特表-13157165IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2013-157165永久磁石式回転電機、及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月24日
【発行日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】永久磁石式回転電機、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/14 20060101AFI20151124BHJP
【FI】
   H02K1/14 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】36
【出願番号】特願2014-511074(P2014-511074)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年12月13日
(11)【特許番号】特許第5677622号(P5677622)
(45)【特許公報発行日】2015年2月25日
(31)【優先権主張番号】特願2012-96450(P2012-96450)
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏則
(72)【発明者】
【氏名】山口 信一
(72)【発明者】
【氏名】十時 詠吾
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601AA23
5H601BB01
5H601CC17
5H601DD01
5H601DD11
5H601GB06
5H601GB32
5H601GB48
5H601GD02
5H601GD07
5H601GD18
(57)【要約】
回転電機1は、回転子2、及び固定子3を有している。固定子3は、回転子2の周方向について互いに間隔を置いて配置された複数のティース11及び互いに隣り合うティース11の径方向内側端部同士をそれぞれ連結する複数のティース間連結部12を含み回転子2を囲む環状のコア本体13と、各ティース11内にそれぞれ保持された複数の永久磁石14と、各ティース11にそれぞれ設けられた複数の固定子コイル15と、コア本体13を囲んだ状態でコア本体13の外周部に嵌められた環状のコアバック16とを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子、及び
上記回転子の周方向について互いに間隔を置いて配置された複数のティース及び互いに隣り合う上記ティースの径方向内側端部同士をそれぞれ連結する複数のティース間連結部を含み上記回転子を囲む環状のコア本体と、各上記ティース内にそれぞれ保持された複数の永久磁石と、各上記ティースにそれぞれ設けられた複数の固定子コイルと、上記コア本体と別体とされ、上記コア本体を囲んだ状態で上記コア本体の外周部に嵌められた環状のコアバックとを有する固定子
を備えていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項2】
上記コアバックには、各上記ティースの径方向外側端部がそれぞれ嵌る複数の凹部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項3】
上記ティースには、上記ティースの径方向内側端部及び径方向外側端部のいずれかで開放され、上記永久磁石を収容する磁石収容溝が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項4】
上記ティースには、上記永久磁石に係合して上記永久磁石が上記磁石収容溝の開放部分から抜けることを防止する磁石抜け防止部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項5】
上記固定子コイルは、筒状のコイル枠に巻かれた状態で上記コイル枠を介して上記ティースに設けられており、
上記コイル枠には、上記永久磁石に係合して上記永久磁石が上記磁石収容溝の開放部分から抜けることを防止する磁石抜け防止部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項6】
各上記ティースは、上記磁石収容溝を上記固定子の周方向について両側から挟む一対の対向壁部と、上記ティースの径方向内側端部及び径方向外側端部のうち、上記磁石収容溝の開放部分が設けられた端部と異なる端部で上記一対の対向壁部同士を連結する壁連結部とを有し、
上記コア本体は、複数のコア本体断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
上記ティース間連結部及び上記壁連結部の少なくともいずれかには、各上記コア本体断面部材の材料を塑性変形させることにより形成されて各上記コア本体断面部材間で嵌め合わされるかしめ部が設けられていることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項7】
各上記ティースは、上記磁石収容溝を上記固定子の周方向について両側から挟む一対の対向壁部と、上記ティースの径方向内側端部及び径方向外側端部のうち、上記磁石収容溝の開放部分が設けられた端部と異なる端部で上記一対の対向壁部同士を連結する壁連結部とを有し、
上記コア本体は、複数のコア本体断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
複数の上記コア本体断面部材のいずれかは、上記ティース間連結部の断面を形成する部分及び上記壁連結部の断面を形成する部分をそれぞれ含む第1のコア本体断面部材とされ、
複数の上記コア本体断面部材のいずれかは、上記ティース間連結部の断面を形成する部分及び上記壁連結部の断面を形成する部分の少なくともいずれかが除かれた第2のコア本体断面部材とされていることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項8】
上記コアバックは、各上記ティースの径方向外側端部間にそれぞれ配置された複数の厚肉部と、互いに隣り合う厚肉部同士を、上記ティースよりも径方向外側でそれぞれ連結する複数の薄肉部とを有し、かつ、複数のコアバック断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
各上記コアバック断面部材における上記薄肉部の断面を形成する部分には、各上記コアバック断面部材の材料を塑性変形させることにより形成されて各上記コアバック断面部材間で嵌め合わされるかしめ部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項9】
上記コアバックは、各上記ティースの径方向外側端部間にそれぞれ配置された複数の厚肉部と、互いに隣り合う厚肉部同士を、上記ティースよりの径方向外側でそれぞれ連結する複数の薄肉部とを有し、かつ、複数のコアバック断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
複数の上記コアバック断面部材のいずれかは、上記薄肉部の断面を形成する部分を含む第1のコアバック断面部材とされ、
複数の上記コアバック断面部材のいずれかは、上記薄肉部の断面を形成する部分が除かれた第2のコアバック断面部材とされていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項10】
上記コア本体は、複数のコア本体断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
上記ティース間連結部の厚さ寸法は、上記コア本体断面部材の厚さ寸法以上であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項11】
請求項1に記載の永久磁石式回転電機を製造する永久磁石式回転電機の製造方法であって、
上記永久磁石を上記ティース内に保持させる永久磁石取付工程、
上記コア本体の径方向外側から上記ティースに上記固定子コイルを装着するコイル装着工程、及び
上記永久磁石取付工程後でかつ上記コイル装着工程後に、上記コアバックの内側に上記コア本体を挿入することにより上記コアバックの内側に上記コア本体を嵌めるコアバック取付工程
を備えていることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の永久磁石式回転電機の製造方法であって、
上記永久磁石取付工程では、上記ティースに設けられた磁石収容溝に上記永久磁石を挿入することにより、上記ティースの磁石抜け防止部を上記永久磁石に係合させることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の永久磁石式回転電機の製造方法であって、
上記永久磁石取付工程では、上記ティースの径方向外側端部で開放された磁石収容溝の開放部分から上記永久磁石を上記磁石収容溝内に挿入して上記ティース内に上記永久磁石を保持させ、
上記コイル装着工程では、上記永久磁石取付工程後に、上記固定子コイルが巻かれた筒状のコイル枠を上記コア本体の径方向外側から上記ティースに装着することにより、上記コイル枠の磁石抜け防止部を上記永久磁石に係合させることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばモータや発電機等として用いられる永久磁石式回転電機、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば産業用や車載用のモータ等として用いられる永久磁石式回転電機においては、小形化、高速化、使用速度範囲の広範囲化等が求められている。
【0003】
従来、これらの要求に応えるために、電機子鉄心に複数のティースを周方向略一定ピッチで設け、各ティースの中央部に設けた磁石収容溝に永久磁石を収容するとともに、互いに隣接する永久磁石を互いに周方向逆向きに着磁した回転電機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来、製造を容易にするために、永久磁石を挟んだ一対の分割ティースにコイルを巻いて作製した複数のモジュールを環状に並べて電機子を構成した回転電機も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−199679号公報
【特許文献2】特表2009−509490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に示されている従来の回転電機では、筒状のコアバックの内周部から複数のティースが突出し、各ティース間に形成されたスロットが径方向内側に開放されているので、スロットの開放部分の幅が狭くなり、各ティースにコイルを高密度で巻くことが難しくなってしまう。これにより、回転電機の製造に手間がかかるだけでなく、回転電機のトルク密度も低下してしまう。また、各ティース間距離が広がる方向へコアバックを展開した状態でコイルをティースに巻いた後、コアバックを筒状に丸める方法も考えられるが、この場合、コアバックを丸めるときにコアバックに歪みが生じやすく、コアバックの内面形状を真円に近づけにくくなってしまう。これにより、例えばコギングトルクが増大してしまい、回転電機の動作特性が悪化してしまう。
【0007】
また、特許文献2に示されている従来の回転電機では、複数のモジュールを環状に並べて電機子を作製しているので、電機子の内面形状を真円に保ちにくくなってしまい、この場合も、回転電機の動作特性が悪化してしまう。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、製造を容易にすることができるとともに、動作特性の向上を図ることができる永久磁石式回転電機、及びその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による永久磁石式回転電機は、回転子、及び回転子の周方向について互いに間隔を置いて配置された複数のティース及び互いに隣り合うティースの径方向内側端部同士をそれぞれ連結する複数のティース間連結部を含み回転子を囲む環状のコア本体と、各ティース内にそれぞれ保持された複数の永久磁石と、各ティースにそれぞれ設けられた複数の固定子コイルと、コア本体と別体とされ、コア本体を囲んだ状態でコア本体の外周部に嵌められた環状のコアバックとを有する固定子を備えている。
【0010】
この発明による永久磁石式回転電機の製造方法は、永久磁石をティース内に保持させる永久磁石取付工程、コア本体の径方向外側からティースに固定子コイルを装着するコイル装着工程、及び永久磁石取付工程後でかつコイル装着工程後に、コアバックの内側にコア本体を挿入することによりコアバックの内側にコア本体を嵌めるコアバック取付工程を備えている。
【発明の効果】
【0011】
この発明による永久磁石式回転電機、及びその製造方法によれば、製造を容易にすることができるとともに、動作特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の実施の形態1による永久磁石式回転電機を示す断面図である。
図2図1のコア本体を示す断面図である。
図3図1のコアバックを示す断面図である。
図4図1の永久磁石及び固定子コイルがコア本体に取り付けられるときの状態を示す分解斜視図である。
図5図1のコア本体がコアバックに取り付けられるときの状態を示す断面図である。
図6】この発明の実施の形態2による永久磁石式回転電機を示す断面図である。
図7図6のコア本体を示す断面図である。
図8図6の永久磁石及び固定子コイルがコア本体に取り付けられるときの状態を示す分解斜視図である。
図9】この発明の実施の形態3による永久磁石式回転電機のコア本体、永久磁石及び固定子コイルを示す要部斜視図である。
図10図9のコイル枠を示す斜視図である。
図11】この発明の実施の形態4による永久磁石式回転電機を示す断面図である。
図12図11のコア本体を示す断面図である。
図13】この発明の実施の形態5による永久磁石式回転電機を示す断面図である。
図14図13のコア本体を示す断面図である。
図15】実施の形態6による永久磁石式回転電機を示す断面図である。
図16図15のコアバックを示す断面図である。
図17図15のコア本体を示す断面図である。
図18】この発明の実施の形態7による永久磁石式回転電機のコア本体を示す断面図である。
図19】この発明の実施の形態8による永久磁石式回転電機のコア本体を示す断面図である。
図20】この発明の実施の形態9による永久磁石式回転電機のコア本体を示す断面図である。
図21】この発明の実施の形態10による永久磁石式回転電機のコア本体を示す断面図である。
図22】この発明の実施の形態11による永久磁石式回転電機のコア本体を構成するコア本体断面部材を示す要部斜視図である。
図23図22の第1のコア本体断面部材を示す正面図である。
図24図22の第2のコア本体断面部材を示す正面図である。
図25】この発明の実施の形態11による永久磁石式回転電機のコアバックを構成するコアバック断面部材を示す要部斜視図である。
図26図25の第1のコアバック断面部材を示す正面図である。
図27図25の第2のコアバック断面部材を示す正面図である。
図28】この発明の実施の形態12による永久磁石式回転電機のコアバックを示す断面図である。
図29】この発明の実施の形態12による永久磁石式回転電機のコア本体を示す断面図である。
図30図1の固定子の要部を示す断面図である。
図31図30のコアバックのコアバック厚さ比t1/t0と、モータとしての回転電機の出力との関係を示すグラフである。
図32】この発明の実施の形態13の変形例を示す断面図である。
図33】この発明の実施例14Aによる回転電機の固定子の要部を示す断面図である。
図34】この発明の実施例14Bによる回転電機の固定子の要部を示す断面図である。
図35】実施例14A及び実施例14Bと比較するための比較例による回転電機の固定子の要部を示す断面図である。
図36】実施例14A、実施例14B及び比較例のそれぞれによる回転電機の出力の比較結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による永久磁石式回転電機を示す断面図である。図において、永久磁石式回転電機1(以下、単に「回転電機1」という)は、回転子2と、回転子2の径方向外側に配置され、回転子2の外周を囲む円筒状の固定子3とを有している。
【0014】
回転子2は、回転電機1の軸線を中心に固定子3に対して回転可能になっている。また、回転子2は、円柱状の回転子本体4と、回転子本体4の外周面からそれぞれ突出し、回転子2の周方向へ互いに間隔を置いて配置された複数の突極部5とを有している。この例では、10個の突極部5が回転子2の周方向へ等間隔で配置されている。また、回転子2は、複数の磁性板(例えば電磁鋼板等)が回転電機1の軸線方向(以下、単に「軸線方向」という)へ積層されて構成されている。
【0015】
固定子3は、回転子2と同軸に配置されている。また、固定子3は、回転子2を囲む環状のコア本体13と、コア本体13にそれぞれ設けられた複数の永久磁石14及び複数の固定子コイル15と、コア本体13とは別体とされ、コア本体13を囲んだ状態でコア本体13の外周部に嵌められた環状のコアバック16とを有している。回転電機1では、固定子コイル15への通電により回転磁界が発生し、回転子2が回転される。
【0016】
図2は、図1のコア本体13を示す断面図である。コア本体13は、回転子2の周方向へ互いに間隔を置いて配置された複数のティース11と、互いに隣り合うティース11の径方向内側端部同士をそれぞれ連結する複数のティース間連結部12とを有している。各ティース11は、固定子3の径方向に沿って放射状に配置されている。これにより、各ティース11の径方向外側端部間は、広く開放されている。
【0017】
各ティース間連結部12は、厚さ方向を固定子3の径方向に一致させて円弧状に配置されている。コア本体13の内周面は、各ティース11及び各ティース間連結部12により断面円形に形成されている。
【0018】
各ティース11内には、ティース11の径方向外側端部で開放された磁石収容溝23が設けられている。磁石収容溝23は、深さ方向を固定子3の径方向に一致させてティース11に設けられている。永久磁石14は、各磁石収容溝23にそれぞれ収容されている。この例では、磁石収容溝23の幅寸法(即ち、固定子3の周方向についての磁石収容溝23の寸法)は、磁石収容溝23の深さ方向のどの位置でも一定となっている。従って、永久磁石14は、磁石収容溝23の開放部分から磁石収容溝23内に挿入可能になっている。
【0019】
各ティース11は、固定子3の周方向について磁石収容溝23を両側から挟む一対の対向壁部21と、ティース11の径方向内側端部(即ち、ティース11の径方向内側端部及び径方向外側端部のうち、磁石収容溝23の開放部分が設けられた端部と異なる端部)で一対の対向壁部21同士を連結する壁連結部22とを有している。磁石収容溝23の内面は、一対の対向壁部21及び壁連結部22により形成されている。壁連結部22は、厚さ方向を固定子3の径方向に一致させて円弧状に配置されている。この例では、各壁連結部22の厚さ寸法が各ティース間連結部12の厚さ寸法と同一とされている。
【0020】
コア本体13は、磁性板(例えば電磁鋼板等)を所定の形状に打ち抜いて作製した複数のコア本体断面部材が軸線方向へ積層されて構成されている。各コア本体断面部材は、各ティース11の断面を形成する部分(複数のティース断面形成部)と、各ティース間連結部12の断面を形成する部分(複数のティース間連結部断面形成部)とを有している。各ティース断面形成部は、一対の対向壁部21の断面を形成する部分(一対の対向壁部断面形成部)及び壁連結部22の断面を形成する部分(壁連結部断面形成部)を有している。
【0021】
永久磁石14は、図1に示すように、磁石収容溝23内に収容されている。また、永久磁石14は、ティース11の幅方向中央部に配置されている。磁石収容溝23内には、永久磁石14が隙間なく嵌っている。
【0022】
永久磁石14は、固定子3の周方向へ着磁されている。また、互いに隣り合う永久磁石14の着磁方向は、固定子3の周方向について逆向きになっている。なお、図1では、永久磁石14の着磁方向をN及びSの極性で示している。
【0023】
図3は、図1のコアバック16を示す断面図である。コアバック16は、各ティース11の径方向外側端部間にそれぞれ配置された状態で固定子3の周方向へ互いに間隔を置いて配置された複数の厚肉部31と、互いに隣り合う厚肉部31同士を、ティース11よりも径方向外側でそれぞれ連結する複数の薄肉部32とを有している。各薄肉部32は、厚さ方向を固定子3の径方向に一致させて配置されている。この例では、各薄肉部32の径方向内側の面が平面とされ、各薄肉部32の径方向外側の面が円弧状の曲面とされている。
【0024】
コアバック16の内周部には、各ティース11の径方向外側端部がそれぞれ嵌る複数の凹部33が固定子3の周方向へ互いに間隔を置いて設けられている。各凹部33は、深さ方向を固定子3の径方向に一致させてコアバック16にそれぞれ設けられている。各凹部33の内面は、各厚肉部31及び各薄肉部32により形成されている。この例では、各凹部33の深さ寸法が薄肉部32の厚さ寸法よりも大きくなっている。また、この例では、薄肉部32の厚さ寸法がティース間連結部12及び壁連結部22のそれぞれの厚さ寸法とほぼ同一とされている。
【0025】
コア本体13は、図1に示すように、各ティース11の径方向外側端部を各凹部33にそれぞれ嵌めた状態で、コアバック16の内側に嵌っている。ティース11が凹部33に嵌った状態では、永久磁石14の一部が凹部33内に挿入されている。磁石収容溝23の開放部分は、ティース11の径方向外側端部が凹部33に嵌ることにより薄肉部32で塞がれている。これにより、永久磁石14が磁石収容溝23の開放部分から抜けることが防止されている。
【0026】
コアバック16は、磁性板(例えば電磁鋼板等)を所定の形状に打ち抜いて作製した複数のコアバック断面部材が軸線方向へ積層されて構成されている。各コアバック断面部材は、各厚肉部31の断面を形成する部分(複数の厚肉部断面形成部)と、各薄肉部32の断面を形成する部分(複数の薄肉部断面形成部)とを有している。
【0027】
図4は、図1の永久磁石14及び固定子コイル15がコア本体13に取り付けられるときの状態を示す分解斜視図である。永久磁石14は、コア本体13の径方向外側から磁石収容溝23の開放部分を通して磁石収容溝23内に挿入される。固定子コイル15は、コア本体13の径方向外側からティース11に装着される。
【0028】
固定子コイル15は、導線を巻いて作製した筒状のコイルである。また、固定子コイル15は、ティース11が固定子コイル15の内側に挿入された状態で各ティース11にそれぞれ装着される。ティース11が固定子コイル15の内側に挿入されることにより、永久磁石14が磁石収容溝23から軸線方向へ抜けることが防止される。
【0029】
図5は、図1のコア本体13がコアバック16に取り付けられるときの状態を示す断面図である。コア本体13は、永久磁石14及び固定子コイル15が各ティース11にそれぞれ取り付けられた状態で、コアバック16の内側に嵌められる。コア本体13がコアバック16の内側に嵌られるときには、コア本体13が軸線方向に沿ってコアバック16の内側に挿入される。コア本体13は、例えば焼き嵌めや圧入等によってコアバック16の内側に挿入されている。
【0030】
次に、回転電機1の製造方法について説明する。まず、回転子2、コア本体13、複数の固定子コイル15及びコアバック16を予め作製しておく。また、磁性体を着磁することにより複数の永久磁石14も予め作製しておく。
【0031】
この後、図4に示すように、コア本体13の径方向外側から、ティース11に設けられた磁石収容溝23の開放部分を通して永久磁石14を磁石収容溝23内に挿入する。これにより、永久磁石14がティース11内に保持される(永久磁石取付工程)。
【0032】
この後、図4に示すように、コア本体13の径方向外側から、固定子コイル15の内側にティース11を挿入しながら、ティース11に固定子コイル15を装着する(コイル装着工程)。
【0033】
この後、永久磁石取付工程及びコイル装着工程を繰り返し行い、永久磁石14及び固定子コイル15をすべてのティース11に取り付ける。
【0034】
この後、図5に示すように、永久磁石14及び固定子コイル15を取り付けたコア本体13をコアバック16の内側に嵌める。このとき、各ティース11の径方向外側端部を各凹部33に嵌めながら、コアバック16の内側にコア本体13を軸線方向へ挿入する(コアバック取付工程)。このようにして、固定子3が完成する。
【0035】
この後、固定子3の内側に回転子2を挿入し、回転子2を固定子3に対して回転自在に支持することにより回転電機1を製造する。
【0036】
このような回転電機1では、複数のティース11と、互いに隣り合うティース11の径方向内側端部同士を連結する複数のティース間連結部12とを有する環状のコア本体13が、環状のコアバック16の内側に嵌るようになっているので、コア本体13をコアバック16から外すことにより、各ティース11間の空間をコア本体13の径方向外側に広く開放させることができる。これにより、ティース11に対して固定子コイル15を装着しやすくすることができるとともに、永久磁石14もティース11内に挿入しやすくすることができる。これにより、固定子3の製造を容易にすることができ、回転電機1の製造を容易にすることができる。また、各ティース11間の空間がコア本体13の径方向外側に広く開放されているので、ティース11に固定子コイル15が装着しやすくなり、固定子コイル15の巻線密度を高めることができる。これにより、固定子コイル15の抵抗値を低く抑えることができ、銅損を低減することができる。従って、回転電機1のトルク密度の向上を図ることができる。さらに、予め作製しておいた環状のコア本体13の内周面を変形させることなく固定子3を作製することができるので、固定子3の内周面の形状を真円に近づけることができ、回転電機1の製造誤差を小さくすることができる。これにより、コギングトルクの低減を図ることができ、回転電機1の動作特性の向上を図ることができる。
【0037】
また、コアバック16には、各ティース11の径方向外側端部がそれぞれ嵌る複数の凹部33が設けられているので、コアバック16に対するコア本体13の位置決めを、固定子3の周方向について、より確実に行うことができる。また、永久磁石14よりも径方向外側に位置する薄肉部32の厚さ寸法を小さくすることができ、永久磁石14よりも固定子3の径方向外側に磁束が漏れることを抑制することができる。これにより、回転電機1のトルク密度の向上をさらに図ることができる。
【0038】
また、ティース11には、ティース11の径方向外側端部で開放された磁石収容溝23が設けられているので、ティース11の径方向外側から磁石収容溝23内に永久磁石14を挿入可能にすることができる。これにより、ティース11内に永久磁石14をさらに収容しやすくすることができる。また、永久磁石14よりも径方向外側にティース11が配置されないので、永久磁石14よりも径方向外側での磁気抵抗を大きくすることができ、永久磁石14よりも径方向外側で磁束を通しにくくすることができる。これにより、永久磁石14よりも固定子3の径方向外側に磁束が漏れることを抑制することができ、回転電機1のトルク密度の向上をさらに図ることができる。
【0039】
また、このような回転電機1の製造方法では、永久磁石14をティース11内に保持させ、コア本体13の径方向外側からティース11に固定子コイル15を装着した後、コアバック16の内側にコア本体13を嵌めるので、永久磁石14をティース11内に保持させやすく、かつ固定子コイル15をティース11に装着しやすい状態で永久磁石14及び固定子コイル15をコア本体13に取り付けることができる。これにより、回転電機1の製造を容易にすることができる。また、ティース11に対する固定子コイル15の装着が容易になるので、固定子コイル15の巻線密度を高めることができ、回転電機1のトルク密度の向上を図ることができる。さらに、固定子3の組立時にコア本体13を変形させる必要がなくなるので、固定子3の内周面を真円に近づけることができ、回転電機1の製造誤差を小さくすることができる。これにより、コギングトルクの低減を図ることができ、回転電機1の動作特性の向上を図ることができる。
【0040】
なお、上記の例では、磁石取付工程において、着磁済みの永久磁石14を磁石収容溝23内に挿入することにより、永久磁石14をティース11内に保持させるようになっているが、未着磁の磁性体を磁石収容溝23内に挿入してティース11内に磁性体を保持させた後、着磁により磁性体を永久磁石14とすることにより、永久磁石14をティース11内に保持させるようにしてもよい。
【0041】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2による永久磁石式回転電機を示す断面図である。また、図7は、図6のコア本体13を示す断面図である。図において、各ティース11には、永久磁石14に係合して永久磁石14が磁石収容溝23の開放部分から抜けることを防止する一対の突起部(磁石抜け防止部)35が設けられている。各突起部35は、一対の対向壁部21から磁石収容溝23の幅方向内側へ個別に突出し、永久磁石14よりも径方向外側で永久磁石14に係合している。この例では、各突起部35がティース11の径方向外側端部に設けられている。
【0042】
図8は、図6の永久磁石14及び固定子コイル15がコア本体13に取り付けられるときの状態を示す分解斜視図である。永久磁石14は、磁石収容溝23内に軸線方向に沿って挿入される。これにより、永久磁石14には、各突起部35が径方向外側から係合される。固定子コイル15は、コア本体13の径方向外側からティース11に装着される。他の構成及び製造方法は実施の形態1と同様である。
【0043】
このような回転電機1では、永久磁石14に係合して永久磁石14が磁石収容溝23の開放部分から抜けることを防止する一対の突起部35が各ティース11に設けられているので、永久磁石14が磁石収容溝23から抜けることを、径方向については各突起部35によって、軸線方向については固定子コイル15によってそれぞれ防止することができる。
【0044】
また、磁石収容溝23に永久磁石14を挿入することにより、ティース11の各突起部35を永久磁石14に係合させるので、磁石収容溝23に永久磁石14を挿入するだけで、永久磁石14が磁石収容溝23から抜けないように永久磁石14をティース11内に保持させることができる。これにより、回転電機1の製造をさらに容易にすることができる。
【0045】
ここで、着磁済みの永久磁石14を各ティース11の磁石収容溝23内に挿入すると、各永久磁石14には磁石収容溝23から抜ける方向へ磁気反発力が作用する。本実施の形態では、永久磁石14が磁石収容溝23から抜けることが各突起部35及び固定子コイル15により防止されるので、磁気反発力を受けても着磁済みの永久磁石14を磁石収容溝23内に挿入することが可能になる。これにより、固定子3を組み立てた後に着磁作業を行う必要がなくなり、回転電機1の製造をさらに容易にすることができる。
【0046】
また、未着磁の磁性体を磁石収容溝23内に挿入した後に、着磁により磁性体を永久磁石14とする場合、固定子3の構造に適した着磁用のヨークが必要になり、製造コストが増大してしまう。さらに、磁石収容溝23内に磁性体を挿入した状態で磁性体を着磁すると、磁性体の端部等は漏れ磁束等の影響により完全に着磁することが困難になってしまう。このため、着磁済みの永久磁石14を磁石収容溝23内に挿入して固定子3を作製することにより、着磁率の高い永久磁石14をティース11内に保持させることができる。これにより、未着磁の磁性体をティース11内に保持させた後に磁性体を着磁させて作製した回転電機1よりも、出力の高い回転電機1を得ることができる。
【0047】
なお、上記の例では、ティース11に設けられた一対の突起部35が永久磁石14に係合しているが、突起部35が永久磁石14に係合されていればよいので、突起部35の数は1つのみであってもよい。また、一対の突起部35が互いに繋がった一枚の帯状板が磁石抜け防止部となっていてもよい。
【0048】
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3による永久磁石式回転電機のコア本体13、永久磁石14及び固定子コイル15を示す要部斜視図である。図において、固定子コイル15は、非磁性材料(例えば樹脂等)により構成された絶縁性の筒状のコイル枠41に巻かれている。コイル枠41は、ティース11がコイル枠41内に挿入された状態で、ティース11に嵌められて保持されている。固定子コイル15は、コイル枠41に巻かれた状態でコイル枠41を介してティース11に設けられている。
【0049】
図10は、図9のコイル枠41を示す斜視図である。コイル枠41は、ティース11が挿入される断面矩形状の筒状部42と、筒状部42の開口部に互いに対向して設けられた一対の対向部43とを有している。各対向部43の先端部には、互いに近づく方向へ突出する板状の突起部(磁石抜け防止部)43aが設けられている。
【0050】
コイル枠41は、図9に示すように、固定子3の軸線方向について一対の対向部43を互いに対向させてティース11に嵌められている。ティース11の径方向外側端部では、一対の対向壁部21間に各突起部43aが嵌る空間が生じている。コイル枠41は、各突起部43aを一対の対向壁部21間に嵌めた状態でティース11に嵌められている。コイル枠41がティース11に嵌められた状態では、永久磁石14よりも径方向外側で各突起部43aが永久磁石14に係合することにより永久磁石14が磁石収容溝23の開放部分から抜けることが防止され、筒状部42の内面が永久磁石14に係合することにより永久磁石14が磁石収容溝23から軸線方向へ抜けることが防止される。
【0051】
固定子コイル15をティース11に装着するコイル装着工程では、永久磁石取付工程後に、固定子コイル15が巻かれたコイル枠41をコア本体13の径方向外側からティース11に装着することにより、コイル枠41の一対の突起部43aを永久磁石14に係合させる。他の構成及び製造方法は実施の形態1と同様である。
【0052】
このような回転電機1では、固定子コイル15が巻かれた筒状のコイル枠41に、永久磁石14に係合して永久磁石14が磁石収容溝23の開放部分から抜けることを防止する一対の突起部43aが設けられているので、コイル枠41をティース11に嵌めるたけで、固定子3の径方向及び軸線方向のいずれの方向についても永久磁石14が磁石収容溝23から抜けることを防止することができる。これにより、固定子3の作製をさらに容易にすることができ、回転電機1の製造をさらに容易にすることができる。また、各突起部43aが非磁性材料により構成されているので、永久磁石14よりも径方向外側での漏れ磁束の増加を抑制することができ、回転電機1の出力低下を抑制することができる。さらに、永久磁石14が磁石収容溝23から抜けることをコイル枠41と別個の部材によって防止した場合に比べて、固定子3の部品数や固定子3の組立工程数を少なくすることができる。
【0053】
なお、上記の例では、コイル枠41に設けられた一対の突起部43aが永久磁石14に係合しているが、突起部43aが永久磁石14に係合されていればよいので、突起部43aの数は1つのみであってもよい。また、一対の突起部43aが互いに繋がった一枚の帯状板が磁石抜け防止部となっていてもよい。
【0054】
実施の形態4.
実施の形態1では、各ティース11内に設けられた磁石収容溝23がティース11の径方向外側端部で開放されているが、各ティース11内に設けられた磁石収容溝23がティース11の径方向内側端部で開放されていてもよい。
【0055】
即ち、図11は、この発明の実施の形態4による永久磁石式回転電機を示す断面図である。また、図12は、図11のコア本体13を示す断面図である。図において、各ティース11には、ティース11の径方向内側端部で開放された磁石収容溝23が設けられている。永久磁石14は、磁石収容溝23の開放部分から磁石収容溝23内に挿入可能になっている。
【0056】
各ティース11は、固定子3の周方向について磁石収容溝23を両側から挟む一対の対向壁部21と、ティース11の径方向外側端部(即ち、ティース11の径方向内側端部及び径方向外側端部のうち、磁石収容溝23の開放部分が設けられた端部と異なる端部)で一対の対向壁部21同士を連結する壁連結部51とを有している。他の構成及び製造方法は実施の形態1と同様である。
【0057】
このように、ティース11内に設けられた磁石収容溝23をティース11の径方向内側端部で開放させるようにしても、永久磁石14をティース11内に容易に挿入することができ、回転電機1を容易に製造することができる。また、永久磁石14よりも径方向内側にティース11が配置されないので、永久磁石14よりも径方向内側で磁束を通しにくくすることができる。これにより、永久磁石14よりも固定子3の径方向内側に磁束が漏れることを抑制することができ、回転電機1のトルク密度の向上をさらに図ることができる。
【0058】
実施の形態5.
図13は、この発明の実施の形態5による永久磁石式回転電機を示す断面図である。また、図14は、図13のコア本体13を示す断面図である。図において、各ティース11には、磁石収容溝23内に収容された永久磁石14に係合して永久磁石14が磁石収容溝23の開放部分から抜けることを防止する一対の突起部(磁石抜け防止部)52が設けられている。各突起部52は、一対の対向壁部21から磁石収容溝23の幅方向内側へ個別に突出し、永久磁石14よりも径方向内側で永久磁石14に係合している。この例では、各突起部52がティース11の径方向内側端部に設けられている。これにより、磁石収容溝23の開放部分の幅寸法は、永久磁石14の幅寸法よりも狭くなっている。他の構成は実施の形態4と同様である。
【0059】
本実施の形態における永久磁石取付工程では、永久磁石14を磁石収容溝23に軸線方向に沿って挿入する。これにより、各突起部52が永久磁石14に径方向内側から係合される。製造方法の他の手順は実施の形態4と同様である。
【0060】
このように、磁石収容溝23がティース11の径方向内側端部で開放されている場合であっても、永久磁石14に係合して永久磁石14が磁石収容溝23の開放部分から抜けることを防止する一対の突起部52をティース11に設けることにより、永久磁石14が磁石収容溝23から抜けることを、径方向については各突起部52によって、軸線方向については固定子コイル15によってそれぞれ防止することができる。これにより、固定子3を作製するときに、着磁済みの永久磁石14を磁石収容溝23内に挿入しても、永久磁石14が磁石収容溝23から抜けることを容易に防止することができる。これにより、回転電機1の製造を容易にすることができるとともに、着磁率の高い永久磁石14をティース11内に保持させることができ、回転電機1の出力の向上を図ることができる。
【0061】
実施の形態6.
図15は、実施の形態6による永久磁石式回転電機を示す断面図である。また、図16図15のコアバック16を示す断面図、図17図15のコア本体13を示す断面図である。図において、軸線方向へ積層されてコア本体13を構成する複数のコア本体断面部材には、コア本体断面部材の積層方向(即ち、軸線方向)について嵌め合わされたかしめ部(凹凸部)61がそれぞれ設けられている。また、軸線方向へ積層されてコアバック16を構成する複数のコアバック断面部材には、コアバック断面部材の積層方向(即ち、軸線方向)について嵌め合わされたかしめ部(凹凸部)61がそれぞれ設けられている。
【0062】
各コア本体断面部材に設けられたかしめ部61は、各コア本体断面部材における壁連結部22の断面を形成する部分(壁連結部断面形成部)に、コア本体断面部材の材料を塑性変形させて形成されている。即ち、壁連結部22には、各コア本体断面部材の材料を塑性変形させて形成されたかしめ部61が設けられている。
【0063】
各コアバック断面部材に設けられたかしめ部61は、各コアバック断面部材における薄肉部32の断面を形成する部分(薄肉部断面形成部)に、コアバック断面部材の材料を塑性変形させて形成されている。即ち、薄肉部32には、各コアバック断面部材の材料を塑性変形させて形成されたかしめ部61が設けられている。
【0064】
ここで、コア本体断面部材及びコアバック断面部材のそれぞれの材料が塑性変形されると、その部分では、透磁率が低下して磁束が通りにくくなる。本実施の形態では、壁連結部22及び薄肉部32のそれぞれに設けられたかしめ部61が塑性変形により形成されているので、壁連結部22及び薄肉部32のそれぞれで透磁率が低下して磁束が通りにくくなっている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0065】
このような回転電機1では、コア本体断面部材の材料を塑性変形して形成されたかしめ部61が壁連結部22に設けられ、コアバック断面部材の材料を塑性変形して形成されたかしめ部61が薄肉部32に設けられているので、壁連結部22及び薄肉部32のそれぞれで磁束を通りにくくすることができる。これにより、壁連結部22及び薄肉部32のそれぞれを通る漏れ磁束の量を減らすことができ、回転電機1の出力の向上を図ることができる。また、各かしめ部61によってコア本体断面部材間及びコアバック断面部材間のそれぞれの拘束力を高めることができ、固定子3の組立時にコア本体断面部材同士及びコアバック断面部材同士が剥がれることの防止を図ることができる。
【0066】
実施の形態7.
実施の形態6では、壁連結部22にかしめ部61が設けられているが、ティース間連結部12にかしめ部61を設けてもよい。
【0067】
即ち、図18は、この発明の実施の形態7による永久磁石式回転電機のコア本体を示す断面図である。各コア本体断面部材に設けられたかしめ部61は、各コア本体断面部材におけるティース間連結部12の断面を形成する部分(ティース間連結部断面形成部)に、コア本体断面部材の材料を塑性変形させて形成されている。即ち、ティース間連結部12には、各コア本体断面部材の材料を塑性変形させて形成されたかしめ部61が設けられている。この例では、壁連結部22にかしめ部61は設けられていない。他の構成は実施の形態6と同様である。
【0068】
このように、コア本体断面部材の材料を塑性変形して形成されたかしめ部61をティース間連結部12に設けることにより、ティース間連結部12で磁束を通りにくくすることができ、漏れ磁束の量を減らすことができる。従って、回転電機1の出力の向上を図ることができる。
【0069】
実施の形態8.
図19は、この発明の実施の形態8による永久磁石式回転電機のコア本体を示す断面図である。各コア本体断面部材に設けられたかしめ部61は、各コア本体断面部材における壁連結部断面形成部及びティース間連結部断面形成部のそれぞれに、コア本体断面部材の材料を塑性変形させて形成されている。即ち、壁連結部22及びティース間連結部12のそれぞれには、各コア本体断面部材の材料を塑性変形させて形成されたかしめ部61が設けられている。他の構成は実施の形態6と同様である。
【0070】
このように、コア本体断面部材の材料を塑性変形して形成されたかしめ部61を壁連結部22及びティース間連結部12のそれぞれに設けることにより、壁連結部22及びティース間連結部12のそれぞれで磁束を通りにくくすることができ、漏れ磁束の量をさらに減らすことができる。従って、回転電機1の出力の向上をさらに図ることができる。また、共通のコア本体断面部材に形成するかしめ部61の数を多くすることができるので、各コア本体断面部材間の拘束力をさらに向上させることができる。これにより、固定子3を作製するときに、各コア本体断面部材同士をさらに剥がれにくくすることができ、固定子3の作製をさらに容易にすることができる。
【0071】
実施の形態9.
実施の形態6では、ティース11の径方向外側端部で磁石収容溝23が開放されているコア本体13の壁連結部22にかしめ部61が設けられているが、ティース11の径方向内側端部で磁石収容溝23が開放されているコア本体13の壁連結部51にかしめ部61を設けてもよい。
【0072】
即ち、図20は、この発明の実施の形態9による永久磁石式回転電機のコア本体を示す断面図である。本実施の形態では、ティース11の径方向内側端部で磁石収容溝23が開放され、ティース11の径方向外側端部に壁連結部51が設けられている。各コア本体断面部材に設けられたかしめ部61は、壁連結部51の断面を形成する部分(壁連結部断面形成部)に、コア本体断面部材の材料を塑性変形させて形成されている。即ち、壁連結部51には、各コア本体断面部材の材料を塑性変形させて形成されたかしめ部61が設けられている。他の構成は実施の形態4と同様である。
【0073】
このように、ティース11の径方向内側端部で磁石収容溝23が開放されているコア本体13の壁連結部51にかしめ部61を設けても、壁連結部51で磁束を通りにくくすることができ、漏れ磁束の量を減らすことができる。従って、回転電機1の出力の向上を図ることができる。
【0074】
実施の形態10.
図21は、この発明の実施の形態10による永久磁石式回転電機のコア本体を示す断面図である。各コア本体断面部材に設けられたかしめ部61は、各コア本体断面部材における壁連結部断面形成部及びティース間連結部断面形成部のそれぞれに、コア本体断面部材の材料を塑性変形させて形成されている。即ち、壁連結部51及びティース間連結部12のそれぞれには、各コア本体断面部材の材料を塑性変形させて形成されたかしめ部61が設けられている。他の構成は実施の形態9と同様である。
【0075】
このように、コア本体断面部材の材料を塑性変形して形成されたかしめ部61を壁連結部51及びティース間連結部12のそれぞれに設けることにより、壁連結部51及びティース間連結部12のそれぞれで磁束を通りにくくすることができ、漏れ磁束の量をさらに減らすことができる。従って、回転電機1の出力の向上をさらに図ることができる。また、共通のコア本体断面部材に形成するかしめ部61の数を多くすることができるので、各コア本体断面部材間での拘束力を向上させることができる。これにより、固定子3を作製するときに、各コア本体断面部材同士を剥がれにくくすることができ、固定子3の作製をさらに容易にすることができる。
【0076】
実施の形態11.
図22は、この発明の実施の形態11による永久磁石式回転電機のコア本体13を構成するコア本体断面部材を示す要部斜視図である。図において、コア本体13は、互いに異なる第1及び第2のコア本体断面部材65,66が軸線方向へ交互に積層されて構成されている。コア本体13のティース11内に設けられた磁石収容溝23は、ティース11の径方向外側端部で開放されている。
【0077】
図23は、図22の第1のコア本体断面部材65を示す正面図である。第1のコア本体断面部材65は、各ティース11の断面を形成する複数のティース断面形成部11aと、互いに隣り合うティース断面形成部11aの径方向内側端部同士を連結し、ティース間連結部12の断面を形成する複数のティース間連結部断面形成部12aとを有している。また、ティース断面形成部11aは、一対の対向壁部21の断面を形成する一対の対向壁部断面形成部21aと、一対の対向壁部断面形成部21aの径方向内側端部同士を連結し、壁連結部22の断面を形成する壁連結部断面形成部22aとを有している。
【0078】
図24は、図22の第2のコア本体断面部材66を示す正面図である。第2のコア本体断面部材66は、第1のコア本体断面部材65の各対向壁部断面形成部21aの位置に合わせて互いに間隔を置いて配置された複数の対向壁部断面形成部21aを有している。また、第2のコア本体断面部材66では、第1のコア本体断面部材65のティース間連結部断面形成部12a及び壁連結部断面形成部22aが除かれている。即ち、第2のコア本体断面部材66は、第1のコア本体断面部材65の対向壁部断面形成部21a、壁連結部断面形成部22a及びティース間連結部断面形成部12aのうち、対向壁部断面形成部21aのみが残された部材とされている。
【0079】
従って、コア本体13のティース間連結部12及び壁連結部22は、第1のコア本体断面部材65が配置された層にのみ設けられている。また、ティース間連結部12及び壁連結部22における第2のコア本体断面部材66が配置された層では、空間となっている。
【0080】
各対向壁部21の中央部には、各コア本体断面部材65,66の材料を塑性変形させて形成されたかしめ部61が設けられている。かしめ部61は、コア本体断面部材65,66の積層方向について嵌め合わされている。これにより、各コア本体断面部材65,66間の位置決めが行われている。
【0081】
図25は、この発明の実施の形態11による永久磁石式回転電機のコアバック16を構成するコアバック断面部材を示す要部斜視図である。図において、コアバック16は、互いに異なる第1及び第2のコアバック断面部材67,68が軸線方向へ交互に積層されて構成されている。
【0082】
図26は、図25の第1のコアバック断面部材67を示す正面図である。第1のコアバック断面部材67は、各厚肉部31の断面を形成する複数の厚肉部断面形成部31aと、互いに隣り合う厚肉部断面形成部31a同士を連結し、薄肉部32の断面を形成する複数の薄肉部断面形成部32aとを有している。
【0083】
図27は、図25の第2のコアバック断面部材68を示す正面図である。第2のコアバック断面部材68は、第1のコアバック断面部材67の厚肉部断面形成部31aの位置に合わせて互いに間隔を置いて配置された複数の厚肉部断面形成部31aを有している。また、第2のコアバック断面部材68では、第1のコアバック断面部材67の薄肉部断面形成部32aが除かれている。即ち、第2のコアバック断面部材68は、第1のコアバック断面部材67の厚肉部断面形成部31a及び薄肉部断面形成部32aのうち、厚肉部断面形成部31aのみが残された部材とされている。
【0084】
従って、コアバック16の薄肉部32は、第1のコアバック断面部材67が配置された層にのみ設けられている。また、コアバック16の薄肉部32における第2のコアバック断面部材68が配置された層では、空間となっている。
【0085】
各厚肉部31の中央部には、各コアバック断面部材67,68の材料を塑性変形させて形成されたかしめ部61が設けられている。かしめ部61は、コアバック断面部材67,68の積層方向について嵌め合わされている。これにより、各コアバック断面部材67,68間の位置決めが行われている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0086】
このような回転電機1では、第1及び第2のコア本体断面部材65,66が交互に積層されてコア本体13が構成され、第1のコア本体断面部材65には、壁連結部断面形成部22a及びティース間連結部断面形成部12aが含まれ、第2のコア本体断面部材66では、壁連結部断面形成部22a及びティース間連結部断面形成部12aが除かれているので、壁連結部22及びティース間連結部12のそれぞれの一部を空間とすることができる。これにより、壁連結部22及びティース間連結部12のそれぞれで磁束を通りにくくすることができ、壁連結部22及びティース間連結部12のそれぞれを通る漏れ磁束の量を大幅に少なくすることができる。従って、回転電機1の出力の向上をさらに図ることができる。
【0087】
また、第1及び第2のコアバック断面部材67,68が交互に積層されてコアバック16が構成され、第1のコアバック断面部材67には、厚肉部断面形成部31a及び薄肉部断面形成部32aが含まれ、第2のコアバック断面部材68では、薄肉部断面形成部32aが除かれているので、薄肉部32の一部を空間とすることができる。これにより、ティース11よりも径方向外側に位置する薄肉部32で磁束を通りにくくすることができ、薄肉部32を通る漏れ磁束の量を大幅に少なくすることができる。従って、回転電機1の出力の向上をさらに図ることができる。
【0088】
なお、上記の例では、第1及び第2のコア本体断面部材65,66が交互に積層されてコア本体13が構成されているが、第1及び第2のコア本体断面部材65,66を交互に積層する構成に限定されることはなく、例えば、複数の第2のコア本体断面部材66を軸線方向へ積層したものの両端部に第1のコア本体断面部材65を重ねてコア本体13を構成してもよい。
【0089】
また、上記の例では、第1及び第2のコアバック断面部材67,68が交互に積層されてコアバック16が構成されているが、第1及び第2のコアバック断面部材67,68を交互に積層する構成に限定されることはなく、例えば、複数の第2のコアバック断面部材68を軸線方向へ積層したものの両端部に第1のコアバック断面部材67を重ねてコアバック16を構成してもよい。
【0090】
実施の形態12.
図28は、この発明の実施の形態12による永久磁石式回転電機のコアバック16を示す断面図である。また、図29は、この発明の実施の形態12による永久磁石式回転電機のコア本体13を示す断面図である。コアバック16を構成する複数のコアバック断面部材、及びコア本体13を構成する複数のコア本体断面部材は、所定の厚さ寸法tを持つ磁性板(例えば電磁鋼板等)を打ち抜いて作製されている。
【0091】
薄肉部32の厚さ寸法t1(図28)は、コアバック断面部材の厚さ寸法t以上に設定されている。ティース間連結部12の厚さ寸法t2(図29)、及び壁連結部22の厚さ寸法t3(図29)は、コア本体断面部材の厚さ寸法t以上に設定されている。即ち、t1≧t、t2≧t、t3≧tの関係となっている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0092】
このような回転電機1では、コア本体13のティース間連結部12の厚さ寸法t2と、壁連結部22の厚さ寸法t3とが、コア本体断面部材の厚さ寸法t以上に設定されているので、磁性板を打ち抜いてコア本体断面部材を作製するときに、コア本体断面部材におけるティース間連結部12及び壁連結部22のそれぞれの断面を形成する部分の変形を抑制することができる。これにより、回転電機1の出力の向上を図ることができる。
【0093】
即ち、磁性板を打ち抜く場合、ティース間連結部12の厚さ寸法t2及び壁連結部22の厚さ寸法t3が電磁板の厚さ寸法tよりも小さいと、磁性板を打ち抜くときに磁性板が変形しやすくなるが、本実施の形態では、ティース間連結部12の厚さ寸法t2及び壁連結部22の厚さ寸法t3が磁性板の厚さ寸法t以上に設定されているので、コア本体断面部材の変形を抑制することができる。ティース間連結部12及び壁連結部22は、固定子3の内周面を形成するため、ティース間連結部12及び壁連結部22が変形すると、回転子2と固定子3との間のギャップを狭くすることが困難になってしまう。本実施の形態では、ティース間連結部12及び壁連結部22のそれぞれの変形を抑制することができるので、回転子2と固定子3との間のギャップを狭くすることができ、回転電機1の出力の向上を図ることができる。
【0094】
また、コアバック16の薄肉部32の厚さ寸法t1も、磁性板の厚さ寸法t以上に設定されているので、磁性板を打ち抜いてコアバック断面部材を作製するときに、コアバック断面部材における薄肉部32のそれぞれの断面を形成する部分の変形を抑制することができる。これにより、コアバック16の製造誤差を小さくすることができ、回転電機1の動作特性の向上を図ることができる。
【0095】
なお、ティース間連結部12の厚さ寸法t2がコア本体断面部材の厚さ寸法t以上に設定されていれば、ティース間連結部12の変形を抑制することができ、回転子2と固定子3との間のギャップを狭くすることができる。従って、ティース間連結部12の厚さ寸法t2がコア本体断面部材の厚さ寸法t以上に設定されていれば、壁連結部22の厚さ寸法t3や薄肉部32の厚さ寸法t1がコア本体断面部材の厚さ寸法tよりも小さくなっていてもよい。
【0096】
また、実施の形態6〜8のかしめ部61の構成を実施の形態2のコア本体13及びコアバック16に適用してもよい。さらに、実施の形態9及び10のかしめ部61の構成を実施の形態5のコア本体13及びコアバック16に適用してもよい。
【0097】
実施の形態13.
実施の形態13では、モータとして用いられたときの実施の形態1による回転電機1の出力について検討した。図30は、図1の固定子3の要部を示す断面図である。図30では、厚肉部31の厚さ寸法をt0、薄肉部32の厚さ寸法をt1、ティース間連結部12の厚さ寸法をt2、壁連結部22の厚さ寸法をt3として示している。回転電機1の出力は、シミュレーションにより、厚肉部31の厚さ寸法t0に対する薄肉部32の厚さ寸法t1の比t1/t0(以下、「コアバック厚さ比t1/t0」という)を変えながら、求めた。
【0098】
図31は、図30のコアバック16のコアバック厚さ比t1/t0と、モータとしての回転電機1の出力との関係を示すグラフである。なお、図31では、コアバック厚さ比t1/t0が1であるときの回転電機1の出力を1としている。図31に示すように、コアバック厚さ比t1/t0が0に近づくほど、回転電機1の出力が向上することが分かる。即ち、実施の形態1による構成では、薄肉部32の厚さ寸法t1が小さくなるほど回転電機1の出力が向上することが分かる。また、ティース間連結部12の厚さ寸法t2を小さくすると、ティース11間での漏れ磁束を少なくすることができることから、回転電機1の出力は、ティース間連結部12の厚さ寸法t2を小さくすることによっても向上する。
【0099】
薄肉部32の厚さ寸法t1及びティース間連結部12の厚さ寸法t2のそれぞれが小さくなると、コア本体13及びコアバック16のそれぞれの強度が弱くなるが、コアバック16の複数の凹部33に各ティース11の径方向外側端部がそれぞれ嵌るので、固定子3全体としての強度の低下を抑制することができる。
【0100】
このことから、実施の形態1による回転電機1では、薄肉部32の厚さ寸法t1を厚肉部31の厚さ寸法t0よりも小さくしてコアバック厚さ比t1/t0を0に近づけるとともに、ティース連結部12の厚さ寸法t2を小さくすることにより、固定子3の強度を確保しながら、回転電機1の出力の向上を図ることができる。
【0101】
なお、薄肉部32の厚さ寸法t1は、図32に示すように、厚肉部31の厚さ寸法t0と同一であってもよい。即ち、コアバック厚さ比t1/t0が1であってもよい。このようにしても、薄肉部32の厚さ寸法t1が厚肉部31の厚さ寸法t0よりも小さい場合に比べて回転電機1の出力は劣るが、製造を容易にすることができ、動作特性の向上を図ることができるという上記実施の形態1で記載した効果を得ることができる。
【0102】
実施の形態14.
実施の形態14では、モータとして用いられたときの実施の形態2による回転電機1の出力について検討した。また、実施の形態14では、実施の形態2による2つの構成例である実施例14A及び実施例14Bと、比較例とを比較しながら回転電機の出力について検討した。
【0103】
図33は、この発明の実施例14Aによる回転電機の固定子3の要部を示す断面図である。実施例14Aでは、凹部33の内面とティース11との間に微小な隙間が存在している。また、実施例14Aでは、一対の対向壁部21から磁石収容溝23の幅方向内側へ個別に突出する一対の突起部35が磁石抜け防止部としてティース11の径方向外側端部に設けられている。一対の突起部35は、繋がらずに互いに離して配置されている。
【0104】
図34は、この発明の実施例14Bによる回転電機の固定子3の要部を示す断面図である。実施例14Bでも、凹部33の内面とティース11との間に微小な隙間が存在している。実施例14Bでは、実施例14Aと異なり、一対の対向壁部21から磁石収容溝23の幅方向内側へ個別に突出する一対の突起部が繋がって構成された一枚の帯状板71が磁石抜け防止部としてティース11の径方向外側端部に設けられている。他の構成は実施例14Aと同様である。
【0105】
実際の回転電機では、例えば寸法誤差等により、ティース11と凹部33の内面との間に微小な隙間が生じる場合がある。実施例14A及び実施例14Bでは、このようなティース11と凹部33の内面との間に生じる微小な隙間を考慮した回転電機としている。
【0106】
図35は、実施例14A及び実施例14Bと比較するための比較例による回転電機の固定子の要部を示す断面図である。比較例では、ティース11とコアバック16とが一体となっている。従って、比較例では、ティース11とコアバック16との間に隙間は存在していない。また、比較例では、磁石抜け防止部がティース11に設けられておらず、各ティース11の径方向内側端部において一対の対向壁部21間に薄肉部32が繋がれ、各ティース11の径方向外側端部において一対の対向壁部21間に壁連結部22が繋がれている。他の構成は実施例14Aと同様である。
【0107】
このような実施例14A、実施例14B及び比較例のそれぞれによる回転電機の出力をシミュレーションにより求めた。なお、シミュレーションでは、実施例14A、実施例14B及び比較例のそれぞれにおける薄肉部32の厚さ寸法t1を同じ寸法としている。
【0108】
図36は、実施例14A、実施例14B及び比較例のそれぞれによる回転電機の出力の比較結果を示すグラフである。図36では、比較例による回転電機の出力を1とし、実施例14A及び実施例14Bのそれぞれによる回転電機の出力を比較例に対する比として示している。図36に示すように、実施例14Aによる回転電機の出力が実施例14B及び比較例のそれぞれの回転電機の出力よりも高くなっていることが分かる。これは、実施例14Aにおいて、凹部33の内面とティース11との間に隙間があることに加えて、一対の突起部35が互いに離れていることから、実施例14B及び比較例のそれぞれに比べて、ティース11の径方向外側での漏れ磁束が少なくなっていることによるものであると考えられる。
【0109】
このようなことから、実施例14Aによる回転電機では、永久磁石14が磁石収容溝23から外れることを一対の突起部35によって防止することができるだけでなく、凹部33の内面とティース11との間に隙間が生じることにより、回転電機の出力の向上を図ることもできる。
【0110】
なお、実施例14Bによる回転電機では、回転電機の出力は実施例14Aに比べて劣るが、比較例による回転電機と比べて、製造を容易にすることができ、動作特性の向上を図ることができるという上記実施の形態2で記載した効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0111】
1 回転電機、2 回転子、3 固定子、11 ティース、12 ティース間連結部、13 コア本体、14 永久磁石、15 固定子コイル、16 コアバック、21 対向壁部、22,51 壁連結部、23 磁石収容溝、31 厚肉部、32 薄肉部、33 凹部、35,52 突起部(磁石抜け防止部)、41 コイル枠、43a 突起部(磁石抜け防止部)、61 かしめ部、65 第1のコア本体断面部材、66 第2のコア本体断面部材、67 第1のコアバック断面部材、68 第2のコアバック断面部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36

【手続補正書】
【提出日】2014年11月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子、及び
上記回転子の周方向について互いに間隔を置いて配置された複数のティース及び互いに隣り合う上記ティースの径方向内側端部同士をそれぞれ連結する複数のティース間連結部を含み上記回転子を囲む環状のコア本体と、各上記ティース内にそれぞれ保持された複数の永久磁石と、各上記ティースにそれぞれ設けられた複数の固定子コイルと、上記コア本体と別体とされ、上記コア本体を囲んだ状態で上記コア本体の外周部に嵌められた環状のコアバックとを有する固定子
を備え、
上記ティースには、上記ティースの径方向外側端部で開放され、上記永久磁石を収容する磁石収容溝が設けられていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項2】
回転子、及び
上記回転子の周方向について互いに間隔を置いて配置された複数のティース及び互いに隣り合う上記ティースの径方向内側端部同士をそれぞれ連結する複数のティース間連結部を含み上記回転子を囲む環状のコア本体と、各上記ティース内にそれぞれ保持された複数の永久磁石と、各上記ティースにそれぞれ設けられた複数の固定子コイルと、上記コア本体と別体とされ、上記コア本体を囲んだ状態で上記コア本体の外周部に嵌められた環状のコアバックとを有する固定子
を備え、
上記ティースには、上記ティースの径方向内側端部及び径方向外側端部のいずれかで開放され、上記永久磁石を収容する磁石収容溝が設けられ、
上記ティースには、上記永久磁石に係合して上記永久磁石が上記磁石収容溝の開放部分から抜けることを防止する磁石抜け防止部が設けられていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項3】
回転子、及び
上記回転子の周方向について互いに間隔を置いて配置された複数のティース及び互いに隣り合う上記ティースの径方向内側端部同士をそれぞれ連結する複数のティース間連結部を含み上記回転子を囲む環状のコア本体と、各上記ティース内にそれぞれ保持された複数の永久磁石と、各上記ティースにそれぞれ設けられた複数の固定子コイルと、上記コア本体と別体とされ、上記コア本体を囲んだ状態で上記コア本体の外周部に嵌められた環状のコアバックとを有する固定子
を備え、
上記ティースには、上記ティースの径方向内側端部及び径方向外側端部のいずれかで開放され、上記永久磁石を収容する磁石収容溝が設けられ、
上記固定子コイルは、筒状のコイル枠に巻かれた状態で上記コイル枠を介して上記ティースに設けられており、
上記コイル枠には、上記永久磁石に係合して上記永久磁石が上記磁石収容溝の開放部分から抜けることを防止する磁石抜け防止部が設けられていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項4】
回転子、及び
上記回転子の周方向について互いに間隔を置いて配置された複数のティース及び互いに隣り合う上記ティースの径方向内側端部同士をそれぞれ連結する複数のティース間連結部を含み上記回転子を囲む環状のコア本体と、各上記ティース内にそれぞれ保持された複数の永久磁石と、各上記ティースにそれぞれ設けられた複数の固定子コイルと、上記コア本体と別体とされ、上記コア本体を囲んだ状態で上記コア本体の外周部に嵌められた環状のコアバックとを有する固定子
を備え、
上記ティースには、上記ティースの径方向内側端部及び径方向外側端部のいずれかで開放され、上記永久磁石を収容する磁石収容溝が設けられ、
各上記ティースは、上記磁石収容溝を上記固定子の周方向について両側から挟む一対の対向壁部と、上記ティースの径方向内側端部及び径方向外側端部のうち、上記磁石収容溝の開放部分が設けられた端部と異なる端部で上記一対の対向壁部同士を連結する壁連結部とを有し、
上記コア本体は、複数のコア本体断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
上記ティース間連結部及び上記壁連結部の少なくともいずれかには、各上記コア本体断面部材の材料を塑性変形させることにより形成されて各上記コア本体断面部材間で嵌め合わされるかしめ部が設けられていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項5】
回転子、及び
上記回転子の周方向について互いに間隔を置いて配置された複数のティース及び互いに隣り合う上記ティースの径方向内側端部同士をそれぞれ連結する複数のティース間連結部を含み上記回転子を囲む環状のコア本体と、各上記ティース内にそれぞれ保持された複数の永久磁石と、各上記ティースにそれぞれ設けられた複数の固定子コイルと、上記コア本体と別体とされ、上記コア本体を囲んだ状態で上記コア本体の外周部に嵌められた環状のコアバックとを有する固定子
を備え、
上記コアバックは、各上記ティースの径方向外側端部間にそれぞれ配置された複数の厚肉部と、互いに隣り合う厚肉部同士を、上記ティースより径方向外側でそれぞれ連結する複数の薄肉部とを有し、かつ、複数のコアバック断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
複数の上記コアバック断面部材のいずれかは、上記薄肉部の断面を形成する部分を含む第1のコアバック断面部材とされ、
複数の上記コアバック断面部材のいずれかは、上記薄肉部の断面を形成する部分が除かれた第2のコアバック断面部材とされていることを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項6】
各上記ティースは、上記磁石収容溝を上記固定子の周方向について両側から挟む一対の対向壁部と、上記ティースの径方向内側端部及び径方向外側端部のうち、上記磁石収容溝の開放部分が設けられた端部と異なる端部で上記一対の対向壁部同士を連結する壁連結部とを有し、
上記コア本体は、複数のコア本体断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
上記ティース間連結部及び上記壁連結部の少なくともいずれかには、各上記コア本体断面部材の材料を塑性変形させることにより形成されて各上記コア本体断面部材間で嵌め合わされるかしめ部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項7】
各上記ティースは、上記磁石収容溝を上記固定子の周方向について両側から挟む一対の対向壁部と、上記ティースの径方向内側端部及び径方向外側端部のうち、上記磁石収容溝の開放部分が設けられた端部と異なる端部で上記一対の対向壁部同士を連結する壁連結部とを有し、
上記コア本体は、複数のコア本体断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
複数の上記コア本体断面部材のいずれかは、上記ティース間連結部の断面を形成する部分及び上記壁連結部の断面を形成する部分をそれぞれ含む第1のコア本体断面部材とされ、
複数の上記コア本体断面部材のいずれかは、上記ティース間連結部の断面を形成する部分及び上記壁連結部の断面を形成する部分の少なくともいずれかが除かれた第2のコア本体断面部材とされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項8】
上記コアバックは、各上記ティースの径方向外側端部間にそれぞれ配置された複数の厚肉部と、互いに隣り合う厚肉部同士を、上記ティースよりも径方向外側でそれぞれ連結する複数の薄肉部とを有し、かつ、複数のコアバック断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
各上記コアバック断面部材における上記薄肉部の断面を形成する部分には、各上記コアバック断面部材の材料を塑性変形させることにより形成されて各上記コアバック断面部材間で嵌め合わされるかしめ部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4、請求項6及び請求項7のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項9】
上記コアバックは、各上記ティースの径方向外側端部間にそれぞれ配置された複数の厚肉部と、互いに隣り合う厚肉部同士を、上記ティースよりも径方向外側でそれぞれ連結する複数の薄肉部とを有し、かつ、複数のコアバック断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
複数の上記コアバック断面部材のいずれかは、上記薄肉部の断面を形成する部分を含む第1のコアバック断面部材とされ、
複数の上記コアバック断面部材のいずれかは、上記薄肉部の断面を形成する部分が除かれた第2のコアバック断面部材とされていることを特徴とする請求項1〜請求項4、請求項6及び請求項7のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項10】
上記コアバックには、各上記ティースの径方向外側端部がそれぞれ嵌る複数の凹部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項11】
上記コア本体は、複数のコア本体断面部材が軸線方向へ積層されて構成されており、
上記ティース間連結部の厚さ寸法は、上記コア本体断面部材の厚さ寸法以上であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項12】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機を製造する永久磁石式回転電機の製造方法であって、
上記永久磁石を上記ティース内に保持させる永久磁石取付工程、
上記コア本体の径方向外側から上記ティースに上記固定子コイルを装着するコイル装着工程、及び
上記永久磁石取付工程後でかつ上記コイル装着工程後に、上記コアバックの内側に上記コア本体を挿入することにより上記コアバックの内側に上記コア本体を嵌めるコアバック取付工程
を備え、
上記永久磁石取付工程では、上記ティースに設けられた磁石収容溝に上記永久磁石を挿入することにより、上記ティースの磁石抜け防止部を上記永久磁石に係合させることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機を製造する永久磁石式回転電機の製造方法であって、
上記永久磁石を上記ティース内に保持させる永久磁石取付工程、
上記コア本体の径方向外側から上記ティースに上記固定子コイルを装着するコイル装着工程、及び
上記永久磁石取付工程後でかつ上記コイル装着工程後に、上記コアバックの内側に上記コア本体を挿入することにより上記コアバックの内側に上記コア本体を嵌めるコアバック取付工程
を備え、
上記永久磁石取付工程では、上記ティースの径方向外側端部で開放された磁石収容溝の開放部分から上記永久磁石を上記磁石収容溝内に挿入して上記ティース内に上記永久磁石を保持させ、
上記コイル装着工程では、上記永久磁石取付工程後に、上記固定子コイルが巻かれた筒状のコイル枠を上記コア本体の径方向外側から上記ティースに装着することにより、上記コイル枠の磁石抜け防止部を上記永久磁石に係合させることを特徴とする永久磁石式回転電機の製造方法。
【国際調査報告】