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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-26
(54)【発明の名称】高湿度に耐える微小静電洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/40 20060101AFI20250218BHJP
   B03C 3/41 20060101ALI20250218BHJP
   B03C 3/45 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
B03C3/40 A
B03C3/41 Z
B03C3/45 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546030
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 CN2022142361
(87)【国際公開番号】W WO2024077783
(87)【国際公開日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】202211260929.9
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524287864
【氏名又は名称】愛優特空気技術(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AirQuality Technology (Shanghai) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 1199, Yixian Road, Baoshan District, Shanghai 200439, China
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】龍 時丹
(72)【発明者】
【氏名】孟 山青
(72)【発明者】
【氏名】張 環宇
(72)【発明者】
【氏名】姜 可鈞
(72)【発明者】
【氏名】李 沁
【テーマコード(参考)】
4D054
【Fターム(参考)】
4D054AA13
4D054BA01
4D054BC13
4D054CA08
4D054CA19
(57)【要約】
本発明は、高湿度に耐える微小静電洗浄装置を開示し、イオン化モジュール、微小静電フィルタおよび電源モジュールを備え、フィルタコアの炭素電極の長手方向の両端に絶縁性誘電体材料にそれぞれ第1の電極帯および第2の電極帯を内側に装入した後に、封止材で封止し、各リード線の接合部に対してグルーポッティングにより封止し、フィルタコアの完全な封止を実現する。電源モジュールと電極帯との接続、および電極接触片と外部電源との接続は、構造設定によって完全に封止される。同時に、電流制限保護回路を設定しており、動作電流をリアルタイムで監視し、動作電流の瞬間的な変化が閾値を超えると、電流制限保護を行う。本発明によれば、湿度の高い環境では、動作の安定性を向上させ、作業効率と保塵能力を保証し、漏電、アーク放電などの現象を回避することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高湿度に耐える微小静電洗浄装置であって、前記高湿度に耐える微小静電洗浄装置はフィルタコア(3)を備え、
前記フィルタコア(3)は、上下パネルの間に空気通路を有する絶縁誘電体板材が積層してなり、前記上下パネルの間に間隔保持用隔離部材(102)が配置され、前記間隔保持用隔離部材(102)と上下パネルとが空気通路を形成し、前記絶縁誘電体板材のパネルには電極材料が設けられており、前記電極材料は絶縁誘電体板材の4辺に対してそれぞれプリセット距離で凹んでおり、且つ長手方向の一端の凹み距離は他端の凹み距離よりも大きく、電極材料が設けられた前記絶縁誘電体板材を積層する場合に、上下の2層が水平方向に逆方向に積層され、前記フィルタコア(3)の縁は、熱溶融切断処理によって電極材料を完全に封止し、
前記フィルタコア(3)の長手方向の両端には、熱溶融切断によって第1の電極帯(71)および第2の電極帯(72)を収容するための2つの電極帯収容溝がそれぞれ切り出され、前記第1の電極帯(71)および前記第2の電極帯(72)は、それぞれ当該電極帯が位置する一端における凹み距離の短い電極材料と電気的に結合され、
前記第1の電極帯(71)および第2の電極帯(72)には、それぞれ絶縁リード線が接続されおり、前記第1の電極帯(71)および第2の電極帯(72)と絶縁リード線に接続される接合部は、前記フィルタコア(3)の電極帯収容溝に封止されている。
【請求項2】
前記高湿度に耐える微小静電洗浄装置は、前記フィルタコア(3)を収容する上部ハウジング(1)と下部ハウジング(2)とをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の高湿度に耐える微小静電洗浄装置。
【請求項3】
前記第1の電極帯(71)および第2の電極帯(72)に接続される絶縁リード線の他端は、電源モジュールに接続し、前記電源モジュールは外部の電源モジュールであり、前記電源モジュールは、サンプリング・比較回路、電流制限回路および電圧調整回路を備え、前記サンプリング・比較回路は、出力電圧変化を検出すると、電圧調整回路によって出力電圧を定電圧出力に調整し、前記サンプリング・比較回路は、電流変化が設定された閾値を超えたことを検出した後、電流制限回路によって負荷電流を制限し、前記微小静電フィルタは、電源モジュールに接続される第1の電極接触片(41)および第2の電極接片(42)とをさらに備え、前記第1の電極接触片(41)は絶縁リード線を介して第1の電極帯(71)と接続し、前記第2の電極接触片(42)は絶縁リード線を介して前記第2の電極帯(72)と接続する、ことを特徴とする請求項2に記載の高湿度に耐える微小静電洗浄装置。
【請求項4】
前記下部ハウジング(2)には、第1の電極接触片(41)および第2の電極接触片(42)をそれぞれ収容する第1のキャビティ部(21)および第2のキャビティ部(22)が設けられており、前記第1のキャビティ部(21)および第2のキャビティ部(22)は、前記第1の電極接触片(41)および第2の電極接触片(42)を収容した後、グルーポッティングにより封止される、ことを特徴とする請求項3に記載の微小静電洗浄装置。
【請求項5】
前記第1のキャビティ部(21)および第2のキャビティ部(22)の内部にはそれぞれ2つの半突起状の仕切り片が配置され、前記第1の電極接触片(41)および第2の電極接触片(42)の中間部は凹状になっており、前記仕切り片の間に挟まれている、ことを特徴とする請求項4に記載の高湿度に耐える微小静電洗浄装置。
【請求項6】
前記下部ハウジング(2)には、第1のキャビティ部(21)と第2のキャビティ部(22)との間に2つの溝が設けられている、ことを特徴とする請求項4に記載の高湿度に耐える微小静電洗浄装置。
【請求項7】
前記第1の電極帯(71)および第2の電極帯(72)に接続される絶縁リード線の他端は、電源モジュールに接続し、前記電源モジュールは上部ハウジングまたは下部ハウジング内に設けられる内蔵の電源モジュールであり、前記電源モジュールは、サンプリング・比較回路、電流制限回路および電圧調整回路を備え、前記サンプリング・比較回路は、出力電圧変化を検出すると、電圧調整回路によって出力電圧を定電圧出力に調整し、前記サンプリング・比較回路は、電流変化が設定された閾値を超えたことを検出した後、電流制限回路によって負荷電流を制限し、前記電源ジュールの出力端は、絶縁リード線を介して第1の電極帯(71)および第2の電極帯(72)に接続し、前記電源モジュールの入力端は、絶縁リード線を介して第3の電極接触片および第4の電極接触片に接続し、前記第3の電極接触片および第4の電極接触片は、上部ハウジング(1)または下部ハウジング(2)に開けられたキャビティ部内に挟まれ、前記第3の電極接触片および第4の電極接触片と絶縁リード線との接続部、前記電源モジュールと絶縁リード線との接続部は、グルーポッティングにより封止される、ことを特徴とする請求項2に記載の高湿度に耐える微小静電洗浄装置。
【請求項8】
前記上部ハウジング(1)または下部ハウジング(2)の両側には、磁石(11)がさらに設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の高湿度に耐える微小静電洗浄装置。
【請求項9】
前記フィルタコア(3)の絶縁誘電体板材の空気通路は、四辺形の空気通路であり、前記四辺形の空気通路は千鳥状に分布されており、1枚の絶縁誘電体板材の四辺形の空気通路の間隔保持用隔離部材は、他の1枚の絶縁誘電体板材の四辺形の空気通路の2つの間隔保持用隔離部材の間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の高湿度に耐える微小静電洗浄装置。
【請求項10】
前記電極材料は、絶縁誘電体板材の4辺に対してプリセット距離で凹んでおり、且つ長手方向の一端の凹み距離は他端の凹み距離よりも大きく、
長手方向の一端の凹み距離は10から30mmであるが、他端の凹み距離は2から10mmであり、
左右両辺が縁からの凹み距離は2から15mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の高湿度に耐える微小静電洗浄装置。
【請求項11】
前記電極帯収容溝の底部は、位置する一端における凹み距離の短い電極材料に到達し、または位置する一端の凹み距離の短い電極材料に0から10mmまで延在し、電極帯収容溝の底部の幅が2から10mmであり、2つの前記電極帯収容溝は、前記第1の電極帯(71)および第2の電極帯(72)にマッチしている、ことを特徴とする請求項1に記載の高湿度に耐える微小静電洗浄装置。
【請求項12】
前記絶縁誘電体板材の原料が、重量割合が89から93%の粒状絶縁性誘電体原料と、重量割合が3%から8%の難燃剤と、重量割合が1%から3%のカラーマスターバッチとを含み、前記粒状絶縁誘電体原料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリイミドの少なくとも1つであり、前記難燃剤は、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソトリメラネート、トリブロモフェノール、トリメチルフェニルホスフェート、トリフェニルホスホネートまたはジメチルメチルメチルホスホン酸の少なくとも1つである、ことを特徴とする請求項1に記載の高湿度に耐える微小静電洗浄装置。
【請求項13】
電極材料が設けられた前記絶縁誘電体板材を積層した後、電極材料が露出した一側に、電極材料を設けていない絶縁誘電体板材を少なくとも1層覆う、ことを特徴とする請求項1に記載の高湿度に耐える微小静電洗浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、空気洗浄技術の分野に属し、特に高湿度に耐える微小静電洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微小静電集塵機(Micro Electrostatic Precipitator)は、誘電体材料をキャリアとした強電界を利用して空気を洗浄する技術である。誘電体材料は電極シートを包み込んでハニカム状中空微多孔性通路を形成し、通路内に強い電界を形成し、空気中を移動する荷電粒子に大きな引力を加えると同時に、粒子粒子に付着したバクテリア、ウイルス、その他の微生物を収集し、強電界で死滅させることができる。微小静電技術は、PM1.0、PM2.5、PM10を効率的に除去するだけでなく、白色ブドウ球菌、天然細菌、H1N1A型インフルエンザウイルス、SARS-CoV-2新型コロナウイルスなどの微生物も効果的に除去して、効率的で普遍的な滅菌と消毒を実現する。また、低抵抗、消耗品なし、安全で無害、人と機械の共存、有害物質(オゾンなど)の発生がないという特徴があるため、人間の居住地の洗浄および消毒製品に広く使用されている。
【0003】
微小静電技術では、イオン化エリア(イオン化モジュール)と集塵エリア(微小静電フィルタ)を含み、どちらも高圧電源によって給電される。電源は、イオン化モジュールと微小静電フィルタに内蔵されるか、イオン化モジュールと微小静電フィルタの外部に配置してワイヤーで接続することができる。イオン化モジュールの2つの典型的な形態によると、微小静電技術は、イオナイザーが電荷を放出する荷電式微小静電技術と、針先を備えた金属電極板で構成される電界モジュールで構成される電界式微小静電技術に分けることができる。前者は屋内の循環を伴う小さなスペースに適しており、後者は屋外の新鮮な空気が導入される場所や、複雑な気流構成を持つ大中規模のスペースに適している。
【0004】
相対湿度が80%より高い環境などの高湿度環境では、微小静電空気洗浄機は安定して継続的に動作できないことが多く、湿度の上昇とともに効率と保塵能力が急速に低下する。さらに、高湿度の場合、洗浄機内の微小静電フィルタの誘電体が破損したり、不合理な構造設計や封止のために漏れ経路が増加したりすると、微小静電フィルタは漏れ電流やアーク放電が非常に起こりやすくなり、洗浄機が正常に動作しなくなる。同時に、電圧および電流制御の失敗により、微小静電フィルタの電流漏れの箇所での誘電体材料の温度上昇、メルトスルー、および広い面積での焼損につながることさえある。市販の微小静電空気清浄機は、このような問題を解決できないので、高湿度環境での効率や粉塵保持能力の低下や、火災事故の原因と時々なっている。
【発明の概要】
【0005】
本出願の目的は、高湿度環境下での応用に対応するために、高湿度に耐える微小静電洗浄装置を提供することである。
【0006】
上記の目的を達成するために、本出願の技術案は下記のようである。
【0007】
高湿度に耐える微小静電洗浄装置であって、前記高湿度に耐える微小静電洗浄装置はフィルタコアを備え、
前記フィルタコアは、上下パネルの間に空気通路を有する絶縁誘電体板材が積層してなり、前記上下パネルの間に間隔保持用隔離部材が配置され、前記間隔保持用隔離部材と上下パネルとが空気通路を形成し、前記絶縁誘電体板材のパネルには電極材料が設けられており、前記電極材料は絶縁誘電体板材の4辺に対してそれぞれプリセット距離で凹んでおり、且つ長手方向の一端の凹み距離は他端の凹み距離よりも大きく、電極材料が設けられた前記絶縁誘電体板材を積層する場合に、上下の2層が水平方向に逆方向に積層され、前記フィルタコアの縁は、熱溶融切断処理によって電極材料を完全に封止し、
前記フィルタコアの長手方向の両端には、熱溶融切断によって第1の電極帯および第2の電極帯を収容するための2つの電極帯収容溝がそれぞれ切り出され、前記第1の電極帯および前記第2の電極帯は、それぞれ当該電極帯が位置する一端における凹み距離の短い電極材料と電気的に結合され、
前記第1の電極帯および第2の電極帯には、それぞれ絶縁リード線が接続されおり、前記第1の電極帯および第2の電極帯と絶縁リード線に接続される接合部は、前記フィルタコアの電極帯収容溝に封止されている。
【0008】
さらに、前記高湿度に耐える微小静電洗浄装置は、前記フィルタコアを収容する上部ハウジングと下部ハウジングとをさらに備える。
【0009】
さらに、前記第1の電極帯および第2の電極帯に接続される絶縁リード線の他端は、電源モジュールに接続し、前記電源モジュールは外部の電源モジュールであり、前記電源モジュールは、サンプリング・比較回路、電流制限回路および電圧調整回路を備え、前記サンプリング・比較回路は、出力電圧変化を検出すると、電圧調整回路によって出力電圧を定電圧出力に調整し、前記サンプリング・比較回路は、電流変化が設定された閾値を超えたことを検出した後、電流制限回路によって負荷電流を制限し、前記微小静電フィルタは、電源モジュールに接続される第1の電極接触片および第2の電極接片とをさらに備え、前記第1の電極接触片は絶縁リード線を介して第1の電極帯と接続し、前記第2の電極接触片は絶縁リード線を介して前記第2の電極帯と接続する。
【0010】
さらに、前記下部ハウジングには、第1の電極接触片および第2の電極接触片をそれぞれ収容する第1のキャビティ部および第2のキャビティ部が設けられており、前記第1の電極接触片および第2の電極接触片を収容した後、前記第1のキャビティ部および第2のキャビティ部は、グルーポッティングにより封止される。
【0011】
さらに、前記第1のキャビティ部および第2のキャビティ部の内部にはそれぞれ2つの半突起状の仕切り片が配置され、前記第1の電極接触片および第2の電極接触片の中間部は凹状になっており、前記仕切り片の間に挟まれている。
【0012】
さらに、前記下部ハウジングには、第1のキャビティ部と第2のキャビティ部との間に2つの溝が設けられている。
【0013】
さらに、本出願のもう一つの実施形態において、前記第1の電極帯および第2の電極帯に接続される絶縁リード線の他端は、電源モジュールに接続し、前記電源モジュールは上部ハウジングまたは下部ハウジング内に設けられる内蔵の電源モジュールであり、前記電源モジュールは、サンプリング・比較回路、電流制限回路および電圧調整回路を備え、前記サンプリング・比較回路は、出力電圧変化を検出すると、電圧調整回路によって出力電圧を定電圧出力に調整し、前記サンプリング・比較回路は、電流変化が設定された閾値を超えたことを検出した後、電流制限回路によって負荷電流を制限し、前記電源ジュールの出力端は、絶縁リード線を介して第1の電極帯および第2の電極帯に接続し、前記電源モジュールの入力端は、絶縁リード線を介して第3の電極接触片および第4の電極接触片に接続し、前記第3の電極接触片および第4の電極接触片は、上部ハウジングまたは下部ハウジングに開けられたキャビティ部内に挟まれ、前記第3の電極接触片および第4の電極接触片と絶縁リード線との接続部と、前記電源モジュールと絶縁リード線との接続部は、グルーポッティングにより封止される。
【0014】
さらに、前記上部ハウジングまたは下部ハウジングの両側には、磁石がさらに設けられている。
【0015】
さらに、前記フィルタコアの絶縁誘電体板材の空気通路は、四辺形の空気通路であり、前記四辺形の空気通路は千鳥状に分布されており、1枚の絶縁誘電体板材の四辺形の空気通路の間隔保持用隔離部材は、他の1枚の絶縁誘電体板材の四辺形の空気通路の2つの間隔保持用隔離部材の間に位置する。
【0016】
さらに、前記電極材料は、絶縁誘電体板材の4辺に対してプリセット距離で凹んでおり、且つ長手方向の一端の凹み距離は他端の凹み距離よりも大きく、
長手方向の一端の凹み距離は1010から30mmであるが、他端の凹み距離は2から10mmであり、
左右両辺が縁からの凹み距離は2から15mmである。
【0017】
さらに、前記電極帯収容溝の底部は、位置する一端における凹み距離の短い電極材料に到達し、または位置する一端の凹み距離の短い電極材料に0から10mmまで延在し、電極帯収容溝の底部の幅が2から10mmであり、2つの前記電極帯収容溝は、前記第1の電極帯および第2の電極帯にマッチしている。
【0018】
さらに、前記絶縁誘電体板材の原料が、重量割合が89から93%の粒状絶縁性誘電体原料と、重量割合が3%から8%の難燃剤と、重量割合が1%から3%のカラーマスターバッチとを含み、前記粒状絶縁誘電体原料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリイミドの少なくとも1つであり、前記難燃剤は、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソトリメラネート、トリブロモフェノール、トリメチルフェニルホスフェート、トリフェニルホスホネートまたはジメチルメチルメチルホスホン酸の少なくとも1つである。
【0019】
さらに、電極材料が設けられた前記絶縁誘電体板材を積層した後、電極材料が露出した一側に、電極材料を設けていない絶縁誘電体板材を少なくとも1層覆う。
【0020】
本出願に提出される高湿度に耐える微小静電洗浄装置では、相対湿度の高い環境での微小静電空気清浄機の動作が不安定で効率が低いという問題を考慮して、フレーム構造、電極回路の封止、フィルタ構造の設計、および電源の電流制限の四つの面において同時に改善し、フレーム構造、電極回路の封止性、フィルタ構造設計の合理性を向上させ、電源による電流の検出と制限を高めることで、高湿度環境において、作業の安定性を向上させ、作業効率と防塵能力を確保し、且つ、電流漏れ、低い高湿度効率、アーク放電などの問題を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本出願の微小静電洗浄装置の実施形態1の構成の模式図である。
図2】本出願の微小静電洗浄装置の実施形態1の分解図である。
図3】本出願の実施形態の絶縁誘電体板材の模式図である。
図4】空気通路の千鳥状配置の比較模式図である。
図5】本出願の絶縁誘電体板材の積層の模式図である。
図6】本出願のフィルタコアの構成の模式図である。
図7】本出願の実施形態の電極接触片の取付けキャビティの模式図である。
図8】本出願の実施形態の電極接触片の形状の模式図である。
図9】本出願の電源モジュールの内蔵の微小静電フィルタの分解図である。
図10】本出願の実施形態2の電源モジュールの取付け模式図である。
図11】本開示の実施形態の電源モジュールの構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願の目的、技術案および利点を、さらに明らかにするために、以下では、添付の図面および実施形態を参照し、本出願をさらに詳しく説明する。本明細書に記載の特定の実施形態は、本出願を解釈するためにのみ使用され、本願を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0023】
既存の微小静電洗浄装置は、高湿度環境下では以下のような問題を抱えている。
【0024】
1、微小静電洗浄装置のフレームや、電極回路が完全に封止されていないか、表面の誘電体材料が破損している。
微小静電洗浄装置の電極回路が完全に封止されていない場合、または表面の誘電体材料が破損している場合、高湿度環境や水滴の存在の場合、回路の短絡が形成されやすくなり、漏電、破壊、アークと点火が発生し、近くのコーティングされた誘電体材料も破壊されたり、発火したり、燃えたりする。また、吸着された粒子状物質が付着している場合、電極板上の電荷を濃縮しやすくなり、付着した粒子状物質も空気中の液滴を吸着しやすくなり、その膨らみは電流の漏れを増加させ、フィルタの効率を低下させ、コーティングされた誘電体材料をさらに破損し、正常で安全な動作に影響を与える可能性が高くなる。
【0025】
2、定電力電源の開ループ制御または電子制御ループの電流制限の設計はない。
特定の電圧上昇範囲では、微小静電洗浄装置の洗浄効率は電圧に比例し、電圧が高いほど洗浄効率が高くなる。空気湿度の上昇に伴い、電圧が高すぎるとアーク放電や発火が発生しやすくなり、少なくとも微小静電洗浄装置の故障につながり、最悪の場合、裸火による火災が発生する。現在、微小静電洗浄装置の電源モジュールのほとんどは定電力であり、開ループ制御、つまり負荷の変化に応じて出力電圧が変化する制御が採用されている。空気湿度の上昇に従い、微小静電洗浄装置のほこりの蓄積により、電圧の変化が発生し、洗浄効率の低下や故障さえも引き起こす。
【0026】
また、微小静電洗浄装置の電源モジュールは、一般に検出制御モジュールを持たず、電流への監視や制限はなく、すなわち負荷の変化に伴って出力電流が変化する。空気湿度の上昇に伴い、空気はイオン化または故障しやすくなり、微小静電洗浄装置のほこりの蓄積は、イオン化ギャップの縮小につながり、このときの電流は急激に増加し、完全な破壊で最大に達し、清浄機が短絡して焼損し、ひどい場合、裸火を引き起こすことがある。
【0027】
以下、本願における高湿度に耐える微小静電洗浄装置について、外部電源モジュールの実施形態と内蔵電源モジュールの実施形態の2つの実施形態を通じてそれぞれ説明する。
【0028】
図1および図2に示すように、実施形態1では、前記微小静電洗浄装置は、フィルタコア3を備え、ここで、
前記フィルタコア3は、上下パネルの間に空気通路を有する絶縁誘電体板材が積層してなり、前記上下パネルの間に間隔保持用隔離部材が配置され、前記間隔保持用隔離部材と上下パネルとが空気通路を形成し、前記絶縁誘電体板材のパネルには電極材料が設けられており、前記電極材料は絶縁誘電体板材の4辺に対してそれぞれプリセット距離で凹んでおり、且つ長手方向の一端の凹み距離は他端の凹み距離よりも大きく、電極材料が設けられた前記絶縁誘電体板材を積層する場合に、上下の2層が水平方向に逆方向に積層され、前記フィルタコア3の縁は、熱溶融切断処理によって電極材料を完全に封止し、
前記フィルタコア3の長手方向の両端には、熱溶融切断によって第1の電極帯71および第2の電極帯72を収容するための2つの電極帯収容溝がそれぞれ切り出され、前記第1の電極帯71および前記第2の電極帯72は、それぞれ当該電極帯が位置する一端における凹み距離の短い電極材料と電気的に結合され、
前記第1の電極帯71および第2の電極帯72には、それぞれ絶縁リード線が接続されおり、前記第1の電極帯71および第2の電極帯(72)と絶縁リード線に接続される接合部は、前記フィルタコア3の電極帯収容溝に封止されている。
【0029】
本実施形態の一つの具体的実現方式では、高湿度に耐える微小静電洗浄装置は、上部ハウジング1と下部ハウジング2とをさらに備える。前記上部ハウジング1および下部ハウジング2は組合せて、フィルタコア3を収容する空間を形成し、フィルタコア3をその内部に収容する。
【0030】
なお、本願は、フィルタコアを収容するハウジングの具体的な組成形態を限定するものではなく、図1の実施形態は、1つの形態のみを具体化しており、例えば、箱を直接設けて、フィルタコアをその内部に収容してもよく、またはフィルタコアを挟み込んで使用するための両端の留め具を直接採用するなども可能である。
【0031】
具体的には、フィルタコア3は、多層の絶縁誘電体板材が積層してなる。図3に示すように、単層の絶縁誘電体板材は、上下のパネルと、上下のパネルの間に設けられた間隔保持用隔離部材102を備え、間隔保持用隔離部材と上下のパネルとが空気通路101を形成している。間隔保持用隔離部材の支持効果により、絶縁誘電体板材の形状がよく保たれ、両側の電極材料の間隔が固定され、発火しにくくなり、非平行の電極によって引き起こされるコロナ放電の問題が回避される。
【0032】
本実施形態では、好ましくは、空気通路は四角形であり、勿論、三角形や台形などの他の形状としてもよい。1つの特定の実施形態において、絶縁誘電体板材が積層される時、隣接する絶縁誘電体板材の四辺形の空気通路は千鳥状に分布されておる。図4に示すように、1枚の絶縁誘電体板材の四辺形の空気通路の間隔保持用隔離部材は、他の1枚の絶縁誘電体板材の四辺形の空気通路の2つの間隔保持用隔離部材の間に位置する。空気通路が他の形状の場合は、間隔保持用隔離部材が互いにずれるように、空気通路も千鳥状に分布される。
【0033】
図4の左側の間隔保持用隔離部材は互いにずれていないので、上下の空気通路の隅部に集塵すると、電極間の破壊や発火を引き起こしやすくなる。本願では、図4の右側の設計が採用されている。すなわち、四辺形の空気通路の間隔保持用隔離部材は、別の絶縁誘電体板材の四辺形の空気通路の2つの間隔保持用隔離部材の間に位置し、好ましくは、中間位置に位置する。このような設計により、四角形の空気通路の各隅部がずれており、集塵が発生しても集塵による短絡が形成されないため、高湿度環境での発火を効果的に回避できる。各帯状電極は平行で等距離にあるため、電極が平行でないことによるコロナ放電の問題を回避できる。
【0034】
洗浄装置が粒子状物質を吸着する際に、間隔保持用隔離部材が絶縁誘電体板材とほぼ90度の直角を形成するため、ここで空気との間に摩擦が発生し、粒子状物質などの汚れは、この曲がり角に集中しやすくなり、絶縁誘電体板材の空気流の方向を向く側にも、粒子状物質などの汚れも付着しやすい。したがって、後の操作では、この2つの場所に汚れが蓄積する可能性が高くなり、つまり、漏れ経路の抵抗値が小さくなり、漏れ電流が増加しやすくなる。
【0035】
同じ絶縁誘電体板材にある上の間隔保持用隔離部材と下の間隔保持用隔離部材は同じ直線上に配置されると、吸着された汚れは4つの直角および絶縁誘電体板材の風上側にで最速で蓄積し、そして他の絶縁誘電体板材との漏れ経路の抵抗が最速で減少し、漏れ電流の発生が増加する。本願の千鳥状に配置された間隔保持用隔離部材は間違いなく、限られたスペース内で、漏れ経路を最小限に抑制する。
【0036】
このようにして、エアコンボックスの内部で一般的に用いられている静電洗浄装置を例として、幅310mm(長さ500mm、厚さ50mm)の洗浄装置であると、2.14mmの厚さごとに集塵スペースを形成するか、隣接する高電位と低電位の絶縁誘電体板材が占める集塵スペースである場合、合計144の集塵スペースがあることで、電流が漏れる可能性のある288の漏れ経路が排除される。一部の応用分野では、集塵スペースの厚さは約1mmに達し、同じ幅で、漏れ電流を生成する経路はより多くなるが、本願の設計を採用することで、漏れ経路を大幅に減らし、漏れ電流の発生を減らすことができる。
【0037】
本実施形態では、絶縁誘電体板材のパネル上に電極材料を設けており、通常、一方の面に設けられる。前記電極材料は、絶縁誘電体板材の4辺に対してそれぞれププリセット距離で凹んでおり、すなわち、縁から一定の距離が保たれているため、電極と周囲の物品との間の放電現象を避ける。長手方向の一端の凹み距離が他端の凹み距離より大きく、積層する場合に、上下の2層が水平方向に逆方向に積層される。図5に示すように、積層する場合、隣接する2層は水平方向に逆向きであり、例えば、上層の電極材料の大きい凹み距離(L2)が右側にあり、小さい凹み距離(L1)が右側にあるが、隣接する下層では、大きい凹み距離が左側にあり、小さい凹み距離が右側にある。
【0038】
たとえば、長手方向の一端の凹み距離は10から30mmであるが、他端の凹み距離は2から10mmであり、左右両辺が縁からの凹み距離は2から15mmである。電極材料の左右両辺は、フィルタコアの縁から一定の距離に保たれていることで、電極の発火を防ぐことができる。電極材料の長さおよび幅は、フィルタコアの設計に適合され、ここでは限定されない。電極材料は、樹脂、導電性材料、難燃剤、接着剤、その他の材料で構成され、半導電性を持ち、その内部抵抗が105から108メガオームの範囲内に収まる。
【0039】
静電洗浄装置では、2組の絶縁誘電体板材の間に大きな漏れ電流が発生すると、板間の電圧が低下し、粒子状物質の一回の洗浄効率が低下することに注意する必要がある。高圧電源モジュールが定電圧出力を採用している場合、漏れ電流の増加に伴って消費電力が増加し、当該高圧電源の最大電流に達すると、洗浄装置の両端にかかる電圧が低下するか、静電洗浄装置の効率が低下する。同時に、漏れ電流の増加は局所的な発火またはアブレーションを引き起こし、洗浄装置の構造を破壊する。したがって、本願では、電極材料が絶縁誘電体板材に異なる深さで凹むことで、漏れ電流の発生を最小限に抑える。
【0040】
静電洗浄装置における漏れ電流の主な原因は、電位の異なる2組の絶縁誘電体板材に沿った漏れ電流である。この漏れ電流は、絶縁誘電体板材の間の電圧、漏れ距離の長さ、作業環境の相対湿度、および絶縁誘電体板材の表面の導電率の影響を受ける。クリーンな洗浄装置には、外的要因によって漏れ電流が増加するという問題はない。洗浄が必要な空気が洗浄装置を通過すると、空気中の汚染物質やその他の汚れが洗浄装置の絶縁誘電体板材に吸着され、蓄積し続けるため、絶縁誘電体板材間の漏れ距離が短くなり、漏れ電流が増加する。同時に、絶縁誘電体板材に蓄積された汚れのほとんどはかなりの導電率を持っているので、絶縁誘電体板材の表面の導電率を高め、漏れ電流を増加させる。同じ条件で、相対湿度が上昇すると、電位の異なる2組の絶縁誘電体板材の間の物理的距離によって生成される抵抗も減少し、漏れ電流の発生も増加する。漏れ電流の発生を減らすために、2組の絶縁誘電体板材間の電圧を下げるのは一方向であるが、そうすると絶縁誘電体板材間の電界強度が低下し、荷電粒子状物質が絶縁誘電体板材間の空間を通過するときに受ける電界力が低下するため、絶縁誘電体板材間の電圧を下げると粒子状物質などの汚染物質の吸着能力が弱まり、静電洗浄装置の洗浄効率に影響を与える。
【0041】
したがって、本願の電極材料が絶縁誘電体板材の両端に凹んだ距離が異なるため、積層してノッチを溶断した後、高電位と低電位の絶縁誘電体板材は大きな物理的空間隔離を形成することができ、漏れ電流が発生する可能性が大きく減少する。絶縁誘電体板材の端部にいくらかの汚れが蓄積しても、高電位と低電位の絶縁誘電体板の間の距離が長いため、つまり漏れ経路が長いため、漏れ電流が発生しにくくなる。
【0042】
本実施形態では、電極材料が設けられた絶縁誘電体板材を採用しており、積層層数は、最終的に必要なフィルタコアのサイズに応じて決定される。さまざまな積層方法により、電極材料のある側をフィルタコア全体に包み込めるため、電極材料の露出を回避できる。また、積層した後に電極材料が露出した一側に、電極材料を設けていない絶縁誘電体板材を少なくとも1層覆うことにより、絶縁誘電体中に電極材料を完全に封止することも可能である。または、他の絶縁誘電体材料の層で覆うが、ここでは繰り返しない。
【0043】
従来の絶縁誘電体板材の層間に効果的なプレスはなく、層間のギャップはプリント回路の露出につながりやすく、漏れ電流やアーク放電を引き起こす。層間には接着剤ペースト法が使用され、熱などの外部の影響により、内部の封止性が悪くなったり、プリント回路が露出したりして、漏れ電流やアーク放電が発生する可能性がある。本願では、フィルタコアを切り取るために電熱線での熱溶融切断の方法を創造的に採用し、フィルタコアの各縁は電熱線は熱溶融切断によって切断される。電熱線での熱溶融切断を行う時、切断縁の絶縁誘電体材料が熱溶融によってわずかに液化してカールエッジを形成し、冷却後、層間の切断縁とブレンドして電極材料に対した封止を形成する。本願は、従来の処理方法によって引き起こされる内部封止不良と露出プリント回路の問題を克服し、電流漏れやアーク放電が発生しやすく、絶縁誘電体材料が破損することなく完全に覆われていることを実現できる。
【0044】
1つの特定の実施形態では、周囲温度が24から25℃の場合、電熱線の加熱温度範囲は190℃から210℃、好ましくは200℃である。電熱線の推進速度は5から20mm/minであり、好ましくは12mm/minである。
【0045】
本願の絶縁誘電体板材の原料には、粒状絶縁誘電体原料、難燃剤、カラーマスターバッチが含まれ、二次造粒が最初に行われる。二回目の造粒の前に、粒状絶縁誘電体原料を乾燥させる。乾燥することにより、誘電体材料中の水蒸気を蒸発させて、押出成形中に気泡が発生し、電極材料の隔離支持フレームの表面の平坦度に影響を与えることを回避できる。具体的には、本実施形態における粒状絶縁誘電体原料、難燃剤およびカラーマスターバッチの重量比率は、それぞれ乾燥処理後の粒状絶縁誘電体原料89%から93%、難燃剤3%から8%、およびカラーマスターバッチ1%から3%である。
【0046】
その中で、粒状絶縁誘電体の原料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリイミドの中の1種類であるか、またはその中の多種類が混合されてなる。難燃剤は、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソトリメラレート、トリブロモフェノール、トリメチルフェニルホスフェート、トリフェニルホスホネート、またはジメチルメチルメチルホスホネートの1種類であるか、またはその中の多種類が混合されてなる。マスターバッチは、選択した粒状絶縁誘電体原料に対応するカラーマスターバッチである。
【0047】
二回目の造粒後の原料は、メルトインデックスは3から6g/10minである。低すぎると、熱溶融切断の時すぐに液体に変わり、高すぎると、熱溶融切断がそのカールエッジが内部電極材料を完全に覆えなくなる。
【0048】
図6に示すように、2つの電極帯収容溝は、熱溶融切断により前記フィルタコア3の長手方向の両端、すなわち第1の溝31および第2の溝32にそれぞれ切り出されており、電極帯収容溝は、電極材料が位置する平面に対して垂直である。電極帯は導電性を持ち、その材料がここでは限定されない。
【0049】
絶縁誘電体板材上の電極材料は長手方向の両端で凹んだ距離が異なっているため、積層後、電極材料の一部が第1の溝31側に、第1の溝31に隣接し、電極材料の他の一部が第1の溝31から遠く離れており、この遠く離れた電極材料の一部が第2の溝32側に、第2の溝32に隣接する。
【0050】
このようにして、第1の電極帯71および第2の電極帯72をそれぞれ第1の溝31および第2の溝32に装入した後、それぞれ隣接する電極材料と電気的に結合して、静電洗浄装置の正電極および負電極を形成する。
【0051】
いくつかの実施形態では、前記電極帯収容溝の底部は、位置する一端における凹み距離の短い電極材料に到達し、または位置する一端の凹み距離の短い電極材料に0から10mmまで延在し、電極帯収容溝の底部の幅が2から10mmであり、2つの前記電極帯収容溝は、前記第1の電極帯71および第2の電極帯72にマッチしていることで、独立した封止スペースを形成する。グルーポッティングにより、電極帯とその接合部を電極帯保持溝に封止し、より優れた封止効果を実現する。
【0052】
本実施形態における電極帯と電極材料との結合態様は、電気誘導であり、切断時に電極帯収容溝を熱溶融により切断し、切り出される深さは、収容溝の底部が収容溝が位置する一端における凹み距離の短い電極材料にちょうど接触する程度であるか、または収容溝が位置する一端における凹み距離の短い電極材料に延在する程度である。このように、装入された電極帯と電極材料は良好な電気誘導を有し、荷電効果は良好である。
【0053】
図2に示すように、前記第1の電極帯71および第2の電極帯72には、それぞれ絶縁リード線が接続されおり、第1の溝31および第2の溝32が封止材(91、92)で封止されることで、前記第1の電極帯71および第2の電極帯72と絶縁リード線に接続される接合部は、前記フィルタコア3の電極帯収容溝に封止され、完全な封止が実現される。
【0054】
前記第1の電極帯(71)および第2の電極帯(72)に接続される絶縁リード線の他端は、電源モジュールに接続し、前記電源モジュールは、サンプリング・比較回路、電流制限回路および電圧調整回路を備え、前記サンプリング・比較回路は、出力電圧変化を検出すると、電圧調整回路によって出力電圧を定電圧出力に調整し、前記サンプリング・比較回路は、電流変化が設定された閾値を超えたことを検出した後、電流制限回路によって負荷電流を制限する。
【0055】
本実施形態では、電源モジュールを外部とし、電源モジュールの出力を当該装置の電極接触片に接続し給電し、電極接触片が絶縁リード線を介して電極帯に接続する。電源モジュールは外部とされるため、絶縁リード線の他端は、2つの電気接触片に接続し、それぞれ第1の電極接触片41および第2の電気接触片42であり、第1の電極接触片41および第2の電気接触片42は、絶縁リード線を介して外部電源に接続する。
【0056】
具体的には、本実施形態では、電源モジュールに接続する第1の電極接触片41は、第1の絶縁リード線5を介して第1の電極帯71に接続され、第2の電極接触片42は、第2絶縁リード線6を介して第2の電極帯72に接続されている。第1の電極帯71および第2の電極帯72が、電極帯収容溝(第1の溝31および第2の溝32)に内蔵され、その後、2つの電極帯収容溝は、封止材(91および92)で封止される。
【0057】
図1に示すように、前記下部ハウジング2の第1の溝31に対応する一端には、第1の電極接触片41および第2の電極接触片42をそれぞれ収容する第1のキャビティ部21および第2のキャビティ部22が設けられており、前記第1の電極接触片41および第2の電極接触片42を収容した後、前記第1のキャビティ部21および第2のキャビティ部22は、グルーポッティングにより封止される。
【0058】
本願では、フィルタコア内の電極材料、または電極接触片と電極帯、およびそれらの接続部位に関係なく、絶縁誘電体材料または封止材によって完全に封止されているため、電極の封止と絶縁が実現され、相対湿度>80%の高湿度環境でもスムーズに動作できる。
【0059】
本願は、封止性の問題によって引き起こされる漏れ電流の増加を解決し、絶縁誘電体板材の両端に電熱線で溝を切り取り、一端の溝の深さは、当該端における凹み距離が短い電極材料の外縁部にちょうど達し、もう一端の溝の深さは、当該端における凹み距離が短い電極材料の外縁部にちょうど達し、且つ溝の3つの側面の電極材料支持フレームの上端面と下端面の間を熱溶融接着封止し、空気の流れの方向に沿って空気中に水や粒子などの汚れが浸漬するのを防ぎ、溝と気流通路を互いに隔離して、溝が独立したスペースになるようにする。
【0060】
電極帯は、それにマッチする溝に埋め込まれ、絶縁封止材をポッティングされ、電極帯が溝に電流が漏れるのを防ぐように、電極帯が溝にしっかりと固定される。同時に、電極帯の一端を高電圧電源モジュールの直流高電圧出力線に接続して洗浄装置の高電圧を形成し、高電圧の電極材料への誘起電圧を使用し、電極帯を電極材料と連通し、連続的に積層された絶縁誘電体板材の間に必要な電圧値を形成する。
【0061】
この独創的な設計により、漏れ電流の発生が最小限に抑えられる。電極材料が絶縁誘電体板材の内部に封入され、高電圧に接続された電極帯が溝の内部に封入され、両者の間に既存の技術とは異なる直接接続を使用し、電気的接続は高電圧誘導の形で行われ、漏れ電流の発生経路を大幅に短縮するのに役立っている。
【0062】
他の一実施形態では、図7、8に示すように、前記第1のキャビティ部21および第2のキャビティ部22の内部にはそれぞれ2つの半突起状の仕切り片が配置され、前記第1の電極接触片41および第2の電極接触片42の中間部は凹状になっており、前記仕切り片の間に挟まれている。
【0063】
本実施形態の電極接触片は、前記仕切り片に挟まれており、仕切り片は、第1のキャビティ部21および第2のキャビティ部22の内部にラビリンスを形成した後、封止材ポッティングにより封止される。ラビリンス式の封止構造が設計され、露出した電極は接着剤で封止される。回路内の露出した電気接点については、接着剤で封止され、2者がしっかりとシームレスに接着することで、回路の防水設計を実現する。電極接触片は絶縁下部ハウジング2と緊密に結合され、溶融状態の絶縁封止材タンクが第1キャビティと第2キャビティに設置され、電極接触片が封止材に完全に沈められるため、電極の封止と絶縁が実現される。リード線5または6は、第1のキャビティ部21および第2のキャビティ部22の隣の溝に沿って延び出して、第1の電極帯71および第2の電極帯72に接続されている。
【0064】
別の1つ特定の実施形態では、図7に示すように、前記下部ハウジング2は、第1のキャビティ部21と第2のキャビティ部22との間に2つの溝が設けられている。水やほこりの存在下で沿面距離を長くすることができる。
【0065】
本実施形態1における前記電源モジュールは、サンプリング・比較回路、電流制限回路および電圧調整回路を備え、前記サンプリング・比較回路は、出力電圧変化を検出すると、電圧調整回路によって出力電圧を定電圧出力に調整し、前記サンプリング・比較回路は、電流変化が設定された閾値を超えたことを検出した後、電流制限回路によって負荷電流を制限する。
【0066】
ここで、サンプリング・比較回路は、出力電圧と電流を検出し、出力電圧変化を検出すると、電圧調整回路によって出力電圧を定電圧出力に調整することで、負荷が変化すると、電圧が設定値と一致するように自動的に調整され、定電圧で安定的な出力電圧に保たれる。よって、さまざまな湿度環境で高い洗浄効率を維持できる。電流変化が設定された閾値を超えると、電流制限回路を回路に追加し、電流制限回路によって負荷電流を制限するため、動作電流の瞬間的な変化が閾値を超えると電流制限保護を実行し、負荷が異常に変化して動作電流の瞬間的な変化が大きくなったり、定格値を超えたりすると、自動的に電流制限回路に切り込み(約100メガオームの電流制限抵抗であり、異なるフィルタコアは異なるマッチング抵抗で設計される)、電流の激変と上限を制限することで、高湿度環境でフィルタが発火しないようにし、安全で信頼性がある。
【0067】
前の実施形態では、外部電源モジュールを介して電力が供給される。本願の電源モジュールは、高湿度に耐える微小静電洗浄装置のハウジングに組み込み、外部交流電源に接続し給電されることもできる。
【0068】
本願では、上部ハウジングと下部ハウジングをフィルタコアと固定する場合、ハウジング内部の周囲にホットメルト接着剤の層を塗布するか、フィルタコアの風上側縁と風下側縁に沿ってホットメルト接着剤の層を塗布して、ハウジングとフィルタコアとの連結の堅固さと封止性を高める。同時に同じ幅の絶縁誘電体板材をフィルタコアの長手方向の両端に接着して、封止性を高めることもできる。
【0069】
実施形態2は、図9及び図10に示すように、本実施形態の電源モジュール10がハウジングに内蔵され、電極接触片を介して外部電源に接続されている。
【0070】
本実施形態では、電源モジュール10の入力端には第3の電極接触片43および第4の電極接触片44が絶縁リード線7および8を介して接続され、第1の電極帯71および第2の電極帯72は、絶縁リード線5および6を介して電源モジュール10の出力端に接続されている。
【0071】
第1の電極帯71と第2の電極帯72とを絶縁リード線で接続した後、封止材(91、92)でグルーポッティングにより封止する。電源モジュールと絶縁リード線との接続部も同じく封止材で封止されている。
【0072】
同様に、ハウジング(上部ハウジングまたは下部ハウジング)には電極接触片を取り付けるためのキャビティ部が配置され、電極接触片を絶縁リード線で接続した後、キャビティ部内に配置して封止材で封止する。
【0073】
本実施形態では、上部ハウジング1または下部ハウジング2の両側に磁石11がさらに配置されており、磁石が微小静電空気清浄機の外部の筐体と作用することで、微小静電空気清浄機を筐体内に安定して設置することができる。
【0074】
なお、本願における電極接触片と電源モジュールの設置位置は、上部ハウジング内または下部ハウジング内とすることができ、上記の実施形態はあくまでも特定の実施の態様であり、本願は特定のハウジング構造に限定されるものではない。
【0075】
図11に示すように、本願の電源モジュールは、主に整流平滑回路、スイッチ回路、昇圧・電圧倍増回路、サンプリング・比較回路、電圧調整回路、および電流制限回路を備える。
【0076】
サンプリング・比較回路は、出力電圧変化を検出すると、電圧調整回路によって出力電圧を定電圧出力に調整し、サンプリング・比較回路は、電流変化が設定された閾値を超えたことを検出した後、電流制限回路によって負荷電流を制限する。
【0077】
動作中、電源モジュールは一定の電圧出力を保ちイオン化強度維持して、負荷の微小静電フィルタと環境湿度の影響を受けないことで、微小静電フィルタ装置が粒子状物質を吸着する能力と効率を確保する。出力電圧Uは、サンプリング・比較回路により取得され、基準設定電圧Uとリアルタイムに比較され、設定電圧Uより高いまたは低い場合に電圧調整回路で調整し、定電圧で安定な出力とする。通常の動作条件下では、電源モジュールは定電圧で安定的に出力する。微小静電空気清浄機の環境湿度が高くなり、空気がイオン化しやすくなり、または実行時間が経過するにつれて、微小静電フィルタの微多孔質通路内のほこりが多くなり、高電圧と接地の2つの極板と間の距離が短くなると、電源モジュールの電流は増加し続けるか、急激に増加する。したがって、出力電流Iはサンプリング・比較回路により取得され、電流が瞬間的に激変する(di/dt>特定の設定値X)または特定の定格値Iを超えると、自動的に(ナノ秒レベル)電流制限保護ループに切り込まれ、電流制限抵抗(約100メガオーム)が定電圧出力回路に接続される。回路全体の総抵抗が瞬時に増加するため、出力電流はすぐに減少することで、電流の増加を制限し、微小静電フィルタが大電流によって焼損するのを防ぎる。
【0078】
なお、本願の電源モジュールにおいて、整流平滑回路、スイッチ回路、昇圧・電圧倍増回路、サンプリング・比較回路、電圧調整回路および電流制限回路はの各々は、当該技術分野において一般的に用いられる回路を用いて実現することができるので、ここでは繰り返さない。
【0079】
上記の実施形態は、本出願のいくつかの実施形態を表現しているに過ぎず、その記載は比較的に具体的かつ詳細であるが、本発明の特許の範囲の限定として理解することはできない。当業者にとっては、本発明の考えから逸脱することなく、多くの変形および改良も行われ得、これらは本出願の保護の範囲内にあることに留意されたい。従って、本出願の保護範囲は、請求の範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】