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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】自己眼圧測定法のための眼科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/16 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A61B3/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024570591
(86)(22)【出願日】2023-02-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 US2023062620
(87)【国際公開番号】W WO2023159039
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】63/310,218
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524304725
【氏名又は名称】アイ トゥ アイ テレヘルス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スミッツ,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】スミッツ,プレストン
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA20
4C316AA27
4C316FC04
(57)【要約】
自己眼圧測定法のための眼科用器具は、ユーザの眼の眼内圧を測定するための測定デバイスと、解剖学的固定点とユーザの眼の中心との間の距離を調整するための少なくとも1つの解剖学的固定点とを収容する本体を備える。本体に取り付けられた眼識別デバイスは、ジャイロスコープまたは他のセンサを使用して、測定されている左眼または右眼の識別を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己眼圧測定法のための眼科用器具であって、
a)X軸に関して機能的対称性を有し、Y軸に関して非対称性を有する本体であって、Z軸を中心とした前記本体の180度の回転が、ユーザが右眼または左眼を測定することを可能にする、本体と、
b)前記本体内または前記本体上に配置された測定デバイスであって、前記ユーザの第1の眼および/または第2の眼の眼内圧を測定する、測定デバイスと、
c)ユーザが少なくとも1つの解剖学的固定点と前記ユーザの第1の眼および/または第2の眼の中心との間の距離を調整することを可能にする少なくとも1つの解剖学的固定点であって、前記少なくとも1つの解剖学的固定点が、前記ユーザの解剖学的構造の一部に当接し、前記ユーザによって調整されるように、前記ユーザの第1の眼または第2の眼を前記測定デバイスに位置合わせするための距離の範囲に対応する、少なくとも1つの解剖学的固定点と、
d)前記本体に取り付けられた眼識別デバイスであって、測定されている左眼または右眼の識別を可能にする、前記本体の前記Y軸非対称性に対する前記Z軸を中心とした前記本体の180度の回転を検出するセンサを備える、眼識別デバイスとを備える、眼科用器具。
【請求項2】
前記少なくとも1つの解剖学的固定点のうちの2つを備え、該2つの解剖学的固定点の各々が、前記ユーザの眼窩骨に当接するように設計されたアイカップの形態である、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項3】
前記測定デバイスが、前記アイカップのうちの第1のアイカップの空洞内に配置され、前記アイカップのうちの第2のアイカップが、前記ユーザの視覚を遮る目に面する表面を備える、請求項2に記載の眼科用器具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの解剖学的固定点が、前記ユーザの鼻、前記ユーザの頬、前記ユーザの額、および前記ユーザの眉からなる群のうちの少なくとも1つに当接される、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項5】
前記少なくとも1つの解剖学的固定点と位置合わせされた前記本体の外面に配置されたパッドをさらに備える、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項6】
前記少なくとも1つの解剖学的固定点が、瞳孔間距離の範囲に対応する水平長さを含む、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項7】
前記ユーザによって調整された距離が瞳孔間距離を表す、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項8】
前記少なくとも1つの解剖学的固定点が、前記本体の前記解剖学的固定点が前記ユーザの解剖学的構造の一部にいつ当接されたかを感知するように構成された接触センサを備える、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項9】
前記センサがジャイロスコープである、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項10】
自己眼圧測定法のための眼科用器具であって、
a)本体と、
b)ユーザが解剖学的固定点と前記ユーザの第1の眼および/または第2の眼の中心との間の距離を調整することを可能にする少なくとも2つの解剖学的固定点であって、前記解剖学的固定点が前記ユーザの解剖学的構造の一部に当接する、少なくとも2つの解剖学的固定点と、
c)前記本体内または前記本体上に配置された測定デバイスであって、第1の解剖学的固定点が前記測定デバイスの第1の側に配置され、第2の解剖学的固定点が前記測定デバイスの第2の側に配置された状態で、ユーザの第1の眼および/または第2の眼の眼内圧を測定する、測定デバイスと、
d)前記本体に取り付けられた眼識別デバイスであって、前記眼識別デバイスがセンサを備え、それにより、前記本体が前記解剖学的固定点のうちの1つを介して前記ユーザに固定されると、前記センサが前記測定デバイスに対して前記ユーザを感知し、測定されている左眼または右眼の識別を可能にする、眼識別デバイスとを備える、眼科用器具。
【請求項11】
前記少なくとも2つの解剖学的固定点が、前記ユーザの眼窩骨に当接するように設計された2つのアイカップを備える、請求項10に記載の眼科用器具。
【請求項12】
前記測定デバイスが、前記アイカップのうちの第1のアイカップの空洞内に配置され、前記アイカップのうちの第2のアイカップが、前記ユーザの視覚を遮る目に面する表面を備える、請求項11に記載の眼科用器具。
【請求項13】
前記少なくとも2つの解剖学的固定点が各々、前記ユーザの鼻、前記ユーザの頬、前記ユーザの額、および前記ユーザの眉からなる群のうちの少なくとも1つに当接する、請求項10に記載の眼科用器具。
【請求項14】
前記解剖学的固定点の各々が、前記ユーザによって調整されるように、前記測定デバイスに対する前記ユーザの第1の眼および/または第2の眼の水平方向の位置合わせのための距離の範囲に対応する長さを有する、請求項10に記載の眼科用器具。
【請求項15】
前記センサが1つ以上の接触センサを備える、請求項10に記載の眼科用器具。
【請求項16】
前記1つ以上の接触センサが、前記解剖学的固定点の少なくとも一方への固定を感知し、測定されている左眼または右眼の識別を可能にするように構成されている、請求項15に記載の眼科用器具。
【請求項17】
前記センサが1つ以上の近接センサを備える、請求項10に記載の眼科用器具。
【請求項18】
前記1つ以上の近接センサが、測定されている左眼または右眼を感知するように構成されている、請求項17に記載の眼科用器具。
【請求項19】
少なくとも1つの前記解剖学的固定点と位置合わせされるように前記本体の外面に配置されたパッドをさらに備える、請求項10に記載の眼科用器具。
【請求項20】
自己眼圧測定法のための眼科用器具であって、
a)本体と、
b)ユーザが前記解剖学的固定点と前記ユーザの前記第1の眼および/または前記第2の眼の中心との間の距離を調整することを可能にする少なくとも2つの解剖学的固定点であって、前記解剖学的固定点が前記ユーザの解剖学的構造の一部に当接する、少なくとも2つの解剖学的固定点と、
c)前記本体内または前記本体上に配置された測定デバイスであって、少なくとも1つの解剖学的固定点が前記測定デバイスの第1の側に配置され、少なくとも1つの解剖学的固定点が前記測定デバイスの第2の側に配置された状態で、ユーザの第1の眼および/または第2の眼の眼内圧を測定し、前記測定デバイスが、前記ユーザによって調整されるように、前記ユーザの第1の目および/または第2の目の前記測定デバイスへの水平方向の位置合わせのための距離の範囲に対応するために、水平移動距離を有する、測定デバイスと、
d)前記本体に取り付けられた眼識別デバイスであって、前記眼識別デバイスがセンサを備え、それにより、前記測定デバイスが水平に移動すると、前記センサが前記ユーザに対して前記測定デバイスを感知し、測定されている左眼または右眼の識別を可能にする、眼識別デバイスとを備える、眼科用器具。
【請求項21】
前記解剖学的固定点のうちの1つが、前記ユーザの鼻、前記ユーザの額、前記ユーザの頬、および前記ユーザの眉からなる群のうちの少なくとも1つに当接する、請求項20に記載の眼科用器具。
【請求項22】
前記センサが、測定デバイス位置を感知して、測定されている左眼または右眼の識別を可能にするように構成された1つ以上の検知回路を備える、請求項20に記載の眼科用器具。
【請求項23】
前記センサが1つ以上の接触センサを備える、請求項20に記載の眼科用器具。
【請求項24】
前記1つ以上の接触センサが、測定されている左眼または右眼を識別する位置での接触を感知するように構成されている、請求項23に記載の眼科用器具。
【請求項25】
少なくとも1つの前記解剖学的固定点上で前記本体の外面に配置されたパッドをさらに備える、請求項20に記載の眼科用器具。
【請求項26】
前記ユーザによって調整された距離が瞳孔間距離を表す、請求項20に記載の眼科用器具。
【請求項27】
前記測定デバイスの移動距離が瞳孔間距離を表す、請求項20に記載の眼科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内圧の自己測定のための装置に関し、特に、ユーザとその眼(複数の場合もある)との間の構造-機能関係に関する。
【背景技術】
【0002】
眼内圧(IOP)の測定は、眼の健康の評価にとって重要である。緑内障は、眼内圧を測定することによってモニターされ、眼内圧を低下させることによって処置される慢性進行性の失明疾患である。
【0003】
眼内圧は、眼圧計と呼ばれるデバイスを用いて測定される。ゴールドマン眼圧測定法(GAT)は、参照標準眼圧測定法のままであり、既知の表面積のプリズムを用いて角膜を平坦化するのに必要な力を測定することを含む。しかしながら、GATは、その使用に制限があり、麻酔液滴の注入、かさばりかつ高価な機器、および患者の位置決めの困難さを必要とする。非接触法を使用する特許文献1など、眼圧測定法の追加の方法が記載されており、圧縮空気が角膜に噴霧され、その後組織変形が測定される。
【0004】
眼内圧測定は、最も一般的には、熟練した医療提供者によって診療所で行われる。測定は、単一の時点および離散的な時点で、まれに、多くの場合、何カ月も離れて行われる。しかしながら、実際には眼内圧にはトラフおよびピークを伴う日内変動がある。研究は、IOPピークの50~75%超が診療時間外に発生することを示している。したがって、診療所での眼圧測定法による単一のIOP測定は、患者の真のIOPプロファイルおよびその後の視力喪失のリスクを正確に描写しない。
【0005】
このように、患者が自宅で自分自身の圧力をチェックして、そうでなければ診療所での測定から見逃されるIOPデータを捕捉するために使用することができる眼圧測定デバイスが必要とされている。そのようなデバイスの要件は、患者が測定のためにデバイスを自己整列させて安定させなければならないため、独特である。特許文献2では、光チャネルの患者の視覚化を使用して、そのような位置合わせ機構の一例が説明されている。しかしながら、位置合わせだけでは、安定化および眼の識別のための追加の手段を必要とする、首尾よい自己眼圧測定法のためのすべての設計入力要件を満たすわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,299,573号明細書
【特許文献2】米国特許第10,058,245号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、位置合わせ、安定化、および眼の識別がすべて装置によって達成される、首尾よい家庭眼圧測定法のためのユーザのニーズを満たす眼科用器具を提供する。
【0008】
眼科用器具は、測定デバイスと、1つ以上の解剖学的固定点とを含む。測定デバイスは、器具の本体内または本体上に収容され、ユーザの眼の眼内圧(IOP)を測定するために使用される。本体は、両手で保持および安定化され、位置合わせおよびその後の測定のためにユーザの解剖学的構造の一部に載置されるように意図されている。一実施形態では、本体はユーザの鼻に載置されるが、頬、額、眉、または任意の他の眼窩骨などの任意の他の数のユーザの解剖学的顔構造に載置されてもよいと考えられる。
【0009】
解剖学的固定点は、ユーザの鼻、頬、額、または眉などのユーザの解剖学的構造の一部に当接する器具の本体上の点または領域であり、ユーザの眼を測定デバイスに位置合わせするために使用される。一実施形態によれば、解剖学的固定点は、ユーザの眼窩骨上に載置するように設計されたアイカップの形態である。双眼鏡と同様の構造により、2つのアイカップ間の距離は、ユーザの瞳孔間距離に適合するように調整することができる。別の実施形態によれば、解剖学的固定点は、ユーザによって調整することができる、ユーザの眼を測定デバイスに位置合わせするための距離の範囲に対応する水平長さを有する。より具体的には、解剖学的固定点とユーザの眼の中心との間のユーザによって調整された距離は、瞳孔間距離を表すことができる。器具は、ユーザの解剖学的構造の一部に当接するときに快適さを提供するために、本体の外面、特に解剖学的固定点に1つ以上のパッドを備えることができる。
【0010】
眼識別デバイスはまた、器具の本体に取り付けられ、測定されている左眼または右眼の識別を可能にする。一実施形態によれば、眼識別デバイスは、Y軸に対する本体の非対称性に対してZ軸を中心とした本体の180度の回転を検出するジャイロスコープまたは他のセンサを備える。別の実施形態によれば、眼識別デバイスは、測定デバイスに対してユーザを感知する1つ以上のセンサを備える。センサは、例えば、接触センサまたは近接センサであってもよい。特定の実施形態によれば、眼科用器具は、ジャイロスコープおよび1つ以上の追加のセンサの両方を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】自己眼圧測定法のための眼科用器具の斜視図である。
図2】眼科用器具の上面図である。
図3】使用中の眼科用器具を示す。
図4】使用中の眼科用器具を示す。
図5】自己眼圧測定法のための眼科用器具の別の実施形態の上面図である。
図6】使用中の眼科用器具を示す。
図7】自己眼圧測定法のための眼科用器具の図である。
図8a】Z軸を中心とした回転を示す、自己眼圧測定法のための眼科用器具の正面図である。
図8b】Z軸を中心とした回転を示す、自己眼圧測定法のための眼科用器具の正面図である。
図9】自己眼圧測定法のための眼科用器具の別の実施形態の正面図である。
図10】自己眼圧測定法のための眼科用器具のまた別の実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
自己眼圧測定のための眼科用器具20が図1図10に示されている。ユーザは、いつでも眼内圧(IOP)を監視するために自分の家の快適さの中で自分自身で眼科用器具20を使用することができる。眼科用器具20は、適切な位置合わせ、安定化、および眼の識別を通じて、使いやすさおよび正確な測定を提供する。
【0013】
眼科用器具20は、測定デバイス24を収容する本体22と、使用中にユーザの解剖学的構造の一部に当接する、器具20の本体22上に位置する1つ以上の解剖学的固定点28とを備える。解剖学的固定点28は、ユーザが解剖学的固定点28とIOPが測定されているユーザの眼の中心との間の距離を調整することを可能にする。測定デバイス24は、器具20の本体22の内側または上に配置され、ユーザの眼のIOPを測定する。器具20は、右眼または左眼のいずれかのIOPを測定するために使用され得る。適切な測定デバイス24の例は、リバウンド型眼圧計または非接触型眼圧計である。
【0014】
図1図4に示す実施形態では、眼科用器具20は、ユーザの眼窩骨上に載置するように設計されたアイカップ30の形態の2つの解剖学的固定点28を備える。この実施形態における測定デバイス24は、一方のアイカップ30aのキャビティ内に配置され、他方のアイカップ30bは不透明または暗色であり、ユーザが測定対象に焦点を合わせることができるように他方の目の視覚を本質的に遮る。双眼鏡と同様の構造により、ユーザの瞳孔間距離に適合するように、2つのアイカップ30間の距離をX軸に沿って調整することができ、それにより、ユーザによって視覚的に決定されるように、両方のアイカップ30がユーザの目と位置合わせされる。より具体的には、本体22の中央部分32は、2つの管状構造34を接続することができ、各管状構造34は、一端にアイカップ30を有する。管状構造34は、管状構造34がZ軸を中心に旋回して管状構造34が互いに向かってまたは互いに離れるように移動することができるように、ヒンジ式に中央部分32に取り付けることができる。追加的または代替的に、管状構造34は、管状構造34が互いに向かってまたは互いに離れるように移動することを可能にするように、摺動構成で中央部分32に固定することができる。
【0015】
図3および図4はそれぞれ、使用中の眼科用器具20を示し、ユーザ36が本体22を保持し、両手を使用して安定させ、2つの解剖学的固定点28は、位置合わせおよびその後の測定のためにユーザの眼窩骨に当接される。2つのアイカップ30を有する実施形態は、使用中に眼科用器具20の実質的な安定性を提供する。実際、2つのアイカップの実施形態は、いくつかの追加の利点を提供する。例えば、アイカップ30aの一方は測定デバイス24を備えることができ、他方のアイカップ30bは不透明カバーまたは他の非機能的な目に面する表面を備えることができる。非機能的な眼に面する表面は、反対側の眼をマスクし、ユーザ36が一方の瞼を閉じることによって緊張する必要なく測定眼の位置合わせクロスヘアに焦点を合わせることをより容易にする。一方の瞼を閉じると、測定眼に人為的に高いIOPが生じることが示されている。さらに、2つのアイカップ30を備えることにより、ユーザは、測定デバイス24の瞳孔との全体的および微調整の両方と完全な位置合わせができる。さらに、2つのアイカップ30を備えることにより、双眼鏡の対称感および視覚スタイルを提供し、ユーザ36が眼科用器具20の使用方法を理解することをより容易にする。
【0016】
図4は、図3に対して反転した配置にある眼科用器具20を示す。図3では、ユーザ36は、ユーザの右眼のIOPを測定するために、測定デバイス24を収容する第1のアイカップ30aをユーザの右眼と位置合わせして眼科用器具20を保持している。図4では、ユーザ36は、眼科用器具20をZ軸周りに回転させており、ユーザの左眼のIOPを測定するために、第1のアイカップ30aをユーザの左眼と位置合わせして眼科用器具20を保持している。
【0017】
図5図8に示す実施形態では、眼科用器具20は、ユーザ36によって調整されるように、ユーザの眼を測定デバイス24に位置合わせするための距離の範囲に対応する水平長さ38を有する単一の解剖学的固定点28を備える。
【0018】
図6は、使用中の眼科用器具20を示し、ユーザ36が本体22を保持し、両手を使用して安定させ、解剖学的固定点28は、位置合わせおよびその後の測定のために、ユーザの解剖学的構造の一部、この場合はユーザの鼻に当接される。解剖学的固定点28はまた、例えば、ユーザの頬、額、もしくは眉、またはこれらの領域のいずれかの組み合わせに当接するように設計されてもよい。解剖学的固定点28は、ユーザ36によって調整されるように、ユーザの眼を測定デバイス24に位置合わせするための距離の範囲に対応する水平長さ38を有する。より具体的には、解剖学的固定点28がユーザの鼻または他の解剖学的構造と接触した状態で、図6に示すように器具20を保持しながら、ユーザ36は、ユーザの眼が測定デバイス24と位置合わせするまで、器具20の本体22をX軸に沿って左右に動かすことができ、ユーザ36はこれを視覚的に検出することができる。例えば、20mmの長さ38を有する解剖学的固定点28は、約55mm~75mmの瞳孔間距離(角膜の中心から鼻梁まで)をカバーすることができ、55mmの瞳孔間距離を有する人は、解剖学的固定点28の一端に器具20を設定し、一方、75mmの瞳孔間距離を有する人は、解剖学的固定点28の反対側の端部に器具20を設定する。特定の実施形態によれば、解剖学的固定点28は、約10mm~約50mm、または約20mm~約40mm、または約25mm~約35mmの水平長さ38を有することができる。
【0019】
鼻で安定化される眼の測定のための任意の装置は、鼻の固定点28とユーザの眼の中心との間の距離、または単眼瞳孔間距離(PD)として知られる距離に対応する機構を必要とする。この距離は、集団間で大きく異なり得る。特定の実施形態によれば、解剖学的固定点28は、ユーザの鼻または他の目標とする解剖学的領域上に本体22を載置するように設計された鼻パッドなどのパッド40を備えることができる。パッド40は、快適性を提供し、ユーザ36が本体22をユーザの鼻または他の目標とする解剖学的領域に対して適切に配置するのを助ける位置合わせインジケータとしても機能する。特定の実施形態によれば、パッド40は、ユーザ36がパッド40を容易に見つけることを可能にするために、本体22の色とは異なる色であってもよい。追加的または代替的に、パッド40は、本体22のテクスチャとは異なるわずかに粘着性若しくは粗いテクスチャまたは他のテクスチャを有してもよく、これはまた、ユーザ36が適切な配置のためにパッド40を容易に識別することを可能にするように設計されている。パッド40は、発泡体、シリコーン、または任意の他の医療グレードのポリマー材料から形成されてもよく、接着剤または他の適切な取り付け手段を用いて本体22上の解剖学的固定点28に接着されてもよい。器具20の本体22がユーザの両手で安定すると、解剖学的固定点28は、単眼瞳孔間距離の範囲に対応するためにパッド40の適切な水平長さ38を必要とする(図5)。パッド40の水平長さ38は、一般に解剖学的固定点28の水平長さ38と本質的に同じであってもよい。この水平方向の自由度により、ユーザ36は、測定された眼の単眼PDを収容するために本体22をパッド40に沿って左右に摺動させることによって、測定デバイス24と眼を位置合わせすることができる。しかしながら、測定デバイス24に対する一方の眼の位置合わせが達成されたとしても、測定のみでは、どの眼が測定されているかを識別することができない。
【0020】
眼科用器具20はまた、眼識別デバイスを備える。1つ以上の実施形態によれば、眼識別デバイスは、眼科用器具20が反転または裏返されたときにZ軸を中心とした本体22の180度の回転を検出するジャイロスコープまたは他のセンサを備える。人間の顔はY軸に関してほぼ対称であるため、眼の識別は、X軸(図7)に関して機能的対称性を維持し、本体22内に収容されたジャイロスコープまたは他のセンサを組み込んだ状態で、Y軸に対する器具20の本体22の非対称性の統合により、位置合わせおよび安定性機構と組み合わせて実現することができる。図1図4に示す実施形態はまた、Y軸に関して非対称性を有し、一方のアイカップ30aは測定デバイス24を収容し、他方のアイカップ30bは測定デバイスを欠いている。測定デバイスを欠いているアイカップ30bは、例えば不透明な表面であってもよい、非機能的な眼に面する表面を有してもよい。ジャイロスコープまたは他のセンサは本体22内に収容されているので、図には示されていない。本明細書で使用される「機能的」という用語は、本体22自体のすべての特徴がX軸に対して正確に対称である必要はないが、アイカップ30a、30bまたはパッド40および測定デバイス24などの眼科用器具20のいくつかの対称的な特徴は、それらの対称性のために機能性と一体であることを示す。より具体的には、測定デバイス24ならびにアイカップ30a、30bまたはパッド40などの特徴は、眼科用器具20の元の配置ならびに反転または裏返し配置の両方で等しく良好に機能する。
【0021】
Y軸に対する眼科用器具20の非対称性は、器具20の本体22を本体22のZ軸の周りに回転させ(図8aおよび図8b)、続いて本体22を水平に摺動させて眼を測定デバイス24と位置合わせすることによって、右眼または左眼を測定することを可能にする。眼科用器具20は、ユーザの顔の垂直対称性に対応して、本体22が裏返されたときに調整された瞳孔間距離を維持する。また、特定の実施形態によれば、眼科用器具20の機能的X軸対称性により、ユーザは、同じパッド40を垂直に反転した配置で利用して、回転後に本体22を再び載置させ、本体22を水平に沿って再び摺動させて、パッドの長さによって適応されるように、測定されるべき次の眼の適切な単眼瞳孔間距離に位置合わせすることができる。図8aに示すように、本体22がユーザの右眼と位置合わせする準備ができているとき、パッド40の第1の縁部42は上にあり、パッド40の第2の縁部44は下にあり、Z軸を中心に180度回転させると、図8bに示すように、本体22がユーザの左眼と位置合わせする準備ができているとき、パッド40の第1の縁部42は下になり、パッド40の第2の縁部44は上になる。本体22は、器具20の左右の眼の向きの両方において右手の測定を可能にする2つの測定ボタンを備えることができる。第1の測定ボタン46aは、器具20が右眼の向きにあるときに本体22の右側の本体22の上面に配置されてもよく、第2の測定ボタン46bは、器具20が右眼の向きにあるときに本体22の左側の本体22の下面に配置されてもよく、それにより、第2の測定ボタン46bは、器具20がZ軸を中心に180度回転されたときに本体22の右側の本体22の上面で終わる。ジャイロスコープまたは他のセンサの組み込みは、眼の横方向と対になった眼科用器具20の垂直基準軸を確立し、その後のジャイロスコープの基準軸の反転を伴うZ軸の周りの本体22の回転は、どの眼が測定されているかを示す。例えば、ジャイロスコープは、左眼または右眼を示す本体上に配置された電子ディスプレイパネル48に接続されてもよい。同じ電子ディスプレイパネル48を測定デバイス24に接続して、圧力データを示すこともできる。あるいは、圧力データは、右眼または左眼のインジケータとは異なる電子ディスプレイパネル48上に示されてもよい。
【0022】
図9に示す別の実施形態によれば、眼識別デバイスは、解剖学的固定点28a、28bにそれぞれ関連付けられた少なくとも2つのセンサ50a、50bを備える。本明細書で使用される場合、「センサ」という用語は、近接、接触、動き、回転、温度、音などの信号または刺激を検出し応答することができるセンサを指す。測定デバイス24は、本体22のX軸に沿って中央に配置されてもよく、第1の解剖学的固定点28aおよび第1のセンサ50aは、測定デバイス24の一方の側に配置され、第2の解剖学的固定点28bおよび第2のセンサ50bは、第1の側の反対側の測定デバイス24の第2の側に配置される。鼻パッドなどのパッド40もまた、解剖学的固定点28a、28bの各々に固定されてもよい。前述の実施形態と同様に、器具20の本体22は、両手で保持され、ユーザの左眼または右眼をそれぞれ測定するために、右鼻パッド40aまたは左鼻パッド40bのいずれかに載置されることが意図されている。両方のパッド40a、40bは、ユーザによって調整されるように、広範囲の単眼PDを収容するために測定デバイス24に対して適切な長さである。
【0023】
センサ50a、50bは、各解剖学的固定点28a、28bまたはその近くに置かれ、器具20の本体22がユーザの解剖学的構造上に載置されたときを感知する。センサ50a、50bは、接触センサ、近接センサ、または他の適切なセンサであってもよい。例えば、器具20の本体22が左鼻パッド40bに対してユーザの鼻に載置されると、左鼻パッド40bの上または下の接触センサが接触を検出し、これはユーザの右眼の測定値を示す。逆に、器具20の本体22が右鼻パッド40aに対してユーザの鼻に載置されると、右鼻パッド40aの上または下の接触センサが接触を検出し、これはユーザの左眼の測定値を示す。別の例として、器具20の本体22が左鼻パッド40bに対してユーザの鼻に載置されると、左鼻パッド40bの近くに配置された近接センサが本体22の存在を検出し、これはユーザの右眼の測定値を示す。逆に、器具20の本体22が右鼻パッド40aに対してユーザの鼻に載置されると、右鼻パッド40aの近くに配置された近接センサが本体22の存在を検出し、これはユーザの左眼の測定値を示す。上述したように、解剖学的固定点28a、28bは、ユーザの鼻、頬、額、もしくは眉、またはこれらの領域のいずれかの組み合わせに当接するように設計されてもよい。この実施形態におけるセンサ50a、50bは、ジャイロスコープの実施形態と組み合わせて使用することもできる。
【0024】
図10に示す実施形態は、図9に示す実施形態と同様であるが、摺動可能な測定デバイス52を有する。より具体的には、図10に示す器具20は、ユーザが解剖学的固定点とユーザ36の第1の眼および/または第2の眼の中心との間の距離を調整することを可能にするユーザの解剖学的構造の一部に当接するように設計された2つの解剖学的固定点28a、28bを有する。図10に示す実施形態はまた、摺動可能な測定デバイス52の一方の側に配置された少なくとも1つの解剖学的固定点28aと、摺動可能な測定デバイス52の他方の側に配置された少なくとも1つの解剖学的固定点28bとを備え、摺動可能な測定デバイス52は、ユーザによって調整されるように、摺動可能な測定デバイス52に対するユーザの第1の眼および/または第2の眼の水平方向の位置合わせのための距離の範囲に対応する水平移動距離54を有する。例えば、器具20は、ユーザの額に当接するように設計された解剖学的固定点28a、28bのうちの2つと、ユーザの頬に当接するように設計された解剖学的固定点28c、28dのうちの2つとを有するヘッドセットの形態であってもよい。上述した解剖学的固定点28の水平長さ38と同様に、水平移動距離54は、約40mm~約95mm、または約45mm~約90mm、または約50mm~約85mmであってもよい。眼識別デバイスはセンサ50を備え、それにより、摺動可能測定デバイス52が水平に移動すると、センサ50は、ユーザ36に対して摺動可能測定デバイス52を感知し、測定されている左眼または右眼の識別を可能にする。センサ50は、例えば、1つ以上の検知回路を備えてもよい。検知回路は、測定されている左眼または右眼の識別を可能にするために、摺動可能測定デバイス52の位置を感知するように構成されてもよい。あるいは、センサ50は、上述のように、1つ以上の接触センサを備えてもよい。1つ以上のパッド40はまた、解剖学的固定点28a、28b、28c、28dの少なくとも一方の本体22の外面に配置されてもよい。ユーザ36によって調整された距離は、瞳孔間距離を表すことができる。あるいは、摺動可能測定デバイス52の水平移動距離54は、瞳孔間距離を表すことができる。摺動可能な測定デバイス52は、リバウンド型眼圧計または非接触型眼圧計など、上述したのと同じ種類の測定デバイス24であってもよいが、X軸に沿って摺動することができる。
【0025】
本明細書に含まれる説明および図は、最良の選択肢を作成および使用する方法を当業者に教示するための特定の実施態様を示す。本発明の原理を教示する目的で、いくつかの従来の態様は簡略化または省略されている。当業者は、本発明の範囲内に入るこれらの実施態様からの変形を理解するであろう。当業者はまた、上述の特徴を様々な方法で組み合わせて複数の実施態様を形成することができることを理解するであろう。結果として、本発明は、上述の特定の実施態様に限定されず、特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
【国際調査報告】