(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-26
(54)【発明の名称】ナビゲーション支援方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/52 20060101AFI20250218BHJP
G01S 15/88 20060101ALI20250218BHJP
B63G 8/39 20060101ALI20250218BHJP
B63G 8/14 20060101ALI20250218BHJP
G01C 21/20 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
G01S7/52 V
G01S15/88
B63G8/39
B63G8/14
G01C21/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024540880
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-09-02
(86)【国際出願番号】 NO2022050328
(87)【国際公開番号】W WO2023132752
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524254486
【氏名又は名称】ノルウェージャン・ディフェンス・リサーチ・エスタブリッシュメント
【氏名又は名称原語表記】NORWEGIAN DEFENCE RESEARCH ESTABLISHMENT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ゲーゼ,ケネス
(72)【発明者】
【氏名】シネス,スティグ・アー・ヴェー
(72)【発明者】
【氏名】セアブー,トースタイン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】ベルグルンド,エイナル
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン,ペル・エスペン
【テーマコード(参考)】
2F129
5J083
【Fターム(参考)】
2F129AA15
2F129BB18
2F129BB33
2F129BB48
5J083AA02
5J083AD04
5J083AD08
5J083AD17
5J083AE06
5J083AF18
5J083AG07
5J083AG09
5J083BE08
5J083CA02
5J083CA12
(57)【要約】
海底(200)上の海洋プラットフォーム(100)の強化されたナビゲーションのためのナビゲーション支援方法及び装置であって、海洋プラットフォーム(100)のナビゲーションデータを改良するように、マイクロナビゲーション変位測定及び推定器を使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底(200)上の海洋プラットフォーム(100)の強化されたナビゲーションのためのナビゲーション支援方法であって、
少なくとも一つの片側又は両側ソナーを使用することにより、マイクロナビゲーション変位測定及び方位測定を実行することを含み、
前記マイクロナビゲーション変位測定及び前記方位測定における精度を計算することと、前記マイクロナビゲーション変位測定に推定器観測モデルを使用することとを含み、
前記推定器観測モデルの推定と、海洋プラットフォーム(100)のナビゲーションデータの補正のための前記マイクロナビゲーション変位測定及び前記方位測定における計算された精度とに基づいて、補正を計算すること、を含むナビゲーション支援方法。
【請求項2】
計算された補正は、海洋プラットフォーム(100)の運動を直接的又は間接的に制御するコントローラ又は制御システムのための入力として使用される、請求項1に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項3】
速度誤差及び従って位置誤差を低減するために、前記マイクロナビゲーション変位測定を利用すること、をさらに含む請求項1に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項4】
受信機アレイ(22a-b)フレームとパッチフレームである2つの異なる座標系の主軸に沿って前記マイクロナビゲーション変位測定を計算することと、
パッチフレームに対する受信機アレイ(22a-b)フレームの完全な方位と、全ての測定及び計算に対する関連する精度とを計算することと、をさらに含む請求項1に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項5】
送信時刻及び受信時刻について複数のタイムスタンプを登録することと、
統合中にこれらに対処することと、をさらに含む請求項3に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項6】
各pingについてパッチ座標系を推定するための角度を計算することと、
連続するpingの各ペアについて前記マイクロナビゲーション変位測定を計算することと、をさらに含む請求項4に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項7】
視線の方位方向を推定するために、軌道に沿った要素を相関させること、をさらに含む請求項4に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項8】
視線の方位方向を推定するようにパッチ上の散乱分布を推定するために、pingデータを使用すること、をさらに含む請求項4に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項9】
有効な海底(200)傾斜を推定するように複数の方位方向及び範囲における海底(200)の深さを推定するために、pingデータを使用すること、をさらに含み、
パッチフレームにおけるY-Z平面に広がる視界面を決定するために、有効な海底(200)傾斜を視線とともに使用する、請求項4に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項10】
前記海洋プラットフォームのナビゲーション状態の位置、方位、及び速度と、前記マイクロナビゲーション変位測定、座標フレーム、及び精度との間の関係をモデル化するために、前記推定器観測モデルを使用すること、をさらに含む請求項1~9のいずれかに記載のナビゲーション支援方法。
【請求項11】
前記海洋プラットフォーム(100)のナビゲーション支援状態の位置、方位、及び速度と、追加センサ(50)からの測定及び/又は状態との間の関係をモデル化するために、前記推定器観測モデルを使用すること、をさらに含む請求項1~10のいずれかに記載のナビゲーション支援方法。
【請求項12】
前記マイクロナビゲーション変位測定、及び/又はインストールした形状を含むがこれらに限定されない任意の測定及び計算における系統誤差を推定するために、前記推定器観測モデルを使用すること、をさらに含む請求項1~11のいずれかに記載のナビゲーション支援方法。
【請求項13】
前記推定器観測モデルとしてカルマンフィルタ又は拡張カルマンフィルタを使用すること、をさらに含む請求項1~12のいずれかに記載のナビゲーション支援方法。
【請求項14】
支援測定間で、前記推定器観測モデルの推定及びそれらの誤差共分散を予測することと、
新しい測定が受け入れられるたびに異なる推定及びそれらの誤差共分散を更新することと、をさらに含む、請求項1~13のいずれかに記載のナビゲーション支援方法。
【請求項15】
送信時間と受信時間とを組み合わせて変位を速度に変換することによって、前記マイクロナビゲーション変位測定を推定器測定に登録すること及び変換すること、をさらに含む請求項1~14のいずれかに記載のナビゲーション支援方法。
【請求項16】
変位精度を速度精度に変換することによって、直接的又は間接的のいずれかに変位精度を使用すること、をさらに含む請求項1~15のいずれかに記載のナビゲーション支援方法。
【請求項17】
推定器観測モデル測定計算の一部としてマイクロナビゲーションレバーアーム補償を実行すること、をさらに含む請求項1~16のいずれかに記載のナビゲーション支援方法。
【請求項18】
前記レバーアーム補償を、ナビゲーション支援装置の原点から前記ソナーの送信機(21)及び複数の受信機アレイ(22a-b)までの機械的オフセットからの静的部分と、海洋プラットフォーム(100)のサージ運動によって生じる重複が変化することによる動的部分と、によって計算すること、をさらに含む請求項17に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項19】
異なるマイクロナビゲーション変位測定の非直交性を補償すること、をさらに含む請求項1~18のいずれかに記載のナビゲーション支援方法。
【請求項20】
パッチの方位の異なる時間と前記マイクロナビゲーション変位測定との間の期間に生じる中間回転を考慮することによって、ナビゲーションフレームにおける前記マイクロナビゲーション変位測定を適合させること、をさらに含む請求項1~19のいずれかに記載のナビゲーション支援方法。
【請求項21】
ナビゲーション状態間の接続、前記ナビゲーション状態の誤差、及び前記マイクロナビゲーション変位測定とパッチの方位の精度を記述するために、前記推定器観測モデルを使用すること、をさらに含む請求項1~20のいずれかに記載のナビゲーション支援方法。
【請求項22】
マイクロナビゲーション較正のために、前記推定器観測モデルにおける較正状態及びそれらの結合を組み込むことを含む、請求項21に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項23】
前記ソナー単独又は構成パラメータとの組み合わせによって、報告された精度に基づいて、観測ノイズ行列を計算すること、をさらに含む請求項16に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項24】
前記マイクロナビゲーション変位測定を、予め設定された時間間隔又は所望の時間間隔に適用可能な速度測定に変換することと、
慣性測定ユニット測定を統合することにより、期待されるマイクロナビゲーション変位測定を推定し、それらを前記マイクロナビゲーション変位測定と比較することと、
又は
前記マイクロナビゲーション変位測定の離散的な開始及び完了事例を表すために、前記推定器観測モデルにおける追加の状態を使用することと、のうちの一つ以上を実行すること、をさらに含む請求項15に記載のナビゲーション支援方法。
【請求項25】
海底(200)上の海洋プラットフォーム(100)の強化されたナビゲーションのためのナビゲーション支援装置(10)であって、
ナビゲーション支援装置(10)は、少なくとも一つの送信機(21)と少なくとも二つの受信機アレイ(22a-b)とを含む少なくとも一つの片面又は両面ソナーを含み、
前記ソナーは、マイクロナビゲーション変位測定及び方位測定を実行するように構成され、
ナビゲーション支援装置(10)は、前記マイクロナビゲーション変位測定及び前記方位測定における精度を計算するための手段及び/又はソフトウェアと、前記マイクロナビゲーション変位測定を使用する推定器観測モデルと、を備えたナビゲーションプロセッサ(40)を含み、
ナビゲーションプロセッサ(40)は、前記推定器観測モデルの推定と、海洋プラットフォーム(100)のナビゲーションデータの補正のための前記マイクロナビゲーション変位測定及び前記方位測定における計算された精度とに基づいて、補正を計算する手段及び/又はソフトウェアを備える、ナビゲーション支援装置(10)。
【請求項26】
計算された補正は、海洋プラットフォーム(100)の運動を直接又は間接的に制御するコントローラ又は制御システムに提供される、請求項25に記載のナビゲーション支援装置(10)。
【請求項27】
ソナー送信と前記マイクロナビゲーション変位測定ごとの座標フレームとの間で前記マイクロナビゲーション変位測定を実行するように構成されたソナープロセッサ(30)を、さらに備える請求項25に記載のナビゲーション支援装置(10)。
【請求項28】
ナビゲーションプロセッサ(40)は、
ソナープロセッサ(30)から、変位測定及び座標フレームを、それらに関連する精度及びタイムスタンプとともに受信するように構成され、
マリンプラットフォーム(100)に配置されるか又は統合される追加センサ(50)が存在する場合には、変位測定を追加センサ(50)からの測定と組み合わせるように構成される、請求項25~27のいずれかにに記載のナビゲーション支援装置(10)。
【請求項29】
海洋プラットフォーム(100)及びナビゲーション支援装置(10)が、ナビゲーションプロセッサ(40)からの速度推定に基づいて、いずれかの地球固定座標系において固定距離(D)を移動するごとに、少なくとも一つの送信機(21)に対するトリガ信号を制御するように構成されたトリガ制御ユニット(60)を、さらに備える請求項25に記載のナビゲーション支援装置(10)。
【請求項30】
ソナープロセッサ(30)は、
- 重複する位相中心間の信号の相関関係を実行すること、
- 重複する位相中心からの時系列を相関させることによって、軌道横断変位の推定を提供すること、
- 時系列の相関関係を異なる変位と比較することによって、軌道に沿ったプラットフォームの変位の推定を提供すること、
- 3つの軸全てに沿った変位に関する情報を提供するように、異なる範囲から測定を組み合わせること、
- さらに相関関係を実行することによって、各測定の方向を見つけること及び統合中にこれらに対処すること、
- ソナー変換器(20a-b)から海底(200)にその方向におけるソナー変換器(20a-b)から海底(200)への角度の計算を提供するために、所定の方位方向にビーム形成され及び受信機アレイ(22a-b)間のシフト及び拡張について補正された、受信機アレイ(22a-b)からの時系列を相関させること、
-海底(200)の軌道横断傾斜を計算するために、複数の軌道横断範囲において計算を実行すること、
- 海底(200)の軌道に沿った傾斜を計算するために、異なる方位方向にビーム形成されたデータを用いて計算を実行すること、
- 方位角の関数としてエコー強度の分布を決定すること、
- 正規化された相互相関係数を使用して、さらなる計算を通じて変位測定及び方向測定の精度を推定すること、
のうちの一つ以上のための手段及び/又はソフトウェアを備える、請求項25~29のいずれかに記載のナビゲーション支援装置(10)。
【請求項31】
ナビゲーションプロセッサ(40)は、海洋プラットフォーム(100)のナビゲーション状態と、前記マイクロナビゲーション変位測定によって提供される情報との間の関係をモデル化する推定器を中心に構築される、請求項25~30のいずれかに記載のナビゲーション支援装置(10)。
【請求項32】
前記推定器は、海洋プラットフォーム(100)のナビゲーション状態と、一つ以上の追加センサ(50)によって提供される情報との間の関係をモデル化するように構成される、請求項31に記載のナビゲーション支援装置(10)。
【請求項33】
ナビゲーションプロセッサ(40)は、ナビゲーションプロセッサ(40)のナビゲーションフィルタにおける状態が複数の前記マイクロナビゲーション変位測定によって共有されることを可能にする追跡装置及び非相関関係機構を備える、請求項31に記載のナビゲーション支援装置(10)。
【請求項34】
ナビゲーションプロセッサ(40)は、
- 送信時間と受信時間とを組み合わせて変位を速度に変換することによって、前記マイクロナビゲーション変位測定を推定器測定に登録すること及び変換すること、
- 変位精度を速度精度に変換することによって、直接的又は間接的のいずれかに変位精度を変換すること、
- 推定器測定計算の一部としてマイクロナビゲーションレバーアーム補償を実行すること、
- 前記マイクロナビゲーション変位測定の非直交性を補償すること、
- パッチの方位の異なる時間と前記マイクロナビゲーション変位測定との間の期間に生じる中間回転を考慮することによって、ナビゲーションフレームにおける前記マイクロナビゲーション変位測定を適合させること、
のための手段及び/又はソフトウェアを備える、請求項31~33のいずれかに記載のナビゲーション支援装置(10)。
【請求項35】
ナビゲーションプロセッサ(40)は、
- 前記マイクロナビゲーション変位測定を、予め設定された時間又は所望の時間に適用可能な速度測定に変換することと、
- 慣性測定ユニット測定を統合することによって、期待される前記マイクロナビゲーション変位測定を推定することと、及びそれらを前記マイクロナビゲーション変位測定と比較すること、
のうちの一つ以上のための手段及び/又はソフトウェアを備え、
前記マイクロナビゲーション変位測定の離散的な開始及び完了事例を表すために、前記推定器観測モデルにおける追加の状態を使用する、
請求項31~34のいずれかに記載のナビゲーション支援装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のナビゲーション支援方法及び請求項25に記載のナビゲーション支援装置に関する。
【0002】
背景
多要素受信機における連続する送信からの音響信号を相関させることによって変位を測定するという一般的な概念は、US4,244,036A(Raven、1978)及びEP0010974B1(Dickey1978)に由来する。
【0003】
EP0010974B1には、2Dアレイに対する音響反射の方向を推定することによって、下方に見たシステムの完全な3D変位を推定するための解決策が提示される。視線に沿った変位は、時間遅延及び相関する要素からのアレイ平面における変位から推定される。
【0004】
US4,244,036Aは、側方から見たシステムの時間遅延から概ね横方向の変位を推定することに基づく。
【0005】
別の解決策は、干渉法を使用することによりソナーから海底までのロール角の推定を開示するUS6304513B1(Billon、1998)から知られており、時間遅延に関連する変位に関してより正確な方向を達成する。
【0006】
側方から見た形状について、アレイに沿った一般的な運動の推定は、EP0010974B1の開示と密接に関連する。
【0007】
しかし、音響信号は、音響フットプリントが広い軸に沿ってのみ急速に非相関化する。側方から見た形状については、これは一般的な軌道に沿った方向に対応する。従って、連続する送信からの音響信号を相関させることによって、側方から見たシステムについては、特定の範囲と側面に対して変位の2成分のみが利用可能となる。変位の3番目の成分の大きさは未知のままである。
【0008】
下方に見た形状については、EP0010974B1の解決策は、視線に対する2Dアレイの変位の推定を可能にする。
【0009】
側方から見た形状については、それは、視線に対する2Dアレイの変位と、1つのブラインド方向/情報のない方向を推定することを可能にする。このブラインド方向/情報のない方向は、海底と視線との両方に直交する。
【0010】
完全な変位ベクトルを構築するには、変位の3成分全ての方向と大きさの両方が必要とされる。1成分が未知の場合、3成分全ての方向が既知の場合にのみ、未知の成分に直交する変位が評価され得る。
【0011】
変位ベクトルをナビゲーションシステムに統合するには、変位ベクトルの方向及び大きさだけでなく、それらの推定値の精度も必要とされる。
【0012】
EP0010974B1の下方に見た形状について、ヨー角とピッチ角が同一であり、従って1つの推定値のみが必要とされる。側方から見た形状については、ピッチとヨーとが別々に推定されなければならない。
【0013】
側方から見た形状専用の他の解決策;US4,244,036、US6,304,513B1及びUS10,073,175B2(Pinto)は全て、各pingのエコーが90度のヨー角に対応する舷側方向から戻ると仮定する。US4,244,036は、仮定される既知のロール角を使用するが、US6,304,513B1及びUS10,073,175B2は、ロール角又はロール角とピッチ角との両方のいずれかを推定するためにEP0010974B1の代替実施形態を導入する。側方から見た形状についてはヨーを推定する要件が対処されていないため、視線方向の評価の精度を低減し、ブラインド方向/情報のない方向の推定の精度を低減する。
【0014】
さらに、側方から見た形状に特化した先行技術は、測定の2つの軸が直交すると仮定し(ヨーが0に等しいことから導かれるように)、変位測定を1つの特定の時点で有効な速度測定として適用した。
【0015】
先行技術の解決策の単純化及び仮定は、ナビゲーションシステム、以下の、推定における測定バイアス及び推定/計算されたパラメータにおけるドリフトに不正確さをもたらす。
【0016】
特に、電磁信号に依存するグローバルナビゲーションシステムが利用できない水中システムに関して、速度又は変位センサは、多くのナビゲーションシステムの重要なコンポーネントになる。長期間にわたって極端な精度を必要とするシナリオでは、測定バイアスが蓄積し、時間の経過とともに位置精度の制限要因となるため、測定バイアスを除去することが極めて重要である。
【0017】
従って、先行技術の解決策と比較して改良された長期位置精度を提供するナビゲーション支援方法及び装置が必要とされる。
【0018】
さらに、現在利用可能なものよりも高レベルの精度で変位測定をモデル化できるナビゲーション支援方法及び装置が必要とされる。
【0019】
さらに、変位測定を非直交として扱い、装置において変位測定を適用するときに異なる座標フレームを識別すること及び利用することができるナビゲーション支援方法及び装置が必要とされる。
【0020】
さらに、測定の異なる有効時間を正しく扱うことができるナビゲーション支援方法及び装置が必要とされる。さらに、海洋プラットフォームによって担持される他のセンサの精度を強化するナビゲーション支援方法及び装置が必要とされる。
【0021】
目的
本発明の主な目的は、従来技術の上記の欠点を部分的又は全体的に解決するナビゲーション支援方法及び装置を提供することである。
【0022】
本発明の目的は、従来技術の解決策と比較して改良された長期位置精度を提供するナビゲーション支援方法及び装置を提供することである。
【0023】
本発明の目的は、これまでにないレベルの精度で変位測定をモデル化することができるナビゲーション支援方法及び装置を提供することである。
【0024】
本発明の目的は、変位測定を非直交として扱うことができるナビゲーション支援方法及び装置を提供することである。
【0025】
本発明の目的は、装置において変位測定を適用するときに、異なる座標フレームを使用することができるナビゲーション支援方法及び装置を提供することである。
【0026】
本発明の目的は、異なる時間を正確に扱うことができるナビゲーション支援方法及び装置を提供することである。
【0027】
以下の明細書、特許請求の範囲及び添付図面から、さらなる目的が明らかになるであろう。
【0028】
本発明によるナビゲーション支援方法は、請求項1の技術的特徴によって規定される。本方法の好ましい特徴は、従属請求項に記載される。
【0029】
本発明によるナビゲーション支援装置は、請求項25の技術的特徴によって規定される。ナビゲーション支援装置の好ましい特徴は、従属請求項に記載される。
【0030】
本発明は、変位測定を使用するナビゲーション支援方法及び装置を提供する。
【0031】
本発明を理解するために、本明細書の開示において使用される座標系のいくつかの定義を行う必要がある。
【0032】
視線は、本発明において、受信機アレイと海底帰還の音響中心との間に広がるベクトルとして定義される。
【0033】
視界面は、本発明において、視線及び海底の法線ベクトルによって広げられた平面として定義される。
【0034】
受信機アレイフレームは、受信機アレイのメイン次元に沿ったX軸(前方を向く)と、2Dアレイの2番目の次元に広がるZ軸とを使用して、受信機アレイの中央に配置される。
【0035】
パッチフレームは、視線に沿ったY軸と海底に沿って向くX軸とを使用して、海底のイルミネーションの任意の段階の音響重心に位置される。
【0036】
海洋プラットフォーム相対フレームは、前方方向にX軸、横方向にY軸、垂直方向にZ軸を使用して、海洋プラットフォーム上の基準点にその原点を有する。
【0037】
ナビゲーションフレームは、海面における地球表面上の海洋プラットフォームの横方向-縦方向の位置から生じるローカル座標系であり、Z方向は地球の中心を向いており、X方向とY方向はZ方向の周りを自由に回転する。
【0038】
地理的ナビゲーションフレームは、地球とともに回転する地球固定座標系である。
【0039】
地理的ナビゲーションフレームの一例では、地球固定座標系は地球の中心にその原点を有し、一方向は北を向いており、一方向は赤道を通り及び西/東180度を向く平面内にあり、一方向はこれら(ECEF)に直交する。
【0040】
本発明によるナビゲーション支援方法及び装置は、海洋プラットフォームのための統合された解決策を提供し、従って音響マイクロナビゲーション支援統合ナビゲーションシステムを形成する。
【0041】
本発明は、海洋プラットフォームが海底上を移動するときの海底に対する海洋プラットフォームの変位測定の使用、変位測定を1つ以上の他のセンサを利用するナビゲーションプロセッサに統合すること、に関する。
【0042】
本発明によれば、ナビゲーション支援方法及び装置は、ナビゲーションプロセッサにおいて上述の変位測定を統合することに関連して、変位測定の海洋プラットフォーム相対座標フレームを決定するように構成される。
【0043】
装置は、少なくとも1つの送信機と、各々が海洋プラットフォームの移動方向にほぼ平行な少なくとも2つの(多要素)受信機アレイとからなる、少なくとも1つの片側又は両側ソナーを含む。
【0044】
ナビゲーション支援装置の一実施形態によれば、受信機アレイは、海洋プラットフォームの移動方向及び海底の両方に対してほぼ垂直に積み重ねられる。
【0045】
本発明によれば、ナビゲーション支援装置は、ソナー送信間の変位測定を実行し、そのような測定ごとの座標フレームを推定するように構成されたソナープロセッサを備える。
【0046】
本発明によれば、ナビゲーション支援装置は、変位測定を、初期位置測定を提供するための慣性測定ユニット(IMU)、圧力センサ、及び全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)受信機などの位置決めセンサなどの海洋プラットフォームに統合又は配置された他のセンサからの測定と組み合わせるように構成されたナビゲーションプロセッサを備える。
【0047】
側方から見た形状を有するソナーを使用することにより、視線及び1つのブラインド方向/情報のない方向に対する2Dアレイの変位の推定が可能になる。このブラインド方向/情報のない方向は、上記で定義したように、海底及び視線の両方に直交する。
【0048】
完全な変位ベクトルを構築するには、変位の3成分全ての方向及び大きさの両方が必要である。1成分が未知である場合、未知の成分に直交する変位が評価され得るが、3成分全ての方向が既知である場合に限られる。
【0049】
ナビゲーション支援装置への統合のためには、変位ベクトルの方向及び大きさだけでなく、それらの推定値の精度も必要である。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、視線のヨー角が推定され、この側方から見た形状をヨー角及びピッチ角が同一である下方に見たソナー形状の解決策から、区別するものである。
【0051】
側方から見た形状のソナー形状によって、上述のヨー角の推定は、視線方向の正確な評価と、ブラインド方向/情報のない方向の正確な推定の両方に貢献する。
【0052】
本発明は、変位測定を非直交として正しく扱うナビゲーション支援方法及びナビゲーション支援装置を提供し、(統合された)ナビゲーション装置において変位測定を適用するためにいくつかの異なる座標フレームが関連することを認識する。
【0053】
本発明によるナビゲーション支援方法は、受信機アレイフレーム及びパッチフレームである2つの異なる座標系の主軸に沿って変位測定(デルタ位置)を実行するステップを含む。
【0054】
本発明による方法は、パッチフレームに対する受信機アレイフレームの完全な方位を計算することをさらに含む。
【0055】
本発明による方法のさらなる実施形態によれば、全ての測定及び計算について関連する精度を計算するステップをさらに含む。別の実施形態は、上記の精度について固定値を使用する。
【0056】
本発明によるナビゲーション支援方法は、送信時刻及び受信時刻について複数のタイムスタンプを登録し、統合中にこれらに対処するステップをさらに含む。
【0057】
左舷側又は右舷側のいずれかからの各pingペアは、マイクロナビゲーション測定の一群を生成する。一群における各測定は、受信機アレイから特定の距離にあるパッチに関連付けられるため、各測定はわずかに異なる時点で有効である。本発明によるナビゲーション支援方法は、パッチ座標系を推定するための角度を計算すること(視線及び視界面の改良された推定を提供するため)と、各側上における各連続するpingペアから得られる各パッチ測定の変位測定とを含む。総合的な出力は、統合されたナビゲーション支援装置の正確な速度更新を導出するために必要とされる。
【0058】
上述の一群を構成するパッチ(ping当たり)の数は、本発明によれば構成可能であり、移動する海洋プラットフォームに対する海底上のパッチの位置は、静的又は動的のいずれかである。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、ナビゲーション支援方法は、視線の方位方向を推定するために、軌道に沿った要素を相関させることをさらに含む。
【0060】
本発明による方法の別の実施形態では、ナビゲーション支援方法は、視線の方位方向を推定するようにパッチ上の散乱分布を推定するために、pingデータを使用することを含む。
【0061】
本発明の別の実施形態によれば、ナビゲーション支援方法は、有効な海底傾斜を推定するように複数の方位方向及び範囲における海底の深さを推定するために、pingデータを使用することを含み、パッチフレームにおけるY-Z平面に広がる視界面を決定するために、有効な海底傾斜を視線とともに使用する。
【0062】
本発明によるナビゲーション支援方法は、カルマンフィルタ(KF)又は拡張カルマンフィルタなどの推定器、無香料カルマンフィルタ(unscented Kalman filter)などの非線形推定器、粒子フィルタ、センサ融合法、機械学習又は他の同様の解決策を使用することを含む。本発明による推定器は、海洋プラットフォームのナビゲーション状態(以下、位置、方位、及び速度)と、マイクロナビゲーション変位測定、座標フレーム、タイミング、及び関連する精度との間の関係をモデル化するために使用される。本発明の別の実施形態によれば、推定器は、オフセット及びスケーリング誤差などのセンサ誤差を推定するためにさらに使用される。
【0063】
ナビゲーション支援方法の別の実施形態によれば、それは、海洋プラットフォームのナビゲーション支援状態(以下、位置、方位、及び速度)と、慣性測定ユニット(IMU)、ジャイロコンパス又は同様のユニットなどの追加センサからの測定及び/又は状態との間の関係をモデル化するために推定器を使用することを含む。
【0064】
本発明によるナビゲーション支援方法の別の実施形態によれば、それは、限定されるものではないが、マイクロナビゲーション変位測定及び/又はインストールした形状のようなマイクロナビゲーションを含む任意の測定及び計算における系統誤差を推定するために推定器を使用することを含む。
【0065】
本発明の別の実施形態によれば、ナビゲーション支援方法は、推定器に追加の状態を組み込むことによって、マイクロナビゲーション倍率誤差、トランスデューサアライメント誤差などの異なる装置パラメータを較正することを含む。
【0066】
本発明によれば、ナビゲーション支援方法は、支援測定間で異なる推定とその誤差共分散を予測し、新しい測定が受け入れられるたびに更新することを含む。
【0067】
マイクロナビゲーションの理論的精度と完全な利用は、数学的実装とタイミングに厳しい要件を課す。本発明によるナビゲーション支援方法は、従来技術の方法の近似及び仮定なしで利用可能な情報を正確に組み込み、利用するマイクロナビゲーション測定を統合することを含む。
【0068】
本発明によるナビゲーション支援方法の最終的な目的は、(統合された)ナビゲーション支援装置の速度誤差、ひいては位置誤差を低減するために(これは位置ドリフトを低減することを意味する)、マイクロナビゲーション測定を利用することである。従来の速度支援技術(追加センサを使用する)と比較して、マイクロナビゲーションは、より高い忠実度の入力を提供する。
【0069】
各マイクロナビゲーション変位測定は、推定器におけるそれらの状態にリンクされるが、実際の処理ステップは同じである。単一のマイクロナビゲーション変位測定による反復を考慮するとき、本発明によるナビゲーション支援方法は、ナビゲーションプロセッサによって、特定の座標系における変位を送信時間と受信時間とを組み合わせて速度に変換することによって、マイクロナビゲーション変位測定(デルタ位置)を推定器測定に登録すること及び変換することを含む。
【0070】
本発明によるナビゲーション支援方法のさらなる実施形態によれば、それは、変位精度を速度精度に変換することによって、直接的又は間接的のいずれかに変位精度を使用することを含む。
【0071】
異なる座標フレームにおける表現は、この時点で変化しないままであり、非直交性は、レバーアーム補償及び以下でさらに説明する推定器更新を実行するときに正しく扱われる。
【0072】
本発明によるナビゲーション支援方法は、ナビゲーションプロセッサによって、推定器測定計算の一部としてマイクロナビゲーションレバーアーム補償を実行することを含む。ナビゲーション支援方法の別の実施形態では、レバーアーム補償は、変位測定登録の一部として実行される。
【0073】
本発明によるナビゲーション支援方法によれば、それは、ナビゲーション支援装置の原点からソナーの送信機及び複数の受信機アレイまでの機械的オフセットからの静的部分と、海洋プラットフォームのサージ運動によって生じる変化する重複による動的部分とによって、レバーアームを計算することを含む。
【0074】
このように、ナビゲーション支援方法は、レバーアーム計算によって、マイクロナビゲーション変位測定においてレバーアームが有する影響、及び以下の関連する補償である、海洋プラットフォームの角速度、パッチの方位の異なる時間とマイクロナビゲーション変位測定との間の期間に生じる中間回転、及びナビゲーションフレームに対する受信機アレイの回転ミスアライメントを補償する。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、本発明によるナビゲーション支援方法において、計算されたレバーアームは、前述の変位測定各々について、受信機アレイフレーム又はパッチフレームのいずれかに分解される。
【0076】
本発明によれば、ナビゲーション支援方法は、さらに、推定器によって、推定器観測モデルの推定と計算されたマイクロナビゲーション変位測定及び方位測定の精度とに基づいて補正を計算することを含む。
【0077】
本発明によれば、マイクロナビゲーション変位測定及び方位測定の精度は、ナビゲーション装置速度(地理的ナビゲーションフレーム)、マイクロナビゲーションサージ速度(受信機アレイフレーム)、及びマイクロナビゲーション揺れ速度(パッチフレーム)、補償された全てのレバーアームの関数として計算される。本発明によれば、異なる変位測定の非直交性は、ナビゲーションプロセッサによって補償される。
【0078】
本発明に係るナビゲーション支援方法の一実施形態によれば、ナビゲーション支援方法は、パッチの方位の異なる時間とマイクロナビゲーション変位測定との間の期間に生じる中間回転を考慮することによって、ナビゲーションフレームにおける変位測定を適合させることを含む。
【0079】
さらなる実施形態によれば、ナビゲーションフレームに対する受信機アレイの回転ミスアライメント、及び/又は音響推定パッチ座標系(強度分布と空間的拡張)の方位も考慮できる。
【0080】
本発明によれば、本発明に係るナビゲーション支援方法は、音響推定パッチ座標系の方位を適用することによって、受信機アレイフレームにおける変位測定を補正することを含む。
【0081】
本発明のナビゲーション支援方法によれば、マイクロナビゲーション測定及び方位測定の精度と、上述の推定器観測モデルの出力とが、パッチフレームにおいて二次元に分解される。
【0082】
本発明のナビゲーション支援方法は、ナビゲーション状態間の接続、ナビゲーション状態の誤差、及びマイクロナビゲーション変位測定とパッチの方位のモデル化された誤差を記述する推定量観測モデルを利用する。
【0083】
本発明のナビゲーション支援方法の別の実施形態によれば、較正のために、較正状態を組み込み、推定器においてそれらを結合することを含む。
【0084】
本発明の一実施形態によるナビゲーション支援方法は、地理的ナビゲーションフレームにおけるナビゲーション状態の誤差を分解することを含み、観測行列のこの部分の構築は、測定導出における上述の誤差と同じ影響を考慮する。より詳細には、パッチの方位の異なる時間とマイクロナビゲーション変位測定との間の期間に生じる中間回転を考慮する。
【0085】
本発明の別の実施形態によれば、ナビゲーションフレームに対する受信機アレイの回転ミスアライメント、及び/又は音響推定パッチ座標系(強度分布と空間的拡張)の方位も考慮できる。
【0086】
上述の観測行列のマイクロナビゲーション部分は、本発明によるナビゲーション支援方法によれば、限定されるものではないが、線形化、曲線適合/フィッティングなど、ナビゲーション方程式の解の周り、及びパッチ角度のようにパラメータ化される。
【0087】
本発明の別の実施形態では、上述の推定器観測行列は、非線形推定器によって実装され、上述のパラメータ化は必要とされない。
【0088】
本発明によるナビゲーション支援方法の一実施形態によれば、それは、推定器としてカルマンフィルタ又は拡張カルマンフィルタを使用することを含む。
【0089】
観測行列の場合と同様に、本発明によるナビゲーション支援方法は、マイクロナビゲーション部分については、観測ノイズ行列を計算することを含み、任意に構成パラメータと組み合わせて、ソナープロセッサによって報告された精度に基づく。より詳細には、一実施形態によるナビゲーション支援方法は、ナビゲーション方程式の解の周りの観測方程式及びパッチ角度をパラメータ化することを含む。パラメータ化されたモデルが与えられると、観測ノイズ行列は、本発明によれば、相似変換、サージ測定及び揺れ測定の精度、及びパッチ角度を使用して見出だされ得る。
【0090】
本発明の一実施形態によるナビゲーション支援方法は、海洋プラットフォームの運動を直接又は間接的に制御するコントローラ又は制御システムへの入力として補正を提供することをさらに含む。補正は、カルマンフィルタが使用されるとき、カルマンフィルタゲインなどの推定ゲインを伴うことがある。推定ゲインは、例えば、測定及び現在の状態推定に与えられる相対的な重みである。
【0091】
上記のナビゲーション支援方法は、異なる適用に応じて変更され得る。
【0092】
本発明の一実施形態によれば、さらなる実施形態によるナビゲーション支援方法は、マイクロナビゲーション変位測定(デルタ位置)を、予め設定された/所望の時間間隔に適用可能な速度測定に変換することを含む。この実施形態は、慣性測定ユニット測定を使用することにより、例えば、予め設定された/所望の時間間隔よりも良い場所に測定の時間を修正又は補正することにより、さらに改良され得る。低加速移動のみを経験する海洋プラットフォームでは、この方法の誤差はむしろ小さい。
【0093】
海洋プラットフォームの加速度をより良い方法で扱うことに焦点を当てた別の適用修正では、誤差が完全状態よりも遅く進行することを仮定できる。このような適用のために、本発明によるナビゲーション支援方法は、慣性測定単位測定(ナビゲーション方程式)を統合し、2つを比較することによって、期待されるマイクロナビゲーション変位測定(デルタ位置)を推定することを含む。この実施形態のさらなる利点は、推定器観測モデルに新たな状態を追加する必要がないことである。
【0094】
本発明によるナビゲーション支援方法のさらなる実施形態によれば、それは、変位測定の開始から完了まで「位置とその相関関係を記憶する」ために追加の状態を使用することにより、最適に近いマイクロナビゲーション変位測定(デルタ位置)を使用することを含む。この実施形態の利点は、ほぼ仮定を必要としないことである。
【0095】
従って、本発明により、海底上の海洋プラットフォームのリアルタイムナビゲーションを改良するように、ソナーからの変位測定を使用するナビゲーション支援方法及び装置が提供される。海洋プラットフォームの改良されたリアルタイムナビゲーションを提供することにより、強化され及びより正確な海底上の海洋プラットフォームの制御も達成される。
【0096】
特に、本発明は、位置ドリフトの低減に貢献する。
【0097】
以下、ナビゲーション支援方法の原理に基づく本発明によるナビゲーション支援装置について詳細に説明する。
【0098】
本発明のさらなる好ましい特徴及び有利な詳細は、以下の例示的な説明、特許請求の範囲及び添付図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
例
以下、添付図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【
図1】本発明によるナビゲーション支援装置の原理図である。
【
図2】海底上を移動するソナーを備えた海洋プラットフォーム及び関連する座標系の原理図である。
【
図3】変位測定の形状及びタイミングの原理図である。
【
図5】サージ変位測定の相対視界面の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0100】
ここで
図1と
図2を参照する。
図1は、海洋プラットフォーム100に配置又は統合されるように適合された、本発明によるナビゲーション支援装置10の原理図を示す。
図2は、海底200上を移動する海洋プラットフォーム100に配置されたナビゲーション支援装置10、及び関連する座標系を示す。
【0101】
海洋プラットフォーム100は、通常、海底200上を所望の高さで概ね前方に移動する水中、潜水可能又は半潜水可能な車両である。海洋プラットフォーム100は、通常、自律又は半自律的な車両である。
【0102】
海洋プラットフォーム100は、制御可能な推進手段(図示せず)を備えるか、水中での海洋プラットフォーム100の半自律的又は自律的に制御された移動を可能にする推進手段を有する船又はクラフト(craft)によって牽引される。本発明によるナビゲーション支援装置10は、強化されたナビゲーション情報のために、又は海洋プラットフォーム100又は海洋プラットフォーム100を牽引する船又はクラフト(craft)を制御するための入力のために、若しくは両方のために使用され得る。
【0103】
後者の場合、海洋プラットフォーム100又は船又はクラフト(craft)は、推進手段各々を制御する本発明によるナビゲーション支援装置10と通信するコントローラ又は制御システム(図示せず)を備える。推進手段及びコントローラ又は制御システムは、当業者には周知であり、本明細書ではこれ以上の開示を必要としない。
【0104】
図2には、以下の座標系が示される。
- ナビゲーション支援装置10の受信機アレイを中心とする受信機アレイフレームXT、YT、ZT、ここでX軸は受信機アレイの主次元に沿う(前方を向く)、Z軸は二次元アレイの第二次元に広がる。
- 海底200のイルミネーションの任意の段階の音響重心に位置されるパッチフレームXP、YP、ZP、ここでY軸は視線に沿い、X軸は海底200に沿って向く。
- 海洋プラットフォーム100上の基準点にその原点を有する海洋プラットフォーム相対フレームXM、YM、ZM、ここでX軸は前方方向、Y軸は横方向、Z軸は垂直方向である。
【0105】
地理的ナビゲーションフレーム、ナビゲーションフレーム、視線及び視界面は、上記で定義される。
【0106】
本発明によるナビゲーション支援装置10は、海洋プラットフォーム100が関連して移動している海底200に対する海洋プラットフォーム100のマイクロナビゲーション変位測定を実行するように構成される。本発明によるナビゲーション支援装置10は、これらの変位測定を海洋プラットフォーム100のナビゲーションプロセッサ40に統合するようにさらに構成されており、必要に応じて、以下でさらに説明する一つ以上の追加センサ50(存在する場合)と組み合わせられる。
【0107】
本発明によるナビゲーション支援装置10は、変位測定の海洋プラットフォーム相対座標フレームを決定するようにさらに構成される。
【0108】
本発明によるナビゲーション支援装置10は、海洋プラットフォーム100によって担持されるように構成された少なくとも一つの片側又は両側ソナーを含む。図示の実施形態では、ソナーは、左舷側トランスデューサ20aと右舷側トランスデューサ20bとを有する両面ソナーである。各トランスデューサ20a-bは、少なくとも一つの送信機21と、海洋プラットフォーム100の移動方向に各々略平行に配置された少なくとも二つの多要素受信機アレイ22a-bとからなる。受信機アレイ22a-bは、典型的には、海洋プラットフォームの移動方向に対して略垂直に積み重ねられる。
【0109】
本発明によるナビゲーション支援装置10は、さらに、ソナー送信と各測定の座標フレームとの間でマイクロナビゲーション変位測定を実行するように構成されたソナープロセッサ30を備える。ナビゲーション支援装置10は、さらに、マイクロナビゲーション変位測定及び方位測定の精度を計算するための手段及び/又はソフトウェアを有するナビゲーションプロセッサ40と、マイクロナビゲーション変位測定を使用する推定器観測モジュールとを備える。ナビゲーションプロセッサ40は、さらに、推定器観測モデルの推定と、海洋プラットフォーム100のナビゲーションデータの補正のためのマイクロナビゲーション変位測定及び方位測定の計算された精度とに基づいて、補正を計算するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0110】
本発明のさらなる実施形態によるナビゲーションプロセッサ40は、変位測定と海洋プラットフォーム100に配置又は統合された追加センサ50からの測定とを組み合わせるように構成される。追加センサ50の例は、慣性測定ユニット(IMU)、圧力センサ、及び初期位置測定を提供するための全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)受信機などの位置決めセンサのうちの一つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
ナビゲーション支援装置10はさらに、上述の少なくとも一つの送信機21及びトランスデューサ20a-bの少なくとも二つの受信機アレイ22a-bを、上述のソナープロセッサ30、トリガ制御ユニット60及びマスタークロック70に接続するソナー電子機器ユニット23を備える。ソナー電子機器ユニット23は、他の機能の中でも、送信時刻及びタイムスタンプ付き時系列データを、全てのソナー受信チャネルからソナープロセッサ30に提供するように構成される。上述のナビゲーションプロセッサ40は、ソナープロセッサ30に接続され、変位測定及び座標フレームを、それらに関連する精度及びタイムスタンプとともに受信するように構成される。
【0112】
トリガ制御ユニット60は、ナビゲーションプロセッサ40に接続され、海洋プラットフォーム及びナビゲーション支援装置10が地球固定座標系において固定距離D(
図2)(ソナー受信機アレイ22a-bの軌道に沿った長さL(図示せず)の半分未満)を移動するごとにトリガ信号を生成する。トリガ制御ユニット60は、ナビゲーションプロセッサ40からの速度推定に基づいて、少なくとも1つの送信機21のトリガ信号を制御するように構成される。
【0113】
ソナー電子機器ユニット23は、トリガがトリガ制御ユニット60から受信されたとき、少なくとも1つの送信機(TX)21にping(水中に波形を放射する)させるように構成される。各受信機(RX)アレイ22a-bは、その長さにわたって広がるN個の別々の要素からなる。ソナー電子機器ユニット23は、適切な周波数及び解像度で、各受信機アレイ22a-bの各受信機要素からの完全な時系列を記録し、デジタル化するようにさらに構成される。
【0114】
さらなる実施形態による本発明によるナビゲーション支援装置10は、水中の局所音速を測定する音速センサ80を含み、及び/又は、ソナープロセッサ30への入力として、ナビゲーションプロセッサ40によって提供される局所音速の測定器を使用するように構成される。
【0115】
マスタークロック70の役割は、送信時刻、受信データ、及び追加センサ50(存在する場合)からのデータの正確なタイムスタンプを容易にすることである。
【0116】
本発明によるソナープロセッサ30は、重複する位相中心間の信号の相関関係を実行するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0117】
本発明において、位相中心は、送信機21と一つの受信機22a-b要素との間の中点として定義される。所定のpingに対する重複する位相中心は、以前のpingの位相中心とほぼ同じ位置を有する位相中心である。
【0118】
ソナープロセッサ30は、本発明の一実施形態によれば、重複する位相中心からの時系列を相関させることを通じて軌道横断変位の推定を提供するための手段及び/又はソフトウェアを備える。時間遅延は、本発明によれば、三次元形状及び送信機-受信機ベースラインに対して適切に補正される。
【0119】
ソナープロセッサ30は、本発明の一実施形態によれば、異なる変位との時系列の相関関係を比較することによって軌道に沿ったプラットフォーム変位の推定を提供するための手段及び/又はソフトウェアを備える。二つの連続するping間の重複する位相中心の一般的な十進数Mは、M=(L-2D)/dで定義され、ここで、Lは受信機アレイ22a-bの長さであり、Dはサージ変位であり、dは受信機要素間隔である。軌道横断変位の方向は、海底200から近距離ではほぼ垂直から長距離ではほぼ水平まで変化し得る。
【0120】
ソナープロセッサ30は、本発明の一実施形態によれば、三つの軸全てに沿った変位に関する情報を提供するために異なる範囲から測定を組み合わせるための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0121】
ナビゲーションプロセッサ40がソナープロセッサ30からの変位測定を利用するために、ソナープロセッサ30は、本発明の一実施形態によれば、さらなる相関関係を実行することによって、各測定の方向を見つけ、統合中にこれらに対処するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0122】
ソナープロセッサ30は、さらに別の実施形態によれば、ソナートランスデューサ20a-bから海底200の方向におけるソナートランスデューサ20a-bから海底200への角度の計算を提供するために、所定の方位方向にビーム形成され及び受信機アレイ22a-b間のシフト及び拡張について補正された、上部及び下部受信機アレイからの時系列を相関させるための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0123】
ソナープロセッサ30は、さらに別の実施形態によれば、海底200の軌道横断傾斜を計算するために、複数の軌道横断範囲において前述の計算を実行するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0124】
ソナープロセッサ30は、本発明のさらなる実施形態によれば、海底200の軌道に沿った傾斜を計算するために、異なる方位方向にビーム形成されたデータを用いて上述の計算を実行するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0125】
さらなる実施形態によれば、ソナープロセッサ30は、方位角の関数としてエコー強度の分布を決定するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0126】
本発明によるソナープロセッサ30は、変位測定の方向を正確に決定するために、これらの計算の結果を使用するように構成される。
【0127】
ソナープロセッサ30のさらなる実施形態によれば、それは、正規化された相互相関係数を使用して、さらなる計算結果を通じて変位測定及び方向測定の精度を推定するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0128】
計算結果(測定)、それらの方向及び精度は、本発明によれば、さらなる処理及び使用のためにナビゲーションプロセッサ40への入力として使用される。
【0129】
ナビゲーションプロセッサ40は、本発明の一実施形態によれば、カルマンフィルタ(KF)又は拡張カルマンフィルタなどの推定器、無香料カルマンフィルタ(unscented Kalman filter)などの非線形推定器、粒子フィルタ、センサフュージョン法、機械学習又は他の同様の解決策を中心に構築される。
【0130】
推定器は、本発明によれば、海洋プラットフォーム100のナビゲーション状態(以下、位置、方位、及び速度)、マイクロナビゲーション変位測定、座標フレーム、タイミング、及び関連する精度との間の関係をモデル化するために使用される。本発明によるナビゲーションプロセッサ40のさらなる実施形態によれば、推定器は、オフセット及びスケーリング誤差などのセンサ誤差を推定するために使用される。
【0131】
さらなる説明は、推定器の実装の非限定的な例としての拡張カルマンフィルタ(EKF)に基づく。
【0132】
推定器が拡張カルマンフィルタである例では、状態ベクトルの各成分は、特定の測定系列の誤差を表す。各測定に対して、測定されたパラメータ及びその推定標準偏差をフィルタ状態及び共分散行列に関連付ける方程式が計算される。
【0133】
各pingに対して、多数の測定がソナープロセッサ30で計算され及びナビゲーションプロセッサ40における一連の更新で使用され、それらは予測されたフィルタ状態に対して同時に重み付けされる。単一のpingのペアからの異なるマイクロナビゲーション測定は、一般に、わずかに異なる時点で有効である。更新後、フィルタ状態推定値及び共分散行列値は、それが新しいマイクロナビゲーション変位測定であるか、追加センサ50からの測定であるかにかかわらず、次に利用可能な測定まで予測される。
【0134】
ナビゲーションプロセッサ40の出力は、任意の所与の時間における海洋プラットフォーム100の位置、方位、速度及び角速度の推定であり、これらの値の各々の分散及び値の各ペア間の共分散も同様である。
【0135】
上述のように、ソナープロセッサ30は、受信機アレイ22a-bに記録された連続する送信からの音響信号を相関させることによって変位を測定する。
【0136】
時間シフトから推定される変位成分は、揺れ変位(DPCA-sway)と呼ばれ、空間シフトに関する変位成分は、サージ変位(DPCA-surge)と呼ばれる。上述の変位の大きさは、以前に徹底的に対処されたが、これらの変位推定の方向は、推定及び過度の単純化に基づいていた。本発明は、以下に詳細に説明するように、変位測定のこれらの方向の正確な扱いを提供する。
【0137】
重要な時間は、各pingの送信及び受信の2つの時間である。第二のpingからのエコーが、選択又はパッチの重複する要素又は範囲間隔について、第一のpingからのエコーと最大の相関関係を提供するように、本発明の一実施形態によれば最後のpingの受信時間は選択される。重要な方向は、それらの受信時における二つのエコーの方向である。各エコーの方向は、送信時の両方の送信機21の方向、送信機の形状、海底傾斜及び散乱分布、受信時の受信機の方向及び受信機の形状の関数である。
【0138】
時間遅延推定は、本発明によれば、三次元形状及び送信機-受信機ベースラインに対して適切に補正される。
【0139】
次に、形状及び変位測定のタイミングの原理図を示す
図3を参照する。
図3には、2つのpingにわたって点線の黒線で追跡される送信機位置の図が示される。送信時(T)及び受信時(R)における送信機位置が線上に示される。受信時については、受信機位置も示される(透明)。第一及び第二のpingは、異なる充填パターンで示される。送信機21と受信機22アレイa-bとの間の平均位置における送信機-受信機位相中心アレイの位置も、全充填を使用して示される。これが有効な送信機-受信機の位置である。
【0140】
揺れ変位測定の大きさ
この技術は、海底200上の同じパッチで反射された信号間の往復時間の変化の測定を提供する。時間遅延は、連続する送信からの音響信号を相関させることによって推定される。時間遅延は、ソナープロセッサ30におけるローカル音速を乗算した後、揺れ変位測定デルタRスラントレンジ(DeltaR_Slantrange)として定義される変位に変換される。
【0141】
サージ変位測定の大きさ
この技術はまた、連続する送信間で最大の相関関係を有する受信機アレイ22a-b要素を識別する測定を提供する。最大の相関関係のサブ要素位置は、補間を通じて推定される。分離要素の数は、ソナープロセッサ30によって受信機要素間隔の半分を乗算した後、サージ変位測定DeltaX_Bodyとして定義される軌道に沿った変位に変換される。
【0142】
揺れ変位測定の方向
揺れ変位測定は、二つの海底200エコーの相関する部分について、音響重心に向かう又は音響重心からの変位を推定する。
【0143】
本発明によれば、単位ベクトルy_Patch(n,t)は、一つの受信機要素(n)から、受信時(t)におけるその記録された海底200エコーの重心を向く。
【0144】
本発明の一実施形態によれば、揺れ変位測定の方向は、二つの連続するpingの重複する要素について推定されたy_Patchの平均となるように揺れ変位の方向を近似するように選択される。
【0145】
本発明の別の実施形態では、y_Patchは、いずれかのpingからの任意の要素から推定される。
【0146】
本発明の一実施形態によれば、DeltaY_Patch_eff≒DeltaR_Slantrangeを考慮する。
【0147】
各pingについて、本発明におけるy_Patchは、送信時の位置及び方位、受信時の位置及び方位、送信機21の位置、受信機22a-b要素の位置、送信機の形状、受信機の形状、海底傾斜及び海底200散乱分布の関数である。
【0148】
しかしながら、y_Patch(n,t)の方向は、本発明の一実施形態によれば、異なる基準軸を用いた時間(t)における到来方向の2つの推定によって得られる。そのような2つの推定は、
i)本発明による、一つの受信機アレイ22a-b上の隣接要素上の受信の時間遅延から推定され得る、受信機アレイ22a-b上の到来角度。
ii)二つの受信機アレイ22a-bからの隣接要素上の受信間の時間遅延から推定され得る、干渉軸上の到来角度、
である。
【0149】
先行技術の解決策は、受信機アレイ22a-bに対して舷側方向であり、所定の範囲で海底200の方を向くものとして視線を定義していた。この近似は、受信機アレイ22a-b上の到来角度を90度に設定することに対応し、海底200が受信機アレイ22a-bに対して均一かつ平行両方である場合にのみ、音響測定と一致する。この近似は、ナロービームシステムに対して大きな誤差を構成しないかもしれないが、統合されると大きなバイアスの原因となり、それによって長期的なナビゲーションに影響を与える可能性がある。
【0150】
視線に対する揺れ変位測定は
図4に示されており、揺れ変位測定は、3つの重複する要素を有する8要素の受信機アレイ22a-bから導かれるように、8要素の位相中心アレイ上に示される。
【0151】
サージ変位測定の方向
任意の範囲からのエコーが、信号フットプリントが最大広がりを有する次元に沿った変位と最も急速に非相関化する以前に、それは確立されていた。従って、限られた視野を有する側方から見たソナーからのエコーは、海底200の一般的な方向に沿って急速に非相関化され、平坦な海底200に直交する運動と最も遅く非相関化される。
【0152】
サージ変位測定は、最大の相関関係の平面を横切る変位を推定する。この平面は、視界面と呼ばれることもある。表面法線が確立され得る場合、この視界面は、表面法線と視線(揺れ変位の方向)によって広げられる。
【0153】
本発明によれば、視線(揺れ変位の方向)の改良された推定を使用することにより、視界面の評価は精練される。例えば、従来技術米国特許第10,073,175号明細書B2(Pinto)において、上部受信機アレイ22a-bからの要素と下部受信機アレイ22a-bからの要素を相関させることによって、視界面は受信機面とのその交点から推定され得ることが知られている。本発明の一実施形態によれば、本発明で定義されるような視線と海底200の法線ベクトルによって広げられる平面から視界面は推定される。垂直方向に変位した受信機アレイ22a-b各々からのビームは、多数の方位方向に形成され、これらは水深推定のメッシュを生成するために使用され、表面を推定に割り当て、表面法線を得る。本発明の一実施形態では、方位角の関数としてのエコー強度の分布は、視界面の推定をさらに改良するように、海底200散乱の法線方向の推定に組み込まれ得る。
【0154】
図5は、視界面に対するサージ変位測定を示す。サージ変位測定は、平面に直交する成分と平面における成分の両方を有し、従来仮定されていたように、サージ変位は揺れ変位に対して一般的に直交しないことは明らかである。本発明の一実施形態によれば、これは、変位測定をナビゲーション支援装置10と統合するときに考慮される。
【0155】
情報のない方向/ブラインド方向
視界面内では、揺れ変位測定は視線方向に沿う。従って、視界面内のその直交方向において変位の測定はない。これは未知の運動を構成するため、本発明はまた、サージ変位をこの情報のない方向/ブラインド方向に直交し及びそれに沿った成分に分解することを含み、その後、情報のない方向/ブラインド方向に直交する成分のみがナビゲーション支援装置10に統合される。
【0156】
従って、本発明は、海洋プラットフォーム100のための強化されたナビゲーションデータを提供するために、ナビゲーションプロセッサ40におけるマイクロナビゲーション変位測定を利用し、ゆえに海洋プラットフォーム100の運動を制御することも強化する。
【0157】
ソナープロセッサ30からのマイクロナビゲーション出力31(
図1)は、受信機アレイ22a-bフレーム及びパッチフレームである2つの異なる座標系の主軸に沿った変位測定(デルタ位置)を含む。マイクロナビゲーション出力31はさらに、パッチフレームに対する受信機アレイ22a-bフレームの完全な方位、後者の全ての量に対する関連する精度を含む。
【0158】
ソナープロセッサ30の出力31はまた、送信時刻及び受信時刻の複数のタイムスタンプと、統合中にこれらに対処することとを含む。pingからのマイクロナビゲーション測定の一群は、一般に、わずかに異なる時点からのものである。さらに、パッチ角度は好ましくは各pingに対して計算され、デルタ位置は連続するpingの各ペアに対して計算される。統合されたナビゲーション支援装置10の速度更新を導出するとき、総合的な出力は必要とされる。
【0159】
出力31からの単一の事例又はパッケージは、受信機アレイ22a-bから特定の距離にあるパッチに関連する左舷側又は右舷側トランスデューサ20a-bのいずれかからのデータであり得る。
【0160】
本発明によれば、パッチの数(pingあたり)は構成可能であり、移動する海洋プラットフォーム100に対する海底200上のパッチの位置は、静的又は動的のいずれかであり得る(測定幾形状及び推定性能に基づいて変更される。これには、パッチの最近の測定性能、例えばソナーデータの静的な分析に基づく海底200のセグメント201の予測品質などが含まれるが、これらに限定されない)。
【0161】
本発明によれば、ナビゲーションプロセッサ40は、任意の数のパッチが利用され得るように配置される。計算上の制限により必要な場合(ナビゲーションプロセッサ40のハードウェア仕様に依存する)、本発明のさらなる実施形態によるナビゲーションプロセッサ40は、ナビゲーションプロセッサ40のナビゲーションフィルタにおける状態を複数のマイクロナビゲーション測定によって共有されることを可能にする追跡装置及び非相関関係機構を備え、それによってナビゲーションプロセッサ40のナビゲーションフィルタの寸法を低減する。
【0162】
本発明の一実施形態によれば、ナビゲーションプロセッサ40のナビゲーションフィルタは、線形化誤差状態カルマンフィルタ(KF)の形式の推定器を中心に構築される。本発明によるナビゲーションプロセッサ40のさらなる実施形態では、ナビゲーションフィルタは、より高次のフィルタに基づいており、(統合された)ナビゲーション支援装置10における支援ツールとしてマイクロナビゲーション出力を使用することに関して一般性を失うことなく、完全状態KFへの再定式化が行われ得る。
【0163】
本発明によれば、ナビゲーションプロセッサ40の推定器(KF)は、海洋プラットフォーム100のナビゲーション状態(位置、方位、速度)と、ソナープロセッサ30からのマイクロナビゲーション変位測定によって提供される情報との間の関係をモデル化する。
【0164】
本発明のさらなる実施形態によれば、海洋プラットフォーム100のナビゲーション状態(位置、方位、速度)と、一つ以上の追加センサ50によって提供される情報との間の関係を、ナビゲーションプロセッサ40の推定器(KF)はモデル化する。
【0165】
本発明によれば、ナビゲーションプロセッサの推定器(KF)は、マイクロナビゲーション変位測定及び/又はインストールした形状を含むがこれらに限定されない、任意の測定及び計算における系統誤差を推定するように構成される。
【0166】
本発明によるナビゲーションプロセッサ40の別の実施形態によれば、マイクロナビゲーション倍率誤差及びトランスデューサアライメント誤差を含む異なるシステムパラメータを較正するように、推定器(KF)は追加の状態を組み込むように構成される。
【0167】
本発明の一実施形態によれば、ナビゲーションプロセッサ40は、支援測定間、異なる推定及びそれらの誤差共分散間で予測するための、及び新しい測定が受け入れられるたびに更新するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0168】
マイクロナビゲーションの高精度及び完全な利用を達成するために、これは数学的実装及びタイミングに厳しい要求を課す。本発明は、従来技術の方法の近似及び仮定なしに利用可能な情報を正確に組み込み及び利用するマイクロナビゲーション変位測定を統合するための解決策を提供する。
【0169】
本発明の一実施形態によれば、マイクロナビゲーション変位測定は、速度誤差、ひいてはナビゲーション支援装置10の位置誤差を低減するために利用され、その結果、位置ドリフトを低減することを意味する。従来の速度補助技術(追加センサ)と比較して、マイクロナビゲーションは、より忠実な入力を提供する。
【0170】
本発明の一実施形態によれば、ナビゲーションプロセッサ40は、これを達成するための手段及び/又はソフトウェアを備える。各マイクロナビゲーション変位測定は、推定器(カルマンフィルタ)におけるそれ自身の状態にリンクされるが、実際の処理ステップは同じである。
【0171】
本発明によれば、ナビゲーションプロセッサ40は、ソナープロセッサ30から受信された単一のマイクロナビゲーション測定を反復するために、最初のステップとして、特定の座標系における変位測定を送信時間と受信時間とを組み合わせて速度に変換することによって、変位測定(デルタ位置)を推定器測定に登録するため及び変換するための手段及び/又はソフトウェアを備える。同様に、ナビゲーションプロセッサ40は、変位精度を変換することによって直接的又は間接的のいずれかに変位精度を使用するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0172】
本発明によれば、異なる座標フレームにおける表現は、この時点で変化しないままであり、レバーアーム補償及び以下でさらに説明する推定器(KF)更新を実行するときに、非直交性は正しく扱われる。
【0173】
本発明の一実施形態によれば、ナビゲーションプロセッサ40は、推定器(KF)測定計算の一部としてマイクロナビゲーションレバーアーム補償を実行するための手段及び/又はソフトウェアを備える。本発明の別の実施形態では、ナビゲーションプロセッサ40は、変位測定登録の一部としてマイクロナビゲーションレバーアーム補償を実行するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0174】
本発明によれば、レバーアームは、統合されたナビゲーション支援装置10の原点から送信機21及び複数の受信機アレイ22a-bまでの機械的オフセットからなる静的部分と、海洋プラットフォーム100のサージ運動から重複が変化することによる動的部分とによって構成される。
【0175】
前述のレバーアームの計算は、レバーアームが前述のマイクロナビゲーション変位測定に及ぼす影響、及び以下の関連する補償である、海洋プラットフォーム100の角速度、パッチの方位の異なる時間と変位の推定との間の期間に生じる中間回転、及びナビゲーションフレームに対する受信機アレイ22a-bの回転ミスアライメントを補償する。
【0176】
本発明の一実施形態によるナビゲーションプロセッサ40は、変位測定各々について、受信機アレイ22a-bフレーム又はパッチフレームのいずれかにおける前述のレバーアームの影響を分解するための手段及び/又はソフトウェアをさらに備える。
【0177】
本発明によるナビゲーションプロセッサ40は、推定器(KF)観測モデルの推定及びマイクロナビゲーション変位測定及び方位測定における計算された精度に基づいて補正を計算するための手段及び/又はソフトウェアをさらに備える。
【0178】
本発明の一実施形態によれば、マイクロナビゲーション変位測定及び方位測定における精度は、ナビゲーション支援装置10の速度(地理的ナビゲーションフレーム)、マイクロナビゲーションサージ速度(受信機アレイ22a-bフレーム)、及びマイクロナビゲーション揺れ速度(パッチフレーム)の関数として、ナビゲーションプロセッサ40に実装される。本発明によれば、これらは、上述のように補償されたレバーアームである。
【0179】
本発明によるナビゲーションプロセッサ40は、異なる変位測定の非直交性を補償する手段及び/又はソフトウェアをさらに備える。本発明によれば、手段及び/又はソフトウェアは、パッチの方位の異なる時間とマイクロナビゲーション変位測定との間の期間に生じる中間回転を考慮することによって、ナビゲーションフレームにおける変位測定を適合させる。
【0180】
ナビゲーションプロセッサ40のさらなる実施形態によれば、手段及び/又はソフトウェアは、ナビゲーションフレームに対する受信機アレイ22a-bの回転ミスアライメント、及び/又は音響推定パッチ座標系(強度分布と空間的拡張)の方位を考慮するようにさらに構成される。
【0181】
本発明によるナビゲーションプロセッサ40は、音響推定パッチ座標系の方位を適用することによって、受信機アレイ22a-bフレームにおける変位測定を補正するための手段及び/又はソフトウェアをさらに備える。
【0182】
ナビゲーションプロセッサ40によって提供されるマイクロナビゲーション変位測定及び方位測定の精度、及び推定器観測モデルの出力は、上述のように、パッチフレームにおいて、パッチx及びパッチyとして二次元に分解される。
【0183】
ナビゲーションプロセッサ40の推定器(KF)の推定器観測モデルは、従って、ナビゲーション状態間の接続、ナビゲーション状態の誤差、及びマイクロナビゲーション変位測定とパッチの方位のモデル化された精度を記述する。
【0184】
本発明のさらなる実施形態によれば、較正のための推定器観測モデルは、較正状態及びそれらの状態の結合によって構成される。
【0185】
本発明の一実施形態では、ナビゲーション状態の誤差は、地理的ナビゲーションフレームにおいて分解される。この実施形態では、推定器観測モデル(行列)は、測定導出における誤差と同じ影響を考慮する。より詳細には、パッチの方位の異なる時間とマイクロナビゲーション変位測定との間の期間に生じる中間回転を考慮する。
【0186】
本発明のさらなる実施形態によれば、推定器観測モデルは、ナビゲーションフレームに対する受信機アレイ22a-bの回転ミスアライメント、及び/又は音響推定パッチ座標系(空間的拡張と強度分布)の方位も考慮する。
【0187】
ナビゲーションプロセッサ40における推定器観測モデル(行列)のマイクロナビゲーション部分は、本発明の一実施形態によれば、限定されるものではないが、線形化、曲線適合/フィッティングなど、ナビゲーション方程式の解の周り、及びパッチ角度のようにパラメータ化される。これは、受信機アレイ22a-bフレームからパッチフレーム(パッチ角度から構成される)への回転(行列)と、パッチ角度に関するこの行列の導関数とを含む。
【0188】
本発明の別の実施形態では、上述のパラメータ化を必要としないように、上述の推定器観測行列は非線形推定器によって実装される。
【0189】
本発明の一実施形態によれば、補正は、海洋プラットフォーム100の運動を直接又は間接的に制御するコントローラ又は制御システムへの入力として提供される。補正は、カルマンフィルタが使用される場合のカルマンフィルタゲインのような推定器ゲインを伴い得る。
【0190】
本発明の別の実施形態によれば、ナビゲーションプロセッサ40は、マイクロナビゲーション変位測定を、予め設定された/所望の時間間隔で適用可能な速度測定に変換するための手段及び/又はソフトウェアを備える。この実施形態は、例えば、予め設定された/所望の時間間隔よりも良い場所に測定の時間を修正又は補正するために、慣性測定ユニット測定を使用することと組み合わせられ得る。
【0191】
本発明の別の実施形態によれば、ナビゲーションプロセッサ40は、慣性測定ユニット測定を統合することによって、期待されるマイクロナビゲーション変位測定を推定するための及び2つを比較するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0192】
本発明の別の実施形態によれば、ナビゲーションプロセッサ40は、変位測定の開始時に「位置及びその相関関係を記憶する」ために追加の状態を使用することにより、最適に近いマイクロナビゲーション変位測定を使用するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0193】
後者の三つの実施形態は、特定の適用に合わせて調整することができる本発明の様々な可能な修正があることを示す。
【0194】
本発明によれば、マイクロナビゲーション部分のために、ナビゲーションプロセッサ40は、ソナープロセッサ30によって報告された精度に基づいて、限定されないが付加されたホワイトノイズ/バイアスモデルstd、運動/回転スケーリングされたホワイトノイズ/バイアス、レンジスケーリングされたホワイトノイズ/バイアスなどの構成パラメータと任意に組み合わせて、観測ノイズ行列を計算するための手段及び/又はソフトウェアを備える。
【0195】
観測行列の場合と同様に、本発明によれば、ナビゲーションプロセッサ40が、ナビゲーション方程式の解の周りの観測方程式及びパッチ角度をパラメータ化するための手段及び/又はソフトウェアを備えることによって、観測ノイズ行列が見出される。パラメータ化されたモデルが与えられると、観測ノイズ行列は、相似変換、サージ測定及び揺れ測定の精度、及びパッチ角度を使用して見出され得る。
【0196】
本発明により、従来技術の解決策よりも正確なナビゲーション支援方法及び装置10が提供される。より正確なナビゲーションデータを提供することにより、これはまた、ペイロードデータの画像/可視化など、海洋プラットフォーム100に配置された他のセンサの精度を強化する。
【0197】
本発明は、従来技術の解決策と比較して、海底地形の変動に対してより堅牢なナビゲーション支援方法及び装置10を提供する。
【0198】
本発明はまた、従来技術の解決策と比較して、例えばターン動作中などの非線形海洋プラットフォーム100の原動力に対してより堅牢なナビゲーション支援方法及び装置10を提供する。
【0199】
本発明により、従来技術の解決策と比較して、パッチ上の散乱の不均一な分布に対してより堅牢なナビゲーション支援方法及び装置10が提供される。
【0200】
本発明により、前述の解決策よりも高度な統合を可能にするナビゲーション支援方法及び装置が提供される。
【0201】
本発明の上述の実施形態は、添付の特許請求の範囲内で新しい実施形態を形成するように変更又は組み合わせられ得る。
【0202】
変形例
本発明は、片面ソナー内に実装され得る。
【0203】
追加センサ50を使用は、ナビゲーションプロセッサ30が海洋プラットフォーム100の方位(三自由度全て)を推定することを可能にする測定を提供する。これは、例えば、慣性測定ユニット(IMU)又はジャイロコンパスにされ得るが、他のセンサ又はセンサシステムも使用され得る。
【0204】
本発明のさらなる実施形態によれば、装置全体の堅牢性及び精度を増加するために追加センサ50を使用することを含む。例えば、ドップラー速度ログ(DVL)が統合され得る。圧力センサは、特に海洋プラットフォーム100が水中プラットフォームである場合に、垂直位置誤差の低減を可能にするための別の例である。
【0205】
トリガ制御ユニットは、原則として、トリガを生成するためにソナープロセッサ30からの変位測定を使用できる。初期速度推定を提供するためには、追加センサ50が必要とされる。
【0206】
音速センサは、音速を直接測定してもよく、又は導電率/温度/深さ(CTD)センサなどの他の測定からの計算を通じて測定してもよい。
【0207】
推定器としての拡張カルマンフィルタの代わりに、ナビゲーションプロセッサは、無香料カルマンフィルタ(unscented Kalman filter)又は粒子フィルタなどの任意の非線形推定器、CNNなどの機械学習アルゴリズム、最適化アルゴリズム、RT平滑化、遅延ナビゲーションなどを使用できる。一部の推定器は、推定器としてのカルマンフィルタが提供する説明された特徴のいくつかを欠くため、追加の動作が必要になる場合がある。
【0208】
誤差状態を使用する代わりに、ナビゲーションプロセッサは、海洋プラットフォーム100の位置、方位、速度、及び角速度を直接的に表す推定器状態を使用できる。
【0209】
本発明は、静的動的パッチ選択と比較してナビゲーション性能を改良する動的パッチ選択をさらに使用できる。
【国際調査報告】