(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】特に電気ケーブルであるケーブルを固定するための方法及び緊密なコネクタ
(51)【国際特許分類】
H02G 15/013 20060101AFI20250220BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20250220BHJP
F16L 5/10 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
H02G15/013
H02G3/22
F16L5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547489
(86)(22)【出願日】2023-02-08
(85)【翻訳文提出日】2024-10-02
(86)【国際出願番号】 PL2023000009
(87)【国際公開番号】W WO2023153947
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524299133
【氏名又は名称】ウォロスチン、スタニスワフ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォロスチン、スタニスワフ
【テーマコード(参考)】
5G363
5G375
【Fターム(参考)】
5G363AA01
5G363AA03
5G363BA01
5G363CA05
5G363CA20
5G363CB01
5G375BA02
5G375BB02
5G375BB17
5G375BB19
5G375BB22
5G375BB42
(57)【要約】
本発明の対象は、電子的、電気的、気圧式、液圧式、及び機械的装置の壁部中に、特に電気ケーブルであるケーブルを固定する方法及びコネクタである。特に電気ケーブルであるケーブルを壁部に取り付ける方法であって、コネクタの本体1を構成する、外郭となるスリーブが壁部4の開口部内に設置されることで、本体1の当接面2が壁部4に当接し、次いで、軸方向に所定の力F1が作用することで、本体1の一部が変形し、ハウジングの壁部4の近傍においてコネクタの本体1上に外側リング7が形成されるとともに、特に電気ケーブルであるケーブル6がコネクタの本体1の貫通開口3に挿入され、次いで本体1の一部が力F2によって半径方向に圧着されることを特徴とする方法。半径方向への圧着又は締結を行う前に、特に電気ケーブルであるケーブル6が内部に配置される可撓性のある封止部8が、コネクタの本体1の貫通開口3に挿入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。壁部中に通路を構成する、特に電気ケーブルであるケーブルを固定又は取り付けるためのコネクタであって、コネクタの本体1を構成する、外郭となるスリーブが、形成された外側リング7及び当接面2を介して、壁部4の開口部内に設置され、加えてコネクタの本体1は、コネクタの本体1の一部において半径方向に締結される、特に電気ケーブルであるケーブル6が内部に配置される貫通開口3を備えることを特徴とするコネクタ。コネクタの外郭となる本体1は、半径方向に締結された一部において、軸方向にかかる力で変形した部分よりも、壁厚さが厚い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に電気ケーブルであるケーブルを壁部に取り付ける方法であって、コネクタの本体(1)を構成する、外郭となるスリーブが前記壁部(4)の開口部内に設置されることで、前記本体(1)の当接面(2)が前記壁部(4)に当接し、次いで、軸方向に所定の力F
1が作用することで、前記本体(1)の一部が変形し、ハウジングの前記壁部(4)の近傍において前記コネクタの前記本体(1)上に外側リング(7)が形成されるとともに、特に電気ケーブルであるケーブル(6)が前記コネクタの前記本体(1)の貫通開口(3)に挿入され、次いで前記本体(1)の前記一部が力F
2によって半径方向に圧着されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記半径方向への圧着又は締結を行う前に、特に電気ケーブルである前記ケーブル(6)が内部に配置される可撓性のある封止部(8)が、前記コネクタの前記本体(1)の前記貫通開口(3)に挿入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コネクタの前記本体(1)を前記壁部(4)の前記開口部内に設置する前に、前記当接面(2)及び前記壁部(4)の表面に当接するガスケット(5)が配置されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コネクタの前記本体(1)を前記壁部(4)の前記開口部内に設置した後且つ前記リング(7)が形成される前に、前記壁部(4)の表面に当接する前記ガスケット(5)が配置されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
壁部中に通路を構成する、特に電気ケーブルであるケーブルを固定又は取り付けるためのコネクタであって、前記コネクタの本体(1)を構成する、外郭となるスリーブが、形成された外側リング(7)及び当接面(2)を介して、前記壁部(4)の開口部内に設置され、加えて前記コネクタの前記本体(1)は、前記コネクタの前記本体(1)の一部において前記半径方向に締結される、特に電気ケーブルであるケーブル(6)が内部に配置される貫通開口(3)を備えることを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
前記コネクタの外郭となる前記本体(1)は、前記半径方向に締結された前記一部において、軸方向にかかる力で変形した部分よりも、壁厚さが厚いことを特徴とする、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記貫通開口(3)の内側に、内側フランジ(10)が存在することを特徴とする、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記コネクタの前記本体(1)の前記当接面(2)は、請求項6に記載した、前記本体(1)の前記壁厚さが変化すること、すなわち前記壁厚さが多様であることの結果得られるものであることを特徴とする、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記コネクタの前記本体(1)は、前記当接面(2)を備える外側フランジ(9)を有することを特徴とする、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記貫通開口(3)の内部に、可撓性のある封止部(8)が設置され、前記封止部(8)の内側に、特に電気ケーブルであるケーブル(6)が配置されることを特徴とする、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記壁部(4)に当接する前記ガスケット(5)は、前記コネクタの前記本体(1)と前記壁部(4)との間に位置することを特徴とする、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記コネクタの前記本体(1)の前記当接面(2)は、円錐形の表面であることを特徴とする、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記コネクタの前記本体(1)の前記当接面(2)は、前記本体(1)に垂直な表面であることを特徴とする、請求項5に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、電子的、電気的、気圧式、液圧式、及び機械的装置の壁部中の通路内に、特に電気ケーブルであるケーブルを固定する方法及びコネクタである。
【背景技術】
【0002】
ケーブル貫通金物等の現状のケーブル用コネクタは、複数の部品からなり、製造時及び場合によっては組立て時に精密且つ高価な機械加工が必要となる。加えて、良好な封止レベルを確実に実現するために、封止されるコネクタをねじによって組み立てる場合には、ケーブルが通される表面とコネクタとの間にガスケットが必要となる。このガスケットは高温にしばしば曝されて、漏出のリスクが増大し、又はコネクタを使用することが全くできなくなる。上記のコネクタにおいて発生する問題は、コネクタのガスケットの締結をねじ切りしたカップ内に螺合することで実現するため、ガスケット及びコネクタ内に配置されたケーブルの変位(回転)が発生して、ケーブルの損傷又は漏出が生じるおそれがあることである。
【0003】
国際公開第2015/023814号(特許文献1)により、ガスケットをナットから離間させる追加の要素を有する水密のアパーチャという解決案が知られている。この解決案の短所は、温度に対する抵抗性が低いこと、及び生産コストが高いことである。
【0004】
独国特許第10231309号明細書(特許文献2)により、ケーブル用の貫通開口を有し、残余の空間が小孔を形成する封止材で充填されている耐火性ハウジングという解決案が知られている。この解決案は同時に、ケーブルを引き裂きから保護している。
【0005】
独国特許公告第1061861号明細書(特許文献3)は、可撓性のあるゴム材料で作られた挿入物を有するコネクタを提示している。
【0006】
ケーブルを取り付けるための既知の固定具又はコネクタは、通常2つの部品である、クランプからなり、クランプは通常、取り付けられるケーブルとともに、ねじ切りした開口部又はセルフ・タッピングねじに適合された開口部のいずれかに螺合されるねじによって、装置のハウジングの壁部にねじ留めされる。
【0007】
現状のコネクタは複数の部品からなり、製造時及び場合によっては組立て時に精密且つ高価な機械加工が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2015/023814号
【特許文献2】独国特許第10231309号明細書
【特許文献3】独国特許公告第1061861号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、特に電気ケーブルであるケーブルが配置される、壁部中に設置された封止されるアパーチャ/コネクタに関連する単純な技術的解決案を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、特に電気ケーブルであるケーブルを壁部に取り付ける方法であって、コネクタの本体を構成する、外郭となる(profiled)スリーブが壁部の開口部内に設置されることで、本体の当接面が壁部に当接し、次いで、軸方向に所定の力F1が作用することで、本体の一部が変形し、ハウジングの壁部の近傍においてコネクタの本体上に外側リングが形成されるとともに、特に電気ケーブルであるケーブルがコネクタの本体の貫通開口に挿入され、次いで本体の一部が力F2によって半径方向に圧着されることを特徴とする方法が提供される。
【0011】
半径方向への圧着又は締結を行う前に、特に電気ケーブルであるケーブルが内部に配置される可撓性のある封止部が、コネクタの本体の貫通開口に挿入される。
【0012】
コネクタの本体を壁部の開口部内に設置する前に、当接面及び壁部の表面に当接するガスケットが配置される。
【0013】
コネクタの本体を壁部の開口部内に設置した後且つリングが形成される前に、壁部の表面に当接するガスケットが配置される。
【0014】
本発明によると、壁部中に通路を構成する、特に電気ケーブルであるケーブルを固定又は取り付けるためのコネクタであって、コネクタの本体を構成する、外郭となるスリーブが、形成された外側リング及び当接面を介して、壁部の開口部内に設置され、加えてコネクタの本体は、コネクタの本体の一部において半径方向に締結される、特に電気ケーブルであるケーブルが内部に配置される貫通開口を備えることを特徴とするコネクタが提供される。
【0015】
コネクタの外郭となる本体は、半径方向に締結された一部において、軸方向にかかる力で変形した部分よりも、壁厚さが厚い。
【0016】
貫通開口の内側に、内側フランジが存在する。
【0017】
コネクタの本体の当接面は、本体の壁厚さが変化すること、すなわち壁厚さが多様であることの結果得られるものである。
【0018】
コネクタの本体は、当接面を備える外側フランジを有する。
【0019】
貫通開口の内部に、可撓性のある封止部が設置され、封止部の内側に、特に電気ケーブルであるケーブルが配置される。
【0020】
壁部に当接するガスケットは、コネクタの本体と壁部との間に位置する。
【0021】
コネクタの本体の当接面は、本体の表面に対して垂直である。
【0022】
コネクタの本体の当接面は、円錐形の表面である。
【0023】
コネクタの本体の外側部分は、当接面を構成する円錐形要素によって互いに連結された、異なる外径を有する2つのスリーブの形状を有する。
【発明の効果】
【0024】
本発明に従ってケーブルを取り付けることで、壁部の表面とコネクタの本体との間にガスケットが存在しなくても、緊密な封止が保証され、高温での動作も保証される。
【0025】
コネクタの本体を壁部の開口部内に装着することは、本体の対称軸に平行に作用する所定の力F1で締結することによって行われる。他方、本体の貫通開口内に配置された、特に電気ケーブルであるケーブルは、本体の端部を半径方向に作用する所定の力F2で締結することによって取り付けられ、封止される。コネクタの本体は、塑性変形しやすい材料、例えばアルミニウム又は真鍮で作られる。本コネクタは、緩みに対する抵抗力があり、通路の封止を保証する。内部にケーブルが配置される封止部は、本体の貫通開口と緊密に嵌合しなければならず、また、封止部の外径は、貫通開口の直径よりも0.5~3%大きくする必要がある。フランジを有する封止部を用いることも可能であり、その場合の封止部の直径は、本体の貫通開口の直径より5%小さくてよい。本コネクタは、構造が単純であり、製造及び組立てコストが低廉であることを特徴とする。
【0026】
本発明によるコネクタは、いくつかの機能を果たす。すなわち、液体、粉塵及び気体に対する封止性の他に、ケーブルを引き裂きから保護するとともに、耐高温性も有する。
【0027】
本発明の対象は、以下の図面に提示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】円錐形のフランジを有するコネクタの本体の縦断面図である。
【
図2】壁部の開口部内に設置されたコネクタであって、本体には、対称軸に沿って締結された後に円錐形のフランジが設けられ、本体の一端を半径方向に締結した結果窪みが形成されている、コネクタを示す図である。
【
図3】外面に段部を備えるコネクタの本体の図である。
【
図4】本体の端部から一定の距離にフランジを有する本体の図である。
【
図5】外面に円錐形のフランジを有し、貫通開口の内側にフランジを有する本体の図である。
【
図6】端部にフランジ及びガスケットを有する本体の図である。
【
図7】本体上に外側リングを形成した後、端部にフランジを有する本体の図である。
【
図8】本体上に外側リングが形成され、締結が行われた後に、本体の残りの部分が六角形の基部を有する矩形の角柱形状を有する、コネクタの図である。
【
図9】本体が対称軸に沿って締結された後、及び本体の一端が半径方向に締結された後に、六角形の基部を有する矩形の角柱形状を有するコネクタの要素分解図である。
【
図10】aは、本体が長手方向及び半径方向に締結された後に、本体の端部から一定の距離にフランジを有し、ケーブル上に封止部を有し、壁部の平面と外側リングとの間にガスケットを有する、コネクタの図であり;bは、半径方向に締結された部分が正方形の形状を有する、本体の断面図である。
【
図11】本体及び封止部が対称軸に沿って締結された後、及び本体の一端が半径方向に締結された後に、正方形の基部を有する矩形の角柱形状を有するコネクタの要素分解図である。
【
図12】本体上に外側フランジを有し、外側リングが形成され、本体の一部が六角形の基部を有する矩形の角柱として形成されたコネクタの図である。
【
図13】aは、フランジ及びケーブル用封止部を有する本体の図であり;bは、円錐形のフランジ及びケーブル用封止部を有する本体の図である。
【
図14】aは、封止部を有し、外面に円錐形の段部を有する本体の図であり;bは、外側フランジ及びケーブル用封止部並びにフランジの下側にガスケットを有するコネクタの本体の図であり;cは、一端のフランジと、ケーブル用封止部と、ケーブル用封止部が支持される、貫通開口内の内側フランジとを有する本体の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
特に電気ケーブルをハウジングの壁部4に取り付けるためのコネクタは、貫通開口3を有する、スリーブの形状の、外郭となる円筒形の本体1を備える。円錐形のフランジ9を有する本体1は、壁部4の開口部内に設置され、壁部4において、本体1の対称軸に平行に作用する所定の力F
1による締結が行われると、本体1の外面に外側リング7が形成される。本体1には、本体1の壁部の壁厚さの差から生じる段部が形成される。ケーブル6は、本体1の端部において所定の力F
2で半径方向に締結され、本体1の貫通開口3内に位置する。半径方向への締結により、本体1上に窪みが形成される(
図1、
図2)。
【0030】
別の実施例では、本体1の外面は、本体1の壁部の壁厚さの差から生じる段部11を備える。本体1は、壁厚さがより薄い部分において壁部4の開口部内に設置され、壁厚さがより薄い部分において、本体1の対称軸に平行に作用する所定の力F
1による締結が行われると、本体1の外面に外側リング7が形成される。貫通開口3の内側に、封止部8が存在する(
図3)。
【0031】
次の実施例は、外面において本体の端部から一定の距離にあるフランジ9と、封止部8とを備えるコネクタの本体1である(
図4)。
【0032】
次の代替例は、円錐形のフランジ9を有するコネクタの本体1である。貫通開口3内に内側フランジ10が位置し、内側フランジ10上に封止部8が設置される(
図5)。
【0033】
別の代替例では、コネクタの本体1は、一端に外郭となるフランジ9を有し、フランジ9上にガスケット5が設置される。貫通開口3の内側に封止部8が配置される(
図6)。
【0034】
コネクタの次の代替例では、ガスケット5を有する本体1が、壁部4の開口部内に設置され、本体1の対称軸に平行に作用する所定の力F
1による締結が行われると、外側リング7が形成される(
図7)。
【0035】
コネクタの次の変形例は、フランジ9と、その内部に位置するガスケット5とを有する本体1が、壁部4の開口部内に設置され、壁部4において、本体1の対称軸に平行に作用する所定の力F
1による締結が行われると、本体1の外面に外側リング7が形成されることを特徴とする。ケーブル6が内部に設置される封止部8は、貫通開口3内に配置される。他方、本体1の端部において所定の力F
2による半径方向への締結が行われると、コネクタは、六角形の基部を有する矩形の角柱に類似した形状を有する(
図8、
図9)。
【0036】
コネクタの別の変形例は、締結が行われると、正方形の基部を有する矩形の角柱に類似した形状を有する(
図10、
図11)。
【0037】
コネクタの本体1は、
図1~
図14の添付図面に例示されるように、多種多様な形状を有することができる。
【国際調査報告】