特表-13146728IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本製紙株式会社の特許一覧
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月3日
【発行日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/28 20060101AFI20151117BHJP
   C08K 5/1515 20060101ALI20151117BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20151117BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20151117BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20151117BHJP
   C09D 123/28 20060101ALI20151117BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20151117BHJP
   C09D 11/00 20140101ALI20151117BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20151117BHJP
   C09D 123/26 20060101ALI20151117BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20151117BHJP
   C09J 123/28 20060101ALI20151117BHJP
   C09J 123/26 20060101ALI20151117BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   C08L23/28
   C08K5/1515
   C08L23/26
   C08L63/00 A
   C09J11/06
   C09D123/28
   C09D7/12
   C09D11/00
   C09D5/00 D
   C09D123/26
   C09D163/00
   C09J123/28
   C09J123/26
   C09J163/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
【出願番号】特願2013-552444(P2013-552444)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年3月26日
(11)【特許番号】特許第5484642号(P5484642)
(45)【特許公報発行日】2014年5月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-74562(P2012-74562)
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
【住所又は居所】東京都北区王子1丁目4番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100113398
【弁理士】
【氏名又は名称】寺崎 直
(72)【発明者】
【氏名】関口 俊司
【住所又は居所】山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙株式会社 ケミカル事業本部 ケミカル開発研究所内
(72)【発明者】
【氏名】北村 悠
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台4−6 日本製紙株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】吉元 貴夫
【住所又は居所】山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙株式会社 ケミカル事業本部 ケミカル開発研究所内
(72)【発明者】
【氏名】滝川 尚子
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台4−6 日本製紙株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】高本 直輔
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区今橋2−3−16 日本製紙株式会社内
【テーマコード(参考)】
4J002
4J038
4J039
4J040
【Fターム(参考)】
4J002BB211
4J002BB241
4J002BN101
4J002CD012
4J002CH023
4J002DE067
4J002DF007
4J002EL026
4J002EN008
4J002EN027
4J002EN098
4J002EN107
4J002EN138
4J002EP018
4J002EU237
4J002EV248
4J002FD032
4J002FD036
4J002FD140
4J002FD207
4J002FD313
4J002FD318
4J002GH00
4J002GJ00
4J002HA03
4J002HA07
4J002HA09
4J038CB171
4J038DB022
4J038JA69
4J038JB01
4J038JB03
4J038JB04
4J038KA09
4J038MA08
4J038MA10
4J038NA01
4J038NA14
4J038NA26
4J038PB04
4J038PB05
4J038PB07
4J038PB09
4J039AD01
4J039AE05
4J039BC31
4J039BC33
4J039BC34
4J039CA06
4J040DA181
4J040EC022
4J040HB42
4J040HB43
4J040HB44
4J040HC01
4J040HC02
4J040HC03
4J040JA02
4J040KA27
4J040KA29
4J040KA38
4J040KA43
4J040LA06
4J040LA07
4J040NA06
4J040NA12
4J040NA16
(57)【要約】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂基材などの基材との接着性に優れ、良好な塗膜を形成し、安定性に優れ、塗料、プライマー、インキ、接着剤、ヒートシール剤などの用途において有用であり、安全面でも問題のない、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明は、一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドとを含有する塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物を提供する。
【化1】

【化2】

(式中、mは3〜26の整数である。nは2〜28の整数である。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):塩素化ポリオレフィンと
成分(B):一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドと
を含有する塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
【化1】
【化2】
(式中、mは3〜26の整数である。nは2〜28の整数である。)
【請求項2】
成分(B)の含有量が、成分(A)の含有量100重量部に対して0.1〜15重量部である請求項1に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項3】
成分(A)が酸変性塩素化ポリオレフィンを含む請求項1に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項4】
成分(C):有機溶剤を更に含む請求項1に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項5】
固形物である請求項1に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項6】
成分(D):塩基性物質、成分(E):乳化剤、及び、成分(F):水性媒体を更に含む請求項3に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物を含有する塗料、プライマー、インキ、接着剤又はヒートシール剤。
【請求項8】
一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドからなる、塩素化ポリプロピレン用安定剤。
【化3】
【化4】
(式中、mは3〜26の整数である。nは2〜28の整数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、高生産性でデザインの自由度が広く、軽量、防錆、耐衝撃性など多くの利点があるため、自動車部品、電気部品、建築資材、食品包装用フィルムなどの材料として多く用いられている。とりわけポリオレフィン系樹脂は、成形性、耐薬品性、耐熱性、耐水性、良好な電気特性など多くの優れた性質を有する安価な材料である。このため、ポリオレフィン系樹脂は広範囲に使用されているとともに、将来においてもその需要の伸びが最も期待されている材料の一つである。
【0003】
ポリオレフィン系樹脂は非極性である。このため、ポリオレフィン系樹脂の塗装及び接着には、ポリオレフィン系樹脂に対して強い付着力を有する、塩素化ポリオレフィンを含有するインキ又は接着剤が使用されてきた。しかし、塩素化ポリオレフィンを含有するインキ又は接着剤は、塩素化ポリオレフィンが脱塩化水素反応を起こすことがあり、該反応がポリオレフィン系樹脂への着色、物性低下などの問題を引き起こすことがあった。
【0004】
脱塩化水素反応を防止するために、塩素化ポリオレフィンを含有するインキ又は接着剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛などの金属石鹸類、酸化鉛、三塩基性硫酸鉛などの無機酸塩類、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートなどの有機金属化合物類、エポキシ化大豆油、グリセリンのグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物類などの安定剤が添加されている(特許文献1〜3参照)。
【0005】
一方、グリシジルエーテルを有する低分子量エポキシ化合物は、変異原性が強いため、近年、その使用が制限されつつある(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平02−189378号公報
【特許文献2】特開平09−235433号公報
【特許文献3】特開平11−181193号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本接着学会誌 Vol.38 No.12 452−458 (2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、塩素化ポリオレフィンと共に、エポキシ化大豆油又はグリセリンのグリシジルエーテルを含有するインキ又は接着剤を、ポリオレフィン系樹脂基材に塗布すると、接着性低下、塗膜の濁り、熱に対する安定性の低下、保存安定性の低下などの問題が生じることがあった。また、グリシジルエーテルを有する低分子量エポキシ化合物は、上述の通り変異原性が強いため、安全性に問題があった。
【0009】
本発明は、上述した従来の問題点が解消され、ポリオレフィン系樹脂基材などの基材との接着性に優れ、良好な塗膜を形成し、安定性に優れ、塗料、プライマー、インキ、接着剤、ヒートシール剤などの用途において有用であり、安全面でも問題のない、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、安定剤として特定の構造を有するα−オレフィンオキサイド及び/又はα,ω−オレフィンオキサイドを用いることにより、ポリオレフィン系樹脂基材などの基材との接着性に優れ、良好な塗膜を形成し、安定性に優れることを見出した。また、これらのオレフィンオキサイドは変異原性が低く、安全面でも問題がなかった。これらの知見に基づき本発明を成すに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の〔1〕〜〔8〕を提供する。
〔1〕成分(A):塩素化ポリオレフィンと、成分(B):一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドとを含有する塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
【化1】
【化2】
(式中、mは3〜26の整数である。nは2〜28の整数である。)
〔2〕成分(B)の含有量が、成分(A)の含有量100重量部に対して0.1〜15重量部である上記〔1〕に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
〔3〕成分(A)が酸変性塩素化ポリオレフィンを含む上記〔1〕又は〔2〕に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
〔4〕成分(C):有機溶剤を更に含む上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
〔5〕固形物である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
〔6〕成分(D):塩基性物質、成分(E):乳化剤、及び、成分(F):水性媒体を更に含む上記〔3〕に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物。
〔7〕上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物を含有する塗料、プライマー、インキ、接着剤又はヒートシール剤。
〔8〕一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドからなる、塩素化ポリプロピレン用安定剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂基材などの基材に塗布すると、基材との接着性に優れており、良好な塗膜を得ることができる。本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、有機溶剤を含んでいても、水系分散液であっても、固形物であっても、上記の優れた性能を発揮することができ、それぞれの態様に適した安定性を発揮することができる。したがって、本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、塗料、プライマー、インキ、接着剤、ヒートシール剤などの各用途において有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、成分(A):塩素化ポリオレフィンと成分(B):α−オレフィンオキサイド及び/又はα,ω−オレフィンオキサイドを含む。
【0014】
本発明において、塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンに塩素が導入されて得られる樹脂である。塩素化ポリオレフィンの原料であるポリオレフィンは、特に制限はない。ポリオレフィンとしては例えば、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合物、エチレン−酢酸ビニル共重合物などが挙げられる。
【0015】
本発明においてプロピレン−α−オレフィン共重合物は、主体としてのプロピレンとα−オレフィンとが共重合して得られる樹脂である。共重合物の形態に特に制限はなく、ブロック共重合物及びランダム共重合物などを例示することができる。α−オレフィン成分としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどを例示することができる。なお、プロピレン−α−オレフィン共重合物を原料として用いた場合、プロピレン成分の含有量は50モル%以上であることがポリオレフィン樹脂に対する接着性の点から好ましい。
【0016】
本発明においてエチレン−酢酸ビニル共重合物は、エチレンと酢酸ビニルモノマーを共重合して得られる樹脂である。エチレン−酢酸ビニル共重合物のエチレンと酢酸ビニルとのモル比は特に限定されないが、酢酸ビニル成分が5〜45モル%であることが、極性物質との接着性、塗膜強度の点から好ましい。
【0017】
塩素化ポリオレフィンの原料であるポリオレフィンは、減成などの前処理が施されていてもよい。
【0018】
塩素化ポリオレフィンの原料としてのポリオレフィンは、1種類単独であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。
【0019】
塩素化ポリオレフィンの原料であるポリオレフィンの融点は、100〜180℃であることが好ましく、120〜170℃であることがより好ましい。
【0020】
本発明において、塩素化ポリオレフィンとしては、酸変性塩素化ポリオレフィンを用いることが好ましい。酸変性塩素化ポリオレフィンとは、ポリオレフィンに、α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体と塩素が導入された樹脂である。
【0021】
本発明において、塩素化ポリオレフィンの製造方法は特に限定されないが、酸変性塩素化ポリオレフィン以外の塩素化ポリオレフィンの製造方法としては例えば、ポリオレフィンをクロロホルムなどの塩素系溶媒に溶解した後に、塩素を導入する製造方法が挙げられる。
【0022】
塩素の導入は、反応系への塩素ガスの吹き込みにより行うことができる。塩素ガスの吹き込みは、紫外線の照射下で行ってもよいし、ラジカル反応開始剤の存在下又は不存在下で行ってもよい。塩素ガスの吹き込みを行う際の圧力は制限されず、常圧であってもよいし、加圧下であってもよい。塩素ガスの吹き込みを行う際の温度は特に制限されないが、通常は、50〜140℃である。
【0023】
ラジカル反応開始剤としては、有機過酸化物系化合物又はアゾニトリル類を使用してもよい。有機過酸化物系化合物としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエートなどが挙げられる。アゾニトリル類としては、例えば、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。
【0024】
ポリオレフィンへの塩素導入が終了した後に塩素化ポリオレフィンを得ることができる。系内の塩素系溶媒は、通常、減圧などにより留去されるか、或いは、有機溶剤で置換される。
【0025】
本発明において、酸変性塩素化ポリオレフィンの製造方法としては例えば、ポリオレフィンを酸変性して酸変性ポリオレフィンを得て、酸変性ポリオレフィンをクロロホルムなどの塩素系溶媒に溶解した後に塩素ガスを吹き込み、酸変性ポリオレフィンに塩素を導入する製造方法が挙げられる。
【0026】
ポリオレフィンの酸変性の方法としては、例えば、ポリオレフィンにα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をグラフト共重合によって導入する方法が挙げられる。
【0027】
本発明において、α,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、無水ハイミック酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。中でも、ポリオレフィンへのグラフト性を考慮すると、無水マレイン酸が好ましい。α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体のグラフト量は、0〜20重量%が好ましく、0〜10重量%であることがより好ましい。20重量%以下であることにより、未反応物の発生を抑制することができる。
【0028】
酸変性の際には、α,β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を用いればよく、α,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体から選ばれる1種類であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。すなわち、α,β−不飽和カルボン酸を1種類以上であってもよいし、α,β−不飽和カルボン酸の誘導体を1種類以上であってもよいし、α,β−不飽和カルボン酸を1種類以上とα,β−不飽和カルボン酸の誘導体を1種類以上との組み合わせであってもよい。
【0029】
グラフト共重合の際の条件は特に限定はなく、溶融法、溶液法などの公知の方法に従って行えばよい。溶融法による場合、操作が簡単である上、短時間で反応できるという利点がある。溶液法による場合、副反応が少なく均一なグラフト重合物を得ることができる。
【0030】
溶融法による場合には、ラジカル反応開始剤の存在下でポリオレフィンを加熱融解(加熱溶融)して反応させる。加熱融解の温度は、融点以上であればよく、融点以上300℃以下であることが好ましい。加熱融解の際には、バンバリーミキサー、ニーダー、押し出し機などの機器を使用することができる。
【0031】
溶液法による場合には、ポリオレフィンを有機溶剤に溶解させた後、ラジカル反応開始剤の存在下に加熱撹拌して反応させる。有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤を用いることが好ましい。反応の際の温度は、100〜180℃であることが好ましい。
【0032】
溶融法及び溶液法の際用いるラジカル反応開始剤としては、塩素化ポリオレフィンの製造例において例示したラジカル反応開始剤が例示される。
【0033】
次に酸変性ポリオレフィン樹脂をクロロホルムなどの塩素系溶媒に溶解した後に塩素ガスを吹き込み、酸変性ポリオレフィンに塩素を導入する。
【0034】
塩素ガスの吹き込みは、紫外線の照射下で行うことができ、ラジカル反応開始剤の存在下及び不存在下のいずれにおいても行うことができる。塩素ガスの吹き込みを行う際の圧力は制限されず、常圧であってもよいし、加圧下であってもよい。塩素ガスの吹き込みを行う際の温度は特に制限されないが、通常は、50〜140℃である。ラジカル反応開始剤としては、上述の有機過酸化物系化合物又はアゾニトリル類を使用することができる。
【0035】
酸変性ポリオレフィンへの塩素導入が終了した後に酸変性塩素化ポリオレフィンを得ることができる。系内の塩素系溶媒は、通常、減圧などにより留去されるか、或いは、有機溶剤で置換される。
【0036】
本発明において、塩素化ポリオレフィンの塩素含有率は、10〜45重量%が好ましく、より好ましくは15〜35重量%である。10重量%以上であることにより、良好な溶剤溶解性が得られる。45重量%以下であることにより、極性を一定以下に抑えることができ、ポリオレフィン基材などの非極性基材に対し充分な接着性を得ることができる。
【0037】
塩素含有率はJIS−K7229に準じて測定することができる。すなわち、塩素含有樹脂を酸素雰囲気下で燃焼させ、発生した気体塩素を水で吸収し、滴定により定量する「酸素フラスコ燃焼法」を用いて測定することができる。後述の実施例における塩素含有率もこの方法で測定した値である。
【0038】
成分(A)は1種類の塩素化ポリオレフィンでもよいし、酸変性の有無、酸変性の方法、塩素含有率、分子量、原料のポリオレフィンの種類、製法等の異なる2種類以上の塩素化ポリオレフィンの組み合わせであってもよい。
【0039】
本発明において、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、(B)成分:α−オレフィンオキサイド及び/又はα,ω−オレフィンオキサイドを含む。これらはそれぞれ、一般式(1)及び一般式(2)で表される。
【0040】
【化3】
【化4】
【0041】
一般式(1)中、mは3〜26の整数である。mが3以上であることにより、適度な極性を示し、塩素化ポリオレフィンとの相溶性が良好であるため、安定剤としての性能が良好に発揮される。また揮発性も十分に低く、塗膜乾燥時の蒸発による塗膜外観の悪化、濃縮時、固形化時の減圧工程における揮散などの問題が生じない。mが26を超えないと、重量当たりのオキシラン酸素量が適当な量となり、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物として物性を損なわない添加量で優れた安定性を得ることができる。
【0042】
一般式(2)中、nは2〜28の整数である。nが2以上であることにより、適度な極性を示し、塩素化ポリオレフィンとの相溶性が良好であるため、安定剤としての性能が良好に発揮される。また揮発性も十分に低く、塗膜乾燥時の蒸発による塗膜外観の悪化、濃縮時、固形化時の減圧工程における揮散などの問題が生じない。nが28以下であることにより、重量当たりのオキシラン酸素量が適当な量となり、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物として物性を損なわない添加量で優れた安定性を得ることができる。
【0043】
本発明において、成分(A)が酸変性塩素化ポリオレフィンである場合には、成分(B)は一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイドを含むことが好ましく、一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイドであることがより好ましい。一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイドは1分子中にエポキシ基を1個だけ有している。そのため、本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物が酸変性塩素化ポリオレフィンと一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイドを含む場合には、組成物中の酸無水物又は有機酸との間の架橋反応が効率的に抑制される。またこの場合に、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物が溶剤をさらに含む場合に、組成物の溶液安定性を良好に保つことができる。
【0044】
一般式(1)中、mは7〜15であることが好ましい。一般式(1)で表され、かつ、mが7〜15であるα−オレフィンオキサイドは、減圧工程での揮発による損失及び重量当たりのオキシラン酸素量の間でバランスが取れており、より少ない添加量で効果的に安定化剤としての効能を発揮することができる。本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物が食品包装材用インキ等に使用される場合、安全性を鑑み、代表的な変異原性試験であるAmes試験において、変異原性が陰性であることが求められるケースがあるが、一般式(1)で表され、かつ、mが7〜15であるα−オレフィンオキサイドは、Ames試験において変異原性が陰性であるため、上記の様な用途に使用される際には、特に好ましい。
【0045】
一般式(2)中、nは10〜20であることが好ましい。一般式(2)で表され、かつ、nが10〜20であるα,ω−オレフィンオキサイドは、減圧工程での揮発による損失及び重量当たりのオキシラン酸素量の間でバランスが取れており、より少ない添加量で効果的に安定化剤としての効能を発揮することができる。
【0046】
本発明の組成物において、成分(B)の含有量は、成分(A)の含有量100重量部に対して、0.1〜15重量部であることが好ましい。0.1重量部以上であることにより、塩素化ポリオレフィンに対する安定性を良好に発現することができる。15重量部以下であることにより、ポリオレフィンに対する接着性を良好に発現することができる。
【0047】
成分(B)は、一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドは、1種類単独であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。すなわち、以下のいずれであってもよい:一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド1種類;一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイド1種類;一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド2種類以上の組み合わせ;一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイド2種類以上の組み合わせ;及び、1種類以上の一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイドと、1種類以上の一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドとの組み合わせ。
【0048】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、成分(G):成分(B)以外の安定剤を含有していてもよい。このような安定剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、グリシジルエーテル構造を有するエポキシ化合物(フェニルグリシジルエーテルなど)、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛などの金属石鹸類、酸化鉛、三塩基性硫酸鉛などの無機酸塩類、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートなどの有機金属化合物類などが挙げられる。
【0049】
成分(G)は1種類の安定剤であってもよいし、2種類以上の安定剤の組み合わせであってもよい。
【0050】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、成分(B)の含有量と、成分(G)の含有量との合計が、成分(A)の含有量100重量部に対して、0.1〜15重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜12重量部である。0.1重量部以上であることにより塩素化ポリオレフィンに対する安定化効果が良好に発現し、15重量部以下にすることでポリオレフィンなどの基材に対する接着性を良好に発現させることができる。
【0051】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、各種形態で使用できる。形態の例としては、有機溶剤を含む樹脂溶液、水系分散液などの溶液の形態、固形物の形態などが挙げられる。塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の形態は、用途など必要に応じて適宜選択できる。
【0052】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、成分(C):有機溶剤を含む樹脂溶液であってもよい。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのケトン系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式溶剤、ノナン、デカンなどの脂肪族溶剤などが挙げられる。
【0053】
成分(C)は1種類の有機溶剤でもよいし、2種類以上の有機溶剤の組み合わせであってもよい。
【0054】
成分(C)の含有量は、塩素化ポリオレフィン100重量部に対して、10〜95重量部であることが好ましく、30〜90重量部であることがより好ましい。
【0055】
成分(C)とともに、保存安定性を高めるために成分(H):希釈剤を添加してもよい。希釈剤としては、アルコール、プロピレン系グリコールエーテル等が例示される。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどが挙げられる。プロピレン系グリコールエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテルなどのプロピレン系グリコールエーテルなどが挙げられる。成分(H)は1種類の希釈剤であってもよいし、2種類以上の希釈剤の組み合わせであってもよい。成分(H)の添加量は、通常、成分(C)に対し1〜20重量%である。
【0056】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、製法としては例えば、塩素化ポリオレフィン樹脂に、一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドを加える方法が挙げられる。
【0057】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物が有機溶剤を更に含む場合の製造方法としては、例えば、塩素化後に反応系の塩素化溶媒を濃縮した後に、塩素化ポリオレフィンに、一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドを加えた後、有機溶剤と置換する方法が挙げられる。また、他の例としては、塩素化後に塩素化溶媒を濃縮した後に、塩素化ポリオレフィンに、一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドを加えた後、塩素化溶媒を減圧などによる留去、乾燥し、続けて有機溶剤を加える方法が挙げられる。
【0058】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、固形物(ペレットなど)であってもよい。固形物とは、有機溶剤、水性媒体などの溶剤(液体成分)を含まないことを意味する。固形物の製造方法としては、例えば、塩素化後に反応系の塩素化溶媒を濃縮した後に、塩素化ポリオレフィンに、一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドを加えた後、塩素化溶媒を除去する方法が挙げられる。塩素化溶媒の除去の方法としては、減圧などによる留去、乾燥が挙げられる。塩素化溶媒の除去の際、ドラムドライヤー、反応溶媒を減圧留去するためのベント口を設置したベント付き押出機などの機器を用いてもよい。
【0059】
塩素化溶媒を除去した後には、生成物をそのまま本発明の組成物として用いてもよいし、必要に応じて所望の形状に成形してもよい。成形の際には、押し出し機、水冷式ペレタイザーなどの機器を用いてもよい。
【0060】
固形物の製造方法としては、例えば、上記の有機溶剤を含む塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物を脱溶剤する方法も挙げられる。脱溶剤後には、生成物をそのまま本発明の組成物として用いてもよいし、必要に応じて所望の形状に成形してもよい。
【0061】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、更に成分(D):塩基性物質、成分(E):乳化剤、及び成分(F):水性媒体を更に含む水系分散液であってもよい。水系分散液において、成分(A)は酸変性塩素化ポリオレフィンを含むことが好ましく、酸変性塩素化ポリオレフィンであることがより好ましい。水系分散液においては、通常、酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂から構成される樹脂成分が、水性媒体に乳化及び/又は分散している。
【0062】
塩基性物質を添加することにより、酸変性塩素化ポリオレフィンの酸性成分を中和し、水性媒体への分散性をより高めることができる。塩基性物質としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられ、好ましくはアンモニア、トリエチルアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。
【0063】
成分(D)は、1種類の塩基性物質であってもよいし、2種類以上の塩基性物質の組み合わせであってもよい。
【0064】
成分(D)の含有量は、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物中の酸性成分の量に応じて、任意の量に調整することができる。一般には、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物のpHが5以上となる量であり、pH6〜10になる量が好ましい。pHが5以上であることにより、十分に中和がされるので、安定な分散性が保たれる。よって、酸変性塩素化ポリオレフィンが他の成分に分散しない、或いは分散しても経時的に沈殿、分離が生じ易いといった理由による、貯蔵安定性の悪化が防止される。また、pH10以下であることにより、他成分との相溶性、作業上の安全性を良好に保持することができる。
【0065】
成分(E):乳化剤を添加することにより、酸変性塩素化ポリオレフィンの、水性媒体への分散性の安定化を図ることができる。乳化剤の例としては界面活性剤が挙げられる。必要に応じて適当な界面活性剤を選択して使用できる。界面活性剤としては、例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤を用いることが好ましい。これにより、耐湿性などの安定性のより良好な塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物(水系分散液)が得られる。
【0066】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
【0067】
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、メチルタウリル酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられ、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩などが挙げられる。
【0068】
成分(E)は、1種類の乳化剤であってもよいし、2種類以上の乳化剤の組み合わせであってもよい。
【0069】
本発明において、成分(E)の添加量は、成分(A)100重量%に対して、一般に35重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。これにより、乳化剤の量を適量とすることができ、過剰な乳化剤に起因する接着性及び耐湿性の低下を防止できる。また過剰な乳化剤は、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物を乾燥被膜とした際に可塑効果、ブリード現象などの問題を引き起こし、ブロッキングの発生を招くが、上記添加量とすることによりこれらの問題も防止できる。乳化剤の添加量は、できる限り少ない方がよい。
【0070】
成分(F):水性媒体を添加することにより、樹脂成分を分散又は乳化することができる。水性媒体は水及び親水性物質から選ばれる。親水性物質とは、親水性を示す物質を意味する。親水性物質は、酸変性塩素化ポリオレフィンが溶けない極性物質が好ましい。このような極性物質としては、例えば、アルコール系、ケトン系、エステル系の親水性物質を挙げることができ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンが好ましい。
【0071】
成分(F)は、1種類の水性媒体であってもよいし、2種類以上の水性媒体を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
水系分散液には、その用途、目的に応じて、更に成分(I):架橋剤を含有していてもよい。
【0073】
架橋剤とは、酸変性塩素化ポリオレフィン、界面活性剤、塩基性物質などに存在する、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの基と反応し、架橋構造を形成する化合物を意味する。それ自身が水溶性の架橋剤、及び、架橋剤の水分散体(何らかの方法で水に分散されている状態の架橋剤)のいずれであってもよい。架橋剤としては、例えば、ブロックイソシアネート化合物、脂肪族又は芳香族のエポキシ化合物、アミン系化合物、アミノ樹脂などが挙げられる。架橋剤の添加方法は特に限定されない。例えば、水性化工程途中、或いは水性化後に添加することができる。
【0074】
成分(I)は、1種類の架橋剤であってもよいし、2種類以上の架橋剤の組み合わせであってもよい。
【0075】
水系分散液は、その用途、目的に応じて、他の成分を更に含んでもよい。他の成分としては、例えば、アルキッド樹脂、水性アクリル樹脂、水性ウレタン樹脂、上記酸変性ポリオレフィン以外の塩素化ポリオレフィン樹脂、低級アルコール類、低級ケトン類、低級エステル類、防腐剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、金属塩、酸類などが挙げられる。
【0076】
水系分散液の製造方法は特に限定されない。例えば、酸変性塩素化ポリオレフィン、一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイド、塩基性物質、界面活性剤、水性媒体及び必要に応じて配合される成分を、反応系に添加し、分散させて製造することができる。
【0077】
分散の際には、溶融助剤を用いてもよい。溶融助剤としては例えば、トルエンなどの有機溶媒を挙げることができる。
【0078】
各原料の添加順序は問わない。水系分散液の製造方法としては、例えば下記の工程(1)〜(6)を含む製造方法が挙げられる:
工程(1)酸変性塩素化ポリオレフィンをトルエンなどの有機溶剤に溶解させる工程;
工程(2)一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドを反応系に添加する工程;
工程(3)界面活性剤を反応系に添加する工程;
工程(4)塩基性物質を反応系に添加する工程;
工程(5)水性媒体を、必要に応じて溶融助剤と共に、反応系に添加する工程;及び
工程(6)減圧処理などにより溶融助剤を除去する工程。
【0079】
通常は、工程(5)において樹脂成分の乳化を行う。
【0080】
工程(1)〜(6)の順序は特に限定されず、この順に行ってもよいし、適宜入れ替えてもよい。また、工程(1)〜(6)のうち2つ以上の工程を同時に行ってもよいし、1つの工程を2回に分けて行ってもよい。
【0081】
一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(2)で表されるα,ω−オレフィンオキサイドの添加時は、樹脂成分の分散前でもよいし、分散後でもよいし、分散の前と後の両方でもよい。すなわち、上記の工程(2)は、工程(5)に先立って行ってもよいし、工程(5)の後に行ってもよい。
【0082】
水系分散液の製造方法としては、例えば、酸変性塩素化ポリオレフィン、一般式(1)で表されるα−オレフィンオキサイド及び/又は一般式(1)で表されるα,ω−オレフィンオキサイド、塩基性物質、界面活性剤、水性媒体、及び、必要に応じて配合される溶融助剤などの成分を、反応系に一括添加して撹拌する方法も挙げられる。
【0083】
上記撹拌は高温下で行い、撹拌終了後に冷却することが好ましい。撹拌終了後冷却までの間に、反応系の内圧をコントロール(好ましくは0.2MPa以上)して保持(例えば、1時間)することが好ましい。これにより、溶融助剤を全く含有しない水系分散液を得ることができる。また、溶融助剤を減圧処理で完全に除去することは一般に困難であるが、上記方法によれば溶融助剤を完全に除去でき、しかも減圧処理の工程を省略できるため、好ましい。
【0084】
各成分の分散方法は特に限定されない。分散方法としては、例えば、強制乳化法、転相乳化法、D相乳化法、ゲル乳化法などが挙げられる。水系分散液の製造の際には、撹拌羽根、ディスパー、ホモジナイザーなどの機器を用いる単独撹拌を行ってもよいし、及びこれらの機器のうち2以上の機器を組み合わせて用いる複合撹拌を行ってもよい。また、水系分散液の製造の際には、サンドミル、多軸押出機などの機器を使用してもよい。
【0085】
水系分散液においては、水性媒体中に樹脂成分が乳化及び/又は分散していることが好ましい。樹脂成分の平均粒子径は、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下である。300nmを超えると、水系分散液の、貯蔵安定性及び他の樹脂との相溶性が悪化するおそれがある。また、水系分散液の、基材への接着性、耐溶剤性(耐ガソホール性など)、耐湿性、耐ブロッキング性などの安定性が低下するおそれがある。粒子径の下限には特に制限はない。但し、平均粒子径が小さすぎると、一般的には界面活性剤の添加量が多くなり、基材への接着性、耐湿性、耐溶剤性などの安定性が低下する傾向が現れ易くなる。そのため、平均粒子径の下限は30nm以上であることが一般的である。尚、本発明における平均粒子径は、光拡散法を用いた粒度分布測定により測定することができ、後述の実施例中の数値はこの方法で測定された数値である。
【0086】
平均粒子径の調整は、例えば、界面活性剤の添加量、水性媒体中で樹脂を乳化する際の撹拌力などを適宜選択することにより行うことができる。樹脂成分の平均粒子径を300nm以下に調整するためには、水系分散液の調製の際に、有機溶剤などに水を加えて転相させる方法である転相乳化法、高いシェア力を持つ撹拌方法である複合撹拌、又は、サンドミル、多軸押出機などの機器を用いる方法を採用することが好ましい。
【0087】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、塗料、インキ、プライマー、接着剤及びヒートシール剤の各種用途において利用可能である。中でも、ポリオレフィン基材用塗料、ポリオレフィン基材用インキ、ポリオレフィン基材用接着剤、ポリオレフィン基材用プライマー、ポリオレフィン基材用ヒートシール剤として使用することが好ましい。
【0088】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、無機充填剤などの添加剤を配合してもよい。
【0089】
本発明の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物は、必要に応じて、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルポリオール、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリオール、ポリウレタン樹脂、他の塩素化ポリオレフィンなどの樹脂と併用してもよい。
【実施例】
【0090】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0091】
実施例1
メルトインデックスが14g/分(JIS K7210に準じて測定)で融点が160℃の結晶性ポリプロピレン4kgを、グラスライニングされた反応釜に投入し、50Lのクロロホルムを加えた。釜内をゲージ圧で0.3MPaまで加圧し、温度110℃で充分に溶解させた。その後、ラジカル反応開始剤としてtert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート4gを加え、上記釜内圧力を0.3MPaに維持しながら塩素ガスを吹き込み、塩素含有率30重量%、分子量180,000の塩素化ポリプロピレンのクロロホルム溶液を得た。次にクロロホルム溶液をエバポレーターを用いて濃縮した後、表1中のエポキシ化合物No.1を安定剤として加え、反応溶媒であるクロロホルムをトルエンに置換した。こうして、固形分濃度が20重量%(トルエン溶液)である、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得た。得られた溶液について、下記試験(粘着テープ剥離試験、フィルム性状試験、溶液の熱安定性試験)を行った。結果を表2に示す。
【0092】
実施例2
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.2を用いた以外は実施例1と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0093】
実施例3
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.3を用いた以外は実施例1と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0094】
実施例4
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.4を用いた以外は実施例1と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2示す。
【0095】
実施例5
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.5を用いた以外は実施例1と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0096】
実施例6
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.6を用いた以外は実施例1と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0097】
実施例7
実施例1と同様に塩素化を行った後、表1中のエポキシ化合物No.1を安定剤として加えた。反応溶媒を減圧留去するためのベント口を設置したベント付2軸押出機でクロロホルムを除去し、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物をストランド状に押出して水で冷却した。その後、水冷式ペレタイザーでペレット化し、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物を得た。得られた固形物について、下記試験(ペレットの熱安定性試験)を行った。結果を表2に示す。また、固形物をトルエンに加熱溶解し、20%トルエン溶液を調製し、下記試験(粘着テープ剥離試験、フィルム性状試験、溶液の熱安定性試験)を行った。結果を表2に示す。
【0098】
実施例8
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.2を用いた以外は実施例7と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0099】
実施例9
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.3を用いた以外は実施例7と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0100】
実施例10
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.4を用いた以外は実施例7と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0101】
実施例11
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.5を用いた以外は実施例7と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0102】
実施例12
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.6を用いた以外は実施例7と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0103】
実施例13
メルトインデックスが35g/分(JIS K7210に準じて測定)で融点が125℃である、エチレン含有量5モル%のエチレン−プロピレン共重合物5kgを、攪拌機と滴下ロートとモノマーを還流するための冷却管とを取り付けた三ツ口フラスコ中に入れ、180℃で一定に保たれた油浴中で完全に溶融した。フラスコ内の窒素置換を約10分間行った後、撹拌を行いながら無水マレイン酸200gを約5分間かけて投入し、次にジ−tert−ブチルパーオキサイド20gを50mlのヘプタンに溶解し滴下ロートより約30分間かけて投入した。このとき、系内は180℃に保たれ、更に1時間反応を継続した後、アスピレーターでフラスコ内を減圧しながら約1時間かけて未反応の無水マレイン酸を取り除き、酸変性エチレン−プロピレン共重合物を得た。無水マレイン酸のグラフト量は、酸変性エチレン−プロピレン共重合物100重量%に対して、3.1重量%であった。
【0104】
次に、原料樹脂として、結晶性ポリプロピレンの替わりに、上述の酸変性エチレン−プロピレン共重合物を用いたこと以外は、実施例1と同様な方法で、塩素化、安定剤(表1中のエポキシ化合物No.1)の添加、トルエンへの濃縮置換を行い、塩素含有率が22重量%、固形分濃度が20重量%(トルエン溶液)である、分子量65,000の酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得た。得られた溶液について、下記試験(接着強度試験、フィルム性状試験、溶液の熱安定性試験、粘度安定性試験)を行った。結果を表3に示す。
【0105】
実施例14
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.2を用いた以外は実施例13と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物のトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0106】
実施例15
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.3を用いた以外は実施例13と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物のトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0107】
実施例16
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.4を用いた以外は実施例13と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物のトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0108】
実施例17
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.5を用いた以外は実施例13と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物のトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0109】
実施例18
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.6を用いた以外は実施例13と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物のトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0110】
実施例19
実施例13と同様に塩素化を行った後、表1中のエポキシ化合物No.1を安定剤として加えた。反応溶媒を減圧留去するためのベント口を設置したベント付2軸押出機でクロロホルムを除去し、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物をストランド状に押出して水で冷却したその後、水冷式ペレタイザーでペレット化し、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物を得た。得られた固形物について、下記試験(ペレットの熱安定性試験)を行った。結果を表3に示す。また、固形物をトルエンに加熱溶解し、20%トルエン溶液を調製し、下記試験(接着強度試験、フィルム性状試験、溶液の熱安定性試験、粘度安定性試験)を行った。結果を表3に示す。
【0111】
実施例20
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.2を用いた以外は実施例19と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0112】
実施例21
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.3を用いた以外は実施例19と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0113】
実施例22
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.4を用いた以外は実施例19と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0114】
実施例23
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.5を用いた以外は実施例19と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0115】
実施例24
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.6を用いた以外は実施例19と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0116】
実施例25
原料樹脂として、結晶性ポリプロピレンの替わりに、メルトインデックスが18g/分(JIS K7210に準じて測定)で、酢酸ビニル含有量が16モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合物を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、塩素化、安定剤(表1中のエポキシ化合物No.1)の添加、トルエンへの濃縮置換を行い、塩素含有率が16重量%の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得た。得られた溶液について、下記試験(粘着テープ剥離試験、フィルム性状試験、溶液の熱安定性試験)を行った。結果を表4に示す。
【0117】
実施例26
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.2を用いた以外は実施例25と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0118】
実施例27
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.3を用いた以外は実施例25と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0119】
実施例28
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.4を用いた以外は実施例25と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0120】
実施例29
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.5を用いた以外は実施例25と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0121】
実施例30
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.6を用いた以外は実施例25と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0122】
実施例31
実施例25と同様に塩素化を行った後、表1中のエポキシ化合物No.1を安定剤として加えた。反応溶媒を減圧留去するためのベント口を設置したベント付2軸押出機でクロロホルムを除去し、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物をストランド状に押出して水で冷却した。その後、水冷式ペレタイザーでペレット化し、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物を得た。得られた固形物について、下記試験(ペレットの熱安定性試験)を行った。結果を表4に示す。また、固形物をトルエンに加熱溶解し、20%トルエン溶液を調製し、下記試験(粘着テープ剥離試験、フィルム性状試験、溶液の熱安定性試験)を行った。結果を表4に示す。
【0123】
実施例32
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.2を用いた以外は実施例31と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0124】
実施例33
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.3を用いた以外は実施例31と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0125】
実施例34
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.4を用いた以外は実施例31と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0126】
実施例35
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.5を用いた以外は実施例31と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0127】
実施例36
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.6を用いた以外は実施例31と同様の手順で、塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0128】
比較例1〜8
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.7〜14のそれぞれを用いた以外は実施例1と同様の手順で、8種類の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物のトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0129】
比較例9〜16
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.7〜14のそれぞれを用いた以外は実施例7と同様の手順で、8種類の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0130】
比較例17〜24
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.7〜14のそれぞれを用いた以外は実施例13と同様の手順で、8種類の酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物のトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0131】
比較例25〜32
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.7〜14のそれぞれを用いた以外は実施例19と同様の手順で、8種類の酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0132】
比較例33〜40
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.7〜14のそれぞれを用いた以外は実施例25と同様の手順で、8種類の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物のトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0133】
比較例41〜48
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.7〜14のそれぞれを用いた以外は実施例31と同様の手順で、8種類の塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表4に示す。
【0134】
実施例43
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.22を用いた以外は実施例19と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0135】
実施例44
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.23を用いた以外は実施例19と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0136】
実施例45
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.24を用いた以外は実施例19と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0137】
実施例46
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.25を用いた以外は実施例19と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の固形物及びそのトルエン溶液を得、同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0138】
[試験方法]
実施例1〜36、実施例43〜46及び比較例1〜48で得られた溶液及び固形物について、以下の評価を行った。
【0139】
<接着強度試験>
試験に供するサンプル溶液を、#14のマイヤーバーを用いて二軸延伸ポリプロピレンフィルム(コロナ処理無)に塗布し、室温で24時間乾燥した。乾燥後、塗布していない二軸延伸ポリプロピレンフィルムと重ね合わせ、No.276ヒートシールテスター(安田精機製作所)を用いて1.0kgf/cm2、140℃、5秒間の条件でヒートシールを行った。各試験片を15mm幅となるように切断し、引っ張り試験機を用いて100mm/minで引き剥がし、その剥離強度を測定した。3回試験を行って、その平均値を結果とした。
【0140】
<粘着テープ剥離試験>
試験に供するサンプル溶液100gと二酸化チタン20gを、サンドミルで3時間混練した後に、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘度になるようにトルエンで希釈し、インキを調製した。得られたインキを、#14のマイヤーバーを用いて、実施例25〜36及び比較例33〜48については高密度ポリエチレンフィルムに、それ以外のサンプルについては二軸延伸ポリプロピレンフィルム(コロナ処理無)に塗布し、室温で24時間乾燥した。乾燥後、セロハン粘着テープをインキ塗工面に貼り付け、一気に剥がした時の塗工面の状態を、以下に示す基準で評価した。
【0141】
(粘着テープ剥離試験の評価基準)
○:剥がれが全くない状態
△:一部剥がれが認められる状態
×:剥がれがある状態
【0142】
<フィルム性状試験>
試験に供するサンプル溶液を、ガラス板にフィルム状に塗布し、1日経過後のガラス板塗布面の塗膜の性状を観察し、以下に示す基準で評価した。
【0143】
(フィルム性状試験の評価基準)
○:クリア
△:やや白濁
×:白濁又は二層分離
【0144】
<溶液の熱安定性試験>
(溶液の熱安定性試験の評価基準)
試験に供するサンプル溶液1gをアルミカップに入れ、140℃に設定した送風乾燥機中に保持し、経時での着色の有無を下記に示す基準で評価した。
【0145】
○:着色無し
△:茶褐色に変色
×:黒色に変色
【0146】
<ペレットの熱安定性試験>
試験に供するサンプルペレット10gを内容積が約50mLのガラス容器に採り、pH試験紙をガラス容器の空間部に吊して完全に密閉し、50℃の送風乾燥機に入れ、1ヶ月保管後のペレットの着色の有無を以下に示す基準で評価した。
【0147】
(ペレットの熱安定性試験の評価基準)
○:着色無し
△:茶褐色に変色
×:黒色に変色
【0148】
<粘度安定性試験>
試験に供するサンプル溶液を、40℃に保った恒温槽中に1ヶ月間置き、経時前後の粘度の差より、粘度安定性を以下の基準で評価した。
【0149】
(粘度安定性試験の評価基準)
○:0mPa・s以上50mPa・s未満
△:50mPa・s以上100mPa・s未満
×:100mPa・s以上
【0150】
表2〜4に実施例及び比較例で得られた塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の概要及び評価結果を示す。
【0151】
【表1】
【0152】
表1中のα−オレフィンオキサイド(1)は、下記一般式(5)で表され、m=11であるモノエポキシ化合物である。表1中のα−オレフィンオキサイド(2)は、下記一般式(5)で表され、m=27であるモノエポキシ化合物である。表1中のα−オレフィンオキサイド(3)は、下記一般式(5)で表され、m=7であるモノエポキシ化合物である。表1中のα−オレフィンオキサイド(4)は、下記一般式(5)で表され、m=15であるモノエポキシ化合物である。表1中のα,ω−オレフィンオキサイドは、下記一般式(6)で表され、n=14であるジエポキシ化合物である。表1中のα,ω−オレフィンオキサイド(2)は、下記一般式(6)で表され、n=10であるジエポキシ化合物である。表1中のα,ω−オレフィンオキサイド(3)は、下記一般式(6)で表され、n=20であるジエポキシ化合物である。
【0153】
【化5】
【0154】
【化6】
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
【表4】
【0158】
実施例37
攪拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを取り付けた2L容4つ口フラスコ中に、実施例19で得られた酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂の固形物100g、安定剤としての表1中のエポキシ化合物No.1、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)28g及びトルエン36gを添加し、120℃で30分混錬した。次に、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール8gを5分かけて添加し、5分間保持した後、90℃の温水970gを40分かけて添加した。減圧処理を行い、トルエンを除去した後、室温まで攪拌しながら冷却し、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0159】
実施例38
実施例20で得られた酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂の固形物を用いた以外は実施例37と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0160】
実施例39
実施例21で得られた酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂の固形物を用いた以外は実施例37と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0161】
実施例40
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.1の替わりにエポキシ化合物No.15を用いた以外は実施例37と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0162】
実施例41
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.1の替わりにエポキシ化合物No.16を用いた以外は実施例37と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0163】
実施例42
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.1の替わりにエポキシ化合物No.17を用いた以外は実施例37と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0164】
比較例49〜52
比較例25〜28で得られた酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂の固形物と、安定剤として表1中のエポキシ化合物No.7〜10のそれぞれを用いた以外は、実施例37と同様の手順で、4種類の酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0165】
比較例53〜56
比較例25〜28のそれぞれで得られた酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂の固形物と、安定剤として表1中のエポキシ化合物No.18〜21のそれぞれを用いた以外は、実施例40と同様の手順で、4種類の酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0166】
実施例47
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.1の替わりにエポキシ化合物No.22を用いた以外は実施例37と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0167】
実施例48
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.1の替わりにエポキシ化合物No.23を用いた以外は実施例37と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0168】
実施例49
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.1の替わりにエポキシ化合物No.24を用いた以外は実施例37と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0169】
実施例50
安定剤として表1中のエポキシ化合物No.1の替わりにエポキシ化合物No.25を用いた以外は実施例37と同様の手順で、酸変性塩素化ポリオレフィン系樹脂組成物の水系分散液を得た。
【0170】
[試験方法]
実施例37〜42、47〜50及び比較例49〜56で得られた水性分散液について、以下の評価を行った。結果を表5に示す。
【0171】
<試験片の作製>
固形分濃度30重量%の水性分散液をポリプロピレン基材に塗装し、80℃で5分間乾燥した後、二液ウレタン塗料を塗装し、80℃で30分乾燥し、試験片(塗装板)を作製した後に各試験を行った。
【0172】
<保存安定性試験>
水性分散液を50℃で保管したときの経時での分析値を確認し、高温保存安定性を以下に示す基準で評価した。
【0173】
(保存安定性の評価基準)
○:流動性を示す場合
△:やや流動性が失われた場合
×:ゲル、プリン状の流動性が無くなった場合
【0174】
<接着性試験>
塗装板の塗面状に1mm間隔で素地に達する100個の碁盤目を作り、その上にセロハン粘着テープを密着させて180゜方向に10回引き剥がし、接着性を以下に示す基準で評価した。
【0175】
(接着性の評価基準)
○:塗膜の剥離がなかった場合
△:塗膜のマス目が50個以上剥離しなかった場合
×:塗膜が50個より多く剥離した場合
【0176】
<耐ガソホール性試験>
塗装板をレギュラーガソリン/エタノール=9/1(v/v)に120分浸漬し塗膜の状態を観察し、耐ガソホール性を以下に示す基準で評価した。
【0177】
(耐ガソホール性の評価基準)
○:塗膜表面に変化がなかった場合
×:塗膜表面に剥離が生じた場合
【0178】
<耐湿性試験>
40℃の温水に塗装板を240時間浸漬し、塗膜の状態と接着性を調べ、耐湿性を以下に示す基準で評価した。
【0179】
(耐湿性の評価基準)
○:塗膜表面に変化がなく、接着性が良好な場合
×:塗膜表面にブリスターが生じ、剥離が生じた場合
【0180】
【表5】
【国際調査報告】