【住所又は居所原語表記】3 Gabwell Business Centre, Quadrant Way, Hardwicke, Gloucester Gloucestershire GL2 2JH (GB)
図は縮尺通りではなく、同一または類似の参照符号は同一または類似の特徴を示す。
発明の詳細
以下、本発明のある実施形態について
図1~
図9を参照して説明する。
図1は、圧力容器10
の概略透視図である。圧力容器10は円筒形状を有し、長さが幅の4倍以上である。圧力容
器は円筒形状の外皮12と、一次容器12の一端に設けられた頭部20と、一次容器12の反対側
の端部に設けられた基部20aとから構成される。
ヘッド20はインレットパイプ22から構成され、これは圧力容器10の中心軸AX1(
図2参照)
に沿って整列する。このインレットパイプ22は、
図1のように圧力容器が直立姿勢にある
ときその最上部に位置することがある。この場合、ヘッド10はベース20aの垂直の上方に
位置する。インレットパイプ22は、圧力容器内で発生した水素ガスの出口として、および
/または、圧力容器内に加熱用ガスを注入するために使用することができる。
以下にさらに説明するが、ヘッド20はリングヘッダ24から構成され、圧力容器から様々な
ガスを注入または抽出するために使用できる。
リングヘッダ24はリング状で、複数のパイプ24aに接続されている。この複数のパイプ24a
は、リングヘッダ24の周囲に等間隔に配置され、リングヘッダ24から圧力容器10の内部10
a(
図2参照)に向かって気体を送るために半径方向内側および/または軸方向に延びる。
一次容器12はまたヘッド20に隣接するリングヘッダ19に接続されてもよく、リングヘッダ
19はまた複数のパイプ19bを介して圧力容器から様々なガスを注入または抽出するように
構成できる。リングヘッダー19、24およびインレットパイプ22との間でガスを搬送するた
めに使用する装置は、明瞭化のためにここでは図に示していない。
圧力容器10は、一次容器10aの端部からヘッド20をロックしたり、ロック解除するために
回転可能なブリーチロックリング25を含む。ヘッド20は必要なときにロックを解除して一
次容器10aから取り外すことができる。
圧力容器10はまた、2つのピボットシャフト18から構成できる。この2つのピボットシャフ
ト18は、ピボットシャフト18を中心に圧力容器を保持し回転させるために使用できる。ピ
ボットシャフト18は、一次容器10aの外側に固定でき、好ましくは圧力容器10の長さの中
間にある。
図2の概略図は、圧力容器20のピボットシャフト18が軸AX2に沿って整列し、原
動機30aに接続されている状態を示している。原動機は、様々な形状及び構成を取り得る
が、図示の実施形態では、フレーム30と、ピボットシャフト18を回転させ、それによって
圧力容器20を軸AX2を中心に回転させるように構成された油圧モータ32とから構成され得
る。図示のように、回転軸AX2は、圧力容器の円筒形状の長手方向軸AX1に対して垂直であ
ってもよい。原動機は、ピボットシャフトの軸AX2を水平に保持するように構成され、こ
れにより軸AX2を中心とする圧力容器の回転は、圧力容器を垂直面内で回転させ、圧力容
器の内容物は、圧力容器の回転に伴って、圧力容器の一端から他端へと繰り返し落下する
。
図3の概略図は圧力容器20の断面図であり、圧力容器の内部の詳細が見える。一次容器12
は、圧力容器内部で発生する可能性のある非常に高い圧力に耐えるように構成され、これ
は肉厚の鋼管であってもよい。圧力容器はまた、一次容器12の内部にシース14を備える。
シース14は円筒形であってもよく、好ましくは一次容器12と同軸である。断熱材13の円筒
状の層が、一次容器12とシース14の間の空間を満たしている。シース14は、圧力容器の内
部空間10a内で発生する高温に耐える耐熱鋼層から構成でき、断熱材13は、一次容器12へ
の熱損失を低減するのに役立つ。つまり一次容器12は圧力容器の外皮を画定し、シース14
は圧力容器の内皮を画定する。他の実施形態では、断熱材とシースを多層耐火ライニング
として組み合わせてもよい。圧力容器の内部10aは粒状材料15で部分的に充填されている
。粒状材料は、砂、カンラン石、または有意な熱を蓄えることができる他の不活性で不燃
性の粒子状材料であってもよい。ガス化反応を促進し、水素の収率を向上させるために、
必要に応じて、NiFe2O4などの触媒材料を粒状材料に添加することができる。圧力容器は
、圧力容器内の内部空間10aに突出するバッフル50(
図3のみに示す)の形態の撹拌装置を
含んでいてもよい。バッフルは、固定されていてもよいし、可動であってもよいし、全く
実装されていなくてもよい。
ヘッド20はカートリッジ40に接続でき、カートリッジ40は圧力容器のシース14の内外に摺
動可能であってもよい。カートリッジ40は、円筒形状の側壁41と、円筒40の一端に設けら
れた基部42とからなり、基部42はヘッド20によって保持される。円筒状の側壁41は、シー
ス14の内側に、シース14と同軸に収まることができる。側壁41の外径はシース14の内径よ
り小さく、カートリッジ40の側壁41と圧力容器のシース14との間に環状で円筒状の空間44
を残すことができる。
カートリッジの側壁41は、基部41とは反対側のカートリッジの端部に配置された環状フィ
ルタ45で終端させることもできる。環状フィルタ45は、環状及び円筒状空間44と内部10a
との間にフィルタを形成する。環状フィルター45は、環状及び円筒状空間44と内部10aと
の間の気体の通過を許容するが、粒状材料又は生物起源材料のような粒子の通過は許容し
ないように、小さな開口を有するように構成され得る。
図7の拡大概略図をみると、ヘッド20は、外側ドーム26と内側カップ27とから構成できる
ことがわかる。内側カップ27は外側ドーム26の内側に配置されてもよく、内側カップ27と
外側ドーム26は、熱絶縁材料23によって互いに間隔を空けて配置されてもよい。内側カッ
プ27は、カートリッジ40の基部42を保持してもよい。いくつかの実施形態では、カートリ
ッジ40は、基部42を内側カップ27から引き出すことによってヘッド20から分離される。他
の実施形態では、カートリッジ40とヘッド20とは、永久的に固定されていてもよい。入口
22は、外側ドーム26、断熱材23、および内側カップ27を貫通し、圧力容器内の内部空間10
aに開口するパイプ22によって構成される。
外側ドーム26は、ドームの周縁部において半径方向外側に延びるフランジ21からなり、一
方で一次容器12はヘッド20が位置する一次容器の端部においてフランジ11から構成される
。このフランジ11は、一次容器の端部において半径方向の外側に延び、ヘッド20のフラン
ジ21と略接するように構成されている。ブリーチロックリング25は、一次容器12とヘッド
20を一緒にロックするために、ブリーチロックリング25のある角度回転でフランジ11とフ
ランジ21に重なる。ブリーチロックリング25は、ヘッド20と一次容器12を互いから遠ざけ
るように作用する圧力容器内に形成される高圧下で、ロック解除のために回転しないよう
に傾斜面を構成する。Oリング28は、ヘッド20と一次容器12との間の接合部をシールし、
ガスの漏れを防止する。他の実施形態では、ブリーチロック装置は、ボルト締めフランジ
や油圧クランプ式フランジなどの他のタイプのシール装置で代用できる。
ガス化反応中は断熱材13により、シース14は一次容器12よりもはるかに高い温度に達する
。したがって、シース14は一次容器12に対して軸方向に熱膨張する。この膨張は、ヘッド
20に隣接するシース14の端部に設けられたベローズ部14aによって収容される。ベローズ
部14aは、シース14が一次容器12に対して相対的に加熱および冷却されると、それぞれ軸
方向に収縮および膨張する。
リングヘッダ24からの複数のパイプ24aは、外側ドーム26、断熱材23及び内側カップ27を
通過し、リングヘッダ24から環状及び円筒状の空間44への通路を提供する。リングヘッダ
19からの複数のパイプ19aも、リングヘッダ19から環状及び円筒状空間44への通路を提供
する。環状・円筒状の空間44は環状フィルター45(
図3参照)で終端している。したがっ
て、気体はリングヘッダー19または24、環状・円筒状の空間44、および環状フィルター45
を介して、圧力容器の内部10aに注入することができる。
図3に示すように、圧力容器の基
部20aは、気体が圧力容器から注入または抽出され得るインレットパイプ20bから構成され
得る。インレットパイプ22、インレットパイプ20b、リングヘッダ19およびリングヘッダ2
4の4つ全てを、圧力容器の内部10aからガスを導入または抽出するために使用してもよい
。ガスは、パージガス、加熱ガス、または合成ガスを含むことができる。ガスは、蒸気、
二酸化炭素、窒素、酸素、合成ガス、水素などである。
次に、
図4から
図8、および
図9のフロー図を参照して、水素を生成するための装置の使用
方法について説明する。
図9に示す第1のステップ101では、圧力容器内の粒状材料15を少
なくとも500℃、例えば850℃の高温まで加熱することができる。加熱は、例えば、入口22
および20bを介して圧力容器を通して加熱ガスを循環させることによって、または、特に
粒状材料が前のガス化サイクルから既に高温である場合には、圧力容器内のガスの燃焼に
よって達成され得る。例えば、前のガス化サイクルの後、粒状の材料の温度は650℃であ
り、次のガス化サイクルのために850℃まで加熱する必要がある。
最初のガス化サイクルのために、粒状の材料の温度を周囲温度から上げるのに必要な熱量
は相当なものであり(粒状の材料として砂を使用する場合、約700kJ/kg)、加熱は密閉圧
力容器内に加熱ガスを循環させることによって行うのが最適である。周囲温度からのスタ
ートアップの間、静的な砂層を加熱することは特に非効率的であるため、例えば圧力容器
内または圧力容器外の流動床で粒状の材料を流動化または転動させることにより、粒子間
相互作用を最大にして温度を上げることが望ましい。
第2のステップ102では、生体物質をカートリッジ40に添加することができる。第2のステ
ップ102は、ステップ101の前、後、または同時に行われてもよい。
図4の概略図は、カー
トリッジ40とヘッド20が圧力容器10から取り出された状態を示している。カートリッジ40
は倒立位置に移動しており、その状態で、生体物質210のバッチがローリー200から、ヘッ
ド20とは反対側にあるカートリッジの開放端に投入される。生体物質210は、例えば、木
材チップ/ペレット、または家庭廃棄物や動物の糞のような他の生体物質である。
第3のステップ103では、生体物質210を入れたカートリッジ40を圧力容器10に挿入する。
最初に、圧力容器は、すべての粒状の材料15が圧力容器の底部20aに向かって落下するよ
うに、直立位置に配向され得る。次に、
図5に示すように、圧力容器10およびカートリッ
ジ40を水平にし、両者を大気に開放して大気圧にする。次に、
図6に示すように、カート
リッジ40を圧力容器10内にスライドさせ、ブリーチロックリング25を回転させてヘッド20
を一次容器12にロックし、カートリッジ40を圧力容器10内にロックすることができる。圧
力容器10およびカートリッジ40は水平に配向されているので、粒状材料15はまだ生物起源
材料210と混合されておらず、したがって粒状材料15からの熱は直ちに生物起源材料の燃
焼/酸化をもたらさない。これは、ヘッド20が一次容器12にロックされたときに圧力容器
内に取り込まれた大気中の酸素の存在にもかかわらずである。
ステップ104において、圧力容器の内部10a内の大気は、パージガスを送り込むことによっ
て圧力容器10からパージすることも可能である。
図7を参照すると、パージガスは、リン
グヘッダー19および24に送り込まれ、パイプ19aおよび24aに沿って移動し、環状および円
筒状空間44に沿って移動し、環状フィルター45(明瞭化のために
図3のみに示されている
)を介して内部10aに送り込まれる。パージガスは、大気空気を入口22および20bから強制
的に追い出し、それによって大気空気およびその酸素を除去することができる。目的は水
素へのガス化であり、パージガスによる大気とその酸素の除去は燃焼を抑制するため、生
体物質の燃焼は望ましくないことが理解されよう。パージガスは、好ましくは不活性ガス
、例えば窒素または二酸化炭素である。ステップ104はステップ103と同時に行われ、圧力
容器へのカートリッジの挿入中に圧力容器が酸素からパージされるようにしてもよい。カ
ートリッジが圧力容器に挿入される前に、パージガスを圧力容器に注入して酸素をパージ
することもできる。
圧力容器10から酸素がパージされ、カートリッジ40が圧力容器内にロックされると、ステ
ップ105で圧力容器を回転させて粒状材料15を生物起源材料210と混合し、それによって生
物起源材料210を急速に加熱して生物起源材料の温度を上昇させ、生物起源材料から水分
を蒸発させて過熱し、ガス化を開始することができる。
図8は、圧力容器10が原動機30a(
図3参照)によって倒立位置に回転させられたときの圧力容器10を示し、
図9は、圧力容器
10が直立位置に回転させられたときの圧力容器10を示す。原動機30aは、直立位置と倒立
位置との間で圧力容器を繰り返し180度回転させ、
図8及び
図9に示すように、粒状物15と
生体物質210とを混合することができる。原動機30aは、圧力容器を直立位置から倒立位置
まで時計回りに180度回転させ、次に倒立位置から直立位置まで反時計回りに180度回転さ
せ、これを繰り返してもよい。この結果、一方向(時計回りまたは反時計回り)に360度
回転する場合に比べて、混合が改善される可能性があり、また、圧力容器の様々な入口お
よびリングヘッダーに接続される配管(図示せず)への負担も軽減される。
バッフル50(
図3参照)を使う実施形態では、粒状材料15と生物起源材料210との混合物は
、圧力容器10の回転中に圧力容器10の一端から他端へ移動する際にバッフル50によって分
流され、バッフル50を越えて落下し、粒状材料15と生物起源材料210との混合を改善する
。
混合が起こると、粒状の材料が生体物質の温度を700℃付近まで上昇させ、生体物質がど
んどんガス化する。生成されたガスは、圧力容器内の圧力を超臨界水ガス化に必要な22.0
64MPa以上に安定的に上昇させる。水ガスシフト反応が起こるための追加の水を供給する
ために、リングヘッダー19または24を介して圧力容器内に蒸気を送り込むことができる。
また、必要な温度に到達し維持するために追加の熱が必要な場合には、例えば高温の二酸
化炭素や窒素などの加熱ガスを送り込むことも可能である。ガス化温度を維持するために
、水素の一部を燃焼させるために酸素を送り込むこともできる。また、粒状の材料と生体
物質の混合物を攪拌し、混合と熱伝達を改善し、ガス化を促進するために、ガスを送り込
むこともできる。
ガス化反応が完了すると、圧力容器は直立位置に保持され、粒状の材料15はすべて底部20
aに向かって落下する。その後、ステップ106で、水素ガスは入口22から排出され、実施さ
れる可能性のあるさらなる処理段階へと進む。合成ガスの他の成分も排出され、方法はス
テップ101に戻り、さらなるガス化サイクルを実行する。
粒状材料が、ステップ105におけるガス化中に生成された二酸化炭素と反応することによ
って酸化カルシウムから変換された炭酸カルシウムからなる場合、さらなるガス化サイク
ルにおいて粒状材料を加熱するステップ101は、炭酸カルシウムを酸化カルシウムおよび
二酸化炭素に戻す熱分解をもたらす。したがって、ステップ101は、例えば入口22を通し
て圧力容器から二酸化炭素を排出し、二酸化炭素を貯蔵することをさらに含んでいてもよ
い。このように、粒状材料中の酸化カルシウムを使用することにより、大きなエネルギー
コストをかけずに炭素捕捉を行うことができる。
生体物質210に金属などの汚染物質が含まれていた場合、それらは、粒状の材料15が洗浄
または交換のために除去されるまで、その後のサイクルのために粒状の材料15に加わる。
本発明の範囲に属する、説明された実施形態の他の多くの派生系については、当業者には
明らかであろう。例えば、ガス用インレットパイプは、図示の実施形態では圧力容器の端
部に配置されているが、代替の実施形態では、ピボットに隣接して、またはピボット内に
、より中央に配置することも可能である。