(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-05-30
(54)【発明の名称】留置中にPIVから血液培養サンプルを採取するための直列分流容積を備えた採血装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/155 20060101AFI20250523BHJP
【FI】
A61B5/155
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024568805
(86)(22)【出願日】2023-05-17
(85)【翻訳文提出日】2025-01-20
(86)【国際出願番号】 US2023022522
(87)【国際公開番号】W WO2023225076
(87)【国際公開日】2023-11-23
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038TA10
4C038UB10
(57)【要約】
採血システムは、アクチュエータを有する採血装置と、アクチュエータに操作可能に連結された採血チューブと、を備え、アクチュエータは、採血装置が血管アクセス装置に連結されたときに、血管アクセス装置のカテーテルを通して、採血チューブを選択的に前進させるように構成される。システムは、また、採血装置から延在する延長チューブと、採血チューブと流体連通する近位延長チューブと、延長チューブの近位端に配置された近位コネクタと、を含む。さらに、システムは、採血装置と近位コネクタとの間に延長チューブと直列に配置された初期血液容積分流装置を含み、初期血液容積分流装置は、採血装置によって、延長チューブを通して採取された初期血液容積を受容し、保持するように構成された分流隔離チャンバーを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
採血システムであって、
遠位端部および近位端部を有する採血装置であって、前記採血装置は、アクチュエータおよび前記アクチュエータに作動可能に連結された採血チューブを備え、前記アクチュエータは、前記採血装置が血管アクセス装置に連結されたときに、前記血管アクセス装置のカテーテルを通して、前記採血チューブを選択的に前進させるように構成されている、採血装置と、
前記採血装置の前記近位端部から延在する延長チューブであって、前記近位延長チューブは、前記採血装置の前記採血チューブと流体連通している、延長チューブと、
前記延長チューブの近位端に配置された近位コネクタと、
前記採血装置と前記近位コネクタの間に前記延長チューブと直列に配置される初期血液容積分流装置であって、前記初期血液容積分流装置は、前記採血装置によって前記延長チューブを通して採取された初期血液容積を受容し、保持するように構成された分流隔離チャンバーを備える、初期血液容積分流装置と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記初期血液容積分流装置は、分流隔離チャンバーと流体連通する通気部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記通気部は、前記採血装置が前記血管アクセス装置に結合され、最初の容積の血液を前記分流隔離チャンバー内に採取するために、前記採血装置の前記採血チューブが患者の血管内に前進させられるときに、空気を排出するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記通気部は、前記採血装置が前記血管アクセス装置に結合され、前記採血装置の前記採血チューブが患者の血管内に前進させられるときに、自動的に空気を排出するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記通気部は、前記採血装置が前記血管アクセス装置に結合され、前記採血装置の前記採血チューブが患者の血管内に前進させられるときに、手動で通気される、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記通気部は、膜、紙、多孔質材料、フィルム、または、湿ったときに、空気は通過できるが流体は通過できない機械的特徴のうちの少なくとも1つから形成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記初期血液容積分流装置は、フラッシュバック可視化部および血液サンプル流体経路アームをさらに備え、前記フラッシュバック可視化部および血液サンプル流体経路アームは、前記延長チューブおよび前記近位コネクタと流体連通している、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記初期血液容積分流装置は、遠位流体経路分流アダプタおよび近位通気カラーアダプタをさらに備え、前記分流隔離チャンバーは、前記遠位流体経路分流アダプタと前記近位通気カラーアダプタとの間に延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記近位通気カラーアダプタは、通気部を含み、前記分流隔離チャンバーの近位端は、前記通気部で終端する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記初期血液容積分流装置は、前記遠位流体経路分流アダプタと前記近位通気カラーアダプタとの間に延在し、前記分流隔離チャンバーと平行に配置された主流路チューブをさらに備え、前記主流路チューブは、前記延長チューブおよび前記近位コネクタと流体連通している、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記初期血液容積分流装置は、前記分流隔離チャンバーからの血液の流れを選択的に閉塞するために、前記分流隔離チャンバーの遠位部に配置された流体閉塞装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記近位コネクタは、ルアーロックアクセス装置に取り外し可能に接続されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記近位コネクタは、ルアーロックアクセス装置と一体化されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記採血装置は、イントロデューサ本体をさらに備え、前記アクチュエータは、前記採血装置の前記遠位端部から前記採血チューブを前進させたり、後退させたりするために、前記イントロデューサ本体に沿って、直線的に移動するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記分流隔離チャンバーは、少なくとも0.15mLの内部容積を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
血液サンプル収集システムを使用する方法であって、
前記血液サンプル収集システムを提供する工程であって、前記システムは、
遠位端部および近位端部を有する採血装置であって、前記採血装置は、アクチュエータおよび前記アクチュエータに操作可能に連結された採血チューブを備え、前記アクチュエータは、前記採血チューブを選択的に前進させるように構成されている、採血装置と、
前記採血装置の前記近位端部から延在する延長チューブであって、前記近位延長チューブは、前記採血装置の前記採血チューブと流体連通している、延長チューブと、
前記延長チューブの近位端に配置された採血インターフェースと、
前記採血装置と前記採血インターフェースの間に前記延長チューブと直列に配置される初期血液容積分流装置であって、前記初期血液容積分流装置は、前記採血装置によって、前記延長チューブを通して採取された初期血液容積を受容および保持するように構成された分流隔離チャンバーを備える、初期血液容積分流装置と、
を備える、前記血液サンプル収集システムを提供する工程と、
留置カテーテルを有する血管アクセス装置に前記採血装置を連結する工程と、
前記採血装置の前記採血チューブを、血管アクセス装置を通して、前記留置カテーテルの遠位端を超えて、前進させる工程と、
前記採血チューブと前記延長チューブを通して、前記初期血液容積分流装置の前記分流隔離チャンバーに前記初期血液容積を採取する工程と、
を含む、方法。
【請求項17】
前記初期血液容積を吸引する前に、前記分流隔離チャンバーを通気する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記初期血液容積が前記分流隔離チャンバー内に収集された後、前記分流隔離チャンバーの遠位部分をクランプする工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記初期血液容積が前記分流隔離チャンバー内に収集された後、第1の採血容器を前記採血インターフェースに連結する工程と、
前記第1の採血容器内で第1の血液サンプルを収集する工程と、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の採血容器を前記採血インターフェースから取り外し、第2の採血容器を前記採血インターフェースに連結する工程と、
前記第2の採血容器内で第2の血液サンプルを採取する工程と、
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、末梢静脈カテーテル(PIVC)などの血管アクセス装置から血液培養検査用の血液サンプルを採取するためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本明細書に記載のシステムは、直列通気式血液分流チャンバーを備えた採血装置を含む。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2022年5月19日に出願された「留置中にPIVから血液培養サンプルを収集するための直列分流容積を備えた採血装置」と題された米国仮出願第63/343、752号に対する優先権を主張し、その全開示は、本明細書に、全体として、参照によって組み込まれる。
【0003】
末梢静脈カテーテル(PIVC)、中心静脈カテーテル(CVC)、または末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC)などの留置血管アクセス装置から血液検体を採取するときに、これらの装置の血管アクセスパスのデッドスペース内の液体による汚染を避けるために、最初の1~10mlの血液が無駄になる(つまり、廃棄される)ことがよくある。この余分なステップは、血液検体の汚染を減らす一方で、忘れられたり、または不適切に実行されたりする可能性があり、その結果、血液検体が損なわれ得る。
【0004】
血液培養は、患者の血液サンプル中の細菌や真菌の存在を検出し、存在する細菌や真菌の種類を特定し、患者の治療を指示するためのツールとして、しばしば使用される。しかし、血液サンプルの偶発的な汚染は、よくある問題であり、偽陽性を引き起こし、多くの場合、患者に、広域スペクトル抗生物質などの不要な治療が処方されることになる。この問題に対処するために、一部の医療従事者は、採血手順の前に、患者の皮膚を洗浄する。これにより、偽陽性率は、低下するが、毛包などに生息する細菌および/または真菌のために、偽陽性率は、依然として、かなり高くなる(例:3~5%)。そのため、一部のシステムでは、また、最初に採取した血液の少量を分流させ、最初の(汚染されている可能性のある)容積を廃棄する。ただし、これらのシステムは、コスト及び時間が掛かり、最初の配置直後に、静脈カテーテルと一緒にしか使用し得ない。さらに、これらのシステムは、サンプルを採取するために、しばしば患者の皮膚を穿刺する必要があり、患者にとっては、不快なものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、Velano Vascular,Inc.のPIVO(商標)などの無針採血システムは、患者の血管内に留置された静脈カテーテルと併用して、血管アクセス装置から直接1つ以上の血液サンプルを採取し、追加の(そして、不快な)静脈穿刺の必要性を回避することを目的としている。しかし、静脈カテーテルを患者の血管に挿入すると、挿入プロセス中に患者の皮膚および真皮層と接触して、細菌および/または真菌が持ち込まれ得る。したがって、無針採血システムに採取された最初の血液容積には、カテーテル挿入のみが原因で存在する細菌および/または真菌が含まれ得、血液培養検査において、偽陽性となるリスクが高まる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、遠位端部および近位端部を有する採血装置を含む採血システムが開示され、採血装置は、アクチュエータおよびアクチュエータに作動的に連結された採血チューブを含み、アクチュエータは、採血装置が血管アクセス装置に連結されたときに、血管アクセス装置のカテーテルを通して、採血チューブを選択的に前進させるように構成される。採血システムは、また、採血装置の近位端部から延在する延長チューブを含み、近位延長チューブは、採血装置の採血チューブと流体連通しており、近位コネクタは、延長チューブの近位端に配置される。採血システムは、さらに、採血装置と近位コネクタとの間に延長チューブと直列に配置される初期血液容積分流装置を含み、初期血液容積分流装置は、採血装置によって、延長チューブを通して採血された初期血液容積を受容して、保持するように構成された分流隔離チャンバーを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、初期血液容積分流装置は、分流隔離チャンバーと流体連通する通気部をさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、採血装置が血管アクセス装置に結合され、初期血液容積を分流隔離チャンバー内に採取するために、採血装置の採血チューブが患者の血管内に進められるときに、通気部は、空気を排出するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、通気部は、採血装置が血管アクセス装置に結合され、採血装置の採血チューブが患者の血管内に前進させられたときに、自動的に空気を排出するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、採血装置が血管アクセス装置に結合され、採血装置の採血チューブが患者の血管内に前進させられるときに、通気部が手動で通気される。
【0011】
いくつかの実施形態では、通気部は、膜、紙、多孔質材料、フィルム、または、湿ったときに、空気は通過できるが、流体は通過できない機械的特徴のうちの少なくとも1つで形成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、初期血液容積分流装置は、フラッシュバック可視化部および血液サンプル流体経路アームをさらに備え、フラッシュバック可視化部および血液サンプル流体経路アームは、延長チューブおよび近位コネクタと流体連通している。
【0013】
いくつかの実施形態では、初期血液容積分流装置は、遠位流体経路分流アダプタおよび近位通気カラーアダプタをさらに含み、分流隔離チャンバーは、遠位流体経路分流アダプタと近位通気カラーアダプタとの間に延在する。
【0014】
くつかの実施形態では、近位通気カラーアダプタは、通気部を含み、分流隔離チャンバーの近位端は、通気部で終わる。
【0015】
いくつかの実施形態では、初期血液容積分流装置は、遠位流体経路分流アダプタと近位通気カラーアダプタとの間に延在し、分流隔離チャンバーと平行に配置された主流路チューブをさらに含み、主流路チューブは、延長チューブおよび近位コネクタと流体連通している。
【0016】
いくつかの実施形態では、初期血液容積分流装置は、分流隔離チャンバーからの血液の流れを選択的に閉塞するために、分流隔離チャンバーの遠位部分に配置された流体閉塞装置をさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、近位コネクタは、ルアーロックアクセス装置に取り外し可能に結合されるように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、近位コネクタは、ルアーロックアクセス装置と一体化されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、採血装置は、さらに、イントロデューサ本体を含み、アクチュエータは、イントロデューサ本体に沿って、直線的に移動して、採血装置の遠位端部から採血チューブを前進させ、および後退させするように、構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、分流隔離チャンバーは、少なくとも0.15mLの内部容積を有する。
【0021】
本開示の別の態様によれば、血液サンプル収集システムを使用する方法が開示される。この方法は、血液サンプル収集システムを提供する工程を含み、このシステムは、遠位端部および近位端部を有する採血装置を含み、採血装置は、アクチュエータおよびアクチュエータに作動可能に結合された採血チューブを含み、アクチュエータは、採血チューブを選択的に前進させるように構成され、採血装置の近位端部から延在する延長チューブを有し、近位延長チューブは、採血装置の採血チューブと流体連通しており、採血インターフェースは、延長チューブの近位端に配置され、初期血液容積分流装置は、採血装置と採血インターフェースとの間で延長チューブと直列に配置され、初期血液容積分流装置は、採血装置によって、延長チューブを通して採取された初期血液容積を受容し、保持するように構成された分流隔離チャンバーを含む。この方法は、また、採血装置を、留置カテーテルを有する血管アクセス装置に結合する工程と、採血装置の採血チューブを、血管アクセス装置を通して、留置カテーテルの遠位端を超えて前進させる工程と、採血チューブおよび延長チューブを通して、初期血液容積装置の分流隔離チャンバーの中に初期血液容積を採取する工程と、を含む。
【0022】
くつかの実施形態では、この方法は、分流隔離チャンバーの中に初期血液容積を採取する前に、分流隔離チャンバーを通気する工程を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、この方法は、初期血液容積が分流隔離チャンバー内に収集された後、分流隔離チャンバーの遠位部分をクランプする工程をさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、この方法は、初期血液容積が分流隔離チャンバー内に収集された後、第1の採血容器を採血インターフェースに結合する工程と、第1の採血容器内で第1の血液サンプルを収集する工程と、を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、この方法は、第1の採血容器を採血インターフェースから取り外し、第2の採血容器を採血インターフェースに連結する工程と、第2の採血容器内で第2の血液サンプルを採取する工程と、を含む。
【0026】
本発明のさらなる詳細および利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明を読むことによって、明らかになるであろう。図面では、全体を通じて、同様の部品には、同様の参照番号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一態様に係る直列通気式血液分流チャンバーを備えた採血システムの平面図である。
【
図2】本発明の一態様に係る血管アクセス装置およびルアーロックアクセス装置に結合された
図1の採血システムの斜視図である。
【
図3】本発明の一態様に係る血管アクセス装置、ルアーロックアクセス装置、および血液培養収集チューブに結合された
図1の採血システムの斜視図である。
【
図4】
図2の直列通気式血液分流チャンバーおよびルアーロックアクセス装置の平面図である。
【
図5】
図3の直列通気式血液分流チャンバー、ルアーロックアクセス装置、および血液培養収集チューブの平面図である。
【
図6】本発明の別の態様に係る直列通気式血液分流チャンバーを備えた採血システムの平面図である。
【0028】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために、考慮される記載された態様を実施し、使用できるように提供される。しかしながら、当業者にとって、様々な修正、同等物、変形、および代替が容易であることは明らかであろう。このような修正、変形、同等物、および代替物は、全て、本開示の精神および範囲内に含まれるものとする。
【0029】
以下の説明では、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「横」、「縦」、およびそれらの派生語は、図面に示されている本発明に関連するものとする。ただし、明示的に反対のことが規定されている場合を除き、本発明は、様々な代替バリエーションを想定し得ることは理解されたい。また、添付の図面に示され、以下の明細書に記載されている特定の装置は、本発明の単なる例示的な態様であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示されている態様に関連する特定の寸法およびその他の物理的特性は、限定的なものとしてみなされるべきではない。
【0030】
本開示では、部品または装置の遠位端は、部品または装置が使用位置にあるとき、すなわち、ユーザが採血装置を準備中または使用中に保持しているときに、ユーザの手から最も遠い端を意味し、近位端は、ユーザの手に最も近い端を意味する。同様に、本出願では、「遠位方向」および「遠位」という用語は、流体移送装置のアクセスコネクタ部分に向かう方向を意味し、「近位方向」および「近位」という用語は、コネクタの方向と反対の方向を意味する。
【0031】
本明細書では、図示も説明もされていないが、以下で説明する血液サンプル収集システムは、例えば、BD NEXIVA(商標)クローズドIVカテーテルシステム、BD CATHENA(商標)カテーテルシステム、BD VENFLON(商標)ProセーフリーシールドIVカテーテルシステム、BD NEOFLON(商標)IVカニューレシステム、BD INSYTE(商標)AUTOGUARD(商標)BCシールドIVカテーテルシステム、または他の適切な血管アクセス装置などの任意の適切な血管アクセス装置からの採血に使用し得ることを理解されたい。
【0032】
本開示の実施形態は、主に、PIVCで使用するための血液培養サンプル収集システムの文脈で説明される。しかしながら、本開示の実施形態は、他のカテーテル装置で使用する場合にも、同様に拡張される。
【0033】
図1を参照すると、本開示の一態様に係る採血システム10が示されている。採血システム10は、PIVCに結合するように構成され、血液サンプルを採取するために、PIVCを通って、カテーテルの先端を越えて、血管内に進められる柔軟なプローブ(図示せず)を含む「ラインドロー」採血装置12を含む。採血後、採血装置12は、PIVCから取り外され、廃棄されてもよい。このような採血装置の一例は、Velano Vascular,Inc.のPIVO(商標)として知られている。しかしながら、採血システム10は、このような装置に限定されず、留置カテーテルを介して、血液を採取することができる任意の「ラインドロー(line draw)」採血装置が利用され得ることが理解されるべきである。
【0034】
採血装置12は、イントロデューサ本体14と、アクチュエータ16と、を含む。アクチュエータ16は、イントロデューサ本体14の近位端部18と遠位端部20との間のトラックまたはその他の特徴に沿って、臨床医によって、直列に移動可能に構成されている。イントロデューサ本体14の遠位端部20付近に位置する遠位イントロデューサ部分24を通して、チューブを前進させたり、後退させたりするために、アクチュエータ16は、細長い可撓性のプローブまたはチューブ(図示せず)に操作可能に結合されている。すなわち、採血装置12が血管アクセス装置に結合されているときに、チューブが患者の血管系に入ることができるようにするために、アクチュエータ16を第1(遠位)の方向に変位させることにより、チューブが遠位イントロデューサ部分24を通って前進する。逆に、アクチュエータ16を第2の方向(近位方向)に移動することにより、チューブは、遠位イントロデューサ部分24を通って後退し、最終的に、チューブは、患者の血管から後退する。
【0035】
採血装置は、採血装置12を、例えば、血管アクセス装置に結合されたアダプタの無針アクセスコネクタに選択的に結合するように構成されたコネクタ部材22も含む。いくつかの実施形態では、コネクタ部材22は、ワニ口クリップ型コネクタとして構成され、反対側の遠位クリップ部分により、採血装置12を無針アクセスコネクタの表面に固定することができる。無針アクセスコネクタとの係合から遠位クリップ部分を解放するために、一対の近位クリップ部分は、臨床医が挟むか、または他の方法で操作されるように、サイズ設定および構成されている。
【0036】
図1を引き続き参照すると、近位延長チューブ26がイントロデューサ本体14の近位端部18から延在しており、近位延長チューブ26は、採血装置12の採血チューブ(図示せず)に流体結合されている。さらに、例えば、ルアーポートなどの近位コネクタ38が近位延長チューブ26の近位端に結合されており、近位コネクタ38は、例えば、ルアーロックアクセス装置または他の採血インターフェースに接続するように構成されている。
【0037】
近位延長チューブ26と直列に、採血装置12と近位コネクタ38との間に、採血システム10は、初期血液容積分流装置28を含む。以下でさらに詳しく説明するように、初期血液容積は、患者の皮膚および真皮層へのカテーテル挿入中に導入された細菌および/または真菌などによって、汚染され得るために、初期血液容積分流装置28は、採血装置12を介して、システムに採取された初期血液容積を分流して貯蔵するように構成されている。
【0038】
図1に示す実施形態では、初期血液容積分流装置28は、本体30と、通気孔付き分流隔離チャンバー32と、通気部34と、を含む。一実施形態では、通気部34は、採血装置12が血管アクセス装置に結合され、採血装置12の採血チューブが患者の血管内に前進させられるときに、自動的に空気を排出するように構成され、それによって、初期血液容積が近位延長チューブ26を通って通気孔付き分流隔離チャンバー32に流れることができる。あるいは、他の実施形態では、採血装置12が血管アクセス装置に結合されるときに、通気部34は、手動で通気されてもよい。
【0039】
通気孔付き分流隔離チャンバー32は、初期の血液容積を分流させて保持するのに十分な容積があれば、どのような形状または形態でもよい。実施形態によっては、通気孔付き分流隔離チャンバー32の内部容積は、少なくとも0.15mLである。この容積は、システムに引き込まれた汚染されている可能性のある初期の血液サンプルを捕捉するのに十分であると考えられる。実施形態によっては、通気孔付き分流隔離チャンバー32の内部容積は、0.15mL~2.0mLの間である。他の実施形態では、通気孔付き分流隔離チャンバー32の内部容積は、0.15mL~5.0mLの間である。ただし、通気孔付き分流隔離チャンバー32の内部容積は、これらの例に限定されないことを理解されたい。
【0040】
ここで、
図2および
図4を参照すると、血管アクセス装置に第1の構成で連結された採血システム10が示されている。具体的には、近位コネクタ38は、血液サンプルを採取するための任意の適切な採血容器および/またはシリンジを受容するように構成されるルアーロックアクセス装置40に連結されている。さらに、採血装置12は、例えば、ニードルフリー接続を介して、患者近傍アクセスポート42に連結されている。患者近傍アクセスポート42は、そこから遠位に延在するカテーテル46を有するカテーテルアダプタ44と流体連通している。上述のように、採血システム10は、例えば、BD NEXIVA(商標)クローズドIVカテーテルシステム、BD CATHENA(商標)カテーテルシステム、BD VENFLON(商標)ProセーフリーシールドIVカテーテルシステム、BD NEOFLON(商標)IVカニューレシステム、BD INSYTE(商標)AUTOGUARD(商標)BCシールドIVカテーテルシステム、または他の適切な血管アクセス装置などの任意の適切な血管アクセス装置とともに使用され得る。
【0041】
採血装置12が、最初に患者近傍アクセスポート42に結合されたときに、採血チューブ48は、カテーテル46の遠位端またはその先の前進位置になく、採血装置12には、血液は入らない。しかし、臨床医は、アクチュエータ16をイントロデューサ本体14に沿って、遠位方向に前進させることにより、採血装置12内に収容された採血チューブ48を、カテーテルアダプタ44およびカテーテル46の両方を通して、前進させ得る。完全に前進した位置では、採血チューブ48は、留置カテーテル46の遠位端またはその先まで延在し、患者の静脈内の高血流位置まで延在する。それにより、採血装置12を介して、静脈血を採取するための流体経路が提供される。
【0042】
採血チューブ48が、この前進位置にある状態で、初期血液容積分流装置28の通気部34は、自動または手動で通気される。この通気部34の通気と静脈圧により、
図2および
図4に示すように、初期血液容積が、チューブ48を通って近位延長チューブ26に流れ、初期血液容積分流装置28の通気孔付き分流隔離チャンバー32に流れ、通気部34で血流が止まる。通気孔付き分流隔離チャンバー32が、初期血液容積で満たされるときに、少量の血液が、初期血液容積分流装置28のフラッシュバック可視化部および血液サンプル流体経路アーム50に移動する。このようにして、システム10は、通気孔付き分流隔離チャンバー32内に隔離された初期血液容積でプライミングされ、システムは、血液サンプル流体経路およびルアーロックアクセス装置40を介して、サンプルを収集するための、例えば、血液培養真空チューブに接続するための状態になる。しかしながら、収集容器がまだルアーロックアクセス装置40に接続されていないため、血液の流れは、初期血液容積分流装置28のフラッシュバック可視化部および血液サンプル流体経路アーム50内で停止する。
【0043】
いくつかの実施形態では、血液が通気部34に接触するときに、空気の排出および初期血液容積分流装置28への血液の流入が停止する。通気部34は、例えば、膜、紙、多孔質、フィルム、または、空気は通過できるが、湿ったときに、流体は通過できない機械的特徴で形成されてもよい。通気部34が湿ったときに、空気が初期血液容積分流装置28に引き込まれるのが防止され、これにより、通気孔付き分流隔離チャンバー32内に保持された血液容積が延長チューブ26の血液サンプル流体経路部分36に入るのが防止され、したがって、汚染されている可能性のある初期血液容積が、ルアーロックアクセス装置に結合された採血容器に入ることが防止される。しかしながら、本開示の他の実施形態に従って、初期血液容積分流装置28内の初期血液サンプルを隔離する代替手段も可能である。例えば、いくつかの実施形態では、最初の血液サンプルは、機械的閉塞を介して(すなわち、通気孔付き分流隔離チャンバー32の遠位部にあるクランプを介して)、手動で隔離されてもよい。いくつかの実施形態では、一方向の通気/流体またはチェックバルブが通気孔付き分流隔離チャンバー32の入口に設けられ、それにより、最初の血液サンプルがそこに流入することを可能にするが、そこからの血液サンプルの流出を防止してもよい。
【0044】
次に、
図3および
図5を参照すると、第2の構成で血管アクセス装置に連結された採血システム10が示されている。
図3および
図5に示される第2の構成では、採血容器52がルアーロックアクセス装置40に流体連結されており、これにより、初期血液容積分流装置28のフラッシュバック可視化部および血液サンプル流体経路アーム50を介して、延長チューブ26を通して、患者の血管から血液サンプルが採取される。採血容器52は、例えば、BD BACTEC(商標)血液培養採取容器、真空チューブ、シリンジなど、任意の適切な容器であってもよい。上述のように、初期血液容積は、通気孔付き分流隔離チャンバー32内で隔離され、これにより、この潜在的に汚染された初期血液容積が、血液サンプル流体経路36を通過して、採血容器52に到達するのを防ぎ、血液培養検査の偽陽性の防止に役立つ。
【0045】
所望の血液サンプルが採血容器52に採取されたら、採血容器52をルアーロックアクセス装置40から取り外し、分析のために送り得る。追加の血液サンプルが必要な場合は、1つ以上の採血容器52が、所望のサンプルを採取するために、ルアーロックアクセス装置40に接続され得る。これらのサンプル採取のそれぞれにおいて、初期の(汚染されている可能性のある)血液容積は、初期血液容積分流装置28の通気孔付き分流隔離チャンバー32内に留まる。
【0046】
図1~
図5に関して、上述した採血システム10は、採血中の柔軟性をより高め、サンプル採取中に採血容器52を直立配置できるようにするために、ルアーロックアクセス装置40および延長チューブ26を備えて構成されている。いくつかの実施形態では、採血システム10は、一体型延長チューブを有するルアーロックアクセス装置40を含むことが可能である。他の実施形態では、ルアーロックアクセス装置40は、取り外し可能に取り付けられた延長チューブを有してもよい。いくつかの実施形態では、延長チューブ26の全部または一部の流体経路は、血液培養サンプル採取中および/または血液培養サンプル採取後の後続の真空チューブまたはシリンジベースの血液サンプル採取中の溶血を減らすように最適化されてもよい。
【0047】
次に、
図6を参照すると、本開示の別の態様による採血システム70が示されている。
図1~5に関して上記で説明した採血システム10と同様に、採血システム70は、PIVC(図示せず)に結合するように構成され、血液サンプルを採取するために、PIVCを通ってカテーテルの先端を越えて血管内に進められる可撓性のプローブまたはチューブ84を含む、「ラインドロー」採血装置72を含む。このような採血装置の一例は、Velano Vascular,Inc.のPIVO(商標)として知られている。しかしながら、採血システム70は、このような装置に限定されず、留置カテーテルを介して血液を採取できる任意の「ラインドロー」採血装置が利用され得ることが理解されるべきである。
【0048】
採血装置72は、イントロデューサ本体74と、アクチュエータ78と、を含む。アクチュエータ78は、イントロデューサ本体74の近位端部76と遠位端部80との間のトラックまたはイントロデューサ本体74の他の特徴に沿って、臨床医によって、直線的に移動可能であるように構成される。
図6に示すように、アクチュエータ78が遠位端部80に向かって移動されるときに、イントロデューサ本体74の遠位端部80付近に位置する遠位イントロデューサ部分を通して、チューブ84を前進させたり、後退させたりするために、アクチュエータ78は、採血チューブ84に操作可能に連結されている。逆に、アクチュエータ78を近位方向に変位させると、チューブ84は、遠位イントロデューサ部分を通して後退し、最終的に、チューブ84は、患者の血管から後退する。採血装置は、採血装置72を、例えば、血管アクセス装置に連結されたアダプタの無針アクセスコネクタに選択的に連結するように構成されたコネクタ部材82も含む。いくつかの実施形態では、コネクタ部材84は、ワニ口クリップ型コネクタとして構成されているが、これに限定されず、任意の適切なコネクタであってもよい。
【0049】
図6を引き続き参照すると、近位延長チューブ86がイントロデューサ本体74の近位端部76から延在しており、近位延長チューブ86は、採血装置72の採血チューブ84に流体結合されている。さらに、ルアーロックアクセス装置102は、近位延長チューブ86の近位端に、取り外し可能または取り外し不可能に結合されている。しかしながら、他の採血インターフェースが使用されてもよいこと、および採血システム70がルアーロックアクセス装置のみの使用に限定されないことは理解されるはずである。
【0050】
近位延長チューブ86と直列に、採血装置72とルアーロックアクセス装置102との間に、採血システム70は、初期血液容積分流装置88を含む。初期血液容積が患者の皮膚および真皮層へのカテーテル挿入中に導入された細菌および/または真菌などによって、汚染され得るため、初期血液容積分流装置88は、採血装置72を介して、システムに採取された初期血液容積を分流して貯蔵するように構成されている。
【0051】
図6に示す実施形態では、初期血液容積分流装置88は、遠位流体経路分流アダプタ90および近位通気カラーアダプタ91を含む。遠位流体経路分流アダプタ90と近位通気カラーアダプタ91との間には、通気孔付き分流隔離チャンバー94が設けられ、通気孔付き分流隔離チャンバー94は、近位通気カラーアダプタ91内の通気部96で終端する。通気孔付き分流隔離チャンバー94と平行して、主流路チューブ92が遠位流体経路分流アダプタ90と近位通気カラーアダプタ91との間を通過し、主流路チューブ92は、近位延長チューブ86およびルアーロックアクセス装置102と流体連通している。
【0052】
一実施形態では、通気部96は、採血装置72が血管アクセス装置に連結され、採血装置72の採血チューブ84が患者の血管内に前進させられるときに、自動的に空気を排出するように構成され、これにより、初期血液容積が近位延長チューブ86を通って、通気孔付き分流隔離チャンバー94に流れる。あるいは、他の実施形態では、採血装置72が血管アクセス装置に連結されているときに、通気部96を手動で通気してもよい。
【0053】
通気孔付き分流隔離チャンバー94は、初期の血液容積を分流させて保持するのに十分な容積を備える任意の形状または形態を有し得る。いくつかの実施形態では、通気孔付き分流隔離チャンバー94は、剛性流体チャンバーである。他の実施形態では、通気孔付き分流隔離チャンバー94は、可撓性チャンバーである。いくつかの実施形態では、通気孔付き分流隔離チャンバー94の内容積は、少なくとも0.15mLである。この容積は、システムに引き込まれた汚染され得る初期の血液サンプルを捕捉するのに十分であると考えられる。いくつかの実施形態では、通気孔付き分流隔離チャンバー94の内容積は、0.15mL~2.0mLの間である。他の実施形態では、通気孔付き分流隔離チャンバー94の内容積は、0.15mL~5.0mLの間である。しかしながら、通気孔付き分流隔離チャンバー94の内容積は、これらの例に限定されないことを理解されたい。
【0054】
採血装置72の採血チューブ84が血管アクセス装置(図示せず)のカテーテルを通して前進するときに、初期血液容積分流装置94の通気部96が、自動または手動で通気される。この通気部96の通気により、
図6に示すように、初期血液容積95がチューブ84を通って近位延長チューブ86に流れ、初期血液容積分流装置88の通気孔付き分流隔離チャンバー94に流れ、通気部96で血液の流れが停止することができる。このようにして、システム70は、プライミングされ、初期血液容積95は、通気孔付き分流隔離チャンバー94内で隔離され、システムは、血液サンプル流体経路100およびルアーロックアクセス装置102を介して、サンプル収集用の血液培養真空チューブなどに接続するための状態になる。しかしながら、収集容器は、まだルアーロックアクセス装置102に接続されていないため、この初期構成では、血液の流れは、初期血液容積分流装置88で停止する。
【0055】
いくつかの実施形態では、血液が通気部96に接触するときに、空気の排出および初期血液容積分流装置88への血液の流入が停止する。通気部96は、例えば、膜、紙、多孔質、フィルム、または、空気は通過できるが、湿ったときに、流体は通過できない機械的特徴で形成されてもよい。通気部96が湿ったときに、空気が初期血液容積分流装置88に引き込まれるのが防止され、これにより、通気孔付き分流隔離チャンバー94内に保持された血液の容積が、主流路チューブ92および延長チューブ86の血液サンプル流体経路100に入るのが防止され、したがって、汚染されている可能性のある初期血液容積95が、ルアーロックアクセス装置102に結合された採血容器に入るのが防止される。しかし、本開示の他の実施形態に従って、初期血液容積分流装置88内の初期血液サンプルを隔離する代替手段も可能である。例えば、
図6に示すように、流体閉塞装置98を通気孔付き分流隔離チャンバー94の遠位部に設けて、機械的閉塞によって、初期血液容積95を手動で隔離し得る。他の実施形態では、一方向通気/流体またはチェックバルブを通気孔付き分流隔離チャンバー94の入口に設けて、初期血液サンプルが流入できるようにしながらも、そこから血液サンプルが流出しないようにし得る。
【0056】
図6には示されていないが、採血システム70の第2の構成では、例えば、BD BACTEC(商標)血液培養採取容器、真空チューブ、注射器などの採血容器が、ルアーロックアクセス装置102に流体的に結合され、それによって、延長チューブ86を介して、初期血液容積分流装置88の主流路チューブ92を介して、患者の血管から血液サンプルが採取される。上述のように、初期血液容積95は、通気孔付き分流隔離チャンバー94内に隔離されたままであり、それによって、潜在的に汚染された初期血液容積95が血液サンプル流体経路100を通過して、採血容器に到達するのを防ぎ、血液培養検査の偽陽性の防止に役立つ。
【0057】
図1~6に関して、上記で説明した採血システム10、70を使用すると、従来の血液培養サンプル採取方法に比べて、多くの利点が得られる。第1に、既存の血管アクセス装置を使用して、血液培養サンプルを採取するため、患者が針を刺す回数が減り、患者の快適性と経験が向上し得る。さらに、例えば、Velano Vascular, Inc.のPIVO(商標)などの採血装置を使用すると、採血チューブをカテーテルの遠位端を超えて延長できるため、留置カテーテルのカテーテル流体経路に存在する可能性のある微生物による偽陽性のリスクが軽減される。
【0058】
さらに、採血システムには、患者の皮膚、毛包、および真皮層に存在する細菌および/または真菌によって汚染されている可能性がある初期血流の自動的および受動的な分流および捕捉が組み込まれている。この初期血流は、分流チャンバー内で受動的または手動で隔離することができる。したがって、採血システムでは、別個の血液廃棄サンプルを採取する必要がなくなり、それによって、採取ステップが削減され、ワークフローが改善されるとともに、採血システムとの接続数が減るため、採取中の汚染の機会も減少する。また、分流チャンバーを備えた既存の血液培養採取装置は、カテーテルの挿入直後にのみ使用できるが、上記の採血システムでは、分流チャンバーを備えた採血装置の使用をカテーテルの滞留時間中の任意の期間にまで延長し得る。
【0059】
採血システム10、70は、標準のルアーロックアクセス装置とも互換性があり、血液培養サンプルの採取後、すぐに真空チューブによる採血が可能となる。さらに、採血システム10、70には、最初の血液培養サンプルの採取後の後続の採血サンプルにおける血液サンプルの溶血を低減するための最適化された流体経路が設けられてもよい。
【0060】
留置カテーテルからの血液サンプル採取用に構成された採血システムのいくつかの実施形態が、前述の詳細な説明で説明されたが、当業者は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、これらの実施形態に修正および変更を加え得る。したがって、前述の説明は、限定的ではなく、例示的であることが意図されている。前述の発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の意味および同等性の範囲内にある発明に対する全ての変更は、その範囲内に包含される。
【国際調査報告】