(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】毛髪保護および修復用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20250214BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20250214BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20250214BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20250214BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20250214BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q5/00
A61K8/37
A61K8/31
A61K8/9794
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547278
(86)(22)【出願日】2023-02-08
(85)【翻訳文提出日】2024-09-12
(86)【国際出願番号】 US2023012597
(87)【国際公開番号】W WO2023154325
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519457155
【氏名又は名称】バーネット プロダクツ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター スミス
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC022
4C083AC421
4C083AD531
4C083CC31
4C083CC33
4C083DD30
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE21
4C083EE28
4C083EE29
(57)【要約】
毛髪のキューティクルを保護するためのリンスオフ型またはリーブオン型毛髪製品に使用するための、トリグリセリドキャリア、スクアレン、ココナッツ油ベースのアルカン、メロン種子油、アルガン種子油、およびアルガン種子油不鹸化物を含む油性組成物。0.001%~25%の組成物をリンスオフ/リーブオン製品に使用することにより、毛髪の水分量の改善、毛髪の光沢、ほつれの低減、繊維間摩擦の低減、カール保持力の改善、毛髪の滑らかさの改善、毛髪のキューティクルの欠陥の充填/修正、毛髪の外観の改善、毛髪の破断強度の増加、および/または毛髪の弾力性のような、毛髪の状態に多くの改善をもたらす。また、0.001%~25%の組成物の使用は、毛髪の水分の損失;枝毛の形成;キューティクルの隙間および空隙の形成;毛髪の引張強度の損失;毛髪の弾力性の損失;毛髪の切れ毛;および/または繊維間摩擦の増加を防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪のキューティクルを保護するためのリンスオフ型またリーブオン型毛髪製品に使用するための油性組成物であって、前記組成物は、トリグリセリドキャリアと、スクアレンと、ココナッツ油ベースのアルカンと、メロン種子油と、アルガン種子油と、アルガン種子油不鹸化物とを含むことを特徴とする、油性組成物。
【請求項2】
トリグリセリドキャリアは、ヒマワリ油またはサフラワー油であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ココナッツ油ベースのアルカンは、Vegelite 912であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
メロン種子油は、トリグリセリドを含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アルガン種子油は、トリグリセリドを含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
アルガン種子油不鹸化物は、テルペノイドまたは分枝炭化水素であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
73.9%~93.9%のトリグリセリドキャリアと、0%~20%のココナッツ油ベースのアルカンと、0%~4%のスクアレンと、1%のメロン油と、1%のアルガン種子油と、0%~1%のアルガン種子油不鹸化物とを含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
1%~5%の組成物がリンスオフ型またリーブオン型製品に使用されることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
3%の組成物がリンスオフ型またリーブオン型製品に使用されることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
毛髪の状態を改善する方法であって、前記方法は、0.001%~25%の組成物を含むリンスオフ型またはリーブオン型毛髪製品を使用する工程を含み、前記組成物は、トリグリセリドキャリアと、スクアレンと、ココナッツ油ベースのアルカンと、メロン種子油と、アルガン種子油と、アルガン種子油不鹸化物とを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
改善される毛髪の状態は、毛髪の破断強度であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
改善される毛髪の状態は、毛髪の水分量であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
改善される毛髪の状態は、毛髪の光沢であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
改善される毛髪の状態は、繊維間摩擦であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
改善される毛髪の状態は、毛髪のカール保持力であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
改善される毛髪の状態は、毛髪の滑らかさであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
改善される毛髪の状態は、毛髪の弾力性であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪キューティクルの損傷を防止し、毛髪キューティクルの損傷を修復し、それによって毛髪の外観および構造的特性を改善するための、油性組成物、ならびにリンスオフ型またはリーブオン型の毛髪製品における当該油性組成物の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、参照により全体が本明細書の一部をなすものとする、2022年2月8日に出願された、「HAIR PROTECTION AND REPAIR COMPOSITION」の名称を有する米国仮特許出願第63/307,711号の優先権を主張する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、毛髪キューティクルの補修ならびに損傷からの保護のための、組成物、ならびにリンスオフ型またはリーブオン型の毛髪製品における油性組成物の使用方法を提供する。
【0004】
本発明は、毛髪キューティクルを保護するための、リンスオフ型またはリーブオン型毛髪製品に使用する油性組成物を提供し、当該組成物は、トリグリセリドキャリア、スクアレン、ココナッツ油ベースのアルカン、メロン種子油、アルガン種子油、およびアルガン種子油不鹸化物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、シャンプー、コンディショナー、トリートメントパックのようなリンスオフ型毛髪製品あるいはリーブオン型毛髪製品に使用できる、組成物を提供する。リンスオフ/リーブオン型製品における0.001%~25%の本発明の組成物の使用が、毛髪の状態に多くの改善をもたらす。そのような改善は、毛髪の水分量の改善、毛髪の光沢、ほつれ(flyaways)の減少、毛髪のなじみを改善する繊維間摩擦の減少、毛髪繊維間の摩擦の減少、カール保持力の改善、毛髪の滑らかさの改善、毛髪キューティクルの欠陥の充填/修正、毛髪の外観の改善、毛髪の破断強度の増大、および/または毛髪の弾力性を含む。また、リンスオフ/リーブオン型製品における0.001%~25%の本発明の組成物の使用は、毛髪の水分の喪失、枝毛の形成、キューティクルの隙間および空隙の形成、毛髪の引張強度の喪失、毛髪の弾力性の喪失、毛髪の破断、および/または繊維間摩擦の増加を防止することができる。組成物は、トリグリセリドキャリア、スクアレン、ココナッツ油ベースのアルカン、メロン種子油、アルガン種子油、およびアルガン種子油不鹸化物を含む。
【0006】
浸透促進性ビヒクル中においてアルガン油由来の極性脂質画分をメロン油と組み合わせることにより、繰り返される洗髪/ドライヤー乾燥/コーミングサイクルによる毛髪の損傷に対する優れた保護が得られる。本明細書においてCapiSeal(商標)と呼称される本発明は、著しい毛髪損傷防止能力を提供する。CapiSeal濃度の好ましい範囲は1%から5%であり、コスト、効果、美観の観点から最適な濃度は3%である。
【実施例】
【0007】
(評価したパラメータ)
ミニインストロン型試験機による毛髪破断強度を評価した。
【0008】
(処理)
未加工(virgin)および漂白した個々の白人毛髪のストランドを、破断強度について試験した。全ての試験は、最低10束の毛髪ストランドで完了した。全ての試験セルを、以下の毛髪損傷プロトコルに供した:15%のSLSを含有する50℃~60℃の水による5分間にわたる洗浄;コーミングしながら1000Wのヘアドライヤーを用いる高加熱での5分間にわたるドライヤー乾燥。このサイクルを10回にわたって繰り返した。
【0009】
(試験セル)
以下の処方を有効性について試験した。アルガン濃縮物の重要性、特異性、Vegeliteの濃度および必要性、キャリアのトリグリセリドベースの油の特異性、およびスクアランの役割を含む、製品の有効性を決定する際の多くの組成パラメータについて、変化を調べた。
【0010】
【0011】
(試験結果)
15%のSLSをベースとするシャンプーにおいて、上記の組成物(本明細書ではCapiSeal(商標)変形物と呼称する)を1%、3%および5%の量で使用した。毛髪サンプルは前述のように処理した。種々の試験による破断強度を以下の第2表に示す。示された結果は、試験された10本のストランドの平均値である。
【0012】
(Vegeliteおよびトリグリセリド油の必要性および特異性)
第2表の無処理セル(それぞれ25%および43%)に示すように、処理手順は、未加工毛髪および漂白毛髪の両方にかなりの損傷をもたらした。また、第2表(セル1、3、7、8、9)は、Vegelite 912(低分子量アルカンの配合物)が保護油の活性を向上させることを示している。これは浸透促進効果によるものである。Vegeliteの排除(セル3)、あるいは代替アルカン(ヘミスクアラン、Centerchem)によるVegeliteの置換(セル9)は、ある程度の活性を有するが最大の活性ではない、低質の製品をもたらす。Vegeliteの濃度を20%まで高めても、それ以上の効果は得られなかった。セル1およびセル8の比較は、損傷防止の観点からはヒマワリ油およびサフラワー油の両方が同等に許容可能であることを示す
【0013】
【0014】
(アルガン濃縮物の必要性および濃度)
CapiSeal(商標)ブレンド中のアルガン濃縮物の絶対必要量を、以下の第3表に示す。第3表は、アルガン濃縮物の濃度が高くなるにつれて、有益な効果が増強されることを示している。第3表において、CapiSeal(商標)の変形物を3%で使用した。アルガン濃縮物は0.1%から1%の間で効果が最大になるようであった。
【0015】
【0016】
(アルガン濃縮物の特異性)
また、アルガン濃縮物(AC)の特異性を調べた。ACは、ポリフェノール類およびテルペン類の配合物である。配合物の平均分子量は極めて低く、約250~350のようなものである。組成は、窒素(アミンのようなもの)および硫黄(硫酸塩および亜硫酸塩のようなもの)を含まず、炭素、水素、窒素で構成されている。10未満の酸価、および約0.85の比重を有する。2種の市販のテルペンまたはポリフェノール配合物を選択し、活性を比較した。混合緑茶ポリフェノール(<85%、Ministar)および桑テルペノイド抽出物(Pacific Technology Partners)を試験した。これら2種の代替物を、第1表の処方#5のACと比較した。以下の第4表からわかるように、緑茶ポリフェノールは損傷保護に効果がなかった。ACに類似した特性を有する桑配合物は実際の保護効果を示すが、ACと比較して減少した保護効果を示す。
【0017】
【0018】
(スクアランの利益)
第5表において、セル8および10は、スクアランが組成物中で有益であることを示す。スクアランなしでも製品は依然として極めて効果的であるが、4%のスクアレンを用いることにより、性能は大幅に改善される。
【0019】
【0020】
(美的効果)
最後に、最後の表である第6表は、シャンプーシステムに使用するCapiSeal(商標)の最適濃度を示す。第1表の処方#1においてCapiSeal(商標)の濃度を変化させ、1%、3%、5%の損傷防止効果を調べた。第6表に示すように、1%のCapiSeal(商標)は低めの損傷最小化効果(対照標準で観察された損傷の約半分)を示したが、濃度を3%に上げると劇的に性能が向上した(約90%の損傷防止)。さらにCapiSeal(商標)を5%まで増やしても、追加的な効果はほとんど得られなかった。したがって、最適濃度として3%を推奨する。
【0021】
【0022】
(非対照試験)
非対照の使用時嗜好性試験において、1%、3%、5%のCapiSeal(商標)(処方#1)を配合したシンプルなシャンプーを、30人の被験者に使用してもらった。10人の被験者には、唯一の毛髪用手入れ製品として、指定濃度を7日間使用し、毎日シャンプーしてもらった。
【0023】
研究の最後に、パネリストに対して、「有益なコンディショニング効果に気づいたか」および「不快な蓄積または過剰なコンディショニングに気づいたか」の2つの質問を行った。非対照試験の結果は以下のように要約される。
【0024】
(1% CapiSeal(商標))
- 有益なコンディショニング効果に気づいたか? 肯定:8/10
- 不快な蓄積または過剰なコンディショニングに気づいたか? 肯定:0/10
【0025】
(3% CapiSeal(商標))
- 有益なコンディショニング効果に気づいたか? 肯定:10/10
- 不快な蓄積または過剰なコンディショニングに気づいたか? 肯定:0/10
【0026】
(5% CapiSeal(商標))
- 有益なコンディショニング効果に気づいたか? 肯定:10/10
- 不快な蓄積または過剰なコンディショニングに気づいたか? 肯定:0/10
【0027】
(結論)
消費者試験および破断強度測定に基づいて、CapiSeal(商標)処方#1の好ましい濃度範囲は1%から5%であり、3%が本発明の最適な例である。キャリアのトリグリセリド油は重要でないと思われる。ヒマワリ油およびサフラワー油の両方が、同様の利点をもたらす。コスト、貯蔵(cache)、および美的な観点を考慮して、どの製品を使うかを決めるべきである。4%のスクアランは製品の活性を向上させる。コスト面を考慮して、より高い濃度を試験していない。浸透促進剤であるVegelite 912は10%で最も有効であり、類似の炭化水素よりも優れている。アルガン濃縮物は0.1%から1.0%で最も効果的である。コストを考慮すると0.1%が最適な濃度である。類似のテルペノイドの配合物が効果を減少させるのに対して、アルガン濃縮物は、特異的に利益をもたらす。3%のCapiSeal(商標)の使用は、効能を最大化し、不適当な美的効果をもたらさないための最適濃度である。
【0028】
上記の説明および実施例は、例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。上記の説明および実施例を読んだ際に、当業者にとって多くの実施形態が明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の説明および実施例を参照して決定されるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲、および当該特許請求の範囲に付与される等価物の全範囲を参照して決定されるべきである。特許出願および刊行物を含むすべての論文および参考文献の開示は、あらゆる目的のために参照により本明細書の一部をなすものとする。
【国際調査報告】