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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】二輪車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/415 20200101AFI20250212BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20250212BHJP
   B62J 27/00 20200101ALI20250212BHJP
   B62J 1/12 20060101ALI20250212BHJP
   B62J 1/10 20060101ALI20250212BHJP
   B62J 50/21 20200101ALI20250212BHJP
   B62J 33/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B62J45/415
B62J45/00
B62J27/00
B62J1/12 A
B62J1/10
B62J50/21
B62J33/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547569
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-10-04
(86)【国際出願番号】 IN2022050982
(87)【国際公開番号】W WO2023152758
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】202241007458
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196110
【氏名又は名称】ティーヴィーエス モーター カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TVS MOTOR COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グナセカラン,マニカンダン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジャヤ ヴェルサミー ジャナース,ラマサミー
(72)【発明者】
【氏名】プシュパラジ,ソワンサヤ
(57)【要約】
本発明は、二輪車両(10)に関する。二輪車両(10)は、ヘッドパイプ(12)と、メインチューブ(13)とを備える。メインチューブ(13)は、ヘッドパイプ(12)から後方向に延びる。メインチューブ(13)は、ヘッドパイプ(12)から後方向に延びる第1のセクション(13a)と、第1のセクション(13a)から後方向および下方向に延びる第2のセクション(13b)とを有する。本発明は、車両(10)の傾き角度値を検出するように構成され、電子制御ユニット(ECU)(54)に通信可能に結合された、傾き角度センサ(50)をさらに備える。傾き角度センサ(50)は、メインチューブ(13)の第2のセクション(13b)上に取り付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車両(10)であって、
ヘッドパイプ(12)と、
前記ヘッドパイプ(12)から後方に延びるメインチューブ(13)であって、前記ヘッドパイプ(12)から後方に延びる第1のセクション(13a)と、前記第1のセクション(13a)から後方向および下方向に延びる第2のセクション(13b)とを有する、メインチューブと、
前記車両(10)の傾き角度値を検出するように構成され、電子制御ユニット(ECU)(54)に通信可能に結合された傾き角度センサ(50)であって、前記メインチューブ(13)の前記第2のセクション(13b)上に取り付けられる、傾き角度センサと
を備える、二輪車両。
【請求項2】
前記傾き角度値が、前記二輪車両(10)の傾斜である、請求項1に記載の二輪車両(10)。
【請求項3】
前記傾き角度センサ(50)が前記二輪車両(10)の重心近くに位置決めされるように、前記傾き角度センサ(50)が、車両の前後方向におけるエンジン(25)の後ろの、および車両の上下方向におけるエンジン取り付けブラケット(52)の上方の領域内の前記第2のセクション(13b)上に取り付けられる、請求項1に記載の二輪車両(10)。
【請求項4】
前記第2のセクション(13b)上に前記傾き角度センサ(50)を取り付けるための取り付けユニット(56)を備え、前記取り付けユニット(56)は、
前記車両の上下方向に第1の端部(58a)と第2の端部(58b)との間を延びる垂直部材(58)であって、前記傾き角度センサ(50)が前記垂直部材(58)上に取り付けられるように構成される、垂直部材と、
前記メインチューブ(13)の前記第2のセクション(13b)に向かう方向に前記垂直部材(58)の前記第1の端部(58a)から延びる水平部材(60)であって、前記メインチューブ(13)の前記第2のセクション(13b)に固定的にまたは着脱可能に取り付けられるように構成される、水平部材と
を備える、請求項1に記載の二輪車両(10)。
【請求項5】
シート(30)の温度を制御するための1つまたは複数の温度制御ユニットと、前記1つまたは複数の温度制御ユニットを制御するためのコントローラとを有する前記シート(30)をさらに備える、請求項1に記載の二輪車両(10)。
【請求項6】
二輪車両(10)の傾き角度値を検出するための方法(100)であって、
電子制御ユニット(ECU)(54)によって、傾き角度センサ(50)から前記二輪車両(10)の傾き角度値を受信するステップ(101)であって、前記傾き角度センサ(50)は、メインチューブ(13)の第2のセクション(13b)上に取り付けられ、前記メインチューブ(13)は、ヘッドパイプ(12)から後方向に延び、前記メインチューブ(13)は、ヘッドパイプ(12)から後方向に延びる第1のセクション(13a)を備え、前記第2のセクション(13b)は、前記第1のセクション(13a)から後方向および下方向に延びる、ステップと、
前記電子制御ユニット(54)によって、前記傾き角度値を所定の値と比較するステップ(102)と、
前記電子制御ユニット(54)によって、前記傾き角度値が前記所定の値よりも大きいときに第1の動作を、前記傾き角度値が前記所定の値よりも小さいときに第2の動作を実行するステップ(103、104)と
を含む、方法。
【請求項7】
前記第1の動作が、車両の静的状態または車両の動的状態において前記二輪車両(10)の可動性を担う1つまたは複数のアクチュエータを不能にすることと、前記傾き角度値を速度計に送信することであって、前記速度計は、前記傾き角度値を1つまたは複数の第1の色を使用して表示する、送信することと、前記二輪車両(10)の運転者に触覚フィードバックを提供することと、可聴アラームを生成することとのうちの1つまたは複数を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の動作が、前記傾き角度値を前記速度計に送信することであって、前記速度計は、前記傾き角度値を1つまたは複数の第2の色を使用して表示する、送信することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数のアクチュエータが、前記二輪車両(10)の点火スイッチと、燃料注入システムとを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記触覚フィードバックが、前記運転者がハンドルバーを握る領域内の前記二輪車両(10)の前記ハンドルバーにもたらされる振動である、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車両に関する。より詳細には、本発明は、二輪車両上への傾き角度センサの取り付けに関する。
【背景技術】
【0002】
オートバイなどの二輪車両には、通常、車両の傾き角度値をリアルタイムで検出する傾き角度センサが設けられる。傾き角度は、車両がコーナにおいて、または方向転換中に傾けられる角度である。傾き角度値を検出するいかなる手段も有さない車両の場合、車両が傾きすぎる場合、またはハイサイド状態中、車両の横たわり配向が、車両のエンジン、ライダーの安全に悪影響を与え、車両の燃料タンクからの燃料漏洩などのさまざまな問題を引き起こすことがある。傾き角度センサを有する車両では、傾き角度センサは、車両の傾き角度値を検出し、これは、ライダーに表示される。ライダーへの傾き角度値の表示は、ライダーが自身の走行パフォーマンスを評価すると共に、車両のロールオーバなどの事象を回避するのを助ける。
【0003】
傾き角度センサが設けられた車両では、傾き角度センサは、車両の重心から離れて位置する。さらに、傾き角度センサは、車両の傾斜のみを検出する。傾斜は、車両の長手方向軸の周りの回転である。車両の傾斜のみに基づく傾き角度値の算出は、傾き角度センサが車両の重心から離れて位置する場合、常に正確とは限らない。たとえば、上り坂または下り坂の状態中、傾き角度の算出は、車両のヨーおよび/またはピッチも含まなければならない。ヨーは、垂直軸周りの車両の回転である。ピッチは、横断軸周りの車両の回転である。しかし、傾き角度センサによる車両のヨーおよび/またはピッチの検出が無い場合、傾き角度値の算出は正確ではない。種々の地形においてライダーに表示される傾き角度値が不正確であることにより、ライダーに偽りの保証がもたらされ、これもまた、ライダーの安全性に関わる。
【0004】
前述の欠点を克服するために、既存の技術は、車両のヨーおよび/またはピッチを含むための傾き角度センサの較正を教示している。傾き角度センサのそのような較正は、オフセットを設定して車両のヨーおよび/またはピッチを補償することを含む。しかし、そのような較正は複雑であり、そのような較正の後でも、傾き角度センサによって取得された傾き角度値は、正確でないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述を鑑みて、既存の技術の上述した欠点を克服する必要があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様では、傾き角度センサを有する二輪車を開示する。二輪車両は、ヘッドパイプとメインチューブとを備える。メインチューブは、ヘッドパイプから後方向に延びる。メインチューブは、ヘッドパイプから後方向に延びる第1のセクションと、第1のセクションから後方向および下方向に延びる第2のセクションとを有する。二輪車両は、車両の傾き角度値を検出するように構成された傾き角度センサをさらに備える。傾き角度センサは、メインチューブの第2のセクション上に取り付けられ、電子制御ユニット(ECU)に通信可能に結合される。
【0007】
一実施形態では、傾き角度の検出は、車両の傾斜の検出に対応する。傾斜は、車両の長手方向軸の周りの回転である。
【0008】
一実施形態では、傾き角度センサが車両の重心近くに位置決めされるように、傾き角度センサは、車両の前後方向における車両のエンジンの後ろの、および車両の上下方向におけるエンジン取り付けブラケットの上方の領域内のメインチューブの第2のセクション上に取り付けられる。
【0009】
一実施形態では、二輪車両は、メインチューブの第2のセクション上に傾き角度センサを取り付けるための取り付けユニットを備える。1つの非限定的な例では、取り付けユニットは、垂直部材と水平部材とを備える。垂直部材は、車両の上下方向に第1の端部と第2の端部との間を延び、傾き角度センサを垂直部材上に取り付けることができるように構成される。水平部材は、メインチューブの第2のセクションに向かう方向に垂直部材の第1の端部から延びる。水平部材は、メインチューブの第2のセクションに固定的にまたは着脱可能に取り付けられるように構成される。
【0010】
本発明の別の態様では、本発明は、二輪車両の傾き角度を検出するための方法を開示する。方法は、電子制御ユニットによって、傾き角度センサから車両の傾き角度値を受信するステップを含む。傾き角度センサは、メインチューブの第2のセクション上に取り付けられる。メインチューブは、車両のヘッドパイプから後方向に延び、第1のセクションと第2のセクションとを備える。第1のセクションは、ヘッドパイプから後方向に延び、第2のセクションは、メインチューブの第1のセクションから後方向および下方向に延びる。方法は、電子制御ユニットによって、車両の傾き角度値を所定の値と比較するステップをさらに含む。方法は、電子制御ユニットによって、傾き角度値が所定の値よりも大きいときに第1の動作を、傾き角度値が所定の値よりも小さいときに第2の動作を実行するステップをさらに含む。
【0011】
一実施形態では、第1の動作は、(i)車両の静的状態または車両の動的状態において車両の可動性を担う1つまたは複数のアクチュエータを不能にすることと、(ii)傾き角度値を速度計に送信することであって、速度計は、傾き角度値を1つまたは複数の第1の色を使用して表示する、送信することと、(iii)車両の運転者に触覚フィードバックを提供することと、(iv)可聴アラームを生成することとのうちの1つまたは複数を含む。第2の動作は、傾き角度値を速度計に送信することであって、速度計は、車両の傾き角度を1つまたは複数の第2の色を使用して表示する、送信することを含む。
【0012】
一実施形態では、1つまたは複数のアクチュエータは、車両の点火スイッチおよび/または燃料注入システムである。
【0013】
一実施形態では、触覚フィードバックは、運転者がハンドルバーを握る領域内の車両のハンドルバーにもたらされる振動である。
【0014】
添付の図にその例が示され得る本発明の実施形態を参照する。これらの図は、限定的ではなく例証的であることを意図する。本発明は、全般的に、これらの実施形態の文脈で説明されるが、これは、本発明の範囲をこれらの特定の実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による二輪車両を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による、車両のフレーム構造およびフレーム構造上に取り付けられた傾き角度センサを示す図である。
図3】本発明の一実施形態による、エンジンおよびエンジン取り付けブラケットに対する傾き角度センサの位置を示す図である。
図4】本発明の一実施形態による、メインチューブ上に傾き角度センサを取り付けるための取り付けユニットを示す図である。
図5】本発明の一実施形態による、二輪車両の傾き角度を検出するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここでの本発明のさまざまな特徴および実施形態は、これ以後記載される、以下のそのさらなる説明から認識できるであろう。長手方向軸は、二輪車両に対して前後の軸を指して、車両の長手方向を規定しており、横/横断軸は、二輪車両に対して横方向の、または左右の軸を示して、車両の横/幅方向を規定していることを理解されたい。図の右上コーナに提供されている矢印は、二輪車両に対する方向を示しており、ここでは、適宜、矢印Fは前方向を示し、矢印Rは後方向を示し、矢印UPは上方向を示し、矢印DWは下方向を示す。また、本明細書で使用する言い回しおよび専門用語は、説明の目的にすぎず、限定的であるとみなされてはならないことを理解されたい。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による二輪車両10を示す。
【0018】
二輪車両10は、車両10の異なる部分を支持するための(図2に示す)フレーム構造11を備える。ヘッドチューブ12が、前記フレーム構造11の前端部に設けられる。ヘッドチューブ12は、操縦シャフト(図示せず)を特定の範囲内で回転可能に支持する。ヘッドチューブ12の上側部分内には、ハンドルバー20が、操縦シャフトに回転可能に接続される。ハンドルバー20は、車両10を操縦するために使用され、前方フォークアセンブリ23を通って前輪21に接続される。前方フォークアセンブリ23は、さらに、上側および下側ブラケット(図示せず)の対によってハンドルバー20に接続される。前方フォークアセンブリ23は、前方フェンダ22上に部分的にさらに支持され、前輪21に接続される。前輪21の上側部分は、前方フェンダ22によって覆われ、前方フェンダは、泥および水が前方フォークアセンブリ23の上側部分に向かって偏向されることを防止する。
【0019】
フレーム構造11の前方部分内には、燃料タンク24が、ハンドルバー20のすぐ後ろに配置され、フレーム構造11のメインチューブ13上に、内燃エンジンなどのエンジン25の上方に配設される。燃料ポンプが設けられる実施形態では、燃料供給システムの一部を構成する燃料タンク24は、前記供給システムの一部をこれもまた形成する燃料ポンプ(図示せず)を通してエンジン25に燃料を供給する。燃料ポンプが存在しない別の実施形態では、燃料タンク24は、キャブレター(図示せず)を通してエンジン25に燃料を供給する。シート30が、燃料タンク24の後ろに置かれる。シート30は、前方ライダー用部分と後方乗員用部分とを備える。一実施形態では、前方ライダー用部分および後方乗員用部分は、別個のシート部分として設けられる。一実施形態では、前方ライダー用部分および後方乗員用部分は、単一のシート部分として設けられる。
【0020】
ライダーの安全のために、そして交通規則に従って、ヘッドランプユニット31および方向指示ランプユニット32が、車両10の前方部分内に設けられる。ヘッドランプユニット31および方向指示ランプユニット32は、ヘッドランプハウジングアセンブリ33内に収容される。
【0021】
前記二輪車両10の安全性は、安定した状態ならびに動的状態において車両10の傾き角度値をリアルタイムで検出するように構成された傾き角度センサ50(図2を参照)を設けることによって、さらに改善される。傾き角度センサ50は、車両のフレーム構造11上に取り付けられ、本発明の図2図4で詳細に論じられる。
【0022】
さらに、空気清浄機36が、メインチューブ13から後方向に延びる後方チューブ14の対に固定される。また、サスペンションシステムが、道路上での前記車両10の快適な操縦のために設けられる。前方サスペンションシステムを形成する前方フォークアセンブリ23は、正にフレーム構造11のような剛性構成要素としての役割を果たす。上側ブラケット(図示せず)および下側ブラケット(図示せず)によってヘッドチューブ12にクランプされた前方フォークアセンブリ23は、車両10の左右方向に移動することができる。さらに、油圧式減衰配置であり得る後方サスペンションシステム37が、フレーム構造11にその後方部分において接続される。特に、フレーム構造11の後方部分において、後輪35は、後方サスペンションシステム37によって懸架される。
【0023】
エンジン25は、エンジン取り付けブラケット(図3を参照)によってフレーム構造11の前方下側部分に取り付けられ、メインチューブ13の一部の下方に配設される。エンジン25には排気システムが装備され、排気システムは、エンジン25に接続された排気管(図示せず)と、排気管に接続されたマフラー(図示せず)とを備える。マフラー(図示せず)は、後輪35に沿って後方向に延びる。
【0024】
エンジン25からの動力は、トランスミッションアセンブリ26を通して後輪35に伝えられ、それによって後輪35を駆動し、回転させる。トランスミッションアセンブリ26は、ギヤ列を含むギヤボックスと、ギヤボックスを後輪35に接続する駆動機構とを備える。特に、ギヤ列は、ギヤシフトシャフトと、可変のギヤ比をそれぞれが有する複数のギヤとを備える。特に、トランスミッションアセンブリ26のギヤシフトシャフト(図示せず)に動作可能に接続されたギヤシフト連係アセンブリの作動によって、速度変更が達成される。
【0025】
したがって、エンジン25からの動力は、スイングアーム47の後端部に回転可能に支持された後輪35に伝えられる。後輪35の上側側部を覆うための後方フェンダ48が、フレーム構造の後方部分に取り付けられて、回転する後輪35によって飛びはねた泥および水がマフラー、エンジン25、および後輪35の近くに配設された他の部分に入るのを防止する。車両10の全体的な審美性を高め、望ましくない異物粒子が車両10の部分に入るのを防止するために、複数の後方カバー49が、フレーム構造の後方部分に取り付けられる。
【0026】
一実施形態では、車両10は、ハイブリッド車両であり、車両を走らせるための代替電源として電気モータを備える。
【0027】
一実施形態では、車両10は、一体型スタータジェネレータと、一体型スタータジェネレータコントローラとを備える。
【0028】
一実施形態では、長距離走行中にライダーが直面する熱的快適性の低さの問題に対処するために、熱電性シートモジュールなどの1つまたは複数の温度制御ユニットが、シート内に設けられて、ライダーの熱的快適性を高める。さらに、1つまたは複数の熱電性モジュールを制御するためのコントローラもまた、シート30内に設けられる。一実施形態では、コントローラと、2つのシートモジュール、およびモジュール/コントローラを作動させるための1つまたは複数のスイッチとの接続を容易に行うことができるように、熱電性モジュールおよびコントローラは、シートのシート発泡体内に位置決めされる。また、コントローラから車両の種々の構成要素までのワイヤは、簡単にルーティングされなければならない。コントローラは、スイッチからの入力を受信した後に、発泡体内側に位置するシートモジュール(シート内の加熱/冷却または加熱/冷却のレベル)を作動させる。スイッチは、車両の幅方向にシート30の左側または右側に位置することができる。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態による、車両10のフレーム構造11およびフレーム構造11上に取り付けられた傾き角度センサ50を示す。図3は、本発明の一実施形態による、エンジン25およびエンジン取り付けブラケット52に対する傾き角度センサ50の位置を示す。
【0030】
図示するように、フレーム構造11のメインチューブ13は、ヘッドパイプ12から後方向に延びる。メインチューブ13は、第1のセクション13aと第2のセクション13bとを備える。第1のセクション13aは、ヘッドパイプ12から後方向に延び、第2のセクション13bは、第1のセクション13aから後方向および下方向に延びる。傾き角度センサ50は、メインチューブ13の第2のセクション13b上に取り付けられる。
【0031】
より詳細には、図3に示すように、傾き角度センサ50は、車両の前後方向におけるエンジン25の後ろの、および車両の上下方向におけるエンジン取り付けブラケット52の上方の領域内のメインチューブ13の第2のセクション13b上に配置される。
【0032】
したがって、傾き角度センサ50は、車両10の実質的に中央部分に位置しており、このとき、車両10の重心は、前記傾き角度センサ50に近接近して位置している。傾き角度センサ50が車両10の重心の近くの領域内に取り付けられるとき、車両10のピッチおよび/またはヨーは、車両10の傾き角度値の算出に必要とされないことを理解されたい。車両10の傾き角度値は、車両10の傾斜を検出するだけで正確に算出することができる。したがって、車両10のピッチおよび/またはヨーを含むための傾き角度センサ50の複雑な較正は、回避される。換言すれば、傾き角度センサを車両の重心の近くに取り付けることにより、較正が簡単で正確になるため、較正は複雑でなくなり、また、その開発のためにより多くの時間および労力を必要としない。傾き角度センサ50の構造または機能に変更はないことを理解されたい。本発明は、車両10の傾き角度の正確な測定のために、傾き角度センサの取り付け場所を変更する。
【0033】
傾き角度センサは、電子制御ユニット(ECU)54に通信可能に結合される。図3に示すようなECU54の配置は、限定的であると解釈されてはならず、ECUは、これが傾き角度センサ50と効果的に通信することができる車両10の異なる部分上に配置することができる。傾き角度センサ50は、ECU54と電気的にインターフェース接続される。一実施形態では、ECU54は、傾き角度センサ50にセンサ電源およびグランドを提供し、傾き角度センサ50からの出力を受信する。一実施形態では、傾き角度センサのルーティングは、エンジン作動に必要とされる他の主要センサとインターフェース接続しないようなものである。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態による、メインチューブ13上に傾き角度センサ50を取り付けるための取り付けユニット56を示す。
【0035】
図示するように、取り付けユニット56は、垂直部材58と水平部材60とを備える。垂直部材58は、車両の上下方向に第1の端部58aと第2の端部58bとの間を延びる。傾き角度センサ50は、垂直部材58上に取り付けられる。水平部材60は、垂直部材58の第1の端部58aから延び、メインチューブ13の第2のセクション13bに向かう方向に延びる。水平部材60は、メインチューブ13の第2のセクション13bに固定的にまたは着脱可能に取り付けられるように構成される。
【0036】
一実施形態では、垂直部材58は、傾き角度センサ50上に設けられた1つまたは複数の取り付け穴M2に対応する1つまたは複数の取り付け穴M1を有する。組み立て中、垂直部材58上の1つまたは複数の取り付け穴は、傾き角度センサ50上の1つまたは複数の取り付け穴と位置合わせされ、当業者に知られているボルト、ナット、ねじ、ワッシャ、スタッド、リベット、アンカー、インサート、およびねじ付きロッドなどの1つまたは複数の締結具Fによって固定される。
【0037】
一実施形態では、水平部材60は、当技術分野で知られている溶接などの手段によってメインチューブの第2のセクションに固定的に取り付けられる。
【0038】
一実施形態では、水平部材60は、クランプユニットによってメインチューブの第2のセクションに着脱可能に取り付けられる。
【0039】
一実施形態では、水平部材60は、メインチューブの第2のセクション上に配置されたブラケットに着脱可能に取り付けられる。
【0040】
取り付けユニット58の形状は、限定的であると解釈されてはならず、取り付けユニット58の他の形状を使用して、メインチューブの第2のセクション上に傾き角度センサを取り付けることができることも理解されたい。1つの非限定的な例では、取り付けユニットは、Z形状にされる。
【0041】
図5は、本発明の一実施形態による、二輪車両10の傾き角度値を検出するための方法100を示す。
【0042】
ステップ101として、方法は、電子制御ユニット(ECU)54によって、傾き角度センサ50から車両10の傾き角度値を受信するステップを含む。傾き角度センサ50は、メインチューブ13の第2のセクション13b上に取り付けられる。メインチューブ13は、車両10のヘッドパイプ12から後方向に延び、第1のセクション13aと第2のセクション13bとを備える。第1のセクション13aは、ヘッドパイプ12から後方向に延び、第2のセクション13bは、メインチューブ13の第1のセクション13aから後方向および下方向に延びる。傾き角度センサ50によって検出された傾き角度値は、ECU54にリアルタイムで送信される。
【0043】
ステップ102では、方法は、車両の傾き角度を所定の値と比較するステップを含む。ステップ102は、ECU54によって実行される。
【0044】
ステップ103では、方法は、傾き角度値が所定の値よりも大きいときに第1の動作を実行するステップを含む。ステップ103は、ECU54によって実行される。
【0045】
ステップ104では、方法は、傾き角度値が所定の値よりも小さいときに第2の動作を実行するステップを含む。ステップ104は、ECU54によって実行される。
【0046】
一実施形態では、第1の動作は、(i)車両の静的状態または車両の動的状態において車両の可動性を担う1つまたは複数のアクチュエータを不能にすることと、(ii)傾き角度値を速度計に送信することであって、速度計は、傾き角度値を1つまたは複数の第1の色を使用して表示する、送信することと、(iii)車両の運転者に触覚フィードバックを提供することと、(iv)可聴アラームを生成することとのうちの1つまたは複数を含む。
【0047】
1つの非限定的な例では、1つまたは複数のアクチュエータは、車両の点火スイッチおよび/または燃料注入システムを備える。別の非限定的な例では、傾き角度値は、赤色を使用して表示される。別の非限定的な例では、ECU54は、ハードウェアを通して、または通信エリアネットワーク(CAN)通信を通して車両の速度計と通信する。別の非限定的な例では、傾き角度値は、速度計上に数字で表示される。別の非限定的な例では、可聴アラームを生成する前に、アラーム通知がライダーに与えられる。別の非限定的な例では、触覚フィードバックは、運転者がハンドルバーを握る領域内の車両(10)のハンドルバーにもたらされる振動である。
【0048】
一実施形態では、第2の動作は、傾き角度値を速度計に送信することであって、速度計は、傾き角度値を1つまたは複数の第2の色を使用して表示する、送信することを含む。1つの非現的な例では、傾き角度値は、緑色を使用して表示される。
【0049】
第1の動作は、ライダーの安全のために、および/または傾き角度が所定の角度よりも大きいことをライダーに警告するために、ECU54によって実行されることを理解されたい。たとえば、車両に乗車しているライダーが落下し、1つまたは複数のアクチュエータが不能になったとき、車両は、それ自体およびライダーに損傷を与えることがある。
【0050】
所定の角度は、通常、車両の製造者によって事前に設定される。1つの非限定的な例では、所定の値は、車両の方向転換および/または傾き中に安全である傾き角度の最大値である。
【0051】
有利には、本発明は、複雑な較正無しに車両10の傾き角度の正確な値を取得する。換言すれば、傾き角度の算出のために車両のヨーおよびピッチを含むための傾き角度センサの複雑な較正は、必要とされない。換言すれば、本発明は、傾き角度センサの較正の必要性を排除する。傾き角度センサ50の構造または機能に変更はない。本発明は、車両10の傾き角度の簡単で正確な測定のために、傾き角度センサの取り付け場所を変更する。本発明は、さらに、ライダーにフィードバックを提供して顧客の体験を向上させる。本発明は、さらに、アラーム通知、触覚フィードバック、および可聴アラームなどの警告信号をライダーに提供して、傾き角度値が所定の値/閾値を超えるときにロールオーバの危険性について通知する。本発明は、さらに、傾き角度値が所定の値/閾値を超えたときに車両の1つまたは複数のアクチュエータを不能にするなどの安全機構を提供する。そのような安全機構は、車両ならびにライダーに与える損傷が最小限であることを保証する。
【0052】
上記で論じた特許請求されるステップは、従来の技術における既存の問題に対する以下の解決策を可能にするため、当技術分野において慣例的な、従来的な、またはよく理解されているものではない。詳細には、車両10の傾き角度の算出のために、ヨーおよびピッチを含むために傾き角度センサ50を較正する技術的な問題は、傾き角度センサ50の取り付け場所を、本発明において特許請求されるように変更することによって解決される。換言すれば、傾き角度センサ50を車両10の重心のより近くに取り付けることにより、車両の傾斜のみが、車両10の傾き角度の正確な算出に必要とされる。
【0053】
さらに、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体が、本発明と一貫した実施形態を実施するために利用され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって可読な情報またはデータが記憶され得る任意のタイプの物理的メモリを示す。したがって、コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に説明する実施形態と一貫したステップまたはステージをプロセッサに実行させるための命令を含む、電子制御ユニットの1つまたは複数のプロセッサによる実行のための命令を記憶し得る。用語「コンピュータ可読媒体」は、有形物を含み、搬送波および過渡信号を除外する、すなわち非一時的であるように理解されなければならない。例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードドライブ、CD ROM、DVD、フラッシュドライブ、ディスク、および任意の他の知られている物理的記憶媒体が含まれる。
【0054】
特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更および改変がなされてもよいことが、当業者に明らかになるであろう。
【符号の説明】
【0055】
10 車両
12 ヘッドパイプ
13 メインチューブ
13a 第1のセクション
13b 第2のセクション
14 後方チューブ
20 ハンドルバー
21 前輪
22 前方フェンダ
23 前方フォークアセンブリ
24 燃料タンク
25 エンジン
26 トランスミッションアセンブリ
30 シート
31 ヘッドランプユニット
32 方向指示ランプユニット
33 ヘッドランプハウジングアセンブリ
35 後輪
36 空気清浄機
37 後方サスペンションシステム
47 スイングアーム
48 後方フェンダ
49 後方カバー
50 傾き角度センサ
52 エンジン取り付けブラケット
54 電子制御ユニット
56 取り付けユニット
58 垂直部材
58a 垂直部材の第1の端部
58b 垂直部材の第2の端部
60 水平部材
M1 垂直部材上の取り付け穴
M2 傾き角度センサ上の取り付け穴
F 締結具
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】