(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-26
(54)【発明の名称】せん断増粘フォーム又は非ニュートンフォームを組み込んだスポーツウェア及び身体保護ギア
(51)【国際特許分類】
A41C 3/12 20060101AFI20250218BHJP
A41C 3/00 20060101ALI20250218BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20250218BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20250218BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20250218BHJP
A41D 13/06 20060101ALI20250218BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20250218BHJP
A42B 3/12 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
A41C3/12 A
A41C3/00 B
A41D13/00 115
A41D31/00 502G
A41D13/05 106
A41D13/06
A41D13/08
A42B3/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542326
(86)(22)【出願日】2023-02-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 CN2023074541
(87)【国際公開番号】W WO2023151530
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523139250
【氏名又は名称】スーパー リッチ モールダーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUPER RICH MOULDERS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100163991
【氏名又は名称】加藤 慎司
(72)【発明者】
【氏名】ツー,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジャンピン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヒン キウ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,チェンミン
(72)【発明者】
【氏名】チュン,スイ ルン
(72)【発明者】
【氏名】チュン,マン シャン
【テーマコード(参考)】
3B107
3B131
3B211
【Fターム(参考)】
3B107AA03
3B107CA02
3B107DA03
3B131AA11
3B131AB03
3B131AB07
3B131BA21
3B131BA41
3B131BA45
3B131BB01
3B131CA22
3B211AA01
3B211AA05
3B211AB11
3B211AC04
3B211AC17
(57)【要約】
本スポーツブラは、力が増すと抵抗も増す。このスポーツブラは、着用者の胸部を収容するための前面湾曲領域を含み、前面湾曲領域は、せん断増粘フォームを含んでいる。せん断増粘フォームは、第1の力までは比較的柔軟であり、第1の力を超えると比較的硬くなり、激しい身体活動中に着用者の胸部を前方湾曲領域内に保持する。背面パネルは前面湾曲領域に接続されており、それにより、力が着用者の背中上部又は肩領域に少なくとも部分的に伝達される。身体保護要素は、頭部、膝、すね、肘、足、脚、胴体、腕、手首、又は手から選択される身体部分を外部の衝撃から保護する。身体保護要素には、選択された身体部分の形状に適合するハウジングが含まれている。ハウジング内には、せん断増粘フォームが含まれている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
増大した力に応じて増大した抵抗を示すスポーツブラであって、
着用者の乳房を収容するための前面湾曲領域であって、前記前面湾曲領域はせん断増粘フォームを含み、前記せん断増粘フォームは、第1の力までは比較的柔軟であり、前記第1の力を超えると比較的硬くなり、前記着用者の乳房を前記前面湾曲領域内に保持する、前面湾曲領域と;
前記前面湾曲領域に接続された背面パネルであって、それにより、力が前記着用者の背中上部又は肩の領域に少なくとも部分的に伝達される、背面パネルと、
を備えている、スポーツブラ。
【請求項2】
前記せん断増粘フォームは、ポリウレタンベースフォーム、ポリスチレンフォーム、シリコーンゴムフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、エチレン酢酸ビニルフォーム、及びポリエステルブロック共重合体フォームである、請求項1に記載のスポーツブラ。
【請求項3】
前記せん断増粘フォームは、低周波運動(<10Hz)では低い弾性率(<10
5Pa)を有し、運動の周波数又は力が増加すると(>10Hz)、その弾性率が増加する(>10
5Pa)、請求項2に記載のスポーツブラ。
【請求項4】
自動フィッティング及びサポート機能付きスポーツブラカップ用のフォームであって、前記フォームは、低周波運動(<10Hz)では低い弾性率(<10
5Pa)を有し、運動の周波数が増加すると(>10Hz)、その弾性率が増加する(>10
5Pa)、フォーム。
【請求項5】
前記フォームはポリウレタンフォームであり、
下記成分:
100部のポリエーテル混合物、0.5~5部の発泡剤としての水、0.2~2部の泡安定剤、0.2~2部の気泡開放剤、0.1~1部の触媒混合物、及び、30~75部のジイソシアネート
を含んでおり、
前記イソシアネート基のモル数から全ヒドロキシル基のモル数に対して計算されたR値は0.9~1.1の範囲であり、
前記ポリエーテル混合物は、3官能及び/又は2官能のポリエーテルを含み、分子量は500~8000の範囲であり、
前記ジイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、上記イソシアネートの異性体、及びその混合物から構成されている、
請求項4に記載のフォーム。
【請求項6】
ガラス転移温度が30~50℃の範囲にあり、DMA試験により1Hzで測定された30~50℃のタンジェントデルタ値が0.5以上である、請求項4に記載のフォーム。
【請求項7】
温度が20℃から50℃に上昇するにつれて弾性率が減少する、請求項4に記載のフォーム。
【請求項8】
発泡、スライス、及びホットプレス成形を含むプロセスを通じて、スポーツブラジャー用の自動フィッティング及びサポートフォームカップを製造するために使用される、請求項4に記載のフォーム。
【請求項9】
外部衝撃から身体の一部を保護する身体保護要素であって、
前記身体の一部は、頭部、膝、すね、肘、足、脚、胴体、腕、手首、又は手から選択され、
前記身体保護要素は、
選択された身体部分の形状に適合するハウジングと、
前記ハウジング内に含まれるせん断増粘フォームであって、前記せん断増粘フォームはベースフォームに含浸されたせん断増粘流体が含まれている、せん断増粘フォームと、
を備えている、身体保護要素。
【請求項10】
前記せん断増粘フォームは、ポリウレタンベースフォーム、ポリスチレンフォーム、シリコーンゴムフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、エチレン酢酸ビニルフォーム、及びポリエステルブロック共重合体フォームである、請求項9に記載の身体保護要素。
【請求項11】
前記せん断増粘フォームは、低周波運動(<10Hz)では低い弾性率(<10
5Pa)を有し、運動の周波数又は力が増加すると(>10Hz)、その弾性率が増加する(>10
5Pa)、請求項10に記載の身体保護要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2022年2月2日に出願された米国仮特許出願第63/308,479号、及び、2022年6月27日に出願された米国仮特許出願第63/355,634号に対する優先権を主張し、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、着用者の身体からの又は外力からの増大した力によって衝撃を受けたときに増大した抵抗を示す、せん断増粘/非ニュートン(non-Newtonian)発泡体を組み込んだ身体支持又は身体保護用ギア、衣類及び下着、スポーツウェア及びギア、並びに他の特殊用途の衣類に関する。
【背景技術】
【0003】
せん断増粘材料は、例えば、外力からの衝撃又はスポーツ活動に従事している身体部分の動きによる高速のせん断歪みに応じて、粘度が劇的に増加する材料である。せん断増粘流体は、ニュートン挙動、即ち適用された応力とは独立した粘性に従わないため、「非ニュートン流体」とも呼ばれている。通常、せん断増粘材料は、マトリクス内の粒子の懸濁液として形成される。
【0004】
せん断増粘材料は、多くの防護用の衣類及び防具、軍用防弾チョッキ、並びにスポーツ用具に使用されてきた。しかしながら、せん断増粘材料は一般に液体であるため、取り扱いが難しく、着用可能な物品を作成するために適切なハウジング内に収容することが困難である。
【0005】
例えば、下着の場合、ブラジャーは着用者の肌に直接触れて着用される。ブラジャーを作るための素材に求められる要件には、人肌に柔らかく快適な感触、軽量性、及び通気性などが含まれる。柔軟なポリウレタンフォームは、低弾性率且つ低密度でオープンセル構造を有する柔らかい多孔質材料であり、ブラジャーカップの製造に適した材料である。現在、高反発フォーム及び低反発フォームなどの柔軟なポリウレタンフォームが、ブラジャーカップの製造に大量に使用されている。
【0006】
一方、スポーツ活動では、着用者が衝撃の大きい活動に従事している場合、乳房は「バタフライ」運動、即ち上下に別々に動く。この「バタフライ」運動は、痛みを引き起こすだけでなく、乳房組織に悪影響を及ぼす可能性もある。したがって、スポーツブラのデザインでは、胸のサポートが非常に重要である。一般的なスポーツブラのカップは、カプセル化(encapsulation)、圧縮(compression)、及び組み合わせ(combination)の3つのカテゴリに分けられる。研究によると、女性はさまざまな活動に応じて、サポートレベルの異なるスポーツブラを着用する必要があることが示唆されている。乳房の垂直方向のずれや運動による不快感を軽減するために、カプセル型スポーツブラジャーのブラカップ内に厚いフォームパッドを入れて乳房を持ち上げて圧迫するという方法も提案されてきた。
【0007】
市販されているフォーム、例えば柔軟なポリウレタンフォームは、柔らかい肌触りの性能を提供するがが、スポーツ活動中の激しい身体の動きに必要な十分なサポートを欠いている。したがって、柔軟なポリウレタンは、普段用のブラジャーカップの製造には適しているかもしれないが、乳房の動きをなくすことを目的としたスポーツブラカップには適していない。クッション材が示す柔らかい肌触り特性は、通常、その材料の弾性率が低いことを意味し、これは、クッション材の弾性率が高いことから生じる高い支持特性とは矛盾している。本発明者らの知る限り、柔らかい肌触りと激しい身体の動きに必要な十分なサポート力という複合特性を示すブラジャーカップを製造できるブラジャー用フォーム材料は存在していない。
【0008】
Roland社による米国特許出願公開第2015/0087204号は、形状記憶材料を含む衣服について記載しており、形状記憶材料が遷移温度に達すると、形状記憶材料は第1の形状から第2の形状に変形し、第2の形状は、衣服が接触している身体部分に、第1の形状によって身体部分に与えられる力よりも大きな力を付与し、遷移温度は90°Fから105°Fの間である。開示された形状記憶材料には、形状記憶合金及び形状記憶ポリマーが含まれ、形状記憶材料が遷移温度に達すると、形状記憶材料は第1の形状から第2の形状に変形し、第2の形状は、衣服が接触する身体部分に、第1の形状によって身体部分に与えられる力と比較して、より大きな局所的な支持力を付与する。しかしながら、市販されているスポーツブラでは、ブラカップは、積層構造又は縫い合わせた多層構造で構成されている。その形状はあらかじめ固定されており、室温又は体温によっても変化しない。市販のブラジャー製品では、第2形状から第1形状への変化はほとんど実現されていない。
【0009】
中国特許出願公開番号CN103798978Aは、カップ及び付属品を含む形状記憶ポリマーブラジャーを開示しており、カップは形状記憶ポリマー材料で作られ、シートを形成してからカップにブリスター成形するか又は軟化点が45~70℃の射出成形によって形成されることを特徴としている。形状記憶ポリマーは、発泡又は非発泡材料である。形状記憶ポリマーは、架橋トランスポリイソプレン、ポリエステル若しくはポリオレフィン、又は非架橋ポリウレタン若しくはノルボルネンであってもよい。カップには直径1~3mmの通気孔があり、通気孔の総面積は形状記憶ポリマーの総面積の10~70%を占めている。45~70℃の軟化点まで加熱することで、使用者に適したバストサイズに整形し、快適性を高める。この発明は、50~60℃と体温よりはるかに高い軟化温度を有する形状記憶フォームの形状記憶機能を利用してカップサイズを変化させるものである。しかし、ブラジャーの形状を整えるには、永久変形を実現するための金型が必要である。更に、軟化温度は体温よりもはるかに高い。形状の変化は、外部からの加熱によって引き起こされる必要がある。不十分なサポート機能に対するニーズは、開示されているスポーツブラの素材では満たされない。
【0010】
更に、米国特許出願公開第2016/0044971号には、形状記憶ポリマーを組み込んだブラジャー及びその製造方法が開示されている。形状記憶ポリマーは、穴を有する薄膜層(開口率:10~90%)を提供するために使用される。乳房の運動周波数は、1~100Hzでの乳房の動きによって生じる力を吸収する。体温で粘弾性特性を示し、約6Hz~約15Hzの乳房運動の周波数で約0.015N~約0.03Nの力を吸収するように硬化する熱誘起形状記憶ポリマーを有するスポーツブラのフロントパネルを構成する方法も開示されている。しかしながら、ブラジャーに直接使用されるフィルムは、着用者に十分な快適感を提供できるようになった。通気性を高めるために積層構造のSMP層のメッシュパターンが使用されているがが、着用者の胸の形状に近い凹形状を形成するには追加の成形が必要である。市販のブラジャーカップでは、多孔質フィルムの代わりに、生地でラミネートされたフォーム素材が最高の快適感を提供する。穴の開いた薄膜は、市販のブラジャーカップ材料システムと互換性がない。
【0011】
特開2005089925号公報には、一定温度で初期形状に復元する形状記憶樹脂製のカップ支持部材を備えたカップ部が開示されている。一定温度はガラス転移温度Tgであり、40~75℃の範囲にある。カップ部分は洗濯により変形するが、元の形に戻りやすく、一定温度で美しいバストラインのシルエットをキープすることができる。しかしながら、現実には、カップの形状を変えるために余分な加熱を行うことは、日常生活における着用者にとって不便である。更に、ブラジャーの形状が異なっていても、スポーツブラのサポート不足から生じる問題は解決できない。
【0012】
Roland社による米国特許番号第7,731,564B2号は、ブラジャー、キャミソール、ショーツ、及びブリーフにおけるメモリフォームインサートの使用を提示している。メモリフォームインサートは、激しい運動中に胸部及び臀部領域を通る跳ね返りを制限及び防止するように設計されている。本発明は、個人の体形や姿に合わせて変形し、快適で安全なフィット感を実現する。しかしながら、スポーツブラでは、激しい動きによってインサートフォームが不安定になったり、要素を結合するために衣服全体にオーバーロック/カバーステッチが必要になる場合があり、ブラカップの全体的なシームレスな丸編みデザインが劣化する可能性がある。
【0013】
最後に、中国特許番号第CN2378955Y号は、形状記憶機能を備えたブラジャーを提供する実用新案を開示している。この実用新案の特徴は、ライナーが、NiTi形状記憶合金又はその他の超弾性合金から作られ、シリカゲル又はその他の弾性ポリマー材料でコーティングされ、複数の通気孔が設けられたシルクスクリーンを含むことである。裏地は様々な織物及び不織布で作られている。革をフェイスマスクとして使って、ブラジャー又はブラジャー付き下着が作られている。このブラジャーは見た目が美しく、安定性があり、柔らかく、弾力性があり、通気性が良く、生体適合性が高く、手触りが鮮明であるなどの利点があるが、その構造に特殊な金属合金を使用しているため、製造工程が複雑になり、材料費が高くなる。金属の存在は、激しい運動をしている着用者にとって危険な場合もある。
【0014】
したがって、当該技術分野では、上記の欠点に対処する改良されたせん断増粘材料を組み込んだ改良された身体保護用ギア、衣類、下着、スポーツウェア、ギア、及びその他の特殊用途の衣類に対する満たされていないニーズが存在している。
【発明の概要】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、増大した力に応じて増大した抵抗を示すスポーツブラが提供される。このスポーツブラは、着用者の胸部を収容するための前面湾曲領域を含み、前面湾曲領域は、せん断増粘フォームを含んでいる。せん断増粘フォームは、第1の力までは比較的柔軟であり、第1の力を超えると比較的硬くなり、激しい身体活動中に着用者の胸部を前方湾曲領域内に保持する。背面パネルは前面湾曲領域に接続されており、それにより、力が着用者の背中上部又は肩領域に少なくとも部分的に伝達される。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、身体保護用ギア、衣類、下着、スポーツブラを含むスポーツウェア及びギア、並びに他の特殊用途の衣類に使用できる自動フィッティング及びサポートフォームが提供される。このフォームは30~50℃の範囲のガラス転移温度を有しており、動的機械分析(DMA)テストで測定された体温付近の30~50℃の範囲でタンジェントデルタ値が0.5以上となる。体温付近での高い減衰特性は、それが振動エネルギーを吸収し、高周波運動時の振動を効果的に除去することを意味している。フォームは、30~100kg/m3の密度を有し、着用者の身体からのゆっくりとした又は静的な圧縮によって容易に変形させることができる。更に、フォームは、周波数依存性(frequency sensitive)である。低周波運動下では弾性率が低く、体温での高周波運動下では硬くなる。したがって、フォームは、激しい身体の動きの下でも乳房に十分なサポート力を提供することができ、同時に、静圧下では着用者の体型に合わせて簡単に変形することができる。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、外部からの衝撃から身体の一部を保護する身体保護要素が提供される。身体部位は、頭、膝、すね、肘、足、脚、胴体、腕、手首、又は手であり、身体保護要素には、選択された身体部位の形状に適合するハウジングが含まれる。ハウジング内には、せん断増粘フォームが含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施形態は、以下により、図面を参照して詳細に説明される。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るスポーツブラを示している。
【0020】
図2は、更なる実施形態によるスポーツブラを示している。
【0021】
図3は、更なる実施形態によるスポーツブラを示している。
【0022】
図4は、更なる実施形態によるスポーツブラを示している。
【0023】
図5は、更なる実施形態によるスポーツブラを示している。
【0024】
図6は、更なる実施形態によるスポーツブラを示している。
【0025】
図7は、更なる実施形態によるスポーツブラを示している。
【0026】
図8は、本発明の一実施形態に係る自動フィッティング及びサポートフォームのタンジェントデルタ(tanδ)対温度のDMAテスト結果を示している。
【0027】
図9は、自動フィッティング及びサポートフォームの貯蔵弾性率(E’)対温度の関係を示すDMAテスト結果を示している。
【0028】
図10は、異なる温度下での自動フィッティング及びサポートフォームの圧縮テストの結果を示している。
【0029】
図11は、DMA測定によってテストされた25℃における1Hz及び100Hzでの自動フィッティング及びサポートフォームの弾性率を示している。
【0030】
図12は、DMA測定によってテストされた35℃における1Hz及び100Hzでの自動フィッティング及びサポートフォームの弾性率を示している。
【0031】
図13は、自動フィッティング及びサポートフォームを組み込んだ様々な身体保護衣類及びギアを示している。
【0032】
図14は、自動フィッティング及びサポートフォームを組み込んだ様々なフットウェアを示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の説明では、身体保護ギア、衣服、下着、スポーツウェア、スポーツ用具、その他の特殊用途の衣類、及びこれらを製造するための材料を好ましい例として挙げている。追加及び/又は置換を含む修正が、本発明の範囲及び精神から逸脱することなくなされ得ることは、当業者には明らかであろう。特定の詳細は、本発明を不明瞭にしないために省略される場合がある。しかしながら、本開示は、当業者が過度の実験なしに本明細書の教示を実施できるように記載されている。
【0034】
A.スポーツブラのデザイン
【0035】
図面を詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスポーツブラを示している。
図1に示されているように、明るい領域はスポーツブラのサポート要素又は領域を示し、サポート領域は乳房を取り囲み、背中の上部及び肩の領域に力を伝達するために背面サポートに続いている。サポート領域は、以下で更に詳しく説明する非ニュートンフォームを含んでいる。一般に、非ニュートンフォームは柔らかく柔軟性があり、低周波運動(<10Hz)では10
5Pa未満の低い弾性率を有し、運動の周波数又は力が増加すると(>10Hz)、その弾性率が増加する(>10
5Pa)。このように、激しい運動をしていないときは、スポーツブラは、柔らかく、柔軟性があり、快適に着用することができる。ランニング、テニス、縄跳びなどの激しいスポーツ活動を行うと、乳房の動きによってフォームに大きな力が加わり、弾性率も10
5Pa以上に増加する。この増加した弾性により、乳房の不要な動きが抑えられ、前面の湾曲した乳房保持パネル内に乳房が保持される。なお、本発明のスポーツブラは、本発明の非ニュートンフォームを含んでいても含んでいなくてもよい、追加のサポート用のカップ型インサートを含んでいてもよい。或いは、
図1に示すような乳房を取り囲む非ニュートン発泡体は、それ自体で十分な支持を提供することができ、アンダーワイヤ支持体と同様に作用するが、アンダーワイヤの堅固な不快感を伴わないようにすることもできる。
【0036】
同様に、
図2に示すような明るい領域によって示される支持要素の構成は、従来のアンダーワイヤによって提供される支持を模倣することができる。この実施形態のフォームは、大きな力による乳房の動きに抵抗する。
【0037】
図3は、明るい領域がサポート要素を示しており、より大きなサポート非ニュートンフォーム領域を提供し、サイドパネルを介して背中のサポートストラップに接続して、背中の上部及び肩の領域に力を伝達する更なる実施形態を示している。
【0038】
図4は、明るい領域が支持要素を示しており、胸部の前部全体を囲み、背面支持部と相互接続する同心円状の支持フォームのパターンを提供する更なる実施形態を示している。この構成により、より豊かな胸を更にサポートすることができる。
【0039】
図5は、明るい領域がサポート要素を示しており、胸の豊かな人に対してより強力なサポートを提供する別のパターンを提供する更なる実施形態を示している。メッシュパターンのフォームが胸の前面及び側面全体を覆っており、荷重を伝達するために背面サポートまで続いている。
【0040】
図6は、明るい領域がサポート要素を示しており、非ニュートンフォームによってサポートされる胸の前部領域の大部分を含む、胸の豊かな着用者向けの更なる実施形態を示している。
【0041】
図7は、支持要素を示す明るい領域を有し、非ニュートンフォームを側面及び背中支持領域の周囲に配置することにより、胸部に対する側面支持を強化する更なる実施形態を示している。
【0042】
支持フォームは、種々の技術によってスポーツブラに組み込むことができる。先行技術のせん断増粘流体のような液体マトリックスが存在しないため、様々な商業的に拡張可能なプロセスを製造に使用することができる。例えば、限定されないが、支持領域は、押し出し、射出成形、打ち抜き、成形、ホットプレス、3D印刷、切断及び縫製、又はシームレス接合技術によって形成されてもよい。
【0043】
B.自動フィッティング及びサポートフォーム
【0044】
本発明の第2の態様によれば、せん断増粘性フォーム又は非ニュートン性フォームであり得る自動フィッティング及びサポートフォームが提供される。自動フィッティング及びサポートは、身体保護ギア、衣類、下着、スポーツブラなどのスポーツウェア及びギア、並びにその他の特殊用途の衣類に使用することができる。
【0045】
図8は、自動フィッティング及びサポートフォームのタンジェントデルタ(tanδ)と温度との関係を表すDMAテスト結果を示している。テストは、圧縮モードで実施した。周波数は1Hz、加熱速度は3℃/分である。
図8に示されているように、フォームのガラス転移温度は30~50℃であり、体温に近い。30~50℃の範囲でのタンジェントデルタ(tanδ)は0.5以上である。高いtanδ値は、フォームが体温付近で高い減衰特性を持つことを意味し、振動エネルギーを吸収し、高周波運動中に振動を止めることができることを意味している。
【0046】
図9を参照すると、自動フィッティング及びサポートフォームの貯蔵弾性率(E’)対温度の関係を示すDMAテスト結果を示している。テストは、圧縮モードで実施した。周波数は1Hz、加熱速度は3℃/分である。
図9に示すように、フォームは温度依存性である。フォームの圧縮弾性率変化は、25°Cと36°Cとの間で約1桁の大きさであり、25°Cで6×10
5Pa,36°Cで8×10
4Paであった。E’(25℃)/E’(36℃)=7.5である。
【0047】
図10は、自動フィッティング及びサポートフォームをそれぞれ23℃(濃い線)及び35℃(薄い線)の異なる温度で圧縮テストした結果を示している。最大圧縮率は50%であった。万能引張試験機を使用した圧縮試験では、フォームは、DMAで試験したものと同様の傾向を示す。23℃での50%ひずみ時の圧縮応力(S)は約0.25MPaであるのに対し、35℃では約0.05MPaである。S(23℃)/S(35℃)=5である。
【0048】
フォームは温度に敏感なだけでなく、周波数にも敏感である。
図11を参照すると、DMA測定によってテストされた25℃における1Hz及び100Hzでの自動フィッティング及びサポートフォームの弾性率が示されている。測定は等温25℃で実施し、試験時間は30分であった。フォームは、25℃の等温条件でDMAにより圧縮モードで試験した。それぞれ1Hz及び100Hzの2つの周波数値が使用される。試験は、これらの条件下で30分間実施した。25℃では、弾性率は100Hzで約7.5×10
5Paであるが、1Hzでは4×10
4Paである。25℃において、E’(100Hz)/E’(1Hz)=18.8である。
【0049】
図12を参照すると、フォームは同様の条件下で35℃でも試験した。弾性率は、35℃において、100Hzで約5×10
5Pa、1Hzでは8×10
3Paである。35℃において、E’(100Hz)/E’(1Hz)=62.5である。フォームのガラス転移温度が体温に近いため、35℃でのE’(100Hz)/E’(1Hz)値は25℃でのそれよりもはるかに大きくなる。したがって、フォームは体温で優れた周波数感度を持ち、即ち、体温での低周波数運動では低い弾性率を有し、高周波数運動では高い弾性率を有している。
【0050】
フォームがポリウレタンフォームの場合、次の成分を含んでいてもよい。100部のポリエーテル混合物、0.5~5部の発泡剤としての水、0.2~2部の泡安定剤、0.2~2部の気泡開放剤、0.1~1部の触媒混合物、及び、30~75部のジイソシアネート。イソシアネート基のモル数から全ヒドロキシル基のモル数に対して計算されたR値は、0.9~1.1の範囲である。このポリエーテル混合物は、3官能及び/又は2官能のポリエーテルを含み、分子量は500~8000の範囲である。ジイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、イソシアネートの異性体、及びその混合物から構成されている。
【0051】
ガラス転移温度は30~50℃の範囲にあってもよく、DMA試験により1Hzで測定された30~50℃のタンジェントデルタ値が0.5以上であってもよい。更に、温度が20℃から50℃に上昇するにつれて弾性率が減少してもよい。
【0052】
本発明の様々な実施形態では、他のタイプのフォームを使用することもできる。そのような例の1つは、限定されるものではないが、エネルギー吸収フォーム材料であり、それは、長い加圧時間では非耐衝撃構成であり、短い加圧時間では耐衝撃構成である。長い加力時間は約0.1秒から1,000秒であり、短い加力時間は約0.1秒以下である。短い加力時間の下では、エネルギー吸収フォーム材料の弾性係数は、長い加力時間の下でのそれよりも約10倍であり、エネルギー吸収フォーム材料がある程度の衝撃保護を提供するのに適していることを示している。低弾性率(非衝撃構成)から高弾性率(衝撃構成)への移行は、時間遅延なしで急速に行われる。一実施形態では、エネルギー吸収フォーム材料は、例えば、圧縮、張力、せん断、ねじれなど、様々な種類の荷重に対して柔軟且つ弾力性がある。更に、設計されたものの幾何学的図形/形状を適応させ、保護対象との密接な接触を維持する能力も備えている。これは保護材料として非常に重要である。なぜなら、誘発される損傷は、衝撃によって生じる最大の力を、力が加えられる面積で割った値に関係しているからである。本発明のエネルギー吸収フォーム材料は、衝撃エネルギーを吸収し、力が加えられた領域における力を低減することができるため、衝撃の応力及び圧力が大幅に低減される。
【0053】
フォーム材料は、少なくとも1つの形状記憶ポリマーフォームと添加剤とを含むことができる。形状記憶ポリマーフォームとしては、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、シリコーンゴムフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、エチレン酢酸ビニルフォーム、ポリエステルブロック共重合体フォーム、及びそれらの様々な組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。また、形状記憶ポリマーフォームの量は、その重量に対して少なくとも約50%である。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、難燃剤、無機充填剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、添加剤の量は、その重量に対して約50%未満である。
【0054】
本発明の様々な実施形態で提供される発泡材料は、閉鎖(closed)セルフォーム又は開放(open)セルフォームである。セルは、例えば、ガス、蒸気、発泡剤などを含んでいるが、これらに限定されるわけではない。例えば、ガスは、窒素又は二酸化炭素である。通常、ガス又は蒸気は、幾つかの実施形態では、用途に応じて材料内で均一に分散するか、又は不均一に分散している。フォーム材料内にガス又は蒸気が存在すると、フォーム材料の全体的な密度が低下するだけでなく、空気圧効果によりフォーム材料にクッション性がもたらされる。これらの空気圧減衰は、衝撃が突然発生したときにエネルギーを吸収及び消散させるために重要である。
【0055】
本発明のエネルギー吸収フォーム材料の弾性率は、例えば、温度、力を加える時間、荷重、又は周波数などの要因によって影響を受けるが、これらに限定されない。エネルギー吸収フォーム材料の弾性率は、35℃において、力印加時間約0.005~0.01秒(即ち周波数約100~200Hz)での弾性率が、力印加時間約1~10秒(即ち周波数約0.1~1Hz)での弾性率の約10倍である。更に、45℃を超える温度では、弾性率の差は約100倍に増加する。
【0056】
エネルギー吸収性フォーム材料のガラス転移温度は、加圧時間約0.1秒~1秒(即ち約1~10Hzの周波数)における加圧温度以下であり、ゴム状で柔軟でフレキシブルな挙動を示す。更に、エネルギー吸収性フォーム材料のガラス転移温度は、加圧時間約0.01秒~0.001秒(即ち約100~1000Hzの周波数)における加圧温度より高く、ガラス状で硬く剛性の挙動を示す。フォーム材料の降伏点は、約0.5kPa~1MPaである。一方、降伏応力は約0.5kPa~1MPaである。降伏点を超えると、ある程度の変形は容易に起こる。
【0057】
C.非ニュートン性フォームを組み込んだ身体保護要素
【0058】
第3の態様において、本発明の様々な実施形態の自動フィッティング及びサポートフォームは、身体保護装備(equipment)に適用することができる。この装備には、すね当て、足首当て、手首プロテクター、膝パッド、脚シールド、胴体シールド、手袋、肩パッド、ヘルメット、履物などが含まれるが、これらに限定されない。これらの各実施形態では、自動フィッティング及びサポートフォームを身体に適合するハウジング内に容易に適用して、ユーザの自由な動きを可能にしながら、物体、人、又は着用者からの衝撃(例えば落下又は無生物との衝突による)から完全に保護する柔軟な着用可能なシールドを作成することができる。
【0059】
図13は、保護要素を示す明るい部分と共に、自動フィッティング及びサポートフォームを組み込んだ様々な身体保護衣類及びギアを示している。具体的な保護要素には、肩、首、腕、脚、膝、手首、胴体のプロテクタが含まれ、シェルとして身体に適合する形状になっており、内部には自動フィッティング及びサポートフォームが充填されている。
図14は、保護要素を示す明るい部分と共に、自動フィッティング及びサポートフォームを組み込んだ様々な履物を示している。自動フィッティング及びサポートフォームは、様々な技術を通じて、身体を保護する衣類、ギア、及び履物に組み込むことができる。例えば、限定されないが、保護要素は、押し出し、射出成形、打ち抜き、成形、ホットプレス、3D印刷、切断及び縫製、又はシームレス接合技術によって形成されてもよい。
【0060】
本明細書を通じて、文脈上別段の要求がない限り、「comprise」又は「comprises」若しくは「comprising」などの変形は、記載された整数又は整数群を含むことを意味し、他の整数又は整数群を排除することを意味しない。また、本開示において、特に特許請求の範囲及び/又は段落において、「comprises」、「comprised」、「comprising」などの用語は、それに起因する意味を有することができることに留意されたい。例えば、それらは、明示的に記載されていない要素を許容するが、先行技術に見出される要素又は本発明の基本的又は新規な特徴に影響を及ぼす要素を除外する。
【0061】
更に、本明細書および請求の範囲を通して、文脈上別段の要求がない限り、「include」または「includes」若しくは「included」などの変形は、記載された整数又は整数群を含むことを意味し、他の整数又は整数群を排除することを意味しない。
【0062】
本明細書における明細書での「one embodiment」、「an embodiment」、「an example embodiment」等への言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造又は特性を含むことができるが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造又は特性を含むとは限らないことを示している。更に、そのような表現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して記述されている場合、明示的に記述されているかどうかにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、又は特性に影響を与えることは、当業者の知識の範囲内である。
【0063】
これらの教示を考慮すると、添付の特許請求の範囲に記載されているように、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく代替の実施形態を実施できることが当業者には理解されるであろう。本発明は、上記の明細書及び添付の図面と併せて見た場合、全ての実施形態及び修正を含む以下の請求項によってのみ限定される。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2022年2月9日に出願された米国仮特許出願第63/308,479号、及び、2022年6月27日に出願された米国仮特許出願第63/355,634号に対する優先権を主張し、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】