(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-26
(54)【発明の名称】ガラス強化加熱炉及びガラス強化方法
(51)【国際特許分類】
C03B 27/00 20060101AFI20250318BHJP
【FI】
C03B27/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024550317
(86)(22)【出願日】2023-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-08-22
(86)【国際出願番号】 CN2023126858
(87)【国際公開番号】W WO2024093794
(87)【国際公開日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】202211358216.6
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202222929439.5
(32)【優先日】2022-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202322399577.1
(32)【優先日】2023-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524313897
【氏名又は名称】松山湖材料▲実▼▲験▼室
(71)【出願人】
【識別番号】524314481
【氏名又は名称】中科卓異環境科技(東莞)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(72)【発明者】
【氏名】解 氷寒
(72)【発明者】
【氏名】付 超
(72)【発明者】
【氏名】任 志恒
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015CA04
4G015CA08
4G015CB03
4G015CC01
(57)【要約】
ガラス強化加熱炉及びガラス強化方法である。該ガラス強化加熱炉は予熱段炉体と、加熱段炉体と、均熱段炉体と、を備える。ガラスの進行方向に沿って、予熱段炉体は複数段に分けられ、各段にそれぞれ吸煙口及び煙気噴射継手が設けられており、前記予熱段炉体は吸煙口により予熱段の煙気を吸い取るように構成され、煙気噴射継手は吸い取られた煙気を炉体に送り込むように構成され、加熱段炉体には複数の赤外燃焼器が設けられており、赤外燃焼器は多孔質媒体燃焼器であり、均熱段炉体内には複数の風道が設けられており、複数の風道はガラスの上下表面に水平で平行な気流を発生させるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総排煙口が設けられたフィード口を有し、ガラスの進行方向に沿って、複数段に分けられ、各段にそれぞれ吸煙口及び煙気噴射継手が設けられた予熱段炉体と、
多孔質媒体燃焼器である複数の赤外燃焼器が設けられた加熱段炉体と、
ガラスの進行方向に沿って、前記加熱段炉体の後に設けられ、ガラスの上下表面に水平で平行な気流を発生させるように構成される複数の風道が内に設けられた均熱段炉体と、を備え、
前記予熱段炉体は、前記吸煙口により前記加熱段炉体の煙気を吸い取り、吸い取った煙気を前記煙気噴射継手により前記予熱段炉体に送り込むように構成される、
ガラス強化加熱炉。
【請求項2】
前記予熱段炉体内、前記加熱段炉体内、及び前記均熱段炉体内を順次通過する複数の伝動ローラをさらに備え、
前記予熱段炉体内では、ガラスの進行方向に沿って、前記伝動ローラの上下側にそれぞれ複数の煙気噴射エアナイフが設けられており、且つ前記複数の伝動ローラの上下側の複数の煙気噴射エアナイフ、複数の伝動ローラが高さ方向においてずれて配置され、前記煙気噴射継手は吸い取られた煙気を前記複数の煙気噴射エアナイフに送り込むように構成される、
請求項1に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項3】
前記複数の煙気噴射エアナイフのエアナイフ風出口の口径は収縮している、
請求項2に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項4】
前記予熱段炉体内には、前記複数の煙気噴射エアナイフのエアナイフ風出口に接続されるベンチュリ管構造の通路を有する増量器が設けられている、
請求項3に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項5】
前記複数の赤外燃焼器はガラスの進行方向に沿って伝動ローラの上下側にずれて配置される、
請求項1に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項6】
前記加熱段炉体内には、ガラスの進行方向に沿って前記複数の赤外燃焼器と間隔をあけて設けられる気流攪拌装置がさらに設けられている、
請求項5に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項7】
前記風道は、風出口及び風吸入口を有し、
前記風出口は、伝動ローラの上方及び下方に置かれ、且つ前記伝動ローラの径方向に沿って前記伝動ローラの第1端部に設けられ、これにより、前記風出口から吹き出された風が前記伝動ローラの第1端部に到達し、隣り合う前記伝動ローラの間の隙間から吹き出され、且つ前記伝動ローラと平行にガラスの上下表面を吹き抜けることが可能であり、
前記風吸入口は、前記伝動ローラの上方及び下方に設けられ、且つ前記伝動ローラの第2端部に近く、ガラスの上下表面を吹き抜けた風を吸い込むように構成される、
請求項1~6のいずれか1項に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項8】
前記風道は、遠心ファンと、風吸入段風道及び風吹出段風道を備える風道本体とを備え、前記遠心ファンは、回転することで気流を吸い込み、そして、気流を前記風道本体内に流れるように振り出すように構成され、
前記風吹出段風道は、第1端が前記遠心ファンの出口に接続され、第2端に前記風出口が開設されており、
前記風吸入段風道は、第1端が前記遠心ファンの入口に接続され、第2端に前記風吸入口が設けられている、
請求項7に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項9】
前記風吹出段風道は、前記伝動ローラと平行に設けられる第1部分風道と、前記伝動ローラと垂直に設けられる第2部分風道とを備え、前記風出口は前記第2部分風道の前記伝動ローラの第1端部に近い側壁面に設けられる、
請求項8に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項10】
前記均熱段炉体は、ヒータをさらに備え、
前記ヒータは前記遠心ファンのインペラの下方に設けられ、これにより、前記インペラの回動により吸い込まれた風が、先に前記ヒータを通過してから前記インペラに入る、
請求項8に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項11】
前記ヒータの加熱部は、前記風吸入段風道内に置かれる、
請求項10に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項12】
前記風吸入口は、前記風吸入段風道の前記伝動ローラの第2端部に近い側壁面に設けられる、
請求項8に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項13】
前記予熱段炉体、前記加熱段炉体及び前記均熱段炉体はそれぞれ、伝動ローラの上方に設けられる上部炉体と、前記伝動ローラの下方に設けられる下部炉体とに分けられる、
請求項1~12のいずれか1項に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項14】
前記多孔質媒体燃焼器は、チャンバと前記チャンバに連通する吸気口及び放熱口とを有するハウジングを備え、前記吸気口から前記放熱口への方向を吸気方向とし、前記チャンバには、前記吸気方向に沿って予混合エリア、逆火防止エリア及び燃焼エリアが順次配置され、前記逆火防止エリア内に断熱材料層が充填され、前記燃焼エリア内に多孔質媒体材料層が設けられており、前記断熱材料層が前記予混合エリアと前記多孔質媒体材料層とを連通させる気体通路を有し、前記ハウジングの外周に冷却媒体を収容するように構成される冷却介在層が設けられており、前記冷却介在層は少なくとも、前記予混合エリアの一部の領域と、前記逆火防止エリアの一部の領域と、前記燃焼エリアの一部の領域と、に包まれる、
請求項1~13のいずれか1項に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項15】
前記ハウジングは、内筒体と、前記吸気口を有する蓋板とを備え、
前記蓋板は、前記内筒体の一端に蓋設され、前記内筒体と共同で前記チャンバを形成し、前記内筒体の外周には外筒体が嵌設され、前記内筒体と前記外筒体との間に前記冷却介在層が形成される、
請求項14に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項16】
前記冷却介在層には、前記吸気口に近接する冷却媒体の冷却入口及び冷却出口が設けられている、
請求項14又は15に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項17】
前記吸気口に連通する助燃空気管路をさらに備え、
前記助燃空気管路と前記冷却入口とは、第1分岐路を介して連通し、前記助燃空気管路と前記冷却出口とは、第2分岐路を介して連通し、前記第2分岐路と前記助燃空気管路との接続点は、前記第1分岐路と前記助燃空気管路との接続点より前記吸気口に近い、
請求項16に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項18】
前記冷却入口に連通する冷却水タンクと、前記冷却出口に連通する熱水タンクとをさらに備える、
請求項16に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項19】
前記多孔質媒体燃焼器は、
前記冷却介在層の外周に保温材料層が設けられていることと、
前記チャンバ内の前記放熱口に近い位置に、前記断熱材料層を支持するように構成されて前記多孔質媒体材料層に対応して前記放熱口に連通する放熱通路を有する断熱材料支持層が設けられていることと、
前記ガラス強化加熱炉が、前記ハウジングを支持するように構成されて放熱口に対応する放熱孔を有する底部断熱面板をさらに備えることと、
前記ガラス強化加熱炉が、前記予混合エリアに挿設された熱電対をさらに備えることと、の少なくとも1つの設定を採用する、
請求項14に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項20】
前記断熱材料層の気体通路の深さと直径との比値は30:1~80:1である、
請求項14に記載のガラス強化加熱炉。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載のガラス強化加熱炉を採用して行われ、
サイド材料配置台に、手動(又は自動化装置)でガラスを単層で平らに敷設し、製品を並べ、
前記ガラスを伝動ローラで予熱段炉体に運行させ、前記予熱段炉体で製品の予熱を完成させ、
前記ガラスを加熱段炉体に運行させて、前記ガラスの前記した加熱段炉体内での温度を設定された温度600℃~640℃に上昇させ、
前記ガラスを前記加熱段炉体から均熱段炉体に入り込ませ、循環して運行する気体が前記ガラスの上下表面を掠め、前記ガラスに対して加熱及び温度の均一化を行う、
ことを特徴とするガラス強化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2022年11月1日で、出願番号が202211358216.6である中国特許出願、出願日が2022年11月1日で、出願番号が202222929439.5である中国特許出願、及び出願日が2023年9月4日で、出願番号が202322399577.1である中国特許出願の優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、ガラス強化の分野に関し、例えば、ガラス強化加熱炉及びガラス強化方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスは透明又は半透明の非晶質材料として、伝熱過程において独特の性能を示している。ガラスは短距離秩序、長距離無秩序の構造を持っている。ガラスは可視光及び赤外光に対して透明又は半透明であり、外部の熱量を受けると内部に高い周波数の電磁放射エネルギーが生じ、このような伝熱過程がフォトン熱伝導と呼ばれる。透明ガラスの室温におけるフォトン熱伝導は総伝熱の10%程度を占め、温度の上昇に伴い、フォトン熱伝導の作用が増大し、ガラスの内部に体積放射が発生する。
【0004】
普通の透明ガラスは高い放射率を持ち、熱放射エネルギーを良好に吸収することができる。普通のガラスの表面に低い放射性能を持つ薄膜をコーティングすることで、Low-Eガラスが作られる。Low-Eガラスの最も顕著な特性は遠赤外放射に対する反射率が高く、近赤外放射に対する反射率が低く、可視光に対する透過率が高いことである。これは、建物にLow-Eガラスが使用された後、日光の中の可視光の部分が透過可能であり、採光の役割を果たす一方で、熱効果を発生できる大部の赤外放射が窓の外に遮られることを意味する。Low-Eガラスの表面改質により、強化加熱過程において多くの技術的問題が発生する。
【0005】
普通のガラスに比べて、強化ガラスは安全ガラスに属している。強化ガラスは実際には予め応力が付与されたガラスであり、ガラスの強度を高めるために、通常、化学的又は物理的な方法を用いてガラスの表面に圧縮応力を形成し、ガラスは外力を受ける時にまず表層応力が相殺され、これにより、積載能力を高め、ガラス自身の耐風圧性、耐寒性、耐暑性、耐衝撃性などを強化する。
【0006】
ガラスの強化は「物理的強化」及び「化学的強化」に分けられる。
【0007】
物理的強化は、普通の平板ガラスを加熱炉でガラスの軟化に近い温度(600℃)に加熱した時、自身のひずみによって内部の応力を除去し、そして、ガラスを加熱炉から取り出してから、高圧の冷たい空気を多頭ノズルでガラスの両面に吹かせ、ガラスを迅速で均一に室温に冷却することで、強化ガラスが作られる。
【0008】
化学的強化は、ガラスの表面の化学組成を変えることでガラスの強度を高め、一般的にイオン交換法を応用して強化する。方法としては、アルカリ金属イオンを含有するケイ酸塩ガラスを溶融状態のリチウム(Li+)塩に浸入し、ガラス表層のNa+又はK+イオンとLi+イオンとを交換させ、表面にLi+イオン交換層を形成し、Li+の膨張係数がNa+、K+イオンよりも小さいため、冷却過程において外層の収縮が小さく、内層の収縮が大きく、常温に冷却された後に、ガラスは同様に、内層が引っ張られ、外層が圧力を受けている状態にあり、その効果はガラスの物理的強化と類似している。
【0009】
本願で述べられるのは、物理的強化に係る設備----強化加熱炉である。
【0010】
伝熱の角度から、ガラスの強化炉内での加熱過程に係る伝熱過程には「放射伝熱」、「対流伝熱」、及び「熱伝導」がある。
【0011】
放射伝熱について、放射はどこにでもあり、1枚の冷たいガラスがガラス強化炉の加熱炉に入った後、様々な加熱素子、炉壁保温材料、セラミックローラがいずれも放射熱を発してガラスを加熱する。波は、被加熱物体に対して、「吸収+透過」の2つの形式を持ち、吸収するだけで物体を加熱することができる。ガラスのスペクトル曲線から見ると、成分の原因により、赤外透過曲線上では1つの直線ではなく、「山と谷」の形式で表現され、対応して、「谷」はガラスが吸収可能な波長範囲であり、且つ吸収可能な波長は1種類ではない。
【0012】
図12は、一実施例に係るガラスの赤外透過曲線にすぎず、異なる種類のガラスの曲線は異なる。これは、ガラスの強化加熱過程において熱源から外へ放射される波の波長が「広い幅」の波であるべきであり、異なる種類のガラスに対応する吸収波長をできるだけカバーすることを求めている。実際には、つまり、熱源の温度が高くなり得るとともに、低くなり得る(抵抗線に比べて)ことを求めている。
【0013】
対流伝熱については、強化ガラスの生産過程において、以下のいくつかの対流伝熱方式が存在する。
【0014】
1、自然対流について、炉内に温度差がある場合、空気は自然に流れる。冷たいガラスが加熱炉に入ると、ガラスの下表面には自然対流の加熱が存在し、ガラスの上表面は冷たい空気によりエアバリアを形成する。強制対流がなければ、自然対流の加熱の影響は少ない。ブロック状の平板ガラスの四辺の自然対流の影響は顕著であり、一般的にガラスの「熱辺」をもたらし、これにより、ガラスの辺部の温度が高くなりすぎ、ガラスの光学結像の品質に影響を与える。
【0015】
2、熱平衡管が取り付けられた強制対流について、一般的に加熱炉内の加熱素子に近い場所には熱平衡管があり、気管内の圧縮空気は加熱されて熱い空気になり、ガラスの上下表面に直接吹き当たる。熱平衡気体は強制対流でガラスを加熱する一方で、加熱炉内の温度も均一にさせ、しかし、ガラスが高温軟化状態になる場合、一定の速度及び圧力を持つ気流は軟化状態のガラスの表面に「紋様」を形成し、これもこのような強制対流の欠点である。
【0016】
3、主な加熱方式としての強制対流については、ガス加熱炉及びエアクッション式加熱炉はいずれも強制対流を主な加熱方式の1つとしている。Low-Eガラスを強化可能な市場応用が急速に普及するにつれ、高温ファン又は圧縮空気を採用した強制対流加熱炉も発展した。強制対流加熱方式を採用することにより、ガラスの加熱時間を短縮し、生産効率を高め、ガラスの温度をより均一にさせ、製品の品質を高めることができる。
【0017】
熱伝導について、ガラスの上表面が炉内の素子に接触せず、下表面のみがセラミックローラに接触している。セラミックローラは石英を主材とし、補助材料を添加することで製造されてなり、熱膨張係数はほぼ0であり、熱伝導率も低い。セラミックローラとガラスとの接触面積は小さく(理論的には線接触)、そのため、熱伝導は全体の伝熱過程において主要な方式ではなく、ガラスが加熱炉内で吸収した熱量は、熱伝導からのものが10%未満だけである。しかし、冷態ガラスが炉内に入った初期に、冷態ガラスの下表面は高温のセラミックローラに接触し、ガラスの上反りやぶれが招かれ、この点には注意する必要がある。
【0018】
関連技術において、業界内の放射型強化炉でガラスを加熱する時、熱源は炉頂及び炉底の電熱素子から来て、電熱素子は通常、ニッケルクロム抵抗線である。電熱素子には2種類の装入形式があり、1つ目は金属管内に装入され、放射管の形式で熱量を放射し、2つ目は耐熱セラミック管に嵌設され、抵抗線が直接、炉内に熱量を放射する。ガラスは通常、耐熱セラミックスを主要な成分として作られた伝動ローラに平置きされ、ローラの回動により炉内に送り込まれる。大サイズの平板ガラスを強化できるように、炉内の電熱素子は一般的に、できるだけ炉頂及び炉底に満ちて並べられている。ガラスが室温で炉内に送り込まれると、電熱素子の放射伝熱及び伝動ローラによる接触するガラスへの導熱を受ける。炉温は一般的に700℃程度で、伝動ローラの温度が高いため、ガラスは導熱により大きな熱量を得て、これにより、ガラスの下表面の温度が上表面の温度よりも高くなり、ガラス板の厚さ方向に不均一な温度の分布をもたらし、ガラスは曲がり、辺部が上反りになる。この時、ガラス板の中央部に重力が集中し、ローラの跡が形成される。不均一の加熱はさらに、ガラスの中心部位に白斑が出ることを引き起こし、合わせガラスのベースシートを強化する場合、この問題はさらに深刻となる。
【0019】
低放射(Low emissivity、Low-E)ガラスは、普通のガラスの片側の表面に膜のコーティングを行う。強化時には、ローラによるコーティング膜層の損傷を回避するために、コーティング膜は表面が上向きになって強化炉に送り込まれる。伝熱の角度から分析すると、ガラスが均一に加熱されることを保証するために、加熱時のガラスの上、下表面を介するガラスの内部への伝熱速度が一致するように保たれることを求めている。電熱素子は主に放射方式によってLow-Eガラスを加熱し、赤外放射は物体に投射されると明らかな熱効果が発生し、熱線の主要な構成部分である。Low-Eガラスの放射率は不均衡であり、ガラスの下表面は0.90程度の高い放射率を有している。大量の熱を吸収した後、下表面の温度は上昇し、有効熱伝導率が増大し、熱量をさらに内部に伝達させる。一方、コーティング膜側の放射率は一般的に0.10~0.23であり、コーティング膜層は大量の赤外放射エネルギーを反射し、これにより、熱放射がコーティング膜の表面からガラスの内部に伝達されにくい。
【0020】
関連技術において、ガラスの表面を均一に加熱するために、ガラスの表面を加熱素子で完全にカバーしなければならない。このような表面加熱方法は、加熱される物体の表面又は表面に近い層に熱源の少なくとも50%の熱量を与える必要があることを特徴とする。関連技術における加熱方法には限界がある。例えば、クロムアルミニウムコバルト金属線の抵抗線を採用して加熱すると、1000℃の時にヒータの壁面の最大の負荷は60kW/m2にしか到達できないが、全面的な黒色放射器が同じ温度で放射する電力密度は149kW/m2に到達できる。関連技術における抵抗線の加熱では、ヒータの配列は極めて密であり、このような配置は加熱素子の使用寿命を短縮する。
【0021】
ガラス加熱過程において、関連技術における電気加熱発熱体のニッケルクロム合金の最高発熱温度は1150℃であり、鉄クロム合金の最高発熱温度は1400℃である。炉温及びコストを考慮して、関連技術において、多くはニッケルクロム合金を材質として作られた電気加熱発熱体を使用している。熱源温度と放射の波長との対応関係から見ると、発熱温度が1150℃で外へ放射される波長は2.04ミクロンである。炉温及びガラスの強化温度を考慮して、電気加熱強化炉内の抵抗線の発熱温度は1150℃未満であり、通常800℃~900℃の間にあり、対応する熱源放射波長は2.47μm~2.7μmであり、このような波長は実際に狭く、すべてのガラスの吸収波長が2.47μm~2.7μmの間にあるわけではない。
【0022】
関連技術は徐々に、赤外放射器を使い始めて透明ガラスを均一に加熱し、ガラスの加熱速度を高め、加熱時間を短縮する。しかし、このような方法に存在する欠点は、ガラス物体の表面全体に対して均一に放射することを保証できないため、加熱される必要があるガラスの表面に赤外放射源の強度分布の投影が形成されてしまうことである。
【0023】
上記問題を解決するために、ガラス業界は強化炉に「強制対流熱交換技術」を導入した。ローラ式強化炉内に上部強制対流を追加することはガラスの対称加熱に有利である。また、Low-Eガラスに対しては、コーティング膜の存在により加熱時間が大幅に増加し、強制対流を追加することにより加熱時間を短縮し、炉室の温度を下げることができ、膜層の損失を減少させ、生産効率を高めることに有利である。下部に強制対流を追加する必要はなく、本来、ローラ式強化炉は、回避不可能なローラの伝熱及び下部の自然対流のいずれによっても、下部の加熱が速すぎてガラスが上反りになって中間の白霧が形成される。さらに重要なのは、中部の加熱が速すぎて、ガラスの中心が強化温度に加熱されると、下表面が熱くなりすぎ、軟らかくなりすぎて、ガラスの下表面にブツやローラの痕跡が生じてしまい、これは面倒である。下部に強制対流を追加すれば、この矛盾がさらに目立つようになる。
【0024】
しかしながら、関連技術におけるガラスの強化、特にコーテッドガラス及びLow-Eガラスの強化は、ガラスが炉内に入った初期に、ガラスの下表面の温度の上昇が速すぎ、ガラスの上表面の温度の上昇が遅すぎることによるガラスの上反り及びぶれ、電気加熱強化炉の発熱体が極端に密に配列されることによる寿命の過短及び加熱速度の遅さ、及び強化炉に導入された赤外放射加熱技術による加熱の不均一現象、高いエネルギー消費などの問題が依然として存在する。
【発明の概要】
【0025】
本願は、ガラスを急速で均一に加熱することができ、さらに、普通のガラスの強化加熱に適用可能であり、特にコーテッドガラス及びLow-Eガラスの強化要求により適用されるガラス強化加熱炉及びガラス強化方法を提出する。
【0026】
本願は、総排煙口が設けられたフィード口を有し、ガラスの進行方向に沿って、複数段に分けられ、各段にそれぞれ吸煙口及び煙気噴射継手が設けられた予熱段炉体と、多孔質媒体燃焼器である複数の赤外燃焼器が設けられた加熱段炉体と、ガラスの進行方向に沿って、前記加熱段炉体の後に設けられ、ガラスの上下表面に水平で平行な気流を発生させるように構成される複数の風道が内に設けられた均熱段炉体と、を備え、前記予熱段炉体は、前記吸煙口により前記加熱段炉体の煙気を吸い取り、吸い取った煙気を前記煙気噴射継手により前記予熱段炉体に送り込むように構成されるガラス強化加熱炉を開示する。
【0027】
本願は、上記のガラス強化加熱炉を採用して行われたガラス強化方法をさらに開示し、前記方法は、サイド材料配置台に、手動(又は自動化装置)でガラスを単層で平らに敷設し、製品を並べることと、予熱段炉体に入るようにガラスを伝動ローラで運行させ、前記予熱段炉体で製品の予熱を完成させることと、ガラスを加熱段炉体に入り込ませ、ガラスの温度を予め設定された温度600℃~640℃に上昇させることと、ガラスを前記加熱段炉体から均熱段炉体に入り込ませ、循環して運行する気体がガラスの上下表面を掠め、ガラスに対して加熱及び温度の均一化を行うことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本願の一実施形態に係るガラス強化加熱炉の構造模式図である。
【
図2】本願の一実施形態に係るガラス強化加熱炉の予熱段炉体の第1視角の構造模式図である。
【
図3】本願の一実施形態に係るガラス強化加熱炉の予熱段炉体の第2視角の構造模式図である。
【
図4】本願の一実施形態に係るガラス強化加熱炉の予熱段炉体の第3視角の構造模式図である。
【
図5】本願の一実施形態に係るガラス強化加熱炉の予熱段炉体の煙気噴射継手の構造模式図である。
【
図6】本願の一実施形態に係るガラス強化加熱炉の予熱段炉体の煙気噴射継手及び増量器が拡大された構造模式図である。
【
図7】本願の一実施形態に係るガラス強化加熱炉の加熱段炉体の第1視角の構造模式図である。
【
図8】本願の一実施形態に係るガラス強化加熱炉の加熱段炉体の第2視角の構造模式図である。
【
図9】本願の一実施形態に係るガラス強化加熱炉の均熱段炉体の構造模式図である。
【
図10】本願の一実施形態に係るガラス強化加熱炉の均熱段炉体の単一の風道の炉体の幅方向での断面図である。
【
図12】一実施例に係るガラスの赤外透過曲線である。
【
図13】本願の一実施例に係る多孔質媒体燃焼器の構造模式図である。
【
図15】
図14における冷却介在層の接続構造の模式図である。
【
図16】
図14における冷却介在層の別の接続構造の模式図である。
【符号の説明】
【0029】
10・・・ガラス強化加熱炉、20・・・ガラス、
100・・・予熱段炉体、101・・・伝動ローラ、1011・・・第1端部、1012・・・第2端部、102・・・予熱段上部炉体、103・・・予熱段下部炉体、120・・・総排煙口、130・・・吸煙口、131・・・第1吸煙口、132・・・第2吸煙口、133・・・第3吸煙口、134・・・第4吸煙口、135・・・第5吸煙口、136・・・第6吸煙口、140・・・煙気噴射継手、141・・・第1煙気噴射継手、142・・・第2煙気噴射継手、143・・・第3煙気噴射継手、144・・・第4煙気噴射継手、150・・・煙気噴射エアナイフ、151・・・上部炉体右側エアナイフ、152・・・上部炉体左側エアナイフ、153・・・エアナイフ風出口、160・・・増量器、161・・・ベンチュリ管構造の通路、162・・・収縮段、163・・・隙間、164・・・増量器出口、
200・・・加熱段炉体、201・・・加熱段上部炉体、202・・・加熱段下部炉体、210・・・赤外燃焼器、2111・・・蓋板、2112・・・吸気口、2113・・・放熱口、2114・・・内筒体、2115・・・予混合エリア、212・・・冷却介在層、2121・・・外筒体、2122・・・冷却入口、2123・・・冷却出口、218・・・逆火防止エリア、219・・・燃焼エリア、213・・・断熱材料板、214・・・多孔質媒体材料層、2151・・・熱電対、2152・・・保温材料層、2153・・・断熱材料支持層、2154・・・底部断熱面板、2155・・・押え機構、2156・・・底部面板、2157・・・補強リブ、2161・・・助燃空気管路、2162・・・助燃ファン、2163・・・第1分岐路、2164・・・第2分岐路、2165・・・空燃混合器、2171・・・冷却水タンク、2712・・・熱水タンク、220・・・気流攪拌装置、
300・・・均熱段炉体、310・・・風道、311・・・遠心ファン、3121・・・風吹出段風道、31211・・・第1部分風道、31212・・・第2部分風道、3122・・・風吸入段風道、313・・・風出口、314・・・風吸入口、320・・・ヒータ、321・・・加熱部、330・・・均熱段上部炉体、340・・・均熱段下部炉体、350・・・収容室、351・・・底壁、352・・・天井壁、353・・・側壁、
400・・・炉体リフト装置。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで指示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本願の説明を容易にし説明を簡略化するためのものにすぎず、言及した装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成されて操作されなければならないことを指示又は暗示するものではないことを理解する必要があり、従って、本願を制限するものとして理解できない。
【0031】
また、「第1」、「第2」と限定された特徴は、1つ又はより多くの該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができ、特徴の説明を区別するためのものであり、順序や重要度の差異はない。本願の説明において、別途説明がない限り、「複数」の意味は、2つ又は2つ以上である。
【0032】
なお、本願の説明において、別途明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付ける」、「繋がる」、「接続」は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、取外可能な接続であってもよく、又は一体となってもよく、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよく、直接繋がってもよいし、中間媒介を介して間接的に繋がってもよく、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、上記用語の本願における具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解できる。
【0033】
図1~
図11を参照し、本願の実施形態は、ガラス20の進行方向に沿って順次設けられた予熱段炉体100と、加熱段炉体200と、均熱段炉体300と、を備えるガラス強化加熱炉10を提供する。
【0034】
本願のいくつかの実施形態において、予熱段炉体100はフィード口を有し、フィード口に近い箇所に総排煙口120が設けられている。
【0035】
関連技術において、通常、総排煙口は加熱段に設けられているが、本願において、加熱段の煙気の排煙口は前へ移動されて予熱段のフィード口の位置に至り、煙気が加熱段から予熱段へ移動して予熱段の熱量の源とされるようにする一方で、排煙口と加熱段とを一定の距離離し、煙気の排煙による加熱段の温度場への影響を低減させる。
【0036】
本願のいくつかの実施形態において、ガラス20の進行方向に沿って、予熱段炉体100は複数段に分けられ、各段にそれぞれ吸煙口130及び煙気噴射継手140が設けられており、吸煙口130は予熱段の煙気を吸い取るように構成される。吸煙口130を介して加熱段炉体200からの煙気を吸い取り、吸い取った煙気を煙気噴射継手140を介して予熱段炉体100に送り込む。
【0037】
関連技術において、ガラス強化加熱炉の加熱段で発生する煙気に対しては、炉の入口に吸煙口を設け、且つ外部で煙突に接続させ、「煙突効果」を利用して排出する。
【0038】
本願は、加熱段炉体200の前部に予熱段炉体100を導入し、設備全体の総排煙口120を予熱段の入口に設ける。同時に、ガラス20の進行方向に沿って、予熱段炉体100の各段に吸煙口130を設けることにより、ファンを利用して炉内の煙気を各吸煙口130から吸い出し、そして、各段の煙気噴射継手140を介して、吸い出された煙気を炉内に送り込むことができ、これにより、予熱段炉体100内の煙気の内部循環を構築する。したがって、炉内の圧力が「微正圧」に保たれるという予め設定された指標を実現して、炉内の煙気の全体的な流れが加熱段炉体200から予熱段炉体100へ運動することを実現することができる。
【0039】
実際の作動過程において、予熱段炉体100の各段に吸煙口130が設けられるため、ファンを利用して炉内の煙気を各吸煙口130から吸い出すことができ、このようにすると、予熱段炉体100内の圧力が低くなり、加熱段炉体200内の圧力が予熱段炉体100内の圧力よりも大きくなり、加熱段炉体200内の煙気が差圧の作用で予熱段炉体100に入り、それと同時に、予熱段炉体100の煙気噴射継手140が吸い出された煙気を予熱段炉体100内に送り込み、これにより、炉内の煙気の全体的な流れが加熱段炉体200から予熱段炉体100へ運動し且つ循環往復する機能を実現する。
【0040】
予熱段炉体100を設けることにより、加熱段炉体200の煙気を二次利用する一方で、予熱段炉体100を複数段に分け、煙気を吸煙口130により吸い取って、煙気噴射継手140により送り戻し、予熱段炉体100内のガラス20の階段的な昇温を実現する。同時に、予熱段炉体100の熱量が加熱段炉体200の煙気からのものである上で、冷源であるガラス20が入り続けていることを考慮し、予熱段炉体100の伝動ローラ101の温度は加熱段炉体200の伝動ローラ101の温度よりも遥かに低い。このようにすると、伝動ローラ101の温度が高すぎることに起因するガラス20の加熱炉に入った初期に上下表面の温度の差が大きすぎることによる変形(上反り)やぶれを良好に回避することができる。
【0041】
本願は、加熱段炉体200の後に均熱段炉体300を設けて、加熱段階でのガラス20の表面の温度の不均一性をさらに改善することで、より高い基準の均一性の要求を満たし、ガラス20の強化品質をさらに向上させることができる。特に、コーテッドガラスやLow-Eガラスという種類の高い基準の均一性の要求の強化要求により適用可能である。
【0042】
関連技術における通常のガラス強化加熱炉には、加熱段内で、ガラスの初期に受けた熱の不均一による上反り及びぶれを解決する必要があり、本願のガラス強化加熱炉10は、関連技術における通常のガラス強化加熱炉と全く異なっており、予熱段炉体100が単独で設置され、加熱段の煙気が熱源にされ、予熱段が単独で設置され、予熱段のセラミックローラ棒の温度を下げ、強制対流の形でガラス20を予熱し、ガラス20の初期に受けた熱の不均一による反り及びぶれの問題を解決した。
【0043】
本願のいくつかの実施形態において、上記の予熱段炉体100はガラス20の進行方向に沿って3段に分けられている。予熱段炉体100は、予熱段上部炉体102と予熱段下部炉体103とに分けられる。予熱段上部炉体102は伝動ローラ101の上方に設けられ、予熱段下部炉体103は伝動ローラ101の下方に設けられる。
【0044】
図2~
図3を参照し、予熱段炉体100は「上1#」段及び「下1#」段と、「上2#」段及び「下2#」段と、「上3#」段及び「下3#」段との合計6段に分けられる。6段において、各段は炉体に吸煙口130が設けられており、ファンを利用して炉内の煙気を吸い出し、そして、各段の煙気噴射継手140を介して、吸い出された煙気を炉内に送り込み、これにより、予熱段炉体100内の煙気の内部循環を構築する。
【0045】
図2及び
図3を参照し、予熱段炉体100において、上1#段に第1吸煙口131が設けられ、下1#段に第2吸煙口132が設けられ、上2#段に第3吸煙口133が設けられ、下2#段に第4吸煙口134が設けられ、上3#段に第5吸煙口135が設けられ、下3#段に第6吸煙口136が設けられる。
【0046】
一実施例において、上1#段を例にとると、該段の第1吸煙口131は煙気吸い取りファンの吸風口に繋がり、炉内の煙気をファンにより吸い出し、管路により2分割して、それぞれを上1#段の第1煙気噴射継手141及び第2煙気噴射継手142に送り込む。同様に、下1#段に設けられた第2吸煙口132は煙気吸い取りファンの吸風口に繋がり、炉内の煙気をファンにより吸い出し、管路により2分割し、それぞれを下1#段の第3煙気噴射継手143及び第4煙気噴射継手144に送り込む。
【0047】
本願のいくつかの実施形態において、予熱段炉体100内では、ガラス20の進行方向に沿って、伝動ローラ101の上下側にそれぞれ複数の煙気噴射エアナイフ150が設けられており、且つ上下側の複数の煙気噴射エアナイフ150、複数の伝動ローラ101は高さ方向においてずれて配置され、煙気噴射継手140は吸い取られた煙気を複数の煙気噴射エアナイフ150に送り込むように構成される。
【0048】
図2~
図4を参照し、図示された実施形態において、予熱段炉体100内の「上1#」段及び「下1#」段と、「上2#」段及び「下2#」段と、「上3#」段及び「下3#」段との6段には、いずれも複数の煙気噴射エアナイフ150が設けられている。
【0049】
本願のいくつかの実施形態において、複数の煙気噴射エアナイフ150のエアナイフ風出口153の口径は収縮している。
【0050】
本願のいくつかの実施形態において、予熱段炉体100内には、増量器160が設けられており、増量器160はベンチュリ管構造の通路161を有し、通路161は煙気噴射エアナイフ150のエアナイフ風出口153に接続される。
【0051】
図6及び
図11を参照し、増量器160をベンチュリ管構造の通路161を有するように設けることにより、ベンチュリ効果を生じさせ、「増量」効果を形成し、ガラス20に吹く風量を大きくすることができる。本願で設置された増量器160は、流れ場のシミュレーション分析及び実際の実験検証を経たものであり、加熱効果を極めて大きく増強する。
【0052】
関連技術において、煙気噴射構造は通常、「円孔ずれ配置タイプ」及び「スリットタイプ」の煙気噴射構造を採用しているが、本願において、「増量」効果を持つ構造を創造的に開発し、噴射する煙気量の増加を実現し、加熱効率をさらに向上させる。
【0053】
例示的に、
図5~
図6を参照し、図示された実施形態において、予熱段炉体100における煙気の噴射の「増量」構造は、
図5及び
図6に示す通りである。空炉昇温段階において、炉内の伝動ローラ101は冷態であり、高温の煙気を直接、伝動ローラ101の表面に噴射させることを回避するために、煙気噴射エアナイフ150は伝動ローラ101に直接吹かず、ずれて配置されて伝動ローラ101の間の隙間に吹く。
図5及び
図6に示すように、予熱段炉体100の内部構造は、主に、伝動ローラ101と、上部炉体右側エアナイフ151と、上部炉体左側エアナイフ152と、増量器160と、からなる。ガラス20は伝動ローラ101の回動で、左から右へ運行する。ファンは、各段の炉内の煙気を吸い取り、炉外の煙気噴射継手140を介して、予熱煙気を煙気噴射エアナイフ150に送り込む。特殊構造で設計された煙気噴射エアナイフ150は、エアナイフ風出口153で収縮し、且つ各煙気噴射エアナイフ150のエアナイフ風出口153から予め設定された距離の箇所に、1つの増量器160が取り付けられている。増量器160は、特殊な設計により、「増量」効果を形成し、ガラス20に吹く風量を大きくし、流れ場のシミュレーション分析及び実際の実験検証を経たものであり、増量器160の応用は、加熱効果を極めて大きく増強する。
【0054】
一実施例において、
図6を参照し、煙気噴射エアナイフ150から噴射された煙気は、増量器160の収縮段162を通過している時に流速が増大し、低圧エリアを形成する。低圧エリアの作用で、予熱段炉体100内に存在する煙気は煙気噴射エアナイフ150と増量器160との間の隙間163から増量器160に吸い込まれる。2つの煙気は増量器出口164に合流し、ガラス20の受熱面に噴射される。これにより、同様な煙気ファンの電力の場合、ガラス20の受熱面で煙気量のより大きな噴射効果を実現する。
【0055】
本願のいくつかの実施形態において、ガラス20の進行方向に沿って、加熱段炉体200は予熱段炉体100の後方に設けられる。
【0056】
本願のいくつかの実施形態において、
図7及び
図8を参照し、加熱段炉体200は加熱段上部炉体201と加熱段下部炉体202とに分けられる。加熱段上部炉体201は伝動ローラ101の上方に設けられ、加熱段下部炉体202は伝動ローラ101の下方に設けられる。
【0057】
本願のいくつかの実施形態において、加熱段炉体200には、多孔質媒体燃焼器である複数の赤外燃焼器210が設けられている。
【0058】
本願の加熱段炉体200は赤外放射を主とする多孔質媒体燃焼技術を採用し、対流、導熱、放射の3種類の熱交換方式が存在し、燃焼エリア219の温度を均一にさせ、平穏な温度勾配を保持し、本願の加熱段炉体200は赤外放射を主とする多孔質媒体燃焼技術を採用する以外、広い波幅の赤外加熱段も構築し、ガラスに対する急速で均一な加熱を実現する。これにより、本願のガラス強化加熱炉は普通のガラスの強化に適用可能であるだけでなく、特にコーテッドガラス及びLow-Eガラスの強化要求により適用される。
【0059】
多孔質媒体燃焼技術は、燃焼が安定していると同時に、高い容積熱発生率を有する。自由燃焼に比べて、多孔質媒体燃焼は、燃焼速度が高く、燃焼安定性が良く、負荷調節範囲が広く、容積熱発生率が大きく、燃焼器の体積が小さく、ガス適応性が良く、煙気中の汚染物の排出が低く、燃焼限界が広くなり、発熱量が低いガスを燃焼させて使用可能であるなどの利点を有する。
【0060】
本分野では、関連技術における加熱炉は気体燃料の燃焼であり、主に自由火炎を特徴とする燃焼である。このような燃焼には大きな空間が必要であり、火炎の周囲の温度勾配が大きく、局所の高温が発生しやすい。温度が1500℃よりも高い場合、NOx(窒素酸化物)の生成が顕著になる。NOx(窒素酸化物)の猛毒性により、NOxの排出の減少も非常に重要となる。
【0061】
本願の加熱段炉体200は、関連技術における加熱炉の従来の自由火炎の特徴の燃焼と比較して、多孔質媒体燃焼炉を採用して燃焼効果を極めて大きく改善する。燃焼過程において、多孔質媒体は鍵となる役割を果たしている。多孔質媒体材料は、伝熱特性が優れ、気体が強制的に流入したり流出したり、分離したり合流したりして、対流が強くなり、その中の温度の分布を均一にさせ、且つ低い温度レベルを保持することができ、汚染物の排出を減少させることができ、かさ密度が小さく、即ち熱慣性が小さく、起動時に迅速に昇温でき、負荷の変化に急速に適応できる。800~1200℃の温度範囲で作動できるなどの特徴を有する。
【0062】
本願のいくつかの実施形態において、上記の加熱段炉体200の赤外燃焼器210は、多孔質媒体材料を主な燃焼部品とし、多孔質媒体材料でガスを燃焼させる。本願の多孔質媒体材料はSiCを選択し、SiC材料の放射率が0.9程度であり、一般的な金属合金発熱材料の放射率よりも遥かに高く、放射加熱効果がより良い。本願の加熱段炉体200の赤外燃焼器210は、多孔質媒体材料としてSiCを採用することにより、加熱効果をさらに高める。
【0063】
本願の加熱段炉体200は、「多孔質媒体燃焼」技術をコアとする赤外燃焼器210を採用する。
【0064】
本願のいくつかの実施形態において、加熱段炉体200内には、ガラス20の進行方向に沿って、複数の赤外燃焼器210が伝動ローラ101の上下側にずれて配置される。
【0065】
図7を参照し、図示された実施形態において、加熱段炉体200内では、加熱段上部炉体における各赤外燃焼器210と加熱段下部炉体における各赤外燃焼器210とが、ガラス20の進行方向において、互いにずれている。
【0066】
加熱段炉体200内に、ガラス20の進行方向に沿って、複数の赤外燃焼器210が伝動ローラ101の上下側にずれて配置されることにより、加熱の均一性を高めることができる。
【0067】
本願のいくつかの実施形態において、加熱段炉体200内には気流攪拌装置220がさらに設けられており、ガラス20の進行方向に沿って、気流攪拌装置220は赤外燃焼器210と間隔をあけて設けられる。
【0068】
赤外放射による欠点は、物体の表面全体に対して均一に放射することを保証できないため、加熱される必要がある表面に赤外放射源の強度分布の投影が形成されてしまうものである。したがって、本願は加熱段炉体200に気流攪拌装置220を赤外燃焼器210と連携するように設けて、気流攪拌装置220と赤外燃焼器210とは間隔をあけて設けられ、気流攪拌装置220は炉内の煙気を攪拌することができ、高温の煙気が炉内で局所的に集中し、炉温が不均一になってしまうことを回避する一方で、攪拌された煙気は、ガラス20の表面に予め設定された速度で流れ、対流伝熱を増大させる。
【0069】
一実施例において、
図7及び
図8を参照し、図示された実施形態において、加熱段炉体200の本体構造は、
図7及び
図8に示すように、熱量の集中による温度場の不均一を回避するために、赤外燃焼器210がガラス20の進行方向においてずれて配置される。温度制御の観点から、加熱段炉体200は4つのエリアに分けられ、エリアごとに気流攪拌装置220が配備される。
図8の平面図から見ると、炉内の幅方向において、赤外燃焼器210は両側に別々に配置される。
【0070】
本願のいくつかの実施形態において、均熱段炉体300内には複数の風道310が設けられており、複数の風道310はガラス20の上下表面に水平で平行な気流を発生させるように構成される。具体的に、均熱段炉体300は、収容室350と、風道310とを含む。一実施例において、収容室350の底壁351には伝動ローラ101が設けられており、伝動ローラ101はガラス20を伝動するように構成される。
【0071】
ガラスの「強化」は、「加熱」及び「冷却」の過程を含む。ガラスが急冷工程に入る前に、ガラスの表面の温度の均一性が良好に保障されなければ、ガラスには急冷工程で重大な品質問題が発生してしまう。
【0072】
背景技術で言及したように、関連技術において、一般的に、加熱段に強制対流が配備されている。このような仕方は、ガラスが高温軟化状態にある時、一定の速度及び圧力を持つ気流は軟化状態のガラスの表面に「紋様」を形成するが、本願において、均熱段を設けて、均熱段に水平で平行な気流を構築することにより、この問題を解決した。
【0073】
強制対流は、上記の欠点を有する以外に、ガスの直燃式の加熱に対して、炉内で高速に流れている気流は「多孔質媒体燃焼器」に深刻な影響を与える。
【0074】
ガラスの熱伝導率は低く、生産能力を満足させる前提で、所定時間内でガラスの温度の均一化を完成させるには、対流熱交換効率/能力を増大させる方法を考えなければならない。気流の均一加熱技術にとって、製品の温度の均一性を確保するには、
(1)気流が十分に乱れること、
(2)気流が十分に水平になることの2つの条件のいずれかを満たす必要がある。
【0075】
十分に乱れる気流には、強いファンで確保する必要があり、且つこのような気流は、軽薄なガラスの伝動ローラ101での安定性に不利である。さらに、炉内の保温材料及び炉室に存在する不純物は、乱れた気流で包まれて炉室及びガラスの表面全体に広がり、ガラスの表面品質には制御できない問題が発生してしまう。
【0076】
本願において、加熱段炉体200の後に導入される「水平で平行な気流」の強制対流の均熱段炉体300は、最後の加熱、温度調整過程に相当し、且つ必要な電力が加熱段の電力よりも遥かに小さく、これは、ヒータ320の電力の出力が急速に応答し、連続的に調整可能であることを求めている。本願において、均熱段炉体300の熱源は電気加熱集積箱であり、且つ電気加熱集積箱は全体的に風道の中に押し込まれる。
【0077】
本願のいくつかの実施形態において、
図9及び
図10を参照し、均熱段炉体300は、合計で複数段に分けられ、例示的に、図面において4段に分けられ、各段に独立した風道310が設けられる。
【0078】
一実施例において、4段の風道310はそれぞれ収容室350の中に設けられ、風道310は風出口313及び風吸入口314を有し、風出口313は伝動ローラ101の上方及び下方に置かれ、且つ伝動ローラ101の径方向に沿って伝動ローラ101の第1端部1011に設けられ、これにより、風出口313から吹き出された風が伝動ローラ101の第1端部1011に到達し、隣り合う伝動ローラ101の間の隙間から吹き出され、且つ伝動ローラ101と平行にガラス20の上下表面を吹き抜ける。
【0079】
一実施例において、風吸入口314は、伝動ローラ101の上方及び下方に設けられ、且つ伝動ローラ101の第2端部1012に近く、ガラス20の上下表面を吹き抜けた風を吸い込むように構成される。
【0080】
本願の均熱段炉体300は、風出口313から吹き出された風が伝動ローラ101の第1端部1011に到達し、隣り合う伝動ローラ101の間の隙間から吹き出され、且つ伝動ローラ101と平行にガラス20の上下表面を吹き抜けることができ、これにより、ガラス20の上下表面を水平で平行に掠め、ガラス20と熱交換を完成させることができる。このような水平で平行の均熱方式は、ワークの表面の加熱温度の不均一の問題を極めて大きく改善することができる。
【0081】
本願のいくつかの実施形態において、上記の風道310は遠心ファン311と、風道本体と、を備え、遠心ファン311は、回転して風を吸い込み、そして、風を風道本体内で流れて伝動ローラ101の間の隙間から吹き出され、水平で平行にガラス20の上下表面を掠め、ガラス20と熱交換を完成させるように振り出すように構成される。一実施例において、風道本体は、風吸入段風道3122と、風吹出段風道3121と、を備え、風吹出段風道3121は、第1端が遠心ファン311の出口に接続され、第2端に風出口313が開設されており、風吸入段風道3122は、第1端が遠心ファン311の入口に接続され、第2端に風吸入口314が設けられている。
【0082】
風吹出段風道3121は、第1端が遠心ファン311の出口に接続され、第2端に風出口313が開設されており、遠心ファン311が高速で回転する時に、風は遠心ファン311の入口から吸い込まれ、接線方向から風吹出段風道3121内に振り出され、風吹出段風道3121内で流れてから、風出口313に到達し、風出口313から吹き出された風は伝動ローラ101の第1端部1011に到達し、第1端部1011の側壁面に衝突してから、方向が変えられ、隣り合う伝動ローラ101の間の隙間から吹き出され、且つ伝動ローラ101と平行にガラス20の上下表面を吹き抜け、これにより、ワークを水平で平行に均熱することが実現される。
【0083】
一実施例において、
図9及び
図10を参照し、例示的に、本願に図示された実施形態において、上記の収容室350の形状は六面体を呈する。伝動ローラ101は底壁351の上方に設けられ、遠心ファン311は天井壁352に設けられる。遠心ファン311の入口は遠心ファン311の底部に位置し、伝動ローラ101がワークを伝動する時に、遠心ファン311の入口はワークの上方に位置する。
【0084】
一実施例において、風吹出段風道3121は第1部分風道31211及び第2部分風道31212を備え、第1部分風道31211は伝動ローラ101と平行に設けられ、第2部分風道31212は伝動ローラ101と垂直に設けられ、風出口313は第2部分風道31212の伝動ローラ101の第1端部1011に近い側壁面に設けられる。
【0085】
一実施例において、
図9及び
図10を参照し、本願に図示された実施形態において、第1部分風道31211は、伝動ローラ101に対向する天井壁352に設けられ、第2部分風道31212は、収容室350の側壁353に設けられる。
【0086】
一実施例において、第1部分風道31211は、第1端が遠心ファン311の出口と連通し、第2端が第2部分風道31212の入口に接続され、第2部分風道31212の第2端は風出口313である。
【0087】
一実施例において、図示された実施形態で、第1部分風道31211及び第2部分風道31212は方形風道である。
【0088】
いくつかの実施形態において、第1部分風道31211は、遠心ファン311の出口と連通する第1端のサイズが比較的に小さく、第2端のサイズが比較的に大きく、これにより、第1部分風道31211はほぼホーン形状を呈する。第2部分風道31212の内部通路のサイズは、均熱段炉体300全体の長さに応じて選択して設定し、第2部分風道31212の内部通路のサイズにより、吹き出された風のカバー幅、即ち吹き抜けるワークの幅が決められる。
【0089】
本願のいくつかの実施形態において、遠心ファン311の入口は遠心ファン311のインペラの下方に設けられる。
【0090】
本願のいくつかの実施形態において、均熱段炉体300はヒータ320をさらに備え、ヒータ320は熱交換が済んだ風を予め設定された温度に加熱するように構成され、ヒータ320は遠心ファン311のインペラの下方に設けられ、これにより、インペラの回動により吸い込まれた風が、先にヒータ320を通過してから遠心ファン311のインペラに入る。ワークの上下表面を吹き抜けた風は、ワークとの熱交換が済み、この時、風の温度が下がり、ヒータ320を介して風を再び予め設定された温度に加熱することができる。
【0091】
一実施例において、上記のようなヒータ320を介して加熱された風の温度の分布が不均一であり、本願はヒータ320を介して加熱された風を遠心ファン311に再び吸い込み、遠心ファン311のインペラの攪拌作用により、ヒータ320を介して加熱された後の不均一状態の風を十分に攪拌して散らすことにより、温度の均一化を実現する。均一化された後の風は、再び遠心ファン311の高速の回転により風道310に送り込まれてワークを均熱することになり、このようにして、循環して均熱することを実現し、省エネ及び排出削減に有利である。
【0092】
図9及び
図10を参照し、本願に図示された実施形態において、ヒータ320は、第2部分風道31212に対向する収容室350の側壁353に設けられる。
【0093】
本願のいくつかの実施形態において、均熱段炉体300の風吸入段風道3122は、第1端が遠心ファン311の入口に接続され、第2端に前述した風吸入口314が設けられている。
【0094】
本願のいくつかの実施形態において、ヒータ320の加熱部321は、風吸入段風道3122内に置かれる。
【0095】
ヒータ320の加熱部321を風吸入段風道3122内に置くことにより、ガラス20の上下表面を吹き抜けた風が風吸入段風道3122を通過している時にヒータ320の加熱部321により加熱されるようにし、加熱効率を高め、エネルギー消費を低減させることができる。
【0096】
風吸入段風道3122は、第1端が遠心ファン311の入口に接続され、第2端に上記の風吸入口314が設けられており、これにより、ガラス20の上下表面を吹き抜けた風が風吸入段風道3122を通過して遠心ファン311の入口に到達して、遠心ファン311に吸い込まれ、再び攪拌され、循環して均熱することができる。
【0097】
本願のいくつかの実施形態において、均熱段炉体300は複数の風道310を備え、ワークの伝動方向に沿って、複数の風道310は間隔をあけて設けられる。
【0098】
図示された実施形態において、
図9及び
図10を参照し、均熱段炉体300は、それぞれが均熱段の第1風道、第2風道、第3風道、第4風道である合計で4つの独立して制御する風道を有する。単一の風道の均熱段炉体の幅方向における断面は
図10に示す通りである。遠心ファン311は高速で回転し、風が遠心ファン311のインペラの底部の開口から吸い込まれ、接線方向から振り出される。風は風道本体内で流れ、隣り合う伝動ローラ101の隙間から吹き出され、水平で平行にガラス20の上下表面を掠め、各段の風道から吹き出された風は、該段を経由したガラス20の表面をカバーし、ガラス20と熱交換を完成させることができる。熱交換が済んだ風の温度はある程度下がり、均熱段炉体300内のヒータ320の加熱により、再び所定の温度に到達する。実際には、均熱段炉体300内のヒータ320を介して加熱された後の風の温度の分布は不均一であり、このような不均一の風は直接、ガラス20に吹いてはいけない。本願において、遠心ファン311のインペラは同時に攪拌作用を有し、均熱段炉体300内のヒータ320を介して加熱された後の不均一状態の風を十分に攪拌して散らし、温度の均一化を実現する。均一化された後の風は、再び風道本体に送り込まれ、ガラス20に対する加熱及び温度の均一化を完成させる。
【0099】
本願のいくつかの実施形態において、均熱段炉体300は均熱段上部炉体330と均熱段下部炉体340とに分けられ、均熱段上部炉体330は伝動ローラ101の上方に設けられ、均熱段下部炉体340は伝動ローラ101の下方に設けられる。
【0100】
予熱段炉体100、加熱段炉体200及び均熱段炉体300をそれぞれ上下2段式となるように設けることにより、伝動ローラ101の取り付け又は取り除き、及び設備のメンテナンスを容易にする。一実施例において、上記の伝動ローラ101は、本分野でよく見られているセラミックローラを選択することができる。
【0101】
本願のいくつかの実施形態において、上記の予熱段炉体100、加熱段炉体200及び均熱段炉体300にはそれぞれ炉体リフト装置400が設けられており、炉体リフト装置400は上段炉体に接続され、上段炉体をリフトするように構成される。
【0102】
本願のいくつかの実施形態において、前述のいずれかの実施形態に係るガラス強化加熱炉10を採用してガラスを強化処理するガラス強化方法を提供する。
【0103】
本願のいくつかの実施形態において、前述のいずれかの実施形態に係るガラス強化加熱炉10を採用してガラス20を強化処理することは、以下のステップを含み、
S1において、材料配置台に、手動(又は自動化装置)でガラス20を単層で平らに敷設し、製品を並べ、
S2において、予熱段炉体100に入るようにガラス20を伝動ローラ101で運行させ、予熱段炉体100で製品の予熱を完成させ(温度を一定の範囲に制御し)、
S3において、ガラス20が加熱段炉体200に入り始め、製品の温度が600℃~640℃に上昇し、設定された温度に到達した後、ガラス20が設定された温度のままで引き続き運行し、
S4において、ガラス20が加熱段炉体200から均熱段炉体300に入り、循環して運行する気体がガラス20の上下表面を掠め、ガラス20に対して加熱及び温度の均一化を行う。相対的に低温状態で温度が不均一なガラス20と熱交換を完成させた後の気体はヒータ320に循環され、ヒータ320での加熱作用により昇温補熱が実現される。遠心ファン311のインペラの強力な攪拌により、非均一化の気体に対して温度の均一化を実現する。遠心ファン311及び風道310の作用により、再びガラス20の上下表面に吹かせる。
【0104】
本願のガラス強化方法の有益な効果は、前文に記載のガラス強化加熱炉を採用してガラスの強化を行うため、ガラスを急速で均一に加熱することができ、普通のガラスの強化に適用可能であるだけでなく、特にコーテッドガラス及びLow-Eガラスの強化により適用されることである。
【0105】
昇温されて温度が均一化された後のガラスを得ると、次の工程に進むことができる。
【0106】
図13~
図16を参照し、前文に記載の多孔質媒体燃焼器について詳細に説明する。
【0107】
まず、なお、分析により、多孔質媒体燃焼器の高温分野への応用を制約する理由としては主に、以下のいくつかがある。
【0108】
(1)中、低温と比べて、高い炉温による炉室の「背景放射」はかなり大きく、放射に関連する知識により、放射は温度の4乗と関係があり、1000℃の炉温の背景放射能力は650℃の炉温の6倍近くであり、炉内の伝熱過程において、燃焼器は温度の高い熱源として、熱量を「熱対流」及び「放射」の形式で炉室に伝達し、炉室も燃焼器に対して、炉温の上昇に伴って増大する背景放射を発生する。高温状態において、耐熱合金材料で作られた燃焼器の金属骨格であっても、金属に「クリープ」現象が発生し、このような変形は不可逆である。
【0109】
(2)多孔質媒体燃焼器の構造は通常、「耐熱金属骨格+断熱材料の支持」の形式を採用し、多孔質媒体を燃焼器内に「拘束」し、このような構造の設計により、高い炉温の熱量が燃焼器の金属骨格に沿って伝送されることが決められ、その結果、燃焼器の混合燃焼気体が注入された予混合室体の金属壁面の温度が高すぎ、逆火のリスクが存在する。
【0110】
したがって、関連技術における多孔質媒体燃焼技術に基づいて開発された燃焼器については、炉室に臨む部位は通常、金属骨格であり、長時間の運行後にいずれも異なる程度の変形が現れ、特に高温の環境に臨む場合、このような燃焼器の金属骨格は重大な結果をもたらし、そのため、該燃焼器は高い炉温の環境に適用できない。関連技術における多孔質媒体燃焼器が中、低温の炉温にしか応用できず、大部が低温分野に集中するという応用制限を解決し、応用範囲を高温分野に拡張するために、本願は高い炉温の環境に応用される多孔質媒体燃焼器を提供し、関連する構造の設計により、本来の金属骨格の冷却機能を有する構造を保護する。
【0111】
また、「予混合燃焼」及び「多孔質媒体燃焼」の2種類の燃焼の特徴により制約されているため、関連技術において、多孔質媒体燃焼器の電力調節比(燃焼器が安定して運行する、最大の電力と最小の電力との比値)は一般的に固定されたものであり、又は調節範囲が狭く、つまりガスの流量は変化せず固定され、これも燃焼器の応用を制限している。
【0112】
関連技術において、多孔質媒体燃焼器の熱設備に基づいて電力調節を実現する方式及び特徴は以下の通りである。
【0113】
(1)ガスの燃焼には一定量の空気が必要となり、空燃比は即ち空気とガスとの比値であり、両者の比値が通常、固定されている。空気の量を小幅に調整(空燃比を調整)する仕方により、単一の燃焼器の電力の調整を実現することができるが、燃焼器の電力の出力の変動範囲は非常に狭く、空気の量を低くすると、ガスの不完全燃焼を招き、ひいては毒性のあるCO気体の生成を招く。
【0114】
(2)ヒータ群は複数の燃焼器モジュールにより組み合わせられてなり、燃焼器モジュールの開閉により、ヒータ群全体の電力の大きさの出力を実現する。しかし、単一のヒータ群の温度の分布は不均一であり、これにより、熱設備の温度の分布は不均一となり、均一な温度場を構築することができない。
【0115】
そのため、関連技術における燃焼器の固定電力及び極小の電力調節比の問題を解決するために、燃焼器の自身の設計の角度から燃焼器の調節能力の向上を実現する必要がある。
【0116】
本実施例の赤外燃焼器210はハウジングを備え、ハウジングは、チャンバと、チャンバに連通する吸気口2112及び放熱口2113とを有し、吸気口2112から放熱口2113への方向を吸気方向とし、チャンバには吸気方向に沿って順次、予混合エリア2115、逆火防止エリア218及び燃焼エリア219が配置される。
【0117】
ハウジングは、内筒体2114と、吸気口2112を有する蓋板2111と、を備え、吸気口2112は、助燃空気とガスとの混合燃焼気を入力するように構成され、吸気口2112の数が1つ又は複数であってもよく、例えば2つ、3つなどであり、蓋板2111は、内筒体2114の一端に蓋設され、内筒体2114と共同でチャンバを形成する。本実施例において、ハウジングは金属材質であり、内筒体2114の筒内の空間は円柱型であり、ハウジング及び蓋板2111は方形であり、吸気口2112は数が1つであり、蓋板2111の中心の位置に位置し、内筒体2114及び蓋板2111はフランジ+シールガスケットの形式で締結接続されている。
【0118】
予混合エリア2115の主な役割は、混合燃焼気体が均一に逆火防止エリア218に入る前にさらに混合されて分散するように、吸気口2112から入ったガスと空気との混合燃焼気体を再混合して分散させることである。予混合エリア2115内には気体分散孔を有する気体分散板が設けられており、気体分散板はハウジングに接続され、吸気口2112の正投影が気体分散板に位置する。本実施例において、正投影とは、吸気方向に沿った投影であり、吸気口2112の正投影は、気体分散板の中央に位置する。混合燃焼気体は、気体分散板の気体分散孔を通過した後、予混合エリア2115に均一に分散してから、均一に断熱材料層の気体通路を通過して多孔質媒体材料層214の中に分布することができ、これにより、混合燃焼気体は多孔質媒体材料層214内で均一に燃焼し、燃焼及び加熱の均一性が高められる。
【0119】
逆火防止エリア218の主な役割は、予混合エリア2115と燃焼エリア219とを仕切って、逆火の防止の目的を達成することであり、逆火防止エリア218内には気体通路を有する断熱材料層が充填され、断熱材料層は予混合エリア2115から入った混合燃焼気体をさらに十分に混合して均一に分布させ、そして、燃焼エリア219内に輸送して燃焼させ、断熱材料層は気体通路を有し、吸気方向に沿った厚さが100mm~200mmである。通常の場合、断熱材料層は、少なくとも2層の吸気方向に沿って重畳して配置された断熱材料板213からなり、単層の断熱材料板213の厚さは50mm~100mmであり、その中の任意の隣り合う2層の断熱材料板213の気体通路が対応して連通して完全な気体通路を形成する。本実施例において、断熱材料層は2層の断熱材料板213からなり、2層の断熱材料板213の気体通路は対応して連通して完全な気体通路を形成し、完全な気体通路は吸気方向に沿って貫通して設けられ、且つ断熱材料層の中心領域に配置される。
【0120】
断熱材料層の厚さ方向に貫通孔を加工することにより、予混合気をこれらの貫通孔により多孔質媒体材料の中に入り込ませる。これらの貫通孔は、気流の均一の分布を実現する必要がある一方で、開孔の直径及び数(開孔の総面積に対応する)が関連する燃焼規則を満たす必要がある。本願の実施例において、断熱材料層に対する気体通路の開孔率は1%~5%である。
【0121】
断熱材料層は、900℃~1400℃に耐えることができる耐火材料、例えばセラミック板などからなり、実際のニーズに応じて選択することができ、ここでは限定しない。断熱材料層の気体通路の直径は1.5mm~4mmであり、これについて限定しないが、本実施例は具体的に3mmであり、且つ気体通路の深径比(深さ/直径)が大きく、一般的に30~80:1であり、これにより、逆火防止の効果を高める。
【0122】
逆火防止エリア218の断熱材料層の気体通路の深径比が十分に大きい場合、ガス及び空気を同期して減少又は増大させることで燃焼器の電力を調節することを実現でき、大きな深径比は、逆火現象の発生を心配する必要がなく、混合燃焼気体の圧力を上げ、気体の流速を火炎の伝播速度よりも高くすることができ、同時に高燃焼効率及び低汚染排出を配慮することができる。
【0123】
燃焼エリア219の主な役割は燃焼であり、燃焼エリア219内には多孔質媒体材料層214が設けられており、断熱材料層の気体通路が予混合エリア2115と多孔質媒体材料層214とを連通させ、多孔質媒体材料層214は断熱材料層から混合され、分散されて入力された混合燃焼気体を受けて燃焼させるように構成され、断熱材料層の裏面(予混合エリア2115と接触する面)の温度がガスの発火点よりも低くあるべきである。本実施例において、多孔質媒体材料層214は断熱材料層の中心領域に配置され、多孔質媒体材料層214は放熱口2113に臨み且つ煙気及び熱量を出力するように構成される燃焼面を有し、燃焼面と放熱口2113との間は一定の距離離れている。チャンバ内の放熱口2113に近い位置(燃焼エリア219)には、断熱材料を支持するように構成される断熱材料支持層2153が設けられており、断熱材料支持層2153は多孔質媒体材料層214に対応する放熱通路を有し、放熱通路は放熱口2113に連通する。
【0124】
多孔質媒体材料層214の材質は炭化ケイ素SiCを含むが、これに限られず、SiCの放射率が0.9程度であり、一般的な金属合金発熱材料の放射率よりも遥かに高く、放射加熱効果がより良く、勿論、他の耐火材質であってもよく、ここでは限定せず、構造は発泡構造、ハニカム構造、アレイ構造などを含むが、これらに限られない。
【0125】
多孔質媒体材料層214のポロシティは50%~90%であり、これを踏まえて、多孔質媒体材料層214の厚さは15mm~30mmに制御される。
【0126】
上記断熱材料層、多孔質媒体材料層214の鍵となるデータに対する制御により、燃焼器の調節比が非常に小さいものから1~5:1の高い範囲に到達することを実現する。
【0127】
前述の内容によると、高い炉温状態において炉室の背景放射はかなり強く、つまり炉室の燃焼器に対する放射電力も相当なものであることを意味する。この部分の放射電力を燃焼器に反映すると、燃焼器の炉室に面した一面は、高い温度及び熱量の入力を受けている。燃焼器のハウジングには耐熱鋼の骨格が採用されていることが多く、鋼鉄の良好な導熱性により、熱量が急速に全体の燃焼器の金属骨格へ伝わることが決められている。耐熱合金材料で作られた燃焼器の金属骨格であっても、高温状態において金属に「クリープ」現象が発生し、このような変形は不可逆である。また、高温の環境も逆火防止エリア218の断熱効果を弱め、ひいては逆火防止効果を弱める。そのため、ハウジング(金属骨格)及び逆火防止エリア218の全体の温度は被制御レベルに落ち着くべきである。
【0128】
ハウジングの全体の温度を制御するために、赤外燃焼器210のハウジングの外周に冷却媒体を収容する冷却介在層212が設けられており、冷却介在層212は少なくとも、予混合エリア2115の一部の領域と、逆火防止エリア218の一部の領域と、燃焼エリア219の一部の領域と、に包まれる。一実施形態として、内筒体2114の外周には外筒体2121が嵌設され、内筒体2114と外筒体2121との間に冷却介在層212が形成される。本実施例において、内筒体2114及び外筒体2121は、それぞれ円筒型であり、外筒体2121で、内筒体2114の予混合エリア2115の大部の領域、逆火防止エリア218の全体の領域及び燃焼エリア219の大部の領域を包み、内筒体2114の頂端及び底端に位置する領域のみを包まず、外筒体2121の両端はそれぞれ封止板を介して内筒体2114と一緒に溶接される。
【0129】
燃焼器の作動過程に応じて、燃焼器に入る前に得られた混合された空気及びガス、あるいは予混合エリア2115内で混合された空気及びガスは、予混合エリア2115で一時滞在した後、断熱材料層の気体通路を介して多孔質媒体材料層214に入って燃焼する。予混合エリア2115は可燃気体の容器として、予混合エリア2115の任意の1つのポイントの温度が高すぎてはいけないことを保証する必要があり、そうしなければ、予混合エリア2115内で燃焼現象、即ち逆火が発生する。
【0130】
予混合エリア2115を適時に降温させるために、冷却介在層212には、冷却媒体の冷却入口2122及び冷却出口2123が設けられており、冷却入口2122及び冷却出口2123は吸気口2112に近接する。
【0131】
本願は異なる炉温のニーズに対して、異なる冷却媒体を選択使用する。一実施形態としては、炉温は700℃以下であることを求めており、冷却媒体として気体を採用する。
図15を参照し、赤外燃焼器210は、吸気口2112に連通する助燃空気管路2161をさらに備え、助燃空気管路2161は助燃ファン2162を介して空燃混合器2165に接続され、助燃空気管路2161の中の空気を空燃混合器2165に注入するように構成され、ガスも空燃混合器2165に注入されて混合され、得られた予混合気が吸気口2112を介して燃焼器のチャンバ内に入り、助燃空気管路2161と冷却入口2122とは、第1分岐路2163を介して連通し、助燃空気管路2161と冷却出口2123とは、第2分岐路2164を介して連通し、第1分岐路2163及び第2分岐路2164と助燃空気管路2161との接続点は、助燃ファン2162と空燃混合器2165との間に位置し、且つ第2分岐路2164と助燃空気管路2161との接続点は、第1分岐路2163と助燃空気管路2161との接続点より空燃混合器2165及び吸気口2112に近い。低温の助燃空気は第1分岐路2163を通過して冷却入口2122に入り、冷却介在層212で内筒体2114と熱交換し、昇温した助燃空気は冷却出口2123を通過して第2分岐路2164に排出され、第2分岐路2164と助燃空気管路2161との接続点のほうが空燃混合器2165に近いため、昇温後の助燃空気は空燃混合器2165に入り、空燃混合過程においてガスへの予熱を実現できる。
【0132】
一実施形態として、炉温が700℃~1150℃であることを求めている場合、炉温が1000℃よりも大きい高温範疇にあれば、液冷の技術手段を採用すべきであり、冷却媒体は水又は油を選択でき、燃焼器のハウジングの全体の温度に対する安定化制御を実現する。
図16を参照し、空燃混合器2165などの構造により、予混合気の形成及び燃焼器への注入の機能を保持し、赤外燃焼器210は、冷却水タンク2171と熱水タンク2712と、をさらに備え、冷却水タンク2171は冷却入口2122に連通し、熱水タンク2712は冷却出口2123に連通する。
【0133】
燃焼器の作動過程において、材質の導熱性の違いにより、断熱材料板213の熱量は内筒体2114に伝導され、冷却介在層212の中の冷却媒体により内筒体2114を降温させることで、燃焼器のハウジングが高温で変形することを回避することができる。同時に、高い調節比を実現する難点は、混合燃焼気体が低い流速である時に逆火を防止し、混合燃焼気体の流速を常に火炎の伝播速度よりも高くすることであり、断熱材料板213と多孔質媒体材料層214との接触面は低温状態に維持され、温度がガスの発火点よりも低く、混合燃焼気体の流量を小さくすることにより燃焼器の電力を減少させる場合、低温が火炎の伝播速度を下げることができ、混合燃焼気体の流量が小さくても、逆火防止の効果を維持し、燃焼器の調節比を高める目的を達成することができる。
【0134】
予混合エリア2115の温度のリアルタイムな監視を保証するために、予混合エリア2115に挿設された熱電対2151をさらに備え、熱電対2151の検出端は予混合エリア2115の内壁に近い。
【0135】
ハウジング全体に対して断熱及び保温を行うため、冷却介在層212の外周に保温材料層2152が設けられている。
【0136】
ハウジング部分を支持するために、赤外燃焼器210は、ハウジング及び冷却介在層212を支持するように構成される底部断熱面板2154をさらに備え、底部断熱面板2154は放熱口2113に対応する放熱孔を有し、熱量の放出に影響を与えない。
【0137】
燃焼器の断熱材料支持層2153の下方には一般的に、支持するための金属材質の底部面板2156がさらに設けられており、該底部面板2156が炉内の高温に臨み、熱を受けて膨張して高温クリープ効果が生じるため、底部面板2156に反り現象が発生する。このような変形が一旦、過度になると、断熱材料支持層2153が変形による力によって破壊され、ひいては断熱材料支持層2153に載せられた多孔質媒体材料層214が安定しなくなる。そのため、本実施例において補強リブ2157を新たに追加し、燃焼器の底部面板2156に対して溶接補強を行う。補強リブ2157は一部が内筒体2114に溶接されて固定され、もう一部が底部面板2156に溶接されて固定される。
【0138】
本実施例において、断熱材料層と多孔質媒体材料層214とは一緒に密着している。予混合エリア2115内には吸気方向に沿って配置された押え機構2155が設けられており、押え機構2155は、第1端がハウジングに接続され、第2端が、断熱材料層と多孔質媒体材料層214とが常に密着するように断熱材料層に当接して圧力を加える。押え機構2155の数は3つであり、3つの押え機構2155がハウジングの軸線を囲んで設けられ且つ等間隔に分布する。一実施例において、押え機構2155の数は4つであり、且つハウジングの4つの隅に設けられる。押え機構2155により断熱材料層と多孔質媒体材料層214とを常に密着状態に保ち、燃焼器が作動過程において熱を受けて膨張することにより断熱材料層と多孔質媒体材料層214との間に隙間が生じることを回避し、隙間による熱量の急激な拡散、燃焼効果の不良という問題を回避する。
【0139】
赤外燃焼器210の作動過程は以下の通りである。
【0140】
助燃空気とガスとの予混合気体は吸気口2112からチャンバ内に入り、予混合エリア2115に一時滞在し、予混合気体は予混合エリア2115でさらに乱流の形式で混合を完成させる一方で、四周の壁面をある程度冷却する。
【0141】
予混合気体は、断熱材料層の中の気体通路に沿って多孔質媒体材料層214の中に入り、多孔質媒体材料層214の中で燃焼を完成させる。最初にガスの着火が行われたため、絶え間ない予混合気の進入に伴い、多孔質媒体材料層214の内部の燃焼過程が続き、正常な作動状態における多孔質媒体材料は赤外状態を呈している。
【0142】
冷却媒体は、冷却入口2122から内筒体2114に入って、冷却介在層212内で内筒体2114回りに一周運動した後、冷却出口2123から排出され、ハウジング全体に対する温度制御を実現する。熱電対2151は、予混合エリア2115の温度をリアルタイムで監視することで、冷却媒体の冷却効果を評価する。
【0143】
本明細書の説明において、参照用語「いくつかの実施例」、「その他の実施例」などの説明は、該実施例又は例と結び付けて説明した具体的な特徴、構造、材料、又は特徴が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の模式的な表現は必ずしも同じ実施例又は例を指すものではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特徴は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切な方法で結び付けることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
本願のいくつかの実施形態において、ガラス20の進行方向に沿って、予熱段炉体100は複数段に分けられ、各段にそれぞれ吸煙口130及び煙気噴射継手140が設けられており、吸煙口130は加熱段の煙気を吸い取るように構成される。吸煙口130を介して加熱段炉体200からの煙気を吸い取り、吸い取った煙気を煙気噴射継手140を介して予熱段炉体100に送り込む。
【国際調査報告】