(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】マルチマスター給電通信システム、方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20250220BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20250220BHJP
H04B 3/54 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
H02J13/00 B
H02J1/00 306A
H02J1/00 306L
H04B3/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547063
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2022132430
(87)【国際公開番号】W WO2023103731
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111513927.1
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524295146
【氏名又は名称】舒 継鋒
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】舒 継鋒
【テーマコード(参考)】
5G064
5G165
5K046
【Fターム(参考)】
5G064AA08
5G064AC06
5G064CB12
5G165GA04
5G165KA08
5K046CC14
5K046PS05
(57)【要約】
本発明は、マルチマスター給電通信システム、方法、及び装置を開示する。当該システムは、電源モジュールと、少なくとも1つの機能モジュールとを含み、電源モジュールと少なくとも1つの機能モジュールとがバスを介して相互接続され、電源モジュールは、バスを介して充電データを機能モジュールに伝送し、機能モジュールは、バスを介して充電データを受信し、充電動作を実行し、電源モジュールは、バスを介して第1の伝送動作を実行し、通信データを少なくとも1つの機能モジュールに伝送し、機能モジュールは、バスを介して第2の伝送動作を実行し、通信データを電源モジュールまたは別の前記機能モジュールに伝送する。本発明は、電源モジュールと機能モジュールとを接続するバスにより、機能モジュールの通信前及び通信中に電源モジュールを介して機能モジュールを充電し、2本の電力線を用いて複数の機能モジュール間のマルチマスター給電通信を実現し、従来のバス通信方式における、効率的なマルチマスター給電通信システムの不足と駆動能力の弱い技術的問題を解決する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチマスター給電通信システムであって、電源モジュールと、少なくとも1つの機能モジュールとを含み、前記電源モジュールと少なくとも1つの機能モジュールとがバスを介して相互接続され、
前記電源モジュールは、前記バスを介して充電データを前記機能モジュールに伝送し、前記機能モジュールは、前記バスを介して充電データを受信し、充電動作を実行し、
前記電源モジュールは、前記バスを介して第1の伝送動作を実行し、通信データを少なくとも1つの前記機能モジュールに伝送し、前記機能モジュールは、前記バスを介して第2の伝送動作を実行し、通信データを前記電源モジュールまたは別の前記機能モジュールに伝送する、ことを特徴とするマルチマスター給電通信システム。
【請求項2】
前記電源モジュールは、電源主制御ユニットと、充電ユニット、給電ユニット、電力補充ユニット、及び第1のパワースイッチを含み、
前記充電ユニットは、第1の充電データを前記バスに伝送するために使用され、
前記電源主制御ユニットは、前記給電ユニットと電力補充ユニットをそれぞれ制御して、充電データを前記バスに伝送するために使用され、
前記第1の充電ユニットは、前記給電ユニット及び電力補充ユニットと接続され、第2の充電データ及び第3の充電データを前記バスに伝送するために使用される、ことを特徴とする請求項1に記載のマルチマスター給電通信システム。
【請求項3】
前記電源モジュールは、第1の伝送モジュールと第1の受信モジュールとをさらに含み、
前記第1の伝送モジュールは、第1の伝送ユニット及び第1のビットデータエンコーダを含み、前記第1のビットデータエンコーダは、論理データビット及び充電データビットを通信データに符号化するために使用され、前記第1の伝送ユニットは、前記通信データを前記第1のパワースイッチに伝送し、これにより、前記第1のパワースイッチが前記通信データをバスに伝送し、
前記第1の受信モジュールは、第1の受信ユニット及び第1のビットデータデコーダを含み、前記第1の受信ユニットは、バス上の通信データを受信するために使用され、第1のビットデータデコーダは、前記通信データを論理データビット及び充電データビットに復号化するために使用される、ことを特徴とする請求項2に記載のマルチマスター給電通信システム。
【請求項4】
前記機能モジュールは、機能主制御ユニット、第2の伝送モジュール、第2の受信モジュール及び第2のパワースイッチを含み、
前記機能主制御ユニットは、前記第2の伝送モジュールが伝送動作を実行するように制御し、前記第2の受信モジュールが受信動作を実行するように制御するために使用され、
前記第2の伝送モジュールは、第2の伝送ユニット及び第2のビットデータエンコーダを含み、前記第2のビットデータエンコーダは、論理データビット及び充電データビットを通信データに符号化するために使用され、前記第2の伝送ユニットは、前記通信データを前記第2のパワースイッチに伝送し、これにより、前記第2のパワースイッチが前記通信データをバスに伝送し、
前記第2の受信モジュールは、第2の受信ユニット及び第2のビットデータデコーダを含み、前記第2の受信ユニットは、バス上の通信データを受信するために使用され、第2のビットデータデコーダは、前記通信データを論理データビット及び充電データビットに復号化するために使用される、ことを特徴とする請求項3に記載のマルチマスター給電通信システム。
【請求項5】
前記機能モジュールは、給電分岐回路及びエネルギー蓄積コンデンサをさらに含み、
前記給電分岐回路は、前記充電データを受信し、前記エネルギー蓄積コンデンサを充電するために使用され、
前記エネルギー蓄積コンデンサは、前記給電分岐回路と接続され、前記給電分岐回路によって受信された前記充電データに対応する電気エネルギーをを蓄積する、請求項4に記載のマルチマスター給電通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載のマルチマスター給電通信システムの電源モジュールに用いられるマルチマスター給電通信方法であって、
電源モジュールの電源を入れるか、バス上に通信データがないと検出した場合、少なくとも1つの機能モジュールを充電するために充電データをバスに伝送するステップと、
前記バスが通信データを伝送していると検出した場合、予め設定された前記通信データの伝送期間中に、充電データを前記バスに伝送し、前記機能モジュールを充電するステップとを含む、ことを特徴とするマルチマスター給電通信方法。
【請求項7】
前記通信データは、少なくとも1つの論理データビットを含み、前記充電データは、少なくとも1つの充電データビットを含み、前記予め設定された期間は、各論理データビットの後にあり、予め設定された前記通信データの伝送期間中に、充電データを前記バスに伝送し、前記機能モジュールを充電するステップは、具体的には、
通信データの各論理データビットの後、充電データをバスに伝送して、前記機能モジュールを充電し、これにより、前記機能モジュールが充電データを受信するとき、機能モジュールの出力電流を向上させるために前記第2のパワースイッチをオンにする、ことを特徴とする請求項6に記載のマルチマスター給電通信方法。
【請求項8】
請求項5に記載のマルチマスター給電通信システムの電源モジュールまたは機能モジュールに用いられる、前記マルチマスター給電通信方法は、
第1の通信伝送命令を受信すると、前記第1の通信伝送命令に対応する第1の通信データを前記バスに伝送するステップと、
バスが第2の通信データを伝送していると検出した場合、前記第2の通信データに対応する優先度が前記第1の通信データの優先度よりも高いか否かを判断するステップと、
そうである場合、前記第2の通信データの伝送が完了するまで伝送待ち動作を実行し、前記第1の通信伝送命令に対応する第1の通信データを前記バスに伝送するステップに戻るステップと、
前記第2の通信データの伝送が完了したか否かを判断し、そうである場合、バスを解放し、競合を検出しなかった場合、前記第2の通信データを受信する機能モジュールに応答要求を伝送し、これにより、前記機能モジュールが前記応答要求に従って応答データを前記バスに伝送するステップとを含む、ことを特徴とするマルチマスター給電通信方法。
【請求項9】
前記マルチマスター給電通信方法は、
バスから伝送される第3通信データを受信する際、第2の通信伝送命令を検出した場合、受信停止動作を実行するステップと、
前記第2の通信伝送命令に対応する第4の通信データを取得し、前記第4の通信データを前記バスに伝送するステップとを含む、ことを特徴とする請求項8に記載のマルチマスター給電通信方法。
【請求項10】
マルチマスター給電通信装置であって、
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なマルチマスター給電通信プログラムとを含む電源モジュールであって、マルチマスター給電通信プログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、請求項6または7のいずれか一項に記載のマルチマスター給電通信方法のステップを実行する、電源モジュールと、
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なマルチマスター給電通信プログラムとを含む機能モジュールであって、マルチマスター給電通信プログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、請求項8または9のいずれか一項に記載のマルチマスター給電通信方法のステップを実行する、機能モジュールとを含む、ことを特徴とするマルチマスター給電通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術の分野に関し、特に、マルチマスター給電通信システム、方法、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給電バスは、通信と給電を同時に行うことができるバスであり、通信用の物理的な回線が最も少ないバス(電力線は2本のみ)である。一般的なものは、1-ワイヤ(1-wire)、エムバス(mbus)、パワーバス(powerbus)がある。
【0003】
このうち、1-ワイヤ(1-wire)にプルアップ抵抗を付加しているため、出力電流を大きくしたい場合は、この抵抗を小さくする必要があるが、同時に不要な通信電力の消費も増加する。また、この抵抗は通信幹線に直列に接続されており、スレーブ機の消費電流と同じ電流がそれから流れ、スレーブ機がモーターなどの大電流負荷の場合、この抵抗は大量の電力を消費する。したがって、通常は小電流給電の場合に適している。
【0004】
エムバス(Mbus)は、論理レベルを識別するためにデュアル電圧を使用するが、バスの電力供給能力と伝送距離は、パワーバス(powerbus)よりも劣る。
【0005】
パワーバス(powerbus)バスは先進的なバスであり、そのマスターステーションは、最大20Aの電流を供給できる。ただし、マルチホスト通信をサポートしておらず、マスター/スレーブ通信方式を使用するため、バスの全体的な通信効率が低くなり、ホストのタスクが過負荷になり、スレーブステーションの給電電流は、一般に1A未満(スレーブステーションのダイオードが電流制限の主な原因の1つである)になる。これは、モーターなどのパワーデバイスに対する制御が小さすぎるため、パワーバス(powerbus)の下りは電圧であり、上りは電流であり、電流を検出する必要があるため、必然的にマスターステーションの回路が複雑になる。したがって、駆動能力の高いマルチマスター給電通信をいかに提供するかが喫緊の技術課題となっている。
【0006】
上記の内容は、本発明の技術的解決手段の理解を助けるためにのみ使用されており、上記の内容が従来の技術であることを認めるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、現在のバス通信方式における、効率的なマルチマスター給電通信システムの不足及び駆動能力の弱いという技術的問題を解決するための、マルチマスター給電通信システム、方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を実現するために、本発明は、マルチマスター給電通信システムを提供し、前記マルチマスター給電通信システムは、電源モジュールと、少なくとも1つの機能モジュールとを含み、前記電源モジュールと少なくとも1つの機能モジュールとがバスを介して相互接続され、
前記電源モジュールは、前記バスを介して充電データを前記機能モジュールに伝送し、前記機能モジュールは、前記バスを介して充電データを受信し、充電動作を実行し、
前記電源モジュールは、前記バスを介して第1の伝送動作を実行し、通信データを少なくとも1つの前記機能モジュールに伝送し、前記機能モジュールは、前記バスを介して第2の伝送動作を実行し、通信データを前記電源モジュールまたは別の前記機能モジュールに伝送する。
【0009】
また、上記の目的を実現するために、本発明は、上記のマルチマスター給電通信システムの電源モジュールに用いられる、マルチマスター給電通信方法をさらに提供し、前記方法は、
電源モジュールの電源を入れるか、バス上に通信データがないと検出した場合、少なくとも1つの機能モジュールを充電するために充電データをバスに伝送するステップと、
前記バスが通信データを伝送していると検出した場合、予め設定された前記通信データの伝送期間中に、充電データを前記バスに伝送し、前記機能モジュールを充電するステップとを含む。
【0010】
また、上記の目的を実現するために、本発明は、上記のマルチマスター給電通信システムの電源モジュールまたは機能モジュールに用いられる、マルチマスター給電通信方法をさらに提供し、前記方法は、
第1の通信伝送命令を受信するとき、前記第1の通信伝送命令に対応する第1の通信データを前記バスに伝送するステップと、
バスが第2の通信データを伝送していると検出した場合、前記第2の通信データに対応する優先度が前記第1の通信データの優先度よりも高いか否かを判断するステップと、
そうである場合、前記第2の通信データの伝送が完了するまで伝送待ち動作を実行し、前記通信伝送命令に対応する第1の通信データを前記バスに伝送するステップに戻るステップと、
前記第2の通信データの伝送が完了したか否かを判断し、完了した場合、バスを解放し、競合を検出しなかった場合、前記第2の通信データを受信する機能モジュールに応答要求を伝送し、これにより、前記機能モジュールが前記応答要求に従って応答データを前記バスに伝送するステップとを含む。
【0011】
また、上記の目的を実現するために、本発明は、
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なマルチマスター給電通信プログラムとを含む電源モジュールであって、前記マルチマスター給電通信プログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、上述のマルチマスター給電通信方法のステップを実行する、電源モジュールと、
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なマルチマスター給電通信プログラムとを含む機能モジュールであって、前記マルチマスター給電通信プログラムが前記プロセッサによって実行されるとき、上述のマルチマスター給電通信方法のステップを実行する、機能モジュールとを含む、ことを特徴とするマルチマスター給電通信装置をさらに提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、電源モジュールと機能モジュールとを接続するバスにより、機能モジュールの通信前及び通信中に電源モジュールを介して機能モジュールを充電し、2本の電力線を用いて複数の機能モジュール間のマルチマスター給電通信を実現し、従来のバス通信方式における、効率的なマルチマスター給電通信システムの不足と駆動能力の弱い技術的問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施例によるマルチマスター給電通信システムの概略構造図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例による電源モジュールの回路原理の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例による機能モジュールの回路原理の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例による電源モジュールの動作状態を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例による機能モジュールの動作状態を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本発明のマルチマスター給電通信方法の第1の実施例の概略フローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施例による、充電データが給電ビットの論理レベルの概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例による、充電データが電力補充ビットの論理レベルの概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例による電力補充ビットの論理レベルの概略図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例による誤認識防止レベルの挿入位置の概略図である。
【
図11】
図11は、本発明のマルチマスター給電通信方法の第2の実施例の概略フローチャートである。
【
図12】
図12は、本発明の実施例による通信データのフレームデータ構造の概略図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施例によるインターバル期間にデータを伝送するノードの概略図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施例による、給電ビットの期間にデータを伝送するノードの概略図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施例による、ノードがスタートビットを受信したが、同期ビットを受信しなかった競合調停の概略図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施例による、ノードが既にスタートビットを受信して、データビットを受信していない競合調停の概略図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施例による、第1のノードがスタートビットを受信し、第1のノードが競合に失敗した場合の競合調停の概略図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施例による、第1のノードがスタートビットを受信し、第2のノードが競合に失敗する競合調停の概略図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施例による、既にデータを受信し、高い優先度を有する競合調停の概略図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施例による、既にデータを受信し、低い優先度を有する競合調停の概略図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施例による、既にデータを受信し、同じ優先度を有する競合調停の概略図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施例による、機能モジュールの駆動能力を向上させる概略図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施例による、複数の機能モジュールを同期させる概略図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施例による競合調停の1つの場合を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的の実現、機能的特徴及び利点については、実施例と併せて、添付の図面を参照しながらさらに説明する。
【0015】
ここで説明される具体的な実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0016】
給電バスは、通信と給電を同時に行うことができるバスであり、通信用の物理的な回線が最も少ないバス(電力線は2本のみ)である。一般的なものは、1-ワイヤ(1-wire)、エムバス(mbus)、パワーバス(powerbus)がある。
【0017】
このうち、1-ワイヤ(1-wire)にプルアップ抵抗を付加しているため、出力電流を大きくしたい場合は、この抵抗を小さくする必要があるが、同時に不要な通信電力の消費も増加する。また、この抵抗は通信幹線に直列に接続されており、スレーブ機の消費電流と同じ電流がそれから流れ、スレーブ機がモーターなどの大電流負荷の場合、この抵抗は大量の電力を消費する。したがって、通常は小電流給電の場合に適している。
【0018】
エムバス(Mbus)は、論理レベルを識別するためにデュアル電圧を使用するが、バスの電源供給能力と伝送距離は、パワーバス(powerbus)よりも劣る。
【0019】
パワーバス(Powerbus)バスは先進的なバスであり、そのマスターステーションは、最大20Aの電流を供給することができる。ただし、マルチホスト通信をサポートしておらず、マスター/スレーブ通信方式を使用するため、バスの全体的な通信効率が低くなり、ホストのタスクが過負荷になり、スレーブステーションの給電電流は、一般に1A未満(スレーブステーションのダイオードが電流制限の主な原因の1つである)になる。これは、モーターなどのパワーデバイスに対する制御が小さすぎるため、パワーバス(powerbus)の下りは電圧であり、上りは電流であり、電流を検出する必要があるため、必然的にマスターステーションの回路が複雑になる。したがって、駆動能力の高いマルチマスター給電通信をいかに提供するかが喫緊の技術課題となっている。
【0020】
この問題を解決するために、本発明のマルチマスター給電通信システムの様々な実施例を提案する。本発明によって提供されるマルチマスター給電通信システムは、電源モジュールと機能モジュールとを接続するバスにより、機能モジュールの通信前及び通信中に電源モジュールを介して機能モジュールを充電し、2本の電力線を用いて複数の機能モジュール間のマルチマスター給電通信を実現し、従来のバス通信方式における、効率的なマルチマスター給電通信システムの不足と駆動能力の弱い技術的問題を解決する。
【0021】
図1を参照すると、
図1は、本発明のマルチマスター給電通信システムの実施例の概略構造図である。
【0022】
本実施例において、マルチマスター給電通信システムは、電源モジュールと、少なくとも1つの機能モジュールとを含み、前記電源モジュールと少なくとも1つの機能モジュールとがバスを介して相互接続され、前記電源モジュールは、前記バスを介して充電データを前記機能モジュールに伝送し、前記機能モジュールは、前記バスを介して充電データを受信し、充電動作を実行し、前記電源モジュールは、前記バスを介して第1の伝送動作を実行し、通信データを少なくとも1つの前記機能モジュールに伝送し、前記機能モジュールは、前記バスを介して第2の伝送動作を実行し、通信データを前記電源モジュールまたは別の前記機能モジュールに伝送する。
【0023】
本実施例は、電力線を介して通信する1つの電源モジュールと複数の機能モジュールとを含むことは容易に理解される。電源モジュールは、各機能モジュールに電気エネルギーを供給し、各機能モジュールはそれぞれ独自の機能を実行し、各機能モジュール間に、機能モジュールと電源モジュールとの間に相互に通信することができる。
【0024】
具体的には、電源モジュールは、電源主制御ユニット、充電ユニット、給電ユニット、電力補充ユニット、及び第1のパワースイッチを含む。前記充電ユニットは、第1の充電データを前記バスに伝送するために使用され、前記電源主制御ユニットは、前記給電ユニットと電力補充ユニットをそれぞれ制御して、充電データを前記バスに伝送するために使用され、前記第1のパワースイッチは、前記給電ユニット及び電力補充ユニットと接続され、第2の充電データ及び第3の充電データを前記バスに伝送するために使用される。
【0025】
さらに、電源モジュールは、第1の伝送モジュールと第1の受信モジュールをさらに含み、前記第1の伝送モジュールは、第1の伝送ユニット及び第1のビットデータエンコーダを含み、前記第1のビットデータエンコーダは、論理データビット及び充電データビットを通信データに符号化するために使用され、前記第1の伝送ユニットは、前記通信データを前記第1のパワースイッチに伝送し、これにより、前記第1のパワースイッチが前記通信データをバスに伝送し、前記第1の受信モジュールは、バス上の通信データを受信するための第1の受信ユニットと、前記通信データを論理データビット及び充電データビットに復号化するための第1のビットデータデコーダとを含む。
【0026】
いくつかの実施例において、
図2に示すように、
図2は、電源モジュールの回路原理の概略図である。当該実施例において、電源モジュールは、次のユニットを含む。
【0027】
充電ユニットは、バスの各機能モジュールを定電流で充電するために使用され、電源モジュールの電源を入れた後、主制御ユニットが動作して、充電ユニットを有効にし、充電ユニットが、バスの各機能モジュールのエネルギー蓄積コンデンサを満充電になるまで定電流で充電し、その後、主制御ユニットがこのユニットを無効にする。
【0028】
給電ユニットは、バス上の各機能モジュールに電力を供給するために使用され、充電ユニットの充電が完了すると、主制御ユニットがこのユニットを有効にし、主制御ユニットがバス通信を検出すると、このユニットを無効にし、主制御ユニットがバス通信の終了を検出すると、このユニットを有効にする。
【0029】
電力補充ユニットは、通信時に電源モジュールを介してバスに接続された各機能モジュールに電力を補充するために使用され、機能モジュールがデータをバスに伝送するとき、電源モジュールが電力補充パルスをバスに供給し、電源モジュールがデータをバスに伝送するとき、電源モジュールが電力補充パルスをバスに供給しなく、データ信号自体には各機能モジュールに電力を補充可能な電力補充ビットが含まれているためである。
【0030】
伝送ユニットは、データをバスに伝送し、主制御ユニットが、ユーザー入出力ユニットから伝送する必要のあるデータを受信すると、データをバスに伝送するように伝送ユニットを有効にし、主制御ユニットは、バスが競合に失敗すると検出した場合、現在のデータの伝送を停止させ、同時に電力補充ユニットを有効にしてバスに電力を補充する。データ伝送が完了すると、伝送ユニットを再度起動させ、データをバスに伝送し続け、伝送が完了した後、ユーザーが使用できるように、伝送完了に対応するフラグビットを設定する。
【0031】
受信ユニットは、バスデータを受信するために使用され、電源モジュールが、ずっとバスデータを監視し、このモジュールに関連付けられたデータを受信すると、ユーザーが使用できるように、対応する受信フラグビットを設定する。受信モジュールは、電源モジュールのバスへの定電流充電、給電、及び電力補充には影響を与えないことを注意されたい。
【0032】
入出力ユニットは、ユーザーとのデータ交換に使用され、対応するフラグビット、例えば、受信成功フラグビット、伝送成功フラグビット、受信/伝送バッファフラグ:空、半分空、満杯などを有する。受信/伝送が完了した後、割り込みピン、データバスピン、制御ピンなどをユーザーに提供する。
【0033】
電源ユニットは、電源モジュール内の各ユニットに電気エネルギーを供給するために使用される。
【0034】
パワースイッチは、様々な種類のパルスをバスに提供するために使用され、パワースイッチは、給電ユニット、電力補充ユニット、及び伝送ユニットによって直接制御され、様々な種類のパルスデータをバスに提供する。
【0035】
電源主制御ユニットは、電源モジュールの制御に使用され、その内部には、クロックジェネレータ、制御シーケンス回路、バスレベルパルス幅カウンター、データエンコーダ、データデコーダ、優先度識別部などが設けられる。
【0036】
充電ユニット、給電ユニット、及び電力補充ユニットは、異なる期間に充電動作を実行するために使用されることは容易に理解される。
【0037】
具体的には、機能モジュールは、機能主制御ユニット、第2の伝送モジュール、第2の受信モジュール及び第2のパワースイッチを含み、前記機能主制御ユニットは、前記第2の伝送モジュールが伝送動作を実行するように制御し、前記第2の受信モジュールが受信動作を実行するように制御するために使用され、前記第2の伝送モジュールは、第2の伝送ユニット及び第2のビットデータエンコーダを含み、前記第2のビットデータエンコーダは、論理データビット及び充電データビットを通信データに符号化するために使用され、前記第2の伝送ユニットは、前記通信データを第2のパワースイッチに伝送し、これにより、前記第2のパワースイッチが前記通信データをバスに伝送し、前記第2の受信モジュールは、バス上の通信データを受信するための第2の受信ユニットと、前記通信データを論理データビット及び充電データビットに復号化するための第2のビットデータデコーダとを含む。
【0038】
さらに、機能モジュールは、前記充電データを受信し、前記エネルギー貯蔵コンデンサを充電するための給電分岐回路と、前記給電分岐回路と接続され、前記給電分岐回路によって受信された前記充電データに対応する、電気エネルギーを蓄積するエネルギー蓄積コンデンサとをさらに含む。
【0039】
いくつかの実施例において、
図3に示すように、
図3は、機能モジュールの回路原理の概略図である。当該実施例において、機能モジュールは、以下を含む。
【0040】
給電分岐回路は、機能モジュールの電源を入れた場合、給電回路を提供するために使用され、バス電圧が当該給電分岐回路を通して、エネルギー蓄積コンデンサを充電する。初めてバスに接続したとき、このモジュールに電力が供給されていないため、すべての機能ユニットが動作しなく、この給電分岐回路は、バスから電力を取得できる唯一の給電分岐回路である。給電分岐回路は、単方向でなければならないため、通常はダイオードである。
【0041】
パワースイッチは、様々な種類のパルスをバスに提供するために使用され、パワースイッチは、容量拡張ユニットによって制御され、パワースイッチを特定の期間内にオンにし、給電分岐回路の導通抵抗を大幅に低減させ、それによって機能モジュールの負荷電力を増加した。特定の期間には、通電データが符号化される場合の電力補充ビット期間が含まれ、給電パルスが、パルスパワースイッチを起動することは、伝送ユニットによって制御され、様々な種類のパルスデータをバスに提供する。パワースイッチは通常、内部抵抗がダイオードよりもはるかに小さいMOSチューブを用いる。
【0042】
エネルギー蓄積コンデンサは、バス上の電気エネルギーを蓄積して、機能モジュール及び負荷に提供する。
【0043】
伝送ユニットは、データをバスに伝送し、主制御ユニットは、ユーザー入出力ユニットからの伝送する必要のあるデータを受信すると、データをバスに伝送するように、伝送ユニットを有効にし、主制御ユニットは、バスが競合に失敗したと検出すると、現在データの伝送を停止させ、バスを解放する。バスデータの伝送が完了すると、伝送ユニットを再度起動させ、データをバスに伝送し続け、伝送が完了した後、ユーザーがクエリーできるように、伝送完了に対応するフラグビットを設定する。
【0044】
受信ユニットは、バスデータを受信し、機能モジュールが、ずっとバスデータを監視し、このモジュールに関連付けられたデータを受信すると、ユーザーがクエリーできるように、対応する受信フラグビットを設定する。
【0045】
ビットデータエンコーダ及びビットデータデコーダは、通常、正論理方式で、論理0が、ローレベルで表され、論理1がハイレベルで表され、通信プロセス中に、電源モジュールから機能モジュールに出力されるデータには、論理1が多い場合、機能モジュールに給電可能であり、出力される論理0がより多く、すべてが論理0の場合、機能モジュールは、電力が失われ、システム全体が麻痺する恐れがある。したがって、エムバス(M-BUS)、パワーバス(PowerBUS)などの給電バスは通常、二重電源で給電し、バス上の高電圧は、論理1を表し、低電圧は、論理0を表し、この低電圧は通常、機能モジュールの通常の動作を保証できる約10Vに設定される。
【0046】
ただし、機能モジュール同士が通信する場合、エムバス(M-BUS)及びパワーバス(PowerBUS)は、それらの機能モジュールに電力を供給できないため、マスター/スレーブモードのみを使用でき、電源モジュールは、機能モジュールに信号を伝送し、その後の短期間で、機能モジュールは電流の形で電源モジュールに応答する。本実施例におけるビットデータ符号化/復号化部が提案するビットデータ符号化形式:論理ビット+電力補充ビットによると、論理ビットには2種類があり、伝送モジュールについて、データが0の場合、ローレベルを出力し、データが1の場合、ハイレベルを出力し、非伝送モジュールについて、バスを解放する。なお、伝送モジュールが電源モジュールであってもよいし、機能モジュールであってもよい。電力補充ビットには2種類あり、電源モジュールについて、常にハイレベルを出力する。機能モジュールについて、この時点でパワースイッチチューブをオンにし、これにより、電源モジュールを用いて機能モジュールに電力を供給し、機能モジュールの負荷能力を向上させる。
【0047】
本実施例は、この符号化の優位性により、電源モジュールから機能モジュールへ、機能モジュールから電源モジュールへ、機能モジュールから機能モジュールへのデータ通信という様々な通信状況において、通信データがすべて論理0であっても問題なく、電源モジュールは、いつでも各機能モジュールに適時に電力を補充することができる。
【0048】
本実施例の主な特徴データ、即ち給電ビット、スタートビット、3つの応答ビット、論理0、及び論理1はいずれも、上記の形式に分解されてもよい。給電ビット、スタートビット、及びデータビット(論理0または論理1の数ビットを含むが、連続する論理1の数は6を超えることはできない)の主な違いは、パルス幅が異なることであり、スタートビットが給電ビットよりも幅が広く、給電ビットがデータビットよりも幅が広い。
【0049】
さらに、バスがアイドル状態のときの通信方式を使用するエムバス(M-BUS)及びパワーバス(PowerBUS)と比較して、本実施例は、より優れた通信柔軟性を有するリアルタイム通信を採用する。
【0050】
容量拡張ユニットは、給電回路の抵抗を下げ、機能モジュールの負荷能力を向上させるために使用され、特定の時間にパワースイッチを導通させることができる。
【0051】
電源ユニットは、電源モジュール内の各ユニットに電気エネルギーを供給するために使用される。
【0052】
入出力ユニットは、ユーザーとのデータ交換に使用され、対応するフラグビット、例えば、受信成功フラグビット、伝送成功フラグビット、受信/伝送バッファフラグ:空、半分空、満杯などを有する。受信/伝送が完了した後、割り込みピン、データバスピン、制御ピンなどをユーザーに提供する。
【0053】
クロック再生成ユニットは、バス信号からクロック信号を取得するために使用され、マルチマスター通信であるため、各モジュールは、独自のクロックを持ち、クロックが同じ周波数及び同相でない場合、システム全体が混乱になってしまう。通常、電源モジュールのクロックを基準として用い、各機能モジュールは、バスから電源モジュール固有のデータ波形を取得し、それからクロック信号を独自のクロックとして分離することができる。電源モジュールの固有のデータ波形は、給電パルス、フレーム同期信号を含む。
【0054】
機能主制御ユニットは、機能モジュールの制御に使用され、その内部には、クロックジェネレータ、制御シーケンス回路、バスレベルパルス幅カウンター、データエンコーダ、データデコーダ、優先度識別部などが設けられる。
【0055】
図4及び
図5に示すように、本実施例のマルチマスター給電通信原理は、次のとおりである。
【0056】
電源を入れると、電源モジュールは、最初に充電モードに入る。充電ユニットを有効にして、バス上の各機能モジュールを定電流で充電させ、その内部の主制御ユニットは、バスレベルを検出し、バスレベルが設定値に達すると、満充電になったと表す。次に、充電ユニットを無効にし、給電ユニットを有効にして、給電モードに入る。
【0057】
給電モードでは、電源モジュールは、給電パルスをバスに継続的に伝送し、バス上の各機能モジュールに継続的に電気エネルギーを供給する。各機能モジュールに正常に電力を供給する。このモードでは、その内部の主制御ユニットは、本モジュールがデータを伝送したいか否か、及び外部モジュールが通信しているか否かを同時に検出する。
【0058】
本モジュールがデータを伝送したくて、伝送モードに入ると検出し、その時点で外部モジュールが通信していると検出すると、その内部の主制御ユニットは、優先度の判断を行い、本機の優先度が低い場合、データの伝送を停止し、同時に電力補充モードに入り、電力補充パルスをバスに供給する。このフレームのデータが伝送し完了した後、電源モジュールは、電力補充モードを終了し、未伝送のデータを再伝送する。データ伝送が完了した後、伝送モードを終了し、給電モードに入る。これに応じて、本機の優先度が高い場合、伝送が完了するまでデータを伝送し続け、伝送モードを終了して、給電モードに入る。
【0059】
給電モードでは、電源モジュールは、外部モジュールが通信していることのみを検出した場合、電力補充モードに入り、電力補充パルスをバスに供給する。バス通信が完了した後、電源モジュールは、給電モードに入る。
【0060】
本実施例は、電源モジュールと機能モジュールとを接続するバスにより、機能モジュールの通信前及び通信中に電源モジュールを介して機能モジュールを充電し、2本の電力線を用いて複数の機能モジュール間のマルチマスター給電通信を実現し、従来のバス通信方式における、効率的なマルチマスター給電通信システムの不足と駆動能力の弱い技術的問題を解決することが容易に理解される。
【0061】
当業者であれば、
図2及び
図3に示す構造は、電源モジュール及び機能モジュールを限定するものではなく、図に示すものより多くのまたは少ないコンポーネントを含んでもよいし、特定のコンポーネントまたは異なるコンポーネントを組み合わせてもよいことを理解することができる。
【0062】
本発明の実施例は、マルチマスター給電通信方法を提供し、
図6を参照すると、
図6は、本発明のマルチマスター給電通信方法の第1の実施例の概略フローチャートである。
【0063】
本実施例において、上記のマルチマスター給電通信システムの電源モジュールに用いられる前記マルチマスター給電通信方法は、次のステップを含む。
【0064】
ステップS100、電源モジュールの電源を入れるか、バス上に通信データがないと検出した場合、少なくとも1つの前記機能モジュールを充電するために充電データをバスに伝送する。
【0065】
具体的には、電源モジュールの電源を入れた後、大きなバス駆動電流、バスに接続された多数の機能モジュール、及び機能モジュールの大きなエネルギー蓄積コンデンサによるパワースイッチチューブへの損傷を回避するために、電源モジュールは、バスを定電流で充電し、各機能モジュールのエネルギー蓄積コンデンサを満充電にする。
【0066】
定電流で充電した後、バスが通信データを伝送しているか否かを検出し、そうでない場合、少なくとも1つの機能モジュールを充電するために充電データをバスに伝送する。
【0067】
充電データは、
図7に示すように、充電データは、電源モジュールから機能モジュールに伝送される給電ビット+インターバルレベルデータであり、つまり、バス上に脈動電圧が存在し、ノード上の大容量コンデンサが通常、アルミ電解コンデンサであるが、周波数特性が比較的悪いと考慮すると、給電ビットについて広い幅のハイレベルに設定して充電しやすくなる。
【0068】
ステップS200、前記バスが通信データを伝送していると検出した場合、予め設定された前記通信データの伝送期間中に、充電データを前記バスに伝送し、前記機能モジュールを充電する。
【0069】
具体的には、機能モジュールがデータをバスに伝送する場合、電源モジュールがバスに伝送する充電データは、電力補充ビットのレベルデータであり、
図8に示すように、機能モジュールが他のノードと通信する場合、電源モジュールは、電力補充ビットをバスに供給し、供給しないと、機能モジュールは、エネルギー蓄積コンデンサに蓄積されたエネルギーをすべて消費すると、エラーが発生する恐れがある。
【0070】
なお、機能モジュールが通信データをバスに伝送する場合、
図9に示すように、通信データは、少なくとも1つの論理データビットを含み、前記充電データは、少なくとも1つの充電データビットを含み、前記予め設定された期間は各論理データビットの後にあり、予め設定された前記通信データの伝送期間中に、充電データを前記バスに伝送し、前記機能モジュールを充電するステップは、具体的には、通信データの各論理データビットの後、充電データをバスに伝送して、前記機能モジュールを充電し、これにより、前記機能モジュールが充電データを受信すると、機能モジュールの出力電流を向上させるために前記第2のパワースイッチをオンにするステップを含む。
【0071】
さらに、
図10に示すように、機能モジュールは、6つの連続する論理1の後に論理0を挿入する必要があり、受信時にこの論理0を削除する必要があることを注意されたい。この論理0を挿入しないと、バスのハイレベル幅が広くなり、認識エラーが発生する。
【0072】
理解を容易にするために、
図11を参照すると、
図11は、本発明のマルチマスター給電通信方法の第2の実施例の概略フローチャートである。
図6に示すマルチマスター給電通信方法の第1の実施例に基づいて、本実施例は、マルチマスター給電システムの電源モジュールまたは機能モジュールに用いられる、マルチマスター給電通信方法の第2の実施例を提案する。前記マルチマスター給電通信方法は、
ステップS300、第1の通信伝送命令を受信すると、前記第1の通信伝送命令に対応する第1の通信データを前記バスに伝送するステップと、
ステップS400、バスが第2の通信データを伝送していると検出した場合、前記第2の通信データに対応する優先度が前記第1の通信データの優先度よりも高いか否かを判断するステップと、
ステップS500、そうである場合、前記第2の通信データの伝送が完了するまで伝送待ち動作を実行し、前記第1の通信伝送命令に対応する第1の通信データを前記バスに伝送するステップに戻るステップと、
ステップS600、前記第2の通信データの伝送が完了したか否かを判断し、完了した場合、バスを解放し、競合が検出されなかった場合、前記第2の通信データを受信する機能モジュールに応答要求を伝送し、これにより、前記機能モジュールが前記応答要求に従って応答データを前記バスに伝送するステップとを含む。
【0073】
具体的には、バスによる通信データの伝送が完了したか否かを判断するために、伝送モジュールがすべてのデータを伝送した後に、ローレベル(インターバル)を挿入し、競合が検出されなかった場合、応答信号受信モードに入る。応答信号は、電源モジュールと受信モジュールによって共に伝送される。電源モジュールによって伝送されるのは非応答ビットであり、伝送モジュールがこのビットを受信すると、受信モジュールが見つからないか、受信モジュールが損傷したことを意味する。受信モジュールは、成功に受信した場合、成功応答ビットを伝送し、そうでない場合は、失敗応答信号を伝送する。
【0074】
本実施例において、受信が成功したか失敗したかだけを区別し、受信が失敗したことについて、回線の問題なのか、アドレス指定された受信機がバスに接続されていないのかを区別することができない従来の応答方式と比較し、本願は、未応答ビットを追加し、この未応答ビットを受信すると、アドレス指定された受信機がバス上にないことを示し、失敗応答ビットを受信すると、アドレス指定されたレシーバーがバス上にあるが、受信したデータが正しくないことを示す。したがって、本実施例によって提供される応答方式は、アドレス指定された受信機が既にバス上にあるか、それとも受信が失敗したかをより正確に識別することができる。
【0075】
さらに、本実施例において、マルチマスター給電通信システムにおけるバスは、内部に独立した受信機及び送信機を備えたブロードキャストタイプのバスであり、バス上の各モジュールがいずれも、バス上で伝送されているデータを監視することができる。受信機がスタートビットを受信すると、このモジュールは、データ受信モードに入り、伝送すべきデータがある場合、直ちに伝送モードに入り、つまり、伝送モードが受信モードよりも優先され、伝送モードでは、競合が発生し、かつ競合に失敗した場合、再伝送フラグを設定し、受信モードに入り、このフレームが完了した後、自動的に再伝送し、データを伝送する前、バスは、アイドル状態または通信状態のいずれかにあり、これら2つの状態の伝送プロセスを以下に説明する。
【0076】
さらに、
図12に示すように、通信データをバスに伝送する機能モジュールのフレームデータ構造は、スタートビット+同期ビット+コマンドバイト+パラメータバイト+CRC8+応答ビットであってもよい。
【0077】
バスがアイドル状態にある場合、つまり、現時点で通信がなく、バス上には電源モジュールによって出力される一連の給電ビットのみが存在する。
【0078】
第1の場合、
図13に示すように、ノードは、「インターバル」期間にデータを伝送し、この時点で、ノードは、データを伝送したくて、「インターバル」が完了すると、「スタートビット」を伝送する。
第2の場合、
図14に示すように、ノードは、「給電ビット」期間にデータを伝送し、この時点でノードは、データを伝送したい場合、すぐに「スタートビット」(ハイレベル)を伝送し、この前のハイレベル(t)時間を累積する。
バスが通信状態にある場合、
第1の場合、
図15に示すように、「スタートビット」が受信されず、他のノードは「スタートビット」を伝送しているが、ノードは競合に失敗し、データの伝送を停止し、「自動再伝送モード」に入る。
第2の場合、
図16に示すように、「スタートビット」を受信したが、同期ビットをまだ受信していない。他のノードは、「同期ビット」を伝送しているが、ノードは競合に失敗し、データの伝送を停止し、「自動再伝送モード」に入る。
第3の場合、
図17に示すように、「スタートビット」を受信したが、データビットをまだ受信していない。他のノードが1番目のデータビットを伝送しているが、第1のノードは競合に失敗し、データの伝送を停止し、「自動再伝送モード」に入り、残りのデータビットを伝送する。
図18に示すように、第2のノードは競合に失敗し、データの伝送を停止し、「自動再伝送モード」に入って、残りのデータビットを伝送する。
第4の場合、
図19に示すように、データを受信したが、その優先度が高く、データの伝送を停止し、データの伝送優先度がデータの受信優先度よりも低く、伝送しなく、再伝送モードに入る。
第5の場合、
図20に示すように、データを受信したが、その優先度が低く、バスを占用するように「スタートビット」を伝送する。
第6の場合、
図21に示すように、データを受信したが、その優先度が同じであり、データを伝送し続け、ノードが競合に失敗し、データの伝送を停止し、「自動再伝送」モードに入る。
【0079】
いくつかの実施例において、機能モジュールがデータをバスに伝送するとき、最上位バイトを先に伝送し、最下位バイトを最後に伝送し、最上位ビットを先に伝送し、最下位ビットを最後に伝送する。
【0080】
さらに、
図22に示すように、機能モジュールの駆動能力を向上させるために、バスがハイレベルの場合、当該機能モジュールがデータを伝送しない場合、Q1はパワースイッチであり、このとき、給電分岐回路D1を介してのみ、エネルギー蓄積コンデンサを充電する。この給電分岐回路により、機能モジュールの出力電流は大きすぎてはならない。バス上の通信データが符号化される場合、電力補充ビット期間にあるとき、Q1をオンにすると、電界効果トランジスタのスイッチング抵抗が非常に低いため、機能モジュールの出力電流を大幅に大きくする。同時に、通信に影響を与えない。
【0081】
他の実施例において、マルチマスター通信バスであるため、モジュール全体がいつデータを伝送するかは不明であり、各モジュールによって伝送されるデータのクロック周波数と位相は、まったく同じにすることができず、エラーが常に存在し、これらの要因が重なると通信失敗が発生する可能性がある。
図23に示すように、マルチマスター通信で複数の機能モジュール間の同期を実現するには、1つの解決方法は、電源モジュールの給電ビットの1番目の立ち上がりエッジの前、または同期ビット期間に、各々のパワースイッチをオンにすることを禁止するように、各機能モジュールを無効にし、あらゆる場所のクロック位相をこの立ち上がりエッジで同期させ、2つの隣接する立ち上がりエッジの時間に基づいて各々のクロック周波数を計算することである。
【0082】
また、バスから伝送される第3通信データを受信する場合、第2の通信伝送命令を検出すると、受信停止動作を実行し、前記第2の通信伝送命令に対応する第4の通信データを取得し、前記第4の通信データを前記バスに伝送する。
【0083】
実際の使用中に、バスがプリエンプティブな優先度で伝送するため、優先度の高いデータが、通信中の優先度の低いデータの伝送を完全に先取りでき、回線のワイヤまたは関係により、論理1は、論理0よりも優先される。これに加えて、次のような競争調停の場合もあり、例えば、
図24に示すように、ノード1は、データ0x1Fを伝送したいが、上位4ビットを伝送済みであり、この時点で、ノード2は、0x81を伝送したいが、この優先度がノード1よりも高いが、受信した最上位ビットが0であり、したがって、データは、すべてを再伝送する必要があり(受信したデータが同じであれば、続けて次のビットを伝送するだけで済む)、したがって、ノード2がスタートビットを伝送し始め、バスがハイレベルになるが、後にノード1もハイレベルを伝送するため、競合が存在することを検出できず、応答受信モードに正常に入るが、バスを占有することに失敗した。本実施例において、応答を受信する前にローレベルを挿入することができ、この時点でバスがハイレベルであると検出した場合、競合が存在すると示し、再伝送フラグを設定して受信モードに入り、バスが占用された。
【0084】
本実施例において、バス上の高電圧、超大電流負荷について、電源モジュール及び機能モジュールのパワースイッチチューブQ1は大きくなければならず、これにより、パワースイッチチューブの数が増加し、コストが増加するだけでなく、電気エネルギーの消費も増加し、場合によっては、これは望ましくないことになる。本実施例において、機能モジュールの負荷に個別に接続するように電力プラス線を追加し、電源モジュールと機能モジュールに別の低電力プラス線を使用し、それらを共用接地し、経済的で安全かつ確実な通信を実現することができる。
【0085】
さらに、本発明の実施例は、マルチマスター給電通信プログラムが記憶されている記憶媒体をさらに提案し、前記ルチマスター給電通信プログラムが、プロセッサによって実行されるとき、上述のようなマルチマスター給電通信方法のステップを実現する。したがって、ここでは、これ以上の詳細を説明しない。また、同じ方法を使用することによる有益な効果については、再度説明しない。本願に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の実施例に開示されていない技術的詳細については、本願の方法の実施例の説明を参照されたい。例として、プログラム命令は、1つのコンピューティングデバイス上で、1つの場所に配置された複数のコンピューティングデバイス上で、または複数の場所に分散されて通信ネットワークによって接続される複数のコンピューティングデバイス上で実行するように構成されてもよい。
【国際調査報告】