(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】4行程水素燃料内燃エンジン
(51)【国際特許分類】
F02D 19/12 20060101AFI20250220BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20250220BHJP
F02D 19/02 20060101ALI20250220BHJP
F02D 41/34 20060101ALI20250220BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
F02D19/12 A
F02M21/02 G
F02D19/02 B
F02D41/34
F02D45/00 362
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024547242
(86)(22)【出願日】2023-02-10
(85)【翻訳文提出日】2024-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2023053310
(87)【国際公開番号】W WO2023152295
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519125391
【氏名又は名称】ディーエムエー テック エス.アー エール.エル.
【氏名又は名称原語表記】DMA TECH S.A R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【氏名又は名称】杉山 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】ボーヴィ、ジャック
【テーマコード(参考)】
3G092
3G301
3G384
【Fターム(参考)】
3G092AA01
3G092AA06
3G092AB09
3G092AB17
3G092BB06
3G092DE03S
3G092EA12
3G092FA17
3G092HE03X
3G301HA04
3G301HA22
3G301JA25
3G301LB04
3G301MA18
3G301PE03Z
3G384AA01
3G384AA14
3G384BA18
3G384DA14
3G384FA58Z
(57)【要約】
エンジンケーシング(10)、クランクシャフト軸を中心に回転可能なクランクシャフト(20)、前記エンジンケーシング(10)内に配置されたシリンダ(30)、前記クランクシャフト(20)から遠位の上死点(TDC)位置と前記クランクシャフト(20)の近位の下死点(BDC)位置との間で往復軸に沿って移動可能に往復運動し、往復ピストン(35)がクランクシャフトに回転運動を与えるようにクランクシャフトに作動可能に接続された前記シリンダ内に配置されたピストン(35)、エンジンケーシング(10)と前記クランクシャフト(20)の反対側のピストン(35)のヘッド間において前記シリンダ(30)内で画成された燃焼室(37)、吸気弁(40.1)、排気弁(45.1)、前記燃焼室(37)に水素を直接噴射するよう構成された水素噴射器(60)、前記燃焼室(37)に水を直接噴射するよう構成された水噴射器(70);スパーク又はグロープラグ(50)、及び水素噴射及び水噴射のタイミングと量を制御するように構成されたエンジン制御ユニット、を含み、前記エンジン制御ユニットが、圧縮行程中のTDC前の20°からTDC後の20°までの第1のタイミングで第1の量の水素を燃焼室に噴射し、圧縮行程中のTDCの前110°から90°までの第2のタイミングで第2の量の水を燃焼室に噴射し、かつ、圧縮行程中のTDCの前180°から100°までの第3のタイミングで第3の量の水素を燃焼室に噴射する、よう構成されている、スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンケーシング(10)、クランクシャフト軸を中心に回転可能なクランクシャフト(20)、前記エンジンケーシング(10)内に配置されたシリンダ(30)、前記クランクシャフト(20)から遠位の上死点(TDC)位置と前記クランクシャフト(20)の近位の下死点(BDC)位置との間で往復軸に沿って移動可能に往復運動し、往復ピストン(35)がクランクシャフトに回転運動を与えるようにクランクシャフトに作動可能に接続された前記シリンダ内に配置されたピストン(35)、エンジンケーシング(10)と前記クランクシャフト(20)の反対側のピストン(35)のヘッド間において前記シリンダ(30)内で画成された燃焼室(37)、吸気弁(40.1)、排気弁(45.1)、前記燃焼室(37)に水素を直接噴射するよう構成された水素噴射器(60)、前記燃焼室(37)に水を直接噴射するよう構成された水噴射器(70);スパーク又はグロープラグ(50)、及び水素噴射及び水噴射のタイミングと量を制御するように構成されたエンジン制御ユニット、を含み、前記エンジン制御ユニットが、圧縮行程中のTDC前の20°からTDC後の20°までの第1のタイミングで第1の量の水素を燃焼室に噴射し、圧縮行程中のTDCの前110°から90°までの第2のタイミングで第2の量の水を燃焼室に噴射し、かつ、圧縮行程中のTDCの前180°から100°までの第3のタイミングで第3の量の水素を燃焼室に噴射する、よう構成されている、スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項2】
前記エンジン制御ユニットは、第3の量の水素が全水素量の5から50重量%になるように制御するように構成されており、前記全水素量は、第3の量の水素と第1の量の水素の合計である、請求項1に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項3】
前記エンジン制御ユニットは、圧縮行程中のTDCの前180°から110°の第4のタイミングで第4の量の水を燃焼室にさらに噴射するように構成されている、請求項1又は2に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項4】
前記エンジン制御ユニットは、第4の量の水が全水量の0.5から5重量%になるよう制御するように構成されており、前記全水量は、第2の量の水と第4の量の水の合計である、請求項3に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項5】
前記エンジン制御ユニットは、全水素量と第2の量の水又は全水量を制御して、1.5と2.5の間、好ましくは1.6と2.4の間、より好ましくは1.7と2.3の間の空燃等価比であるラムダ値を得るように構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項6】
前記エンジン制御ユニットは、全水素量と全水量を制御して、1.0と2.0の間、好ましくは1.3と1.9の間、より好ましくは1.5と1.7の間の水対水素質量比を得るように構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項7】
水素を噴射する、第1のタイミングは圧縮行程中のTDCの前15°からTDCの後15°まで、及び/又は第2のタイミングは圧縮行程中の上死点(TDC)の前105°から95°、好ましくは約100°であり、及び/又は第3のタイミングは圧縮行程中のTDCの前175°から120°までであり、及び/又は、該当する場合は、第4のタイミングは圧縮行程中のTDCの前175°から120°である、請求項1から6のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項8】
エンジンの圧縮比は12.9:1と17:1の間、好ましくは13.4:1と16.5:1の間、より好ましくは13.9と16の間である、請求項1から7のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項9】
エンジンケーシング(10)、クランクシャフト軸を中心に回転可能なクランクシャフト(20)、前記エンジンケーシング(10)内に配置されたシリンダ(30)、前記クランクシャフト(20)から遠位の上死点(TDC)位置と前記クランクシャフト(20)の近位の下死点(BDC)位置との間で往復軸に沿って移動可能に往復運動し、かつ往復ピストン(35)がクランクシャフト(20)に回転運動を与えるようにクランクシャフトに作動可能に接続された前記シリンダ(30)内に配置されたピストン(35)、エンジンケーシング(10)と前記クランクシャフト(20)の反対側のピストン(35)のヘッド間において前記シリンダ(30)内で画成された燃焼室(37)、吸気弁(40.1)、排気弁(45.1)、前記燃焼室(37)に水素を直接噴射するよう構成された水素噴射器(60)、前記燃焼室(37)に水を直接噴射するよう構成された水噴射器(70);スパーク又はグロープラグ(50)、及びこの方法の各工程を実行するよう構成されたエンジン制御ユニット、を含み、
前記方法は、各4行程サイクルでの、
a)圧縮行程中のTDCの前180°から100°までの第3のタイミングで、水素噴射器(60)を通じて第3の量の水素を燃焼室(37)に噴射し、
b)圧縮行程中のTDCの前110°から90°までの第2のタイミングで、前記水噴射器(70)を通じて第2の量の水を燃焼室(37)に噴射し、かつ、
c)圧縮行程中のTDCの前20°からTDCの後20°までの第1のタイミングで、水素噴射器(60)を通じて第1の量の水素を燃焼室(37)に噴射する、
各工程を含む、スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項10】
工程a)で第3の量の水素は、全水素量の5から50重量%となるように制御され、前記全水素量は、第3の量の水素と第1の量の水素の合計である、請求項9に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項11】
d)圧縮行程中のTDCの前180°から110°までの第4のタイミングで、水噴射器(70)を通じて第4の量の水を燃焼室(37)に噴射する:
工程をさらに含む、請求項9又は10に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項12】
第4の量の水は、全水量の0.5から5重量%となるように制御され、前記全水量は、第2の量の水と第4の量の水の合計である、請求項9から11のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項13】
全水素量と第2の量の水又は全水量は、1.5と2.5の間、好ましくは1.6と2.4の間、より好ましくは1.7と2.3の間の空燃等価比であるラムダ値が得られるように制御される、請求項9から12のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項14】
全水素量と全水量は、1.0と2.0の間、好ましくは1.3と1.9の間、より好ましくは1.5と1.7の間の水対水素質量比が得られるように制御される、請求項9から13のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項15】
工程a)で水素を噴射する第3のタイミングは、圧縮行程中のTDCの前175°から120°に設定され、及び/又は工程b)で第1のタイミングは、圧縮行程中のTDCの前15°からTDCの後15°に設定され、及び/又は工程c)で第2のタイミングは、圧縮行程中の上死点(TDC)の前105°から95°、好ましくは約100°に設定され、及び/又は、該当する場合は、第4のタイミングは、圧縮行程中のTDCの前175°から120°に設定される、請求項9から14のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に4行程内燃エンジン、特に高効率、低公害、高トルクの4行程水素燃料内燃エンジン、並びにその作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
4行程内燃エンジンは周知であり、一般的に、エンジンケーシング、クランクシャフト軸を中心に回転可能なクランクシャフト、前記エンジンケーシング内に配置された1つ以上のシリンダ、前記クランクシャフトから遠位の上死点(TDC)位置と前記クランクシャフトの近位の下死点(BDC)位置との間で往復軸に沿って移動可能に往復運動する各シリンダ内に配置されたピストン、を含む。往復ピストンは、クランクシャフトに回転運動を付与するようにクランクシャフトに作動可能に接続されている。さらに、エンジンは、エンジンケーシングと前記クランクシャフトの反対側のピストンのヘッド間の前記シリンダ内に画成された燃焼室、シリンダ当たり少なくとも1つの吸気弁と1つの排気弁、前記燃焼室に燃料を供給する手段、エンジンが燃料空気混合気のスパークによる点火に基づく場合は、シリンダ当たり少なくとも1つのスパークプラグ、及び一般的に、エンジンの作動を制御するためのエンジン制御ユニット、を含んでいる。
【0003】
燃料直接噴射による4行程エンジンは、4つの連続行程と反復サイクルで作動し、その行程は以下のとおりである。
【0004】
吸気行程:ピストンが上死点から下死点に向かって下降し始め、吸気弁が開き、かつ空気が燃焼室に入る。
【0005】
圧縮行程:ピストンが下死点から上死点に戻り、かつシリンダ内の空気を圧縮し、燃焼室内の圧力と温度が共に上昇する。
【0006】
燃焼行程(パワー行程):一般的に、圧縮行程の終わり(ピストンが上死点に達する前)から燃焼行程の非常に早い段階までに、燃料噴射器は燃料を燃焼室内に噴射し始める。ある時点で、燃料は自動点火(圧縮点火)するか、スパークプラグからの火花によって点火(スパーク点火)される。燃料空気混合気の燃焼により、ピストンヘッド上に圧力が生じ、ピストンが下向きに押し下げられ、それにより回転するクランクシャフトにエネルギーが伝達される。
【0007】
排気行程:ピストンがシリンダの底部(下死点)に当たった後、ピストンが上向きに移動し始め、排気弁が開きかつピストンの掃引効果(sweep effect)により、排気ガスは燃焼室を離れて排気システムにかつ最終的には大気に向かう。
【0008】
このようなエンジンは、主に液体又は気体の炭化水素燃料で作動されてきたが、望ましくないカーボンフットプリントの環境配慮に関するより厳しい規定によれば、水素は炭素酸化物と未燃炭化水素の放出を完全に回避するための明白で洗練された解決策に思われる。
【0009】
しかしながら、炭化水素燃料を燃料として水素に置き換えることは簡単ではない。水素には、メタンやプロパンなどの一見類似したガス状の炭化水素燃料と比較したとしても、炭化水素燃料とは明らかに異なる多くの特性がある。
【0010】
第1に、水素は化学燃料の中で最も質量エネルギー比が高く、質量エネルギー消費量については、従来のガソリン燃料を約3倍、アルコールを約5から6倍、かつメタンとプロパンを2.5倍も上回っている。
【0011】
第2に、水素はエンジン燃焼室内での燃焼速度又は火炎速度(flame speed)が非常に高く、ガソリンの約6倍である。水素の、化学量論的な空燃比での火炎速度はガソリンよりもほぼ一桁高い(速い)。
【0012】
第3に、水素では、可燃性限界は25℃かつ1バールで4から75体積%であり、他の燃料と比較すると、例えばガソリンでは、空気中で1.4から2.3体積%であり、広い可燃性限界を有する。
【0013】
第4に、水素は点火エネルギーが非常に低い。水素と空気の混合物の最小点火エネルギーは僅か0.017mJであり、これに対し、ガソリン、メタン、プロパンなどの他の可燃性ガスの最小点火エネルギーは通常0.1mJのオーダーである。
【0014】
第5に、しかしながら、水素の自動点火温度は、ガソリンが約350℃であるのに比較して約585℃と比較的高い。このことが、点火エネルギーが低いにもかかわらず、追加の点火源なしで熱だけによって水素と空気の混合物を点火することを困難にしている。
【0015】
第6に、水素は分子拡散率(molecular diffusivity)が非常に高く、これは空気中に分散する能力がガソリンよりもかなり高いことを意味する。
【0016】
第7に、水素はガソリンの2.0mmに比べて約0.6mmの小さな消炎距離(quenching distance)を有する。したがって、燃焼炎が消えるシリンダ内壁からの距離は大幅に小さくなり、シリンダ壁の潤滑膜に悪影響を及ぼし、バックファイアのリスクを高める可能性がある。
【0017】
第8に、水素は、鉄や鋼などの一般的に使用される金属の機械的特性に対してよく知られかつ望ましくない、一般に水素の脆化効果と呼ばれる影響を及ぼし、これが金属の延性と破壊時の真応力(true stress)の低下につながる。
【0018】
これらの特性の少なくとも一部は、一見すると望ましく有利に見えるが、積み重なることで普通に見える炭化水素燃料の水素への置き換えを明らかに困難にしている。
【0019】
これらの特性の一部、つまり最初の6つの特性は、燃焼温度を大幅に上昇させ、それが燃焼中のNOxの望ましくない生成を増大させるため、このことは猶更である。さらに、燃焼温度の上昇が、消炎距離の短縮、脆化効果と組み合わさって、炭化水素燃料を水素に置き換えることをさらに困難にしている。
【技術的問題】
【0020】
本発明の目的は、特にNOxの放出に関して、環境的にクリーンなパワー生成についての高い解決可能性を損なうことなく、より効率的に作動できるようにすることで、燃料として水素を使用するために特に構成された4行程内燃エンジンを提供することである。さらなる目的は、そのようなエンジンをその性能及びその環境的に有利な側面の両方を高めるために、そのようなエンジンを作動させるための対応方法を提供することである。
【発明の概要】
【0021】
上記の問題の少なくとも一部を克服し、その目的を達成するために、本発明は、第1の態様において、エンジンケーシング、クランクシャフト軸を中心に回転可能なクランクシャフト、前記エンジンケーシング内に配置されたシリンダ、前記クランクシャフトから遠位の上死点(TDC)位置と前記クランクシャフトの近位の下死点(BDC)位置との間で往復軸に沿って移動可能に往復運動し、前記往復ピストンがクランクシャフトに回転運動を与えるようにクランクシャフトに作動可能に接続された前記シリンダ内に配置されたピストン、エンジンケーシングと前記クランクシャフトの反対側のピストンのヘッド間において前記シリンダ内で画成された燃焼室、吸気弁、排気弁、前記燃焼室に水素を直接噴射するよう構成された水素噴射器、前記燃焼室に水を直接噴射するよう構成された水噴射器;スパーク又はグロープラグ、及び水素噴射及び水噴射のタイミングと量を制御するように構成されたエンジン制御ユニット、を含み、前記エンジン制御ユニットが、圧縮行程中のTDCの前180°から100°までの第3のタイミングで第3の量の水素を燃焼室に噴射し、圧縮行程中のTDCの前20°からTDCの後20°までの第1のタイミングで、第1の量の水素を燃焼室に噴射し、かつ圧縮行程中のTDCの前110°から90°まで、好ましくは110°未満から90°超、例えば107.5°から92.5°まで、あるいは105°から95°ですらよい第2のタイミングで、第2の量の(液体又は気体の)水を燃焼室に噴射する、スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを提案する。
【0022】
本文における予備的な留意点としては、序数「第1」、「第2」、「第3」、「第4」は、「量」及び「タイミング」という用語を限定し、かつ噴射材料、すなわち水素又は水のそれぞれの「量」と噴射するその「タイミング」を明確に結びつけるためにだけに使用される。よって、「第1のタイミング」で「第1の量」が噴射され、「第2のタイミング」で「第2の量」が噴射される、といった具合である。したがって、序数は、性質(nature)、大きさ、重要性、時系列順などの他の相互関係を意味するものではない。したがって、サイクル当たりの全水素量は、第1及び第3のタイミングで噴射される第1の量の水素と第3の量の水素の合計であり、一方、サイクル当たりの噴射される全水量は、第2のタイミングで噴射される第2の量の水に等しく、又は、以下でさらに説明するいくつかの有利な実施形態では、第2と第4のタイミングで噴射される第2の量の水と第4の量の水の合計に等しい。
【0023】
本発明者は、圧縮行程中のTDCの前約110°から約90°のタイミングで、液体の水を噴射することで、水素の使用及びその特定の特性から生じる上述の問題のいくつかを克服することができることを見出した。事実、燃焼室に大量の水を導入することで、圧縮中に燃焼室内の温度を下げることができるだけでなく、更に燃焼中の温度を下げ、それによって望ましくないNOxの生成を減らすことができる。実際、スパーク又はグロープラグによって燃焼が引き起こされるかなり前であっても、第1の量の水素が噴射されるかなり前であっても、水の噴射により、水素の高い質量対エネルギー比と非常に高い燃焼速度の影響を少なくともある程度制御することが可能であるように思える。しかしながら、燃焼室へのこのような比較的早期の水の噴射は、水素の燃焼を少なくとも部分的に管理下に置くという点で有益であるだけでなく、さらにエネルギー的に有利な方法でそれを行うことができる。実際に、TDCの前約110°から約90°までのタイミングでは、シリンダ内の圧力(及び温度)はまだ比較的低く、そのことは、この段階での水の噴射には高圧噴射器も、高価でエネルギーを大量に消費する高圧ポンプも必要ではないことを意味する。したがって、水は一般的に、150℃をはるかに下回る温度、好ましくは約100℃未満、例えば70℃未満、50℃未満で、さらには室温程度の温度でもよく、液体の形で噴射される。
【0024】
一般的に言えば、水を内燃エンジンの燃焼室に噴射すると、水が十分な速度で蒸発せずにシリンダ壁に沈着し、それによりシリンダ壁の潤滑膜の完全な状態に欠陥を生じさせ、かつ潤滑剤の希釈につながるリスクがあり、これらは水素燃料エンジンでは、前述の脆化効果と短い消炎距離によりなお更有害である。本発明者は、液体の水の噴射(第2の量)の前の時点で、(第3の)比較的少量の水素を噴射することにより、この水の沈着の悪影響を大幅に制御するか、防止することさえ可能であることを見出した。この好ましい効果は、水素が上述の非常に高い分子拡散率により水の分散を促進し、それによって水の蒸発を促進し、その結果、シリンダ壁に有害な沈着が生じるリスクを低減させることによると考えられる。前記効果を得るために、(第3の量の)水素を、圧縮行程中のTDCの前180°から100°の(第3の)タイミングで、最も好ましくは、遅くとも第2の量の水の噴射を開始する前に噴射し得る。
【0025】
また、水素の水噴射に対する有利な分散効果が、第3の量としての比較的少量の水素で得られることも判明している。実際、有利にも、前記エンジン制御ユニットは、第3の量の水素が全水素量の5から50重量%、好ましくは10から45重量%、特に15から40重量%になるように制御するよう構成されており、前記全水素量(サイクル当たり)は、第3の量と第1の量の水素の合計である。
【0026】
有効量の水の早期噴射は、その時点でのシリンダ内の温度が水の蒸発を確実にするには低すぎるため、潤滑膜の破壊又は潤滑剤の希釈につながる可能性が最も高いが、驚くことに、本発明者は、本発明に従って作動すれば、これがこれらの早期のタイミングでの水の噴射を排除しないことを立証した。実際、第3の量の水素の早期の噴射、及びその非常に高い分子拡散率に由来するその分散効果により、圧縮行程中の非常に早い段階であっても比較的少量の水を噴射することができ、それにより、潤滑のリスクを冒すことなく燃焼室に追加量の水を導入することができる。したがって、有利な実施形態では、エンジン制御ユニットは、圧縮行程中のTDCの前180°から110°の第4のタイミングで、第4の量の水を燃焼室にさらに噴射するように構成されている。第3の量の水素は、第4の量の水の噴射と同時又はその前、その後に開始でき、そのことは、第4の量の水と第3の量の水素の噴射を良好なタイミングで重ね得ることを意味する。有利なことに、第4の量の水は、第3の量の水素の噴射と同時となる最も早い第4のタイミングで噴射される。
【0027】
好ましくは、前記エンジン制御ユニットは、第4の量の水を全水量の0.5から5重量%、好ましくは0.75から4重量%、特に0.85から3.0重量%に制御するように構成されており、サイクルごとの全水量は、第2の量の水と第4の量の水の合計である。
【0028】
上述の本発明の優位性と効果に加えて、さらにその主な利点は、追加された水の存在がノッキングを減少させ、その結果、水素燃料内燃エンジンに一般的に有用であるラムダ値(すなわち、空燃等価比)よりも大幅に低いラムダ値で内燃エンジンを作動できるという事実である。実際、とくに水素の質量エネルギー比(mass to energy ratio)が高く、燃焼速度が非常に高いことなどを考慮すると、水素燃料エンジンは、エンジン温度制御とNOx低減の両方の理由から、一般的に非常にリーン(lean)な条件で作動しなければならない。その結果、従来の水素燃料エンジンは、例えばディーゼルエンジンで知られているのと同じ高さのブレーキ熱効率で作動することはできない。
【0029】
ここで、本発明の効率的な水噴射により、第2のタイミングで第2の量の水を噴射するだけで、又は第4のタイミングで第4の量の水を追加で早期に噴射することで、従来の水素燃料内燃エンジンのラムダ値に比べて大幅に低下したラムダ値での作動が可能になり、これにより、より高い効率での作動が可能になる。結果として、エンジン制御ユニットは、一般的に、サイクルごとの全水素量とサイクルごとの液体の水の全水量(後者は、第4の量の水の噴射がない場合には第2の量の水のみ、又は第2及び第4の量の水の合計)を制御して、1.5と2.5の間、好ましくは1.6と2.4の間、より好ましくは1.7と2.3の間のラムダ値を得るように構成される。
【0030】
したがって、本発明の効率的な水噴射は、排気ガス再循環(EGR)弁や高度なターボコンプレッサーなどの高価で複雑な追加の機器の必要性もなくすか又は少なくとも減らす。
【0031】
さらに、水と水素の質量比はエンジンの速度の影響を驚くほど受けることがなく、より効率的な作動、低いNOx生成、より低いエンジンストレス等の本発明の利点は、発電機におけるように毎分当たりの特定の回転数だけで作動する定置エンジンで得られるだけではなく、特に車両エンジンなど、任意の他のタイプの用途(application)にも適用できることが分かった。有利にも、エンジン制御ユニットは、全水素量及び全水量を制御して、1.0と2.0の間、好ましくは1.3と1.9の間、より好ましくは1.5と1.7の間、例えば約1.6の水対水素質量比を得るように構成される。
【0032】
本発明によるスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンの特に有利な形態では、第1のタイミングは圧縮行程中のTDCの前15°からTDCの後15°まで、及び/又は第2のタイミングは圧縮行程中の上死点(TDC)の前105°から95°、好ましくは約100°で、及び/又は水素を噴射する第3のタイミングは圧縮行程中のTDCの前175°から120°であり、及び/又は該当する場合は、第4のタイミングは、圧縮行程中のTDCの前175°から120°である。
【0033】
気体に変化する液体の水を追加することで温度を下げることができ、その結果、実際の圧縮比、つまり内燃エンジンのシリンダと燃焼室の体積の比を、それらの最大値と最小値において増加させることができる。好ましいスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンでは、エンジンの実際の圧縮比は12.9:1と17:1の間、好ましくは13.4:1と16.5:1の間、より好ましくは13.9と16の間である。
【0034】
第2の態様では、本発明は、同様に、スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法を提案するものであって、好ましくは、第1の態様によるエンジンは、エンジンケーシング、クランクシャフト軸を中心に回転可能なクランクシャフト、前記エンジンケーシング内に配置されたシリンダ、前記クランクシャフトから遠位の上死点(TDC)位置と前記クランクシャフトの近位の下死点(BDC)位置との間で往復軸に沿って移動可能に往復運動し、かつ前記往復ピストンが前記クランクシャフトに回転運動を与えるようにクランクシャフトに作動可能に接続された前記シリンダ内に配置されたピストン、エンジンケーシングと前記クランクシャフトの反対側のピストンのヘッド間において前記シリンダ内で画成された燃焼室、吸気弁、排気弁、前記燃焼室に水素を直接噴射するよう構成された水素噴射器、前記燃焼室に直接水を噴射するよう構成された水噴射器;スパーク又はグロープラグ、及び方法の各工程を実行するよう構成されたエンジン制御ユニット、を含み、前記方法は、各4行程サイクルでの、
a)圧縮行程中のTDCの前180°から100°までの第3のタイミングで、水素噴射器を通じて第3の量の水素を燃焼室に噴射する、
b)圧縮行程中のTDCの前20°からTDCの後20°までの第1のタイミングで、水素噴射器を通じて第1の量の水素を燃焼室に噴射する、かつ
c)圧縮行程中のTDCの前110°から90°まで、好ましくは110°未満から90°超、例えば107.5°から92.5°まで、あるいは105°から95°までですらよい第2のタイミングで水噴射器を通じて第2の量の水を燃焼室に噴射する、
各工程を含む。
【0035】
スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する本方法では、工程a)で第3の量の水素は、好ましくは、全水素量の5から50重量%となるように制御され、前記全水素量は、第3の量の水素と第1の量の水素の合計である。
【0036】
有利にも、この方法はさらに、
d)圧縮行程中のTDCの前180°から110°までの第4のタイミングで、水噴射器を通じて第4の量の水を燃焼室に噴射する、工程を含む。
【0037】
第4の量の水は、全水量の0.5から5重量%となるように制御されるのが好ましく、前記全水量は、第2の量の水と第4の量の水の合計である。
【0038】
特に有益な実施形態では、全水素量と第2の量の水又は全水量は、1.5と2.5の間、好ましくは1.6と2.4の間、より好ましくは1.7と2.3の間の空燃等価比(air to fuel equivalence ratio)であるラムダ値が得られるように制御される。
【0039】
スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法において、好ましくは全水素量と全水量は、1.0と2.0の間、より好ましくは1.3と1.9の間、最も好ましくは1.5と1.7の間、特に約1.6の水対水素質量比が得られるように制御される。
【0040】
スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法は、工程a)では、水素噴射の第3のタイミングを、圧縮行程中のTDCの前180°から100°、好ましくは175°から120°に設定し、及び/又は工程b)では、第1のタイミングを圧縮行程中のTDCの前15°からTDCの後15°に設定し、及び/又は工程c)では、第2のタイミングを、圧縮行程中の上死点(TDC)の前105°から95°、好ましくは約100°に設定し、及び/又は、該当する場合は、第4のタイミングを、圧縮行程中のTDCの前180°から110°、好ましくは175°から120°に設定する、ように制御される。
【0041】
内燃エンジンのタイミングは、一般に、かつより具体的に、ここに示す噴射のタイミングは、エンジンのシリンダ内の往復ピストンの位置に関して表されるクランクシャフトの角度で示され、必要に応じて作動サイクルの関連する行程に関連して示される。「上死点」又は「TDC」及び「下死点」又は「BDC」という表現は、内燃エンジンの技術分野で一般的に知られている表現であり、シリンダ内での往復ピストン、又はより具体的にはピストンの頂部(top)の往復軸に沿った両端位置を指す。上死点は、ピストンがクランクシャフトから遠位にあるときのピストンの位置であり、下死点はクランクシャフトの近位の位置である。したがって、往復軸に沿った位置は、一般に、クランクシャフトの回転の意味でそれに関するいずれかの死点からの度数(°)で与えられる。多くの場合、上記の表現には前置詞「後;after」又は「前;before」が先行する。例えば、「上死点の前110°」(TDCの前110°又はBTDC110°に短縮)は、ピストンの頂部が、上死点に対してクランクシャフトの回転角度-110°に対応する往復軸に沿った位置にあることを意味する。「上死点から-20°から+20°」の範囲の表記は、「上死点の前20°から上死点の後20°まで」又は「TDCの前20°からTDCの後20°まで」と同義である。
【0042】
また、本文における噴射タイミングの表示は、対応する噴射の開始を意味する。実際には噴射持続時間は必然的に短いが、その間にピストンがシリンダ内でその経路移動を続けるある程度の時間が不可避的に必要である。
【0043】
吸気弁及び排気弁は、カムシャフトのようなエンジン自体によって駆動される(したがって、エンジンはアクチュエータである)か、又は空気圧、油圧、電動アクチュエータなどの別のアクチュエータによって駆動される、任意の適切なタイプの弁であり得、好ましくは、これらは、殆ど全ての4行程エンジンで独立して使用される、ポペット弁、スライド弁又は回転ディスク弁である。例えば、スライド又はスピニングディスクとして設計された弁システムでは、有利にも排気弁の下死点での開閉及び排気弁の閉鎖に先立って吸気弁が開くタイミングの設定が可能である。
【0044】
本発明の内燃エンジンは、有利にも、排気弁(複数でもよい)の下流の凝縮器ユニット(condenser unit)と共に水噴射器(複数でもよい)に供給する給水部としての水タンクをさらに含み得る。排気ガスからの蒸気を水に凝縮するために凝縮器ユニット、例えば熱交換器を提供することができ、水は、次いで導管を介して水タンクに供給される。蒸気製造に使用される水のこのような再利用は、通常、運搬する水量が制限される自動車の用途(mobile applications)では特に重要である。さらに、水を再利用することで、水の補充回数も減る。また、排出された蒸気を濾過するためのフィルタ手段を提供し得る。水タンクは、好ましくは、通常の充填キャップによる水充填と凝縮した排出水による充填の両方のために設計される。
【0045】
本発明の内燃エンジンは、もちろん複数のシリンダで構成し得る。さらに、これらのシリンダは、各々燃焼室の周囲に沿って好ましく分布する複数の水噴射器を含み得る。水噴射器は、燃焼室内にあるシリンダの任意の適切な位置に配置し得る。
【0046】
ここに記載された全ての明示的な値は、特に別段の説明がなされていない限り、概算値として理解すべきである。したがって、上記の明示的な各値は、上記の値を10%未満の値から10%超の値の範囲を含むと理解すべきである。「約」、「ほぼ」などの用語が前に付く明示的な値は、上記の値を20%未満の値から20%超の値の範囲を含むと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明の好ましい実施形態を、例として、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】圧縮行程中における異なるタイミングでのスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンの実施形態の概略的な部分断面図であり、TDCの前180°(すなわちBDC)でのエンジンを示す。
【
図2】圧縮行程中における異なるタイミングでのスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンの実施形態の概略的な部分断面図であり、TDCの前約110°から90°のタイミングでのエンジンを示す。
【
図3】圧縮行程中における異なるタイミングでのスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンの実施形態の概略的な部分断面図であり、TDCの前約20°のタイミングでのエンジンを示す。本発明のさらなる詳細及び利点は、添付の図面を参照して、いくつかの限定しない実施形態の以下の詳細な説明から明らかになろう。
【好ましい実施形態の説明】
【0048】
図1から
図3は、本発明のスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンの実施形態の模式図である。これらの図面の参照符号は、同一の特徴を表している。
【0049】
内燃エンジンは、エンジンケーシング10、クランクシャフト軸を中心に回転可能なクランクシャフト20、前記エンジンケーシング10内に配置されたシリンダ30、及びピストン35を有し、ピストン35は、前記シリンダ内に配置されたピストンヘッド35.1を備え、前記クランクシャフト20から遠位の上死点(TDC)位置と前記クランクシャフト20の近位の下死点(BDC)位置との間を往復軸に沿って移動可能に往復運動し、かつ往復するピストン35でクランクシャフトに回転運動を与えるように、ロッド25によってクランクシャフトに作動可能に接続されている。燃焼室37は、エンジンケーシング10と前記クランクシャフト20と反対側のピストンヘッド35.1の間において前記シリンダ30内で画成されている。スパーク又はグロープラグ50は、そのグロー又はスパーク先端が燃焼室37に位置するように配置されている。吸気行程中に吸気弁40.1が開いているとき(図示せず)は、空気の取入口40は燃焼室37と流体接続し、また吸気弁40.1が閉じているとき(すなわち、本質的に圧縮行程、燃焼行程及び排気行程中)は、前記流体接続から切り離される。排気口45は、排気行程中に排気弁45.1が開いているとき(図示せず)に燃焼室と流体接続されており、排気弁45.1が閉じているとき(すなわち、本質的に吸気行程、圧縮行程及び燃焼行程中)に前記流体接続から切り離される。水素噴射器60は、前記燃焼室37内に水素を直接噴射するように構成され、かつ水噴射器70は、水を前記燃焼室37内に直接(液体の)噴射するように構成されている。
【0050】
図1は、TDCの前180°のタイミング、つまりBDCでの圧縮行程開始時のエンジンを示している。TDCの前180°から100°の間の第3のタイミング、この具体例としては、例えばTDCの前180°で第3の量の水素が水素噴射器60を通じて燃焼室37に噴射される。TDCの前180°から110°の間の第4のタイミングで、具体例としては、例えばTDCの前180°で第4の量の水が水噴射器70を通じて燃焼室37に噴射される。
図1では、TDCの前180°で両方の噴射が同時に行われるが、両方の噴射を時間的に分けるか、第3と第4のタイミングの範囲内で重複させることができる。第3の量の水素は、効率的な作動に必要な全体的な水素量と比較して、一般的に5から50重量%など、少量から中量であり、かつ一般的に、水素の非常に高い分子拡散率により、噴射された第4の量の水をより良好に分散させるのに役立つ。第4の量の水は、例えば、全水量の0.5から5重量%と、サイクルごとの噴射全水量のほんの一部に過ぎない。水は、好ましくは100℃未満の温度、通常は室温から70℃までの温度の液体として噴射される。この段階での水(及び水素)の噴射は、燃焼室内の圧力がほぼ大気圧(コンプレッサー又はターボチャージャーがない場合)であるか、或いは僅かに高い(コンプレッサー又はターボチャージャーの存在下)ため、高圧噴射を必要としない。
【0051】
図2は、圧縮行程の初期段階でTDCの前約110°から90°のタイミングにおける同じエンジンを示している。TDCの前110°と90°の間の第2のタイミングで、第2の量の水が水噴射器70を通じて燃焼室37に噴射される。この時点で、第4の量の水を噴射する第4のタイミングは終了しているが、第3の量の水素を噴射する第3のタイミングは、第2のタイミングがTDCの前100°に開始していれば、そのまま継続中であり得る。そのため、
図2では、両方の噴射がTDCの前約110°から100°で同時に行われるが、この時点で、より大きな第2の量の水の噴射を唯一の噴射とすることもできる。繰り返しになるが、水素の分子拡散率が非常に高いため、第3の量の水素は、噴射された第2の量の水をよりよく分散させるのに役立つ。第2の量の水は、サイクル当たりの噴射全水量の大部分を占め、例えば、全水量の95から99.5重量%である。繰り返しになるが、このタイミングにおいても燃焼室内の圧力はまだ比較的低いため、この段階での水の噴射には依然として高圧噴射は必要ない。
【0052】
図3は再び、TDCの前約20°、つまり圧縮行程終了時の同じエンジンを示している。圧縮行程中のTDCの前20°からTDCの後20°までのこの当たりで、第1の量の水素の噴射終了時又は噴射後に、スパーク又はグロープラグ50によって点火するために、燃焼室に高圧下で主要な第1の量の水素を噴射し、それにより空気-水-水素混合物の燃焼を開始させる。
【符号の説明】
【0053】
10 エンジンケーシング、20 クランクシャフト、25 ロッド、30 シリンダ(壁)、35 (往復)ピストン、35.1 ピストンヘッド、37 燃焼室、40 空気の取入口、40.1 吸気弁、45 排気口、45.1 排気弁、50 スパーク又はグロープラグ、60 水素噴射器、70 水噴射器。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
これらの特性の一部、つまり最初の6つの特性は、燃焼温度を大幅に上昇させ、それが燃焼中のNOxの望ましくない生成を増大させるため、このことは猶更である。さらに、燃焼温度の上昇が、消炎距離の短縮、脆化効果と組み合わさって、炭化水素燃料を水素に置き換えることをさらに困難にしている。
文献US 2004/0003781 A1には、臨界水(critical water)を燃焼室に噴射することによる方法が開示されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンケーシング(10)、クランクシャフト軸を中心に回転可能なクランクシャフト(20)、前記エンジンケーシング(10)内に配置されたシリンダ(30)、前記クランクシャフト(20)から遠位の上死点(TDC)位置と前記クランクシャフト(20)の近位の下死点(BDC)位置との間で往復軸に沿って移動可能に往復運動し、往復ピストン(35)がクランクシャフトに回転運動を与えるようにクランクシャフトに作動可能に接続された前記シリンダ内に配置されたピストン(35)、エンジンケーシング(10)と前記クランクシャフト(20)の反対側のピストン(35)のヘッド間において前記シリンダ(30)内で画成された燃焼室(37)、吸気弁(40.1)、排気弁(45.1)、前記燃焼室(37)に水素を直接噴射するよう構成された水素噴射器(60)、前記燃焼室(37)に水を直接噴射するよう構成された水噴射器(70);スパーク又はグロープラグ(50)、及び水素噴射及び水噴射のタイミングと量を制御するように構成されたエンジン制御ユニット、を含み、前記エンジン制御ユニットが、圧縮行程中のTDC前の20°からTDC後の20°までの第1のタイミング
で水素を燃焼室に噴射し、圧縮行程中のTDCの前110°から90°までの第2のタイミング
で水を燃焼室に噴射し、かつ、圧縮行程中のTDCの前180°から100°までの第3のタイミング
で水素を燃焼室に噴射する、よう構成されている、スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項2】
前記エンジン制御ユニットは、
第3のタイミングで噴射される水素の量が全水素量の5から50重量%になるように制御するように構成されており、前記全水素量は、
第1と第3のタイミングで噴射される水素
の量の合計である、請求項1に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項3】
前記エンジン制御ユニットは、圧縮行程中のTDCの前180°から110°の第4のタイミング
で水を燃焼室にさらに噴射するように構成されている、請求項1又は2に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項4】
前記エンジン制御ユニットは、
第4のタイミングで噴射される水
の量が全水量の0.5から5重量%になるよう制御するように構成されており、前記全水量は、
第2と第4のタイミングで噴射される水の量の合計である、請求項3に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項5】
前記エンジン制御ユニットは、全水素量と
第2のタイミングで噴射される水の量又は全水量を制御して、1.5と2.5の間、好ましくは1.6と2.4の間、より好ましくは1.7と2.3の間の空燃等価比であるラムダ値を得るように構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項6】
前記エンジン制御ユニットは、全水素量と全水量を制御して、1.0と2.0の間、好ましくは1.3と1.9の間、より好ましくは1.5と1.7の間の水対水素質量比を得るように構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項7】
水素を噴射する、第1のタイミングは圧縮行程中のTDCの前15°からTDCの後15°まで、及び/又は第2のタイミングは圧縮行程中の上死点(TDC)の前105°から95°、好ましくは約100°であり、及び/又は第3のタイミングは圧縮行程中のTDCの前175°から120°までであり、及び/又は、該当する場合は、第4のタイミングは圧縮行程中のTDCの前175°から120°である、請求項1から6のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項8】
エンジンの圧縮比は12.9:1と17:1の間、好ましくは13.4:1と16.5:1の間、より好ましくは13.9と16の間である、請求項1から7のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項9】
エンジンケーシング(10)、クランクシャフト軸を中心に回転可能なクランクシャフト(20)、前記エンジンケーシング(10)内に配置されたシリンダ(30)、前記クランクシャフト(20)から遠位の上死点(TDC)位置と前記クランクシャフト(20)の近位の下死点(BDC)位置との間で往復軸に沿って移動可能に往復運動し、かつ往復ピストン(35)がクランクシャフト(20)に回転運動を与えるようにクランクシャフトに作動可能に接続された前記シリンダ(30)内に配置されたピストン(35)、エンジンケーシング(10)と前記クランクシャフト(20)の反対側のピストン(35)のヘッド間において前記シリンダ(30)内で画成された燃焼室(37)、吸気弁(40.1)、排気弁(45.1)、前記燃焼室(37)に水素を直接噴射するよう構成された水素噴射器(60)、前記燃焼室(37)に水を直接噴射するよう構成された水噴射器(70);スパーク又はグロープラグ(50)、及びこの方法の各工程を実行するよう構成されたエンジン制御ユニット、を含み、
前記方法は、各4行程サイクルでの、
a)圧縮行程中のTDCの前180°から100°までの第3のタイミングで、水素噴射器(60)を通じ
て水素を燃焼室(37)に噴射し、
b)圧縮行程中のTDCの前110°から90°までの第2のタイミングで、前記水噴射器(70)を通じ
て水を燃焼室(37)に噴射し、かつ、
c)圧縮行程中のTDCの前20°からTDCの後20°までの第1のタイミングで、水素噴射器(60)を通じ
て水素を燃焼室(37)に噴射する、
各工程を含む、スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項10】
工程a)で
第3のタイミングで噴射される水素
の量は、全水素量の5から50重量%となるように制御され、前記全水素量は、
第1と第3のタイミングで噴射される水素の量の合計である、請求項9に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項11】
d)圧縮行程中のTDCの前180°から110°までの第4のタイミングで、水噴射器(70)を通じ
て水を燃焼室(37)に噴射する:
工程をさらに含む、請求項9又は10に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項12】
第4の
タイミングで噴射される水の量は、全水量の0.5から5重量%となるように制御され、前記全水量は、
第2と第4のタイミングで噴射される水の量の合計である、請求項9から11のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項13】
全水素量と
第2のタイミングで噴射される水の量又は全水量は、1.5と2.5の間、好ましくは1.6と2.4の間、より好ましくは1.7と2.3の間の空燃等価比であるラムダ値が得られるように制御される、請求項9から12のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項14】
全水素量と全水量は、1.0と2.0の間、好ましくは1.3と1.9の間、より好ましくは1.5と1.7の間の水対水素質量比が得られるように制御される、請求項9から13のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項15】
工程a)で水素を噴射する第3のタイミングは、圧縮行程中のTDCの前175°から120°に設定され、及び/又は工程b)で第1のタイミングは、圧縮行程中のTDCの前15°からTDCの後15°に設定され、及び/又は工程c)で第2のタイミングは、圧縮行程中の上死点(TDC)の前105°から95°、好ましくは約100°に設定され、及び/又は、該当する場合は、第4のタイミングは、圧縮行程中のTDCの前175°から120°に設定される、請求項9から14のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法は、工程a)では、水素噴射の第3のタイミングを、圧縮行程中のTDCの前180°から100°、好ましくは175°から120°に設定し、及び/又は工程b)では、第2のタイミングを、圧縮行程中の上死点(TDC)の前105°から95°、好ましくは約100°に設定し、及び/又は工程c)では、第1のタイミングを圧縮行程中のTDCの前15°からTDCの後15°に設定し、及び/又は、該当する場合は、第4のタイミングを、圧縮行程中のTDCの前180°から110°、好ましくは175°から120°に設定する、ように制御される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンケーシング(10)、クランクシャフト軸を中心に回転可能なクランクシャフト(20)、前記エンジンケーシング(10)内に配置されたシリンダ(30)、前記クランクシャフト(20)から遠位の上死点(TDC)位置と前記クランクシャフト(20)の近位の下死点(BDC)位置との間で往復軸に沿って移動可能に往復運動し、往復ピストン(35)がクランクシャフトに回転運動を与えるようにクランクシャフトに作動可能に接続された前記シリンダ内に配置されたピストン(35)、エンジンケーシング(10)と前記クランクシャフト(20)の反対側のピストン(35)のヘッド間において前記シリンダ(30)内で画成された燃焼室(37)、吸気弁(40.1)、排気弁(45.1)、前記燃焼室(37)に水素を直接噴射するよう構成された水素噴射器(60)、前記燃焼室(37)に水を直接噴射するよう構成された水噴射器(70);スパーク又はグロープラグ(50)、及び水素噴射及び水噴射のタイミングと量を制御するように構成されたエンジン制御ユニット、を含み、前記エンジン制御ユニットが、圧縮行程中のTDC前の20°からTDC後の20°までの第1のタイミングで水素を燃焼室に噴射し、圧縮行程中のTDCの前110°から90°までの第2のタイミングで水を燃焼室に噴射し、かつ、圧縮行程中のTDCの前180°から100°までの第3のタイミングで水素を燃焼室に噴射する、よう構成されている、スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項2】
前記エンジン制御ユニットは、第3のタイミングで噴射される水素の量が全水素量の5から50重量%になるように制御するように構成されており、前記全水素量は、第1と第3のタイミングで噴射される水素の量の合計である、請求項1に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項3】
前記エンジン制御ユニットは、圧縮行程中のTDCの前180°から110°の第4のタイミングで水を燃焼室にさらに噴射するように構成されている、請求項1又は2に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項4】
前記エンジン制御ユニットは、第4のタイミングで噴射される水の量が全水量の0.5から5重量%になるよう制御するように構成されており、前記全水量は、第2と第4のタイミングで噴射される水の量の合計である、請求項3に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項5】
前記エンジン制御ユニットは、全水素量と第2のタイミングで噴射される水の量又は全水量を制御して、1.5と2.5の間、好ましくは1.6と2.4の間、より好ましくは1.7と2.3の間の空燃等価比であるラムダ値を得るように構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項6】
前記エンジン制御ユニットは、全水素量と全水量を制御して、1.0と2.0の間、好ましくは1.3と1.9の間、より好ましくは1.5と1.7の間の水対水素質量比を得るように構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項7】
水素を噴射する、第1のタイミングは圧縮行程中のTDCの前15°からTDCの後15°まで、及び/又は第2のタイミングは圧縮行程中の上死点(TDC)の前105°から95°、好ましくは約100°であり、及び/又は第3のタイミングは圧縮行程中のTDCの前175°から120°までであり、及び/又は、該当する場合は、第4のタイミングは圧縮行程中のTDCの前175°から120°である、請求項1から6のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項8】
エンジンの圧縮比は12.9:1と17:1の間、好ましくは13.4:1と16.5:1の間、より好ましくは13.9と16の間である、請求項1から7のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジン。
【請求項9】
エンジンケーシング(10)、クランクシャフト軸を中心に回転可能なクランクシャフト(20)、前記エンジンケーシング(10)内に配置されたシリンダ(30)、前記クランクシャフト(20)から遠位の上死点(TDC)位置と前記クランクシャフト(20)の近位の下死点(BDC)位置との間で往復軸に沿って移動可能に往復運動し、かつ往復ピストン(35)がクランクシャフト(20)に回転運動を与えるようにクランクシャフトに作動可能に接続された前記シリンダ(30)内に配置されたピストン(35)、エンジンケーシング(10)と前記クランクシャフト(20)の反対側のピストン(35)のヘッド間において前記シリンダ(30)内で画成された燃焼室(37)、吸気弁(40.1)、排気弁(45.1)、前記燃焼室(37)に水素を直接噴射するよう構成された水素噴射器(60)、前記燃焼室(37)に水を直接噴射するよう構成された水噴射器(70);スパーク又はグロープラグ(50)、及びこの方法の各工程を実行するよう構成されたエンジン制御ユニット、を含み、
前記方法は、各4行程サイクルでの、
a)圧縮行程中のTDCの前180°から100°までの第3のタイミングで、水素噴射器(60)を通じて水素を燃焼室(37)に噴射し、
b)圧縮行程中のTDCの前110°から90°までの第2のタイミングで、前記水噴射器(70)を通じて水を燃焼室(37)に噴射し、かつ、
c)圧縮行程中のTDCの前20°からTDCの後20°までの第1のタイミングで、水素噴射器(60)を通じて水素を燃焼室(37)に噴射する、
各工程を含む、スパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項10】
工程a)で第3のタイミングで噴射される水素の量は、全水素量の5から50重量%となるように制御され、前記全水素量は、第1と第3のタイミングで噴射される水素の量の合計である、請求項9に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項11】
d)圧縮行程中のTDCの前180°から110°までの第4のタイミングで、水噴射器(70)を通じて水を燃焼室(37)に噴射する:
工程をさらに含む、請求項9又は10に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項12】
第4のタイミングで噴射される水の量は、全水量の0.5から5重量%となるように制御され、前記全水量は、第2と第4のタイミングで噴射される水の量の合計である、請求項9から11のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項13】
全水素量と第2のタイミングで噴射される水の量又は全水量は、1.5と2.5の間、好ましくは1.6と2.4の間、より好ましくは1.7と2.3の間の空燃等価比であるラムダ値が得られるように制御される、請求項9から12のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項14】
全水素量と全水量は、1.0と2.0の間、好ましくは1.3と1.9の間、より好ましくは1.5と1.7の間の水対水素質量比が得られるように制御される、請求項9から13のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【請求項15】
工程a)で水素を噴射する第3のタイミングは、圧縮行程中のTDCの前175°から120°に設定され、及び/又は工程
b)で第2のタイミングは、圧縮行程中の上死点(TDC)の前105°から95°、好ましくは約100°に設定され、及び/又は工程
c)で第1のタイミングは、圧縮行程中のTDCの前15°からTDCの後15°に設定され、及び/又は、該当する場合は、第4のタイミングは、圧縮行程中のTDCの前175°から120°に設定される、請求項9から14のいずれか1項に記載されたスパークによる往復4行程水素燃料内燃エンジンを作動する方法。
【国際調査報告】