(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-26
(54)【発明の名称】符号化開口X線散乱断層撮影を使用したインビボ乳房組織撮像のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20250218BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20250218BHJP
A61B 6/40 20240101ALI20250218BHJP
【FI】
A61B6/00 530Z
A61B6/50 500E
A61B6/40 500J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541244
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-09-06
(86)【国際出願番号】 US2023060302
(87)【国際公開番号】W WO2023133548
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524258978
【氏名又は名称】カリダー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カーペンター ジョシュア ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ストライカー ステファン マティアス
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093DA06
4C093EA12
4C093EB22
4C093FF17
(57)【要約】
乳房組織の組織弁別のためのインビボ断層撮影X線散乱データを取得するためのシステム及び方法。システムは、患者の乳房内から生じるX線散乱を空間的に符号化するための符号化開口を含む。検出器は、変調された散乱信号を記録し、これは、X線散乱スペクトルの空間分解推定を再構成し、次いで、ユーザについての空間分解組織型推定を生成するために使用され得る。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間分解体積X線散乱断層撮影マンモグラフィーシステムであって、前記マンモグラフィーシステムが、
患者の乳房を照射するための一次X線ビームを生成するための可動X線源であって、前記X線源が、露光時間、電流、電圧、又はフィルタリングを含む少なくとも1つの動作パラメータに基づいて調整可能である、可動X線源と、
前記X線源と前記患者の前記乳房との間に位置付けられたコリメータであって、前記コリメータが、前記一次X線ビームを整形するように少なくとも1つの寸法を構成可能である開口部を含む、コリメータと、
前記一次X線ビームの経路内に前記患者の前記乳房を位置付けるように動作可能な複数の可動乳房プレートと、
複数のX線検出要素を含むX線検出器アレイであって、前記複数のX線検出要素のうちの少なくともいくつかが移動可能であり、前記X線検出器アレイが、
前記患者の前記乳房を通過する前記一次X線ビームの前記経路内の第1の測定場所に、前記X線源から遠位に少なくとも1つのX線検出要素を位置付けて、前記一次X線ビームからの透過したX線の放射線を測定することと、
前記患者の前記乳房を通過する前記一次X線ビームの前記経路外の第2の測定場所に、前記X線源から遠位に少なくとも1つのX線検出要素を位置付けて、前記一次X線ビームからの散乱したX線の放射線を測定することと、を行うように構成可能である、X線検出器アレイと、
前記患者の前記乳房と前記X線検出器アレイとの間に前記X線源から遠位に位置付けられた符号化開口であって、前記符号化開口が、前記X線検出器アレイによって検出された前記患者の前記乳房からの散乱したX線の放射線を変調するように構成されており、
前記マンモグラフィーシステムが、X線散乱測定及びX線透過測定を実施するように構成可能であり、
前記X線散乱測定を実施するとき、前記X線検出器アレイは、少なくとも1つのX線検出要素が、前記患者の前記乳房を通過する前記一次X線ビームからの散乱したX線の放射線を検出するように、前記一次X線ビームの前記経路の外に位置付けられるように構成されており、
前記X線透過測定を実施するとき、前記X線検出器アレイは、少なくとも1つのX線検出要素が、前記患者の前記乳房を透過したX線の放射線を検出するように、前記一次X線ビームの前記経路内に位置付けられるように構成されている、符号化開口と、
メモリ及びプロセッサを備える制御システムと、を備え、前記プロセッサが、
前記X線透過測定又は前記X線散乱測定のために前記マンモグラフィーシステムを構成するように構成されており、
前記マンモグラフィーシステムを構成することが、前記X線源の位置、前記X線検出器アレイの位置、前記コリメータの前記開口部の寸法、前記X線源の少なくとも1つの動作パラメータ、又は前記乳房プレートのうちの少なくとも1つの位置を含む、少なくとも1つの構成パラメータを制御することを含み、
X線透過測定のために、前記プロセッサが、
前記X線検出器アレイの前記複数のX線検出要素によって検出された透過したX線の放射線を表すX線透過データを受信することと、
前記受信されたX線透過データに基づいて、X線濃度マンモグラム画像を生成することと、
前記X線濃度マンモグラム画像に基づいて、前記患者の前記乳房内の関心対象の領域を特定することと、
前記患者の前記乳房の前記特定された関心対象の領域に基づいて、前記X線散乱測定のための少なくとも1つの散乱構成パラメータを決定することと、
前記決定された少なくとも1つの散乱構成パラメータに基づいて、前記X線散乱測定のために前記マンモグラフィーシステムを構成することと、を行うように更に構成されており、
前記X線散乱測定のために、前記プロセッサが、
前記X線検出器アレイの前記複数のX線検出要素によって検出された前記関心対象の領域に対する散乱したX線の放射線を表すX線散乱データを受信することと、
前記受信されたX線散乱データ、前記受信されたX線透過データ、及び前記少なくとも1つの散乱構成パラメータに基づいて、空間分解X線散乱スペクトル再構成を推定することと、
前記関心対象の領域の前記受信されたX線散乱データに基づいて、空間分解組織特性を決定することと、
前記受信されたX線透過データ及び前記受信されたX線散乱データに基づいて、空間分解散乱マンモグラム画像を生成することと、を行うように更に構成されている、マンモグラフィーシステム。
【請求項2】
前記X線散乱測定のために、前記符号化開口が、前記検出された散乱したX線の放射線を変調するために、前記患者の前記乳房と前記複数のX線検出要素との間で前記X線源から遠位の位置に移動するように動作可能である、請求項1に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項3】
前記X線透過測定のために、前記患者の前記乳房が、前記X線検出器アレイから第1の距離に位置付けられ、前記X線散乱測定のために、前記マンモグラフィーシステムが、拡大モードで更に動作可能であり、前記拡大モードでは、前記患者の前記乳房が、前記X線検出器アレイから第2の距離に位置付けられ、前記第2の距離が、前記第1の距離よりも大きい、請求項2に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、
前記患者の前記乳房内の前記特定された関心対象の領域の前記X線散乱測定中の前記符号化開口の位置を含む符号化開口構成パラメータを決定することと、
前記決定された符号化開口構成パラメータに基づいて、前記符号化開口の前記位置を制御することと、を行うように更に構成されている、請求項2に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項5】
前記X線散乱測定中に前記一次X線ビームを遮断するように構成されたビームブロックを更に備え、前記ビームブロックが、前記一次X線ビームの前記経路内で前記患者の前記乳房と前記X線検出器アレイとの間に位置付けられている、請求項1に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項6】
前記ビームブロックが、前記プロセッサによって移動可能、かつ制御可能であり、前記プロセッサが、
前記患者の前記乳房内の前記特定された関心対象の領域の前記X線散乱測定中の前記ビームブロックの位置を含むビームブロック構成パラメータを決定することと、
前記決定されたビームブロック構成パラメータに基づいて、前記ビームブロックの前記位置を制御することと、を行うように更に構成されている、請求項5に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項7】
追加のX線源を更に備え、前記X線源が、前記X線透過測定のために構成されており、前記追加のX線源が、前記X線散乱測定のために構成されている、請求項1に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項8】
前記空間分解組織特性が、がん性組織又は良性組織を示す組織型を含む、請求項1に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項9】
前記空間分解散乱マンモグラム画像が、前記空間分解X線散乱スペクトル再構成に基づく少なくとも1つの指示を含み、前記少なくとも1つの指示は、前記関心対象の領域が良性組織又はがん性組織を含むかどうかを示す、請求項8に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記受信されたX線透過データ及び前記受信されたX線散乱データに基づいて生成された前記空間分解散乱マンモグラム画像の着色を生成するように更に構成されており、前記着色が、前記空間分解X線散乱スペクトル再構成に基づいている、請求項1に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項11】
前記プロセッサが、
前記受信されたX線散乱データから、前記関心対象の領域の運動量移行スペクトルの空間分解推定を計算することと、
前記空間分解組織特性の前記決定において、前記運動量移行スペクトルの前記空間分解推定を使用することと、を行うように更に構成されている、請求項1に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項12】
前記メモリが、複数の既存の組織運動量移行スペクトルの参照ライブラリを含み、
前記プロセッサが、前記関心対象の領域の前記運動量移行スペクトルの前記計算された空間分解推定と組み合わせて、既存の組織運動量移行スペクトルの前記参照ライブラリを使用して、前記空間分解組織特性を決定するように更に構成されている、請求項11に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項13】
前記プロセッサが、前記空間分解組織特性の前記決定において分類アルゴリズムを使用するように更に構成されている、請求項11に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記空間分解組織特性の前記空間分解推定の前記計算において機械学習アルゴリズムを使用するように更に構成されている、請求項13に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項15】
前記プロセッサが、前記空間分解組織特性の前記空間分解推定の前記計算において、規則ベースの分類アルゴリズムを使用するように更に構成されている、請求項13に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項16】
前記X線検出要素のうちの少なくとも1つが、前記X線透過測定及び前記X線散乱測定の両方に使用される、請求項1に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項17】
前記プロセッサが、前記X線源の前記位置を変更して、前記患者の前記乳房に対する前記一次X線ビームの入射角度を制御するように更に構成されている、請求項1に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項18】
前記X線源の前記少なくとも1つの動作パラメータが、前記一次X線ビームの放射照度及びエネルギースペクトルを制御するように構成可能である、請求項1に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項19】
前記X線散乱測定のために、
前記X線検出要素のうちの少なくとも1つが、前記患者の前記乳房を直接透過した前記一次X線ビームからのX線の放射線を検出するように構成可能であり、
前記プロセッサが、前記患者の前記乳房を直接透過した前記一次X線ビームからのX線の放射線を検出するように構成されている前記X線検出要素によって検出されたX線透過データを受信するように更に構成されており、前記受信されたX線透過データが、前記X線散乱測定中に前記検出された透過したX線の放射線を表し、
前記空間分解X線散乱スペクトル再構成の前記推定が、前記X線散乱測定中に検出された前記受信されたX線透過データに更に基づく、請求項1に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項20】
前記プロセッサが、
前記X線散乱測定中の前記患者への放射線量を推定することと、
前記患者への前記推定された放射線量に基づいて、前記X線散乱測定のための前記少なくとも1つの散乱構成パラメータを決定することと、を行うように更に構成されている、請求項1に記載のマンモグラフィーシステム。
【請求項21】
空間分解体積X線散乱断層撮影マンモグラフィーを実施する方法であって、前記方法が、
X線透過測定を、
X線源からの第1の一次X線ビームを、前記第1の一次X線ビームを整形するように少なくとも1つの寸法を構成可能な開口部を有するコリメータを通して、かつ複数の乳房プレートの間に位置付けられた患者の乳房を通して透過させることであって、前記X線源が、露光時間、電流、電圧、又はフィルタリングを含む少なくとも1つの動作パラメータに基づいて調整可能である、透過させること、
X線検出器アレイの複数のX線検出要素を使用して、前記患者の前記乳房を直接透過した前記第1の一次X線ビームからのX線の放射線を検出することであって、前記X線検出要素の少なくとも一部が、移動可能である、検出すること、
前記複数のX線検出要素から、プロセッサ及びメモリを含む制御システムを介してX線透過データを受信することであって、前記X線透過データは、前記第1の一次X線ビームが前記コリメータ及び前記患者の前記乳房を通過した後の、前記第1の一次X線ビームからの前記検出されたX線の放射線を表す、受信すること、
前記受信されたX線透過データに基づいて、前記患者の前記乳房の放射線濃度マンモグラム画像を生成すること、
前記放射線濃度マンモグラム画像に基づいて、前記患者の前記乳房内の関心対象の領域を特定すること、並びに
前記特定された関心対象の領域のX線散乱測定のための散乱測定構成パラメータを決定することであって、前記散乱測定構成パラメータが、前記X線源の位置、前記複数の前記X線検出要素の位置、前記コリメータの前記開口部の寸法、X線源動作パラメータ、又は前記複数の乳房プレートのうちの少なくとも1つの位置を含む、決定すること、によって実施することと、
前記関心対象の領域の前記X線散乱測定を、
前記X線源からの第2の一次X線ビームを、前記第2の一次X線ビームを整形するように前記コリメータを通して、かつ前記複数の乳房プレートを用いて位置付けられた前記患者の前記乳房を通して透過させること、
前記患者の前記乳房と前記複数のX線検出要素との間に位置付けられた符号化開口を使用して、前記患者の前記乳房と相互作用する前記第2の一次X線ビームからの散乱したX線の放射線を変調すること、
前記複数のX線検出要素を使用して、前記変調された散乱したX線の放射線を検出すること、
前記複数のX線検出要素からの検出された散乱したX線の放射線を表すX線散乱データを受信すること、
前記受信されたX線散乱データ、前記受信されたX線透過データ、及び前記決定された散乱測定構成パラメータに基づいて、空間分解X線散乱スペクトル再構成を計算すること、
前記関心対象の領域の前記受信されたX線散乱データに基づいて、少なくとも1つの空間分解組織特性を決定すること、並びに
前記受信されたX線透過データ及び前記受信されたX線散乱データに基づいて、空間分解散乱マンモグラム画像を生成すること、によって実施することと、を含む、方法。
【請求項22】
前記符号化開口が、前記X線散乱測定中に前記第2の一次X線ビームからの前記検出された散乱したX線の放射線を変調するために、前記患者の前記乳房と前記複数のX線検出要素との間で前記X線源から遠位の位置に移動される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記X線透過測定を実施するとき、前記患者の前記乳房が、前記複数の前記X線検出要素から第1の距離に位置付けられ、前記X線散乱測定を実施するとき、前記患者の前記乳房が前記複数の前記X線検出要素から第2の距離に位置付けられる拡大モードが使用され、前記第2の距離が、前記第1の距離よりも大きい、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記プロセッサを介して、前記患者の前記乳房内の前記特定された関心対象の領域の前記X線散乱測定中の前記符号化開口の前記位置を表す構成パラメータを決定することと、
前記プロセッサを介して、前記符号化開口の前記位置を制御することと、を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記患者の前記乳房と前記複数のX線検出要素との間の前記第2の一次X線ビームの前記経路内に位置付けられたビームブロックを用いて、前記X線散乱測定中に前記第2の一次X線ビームを遮断することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記ビームブロックが、移動可能であり、前記X線散乱測定を実施するとき、前記ビームブロックが、前記患者の前記乳房と前記X線検出要素との間の前記第2の一次X線ビームの前記経路内に位置付けられており、前記方法が、
前記プロセッサを介して、前記特定された関心対象の領域の前記X線散乱測定中の前記ビームブロックの前記位置を表すビームブロック構成パラメータを決定することと、
前記プロセッサを介して、前記決定されたビームブロック構成パラメータに基づいて前記ビームブロックの前記位置を制御することと、を更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記X線源が、前記X線透過測定に使用され、追加のX線源が、前記X線散乱測定に使用される、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの空間分解組織特性が、がん性組織又は良性組織を示す組織型を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記空間分解散乱マンモグラム画像が、前記空間分解X線散乱スペクトル再構成に基づく少なくとも1つの指示を含み、前記少なくとも1つの指示は、前記特定された関心対象の領域が良性組織又はがん性組織を含むかどうかを示す、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記受信されたX線透過データ及び前記受信されたX線散乱データに基づいて前記空間分解散乱マンモグラム画像の着色を生成することを更に含み、前記着色が、前記空間分解X線散乱スペクトル再構成に基づいて決定される、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記受信されたX線散乱データから、前記関心対象の領域の運動量移行スペクトルの空間分解推定を計算することと、
前記少なくとも1つの空間分解組織特性の前記決定において、前記運動量移行スペクトルの前記空間分解推定を使用することと、を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記関心対象の領域の前記運動量移行スペクトルの前記計算された空間分解推定と組み合わせて、複数の既存の組織運動量移行スペクトルの参照ライブラリを使用して、前記少なくとも1つの空間分解組織特性を決定することを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの空間分解組織特性を決定するときに、分類アルゴリズムを使用することを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの空間分解組織特性の前記空間分解推定の前記計算において機械学習アルゴリズムを使用することを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つの空間分解組織特性の前記空間分解推定の前記計算において、規則ベースの分類アルゴリズムを使用することを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記X線透過測定及び前記X線散乱測定の両方に少なくとも1つのX線検出要素を使用することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
前記X線源の前記位置を制御して、前記患者の前記乳房に対する前記第1の一次X線ビーム又は前記第2の一次X線ビームの入射角度を制御することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項38】
前記X線源の少なくとも1つの動作パラメータを、前記第1の一次X線ビーム又は前記第2の一次X線ビームの放射照度及びエネルギースペクトルを制御するように構成することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項39】
前記X線散乱測定のために、
前記患者の前記乳房を直接透過した前記第2の一次X線ビームからのX線の放射線を検出するように構成されている前記X線検出要素によって検出されたX線透過データを受信することであって、前記受信されたX線透過データが、前記X線散乱測定中の前記検出された透過したX線の放射線を表す、受信することを更に含み、
前記空間分解X線散乱スペクトル再構成の前記計算が、前記X線散乱測定中に検出された前記受信されたX線透過データに更に基づく、請求項21に記載の方法。
【請求項40】
前記X線散乱測定のために、
前記患者への放射線量を推定することと、
前記患者への前記推定された放射線量に基づいて、前記X線散乱測定のための前記少なくとも1つの散乱構成パラメータを決定することと、を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項41】
インビボ乳房組織撮像装置であって、
初期X線ビーム(複数可)で前記乳房組織を照射するための1つ以上のX線源と、
前記初期X線ビーム(複数可)の断面形状、発散、及び空間範囲を制御するための1つ以上のコリメート要素と、前記X線源(複数可)と前記乳房組織との間に位置する、前記乳房組織に到達する前記X線ビーム(複数可)のエネルギースペクトル及び放射照度を修正するための1つ以上のフィルタと、
前記初期X線ビーム(複数可)から生じる前記乳房組織から散乱されたX線を検出するための1つ以上のX線検出器と、
前記乳房組織から前記X線検出器(複数可)で受信された、前記初期X線ビーム(複数可)から生じる、前記散乱した放射を意図的に変調するための1つ以上の符号化開口と、
前記乳房組織からの、前記符号化開口(複数可)によって変調された、前記検出されたX線散乱信号を使用して、前記照射された乳房組織の組織型の空間分解推定を計算するプロセッサと、
前記空間分解乳房組織特性をシステムオペレータ又は臨床医に表すための構成要素と、から構成される、撮像装置。
【請求項42】
前記X線検出器、符号化開口、X線源、フィルタ、又はコリメート要素のうちの1つ以上、並びに任意のビームブロック(複数可)が、並進及び/又は回転させられ得る、請求項41に記載の撮像装置。
【請求項43】
並進及び/又は回転させられ得る前記初期X線ビーム(複数可)から前記乳房組織を直接透過したX線を検出する目的で1つ以上のX線検出器が存在する、請求項41に記載の撮像装置。
【請求項44】
ディスプレイ構成要素からのユーザ指定された領域を、X線源(複数可)、フィルタ(複数可)、コリメータ(複数可)、符号化開口(複数可)、検出器(複数可)、及びビームブロック(複数可)などのキーシステム構成要素の場所、配向、又は動作パラメータなどの構成に変換し、指定された関心対象の領域の後続のX線散乱測定のためにこの構成を実装する、制御ソフトウェアを有する、請求項41に記載の撮像装置。
【請求項45】
前記乳房組織と前記X線検出器(複数可)との間に位置する、並進及び/又は回転させられ得る1つ以上の追加のコリメート要素及び/又はフィルタを有する、請求項41に記載の撮像装置。
【請求項46】
前記X線源(複数可)と前記乳房組織との間に位置する、前記初期X線ビーム(複数可)を意図的に変調するための1つ以上の追加の符号化開口を有する、請求項41に記載の撮像装置。
【請求項47】
インビボで照射された乳房組織の空間分解組織特性を推定するための方法であって、前記方法が、
前記X線源(複数可)からの初期X線ビーム(複数可)で前記乳房組織を照射することと、
前記X線源(複数可)と前記乳房組織との間に位置する1つ以上のコリメート要素を使用して、前記乳房組織に到達する前記初期X線ビーム(複数可)の断面形状(例えば、鉛筆形、扇形、又は円錐形ビーム)、発散、及び空間範囲を制御することと、前記X線源(複数可)と前記乳房組織との間に位置する1つ以上のフィルタを使用して、前記乳房組織に到達する前記初期X線ビーム(複数可)のエネルギースペクトル及び放射照度を制御することと、
1つ以上のX線検出器を用いて、前記乳房組織から散乱されたX線を検出することと、
1つ以上の符号化開口を有する前記X線検出器(複数可)で受信された、前記初期X線ビーム(複数可)から生じる、前記乳房組織からの前記散乱した放射を意図的に変調することと、
前記乳房組織からの、前記符号化開口(複数可)によって変調された、前記検出されたX線散乱信号を使用して、前記照射された乳房組織の組織型の空間分解推定を計算することと、
前記組織型の前記空間分解推定をシステムオペレータ又は臨床医に視覚的に表すことと、を含む、方法。
【請求項48】
前記照射された乳房組織の前記運動量移行スペクトルの空間分解推定が、前記照射された乳房組織からの、前記符号化開口(複数可)によって変調された、前記測定された散乱したX線信号から計算され、前記推定された空間依存性組織特性の前記計算に使用される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記推定された空間分解組織特性は、前記組織が悪性である可能性の空間依存推定を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
既存の組織運動量移行スペクトルの参照ライブラリが、前記組織特性の空間分解推定を計算するために、前記照射された乳房組織の前記運動量移行スペクトルの空間分解推定と組み合わせて使用される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記組織特性の空間分解推定の前記計算が、分類アルゴリズムを使用して実施される、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記組織型の空間分解推定の前記計算に使用される前記分類アルゴリズムが、機械学習アルゴリズムを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記組織型の空間分解推定の前記計算で使用される前記分類アルゴリズムが、規則ベースの分類アルゴリズムを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
散乱測定中に前記初期X線ビーム(複数可)で照射された前記乳房組織の体積が、全体積の部分領域であり得、この部分領域が、ユーザ指定された領域を、後続の散乱測定のために前記ユーザ指定された領域を選択的に照射するように初期X線ビーム(複数可)を生成する前記装置構成要素の構成に変換するソフトウェアによって制御され、前記ソフトウェアが前記散乱測定からの前記患者への推定された線量に基づいて構成要素の前記構成を最適化するような様式、又は測定された散乱データ及び再構成品質に対する推定された影響に基づいて構成要素の前記構成を最適化する様式を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記初期X線ビーム(複数可)の前記断面形状、発散、及び空間範囲が、前記X線源(複数可)と前記乳房組織との間に位置する前記コリメート要素を並進又は回転させることによって意図的に変化せず、前記初期X線ビーム(複数可)の前記エネルギースペクトル及び放射照度が、前記X線源(複数可)と前記乳房組織との間に位置する前記フィルタを並進又は回転させることによって意図的に変化しない、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
前記初期X線ビーム(複数可)の前記断面形状、発散、及び空間範囲が、前記測定全体を通して、前記X線源(複数可)と前記乳房組織との間に位置する、同じセットのコリメート要素を使用して制御され、前記初期X線ビーム(複数可)の前記エネルギースペクトル及び放射照度が、前記測定全体を通して、前記X線源(複数可)と前記乳房組織との間に位置する、フィルタの同じセットを使用して制御される、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
1つ以上のX線検出器が、前記乳房組織を直接透過したX線を検出するために使用され、前記プロセッサが、2D又は3D透過マンモグラム画像を計算するために使用される、請求項47に記載の方法。
【請求項58】
前記組織が悪性である可能性の前記空間依存推定が、前記システムオペレータ又は臨床医に提示される統合X線透過及び散乱データの表現において、2D又は3D透過マンモグラム画像とオーバーレイされる、請求項9又は17に記載の方法。
【請求項59】
前記照射された乳房組織を直接透過する前記初期ビーム(複数可)からの前記測定された透過した信号が、空間依存組織特性を推定するために、前記照射された乳房組織の前記運動量移行スペクトルの空間依存推定と組み合わせて使用される、請求項47に記載の方法。
【請求項60】
前記乳房組織を直接透過する前記初期X線ビーム(複数可)からの前記測定された透過した信号、及び前記乳房組織からの前記符号化開口(複数可)によって変調された前記測定されたX線散乱信号が、X線源(複数可)、検出器(複数可)、コリメート要素(複数可)、フィルタ、及び符号化開口(複数可)の同じ相対場所、並びに前記X線源(複数可)についての同じ動作パラメータを使用して、同じ期間にわたって同期的に測定される、請求項47に記載の方法。
【請求項61】
前記乳房組織を直接透過する前記初期X線ビーム(複数可)からの前記測定された透過した信号、及び前記乳房組織からの前記符号化開口(複数可)によって変調された前記測定されたX線散乱信号が、前記測定全体を通してX線源(複数可)、検出器(複数可)、コリメート要素(複数可)、フィルタ、及び符号化開口(複数可)の同じセット、並びに前記測定全体を通して前記X線源(複数可)についての同じ動作パラメータを使用して測定される、請求項47に記載の方法。
【請求項62】
前記同じX線源(複数可)及び検出器(複数可)が、前記照射された乳房組織を直接透過する前記初期ビーム(複数可)からの前記測定された透過した信号と、前記乳房組織からの、前記符号化開口(複数可)によって変調された前記X線散乱信号との両方を測定するために使用される、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月9日に出願された「An apparatus and method for in vivo breast tissue imaging used coded aperture X-ray scatter tomography」と題された米国特許仮出願第63/297,793号の優先権を主張し、その内容全体は参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
既存のマンモグラフィーシステムは、1つ以上のエネルギー範囲におけるX線源の初期強度に対する、乳房を通して直接透過するX線源の減衰を測定することによって、透過モードで乳房組織を撮像する。既存のデジタルシステムからのマンモグラムは、2D X線検出器画素アレイへのX線源からの乳房組織の単一のビューの直接的な投影であるか、又は、3Dマンモグラフィーシステムにおいて、3D断層撮影X線透過画像は、いくつかの投影ビューから計算される。エネルギー弁別のない既存のマンモグラフィーシステムでは、投影画像は、組織密度によって効果的に制御されるグレースケール値からなる。組織密度は、がん組織と良性組織との間で十分に類似している可能性があるため、密度のみで区別することは困難又は不可能である。マルチエネルギーチャネル検出器又は異なる発生源動作パラメータ若しくはフィルタリングを用いた複数の測定のいずれかによって達成され得るいくつかのエネルギー弁別を有するシステムでは、画素ごとに単一の値を超える値から構成された画像が計算され得、マンモグラムの特徴にいくつかの追加のコントラストを提供する。これらの既存のシステムからのマンモグラムは、臨床医が潜在的に悪性組織である可能性があると考える領域について臨床医によって検査される。それらが真のグレースケール又はマルチエネルギー拡張伝送ベースの画像であるかどうかにかかわらず、既存のマンモグラフィーシステムからのマンモグラムは、限られた情報を提供し、それに基づいて臨床医が組織の領域ががん性であるかどうかについて決定しなければならず、その結果、米国で生検に対してフラグ付けされるマンモグラムの70~80%は、最終的に、病理学者による生検組織の検査時に良性であることが判明する。
【0003】
新規の女性がんの約30%が乳がんであり、女性が生涯にわたって乳がんを発症する平均リスクは約13%である。米国がん協会によると、乳がんが早期に検出され、局所的な段階にある場合、女性は99%の5年相対生存率を有する。したがって、乳がんを正確に検出するマンモグラムシステムに対する必要性がある。
【0004】
本発明は、一般に、医用画像を対象とし、より具体的には、本発明は、空間分解体積X線散乱スペクトル再構成を作成するためのマンモグラフィー及びX線散乱断層撮影を対象とする。
【0005】
背景技術
これまでのところ、乳房組織のX線散乱測定の弁別力は、比較的制御された試料及び測定シナリオにおいてエクスビボでのみ実証されているが、符号化開口を採用するX線散乱方法論の最近の開発は、典型的なマンモグラフィーシステムのものと同様の試料及び測定シナリオにおいて空間分解体積X線散乱スペクトル再構成が実装されることを可能にする。インビボ符号化開口ベースのX線散乱撮像システム及び方法論は、透過のみのマンモグラフィーシステムでは決してアクセスすることができない情報に基づいて、組織の領域ががん性である可能性の追加の空間分解推定を臨床医に提供する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に説明される主題は、インビボにおける乳房組織の符号化開口ベースのX線散乱断層撮影のためのシステム及び方法を含む。このシステム及び方法によると、インビボにおける乳房組織の空間分解体積X線散乱スペクトル再構成が、組織型の空間分解推定を提供するために使用される。具体的には、これらの推定は、良性及びがん性組織型のX線スペクトルを参照するための比較に基づいて、乳房組織の領域が、がん性である可能性を含み得る。生検に対してフラグ付けされたマンモグラムの70~80%が陰性であることを考慮すると、そのような推定は、臨床医が生検の決定を下すのを支援する貴重な追加の情報を提供する。既知の先行技術では、インビボにおける乳房組織のX線散乱スペクトルデータから計算された空間分解体積X線散乱スペクトル再構成又は導出された組織型尤度推定を提供しない。
【0007】
測定における有効エネルギーチャネルの数として画素ごとの同じ数の特徴のみを提供し得る組織のX線透過測定とは対照的に、空間分解体積X線散乱スペクトル再構成は、エネルギー分解能、測定の幾何学的形状(特に、ほとんどの角度分散モードで取得するときの検出器のサイズ及び画素ピッチ)、並びに再構成に使用されるモデルの正確度によって許容される限り多くの特徴を提供する。これらの追加の特徴はまた、X線透過測定によって提供されるものとほぼ直交しており、すなわち、それらは、任意の透過X線測定モダリティとは異なる情報を提供する。より重要なことに、臨床医に知らせるために、透過X線測定は、本質的に、悪性及び良性組織の同様かつ潜在的に重複する密度値によって限定されるが、一方で、組織のX線散乱測定は、エクスビボにおけるがん性組織と良性組織とを区別することが示されている。
【0008】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムは、患者の乳房を照射するための一次X線ビームを生成するための可動X線源を備える。X線源は、露光時間、電流、電圧、又はフィルタリングを含む少なくとも1つの動作パラメータに基づいて調整可能である。マンモグラフィーシステムは、一次X線ビームを整形するために、X線源と患者の乳房との間にコリメータを更に備える。コリメータは、少なくとも1つの寸法を構成可能である開口部を含む。マンモグラフィーシステムは、一次X線ビームの経路内に患者の乳房を位置付けるための複数の可動乳房プレートを更に含む。マンモグラフィーシステムは、複数の可動X線検出要素を含むX線検出器アレイを更に備える。X線検出器アレイは、一次X線ビームの経路内の第1の測定場所に、X線源から遠位に少なくとも1つのX線検出要素を位置付けて、一次X線ビームからの透過したX線の放射線を測定するように構成可能である。X線検出器アレイは、患者の乳房を通過する一次X線ビームの経路外の第2の測定場所に、X線源から遠位に少なくとも1つのX線検出要素を位置付けて、一次X線ビームからの散乱したX線の放射線を測定するように構成可能である。マンモグラフィーシステムは、患者の乳房とX線検出器アレイとの間にX線源から遠位に位置付けられた符号化開口を更に備え、符号化開口が、X線検出器アレイによって検出された患者の乳房からの散乱したX線の放射線を変調するように構成されている。マンモグラフィーシステムは、X線散乱測定及びX線透過測定を実施するように構成可能である。X線散乱測定を実施するとき、X線検出器アレイは、複数のX線検出要素の少なくとも1つのX線検出要素が、患者の乳房を通過する一次X線ビームからの散乱したX線の放射線を検出するように、一次X線ビームの経路の外に位置付けられるように構成されている。X線透過測定を実施するとき、X線検出器アレイは、複数のX線検出要素のうちの少なくとも1つのX線検出要素が、一次X線ビームから患者の乳房を通って透過したX線を検出するように位置付けられるように構成されている。マンモグラフィーシステムは、メモリ及びプロセッサを備える制御システムを更に備える。プロセッサは、X線透過測定又はX線散乱測定のためにマンモグラフィーシステムを構成するように構成されている。マンモグラフィーシステムを構成することは、少なくとも1つの構成パラメータを制御することを含む。少なくとも1つの構成パラメータは、X線源の位置、X線検出器アレイの位置、コリメータの開口部の寸法、X線源の少なくとも1つの動作パラメータ、及び複数の乳房プレートの位置を含む。プロセッサは、X線検出器アレイによって検出されたX線透過データを受信するように更に構成されている。プロセッサは、受信されたX線透過データに基づいて、X線濃度マンモグラム画像を生成するように更に構成されている。プロセッサは、X線濃度マンモグラム画像に基づいて、患者の乳房内の関心対象の領域を特定するように更に構成されている。プロセッサは、患者の乳房の特定された関心対象の領域に基づいて、X線散乱測定のための少なくとも1つの散乱構成パラメータを決定するように更に構成されている。プロセッサは、少なくとも1つの決定された散乱構成パラメータに基づいて、X線散乱測定のためにマンモグラフィーシステムを構成するように更に構成されている。プロセッサは、X線検出器アレイによって検出されたX線散乱データを受信するように更に構成されている。プロセッサは、受信されたX線散乱データ、受信されたX線透過データ、及び少なくとも1つの散乱構成パラメータに基づいて、空間分解X線散乱スペクトル再構成を推定するように更に構成されている。プロセッサは、関心対象の領域の受信されたX線散乱データに基づいて、空間分解組織特性を決定するように更に構成されている。プロセッサは、受信されたX線透過データ及び受信されたX線散乱データに基づいて、空間分解散乱マンモグラム画像を生成するように更に構成されている。マンモグラフィーシステムの多くの潜在的な実施形態が存在し、そのうちのいくつかは以下に更に説明される。
【0009】
本明細書に説明される空間分解体積X線散乱断層撮影マンモグラフィーを実施する方法は、X線透過測定を実施することを含む。X線透過測定は、X線源からの第1の一次X線ビームを、第1の一次X線ビームを整形するように少なくとも1つの寸法を構成可能な開口部を有するコリメータを通して、かつ複数の乳房プレートの間に位置付けられた患者の乳房を通して透過させることを含む。X線源は、露光時間、電流、電圧、又はフィルタリングを含む少なくとも1つの動作パラメータに基づいて調整可能である。X線透過測定は、X線検出器アレイの少なくとも1つのX線検出要素を使用して、患者の乳房を直接透過した第1の一次X線ビームからのX線の放射線を検出することを更に含む。X線透過測定は、プロセッサ及びメモリを含む制御システムを介してX線透過データをX線検出器アレイから受信することを更に含む。方法は、受信されたX線透過データに基づいて、患者の乳房の放射線濃度マンモグラム画像を生成することを更に含む。方法は、放射線濃度マンモグラム画像に基づいて、患者の乳房内の関心対象の領域を特定することを更に含む。方法は、患者の乳房内の特定された関心対象の領域のX線散乱測定のための少なくとも1つの散乱測定構成パラメータを決定することを更に含む。散乱測定構成パラメータは、X線源の位置、複数のX線検出要素の位置、コリメータの開口部の寸法、X線源動作パラメータ、及び複数の乳房プレートの位置を含む。方法は、関心対象の領域のX線散乱測定を実施することを更に含む。X線散乱測定は、X線源からの第2の一次X線ビームを、第2の一次X線ビームを整形するようにコリメータを通して、かつ複数の乳房プレートを用いて位置付けられた患者の乳房を通して透過させることを含む。X線散乱測定は、患者の乳房と複数のX線検出要素との間に位置付けられた符号化開口を使用して、患者の乳房と相互作用する第2の一次X線ビームからの散乱したX線の放射線を変調することを更に含む。X線散乱測定は、X線検出器アレイを使用して変調された散乱したX線の放射線を検出することを更に含む。X線散乱測定は、X線検出器アレイから検出された散乱したX線の放射線を表すX線散乱データを受信することを更に含む。方法は、受信されたX線散乱データ、受信されたX線透過データ、及び決定された散乱測定構成パラメータに基づいて、空間分解X線散乱スペクトル再構成を計算することを更に含む。方法は、関心対象の領域の受信されたX線散乱データに基づいて、少なくとも1つの空間分解組織特性を決定することを更に含む。方法は、受信されたX線透過データ及び受信されたX線散乱データに基づいて、空間分解散乱マンモグラム画像を生成することを更に含む。方法の多くの潜在的な実施形態が存在し、そのうちのいくつかは以下に更に説明される。
【0010】
乳房組織からの散乱したX線の放射線は、組織固有の情報を含む。より具体的には、組織X線回折(XRD)スペクトルは、局所的な分子順序を反映する。例えば、脂肪、腺、及びがん性組織は、別個のXRDスペクトルをもたらす異なる分子順序を有する。
【0011】
システムの多くの潜在的な実施形態が存在し、そのうちのいくつかは以下に更に説明される。システムは、乳房組織を照射するための少なくとも1つのX線源を含む。システムはまた、X線源と乳房組織との間に少なくとも1つのコリメーションステージを含む。システムは、乳房組織と検出器との間に位置付けられた符号化開口を更に含む。システムは、符号化開口によって変調された、検出されたX線散乱信号を使用して、照射された乳房組織の組織型の空間分解推定を計算し得るプロセッサを更に含む。最後に、システムは、オペレータ又は臨床医に組織型推定データを表すための構成要素、例えば、コンピュータモニタを更に含み得る。
【0012】
分子順序はまた、密度にも影響する。既存の透過マンモグラフィーシステムでは、局所的な分子順序は、一般に、単一の放射線濃度値に集約される。しかしながら、本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムは、散乱測定及び再構成が実施される乳房組織の領域の空間分解X線散乱スペクトルを生成するように設計される。X線散乱スペクトルは、より多くの特徴を提供し、既存のマンモグラフィーシステムと比較して組織型の区別のためのコントラストを増加させ、再構成されたデータの空間分解性質は、この区別の能力が患者の乳房内の特定の既知の場所と関連付けられ、したがって、透過測定によって生成された放射線濃度マンモグラム画像における観察可能な特徴と相関されることを可能にする。乳房組織に到達する放射照度及びX線エネルギースペクトルは、フィルタを使用して制御され得、これは、患者が受容する用量を最小限に抑えるために、かつコントラスト及びX線スペクトル分解能を改善するために行われ得る。乳房組織に到達するX線ビームの断面形状(例えば、鉛筆形、扇形、又は円錐形ビーム)、発散、及び空間範囲は、X線源と乳房組織との間のコリメータを用いて制御され得る。第二に、散乱したX線は、X線検出器で測定される。符号化開口、すなわち、既知の開口画分及びパターンを有するパターン化された開口は、乳房組織とX線検出器との間に位置し、既知の符号パターン及び測定幾何学に基づいて、散乱したX線を選択的かつ意図的に減衰する。第三に、照射された乳房組織の組織タイプの空間分解推定は、プロセッサを使用して検出された符号化開口変調されたX線散乱信号から計算される。最後に、組織型の推定は、ディスプレイ構成要素を使用してオペレータ又は臨床医に提示される。限定ではなく、例えば、本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムは、推定された組織タイプ及び/又はがんの可能性に対応する、X線透過画像上にオーバーレイされたカラーマップを生成するように設計される。更に、マンモグラフィーシステムは、がんの可能性のパーセンテージの値を含む透過画像の領域をフラグ付けし得る。有利には、マンモグラフィーシステムは、透過データの部分領域のX線散乱データ(例えば、透過拡大モード中の散乱スポットチェック)を測定して表示するように更に動作可能である。
【0013】
空間分解体積X線スペクトルデータは、散乱を変調するための符号化開口、変調された散乱信号を測定するための2D画素化検出器、測定の物理及び幾何学的形状の前方行列モデル、並びに一般に知られているアルゴリズム(例えば、最尤推定)によって、前方行列モデルからの空間分解体積X線スペクトルデータを反復的に推定するプロセッサを使用して、照射された体積から再構成され得る。この一般的な手順は、本明細書に説明される方法で使用される。具体的には、これは、画素又はボクセルベースにおける運動量移行スペクトルの推定を含み、これは、がん性組織又は良性脂肪又は腺組織のものなどの基準運動量移行スペクトルと比較されるか、又は機械学習分類方法で利用され得る。
【0014】
以下に考察される具体的な実施形態は、直接透過測定を含み、概して、既存のマンモグラフィーシステムと同様の幾何学的形状、構成要素、及びフォームファクタを有するシステムの実施形態の説明である。
【0015】
本明細書に例示され、説明され、考察される実施形態は、本発明の例示である。本発明のこれらの実施形態が例示を参照して説明されるように、説明される方法及び/又は特定の構造の様々な修正又は適応は、当業者に明らかになり得る。修正及び変形が、その趣旨及び意図された範囲から逸脱することなく、上記の教示によってカバーされ、添付の特許請求の範囲内にあることが理解されるであろう。本発明の教示に依存し、これらの教示が技術を進歩させた全てのそのような修正、適応、又は変形は、本発明の趣旨及び範囲内であるとみなされる。したがって、本発明が、例示される実施形態のみに限定されるものではないことが理解されるように、これらの説明及び図面は、限定的な意味で考慮されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本明細書に説明される空間分解体積X線散乱断層撮影マンモグラフィーシステムの実施形態の一般的な構成要素及びレイアウトの例示的な概略を図示する。
【
図2】本明細書に説明される空間分解体積X線散乱断層撮影マンモグラフィーの実施形態を実施するための例示的なプロセスフローチャートを図示する。
【
図3】本明細書に説明される一実施形態による、組織特性、この例では、がんとの疑わしい標的の一致を有する、測定された変調されたX線散乱データ、取得後再構成計算、及び散乱マンモグラムの提示の概略を図示し、組織特性を計算するために使用される再構成された散乱スペクトル次元の例示を含む。
【
図4A】本明細書に説明される一実施形態による、視野又はビーム形状を変更して、この例では、円錐形ビームを作成するための開口位置にあるコリメータを図示する。
【
図4B】本明細書に説明される一実施形態による、鉛筆形又は扇形ビームを生成する多段式コリメータを図示する。
【
図5A】本明細書に説明される一実施形態による、鉛筆形ビームのための符号化開口の概略例を図示する。
【
図5B】本明細書に説明される一実施形態による、扇形ビームのための符号化開口の概略例を図示する。
【
図6A】本明細書に説明される一実施形態による、ビームブロックが符号化開口から分離し、かつその後方にある、マンモグラフィーシステムの概略例を図示する。
【
図6B】本明細書に説明される一実施形態による、ビームブロックが符号化開口から分離し、かつその前方にある、マンモグラフィーシステムの概略例を図示する。
【
図6C】本明細書に説明される一実施形態による、ビームブロックが符号化開口内に組み込まれているX線システムを例示する。
【
図7A】本明細書に説明される一実施形態による、透過測定を実施し、乳房の透過マンモグラムにおける関心対象の領域を特定する、拡大モードにあるマンモグラフィーシステムを図示する。
【
図7B】本明細書に説明される一実施形態による、特定された関心対象の領域の散乱測定を実施し、組織特性、この例では、関心対象の領域ががん性組織を含むか否かの空間分解推定の指示を伴う散乱マンモグラムを生成する、拡大モードにあるマンモグラフィーシステムを図示する。
【
図8A】本明細書に説明される一実施形態による、回転符号化開口が折り畳まれた位置にあるマンモグラフィーシステムを図示する。
【
図8B】本明細書に説明される一実施形態による、回転符号化開口が展開された位置にあるマンモグラフィーシステムを図示する。
【
図9A】本明細書に説明される一実施形態による、アクティブ位置にある可動透過検出器を含むマンモグラフィーシステムの概略的な実施形態を図示する。
【
図9B】本明細書に説明される一実施形態による、非アクティブ位置にある可動透過検出器を含むマンモグラフィーシステムの概略的な実施形態を図示する。
【
図10A】本明細書に説明される一実施形態によるX線検出器アレイを図示する。
【
図10B】本明細書に説明される一実施形態による、直線配向にある複数のX線検出器を含むX線検出器アレイを図示する。
【
図10C】本明細書に説明される一実施形態による、湾曲配向にある複数のX線検出器を含むX線検出器アレイを図示する。
【
図10D】本明細書に説明される一実施形態による、離隔配向にある複数のX線検出器を含むX線検出器アレイを図示する。
【
図11】本明細書に説明される一実施形態による、X線散乱測定を実施するために使用される第2のX線源を含むマンモグラフィーシステムの概略図を図示し、第2のX線源は、拡大及び非拡大マンモグラム検査中のX線散乱測定のために配向され得る。
【
図12A】本明細書に説明される一実施形態による、別個のX線検出器を使用したX線透過測定及びX線散乱測定のためのX線源を含む透過モードで動作するマンモグラフィーシステムの概略図を図示する。
【
図12B】本明細書に説明される一実施形態による、別個のX線検出器を使用したX線透過測定及びX線散乱測定のためのX線源を含む散乱モードで動作するマンモグラフィーシステムの概略図を図示する。
【
図13】本明細書に説明される一実施形態による、取り外し可能な符号化開口を有するマンモグラフィーシステムの概略図を図示する。
【
図14】本明細書に説明される一実施形態による、拡大スペーサプラットフォームに固定された取り外し可能な符号化開口を有するマンモグラフィーシステムの概略図を図示する。
【
図15】本明細書に説明される一実施形態による、散乱データが測定及び再構成される関心対象の領域を含む、X線透過データ及びX線散乱データから生成された空間分解散乱マンモグラム画像の概略図を図示し、異なる組織型に対応する示されたボクセルの再構成されたX線散乱スペクトルの例示を含む。
【
図16】本明細書に説明される一実施形態による、示されるハッチングスケールによって例示される、空間分解散乱再構成に基づいて着色される、散乱データが測定及び再構成される関心対象の領域を含む、X線透過データ及びX線散乱データから生成された空間分解散乱マンモグラム画像の概略を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の理解を促進する目的のために、好ましい実施形態を参照し、特定の文言が同じものを説明するために使用されることになる。それにもかかわらず、それによって本開示の範囲の限定は意図されず、本明細書に例示されるような本開示のそのような変更及び更なる修正は、本開示が関連する当業者に通常想定されるように企図されることが理解される。
【0018】
「a」及び「an」という冠詞は、冠詞の文法的目的語のうちの1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例として、「複合体(a composite)」は、少なくとも1つの複合体を意味し、1つ超の複合体を含み得る。
【0019】
本明細書全体を通して、「約」及び/又は「およそ」という用語は、数値及び/又は範囲と併せて使用され得る。「約」という用語は、列挙される値に近い値を意味すると理解される。例えば、「約40[単位]」は、40の+/-25%以内(例えば、30~50)、+/-20%、+/-15%、+/-10%、+/-9%、+/-8%、+/-7%、+/-6%、+/-5%、+/-4%、+/-3%、+/-2%、+/-1%以内、+/-1%未満、又はその中若しくはその下の任意の他の値若しくは値の範囲を意味し得る。更に、「約[値]未満」又は「約[値]超」という語句は、本明細書に提供される「約」という用語の定義を考慮して理解されるべきである。用語「約」及び「およそ」は、互換的に使用され得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、本明細書及び特許請求の範囲で使用される「備える」という動詞及びその活用形は、単語の後に続く項目が含まれるが、具体的に言及されない項目は除外されないことを意味するように、その非限定的な意味で使用される。
【0021】
本明細書全体を通して、「備える(comprising)」、又は「備える(comprises)」若しくは「備える(comprising)」などの変形は、記載された要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群を包含することを意味するが、任意の他の要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群を除外することを意味するものではないことが理解されるであろう。本開示は、適切には、特許請求の範囲に説明されるステップ、要素、及び/又は試薬を「含む」、「からなる」、又は「本質的になる」ことができる。
【0022】
特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように記載され得ることに更に留意されたい。したがって、この宣言は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して、「専ら」、「のみ」などの排他的用語を使用すること、又は「否定的な」限定を使用することの先行的な根拠として機能することが意図される。
【0023】
本明細書の説明では、測定された散乱信号及び再構成された空間分解散乱スペクトルは、「X線散乱」に関するものとして参照されるが、X線散乱フィールドは、一般に、レイリー及びコンプトン散乱の両方から構成されることになる。測定された散乱信号及び再構成された空間分解散乱スペクトル並びに同様の用語の使用、特に「回折」という用語の使用は、本発明を、別の物理的プロセスではなく1つの物理的プロセスから生じる散乱に関連するものに限定することを意図しない。
【0024】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。好ましい方法、デバイス、及び材料が説明されるが、本明細書に説明されるものと同様又は同等の任意の方法及び材料も、本開示の実施又は試験に使用することができる。本明細書で引用される全ての参照文献は、参照によってその全体が組み込まれる。
【0025】
本明細書に説明される主題は、一般に、マンモグラフィー、より具体的には、患者の照射された乳房からの散乱したX線の放射線を変調するために符号化開口を使用するマンモグラフィーシステムを対象とする。より具体的には、本明細書に説明される主題は、乳房の空間分解体積X線散乱断層撮影スペクトル再構成を推定するために、乳房からの変調された散乱したX線の放射線を測定するマンモグラフィーシステムを対象とする。空間分解体積X線散乱断層撮影は、各画素又はボクセルが空間分解散乱測定であるデータの追加の次元を含むように、断層撮影画像全体を通したX線散乱スペクトルの測定として本明細書で定義される。この断層撮影画像は、X線散乱測定を実施することによって得られる。X線散乱測定は、組織からのX線散乱を検出することと、X線散乱測定データを処理して、組織内からの散乱したX線角度及び原点を局在化することと、を含む。そのようなマンモグラフィーシステムは、空間分解体積X線散乱スペクトル再構成に反映されるように、細胞レベルで患者の体内の空間分解構造的差異を測定するように設計される。
【0026】
既存のX線マンモグラフィーシステムは、X線を生成するX線源と、患者の組織を通過した後にX線を捕捉するX線検出器と、を備える。このようにして、既存のX線マンモグラフィーシステムは、透過モードで動作し、透過、すなわち、X線濃度のマンモグラム画像を生成するために使用されるX線透過測定を実施する。X線濃度の強度スケールは、組織を透過したX線の量に基づく。組織を通って透過したX線の測定は、X線透過測定を表す。X線濃度マンモグラム画像は、2次元又は3次元であり得、3次元マンモグラム画像は、組織の複数の視点からのX線透過測定から断層撮影的に再構成される。臨床医は、組織で観察される特徴の形状及び放射線濃度に基づいて、X線濃度マンモグラムを評価する。脂肪組織は、他の型の乳房組織よりも密度が低いが、がん性組織は、健常な腺組織又は良性腫瘤と同様の密度を有し得る。組織における石灰化は、脂肪、腺、及びがん性組織、並びに線維腫よりも高密度であるが、がん性組織の存在の決定的な指標ではない。したがって、一般に、がん性組織は、X線濃度マンモグラムにおいて、健常な組織と明確に区別されることができない。
【0027】
ビーム発散は、X線ビームの面積が広くなり、X線源からの距離が遠いほど強度が低くなることをもたらす。これは、放射線撮影されている物体のある程度の拡大を更に引き起こす。透過X線撮像の基本原理は、X線が直線で移動することである。しかしながら、X線散乱事象が患者に生じるとき、結果として生じる散乱したX線は、元の一次X線ビームの軌道と整列されない。既存の透過マンモグラフィーシステムでは、X線検出器によって検出された散乱した放射線が、画像劣化の有意な原因となり得る。散乱した放射線は、それが検出される画像の領域内の発生源からの直線経路に沿った組織の放射線濃度を示すものではない、望ましくない画像強度を生成し、これは、コントラストを著しく低減し得る。コントラストは、ウィンドウ、レベリング、又は他の調整スキームによってデジタル放射線濃度画像で増加させられ得るため、デジタル放射線撮影画像の場合、散乱は、主にノイズの発生源として機能し、信号対ノイズ比(SNR)を劣化させる。
【0028】
したがって、透過マンモグラフィーでは、典型的には、X線検出器に到達する散乱放射線の量を制御して、高品質画像を作成することが重要である。散乱放射線は、画像への望ましくない露光を引き起こす。散乱放射線によって透過マンモグラムで生成される望ましくない画像強度に対処するために、散乱線除去グリッドは、患者から出る散乱放射線を吸収し、画像検出器に到達する散乱の量を低減するために使用される。散乱線除去グリッドは、検出器の近くに配置された構成要素であり、X線源由来ではないX線を角度的に除去するように設計されている。散乱線除去グリッドは、透過測定において、ノイズ又は画像劣化の発生源である散乱したX線の多くをブロックする。対照的に、体積X線回折撮像の場合、これらの散乱したX線は、測定される必要がある所望の信号源である。これらの測定では、散乱線除去グリッドがシステムから除去される。符号化開口構成要素は、乳房と検出器との間に位置付けられるが、散乱線除去グリッドのように検出器に対して直接的には位置付けられない。符号化開口は、散乱したX線の一部を吸収し、他のX線を検出器に通過させる。散乱したX線の一部の吸収は、アルゴリズム(例えば、最尤推定)が恩恵を受ける測定された散乱データ内に固有の影を生成し、体積X線回折画像のX線散乱スペクトルを生成する散乱したX線起点及び散乱した角度の計算を可能にする。
【0029】
ビーム修正及び/又は制限デバイスに加えて、キロ電圧ピーク(kVp)及び照射される組織の体積という2つの主要な要因が、患者の組織から出る散乱放射線の量及びエネルギーに影響する。組織の体積は、関心対象の領域の厚さ、オペレータが検査することに関心がある患者内の部分領域、及びX線ビームフィールドサイズに依存する。照射される組織の体積を増加させることは、散乱生成の増加をもたらす。加えて、より高いkVpを使用することは、X線透過を増加させ、その全体的な吸収(光電相互作用)を低減するが、より高いkVpは、光子相互作用(例えば、コンプトン相互作用、トムソン散乱)のパーセンテージ及び患者から出る散乱放射のエネルギーを増加させる。より高いkVpを使用するか、又は照射される組織の体積を増加させることは、画像検出器に到達する散乱放射の増加をもたらす。
【0030】
マンモグラフィーを実施している間、1つの目標は、ビームフィールドサイズを関心対象のエリアに限定することである。フィールドサイズを限定するために、X線ビームは、患者の曝露を限定し、生成される散乱放射線の量を低減するように制限される。例えば、制限されていないビームは、画像検出器の境界を越えて突出し、患者の被ばくを増加させる。コリメーションを増加させることは、照射される組織の体積、生成される散乱放射線の量、患者に当たる光子の数、及び潜像を生成するために画像検出器に到達するX線光子の数を減少させる。したがって、散乱放射線を限定することによって放射線濃度マンモグラフィー画像を改善するために、マンモグラフィーシステムは、制御可能なビーム修正及び/又は制限デバイス及び/又は構成要素を含むべきである。本発明によるX線散乱測定の場合、コリメーションを介して照射された組織の関心対象の領域を制御することは、組織の疑わしくない領域からの散乱を少なく測定することを可能にするため、全散乱した放射線フィールドの総強度は減少するが、一方で、測定された散乱信号全体における組織の疑わしくない領域からの散乱の多重化が少なくなり、患者への総放射線量が少ない、より有用な散乱信号を測定することを可能にする。
【0031】
上述の問題に対処するために、一実施形態では、本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムは、X線源(X線発生器)、X線管、コリメータ、少なくとも1つの圧縮プレート、散乱線除去グリッド、符号化開口、及び画像検出器を含む。X線源は、X線管によって必要とされる電気エネルギーを送達、変調、及び調整するために設計される。X線管は、電子を放出、加速、及び減速してX線を生成するように設計されている。電極(カソード及びアノード)間に印加される電圧は、電子を加速する。アノード材料は、放射線の特性を決定する。X線源及びX線管は、放射線収率、露光時間、及び画像品質に影響する。コリメータは、X線ビームの形状及びそれに続く照射された組織体積を制御する。圧縮プレートは、患者の関心対象の領域の厚さ及び圧力を変更するために手動及び/又は自動で調整可能である。有利には、透過測定のために、適切な圧縮は、より少ない放射線散乱、より少ないビーム硬化に起因する改善されたコントラスト、低減された放射線量、動きのぼやけの防止、より良好な画像形状、及びより良好な組織分離をもたらす。
【0032】
一実施形態では、マンモグラフィーシステムは、一次X線ビームの光子スペクトルを修正し、放射線品質を最適化するために、X線ビーム経路内に配置された補助フィルタを含む。例えば、限定なしで、フィルタ材料は、限定されるものではないが、モリブデン、ロジウム、銅、及びアルミニウムを含む。別の実施形態では、コリメータは、放射線撮影のコントラストを増加させながら、患者の線量、散乱放射線、及び受像器への曝露を減少させるように設計される。
【0033】
マンモグラフィーシステムのそのような実施形態の一般的な描写が
図1に示される。
図1は、インビボ乳房組織のX線透過測定及びX線散乱測定のための一般的な構成要素及びレイアウトの概略を図示する。マンモグラフィーシステム100は、患者の乳房105を照射するためのX線ビーム102を生成するための可動X線源101を備える。X線源101は、露光時間、電流、電圧、又はフィルタリングを含み得る少なくとも1つの動作パラメータに基づいて調整可能であり得る。マンモグラフィーシステム100は、X線源と患者の乳房との間に位置付けられた少なくとも1つの寸法を構成可能である開口部を有するコリメータ103を更に備え、一次X線ビーム102の形状及び照明された組織体積を制御する。マンモグラフィーシステム100は、患者の乳房105を位置付けるための複数の乳房プレート104を更に備える。マンモグラフィーシステム100は、符号化開口106を更に備える。符号化開口106は、患者の乳房105とX線検出器アレイ108との間に位置付けられる。一実施形態では、符号化開口106は、乳房プレート104に統合され得る。符号化開口106は、X線検出器アレイ108によって検出された患者の乳房105からの散乱したX線の放射線を変調するように構成されている。X線検出器アレイ108は、複数のX線検出要素を備える。X線検出器アレイ108は、少なくとも2つの次元で移動可能であり、X線ビーム102からのX線の放射線を測定するために測定場所に位置付けるように構成可能である。マンモグラフィーシステム100は、X線ビームブロック107を更に含み得る。ビームブロック107は、移動可能であり得る。ビームブロック107は、X線ビーム102の経路内で患者の乳房105とX線検出器アレイ108との間に位置付けられ得る。一実施形態では、ビームブロック107は、符号化開口106に統合され得る。移動可能及び移動は、ここでは、物理的空間内で移動する構成要素として定義されるだけでなく、構成要素に対して患者を移動させることによっても達成され得ることに留意されたい(例えば、システムを静止させたまま、3D空間内で患者を移動させ得るプラットフォーム又はベッド上の動き)。
【0034】
マンモグラフィーシステム100は、X線透過測定及びX線散乱測定を別々に実施し、X線透過測定対X線散乱測定で異なる構成を使用する。より具体的には、マンモグラフィーシステム100は、以下により詳細に説明されるように、既存のデジタルマンモグラフィー方法に典型的である2次元(2D)又は3次元(3D)透過マンモグラムを生成するために、データ処理を伴って初期X線透過測定又はX線透過測定のセットを実施し、続いて、空間分解X線散乱スペクトル再構成及びX線散乱測定における照射される組織体積の組織型の関連する推定を計算するために、後続のX線散乱測定又はX線散乱測定のセットを実施する。空間分解X線散乱スペクトル再構成は、再構成アルゴリズム(例えば、最尤推定)によって再構成(又は計算)されるように、各空間場所内にX線散乱スペクトルを含む多次元データ又は画像として本明細書で定義される。有利には、マンモグラフィーシステム100は、X線散乱測定及び組織型分析を実施するために、透過マンモグラムの関心対象の領域を特定し、これは、患者への放射線量を最小限に抑え、総測定及び分析プロセスの速度を改善し、乳房全体の散乱測定を実施する方法と比較して、臨床医による方法の採用を容易にする。代替的に、又は追加的に、マンモグラフィーシステム100は、ユーザインターフェースを介して関心対象の領域の選択を受信し得る。透過マンモグラムデータはまた、組織を分類するために、ピクセル又はボクセル散乱スペクトルの再構成された推定と併せて使用され得る。
【0035】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムは、散乱したX線の強度が開口パターンに基づいて変調されるように、散乱したX線が符号化開口を通過するように設計される。これは、散乱データ内の影の異なる倍率及び投影をもたらす。空間依存強度変調に加えて、異なる組織型は、異なる散乱シグネチャを有する。マンモグラフィーシステムは、全ての照射された組織点を同時に測定し得る。未加工の変調された散乱データは、全ての照射された組織点から合計される。測定された散乱データは、処理され得る(例えば、バックグラウンド減算又はフーリエフィルタリング)。マンモグラフィーシステムは、オブジェクト空間のX線散乱スペクトルを再構成し、選択された物体の次元の数に、散乱データについての追加の次元が存在する。これは、3つの空間次元及び第4の散乱次元を有する再構成を含み得る。そのような例では、再構成は、いくつかの文脈でトクセル(toxel)と呼ばれる4D画素から構成されることになる。例として、非限定的に、線形方程式のシステムを使用して、マンモグラフィーシステムは、散乱データの画素化された強度全体をベクトル化することによって、物体空間のX線スペクトルデータを再構成し、次いで、再構成された空間分解物体空間スペクトルマップ全体をベクトル化する。次に、マンモグラフィーシステムは、物体ベクトルから測定ベクトルへの散乱X線の順投影を表す前方行列を作成する。一例として、検出された散乱強度ベクトルは、XRDマップベクトルを乗算した前方行列に等しい。前方行列は、物体空間内の各点及び検出器空間内の各点に対する減衰特性及び場所を有する符号化開口の空間モデルを含み得る。マンモグラフィーシステムは、測定された検出器空間及びXRDマップシステムのモデルを使用して物体空間を推定するための少なくとも1つのアルゴリズムを更に含み得る。符号化開口は、乳房組織内の場所に基づいてX線信号の区別を可能にして、各ボクセル内のXRDスペクトルを正確に推定し、トキセルマップを生成する。
【0036】
図2は、本明細書に説明される空間分解体積X線散乱断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の実施形態についての例示的なプロセスフローチャートを図示する。方法200では、標準マンモグラム(すなわち、X線透過測定)が最初に実施され(201)、乳房の2次元(2D)又は3次元(3D)放射線濃度マンモグラム画像を生成する。次に、方法200では、関心対象の領域は、ユーザインターフェースを介してユーザによって選択される(202)。次に、方法200では、制御システムは、マンモグラフィーシステム203に、識別された関心対象の領域204のX線散乱測定を構成する。マンモグラフィーシステム203を構成するために、制御システムは、符号化開口を用いて、指定された関心対象の領域からの散乱したX線の放射線を変調し、X線検出器アレイを用いて、変調された散乱を測定するために、構成要素を移動させるか、又は測定パラメータを変更するやり方を計算する。いくつかの実施形態では、この計算は、患者への放射線量を最小限に抑えるか、又は測定される測定されたX線散乱データの信号対ノイズなどの品質を改善するように構成を最適化することを伴う。次に、制御システムは、構成要素を移動させるか、又は測定パラメータを変更することによって構成を規定し、識別された関心対象の領域204のX線散乱測定を実施する。例えば、非限定的に、X線散乱測定は、符号化開口を使用して散乱を調整することを含むため、マンモグラフィーシステムは、他の構成要素を正しい相対位置に移動させるように動作可能である。例えば、コリメータは、ビームサイズ及び形状を修正し得、発生源は、関心対象の領域を標的化するように移動され得る。X線散乱測定204の後、再構成及び分類アルゴリズムは、収集された散乱データ205上で動作して、推定される組織特性を提供し、例は、悪性組織206の可能性であり、空間分解散乱マンモグラム画像206を生成する。ここでの空間分解散乱マンモグラム画像は、散乱測定から提供される追加のデータを含む透過マンモグラム画像(例えば、2D、3D)を意味し得ることに留意されたい。これは、関心対象の領域における、乳房全体を通した散乱測定からのデータを示すこと、又は非空間的様式で表される要約指標(例えば、乳房全体における二値のがん/がんではない、がんの最大確率)を示すことと同じ程度の複雑さであり得る。
【0037】
例えば、非限定的に、一実施形態では、X線源は、X線散乱測定を実施し、マンモグラフィーシステムのユーザ及び/又はソフトウェアによってフラグ付けされた関心対象の領域のデータを取得するために、鉛筆形ビームを生成するように構成されている。マンモグラフィーシステムは、乳房の視点を変更し、組織を通るより短いビームを提供し、ビームが通過する組織の型を変化させ(例えば、ビーム経路内の腺組織の量を最小限に抑える)、概略的に、関心対象の領域を標的化するために、X線源が移動され得ることを決定する。X線ビームが通過する組織の量を減少させることは、散乱X線信号の減衰が少なくなり、したがって、測定された散乱データの同じ信号対雑音品質に必要な放射線量が少なくなることをもたらすことになる。追加的に、コリメータは、ビーム経路を最小化するために、X線源から関心対象の領域を通って鉛筆形ビームを移動させるように調整可能である。マンモグラフィーシステムは、ビームブロックを移動させて、それにより、直接X線ビームが検出器に到達するのを遮断し得る。検出器及び/又は符号化開口は、X線散乱測定を最適化する(例えば、より短い時間でより多くの信号又は散乱放射線フィールドのより関連する領域を捕捉する)ために移動され得る。マンモグラフィーシステムは、X線露光時間、電流の量、及び/又は電圧を更に調整して、線量及び測定信号対雑音比を最適化し得る。
【0038】
図3は、組織情報、この例では、疑わしい標的のがんとの一致をシステムオペレータに提示するために、測定された散乱データに対して行われた取得後プロセスの概略を図示する。オペレータのための情報への変調された散乱データの変換を実証するために、
図3は、「測定されたデータ」パネル301が、符号化開口に起因する空間的に変化する強度変調を伴う例示的な散乱データを与える概略を示す。再構成アルゴリズム(例えば、最尤推定)は、各位置と関連付けられた散乱信号及び散乱スペクトルの空間原点が畳み込まれる測定された変調された散乱信号を逆多重化するために、測定シナリオの順モデル302とともに使用され得、それによって、空間分解X線散乱スペクトル情報の再構成を可能にする。「ユーザディスプレイ」パネル303は、情報がオペレータにどのように提示され得るかの例を示し、ウィンドウ304は、測定された散乱シグネチャ及び参照散乱シグネチャの概略、並びに測定されたシグネチャと参照がんシグネチャとの間のスコア又は一致のインジケータとのがんの比較を示している。例えば、非限定的に、ボクセル内の再構成されたX線散乱スペクトルと組織型の基準スペクトルとの間のスコア又は一致は、2D若しくは3D透過マンモグラム画像の着色、マッチ若しくはスコア値を有するテキストボックスを画像上にオーバーレイすること、マッチ若しくはスコア値が閾値を上回っていることを示すテキストボックスを画像上にオーバーレイすること、関心対象の領域を良性対がんとしてバイナリフラグ付けすること、及び/又は関心対象の領域上のユーザに通知する各画素若しくはボクセルに対する値の連続体(例えば、がん性組織の参照X線散乱スペクトルとの相関)を提供することによって、ユーザに提供され得る。例えば、非限定的に、マンモグラフィーシステムは、指標又はスコア(例えば、ボクセル及び/又はボクセルの領域についてのがんの可能性の推定されるパーセンテージ)を表示し得る。
【0039】
システムのこれらの同様の実施形態における構成要素のいくつかの特定の特徴は、
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図6A、
図6B、及び
図6Cに示される。
図4A及び
図4Bは、コリメーション402を開くこと、又はビーム404を整形するコリメータの数及び場所を変化させることによって、コリメーション及びその後の照射された組織の体積がX線源ヘッド400内でどのように変化し得るかを図示する。
図4Aは、X線焦点401が開いたコリメーションに起因して円錐形ビーム403を生成することを示す。
図4Bは、X線焦点が、402及び404の多段コリメーションに起因して、鉛筆形又は扇形ビーム405をどのように生成するかを例示する。組織の照射された体積を制御するこの能力は、以下に考察される方法の特定の実施形態の間で共通である。例えば、非限定的に、コリメータは、疑わしい関心対象の領域を標的化するために鉛筆形ビームに切り替えるために使用され得る。これは、開いたコリメーションと比較して照射された組織の体積を低減し、これは、患者への放射線量を減少させ、X線散乱データにおける多重化の全体的なレベルを低減させることによって、X線散乱データの処理及び再構成を簡素化することになる。
【0040】
図5A~
図5Bは、本明細書に説明された実施形態で使用され得る2つの例示的な符号化開口を示す。
図5Aの符号化開口501は、一次鉛筆形ビームが相互作用することなく通過することを可能にする中央開口部502を有する。
図5Bは、一次扇形ビームが通過するための中央スリット504を含む符号化開口503を示す。この概念は、X線散乱測定中に使用される場合、円錐形ビームのためのより大きい中央開口部を有することによって拡張され得る。開口内に開口部を有する実施形態は、ビームブロックが符号化開口の後に位置付けられる場合に利用されることになるが、一方で、これらの開口部は、代わりに、代替的な実施形態では、開口に組み込まれたビームブロックと置換され得る。
【0041】
図6A~
図6Cは、ビームブロック608が以下に説明されるマンモグラフィーシステム600の実施形態でどのように実装され得るかを示す。
図6A~
図6Cには、X線源601、一次X線ビーム602、コリメータ603、乳房プレート604、患者の乳房内の関心対象の組織領域605、散乱したX線606、符号化開口607、一次ビームブロック608、及び検出器609が示されている。X線散乱測定のためのビームブロックの有用性は、当業者に既知である。ビームブロックは、
図6A及び
図6Bに示されるように、組織の場所に対して、符号化開口から分離されてもよく、又は符号化開口の前方又は後方に位置してもよく、又は
図6Cに示されるように、符号化開口に組み込まれてもよい。ビームブロック実装のそのような選択は、とりわけ、既存の透過マンモグラフィーシステムのフォームファクタへのビームブロックの統合の容易さと、測定された散乱データの品質(すなわち、符号化開口又は他の構成要素からの過剰な寄生散乱信号を低減するために)との間のトレードオフを考慮することによって行われることになる。同様のビームブロック構成を有するマンモグラフィーシステムの実施形態はまた、特に、発生源及びコリメータが、乳房組織の特定の部分領域を照明するために移動又は変化させられ得る実施形態では、これらのビームブロック構成のうちのいずれかを並進又は回転させる能力も有し得る。
【0042】
関心対象の領域の第1の透過測定及び第2の散乱測定の実証、又は透過測定と散乱測定との間の切り替えを容易にするマンモグラフィーシステムの実施形態が
図7A及び
図7Bに示される。
図7A及び
図7Bに示されるマンモグラフィーシステム700について、X線源701、X線円錐形ビーム702、コリメータ703、乳房プレート704、患者の乳房内の関心対象の組織領域705、符号化開口706、一次ビームブロック707、検出器708、構成要素装着/回転システム709、取得された結果のためのディスプレイ710、X線散乱測定のためのX線ビーム711、及び散乱したX線712が存在する。
図7Aは、拡大モードにおけるマンモグラフィーシステムの実施形態を示しており、乳房は、標準モード又は非拡大モードで測定するときよりも、検出器708から更に離れた距離に乳房プレート704とともに位置付けられる。非拡大透過モードで使用するために検出器を覆う散乱線除去グリッドを有するシステムの一実施形態では、散乱線除去グリッドは、後退する。
図7Bは、コリメータ703がバックグラウンド散乱を減少させるためにビーム経路内に移動している状態の、円錐形ビームを鉛筆形又は扇形ビームに整形するX線源ヘッド内のコリメーションを示す。鉛筆形又は扇形ビームは、乳房組織705の疑わしい領域を照明する。可動符号化開口706はまた、検出器の前方において、検出器に到達する散乱したX線の放射線の強度を変調するように構成され、可動ビームブロック707はまた、X線散乱測定に使用される鉛筆形又は扇形ビームの経路内に構成される。オペレータからのフィードバックとして提供される関心対象の組織領域は、制御ソフトウェアによってコリメータ及びビームブロックの場所に変換されて、第2の測定では、疑わしい領域のみのX線散乱が記録されることを可能にする。代替的に、関心対象の組織領域は、オペレータからのフィードバックなしで、制御ソフトウェアによって自動的にフラグ付けされ得る。次いで、散乱データを処理するための方法の残りの部分は、既に説明されたように進み、指定された体積のX線散乱スペクトルを再構成し、指定された部分領域710におけるがんの可能性の空間分解推定をオペレータに提供する。この実施形態は、全体積透過測定及び全体積回折測定の両方を行うことと比較して、患者によって受容される線量を最小限に抑えるが、オペレータが指定した部分領域を伴わない全体積回折測定も同様に行われ得る。
【0043】
マンモグラフィーシステムの
図7A及び
図7Bに示されるものと同様の実施形態が
図8A及び
図8Bに示され、並進とは対照的に、X線散乱測定のために所定の位置に回転する符号化開口806を含み、既存の透過ベースのマンモグラフィーユニットのフォームファクタに統合することがより容易であり得る。
図8A及び
図8Bに示されるマンモグラフィーシステム800について、X線源801、X線円錐形ビーム802、コリメータ803、乳房プレート804、患者の乳房内の関心対象の組織領域805、符号化開口806、一次ビームブロック807、検出器808、構成要素装着/回転システム809、取得された結果のためのディスプレイ810、X線散乱測定のためのX線ビーム811、及び散乱したX線812が存在する。
【0044】
別の同様の実施形態は、透過及び回折測定のための別個の検出器を含み、
図9A及び
図9Bに示される。
図9A及び
図9Bに示されるマンモグラフィーシステム900について、X線源901、X線円錐形ビーム902、コリメータ903、乳房プレート904、患者の乳房内の関心対象の組織領域905、X線透過検出器906、符号化開口907、一次ビームブロック908、X線散乱検出器909、構成要素装着/回転システム910、取得された結果のためのディスプレイ911、X線散乱測定のためのX線ビーム912、及び散乱したX線913が存在する。この場合、透過測定が行われると、透過検出器906は、符号化開口907、散乱検出器909、及びビームブロック908を表出させるように、透過検出器906が並進又は回転するが、一方で、構成要素は、
図7A、
図7B、
図8A、及び
図8Bの実施形態と同じ方式で、ユーザ選択された領域の鉛筆形又は扇形ビームを画定するために移動する。
【0045】
先行する段落に説明され、
図7A~
図9Cに示されるマンモグラフィーシステムの実施形態は、既存のマンモグラフィーシステムのフォームファクタに最も容易に実装され得るものの非網羅的な例である。
図10A~
図10Dは、そのクラスの実施形態内の同様のマンモグラフィーシステムのためのより具体的なX線検出器配置を実証し、単一のX線検出器、複数のX線検出器、様々な場所及び/又は様々な配向に複数のX線検出器を有する配置(画素の3D配置を効果的に行う)、並びにいくつかの測定モード固有の検出器(例えば、複数の検出器、そのうちのいくつかはX線散乱測定のためだけのものである)を有する配置を含む。
図10A~
図10Dでは、一次X線検出器1001は、それ自体で使用され得るか、又は様々な構成で任意の数の追加のX線検出器(ここでは、1002及び1003)と組み合わせて使用され得る。
【0046】
マンモグラフィーシステムの別の実施形態が
図11に示される。
図11に示されるマンモグラフィーシステム1100について、透過X線源1101、X線円錐形ビーム1102、乳房圧縮パドル1103、患者の乳房内の関心対象の組織領域1104、X線透過検出器1105、散乱X線源1106、鉛筆形/扇形ビーム1107、コリメータ1108、X線散乱器1109、符号化開口1110、一次ビームブロック1111、及びX線散乱検出器1112が存在する。この実施形態では、透過測定1105を実施するためのものと、X線散乱測定1112を実施するためのものと、の2つの発生源が存在する。この実施形態では、X線散乱測定1106に使用される発生源は、付随するコリメータ1108、符号化開口1110、ビームブロック1111、及び検出器1112とともに、回転して、ユーザ指定された部分領域又は全体積であり得る同じ関心対象の領域の複数の視点の両方を可能にし得る。そのようなマンモグラフィーシステムを使用する方法の実施形態は、所与の指定された部分領域に対する幾何学的形状の最適化を可能にすること、例えば、小角度前方散乱レジームにおいて疑わしい塊から乳房の外部までの経路長を短縮して、乳房組織内の散乱信号の自己減衰を低減すること、患者に対する線量を最小化すること、又は検出器カバレッジ若しくは距離と符号化開口及び検出器への予想される散乱の相対的配向とに基づいて、予想される散乱再構成品質を改善することなどの利点を提供する。
【0047】
X線散乱測定(複数可)のための乳房組織上の様々な視点を可能にするマンモグラフィーシステムの別の実施形態が、
図12A及び
図12Bに示される。
図12A及び
図12Bに示されるマンモグラフィーシステム1200について、X線源1201、X線円錐形ビーム1202、乳房圧縮パドル1203、患者の乳房内の関心対象の組織領域1204、X線透過検出器1205、コリメータ1206、符号化開口1207、一次ビームブロック1208、X線散乱検出器1209、鉛筆形/扇形ビーム1210、及びX線散乱器1211が存在する。この実施形態では、X線散乱測定のための第2のX線源を有する代わりに、X線透過測定1201に使用される発生源は、体積に関する著しく異なる視点を提供する位置に回転し得、
図11に示される実施形態からの散乱源の目的を効果的に果たす。この実施形態は、より少ないX線源を有することによってシステムの信頼性を高めながら、構成要素及び保守コストを低減するのに有利であり、これは、典型的には、X線システムにおいて最も短い寿命及び最も可能性の高い故障点を有する構成要素である。
【0048】
図13は、
図7に図示されるマンモグラフィーシステムと同様の取り外し可能な符号化開口を有するマンモグラフィーシステムを図示する。符号化開口は、X線散乱測定のために、患者の乳房とX線検出器との間に取り付けられる。
図13に示されるシステム1300について、示されていないX線ビームを有するX線源1301、コリメータ1302、乳房圧縮パドル1303、患者の乳房内の関心対象の組織領域1304、デバイス構成要素を介してデバイスに取り付く(例えば、クリップする)ための機構1306を有する符号化開口1305、X線検出器1307、及びシステムの本体1308が存在する。別の同様の実施形態は、符号化開口を検出器上にある拡大スペーサテーブルに組み合わせることを含む。
図14に示されるシステム1400について、図示されていないX線ビームを有するX線源1401、コリメータ1402、上部乳房圧縮パドル1403、患者の乳房内の関心対象の組織領域1404、X線検出器に静止又は係止する拡大スペーサテーブル1405、拡大スペーサテーブルと一時的又は恒久的に組み合わせられる符号化開口1406、X線検出器1407、及びシステムの本体1408が存在する。この実施形態は、患者の乳房が位置付けられているプラットフォームの上部とX線検出器との間でプラットフォームに取り付けられたか又は組み込まれた符号化開口を有する、検出器上にある隆起したプラットフォームを利用する、拡大モード撮像のための代替的な方法を反映する。
【0049】
図15は、X線散乱スペクトル再構成の一部分の例示的な表現を提示する。
図15には、透過データから生成された2D又は3DのX線濃度マンモグラム画像1501、破線の間にマークされたX線散乱測定が行われる領域1502、並びに脂肪、がん、及び腺組織を区別するために使用され得る任意の関心対象の組織領域1503について確認され得る回折測定が示されている。空間分解再構成X線散乱スペクトル1503は、組織区別のための追加のコントラストを提供する。技術者又は臨床医などによるシステムの典型的な動作では、再構成されたX線散乱スペクトルは、オペレータによってアクセス可能ではないが、このデータは、
図3に示されるように、健常な組織型又はがん性組織型を含む特定の組織型の参照スペクトルとの一致率などの、技術者又は臨床医にとって有用な視覚化を生成するために使用されることになる。
【0050】
X線透過測定から生成された標準的なX線濃度マンモグラムに臨床的に関連する視覚的コントラストを追加するためにX線散乱再構成を使用するための別のアプローチが、
図16に示されている。
図16では、2D又は3D標準マンモグラム画像1601、破線の間にマークされたX線散乱測定が行われる領域1602、及び異なるハッチングパターンとして表されたカラースケール1603が示されている。カラースペクトルは、X線散乱スペクトル再構成に基づいて生成されることになる。具体的な例は、より低い平均散乱角を有するX線散乱測定の領域1604、より高い平均散乱角を有するX線散乱測定の領域1605、及び中間平均散乱角を有するX線散乱測定の領域1606に対する、青色、黄色、及び赤色などの色の間で遷移することであり、
図16には、それぞれ、水平、垂直及び水平の両方、並びに垂直ハッチングパターンのみによってそれぞれ表されており、より低い、より高い、又は中程度の平均散乱角の決定は、特定の健常な組織型又はがん性組織型の参照スペクトルにおける支配的な特徴又はピークと相関する。他の実施形態は、X線散乱スペクトル再構成からの他の計算された値を利用して、組織型間の追加のコントラストを追加するカラーマップを生成し得る。
【0051】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムは、制御可能な電子機器を更に含む。一実施形態では、マンモグラフィーデバイスは、プロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を有するシステムメモリ、I2Cセンサ、メモリをプロセッサに結合するシステムバスなどの構成要素を含む。プロセッサは、マンモグラフィーシステムの全体的な動作を管理する。プロセッサは、プログラム命令を処理することができる任意のコントローラ、マイクロコントローラ、又はマイクロプロセッサである。一実施形態では、制御電子機器は、マンモグラフィーシステムが少なくとも1つの遠隔デバイスに情報を送信すること、及び/又は少なくとも1つの遠隔デバイスから情報を受信することを可能にする、少なくとも1つのアンテナを含む。少なくとも1つのアンテナは、限定されるものではないが、無線周波数(RF)、Wi-Fi、Bluetooth、Zigbee、近距離無線通信(NFC)、3G、4G、及び/若しくは5Gセルラー、又は他の同様の通信方法を含む、標準ベース又は非標準ベースの無線通信を提供する。
【0052】
更なる例として、プロセッサは、汎用マイクロプロセッサ(例えば、中央処理(CPU))、グラフィックス処理ユニット(GPU)、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、コントローラ、状態機械、ゲート若しくはトランジスタ論理、別個のハードウェア構成要素、又は計算、実行のためのプロセス命令、及び/若しくは他の情報操作を実施し得る任意の他の好適なエンティティ若しくは組み合わせであり得る。
【0053】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムは、画像データを分析して、X線ビームを修正するかどうか、及びマンモグラフィーデバイスの構成要素の位置付けを決定するように動作可能である。例えば、非限定的に、少なくとも1つのプロセッサは、初期X線ビーム(複数可)の断面形状、発散、及び空間範囲と、X線源(複数可)と乳房組織との間に位置する、乳房組織に到達するX線ビーム(複数可)のエネルギースペクトル及び放射照度を修正するための1つ以上のフィルタと、を制御するように設計されている。有利には、画像データが低品質を有することを少なくとも1つのプロセッサが検出した場合、少なくとも1つのプロセッサは、品質に基づいて形状、発散、空間範囲、及び/又は強度のうちの少なくとも1つを変更するコマンドをX線源に送信するように動作可能である。
【0054】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの更に別の利点は、画像データ(例えば、散乱データ)に基づいて組織を分類する能力である。変調された符号化開口を使用して、本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムは、患者の乳房に対応する画像データを受信し、乳房組織を分類するように動作可能である。
【0055】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムは、X線透過データを分析し、組織型(例えば、脂肪、正常、線維腺、がん)を決定し、供給される電力、システム効率、信号対雑音比、散乱角、運動量移行を最適化するように更に動作可能である。有利には、本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムは、透過画像データに基づいて健常な組織マージンを特定し、透過画像データに基づいて少なくとも1つの推奨を生成するように動作可能である。例えば、非限定的に、少なくとも1つの推奨は、除去されるべき関心対象の領域を特定することを含む。別の例は、信号対ノイズ比及び/又は受信された透過データが不十分である場合、符号化開口を修正及び/又は交換する推奨を含む。
【0056】
一実施形態では、本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムは、受信された画像データを分析して少なくとも1つの組織特性(例えば、組織分類)を決定するように設計された少なくとも1つのアルゴリズムを含む。例えば、非限定的に、少なくとも1つのアルゴリズムは、デブラーリングアルゴリズムを含む。更に別の実施形態では、少なくとも1つのアルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを含む。例えば、非限定的に、機械学習アルゴリズムは、教師あり学習アルゴリズム(例えば、分類)、半教師あり学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム、及び/又は強化学習アルゴリズムを含む。更に別の例では、機械学習アルゴリズムは、ナイーブベイズアルゴリズム、K平均クラスタリングアルゴリズム、サポートベクトルマシン(SVM)アルゴリズム、線形回帰アルゴリズム、ロジスティック回帰アルゴリズム、人工ニューラルネットワーク、決定木、ランダムフォレスト、K近傍アルゴリズム、勾配ブーストアルゴリズム、及び/又は次元削減アルゴリズムを含む。
【0057】
実装されたときに重要な利点を提供する、上記に説明されたマンモグラフィーシステム及び方法の実施形態のいくつかの共通点が存在する。そのような共通点の1つは、X線透過測定及びX線散乱測定の両方で使用される構成要素である。これは、総システムコストの低下、構成要素の故障の可能性の低下、及び全体的な測定時間の短縮の潜在性を可能にする。別の共通点は、重要な構成要素(例えば、X線源、コリメータ、符号化開口、及びX線検出器)が回転又は並進する能力である。これは、コストを潜在的に節約する、1つの測定モード(例えば、X線散乱測定又はX線透過測定)で使用され、他の測定モードで使用されない、又は両方の測定モードで使用される構成要素の特定の組み合わせ、X線源及び付随するX線散乱測定構成要素(例えば、鉛筆形又は扇形ビームコリメータ、符号化開口、ビームブロック、検出器)を指示して、患者の線量を低下させるか、又は再構成性能の測定を最適化するために使用され得る、組織の特定の部分領域を測定すること、性能を最適化するためにも使用され得るX線透過モード又はX線散乱モードのいずれかにおける多視点からの測定、既存の透過ベースのマンモグラフィーシステムに容易に統合される本明細書に説明されるシステムの実施形態の実装を可能にする。
【0058】
一般的な方法の潜在的な実施形態の更なる具体的な態様は、更なる利点を提供し得る。そのような仕様の1つは、透過及び散乱測定が同じ期間にわたって同期的に実施されることであり、これは、測定時間を短縮し、同じビームが散乱及び透過測定に同期的に使用された場合、患者への線量を潜在的に低減し得る。一般的なシステムの重要な構成要素は、当技術分野で訓練された人々に共通の知識であり、それらの実装において明らかな関連する利点を有するように変化し得る。これらのバリエーションとしては、限定されるものではないが、X線源の型の変形例(例えば、X線発生器対放射性同位体、発生器アノード材料、発生器焦点サイズ)、X線検出器の型の変形例(エネルギー積分、スタックされたマルチエネルギーチャネル、及びエネルギー弁別又は光子カウント)、符号化開口パターン型の変形例(例えば、周期、フレネルゾーンプレート、ランダム又は最適化されたランダム、均一冗長アレイ)、材料、又は厚さが挙げられる。複数の符号化開口はまた、組み合わせにおいて、又はそれら自体で、検出された散乱信号を変調するために使用され得、その選択は、測定条件を考慮して、例えば、組織のユーザ指定された部分領域からの散乱を測定することの幾何学的制約を考慮して、自動的に制御され得る。既存のマンモグラフィーシステムは、デジタル画素型エリアX線検出器を使用して、患者の乳房のX線透過画像を測定する。これらは、ヨウ化セシウムシンチレータを用いるものなどのシンチレータ検出器、又は非晶質セレンを用いるものなどの直接変換検出器を含む。これらの一般的に使用されるエネルギー積分X線透過検出器のうちの1つは、本発明にとって十分であろうが、エネルギー微分又は光子カウント検出器による散乱したX線の検出は、システムの改善された信号対ノイズ比、患者に対する線量低減、及び全体的な性能を提供し得る。散乱測定に関して、画素又は検出要素の湾曲又は千鳥状エリア構成を有する実施形態について当業者にも明らかな利点がある。
図9A、
図9B、
図11、
図12A、及び
図12Bは、複数の検出器を使用し、これらの異なる型のX線検出器が実装されることを可能にし得る実施形態を示すが、一方で、
図10は、複数の検出器(潜在的に変化する型の)が透過及び散乱したX線を検出するための一般的な領域に配向され得る例示的な配置を実証する。
【0059】
一実施形態では、空間分解体積X線散乱断層撮影マンモグラフィーシステムが開示される。マンモグラフィーシステムは、患者の乳房を照射するための一次X線ビームを生成するための可動X線源を含む。X線源は、露光時間、電流、電圧、又はフィルタリングを含む少なくとも1つの動作パラメータに基づいて調整可能である。マンモグラフィーシステムは、X線源と患者の乳房との間に位置付けられたコリメータを更に含む。コリメータは、一次X線ビームを整形するように少なくとも1つの寸法を構成可能である開口部を含む。マンモグラフィーシステムは、一次X線ビームの経路内に患者の乳房を位置付けるように動作可能な複数の可動乳房プレートを更に含む。マンモグラフィーシステムは、複数のX線検出要素を含むX線検出器アレイを更に含む。X線検出要素の少なくとも一部は、移動可能である。X線検出器アレイは、患者の乳房を通過する一次X線ビームの経路内の第1の測定場所に、X線源から遠位に少なくとも1つのX線検出要素を位置付けて、一次X線ビームからの透過したX線の放射線を測定するように構成可能である。X線検出器アレイは、患者の乳房を通過する一次X線ビームの経路外の第2の測定場所に、X線源から遠位に少なくとも1つのX線検出要素を位置付けて、一次X線ビームからの散乱したX線の放射線を測定するように構成可能である。マンモグラフィーシステムは、患者の乳房とX線検出器アレイとの間にX線源から遠位に位置付けられた符号化開口を更に含む。符号化開口は、X線検出器アレイによって検出された患者の乳房からの散乱したX線の放射線を変調するように構成されている。マンモグラフィーシステムは、X線散乱測定及びX線透過測定を実施するように構成可能である。X線散乱測定を実施するとき、X線検出器アレイは、少なくとも1つのX線検出要素が、患者の乳房を通過する一次X線ビームからの散乱したX線の放射線を検出するように、一次X線ビームの経路の外に位置付けられるように構成されている。X線透過測定を実施するとき、X線検出器アレイは、少なくとも1つのX線検出要素が、患者の乳房を透過したX線の放射線を検出するように、一次X線ビームの経路内に位置付けられるように構成されている。マンモグラフィーシステムは、メモリ及びプロセッサを備える制御システムを更に含む。マンモグラフィーシステムのプロセッサは、X線透過測定又はX線散乱測定のためにマンモグラフィーシステムを構成するように構成されている。マンモグラフィーシステムを構成することが、X線源の位置、X線検出器アレイの位置、コリメータの開口部の寸法、X線源の少なくとも1つの動作パラメータ、又は乳房プレートのうちの少なくとも1つの位置を含む、少なくとも1つの構成パラメータを制御することを含む。
【0060】
X線透過測定のために、マンモグラフィーシステムのプロセッサは、X線検出器アレイの複数のX線検出要素によって検出された透過したX線の放射線を表すX線透過データを受信するように更に構成されている。マンモグラフィーシステムのプロセッサは、受信されたX線透過データに基づいて、X線濃度マンモグラム画像を生成するように更に構成されている。マンモグラフィーシステムのプロセッサは、X線濃度マンモグラム画像に基づいて、患者の乳房内の関心対象の領域を特定するように更に構成されている。マンモグラフィーシステムのプロセッサは、患者の乳房の特定された関心対象の領域に基づいて、X線散乱測定のための少なくとも1つの散乱構成パラメータを決定するように更に構成されている。マンモグラフィーシステムのプロセッサは、決定された少なくとも1つの散乱構成パラメータに基づいて、X線散乱測定のためにマンモグラフィーシステムを構成するように更に構成されている。
【0061】
X線散乱測定のために、マンモグラフィーシステムのプロセッサは、X線検出器アレイの複数のX線検出要素によって検出された関心対象の領域に関する散乱したX線の放射線を表すX線散乱データを受信するように更に構成されている。マンモグラフィーシステムのプロセッサは、受信されたX線散乱データ、受信されたX線透過データ、及び少なくとも1つの散乱構成パラメータに基づいて、空間分解X線散乱スペクトル再構成を推定するように更に構成されている。マンモグラフィーシステムのプロセッサは、関心対象の領域の受信されたX線散乱データに基づいて、空間分解組織特性を決定するように更に構成されている。マンモグラフィーシステムのプロセッサは、受信されたX線透過データ及び受信されたX線散乱データに基づいて、空間分解散乱マンモグラム画像を生成するように更に構成されている。
【0062】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの一実施形態では、X線散乱測定のために、符号化開口が、検出された散乱したX線の放射線を変調するために、患者の乳房と複数のX線検出要素との間でX線源から遠位の位置に移動するように動作可能である。X線透過測定のために、患者の乳房は、X線検出器アレイから第1の距離に位置付けられる。X線散乱測定のために、システムは、拡大モードで更に動作可能であり得る。拡大モードでは、患者の乳房は、X線検出器アレイから第2の距離に位置付けられる。第2の距離は、第1の距離よりも大きい。プロセッサは、患者の乳房内の特定された関心対象の領域のX線散乱測定中の符号化開口の位置を含む符号化開口構成パラメータを決定するように更に構成され得る。プロセッサは、決定された符号化開口構成パラメータに基づいて、符号化開口の位置を制御するように更に構成され得る。
【0063】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの一実施形態では、マンモグラフィーシステムは、X線散乱測定中に一次X線ビームを遮断するように構成されたビームブロックを更に含み得る。ビームブロックは、一次X線ビームの経路内で患者の乳房とX線検出器アレイとの間に位置付けられる。ビームブロックは、プロセッサによって移動可能、かつ制御可能であり得、プロセッサは、患者の乳房内の特定された関心対象の領域のX線散乱測定中のビームブロックの位置を含むビームブロック構成パラメータを決定するように更に構成され得る。プロセッサは、決定されたビームブロック構成パラメータに基づいてビームブロックの位置を制御するように更に構成され得る。
【0064】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの一実施形態では、マンモグラフィーシステムは、追加のX線源を更に含み得る。X線源が、X線透過測定のために構成されており、追加のX線源が、X線散乱測定のために構成されている。
【0065】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの一実施形態では、少なくとも1つの空間分解組織特性が、がん性組織又は良性組織を示す組織型を含む。空間分解散乱マンモグラム画像は、空間分解X線散乱スペクトル再構成に基づく少なくとも1つの指示を含む。少なくとも1つの指示は、関心対象の領域が良性組織又はがん性組織を含むかどうかを示す。
【0066】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの一実施形態では、プロセッサは、受信されたX線透過データ及び受信されたX線散乱データに基づいて生成された空間分解散乱マンモグラム画像の着色を生成するように更に構成され得る。着色は、空間分解X線散乱スペクトル再構成に基づく。
【0067】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの一実施形態では、プロセッサは、受信されたX線散乱データから、関心対象の領域の乳房の運動量移行スペクトルの空間分解推定を計算するように更に構成され得る。プロセッサは、空間分解組織特性の決定において、運動量移行スペクトルの空間分解推定を使用するように更に構成され得る。メモリは、複数の既存の組織運動量移行スペクトルの参照ライブラリを含み得る。プロセッサが、関心対象の領域の運動量移行スペクトルの計算された空間分解推定と組み合わせて、既存の組織運動量移行スペクトルの参照ライブラリを使用して、空間分解組織特性を決定するように更に構成され得る。プロセッサが、空間分解組織特性の決定において分類アルゴリズムを使用するように更に構成され得る。プロセッサが、空間分解組織特性の空間分解推定の計算において機械学習アルゴリズムを使用するように更に構成され得る。プロセッサが、空間分解組織特性の空間分解推定の計算において、規則ベースの分類アルゴリズムを使用するように更に構成され得る。
【0068】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの一実施形態では、X線検出要素のうちの少なくとも1つが、X線透過測定及びX線散乱測定の両方に使用される。
【0069】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの一実施形態では、プロセッサが、X線源の位置を変更して、患者の乳房に対する一次X線ビームの入射角度を制御するように更に構成されている。
【0070】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの一実施形態では、X線源の少なくとも1つの動作パラメータが、一次X線ビームの放射照度及びエネルギースペクトルを制御するように構成可能である。
【0071】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの一実施形態では、X線散乱測定のために、X線検出要素のうちの少なくとも1つが、患者の乳房を直接透過した一次X線ビームからのX線の放射線を検出するように構成可能である。プロセッサが、患者の乳房を直接透過した一次X線ビームからのX線の放射線を検出するように構成されているX線検出要素によって検出されたX線透過データを受信するように更に構成され得る。受信されたX線透過データが、X線散乱測定中に検出された透過したX線の放射線を表す。空間分解X線散乱スペクトル再構成の推定が、X線散乱測定中に検出された受信されたX線透過データに更に基づく。
【0072】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの一実施形態では、プロセッサが、X線散乱測定中の患者の放射線量を推定し、患者への推定された放射線量に基づいて、X線散乱測定のための少なくとも1つの散乱構成パラメータを決定するように更に構成されている。
【0073】
一実施形態では、空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法が開示される。方法は、X線透過測定を実施することを含む。X線透過測定は、X線源からの第1の一次X線ビームを、第1の一次X線ビームを整形するように少なくとも1つの寸法を構成可能な開口部を有するコリメータを通して、かつ複数の乳房プレートの間に位置付けられた患者の乳房を通して透過させることによって実施される。X線源は、露光時間、電流、電圧、及び/又はフィルタリングを含む少なくとも1つの動作パラメータに基づいて調整可能である。X線透過測定は、X線検出器アレイの複数のX線検出要素を使用して、患者の乳房を直接透過した第1の一次X線ビームからのX線の放射線を検出することによって更に実施される。X線検出要素の少なくとも一部は、移動可能である。X線透過測定は、プロセッサ及びメモリを含む制御システムを介してX線透過データを複数のX線検出要素から受信することによって更に実施される。X線透過データは、第1の一次X線ビームが患者のコリメータ及び乳房を通過した後の第1の一次X線ビームからの検出されたX線の放射線を表す。X線透過測定は、受信されたX線透過データに基づいて、患者の乳房の放射線濃度マンモグラム画像を生成することによって更に実施される。例えば、非限定的に、放射線濃度マンモグラム画像は、2次元又は3次元である。方法は、放射線濃度マンモグラム画像に基づいて、患者の乳房内の関心対象の領域を特定することを更に含む。方法は、患者の乳房内の特定された関心対象の領域のX線散乱測定のための散乱測定構成パラメータを決定することを更に含む。散乱測定構成パラメータは、X線源の位置、複数のX線検出要素の位置、コリメータの開口部の寸法、X線源動作パラメータ、及び/又は複数の乳房プレートのうちの少なくとも1つの位置を含む。方法は、関心対象の領域のX線散乱測定を実施することを更に含む。X線散乱測定は、X線源からの第2の一次X線ビームを、第2の一次X線ビームを整形するようにコリメータを通して、かつ複数の乳房プレートを用いて位置付けられた患者の乳房を通して透過させることによって実施される。関心対象の領域のX線散乱測定は、患者の乳房と複数のX線検出要素との間に位置付けられた符号化開口を使用して、患者の乳房と相互作用する第2の一次X線ビームからの散乱したX線の放射線を変調することによって更に実施される。関心対象の領域のX線散乱測定は、複数のX線検出要素を使用して変調された散乱したX線の放射線を検出することによって更に実施される。関心対象の領域のX線散乱測定は、複数のX線検出要素から検出された散乱したX線の放射線を表すX線散乱データを受信することによって更に実施される。関心対象の領域のX線散乱測定は、受信されたX線散乱データ、受信されたX線透過データ、及び決定された散乱測定構成パラメータに基づいて、空間分解X線散乱スペクトル再構成を計算することによって更に実施される。関心対象の領域のX線散乱測定は、関心対象の領域の受信されたX線散乱データに基づいて、少なくとも1つの空間分解組織特性を決定することによって更に実施される。関心対象の領域のX線散乱測定は、受信されたX線透過データ及び受信されたX線散乱データに基づいて、空間分解散乱マンモグラム画像を生成することによって更に実施される。
【0074】
空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の一実施形態では、符号化開口が、X線散乱測定中に第2の一次X線ビームからの検出された散乱したX線の放射線を変調するために、患者の乳房と複数のX線検出要素との間でX線源から遠位の位置に移動される。X線透過測定を実施するとき、患者の乳房が、複数のX線検出要素から第1の距離に位置付けられ、X線散乱測定を実施するとき、患者の乳房が複数のX線検出要素から第2の距離に位置付けられる拡大モードが使用される。第2の距離は、第1の距離よりも大きい。方法は、プロセッサを介して、患者の乳房内の特定された関心対象の領域のX線散乱測定中の符号化開口の位置を表す符号化開口構成パラメータを決定することと、プロセッサを介して、符号化開口の位置を制御することと、を更に含み得る。
【0075】
空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の一実施形態では、方法は、患者の乳房と複数のX線検出要素との間の第2の一次X線ビームの経路内に位置付けられたビームブロックを用いて、X線散乱測定中に第2の一次X線を遮断することを更に含み得る。ビームブロックが、移動可能であり、X線散乱測定を実施するとき、ビームブロックが、患者の乳房とX線検出要素との間の第2の一次X線ビームの経路内に位置付けられている。方法は、プロセッサを介して、特定された関心対象の領域のX線散乱測定中のビームブロックの位置を表すビームブロック構成パラメータを決定することと、プロセッサを介して、決定されたビームブロック構成パラメータに基づいて、ビームブロックの位置を制御することと、を更に含み得る。
【0076】
空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の一実施形態では、X線源が、X線透過測定に使用され、追加のX線源が、X線散乱測定に使用される。
【0077】
空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の一実施形態では、少なくとも1つの空間分解組織特性が、がん性組織又は良性組織を示す組織型を含む。空間分解散乱マンモグラム画像は、空間分解X線散乱スペクトル再構成に基づく少なくとも1つの指示を含む。少なくとも1つの指示は、特定された関心対象の領域が良性組織又はがん性組織を含むかどうかを示す。
【0078】
空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の一実施形態では、方法は、受信されたX線透過データ及び受信されたX線散乱データに基づいて、空間分解散乱マンモグラム画像の着色を生成することを更に含む。着色は、空間分解X線散乱スペクトル再構成に基づいて決定される。
【0079】
空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の一実施形態では、方法は、受信されたX線散乱データから関心対象の領域の運動量移行スペクトルの空間分解推定を計算することを更に含む。方法は、少なくとも1つの空間分解組織特性の決定において、運動量移行スペクトルの空間分解推定を使用することを更に含む。方法は、関心対象の領域の運動量移行スペクトルの計算された空間分解推定と組み合わせて、複数の既存の組織運動量移行スペクトルの参照ライブラリを使用して、少なくとも1つの空間分解組織特性を決定することを更に含み得る。方法は、少なくとも1つの空間分解組織特性を決定するときに、分類アルゴリズムを使用することを更に含み得る。方法は、少なくとも1つの空間分解組織特性の空間分解推定の計算において機械学習アルゴリズムを使用することを更に含み得る。方法は、少なくとも1つの空間分解組織特性の空間分解推定の計算において、規則ベースの分類アルゴリズムを使用することを更に含み得る。
【0080】
空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の一実施形態では、方法は、X線透過測定及びX線散乱測定の両方に少なくとも1つのX線検出要素を使用することを更に含む。
【0081】
空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の一実施形態では、X線源の位置を制御して、患者の乳房に対する第1の一次X線ビーム又は第2の一次X線ビームの入射角度を制御することを更に含む。
【0082】
空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の一実施形態では、方法は、X線源の少なくとも1つの動作パラメータを、第1の一次X線ビーム又は第2の一次X線ビームの放射照度及びエネルギースペクトルを制御するように構成することを更に含む。
【0083】
空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の一実施形態では、方法は、X線散乱測定のために、患者の乳房を直接透過した第2の一次X線ビームからのX線の放射線を検出するように構成されているX線検出要素によって検出されたX線透過データを受信することを更に含む。受信されたX線透過データが、X線散乱測定中に検出された透過したX線の放射線を表す。空間分解X線散乱スペクトル再構成の計算が、X線散乱測定中に検出された受信されたX線透過データに更に基づく。少なくとも1つのX線検出要素が、患者の乳房を直接透過した第2の一次X線ビームからのX線の放射線を検出するように構成可能である。
【0084】
空間分解体積X線回折断層撮影マンモグラフィーを実施する方法の一実施形態では、方法は、X線散乱測定のために、患者への放射線量を推定し、患者への推定された放射線量に基づいてX線散乱測定のための少なくとも1つの散乱構成パラメータを決定することを更に含む。
【0085】
1つ以上のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせは、本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムとともに利用され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体(限定されるものではないが、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む)であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、若しくは半導体システム、装置、又はデバイス、又はそれらの任意の適切な組み合わせであってよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)は、1つ以上のワイヤを備えた電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消却・プログラム可能型読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、又は上記の任意の適切な組み合わせを含む。本文献の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又は命令実行システム、装置、又はデバイスに関連して使用するためのプログラムを含むか、又は記憶することができる任意の有形的表現媒体であり得る。
【0086】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドで、又は搬送波の一部として、その中に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する伝播データ信号を含み得る。そのような伝播信号は、電磁気、光、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない、様々な形態のうちのいずれかを取る。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、かつ命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらに関連して使用するためのプログラムを通信、伝播、又は輸送できる任意のコンピュータ可読媒体であってよい。
【0087】
1つ以上の例示的な態様では、命令は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装され得る。コンピュータ可読媒体は、オペレーティングシステム、データ構造、プログラムモジュール、アプリケーション、又は本明細書に説明される方法論又は機能のうちのいずれか1つ以上を具現化する他のデータなどの、命令の1つ以上のセットに対して、揮発性又は不揮発性ストレージを提供し得る。コンピュータ可読媒体は、メモリ、プロセッサ、及び/又は記憶媒体を含み得、命令の1つ以上のセットを記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型又は分散型コンピュータシステム)であり得る。非一時的コンピュータ可読媒体は、唯一の例外が一時的な、伝播信号自体であることを除いて、全てのコンピュータ可読媒体を含む。命令は、通信媒体としてネットワークインターフェースユニットを介してネットワーク上で更に送信又は受信され得、通信媒体は、搬送波又は他の輸送機構などの変調されたデータ信号を含み得、任意の配信媒体を含み得る。「変調されたデータ信号」という用語は、信号内の情報を符号化するような様式で変更又は設定されたその特性のうちの1つ以上を有する信号を意味する。
【0088】
以下の特許請求の範囲において、全てのミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクション要素の、対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に特許請求された他の特許請求された要素と組み合わせてその機能を行うための、あらゆる構造、材料、又は行為を含むことを意図している。本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの説明は、例示及び説明の目的で提示されているが、開示された形態における本発明を網羅的にすること、又はそれに限定されることを意図するものではない。多くの修正及び変形が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかになるであろう。本発明の原理及び実際の用途を最良に説明し、想到される特定の使用に適するように様々な修正を加えた様々な実施形態について本発明を他の当業者が理解することを可能にするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【0089】
本明細書に説明されるマンモグラフィーシステムの様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されてきたが、網羅的であることも、開示される実施形態に限定されることも意図されていない。多くの修正及び変形は、説明された実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者に明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出された技術に対する実用的な用途若しくは技術的改善を最もよく表現するために、又は当業者が本明細書で開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【国際調査報告】