(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法、及びこれにより製造されたプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20250220BHJP
C08L 97/00 20060101ALI20250220BHJP
C08H 8/00 20100101ALI20250220BHJP
C08B 1/00 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L97/00
C08H8/00
C08B1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547003
(86)(22)【出願日】2023-02-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 KR2023002512
(87)【国際公開番号】W WO2023163498
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】10-2022-0024553
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524293809
【氏名又は名称】リグナム インコーポレーティッド
【氏名又は名称原語表記】LIGNUM INC.
【住所又は居所原語表記】#404, 99, Daehak-ro, Yuseong-gu, Daejeon, 34134, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ・サンヒョン
【テーマコード(参考)】
4C090
4J002
【Fターム(参考)】
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4C090AA08
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4J002FD010
4J002GN00
(57)【要約】
本発明は、プラスチック用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法、及びこれにより製造されたプラスチック用耐スクラッチ性添加剤に関し、より詳細には、親水性のリグノセルロース系バイオマス(lignocellulosic biomass)から親油化された(oleophilic)プラスチック用耐スクラッチ性バイオ添加剤を製造する方法、及びこれにより製造されたプラスチック用耐スクラッチ性バイオ添加剤に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)リグノセルロース系バイオマスに酸(acid)を添加してリグノセルロース系バイオマス内の少なくとも一部のヘミセルロースを加水分解するとともに、セルロースの少なくとも一部をセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換させることにより、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を得るステップと、
(b)前記(a)ステップから得られた、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体内のセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)の非結晶性(amorphous)ドメインの少なくとも一部を選択的に加水分解してセルロース微小繊維(MFC)の結晶性を高めたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を得るステップと、
(c)前記(b)ステップから得られた、セルロース微小繊維(MFC)の結晶性が向上したリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体に塩基を添加して残留酸性成分を中和させた後、水溶性物質を除去して固形粒子を得るステップと、
(d)(c)ステップから得られた固形粒子を粉砕するステップと、を含む、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法。
【請求項2】
(a)リグノセルロース系バイオマスに酸(acid)を添加してリグノセルロース系バイオマス内の少なくとも一部のヘミセルロースを加水分解するとともに、セルロースの少なくとも一部をセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換させ、前記セルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)の非結晶性(amorphous)ドメインの少なくとも一部を選択的に加水分解してセルロース微小繊維(MFC)の結晶性を高めたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を生成するステップと、
(b)前記(a)ステップから得られたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体に塩基を添加して残留酸性成分を中和させた後、水溶性物質を除去して固形粒子を得るステップと、
(c)(b)ステップから得られた固形粒子を粉砕するステップと、を含む、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法。
【請求項3】
前記(a)ステップにおいて、前記酸(acid)は、炭素数1~20の有機酸;又は硫酸、塩酸、リン酸及び硝酸から選択される無機酸又はこれらの混合物;又は前記有機酸と無機酸との混合物;又は前記有機酸と無機酸の混合物との混合物;の中から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法。
【請求項4】
前記(a)ステップは、前記リグノセルロース系バイオマスを、i)酸水溶液を添加して加熱及び/又は加圧処理するか、或いはii)酸水溶液を添加して蒸気爆砕(steam explosion)するか、或いはiii)前記加熱・加圧処理及び蒸気爆砕を組み合わせた工程によって行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法。
【請求項5】
前記(b)ステップは、前記(a)ステップよりも高温及び/又は高圧の条件下で行われることを特徴とする、請求項1に記載のプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法。
【請求項6】
前記(a)ステップにおける酸は、塩酸、硫酸及び硝酸から選択されたいずれか1種又はこれらの混合物が使用され、
前記酸の濃度は、0.5~70wt%の範囲で使用されることを特徴とする、請求項1及び2に記載のプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の(c)ステップ又は請求項2に記載の(b)ステップで使用される塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)、アンモニア(NH
3)、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸カルシウム(CaCO
3)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、炭酸水素カリウム(KHCO
3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、及び炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)の中から選択される少なくとも1種又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の(c)ステップで得られた固形粒子、又は請求項2に記載の(b)ステップで得られた固形粒子は、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準として、ヘミセルロースの含有量が5重量(wt%)以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の(c)ステップで得られた固形粒子は、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準として、リグニン由来成分を1wt%~99wt%含み、且つ、セルロース由来成分を1wt%~99wt%含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の(d)ステップから粉砕された固形粒子、又は請求項2に記載の(c)ステップから粉砕された固形粒子内のセルロース微小繊維(MFC)の長さは、50nm~100μmの範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法によって製造される、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤。
【請求項12】
請求項2に記載の方法によって製造される、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤。
【請求項13】
リグノセルロース系バイオマスの酸(acid)処理及び中和工程によって、セルロースの少なくとも一部がセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換されたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体;を含み、
リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準として、リグニン由来成分を1wt%~99wt%含み、且つ、セルロース由来成分を1wt%~99wt%含み、
リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準としてヘミセルロースの含有量が5重量(wt%)以下であり、
リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体内のセルロース微小繊維(MFC)の長さは50nm~100μmの範囲であることを特徴とする、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤。
【請求項14】
請求項13に記載のプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を含むプラスチック組成物。
【請求項15】
請求項13に記載のプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を総重量を基準として0.1~60重量%で含むことを特徴とする、耐スクラッチ性プラスチック組成物。
【請求項16】
請求項15に記載のプラスチック組成物を含む耐スクラッチ性プラスチック製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法、及びこれにより製造されたプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤に関し、より詳細には、従来の高比重の無機充填剤を代替して、耐スクラッチ性が向上したプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法、及びこれにより製造されたプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃費及び排出ガス規制の試行に伴い、車両の軽量化要求が高まっており、これを解決するための方案として、車両の多くの部品がプラスチックで製造されている。
【0003】
例えば、プラスチック自動車ドアモジュールは、アウター及びインナーパネル、ドアトリムなどで構成され、これらは、乗客の使用頻度が高いため、機械的性能だけでなく、プラスチック表面デザインの美的及び感性的側面が重要である。
【0004】
特に、最近、車両が高級化するにつれて、消費者にとって、このような車両表面の美麗さが車両を購入するうえで重要な要素となることがある。この場合、車両表面の美麗さを決定づける重要な要素として、スクラッチによる表面の変色がないことが求められる。
【0005】
通常の車両内装材として使用される代表的なプラスチック素材としてポリプロピレン(polypropylene、PP)が使用されており、これは、低比重(約0.9)、耐薬品性及び成形性に優れるという利点があり、最近では、ポリプロピレンにタルク(talc)などの無機充填剤を添加して剛性(stiffness)及びスクラッチ硬度(scratch hardness)を向上させた製品が市販されている。
【0006】
しかし、タルク(talc)は、プラスチック内の高分子マトリックスとの結合力が低いため、表面の変形と損傷によって容易に分離することがあり、この際、露出した白い色のタルク(talc)粒子は、光の反射によってスクラッチ可視性(scratch visibility)が増加するという問題点がある。これを解決するために、ゴム、シリコン化合物、フッ素樹脂、アミド(amide)系添加剤などを用いて耐スクラッチ性を向上させるための技術が開発されている。
【0007】
しかし、先立っての耐スクラッチ性の向上のために使用されるゴムの場合、表面の質感低下の限界を持っており、シリコン化合物の場合、工程便宜性の低下及びポリプロピレンとの相溶性の低下により、コンパウンド時の分散性の問題のみならず、長期使用の際に添加剤の移行(migration)によってプラスチック表面に粘性のある油膜を形成するなどの表面特性低下が発生しうる限界がある。また、前記添加剤の成分は、大部分が石油系素材である。よって、地球温暖化による多様な環境問題の発生により炭素中立を実現し、プラスチック製品の過多使用による環境汚染問題を解決するための環境にやさしいバイオ素材への代替が至急である。
【0008】
これに関連した、プラスチック添加剤に対する従来技術として、韓国登録特許公報第10-1889744号では、パルプ工程のリグニン抽出物とパルプを機械的方法によって粉砕してシラン系化合物で改質したナノセルロースを生産した後、これらを混合して改質されたリグニン-ナノセルロース複合物に、無水マレイン酸がグラフトされたポリプロピレン素材を混合して、プラスチック製造用リグニン複合物を生産する技術について記載されているが、これも、高価なナノセルロースを含み、工程が非常に複雑であるため汎用プラスチック製造用素材への適用に限界を持っている。
【0009】
したがって、前記石油系素材に基づいたプラスチック製造用素材を脱皮して環境にやさしいバイオ素材として、耐スクラッチ性を発現し、優れた親油化及び疎水性によりプラスチック添加用添加剤としての使用時の分散特性が改善された、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の開発の必要性は一層切実に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明で解決しようとする技術的課題は、かかる問題点を解決することができ、非食用リグノセルロース系バイオマスを原料として、プラスチックへの添加時に耐スクラッチ性が向上し、優れた親油化及び疎水性によりプラスチック製造時に分散特性及び相溶性(compatibility)が改善されて高分子マトリックスとの高い結合力を有する、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を製造することができる新規な製造方法を提供することである。
【0011】
また、本発明における別の技術的課題は、前記製造方法によって製造される、耐スクラッチ性が向上したプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤、これを含むプラスチック組成物、及び前記プラスチック組成物を含む耐スクラッチ性プラスチック製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、(a)リグノセルロース系バイオマスに酸(acid)を添加してリグノセルロース系バイオマス内の少なくとも一部のヘミセルロースを加水分解するとともに、セルロースの少なくとも一部をセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換させることにより、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を得るステップと、(b)前記(a)ステップから得られた、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体内のセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)の非結晶性(amorphous)ドメインの少なくとも一部を選択的に加水分解してセルロース微小繊維(MFC)の結晶性を高めたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を得るステップと、(c)前記(b)ステップから得られた、セルロース微小繊維(MFC)の結晶性が向上したリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体に塩基を添加して残留酸性成分を中和させた後、水溶性物質を除去して固形粒子を得るステップと、(d)(c)ステップから得られた固形粒子を粉砕するステップと、を含む、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、(a)リグノセルロース系バイオマスに酸(acid)を添加してリグノセルロース系バイオマス内の少なくとも一部のヘミセルロースを加水分解するとともに、セルロースの少なくとも一部をセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換させ、前記セルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)の非結晶性(amorphous)ドメインの少なくとも一部を選択的に加水分解してセルロース微小繊維(MFC)の結晶性を高めたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を生成するステップと、(b)前記(a)ステップから得られたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体に塩基を添加して残留酸性成分を中和させた後、水溶性物質を除去して固形粒子を得るステップと、(c)(b)ステップから得られた固形粒子を粉砕するステップと、を含む、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法を提供する。
【0014】
一実施例として、前記(a)ステップにおいて、前記酸(acid)は、炭素数1~20の有機酸;又は硫酸、塩酸、リン酸及び硝酸から選択される無機酸又はこれらの混合物;又は前記有機酸と無機酸との混合物;又は前記有機酸と無機酸の混合物との混合物;の中から選択されてもよい。
【0015】
一実施例として、前記(a)ステップは、前記リグノセルロース系バイオマスを、i)酸水溶液を添加して加熱及び/又は加圧処理するか、或いはii)酸水溶液を添加して蒸気爆砕(steam explosion)するか、或いはiii)前記加熱・加圧処理及び蒸気爆砕を組み合わせた工程によって行われてもよい。
【0016】
一実施例として、前記リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体内のセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)の非結晶性(amorphous)ドメインの少なくとも一部を選択的に加水分解してセルロース微小繊維(MFC)の結晶性を高めたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を得るステップ;は、その前ステップであるリグノセルロース系バイオマスに酸(acid)を添加してリグノセルロース系バイオマス内の少なくとも一部のヘミセルロースを加水分解するとともに、セルロースの少なくとも一部をセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換させることにより、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を得るステップよりも高温及び/又は高圧の条件下で行われてもよい。
【0017】
一実施例として、前記(a)ステップにおける酸(acid)は、塩酸、硫酸及び硝酸から選択されたいずれか1種又はこれらの混合物が使用され、前記酸の濃度は0.5~70wt%の範囲で使用されてもよい。
【0018】
一実施例として、前記残留酸性成分を中和させるためのステップで使用される塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、アンモニア(NH3)、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、及び炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の中から選択される少なくとも1種又はこれらの混合物を使用してもよい。
【0019】
一実施例として、前記固形粒子を得るステップによって得られた固形粒子は、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準として、ヘミセルロースの含有量が5重量(wt%)以下、好ましくは3重量(wt%)以下、さらに好ましくは2重量(wt%)以下であってもよい。
【0020】
一実施例として、前記固形粒子を得るステップによって得られた固形粒子は、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準として、リグニン由来成分を1wt%~99wt%含み、かつ、セルロース由来成分を1wt%~99wt%含んでもよい。
【0021】
一実施例として、前記固形粒子を粉砕するステップから粉砕された固形粒子内のセルロース微小繊維(MFC)の長さは、50nm~100μm、好ましくは100nm~50μm、さらに好ましくは300nm~20μmの範囲であってもよい。
【0022】
また、本発明は、本発明に係る前記プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法によって製造される、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を提供する。
【0023】
また、本発明は、リグノセルロース系バイオマスの酸(acid)処理及び中和工程によって、セルロースの少なくとも一部がセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換されたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体;を含み、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準としてリグニン由来成分を1wt%~99wt%含み、かつ、セルロース由来成分を1wt%~99wt%含み、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準としてヘミセルロースの含有量が5重量(wt%)以下であり、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体内のセルロース微小繊維(MFC)の長さは50nm~100μmの範囲であることを特徴とする、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を提供する。
【0024】
また、本発明は、前記プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を含むプラスチック組成物を提供することができ、好ましくは、前記プラスチック組成物は、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を総重量を基準として0.1~60重量%で含むことを特徴とする、耐スクラッチ性プラスチック組成物を提供する。
【0025】
また、本発明は、前記プラスチック組成物を含む耐スクラッチ製品を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法は、安価な非食用リグノセルロース系バイオマスを特定の条件による化学的処理工程によって、非食用リグノセルロース系バイオマスから高い生産費用なしに工程が簡単でありながらも耐スクラッチ性が発現できるようにリグノセルロースが機能化され、親油化及び疎水性に優れるため、プラスチック製造時に分散特性が改善された、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を高収率で製造することができるという利点を有する。
【0027】
また、本発明によるプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤は、プラスチックへの添加時に耐スクラッチ改善効果があるため、車両用、建築用、包装用素材など、耐スクラッチ性が要求される製品に適用でき、また、耐スクラッチ性効果に加えて、タルク(talc)を代替することが可能な充填剤(filler)機能を持っており、高比重のタルク(talc)を代替する場合にプラスチックをより軽量化することができるという利点がある。
【0028】
また、本発明によってリグノセルロース系バイオマスから得られたプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤は、植物由来の素材であるため、石油系由来素材に比べて非常に環境にやさしいという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】(a)バイオマス由来セルロースの階層的構造、及び(b)結晶性及び非結晶性ドメインを含むセルロース微小繊維の構造を示す図である。
【
図2】製造例1による耐スクラッチ性添加剤の粉砕前の電子顕微鏡写真である。
【
図3】製造例1による耐スクラッチ性添加剤の粉砕後の電子顕微鏡写真である。
【
図4】本発明の比較例1~比較例2及び実施例1による試験片の耐スクラッチ性の評価結果である。
【
図5】製造例1による耐スクラッチ性添加剤の粉砕後の粒度分布写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0031】
以下、本発明による製造方法をより具体的に説明する。
【0032】
本発明によるプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法は、(a)リグノセルロース系バイオマスに酸(acid)を添加してリグノセルロース系バイオマス内の少なくとも一部のヘミセルロースを加水分解するとともに、セルロースの少なくとも一部をセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換させることにより、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を得るステップと、(b)前記(a)ステップから得られた、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体内のセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)の非結晶性(amorphous)ドメインの少なくとも一部を選択的に加水分解してセルロース微小繊維(MFC)の結晶性を高めたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を得るステップと、(c)前記(b)ステップから得られた、セルロース微小繊維(MFC)の結晶性が向上したリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体に塩基を添加して残留酸性成分を中和させた後、水溶性物質を除去して固形粒子を得るステップと、(d)(c)ステップから得られた固形粒子を粉砕するステップと、を含む。
【0033】
一番目のステップとして、前記(a)ステップは、原料であるリグノセルロース系バイオマスに酸を添加してリグノセルロース系バイオマス内の少なくとも一部のヘミセルロースを加水分解するとともに、セルロースの少なくとも一部をセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換させることにより、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を得るステップ;である。
【0034】
本発明による前記(a)ステップにおけるリグノセルロース系バイオマスは、リグニンを含み、セルロース及びヘミセルロースのうちの少なくとも一つを含む材料であって、好ましくは、リグニンとセルロース及びヘミセルロースを全て含むことができ、このようなリグノセルロース系バイオマスは、草本系、針葉樹や広葉樹などの木質系由来バイオマス(通常の木材)、或いは稲わら、トウモロコシの芯、ヤシの実殻、サトウキビなどの多様なバイオマスが対象となり得る。
【0035】
ここで、本発明における前記(a)ステップによる酸添加によってバイオマス内のリグニンとセルロース間の強固な結晶化構造が破壊され、少なくとも一部のヘミセルロースが加水分解され、セルロース繊維(cellilose fiber)の少なくとも一部が、好ましくはバイオマス内に含まれたセルロース成分の10%以上が、さらに好ましくは20%以上が、さらに好ましくは30%以上が、さらに好ましくは40%以上が、さらに好ましくは50%以上が、さらに好ましくは60%以上が、さらに好ましくは70%以上が、さらに好ましくは80%以上が、さらに好ましくは90%以上が、さらに好ましくは95%以上がセルロース微小繊維(microfibrillated cellulose;MFC)形態に変換され、また、前記酸処理によってリグニンと少なくとも一部の前記セルロース微小繊維(MFC)とが化学的に結合された高分子形態のリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を形成する。
【0036】
すなわち、本発明は、耐スクラッチ性バイオ添加剤の主要成分であって、酸処理によって得られる前記リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体内の前記セルロース微小繊維(microfibrillated cellulose、MFC)が耐スクラッチの効果を発現し、この際、酸処理による改質により疎水化されたリグニンが前記セルロース微小繊維(microfibrillated cellulose;MFC)をプラスチックに均一に分散させることができるので、耐スクラッチ性プラスチック添加剤としての機能をより実現可能であり、これにより低コストのバイオ原料であるリグノセルロース系バイオマス由来成分を介してより環境にやさしく且つ経済的なプラスチック添加剤を提供することができるという利点がある。
【0037】
ここで、前記リグノセルロース系バイオマスに含まれたセルロース(cellulose)は、単位体D-グルコース(Dκ-glucose)のβグリコシド結合によって連結された線形鎖が重畳した繊維状物質であって、バイオマス由来セルロースの階層的構造を示す
図1の(a)を参照すると、セルロース繊維(cellulose fiber)は、微小繊維(microfibril)で構成された微小繊維束(microfibril bundle)を含み、前記微小繊維は、最下位構成である基本繊維(Elementary fibril)を含む。
【0038】
以下、本発明においてセルロース微小繊維(microfibrillated cellulose;MFC)は、木材(Wood Bulk)などのリグノセルロース系バイオマス内に含まれているセルロース繊維が解繊される場合に得られる、繊維幅(厚さ)が1μm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、さらに好ましくは30nm以下の微小繊維化されたセルース繊維を意味し、前記
図1の(a)に示すように、微小繊維束(Microfibril
bundle)及び微小繊維(Microfibril)を含む概念として理解されるべきである。
【0039】
このとき、前記セルロース微小繊維(microfibrillated cellulose;MFC)は、
図1の(b)に示すように、結晶性ドメイン(crystalline domain)と非結晶性ドメイン(amorphous domain)を含む構造を持つ。
【0040】
一方、前記(a)ステップで原料として用いられるリグノセルロース系バイオマスは、乾燥過程を経て粉砕されたものを使用することができ、このとき、後続工程の均一性を確保するために、粉砕のサイズは、20mm以下であることが好ましく、より好ましくは10~0.001mmの範囲であることが好ましい。
【0041】
ここで、前記(a)ステップは、触媒である酸(acid)がリグノセルロース系バイオマス内の少なくとも一部のヘミセルロースを加水分解するとともに、セルロースの少なくとも一部がセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換する。
【0042】
このとき、(a)ステップで使用される酸(acid)は、炭素数1~20の有機酸;又は硫酸、塩酸、リン酸及び硝酸から選択される無機酸又はこれらの混合物;又は前記有機酸と無機酸との混合物;又は前記有機酸と無機酸の混合物との混合物;の中から選択されるものが使用できる。
【0043】
このとき、前記有機酸の場合にカルボン酸を含む炭素化合物として、前記カルボン酸の個数によってモノカルボン酸、ビスカルボン酸、トリスカルボン酸、テトラカルボン酸などが使用可能であり、炭素数の個数によって炭素数1~20の有機酸、好ましくは1~15の有機酸が使用可能であり、さらに好ましくは酢酸、ギ酸、プロピオン酸などが使用可能である。
【0044】
また、前記無機酸として使用される酸成分の好ましい例としては、塩酸、硫酸及び硝酸から選択されたいずれか1種又はこれらの混合物が使用でき、好ましい酸の濃度は、粉砕されたバイオマス及び酸を含む水溶液の総含有量を基準として、0.5~70wt%の範囲、さらに好ましくは0.6~65wt%、さらに好ましくは0.7~60wt%の範囲が使用でき、さらに好ましい例として、粉砕されたバイオマス及び酸を含む水溶液の総含有量を基準として、0.5~70wt%、さらに好ましくは0.6~65wt%、さらに好ましくは0.7~60wt%の範囲の硫酸が使用できる。
【0045】
ここで、前記強酸の含有量は、75%(v/v)の硫酸を添加する場合を例示的に考察すると、前記75%(v/v)の硫酸が投入され、最終濃度を基準(粉砕されたバイオマス及び水溶液の総含有量を基準)に、硫酸濃度が0.5wt~70wt%の濃度範囲で使用でき、好ましくは0.6wt%~65wt%の濃度範囲で使用できる。上記の割合は、バイオマスの種類によって最適な条件を多様に変更して使用することができ、もし塩酸を使用する場合にも、これと類似した範囲のモル数を計算して使用することができ、硫酸と塩酸との混合液を使用する場合にも、上記の範囲を基準として適切に強酸の投入量を決定することができる。
【0046】
また、本発明における前記(a)ステップは、リグノセルロース系バイオマスをi)酸水溶液を添加して加熱及び/又は加圧処理するか、或いはii)酸水溶液を添加して蒸気爆砕(steam explosion)するか、或いはiii)前記加熱・加圧処理及び蒸気爆砕を組み合わせた工程によって行われることができる。
【0047】
ここで、前記(a)ステップの加水分解工程のうち、i)加熱及び/又は加圧処理する工程は、リグノセルロース系バイオマスと酸水溶液を含む混合物を80~250℃、好ましくは90~150℃で2分~2日、好ましくは5分~5時間、常圧又は10気圧以下で反応した後、減圧して固形物をフィルタリングする過程を含むことができ、ii)前記蒸気爆砕(Steam explosion)工程は、蒸気を用いてリグノセルロース系バイオマスと酸水溶液を含む混合物を、100~250℃、好ましくは120~190℃で5分~5時間、好ましくは10分~1時間反応させた後、瞬間減圧することにより反応させる過程を含むことができる。
【0048】
このとき、投入される酸の濃度は、酸の種類及び反応温度と圧力などの条件に応じて多様な範囲の濃度で投入できる。
【0049】
一方、前記(b)ステップは、前記(a)ステップから得られた、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体内のセルロース微小繊維(MFC)の非結晶性(amorphous)ドメインの少なくとも一部を選択的に加水分解して、セルロース微小繊維(MFC)の結晶性を高めたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を得るステップ;であって、前記
図1(b)を参照すると、セルロース微小繊維(MFC)は、結晶性ドメイン(crystalline domain)と非結晶性ドメイン(amorphous domain)とを含み、このとき、前記セルロース微小繊維(MFC)内の非結晶性(amorphous)ドメインの少なくとも一部を加水分解することにより、セルロース微小繊維(MFC)の繊維状構造を破壊し、セルロース微小繊維(MFC)の結晶性(dispalinity)を向上させることにより、プラスチック添加用バイオ添加剤として使用される場合の耐スクラッチ性を改善し、かつ高分子の剛性、強度を改善することができる。
【0050】
前記(b)ステップで行われる、セルロース微小繊維(MFC)の非結晶性(amorphous)ドメインの部分加水分解(partial hydrolysis)反応は、例えば、前記(a)ステップから得られた反応物にさらに高温・高圧反応を加えることにより行われることができ、このとき、より好ましくは、前記(b)ステップは、前記(a)ステップよりも高温及び/又は高圧の条件下で行われることができる。
【0051】
本発明による前記(a)ステップ及び(b)ステップを介して、バイオマス内のリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体の分子構造に変化を起こし、これらに存在する多くの水酸基(-OH)とカルボキシ基(-COOH)は、それぞれ脱水反応と脱炭酸反応を介して除去されて疎水化されることができ、前記複合体内のリグニン及びセルロース微小繊維(MFC)間の重量比率の変化及び官能基間の縮合/重合反応によって、多様な構造及び物性を有する疎水性固形粒子が製造できる。
【0052】
これをより具体的に説明すると、前記リグノセルロース系バイオマスに塩酸、硫酸などの酸成分を添加して攪拌を介した反応によって、リグノセルロース系バイオマスを構成する物質のうち、親水性のセルロースがセルロース微小繊維(MFC)に転換され、前記セルロース微小繊維(MFC)の非結晶性ドメインが選択的に加水分解されて結晶性が向上し、リグニン/セルロース微小繊維(MFC)分子の水酸基(R-OH group)の脱水反応、及びカルボキシ基(R-COOH)の脱炭酸反応によって前記複合体が疎水化され、これに加えて、リグニンとセルロース微小繊維(MFC)分子内に存在する多様な官能基の間で縮合/重合反応が行われることにより、構造が非常に複雑な高分子の疎水性固形粒子が形成できる。
【0053】
このとき、本発明では、前記酸成分による化学反応条件(反応時間、反応温度、酸の濃度、反応圧力など)を制御しながら、セルロース微小繊維(MFC)の生成反応条件とセルロース微小繊維(MFC)の非結晶性(amorphous)ドメインの部分加水分解反応条件を適切に調節して、以後に取得されるリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を含む固形粒子内のリグニン-セルロース微小繊維(MFC)の比率を多様に調節可能にすることにより、多様な物性のプラスチック添加用バイオ耐スクラッチ性添加剤を生産することができる。
【0054】
一方、前記(a)ステップ及び(b)ステップは、同じ反応器内で時間によって順次行うことができるか、或いは、別の反応器で行い、前記(a)ステップを行った後に得られる、反応後の生成物を別途の反応器に投入して前記(b)ステップを行うことができ、これは、反応条件及び反応物の大きさ、経済性などを考慮して総合的に決定できる。
【0055】
また、本発明において、前記(a)ステップ及び(b)ステップは、時間差を置いて行われ、(a)ステップが先に行われた後に前記(b)ステップが行われてもよい。これとは異なり、前記(a)ステップ及び(b)ステップが同時に行われてもよい。
【0056】
ここで、前記(a)ステップ及び(b)ステップが同時に行われる場合は、前記(a)ステップ及び(b)ステップの反応条件が同一である場合に該当し、これにより、(a)ステップ及び(b)ステップは、リグノセルロース系バイオマスに酸(acid)を添加してリグノセルロース系バイオマス内の少なくとも一部のヘミセルロースを加水分解するとともに、セルロースの少なくとも一部をセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換させ、前記セルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)の非結晶性(amorphous)ドメインの少なくとも一部を選択的に加水分解して、セルロース微小繊維(MFC)の結晶性を高めたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を生成するステップ;に該当する。
【0057】
一方、本発明における前記(c)ステップは、前記(b)ステップから得られたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体に塩基を添加して残留酸性成分を中和させた後、水溶性物質を除去して固形粒子を得るステップ;であって、前記残留酸性成分が後工程において残留する場合には、プラスチックの製造及び物性に悪影響を及ぼすおそれがあるため、塩基を用いて中和することにより除去する。
【0058】
このとき、使用される塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、アンモニア(NH3)、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、及び炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の中から選択される少なくとも1種又はこれらの混合物であり得るが、前記酸(acid)成分を中和することができる塩基であれば種類を問わずに使用できる。
【0059】
このとき、本発明において、前記(b)ステップと(c)ステップとの間に残留酸性成分を中和させる前に、前記(b)ステップを経て得られる、改質されたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体内に残留する酸成分を、水を加えて洗浄するステップをさらに含むことができ、洗浄後に得られる水溶液中に含まれた酸は回収して再使用することができる。
【0060】
また、本発明において、前記(c)ステップ内の中和された反応物から水溶性物質を除去するステップは、中和された反応物を脱水及び水洗浄することにより、反応物に含まれた水溶性物質を除去し、固形粒子を得るステップであり、ここで、前記水溶性物質は、バイオマスに由来した残留糖成分を含む水溶性物質、酸添加過程に由来する物質、塩基添加時に由来する物質の中から選ばれるいずれか1種又はこれらの混合成分であって、水溶液で溶解できる成分を意味する。
【0061】
前記水溶性物質の除去は、例えば、水溶液を用いた洗浄工程によって行われることができる。より具体的には、前記(c)ステップの中和させるステップによって得られる収得物を水溶液で洗浄して酸性成分と塩基性成分に投入することによって得られる水溶性塩、リグノセルロース系バイオマス内の成分の中で加水分解された一部の糖類を除去することができ、結果的に、酸成分によって加水分解される一定量の多糖類を除去すれば、得られる固形粒子の総重量を基準として、投入バイオマスの乾燥重量に対して少なくとも30重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上のリグノセルロース系バイオマスが変換された固形粒子を得ることができる。
【0062】
このとき、前記(c)ステップを経て得られた固形粒子は、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準として、ヘミセルロースの含有量が5重量(wt%)以下、好ましくは3重量(wt%)以下、より好ましくは2重量(wt%)以下であってもよい。
【0063】
すなわち、前記(a)ステップ及び(b)ステップを経て、バイオマス内に含まれていたヘミセルロースの大部分は除去され、得られた固形粒子はリグニンとセルロース微小繊維(MFC)を主要成分として含み、これらはリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体をなしてプラスチック添加用バイオ添加剤としての役割を果たす。
【0064】
一方、前記(c)ステップを経て得られる固形粒子は、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準として、リグニン由来成分を1wt%~99wt%含むことができ、好ましくは20wt%~80wt%、より好ましくは30wt%~70wt%、さらに好ましくは40wt%~60wt%含むことができる。
【0065】
また、前記(c)ステップを経て得られる固形粒子は、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準として、セルロース由来成分を1wt%~99wt%含むことができ、好ましくは20wt%~80wt%、より好ましくは25wt%~75wt%、さらに好ましくは30wt%~70wt%含むことができる。
【0066】
また、前記(c)ステップを経て得られる固形粒子は、好ましくは、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準として、リグニン由来成分を1wt%~99wt%、好ましくは20wt%~80wt%含み、且つ、セルロース由来成分を1wt%~99wt%、好ましくは20wt%~80wt%含むことができる。
【0067】
一方、本発明における前記(d)ステップは、前記(c)ステップから得られた固形粒子を粉砕するステップであって、プラスチック添加用耐スクラッチ性添加剤として使用する際に、より分散性が良く、また他の添加剤などとの相溶性が向上し、取り扱い易く粉末状に製造するために行われ、前記粉砕方法は、ボールミル、スペックスミル(SPEX mill)、ナノミルを含む公知の粉砕方法を制限なく適用することができ、粉砕後に得られる粒子サイズは0.05~200μmの範囲であり得る。
【0068】
ここで、前記(d)ステップの粉砕前に固形粒子内の水分を乾燥させるステップが行われてもよく、乾燥ステップを介して固形粒子内の水分含有量を5重量%未満に減少させることができる。
【0069】
また、本発明において、前記(d)ステップで粉砕された固形粒子内のセルロース微小繊維(MFC)の長さは、50nm~100μm、好ましくは100nm~50μm、300nm~20μmの範囲であってもよい。
【0070】
一方、本発明は、先立って説明した方法によって製造される、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を提供することができる。
【0071】
より具体的には、本発明は、前述したリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を含むプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を提供することができる。
【0072】
より詳細には、本発明は、リグノセルロース系バイオマスの酸(acid)処理及び中和工程を介してセルロースの少なくとも一部がセルロース微小繊維(MFC、microfibrillated cellulose)に変換されたリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体;を含み、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準として、リグニン由来成分を1wt%~99wt%含み、且つ、セルロース由来成分を1wt%~99wt%含み、リグニンとセルロース及びヘミセルロース由来成分の総和を基準として、ヘミセルロースの含有量が5重量(wt%)以下であり、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体内のセルロース微小繊維(MFC)の長さは50nm~100μmの範囲であることを特徴とする、プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を提供することができる。
【0073】
本発明による前記プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の構成は、本発明による耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法で詳細に説明したのと同一であって、これについての説明は、前述した部分を参照する。
【0074】
また、本発明は、前記プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤を含むプラスチック組成物を提供することができ、好ましくは、前記プラスチック組成物は、総重量を基準として前記プラスチック組成物を0.1~60重量%で含むことができる。
【0075】
すなわち、本発明による耐スクラッチ性バイオ添加剤を含むプラスチック複合素材の製造時に、既存の石油系プラスチックの物性をそのまま維持しながら、より改善された耐スクラッチ性を提供することができるため、商業的に非常に活用性を高めることができるという利点を有する。
【0076】
通常、リグノセルロース系バイオマスから分離されたセルロースやリグニン成分は、親水性或いは繊維状構造などによりプラスチック製造の際に様々な問題が発生して汎用性が低いことがあるが、本発明によって得られるプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤は、リグノセルロース系バイオマスの酸処理によるセルロースのセルロース微小繊維(MFC)化及びヘミセルロースの除去と、前記セルロース微小繊維(MFC)の非結晶性ドメインの加水分解によってセルロース微小繊維(MFC)の結晶性を改善し、添加剤をより疎水化し、繊維状構造の最小化を介して、汎用プラスチックとの相溶性を容易にし、最終的にプラスチック素材の耐スクラッチ性表面特性を改善することができるという利点を有する。
【0077】
これに加えて、本発明で使用される各ステップ別の具体的工程は、セルロースやリグニンのそれぞれを別途精製する必要がなく、リグノセルロース系バイオマスを直接原料として用いてヘミセルロースの除去、セルロース微小繊維(MFC)の非結晶性ドメインの部分加水分解工程が一つの反応器で順次又は同時に行われるように反応させることができるので、従来技術に比べて工程が簡単で経済的に高収率のスクラッチ性バイオ添加剤を製造することができるという利点を有する。
【0078】
一方、本発明による前記プラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤は、プラスチック素材の総重量を基準として、0.1~60重量%で含むことができ、好ましくは0.5~30重量%、さらに好ましくは0.8~20重量%、最も好ましくは2~15重量%の範囲で含むことができる。
【0079】
本発明による耐スクラッチ性バイオ添加剤が添加できるプラスチックの種類としては、耐スクラッチ性を要求するプラスチックであれば、種類を問わずに混合されて使用可能であり、好ましくは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ナイロン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile-butadiene-styrene、ABS)、ポリ乳酸(polylactic acid)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(polybutylene adipate terephthalate)、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate)よりなる群から選択される1種以上のプラスチック成分を使用することができる。
【0080】
例えば、本発明によって得られたバイオ添加剤0.1~30重量%及びその他の添加剤をポリプロピレン(PP)と混合して耐スクラッチプラスチック複合樹脂組成物を製造し、これを用いて射出/押出すれば、耐スクラッチプラスチック製品を生産することができる。
【0081】
また、前記プラスチック複合樹脂組成物は、酸化防止剤、着色剤、離型剤、潤滑剤、ゴムなどの様々な添加剤をさらに含有することができ、これらの添加剤の使用量は、所望の最終用途及び特性を含む様々な要因に応じて適宜調整されて適用できる。
【0082】
結論的に、本発明による前記製造方法によって製造されたバイオ添加剤は、熱分解特性の低いヘミセルロース成分の大部分が除去され、リグニン成分とセルロース微小繊維(MFC)成分が酸触媒の条件下で反応時間、温度及び圧力などの多様な反応条件によって例えば脱水反応/脱炭酸反応/縮合反応/重合反応されることにより得られる素材に該当し、構造的に単一化合物ではなく、多様な高分子成分が混合された複合混合物に該当し、改質されたリグニンとセルロース微小繊維(MFC)との結合力が強くなり、リグニン成分はさらに疎水化されることにより、プラスチック添加用素材として使用する場合、素材の結晶性、分散性及びマトリックスポリマーとの相溶性が向上してプラスチック表面全体で耐スクラッチ性が発現する特徴を有することができる。
【0083】
また、本発明は、前記プラスチック組成物を含む耐スクラッチ性プラスチック製品を提供することができる。
【0084】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を介してより詳細に説明する。しかし、本発明で説明する実施例は、様々な条件が変更できる。よって、本発明の範囲が下記の実施例に限定されない。本発明の下記実施例は、単に、当業分野における通常の知識を有する者にもう少し詳しく説明するための目的である。
【0085】
<バイオマスの酸処理によるリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体の製造及びセルロース微小繊維(MFC)の選択的加水分解反応>
【0086】
[製造例1]
リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体の製造及びセルロース微小繊維(MFC)の選択的加水分解反応のために使用されたバイオマスは、韓国産の松であり、酸処理前のバイオマスの直径が1mm未満となるようにバイオマスを粉砕した。
【0087】
その後、テフロン(登録商標)でコーティングされたステンレス反応器に、前記バイオマスとしての松粉末と水を質量比1:10で投入し、投入物質の全体質量に対して3wt%硫酸をさらに投入した後、反応系を閉鎖条件(closed system)下に100℃で10分間撹拌しながら、リグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体の生成反応を行った。
【0088】
その後、反応温度を130℃となるように加圧して、60分間撹拌反応し、固形の反応物を得た。得られた試料は、2回水で洗浄し、10N水酸化カリウム溶液を用いてpH7.0となるように中和した後、再度水で2回洗浄して最終固形物を得た。その後、洗浄された固形物は、70℃の乾燥機で6時間乾燥させた。
【0089】
図2は、乾燥後に白色の繊維状部分と褐色の粒子状部分を一緒にサンプリングして電子顕微鏡分析を行った写真である。
図2に示すように、白色の繊維状物質は、厚さ約100nm~1μm程度のセルロース微小繊維(MFC)であることを確認することができた。これらのリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を粉砕してリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体内のセルロース微小繊維(MFC)の長さをさらに短く変換させて耐スクラッチ性添加剤を製造した。
【0090】
図3は、前記粉砕過程後のリグニン-セルロース微小繊維(MFC)複合体を含む粉末を電子顕微鏡写真で分析した結果であり、セルロース微小繊維(MFC)の長い繊維状の構造が機械的粉砕によって破壊されて長さが約50nm~50μmの範囲に短くなったことを示している。
【0091】
一方、
図5では、前記製造例1によって得られた、粉砕後の固形粉末の粒度分析資料を示している。
図5によっても、得られた固形粉末の粒度範囲が50nm~50μmの範囲を示しており、これに基づいてセルロース微小繊維(MFC)の長さが約50nm~50μmの範囲を有することを間接的に示していることが分かる。
【0092】
<本発明による添加剤を含むプラスチック試験片の製造>
<実施例1>
下記表1に記載の樹脂組成物を用いて前記製造例1で製造された、耐スクラッチ性添加剤が5重量%適用された分析用試験片を製造した。このとき、高分子樹脂として使用されたPOEはLG化学製のLC170を使用し、PPはLG化学製のH1500を使用し、充填材としてTalcを(KC300C、KOCH社製)使用し、既存の商用の耐スクラッチ性添加剤としてPDMSを(LYSI-306、Chengdu Silike Technology Co.,Ltd)を使用し、本発明による耐スクラッチ性添加剤として前記製造例1による添加剤を使用した。
【0093】
実施例1は、前記製造例1で製造した耐スクラッチ性バイオ添加剤を、下記の比較例1(陰性対照群)及び既存の商用の耐スクラッチ性添加剤であるPDMS(polydimethylsiloxane)を使用した比較例2(陽性対照群)と比較して性能を比較するためのものである。
【0094】
<比較例1及び比較例2>
比較例1では、下記表1に記載の樹脂組成物を用いて、PDMSが適用されていない試験片(陰性対照群)、比較例2では、PDMSが前記実施例1で製造された耐スクラッチ素材と同じ含有量(5wt%)含まれた試験片(陽性対照群)がそれぞれ製作された。
【0095】
<実施例2>
実施例2では、下記表1に記載されているように、前記実施例1の組成において前記製造例1で製造された添加剤を増加させて、製造例1で製造された添加剤が10重量%含まれた分析用試験片を製造した。
【0096】
実施例2で製造された試験片は、下記の比較例3(陰性対照群)及び比較例4(陽性対照群)と比較して、タルク(Talc)使用量の一部を本発明による耐スクラッチ性添加剤に代替した場合、試験片が軽量化及び既存の耐スクラッチ性添加剤であるPDMSを適用した場合との性能を比較するためのものである。
【0097】
<比較例3及び比較例4>
比較例3では、下記表1に記載されているように、比較例1と対比してTalcの含有量を増加(20wt%)させて本発明の実施例2によるTalcの含有量(10wt%)及び耐スクラッチ性添加剤(10wt%)の合計と同一(20wt%)に合わせるが、PDMSが適用されていない試験片(陰性対照群)が製作された。比較例4では、前記比較例3においてPDMSが5wt%さらに含まれた試験片(陽性対照群)が製作された。
【0098】
[実験1]耐スクラッチ性添加剤の耐スクラッチ特性の評価
下記の表1は、前記実施例1、実施例2及び比較例1~4で製造された試験片の組成と耐スクラッチ及び基本物性結果値をまとめた表であって、前記表1に示した結果値は、5個の試験片に対する測定値の平均値であり、試験方法は、次の通りである。
【0099】
まず、基本物性評価は、下記表1のISO測定方法で行われた耐スクラッチ性は、ジェネラルモーターズ製のプラスチックのスクラッチ抵抗性の測定に関するGMW14688方法に基づいてエリクセンスクラッチテスターによって測定された。前記エリクセンスクラッチテスターは、色差計(spin sphere)を用いてスクラッチ評価前/後のL値を測定し、△L値を計算し、△Lが低いほど耐スクラッチ性に優れることを意味する。
【0100】
【0101】
前記表1を参照すると、比較例1、比較例2及び実施例1の耐スクラッチ性△L値の比較の際に、本発明の製造例1による耐スクラッチ性添加剤が適用された試験片でより優れた耐スクラッチ性が発現されることを確認することができ、これを
図4(左側及び中間:比較例1及び比較例2、右側:実施例1)に写真で示した。
【0102】
また、比較例3、比較例4及び実施例2の耐スクラッチ△L値の比較の際に、本発明の製造例1による耐スクラッチ性添加剤が適用された試験片においてより優れた耐スクラッチ性が発現されることを確認することができる。
【0103】
さらに、比較例3、比較例4及び実施例2の比重測定値を比較すると、約4%程度軽量化されたことを確認することができる。これは、既存の充填剤であるタルク(比重2.7)を実験例1の耐スクラッチ性添加剤(比重1.1)の代替効果として示された結果と確認することができる。
【0104】
従来の無機系充填剤であるタルク(Talc)は、高分子マトリックスとの低い結合力を有しており、表面の変形及び損傷によって容易に分離されて表面に白色の粒子が露出し、このために、光の反射によってスクラッチ可視性(scratch visibility)が増加する。本発明の耐スクラッチ性添加剤は、表1に示すように、比較試験片の基本物性の大きい変化なしに既存の高比重の無機充填剤を代替しながらも耐スクラッチ性能を改善する多機能性添加剤であることを確認することができる。
【0105】
以上で、本発明による耐スクラッチ性添加剤を含むプラスチック組成物で製作されたプラスチック製品の表面の耐スクラッチ特性を向上させるだけでなく、既存の無機系充填剤であるタルクを代替する場合に製品の軽量化も向上させることができることを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、従来の高比重の無機充填剤を代替して、耐スクラッチ性が向上したプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤の製造方法、及びこれにより製造されたプラスチック添加用耐スクラッチ性バイオ添加剤に関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【国際調査報告】