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特表2025-505043分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント及び製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 23/00 20060101AFI20250212BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20250212BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20250212BHJP
   A61L 31/16 20060101ALI20250212BHJP
   C22C 23/06 20060101ALI20250212BHJP
   C22F 1/06 20060101ALN20250212BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20250212BHJP
【FI】
C22C23/00
A61L31/02
A61L31/04 110
A61L31/16
C22C23/06
C22F1/06
C22F1/00 624
C22F1/00 623
C22F1/00 630A
C22F1/00 630K
C22F1/00 620
C22F1/00 675
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 640Z
C22F1/00 613
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547723
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-10-07
(86)【国際出願番号】 CN2022133109
(87)【国際公開番号】W WO2023151343
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】202210131931.X
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510079606
【氏名又は名称】北京美中双和医療器械股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AMSINOMED MEDICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】NO.48, Keji Road, Miyun Development Zone, Miyun District, Beijing City, 101500, China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】任鶴飛
(72)【発明者】
【氏名】申▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼冬云
(72)【発明者】
【氏名】李亞南
(72)【発明者】
【氏名】▲シャ▼加
(72)【発明者】
【氏名】潘復生
(72)【発明者】
【氏名】何福桂
(72)【発明者】
【氏名】馬曉意
(72)【発明者】
【氏名】周利鋒
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AC03
4C081AC06
4C081AC08
4C081BA16
4C081BB08
4C081CA082
4C081CA132
4C081CE11
4C081CG08
4C081DA03
4C081DC04
(57)【要約】
本発明は、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント及び製造方法を提供する。マグネシウム合金の総重量を100重量%として、マグネシウム合金は、Gd 3.0-6.0重量%、Y 2.5-5.5重量%、Li 1.0~3.0重量%、Zn O.3-1.0重量%、Zr 0.2-1.0%、及び残部のMgを含む。ステントは、有限要素設計により、良好なラジアル支持強度とひずみ分散性能を有する。保護コーティング層を使用したマグネシウム合金ステントの耐腐食性能は大きく向上する。三酸化二ヒ素又はラパマイシンとタクロリムスとの複合薬物徐放システムを用いて、血管の損傷修復過程に十分に適応する。大動物のインプラント結果は、血管ステントシステムが良好な再狭窄防止治療作用を有することを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム合金の総重量を100重量%として、Gd 3.0-6.0重量%、Y 2.5-5.5重量%、Li 1.0-3.0重量%、Zn 0.3-1.0重量%、Zr 0.2-1.0重量%、及び残部のMgを含む、分解性バイオ医療用マグネシウム合金。
【請求項2】
ステント基体(1)、及びステント基体に内から外に向かって設置される重合体中間層(7)と、重合体保護層(6)と、薬物コーティング層(8)とを含む分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントであって、
前記ステントの総重量を100重量%として、前記ステント基体(1)の材質がGd 3.0-6.0重量%、Y 2.5-5.5重量%、Zn 0.3-1.0重量%、Zr 0.2-1.0重量%、及び残部のMgを含む、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項3】
前記ステント基体(1)が主に複数の環状の支持体(2)、接続体(3)及び端部現像構造(4)からなり、各支持体(2)と現像構造(4)との間が接続体(3)により接続される、請求項2に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項4】
前記支持体(2)が主に支持ユニット(5)からなり、各支持ユニット(5)が1つの波型ロッド(51)、2つの波型ロッド接続セクション(52)及び1つの円弧体(53)からなり、波型ロッド接続セクション(52)が波型ロッド(51)の両端に設置され、一端の波型ロッド接続セクション(52)が同一の支持ユニットの円弧体(53)の両端の一端に接続され、他端の波型ロッド接続セクション(52)が隣接する支持ユニットの円弧体(53)の一端に接続され、環状の支持体(2)を構成する、請求項3に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項5】
前記波型ロッド接続セクション(52)の幅が、波型ロッドの幅よりも0.01mm-0.05mm小さい、請求項4に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項6】
波型ロッド(51)の幅が0.1mm-0.18mmであり、波型ロッドの長さが0.35mm-1.2mmである、請求項5に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項7】
前記円弧体(53)が外側の外円弧(531)と内側の内円弧(532)とを含み、内円弧(532)と外円弧(531)のそれぞれ位置する円の円心が、ともに同一の円弧体(53)に接続された2つの波型ロッド(51)の対称軸上に位置し、且つ同心ではなく、外円弧(531)の円心が内円弧(532)の円心よりも円弧頂点側にあり、内円弧(532)と外円弧(531)との間隔が波型ロッド接続セクション(52)との接続部において最も小さく、円弧体(53)の頂点方向に向かって徐々に増加し、前記対称軸において最大である、請求項4に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項8】
前記外円弧(531)の直径が0.24-0.82mmであり、中心角がπ/2-3π/2であり、前記内円弧(532)の直径が0.02-0.60mmであり、中心角がπ/2-3π/2であり、外円弧の円心と内円弧の円心との間隔が0.01-0.05mmである、請求項7に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項9】
前記内円弧(532)と外円弧(531)との最大間隔が波型ロッドの幅よりも0.01mm-0.05mm大きく、且つ最小間隔が波型ロッド(51)の幅よりも0.01-0.05mm小さい、請求項7に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項10】
前記波型ロッド接続セクション(52)の両端の幅が、それぞれ波型ロッド(51)の幅及び円弧体(53)の端部の幅と同じであり、中間の幅が徐変して遷移する、請求項9に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項11】
前記ステントの圧縮把持直径が0.8mm-2.8mmであり、拡張直径が2.0mm-8.0mmであり、長さが6mm-150mmである、請求項2から10のいずれか一項に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項12】
前記重合体保護層(6)における重合体がポリフッ化ビニリデン及びその共重合体であり、前記重合体保護層(6)の厚さが2μm-10μmである、請求項2から10のいずれか一項に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項13】
前記重合体中間層(7)がフッ化マグネシウムで封孔処理された重合体中間層であり、前記重合体中間層における重合体がポリフッ化ビニリデン及びその共重合体、ポリメタクリル酸メチル、及びポリメタクリル酸ブチルから選ばれる1種又は複数種の組み合わせであり、前記重合体中間層の厚さが100nm-2000nmである、請求項12に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項14】
前記血管ステントが重合体保護層(6)の外面に設置される薬物コーティング層(8)をさらに含み、前記薬物コーティング層の成分が高分子キャリアと活性薬物とを含み、前記活性薬物がタクロリムスと、ラパマイシン及び三酸化二ヒ素から選ばれる1種との組み合わせである、請求項12に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項15】
前記高分子キャリアの高分子材料が、ポリ乳酸、ラセミポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸-グリコール酸、ポリカプロラクトン及びポリヒドロキシ-酪酸ヒドロキシ吉草酸コポリエステルから選ばれる1種又は複数種の組み合わせである、請求項14に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項16】
前記高分子キャリアと活性薬物との重量比が2:1-10:1である、請求項14に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項17】
前記三酸化二ヒ素又はラパマイシンとタクロリムスとの重量比が1:2-4:1である、請求項14に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項18】
前記薬物コーティング層(8)における三酸化二ヒ素又はラパマイシンの含有量が2-20μg/mmであり、タクロリムス薬物の含有量が1-25μg/mmである、請求項14に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項19】
以下の工程を含む、請求項2から18のいずれか一項に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの製造方法。
(1)ステント基体(1)の加工
(2)重合体中間層(7)の塗布
(3)重合体保護層(6)の塗布
(4)薬物コーティング層(8)の塗布
【請求項20】
前記工程(2)が、重合体中間層にフッ化マグネシウムによる封孔処理を行うことを含み、
前記フッ化マグネシウムによる封孔処理が、重合体中間層が塗布されたステント基体をフッ化処理液に浸漬して、回転数が50~200r/minの水浴シェーカーで継続撹拌することを含み、
前記フッ化処理液がフッ酸溶液とフッ化カリウム溶液により調製してなり、前記フッ酸溶液の体積濃度が10-40%であり、フッ化カリウム溶液の体積濃度が0.5-5mol/Lであり、フッ酸溶液とフッ化カリウム溶液との体積比が100:5-100:50であり、前記フッ化処理液の温度が18-85℃であり、処理時間が30-600minである、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記工程(3)が、塗布された重合体保護層をアニール処理することを含み、
前記アニール処理が、重合体保護層が塗布されたステント基体を真空条件で60-200℃に加熱して1-10h保温し、その後に室温まで降温した後、ステントを取り出すことを含む、請求項19に記載の製造方法。
【請求項22】
前記真空条件の真空度が1×10-3Pa以上である、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記アニール処理が、重合体保護層が塗布されたステント基体を真空条件で60-200℃に加熱して1-10h保温した後、50℃に自然降温し、アルゴンガスを導入してから、さらに室温まで降温した後、ステントを取り出すことを含む、請求項21に記載の製造方法。
【請求項24】
分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの血管狭窄動物モデルにおける評価方法であって、
まず、動物モデルにバルーン拡張の前処理を行い、血管塞栓モデルを形成した後、請求項2から18のいずれか一項に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントをインプラントし、それぞれ術後の異なる時点で血管造影による観察と血管内OCTによる観察の経過観察方式により経過観察を行い、ステントの内膜被覆程度、再狭窄及び分解状況を総合的に評価することを含む、評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器分野に関し、具体的には、本発明は、分解性バイオ医療用マグネシウム合金、血管ステント及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネシウム合金血管ステントの使用過程は、大変形過程である。ステントは、まずバルーン搬送システムに圧縮把持される必要があり、病変部位に到達した後、加圧拡張され、局所歪みが15%以上に達することができる。ほとんどの表面処理は、ステントの拡張後に、局所的に破損することとなる。例えば、フッ化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム及びハイドロキシアパタイトなどの難溶性マグネシウム塩、又は酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどを表面耐食層とする場合には、マイクロアーク酸化、物理蒸着、化成、電気化学蒸着などの方式により、高強固で緻密な表面耐食層を得ても、この耐食層は物質自体が脆いため、大変形過程で必然的に破損や微小クラックが発生し、局所的な保護作用を失う。破損やクラック部位は、通常、応力腐食が深刻な領域であり、ステントの支持力を急速に低下させる。
【0003】
もう一つのステント耐食性を向上させる方法は、マグネシウム合金ステントの表面に高分子ポリマーコーティング層を付加することであるが、ステントの大変形過程の特徴を考慮して、伸び率が低い、又は基体との結合強固さが高くない高分子材料は、実際の要求を満たすことができない。また、ステントのサイズが小さく、構造が複雑であるため、一般的には、高分子材料を有機溶剤に溶解させ、スプレーコート又はスピンコート方式によりステントの表面に塗布し、有機溶剤を揮発させ、保護コーティング層を形成することが必要である。有機溶剤の揮発過程により、コーティング層に微細気孔通路が形成され、マグネシウム合金基体は、通路を介して外部腐食環境とイオン交換することができ、引いてはコーティング層の保護効果を低下させ、特に大変形過程を経た後、応力集中箇所における腐食の進行がより顕著になる。
【0004】
また、ステントの急速な分解によっても、局所的なマグネシウムイオンの濃度が高すぎて炎症と増殖を引き起こす。現在の血管ステント薬物及びその放出システムは、一般的に非分解性ステント又は分解が特に緩やかな分解性ステント(例えば、ポリ乳酸基体、純鉄基体など)に対して設計されたものであり、分解が比較的速いマグネシウム合金血管ステントには適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、分解性バイオ医療用マグネシウム合金を提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを提供することにある。
【0007】
本発明の更に別の目的は、前記分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の血管ステントは、近生理学的条件で大変形過程を経た後、複合コーティング層が応力集中領域に対して依然として良好な保護作用を有し、且つ独特な複合薬物放出制御システムによって、インプラント部位の炎症及び増殖を抑制する。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、一側面において、マグネシウム合金の総重量を100重量%として、Gd 3.0-6.0重量%、Y 2.5-5.5重量%、Li 1.0-3.0重量%、Zn 0.3-1.0重量%、Zr 0.2-1.0重量%及び残部のMgを含む、分解性バイオ医療用マグネシウム合金を提供する。
【0010】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記マグネシウム合金の引張強度は260~350MPaであり、降伏強度は160~280MPaであり、破断伸びは10~28%である。
【0011】
本発明のマグネシウム合金は、良好な生体適合性及び均一腐食性を有する。
【0012】
別の側面において、本発明は、また、ステント基体1、及びステント基体に内から外に向かって設置される重合体中間層7と、重合体保護層6と、薬物コーティング層8とを含む分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントであって、前記ステント基体の総重量を100重量%として、前記ステント基体1の材質がGd 3.0-6.0重量%、Y 2.5-5.5重量%、Zn 0.3-1.0重量%、Zr 0.2-1.0重量%、及び残部のMgを含む、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを提供する。
【0013】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記ステント基体1は、図1図4に示すように、主に複数の環状の支持体2、接続体3及び端部現像構造4からなり、各支持体2と現像構造4との間は、接続体3により接続される。
【0014】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、任意の隣接する2つの支持体2は、互いに鏡像対称である。
【0015】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記支持体2は、主に支持ユニット5からなり、各支持ユニット5は、1つの波型ロッド51、2つの波型ロッド接続セクション52及び1つの円弧体53からなり、波型ロッド接続セクション52は、波型ロッド51の両端に設置され、一端の波型ロッド接続セクション52は、同一の支持ユニットの円弧体53の両端の一端に接続され、他端の波型ロッド接続セクション52は、隣接する支持ユニットの円弧体53の一端に接続され(前記同一の支持ユニットの円弧体53の他端は、他の支持ユニット5の波型ロッド接続セクション52に接続され、即ち、各支持ユニットは、頭尾接続される。)、環状の支持体2を構成する。
【0016】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記支持体2は、主に4-18個の支持ユニット5からなる。
【0017】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記波型ロッド51の幅は、0.1mm-0.18mmである。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記波型ロッド51の長さは、0.35mm-1.2mmである。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記波型ロッド51の長さは、0.80mm-1.2mmである。
【0018】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記波型ロッド接続セクション52の幅は、波型ロッド51の幅よりも0.01mm-0.05mm小さい。
【0019】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記円弧体53は、外側の外円弧531と内側の内円弧532とを含み、内円弧532と外円弧531がそれぞれ位置する円の円心は、ともに同一の円弧体53に接続された2つの波型ロッド51の対称軸上に位置し、且つ同心ではなく、外円弧531の円心は、内円弧532の円心よりも円弧頂点側にあり、内円弧532と外円弧531との間隔は、波型ロッド接続セクション52との接続部において最も小さく、円弧体53の頂点方向に向かって徐々に増加し、前記対称軸において最大である。
【0020】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記外円弧531の直径は0.24-0.82mmであり、中心角はπ/2-3π/2であり、前記内円弧532の直径は0.02-0.60mmであり、中心角はπ/2-3π/2であり、外円弧の円心と内円弧の円心との間隔は0.01-0.05mmである。
【0021】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記外円弧531の直径は0.40-0.80mmであり、中心角はπ/2-3π/2であり、前記内円弧532の直径は0.20-0.45mmであり、中心角はπ/2-3π/2であり、外円弧の円心と内円弧の円心との間隔は0.01-0.05mmである。
【0022】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、外円弧531の直径は、内円弧532の直径より大きい。
【0023】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記内円弧532と外円弧531との最大間隔(即ち、前記対称軸における内円弧532と外円弧531との間隔)は、波型ロッドの幅よりも0.01mm-0.05mm大きく、且つ最小間隔(即ち、円弧体53の2つの端部における内円弧532と外円弧531との間隔)は、波型ロッド51の幅よりも0.01-0.05mm小さい。
【0024】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、波型ロッド接続セクション52の両端の幅は、それぞれ波型ロッド51の幅及び円弧体53の端部の幅と同じであり(即ち、波型ロッド接続セクション52と波型ロッド51との接続部の幅は、波型ロッド51の幅と同じであり、波型ロッド接続セクション52と円弧体53との接続部の幅は、円弧体53の端部の幅と同じであり、これにより、波型ロッド接続セクション52が波型ロッド51及び円弧体53と滑らかに遷移接続されるようにする。)、中間の幅は、徐変して遷移する(即ち、波型ロッドの幅は、波型ロッド51との接続部から円弧体53との接続部まで徐々に小さくなる。)。
【0025】
本発明により提供されるステント構造は、独特な非同心円弧支持ユニット5の設計により、ステント全体構造の応力分布を均一にし、圧縮把持及び拡張などの激しい変形過程において破断しにくく、応力腐食を緩和し、ステントの使用時間を向上させる。
【0026】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記接続体3の形状は、「C」型、「I」型又は「S」型である。
【0027】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記現像構造は、ステント基体の両端に設置される。
【0028】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記現像構造は、現像点41及び現像構造本体42を含み、現像構造本体42に現像孔43が設置される。
【0029】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記現像点41の直径は、0.2mm-0.5mmであり、厚さは0.1mm-0.2mmである。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記現像点41の直径は、現像孔43の直径よりも0.005mm-0.01mm小さい。
【0030】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、各現像構造4に1つ又は2つの現像孔43が設置される。
【0031】
ステント現像が観察角度に影響されることを避けるために、前記ステント現像孔は、一般的に同一軸線にない。
【0032】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記現像点41の材質は、Pt、Au及びPt/Ir合金から選ばれる1種又は複数種の混合である。
【0033】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記現像構造4は、ステント基体の端部の最も外側の2つの支持体の間(例えば、左端の1番目と2番目の支持体の間)に設置される。
【0034】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、現像構造4に接続される2つの隣接する支持体の間の接続体3は「I」型構造であり、他の任意の2つの隣接する支持体の間の接続体3は「C」型構造である。
【0035】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記現像構造4と端部の1番目の支持体2(即ち、最も外側の支持体)との間は、台形接続体44によって接続され、現像構造4と端部の2番目の支持体2との間は、「I」型接続体45によって接続される。
【0036】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記台形接続体44の2つの底辺の幅はそれぞれ0.05-0.35mmであり、2つの底辺の幅の差は0.02-0.08mmである。
【0037】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記台形接続体44の長辺(即ち長底辺)は支持体2に接続され、短辺(即ち短底辺)は現像構造4に接続される。
【0038】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記「I」型接続体の幅は0.05-0.18mmである。
【0039】
前記「I」型接続体本体は長方形形状であり、現像構造及び支持体との接続部に自然面取りが形成される。
【0040】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記ステントの圧縮把持直径は0.8mm-2.8mmであり、拡張直径は2.0mm-8.0mmであり、長さは6mm-150mmである。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記ステントの圧縮把持直径は1.0mm-2.0mmであり、拡張直径は2.2mm-5.0mmであり、長さは10mm-50mmである。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記ステントの圧縮把持直径は1.0mm-1.5mmであり、拡張直径は2.5mm-3.5mmであり、長さは10mm-20mmである。
【0041】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記血管ステントは、図5に示すように、ステント基体1の表面に設置される重合体保護層6をさらに含み、前記重合体保護層における重合体は、ポリフッ化ビニリデン及びその共重合体(ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)であり、前記重合体保護層6の厚さは2μm-10μmである。
【0042】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記重合体保護層6の厚さは4μm-8μmである。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記重合体保護層6の厚さは5μm-6μmである。
【0043】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記重合体保護層6は、空孔率を低下させるために、アニール処理される。
【0044】
本発明の重合体保護層6は、良好な生体適合性を有し、100~300%の伸び率により、ステントの大変形の要求を満たすことができ、0.01~0.05%の極めて低い吸水率により、ステント薬物放出制御コーティング層の微細気孔や破壊箇所を透過して侵入した体液又は血液とマグネシウム合金基体との接触を効果的に遮断し、イオン交換を減少させ、マグネシウム合金ステントの耐食性を向上させることができる。
【0045】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記血管ステントは、図5に示すように、ステント基体1と重合体保護層6との間に設置される重合体中間層7をさらに含み、前記重合体中間層における重合体は、ポリフッ化ビニリデン及びその共重合体(ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸ブチルから選ばれる1種又は複数種の組み合わせであり、前記重合体中間層の厚さは100nm-2000nmである。
【0046】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記重合体中間層の厚さは500nm-1500nmである。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記重合体中間層の厚さは800nm-1200nmである。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記重合体中間層の厚さは800nm-1000nmである。
【0047】
前記重合体中間層は、バインダーとして重合体保護層の堅牢度を向上させるとともに、重合体保護層の微細気孔通路又は非被覆領域を透過して侵入した体液又は血液を遮断することができる。
【0048】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記重合体中間層7は、フッ化マグネシウムで封孔処理された重合体中間層である。
【0049】
前記フッ化マグネシウムによる封孔処理とは、重合体中間層が塗布されたマグネシウム合金ステントをフッ化処理することである。
【0050】
フッ化処理により、マグネシウム合金ステント基体(マグネシウム合金基体)及び重合体中間層の微細気孔又は非被覆領域にフッ化マグネシウムバリアを形成し、マグネシウム合金ステント基体と体液又は血液との接触をさらに遮断し、局所腐食の発生を低下させる。
【0051】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記血管ステントは、図5に示すように、重合体保護層6の外面に設置される薬物コーティング層8をさらに含み、前記薬物コーティング層の成分は、高分子キャリアと活性薬物とを含み、前記活性薬物は、タクロリムスと、ラパマイシン及び三酸化二ヒ素から選ばれる1種との組み合わせ(即ち、タクロリムスとラパマイシンとの組み合わせ、又はタクロリムスと三酸化二ヒ素との組み合わせ)である。
【0052】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記高分子キャリアの高分子材料は、ポリ乳酸、ラセミポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸-グリコール酸、ポリカプロラクトン及びポリヒドロキシ酪酸-ヒドロキシ吉草酸コポリエステルから選ばれる1種又は複数種の組み合わせである。
【0053】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記高分子キャリアと活性薬物との重量比は2:1-10:1である。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記高分子キャリアと活性薬物との重量比は4:1-8:1である。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記高分子キャリアと活性薬物との重量比は5:1-7:1である。
【0054】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、三酸化二ヒ素又はラパマイシンとタクロリムスとの重量比は1:2-4:1である。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、三酸化二ヒ素又はラパマイシンとタクロリムスとの重量比は1:1-3:1である。
【0055】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記薬物コーティング層8における三酸化二ヒ素又はラパマイシンの含有量は2-20μg/mmであり、タクロリムス薬物の含有量は1-25μg/mmである。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記薬物コーティング層8における三酸化二ヒ素又はラパマイシンの含有量は5-15μg/mmであり、タクロリムス薬物の含有量は1-6μg/mmである。
【0056】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記薬物コーティング層8における三酸化二ヒ素又はラパマイシンの含有量は5-10μg/mmであり、タクロリムス薬物の含有量は2-5μg/mmである。
【0057】
更なる一側面において、本発明は、前記分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの製造方法を提供する。前記方法は、以下の工程を含む。
(1)ステント基体1の加工
(2)重合体中間層7の塗布
(3)重合体保護層6の塗布
(4)薬物コーティング層8の塗布
【0058】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、工程(1)であるステント基体の加工は、以下の工程を含む。
(11)材料成形プロセスにより、前記分解性バイオ医療用マグネシウム合金をマグネシウム合金管材に製造する工程
(12)レーザー彫刻プロセスにより、前記マグネシウム合金管材を切断ステントに製造する工程
(13)超音波洗浄処理により、切断残渣及び酸化層を除去する工程
(14)電気化学研磨プロセスにより、表面がきれいで平坦なマグネシウム合金ステント基体を得る工程
【0059】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、工程(11)における前記材料成形プロセスは、真空半連続鋳造方式により前記分解性バイオ医療用マグネシウム合金の成分及び重量比でマグネシウム合金インゴットを製造し、溶体化処理した後に押出成形してマグネシウム合金棒材を製造し、さらに管材引き抜き成形プロセスによりマグネシウム合金管材を製造することを含む。
【0060】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記マグネシウム合金管材の外径は1.4-4.0mmであり、肉厚は0.08-0.30mmであり、長さは0.5-2.0mである。
【0061】
上記マグネシウム合金管材のサイズは、マグネシウム合金ステントの拡張外径及びレーザー彫刻設備の要求に応じて調整することができる。
【0062】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、工程(13)における前記超音波洗浄は、工程(12)で得られる切断ステントをマグネシウム合金ステントの洗浄液に浸漬し、1~8min超音波処理し、レーザー彫刻により形成され、表面に付着した切断残渣及び酸化層を除去することを含む。
【0063】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記マグネシウム合金ステントの洗浄液は、リン酸二水素カリウム、フッ化カリウム、無水エタノール及び精製水により調製してなる。
【0064】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記マグネシウム合金ステントの洗浄液において、マグネシウム合金ステントの洗浄液の単位体積あたりの各成分の含有量は、リン酸二水素カリウム30-50g/L、フッ化カリウム15-25g/L、無水エタノール150-250ml/Lであり、好ましくは、リン酸二水素カリウム40g/L、フッ化カリウム20g/L、無水エタノール200ml/Lである。
【0065】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、工程(14)における前記電気化学研磨プロセスは、洗浄後の切断ステントをマグネシウム合金ステントの研磨液に浸漬して電気化学研磨を行うことを含み、研磨温度は18-60℃であり、研磨電流は0.3-1.5Aであり、研磨時間は10-500sである。
【0066】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記マグネシウム合金ステントの研磨液は、リン酸、無水エタノール及び精製水により体積比(0.8-1.2):(0.8-1.2):(0.8-1.2)で調製してなり、好ましくは、上記体積比が1:1:1である。
【0067】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、工程(2)である重合体中間層の塗布は、以下の工程を含む。
(21)ステント基体の表面に重合体中間層を塗布する工程
(22)表面に重合体中間層が塗布されたステントをフッ化処理する工程
【0068】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、工程(21)は、超音波スプレーコートプロセスによりステント基体の表面に重合体中間層を形成することを含む。
【0069】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記フッ化処理は、重合体中間層が塗布されたステント基体をフッ化処理液に浸漬して、重合体中間層をフッ化封孔処理することを含む。
【0070】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記フッ化処理は、重合体中間層が塗布されたステント基体をフッ化処理液に浸漬して、回転数50~200r/minの水浴シェーカーで継続撹拌し、重合体中間層をフッ化封孔処理することを含む。
【0071】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記フッ化処理液は、フッ酸溶液とフッ化カリウム溶液により調製してなる。
【0072】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記フッ酸溶液の濃度は10-40%(体積濃度)であり、フッ化カリウム溶液の濃度は0.5-5mol/Lであり、フッ酸溶液とフッ化カリウム溶液との体積比は100:5-100:50である。
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記フッ化処理液の温度は18-85℃であり、処理時間は30-600minである。
【0073】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、工程(3)である重合体保護層の塗布は、以下の工程を含む。
(31)重合体保護層を塗布する工程
(32)重合体保護層が塗布されたステントをアニール処理する工程
【0074】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、工程(31)は、超音波スプレーコートプロセスによりフッ化処理された重合体中間層の表面に重合体保護層を形成することを含む。
【0075】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、工程(32)における前記アニール処理は、重合体保護層が塗布されたステントを真空条件で60-200℃に加熱して1-10h保温し、その後に室温まで降温した後、ステントを取り出すことを含む。
【0076】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、アニール処理の温度は100-150℃であり、好ましくは120-130℃である。
【0077】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、アニール処理の時間は2-8hである。
【0078】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記アニール処理は、重合体保護層が塗布されたステントを石英皿に設置してアニール処理することを含む。
【0079】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記真空条件の真空度は1×10-3Pa以上である。
【0080】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記アニール処理は、50℃以下に自然降温した後、アルゴンガスを導入し、引き続き室温まで降温した後、ステントを取り出すことを含む。
【0081】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、工程(4)は、超音波スプレーコートプロセスにより、ステント保護コーティング層の表面に薬物コーティング層を形成することを含む。
【0082】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、工程(21)、工程(31)及び工程(4)における前記超音波スプレーコートプロセスとは、各工程でスプレーコートされるべき各層の材質原料(重合体、又は高分子キャリアと活性薬物との混合物)を揮発性有機溶剤に溶解させ、超音波により霧化した後、ステントの表面又は隣接する裏層(重合体中間層又は重合体保護層)にスプレーコートし、有機溶剤を揮発させた後、対応する層構造(重合体中間層、重合体保護層又は薬物コーティング層)を形成することである。
【0083】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記方法は、以下の工程を含む。
(a)材料成形プロセスにより、前記分解性バイオ医療用マグネシウム合金をマグネシウム合金管材に製造する工程
(b)レーザー彫刻プロセスにより、前記マグネシウム合金管材を切断ステントに製造する工程
(c)超音波洗浄処理により、切断残渣及び酸化層を除去する工程
(d)電気化学研磨プロセスにより、表面がきれいで平坦なマグネシウム合金ステント基体を得る工程
(e)超音波スプレーコートプロセスにより、マグネシウム合金ステント基体の表面に重合体中間層を形成する工程
(f)フッ化処理プロセスにより、表面に重合体中間層が塗布されたマグネシウム合金ステントを処理する工程
(g)超音波スプレーコートプロセスにより、フッ化処理された重合体中間層の表面に重合体保護層を形成する工程
(h)アニール処理により、ステント保護コーティング層を封孔する工程
(i)超音波スプレーコートプロセスにより、ステント保護コーティング層の表面に薬物コーティング層を形成する工程
(j)乾燥した後、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを得る工程
【0084】
更なる一側面において、本発明は、前記分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの、血管狭窄を治療するための医療機器の製造における応用を提供する。
【0085】
更なる一側面において、本発明は、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの血管狭窄動物モデルにおける評価方法であって、まず、動物モデルを前処理し、血管塞栓モデルを形成した後、本発明により提供される分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントをインプラントし、それぞれ術後の異なる時点で血管造影による観察と血管内OCTによる観察の経過観察方式により経過観察を行い、ステントの内膜被覆程度、再狭窄及び分解状況を総合的に評価することを含む、評価方法を提供する。
【0086】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、動物モデルの前処理とは、ステントがインプラントされるべき血管位置において、ディスポーザブルバルーン拡張カテーテルを用いて血管直径の1.3~1.5倍との拡張比率で血管を拡張し、血管にある程度損傷させることであり、前処理後1~4週間に血管狭窄モデルを形成することができる。
【0087】
本発明のいくつかの具体的な実施形態によれば、インプラントとは、本発明により提供される分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを狭窄モデルに血管直径の1.1~1.3倍とのステント拡張比率でインプラントすることである。
【0088】
以上により、本発明は、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント及び製造方法を提供する。本発明の血管ステントは、以下の利点を有する。
【0089】
1)本発明により提供される血管ステント基体材料は、人体に吸収され得る医療用マグネシウム合金材料であり、高引張強度、高伸び率、高耐食性及び均一分解などの優れた性能を有する。
【0090】
2)本発明により提供される血管ステント構造は、ステント拡張時の応力集中程度を効果的に低減させるように設計され、且つX線で現像することができる。
【0091】
3)本発明により提供される血管ステントの重合体の間がフッ化マグネシウムで封孔処理された後、ステントコーティング層の微細気孔又は非被覆領域にフッ化マグネシウムバリアを形成することができ、ステント基体と体液又は血液との接触をさらに遮断し、局所腐食の発生を効果的に低減させる。
【0092】
4)本発明により提供される血管ステントの重合体保護層は、極めて高い疎水性を有し、ステントと体液又は血液との間のイオン交換を効果的に遮断し、ステントの耐食性を向上させることができる。
【0093】
5)本発明により提供される血管ステントの保護層のアニール処理方法は、空隙率を効果的に低下させ、基体との結合力を向上させ、ステントの大変形時の保護層の破損を減少させ、ステントの耐食性をさらに向上させることができる。
【0094】
6)本発明により提供される血管ステントの複合薬物コーティング層は、三酸化二ヒ素又はラパマイシン薬物が平滑筋細胞の成長を抑制するとともに内皮細胞の成長を促進するという特徴を利用して、迅速な内皮化を実現し、血栓リスク及びステントの分解脱落リスクを効果的に低減することができ、タクロリムス薬物の良好な消炎作用を利用して、ステントの分解過程で生じる炎症反応を効果的に抑制し、増殖及びステント内の再狭窄を減少させる。
【0095】
本発明により提供される血管ステントは、冠動脈狭窄を模擬する大動物実験において良好な治療結果を示し、6カ月の経過観察において血管管腔に崩壊、炎症、内膜増殖がなく、分解過程において十分な安全性と有効性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】本発明の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント構造の全体模式図である。
図2図1のa部分の拡大模式図である。
図3図1のb部分の拡大模式図である。
図4図1のc部分の拡大模式図である。
図5】本発明の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの複合コーティング層の構成の模式図である。
図6】本発明の試験例1の引き抜き曲線である。
図7】本発明の試験例1の腐食電位図である。
図8】本発明の試験例2の通常血管ステントの応力図である。
図9】本発明の試験例2の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの応力図である。
図10】本発明の試験例2の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの応力図である。
図11】本発明の試験例3の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの電子顕微鏡図である。
図12】本発明の試験例3の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの電子顕微鏡図である。
図13】本発明の試験例3の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの電子顕微鏡図である。
図14】本発明の試験例3の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの電子顕微鏡図である。
図15】本発明の試験例3の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの電子顕微鏡図である。
図16】本発明の試験例3の比較ステントの電子顕微鏡図である。
図17】本発明の試験例3の比較ステントの電子顕微鏡図である。
図18】本発明の試験例4の比較ステントの近生理学的条件での実験結果図である。
図19】本発明の試験例4の比較ステントの近生理学的条件での実験結果図である。
図20】本発明の試験例4の比較ステントの近生理学的条件での実験結果図である。
図21】本発明の試験例4の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの実験結果図である。
図22】本発明の試験例6のOCT図である。
図23】本発明の試験例6のOCT図である。
図24】本発明の試験例6のOCT図である。
図25】本発明の試験例6のOCT図である。
図26】本発明の試験例6のOCT図である。
図27】本発明の試験例6のステント現像性写真である。
図28】本発明のステントの実施例4の超音波スプレーコート過程の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
以下、図面及び実施例を参照しながら本発明の技術案を詳細に説明するが、本発明の保護範囲は、これらに限定されない。
【0098】
マグネシウム合金材料の実施例1
本実施例は、一連の分解性バイオ医療用マグネシウム合金材料を提供し、その元素成分の含有量は、表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
その加工方法は、以下のことを含む。表1に記載の各群の元素成分の含有量の配合比で、真空半連続鋳造方式により各合金元素をマグネシウム合金インゴットに溶製し、ここで、各成分原材料の純度はいずれも99.99%でった。前記マグネシウム合金インゴットを溶体化処理し、溶体化温度が450℃であり、溶体化時間が8時間であり、熱間押出方式により前記マグネシウム合金インゴットを直径10mmの棒材に押出し、熱間押出温度が340℃であった。混合の不均一による影響を避けるように、棒材の両端の各20%長さの材料を切断し、棒材の中段のみを血管ステントの製造材料として使用した。
【0101】
ステント構造の実施例1
本実施例は、材質がマグネシウム合金材料の実施例1におけるBDM-6#材料であり、異なるパラメータのステント基体1からなる、マグネシウム合金血管ステント構造群を提供する。異なる群の構造パラメータは、表2に示す。ここで、対照群は、特許CN201520261612に記載のマグネシウム合金ステント構造の例である。
【0102】
【表2】
【0103】
表2に示す異なるパラメータ以外、各群の構造の他のパラメータは同じであり、即ち、ステント基体1は、接続体3を介してステント基体の両端に接続設置される現像構造4をさらに含み、現像構造は、材質が白金である現像点41と現像構造本体42とを含み、現像構造本体42に現像孔43が設置される。現像点41の直径は0.35mmであり、厚さは0.14mmであり、ステント基体1の圧縮直径は1.3mmであり、拡張直径は3.0mmであり、長さは13mmである。
【0104】
ステントの実施例1
本実施例は、ステント基体1、及び内から外に向かって被覆する重合体中間層7と、重合体保護層6と、薬物コーティング層8とを含む、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント(図1-図5に示す)を提供する。
【0105】
前記ステント基体1は、ステント構造の実施例1における構造Aを使用し、その材質は、マグネシウム合金材料の実施例1におけるBDM-6#材料である。
【0106】
重合体中間層7は、フッ化マグネシウムで封孔処理され、ここで、重合体はポリフッ化ビニリデンであり、厚さは1000nmである。
【0107】
重合体保護層6における重合体は、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンであり、厚さは6μmである。
【0108】
薬物コーティング層の成分は、高分子キャリアと活性薬物とを含み、前記高分子キャリアの高分子材料はPLLAであり、活性薬物は重量比1:1での三酸化二ヒ素とタクロリムスであり、高分子キャリアと活性薬物との重量比は5:1である。三酸化二ヒ素の含有量は5μg/mmであり、タクロリムス薬物の含有量は5μg/mmである。
【0109】
この分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの製造は、以下のことを含む。
【0110】
(a)マグネシウム合金材料の実施例1に記載の方法でBDM-6#マグネシウム合金棒材を製造し、さらに管材引き抜き成形プロセスによりマグネシウム合金管材を製造した。前記マグネシウム合金管材は、外径が3.0mmであり、肉厚が0.22mmであり、長さが1mであった。
【0111】
(b)レーザー彫刻プロセスにより、前記マグネシウム合金管材を切断ステントに製造した。
【0112】
(c)レーザー彫刻したステントをマグネシウム合金ステントの洗浄液に浸漬し、2min超音波処理し、レーザー彫刻により形成され、表面に付着した切断残渣及び酸化層を除去した。前記マグネシウム合金ステントの洗浄液は、リン酸二水素カリウム、フッ化カリウム、無水エタノール及び精製水から調製してなり、具体的には、リン酸二水素カリウム40g/L、フッ化カリウム20g/L、無水エタノール200ml/Lであり、溶剤は精製水であった。
【0113】
(d)洗浄後の切断ステントを治具で挟み、マグネシウム合金ステントの研磨液に浸漬して電気化学研磨を行い、研磨温度40℃、研磨電流1.2A、研磨時間80sとした。前記マグネシウム合金ステントの研磨液は、リン酸、無水エタノール及び精製水から体積比1:1:1で調製してなった。
【0114】
(e)超音波スプレーコートプロセスにより、マグネシウム合金ステント基体の表面に重合体中間層を形成した。
【0115】
(f)表面に重合体中間層が塗布されたステントをフッ化処理液に浸漬して、水浴シェーカーで継続撹拌し、回転数を80r/minとし、重合体下塗りをフッ化封孔処理した。前記フッ化処理液は、フッ酸溶液とフッ化カリウム溶液から調製してなり、具体的には、フッ酸溶液の濃度は40%であり、フッ化カリウム溶液の濃度は5mol/Lであり、フッ酸溶液とフッ化カリウム溶液との体積比は100:30であった。前記フッ化処理液の温度は75℃であり、処理時間は300minであった。
【0116】
(g)超音波スプレーコートプロセスにより、フッ化処理された重合体中間層の表面に重合体保護層を形成した。
【0117】
(h)重合体保護層が塗布されたステントを石英管に垂直に設置し、炉室に送入した後、真空引きし、真空度が1×10-3Paを超えた後に加熱を開始し、保温温度が120℃であり、保温時間が2hであり、炉を50℃以下に冷却し、石英管にアルゴンガスを導入し、温度が室温まで降下した後にステントを取り出した。
【0118】
(i)超音波スプレーコートプロセスにより、ステント保護コーティング層の表面に薬物コーティング層を形成した。
【0119】
(j)乾燥した後、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを得た。
【0120】
前記超音波スプレーコートとは、超音波スプレーコータで重合体をステントの表面に被覆することであり、図28に示すように、スプレーコートの高さは30mmであり、気圧は11KPaであり、回転数は205r/minであった。
【0121】
ステントの実施例2
本実施例は、ステント基体1のみで裸ステント(表面処理なし、且つ何らのコーティング層なし)を構成する、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを提供する。
【0122】
前記ステント基体1は、ステント構造の実施例1におけるラジアル支持力が高く、且つ最大相当ひずみが小さい構造Aを採用し、その材質は、マグネシウム合金材料の実施例1における力学的性能及び耐食性がいずれも良好なBDM-6#材料である。
【0123】
この分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの製造は、以下のことを含む。
【0124】
(a)マグネシウム合金材料の実施例1に記載の方法でBDM-6#マグネシウム合金棒材を製造し、さらに管材引き抜き成形プロセスによりマグネシウム合金管材を製造した。前記マグネシウム合金管材は、外径が3.0mmであり、肉厚が0.22mmであり、長さが1mであった。
【0125】
(b)レーザー彫刻プロセスにより、前記マグネシウム合金管材を切断ステントに製造した。
【0126】
(c)レーザー彫刻したステントをマグネシウム合金ステントの洗浄液に浸漬し、2min超音波処理し、レーザー彫刻により形成された、表面に付着した切断残渣及び酸化層を除去した。前記マグネシウム合金ステントの洗浄液は、リン酸二水素カリウム、フッ化カリウム、無水エタノール及び精製水から調製してなり、具体的には、リン酸二水素カリウム40g/L、フッ化カリウム20g/L、無水エタノール200ml/Lであり、溶剤は精製水であった。
【0127】
(d)洗浄後の切断ステントを治具で挟み、マグネシウム合金ステントの研磨液に浸漬して電気化学研磨を行い、研磨温度40℃、研磨電流1.2A、研磨時間80sとした。前記マグネシウム合金ステントの研磨液は、リン酸、無水エタノール及び精製水から体積比1:1:1で調製してなった。
【0128】
(e)洗浄、乾燥した後、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを得た。
【0129】
ステントの実施例3
本実施例は、ステント基体1とフッ化マグネシウム保護層とを含む、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを提供する。
【0130】
前記ステント基体1は、ステント構造の実施例1におけるラジアル支持力が高く、且つ最大相当ひずみが小さい構造Aを採用し、その材質は、マグネシウム合金材料の実施例1における力学的性能及び耐食性がいずれも良好なBDM-6#材料である。
【0131】
このフッ化マグネシウム保護層は、緻密なフッ化マグネシウムからなり、ステントの表面に均一被覆し、厚さが1000nmである。
【0132】
この分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの製造は、以下のことを含む。
【0133】
(a)マグネシウム合金材料の実施例1に記載の方法でBDM-6#マグネシウム合金棒材を製造し、さらに管材引き抜き成形プロセスによりマグネシウム合金管材を製造した。前記マグネシウム合金管材は、外径が3.0mmであり、肉厚が0.22mmであり、長さが1mであった。
【0134】
(b)レーザー彫刻プロセスにより、前記マグネシウム合金管材を切断ステントに製造した。
【0135】
(c)レーザー彫刻したステントをマグネシウム合金ステントの洗浄液に浸漬し、2min超音波処理し、レーザー彫刻により形成され、表面に付着した切断残渣及び酸化層を除去した。前記マグネシウム合金ステントの洗浄液は、リン酸二水素カリウム、フッ化カリウム、無水エタノール及び精製水から調製してなり、具体的には、リン酸二水素カリウム40g/L、フッ化カリウム20g/L、無水エタノール200ml/Lであり、溶剤は精製水であった。
【0136】
(d)洗浄後の切断ステントを治具で挟み、マグネシウム合金ステントの研磨液に浸漬して電気化学研磨を行い、研磨温度40℃、研磨電流1.2A、研磨時間80sとした。前記マグネシウム合金ステントの研磨液は、リン酸、無水エタノール及び精製水から体積比1:1:1で調製してなった。
【0137】
(e)得られたステント基体又はステント基体ユニットをフッ化処理液に浸漬し、水浴シェーカーで継続撹拌し、回転数を80r/minとし、フッ化処理した。前記フッ化処理液は、フッ酸溶液とフッ化カリウム溶液から調製してなり、具体的にはフッ酸溶液の濃度は40%であり、フッ化カリウム溶液の濃度は5mol/Lであり、フッ酸溶液とフッ化カリウム溶液との体積比は100:30であった。前記フッ化処理液の温度は75℃であり、処理時間は300minであった。
【0138】
(f)洗浄、乾燥した後、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを得た。
【0139】
ステントの実施例4
本実施例は、ステント基体1と、フッ化マグネシウム中間層と、重合体保護層とを含む、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを提供する。
【0140】
前記ステント基体1は、ステント構造の実施例1におけるラジアル支持力が高く、且つ最大相当ひずみが小さい構造Aを採用し、その材質は、マグネシウム合金材料の実施例1における力学的性能及び耐食性がいずれも良好なBDM-6#材料である。
【0141】
このフッ化マグネシウム中間層は、緻密なフッ化マグネシウムからなり、ステントの表面に均一被覆し、厚さが1000nmである。
【0142】
この重合体保護層における重合体はポリメタクリル酸メチルであり、厚さは6μmである。
【0143】
この分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの製造は、以下のことを含む。
【0144】
(a)マグネシウム合金材料の実施例1に記載の方法でBDM-6#マグネシウム合金棒材を製造し、さらに管材引き抜き成形プロセスによりマグネシウム合金管材を製造した。前記マグネシウム合金管材は、外径が3.0mmであり、肉厚が0.22mmであり、長さが1mであった。
【0145】
(b)レーザー彫刻プロセスにより、前記マグネシウム合金管材を切断ステントに製造した。
【0146】
(c)レーザー彫刻したステントをマグネシウム合金ステントの洗浄液に浸漬し、2min超音波処理し、レーザー彫刻により形成され、表面に付着した切断残渣及び酸化層を除去した。前記マグネシウム合金ステントの洗浄液は、リン酸二水素カリウム、フッ化カリウム、無水エタノール及び精製水から調製してなり、具体的には、リン酸二水素カリウム40g/L、フッ化カリウム20g/L、無水エタノール200ml/Lであり、溶剤は精製水であった。
【0147】
(d)洗浄後の切断ステントを治具で挟み、マグネシウム合金ステントの研磨液に浸漬して電気化学研磨を行い、研磨温度40℃、研磨電流1.2A、研磨時間80sとした。前記マグネシウム合金ステントの研磨液は、リン酸、無水エタノール及び精製水から体積比1:1:1で調製してなった。
【0148】
(e)得られたステントをフッ化処理液に浸漬し、水浴シェーカーで継続撹拌し、回転数を80r/minとし、フッ化処理した。前記フッ化処理液は、フッ酸溶液とフッ化カリウム溶液から調製してなり、具体的には、フッ酸溶液の濃度は40%であり、フッ化カリウム溶液の濃度は5mol/Lであり、フッ酸溶液とフッ化カリウム溶液との体積比は100:30であった。前記フッ化処理液の温度は75℃であり、処理時間は300minであった。
【0149】
(f)超音波スプレーコートプロセスにより、フッ化マグネシウム保護層の表面にポリメタクリル酸メチル保護層を形成した。
【0150】
(j)洗浄、乾燥した後、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを得た。
【0151】
前記超音波スプレーコートとは、超音波スプレーコータで重合体をステントの表面に被覆することであり、スプレーコートの高さは30mmであり、気圧は11KPaであり、回転数は205r/minであった。
【0152】
試験例1
分解性バイオ医療用マグネシウム合金材料の力学的性能及び分解性能評価
【0153】
試験材料:マグネシウム合金材料の実施例1の材料
試験方法:『GB/T 228.1-2010 金属材料 引張試験 第1部分:室温試験方法』に記載の試験方法で力学的性能試験を行った。共培養法により、細胞毒性試験を行った。
【0154】
結果の説明:本発明により提供される医療用マグネシウム合金材料は、異なる合金元素成分の条件下で、異なる力学的性能及び耐食性能を示すことができ、異なる医療機器の異なるインプラント要求に応じて合金元素比率を調整して、基体材料の分解レート及び力学的性能を制御することができる。好ましくは、血管ステントに適用されるマグネシウム合金基体材料は、高い耐食性能を必要とし、一方、力学的性能は、本発明により提供される分解性血管ステント構造の設計により、応用端において顕著に向上させることができる。
【0155】
引き抜き曲線は図6に示し、腐食電位は図7に示し、引張強度などの力学的性能は以下の表3に示す。
【0156】
【表3】
【0157】
また、共培養法によりマグネシウム合金材料の細胞毒性試験を行ったところ、材料の相対増殖率はいずれも90%以上に達し、細胞毒性は1級であり、生体材料の特性を満たし、結果を表4に示す。
【0158】
【表4】
【0159】
試験例2
ステント応力の有限要素解析試験
【0160】
試験方法:
1)モデルの構築:ステント構造の実施例1における前記各群のステント基体1の構造サイズに従って1:1でモデリングした。
【0161】
2)材料の属性:血管ステントの拡張は大変形過程であり、非線形有限要素解析過程において真応力と塑性ひずみを使用すべきであるため、材料引張試験で得られた試験応力と試験ひずみを真応力と塑性ひずみに変換する必要があり、マグネシウム合金材料の実施例1におけるBDM-6#材料の応力/ひずみデータを真応力/塑性ひずみに変換し、モデルに付与した。変換式は、以下の通りである。
【0162】
【数1】
【0163】
3)グリッド分割:セルサイズを0.016とし、厚さ方向に6層のグリッド分割し、8節点6面体線形低減積分ユニットC3D8Rを選択した。このユニットは、変位の求解結果が比較的正確であり、グリッドにねじれ変形が存在する(例えば、Quadセルの角度が大きく、900よりも遥かに大きい)場合、解析精度が大きく影響を受けることなく、且つ曲げ荷重でせん断ロッキングが発生しにくい。
【0164】
4)境界条件:モデルの中心軸端部に柱状座標系を確立し、モデルの一端に軸方向拘束と周方向拘束を加え、モデルの軸方向剛体変位と端部周方向回転変位を制限し、モデルの内面に径方向拡張変位を加え、外面に径方向圧縮把持変位を加えた。
【0165】
5)ステント構造の応力/ひずみ分布を計算し、また、軸受反力を計算してステントのラジアル支持力を評価した。
【0166】
6)比較結果は、以下の表5に示す。
【表5】
【0167】
結果の説明:
最大相当ひずみは、ステント拡張時の応力集中状況を示し、その値が大きいほど、応力集中程度が高く、また、材料の破断伸びに近いほど、破断しやすい。表5に示すように、対照群の最大相当ひずみは、材料の破断伸び(15%)に近く、破断のリスクがかなり高いが、支持力が121kPaのみである。対照群に比べて、本発明により提供されるステント構造Aは、ステントの最大相当ひずみを顕著に低下させ、ステントのラジアル支持力レベルを大幅に向上させる。対照群に比べて、本発明により提供されるステント構造Bは、より低い最大相当ひずみを有し、ラジアル支持力に対する要求が高くない条件下で(例えば、小サイズの脳血管病変)、より高い拡張安全性を提供することができる。対照群に比べて、本発明により提供されるステント構造Cは、対照群に近いラジアル支持力を維持するとともに、最大相当ひずみを大幅に低下させ、ステントの拡張安全性を向上させる。対照群に比べて、本発明により提供されるステント構造Dは、最大相当ひずみが対照群に近く、ステント破断のリスクが低い条件下で(例えば、膝下血管病変)、より高いラジアル支持力を提供することができる。
【0168】
通常の血管ステントでは、例えば、特許CN201520261612には、開ループ管網状マグネシウム合金血管ステント(対照群)が開示されており、主支持体ユニットは「正弦波」形式であり、支持ユニット同士は同様にC型アークで接続されるが、該「正弦波」の主支持ユニットは、ステント拡張状態で、各波形円弧の内側に深刻な応力/ひずみ集中現象が存在する。計算により、図8に示すように、その構造応力集中箇所は、何れもピークの内側中心にあり、ステントが拡張する時に破断しやすい。マグネシウム合金は、塑性が悪いため、実際の応用過程において、まず圧縮把持(外径約1.0~1.2mm)され、さらに拡張(外径2.5~4.0mm)されるという過程を経ることを必要とするが、深刻な応力集中は、ステントの拡張破断を招くこととなる。当該特許に記載の構造パラメータの範囲で波形の高さを増加させることにより、ステント拡張後の全体応力/ひずみを小さくすることができるが、ラジアル支持力が大幅に減少する。また、ステント基体のサイズを小さくすることによりステント拡張後の全体応力/ひずみを低下させることもできるが、ラジアル支持力を損失すると同時に、細いステント基体は、腐食破断のリスクを増加させ、疲労破壊耐性にも不利である。
【0169】
これに対して、本願は、応力集中箇所を重点的に最適化し、革新的な円弧設計により応力分布を均一化し、十分な拡張安全余裕度を保持するとともに、分解による構造破壊リスクを低減させるために十分なサイズを確保する。本願のステントの実施例2を試験サンプルとして測定した応力分布図は、図9図10に示す。
【0170】
図9図10から分かるように、本願の応力/ひずみは、両側の梁に均一分布し、梁の幅を変えずに応力/ひずみの均一分布を実現し、マグネシウム合金ステントの安全性能を大幅に向上させる。
【0171】
試験例3
ステントコーティング層評価
【0172】
試験方法:電子顕微鏡による観測
【0173】
結果の説明:
本願のステントの実施例1を試験サンプルとする重合体中間層の電子顕微鏡図を図11に示し、フッ化マグネシウムによる封孔処理された重合体中間層の電子顕微鏡図を図12に示し、重合体保護層がスプレーコートされた電子顕微鏡図を図13に示し、更にアニール処理された後の電子顕微鏡図を図14に示し、薬物コーティング層が塗布された後の電子顕微鏡図を図15に示す。
【0174】
本願のステントと比較すると、フッ化処理のみされたマグネシウム合金ステント(本願のステントの実施例3で製造されたもの)は、表面に緻密なフッ化マグネシウム膜層が被覆されているが、ステントの拡張過程において、応力集中領域のフッ化マグネシウム膜層に応力破壊が発生し、表面にクラックが形成され、当該箇所の耐腐食能力を大幅に低下させ、さらにステントの分解過程において激しい局所腐食が発生し、その膜層が拡張して破損した電子顕微鏡図を図16に示す。
【0175】
本願のステントと比較すると、アニール処理されていない重合体保護層(本願のステントの実施例4で製造されたもの)は、基体との結合力が不十分であり、且つスプレー過程における有機溶剤の揮発により、重合体保護層に多数の微細気孔が形成され、ステント拡張時に膜層の破損が発生しやすく、その電子顕微鏡図を図17に示す。この破損により、当該領域は、体液又は血液を遮断する能力を失い、基体とインプラント環境とのイオン交換を阻止することができず、引いては分解初期に深刻な局所腐食が発生する。それに伴い、当該局所腐食により、血管ステントの初期支持力の損失は深刻となり、血管管腔の崩壊などの不良結果をもたらす。
【0176】
試験例4
体外模擬環境における大変形条件下でのステント分解性能及び支持力評価
【0177】
試験方法:『YY/T 0808-2010 血管ステントの体外脈動耐久性標準試験方法》に記載の疲労耐久性試験方法で試験を行った。
【0178】
結果の説明:
ステントの実施例2の方法で分解性マグネシウム合金裸ステント(即ち、ステント基体に何らのコーティング層もない)を製造し、得られたマグネシウム合金裸ステントは、図18に示すように、大変形過程を経た後の疲労試験において、36h分解し、ステントが破壊し、支持力がなくなった。この試験により、近生理学的模擬条件下で、防護措置のないマグネシウム合金裸ステントは、大変形過程及び持続的応力の作用により、その分解速度が非常に速く、通常環境下(例えば、体液浸漬形式を模擬する環境)の分解速度よりも遥かに高いことが示される。
【0179】
ステントの実施例3の方法で分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを製造し、3日分解した結果、図19に示すように、ステントの構造が大面積に脱落し、支持力がなくなったことが示される。該試験から明らかなように、マグネシウム合金ステントを表面処理(例えば、フッ化処理)して形成された無機塩(フッ化マグネシウム)膜層は、一定の耐腐食能力を発揮し得るが、応力集中箇所における膜層破損の問題を解決できず、ステントは、激しい局所腐食により分解初期に多くの構造破壊が発生する。
【0180】
ステントの実施例4の方法で分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントを製造し、15日分解した結果、図20に示すように、ステントは、軸方向に破断し、応力腐食が激しく、支持力がなくなったことが示される。該試験から明らかなように、フッ化マグネシウムとポリメタクリル酸メチル保護層の多層保護処理により、マグネシウム合金血管ステントの耐抗腐食能力がある程度向上しているが、近生理学的条件下で大変形過程を経た膜層が破損するという問題を依然として解決できず、同様に分解初期に激しい局所腐食が発生し、さらにステント構造が脱落し、支持力が失われ、血管管腔の崩壊などの不良結果をもたらす。
【0181】
完全にステントの実施例1の方法に従って製造された分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントは、3カ月後の分解結果により、図21に示すように、ステント全体の構造には脱落もなく、破断もなく、わずかに局所的腐食が見られたことが示される。
【0182】
該試験から明らかなように、本願により提供される分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの複合コーティング層は、近生理学的条件下で大変形過程を経た後も、依然として有効な保護作用を奏することができ、応力集中領域において効果的な保護を提供し、分解時間を大幅に向上させ、局所腐食領域を減少させ、ステントの支持力を3カ月保持することができる。
【0183】
試験例5
動物実験評価
【0184】
試験方法:まず、動物モデルに前処理を行い、即ち、ステントがインプラントされるべき血管位置において、ディスポーザブルバルーン拡張カテーテルを使用して血管直径の1.5倍の拡張比率で血管を拡張し、血管にある程度損傷させ、前処理後4週間に血管塞栓モデルを形成した。その後、血管塞栓部位に分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントをインプラントし、ステントの拡張比率を血管直径の1.1倍とした。術後1カ月及び6カ月で血管造影による観察と血管内OCTによる観察の経過観察方式によりそれぞれ経過観察を行い、ステントの内膜被覆程度、再狭窄及び分解状況を総合的に評価した。
【0185】
完全にステントの実施例1の方法に従って製造された分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントについて、ステントの試験例5に記載の試験方法で試験した結果、以下のことが示される。
【0186】
1)豚血管のインプラント予定部位の管腔OCT写真は、図22に示すように、管腔が滑らかである。
【0187】
2)豚血管のインプラント予定部位を前処理した後の狭窄モデルのOCT写真は、図23に示すように、内膜の増殖が激しく、管腔が消失し、狭窄率が50%近く、血管塞栓モデルの要求を満たす。
【0188】
3)本願により提供される分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントをインプラントした後のOCT写真は、図24に示すように、ステントの密着が良好で、破断がなく、管腔の崩壊がない。この結果は、本願により提供されるマグネシウム合金ステントの支持力が要求を満たすことができることを示す。
【0189】
4)本願により提供される分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの術後1カ月のOCTとDSA造影による経過観察結果は、図25に示す通りであり、造影による経過観察により、血流がスムーズに通過し、狭窄がなく、現像点がはっきりと見えることが示され、OCTによる経過観察により、内膜が完全に被覆され、管腔に内膜増殖がなく、炎症がなく、管腔のロス率が5%未満であることが示される。この結果は、本願により提供される分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントが、その重合体中間層7と重合体保護層6によりマグネシウム合金基体の分解を効果的に制御することができ、その薬物コーティング層8により迅速な内皮化を実現し、平滑筋の増殖を抑制し、炎症を十分に抑制することができることを示す。
【0190】
5)本願により提供される分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの術後6カ月のOCTによる経過観察結果は、図26に示す通りであり、血管管腔に依然として増殖がなく、炎症がなく、管腔のロスがなく、ステントの分解が始まり、一部の小梁がぼやけている。この結果は、本願により提供される分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントが、大動物冠動脈狭窄モデル試験において良好な治療効果を示し、ステント分解時間と支持力の保持時間を効果的に延長し、炎症がなく、増殖がなく、長期安全性を有することを示す。
【0191】
6)本願により提供される分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの現像性は、図27に示すように、通常の医療用X線照射下で、ステントの両端の現像点がはっきりと見える。両端の各2つの現像点は、周方向に90°分布し、異なる角度においてもステントの長さと直径パラメータを表示できることを確保する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【手続補正書】
【提出日】2024-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム合金の総重量を100重量%として、Gd 3.0-6.0重量%、Y 2.5-5.5重量%、Li 1.0-3.0重量%、Zn 0.3-1.0重量%、Zr 0.2-1.0重量%、及び残部のMgを含む、分解性バイオ医療用マグネシウム合金。
【請求項2】
ステント基体(1)、及びステント基体に内から外に向かって設置される重合体中間層(7)と、重合体保護層(6)と、薬物コーティング層(8)とを含む分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントであって、
前記ステントの総重量を100重量%として、前記ステント基体(1)の材質がGd 3.0-6.0重量%、Y 2.5-5.5重量%、Zn 0.3-1.0重量%、Zr 0.2-1.0重量%、及び残部のMgを含む、分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項3】
前記ステント基体(1)が主に複数の環状の支持体(2)、接続体(3)及び端部現像構造(4)からなり、各支持体(2)と現像構造(4)との間が接続体(3)により接続される、請求項2に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項4】
前記支持体(2)が主に支持ユニット(5)からなり、各支持ユニット(5)が1つの波型ロッド(51)、2つの波型ロッド接続セクション(52)及び1つの円弧体(53)からなり、波型ロッド接続セクション(52)が波型ロッド(51)の両端に設置され、一端の波型ロッド接続セクション(52)が同一の支持ユニットの円弧体(53)の両端の一端に接続され、他端の波型ロッド接続セクション(52)が隣接する支持ユニットの円弧体(53)の一端に接続され、環状の支持体(2)を構成する、請求項3に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項5】
前記波型ロッド接続セクション(52)の幅が、波型ロッドの幅よりも0.01mm-0.05mm小さい、請求項4に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項6】
波型ロッド(51)の幅が0.1mm-0.18mmであり、波型ロッドの長さが0.35mm-1.2mmである、請求項5に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項7】
前記円弧体(53)が外側の外円弧(531)と内側の内円弧(532)とを含み、内円弧(532)と外円弧(531)のそれぞれ位置する円の円心が、ともに同一の円弧体(53)に接続された2つの波型ロッド(51)の対称軸上に位置し、且つ同心ではなく、外円弧(531)の円心が内円弧(532)の円心よりも円弧頂点側にあり、内円弧(532)と外円弧(531)との間隔が波型ロッド接続セクション(52)との接続部において最も小さく、円弧体(53)の頂点方向に向かって徐々に増加し、前記対称軸において最大である、請求項4に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項8】
前記外円弧(531)の直径が0.24-0.82mmであり、中心角がπ/2-3π/2であり、前記内円弧(532)の直径が0.02-0.60mmであり、中心角がπ/2-3π/2であり、外円弧の円心と内円弧の円心との間隔が0.01-0.05mmである、請求項7に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項9】
前記内円弧(532)と外円弧(531)との最大間隔が波型ロッドの幅よりも0.01mm-0.05mm大きく、且つ最小間隔が波型ロッド(51)の幅よりも0.01-0.05mm小さい、請求項7に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項10】
前記波型ロッド接続セクション(52)の両端の幅が、それぞれ波型ロッド(51)の幅及び円弧体(53)の端部の幅と同じであり、中間の幅が徐変して遷移する、請求項9に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項11】
前記ステントの圧縮把持直径が0.8mm-2.8mmであり、拡張直径が2.0mm-8.0mmであり、長さが6mm-150mmである、請求項2に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項12】
前記重合体保護層(6)における重合体がポリフッ化ビニリデン及びその共重合体であり、前記重合体保護層(6)の厚さが2μm-10μmである、請求項2に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項13】
前記重合体中間層(7)がフッ化マグネシウムで封孔処理された重合体中間層であり、前記重合体中間層における重合体がポリフッ化ビニリデン及びその共重合体、ポリメタクリル酸メチル、及びポリメタクリル酸ブチルから選ばれる1種又は複数種の組み合わせであり、前記重合体中間層の厚さが100nm-2000nmである、請求項12に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項14】
前記血管ステントが重合体保護層(6)の外面に設置される薬物コーティング層(8)をさらに含み、前記薬物コーティング層の成分が高分子キャリアと活性薬物とを含み、前記活性薬物がタクロリムスと、ラパマイシン及び三酸化二ヒ素から選ばれる1種との組み合わせである、請求項12に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項15】
前記高分子キャリアの高分子材料が、ポリ乳酸、ラセミポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸-グリコール酸、ポリカプロラクトン及びポリヒドロキシ-酪酸ヒドロキシ吉草酸コポリエステルから選ばれる1種又は複数種の組み合わせである、請求項14に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項16】
前記高分子キャリアと活性薬物との重量比が2:1-10:1である、請求項14に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項17】
前記三酸化二ヒ素又はラパマイシンとタクロリムスとの重量比が1:2-4:1である、請求項14に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項18】
前記薬物コーティング層(8)における三酸化二ヒ素又はラパマイシンの含有量が2-20μg/mmであり、タクロリムス薬物の含有量が1-25μg/mmである、請求項14に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステント。
【請求項19】
以下の工程を含む、請求項2から18のいずれか一項に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの製造方法。
(1)ステント基体(1)の加工
(2)重合体中間層(7)の塗布
(3)重合体保護層(6)の塗布
(4)薬物コーティング層(8)の塗布
【請求項20】
前記工程(2)が、重合体中間層にフッ化マグネシウムによる封孔処理を行うことを含み、
前記フッ化マグネシウムによる封孔処理が、重合体中間層が塗布されたステント基体をフッ化処理液に浸漬して、回転数が50~200r/minの水浴シェーカーで継続撹拌することを含み、
前記フッ化処理液がフッ酸溶液とフッ化カリウム溶液により調製してなり、前記フッ酸溶液の体積濃度が10-40%であり、フッ化カリウム溶液の体積濃度が0.5-5mol/Lであり、フッ酸溶液とフッ化カリウム溶液との体積比が100:5-100:50であり、前記フッ化処理液の温度が18-85℃であり、処理時間が30-600minである、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記工程(3)が、塗布された重合体保護層をアニール処理することを含み、
前記アニール処理が、重合体保護層が塗布されたステント基体を真空条件で60-200℃に加熱して1-10h保温し、その後に室温まで降温した後、ステントを取り出すことを含む、請求項19に記載の製造方法。
【請求項22】
前記真空条件の真空度が1×10-3Pa以上である、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記アニール処理が、重合体保護層が塗布されたステント基体を真空条件で60-200℃に加熱して1-10h保温した後、50℃に自然降温し、アルゴンガスを導入してから、さらに室温まで降温した後、ステントを取り出すことを含む、請求項21に記載の製造方法。
【請求項24】
分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントの血管狭窄動物モデルにおける評価方法であって、
まず、動物モデルにバルーン拡張の前処理を行い、血管塞栓モデルを形成した後、請求項2から18のいずれか一項に記載の分解性バイオ医療用マグネシウム合金薬剤溶出型血管ステントをインプラントし、それぞれ術後の異なる時点で血管造影による観察と血管内OCTによる観察の経過観察方式により経過観察を行い、ステントの内膜被覆程度、再狭窄及び分解状況を総合的に評価することを含む、評価方法。
【国際調査報告】