接続されたコンピューティングデバイス61を統合する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<技術分野>
本発明は、指の指節骨(又は、指骨/ファランクス(複数)/phalanges)の筋肉、腱、及びプーリー(又は、滑車/pulley)のトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動装置(又は、指エクササイズ装置/finger exercising device)及びシステムに関する。
【0002】
本運動装置は、特にクライマーのような運動選手のための、手の損傷の回復及びリハビリテーションのための理学療法、並びに指の指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング及び強化に特に適用可能である。
【0003】
提案されたシステムは、クライミングのための密着性(又は、接着力/adhesion)を決定するための方法の実施形態にも使用し得る。
【背景技術】
【0004】
<技術水準>
例えば、クライミングなどの特定のスポーツは指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのために、指の特定のトレーニングを必要とする。
【0005】
すなわち、クライミングの場合、全ての体重が指から垂れ下がることを考慮すると、指、特に腱及びプーリーは、多大なストレス(又は、圧力/stress)を受ける。これらのストレスは手のグリップポジション(又は、グリップ位置/grip position)がアーチ状であるか、半アーチ状であるか、又は伸長しているかに応じて異なり、前記グリップポジションのそれぞれに特定の運動が必要とされる。
【0006】
アーチ状グリップは過度の緊張状態(又は、高血圧/hypertension)における中手指節間関節/metacarpophalangeal joints(中手骨metacarpalsと基節骨proximal phalangesの間)、近位指節間関節proximal interphalangeal joints(基節骨proximal phalangesと中節骨intermediate phalangesの間)、及び遠位指節間関節distal interphalangeal joints(中節骨intermediate phalangesと末節骨distal phalangesの間)の屈曲からなり、このグリップは、屈筋系、主に屈筋腱鞘(flexor tendon sheath)を指節骨に接合するプーリーに最大のストレスをかけるシステムであり、ここでは、クライマーの損傷が一般的である。
【0007】
半アーチ状グリップは、中手指節間関節の伸長、近位指節間関節の過度の緊張状態における屈曲、約90°の角度の形成、及び遠位指節間関節の過伸長(又は、過度の伸長/hyperextension)からなる。
【0008】
伸長グリップは、中手指節間関節の過伸長と、過度の緊張状態における近位指節間関節及び遠位指節間関節の屈曲からなる。
【0009】
指の指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのために、吊り下げボードなどの固定された運動装置が知られており、これらは壁に固定されるか、又は天井もしくは木から吊り下げられ、ユーザがそれから吊り下がることを可能にする。しかしながら、これらの装置は非常に嵩張り、重く、ユーザの体重に応じた、ユーザの指の指節骨の筋肉、腱、及びプーリーが耐えるストレスの調整を可能にしない。
【0010】
グリップ運動器のクロージング(又は、閉鎖)に対して調節可能な抵抗を提供するばねを備えたピンサー(pincer)の形態のハンドグリップ運動器も知られている。このタイプのハンドグリップ運動器は、親指、手のひらの一部、及び手の内側指節骨(medial phalange)の間に保持されることを意図しており、主に前腕に位置する、手を閉じることに関連する筋肉及び腱のウォーミングアップ及びエクササイズを可能にする。このタイプの運動装置の幾何学的形状は、手根骨が位置する手の領域と、末節骨が位置する指の端部との間での、その確実で(又は、固定された/secure)容易なグリッピング(又は、把持)を可能にせず、それによって、指の半アーチ状又はアーチ状による指のエクササイズを妨げる。
【0011】
主に前腕に位置する、手を閉じることに関連する筋肉及び腱を運動させるための他の装置も、例えば、文献CN103638647、US689652、及びWO2018000412によって知られている。
【0012】
これらの運動装置、及び市場に存在する多くの他の同様の装置は、2つの平行な、ガイドされたハンドルからなっており、ハンドルを分離した状態に保つ弾性要素を備える。上述のハンドグリップ運動器と同様に、これらの装置は、親指と手のひらの一部と手の内側指節骨との間に保持されるハンドルを対象とする。したがって、これらの装置は上述のハンドグリップ運動器と同等であると考えることができ、手根骨が位置する手の領域と、末節骨が位置する指の端部との間での、その確実かつ容易なグリッピングを可能にしないので、同じ制限を有する可能性がある。
【0013】
文献WO2017171534に記載されている指運動装置も知られている。この装置は、親指のための支持体を備えた基部と、基部と摺動するように関連し、バネに接続された凹状ハウジングを備えた遠位指節骨支持体(又は、末指骨支持体/遠位の指骨の支持体/遠位の指節骨の支持体/遠位のファランクス支持体/distal phalangeal support)とを有する。この装置は親指と遠位指節骨支持体の凹状ハウジング内に挿入された指の末節骨との間のグリッピングを可能にし、前記指の筋肉及び腱を運動させる。この運動装置の幾何学的形状は、指の半アーチ又はアーチによる指運動を可能にしない手の位置を決定する。
【0014】
本発明は、その幾何学的形状及び配置の結果として、3つの主な指グリップ、すなわち、伸長した、半アーチ状の、及びアーチ状のグリップの等角的及び偏心的作用(isometric and eccentric working)を可能にし、これらのグリップの全てにおいて腱の正確な摺動(又は、スライディング/sliding)を可能にする運動装置を提供することによって、上記の問題及び他の問題を解決する。
【0015】
既知の運動装置の残りは、前記運動を一緒に可能にするものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
<発明の簡単な説明>
本発明は、指節骨(又は、指骨/ファランクス/phalanx)の筋肉、腱、及びプーリー(又は、滑車/pulley)の、特に第三指節骨及びプーリーの、指のアーチを通したトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動装置に関する。
【0017】
したがって、提示される目的は、以下の3つの異なる用途又は主な目的を有する:
1)ウォーミングアップと怪我の防止:
クライミングのスポーツでは、特に指の領域、極めて特に第三指節骨に重点を置いた、始動前のウォーミングアップの必要性が一般的であり、それは筋肉を有する領域よりも血液供給がより低い(低温ではよりそうである)多くの腱を有する領域であるため、より多くの注意を必要とする。この手を適切に温める(又は、ウォームアップする)必要性は、ロッククライミング(屋外クライミング、山登り)において絶対に不可欠であり、通常は低温である(ここで、中程度から高いレベルまでのクライミングは岩への皮膚の密着を容易にする低温を必要とすることに留意されたい)が、クライマーは、手を大きな緊張にさらす前に手を温めて運動させるためのツールをほとんど有さない。
【0018】
2)強度/抵抗トレーニング:
クリンプ(crimp)及びその寸法(dimensions)はクライマーによって選択され、アクセサリによって加えられる力は調整可能であるので、本発明はクライミングウォール(又は、登山壁/climbing wall)で行われるのと同じ強度トレーニングを行うことに役立つが、それに頼る(又は、それを用いる/resort to same)必要はない。その寸法により、どこでも、いつでも使用され得ることに好適となり、読書しながら、テレビを見ながら、又は様々なタスクを実行しながら、家庭で使用されることに加えて、オフィスで、座って、又は同様の条件で働くクライマーによって、ワークスペースで使用される場合にさえも有益になり得る。
【0019】
3)リハビリテーション:
指の損傷、特に腱及びプーリーの損傷は、クライミングにおいて非常に一般的である。これらの損傷は、多くの場合、悪いウォームアップに起因し、冷たい指(適切なウォームアップを欠く)はウォームアップされた場合よりもはるかに多く損害を被るからである。これらの損傷は、特に洗浄されていない領域であるときには治癒に長時間を有し、より良好な治癒のためには(したがって、例えば、可能性のある線維筋痛症を回避するためには)、患部領域に血液を運ぶのを助けるための運動を伴う期間(通常、疼痛閾値とされる)が長く(例えば、2~6ヶ月)必要とされる。提示されたアクセサリはこれらの運動を実施するのに適切な品質を有し、強度を調整できることによって改善を測定することさえでき、したがって、患部領域における強度の増加を経時的に観察する。加えて、これらの損傷が特別な強度を必要としない領域(クライマーのグループ外)における非常に稀な損傷(クライマーのグループ外)であるため、これらの損傷を治癒するために行われるべき運動を知っている理学療法士はほとんどいないことは注目に値する。したがって、この領域又はスポーツを専門とする理学療法士のみが、これらの損傷を効果的に治療する。これは、製品を、指リハビリテーションを推奨するときに医療専門家が頼りにできるもう1つのアクセサリにする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前述の目的を達成するために、提案された運動装置は、
互いに直交する長手方向、横方向、及び矢状方向(sagittal direction)と、矢状方向に垂直な前面とを画定する基部であって、長手方向に延在する少なくとも1つの長手方向ガイドを含む、該基部と、
手根骨が位置する手のひらのつけ根(base of the palm of the hand)を支持するための、基部に関連する手根骨支持体と、
遠位指節骨(又は、末節骨、末部指節骨/distal phalangeal)が位置する指の端部を支持するための、基部に関連する少なくとも1つの遠位指節骨支持体であって、
遠位指節骨支持体は、上記少なくとも1つの長手方向ガイド、例えば2つの平行な長手方向ガイドによって案内され、最大伸長位置と最小伸長位置との間の移動距離に沿った長手方向における手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の相対的な摺動を可能にする、該遠位指節骨支持体と(又は、最大伸長位置と最小伸長位置の間の移動距離に沿った長手方向における手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の相対的な摺動を可能にする上記少なくとも1つの長手方向ガイド、例えば2つの平行な長手方向ガイドによって案内される該遠位指節骨支持体と)、
手根骨支持体と上述の少なくとも1つの遠位指節骨支持体との間の長手方向における相対的な摺動に対して弾性抵抗を提供するように構成された少なくとも1つの弾性要素と、を含む。
【0021】
手根骨支持体は、手根骨が位置する手のひらの部分、すなわち手首に最も近い領域の手のひらのつけ根をその中に支持するように意図された支持要素であると理解される。
【0022】
同様に、遠位指節骨支持体は、遠位指節骨が位置する指の端部の一部をその中に支持するように意図された支持要素、典型的にはクリンプ(crimp)であるとも理解される。
【0023】
上記基部はケーシングであり、その前面は矢状方向から見ることができる基部の前面であり、典型的には、前記矢状方向にほぼ垂直な面である。したがって、前面は、主に長手方向及び横方向に延在する。
【0024】
好ましくは、手根骨支持体及び遠位指節骨支持体は横方向に延在し、互いに実質的に平行であり、これらは長手方向において面している。
【0025】
本発明は、従来技術において未知の方法で、以下を提案する:
手根骨支持体は、概ね矢状方向に面する、矢状方向手根骨表面と、概ね長手方向に面し、矢状方向手根骨表面に隣接する長手方向手根骨表面との間に凹状手根骨座部を画定し、凹状手根骨座部と凹状遠位指節骨座部との間に、アーチ状、半アーチ状、又は伸長した手のグリップを強制する。
【0026】
任意選択的に、上述の少なくとも1つの遠位指節骨支持体は、異なる遠位指節骨支持体の組から、又は異なる大きさ、グリップ構成(又は、把持構成/grip configuration)、表面テクスチャを有する、及び/又は異なる材料から作製される、異なる遠位指節骨支持体の組から選択される交換可能な遠位指節骨支持体であってもよく、交換可能な遠位指節骨支持体は取り外し可能な固定要素によって、又は相補的な突起及び凹部、磁石、及び/又は面ファスナ(又は、ベルクロ(登録商標)ファスナ/Velcro fastener)によって形成される取り外し可能な固定要素によって、上記装置に固定される。
【0027】
遠位指節骨支持体を交換することにより、装置を異なる運動に適合させることができ、異なるクライミング面をシミュレートすることができ、装置を異なるユーザの手のサイズに適合させ得る。
【0028】
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体は少なくとも1つの凹状遠位指節骨座部を、概ね長手方向に面する長手方向遠位指節骨表面と、概ね矢状方向に面する矢状方向遠位指節骨表面との間、又は、基部の前面によって画定される矢状方向遠位指節骨表面との間に画定することができ、これらは互いに隣接することも提案される。凹状遠位指節骨座部は、膨らんだ形状又は不規則な粗さを有してもよい。
【0029】
凹状の座部は、横方向に垂直な平面において、凹状の断面を有するものと理解され、手のひらのつけ根又は指の端部を位置決めするための堅固で確実な支持点を提供する。
【0030】
概ね矢状方向に面する矢状方向手根骨及び遠位指節骨表面は、矢状方向にユーザによりアクセスし得る表面であることも理解され、矢状方向における前記表面の突出は残りの長手方向及び横方向における前記表面の突出よりも大きい。
【0031】
同様に、概ね長手方向に面する長手方向手根骨及び遠位指節骨表面は、ユーザにより長手方向にアクセスし得る表面であり、長手方向における前記表面の突出は残りの矢状方向及び横方向における前記表面の突出よりも大きい。長手方向手根骨表面及び遠位指節骨表面は対向し、反対方向に配向され、互いに向かい合っていない。
【0032】
前記凹状座部は、その凹状内部への、手のひらのつけ根又は指先の、矢状方向、すなわち、遠位指節骨支持体が摺動する長手方向に垂直な方向への挿入を可能にする。
【0033】
これにより、ユーザは、手根骨を含む手の一部を凹状手根骨座部に支持し、遠位指節骨が位置する指先を凹状遠位指節骨座部に支持し得る。手の異なる間接の屈曲は遠位指節骨支持体の摺動を引き起こし、それを手根骨支持体に近づけ、弾性要素の弾性抵抗を克服する。上述の手根骨支持体及び遠位指節骨支持体の位置及び幾何学的形状は、手が運動中、アーチ状、半アーチ状、又は伸長したグリップに位置付けられることを決定する。
【0034】
好ましい実施形態によれば、長手方向遠位指節骨表面及び矢状方向遠位指節骨表面は、遠位指節骨支持体内に凹部を画定する、遠位指節骨支持体の表面であってもよい。すなわち、凹状遠位指節骨座部は、矢状方向にアクセス可能な遠位指節骨支持体の前面に画定される少なくとも1つの凹部によって画定されてもよい。例えば、支持体は、1つ又は複数の指を挿入するための1つ又は複数の凹部を含み得る。
【0035】
あるいは、長手方向遠位指節骨表面が遠位指節骨支持体の表面であり得、矢状方向遠位指節骨表面は遠位指節骨支持体に隣接する、基部の前面の表面であり得ることが提案される。すなわち、凹状遠位指節骨座部は、遠位指節骨支持体と基部の前面の矢状面との間に画定される凹状領域であってもよく、前記凹状領域は矢状方向にアクセス可能であり、遠位指節骨支持体に隣接する。この実施形態によれば、凹状遠位指節骨座部は、遠位指節骨支持体と、遠位指節骨支持体が摺動する基部の前面の一部との間に画定される。
【0036】
同様に、長手方向手根骨表面及び矢状方向手根骨表面は、手根骨支持体内に共に凹部を画定する手根骨支持体の表面であり得る。すなわち、凹状手根骨座部は、矢状方向にアクセス可能な手根骨支持体の前面に画定された凹部によって画定されてもよい。
【0037】
あるいは長手方向手根骨表面が遠位指節骨支持体の表面であってもよく、矢状方向手根骨表面は基部の前面の表面(surface of the front face of the base)であり得る。すなわち、遠位指節骨座部は手根骨支持体と基部の前面の前表面(front surface of the front face of the base)との間に画定されることができ、矢状方向にアクセス可能であり、手根骨支持体に隣接している。この第二代替形態によれば、凹状手根骨座部は、手根骨支持体と、手根骨支持体が固定される基部の前面の一部との間に画定され、基部上に手のひらのつけ根のための支持を提供する。
【0038】
あるいは、上述の少なくとも1つの遠位指節骨支持体が、概ね矢状方向に面し、少なくとも1つの摩擦遠位指節骨座部(frictional distal phalangeal seating)を提供する矢状方向遠位指節骨表面を画定し得る。矢状方向遠位指節骨表面は例えば、平坦、平滑、ハニカム形状、又は球状であってもよく、又は不規則な粗さを有してもよい。この遠位指節骨支持体は、運動装置内に配置するために利用可能ないくつかの交換可能な遠位指節骨支持体のうちの1つであってもよく、その結果、これは摩擦グリップを可能にし、一方、他のものは他のタイプの運動のために異なるグリップを提供する凹状座部を提供する。
【0039】
好ましくは、手根骨支持体及び遠位指節骨支持体に隣接し、凹状手根骨及び遠位指節骨座部を画定する基部の前面の前表面は互いに実質的に同一平面上にある。
【0040】
別の実施形態によれば、手根骨支持体及び/又は遠位指節骨支持体は、取り外し可能な(又は、解放可能な/releasable)固定要素によって、様々な位置で装置の残りの部分に固定して、手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の離隔距離(separation)を修正し得る。取り外し可能な固定要素は例えば、相補的な突起及び凹部、磁石、及び/又は面ファスナによって形成し得る。
【0041】
例えば、基部は前面上に、取り外し可能な固定要素によって基部の異なる位置に手根骨支持体を取り外し可能に固定するための多数の固定点(又は、アンカーポイント/anchoring point)をさらに含み得、これにより、手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の最初の距離の調節を可能にし、異なる手の大きさに適合される。
【0042】
そのような場合、取り外し可能な固定要素は例えば、基部の前面に設けられた相補的な開口部にしっかりと挿入され得る、矢状方向に手根骨支持体から突出するピンから構成され得る。
【0043】
代替的に又は追加的に、運動装置は手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の移動距離の最大伸長位置及び/又は最小伸長位置を修正し、異なるユーザの手の大きさに移動距離を適合させるように構成された調整装置を更に含み得る。この調整装置は例えば、その回動によって、遠位指節支持体を長手方向案内部に固定するための固定点を移動させる調節ねじからなっていてもよい。
【0044】
前述の少なくとも1つの弾性要素は例えば、少なくとも1つのばね、弾性材料の少なくとも1つのバンド、又は、少なくとも1つの空気圧ピストン(pneumatic piston)からなってもよく、前述の少なくとも1つの遠位指節骨支持体に関連する第一停止部(又は、止め具/stop)と、基部に関連する第二停止部との間に位置し、少なくとも1つの遠位指節骨支持体と手根骨支持体との間の相対的移動を伴う少なくとも1つの弾性要素の弾性圧縮及び/又は伸長(elongation)を引き起こす。
【0045】
密封された空気圧ピストンは、その中に含まれる気体の圧縮及び減圧によってスプリング(又は、ばね)を作用させると理解される。
【0046】
運動装置はまた、手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間の相対的移動に必要な力を決定する、少なくとも1つの弾性要素の張力を修正するように構成された弾性抵抗調整装置(elastic resistance adjustment device)を含み得る。少なくとも1つの弾性要素の張力の前記修正は例えば、長手方向における第一停止部と第二停止部との間の距離(又は、間隔/distance)を調整することによって得ることができる。
【0047】
第二停止部は、弾性抵抗調整装置によって長手方向に移動可能であり得る。第二停止部を移動させることによって、ばね、弾性材料のバンド、又は空気圧ピストンの圧縮の程度が修正され、したがって、遠位指節骨支持体の移動に提供される弾性抵抗が、ユーザのニーズ及び好みに従って調整される。
【0048】
弾性調整装置は例えば、その回転によって、長手方向における第二停止部の位置を決定するねじであり得る。
【0049】
本発明の好ましい実施形態によれば、上述の少なくとも1つの長手方向ガイドは基部に固定された少なくとも1つのロッドからなり、上述の少なくとも1つのばねは、少なくとも1つの弾性要素を構成し、前記ロッドの周りに配置される。
【0050】
上述の少なくとも1つの長手方向ガイド及び弾性要素の他の代替実施形態も提供される。例えば、長手方向ガイドは基部自体に形成された長手方向に延在する溝であってもよく、弾性要素は、例えば板ばねの形態の、プラスチック、金属、又は別の材料で作製された可撓性構造であり得る。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、運動装置は、遠位指節骨支持体を動かすときにユーザによって加えられる力を決定するように構成されたひずみセンサー、例えば、ロードセル、遠位指節骨支持体によって行われた動きを決定するように構成された動きセンサー、及び/又はユーザによって選択された運動装置の設定のうちの少なくとも1つを検出するように構成された運動装置構成センサーから選択される少なくとも1つの測定装置に接続された制御装置を統合し得る。
【0052】
典型的には、運動装置構成センサーは、弾性要素張力調整センサー、移動距離の最小及び/又は最大伸長位置を検出するためのセンサー、手根骨支持体及び/又は遠位指節骨支持体の固定位置を検出するための検出器、及び/又は様々な選択可能な支持体の中から、運動を実行する際に運動装置に実際に固定された遠位指節骨支持体を識別するための識別センサーから選択される。
【0053】
装置に固定されるのに利用可能な異なる遠位指節骨支持体の各々は運動装置に組み込まれた識別センサーによって検出可能な識別要素、例えば、RFIDアンテナ、異なる位置及び/又は強さ及び/又は向きを決定するための磁気要素、ピン、又は光学センサーによって測定可能な位置に配置された開口部などを含み得ることが提案される。
【0054】
前述の測定装置に加えて、運動装置は、湿度センサー、温度センサー、気圧センサー、GPS測位センサー、方位センサー、運動が行われる時間及び/又は日付及び/又はその持続時間を決定するように構成された時間計(time meter)から選択される他の追加の測定装置をさらに含み得る。
【0055】
大気の値(atmospheric value)、時刻、又は年の時間が、ユーザのパフォーマンスに影響を及ぼし得るので、この情報はすべて、ユーザによって実行される運動の進展を評価するときに関連し得る。なぜなら、クライミングにおいて、岩の状態及びユーザの皮膚の状態は前記パフォーマンスにおいて不可欠であり、前記大気の条件によって影響されるからである。
【0056】
この位置(location)はまた、収集されたデータが、同じサイトにおける以前のセッションで取得されたデータと比較されること、又は同じサイトにおける将来のセッションのために記憶されることを可能にする。
【0057】
好ましくは、制御装置が前記制御装置によって受信された情報、典型的には測定装置によって提供された情報を記憶するように構成されたメモリを統合する。
【0058】
制御装置はまた、制御装置によって受信された情報及び/又は記憶装置に記憶された情報を、例えばディスプレイスクリーンによって、又は光又はサウンドインジケータによって伝える(又は、送信する/transmit)ように構成された、及び/又は例えばキーボードを介して制御装置に情報を入力するように構成されたインターフェースを統合してもよい。制御装置に入力される情報は例えば、ユーザ識別情報又は地理的位置情報から選択されてもよい。
【0059】
任意選択で、制御装置は測定装置によって取得された情報をポータブルコンピューティングデバイス、典型的にはスマートフォン、タブレット、又はラップトップに送信するために、通信アンテナに接続され得る。通信アンテナは例えば、WiFi又はBLUETOOTH(登録商標)プロトコルで送信するアンテナであり得る。
【0060】
アンテナはまた、運動装置の外部にある情報、例えば、GPS位置情報、気象情報、ユーザ識別情報などを受信するために使用され得る。
【0061】
少なくとも1つの遠位指節骨支持体は、好ましくは横方向に細長く、人差し指から小指までを支持する。
【0062】
あるいは、上述の少なくとも1つの遠位指節骨支持体が複数の独立した遠位指節骨支持体であってもよく、互いに隣り合っており、各々1つは長手方向に案内され、独立した凹状の遠位指節骨座部を画定する。
【0063】
そのような場合、各独立した遠位指節骨支持体は独立した弾性要素を有することができ、各独立した弾性要素の弾性抵抗は、独立して調整可能である。
【0064】
第二態様によれば、本発明は、指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動システムに関する。
【0065】
運動システムは、少なくとも1つの測定装置に接続された制御装置を備えた、上述したような運動装置と、ポータブルコンピューティングデバイスとを備える。
【0066】
ポータブルコンピューティングデバイス、典型的にはスマートフォン、タブレット、又はラップトップは、少なくとも1つの通信アンテナ及び/又は接続ポート、メモリ、ディスプレイスクリーン及びキーボードなどのインターフェース、ならびにソフトウェアアプリケーションを実行するコンピューティングデバイスを備える。
【0067】
運動装置の制御装置は、通信アンテナ又は接続ポートに接続され、上述の少なくとも1つの測定装置からポータブルコンピューティングデバイスに情報を送信するように構成されることが提案される。
【0068】
ポータブルコンピューティングデバイスによって実行されるソフトウェアアプリケーションは、運動装置の制御装置によって供給される情報を分析するためのアルゴリズムを実行するように構成される。
【0069】
前記分析は履歴又は他のユーザのデータと比較して傾向グラフや、将来の傾向予測を作成することのみから構成されてもよく、又は他の多くの可能な分析の中でも、実行された運動の結果に応答して新しい運動パターンを提案するために分析されてもよい。
【0070】
ポータブルコンピューティングデバイスが、湿度、温度、及び/又は大気圧センサー、GPS測位センサー、方位センサー、運動が行われる時間及び/又は日付、及び/又はその持続時間を決定するように構成された時間計から選択される少なくとも1つの追加の測定装置を含むことも提案される。
【0071】
ポータブルコンピューティングデバイスは前記少なくとも1つの追加の測定装置によって提供された情報を運動装置に送信するように、及び/又はアルゴリズムによって運動装置から送信された情報とともに前記情報を分析するように構成される。
【0072】
これは、例えば、全てのスマートフォンにおいて標準として既に統合されている多くのセンサーを利用して、運動装置に統合される測定装置の数を減らすことを可能にする。
【0073】
ポータブルコンピューティングデバイスはリモートサーバへの接続を含むことができ、センサーデバイス及び/又は追加のセンサーデバイスによって取得された情報の送信のために、又はアルゴリズムによって実行された分析の結果の前記リモートサーバへの送信のために構成し得る。
【0074】
これは、例えば、クラウド内でのデータの保存を可能にし、それが任意の装置から参照されることを可能にし、他のユーザのデータなどと比較されることを可能にする。
【0075】
第三態様によれば、上記のようなシステムを用いることによって、クライミングのための密着性を決定する方法が提案される。
【0076】
密着性は、ユーザの手と、前記手が把持している表面との間の摩擦密着係数(coefficient of frictional adhesion)であると理解されるべきである。
【0077】
提案される方法は、クライミング現場に運動装置を運ぶステップと、所定の調整パラメータに従って運動装置を構成するステップと、運動装置内に手を置いて、手のひらの手根骨領域を手根骨支持体内に、手の遠位指節骨領域を遠位指節骨支持体内に、伸張したグリップポジションで支持し、遠位指節骨支持体がユーザの手から脱出するまで、移動距離に沿ってアーチ状のグリップポジションに向かって手根骨支持体と遠位指節骨支持体との間で相対的摺動を実行することによって、グリップテストを実行するステップと、を含む。
【0078】
次に、上記方法は、ソフトウェアアプリケーションによって実行されるアルゴリズムを用いて、グリップテストの結果とクライミング性能データとを相関させる記憶された基準データに関連して、グリップテストの結果の解析に基づいてクライミング性能推定値(climbing performance estimate)を計算することを提案する。
【0079】
クライミング性能データは、クライミング中のクライマーと岩とのグリップを示すデータであると理解される。このクライミング性能データは例えば、上昇(upward climb)にかかる時間、クライマーのスリップの頻度又は回数、又はクライマーの個人的評価などの他のパラメータであり得る。
【0080】
したがって、グリップテストの結果のために、クライミング性能推定値は、クライミング条件が開始前に適切であるかどうかについてのアイデアをクライマーが有することを可能にする。
【0081】
好ましくは、基準データが、分析されるべきグリップテストと同じ所定のパラメータを用いて実行されたグリップテストの結果を含む。
【0082】
所定のパラメータは、遠位指節骨支持体のタイプ及び運動装置に固定するためのその固定位置、ならびに弾性要素の張力を含むと理解される。
【0083】
好ましくは、所定の調整パラメータが、概ね矢状方向に面する矢状遠位指節骨表面での摩擦遠位指節骨座部を画定する遠位指節骨支持体の配置、又は摩擦遠位指節骨支持体の概ね矢状方向に面する表面の摩擦遠位指節骨座部としての使用を含む。
【0084】
2つの選択肢のいずれにおいても、遠位指節骨はより大きなグリップを提供する凹状の座部上に支持されず、むしろ、実質的に平坦であり、矢状方向に垂直な表面上に支持され、したがって、それが提供するグリップは、低減され、主に摩擦によって得られる。
【0085】
脱出(又は、離脱/escape)が生じる移動距離の点は、歪みセンサー、動きセンサー、又は、歪みセンサー及び/又は動きセンサーによって供給される情報に関するアルゴリズムによって実行される分析によって決定されることが提案される。
【0086】
また、記憶された基準データは、グリップテスト及びクライミングが実行されたとき及び実行された場所の既存の環境大気値(environmental atmospheric value)を参照する(referring to)記憶された情報と、グリップテストの結果及びクライミング性能データを相関させることも提案され、データは基準データとして記憶される。
【0087】
本方法はさらに、クライミング現場で環境大気値を取得し、測定された前記環境大気値及び基準データとして記憶された環境大気値を考慮して、クライミング性能推定値を計算することを提案する。
【0088】
本発明の別の実施形態によれば、記憶された基準データはまた、グリップテストの結果及びクライミング性能データを、グリップテスト及びクライミングが実行された場所の地理的位置に関する記憶された情報と相関させることができ、このデータは基準データとして記憶される。したがって、本方法は、グリップテストが実行される場所の地理的位置の値を取得するステップと、グリップテストの結果を、同じ地理的位置、又は類似のクライミング条件を有する同等の地理的位置、例えば、同様の地質及び/又は類似のクライミング難易度で取得された記憶された基準データと比較することによって、クライミング性能推定値を計算するステップとを含み得る。
【0089】
ソフトウェアアプリケーションは、上述の方法を実行するために必要とされる動作を実行するように構成され得ることが理解されよう。
【0090】
また、ユーザによる運動装置の使用履歴を考慮した、モバイルアプリケーションによって提供される調整及び使用表示(use indications)による運動装置の使用法も考えられる。
【0091】
ユーザはアプリケーションに登録され、個人プロファイルを生成し、ここで、ユーザは自分の関係データ(又は、相対データ/relative data)、例えば、自分のクライミング経験のレベル、以前の又は現在の負傷などを入力する。入力データに基づいて、ユーザはウォームアップ、強化、又はリハビリテーション運動から選択されるように、運動装置及び運動ルーチンの好ましい設定を生成するようにアプリケーションに求めることができる。
【0092】
好ましくは、アプリケーションはまた、運動装置の使用履歴を記憶し、その特定のユーザによる運動装置の事前の使用に基づいて、経時的に設定又はルーチンを修正する。
【0093】
モバイルアプリケーションは、実行されるべき提案された運動を説明する漫画(cartoon)、図面、又はビデオを示すことができる。
【0094】
本発明の他の特徴は、実施形態の以下の詳細な説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0095】
<図面の簡単な説明>
前述及び他の利点及び特徴は、例示的かつ非限定的な方法で解釈されるべき添付の図面を参照して、実施形態の以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう:
図1図1は運動装置の実施形態の斜視図を示し、不連続線を用いて、装置を使用するユーザの手の位置を示す;
図2図2図1と同じ斜視図を示すが、装置の残りの部分から分離された手根骨支持体及び遠位指節骨支持体を示す;
図3図3は、第一長手方向ガイドのうちの1つと一致する平面に沿った、図1に示される運動装置の断面を示す;
図4図4は、ねじの形態の弾性抵抗調整装置と一致する運動装置の中心面に沿った、図1に示される運動装置の別の断面を示す;
図5図5図4に示されるのと同じ断面を示すが、別の実施形態による;
図6図6は提案されたシステムの概略斜視図を示しており、このシステムでは、運動装置及びポータブルコンピューティングデバイスも示されている。
【発明を実施するための形態】
【0096】
<実施形態の詳細な説明>
添付の図面は、本発明の例示的で非限定的な実施形態を示す。
【0097】
本発明は、互いに直交する長手方向(DL)、横方向(DT)、及び矢状方向(DS)を画定する基部(10)と、矢状方向(DS)に面する前面(A)とを含む運動装置からなり、基部(10)は、長手方向(DL)に延びる少なくとも1つの長手方向ガイド(11)を含む。
【0098】
この好ましい実施形態では、前記基部(10)が携帯電話(15cm×10cm×1.4cm)よりも幾分大きい一般的な寸法を有する箱形である。
【0099】
基部は、関連の、その前面(A)から突出する、手根骨支持体(20)と、矢状方向(DS)に6mm~26mmの厚さの、例えばプラスチック、木材、又は別の材料でできた小さなスラットからなる、クライミングクリンプの形態の遠位指節骨支持体(30)とを有する。手根骨支持体20は、概ね矢状方向DSに面する矢状方向手根骨表面23と、矢状方向手根骨表面23より遠位指節骨支持体30に近く矢状方向手根骨表面23に隣接する長手方向手根骨表面24との間に形成される凹部によって画定される凹状手根骨座部21を画定し、指の「伸長」、「半アーチ状」、及び「アーチ状」として知られるクライミングジェスチャを強制する。
【0100】
基部(10)の内側は、第一長手方向ガイド(11)として、長手方向(DL)に延在する2つの平行なロッドを含む。
【0101】
基部(10)の内側に収容されたホルダ(33)は、両ロッド上に配置され、基部(10)の内側で長手方向(DL)に摺動できる。各ロッドはその周りに配置されたばねを有し、前記ばねは、弾性要素(40)として作用し、ばねの第一停止機能を実行するホルダ(33)と第二停止部(42)との間で圧縮される。長手方向(DL)における第二停止部(42)の位置は弾性抵抗調整装置(43)によって調整可能であり、これは、この実施形態では、長手方向に延在するねじであり、その回転によって、第二停止部(42)を長手方向に移動させ、ばねの弾性圧縮を増加又は減少させ、したがって、ホルダ(33)を移動させるのに必要な力を調節する。
【0102】
基部(10)の前面(A)は長手方向(DL)に2つの細長いスロットを有し、これを通して、取り外し可能な(又は、解放可能な/releasable)固定要素(32)が、基部(10)の前面(A)の上方に位置する遠位指節骨支持体(30)を、基部に収容されたホルダー(33)と接続し、基部(10)の内側に収容されたホルダー(33)の移動と共に、基部(10)の前面(A)上で、遠位指節骨支持体(30)の長手方向の移動を可能にする。
【0103】
ユーザが自身の指の末端(又は、遠位端)を矢状方向(DS)に平行な方向に挿入し得る凹状の遠位指節骨座部(31)は、長手方向(DL)及び横方向(DT)に延在する平坦面の形態である基部(10)の前面(A)と、矢状方向(DS)に前記前面(A)から突出する遠位指節骨支持体(30)との間に画定される。前記遠位指節骨座部(31)は、堅固なグリップポイント(又は、把持点/gripping point)を提供する。
【0104】
同様に、ユーザが、手根骨が位置する自身の手のひらのつけ根を矢状方向(DS)に平行な方向に導入し得る手根骨座部(21)もまた、基部(10)の前面(A)の前記平坦面と、前記前面(A)から矢状方向(DS)に突出する手根骨支持体(20)との間に画定される。
【0105】
あるいは、手根骨座部(21)及び遠位指節骨座部(31)の両方が、基部(10)の前面(A)と対応する支持体との間ではなく、むしろ、手根骨支持体(20)自体及び/又は遠位指節骨支持体(30)自体に設けられた、矢状方向(DS)に面する面上のくぼみ又は穴によって画定され得る。
【0106】
手根骨座部(21)及び遠位指節骨座部(31)の前記配置は、アーチ状、半アーチ状、又は伸長したグリップにおける手の位置を決定し、これは、偏心(eccentric)及び同心等角(concentric and isometric)の両方の態様で手を運動させることを可能にする。
【0107】
さらに、取り外し可能な固定要素(32)は、異なるサイズ、テクスチャ、又はレリーフパターンをユーザに提供するために、遠位指節骨支持体(30)を、異なるテクスチャ、材料、粗さを備えた別の異なる遠位指節骨支持体(30)と交換することを可能にする。
【0108】
これは、上記装置を、ユーザのニーズに合わせて、特定のタイプの傷害の治療に合わせて、特定のクライミングテクスチャのためのトレーニングに合わせて、又は上記装置をユーザの指の寸法に適合させるように、又はそれを例えば、1本指、2本指、及び3本指のトレーニンググリップに適合させるように、カスタマイズすることを可能にする。
【0109】
異なる遠位指節骨支持体は例えば、3Dプリンティングなどの付加製造技術によって、又はコンピュータ制御工作機械による研削などの減法製造技術によって得ることができ、両方の技術は、異なる遠位指節骨支持体(30)の正確な製造を可能にする。
【0110】
基部(10)の前面(A)の平坦面は、実行される運動(又は、動き/movement)の量を観察することができ、したがって、弾性抵抗調整装置(43)がどのように調整されたかに基づいて、(取扱説明書に提供されるテーブルによって、又は第二定規によって)常に加えられる力を知ることができる、測定定規を含み得る。この力の読み取りはまた、動きを測定する小型の電子デバイスを追加することによってデジタル的に行うことができ、ユーザがそれに圧力を加えないときの弾性要素(40)の初期張力を知ることによって、遠位指節骨支持体(30)の各動きにおいてユーザによってなされる努力(effort)を計算し得る。
【0111】
本発明の一実施形態によれば、上記装置は、測定装置51に接続されたメモリ52を有する制御デバイス50、例えばプログラマブルロジックコントローラを統合し得る。この例では、測定装置が、ユーザによって弾性要素に加えられた力を測定する歪みセンサーである。この例では、測定装置51が例えば誘電体材料のロードセルからなる。
【0112】
任意選択的に、この運動装置はまた、遠隔サーバ又はポータブルコンピューティングデバイス60に取得されたデータを送信するため、又は遠隔サーバ又はリモートコンピューティング装置60によって提供されるデータ、例えば他のユーザのデータ又は気象データを受信するための通信アンテナ53を含み得る。
【0113】
図6に示される実施形態では、記載の運動装置がエクササイズシステムを形成するリモートコンピューティング装置60に接続される。リモートコンピューティング装置60は、メモリ62及び通信アンテナ63に接続されたコンピューティングデバイス61を統合する。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動装置であって、
互いに直交する長手方向(DL)、横方向(DT)、及び矢状方向(DS)と、前記矢状方向(DS)に垂直な前面(A)とを画定する基部(10)であって、前記長手方向(DL)に延在する少なくとも1つの長手方向ガイド(11)を含む、該基部(10)と、
手根骨が位置する手のひらのつけ根を支持するための、前記基部(10)に関連する手根骨支持体(20)と、
遠位指節骨が位置する指の端部を支持するための、前記基部(10)に関連する少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)であって、
前記遠位指節骨支持体(30)は、前記少なくとも1つの長手方向ガイド(11)によって案内され、最大伸長位置と最小伸長位置との間の移動距離に沿って、前記長手方向(DL)における前記手根骨支持体(20)と前記遠位指節骨支持体(30)との間での相対的な摺動を可能にする、該遠位指節骨支持体(30)と、
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)の、前記長手方向(DL)における摺動に対して弾性抵抗を与えるように構成された少なくとも1つの弾性要素(40)と、を含む、指運動装置であって、
前記手根骨支持体(20)が、概ね前記矢状方向(DS)に面する矢状方向手根骨表面と、前記矢状方向手根骨表面に隣接して概ね前記長手方向(DL)に面する長手方向手根骨表面との間に凹状手根骨座部(21)を画定し、前記凹状手根骨座部(21)と前記凹状遠位指節骨座部(31)との間に、アーチ状、半アーチ状、又は伸長した手のグリップを強制することを特徴とする、指運動装置。
<請求項2>
前記運動装置は、前記遠位指節骨支持体(30)を動かすときにユーザによって加えられた力を決定するように構成されたひずみセンサー、前記遠位指節骨支持体(30)によって行われた動きを決定するように構成された動きセンサー、及び/又は前記ユーザによって選択された前記運動装置の設定のうちの少なくとも1つを検出するように構成された運動装置構成センサーから選択される少なくとも1つの測定装置(51)に接続された制御装置(50)を統合する、請求項1に記載の運動装置。
<請求項3>
前記運動装置構成センサーは、弾性要素張力調整センサー、前記移動距離の前記最小及び/又は最大伸長位置を検出するセンサー、前記手根骨支持体及び/又は前記遠位指節骨支持体の固定位置を検出する検出器、及び/又は前記様々な選択可能な支持体の中から、運動を実行するときに前記運動装置に実際に固定された前記遠位指節骨支持体を識別する識別センサーから選択される、請求項2に記載の運動装置。
<請求項4>
前記少なくとも1つの測定装置(51)は、湿度センサー、温度センサー、大気圧センサー、GPS測位センサー、方位センサー、運動が行われる時間及び/又は日付及び/又はその持続時間を決定するように構成された時間計から選択される別の測定装置をさらに含む、請求項2又は3に記載の運動装置。
<請求項5>
前記制御装置(50)は、前記制御装置(50)によって受信された情報を記憶するように構成されたメモリ(52)を統合する、請求項2、3又は4に記載の運動装置。
<請求項6>
前記制御装置(50)は前記制御装置によって受信された情報及び/又は前記メモリに記憶された情報を送信し、及び/又は前記制御装置に情報を入力し、又はユーザ識別情報又は地理的位置情報から選択される情報を前記制御装置に入力するように構成されたインターフェースを統合し、及び/又は通信アンテナ(53)を含む、請求項2、3、4、又は5に記載の運動装置。
<請求項7>
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)は交換可能な遠位指節骨支持体(30)であり、異なる遠位指節骨支持体(30)の組から、又は異なる寸法、グリップ構成、表面テクスチャを有する、及び/又は異なる材料から作製された、異なる遠位指節骨支持体(30)の組から選択され、前記交換可能な遠位指節骨支持体(30)は、取り外し可能な固定要素(32)によって、又は相補的な突起及び凹部、磁石、及び/又は面ファスナによって形成された取り外し可能な固定要素(32)によって、前記装置に固定される、請求項1~6のいずれか一項に記載の運動装置。
<請求項8>
少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)が少なくとも1つの凹状遠位指節骨座部(31)、又は膨らんだ形状又は不規則な粗さを有する少なくとも1つの凹状遠位指節骨座部(31)を画定し、
概ね前記長手方向(DL)に面する長手方向遠位指節骨表面と、概ね前記矢状方向(DS)に面する矢状方向遠位指節骨表面との間に画定されるか、
又は、前記基部(10)の前記前面(A)によって画定される矢状方向遠位指節骨表面との間に画定され、これらは互いに隣接し、及び/又は
概ね前記矢状方向(DS)に面し、少なくとも1つの摩擦遠位指節骨座部を提供する、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
<請求項9>
前記矢状方向手根骨表面及び遠位指節骨表面は、互いに実質的に同一平面上にある、請求項8に記載の運動装置。
<請求項10>
前記手根骨支持体(20)及び/又は前記遠位指節骨支持体(30)は、取り外し可能な固定要素(22,32)によって、又は相補的な突起及び凹部、磁石、及び/又は面ファスナによって形成された取り外し可能な固定要素(22,32)によって、異なる位置で前記装置の残りの部分に固定し、前記手根骨支持体(20)と前記遠位指節骨支持体(30)との間の離隔距離を修正することができ、及び/又は、
調整装置が、前記手根骨支持体(20)と前記遠位指節骨支持体(30)との間の前記移動距離の前記最大伸長及び/又は最小伸長位置を修正し、異なるユーザの手の大きさに前記移動距離を適合させるように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の運動装置。
<請求項11>
前記少なくとも1つの弾性要素(40)は、少なくとも1つのバネ、弾性材料の少なくとも1つのバンド、又は少なくとも1つの空気圧ピストンからなり、前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)に関連する第一停止部と、前記基部(10)に関連する第二停止部(42)との間に配置され、前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)と前記手根骨支持体(20)との間の前記相対的移動に伴って、前記少なくとも1つの弾性要素の弾性圧縮及び/又は伸長を引き起こす、請求項1~10のいずれか1項に記載の運動装置。
<請求項12>
弾性抵抗調整装置(43)が、前記手根骨支持体(20)と前記遠位指節骨支持体(30)との間の前記相対的移動に必要な力を決定する、前記少なくとも1つの弾性要素(40)の張力を修正するように、又は前記長手方向(DL)における前記第一停止部と前記第二停止部(42)との間の距離を調節することによって、前記少なくとも1つの弾性要素の張力を修正するように構成される、請求項11に記載の運動装置。
<請求項13>
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)は前記横方向(DT)に細長く、人差し指から小指までのための支持を提供するか、又は
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)は複数の独立した遠位指節骨支持体であり、各々1つは前記長手方向(DL)に案内され、独立した凹状遠位指節骨座部(31)を画定するか、又は
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体(30)は複数の独立した遠位指節骨支持体であり、各々1つは前記長手方向(DL)に案内され、独立した凹状遠位指節骨座部(31)を画定し、各独立した遠位指節骨支持体(30)は独立した弾性要素(40)を有し、各弾性要素(40)の弾性抵抗は独立して調整可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載の運動装置。
<請求項14>
指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、及び/又はリハビリテーションのための指運動システムであって、請求項2~6のいずれか1項、又はそれらの従属請求項のいずれかに記載のものなどの運動装置と、ポータブルコンピューティングデバイス(60)とを備える、指運動システムであって、
前記ポータブルコンピューティングデバイス(60)は少なくとも1つの通信アンテナ(63)及び/又は接続ポート、メモリ(62)、インターフェース、ならびにソフトウェアアプリケーションを実行するコンピューティングデバイス(61)を備え、
前記運動装置の前記制御装置は、通信アンテナ又は接続ポートに接続され、前記少なくとも1つの測定装置から前記ポータブルコンピューティングデバイスに情報を送信するように構成され、
前記ソフトウェアアプリケーションは前記運動装置の前記制御装置によって供給される情報を分析するためのアルゴリズムを実行するように構成される、指運動システム。
<請求項15>
前記ポータブルコンピューティングデバイスは、湿度、温度、及び/又は大気圧センサー、GPS測位センサー、方位センサー、運動が行われる時間及び/又は日付及び/又はその持続時間を決定するように構成された時間計から選択される少なくとも1つの追加の測定装置を含み、前記ポータブルコンピューティングデバイスは、前記少なくとも1つの追加の測定装置によって提供された情報を前記運動装置に送信するように、及び/又は前記アルゴリズムによって前記運動装置から送信された情報とともに前記情報を分析するように構成される、請求項14に記載のシステム。
<請求項16>
前記ポータブルコンピューティングデバイスはリモートサーバへの接続を含み、前記センサーデバイス及び/又は追加のセンサーデバイスによって取得された情報の送信のために、又は前記アルゴリズムによって実行された分析の結果の前記リモートサーバへの送信のために構成される、請求項14又は15に記載のシステム。
<請求項17>
請求項14~16のいずれか一項に記載のものなどのシステムによって、クライミングのための密着性を決定する方法であって、
前記運動装置をクライミング現場へ運ぶステップと、
所定の調整パラメータに従って前記運動装置を構成するステップと、
前記運動装置内に手を置き、前記手のひらの手根骨領域を前記手根骨支持体(20)内に、前記手の遠位指節骨領域を遠位指節骨支持体(30)内に、前記伸長したグリップポジションで支持し、前記遠位指節骨支持体(30)がユーザの手から脱出するまでの前記移動距離に沿って、前記アーチ状のグリップポジションに向かって、前記手根骨支持体(20)と前記遠位指節骨支持体(30)との間で相対的に摺動させることによって、グリップテストを実行するステップと、
前記ソフトウェアアプリケーションによって実行される前記アルゴリズムによって、前記グリップテストの結果とクライミング性能データとを相関させる記憶された基準データに関連して、前記グリップテストの結果の解析に基づいてクライミング性能推定値を計算するステップと、を含む方法。
<請求項18>
前記基準データは、分析されるべき前記グリップテストと同じ所定のパラメータを用いて実行された前記グリップテストの結果を含む、請求項17に記載の方法。
<請求項19>
前記所定の調整パラメータは、概ね前記矢状方向(DS)に面する矢状方向遠位指節骨表面上の摩擦遠位指節骨座部を画定する遠位指節骨支持体(30)の配置、又は前記遠位指節骨支持体(30)の概ね前記矢状方向(DS)に面する表面の前記摩擦遠位指節骨座部としての使用を含む、請求項17又は18に記載の方法。
<請求項20>
前記脱出が生じる前記移動距離の点が、前記歪みセンサーによって、前記動きセンサーによって、又は前記歪みセンサー及び/又は前記動きセンサーによって供給される情報に対して前記アルゴリズムによって実行される分析によって決定される、請求項17、18、又は19に記載の方法。
<請求項21>
前記記憶された基準データはまた、前記グリップテストの結果及び前記クライミング性能データを、前記グリップテスト及びクライミングが実行されたとき及び実行された場所における既存の環境大気値を参照して、記憶された情報と相関させ、前記方法は、前記クライミング現場における環境大気値を取得するステップと、前記測定され記憶された環境大気値を考慮して前記クライミング性能推定値を計算するステップとをさらに含む、請求項17、18、19、又は20に記載の方法。
<請求項22>
前記記憶された基準データはまた、前記グリップテストの結果及び前記クライミング性能データを、前記グリップテスト及びクライミングが実行された場所の地理的位置についての記憶された情報と相関させ、前記方法は、前記グリップテストが実行される場所の地理的位置の値を取得するステップと、前記グリップテストの結果を、同じ地理的位置、又は類似のクライミング条件を有する同等の地理的位置で取得された記憶された基準データと比較することによって、前記クライミング性能推定値を計算するステップとをさらに含む、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指節骨の筋肉、腱、及びプーリーのトレーニング、ウォーミングアップ、又はリハビリテーションのための指運動装置であって、
互いに直交する長手方向、横方向、及び矢状方向と、前記矢状方向に垂直な前面とを画定するように構成された基部であって、前記長手方向に延在する少なくとも1つの長手方向ガイドを含む、該基部と、
前記基部に関連し、手根骨が位置する手のひらのつけ根を支持するように構成された、手根骨支持体と、
前記基部に関連し、遠位指節骨が位置する指の端部を支持するための凹状遠位指節骨座部を画定するように構成された、少なくとも1つの遠位指節骨支持体であって、
前記遠位指節骨支持体は、前記少なくとも1つの長手方向ガイドによって案内され、最大伸長位置と最小伸長位置との間の移動距離に沿って、前記長手方向における前記手根骨支持体と前記遠位指節骨支持体との間での相対的な摺動を可能にするように構成された、該遠位指節骨支持体と、
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体の、前記長手方向における摺動に対して弾性抵抗を与えるように構成された少なくとも1つの弾性要素と、を含む、指運動装置であって、
前記手根骨支持体が、概ね前記矢状方向に面する矢状方向手根骨表面と、概ね前記長手方向に面する長手方向手根骨表面との間に形成された凹部によって画定される凹状手根骨座部を画定するように構成され、前記長手方向手根骨表面が、前記矢状方向手根骨表面より前記遠位指節骨支持体により近く配置されており、前記矢状方向手根骨表面に隣接して配置されており、前記凹状手根骨座部と前記凹状遠位指節骨座部との間に、アーチ状、半アーチ状、又は伸長した手のグリップを強制するように構成されることを特徴とする、指運動装置。
【請求項2】
前記遠位指節骨支持体を動かすときにユーザによって加えられた力を決定するように構成されたひずみセンサー、前記遠位指節骨支持体によって行われた動きを決定するように構成された動きセンサー、及び前記ユーザによって選択された前記運動装置の少なくとも1つの設定を検出するように構成された構成センサーのうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つの測定装置に接続された、制御装置、又は、制御装置によって受信された情報を記憶するように構成されたメモリを備える制御装置をさらに含む、請求項1に記載の運動装置。
【請求項3】
前記構成センサーは、弾性要素張力調整センサー、前記移動距離の前記最小伸長位置又は前記最大伸長位置を検出するように構成されたセンサー、前記手根骨支持体又は前記遠位指節骨支持体の固定位置を検出するように構成された検出器、又は前記様々な選択可能な支持体の中から、運動を実行するときに前記運動装置に実際に固定された前記遠位指節骨支持体を識別するように構成された識別センサーから選択される、請求項2に記載の運動装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの測定装置は、湿度センサー、温度センサー、大気圧センサー、GPS測位センサー、方位センサー、及び運動が行われる時間又は日付又はその持続時間を決定するように構成された時間計のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つの追加の測定装置をさらに含む、請求項2に記載の運動装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記制御装置によって受信された情報及び前記メモリに記憶された情報のうちの少なくとも1つを表示するように構成されたインターフェース、又は、前記制御装置への入力情報、ユーザ識別情報又は地理的位置情報から選択される前記制御装置への入力情報のうちの少なくとも1つを入力するように構成された前記インターフェースを含む、請求項2に記載の運動装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体は交換可能な遠位指節骨支持体であり、異なる遠位指節骨支持体の組から、又は異なる寸法、グリップ構成、表面テクスチャを有する、又は異なる材料から作製された、異なる遠位指節骨支持体の組から選択され、前記交換可能な遠位指節骨支持体は、取り外し可能な固定要素によって、又は相補的な突起及び凹部、磁石、及び/又は面ファスナによって形成された取り外し可能な固定要素によって、前記装置に固定されている、請求項1に記載の運動装置。
【請求項7】
前記凹状遠位指節骨座部は、膨らんだ形状又は不規則な粗さを含み、又は、
前記凹状遠位指節骨座部は、概ね前記長手方向に面する長手方向遠位指節骨表面と、概ね前記矢状方向に面する矢状方向遠位指節骨表面との間に画定されるか、又は、前記基部の前記前面によって画定される矢状方向遠位指節骨表面との間に画定され、これらは互いに隣接し、前記矢状方向手根骨表面及び前記遠位指節骨表面は実質的に互いと同一平面上にあり、又は
前記凹状遠位指節骨座部は、概ね前記矢状方向に面し、少なくとも1つの摩擦遠位指節骨座部を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記手根骨支持体又は前記遠位指節骨支持体は、取り外し可能な固定要素によって、又は相補的な突起及び凹部、磁石、及び/又は面ファスナによって形成された取り外し可能な固定要素によって、異なる位置で前記装置の残りの部分に固定され、前記手根骨支持体と前記遠位指節骨支持体との間の離隔距離を修正することができ、又は、
調整装置が、前記手根骨支持体と前記遠位指節骨支持体との間の前記移動距離の前記最大伸長位置又は前記最小伸長位置を修正するように構成され、前記調整装置は、異なるユーザの手の大きさに前記移動距離を適合させるように構成される、請求項1に記載の運動装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの弾性要素は、少なくとも1つのバネ、弾性材料の少なくとも1つのバンド、又は少なくとも1つの空気圧ピストンからなり、前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体に関連する第一停止部と、前記基部に関連する第二停止部との間に配置され、前記少なくとも1つの弾性要素は、前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体と前記手根骨支持体との間の前記相対的移動に伴って、前記少なくとも1つの弾性要素の弾性圧縮又は伸長を引き起こすように構成される、請求項1に記載の運動装置。
【請求項10】
弾性抵抗調整装置が、前記少なくとも1つの弾性要素の張力を修正し、前記手根骨支持体と前記遠位指節骨支持体との間の前記相対的移動に必要な力を決定するように、又は前記長手方向における前記第一停止部と前記第二停止部との間の距離を調節することによって、前記少なくとも1つの弾性要素の張力を修正するように構成される、請求項9に記載の運動装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体は前記横方向に細長く、人差し指から小指までのための支持を提供するように構成されるか、又は
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体は複数の独立した遠位指節骨支持体を含み、各々1つは前記長手方向に案内され、独立した凹状遠位指節骨座部を画定するか、又は
前記少なくとも1つの遠位指節骨支持体は複数の独立した遠位指節骨支持体であり、各々1つは前記長手方向に案内され、独立した凹状遠位指節骨座部を画定するように構成され、各独立した遠位指節骨支持体は独立した弾性要素を有し、各弾性要素の弾性抵抗は独立して調整可能である、請求項1に記載の運動装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記通信アンテナ又は前記データ接続ポートを介して、ポータブルコンピューティングデバイスに接続され、
前記ポータブルコンピューティングデバイス、前記通信アンテナ、前記データ接続ポート、前記ポータブルコンピューティングデバイスのメモリ、インターフェース、及び前記コンピューティングデバイスが共同してソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され、
前記運動装置の前記制御装置は、前記少なくとも1つの測定装置から前記ポータブルコンピューティングデバイスに情報を送信するように構成されており、
前記ソフトウェアアプリケーションは前記運動装置の前記制御装置によって供給される情報を分析するためのアルゴリズムを実行するように構成されている、請求項2に記載の運動装置。
【請求項13】
前記ポータブルコンピューティングデバイスは、湿度センサー、温度センサー、大気圧センサー、GPS測位センサー、方位センサー、運動が行われる時間又は日付又はその持続時間を決定するように構成された時間計から選択される少なくとも1つの追加の測定装置を含み、
前記ポータブルコンピューティングデバイスは、前記少なくとも1つの追加の測定装置によって提供された情報を前記運動装置に送信するように、又は前記アルゴリズムによって前記運動装置から送信された情報とともに前記情報を分析するように構成されている、請求項12に記載の運動装置。
【請求項14】
前記ポータブルコンピューティングデバイスはリモートサーバへの接続を含み、前記少なくとも1つの測定装置によって取得された情報を前記リモートサーバへ送信するように構成される、請求項12に記載の運動装置。
【請求項15】
請求項12に記載のシステムによって、クライミングのための密着性を決定する方法であって、
前記運動装置をクライミング現場へ運ぶステップと、
所定の調整パラメータに従って前記運動装置を構成するステップと、
前記運動装置内に手を置き、前記手のひらの手根骨領域を前記手根骨支持体内に、前記手の遠位指節骨領域を遠位指節骨支持体内に、前記伸長したグリップポジションで支持し、前記遠位指節骨支持体がユーザの手から脱出するまでの前記移動距離に沿って、前記アーチ状のグリップポジションに向かって、前記手根骨支持体と前記遠位指節骨支持体との間で相対的に摺動させることによって、グリップテストを実行するステップと、
前記ソフトウェアアプリケーションによって実行される前記アルゴリズムによって、記憶された基準データに関連して、前記グリップテストの結果の前記分析に基づいてクライミング性能推定値を計算し、前記グリップテストの結果とクライミング性能データとを相関させるステップと、を含む方法。
【請求項16】
前記基準データは、分析されるべき前記グリップテストと同じ所定のパラメータを用いて実行された前記グリップテストの結果を含み、
前記所定の調整パラメータは、概ね前記矢状方向に面する矢状方向遠位指節骨表面上の摩擦遠位指節骨座部を画定する遠位指節骨支持体の配置、又は前記遠位指節骨支持体の概ね前記矢状方向に面する表面の前記摩擦遠位指節骨座部としての使用を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記脱出が生じる前記移動距離の点が、前記歪みセンサーによって、前記動きセンサーによって、又は前記歪みセンサー又は前記動きセンサーによって供給される情報に対して前記アルゴリズムによって実行される分析によって決定される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記記憶された基準データはまた、前記グリップテストの結果及び前記クライミング性能データを、前記グリップテスト及びクライミングが実行されたとき及び実行された場所における既存の環境大気値を参照して、記憶された情報と相関させ、前記方法は、前記クライミング現場における環境大気値を取得するステップと、前記測定され記憶された環境大気値を考慮して前記クライミング性能推定値を計算するステップとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記記憶された基準データはまた、前記グリップテストの結果及び前記クライミング性能データを、前記グリップテスト及びクライミングが実行された場所の地理的位置についての記憶された情報と相関させ、前記方法は、前記グリップテストが実行される場所の地理的位置の値を取得するステップと、前記グリップテストの結果を、同じ地理的位置、又は類似のクライミング条件を有する同等の地理的位置で取得された記憶された基準データと比較することによって、前記クライミング性能推定値を計算するステップとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記制御装置は通信アンテナ又はデータ接続ポートを含む、請求項2に記載の運動装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5
【国際調査報告】