(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】乾燥血液サンプル採取装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/151 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
A61B5/151 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024571970
(86)(22)【出願日】2023-02-21
(85)【翻訳文提出日】2024-09-20
(86)【国際出願番号】 US2023013534
(87)【国際公開番号】W WO2023163953
(87)【国際公開日】2023-08-31
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524313428
【氏名又は名称】トゥルー・ダイアグノスティクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】ベーリング,ブレイディ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038TA02
4C038UE02
4C038UE07
(57)【要約】
自宅でサンプルを採取する患者のような訓練されていない人物による自己検査を容易にする乾燥血液サンプル採取器具のための装置および方法が提供される。血液サンプル採取器具は、ペンの遠位バレルおよび近位バレルを通して配置されたアクチュエータを備える。血液サンプルを受容するための複数のフリットが、アクチュエータの遠位端内に配置される。フリットは、付勢機構によって遠位バレル内の後退位置に保持される。押ボタンは、付勢機構を圧縮し、遠位バレルの遠位開口部を通してフリットを延在させることを容易にする。フリットは、血液サンプルを取り込み、乾燥状態でサンプルを保存するように構成される。乾燥状態を生じさせるために、適切な乾燥剤を使用することができる。アクチュエータは、アクチュエータの遠位端から乾燥血液サンプルを回収することを可能にするために、血液サンプル採取器具から取り外されるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液サンプル採取器具であって、
近位バレルに結合された遠位バレルと、
遠位バレルおよび近位バレルの全体にわたって長手方向に配置されたアクチュエータと、
アクチュエータの遠位端内に配置された1つ以上のフリットと、
遠位端を遠位バレルの内部の中に保持するための付勢機構と、
遠位バレルの遠位開口部を通して1つ以上のフリットを延在させるための、アクチュエータの近位端に結合された押ボタンと、
を備える血液サンプル採取器具。
【請求項2】
遠位バレルは、複数のねじによって近位バレルに結合される、請求項1に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項3】
付勢機構は、遠位バレルの内部と、アクチュエータを備える円周縁部との間に配置される、請求項1に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項4】
押ボタンは、遠位開口部を通して1つ以上のフリットを延在させるように遠位方向に押されるように構成される、請求項1に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項5】
付勢機構は、押ボタンが解放されると、遠位開口部を通して1つ以上のフリットを引き抜くように構成される、請求項4に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項6】
1つ以上のフリットは、それぞれ、血液サンプルを取り込み、血液サンプルを乾燥状態で保管するように構成される、請求項1に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項7】
1つ以上のフリットは、アクチュエータの遠位端に取り外し可能に結合される、4つの個々のフリットを含む、請求項6に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項8】
1つ以上のフリットのうちの任意の1つ以上は、乾燥状態を生じさせるための乾燥剤を含む、請求項7に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項9】
採取器具は乾燥剤でコーティングされて乾燥状態を生じさせる、請求項7に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項10】
1つ以上のフリットのうちの任意の1つ以上は、約1.0μLを超える体積の血液量を保持するように構成される、請求項6に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項11】
1つ以上のフリットのうちの任意の1つ以上は、約60μLの体積の血液を乾燥状態で貯蔵するように構成される、請求項10に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項12】
アクチュエータは、充填されたフリットをアクチュエータの遠位端から回収することを可能にするために、血液サンプル採取器具から取り外されるように構成される、請求項1に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項13】
アクチュエータは、抽出器を収容する管状ケーシングを含む、請求項1に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項14】
抽出器の遠位端は、抽出器の近位端が遠位方向に押されたときに、充填されたフリットをアクチュエータから排出するように構成される、請求項13に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項15】
1つ以上のフリットの各々は、遠位端に配置された窓を有する、請求項1に記載の血液サンプル採取装置。
【請求項16】
窓は、隣接するフリット内に漏れたり広がったりすることなく、隣接するフリット内に血液が引き込まれることを容易にする、請求項15に記載の血液サンプル採取器具。
【請求項17】
血液サンプルを採取するための方法であって、
1つ以上のフリットを含む血液サンプル採取器具を取得することと、
遠位開口部を通して1つ以上のフリットを延在させるために血液サンプル採取器具を備える押ボタンを押すことと、
1つ以上のフリットを血液と接触させることと、
血液を1つ以上のフリットに流入させることを可能にすることと、
押ボタンを解放して、遠位開口部を通して1つ以上のフリットを後退させることと、
血液を1つ以上のフリット中で乾燥させることを可能にすることと、
を含む方法。
【請求項18】
配置することは、血液サンプル採取器具を血液に対して長手方向に押圧して、1つ以上のフリットに血液を充填することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
配置することは、血液サンプル採取器具の遠位端の側面を血液に押し付けて、1つ以上のフリットのいずれか1つに血液を充填することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
遠位端の側面を押圧することは、血液が、遠位端を備える窓を通って1つ以上のフリットのうちのいずれか1つに流れることを可能にすることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2022年2月22日に出願された米国特許出願第17/677,811号の利益および優先権を主張し、前記出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示の実施形態は、一般に、血液サンプルの採取に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、自宅でサンプルを採取する患者などの訓練されていない人物による自己検査を容易にする、乾燥血液サンプル採取器具のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
診断用血液サンプルは、従来、一連の別個のサンプルを別々のバイアルに取り出すために、医療専門家が、皮下注射器または一時的カニューレを使用して、患者から採取する。より最近では、乾燥血液スポットサンプルが、診断用血液サンプルを得るための一般的なアプローチとなっている。乾燥血液サンプルは、一般に、指、踵、またはつま先を穿刺針で穿刺し、アッセイカードなどの特別に製造された紙上に予め印刷された円上に血液滴を滴下し、次いで、血液サンプルを開放空間で乾燥させることによって採取される。乾燥血液サンプルは、有利には、比較的訓練されていない人物(personnel)によって、または患者自身によってさえ、血液サンプルが採取されることを可能にする。たとえば、訓練を受けていない人は、指で刺した血液スポットキットを用いることによって、自分自身の血糖値の血液自己検査を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現在の乾燥血液サンプルの欠点は、サンプルが一般に室温で最低2~3時間乾燥させなければならないことである。さらに、乾燥血液サンプルは、湿気や水分から保護されなければならない。別の欠点は、アッセイカードを汚染しないように、またはカードに血液を着けすぎて、カード上のサンプルの重なりを引き起こさないように注意しなければならないことである。したがって、上記の欠点の1つ以上を低減または排除する、血液採取に使用するための改善された方法および装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
自宅でサンプルを採取する患者のような、訓練されていない人物による自己検査を容易にする乾燥血液サンプル採取器具のための装置および方法が提供される。血液サンプル採取器具は、ペンの遠位バレルおよび近位バレルを通って長手方向に配置されるアクチュエータを備える。血液サンプルを受容するための複数のフリット(frit)が、アクチュエータの遠位端内に配置される。フリットは、付勢機構によって遠位バレル内の後退位置に保持される。アクチュエータに結合された押ボタンは、付勢機構を圧縮し、遠位バレルの遠位開口部を通してフリットを延在させることを容易にする。フリットは、血液サンプルを取り込み、乾燥状態でサンプルを保存するように構成される。乾燥状態を生じさせるために、適切な乾燥剤が使用されてもよい。アクチュエータは、アクチュエータの遠位端から乾燥血液サンプルを回収することを可能にするために、血液サンプル収集器具から取り外されるように構成される。
【0006】
例示的な実施形態では、血液サンプル採取器具は、近位バレルに結合された遠位バレルと、遠位バレルおよび近位バレル全体にわたって長手方向に配置されたアクチュエータと、アクチュエータの遠位端内に配置された1つ以上のフリットと、遠位バレルの内部内に遠位端を保持するための付勢機構と、遠位バレルの遠位開口部を通して1つ以上のフリットを延在させるためにアクチュエータの近位端に結合された押ボタンと、を備える。
【0007】
別の例示的な実施形態では、遠位バレルは、複数のねじによって近位バレルに結合される。別の例示的な実施形態では、付勢機構は、遠位バレルの内部と、アクチュエータを備える円周縁部との間に配置される。
【0008】
別の例示的な実施形態では、押ボタンは、遠位開口部を通して1つ以上のフリットを延在させるために遠位方向に押されるように構成される。別の例示的な実施形態では、付勢機構は、押ボタンが解放されたとき、遠位開口部を通して1つ以上のフリットを引き込むように構成される。
【0009】
別の例示的な実施形態では、1つ以上のフリットは、それぞれ、血液サンプルを取り込み、血液サンプルを乾燥状態で保管するように構成される。別の例示的な実施形態では、1つ以上のフリットは、アクチュエータの遠位端に取り外し可能に結合された4つの個々のフリットを具備する。別の例示的な実施形態では、1つ以上のフリットのうちの任意の1つ以上は、乾燥状態を生じさせるための乾燥剤を含む。別の例示的な実施形態では、収集デバイスは、乾燥状態を生じさせるために乾燥剤でコーティングされる。別の例示的な実施形態では、1つ以上のフリットのうちの任意の1つ以上は、約1。0μLを超える血液量を保持するように構成される。別の例示的な実施形態では、1つ以上のフリットのうちの任意の1つ以上は、約60μLの体積の血液を乾燥状態で保持するように構成される。
【0010】
別の例示的な実施形態では、アクチュエータは、充填されたフリットをアクチュエータの遠位端から回収することを可能にするために、血液サンプル採取器具から取り外されるように構成される。別の例示的な実施形態では、アクチュエータは、抽出器を収容する管状ケーシングを含む。別の例示的な実施形態では、抽出器の遠位端は、抽出器の近位端が遠位方向に押されたときに、充填されたフリットをアクチュエータから排出するように構成される。
【0011】
別の例示的な実施形態では、1つ以上のフリットの各々は、遠位端に配置された窓が付いている。別の例示的な実施形態では、窓は、隣接するフリットに漏れたり広がったりすることなく、血液が隣接するフリットに引き込まれることを容易にする。
【0012】
例示的な実施形態では、血液サンプルを採取するための方法は、1つ以上のフリットを含む血液サンプル採取器具を取得することと、遠位開口部を通して1つ以上のフリットを延在させるために、血液サンプル採取器具を備える押ボタンを押すことと、1つ以上のフリットを血液と接触させることと、血液を1つ以上のフリット内に流入させることと、押ボタンを解放して、遠位開口部を通して1つ以上のフリットを後退させることと、血液を1つ以上のフリット内で乾燥させることと、血液サンプル採取器具を試験員に送ることと、を含む。
【0013】
別の例示的な実施形態では、配置することは、1つ以上のフリットに血液を充填するために、血液サンプル採取器具を血液に対して長手方向に押圧することを含む。別の例示的な実施形態では、配置することは、1つ以上のフリットのいずれか1つに血液を充填するために、血液サンプル採取器具の遠位端の側面を血液に押し付けることを含む。別の例示的な実施形態では、遠位端の側面を押圧することは、遠位端を含む窓を通して1つ以上のフリットのいずれか1つに血液が流れることを可能にすることを含む。
【0014】
本明細書で提供される概念のこれらのおよび他の特徴は、図面、説明、および添付の特許請求の範囲を参照することによって、よりよく理解され得る。
【0015】
図面の簡単な説明
図面は、本開示の実施形態を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、格納状態における乾燥血液サンプル採取器具の例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図2】
図2は、血液サンプルを採取するのに適した、窪んだ構成の乾燥血液サンプル採取器具の例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図3】
図3は、血液の最初のサンプルが採取された後のサンプル採取構成における、乾燥血液サンプル採取装置の例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図4】
図4は、乾燥血液サンプル採取器具を含む全てのフリットが乾燥血液サンプルで満たされている、全サンプル構成の乾燥血液サンプル採取器具の例示的実施形態の側面図を示す。
【
図5】
図5は、乾燥血液サンプル採取器具から取り外されたアクチュエータの例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図6】
図6は、アクチュエータから取り出された複数の乾燥血液サンプルを有するアクチュエータの、例示的な実施形態の側面図を示す。
【0017】
本開示は、様々な修正および代替形態を受けるが、その特定の実施形態が、例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。乾燥血液サンプル採取器具は、開示された特定の形態に限定されるものではなく、むしろ、本開示の趣旨および範囲内に入るすべての修正、等価物、および代替物を包含することが意図されると理解されるべきである。
【0018】
詳細な説明
以下の説明では、本開示の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者には、本明細書に開示される乾燥血液サンプル採取器具は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが明らかであろう。他の場合には、「第1穿刺針」のような特定の数値参照を行うことができる。しかしながら、特定の数値参照は、文字通りの連続した順序として解釈されるべきではなく、むしろ、「第1の穿刺針」が「第2の穿刺針」とは異なると解釈されるべきである。したがって、記載される特定の詳細は、単なる例示である。具体的な詳細は、本開示の趣旨および範囲から変更することができ、それでもなお、本開示の範囲内であることが企図され得る。「結合された」という用語は、構成要素に直接的に、または別の構成要素を介して構成要素に間接的に接続された意味として定義される。さらに、本明細書で使用される場合、任意の数値または範囲についての「約」、「およそ」、または「実質的に」という用語は、構成要素の一部または集合が、本明細書で説明されるようなその意図される目的のために機能することを可能にする適切な寸法公差を示す。
【0019】
一般に、乾燥血液サンプルは、指、踵、またはつま先を穿刺針で穿刺し、血液滴を特別に製造されたアッセイカード上の予め印刷された円上に滴下し、次いで血液サンプルを乾燥させることによって採取される。しかしながら、現在の乾燥血液サンプルの欠点は、サンプルを一般に室温で最低2~3時間乾燥させなければならないことである。別の欠点は、アッセイカードを汚染しないように、またはカードに過度の血液を加え、カード上のサンプルの重なりを引き起こさないように注意しなければならないことである。本明細書に提示される実施形態は、これらの欠点のうちの1つ以上を排除し、それによって、自宅でサンプルを採取する患者などの未訓練の人物による自己検査を容易にする、乾燥血液サンプル収集器具を提供する。
【0020】
図1は、後退構成にある乾燥血液サンプル採取器具100(以下、「採取器具100」)の例示的な実施形態の側面図を示す。採取器具100は、遠位バレル108の遠位開口部106内へ格納可能な複数のフリット104を備える。遠位バレル108は、複数のねじ山116によって近位バレル112に結合される。アクチュエータ120は、遠位バレル108および近位バレル112の長さ全体にわたって長手方向に配置される。
図1に示されるように、フリット104は、アクチュエータ120の遠位端124内に配置され、一方、アクチュエータ120の近位端128は、近位バレル112の近位開口136を通して延在する押ボタン132内に配置される。遠位バレル108内の付勢機構140は、遠位バレル108の内部と、アクチュエータ120を備える周縁リップ144との間に配置される。付勢機構140は、回収器具100を後退構成に保持し、フリット104は、遠位開口部106を通して遠位バレル108内に引き込まれる。
【0021】
図示の実施形態では、付勢機構140はコイルばねを備えるが、他の実施形態では、付勢機構140は、収集器具100を格納構成に保持するのに適した様々な器具のうちの任意の器具を備え得ることが企図されるが、これらに限定されない。例えば、或る実施形態では、付勢機構140は、形状記憶金属で作られた板ばねを備えてもよい。さらに、或る実施形態では、付勢機構140は、シリンダ内に捕捉された空気を圧縮する小型ピストンを備えてもよく、、捕捉された空気が膨張すると、フリット104が遠位開口部106を通って遠位バレル108内に引き込まれる。
【0022】
フリット104は、血液サンプルを取り込み、実験室職員による後の試験のために、血液サンプルを乾燥状態で保管するように構成される。或る実施形態では、複数のフリット104は、アクチュエータ120の遠位端124に取り外し可能に結合された4つの個々のフリット104を備える。フリット104の各々は、約60マイクロリットル(μL)の体積の血液を乾燥状態で貯蔵するように構成されることが企図される。しかしながら、いくつかの実施形態では、フリット104は、約1.0μLを超える血液量を保持するように構成されてもよい。例えば、或る実施形態では、フリット104は、約1.0μL~約90μLの範囲の血液量を保持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、フリット104は、血液サンプルをフリット104内で迅速に乾燥させるのに適した様々な乾燥剤のうちのいずれかを含んでもよい。さらに、或る実施形態では、収集器具100は、フリット104内の血液サンプルを乾燥状態にするために、適切な乾燥剤でコーティングまたは結合されてもよい。或る実施形態では、乾燥剤は、血液サンプルを約30分~約2時間の範囲の期間内に乾燥状態にすることができることが想定される。さらに、乾燥剤は、限定されないが、モンモリロナイト粘土、シリカゲル、指示シリカゲル、モレキュラーシーブ、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、それらの任意の組み合わせなどのうちの任意の1つ以上を含有し得ることが企図される。
【0023】
操作において、例えば、施術者が採血器具100を使用して血液サンプルを採取する場合、施術者は、押ボタン132を近位バレル112内へ押し込み、フリット104を遠位バレル108の遠位開口部106を通して延在させることから始めることができる。例えば、
図2は、血液サンプルを採取するのに適した窪み形状の
図1の採取器具100の側面図を示す。押し下げられた構成では、押ボタン132は、近位バレル112の近位開口部136内へ押し込まれ、それによって、付勢機構140を圧縮し、遠位バレル108の遠位開口部106を通して遠位フリット148を延在させる。一旦露出されると、遠位フリット148は、血液サンプルを受容するために、適切な血液源と接触して配置され得る。或る実施形態では、遠位フリット148は、血液サンプルが採取される対象を穿刺するための、組み込まれた穿刺針、または他の適切な器具を含んでもよい。しかしながら、或る実施形態では、採取器具100を使用して血液サンプルを回収する前に、別個の穿刺針を使用して、血液源を流動させることができる。
【0024】
さらに、採取器具100は、一度にすべてのフリット104を満たす比較的大量の血液サンプルを採取するために使用されてもよく、あるいは個別にフリット104を満たす複数の少量の血液サンプルを採取するために使用されてもよい。例えば、
図3は、血液の第1のサンプルが採取された後のサンプル採取構成における採取器具100の例示的な実施形態の側面図を示す。図示のように、遠位フリット148は、個々の血液サンプルで満たされ、一方、残りのフリット104は、将来の血液サンプルのために満たされないまま残される。理解されるように、遠位フリット148は、穿刺された指などの血液源内に採取器具100を長手方向に押圧することによって、血液サンプルで充填され得る。しかしながら、将来の血液サンプルは、血液を各フリット104に流入させるために、血液源をフリット104の側面に押し付けることによって採取され得ることが企図される。
図3に示されるように、各フリット104は、遠位端124に配置された窓152を有しており、それによって、血液は、隣接するフリット104に漏れたり広がったりすることなく、フリット104へ引き込まれ得る。
【0025】
一旦、フリット104が好適に血液サンプルで満たされると、採取器具100は、格納構成に配置され、次いで、試験のために研究室職員に送られ得る。例えば、
図4は、ペンを備える全てのフリット104が、乾燥される採取された血液で満たされている、完全なサンプル構成における採取器具100の例示的な実施形態の側面図を図示する。本明細書で言及されるように、フリット104は、一度に全てのフリット104を満たす単一の比較的大量の血液サンプルで満たされてもよく、またはフリット104は、複数のより少量の、個別に採取された血液サンプルを含有してもよい。
図4に示されるように、採取器具100は、遠位開口部106を通して遠位バレル108内に格納させられる複数の充填されたフリット156を含む。理解されるように、施術者が押ボタン132を解放すると、付勢機構140は、近位バレル112の近位開口部136を通してアクチュエータ120を押し、それによって、充填されたフリット156を遠位バレル108内に引き込む。遠位バレル108内に充填されたフリット156を収容することは、フリット156が試験のために研究所職員によって取り外されるまで、乾燥血液サンプルを保護するのに役立つことが企図される。
【0026】
図5は、採取器具100から取り外されたアクチュエータ120の例示的な実施形態の側面図を示す。アクチュエータ120は、充填されたフリット156をアクチュエータ120の遠位端124で回収する間、研究所の職員によって採取器具100から取り外されてもよい。
図5に示されるように、アクチュエータ120は抽出器164を収容する管状ケーシング160を含む。抽出器164の遠位端168は、充填されたフリット156に隣接し、一方、抽出器164の近位端172は、管状ケーシング160の近位縁176を越えて延在する。近位縁部176は、押ボタン132(
図1参照)を受容するように構成され、その結果、押ボタン132を押すことは、
図3に関して論じられたように、血液サンプルを採取する間にフリット104を早期に排出しない。
【0027】
押ボタン132が取り外されると、図に示されるようになる。5-6, 抽出器164の近位端172を遠位方向180に押圧して、充填されたフリット156を管状ケーシング160の遠位端124から排出することができる。特に、抽出器164を遠位方向180に押すことにより、抽出器164の遠位端168は、充填されたフリット156を遠位方向180に押す。したがって、実験室の職員は、
図6に示すように、抽出器164を使用して、充填されたフリット156を除去し、分離することができる。
【0028】
採取器具100は、ヒトの血液サンプリングに適していることが企図される。特に、採取器具100は、家庭環境において自己検査を行い、次いで、検査のために採取器具100を適切な研究所に郵送することを患者が望むのに適している。採取器具100が全血サンプルを貯蔵するように構成されている間、或る実施形態では、採取器具100は、限定されないが、血清サンプルを採取し、貯蔵するように構成され得ることが企図される。さらに、採取器具100は、ヒトの血液サンプリングに限定されず、むしろ、採取器具100は、限定されないが、動物血液サンプリングのために使用され得ることを理解されたい。例えば、採取器具100は、乾燥サンプルを獣医学研究所に送る前に家庭で採血を行うことを望む犬または猫の飼い主によって使用され得る。この目的のために、採血器具100は、血液サンプリングを容易にするために、犬および猫の耳から血液サンプルを引き出すために使用され得る。採取器具100は、本明細書で論じられるように、格納構成にされ、次いで、獣医学研究所に郵送されてもよい。
【0029】
乾燥血液サンプル採取器具は、特定の変形例および例示的な図に関して説明されているが、当業者は、乾燥血液サンプル採取器具が、説明された変形例または図に限定されないことを認識するであろう。加えて、上記の方法およびステップが、特定の順序で生じる特定の事象を示す場合、当業者は、特定のステップの順序を変更することができ、そのような変更が、乾燥血液サンプル採取器具の変形例に従うことを認識するであろう。加えて、ステップのうちのいくつかは、可能な場合、並列プロセスで同時に実行されてもよく、上で説明されたように連続して実行されてもよい。本開示の趣旨の範囲内にあるか、または特許請求の範囲に見出される乾燥血液サンプル採取器具と同等である、乾燥血液サンプル採取器具の変形例が存在する限り、本特許は、それらの変形例も同様にカバーすることが意図される。したがって、本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものと理解されるべきである。
【国際調査報告】