(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】スチームトラップ、センサ装置および流路状態検出方法
(51)【国際特許分類】
F16T 1/48 20060101AFI20250212BHJP
G01M 3/24 20060101ALI20250212BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
F16T1/48 C
G01M3/24 A
F16T1/48 Z
F16K37/00 G
F16K37/00 H
F16K37/00 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024565249
(86)(22)【出願日】2023-01-24
(85)【翻訳文提出日】2024-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2023051651
(87)【国際公開番号】W WO2023139279
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】102022101585.8
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524278828
【氏名又は名称】ゲストラ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ ヤンツェン
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ノア ノイベルト
【テーマコード(参考)】
2G067
3H065
【Fターム(参考)】
2G067AA37
2G067CC02
2G067DD13
3H065BB11
3H065CA01
3H065CA03
(57)【要約】
本発明は、流体の流れを制御するための制御弁(1)、特に凝縮水を排出するためのスチームトラップ(2)であって、入口フランジ(3)と出口フランジ(5)を有するハウジング(9)と、制御弁(1)の動作状態を監視するためにハウジング(9)に結合されたセンサ装置(10)を備え、センサ装置(10)がハウジング(9)に結合するためのカップリングアセンブリ(14)を有する制御弁(1)に関する。本発明に係るセンサ装置(10)は、前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の固体伝搬音を検出するセンサ(12)、および/または、前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の温度を検出するセンサ(39)を有する。本発明は、流路(8)における詰まり、および、制御弁(1)の漏水を検出するセンサ装置(10)、並びに流路状態検出方法(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れを制御するためのスチームトラップ(2)であり、特に凝縮水を排水するためのスチームトラップ(2)であって、
入口フランジ(3)と出口フランジ(5)を有するハウジング(9)と、前記入口フランジ(3)と前記出口フランジ(5)との間に形成された流路(8)と、前記流路(8)内に配置されて前記流路(8)を選択的に遮断または選択的に開通するように構成された閉鎖部材(11)と、前記スチームトラップ(2)の動作状態を監視するために前記ハウジング(9)に結合されたセンサ装置(10)を備え、
前記センサ装置(10)は、前記ハウジング(9)に結合するカップリングアセンブリ(14)と、前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の固体伝搬音を検出するとともに前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の温度を検出するセンサ(12、39)を有し、
前記固体伝搬音を検出することで前記スチームトラップ(2)の漏水を検出する構成、および/または、前記温度を検出することで前記流路(8)における詰まりを検出する構成であり、
前記センサ装置(10)は、前記閉鎖部材(11)の下流側に配置されている、スチームトラップ(2)。
【請求項2】
請求項1に記載のスチームトラップ(2)であって、
前固体伝搬音を前記センサ(12)に伝導するために、および/または、前記温度を前記センサ(39)に伝導するために、前記カップリングアセンブリ(14)が前記センサ(12、39)に直接的または間接的に接続されており、前記カップリングアセンブリ(14)が前記ハウジング(9)に取り外し可能に接続されている、スチームトラップ(2)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記カップリングアセンブリ(14)が前記ハウジング(9)のカップリング面(9a)に取り外し可能に係合可能なカップリング部(15)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項4】
請求項3に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記カップリングアセンブリ(14)が前記固体伝搬音を伝導するように前記ハウジング(9)に間接的に接続されており、前記カップリングアセンブリ(14)が前記センサ(12、13)に直接的または間接的に接続されており、かつ、前記カップリングアセンブリ(14)が前記カップリング部(15)に間接的に接続するように構成された保持部(16、41)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項5】
請求項1または2に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記カップリングアセンブリ(14)が前記ハウジング(9)に取り外し可能に接続するように構成されたカップリング部(15)と、前記固体伝搬音の伝導と前記温度の伝導のいずれかないしは両方のために、前記センサ(12、39)を前記カップリング部(15)に接続するように構成されたアダプタ(60)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項6】
請求項5に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記センサ(12、39)と前記カップリングアセンブリ(14)とを結合する保持部(16)を有し、前記アダプタ(60)は前記カップリングアセンブリ(14)が前記センサ(12、39)に直接的または間接的に接続されている、スチームトラップ(2)。
【請求項7】
請求項6に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記カップリング部(15)および前記保持部(16)は金属材料からなり、前記スチームトラップ(2)における前記アダプタ(60)は非金属材料、特に工業用セラミックおよび/またはポリマーからなる、スチームトラップ(2)。
【請求項8】
請求項6または7に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記保持部(16)が軸線(L
A)に沿って所定の長さ(L1)で延在しており、前記アダプタ(60)が前記保持部(16)における前記長さ(L1)のうちの少なくとも1/3の長さで前記保持部(16)に係合するように構成されたアダプタ取付部(62)を有しており、特にねじ穴(63)または雄ねじを有している、スチームトラップ(2)。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記カップリング部(15)が第1の軸部(21)と第1の頭部(23)を有する第1のねじ(15)であり、および/または、前記保持部(16)が第2の軸部(36)と第2の頭部(34)を有する第2のねじ(17)であり、
前記アダプタ(60)が前記第1の頭部(23)および前記第2の軸部(36)に取り外し可能に係合しており、および/または、前記カップリング部(15)が前記保持部(16)およびカップリングレセプタクル(25)を有し、前記保持部(16)および/または前記アダプタ(60)が対応する結合部(27、64)を有しており、前記カップリングレセプタクル(25)が前記結合部(27、64)に取り外し可能に係合する、スチームトラップ(2)。
【請求項10】
請求項5~9のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記アダプタ(60)は、前記センサの少なくとも一部を収容するように構成された収容空間(66)を有しており、および/または、前記センサ装置(10)は、結合部(20)を有するセンサハウジング(18)を有しており、前記アダプタ(60)が前記結合部(20)に取り外し可能に係合するカップリング面(68)を有しており、前記収容空間(66)を半径方向(R)で区画する壁(67)によって前記カップリング面(68)が形成される、スチームトラップ(2)。
【請求項11】
請求項5~10のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記アダプタ(60)は、軸線(L
A)に沿って第2の長さ(L2)で延在しており、前記アダプタ(60)は、前記第2の長さ(L2)の少なくとも3/4の長さで延在するセンサ取付部(69)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記センサ(12)は圧電センサであって、前記センサ(12)は、第1の圧電素子(28.1)および第2の圧電素子(28.2)と、一対の電極(32)と、前記第1の圧電素子(28.1)および/または前記第2の圧電素子(28.2)に対して前記固体伝搬音に基づく相対運動をするように構成された振動質量(31)と、前記振動質量(31)から間隔をあけて配されていて前記カップリングアセンブリ(14)に結合されていて、前記第1の圧電素子(28.1)および前記第2の圧電素子(28.2)が前記振動質量(31)に対応するように配された前部導体(33)を備えており、
前記保持部(16、41)は、前記第1の圧電素子(28.1)および前記第2の圧電素子(28.2)が前記振動質量(31)と前記前部導体(33)との間に配されて、前記振動質量(31)が前記保持部(16、41)に移動可能に係合しており、前記保持部(16、41)は、前記振動質量(31)および前記前部導体(33)に直接的または間接的に接続されており、前記固体伝搬音を伝導することによって前記振動質量(31)を振動させるように前記保持部(16、41)が構成されており、前記第1の圧電素子(28.1)および/または前記第2の圧電素子(28.2)に対して前記振動質量(31)が前記相対運動をする、スチームトラップ(2)。
【請求項13】
請求項12に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記前部導体(33)は、断熱のためのキャビティ(37)が前記前部導体(33)と前記カップリングアセンブリ(14)との間に形成されるように、前記カップリング部(15)または前記アダプタ(60)に近い側の位置に配される構成、または、前記前部導体(33)がスリーブ(38)であって、前記第1の圧電素子(28.1)に接する第1の外径(D1)と、前記カップリングアセンブリ(14)、特に前記カップリング部(15)または前記アダプタ(60)に接する第2の外径(D2)を有しており、前記第2の外径(D2)が前記第1の外径(D1)よりも小さく、前記カップリング部(15)の接触面(15a)または前記アダプタ(60)の接触面(60a)に合わせて前記スリーブ(38)が配される構成、または、前記カップリングアセンブリ(14)は、前記ハウジング(9)から前記センサ(12)への熱伝達を低減するように構成された断熱材(29、37)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記センサ(12、39)は第1のセンサ(12)であって、前記センサ装置(10)は、前記温度を検出する第2のセンサ(39)を有し、前記センサ装置(10)は、前記第2のセンサ(39)によって前記温度を検出することで前記詰まりを検出するように構成される、および/または、前記カップリングアセンブリ(14)は、前記第2のセンサ(39)のためのセンサ取付部(40)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記カップリングアセンブリ(14)は、前記カップリング部(15)が前記カップリング面(9a)と取り外し可能に係合させることができる構成であり、前記カップリングアセンブリ(14)は、前記固体伝搬音を前記カップリング部(15)に伝導するように、前記ハウジング(9)および前記カップリング部(15)に間接的に接続するように構成された前記保持部(16、41)を有しており、前記保持部(16、41)は、前記温度を検出する前記第2のセンサ(39)を収容するように構成されたセンサ取付部(40)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記センサ装置(10)は、信号接続部(47)を経由して前記スチームトラップ(2)に設けた評価ユニット(50)に前記センサ(12、39)のセンサ信号を送信するように構成された送信機(45)を有し、前記評価ユニット(50)は、前記動作状態を監視して、前記漏水および/または前記詰まりを検出するために、前記センサ信号を受信して評価するように構成されており、前記信号接続部(47)は、特に無線信号接続になっており、前記センサ装置(10)は、エネルギー貯蔵部(49)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)の動作状態を監視するためのセンサ装置(10)であって、
前記カップリングアセンブリ(14)と、前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の固体伝搬音を検出するとともに前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の温度を検出するセンサ(12、39)を有し、
前記センサ装置(10)は、前記閉鎖部材(11)の下流側に配置されており、前記センサ装置(10)は、前記固体伝搬音を検出することによって前記スチームトラップ(2)の漏水を検出する構成、および/または、前記温度を検出することによる流路(8)における詰まりを検出する構成であり、
前記カップリングアセンブリ(14)は、前記ハウジング(9)に取り外し可能に接続するように構成されたカップリング部(15)と、固体伝搬音および/または温度を伝導するように前記センサ(12、39)を前記カップリング部(15)に接続するように構成されたアダプタとを有しており、および/または、前記カップリングアセンブリ(14)は、前記固体伝搬音を伝導するように前記ハウジング(9)に間接的に接続されており、前記カップリングアセンブリ(14)は前記センサ(12、39)に直接的または間接的に接続されており、前記ハウジング(9)における前記カップリング面(9a)に係合させることができるカップリング部(15)と、前記カップリング部(15)に間接的に接続するように構成される保持部(16、41)と、前記保持部(16、41)に設けされて、前記温度を検出する前記第2のセンサ(30)を収容するように構成されたセンサ取付部(40)を有する、センサ装置(10)。
【請求項18】
請求項17に記載のセンサ装置(10)を用いた流路状態検出方法(100)であって、請求項1~16のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)の動作状態を監視し、前記スチームトラップ(2)の漏水および/または前記流路(8)における詰まりを検出する流路状態検出方法(100)であって、前記固体伝搬音の前記センサ(12)への伝導と前記温度の前記センサ(39)への伝導のために、前記スチームトラップ(2)における前記ハウジング(9)からの前記固体伝搬音が前記センサ装置(10)に伝導するように、前記カップリングアセンブリ(14)を前記センサ(12、39)に直接的または間接的に接続したうえで、
前記センサ(12、39)によって前記固体伝搬音および/または前記温度を検出するステップ(S1)と、
前記センサ(12)によって第1のセンサ信号を供給するステップ(S2)と、前記センサ信号を前記評価ユニット(50)に送信するステップ(S3)と、前記センサ信号を評価するステップ(S4)を含み、前記センサ(12)が前記固体伝搬音を検出し、かつ、前記センサ(39)が前記温度を検出して第2のセンサ信号を供給し前記第2のセンサ信号を前記評価ユニット(50)に送信し、前記評価ユニット(50)が前記第1のセンサ信号と前記第2のセンサ信号の両方を評価するステップをさらに含む、流路状態検出方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入口フランジと出口フランジを有するハウジングと、制御弁の動作状態を監視するセンサ装置であって前記ハウジングに配設するためのカップリングアセンブリを有していて前記ハウジングに締結されたセンサ装置を備えたスチームトラップに関する。
【背景技術】
【0002】
上述の制御弁として、例えばスチームトラップが公知である。制御弁は、製造ライン、コンテナ、配管システムなどにおける流体の流量を制御するために用いられる。化学、製薬、エネルギー関連産業の多くのプラントでは、熱媒体として水蒸気が使用され、対応する配管と制御弁を介して水蒸気が伝導される。ほとんどの場合、水蒸気は異なる圧力段で、例えば蒸気発生器によって集中的に供給される。それぞれの用途において蒸気損失または熱損失などによる仕事をすると、エネルギーの移動により蒸気の一部が凝縮する。水蒸気の代わりに、蒸気相または液相の媒体を使用することもできる。多くの用途では、液相である凝縮水を分離し排出するため、スチームトラップが多用される。プロセスによっては、例えばスチームハンマー現象が起こり得る。スチームハンマーが生じている期間、蒸気の気泡は、より低温の液体環境で突然崩壊する。このような事態を防ぎ、エネルギーの有効利用を保証するには、早い段階で配管から凝縮水を除去する必要がある。ほとんどの場合、上述したスチームトラップによって凝縮水の除去が行われる。凝縮水を配管に戻す間、圧力がかかった状態のラインの中に水だけがあることを保証するという目的でも、スチームトラップが使用される。様々な種類のスチームトラップがある。これらは共通して閉鎖部材を有し、スチームトラップと、凝縮水を排出するための排水ライン内の流路とを、選択的に遮断または開通するように構成される。機械式(フロート式)のスチームトラップは、蒸気と水の物理的特性を利用する。例えば球状のフロートが閉鎖部材として使用され、凝縮水のフロートが上昇すると、弁を作動させて開通させる。他の閉鎖部材はバイメタルまたは膜からなり、温度に基づいて閉鎖部材の開閉を制御する。
【0003】
例えば、このようなプラントでは、輸送された蒸気または凝縮水により、摩耗、汚染、および/または析出物の兆候が認められたり、さらにはマグネタイトが形成されたりする。そのため、プラントで使用されているスチームトラップに漏水または詰まりが起こる可能性がある。
【0004】
運転中の漏水は蒸気損失につながり、各プラントの効率を低下させる。かなりのコストが費やされるので、漏水を早期に発見する必要がある。そのため、定期的な保守点検が設けられることが多い。定期的な保守点検によって各プラントの停止時間が長くなり、不利益を招く。定期的な保守点検を行っていないプラントでは、通常、15%から25%の割合でスチームトラップに欠陥があると予想される。定期的に実施される試験によって、この故障率を大幅に下げることができる。
【0005】
制御弁であるスチームトラップには特に高い圧力がかかるため、各システムや生産ライン全体への損傷を避けるために、安全上の理由から流路の閉塞または初期閉塞を検出する必要がある。例えば、高速で流れる水蒸気による爆発が原因で凝縮液滴が高速で搬送され得る。たとえば、スチームトラップにおける詰まりは各システムのパフォーマンスの大幅な低下につながる可能性があり、漏水のあるスチームトラップは蒸気の損失をもたらし、ひいては重大な経済的損失につながるため、漏水や詰まりを早期に検出する必要がある。さらに、ネットワーク、つまり複数のスチームトラップを備えたシステム内の圧力の増加が予想される。その結果、システム内のいくつかのスチームトラップで排水が困難になる可能性がある。さらに、凝縮水の蓄積でウォーターハンマー現象が生じ、システムに重大な損傷を与える可能性がある。ここで、ウォーターハンマー現象は、配管内の流速の急激な変化によって引き起こされる圧力サージを意味する。
【0006】
例えばスチームトラップまたは既知の制御弁の分野では、振動または温度などを検出するセンサ装置が公知であり、前記センサ装置によって、振動または温度の変化から漏水や詰まりに対する結論を導き出すことが可能となる。しかし、前記センサ装置は、例えばプラントの基本振動または運転温度の変動など、プラント運転中の干渉変数に非常に敏感に反応する。このため、前記センサ装置は、干渉変数の影響を最小限に抑えるために、ほとんどの場合、非常に複雑な構造になっている。この種のセンサ装置は、例えば国際公開第2019/003692号公報に開示されている。この装置の場合、プローブ先端はハウジングに置かれ、ハウジングの振動によりプローブ先端の圧電センサに対する相対運動が活発になる。複雑なセットアップに加え、ハウジングに直接接触する可動プローブ先端の摩耗や汚染も、そのようなセンサ装置の欠点である。他のセンサ装置では、センサ信号が干渉変数の影響を強く受けるため、不正確な測定結果しか得られないことがある。それぞれのシステムに係る制御弁のダウンタイムを最小限に抑え、動作状態を監視する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2019/003692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服することを目的とする。特に、本発明は、制御弁の動作状態を監視するためのセンサ装置の信頼性および堅牢性を高めて、制御弁、特に特許文献1で述べたタイプのスチームトラップの全体的な安全性および動作時間を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、本発明は、請求項1に記載の制御弁によって上述の課題を解決する。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、制御弁は、入口フランジと出口フランジとの間に形成された流路を有するスチームトラップであって、流路には閉鎖部材が配置されており、前記閉鎖部材は、流路を選択的に遮断するように、および/または流路を連通させるように構成されている。第1の態様に関して、センサ装置は、閉鎖部材の下流に配置され、固体伝搬音を検出するセンサ、および/または、カップリングアセンブリおよび/またはハウジングの温度を検出するセンサを備え、センサ装置は、カップリングアセンブリおよび/またはハウジングの固体伝搬音を検出することによってスチームトラップの漏水を検出するように構成されており、および/または、カップリングアセンブリおよび/またはハウジングの温度を検出することによって流路における詰まりを検出するように構成されている。この構成により、本発明は上述の課題を解決する。本発明者らは、スチームトラップにおいて、漏水時に固体伝搬音の影響が閉鎖部材の下流で最大となるという事実を発見した。これは、例えば乱流に起因して固体伝搬音の強度が閉鎖部材の下流の領域で最大となるからである。
【0011】
ハウジングの固体伝搬音を装着状態のセンサに伝導するために、カップリングアセンブリは、好ましくは、直接的または間接的にセンサに接続されている。または、カップリングアセンブリは、ハウジングへの取り外しが可能な態様で間接的にセンサに接続されている。固体を伝搬する音は、固体伝搬音と呼ばれる。固体は、法線応力に加えてせん断応力も吸収することができるため、固体伝搬音は、縦波および横波として伝搬することができる。好ましくは、センサは、カップリングアセンブリ内の縦波および/または横波を検出するように構成される。これにより、定期的なメンテナンスは不要となり、センサ信号に基づいて必要に応じてメンテナンスを行うことができる。そのため、各プラントの停止時間が効果的に短縮され、運転中の制御弁の安全性が向上する。本発明は特に、予防保全、プロセス監視、プラントおよびその構成部品、特に制御弁の欠陥の検出および欠陥位置の特定にも貢献する。特に漏水の迅速な検出は、蒸気損失ひいてはエネルギー損失の早期解消を可能とするので、制御弁を備えたあらゆるプラントの効率向上につながる。
【0012】
本発明者らは、制御弁を流れる流体が、圧力、流速、および設定された動作状態、特に凝集状態や媒体の組成に基づいて定義される規定の周波数範囲で構造由来の音を生じさせるという事実を利用している。したがって、ハウジングの固体伝搬音の変化は、制御弁内の流量または圧力の変化を確実に示し、制御弁の動作状態、特に漏水に対する結論を確実に導き出すことができる。本発明に係るカップリングアセンブリは、着脱可能に直接的または間接的にハウジングに接続されていて、必要に応じて取り外し可能な固体伝搬音伝導接続体を形成する。センサはハウジングに直接的に接続されておらず、固体伝搬音を伝導するようにアセンブリを介してハウジングに間接的に接続されている。そのため、センサは、特に断熱されている。センサ装置のハウジングへの結合およびセンサへの固体伝搬音の伝導を保証するカップリングアセンブリにより、センサ装置のセットアップは全体として簡素化される。つまり、機械的に結合する手段および検出される測定変数を伝導する手段としてカップリングアセンブリを機能的に統合することで、センサ装置のセットアップが簡素化される。カップリングアセンブリとセンサとの間およびカップリングアセンブリとハウジングとの間の直接的または間接的な接続は、センサ装置の堅牢なセットアップを保証する。当該直接的または間接的な接続は、固体伝搬音の伝導に適しており、個々の部品の可逆的な組立が可能である。既知の装置とは対照的に、固体伝搬音はセンサに至るまで伝導し、その間に相互接続された部品の相対運動に埋もれてしまうことはない。これにより、機械的摩耗が減少する。
【0013】
本発明に係る制御弁は、流体、特に気体、液体、またはそれらの混合物を伝導するための構造ユニットを意味する。構造ユニットとしては、バルブ、継手、スチームトラップだけでなく、ポンプも含まれる。本発明に係るフランジは、制御弁に隣接する構造部材、特にパイプへの結合を提供するためのものを意味する。前記接続形態は、例えば、フランジリングを介して挿入される複数のボルトによって行われるが、フランジリングを使用しない場合や、溶接接続を含む他の接続部材またはスリーブによっても実施できる。
【0014】
本発明は、2つのセンサを使用することも可能である。例えば、第1のセンサは固体伝搬音を検出するものであり、もう1つのセンサは制御弁の動作状態を監視するためのさらなる物理的変数を検出するものである。
【0015】
カップリングアセンブリは、好ましくはハウジングからセンサまで長手方向に延在し、センサは縦波を検出するように構成される。
【0016】
好ましくは、カップリングアセンブリは、ハウジングからセンサへの熱伝達を低減するように構成された断熱材を有する。本発明において断熱材とは、固体、液体または気体の絶縁材料であり、熱の移動を抑制する。固体伝搬音を検出するセンサは、しばしば規定の温度範囲内でのみ動作可能なので、断熱材による熱伝達の低減は、1つのセンサまたは複数のセンサの追加的な保護を提供し、固体伝搬音の検出またはセンサ全体の動作が、制御弁の流路内の温度によって妨げられないようにする。
【0017】
熱伝達または熱輸送とは、少なくとも1つの熱力学的なシステム境界を越えて、熱の形態でエネルギーを輸送することである。ハウジングからセンサへの熱伝導を低減するための断熱材は、好ましくは、少なくとも一部がカップリングアセンブリを介して構成される。熱伝導は、機械的接触を介して温度の低い場所に向かって熱伝達される。
【0018】
好ましくは、ハウジングは、少なくとも入口フランジと出口フランジとの間の部位に形成された流路を有し、センサ装置は、センサによってハウジングの固体伝搬音を検出することにより、流路の漏水を検出するように構成される。本発明者らは、制御弁内の流路の漏水だけでなく、配管システムに隣接する管部における漏水についても、流体の流れにさまざまな影響を与えることを認識した。このため、漏水は、例えば、圧力低下、流速の変化、媒体の凝集状態や組成の変化を引き起こし、制御弁のハウジングの固体伝搬音の変化を引き起こす。これにより、制御弁内だけでなく制御弁に接続された配管システム内の漏水についても、確実に漏水を検出できることを意味する。
【0019】
好ましくは、センサは圧電センサである。圧電センサは圧電効果によって作動し、例えば加速度、応力、または力の測定に適している。カップリングアセンブリによって、固体伝搬音が伝導するようにハウジングをセンサに接続することにより、センサは固体伝搬音による機械的振動を受ける。固体伝搬音により、圧電センサの圧電素子の機械的変形、特にそれぞれの圧電素子の金属化された表面における電気分極の移動が起こり、それによって表面に電荷が現れ、電荷を測定可能な電気信号として技術的に使用することができる。加速度トランスデューサまたは音響放射トランスデューサのような受動型の圧電センサの場合、圧電効果は、固体伝搬音を検出するために使用される。圧電センサは、特に好ましくは、少なくとも1つの第1の圧電素子と第2の圧電素子と、好ましくは一対の電極とから構成される。少なくとも2つの圧電素子を組み合わせることで、測定精度が向上する。圧電センサは、好ましくは、振動質量を有し、この振動質量は、ハウジングによって伝達される固体伝搬音に基づいて、第1の圧電素子および/または第2の圧電素子に対して相対運動するように構成される。圧電センサは、さらに好ましくは、前部導体を有し、この前部導体は、振動質量から間隔をあけて配置され、カップリングアセンブリに結合され、振動質量に対して第1の圧電素子および第2の圧電素子を配置するように構成される。
【0020】
好ましい実施形態によれば、カップリングアセンブリは、間接的に固体伝搬音を伝導するようにハウジングに接続された保持部を有する。好ましくは、保持部は、センサに直接的または間接的に接続できるように構成されており、カップリング部に間接的に接続するように構成されている。
【0021】
好ましくは、保持部は、少なくとも1つの第1の圧電素子および少なくとも1つの第2の圧電素子が振動質量と前部導体との間に配されており、振動質量と前部導体とを直接的または間接的に接続する構成である。前部導体、振動質量および電極が配された圧電素子は、圧縮力を受けるように配置できる。保持部によって固体伝搬音を伝導するように振動質量および前部導体がハウジングに接続されるので、1つまたは複数の圧電素子は圧縮力を受け、圧縮力を受けることで圧電素子に電極で測定可能な応力が生じる。圧電素子が受けた応力の変化は、ハウジングの固体伝搬音の変化を示すため、制御弁の動作状態の監視ができる。
【0022】
好ましくは、振動質量は、移動可能に保持部に係合し、カップリングアセンブリは、保持部に結合され、固体伝搬音を振動質量に伝達するように構成された締結部をさらに備える。これにより、振動質量は第1の圧電素子および/または第2の圧電素子に対して相対運動する。
【0023】
好ましい実施形態によれば、断熱材は固体絶縁材料からなり、センサとハウジングとの間に配置される。センサは、固体絶縁材料からなる断熱材によって、カップリングアセンブリに対して熱的に遮蔽される。固体絶縁材料の熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも小さいことが好ましい。これにより、センサの熱遮蔽性能が向上する。
【0024】
好ましい実施形態によれば、カップリングアセンブリは、カップリング面に係合するカップリング部と、センサに結合するように構成された保持部を有する。これにより、カップリング部と保持部によって機能の役割分担ができるので、カップリングアセンブリまたはカップリングアセンブリにおける個々の部品を単純化することができる。
【0025】
好ましくは、カップリングアセンブリは、取り外し可能にカップリング面に係合し、固体伝搬音を伝導するように保持部に結合されるカップリング部を有する。機能分担により、市場要求に基づいた選択が可能になる。カップリング部は、ハウジングへ直接配置するので、特に耐薬品性に優れた材料にでき、また例えば、耐熱材料によって形成できる。上記以外の構成として、重量またはコスト上の理由から、カップリング部を保持部とは別体にすることもできる。
【0026】
第2の態様では、本発明は、請求項5に記載の特徴を備えたスチームトラップによって上述の課題を解決する。
【0027】
第1の態様による好ましい例示的な実施形態でもある第2の態様によれば、特に、カップリングアセンブリは、ハウジングに取り外し可能に接続するように構成されたカップリング部または前記カップリング部と、センサに固体伝搬音を伝導するように、および/または、センサに熱伝導するように、センサをカップリング部に接続するように構成されたアダプタを有する。カップリング部の複雑さは、追加のアダプタによって軽減できる。さらに、アダプタがさらされる熱負荷はカップリング部よりも小さいので、アダプタを介したカップリング部へのセンサの間接的な結合により、センサが熱負荷から保護される。好ましくは、カップリング部は、カップリングレセプタクル付きの頭部を有するねじである。このようなカップリングレセプタクルは、例えば、ねじ穴または外部輪郭、若しくは雄ねじに付設できる。これにより、カップリング部をシンプルで堅牢かつ標準的な部品で形成することができる。より小さな負荷にさらされるアダプタは、センサを収容しカップリング部に接続する機能統合、つまりセンサの収容とカップリング部への接続ができる。
【0028】
本発明の第1の態様による制御弁の好ましい実施形態は、本発明の第2の態様に関しても同様に好ましい実施形態であり、それに関連する利点および可能な設計に関する上記の説明を参照されたい。これにより、第2の態様によるスチームトラップは、制御弁になり得る。
【0029】
好ましくは、カップリングアセンブリは、センサに結合された保持部をさらに有し、アダプタは、保持部に直接的または間接的に接続するように構成される。このように、アダプタは、カップリング部と保持部とを互いに接続する。したがって、保持部は、例えば、ねじのような構造的に単純なもので設計することともできる。これにより、アダプタは、直接的または間接的に保持部およびカップリング部に接続させるためのカップリング面を有する。
【0030】
さらに好ましくは、カップリング部および保持部は、金属材料を有し、アダプタは非金属材料、特に工業用セラミックおよび/またはポリマーを有するか、または完全にそのような材料からなる。したがって、保持部とカップリング部は、例えば鋼鉄などで、安価に製造できる。特にカップリング部の場合、金属材料は熱伝導に関して有利である。金属材料は熱伝導が良いため、カップリング部の温度を検出することで、より正確な検出またはより正確な判断ができる。保持部をカップリング部に接続するアダプタは、絶縁材料、例えばポリマーで作製できる。よって、製造技術の観点から大きな設計自由度が得られる。例えば、アダプタは射出成形部品であってもよい。
【0031】
より好ましくは、保持部は長手方向の軸線に沿って一定の長さで延在し、アダプタはアダプタ取り付け面に、ねじ穴または雄ねじを有し、アダプタの少なくとも1/3に沿って保持部と係合するように構成される。保持部の長さは、アダプタにより保持部が十分に固定され、固体伝搬音と重なる保持部の共振振動が低減される。
【0032】
好ましくは、カップリング部は、第1の軸部と第1の頭部を有する第1のねじである。好ましくは、保持部は、第2の軸部と第2の頭部を有する第2のねじである。これにより、アダプタは、第1の頭部と第2の頭部とに取り外し可能に係合するように構成できる。代替的にまたは付加的に、カップリング部はカップリングレセプタクルと保持部とを有し、および/または、アダプタは対応するカップリング部を有し、カップリングレセプタクルは取り外し可能にカップリング部に係合させることができる。このように、保持部とカップリング部を標準化できるため、製造コストを下げることができる。カップリングレセプタクルは、製造技術上の観点から、雌ねじ、または、ねじ穴、あるいは、雄ねじにできる。対応するアダプタ取り付け面と係合可能な外側輪郭部にすることも可能である。
【0033】
好ましい実施形態によれば、アダプタは、センサの少なくとも一部分が配される収容空間を有する。収容空間に配されるセンサは、好ましくは温度センサである。このような収容空間は、カップリングアセンブリに対するセンサの配置を簡素化する。
【0034】
好ましくは、センサ装置は、結合部を有するセンサハウジングをさらに有し、アダプタは、結合部に取り外し可能に結合するように構成された、対応するハウジング結合面を有する。これにより、アダプタおいて、より高度な機能統合が達成できる。さらに好ましくは、カップリング面は、収容空間を半径方向で区画する壁によって形成される。これにより、アダプタを構造的に簡素化できる。
【0035】
好ましくは、アダプタは、長手方向の軸線または当該軸線に沿ってアダプタ長さで延在し、さらに、好ましくはアダプタ長さの少なくとも3/4に沿って延在するセンサ取付部を有する。これにより、センサ取付部は、カップリング部に隣接するアダプタの領域に延在している。これにより、カップリング部の温度のより正確な検出が可能になる。
【0036】
さらに好ましい実施形態によれば、カップリング部は、保持部の結合部を収容するように形成されたカップリングレセプタクルを有する。カップリングレセプタクルは、例えば、ねじ穴とすることができ、保持部のカップリング部は、対応する雄ねじとすることが好ましい。これにより、カップリング部と保持部とを固体伝搬音が伝導する接続を、簡易に実現できる。
【0037】
好ましくは、前部導体は、カップリング部および/またはアダプタと隣接しつつ間隔をあけて配置されることで、前部導体とカップリングアセンブリとの間に断熱材としてのキャビティが形成される。キャビティには、熱伝導を抑える空気またはガスを入れることができる。特に、空気はコスト効率の高い断熱材となる。
【0038】
さらに好ましくは、前部導体は、第1の圧電素子に隣接する第1の外径と、カップリングアセンブリ、特にカップリング部またはアダプタに隣接する第2の外径とを有し、この第2の外径は、第1の外径よりも小さく、カップリング部またはアダプタの対応する接触面に配されるように構成されたスリーブが配されている。特に、第1の外径は第2の外径の少なくとも2倍の大きさである。前部導体は、圧電素子に付勢するだけでなく、熱の移動を抑える役割もある。スリーブにおける第2の外径は第1の外径よりも小さいため、前部導体はカップリング部に対して小さな接触面しか有さない。尚且つ、前部導体は周囲空気に対して大きな接触面を有する。周囲空気は前部導体を冷却する。一方、カップリング部からの熱の移動は小さな接触面によって制限される。
【0039】
特に好ましい実施形態によれば、前記センサは第1のセンサであり、センサ装置は、カップリングアセンブリおよび/またはハウジングの温度を検出する少なくとも1つの第2のセンサを有し、センサ装置は、第2のセンサによってカップリングアセンブリおよび/またはハウジングの温度を検出することによって流路における詰まりを検出するように構成される。これにより、温度センサは、温度変化を引き起こす前記詰まりによる凝縮水の滞留を検知する。これにより、特にウォーターハンマー現象を低減することができる。これにより、第1のセンサの測定結果に影響を及ぼす熱の影響を、第2のセンサによってさらに検出することができる。よって、第1のセンサの測定精度を維持することができる。
【0040】
好ましくはカップリングアセンブリ、さらに好ましくは、カップリングアセンブリのカップリング部および/または保持部は、第2のセンサ用のセンサ取付部を有する。したがって、第2のセンサは、カップリングアセンブリの温度を検出するために、センサ取付部に配されることによって、簡易にカップリングアセンブリに結合することができる。これにより、カップリングアセンブリの温度を検出できる。つまり、カップリングアセンブリは、制御弁のハウジングに接続する構成であるので、ハウジング内の流路の温度変化に対する結論を導き出すことができる。
【0041】
さらに好ましい実施形態によれば、保持部、好ましくは保持部の締結部および/または保持部は、第2のセンサ用のセンサ取付部を有する。これにより、簡単な方法かつ省スペースで温度センサを保持部に組み込むことができる。
【0042】
カップリングアセンブリ、特にカップリング部は、好ましくは100W/(m×K)未満、好ましくは50W/(m×K)未満、特に好ましくは15W/(m×K)未満の熱伝導率λを有する。これにより、ハウジングまたは流路の温度がセンサに与える影響を低減できる。
【0043】
カップリングアセンブリ、特にカップリング部は、セラミック材料、好ましくは酸化ジルコニウムを有する。酸化ジルコニウムは熱伝導率が15W/(m×K)以下と低いため、ハウジング内の流路に対するセンサの熱遮蔽に適している。尚且つ、酸化ジルコニウムは高い硬度と優れた耐食性を持つため、制御弁の材料として適している。
【0044】
好ましくは、センサ装置は、結合部を有するセンサハウジングをさらに備える。前記結合部は、カップリングアセンブリおよび/またはハウジングに結合するように構成される。これにより、センサは、特に湿気や汚れなどの環境影響から確実に保護される。
【0045】
好ましい実施形態によれば、センサ装置は、特に信号接続部によって、第1のセンサから、好ましくは第2のセンサからも、制御弁に割り当てられた評価ユニットにセンサ信号を送信する送信機を有する。信号接続は無線であることが好ましく、センサ装置はエネルギー貯蔵部も有する。好ましくは、センサ装置は、例えばサーモジェネレータのようなエネルギーハーベスタから構成される。制御弁または複数の制御弁にそれぞれ設置される評価ユニットは、制御弁の動作状態を監視し、特に、漏水、および/または、詰まりを検出するために、第1のセンサのセンサ信号および、好ましくは第2のセンサのセンサ信号を評価するように構成される。
【0046】
より好ましくは、評価ユニットは、センサ装置における複数の第1のセンサおよび第2のセンサを評価し、これらのセンサ信号に基づいて前記詰まりを検出するように構成される。評価ユニットはプロセッサとすることができる。前記プロセッサは据置機器またはモバイル機器に配され、好ましくはデータストレージを有する。
【0047】
評価ユニットは、好ましくは、センサ信号をデータ記憶装置の基準データと比較し、この比較に基づいて、流路の漏水および/または詰まりあるいは部分的な詰まりを特定するように構成される。
【0048】
好ましい実施形態によれば、センサ装置、特にセンサハウジングは、センサ信号または複数のセンサ信号を送出するための信号接続部を有し、この信号接続部は、送信機および/または評価ユニットに接続できる。好ましくは、センサ装置は、例えばサーモジェネレータのようなエネルギーハーベスタから構成される。評価ユニットを接続すると、直接的で自己完結した信号処理が可能になる。評価されたセンサデータは、監視された前記動作状態に関する警告メッセージを表示するために、または監視された前記動作状態に関する情報を表示するために、センサまたはセンサに結合された送信機によって、例えばクラウドなどの中央データストレージに送出されるか、オプションのモバイル機器に接続することができる。
【0049】
好ましくは、カップリングアセンブリは、センサまたは複数のセンサをそれぞれハウジングに結合するための磁石、特に永久磁石を有し、特にカップリング部は磁石からなる。磁石は、磁力によって間接的にかつ簡易的に接続ができる。これにより、ハウジングにセンサ装置を短時間で装着できる。よって、センサ装置の取り扱いが簡素化できる。
【0050】
第3の態様では、本発明は、請求項15に記載の特徴を備えたスチームトラップによって上述の課題を解決する。
【0051】
本発明の第1または第2の態様のそれぞれの好ましい例示的な実施形態でもある本発明の第3の態様によれば、カップリングアセンブリは、カップリング面に取り外し可能に係合させることができるカップリング部または前記カップリング部と、いずれも固体伝搬音を伝導するようにハウジングに間接的に接続され、カップリング部に少なくとも間接的に接続するように構成された保持部または前記保持部と、保持部に設置され、温度を検出する第2のセンサを収容するように構成されたセンサ取付部を備える。これにより、カップリング部は、ハウジングに結合されて、保持部は、カップリング部と隣接しつつ間隔をあけて、センサ取付部内に第1のセンサと第2のセンサを保持する。これにより、第1のセンサおよび第2のセンサは外部から保護される。尚且つ、カップリング部を介して伝導されるハウジングの高い温度が第1のセンサと第2のセンサの測定結果に及ぼす不利な影響が回避できる。
【0052】
本発明の第1の態様および第2の態様による制御弁の好ましい実施形態は、本発明の第3の態様に関しても同様に好ましい実施形態であり、それに関連する利点および可能な設計に関する上述の説明が参照できる。これにより、第3の態様によるスチームトラップは、制御弁にもなり得る。
【0053】
第4の態様では、本発明は、請求項17に記載のセンサ装置によって上述の課題を解決する。
【0054】
第4の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による流路、特にスチームトラップにおける漏水および/または詰まりを検出する制御弁用のセンサ装置に関する。センサ装置は、ハウジングに結合するためのカップリングアセンブリと、固体伝搬音を検出するため、および/またはカップリングアセンブリおよび/またはハウジングの温度を検出する少なくとも1つのセンサとから構成される。センサ装置は、スチームトラップの閉鎖部材よりも下流側に配置され、カップリングアセンブリおよび/またはハウジングの固体伝搬音を検出することによってスチームトラップの漏水を検出すること、およびカップリングアセンブリおよび/またはハウジングの温度を検出することによって流路の詰まりを検出するように構成される。これにより、本構成は第4の態様に係る上述の課題を解決する。
【0055】
代替的または付加的に、センサ装置に関する上述の課題は、カップリングアセンブリがハウジングに取り外し可能に接続するように構成されたカップリング部と、固体伝搬音および/または温度を伝導するためにセンサをカップリング部に接続するように構成されたアダプタを有することで解決される。
【0056】
代替的にまたは付加的に、カップリングアセンブリは、取り外し可能にカップリング面に係合させることができるカップリング部と、固体伝搬音を伝導するようにハウジングに間接的に接続され、第1のセンサに直接的または間接的に接続するように構成される。尚且つ、カップリングアセンブリは、カップリング部に少なくとも間接的に接続するように構成された保持部と、保持部に設置されて、温度を検出する第2のセンサを収容するように構成されたセンサ取付部を備える。これにより、センサ装置に関する上述の課題は解決される。
【0057】
本発明の第4の態様によるセンサ装置は、前記センサ装置によって、第1の態様ないしは第3の態様による制御弁に関して上述した作用効果がある。第1の態様ないしは第3の態様による利点および好ましい実施形態は、本発明の第4の態様による利点および好ましい実施形態でもあり、その逆もまた同様である。前記センサ装置は、パイプまたは他の流体伝導アセンブリ群の流路における漏水および/または詰まりを検出するためにも適用できる。
【0058】
第5の態様では、本発明は、請求項18に記載の方法によって上述の課題を解決する。
【0059】
本発明の第4の態様によるセンサ装置を提供することにより、本発明の第1の態様、第2の態様および第3の態様に関して上述した利点を本発明に係る方法に採り入れる。本発明の第1の態様、第2の態様および第3の態様による利点および好ましい実施形態は、本発明の第5の態様に係る好ましい実施形態および利点でもあり、その逆もまた同様である。
【0060】
好ましくは、本発明に係る方法は、温度センサによって少なくとも1つの第2のセンサ信号を供給するステップと、第2のセンサ信号を評価ユニットに送信するステップと、前記第1のセンサと前記温度センサのセンサ信号を共同で評価するステップ、をさらに備える。
【発明の効果】
【0061】
本発明によれば、従来技術の欠点を克服することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る制御弁の例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第2の実施形態に係る制御弁の例を示す斜視図である。
【
図3】
図3aは、
図2の制御弁におけるセンサ装置を示す側面図である。
図3bは、
図3aのセンサ装置の縦断面図である。
【
図4】
図4aは、一実施形態のセンサ装置を示す側面図である。
図4bは、
図4aのセンサ装置の縦断面図である。
【
図5】
図5aは、一実施形態のセンサ装置を示す側面図である。
図5bは、
図5aのセンサ装置の縦断面図である。
【
図6】
図6aは、一実施形態のセンサ装置を示す側面図である。
図6bは、
図6aのセンサ装置の縦断面図である。
【
図7】
図7aは、一実施形態のセンサ装置を示す側面図である。
図7bは、
図7aのセンサ装置の縦断面図である。
【
図8】
図8aは、一実施形態のセンサ装置を示す側面図である。
図8bは、
図8aのセンサ装置の縦断面図である。
【
図9】
図9aは、一実施形態のセンサ装置を示す側面図である。
図9bは、
図9aのセンサ装置の縦断面図である。
【
図11】
図11は、
図2の制御弁の流路における漏水や詰まりを検出する方法を示す概略の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、スチームトラップ2として設計した制御弁1を示している。スチームトラップ2は、配管システムに接続できる入口フランジ3および出口フランジ5を備える(配管システムは図示せず)。ガス成分と凝縮した水成分を含む流体は、入口フランジ3を通ってスチームトラップ2に入る。次に、スチームトラップ2は、出口フランジ5を通って凝縮した水を排出する。
【0064】
スチームトラップ2は、ハウジング9の内部に、保護スクリーン7と、入口フランジ3と出口フランジ5との間に延在する流路8を有する凝縮水の分流部を備える。センサ装置10は、固体伝搬音を伝導するようにハウジング9に接続されている。
【0065】
閉鎖部材11は図示しないがハウジング9内の流路8に配置されている。閉鎖部材11は、流路8を選択的に開通するように構成されている。閉鎖部材11は、特にバイメタルまたは膜であり、温度に応じて流路8を開通することで、スチームトラップ2から凝縮水を排出できる。
【0066】
センサ装置10は、センサ12と、センサ装置10をハウジング9に、特にハウジング9のカップリング面9aに接続するためのカップリングアセンブリ14を備える。ハウジング9の固体伝搬音を装着状態のセンサ12に伝導するために、カップリングアセンブリ14は、センサ12に直接的または間接的に接続されており、ハウジング9またはカップリング面9aにそれぞれ取り外し可能な接続かつ直接的または間接的な接続を確立するように構成される。
【0067】
カップリングアセンブリ14は、カップリング部15と、カップリング部15に取り外し可能かつ接続可能な保持部16を備え、センサ12は、固体伝搬音を伝導するように、カップリングアセンブリ14によってハウジング9に接続される。これにより、センサ12とハウジング9との間に、固体伝搬音が伝導する接続となり、センサ12はハウジング9の固体伝搬音を検出することが可能となり、その結果、動作状態、特に流路8における漏水および/または詰まりに対する結論を導き出すことが可能となる。これにより、カップリング部15と保持部16の組み合わせが機能分担を実現し、検出すべき固体伝搬音がカップリング部15と保持部16の内部を伝搬する。
【0068】
センサ装置10は、任意の位置でハウジング9に結合することもできる。好ましくは、センサ装置10は、閉鎖部材11の下流側に配置される。
【0069】
第1の実施形態のセンサ装置10は、
図1に示される。スチームトラップ2である制御弁1は、
図2に示されており、センサ装置10の構成が
図1と異なっている。実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付しており、
図1に例示される実施形態の説明が参照される。
【0070】
センサ装置10はセンサハウジング18を有する。センサハウジング18はカップリングアセンブリ14に結合され、保持部16(
図3a、
図3bを参照)および第1のセンサ12(
図3a、
図3bを参照)を収容する。これにより、保持部16およびセンサ12はセンサハウジング18内に確実に収められ、環境の影響から保護される。好ましくは、センサハウジング18は、保持部16および/またはセンサ12および/またはカップリング部15に脱着可能に結合される。
【0071】
図3aおよび
図3bは、
図2のセンサ装置10を詳細に示している。
【0072】
カップリングアセンブリ14は、ハウジング9(
図1を参照)のカップリング面9aに結合するためのねじであるカップリング部15を備え、センサハウジング18はカップリング部15に隣接して配置されている。特に
図3bに示すように、カップリングアセンブリ14は、保持部16を備える。保持部16は、保持部36を有するねじ17である。
【0073】
ねじとして形成されたカップリング部15は、軸部21と頭部23を備える。頭部23には、保持部16の遠端に結合部27が形成され、結合部27が配されるカップリングレセプタクル25が設けされている。
【0074】
センサ12は圧電センサであり、本実施例では中央に円筒状の穴を有する板状に形成された第1の圧電素子28.1と第2の圧電素子28.2を備える。センサ12は、それぞれ電気信号または電流を供給するための一対の電極32を備える。ねじ17として形成された保持部16は、センサ12の穴を通して案内される。
【0075】
センサ12は前部導体33を含む。保持部16は、ねじ17として形成された締結部34を備える。前部導体33は円板状に形成され、前部導体33は雌ねじが形成された中心孔を有し、ねじ17として形成された保持部16における保持部36に螺合する。
【0076】
センサ12は、締結部34に隣接して配置され、本実施例では中央に円筒状の穴を有する板状に形成された振動質量31を備える。ねじ17は穴を通してガイドされる。締結部34は、振動質量31の上に配される。これにより、少なくとも1つの第1の圧電素子28.1と第2の圧電素子28.2を備えるセンサ12は、前部導体33と締結部34との間に確実に配置し固定することができ、振動質量31は、第1の圧電素子28.1および第2の圧電素子28.2に対して相対運動可能に、ねじ17、特に保持部36に係合する。
【0077】
前部導体は、カップリングアセンブリ14、特にカップリング部15の頭部23から間隔をあけて隣接して配置されている。これにより、断熱材としてのキャビティ37が、前部導体33とカップリング部15の頭部23との間に形成される。本実施例では、キャビティ37は、径方向において保持部36の周囲に延在し、特に頭部23の径方向への延在および前部導体33の径方向への延在によって区画される空間を意味ずる。センサ12の断熱性は、カップリングアセンブリ14、ひいてはハウジング9(
図1および
図2を参照)により、キャビティ37によって断熱性能が向上する。
【0078】
図に示された実施形態では、振動質量31は、センサハウジング18の結合部20を介してセンサハウジング18に接続されている。好ましくは、振動質量31と結合部20との間には、間接的な接続および/または摩擦を伴う接続が、固体伝搬音を伝導する接続と同じように形成される。好ましくは、結合部20は、摩擦を促進する表面コーティング、特にポリマーコーティングが施された接触面20aであって、振動質量31に接する接触面20aを有する。好ましくは、結合部20の接触面20aは、ラバーコーティングが施されている。
【0079】
本発明に係るセンサ装置10のさらなる例示的な実施形態を
図4aおよび
図4bに示す。同一の機能を有する部材には同一の符号を付しており、
図3aおよび
図3bに例示される実施形態の説明が参照される。センサ装置10はセンサハウジング18を有していない。センサハウジング18は、
図4aおよび
図4bに示す例示的な実施形態の場合、オプションで追加できる。
【0080】
図4aおよび
図4bに示す例示的な実施形態は、カップリングアセンブリ14の前部導体33と頭部23との間に断熱材からなる固体絶縁材料29が配されており、上記の例示的な実施形態とは異なる。断熱材からなる固体絶縁材料29は、固体絶縁材料29からなる断熱材は、保持部36のガイド用の中央穴を有する。これにより、カップリングレセプタクル25に配される、ねじ17として形成された保持部16の結合部27によって、固体絶縁材料29からなる断熱材が形成される。これにより、固体絶縁材料29からなる断熱材とねじ17との間で、例えば、ねじによる間接的な接続を形成するために固体絶縁材料29からなる断熱材をさらに加工することが省略できる。
【0081】
図5aおよび
図5bは、本発明に係るセンサ装置10のさらなる例示的な実施形態を示している。同一の機能を有する部材には同一の符号を付しており、
図3aおよび
図3b並びに
図4aおよび
図4bに例示される実施形態の説明が参照される。
【0082】
センサ装置10は、本実施例では第1のセンサである上述のセンサ12と、カップリング部15を有するカップリングアセンブリ14と、取り外し可能にカップリング部15に結合される保持部16を備える。保持部16は、ねじ17として形成され、保持部36と締結部34を有する。保持部36は前部導体33に係合し、ねじ17の頭部は締結部34を形成する。カップリングアセンブリ14はさらに、カップリング部15と保持部16とを取り外し可能に結合するためのスリーブ35を有する。
【0083】
好ましくは、スリーブ35は、前部導体33の外周にスリーブ35を配置させる第1の円筒部35aと、スリーブ35をカップリング部15の頭部23に配置させる第2の円筒部35bを備える。本実施例では、スリーブ35は、ねじとして機能する。スリーブ35は、第2の円筒部35bから第1の円筒部35aに向かって先細になる中央部35cをさらに備える。好ましくは、スリーブ35は、前部導体33とカップリング部15の頭部23とを間接的に結合させる。スリーブ35は、カップリングアセンブリ14、特に頭部23と、保持部16、特に振動質量31との間に、固体伝搬音を伝導する接続を確立するために設けられる。本実施例では、振動質量31に固体伝搬音を伝導する接続は、前部導体33と保持部16とによって間接的に行われる。センサ12は、既知の圧電センサが設けられ、好ましくは、第1の圧電素子28.1と第2の圧電素子28.2とから構成される。センサ12は、それぞれ電気信号または電流を供給するための一対の電極32をさらに備える。これにより、固体伝搬音はスリーブ35と保持部16とを経由して第1の圧電素子28.1と第2の圧電素子28.2とに伝達する。
【0084】
頭部23と前部導体33との間には、さらにキャビティ37が形成されている。キャビティ37は、径方向はスリーブ35によって、軸方向は頭部23と前部導体33とによって区画されている。これにより、保持部16、特に前部導体33の、カップリング部15またはハウジング9に対する絶縁性がキャビティ37によって保証される(
図1を参照)。保持部36との係合およびカップリング部15との係合を回避したことで、熱伝導が減少し、ハウジング9の高温からセンサ12が保護される(
図1および
図2を参照)。
【0085】
第1の圧電素子28.1と第2の圧電素子28.2を備えた圧電センサである第1のセンサ12に加えて、センサ装置10は、カップリングアセンブリ14の温度を検出する第2のセンサ39をさらに備える。第2のセンサ39は温度センサである。好ましくは、温度センサである第2のセンサ39は、カップリング部15の頭部23に形成されたセンサ取付部40に配される。
【0086】
図6Aおよび
図6Bに示すセンサ装置10の例示的な実施形態は、第1のセンサ12に加えて、第2のセンサ39がさらに設けされている点で、
図3Aおよび
図3Bに示した例示的な実施形態と異なる。同一の機能を有する部材には同一の符号を付しており、
図3aおよび
図3bに例示される実施形態の説明が参照される。
【0087】
第1のセンサ12は、既知圧電センサが設けられ、第1の圧電素子28.1と第2の圧電素子28.2とから構成される。センサ12は、それぞれ電気信号または電流を供給するための一対の電極32をさらに備える。第2のセンサ39は温度センサであり、センサ取付部40に配される。第2のセンサ39は、温度変化を検出することにより流路8における詰まりを示すように構成されている。図に示した実施形態では、センサ取付部40はカップリング部15の頭部23に形成されている。あるいは、保持部16にセンサ取付部を設けることもできる。
【0088】
図7aおよび
図7bに示された例示的な実施形態は、好ましくは、第1のセンサ12に加えて、センサ装置10が、温度センサとしての第2のセンサ39を有する点で、
図6aおよび
図6bまたは
図3aおよび
図3bに示した例示的な実施形態と異なる。同一の機能を有する部材には同一の符号を付しており、
図6aおよび
図6b、または
図3aおよび
図3bに例示される実施形態の説明が参照される。
【0089】
第1のセンサ12は、第1の圧電素子28.1と第2の圧電素子28.2を有する圧電センサであることが好ましい。第1のセンサ12は、ハウジング9(
図1を参照)内の固体伝搬音に基づいて変化する電気信号または電流をそれぞれ供給するための一対の電極32をさらに備える。
【0090】
第2のセンサ39はセンサ取付部40に配される。センサ取付部40は保持部16に形成されている。保持部16の温度を検出するために、第2のセンサ39は、スチームトラップ2の水の詰まりを検出するように形成される。これにより、保持部16は、締結部34と保持部36とが配された頭部を有するねじ17として形成され、センサ取付部40は、締結部34から保持部36の全体を通って結合部27まで延在し、結合部27は、カップリング部15の対応するカップリングレセプタクル25に係合する。保持部16の温度検出に加えて、カップリング部15とハウジング9(
図1と
図2を参照)との温度差の迅速な検出は、第2のセンサ39を結合部27へと延ばすことによって可能である。したがって、第2のセンサ39は、頭部23における結合部27の少なくとも部分的な収容によって、カップリング部15の温度変動も間接的に検出する。
【0091】
図8aおよび
図8bは、本発明に係るセンサ装置10のさらなる例示的な実施形態を示している。図に示した例示的な実施形態は、制御弁に代えて管部43とした点、およびカップリングアセンブリ14が管部43に設けられる点が、
図4aおよび
図4bの例示的な実施形態と異なる。同一の機能を有する部材には同一の符号を付しており、
図4aおよび
図4bに例示される実施形態の説明が参照される。
【0092】
カップリングアセンブリ14は2つの部材で構成されており、ねじであるカップリング部15と、パイプクランプである第2の保持部41を備える。好ましくは、カップリング部15は、第2の保持部41のねじ穴42に、取り外し可能に係合することで、パイプクランプとして形成された第2の保持部41と、ねじとして形成されたカップリング部15との間に、固体伝搬音を伝導する接続を保証する。カップリングアセンブリ14により、センサ装置10は、制御弁、特に管部43に固体伝搬音を伝導する接続を確立するように構成される。したがって、管部43または制御弁における漏水は、固体伝搬音の変化に基づき、センサ装置10によって確実に検出することができる。例示的な実施形態では、動作状態を監視し、漏水を検知するために、センサ装置10は、配管システムの配管に固体伝搬音を伝導させる接続をするように構成される。
【0093】
本発明によれば、カップリングアセンブリ14の対応する構成は、
図2a~
図7bに示した実施形態の変形例と組み合わせることができる。そして、管部43の流路における詰まりを検出するために、例えば第2のセンサによってカップリングアセンブリ14の温度が監視される。
【0094】
図9aおよび
図9bは、センサ装置10のさらなる実施形態を示している。センサ装置10は、ハウジング9(
図1を参照)に結合するためのカップリングアセンブリ14を備える。センサ装置10はさらに、固体伝搬音を検出する第1のセンサ12と、カップリングアセンブリ14および/またはハウジング9の温度を検出する第2のセンサ39を備える(
図1を参照)。装着したセンサ12にハウジング9の固体伝搬音を伝導するために、カップリングアセンブリ14は、第1のセンサ12に直接的に接続され、ハウジング9に取り外し可能な接続を確立するように構成される(ハウジング9は
図1を参照)。本実施例では、センサ12は圧電センサであり、上述した例示的な実施形態の説明が参照される。
【0095】
カップリングアセンブリ14は、ハウジング9におけるカップリング面9a(
図1を参照)に取り外し可能に係合させることができるカップリング部15を備える。カップリングアセンブリ14はさらに、ハウジング9に固体伝搬音を伝導するように間接的に接続され、本実施例の第1のセンサ12に直接的に接続する保持部16を備える。
【0096】
カップリング部15は、第1の軸部21と第1の頭部23を有する第1のねじである。保持部16は、第2の頭部34と第2の軸部36を有する第2のねじ17である。第2の頭部34は、第1のセンサ12を予め圧縮力を加える締結部である。第2の軸部36は、カップリングアセンブリ14のアダプタ60に係合するように構成された保持部が設けられる。
【0097】
アダプタ60は、ねじ穴63が形成されたアダプタ取付部62を備える。保持部として形成された第2の軸部36は、ねじ穴63に係合するように構成される。ねじ穴63は長手方向の軸線LAに沿って延在する。好ましくは、アダプタ取付部62は、カップリング部15のカップリングレセプタクル25と同軸で延設される。
【0098】
保持部16は、長手方向の軸線LAの方向に第1の長さL1を有する。アダプタ取付部62、特にねじ穴63は、保持部16の長さL1の少なくとも1/3を有する。アダプタ60のねじ穴63は、第1の長さL1の少なくとも1/3に沿って保持部16に係合する構成である。これにより、保持部16とアダプタ60との間での力の伝達が保証される。
【0099】
アダプタ60は、半径方向Rに延びる接触面60aを有する。第1のセンサ12の前部導体33は、第1の圧電素子28.1に隣接する第1の直径D1と、接触面60aに隣接する第2の直径D2を有するスリーブ38として形成される。したがって、第1の直径D1と第2の直径D2は、それぞれスリーブ38の外径を示す。これにより、第2の直径D2は、ねじ穴63の直径よりも大きくなるので、前部導体33は接触面60aに配され、第2のねじ17として形成された保持部16は保持部36とともにねじ穴63に螺合する。これにより、第1の圧電素子28.1および第2の圧電素子28.2は、ねじ頭部34と前部導体33との間に締結される。
【0100】
アダプタ60はさらに結合部64を有し、結合部64はカップリング部15のカップリングレセプタクル25に係合するように構成される。好ましくは、結合部64は、カップリングレセプタクル25に螺合して係合する構成である。結合部64は塑性変形する。これにより、アダプタ60とカップリング部15との間に強固な接続が形成される。
【0101】
図9aに示すように、アダプタ60はアタッチメント65を有する。アダプタ60は、長手方向の軸線L
A周りの回転係合によって結合部64とカップリングレセプタクル25とを係合するためのものである。
【0102】
アダプタ60はさらに、半径方向Rに延在する接触面60aと、半径方向Rに接触面60aを囲む壁67と、によって形成される収容空間66を有する。好ましくは、収容空間66は、少なくとも部分的に第2のセンサ39を収容する構成である。
【0103】
壁67の外周面には、センサハウジング18の対応する取付面18Aと係合するカップリング面68も形成されている。
【0104】
第2のセンサ39の上部は収容空間66内へと延在し、センサハウジング18に囲まれる。これにより、第2のセンサ39は保護され、センサハウジング18内の送信機45に接続することができる。
【0105】
図10aおよび
図10bは、本発明に係るセンサ装置10のさらなる実施形態を示している。
図9aおよび
図9bに示す例示的な実施形態の説明が参照される。ここで、同一の機能を有する部材には同一の符号を付しており、繰り返しを避けるため、2つの実施形態の相違点についてのみ言及する。
【0106】
アダプタ60は、長手方向の軸線L
Aに沿ってアダプタの長さL2で延在している。
図10aおよび
図10bの例示的な実施形態では、好ましくは、アダプタ60は、アダプタの長さL2の少なくとも3/4に沿って延在するセンサ取付部69を有する。これにより、センサ取付部69は、カップリング部15の頭部23に隣接する領域まで延在する。これにより、センサ取付部69は、本実施例では温度センサである第2のセンサ39を収容するように構成される。
【0107】
本実施例では、センサ装置10は送信機45をさらに備える。送信機45は、信号接続部47(
図11を参照)によって、スチームトラップ2に設置された評価ユニット50(
図11を参照)に、第1のセンサ12のセンサ信号と第2のセンサ39のセンサ信号のいずれかないしは両方を送信するように構成される。
【0108】
図11は、スチームトラップ2として形成された、本発明に係る制御弁1を示す。スチームトラップ2は、入口フランジ3と、出口フランジ5と、保護スクリーン7を有する凝縮水の分流部と、入口フランジ3と出口フランジ5との間に形成されてハウジング9内に延在する流路8を備える。
【0109】
流路8を選択的に遮断または開通するように構成された閉鎖部材11が、ハウジング内の流路8内に配置されている。
【0110】
センサ装置10は、第1のセンサ12と、センサ装置10をハウジング9、特にハウジング9のカップリング面9aに接続するためのカップリングアセンブリ14を備える。装着した第1のセンサ12にハウジング9の固体伝搬音を伝導するために、カップリングアセンブリ14は、第1のセンサ12に直接的または間接的に接続されており、ハウジング9またはカップリング面9aにそれぞれ取り外し可能な接続、かつ直接的または間接的な接続を確立するように構成される。
【0111】
センサ装置10は、固体伝搬音を伝導するようにハウジング9に接続されている(
図2a~
図10bを参照)。センサ装置10はセンサハウジング18を備える。好ましくは、センサハウジング18には、第1のセンサ12と第2のセンサ39とに信号接続された送信機45が設けされている。第2のセンサ39は、温度を検出するように形成することができ、ハウジング9に熱伝導可能に接続することができる。
【0112】
図2a~
図10bに示すセンサ装置10の例示的な実施形態において、信号伝送用の送信機45の代わりに、配線接続にすることもできる(配線接続は図示せず)。センサハウジング18には、送信機または評価ユニットそれぞれのためのプラグまたはコネクタを設けることもできる(図示せず)。
【0113】
送信機45は、信号接続部47によって評価ユニット50にセンサ信号を送信するように構成されており、本実施例では無線送信機である。評価ユニット50は、各制御弁1に設置される。好ましくは、送信機45と、第1のセンサ12と第2のセンサ39のいずれかないしは両方へのエネルギー供給のために、エネルギー貯蔵部49が設けされている。エネルギー貯蔵部49に代えて、センサ装置10の自給動作のために、供給用の電線を設けることもできる。
【0114】
代替的な好ましい態様では、評価ユニット50は、制御弁1が設置されているプラントを制御するための評価ユニットとすることができる。あるいは、評価ユニット50は、各制御弁1の評価ユニットとすることもできる。好ましくは、前記評価ユニットは、制御弁1から離間して配置することができる。または、前記評価ユニットは、制御弁1のハウジング9に設置することができる。
【0115】
好ましい例示的な実施形態によれば、警報機器をハウジング9に設けることができる。前記警報機器は、評価ユニット50によって評価されたセンサ信号と、漏水および/または詰まりの検出結果に基づいて、光学的および/または音響的な警報信号を提供するように構成される。
【0116】
本発明に係る方法は、流路8における漏水および/または詰まりは、特に動作中に、以下のステップを含む方法によって検出することができる。
センサ装置10を供給するステップと、
カップリングアセンブリ14によってセンサ装置10を、固体伝搬音が伝導するようにハウジング9に接続するステップと、
カップリングアセンブリ14によって固体伝搬音を、第1のセンサ12と第2のセンサ39のいずれかないしは両方に伝導するステップ(
図3a~
図8bを参照)と、さらに、
第1のセンサ12と評価ユニット50とによって実行される以下のステップを含み、
ステップS1における検出手段110は、第1のセンサ12によって固体伝搬音を検出し、
ステップS2における供給手段120は、第1のセンサ12によって少なくとも1つのセンサ信号を供給し、
ステップS3における送信手段130は、送信機45によってセンサ信号を評価ユニット50に送信し、
ステップS4における評価手段140は、評価ユニット50によって第1のセンサ12のセンサ信号を評価する。
【0117】
ステップS2において、温度信号である第2のセンサ39のセンサ信号も供給する。好ましくは、スチームトラップ2の動作状態を監視し、特に漏水および/または詰まりを検出するために、ステップS4において、第1のセンサ12のセンサ信号と第2のセンサ39のセンサ信号の両方が評価される。
【符号の説明】
【0118】
1 制御弁
2 スチームトラップ
3 入口フランジ
5 出口フランジ
7 保護スクリーンを有する凝縮水の分流部
8 流路
9 ハウジング、9a カップリング面
10 センサ装置
11 閉鎖部材
12 第1のセンサ、圧電センサ
14 カップリングアセンブリ
15 カップリング部(第1のねじ)
16 保持部
17 第2のねじ
18 センサハウジング
20 結合部、20a 接触面
21 第1の軸部
23 第1の頭部
25 カップリングレセプタクル
27 結合部
28.1 第1の圧電素子
28.2 第2の圧電素子
29 断熱材
31 振動質量
32 電極
33 前部導体
34 締結部
35 スリーブ
35a 第1の円筒部
35b 第2の円筒部
35c 中央部
36 保持部
37 キャビティ
38 スリーブ
39 温度センサ
40 センサ取付部
41 保持部、パイプクランプ
42 ねじ穴
43 管部
45 送信機
47 信号接続部
49 エネルギー貯蔵部
50 評価ユニット
60 アダプタ、60a 接触面
62 アダプタ取付部
63 ねじ穴
64 結合部
65 アタッチメント
66 収容空間
67 壁
68 カップリング面
69 センサ取付部
LA 軸線
L1 第1の長さ
L2 第2の長さ
R 半径方向
D1 第1の外径
D2 第2の外径
100 流路状態検出方法
110 ステップS1
120 ステップS2
130 ステップS3
140 ステップS4
【手続補正書】
【提出日】2024-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れを制御するためのスチームトラップ(2)であり、特に凝縮水を排水するためのスチームトラップ(2)であって、
入口フランジ(3)と出口フランジ(5)を有するハウジング(9)と、前記入口フランジ(3)と前記出口フランジ(5)との間に形成された流路(8)と、前記流路(8)内に配置されて前記流路(8)を選択的に遮断または選択的に開通するように構成された閉鎖部材(11)と、前記スチームトラップ(2)の動作状態を監視するために前記ハウジング(9)に結合されたセンサ装置(10)を備え、
前記センサ装置(10)は、前記ハウジング(9)に結合するカップリングアセンブリ(14)と、前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の固体伝搬音を検出するとともに前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の温度を検出するセンサ(12、39)を有し、
前記固体伝搬音を検出することで前記スチームトラップ(2)の漏水を検出する構成、および/または、前記温度を検出することで前記流路(8)における詰まりを検出する構成であり、
前記センサ装置(10)は、前記閉鎖部材(11)の下流側に配置されている、スチームトラップ(2)。
【請求項2】
請求項1に記載のスチームトラップ(2)であって、
前固体伝搬音を前記センサ(12)に伝導するために、および/または、前記温度を前記センサ(39)に伝導するために、前記カップリングアセンブリ(14)が前記センサ(12、39)に直接的または間接的に接続されており、前記カップリングアセンブリ(14)が前記ハウジング(9)に取り外し可能に接続されている、スチームトラップ(2)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記カップリングアセンブリ(14)が前記ハウジング(9)のカップリング面(9a)に取り外し可能に係合可能なカップリング部(15)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項4】
請求項3に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記カップリングアセンブリ(14)が前記固体伝搬音を伝導するように前記ハウジング(9)に間接的に接続されており、前記カップリングアセンブリ(14)が前記センサ(12、13)に直接的または間接的に接続されており、かつ、前記カップリングアセンブリ(14)が前記カップリング部(15)に間接的に接続するように構成された保持部(16、41)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項5】
流体の流れを制御するためのスチームトラップ(2)であり、特に凝縮水を排水するためのスチームトラップ(2)であって、
入口フランジ(3)と出口フランジ(5)を有するハウジング(9)と、前記入口フランジ(3)と前記出口フランジ(5)との間に形成された流路(8)と、前記流路(8)内に配置されて前記流路(8)を選択的に遮断または選択的に開通するように構成された閉鎖部材(11)と、前記スチームトラップ(2)の動作状態を監視するために前記ハウジング(9)に結合されたセンサ装置(10)を備え、
前記センサ装置(10)は、前記ハウジング(9)に結合するカップリングアセンブリ(14)と、前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の固体伝搬音を検出するとともに前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の温度を検出するセンサ(12、39)を有し、
前記カップリングアセンブリ(14)が前記ハウジング(9)に取り外し可能に接続するように構成されたカップリング部(15)と、前記固体伝搬音の伝導と前記温度の伝導のいずれかないしは両方のために、前記センサ(12、39)を前記カップリング部(15)に接続するように構成されたアダプタ(60)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項6】
請求項5に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記センサ(12、39)と前記カップリングアセンブリ(14)とを結合する保持部(16)を有し、前記アダプタ(60)は前記カップリングアセンブリ(14)が前記センサ(12、39)に直接的または間接的に接続されている、スチームトラップ(2)。
【請求項7】
請求項6に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記カップリング部(15)および前記保持部(16)は金属材料からなり、前記スチームトラップ(2)における前記アダプタ(60)は非金属材料、特に工業用セラミックおよび/またはポリマーからなる、スチームトラップ(2)。
【請求項8】
請求項6または7に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記保持部(16)が軸線(L
A)に沿って所定の長さ(L1)で延在しており、前記アダプタ(60)が前記保持部(16)における前記長さ(L1)のうちの少なくとも1/3の長さで前記保持部(16)に係合するように構成されたアダプタ取付部(62)を有しており、特にねじ穴(63)または雄ねじを有している、スチームトラップ(2)。
【請求項9】
請求項5~
7のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記カップリング部(15)が第1の軸部(21)と第1の頭部(23)を有する第1のねじ(15)であり、および/または、前記保持部(16)が第2の軸部(36)と第2の頭部(34)を有する第2のねじ(17)であり、
前記アダプタ(60)が前記第1の頭部(23)および前記第2の軸部(36)に取り外し可能に係合しており、および/または、前記カップリング部(15)が前記保持部(16)およびカップリングレセプタクル(25)を有し、前記保持部(16)および/または前記アダプタ(60)が対応する結合部(27、64)を有しており、前記カップリングレセプタクル(25)が前記結合部(27、64)に取り外し可能に係合する、スチームトラップ(2)。
【請求項10】
請求項5~
7のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記アダプタ(60)は、前記センサの少なくとも一部を収容するように構成された収容空間(66)を有しており、および/または、前記センサ装置(10)は、結合部(20)を有するセンサハウジング(18)を有しており、前記アダプタ(60)が前記結合部(20)に取り外し可能に係合するカップリング面(68)を有しており、前記収容空間(66)を半径方向(R)で区画する壁(67)によって前記カップリング面(68)が形成される、スチームトラップ(2)。
【請求項11】
請求項5~
7のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記アダプタ(60)は、軸線(L
A)に沿って第2の長さ(L2)で延在しており、前記アダプタ(60)は、前記第2の長さ(L2)の少なくとも3/4の長さで延在するセンサ取付部(69)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項12】
請求項1
、2または5のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記センサ(12)は圧電センサであって、前記センサ(12)は、第1の圧電素子(28.1)および第2の圧電素子(28.2)と、一対の電極(32)と、前記第1の圧電素子(28.1)および/または前記第2の圧電素子(28.2)に対して前記固体伝搬音に基づく相対運動をするように構成された振動質量(31)と、前記振動質量(31)から間隔をあけて配されていて前記カップリングアセンブリ(14)に結合されていて、前記第1の圧電素子(28.1)および前記第2の圧電素子(28.2)が前記振動質量(31)に対応するように配された前部導体(33)を備えており、
前記保持部(16、41)は、前記第1の圧電素子(28.1)および前記第2の圧電素子(28.2)が前記振動質量(31)と前記前部導体(33)との間に配されて、前記振動質量(31)が前記保持部(16、41)に移動可能に係合しており、前記保持部(16、41)は、前記振動質量(31)および前記前部導体(33)に直接的または間接的に接続されており、前記固体伝搬音を伝導することによって前記振動質量(31)を振動させるように前記保持部(16、41)が構成されており、前記第1の圧電素子(28.1)および/または前記第2の圧電素子(28.2)に対して前記振動質量(31)が前記相対運動をする、スチームトラップ(2)。
【請求項13】
請求項12に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記前部導体(33)は、断熱のためのキャビティ(37)が前記前部導体(33)と前記カップリングアセンブリ(14)との間に形成されるように、前記カップリング部(15)または前記アダプタ(60)に近い側の位置に配される構成、または、前記前部導体(33)がスリーブ(38)であって、前記第1の圧電素子(28.1)に接する第1の外径(D1)と、前記カップリングアセンブリ(14)、特に前記カップリング部(15)または前記アダプタ(60)に接する第2の外径(D2)を有しており、前記第2の外径(D2)が前記第1の外径(D1)よりも小さく、前記カップリング部(15)の接触面(15a)または前記アダプタ(60)の接触面(60a)に合わせて前記スリーブ(38)が配される構成、または、前記カップリングアセンブリ(14)は、前記ハウジング(9)から前記センサ(12)への熱伝達を低減するように構成された断熱材(29、37)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項14】
請求項1
、2または5のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記センサ(12、39)は第1のセンサ(12)であって、前記センサ装置(10)は、前記温度を検出する第2のセンサ(39)を有し、前記センサ装置(10)は、前記第2のセンサ(39)によって前記温度を検出することで前記詰まりを検出するように構成される、および/または、前記カップリングアセンブリ(14)は、前記第2のセンサ(39)のためのセンサ取付部(40)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項15】
流体の流れを制御するためのスチームトラップ(2)であり、特に凝縮水を排水するためのスチームトラップ(2)であって、
入口フランジ(3)と出口フランジ(5)を有するハウジング(9)と、前記入口フランジ(3)と前記出口フランジ(5)との間に形成された流路(8)と、前記流路(8)内に配置されて前記流路(8)を選択的に遮断または選択的に開通するように構成された閉鎖部材(11)と、前記スチームトラップ(2)の動作状態を監視するために前記ハウジング(9)に結合されたセンサ装置(10)を備え、
前記センサ装置(10)は、前記ハウジング(9)に結合するカップリングアセンブリ(14)と、前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の固体伝搬音を検出するとともに前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の温度を検出するセンサ(12、39)を有し、
前記カップリングアセンブリ(14)は、前記カップリング部(15)が前記カップリング面(9a)と取り外し可能に係合させることができる構成であり、前記カップリングアセンブリ(14)は、前記固体伝搬音を前記カップリング部(15)に伝導するように、前記ハウジング(9)および前記カップリング部(15)に間接的に接続するように構成された前記保持部(16、41)を有しており、前記保持部(16、41)は、前記温度を検出する前記第2のセンサ(39)を収容するように構成されたセンサ取付部(40)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項16】
請求項1
、2、5または15のいずれか一項に記載のスチームトラップ(2)であって、
前記センサ装置(10)は、信号接続部(47)を経由して前記スチームトラップ(2)に設けた評価ユニット(50)に前記センサ(12、39)のセンサ信号を送信するように構成された送信機(45)を有し、前記評価ユニット(50)は、前記動作状態を監視して、前記漏水および/または前記詰まりを検出するために、前記センサ信号を受信して評価するように構成されており、前記信号接続部(47)は、特に無線信号接続になっており、前記センサ装置(10)は、エネルギー貯蔵部(49)を有する、スチームトラップ(2)。
【請求項17】
請求項1
または2に記載のスチームトラップ(2)の動作状態を監視するためのセンサ装置(10)であって、
前記カップリングアセンブリ(14)と、前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の固体伝搬音を検出するとともに前記カップリングアセンブリ(14)と前記ハウジング(9)の温度を検出するセンサ(12、39)を有し、
前記センサ装置(10)は、前記閉鎖部材(11)の下流側に配置されており、前記センサ装置(10)は、前記固体伝搬音を検出することによって前記スチームトラップ(2)の漏水を検出する構成、および/または、前記温度を検出することによる流路(8)における詰まりを検出する構成であり、
前記カップリングアセンブリ(14)は、前記ハウジング(9)に取り外し可能に接続するように構成されたカップリング部(15)と、固体伝搬音および/または温度を伝導するように前記センサ(12、39)を前記カップリング部(15)に接続するように構成されたアダプタとを有しており、および/または、前記カップリングアセンブリ(14)は、前記固体伝搬音を伝導するように前記ハウジング(9)に間接的に接続されており、前記カップリングアセンブリ(14)は前記センサ(12、39)に直接的または間接的に接続されており、前記ハウジング(9)における前記カップリング面(9a)に係合させることができるカップリング部(15)と、前記カップリング部(15)に間接的に接続するように構成される保持部(16、41)と、前記保持部(16、41)に設けされて、前記温度を検出する前記第2のセンサ(30)を収容するように構成されたセンサ取付部(40)を有する、センサ装置(10)。
【請求項18】
請求項17に記載のセンサ装置(10)を用いた流路状態検出方法(100)であって、請求項1
または2に記載のスチームトラップ(2)の動作状態を監視し、前記スチームトラップ(2)の漏水および/または前記流路(8)における詰まりを検出する流路状態検出方法(100)であって、前記固体伝搬音の前記センサ(12)への伝導と前記温度の前記センサ(39)への伝導のために、前記スチームトラップ(2)における前記ハウジング(9)からの前記固体伝搬音が前記センサ装置(10)に伝導するように、前記カップリングアセンブリ(14)を前記センサ(12、39)に直接的または間接的に接続したうえで、
前記センサ(12、39)によって前記固体伝搬音および/または前記温度を検出するステップ(S1)と、
前記センサ(12)によって第1のセンサ信号を供給するステップ(S2)と、前記センサ信号を前記評価ユニット(50)に送信するステップ(S3)と、前記センサ信号を評価するステップ(S4)を含み、前記センサ(12)が前記固体伝搬音を検出し、かつ、前記センサ(39)が前記温度を検出して第2のセンサ信号を供給し前記第2のセンサ信号を前記評価ユニット(50)に送信し、前記評価ユニット(50)が前記第1のセンサ信号と前記第2のセンサ信号の両方を評価するステップをさらに含む、流路状態検出方法(100)。
【国際調査報告】