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▶ グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニムの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-10-24
(54)【発明の名称】ワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/09 20060101AFI20251017BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20251017BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20251017BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20251017BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20251017BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20251017BHJP
   C07K 14/315 20060101ALI20251017BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20251017BHJP
【FI】
A61K39/09
A61K39/39
A61K47/64
A61P37/02
A61P37/04
A61P31/04
C07K14/315 ZNA
C12P21/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2025521961
(86)(22)【出願日】2023-10-17
(85)【翻訳文提出日】2025-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2023078896
(87)【国際公開番号】W WO2024083873
(87)【国際公開日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】2215414.0
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】305060279
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス モリエル,ダニロ
(72)【発明者】
【氏名】コッチャ,マルゲリータ
(72)【発明者】
【氏名】カッペレッティ,エミリア
(72)【発明者】
【氏名】コルッチ,アンナ マリア ロザリア
【テーマコード(参考)】
4B064
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064AG31
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE02
4B064CE06
4B064CE10
4B064CE12
4B064DA01
4C076AA12
4C076CC06
4C076CC32
4C076CC41
4C076DD23
4C076DD23D
4C076DD26
4C076DD26Z
4C076DD50
4C076DD50Z
4C076DD60
4C076DD60Z
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF11
4C085AA03
4C085AA38
4C085BA14
4C085EE01
4C085EE06
4C085FF01
4C085FF02
4C085FF12
4C085FF17
4C085GG06
4H045AA10
4H045AA30
4H045CA11
4H045DA86
4H045EA20
4H045EA31
4H045FA74
4H045GA10
4H045GA15
4H045GA21
4H045GA24
4H045GA25
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩、及び(a)TLR7アゴニスト、又は(b)ベンゾナフチリジン化合物を含む組成物に関する。本発明はさらに、少なくとも1種の抗原、アルミニウム塩、及び(a)TLR7アゴニスト、及び/又は(b)ベンゾナフチリジン化合物を含む免疫原性組成物の製造方法に関する。本発明はまた、該組成物を含むワクチン、並びに該組成物の使用方法及び用途に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩、及びTLR7アゴニストを含有する、免疫原性組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩、及びベンゾナフリチリジン(benzonapthyridine)化合物を含有する、免疫原性組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の抗原、アルミニウム塩、並びに(a)TLR7アゴニスト及び/若しくは(b)ベンゾナフリチリジン化合物を含有する免疫原性組成物の製造方法であって、以下:
(i)アルミニウム塩上に予め吸着させた少なくとも1種の抗原、並びにTLR7アゴニスト及び/若しくはベンゾナフチリジン化合物;
(ii)少なくとも1種の抗原、並びにアルミニウム塩上に予め吸着させたTLR7アゴニスト及び/若しくはベンゾナフチリジン化合物;又は
(iii)アルミニウム塩上に予め吸着させた少なくとも1種の抗原、並びにアルミニウム塩上に予め吸着させたTLR7アゴニスト及び/若しくはベンゾナフチリジン化合物
の混合物を調製することを含む、上記方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法から得られる、又は得ることができる、免疫原性組成物。
【請求項5】
アルミニウム塩がリン酸アルミニウム若しくは水酸化アルミニウムを含むか、又はそれからなる、請求項1~3のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項6】
アルミニウム塩が水酸化アルミニウムを含むか、又はそれからなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項7】
ベンゾナフリチリジン化合物及び/又はTLR7アゴニストがLHD153Rである、請求項1~6のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項8】
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原が、多糖-タンパク質コンジュゲートを含み、該多糖-タンパク質コンジュゲートの多糖がGACであり、該多糖-タンパク質コンジュゲートのタンパク質がCRM197である、請求項1~7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項9】
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原若しくは少なくとも1種の抗原がSpyCEPポリペプチドを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項10】
前記SpyCEPポリペプチドが、151位に対応する位置にアラニンを含み、及び/若しくは617位に対応する位置にアラニンを含む、請求項9に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項11】
前記SpyCEPポリペプチドが、配列番号1若しくは2に対して少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項9若しくは10に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項12】
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原若しくは少なくとも1種の抗原がSpyADポリペプチドを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項13】
前記SpyADポリペプチドが、配列番号3若しくは4に対して少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項14】
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原若しくは少なくとも1種の抗原がSLOポリペプチドを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項15】
前記SLOポリペプチドが、427位に対応する位置にロイシンを含み、及び/若しくは535位に対応する位置にフェニルアラニンを含む、請求項14に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項16】
前記SLOポリペプチドが、配列番号5若しくは6に対して少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項14若しくは15に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項17】
免疫原性組成物が、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較してより免疫原性が高い、請求項1~16のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項18】
免疫原性組成物が、マウスに投与した場合に、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較してより多数の抗体を生成させる、請求項1~17のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項19】
免疫原性組成物が、マウスに投与した場合に、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、以下の抗原:SpyCEP、SpyAD、SLO及びGAC、の全てに対してより多数の抗体を生成させる、請求項18に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項20】
免疫原性組成物が、マウスに投与した場合に、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、
(i)SpyCEP、及び/若しくは
(ii)SLO
に対するより多数の機能的抗体を生成させる、請求項1~19のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項21】
免疫原性組成物が、製薬上許容される賦形剤を更に含有する、請求項1~20のいずれか1項に記載の免疫原性組成物又は方法。
【請求項22】
請求項1、2、及び4~21のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含有するワクチン。
【請求項23】
A群連鎖球菌による感染を予防する方法における使用のための、請求項1、2、及び4~21のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、又は請求項22に記載のワクチン。
【請求項24】
A群連鎖球菌による感染に続く自己免疫疾患を予防する方法における使用のための、請求項1、2、及び4~21のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、又は請求項22に記載のワクチン。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗原、アルミニウム塩、及びTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含む組成物に関連する。本発明はまた、そのような組成物の製造方法、その組成物を含むワクチン、及びその組成物の使用方法又は使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
A群連鎖球菌(GAS)は、表在性感染症(咽頭炎、皮膚感染症)から重篤な侵襲性疾患(蜂窩織炎、産床敗血症、壊死性筋膜炎、連鎖球菌毒素ショック症候群)まで、多様な疾患を引き起こし、低中所得国家(LMIC)では高い頻度で急性リウマチ熱 (ARF)、リウマチ性心疾患 (RHD)、糸球体腎炎などの重篤な自己免疫性後遺症が発生する(Ralph et al. Curr. Top. Microbiol. Immunol. 2013; 368: 1-27)
【0003】
咽頭炎は、世界中の小児において最も頻繁に起きる症候性GAS感染症であり、年間6億例以上の症例があると推定され(Carapetis et al.; The Lancet 2005; 5: 685-94)、抗生物質使用の重要な原動力となっており(Dooling et al.; Jama Pediatr. 2014; 168: 1073-4)、究極的には、増大する公衆衛生上の危機である抗菌薬耐性の増加をもたらし得る(Jansen et al.; Nature Medicine 2018; 24: 10-19)。 咽頭炎は、GASの主な世界的負荷を代表する慢性炎症性心臓弁膜症であるRHDにつながり得る。2015年には、3300万人を超えるRHD症例、そして1000万年の障害調整生命年(DALY)の喪失と共にRHDによる死者数が31万9千人と推定された(Watkins et al.; N. Engl. J. Med. 2017; 377: 713-722)。ワクチン接種は、世界のGAS関連疾患負荷を長期的に軽減するための最も現実的な戦略である。しかし、この病原体に対する市販ワクチンはまだない(Vekemans et al.; Clin. Infect. Dis. 2019; 69: 877-883)。
【0004】
グループA炭水化物(GAC)は、側鎖にN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を交互に有するポリラムノース骨格を含む表面多糖類である。これは、GAS株全体に渡って高度に保存され発現しているため、魅力的なワクチン候補となる。実際、ワクチン方策開発の主要な障害の1つは、他の非糖鎖抗原に関連するGAS血清型の多様性に代表される(Walker et al.; Clin. Microbiol. Rev. 2014; 27: 264-301)
【0005】
ヒトの抗GAC血清は、いくつかのGAS株の貪食を首尾よく促進すること(Salvadori et al.; J. Infect. Dis. 1995; 171: 593-600)、破傷風トキソイド(TT)又はCRM197キャリアタンパク質とコンジュゲートしたGACで免疫化したマウスは、GASチャレンジから保護されたことが報告されている(Kabanova et al.; Vaccine 2010; 29: 104-114及びSabharwal et al.; J Infect. Dis. 2006; 193: 129-135)。さらに、高い抗GAC抗体価とメキシコの小児の咽頭におけるGASの存在との間に逆相関があることが証明された(Sabhawral et al.、上記参照)。
【0006】
保存タンパク質抗原もGASに対するワクチンの開発中である。特に、ストレプトリジンO(SLO)、SpyAD及びSpyCEPは、逆ワクチン学的手法により、有望なワクチン候補として同定された(Bensi et al.; Mol. Cell Proteomics 2012; 11, M111 015693)。SLOは、細菌が破壊され得るリソソームへの細菌の内在化を阻止することから、GASの重要な病原性因子であることが示されている(Cunningham; Clin. Microbiol. Rev. 2000; 13: 470-511)。さらに、SLOは好中球による貪食クリアランスに対するGASの抵抗性を促進し、GASが自然免疫による殺傷から逃れることを容易にしていて、不活性化SLOはマウスモデルにおいて、GASチャレンジに対して保護的であることが実証された(Vchiyama et al.; Front Immunol. 2015; 6: 581)。SpyADは、GASと宿主細胞との相互作用を媒介する表面露出型アドヘシンである。さらに、GAS株におけるSpyAD遺伝子の欠失は、ノックアウト変異体の適切な分裂能の低下をもたらすことから、細菌の細胞分裂において重要な役割を担っていることも示唆されている(Gallotta et al.; Infect. Immun. 2014; 82: 2890-2901)。最後に、SpyCEPはマルチドメインのプロテアーゼであり、インターロイキン(IL)-8や他のケモカインの切断を担う触媒ドメインを有する。IL-8の切断は免疫回避のメカニズムを示し、IL-8のC末端を介した内皮移動、そしてそれに続く好中球の動員を防ぐ(Edwards et al.;J. Infect. Dis. 2005; 192: 783-790及びJobichen et al.; J. Infect. Dis. 2005; 192: 783-790)。
【0007】
これら3つのタンパク質抗原は高度に保存され、臨床採取物に広く存在し、GACとともに事実上すべてのGAS臨床分離株をカバーし得る(Davies et al.;Nat. Genet. 2019; 51: 1035-1043)。したがって、組換えSLO、SpyAD、SpyCEPとGAC-CRM197コンジュゲートからなる多成分ワクチンの製剤化が提案されている(上記のVekemans et al. 参照)。
【0008】
組換えSLO、SpyAD、SpyCEP及びGAC-CRM197を含む多価ワクチンは、優れたワクチンになる可能性を有する。しかしながら、組換えSLO、SpyAD、SpyCEP及びGAC-CRM197抗原を含むワクチンに対して生じる免疫応答をさらに改善することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩(水酸化アルミニウムなど)、並びにTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物(LHD153Rなど)を含む組成物が、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を欠く対応する組成物よりも有意に免疫原性が高いだけでなく、マウスに投与した場合、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を欠く対応する組成物と比較して、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原に対して有意により多数の機能的抗体を生成させることを見出した。
【0010】
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、このような組成物が、
(i)アルミニウム塩上に予め吸着させた少なくとも1種の抗原と、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物;
(ii)少なくとも1種の抗原とアルミニウム塩上に予め吸着させたTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物;又は
(iii) アルミニウム塩上に予め吸収された少なくとも1種の抗原と、アルミニウム塩上に予め吸着させたTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物
の混合物を調製することを含む方法を用いて有利に調製され得ることを見出した。
【0011】
従って、本発明の第1の態様では、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩及びTLR7アゴニストを含む免疫原性組成物が提供される。
【0012】
本発明の第2の態様では、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩及びベンゾナフチリジン化合物を含む免疫原性組成物が提供される。
【0013】
本発明の第3の態様では、少なくとも1種の抗原、アルミニウム塩、及び(a)TLR7アゴニスト、及び/又は(b)ベンゾナフチリジン化合物を含有する免疫原性組成物の製造方法であって、以下
(i)アルミニウム塩上に予め吸着させた少なくとも1種の抗原と、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物;
(ii)少なくとも1種の抗原とアルミニウム塩上に予め吸着させたTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物;又は
(iii) アルミニウム塩上に予め吸着させた少なくとも1種の抗原と、アルミニウム塩上に予め吸着させたTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物
の混合物を調製することを含む方法を提供する。
【0014】
第4の態様において、本発明の方法から得られる、又は得ることが出来る免疫原性組成物が提供される。
【0015】
本発明の第5の態様において、本発明の免疫原性組成物を含むワクチンが提供される。
【0016】
本発明の第6の態様において、A群連鎖球菌による感染を予防、及び/又はA群連鎖球菌による感染に続く自己免疫疾患を予防する方法における使用のための、本発明の免疫原性組成物又はワクチンが提供される。
【0017】
本発明の第7の態様において、本発明の免疫原性組成物又はワクチンの有効量を投与することを含む、A群連鎖球菌による感染、及び/又はA群連鎖球菌による感染に続く自己免疫疾患を予防する方法が提供される。
【0018】
本発明の第8の態様において、A群連鎖球菌による感染及び/又はA群連鎖球菌による感染に続く自己免疫疾患の予防方法において使用するための医薬品の調製のための、本発明の免疫原性組成物又はワクチンの使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1-1】図1は、A群連鎖球菌抗原、水酸化アルミニウム及びLHD153Rを含むワクチン、又はA群連鎖球菌抗原及び水酸化アルミニウムを含みLHD153Rを含まないワクチンの接種後にマウスに見られたIgG応答に関するデータを示したグラフである。A群連鎖球菌抗原は3つの異なる用量(低、中、及び高用量)で投与された。低用量は78ngのSpyADポリペプチド、78ngのSLOポリペプチド、78ngのSpyCEPポリペプチド及び39ngのGAC-CRM197に相当する。中用量は、625ngのSpyADポリペプチド、625ngのSLOポリペプチド、625ngのSpyCEPポリペプチド及び313ngのGAC-CRM197に相当する。高用量は、5000ngのSpyADポリペプチド、5000ngのSLOポリペプチド、5000ngのSpyCEPポリペプチド、及び2500ngのGAC-CRM197に相当する。パネルAはワクチン接種後27日目のSpyCEPに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示し、パネルBはワクチン接種後42日目のSpyCEPに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示す。パネルCはワクチン接種後27日目のSpyADに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示し、パネルDは、ワクチン接種後42日目のSpyADに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示す。パネルEは、ワクチン接種後27日目のSLOに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示し、パネルFは、ワクチン接種後42日目のSLOに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示す。パネルGは、ワクチン接種後27日目のGACに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示し、パネルHは、ワクチン接種後42日目のGACに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示す。
図1-2】図1-1の続き。
図1-3】図1-2の続き。
図1-4】図1-3の続き。
図2図2は、A群連鎖球菌抗原、水酸化アルミニウム及びLHD153Rを含むワクチン、又はA群連鎖球菌抗原及び水酸化アルミニウムを含み、LHD153Rを含まないワクチンを接種した後にマウスに見られた機能的抗体量のデータを示したグラフである。A群連鎖球菌抗原は2つの異なる用量(中、及び高用量)で投与された。中用量は、625ngのSpyADポリペプチド、625ngのSLOポリペプチド、625ngのSpyCEPポリペプチド及び313ngのGAC-CRM197に相当する。高用量は、5000ngのSpyADポリペプチド、5000ngのSLOポリペプチド、5000ngのSpyCEPポリペプチド、及び2500ngのGAC-CRM197に相当する。パネルAは、IL-8切断アッセイを用いて決定された、SpyCEPに対して生成された機能的抗体の量を示す。パネルBは、溶血アッセイを用いて決定されたSLOに対して生成された機能的抗体の量を示す。
図3-1】図3は、A群連鎖球菌抗原、水酸化アルミニウム及びLHD153Rを含むワクチン、又はA群連鎖球菌抗原及び水酸化アルミニウムを含みLHD153Rを含まないワクチンを接種した後にマウスに見られたIgG2/IgG1及びIgG3/IgG1の比のデータを示したグラフである。使用したA群連鎖球菌抗原の用量は、5000ngのSpyADポリペプチド、5000ngのSLOポリペプチド、5000ngのSpyCEPポリペプチド、及び2500ngのGAC-CRM197であった。各パネルについて、左の列はA群連鎖球菌抗原と水酸化アルミニウムのみを含むワクチン、中央の列はA群連鎖球菌抗原、水酸化アルミニウム、LHD153Rを含むワクチン、右の列はA群連鎖球菌抗原を含み、アジュバントを含まないワクチンに対応する。パネルAは、GACに対して生成された抗体のIgG2/IgG1比を示す。パネルBは、SLOに対して生成された抗体のIgG2/IgG1比を示す。パネルCは、SpyADに対して生成された抗体のIgG2/IgG1比を示す。パネルDは、SpyCEPに対して生成された抗体のIgG2/IgG1比を示す。パネルEは、GACに対して生成された抗体のIgG3/IgG1比を示す。パネルFは、SLOに対して生成された抗体のIgG3/IgG1比を示す。パネルGは、SpyADに対して生成された抗体のIgG3/IgG1比を示す。パネルHは、SpyCEPに対して生成された抗体のIgG3/IgG1比を示す。
図3-2】図3-1の続き。
図3-3】図3-2の続き。
図3-4】図3-3の続き。
図4-1】図4は、A群連鎖球菌抗原、水酸化アルミニウム及びLHD153Rを含むワクチン、又はA群連鎖球菌抗原を含みアジュバントを含有しないワクチンの接種後のマウスに見られたIgG応答に関するデータを示すグラフである。A群連鎖球菌抗原は3つの異なる用量(低、中、及び高用量)で投与された。低用量は78ngのSpyADポリペプチド、78ngのSLOポリペプチド、78ngのSpyCEPポリペプチド及び39ngのGAC-CRM197に相当する。中用量は、625ngのSpyADポリペプチド、625ngのSLOポリペプチド、625ngのSpyCEPポリペプチド及び313ngのGAC-CRM197に相当する。高用量は、5000ngのSpyADポリペプチド、5000ngのSLOポリペプチド、5000ngのSpyCEPポリペプチド、及び2500ngのGAC-CRM197に相当する。パネルAはワクチン接種後27日目のSpyCEPに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示し、パネルBはワクチン接種後42日目のSpyCEPに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示す。パネルCは、ワクチン接種後27日目のSpyADに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示し、パネルDは、ワクチン接種後42日目のSpyADに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示す。パネルEは、ワクチン接種後27日目のSLOに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示し、パネルFは、ワクチン接種後42日目のSLOに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示す。パネルGは、ワクチン接種後27日目のGACに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示し、パネルHは、ワクチン接種後42日目のGACに対する抗体応答(RLU/mlで測定)を示す。
図4-2】図4-1の続き。
図4-3】図4-2の続き。
図4-4】図4-3の続き。
図5図5は、A群連鎖球菌抗原、水酸化アルミニウム、及びLHD153Rを含むワクチン、又はA群連鎖球菌抗原を含むがアジュバントは含有しないワクチンの接種後のマウスに見られた機能的抗体量のデータを示すグラフである。A群連鎖球菌抗原は2種類の用量(中用量と高用量)で投与した。中用量は、625ngのSpyADポリペプチド、625ngのSLOポリペプチド、625ngのSpyCEPポリペプチド及び313ngのGAC-CRM197に相当する。高用量は、5000ngのSpyADポリペプチド、5000ngのSLOポリペプチド、5000ngのSpyCEPポリペプチド、及び2500ngのGAC-CRM197に相当する。パネルAは、IL-8切断アッセイを用いて決定された、SpyCEPに対して生成された機能的抗体の量を示す。パネルBは、溶血アッセイを用いて決定された、SLOに対して生成された機能的抗体の量を示す。
図6-1】図6は配列表である。
図6-2】図6-1の続き。
図6-3】図6-2の続き。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一般的定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0021】
一般に、「含む」という用語は、含むがそれに限定されないことを意味することが意図される。例えば、「少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩及びTLR7アゴニストを含む免疫原性組成物」という表現は、組成物が少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩及びTLR7アゴニストを含むが、さらなる成分を含み得ることを意味すると解釈されるべきである。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、「含む」という語は、「からなる」という語句に置き換えられる。「からなる」という用語は、限定的であることを意図している。例えば、「少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩及びTLR7アゴニストからなる免疫原性組成物」という語句は、組成物が少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩及びTLR7アゴニストを含み、さらなる成分を含有しないことを意味すると理解されるべきである。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、「含む」という語は、「から本質的になる」という語句に置き換えられる。「から本質的になる」という用語は、特定のさらなる成分が存在し得ること、すなわち、内容物の本質的特性に重大な影響を及ぼさない成分が存在し得ることを意味する。例えば、「少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩及びTLR7アゴニストから本質的になる免疫原性組成物」という表現は、緩衝剤又は他の薬学的に許容される賦形剤のような成分を含み得る。
【0024】
数値について言及する場合、「約」又は「前後」という用語は、その値を指すが、妥当な科学的誤差の範囲内である。選択肢として、もし値がxの10%以内、5%以内、又は1%以内ならば、「約x」又は「x前後」である。
【0025】
単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び 「その(the)」は、内容が明確に指定しない限り、複数形の参照語を含む。
【0026】
特定の配列番号の特定された位置に「対応する」アミノ酸は、記載された特定の配列番号の特定の位置のアミノ酸であり得る。例えば「配列番号1の272位に対応する」アミノ酸は、配列番号1の272位のアミノ酸であり得る。あるいは、特定の配列番号の位置に「対応する」アミノ酸は、特定の配列番号の特定のアミノ酸に対応する代替アミノ酸配列からのアミノ酸であってもよい。例えば「配列番号1の272位に対応する」アミノ酸は、配列番号1の272位に対応する、代替アミノ酸配列からのアミノ酸であってもよい。代替アミノ酸配列中のどのアミノ酸が、特定の配列番号の特定の位置に「対応」するかを決定することは、当業者の能力の範囲内である。例えば、当業者は、本明細書中に記載されるNeedleman及びWunschのような適切なアライメントアルゴリズムを用いて、代替アミノ酸配列と特定の配列番号との配列アライメントを実行し、代替アミノ酸配列のどの領域が特定の配列番号中の特定の位置に整列するかを決定する必要があるに過ぎない。例えば、当業者は、代替アミノ酸配列と配列番号1とを整列させ、どのアミノ酸が整列し、したがって配列番号1の例えば272位に対応するかを決定することができる。
【0027】
本発明の目的のために、2つの配列(2つのポリヌクレオチド配列又は2つのポリペプチド配列など)の同一性パーセントを決定するために、配列は最適な比較目的のために整列される(例えば、第2の配列との最適なアライメントのために、第1の配列にギャップが導入され得る)。そして、各位置のヌクレオチド又はアミノ酸残基が比較される。第1の配列のある位置が、第2の配列の対応する位置において同一のヌクレオチド又はアミノ酸によって占められている場合、ヌクレオチド又はアミノ酸はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、配列が共有する同一位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一位置の数/参照配列中の位置の総数×100)。
【0028】
通常、配列比較は参照配列の全長にわたって行われる。例えば、使用者が所与の(「試験」)配列が配列番号1と95%同一であるかどうかを決定したい場合、配列番号1が参照配列となる。ある配列が配列番号1(参照配列の一例)と少なくとも95%同一であるかどうかを評価するために、当業者は配列番号1の全長にわたってアライメントを実施し、試験配列中の幾つの位置が配列番号1の位置と同一であるかを同定する。少なくとも95%の位置が同一であれば、試験配列は配列番号1と少なくとも95%同一である。試験配列が配列番号1より短い場合、ギャップ又は欠損位置は非同一位置とみなす。
【0029】
当業者は、2つの配列をアライメントするために利用可能な様々なコンピュータプログラムを心得ている。例えば、2つの配列間のアライメントは、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。一実施形態では、2つのアミノ酸配列又は核酸配列は、Blosum62マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれか、及び16、14、12、10、8、6、又は4のギャップ重み、及び1、2、3、4、5、又は6の長さ重みを用いて、Accelrys GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch(1970)アルゴリズムを使用して整列される。
【0030】
本明細書で引用されるすべての刊行物、特許及び特許出願は、前述又は後述にかかわらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
少なくとも1種の抗原
本発明は、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原を含む免疫原性組成物を提供する。同様に、本発明は、少なくとも1種の抗原を含む免疫原性組成物の製造方法を提供する。
【0032】
少なくとも1種の抗原は、アクチノマイセス属(例えば、A. israelii)、バチルス属(例えば、炭疽菌 又は セレウス菌)、バルトネラ属(例えば、B. henselae 又は B. quintana)、ボルデテラ属(例えば、百日咳菌)、ボレリア属(例えば、B. burgdorferi、B.Borrelia garinii、B. afzelii、B. recurrentis)、ブルセラ属(例えば、B. abortus、B. canis、B. melitensis、又は B. suis)、カンピロバクター属(例えば、C. jejuni)、クラミジア属(例えば、C. pneumoniae 又は C. trachomatis)、クラミドフィラ属(例えば、C. psittaci)、クロストリジウム属(例えば、ボツリヌス菌、C. difficile、ウェルシュ菌、破傷風菌)、コリネバクテリウム属(例えば、ジフテリア菌)、エンテロコッカス属(例えば、E. faecalis、又はE. faecium)、エスケリキア属(例えば、大腸菌)、フランシセラ属(例えば、野兎病菌)、ヘモフィルス属(例:インフルエンザ菌)、ヘリコバクター属(例:ピロリ菌)、クレブシエラ属(例えば、肺炎桿菌及びK. oxytoca)、レジオネラ属(例:L. pneumophila)、レプトスピラ属(例:L. interrogans、L. santarosai、L. weilii、 L. noguchii)、リステリア属(例えば、L. monocytogenes)、マイコバクテリウム属(例えば、らい菌、結核菌、又はM. ulcerans)、マイコプラズマ属(例えば、M. pneumoniae)、ナイセリア属(例えば、淋菌、又は髄膜炎菌)、シュードモナス(例えば、緑膿菌)、リケッチア属(例えば、R. rickettsii)、サルモネラ属(例えば、チフス菌、S. Enteritidis、パラチフス菌、S. Typhimurium、又はS. Choleraesuis)、赤痢菌属(例えば、S. boydii、S. flexneri、ソンネイ菌、又はS. dysenteriae)、ブドウ球菌属(例えば、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、又は腐生ブドウ球菌)、連鎖球菌(例えば、S. agalactiae、S. pneumoniae、又はS. pyogenes)、トレポネーマ属(例えば、梅毒トレポネーマ)、ウレアプラズマ(例えば、U. urealyticum)、ビブリオ菌(例えば、V. cholerae)、又はエルシニア菌(例えば、Y. pestis、Y. enterocolitica、又はY. pseudotuberculosis)からなる群から選択される細菌由来の抗原を含み得る。
【0033】
少なくとも1種の抗原は、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原を含んでいてもよい。本明細書において、「A群連鎖球菌」という用語は、「化膿連鎖球菌」をいい、これと同義であることを意図する。従って、「A群連鎖球菌」という用語のどの使用例も、「化膿連鎖球菌」という用語に置き換えることができる。化膿連鎖球菌は、連鎖球菌属の病原性グラム陽性細菌の一種である。細菌が化膿連鎖球菌であるか否かを判定する方法は、当業者に周知である。特に、すべての化膿連鎖球菌株はGACを発現し、当業者はGACを検出する方法を心得ている。
【0034】
化膿連鎖球菌由来の抗原としては、WO2005032582、WO2006042027、WO2009034473、WO2009081274、及びWO2010076618に開示されている抗原が挙げられる。適切な抗原には、任意で多糖-タンパク質コンジュゲートの一部分であるGACのような多糖類、SpyCEPポリペプチド、SpyADポリペプチド及び/又はSLOポリペプチドが含まれる。
【0035】
任意に、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原は、少なくとも1種の組換えポリペプチドを含む。任意に、SpyCEPポリペプチド、SpyADポリペプチド及び/又はSLOポリペプチドは、組換えポリペプチドである。
【0036】
任意に、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原は、多糖-タンパク質コンジュゲートを含む。任意に、多糖及び/又はタンパク質のうちの1つはA群連鎖球菌抗原である。例えば、タンパク質は、SpyCEPポリペプチド、SpyADポリペプチド及び/又はSLOポリペプチドのような化膿連鎖球菌抗原であり得る。代替的又は付加的に、多糖はGACのような化膿連鎖球菌抗原であり得る。
【0037】
多糖-タンパク質コンジュゲート
「多糖」という用語は、通常グリコシド結合によって連結された単糖残基からなる直鎖状又は分枝状のポリマーを意味し、したがってオリゴ糖を含む。「タンパク質」とは、アミノ酸残基からなる直鎖状又は分枝状の分子を意味するか、これを含む。
【0038】
「多糖-タンパク質コンジュゲート」という用語は、タンパク質と多糖の共有結合によって形成される分子を指す。
【0039】
GAC(ランスフィールドA群炭水化物)は、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)側鎖を有するポリラムノース骨格を含む多糖であり、[→3)α-Rha(1→2)[β-GlcNAc(1→3)]α-Rha(1→](本明細書では「GACサブユニット」と呼ぶ)の繰り返し単位を含み得る。GACはGAS細胞壁の主成分である。
【0040】
「GAC」という用語は、化膿連鎖球菌株由来のGAC多糖を指す。あるいは、「GAC」という用語は、1つ以上のGACサブユニットなどのGAC多糖の断片又はサブユニット(繰り返し単位)を指し得る。任意で、GACは18個のGACサブユニットを含む。
【0041】
多糖の断片とは、野生型多糖と比較して切断された(例えば、野生型多糖と比較して小さい単糖単位の平均[統計的平均]数を有する)多糖を意味する。多糖の切断は、化学的消化、野生型より少ない単糖単位を有する多糖のインビトロ多糖合成、あるいは多糖生産株の遺伝子改変など、当該技術分野で知られている任意の適切な手段によって達成することができる。
【0042】
多糖のバリアントとは、野生型多糖と比較して、多糖骨格及び/又は側鎖の1つ以上の化学基が改変されていることを意味するか、又は含む。多糖の改変は、化学反応や多糖生産株の遺伝子改変など、当該技術分野で知られている任意の適切な手段によって達成することができる。
【0043】
GACのような多糖抗原はB細胞を介する免疫を刺激するための優れた抗原となり得る。しかし、GACを担体タンパク質のようなタンパク質にコンジュゲートさせると有利となり得る。適切なタンパク質としては、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、あるいはSpyADポリペプチド、SpyCEPポリペプチド及び/又はSLOポリペプチドなどの化膿連鎖球菌由来のタンパク質が挙げられる。
【0044】
任意で、担体タンパク質(すなわち、多糖-タンパク質コンジュゲート内のタンパク質)はCRM197である。CRM197は52位のグルタミン酸がグリシンに置換された変異を1つ有するジフテリア毒素の非毒性変異体である。52位の変異は、自然に存在するジフテリア毒素のADPリボシルトランスフェラーゼ活性を消失させる。CRM197のポリペプチド配列は配列番号7に記載されている。
【0045】
ポリペプチドは、任意の適切なコンジュゲーションの方法を用いてタンパク質にコンジュゲートすることができる。
【0046】
多糖のタンパク質への結合は、好ましくは-NH2基を介して、例えば、担体ポリペプチド中のリジン残基又はアルギニン残基の側鎖を介して行われる。多糖が遊離アルデヒド基を有する場合、この基はタンパク質中のアミンと反応して還元的アミノ化によりコンジュゲートを形成し得る。担体への結合は-SH基を介して、例えば担体ポリペプチド中のシステイン残基の側鎖を介しても行われ得る。あるいは、多糖はリンカー分子を介して担体タンパク質に結合し得る。
【0047】
多糖は通常、コンジュゲーション前に活性化又は機能化される。活性化には、例えばCDAP(l-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート)のようなシアニル化試薬が用いられ得る。他の適切な方法は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTUを使用する(例えば、WO 98/42721の序文を参照)。
【0048】
タンパク質への直接連結は、例えば、米国特許第4,761,283号及び米国特許第4,356,170号に記載されているように、多糖の酸化、続けてタンパク質との還元的アミノ化を含み得る。リンカー基を介した連結は、公知の手順、例えば、米国特許第4,882,317号及び米国特許第4,695,624号に記載されている手順を用いて行われ得る。典型的には、リンカーは多糖のアノマー炭素を介して結合される。好ましいタイプの連結はアジピン酸リンカーであり、これは遊離の-NH2基(例えば、アミノ化によって多糖に導入されたもの)とアジピン酸とをカップリングさせ(例えば、ジイミド活性化を用いる)、次いで得られた糖-アジピン酸中間体とタンパク質とをカップリングさせることによって形成され得る(例えば、EP-B-0477508, Mol. Immunol, (1985) 22, 907-919、及びEP-A-0208375を参照)。類似の好ましいタイプの連結はグルタル酸リンカーであり、これは遊離-NH基とグルタル酸を同様にカップリングさせることによって形成され得る。アジピン酸及びグルタル酸リンカーはまた、多糖への直接結合、すなわち遊離基、例えば遊離-NH基を多糖にあらかじめ導入することなく、得られた糖-アジピン酸/グルタル酸中間体にタンパク質を結合させることによっても形成されうる。もう1つの好ましいタイプの連結はカルボニルリンカーであり、これは改変多糖の遊離ヒドロキシル基とCDIとの反応(Bethell G.S.ら(1979)J. Biol. Chem. 254, 2572-4及びHearn M.T.W. (1981) J. Chromatogr. 218, 509-18);続けてタンパク質と反応させてカルバメート結合を形成することによって形成され得る。他のリンカーとしては、β-プロピオンアミド(WO00/10599)、ニトロフェニル-エチルアミン(Geveret al.(1979)Med. Microbiol. Immunol.165, 171-288)、ハロアシルハライド(米国特許第4,057,685号)、グリコシド結合(米国特許第4,673,574号;同第4,761,283号;及び同第4,808,700号)、6-アミノカプロン酸(米国特許第4,459,286号)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)-プロピオネート(SPDP)(米国特許第5,204,098号)、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)(米国特許第4,965,338号)、C4~C12部位(米国特許第4,663,160号)等を含む。カルボジイミド縮合も使用され得る(WO2007/000343)。
【0049】
二官能性リンカーは、多糖中のアミン基(例えば、アミノ化によって多糖に導入される)に結合するための第1の基と、担体に結合するための(典型的には、担体中のアミンに結合する)第2の基を提供するために使用され得る。あるいは、第1の基は多糖に直接結合しうる、すなわち、多糖にあらかじめ基、例えばアミン基を導入することなく結合しうる。
【0050】
あるいは、WO2022/101434又は本明細書の実施例に開示されているように、多糖をランダム酸化にさらし、次いで酸化された多糖をシアノ水素化ホウ素ナトリウムと反応させる方法によって、多糖をタンパク質にコンジュゲートさせ得る。
【0051】
SpyCEPポリペプチド
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原はSpyCEPポリペプチドを含み得る。同様に、多糖-タンパク質コンジュゲート中のタンパク質はSpyCEPポリペプチドを含み得る。
【0052】
「SpyCEPポリペプチド」という用語は、SpyCEP又はその断片若しくはバリアントを指す。適切なSpyCEPポリペプチドは、配列番号1若しくは2、又はその断片若しくはバリアントを含むか、又はそれらからなる。別の適切なSpyCEPポリペプチドは、NCBI参照配列WP_010921938.1のSpyCEPポリペプチドである。
【0053】
SpyCEPポリペプチドは、151位に対応する位置のアスパラギン酸、及び/又は617位に対応する位置のセリンを含有しないことがあり得る。「151位」及び「617位」に対応する位置のアミノ酸への言及は、配列番号1又は配列番号2の151番目又は617番目のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸を指す。任意に、SpyCEPポリペプチドは、151位に対応する位置にアラニン及び/又は617位に対応する位置にアラニンを含む。151位及び617位に対応する位置の変異は、SpyCEPポリペプチドのタンパク質分解活性を低下させ、ワクチンの一部として投与することをより安全にし得る。任意に、SpyCEPポリペプチドは、野生型SpyCEPポリペプチドと比較して、インターロイキン8(IL-8)に対するタンパク質分解活性が低下しうる。任意に、SpyCEPポリペプチドは、野生型SpyCEPポリペプチドと比較して、インターロイキン8(IL-8)に対するタンパク質分解活性が50%又はそれ以下である。インターロイキン8に対するタンパク質分解活性を決定するのに適したアッセイは、「インターロイキン8に対するタンパク質分解活性を測定するアッセイ」と題された項に記載されている。
【0054】
SpyCEPポリペプチドは、
(i)配列番号1又は2の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1400、少なくとも1500、又は少なくとも1550アミノ酸の連続断片と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;又は
(ii)配列番号1又は2と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;又は
(iii) 配列番号1又は2のアミノ酸配列
を含み得る。
【0055】
SpyCEPポリペプチドは好ましくは免疫原性である。例えば、SpyCEPポリペプチドをマウスに投与すると、抗体が生成され得る。SpyCEPポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のSpyCEPポリペプチドと比較して、マウスに投与した場合に少なくとも50%(例えば少なくとも80%又は少なくとも95%)の抗体数を生成させることができる。 生成させた抗体数を決定するための適切なアッセイは、「免疫原性アッセイ」と題する項に記載されている。
【0056】
SpyCEPポリペプチドは、配列番号1又は2の少なくとも1400、少なくとも1500、又は少なくとも1550アミノ酸の連続断片と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。SpyCEPポリペプチドは、配列番号1又は2と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
【0057】
SpyADポリペプチド
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原は、SpyADポリペプチドを含み得る。同様に、多糖-タンパク質コンジュゲート中のタンパク質は、SpyADポリペプチドを含み得る。
【0058】
「SpyADポリペプチド」という用語は、SpyAD又はその断片若しくはバリアントを指す。適切なSpyADポリペプチドは、配列番号3若しくは4又はその断片若しくはバリアントを含むか、又はそれらからなる。別の適切なSpyADポリペプチドは、NCBI参照配列WP_010921884.1のSpyADポリペプチドである。
【0059】
SpyADポリペプチドは、
(i)配列番号3又は4の少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも770、又は少なくとも800アミノ酸の連続断片と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号3又は4と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;又は
(iii) 配列番号3又は4のアミノ酸配列
を含み得る。
【0060】
SpyADポリペプチドは、好ましくは免疫原性である。例えば、SpyADポリペプチドをマウスに投与すると抗体が生成され得る。SpyADポリペプチドは、配列番号3又は配列番号4のSpyADポリペプチドと比較して、マウスに投与した場合に少なくとも50%(例えば少なくとも80%又は少なくとも95%)の抗体数を生成させ得る。生成させた抗体数を決定するための適切なアッセイは、「免疫原性アッセイ」と題する項に記載されている。
【0061】
SpyADポリペプチドは、配列番号3又は4の少なくとも750、少なくとも770、又は少なくとも800アミノ酸の連続断片と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。SpyCEPポリペプチドは、配列番号3又は4と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
【0062】
SLOポリペプチド
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原は、SLO(ストレプトライシンO)ポリペプチドを含み得る。同様に、多糖-タンパク質コンジュゲート中のタンパク質は、SLOポリペプチドを含み得る。
【0063】
用語「SLOポリペプチド」又は「ストレプトライシンOポリペプチド」は、ストレプトライシンO又はその断片若しくはバリアントを指す。適切なSLOポリペプチドは、配列番号5若しくは6、又はその断片若しくはバリアントを含むか、又はそれらからなる。別の適切なSLOポリペプチドは、NCBI参照配列WP_010921831.1のSLOポリペプチドである。
【0064】
SLOポリペプチドは、427位に対応する位置のプロリン及び/又は535位に対応する位置のトリプトファンを含有しないことがあり得る。「427位」及び「535位」に対応する位置のアミノ酸への言及は、配列番号1又は配列番号2の427番目又は535番目のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。任意に、SLOポリペプチドは、427位に対応する位置にロイシンを含み、及び/又は535位に対応する位置にフェニルアラニンを含む。427位及び535位に対応する位置の変異は、SLOポリペプチドの溶血活性を低下させ、ワクチンの一部として投与することをより安全し得る。任意に、SLOポリペプチドは、野生型SpyCEPポリペプチドと比較して50%以下の溶血活性を有する。インターロイキン8に対するタンパク質分解活性を測定するための適切なアッセイは、「溶血活性測定アッセイ」の項に記載されている。
【0065】
SLOポリペプチドは、
(i)配列番号5又は6の少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又は少なくとも530アミノ酸の連続断片と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;又は
(ii)配列番号5又は6と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;又は
(iii) 配列番号 5又は6のアミノ酸配列
を含み得る。
【0066】
SLOポリペプチドは、好ましくは免疫原性である。例えば、マウスへのSLOポリペプチドの投与は、抗体を生成させ得る。SLOポリペプチドは、配列番号5又は配列番号6のSLOポリペプチドと比較して、マウスに投与した場合に少なくとも50%(例えば少なくとも80%又は少なくとも95%)の抗体を生成させ得る。生成させた抗体数を決定するための適切なアッセイは、「免疫原性アッセイ」と題する項に記載されている。
【0067】
SLOポリペプチドは、配列番号5又は6の少なくとも1400、少なくとも1500、又は少なくとも1550アミノ酸の連続断片と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。SLOポリペプチドは、配列番号 5又は6と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
【0068】
TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物
本発明の免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含む。本発明の方法は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含む免疫原性組成物の製造方法である。
【0069】
TLR7アゴニストは、TLR7を活性化することが可能な化合物である。通常、TLR7アゴニストは小分子である。当業者は、多数の異なるTLR7アゴニストを知っている。例えば、LHD153R、イミキモド、レシキモド、NKTR-262、RG-7854、DSP-0509、BDB-001、BDC-1001、LJC-165、SHR-2150、JNJ-4964、ベサトリモド、RO-7119929、BNT-411、APR-003が挙げられる。当業者は、所定の分子がTLRアゴニストとして作用しているかどうかを決定することも可能である。化合物がTLR7アゴニストであるかどうかを決定するための適切なアッセイは、Russo et al.;Blood;117:5683-5691に記載されている。例えば、化合物のTLR7アゴニスト活性は、IL-3と共にpDCを培養し、化合物でpDCを刺激し、上清中のサイトカイン濃度を測定することによって評価され得る。上清中のサイトカイン及びIFN-αの検出は、TLR7アゴニスト活性のマーカーである。
【0070】
TLR7アゴニストは、TLR8などの他のTLRのアゴニストでもあり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、TLR7アゴニストはTLR7を優先的に活性化し、他のTLRを活性化しない。
【0071】
TLR7アゴニストは、ベンゾナフチリジン化合物又はその薬学的に許容される塩を含むか、又はそれからなり得る。TLR7アゴニストは、LHD153及び/又はLHD153Rであり得る。TLR7アゴニストは、3-(5-アミノ-2-(2-メチル-4-(2-(2-(2-ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)プロパン酸、又はその薬学的に許容される塩であり得る。
【0072】
任意に、ベンゾナフチリジン化合物は、以下に示すようなベンゾナフチリジン部分を含む化合物である。
【化1】
【0073】
典型的には、ベンゾナフチリジン化合物は式(I)の化合物である。適切な式(I)のベンゾナフチリジン化合物の製造方法は、WO2011/027222及びWO2013/131985に開示されている。
【0074】
任意で、ベンゾナフチリジン化合物は、式(I)の化合物
【化2】
式(I)
[式中、
R1は、H、C1-C6アルキル、-C(R5)2OH、-L1R5、-L1R6、-L2R5、-L2R6、-OL2R5、又は-OL2R6であり;
L1は、-C(O)-又は-O-であり;
L2は、L2のC1-C6アルキレン及びC2-C6アルケニレンが、1から4個のフルオロ基で任意で置換されている、C1-C6アルキレン、C2-C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、又は-((CR4R4pO)q(CH2p-であり;
各L3は、独立して、L3のC1-C6アルキレンが1から4個のフルオロ基で任意に置換されているC1-C6アルキレン及び-((CR4R4pO)q(CH2p-から選択され;
L4は、アリーレン又はヘテロアリーレンであり
R2は、H又はC1-C6アルキルであり
R3は、C1-C4アルキル、-L3R5、-L1R5、-L3R7、-L3L4L3R7、-L3L4R5、-L3L4L3R5、-OL3R5、-OL3R7、-OL3L4R7、-OL3L4L3R7、-OR8、-OL3L4R5、-OL3L4L3R5、及び-C(R52OHから選択され;
各R4は、独立して、H及びフルオロから選択され;
R5は、-P(O)(OR92であり、
R6は、-CF2P(O)(OR9)2又は-C(O)OR10であり;
R7は、-CF2P(O)(OR9)2又は-C(O)OR10であり;
R8は、H又はC1-C4アルキルであり
各R9は、独立して、H及びC1-C6アルキルから選択され;
R10は、H又はC1-C4アルキルであり;
各pは、独立して、1、2、3、4、5及び6から選択され;そして
qは、1、2、3又は4である。]
又はその薬学的に許容される塩を含むか、又はそれからなる。
【0075】
適切なベンゾナフチリジン化合物としては、以下:
4-(4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)-1,1-ジフルオロブチルホスホン酸;
3-(5-アミノ-2-(4-(4,4-ジフルオロ-4-ホスホノブトキシ)-2-メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)プロパン酸;
3-(5-アミノ-2-(4-(2-(3,3-ジフルオロ-3-ホスホノプロポキシ)エトキシ)-2-メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)プロパン酸;
3-(5-アミノ-2-(2-メチル-4-(2-(2-(2-ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)プロパン酸;
4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェニルリン酸二水素塩;
(4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)メチルホスホン酸;
5-(4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)-1,1-ジフルオロペンチルホスホン酸;
4-(4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)-1,1-ジフルオロブチルホスホン酸;
3-(2-(4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)エトキシ)-1,1-ジフルオロプロピルホスホン酸;
2-(4-((4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)メチル)フェニル)-1,1-ジフルオロエチルホスホン酸;
2-(5-アミノ-2-(4-メトキシ-2-メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチルホスホン酸;
(E)-2-(5-アミノ-2-(4-メトキシ-2-メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)ビニルホスホン酸;
2-(5-アミノ-2-(4-メトキシ-2-メチル(rnethyl)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)エチルホスホン酸;
(E)-2-(5-アミノ-2-(4-メトキシ-2-メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)-1-フルオロビニルホスホン酸;
3-((4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)メチル)フェニルホスホン酸;
5-アミノ-2-(4-メトキシ-2-メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-カルボニルホスホン酸;
3-(5-アミノ-2-(2-メチル-4-(3-ホスホノプロポキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)プロパン酸;
(4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチレンジホスホン酸;
3-(5-アミノ-2-(4-(2-(2-(3,3-ジフルオロ-3-ホスホノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-2-メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)プロパン酸;
(5-アミノ-2-(4-メトキシ-2-メチルフェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)(ヒドロキシ)メチレンジホスホン酸;
3-(5-アミノ-2-(2-メチル-4-(2-(2-ホスホノエトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)プロパン酸;
2-(4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)エチルホスホン酸;
6-(4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)ヘキシルホスホン酸;
6-(4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)-1,1-ジフルオロヘキシルホスホン酸;
4-((4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)メチル)ベンジルホスホン酸;
2-(2-(2-(4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ)エトキシ)エトキシ)エチルホスホン酸;
3-[5-アミノ-2-(2-[4-[2-(3,3-ジフルオロ-3-ホスホノプロポキシ)エトキシ]-2-メチルフェニル]エチル)ベンゾ[f]1,7ナフチリジン-8-イル)プロパン酸;
[5-[4-(2-{5-アミノ-8-メチルベンゾ[f]1,7-ナフチリジン-2-イル)エチル)-3-メチルフェノキシ]ペンチル)ホスホン酸;
(4-[4-(2-(5-アミノ-8-メチルベンゾ[f]1,7-ナフチリジン-2-イル}エチル)-3-メチルフェノキシ]ブチル}ホスホン酸
及びそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0076】
任意に、ベンゾナフチリジン化合物は、3-(5-アミノ-2-(2-メチル-4-(2-(2-(2-ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)プロパン酸、又は薬学的に許容されるその塩である。
【0077】
任意に、ベンゾナフチリジン化合物は、式(I)の化合物のアルギニン塩、(例えば、D-アルギニン塩又はL-アルギニン塩、好ましくはL-アルギニン塩)を含む、又はそれらからなる。任意に、ベンゾナフチリジン化合物は、3-(5-アミノ-2-(2-メチル-4-(2-(2-(2-ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)プロパン酸のアルギニン塩である。任意に、ベンゾナフチリジン化合物は、3-(5-アミノ-2-(2-メチル-4-(2-(2-(2-ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン-8-イル)プロパン酸のL-アルギニン塩である。
【0078】
式(I)
[式中、
R1は-(CH22C(O)OHであり
R2は、C1アルキルであり;そして
R3は-O(((CH2)2)O)2(CH2)2-P(O)(OH)2である]
の化合物のアルギニン塩は、LHD153Rとも称され得る。
【0079】
アルミニウム塩
本発明の免疫原性組成物は、アルミニウム塩を含む。本発明の方法は、アルミニウム塩を含む免疫原性組成物の製造方法である。
【0080】
アルミニウム塩は、アジュバント及び/又は吸着剤として作用し得る。「アジュバント」とは、一般的に、抗原に対する免疫応答を増大させる物質を指す。「吸着剤」とは、一般的に、免疫原性組成物の他の成分、例えば、少なくとも1種の抗原、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物が結合、付着又は吸着(例えば、ファンデルワールス相互作用又は水素結合によって)し得る固体基質を指す。特定のアルミニウム塩としては、水酸化アルミニウム(ALHYDROGEL(登録商標)など)、リン酸アルミニウム、ヒドロキシリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、及びミョウバンなどが含まれる。
【0081】
任意に、アルミニウム塩は、リン酸アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムを含む、又はそれらからなる。任意に、アルミニウム塩は、リン酸アルミニウムか含む、又はそれからなる。
【0082】
免疫原性組成物中の成分の混合物
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原は、多糖-タンパク質コンジュゲートを含み得る。このような実施形態では、免疫原性組成物中における多糖-タンパク質コンジュゲート中の多糖の濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、1:0.01と1:50の間、1:0.1と1:20の間、1:0.1と1:10の間、1:0.5と1:10の間、0.75:1と1:5の間、1:1と1:3の間、1:1.5と1:2.5の間、又は1:2前後である。任意で、免疫原性組成物中における多糖-タンパク質コンジュゲート中の多糖の濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、1:1.5と1:2.5の間である。任意で、免疫原性組成物中における多糖-タンパク質コンジュゲート中の多糖の濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比は、0.25:1と1:250の間、1:25と1:200の間、1:5と1:100の間、0.75:10と1:50の間、1:10と1:30の間、1:15と1:25の間、又は1:20前後である。任意に、免疫原性組成物中における多糖-タンパク質コンジュゲート中の多糖の濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比は、1:15と1:21の間である。
【0083】
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原は、SpyCEPポリペプチドを含み得る。このような実施形態において、免疫原性組成物中におけるSpyCEPポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、1:0.1と1:50の間、1:0.1と1:20の間、1:0.1と1:10の間、1:0.5と1:10の間、0.75:1と1:5の間、0.75:1と1:3の間、0.75.1と1:2.5の間、又は1:1前後である。任意で、免疫原性組成物中におけるSpyCEPポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、0.75:1から1:2.5の間である。任意で、免疫原性組成物中におけるSpyCEPポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比は、0.25:1と1:250の間、1:25と1:200の間、1:5と1:100の間、0.75:10と1:50の間、0.75:10と1:30の間、1:5と1:15の間、又は約1:11である。任意に、免疫原性組成物中におけるSpyCEPポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比は、1:5と1:15の間である。
【0084】
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原は、SpyADポリペプチドを含み得る。このような実施形態において、免疫原性組成物中におけるSpyADポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、1:0.1と1:50の間、1:0.1と1:20の間、1:0.1と1:10の間、1:0.5と1:10の間、0.75:1と1:5の間、0.75:1と1:3の間、0.75.1と1:2.5の間、又は1:1前後である。任意で、免疫原性組成物中におけるSpyADポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、0.75:1と1:2.5の間である。任意で、免疫原性組成物中におけるSpyADポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比は、0.25:1と1:250の間、1:25と1:200の間、1:5と1:100の間、0.75:10と1:50の間、0.75:10と1:30の間、1:5と1:15の間、又は1:11前後である。任意に、免疫原性組成物中におけるSpyADポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比は、1:5と1:15の間である。
【0085】
少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原は、SLOポリペプチドを含み得る。このような実施形態において、免疫原性組成物中のSLOポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、1:0. 1と1:50の間、1:0.1と1:20の間、1:0.1と1:10の間、1:0.5と1:10の間、0.75:1と1:5の間、0.75:1と1:3の間、0.75.1と1:2.5の間、又は1:1前後である。任意で、免疫原性組成物中におけるSLOポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、0.75:1と1:2.5の間である。任意で、免疫原性組成物中におけるSLOポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比は、0.25:1と1:250の間、1:25と1:200の間、1:5と1:100の間、0.75:10と1:50の間、0.75:10と1:30の間、1:5と1:15の間、又は約1:11である。任意に、免疫原性組成物中におけるSLOポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比は、1:5と1:15の間である。
【0086】
任意に、免疫原性組成物は
(i)多糖類がGACであり、そしてタンパク質はCRM197、SpyADポリペプチド、SpyCEPポリペプチド及びSLOポリペプチドであるような多糖-タンパク質コンジュゲートを含み;及び
(ii)SpyADポリペプチドは、配列番号4と少なくとも98%同一であり、SpyCEPポリペプチドは、配列番号2と少なくとも98%同一であり、そしてSLOポリペプチドは、配列番号6と少なくとも98%同一である。
【0087】
任意に、免疫原性組成物は
(i)多糖類がGACであり、そしてタンパク質はCRM197、SpyADポリペプチド、SpyCEPポリペプチド及びSLOポリペプチドであるような多糖-タンパク質コンジュゲートを含み;及び
(ii)SpyADポリペプチドは、配列番号3と少なくとも98%同一であり、SpyCEPポリペプチドは、配列番号1と少なくとも98%同一であり、そしてSLOポリペプチドは、配列番号5と少なくとも98%同一である。
【0088】
免疫原性組成物が、多糖-タンパク質コンジュゲート、SpyADポリペプチド、SpyCEPポリペプチド及びSLOポリペプチドを含む実施形態において、免疫原性組成物は、以下の比率でこれらの成分を含み得る:
- 免疫原性組成物中の多糖-タンパク質コンジュゲート中の多糖の濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、0.75:1と1:5の間である;
- 免疫原性組成物中の多糖-タンパク質コンジュゲート中の多糖の濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比は、0.75:10と1:50の間である;
- 免疫原性組成物中のSpyCEPポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、0.75:0.5と1:2.5の間である;
- 免疫原性組成物中のSpyCEPポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)の比は、1:5と1:25の間である;
- 免疫原性組成物中のSpyADポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、0.75:0.5と1:2.5の間である;
- 免疫原性組成物中のSpyADポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比は、1:3と1:25の間である;
- 免疫原性組成物中のSLOポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比は、0.75:0.5と1:2.5の間である;及び
- 免疫原性組成物中のSLOポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比は、1:3と1:25の間である。
【0089】
任意に、免疫原性組成物は、0.5 mg/mlと10mg/mlの間、0.5mg/mlと5mg/mlの間、又は1mg/ml前後のアルミニウム塩を含む。任意で、免疫原性組成物は、0.01mg/mlと5mg/mlの間、0.05mg/mlと2mg/mlの間、又は0.1mg/ml前後のTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含む。任意で、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原は、GAC(任意で、CRM197にコンジュゲートしたGAC)を含む多糖-タンパク質コンジュゲートを含み、免疫原性組成物は、5μgと75μgの間、10μgと50μgの間、又は25μg前後の多糖-タンパク質コンジュゲートを含む。任意に、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原はSpyADポリペプチドを含み、免疫原性組成物は10μgと150μgの間、25μgと75μgの間、又は50μg前後のSpyCEPポリペプチドを含む。任意に、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原はSpyCEPポリペプチドを含み、免疫原性組成物は10μgと150μgの間、25μgと75μgの間、又は50μg前後のSpyCEPポリペプチドを含む。任意に、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原はSLOポリペプチドを含み、免疫原性組成物は10μgと150μgの間、25μgと75μgの間、又は50μg前後のSLOポリペプチドを含む。
【0090】
任意に、免疫原性組成物は:
- 0.5mg/mlと10mg/mlの間のアルミニウム塩;
- 0.01mg/mlと5mg/mlの間のTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物
- GAC(任意に、CRM197にコンジュゲートしたGAC)を含む5μgと75μgの間の多糖-タンパク質コンジュゲート;
- 5μgと75μgの間のSpyADポリペプチド;
- 5μgと75μgの間のSpyCEPポリペプチド;及び
- 5μgと75μgの間のSLOポリペプチド
を含む。
【0091】
任意に、免疫原性組成物中の少なくとも1種の抗原又は少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原の少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも80%がアルミニウム塩に吸着される。任意に、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物の少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも80%がアルミニウム塩に吸着される。A群連鎖球菌抗原及び/又はTLRアゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物などの被験化合物のアルミニウム塩への吸着量は、アルミニウム塩と被験化合物を混合し、混合物を14,000×gで2~5分間遠心分離し、上清中の被験化合物の濃度を測定することで測定することができる(例えば、280nmの吸光度を用いてタンパク質被験化合物の濃度を算出する)。
【0092】
免疫原性組成物の成分の免疫原性
免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、マウスに投与した場合に、より多数の抗体を生成させ得る。任意で、免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、5000ngの用量でマウスに投与した場合に、より多数の抗体を生成させる。任意で、免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、5000ngの用量でマウスに投与した場合に、投与27日後に採取した血清を用いて測定した際に、より多数の抗体を生成させる。
【0093】
「TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物」という表現は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しないことを除いて本免疫原性組成物と同一である免疫原性組成物を意味する。マウスに「5000ngの用量で」投与するとは、免疫原性組成物中の各/任意のタンパク質抗原(SpyCEPポリペプチド、SpyADポリペプチド及び/又はSLOポリペプチドなど)が5000ngの用量で投与され、各/任意の多糖コンジュゲート抗原(GAC-CRM197など)が2500ngの用量で投与されることを意味する。マウスに投与したときに生成された抗体の数は、「免疫原性アッセイ」の見出しの下に記載したアッセイを用いて決定することができる。
【0094】
任意に、免疫原性組成物は、マウスに投与した場合、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して
(i)SpyCEP;
(ii)SpyAD;
(iii)SLO;及び/又は
(iv)GAC
の抗原の少なくとも1つに対する抗体をより多数生成させる。例えば、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原がSpyCEPポリペプチドを含む場合、免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、マウスに投与したときにSpyCEPに対する抗体をより多数生成しうる。同様に、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原がSpyADポリペプチドを含む場合、免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、マウスに投与したときにSpyADに対する抗体をより多数生成しうる。同様に、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原がSLOポリペプチドを含む場合、免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、マウスに投与したときにSLOに対する抗体をより多数生成しうる。任意に、免疫原性組成物がSpyCEPポリペプチドを含む場合、マウスに投与されるSpyCEPポリペプチドは5000ngの用量で投与される。任意に、免疫原性組成物がSpyADポリペプチドを含む場合、マウスに投与されるSpyADポリペプチドは5000ngの用量で投与される。任意に、免疫原性組成物がSLOポリペプチドを含む場合、マウスに投与されるSLOポリペプチドは5000ngの用量で投与される。
【0095】
任意に、免疫原性組成物は、5000ngの用量でマウスに投与した場合、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、
(i)SpyCEP;
(ii)SpyAD;
(iii)SLO;及び/又は
(iv)GAC
の抗原の少なくとも1つに対する抗体をより多数生成させる。
【0096】
任意で、免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、マウスに投与した場合に、以下の抗原SpyCEP、SpyAD、SLO及びGACのすべてに対してより多数の抗体を生成させる。任意で、免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、5000ngの用量でマウスに投与した場合に、以下の抗原SpyCEP、SpyAD、SLO及びGACのすべてに対してより多数の抗体を生成させる。
【0097】
任意で、免疫原性組成物は、5000ng用量でマウスに投与した場合(任意で、投与27日後に採取した血清を用いて抗体数を測定した場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SpyCEPに対するより多数の抗体を生成させる。任意で、免疫原性組成物は、5000ng用量でマウスに投与した場合(任意で、投与27日後に採取した血清を用いて抗体数を測定した場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SpyCEPに対する抗体を少なくとも2倍又は少なくとも5倍多数生成させる。
【0098】
任意で、免疫原性組成物は、5000ng用量でマウスに投与した場合(任意で、投与27日後に採取した血清を用いて抗体数を測定した場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SpyADに対する抗体をより多数生成させる。任意で、免疫原性組成物は、5000ngの用量でマウスに投与した場合(任意で、投与27日後に採取した血清を用いて抗体数を測定した場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SpyADに対する抗体を少なくとも2倍生成させる。
【0099】
任意で、免疫原性組成物は、5000ng用量でマウスに投与した場合(任意で、投与27日後に採取した血清を用いて抗体数を測定した場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SLOに対する抗体をより多数生成させる。任意で、免疫原性組成物は5000ng用量でマウスに投与した場合(任意で、投与27日後に採取した血清を用いて抗体数を測定した場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SLOに対する抗体を少なくとも2倍又は少なくとも5倍生成させる。
【0100】
任意で、免疫原性組成物は、5000ng用量(これは、上記の5000ng用量の定義で説明したように、2500ngのGAC-CRM197と対応する)でマウスに投与した場合(任意で、投与27日後に採取した血清を用いて抗体数を測定した場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、GAC-CRM197に対する抗体の数をより多数生成させる。任意で、免疫原性組成物は、5000ngの用量でマウスに投与した場合(任意で、投与27日後に採取した血清を用いて抗体数を測定した場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、GAC-CRM197に対する抗体数を少なくとも2倍又は少なくとも5倍生成させる。
【0101】
任意で、5000ng用量でマウスに投与した場合、免疫原性組成物は、投与27日後に採取した血清を用いて測定した場合、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SpyAD、SpyCEP、SLO及びGAC-CRM197に対する抗体の数を少なくとも2倍生成させる。
【0102】
免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、マウスに投与した場合に、より多数の機能的抗体を生成させ得る。任意で、免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、5000ngの用量でマウスに投与した場合に、より多数の機能的抗体を生成させる。任意で、免疫原性組成物は、投与27日後に採取した血清を用いて測定した場合、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、5000ngの用量でマウスに投与した場合に、より多数の機能的抗体を生成させる。生成した機能的抗体の数は、「インターロイキン8に対するタンパク質分解活性を測定するアッセイ」及び「溶血活性測定アッセイ」の見出しの下に記載したアッセイを用いて決定することができる。
【0103】
任意で、免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、マウスに投与した場合にSpyCEP及びSLOに対する機能的抗体をより多数生成させる。例えば、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原がSpyCEPポリペプチドを含む場合、免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、マウスに投与した場合にSpyCEPに対する機能的抗体をより多数生成させ得る。同様に、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原がSLOポリペプチドを含む場合、免疫原性組成物は、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、マウスに投与した場合にSLOに対する機能的抗体をより多数生成させ得る。
【0104】
任意で、免疫原性組成物は、5000ng用量でマウスに投与した場合(任意で、免疫原性組成物のブースター用量が28日目に投与された後、42日目に採取された血清を使用して抗体数が測定される場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SpyCEPに対する機能的抗体をより多数生成させる。任意で、免疫原性組成物は、5000ngの用量でマウスに投与した場合(任意で、免疫原性組成物のブースター用量が28日目に投与された後、42日目に採取された血清を使用して抗体数が測定される場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SpyCEPに対する機能的抗体の数を少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも7.5倍生成させる。
【0105】
任意で、免疫原性組成物は、5000ng用量でマウスに投与した場合(任意で、免疫原性組成物のブースター用量が28日目に投与された後、42日目に採取された血清を使用して抗体数が測定される場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SLOに対する機能的抗体をより多数生成させる。任意で、免疫原性組成物は、5000ngの用量でマウスに投与した場合、(任意で、免疫原性組成物のブースター用量が28日目に投与された後、42日目に採取された血清を用いて抗体数が測定される場合)、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SLOに対する機能的抗体の数を少なくとも2倍、又は少なくとも5倍生成させる。
【0106】
任意で、免疫原性組成物は、マウスに5000ngの用量で投与された場合、免疫原性組成物のブースター用量が28日目に投与された後、42日目に採取された血清を使用して測定される場合、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SpyCEP 及びSLOに対する機能的抗体の数を少なくとも5倍生成させる。
【0107】
免疫原性アッセイ
免疫原性レベル(SpyCEP、SpyAD、SLO又はGACのような所与の抗原に対して生成した抗体の数)は、当業者に公知のいくつかの方法の1つで決定することができる。
【0108】
例えば、当業者はELISAに基づく方法、又は蛍光イムノアッセイを使用しうる。蛍光イムノアッセイを使用する場合、抗体量はRLU/mlの単位で測定され得る。各ビーズが固有のビーズ領域にカップリングされた蛍光ビーズも使用され得る。ビーズは蛍光スペクトル上の固有の箇所に関連付けられる。異なる抗原は、異なる領域でビーズにカップリングされ得る。適切な抗原としては、GAC、SpyCEP(例えば配列番号1又は2のタンパク質)、SpyAD(例えば配列番号3又は4のタンパク質)及びSLO(例えば配列番号5又は6のタンパク質)が挙げられる。例えば、第一の領域のビーズをSpyCEP抗原にカップリングさせ、第二の領域のビーズをSpyAD抗原にカップリングさせ得る。本発明の免疫原性組成物で免疫したマウスの血清をビーズに適用し、ビーズに結合した抗原に結合させ得る。その後、残りの血清は洗浄ステップで除去され、ビオチン化検出抗体(マウス抗体に結合する)とストレプトアビジン-フィコエリトリン(PE)レポーターを含む検出混合物が適用され得る。ビーズを1つずつ励起し、ビーズ領域と対応する抗原を決定することができる。次に2番目のレーザーがPE由来のシグナルの大きさを決定し、それは結合した分析物の量に比例する。これにより、使用者は各抗原に結合した抗体数を決定することができる。
【0109】
適切な蛍光イムノアッセイはLuminex(登録商標)装置を用いる。適切な蛍光(Luminex (登録商標))アッセイは実施例2に記載されている。
【0110】
試験免疫原性組成物が、参照免疫原性組成物(例えば、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物)と比較して、マウスに投与した際により多数の抗体を生成させるかどうかを決定するために、試験免疫原性組成物により生成された抗体の量を、上記のいずれか1つのアッセイを用いて測定し、参照免疫原性組成物により生成された抗体の量を、同一のアッセイを用いて測定し、2つの抗体量を比較することができる。
【0111】
インターロイキン8に対するタンパク質分解活性を測定するアッセイ法
SpyCEPに対する機能的抗体(抗SpyCEP抗体)の数は、IL-8切断アッセイを用いて測定され得る。野生型SpyCEPはIL-8を切断するタンパク質分解活性を有し、SpyCEPに対して生成された抗体がSpyCEPによるIL-8切断を阻止する能力は、抗体の機能性の尺度である。
【0112】
適切なIL-8切断アッセイには、野生型SpyCEPを、試験する免疫原性組成物の連続希釈液又は緩衝液のみの対照で免疫化したマウスの血清とプレインキュベートすることが含まれる。次にヒトIL-8を添加し、反応液を37℃で2時間インキュベートする。次いで反応混合物を20倍に希釈し、IL-8に対するモノクローナル抗体とインキュベートして、残存するIL-8の量(切断前)を測定することができる。残存するIL-8の量は、対照実験(血清が、試験される免疫原性組成物の投与前のマウスのものであることを除いて、同等の実験)における残存するIL-8の量と比較されるべきである。IC50は、溶血の50%阻害(対照実験と比較してIL-8量の減少が50%低い)を達成した血清濃度を決定することにより計算することができる。
【0113】
適切なIL-8切断アッセイは実施例2に記載されている。
試験免疫原性組成物が、参照免疫原性組成物(例えば、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物)と比較して、マウスに投与した場合に、より多数の機能的抗SpyCEP抗体を生成させるかどうかを決定するために、試験免疫原性組成物によって生成させた機能的抗SpyCEP抗体の量を、上記のアッセイのいずれかを用いて測定することができ、参照免疫原性組成物によって生成させた機能的抗SpyCEP抗体の量は、同一のアッセイを用いて測定し、2つの機能的抗SpyCEP抗体の量を比較する必要がある。
【0114】
溶血活性測定アッセイ
SLOに対して生成された機能的抗体(抗SLO抗体)の数は、溶血アッセイを用いて測定することができる。野生型SLOは溶血性であるため、SLOに対して生成させた抗体がSLOによる溶血活性を阻止する能力は、抗体の機能性の尺度となる。
【0115】
適切な溶血アッセイには、赤血球懸濁液(例えばウサギ赤血球)を調製することが含まれる。これと並行して、試験する免疫原性組成物で免疫化したマウスの血清を連続希釈した混合液を調製し、一定濃度の野生型SLO毒素とプレインキュベートして試験プレインキュベート混合液を形成し得る。次にウサギの血球をプレインキュベート混合物と混合し、37℃で30分間インキュベートし得る。その後、血球を1000×gで5分間遠心分離し、ヘモグロビンがどれだけ放出されたかを観測することにより、溶血の量が測定され得る。放出されたヘモグロビンの量は、540nmでの吸光度で測定され得る。放出されたヘモグロビンの量は、対照実験(試験する免疫原性組成物を投与する前のマウスの血清であることを除いて同等の実験)で放出されたヘモグロビンの量と比較すべきである。切断の50%阻害(すなわち、対照実験と比較して放出されたヘモグロビンの50%)を提供する希釈係数に対応する血清力価を決定する。
【0116】
適切な溶血アッセイは実施例2に記載されている。
試験免疫原性組成物が、参照免疫原性組成物(例えば、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物)と比較して、マウスに投与した場合に機能的抗SLO抗体をより多数生成させるかどうかを決定するために、試験免疫原性組成物により生成された機能的抗SLO抗体の量は、上記のアッセイのいずれかを用いて測定することができ、参照免疫原性組成物により生成された機能的抗SLO抗体の量は、同一のアッセイを用いて測定し、2つの機能的抗SLO抗体量を比較する必要がある。
【0117】
薬学的に許容される賦形剤
免疫原性組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。
【0118】
典型的な「薬学的に許容される賦形剤」には、それ自体が組成物の投与を受ける個体に有害な抗体の生成を誘導しない任意の担体が含まれる。適切な担体は、典型的には、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アミノ酸重合体、アミノ酸コポリマー、スクロース、トレハロース、ラクトース、及び脂質凝集体(油滴又はリポソームなど)のような、大きく、時間をかけて代謝される高分子である。このような担体は当業者によく知られている。薬学的に許容される賦形剤はまた、水、生理食塩水、グリセロールなどの希釈剤を含み得る。さらに、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質などの補助物質も存在しうる。リン酸緩衝生理食塩水に含まれるリン酸塩は、外膜小胞とアルミニウムとの結合を阻害する可能性があるため、特にアルミニウムアジュバントを使用する場合には、無菌で発熱物質を含有しないトリス緩衝生理食塩水が好適な担体である。
【0119】
典型的な医薬賦形剤は、トリス緩衝液、ヒスチジン、塩化ナトリウム及びリン酸ナトリウムのうちの1つ、又はそれ以上を含み得る。任意に、免疫原性組成物は、トリス緩衝液、ヒスチジン、塩化ナトリウム及びリン酸ナトリウムを含む。任意に、免疫原性組成物は、0.5mMから25mMの間、1mMから10mMの間、又は2mM前後の濃度のトリス緩衝液を含む。任意に、免疫原性組成物は、1mMから50mMの間、5mMから25mMの間、又は10mM前後の濃度のヒスチジンを含む。任意に、免疫原性組成物は、50mMから300mMの間、75mMから250mMの間、又は129mM前後の濃度の塩化ナトリウムを含む。任意に、免疫原性組成物は、1mMから25mMの間、2mMから10mMの間、又は4mM前後の濃度のリン酸ナトリウムを含む。
【0120】
従って、本発明の免疫原性組成物はワクチンとして有用であり得る。本発明によるワクチンは、予防的(すなわち、感染を予防するため)又は治療的(すなわち、感染を治療するため)のいずれであってもよいが、典型的には予防的である。ワクチンとして使用される免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原、及び必要に応じて他の成分を含む。「免疫学的有効量」とは、単回投与又は連続投与の一部のいずれかにおいて、その量を個体に投与することが治療又は予防に有効であることを意味する。この量は、治療される個体の健康状態や身体状態、年齢、治療される個体の分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、望まれる防御の程度、ワクチンの製剤、医療状況に対する治療医の評価、及びその他の関連因子により変化する。その量は、日常的な試験によって決定できる比較的広い範囲に含まれることが予想される。本発明の免疫原性組成物は、特に複数回投与形式で梱包される場合、抗菌剤を含み得る。
【0121】
治療方法
本発明はまた、A群連鎖球菌による感染を予防する方法に使用するための本発明の免疫原性組成物又はワクチンを提供する。本発明は、本発明の免疫原性組成物又はワクチンの有効量を投与することを含む、A群連鎖球菌の感染及び/又は感染後の自己免疫疾患を予防する方法を提供する。本発明はまた、A群連鎖球菌の感染及び/又は感染後の自己免疫疾患を予防する方法において使用するための医薬を調製するための、本発明の免疫原性組成物又はワクチンの使用を提供する。
【0122】
「治療する」という用語には、感染を予防又は軽減することを目的とする、治療的治療と予防的又は防止的な治療の両方が含まれる。例えば、治療には、例えば感染症に直接的に影響を与える、若しくは治癒すること、抑制すること、阻害すること、予防すること、重症度を軽減すること、発症を遅延させること、関連する症状を軽減すること、又はそれらの組合せが含まれ得る。「予防する」とは、特に、症状の発症を遅延させること、疾患の再発を予防することなどを指し得る。「治療」はまた、感染又は疾患を「抑制」又は「阻害」すること、例えば、症状の重症度、数、発生率又は潜伏期間を減少させること、症状を改善すること、二次症状を減少させること、二次感染を減少させること、患者の生存期間を延長すること、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0123】
本発明の方法/使用のための免疫原性組成物/医薬の製造における免疫原性組成物の使用における「A群連鎖球菌感染を予防又は治療する」という用語は、対象において免疫応答を生成させることを含む。免疫応答は、防御的であり得、IgG抗体などの抗体を生成させ得る。
【0124】
本発明の対象は哺乳動物であり、任意にヒトである。ワクチンが予防用である場合、ヒトは成人、すなわち対象が18歳又は18歳以上であってもよい。ワクチンが予防用である場合、ヒトは小児、すなわち18歳未満であってもよい。ワクチンが予防用である場合、小児は12~72カ月、好ましくは24~59カ月、より好ましくは6~12カ月であり得る。
【0125】
ワクチンが予防用である場合、小児は9ヶ月前後であり得る。ワクチンが治療用である場合、ヒトは好ましくは小児である。小児用ワクチンは、例えば安全性、投与量、免疫原性を評価するために成人に投与することもできる。
【0126】
免疫原性組成物の製造方法
本発明はさらに、少なくとも1種の抗原、アルミニウム塩、並びに(a)TLR7アゴニスト、及び/若しくは(b)ベンゾナフリチリジン化合物を含有する免疫原性組成物の製造方法であって、以下:
(i)アルミニウム塩上に予め吸着させた少なくとも1種の抗原と、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物;
(ii)少なくとも1種の抗原と、アルミニウム塩上に予め吸着させたTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物;又は
(iii)アルミニウム塩上に予め吸着させた少なくとも1種の抗原と、アルミニウム塩上に予め吸着させたTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物
の混合物を調製することを含む、免疫原性組成物の製造方法を提供する。
【0127】
混合物は任意の適切な方法で調製され得る。例えば、混合物は、2つの成分(ミョウバンと少なくとも1種の抗原のような)を共に加え、それらをボルテックスするか、単にフリッキングにより混ぜ合わせることによって調製され得る。混合物は、任意の適切な混合容器で調製することができる。例えば、混合物は、後の注射器充填に使用するために大きなタンクで大量に調製され得る、又は患者に注射するためにすぐに使用できる注射器中で直接調製され得る。
【0128】
本発明はさらに、本発明の免疫原性組成物の製造方法から得られる、又は得ることが可能な免疫原性組成物を提供する。
【表1】
【実施例
【0129】
[実施例1-ワクチン抗原の調製]
ワクチンは4つの異なる抗原を含んで調製される。第1抗原はGACとCRM197のコンジュゲート、第2抗原は配列番号1のSpyCEPポリペプチド、第3抗原は配列番号3のSpyADポリペプチド、及び第4抗原は配列番号5のSLOポリペプチドである。
【0130】
SpyAD
上流プロセスは、MCB GMP種菌(SpyAD 抗原を発現する大腸菌 BL21(DE3) pET24 株)1つの解凍から始まり、接種菌液の調製(25℃、200rpm、0.7<OD<2.0)、発酵プロセス(発酵培地は酵母抽出物を含む、30℃、pH 7.2、pO2 設定点 30%)へと続く。組換えタンパク質SpyADの発現は、培養液のOD値が6.0±1.0(誘導期)に達したときにイソプロピル-β-D-チオガラクトシド(IPTG)を添加することで開始される。このプロセスは誘導から4時間後に終了する。発酵の終了の際、ブロスを採取し、遠心分離する(12,227 g×30分)。得られたペレットを回収し、-70℃で保存する。
【0131】
組換えタンパク質SpyADをホモジナイザー(Avestin, 10 Ksi, 2 サイクル)によってバイオマスから抽出し、遠心分離(12,227 g x 30 分)及び直交濾過(Sartorius, Sartobran 300)により溶解液を清澄化する。その後の精製は、3つのクロマトグラフィーステップからなる:
- Capto Q(Cytiva, 緩衝液A: 30mM トリス-HCl 90 mM NaCl, pH 9 ; 緩衝液B: 30mM Tris-HCl 150 mM NaCl, pH 9, ステップ溶出)、
- Butyl Sepharose 4 FF hs(Cytiva, 緩衝液A: 450mM (NH4)2SO4, 10mM KPi, pH 7.2; 緩衝液B: 200mM (NH4)2SO4, 10mM KPi, pH 7.2; ステップ溶出)、
- セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)(タイプI - 40 μm、Biorad、緩衝液A:10 mM NaPi pH 7.2、緩衝液B:200 mM NaPi、pH 7.2、グラジエント溶出)。
【0132】
ButylステップとCHTステップの間の最初のTFF(タンジェンシャルフローろ過)ステップ(30KDaカットオフ、TMP 1.1barg、DP 0.2barg)は、緩衝液を交換し、SpyADの中間体をCHTローディング緩衝液に添加するために必要である。CHTステップの後に2回目のTFFステップ(30KDaカットオフ、TMP 1.1barg、DP 0.2barg)は、精製されたSpyAD抗原を調製緩衝液(10 mM KPi、pH 7.2)に入れ、目標原薬(DS)濃度に達するために必要である。その後、プレバルクは、0.2 μmメンブレン(Sartorius、Sartobran 150)でろ過され、最終バルクとなる。
【0133】
SLO
上流プロセスは、MCB GMP 種菌(SLO 抗原を発現する大腸菌 BL21(DE3) pET24 株)1つの解凍から始まり、接種菌液の調製(25℃、200 rpm、3<OD<7)、発酵プロセス(発酵培地は酵母抽出物を含む、25℃、pH 7.2、pO2 設定点 30%)へと続く。組換えタンパク質SLOの発現は、培養液のOD値が5.0±2.0(誘導期)に達したとき、IPTGの添加によって開始される。このプロセスは誘導から9時間後に終了する。発酵の終了の際、ブロスを採取し、遠心分離する(12,227g x30分)。得られたペレットを回収し、-70℃で保存する。
【0134】
組換えタンパク質SLOをホモジナイザー(Avestin, 10 Ksi, 2サイクル)によってバイオマスから抽出し、遠心分離(12,227 g x 30 分)及び直交濾過(Sartorius, Sartobran 300)により溶解液を清澄化する。その後の精製は3つのクロマトグラフィーステップからなる:
- Butyl Sepharose 4 FF hs(Cytiva, 緩衝液 A: 2M NaCl, 20mM NaPi, pH 7; 緩衝液 B: 1.5M NaCl, 20mM NaPi, pH 7; 緩衝液 C: 20mM NaPi, pH 7, ステップ溶出)、
- Capto Q(Cytiva, 緩衝液 20 mM NaPi pH 7、ネガティブクロマトグラフィー)、
- セラミックヒドロキシアパタイト(タイプI - 40 μm、Biorad、緩衝液A:10 mM NaPi pH 6.8、緩衝液B:130 mM NaPi pH 6.8、緩衝液C:250 mM NaPi pH 6.8、ステップ溶出)。
【0135】
精製した SLO 抗原を調製緩衝液(10 mM KPi、pH 7.2)に入れ、目標 DS 濃度に達するために、CHT ステップ後の最終 TFF ステップ(30 KDa カットオフ、TMP 1.0 barg、DP 1.0barg)が必要である。その後、プレバルクは、0.2 μm メンブレン(Sartorius、Sartobran 150)でろ過され、最終バルクとなる。
【0136】
SpyCEP
上流プロセスは、MCB GMP種菌(SpyCEP 抗原を発現する大腸菌 BL21(DE3) pET24 株)1つの解凍から始まり、接種菌液の調製(30℃、200 rpm、1<OD<5)、発酵プロセス(発酵培地は酵母抽出物を含む、30℃、pH 7.2、pO2 設定点 30%)へと続く。組換えタンパク質SpyCEPの発現は、培養液がOD値≧3.5(誘導期)に達したときにIPTGの添加と25℃での温度低下によって開始される。このプロセスは、培養液の最終ODが30±5となった時点で終了する。発酵の終了の際、ブロスを回収し、遠心分離する(12,227 g×30分)。得られたペレットを回収し、-70℃で保存する。
【0137】
組換えタンパク質 SpyCEP をホモジナイザー(Avestin, 10 Ksi, 2 サイクル)でバイオマスから抽出し、遠心分離(12,227 g x 30 分)及び直交濾過(Sartorius, Sartobran 300)で溶解液を清澄化する。その後の精製は、3つのクロマトグラフィーステップからなる:
- Capto Q(Cytiva, 緩衝液 A: 10 mM NaPi pH 7.5; 緩衝液 B: 10 mM NaPi, 0.2M NaCl pH 7.5 , ステップ溶出)、
- セラミックヒドロキシアパタイト(タイプI - 40 μm、Biorad、緩衝液A:10 mM NaPi pH 7.5、緩衝液B:80 mM NaPi、pH 7.5、ステップ溶出)。
- Phenyl Sepharose 6 FF hs(Cytiva, 緩衝液 A: 2M NaCl, 10 mM NaPi, pH 7.5; 緩衝液 B: 10 mM NaPi, pH 7.5; ステップ溶出)。
CHT ステップ後の最後の TFF ステップ(30KDa カットオフ、TMP 0.8barg、DP 0.5barg)が、精製した SpyCEP 抗原を調製緩衝液(10 mM KPi、pH 7.2)に入れ、目標 DS 濃度に達するのに必要である。その後、プレバルクは、0.2 μm メンブレン(Sartorius, Sartobran 150)でろ過され、最終バルクとなる。
【0138】
GAC-rCRM
上流プロセスは、2つのMCB GMP種菌(Streptococcus pyogenes emmlノックアウトknockout)を解凍することから始まり、接種菌液の調製、そして発酵プロセスへと続く。発酵培地は、動物性原料不使用が証明された酵母抽出物を含む。発酵は、増殖が継続して減速した時点で停止する。この時点で測定されるOD値は、前回のサンプリング時点と比較して安定している(あるいはより低い値となる)。最終的に予想されるOD値は17±5である。発酵の終了の際、不活性化段階へと続く。これは、バイオリアクター内の培養液を100℃で2時間加熱することからなる。その後、培養液は20℃まで冷却され、ブロスを採取し、遠心分離する。得られたペレットを回収し、-70℃で保存する。
【0139】
GACは、NaNO2とH3PO4からHNO2を生成するバイオマスから、pH3.2、室温で24時間抽出される。GACは遠心分離によって溶解液から分離され、直交ろ過によって清澄化される。その後の精製は以下のステップからなる:
- 30KメンブレンTFF(TMP 0.7barg、DP 0.6barg)
- Q Sepharose FF(Cytiva、緩衝液10 mM NaPi、0.3M NaCl、pH 7.2、ネガティブクロマトグラフィー)
- GAC濃度が目標濃度より低い場合、さらなるTFFステップ(30Kメンブレン、TMP 0.7 barg、DP 0.6 barg)が精製GACをさらに濃縮するために必要となる可能性がある。
その後、GAC中間体は0.2 μmメンブレンでろ過される(ホールドポイント)。
【0140】
次に、GAC中間体は200mMのNaIO4溶液(最終濃度8mM)で活性化され、25℃の恒温室に30分間放置された。反応停止は、Na2SO3溶液(最終濃度16mM)を用いて、常温で15~30分間攪拌して行った。酸化されたGACは、TFF 10K(TMP0.5barg、DP1.0barg)及び遠心濃縮機(3~10KDa)を用いて、ホウ酸緩衝液pH8中で精製、及び交換された:目標GACox濃度は130~140mg/mLである。
【0141】
rCRM(組換えCRM197)は65-70mg/mLまで濃縮され、TFF及び/又は遠心濃縮機(10KDaメンブレンカットオフ)によるコンジュゲーションステップの前にpH8の50mMホウ酸緩衝液で交換される。
【0142】
コンジュゲーションステップは、GACoxとrCRMの濃度を1:1(w/w)の比率で30 mg/mLとし、37℃で24時間行った(緩やかに混合)。200mg/mLのNaBH3CN溶液(最終濃度5mg/mL)の添加により反応を開始した。反応は、PBX 1Xで10倍に希釈し、20 mg/mL NaBH4溶液を1:0.5=GACmg:NaBH4mgの割合で、室温において2~4時間添加することで停止させる。
【0143】
GAC-rCRMを精製し、TFF 50K(TMP0.3barg、DP0.5barg)によってPBS 1Xに交換した後、0.2μmメンブレン(Sartorius、Sartobran 150)でろ過し、最終バルクを生成する。
【0144】
混合
これら4種の抗原を以下の表に示す濃度でアジュバントと混合した。使用したアジュバントは水酸化アルミニウム単独、又は水酸化アルミニウムとLHD153Rの組み合わせであった。
【表2】
【0145】
[実施例2-マウスにおけるミョウバン又はミョウバンとLHD153Rを含む製剤の免疫原性の比較]
マウス免疫化プロトコル
8匹のCD1マウスの群を、上記の6つの製剤のうちの1つで免疫化した。免疫化として、0日目と28日目に各製剤200μlを腹腔内投与した。血液サンプルを27日目と42日目に採取し、生成された抗体を以下のアッセイを用いて調べた。
【0146】
抗SLO、抗SpyAD、抗SpyCEP及び抗GAC抗体量の評価
「マウス免疫化プロトコル」と題する項に記載したように免疫化したマウスから採取した血液サンプル中のSLO、SpyAD、SpyCEP及びGACに対する抗体量を、Keeley et al、Methods Protoc. 2022, 5, 55に記載されているLuminexアッセイを以下のように変更して使用して測定した:抗マウス又は抗ラットII抗体PEを使用して、複数の血清希釈液を試験し(最低300希釈、3倍間隔で7倍希釈まで)、抗体濃度は標準曲線のダイナミックレンジ内に収まるすべての結果の中央値として算出した。このアッセイの結果は図1に示される。
【0147】
IL-8切断阻害アッセイ
「マウス免疫化プロトコル」と題する項に記載したように免疫化されたマウスから採取された血液サンプルから単離した2回目の免疫化後の個体別血清を、SpyCEPタンパク質分解活性を抑止する能力を評価するため、IL-8切断ELISAアッセイで試験した。このアッセイは、Bensi et al.(Multi high-throughput approach for highly selective identification of vaccine candidates: The Group A Streptococcus case. Mol Cell Proteomics 2012, 11, (6), M111 015693.)にいくつかの変更点を加え行った。端的に、SpyCEP(5 ng/mL)を4つの異なる希釈度(1:100、1:300、1:900、1:2700)のマウスポリクローナル抗SpyCEP血清と、0.5 mg/ml BSAを含むPBS中で、4℃で5分間プレインキュベートした。SpyCEPをバッファーのみ、及びプレ免疫血清と共にプレインキュベーションしたものを陰性対照として用いた。次に、ヒトIL-8(Gibco、10 ng/ml)を添加し、反応液を37℃でインキュベートした(酵素を添加しない反応液が対照として用いられた)。2時間後、各反応混合物を20倍に希釈し、IL-8の異なるエピトープに対するモノクローナル抗体のブレンド(Life Technologies)をコートした96ウェルプレートにおいてインキュベートした。各サンプル及び対照反応(酵素なし)中のIL-8の量は、IL-8の標準曲線を用いて、製造者のプロトコルに従って決定した。各血清希釈液は2回検査され、エラーバー付きの平均値がグラフに図示された。結果を図2のパネルAに示し、試験した各血清について、ネイティブSpyCEP活性の50%を阻害するのに必要な最小血清希釈度(IC50)で表した。
【0148】
インビトロ溶血アッセイ
「マウス免疫化プロトコル」と題する項に記載したように免疫化したマウスの免疫化前及び2回目の免疫化後に採取された血液サンプルから単離した個体別血清を、SLO溶血活性を阻止する能力を評価するために溶血アッセイで試験した。このアッセイは、Bensi et al.に以前に記載されたものに、若干の修正を加えて実施された。端的に、赤血球懸濁液は、ウサギ赤血球(Emozoo)をPBSで4回洗浄し、PBSに再懸濁することにより調製した(PBS中20%ウサギ赤血球懸濁液)。0.5%BSAを含むPBSで希釈した抗SLO血清又は陰性対照免疫化前血清の8段階の連続2倍希釈液を96ウェル丸底プレートに調製し、900単位/mLのSLO毒素(Sigma、40mMジチオスレイトール(Invitrogen)を含むPBSで希釈)、と共に30分間室温でプレインキュベートした(最終量150μL)。ウサギ血球懸濁液(50μL)を加えた後、37℃で30分間インキュベーションを続けた。最後にプレートを1000×gで5分間遠心し、上清を、注意深く96ウェル平底プレートに移した。放出されたヘモグロビンの吸光度を540 nmで読み取った。結果を図2のパネルBに示し、試験した各血清について、溶血の50%を阻害するのに必要な最小血清希釈率(IC50)で表した。
【0149】
統計
2つの異なる抗原によって誘発された免疫反応の比較にはMann-Whitney両側検定が、用いられ、2群以上の比較にはKruskal-Wallis検定とDunnの事後解析が用いられた。Wilcoxon検定マッチドペア符号付順位両側検定は、27日目と42日目に同じ抗原によって誘発された反応を比較するために実施した。
【0150】
抗体タイプの評価
「マウス免疫化プロトコル」の項に記載のように免疫化されたマウスから採取した血液サンプルから単離された、2回目の免疫化後の個体別血清を試験して、「抗SLO、抗SpyAD、抗SpyCEP及び抗GAC抗体量の評価」の項に記載したのと同じ原理で作動するLuminexをもとにしたアッセイを用いて、生成された抗体のアイソタイプを決定した。このアッセイは、標準的なアッセイで抗マウス-IgG1-PE抗体、抗マウス-IgG2a-PE抗体、抗マウス-IgG2b-PE抗体、抗マウス-IgG2c-PE抗体及び抗マウス-IgG3-PE抗体を二次抗体として用い、試験したワクチンの最高用量における各個体別血清のRLU/mLを測定するために、並行して繰り返した。結果を図3に示し、各個体別血清のIgG1と比較した比率で表した。
【0151】
[実施例3-マウスにおけるLHD153R+ミョウバンを含む、又はアジュバントなしの製剤の免疫原性の比較]
マウス免疫化プロトコル
8匹のCD1マウス群に、下表に示す6種類の製剤のいずれかを免疫した。免疫化の為に、0日目と28日目に各製剤200μlを腹腔内投与した。27日目と42日目に血液サンプルを採取し、生成された抗体を以下のアッセイを用いて調べた。
【表3】
【0152】
生成された抗体の評価
「マウス免疫化プロトコル」と題する項に記載したように免疫化したマウスから採取した血液サンプル中のSLO、SpyAD、SpyCEP及びGACに対する抗体の量を、「抗SLO、抗SpyAD、抗SpyCEP及び抗GAC抗体量の評価」の項の下に記載したアッセイを用いて測定した。このアッセイの結果を図4に示す。
【0153】
「マウス免疫化プロトコル」と題する項に記載したように免疫化したマウスから採取した血液サンプルから単離した免疫化前及び2回目の免疫化後の個体別血清を、「IL-8切断阻害アッセイ」及び「インビトロ溶血アッセイ」の見出しの下に記載したように、それぞれIL-8切断ELISAアッセイ及び溶血アッセイで機能的抗体について試験した。結果を図5に示す。
【0154】
本明細書に記載される本発明はまた、以下の態様に関する:
態様1. 少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩、及びTLR7アゴニストを含む免疫原性組成物。
態様2. 少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原、アルミニウム塩、及びベンゾナフチリジン化合物を含む免疫原性組成物。
【0155】
態様3. 少なくとも1種の抗原、アルミニウム塩、並びに(a)TLR7アゴニスト及び/若しくは(b)ベンゾナフチリジン化合物を含有する免疫原性組成物の製造方法であって:
(i)アルミニウム塩上に予め吸着させた少なくとも1種の抗原、並びにTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物;
(ii)少なくとも1種の抗原、及びアルミニウム塩上に予め吸着させたTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物;又は
(iii)アルミニウム塩上に予め吸着させた少なくとも1種の抗原、並びにアルミニウム塩上に予め吸着させたTLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物
の混合物を調製することを含む方法。
【0156】
態様4. 態様3の方法から得られる、又は得ることが可能な免疫原性組成物。
態様5. 少なくとも1種の抗原が、アクチノマイセス属(例えば、A. israelii)、バチルス属(例えば、炭疽菌 又は セレウス菌)、バルトネラ属(例えば、B. henselae 又は B. quintana)、ボルデテラ属(例えば、百日咳菌)、ボレリア属(例えば、B. burgdorferi、B.Borrelia garinii、B. afzelii、B. recurrentis)、ブルセラ属(例えば、B. abortus、B. canis、B. melitensis、又は B. suis)、カンピロバクター属(例えば、C. jejuni)、クラミジア属(例えば、C. pneumoniae 又は C. trachomatis)、クラミドフィラ属(例えば、C. psittaci)クロストリジウム属(例えば、ボツリヌス菌、C. difficile、ウェルシュ菌、破傷風菌)、コリネバクテリウム属(例えば、ジフテリア菌)、エンテロコッカス属(例えば、E. faecalis、又はE. faecium)、エスケリキア属(例えば、大腸菌)、フランシセラ属(例えば、野兎病菌)、ヘモフィルス属(例:インフルエンザ菌)、ヘリコバクター属(例:ピロリ菌)、クレブシエラ属(例えば、肺炎桿菌及びK. oxytoca)、レジオネラ属(例:L. pneumophila)、レプトスピラ属(例えば、L. interrogans、L. santarosai、L. weilii、 L. noguchii)、リステリア属(例えば、L. monocytogenes)、マイコバクテリウム属(例えば、らい菌、結核菌、又はM. ulcerans)、マイコプラズマ属(例えば、M. pneumoniae)、ナイセリア属(例えば、淋菌、又は髄膜炎菌)、シュードモナス属(例えば、緑膿菌)、リケッチア属(例えば、R. rickettsii)、サルモネラ属(例えば、チフス菌、S. Enteritidis、パラチフス菌、S. Typhimurium、又はS. Choleraesuis)、赤痢菌属(例えば、S. boydii、S. flexneri、ソンネイ菌、又はS. dysenteriae)、ブドウ球菌属(例えば、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、又は腐生ブドウ球菌)、連鎖球菌属(例えば、S. agalactiae、S. pneumoniae、又はS. pyogenes)、トレポネーマ属(例えば、梅毒トレポネーマ)、ウレアプラズマ属(例えば、U. urealyticum)、ビブリオ属(例えば、V. cholerae)、又はエルシニア菌属(例えば、Y. pestis、Y. enterocolitica、又はY. pseudotuberculosis)からなる群より選択される細菌由来の抗原を含む、態様3又は4に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0157】
態様6. 少なくとも1種の抗原が連鎖球菌由来の抗原を含む、態様3から5のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
態様7. アルミニウム塩が、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムを含むか、又はそれらからなる、前記態様のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0158】
態様8. アルミニウム塩が水酸化アルミニウムを含むか、又はそれからなる、前記態様のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
態様9. TLR7アゴニストが、ベンゾナフチリジン化合物を含むか、又はそれからなる、態様1、又は3~8のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0159】
態様10. ベンゾナフチリジン化合物が式(I)の化合物
【化3】
式(I)
[式中、
R1は、H、C1-C6アルキル、-C(R52OH、-L1R5、-L1R6、-L2R5、-L2R6、-OL2R5、又は-OL2R6であり;
L1は、-C(O)-又は-O-であり;
L2は、C1-C6アルキレン及びC2-C6アルケニレンが1~4個のフルオロ基で任意で置換されている、C1-C6アルキレン、C2-C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、又は-((CR4R4)pO)q(CH2)p-であり;
各L3は、独立して、C1-C6アルキレンが1~4個のフルオロ基で任意に置換されているC1-C6アルキレン及び-((CR4R4pO)q(CH2p-から選択され;
L4は、アリーレン又はヘテロアリーレンであり;
R2は、H又はC1-C6アルキルであり;
R3は、C1-C4アルキル、-L3R5、-L1R5、-L3R7、-L3L4L3R7、-L3L4R5、-L3L4L3R5、-OL3R5、-OL3R7、-OL3L4R7、-OL3L4L3R7、-OR8、-OL3L4R5、-OL3L4L3R5、及び-C(R52OHから選択され;
各R4は、独立して、H及びフルオロから選択され;
R5は、-P(O)(OR9)2であり、
R6は、-CF2P(O)(OR9)2又は-C(O)OR10であり;
R7は、-CF2P(O)(OR9)2又は-C(O)OR10であり;
R8は、H又はC1-C4アルキルであり;
各R9は、独立して、H及びC1-C6アルキルから選択され;
R10は、H又はC1-C4アルキルであり;
各pは、独立して、1、2、3、4、5及び6から選択され;そして
qは、1、2、3又は4である。]
若しくはそれの薬学的に許容される塩を含むか、又はそれからなる、態様2~9のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0160】
態様11. ベンゾナフチリジン化合物が式(I)の化合物
[式中、
R1は、-L2R6であり;
R2は、C1-C6アルキルであり;
R3は、-OL3R5又は-OL3R7であり;
R5は、-P(O)(OH)2であり;
R6は、-C(O)OHであり;
R7は、-CF2P(O)(OH)2であり;
L2は、C1-C6アルキレンであり;
L3は、-((CR4R4)pO)q(CH2)p-であり;
R4は、Hであり;
qは、1又は2であり;そして
pは、2である。]
若しくはそれの薬学的に許容される塩を含むか、又はそれからなる、態様10に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0161】
態様12. ベンゾナフチリジン化合物が式(I)の化合物
[式中、
R1は(CH2)2C(O)OHであり;
R2はC1 アルキルであり;そして
R3は-O(((CH2)2)O)2(CH2)2-P(O)(OH)2である。]
若しくはそれの薬学的に許容される塩を含むか、又はそれからなる、態様10又は11に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0162】
態様13. ベンゾナフチリジン化合物がアルギニン塩である、態様10~12のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
態様14. ベンゾナフチリジン化合物及び/又はTLR7アゴニストがLHD153Rである、前記態様のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0163】
態様15. 少なくとも1種の抗原が、少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原を含む、態様3から14のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
態様16. 少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原が、少なくとも1つの組換えポリペプチドを含む、態様1、2又は7~15のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0164】
態様17. 少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原が、多糖-タンパク質コンジュゲートを含む、態様1、2又は7~16のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
態様18. 免疫原性組成物において、多糖-タンパク質コンジュゲート中の多糖の濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比が、1:0.01と1:50の間、1:0.1と1:20の間、1:0.1と1:10の間、1:0.5と1:10の間、0.75:1と1:5の間、1:1と1:3の間、1:1.5と1:2.5の間、又は1:2前後である、態様17に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0165】
態様19. 免疫原性組成物において、多糖-タンパク質コンジュゲート中の多糖の濃度(w/v)と、TLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比が、1:1.5と1:2.5の間である、態様18に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0166】
態様20. 免疫原性組成物において、多糖-タンパク質コンジュゲート中の多糖の濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比が、0.25:1と1:250の間、1:25と1:200の間、1:5と1:100の間、0.75:10と1:50の間、1:10と1:30の間、1:15と1:25との間、又は1:21前後である、態様17~19のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0167】
態様21. 免疫原性組成物において、多糖-タンパク質コンジュゲート中の多糖の濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比が、1:15と1:25の間である、態様17~20のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0168】
態様22. 多糖-タンパク質コンジュゲートの多糖がGACである、態様17~21のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
態様23. 多糖-タンパク質コンジュゲートのタンパク質が、CRM197、SpyCEPポリペプチド、SLOポリペプチド、又はSpyADポリペプチドである、態様17~22のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0169】
態様24. 多糖-タンパク質コンジュゲートのタンパク質がCRM197である、態様17~23のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
態様25. 少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原がSpyCEPポリペプチドを含む、態様1、2、又は7~24のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0170】
態様26. 免疫原性組成物において、SpyCEPポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比が、1:0.1と1:50の間、1:0.1と1:20の間、1:0.1と1:10の間、1:0.5と1:10の間、0.75:1と1:5の間、0.75:1と1:3の間、0.75.1と1:2.5の間、又は1:1前後である、態様25に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0171】
態様27. 免疫原性組成物において、SpyCEPポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)の比が、0.75:1と1:2.5の間である、態様26に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0172】
態様28. 免疫原性組成物において、SpyCEPポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比が、0.25:1と1:250の間、1:25と1:200の間、1:5と1:100の間、0.75:10と1:50の間、0.75:10と1:30の間、若しくは1:5と1:15の間、又は1:11前後である、態様25~27のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0173】
態様29. 免疫原性組成物において、SpyCEPポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比が、1:5と1:15の間である、態様25~28のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0174】
態様30. SpyCEPポリペプチドが、151位に対応する位置にアスパラギン酸及び/又は617位に対応する位置にセリンを含有しない、態様23又は25~29のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0175】
態様31. SpyCEPポリペプチドが、151位に対応する位置にアラニン、及び/又は617位に対応する位置にアラニンを含む、態様23又は25~30のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0176】
態様32. SpyCEPポリペプチドが、
(i)配列番号1若しくは2の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1400、少なくとも1500、又は少なくとも1550個のアミノ酸の連続断片と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;又は
(ii)配列番号1若しくは2と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;又は
(iii) 配列番号1又は2のアミノ酸配列
を含む、態様23又は25~31のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0177】
態様33. SpyCEPポリペプチドが、配列番号1若しくは2の少なくとも1400、少なくとも1500、若しくは少なくとも1550個のアミノ酸の連続断片と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、態様32に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0178】
態様34. SpyCEPポリペプチドが、配列番号1若しくは2と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、態様32に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0179】
態様35. SpyCEPポリペプチドが、配列番号1又は2のアミノ酸配列を含む、態様32に記載の免疫原性組成物又は方法。
態様36. 少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原がSpyADポリペプチドを含む、態様1、2、又は7から35のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0180】
態様37. 免疫原性組成物中において、SpyADポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比が、1:0.1と1:50の間、1:0.1と1:20の間、1:0.1と1:10の間、1:0.5と1:10の間、0.75:1と1:5の間、0.75:1と1:3の間、0.75.1と1:2.5の間、又は1:1前後である、態様36に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0181】
態様38. 免疫原性組成物中において、SpyADポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)の比が、0.75:1と1:2.5の間である、態様37に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0182】
態様39. 免疫原性組成物中において、SpyADポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比が、0.25:1と1:250の間、1:25と1:200の間、1:5と1:100の間、0.75:10と1:50の間、0.75:10と1:30の間、1:5と1:15の間、又は1:11前後である、態様36から38のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0183】
態様40. 免疫原性組成物中において、SpyADポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比が、1:5と1:15の間である、態様36から39のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0184】
態様41. SpyADポリペプチドが、
(i)配列番号3又は4の少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも770、又は少なくとも800個のアミノ酸の連続断片と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号3又は4と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;あるいは
(iii) 配列番号3又は4のアミノ酸配列
を含む、態様23又は36~40のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0185】
態様42. SpyADポリペプチドが、配列番号3又は4の少なくとも700、少なくとも750、又は少なくとも800個のアミノ酸の連続断片と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、態様41に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0186】
態様43. SpyADポリペプチドが、配列番号3又は4と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、態様41に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0187】
態様44. SpyADポリペプチドが、配列番号3又は4のアミノ酸配列を含む、態様41に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0188】
態様45. 少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原がSLOポリペプチドを含む、態様1、2、又は7~44のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0189】
態様46. 免疫原性組成物中において、SLOポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v) との比が、1:0.1と1:50の間、1:0.1と1:20の間、1:0.1と1:10の間、1:0.5と1:10の間、0.75:1と1:5の間、0.75:1と1:3の間、0.75.1と1:2.5の間、又は1:1前後である、態様45に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0190】
態様47. 免疫原性組成物中において、SLOポリペプチドの濃度(w/v)とTLR7アゴニスト又はベンゾナフチリジン化合物の濃度(w/v)との比が、0.75:1と1:2.5の間である、態様46に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0191】
態様48. 免疫原性組成物中における、SLOポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比が、0.25:1と1:250の間、1:25と1:200の間、1:5と1:100の間、0.75:10と1:50の間、0.75:10と1:30の間、1:5と1:15の間、又は1:11前後である、態様45~47のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0192】
態様49. 免疫原性組成物中における、SLOポリペプチドの濃度(w/v)とアルミニウムの濃度(w/v)との比が、1:5と1:15との間である、態様45~48のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0193】
態様50. SLOポリペプチドが、427位に対応する位置にプロリン及び/又は535位に対応する位置にトリプトファンを含有しない、態様23又は45~49のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0194】
態様51. SLOポリペプチドが、427位に対応する位置にロイシンを、及び/又は535位に対応する位置にフェニルアラニンを含む、態様23又は45~50のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0195】
態様52. SLOポリペプチドが
(i)配列番号5又は6の少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又は少なくとも530個のアミノ酸の連続断片と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;又は
(ii)配列番号5又は6と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列;又は
(iii) 配列番号5又は6のアミノ酸配列
を含む、態様23又は45~51のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0196】
態様53. SLOポリペプチドが、配列番号5又は6の少なくとも450、少なくとも500、又は少なくとも530個のアミノ酸の連続断片と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、態様52に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0197】
態様54. SLOポリペプチドが、配列番号5又は6と少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、態様52に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0198】
態様55. SLOポリペプチドが、配列番号5又は6のアミノ酸配列を含む、態様52に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0199】
態様56. 免疫原性組成物中の少なくとも1種の抗原又は少なくとも1種のA群連鎖球菌抗原の少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも80%がアルミニウム塩上に吸着される、前記態様のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0200】
態様57. TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物の少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも80%がアルミニウム塩上に吸着される、前記態様のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0201】
態様58. 免疫原性組成物が、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、より免疫原性が高い、前記態様のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0202】
態様59. 免疫原性組成物が、マウスに投与した場合に、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、より多数の抗体を生成させる、前記態様のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0203】
態様60. 免疫原性組成物が、マウスに投与した場合に、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、以下の抗原:
(i)SpyCEP;
(ii)SpyAD;
(iii)SLO;及び/又は
(iv)GAC、
の少なくとも1つに対してより多数の抗体を生成させる、態様59に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0204】
態様61. 免疫原性組成物が、マウスに投与した場合に、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、以下の抗原SpyCEP、SpyAD、SLO及びGACのすべてに対してより多数の抗体を生成させる、態様60に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0205】
態様62. 抗体の数が、抗原をビーズに結合させ、抗原と抗体との複合体を含むビーズを蛍光測定により検出する蛍光免疫測定法を用いて測定される、態様59~61のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0206】
態様63. 免疫原性組成物が、マウスに投与した場合に、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較してより多数の機能的抗体を生成させる、前記態様のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
【0207】
態様64. 免疫原性組成物が、マウスに投与した場合に、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して
(i)SpyCEP;及び/又は
(ii)SLO、
に対するより多数の機能的抗体を生成させる、態様63に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0208】
態様65. 免疫原性組成物が、マウスに投与した場合に、TLR7アゴニスト及び/又はベンゾナフチリジン化合物を含有しない同等の免疫原性組成物と比較して、SpyCEP及びSLOに対する機能的抗体をより多数生成させる、態様64に記載の免疫原性組成物又は方法。
【0209】
態様66. 免疫原性組成物が薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、態様1から65のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は方法。
態様67. 態様1、2、又は4から66のいずれか1つに記載の免疫原性組成物を含むワクチン。
【0210】
態様68. A群連鎖球菌による感染の予防及び/又はA群連鎖球菌による感染後の自己免疫疾患の予防方法における使用のための、態様1、2、又は4から66のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は態様67に記載のワクチン。
【0211】
態様69.態様1、2、又は4から66のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は態様67に記載のワクチンの有効量を対象に投与することを含む、A群連鎖球菌による感染及び/又はA群連鎖球菌による感染後の自己免疫疾患を予防する方法。
【0212】
態様70. A群連鎖球菌の感染の予防及び/又はA群連鎖球菌による感染後の自己免疫疾患の予防方法において使用するための医薬を調製する目的の、態様1、2又は4~66のいずれか1つに記載の免疫原性組成物又は態様67に記載のワクチンの使用。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
【配列表】
2025535293000001.xml
【国際調査報告】