特表-13157279IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月24日
【発行日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】多回転エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/244 20060101AFI20151124BHJP
【FI】
   G01D5/244 C
   G01D5/244 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2014-511118(P2014-511118)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年1月8日
(11)【特許番号】特許第5769879号(P5769879)
(45)【特許公報発行日】2015年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-94088(P2012-94088)
(32)【優先日】2012年4月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-199164(P2012-199164)
(32)【優先日】2012年9月11日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 甚
(72)【発明者】
【氏名】武舎 武史
(72)【発明者】
【氏名】西沢 博志
(72)【発明者】
【氏名】仲嶋 一
(72)【発明者】
【氏名】武内 良祐
(72)【発明者】
【氏名】井藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】平位 隆史
(72)【発明者】
【氏名】永田 啓史
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA36
2F077AA37
2F077NN04
2F077NN17
2F077PP05
2F077QQ03
2F077QQ13
2F077QQ17
2F077TT52
2F077TT66
2F077TT72
2F077TT87
(57)【要約】
バルクハウゼン効果を有する検出コイル112,113を有するバッテリレス多回転エンコーダにおいて、回転検出機構110と、信号処理回路120とを備え、各検出コイルは、正負異符号の電圧パルスを発生して信号処理回路へ送出し、信号処理回路は、各電圧パルスの正負の符号、及び電圧パルスが生じていないことを元に、検出コイルの状態をハイ、ロー、及びハイ又はローを維持してメモリ127に記憶するコントローラ125と、各検出コイルの状態変化に対応して回転数を更新するアダー126と、を有し、回転軸の回転角を約1/4回転単位以内で判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの電力供給を受けることなく、回転軸の回転方向及び回転数を検出し保持するバッテリレス多回転エンコーダであって、
上記回転軸と伴に回転する回転軸円周方向の磁極数がN個の磁石と、この磁石の磁界に対してバルクハウゼン効果を有する磁性ワイヤで構成され上記磁石の回転円周上に位相角をずらして配置されるL個、ここでLは2以上、の検出コイルとを有する回転検出機構と、
回転検出機構と電気的に接続される信号処理回路と、を備え、
上記信号処理回路は、
それぞれの検出コイルの状態と回転軸の回転数を保持する不揮発メモリ回路と、
それぞれの検出コイルからの電圧パルスの有無及び、電圧パルス波高の正負の符号の4要素と、上記保持した状態と回転数から、今回の状態と回転軸の回転方向、回転数を判別し、新しいそれぞれの検出コイルの状態と回転数を上記不揮発メモリ回路に書き込む回路と、を備え、
それぞれの上記検出コイルで発生した電圧パルスから上記信号処理回路を駆動するための電圧を発生する電圧回路をさらに備え、
上記回転軸の回転角を1/(LN)回転単位以内で判定する、
ことを特徴とするバッテリレス多回転エンコーダ。
【請求項2】
上記検出コイルは、位相角90°で2個配置される、請求項1記載のバッテリレス多回転エンコーダ。
【請求項3】
上記不揮発メモリは、上記信号処理回路とは別設される、請求項1記載のバッテリレス多回転エンコーダ。
【請求項4】
上記回転検出機構において、上記回転軸の回転方向の違いによって上記磁性ワイヤにおいてバルクハイゼン効果が発生する回転角度のヒステリシス角度θを元に、一つの第1検出コイルに対して一又は複数の第2検出コイルは、第1検出コイルと第2検出コイルとの位相角がヒステリシス角度θより大きく、(360/N)−θより小さい角度範囲に配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリレス多回転エンコーダ。
【請求項5】
3個以上の上記検出コイルを上記磁石の回転円周上に位相角をずらせて配置し、上記信号処理回路における上記不揮発性メモリは、上記磁石の回転に伴い設定された上記検出コイルの前回と前々回とにおける状態を保持し、上記信号処理回路は、上記検出コイルの何れかより電圧パルスが発生したことで、前回発生した電圧パルスにより設定されたコイル状態と比較し、前回のコイル状態で指定される磁石の回転位置からの移動として想定される電圧パルスと上記発生した電圧パルスとが異なる状態では、上記前回及び前々回のパルス状態と上記発生電圧パルスとにより、上記回転数の値を補正する、或いはエラー出力を発生する、請求項1に記載のバッテリレス多回転エンコーダ。
【請求項6】
回転軸の回転方向及び回転数を検出し保持する多回転エンコーダであって、
上記回転軸と伴に回転する回転軸円周方向の磁極数がN個の磁石と、この磁石の磁界に対してバルクハウゼン効果を有する磁性ワイヤで構成され上記磁石の回転円周上に位相角をずらして配置されるL個、ここでLは2以上、の検出コイルとを有する回転検出機構と、
回転検出機構と電気的に接続される信号処理回路と、を備え、
上記信号処理回路は、
それぞれの検出コイルの状態と回転軸の回転数を保持するメモリと、
それぞれの検出コイルからの電圧パルスの有無及び、電圧パルス波高の正負の符号の4要素と、上記保持した状態と回転数から、今回の状態と回転軸の回転方向、回転数を判別し、新しいそれぞれの検出コイルの状態と回転数を上記メモリに書き込む回路と、を備え、
それぞれの上記検出コイルで発生した電圧パルスから上記信号処理回路を駆動するための電圧を発生する電圧回路をさらに備え、
上記回転軸の回転角を1/(LN)回転単位以内で判定する、
ことを特徴とする多回転エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター等における回転体の回転方向及び回転数を、外部からの電力供給を受けることなく、検出し保持することができる、多回転エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばモーター回転軸の回転角度を検出するためのロータリーエンコーダは、モーター回転軸に連結された、光学或いは磁気パターンを形成した回転ディスクと、上記光学或いは磁気パターンを読み取るための検出素子とで構成されている。この種のロータリーエンコーダには、上記検出素子によって検出されたパルス信号を積算して回転軸の回転角度を検出するインクリメント方式と、上記回転ディスク上の異なる複数のパターンから回転ディスクの絶対角度を検出するアブソリュート方式とが知られている。
【0003】
また、回転軸における1回転以上の回転数を計数する手段としては、減速ギヤを介して接続された上記アブソリュート方式のエンコーダを用いるものと、上記インクリメント方式のエンコーダを用いて累積値を計数し、電気的にその値を保持するものとがある。
【0004】
後者のエンコーダにおいては、回転数の計数及び保持を電子化することにより、エンコーダ構造を簡素化できるという利点があるが、外部電源遮断時にも、得られた回転数を電気的に保持しておく必要があるため、バックアップ用電池を搭載する必要がある。よって、バックアップ用電池の定期交換のため、保守性が良くないという課題がある。
一方、前者の方式では、機械式に回転数を計数し保持するため、外部電源の有無に関係なく回転数を保持できるという利点があるが、構造が複雑化し、コスト上昇及び高耐久化が困難であるという課題がある。
そこで、これらの課題を解決するために、電気的に回転数を計数して保持しながら、バックアップ電源を用いないバッテリレス方式の多回転エンコーダが提案されている。
【0005】
このバッテリレス方式の多回転エンコーダとしては、大バルクハウゼン効果を有する磁性ワイヤを用いた方式が提案されている。この磁性ワイヤは、ワイヤ内部にはハード磁性体を、ワイヤ外側にはソフト磁性体を用いて構成される。上記ソフト磁性体について、外部磁界Hに対する磁化Mの関係は、図13に示すように、ある磁界で急激に磁化Mが反転する振る舞い(大バルクハウゼン効果)を示す。この反転速度は、外部磁界Hの加え方によらず常に一定となる。そこでこれを利用して、モーター回転軸と共に回転する磁石周囲に、上記磁性ワイヤを内包したコイルを設置することにより、モーターの回転速度に依存せずに常に一定の電圧パルスをコイルから出力させることが可能となる。
【0006】
図14は、上述のバッテリレス方式の多回転エンコーダにおいて、モーター回転軸の回転数と、回転軸に対応する磁石から磁性ワイヤに加わる磁界、及びコイルから出力される電圧パルスを示す。図14によれば、モーター回転軸の回転方向CW(時計回り)、CCW(反時計回り)により、電圧パルスの生じる位置は、角度φだけずれるが、同じ回転方向では一定回転ごとに正負の電圧パルスが生じることがわかる。よって、この電圧パルスの電力を利用することにより、バッテリレス方式での多回転のカウントを行うことができる。
【0007】
このようなバッテリレス方式を利用して、例えば特許文献1には、モーター回転軸と共に回転する2極着磁した磁石の上方に、大バルクハウゼン効果を有する磁性ワイヤを位相角が90度となるように二つ配置して、これら二つの磁性ワイヤ上にそれぞれ巻いた各コイルから得られる正符号の電圧パルスの電力によって信号処理回路が駆動され、上記電圧パルスによって回転軸の回転数検出を行う、バッテリレス方式の多回転エンコーダが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−014799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の装置は、図15から図17を参照して以下に説明するような問題を有する。
図15には、上記特許文献1の装置において、モーター回転軸の回転中に、上述の二つのコイルA、Bに加わる磁界と電圧パルスとの関係、並びに、コイルA、Bの状態を示す信号処理されたA相出力及びB相出力を図示している。図15に示すように、コイルA、Bは、加わる磁界の反転に伴い、正負の異符号の電圧パルスを90度の位相差で出力する。信号処理回路は、正符号の電圧パルスのみを抽出し、電圧パルスが生じた方のコイルの状態をハイとし、電圧パルスが生じていない方のコイルの状態をローとする。このときのモーター回転軸の回転に対するA相出力及びB相出力を図16の(a)に示す。図16の(a)に示すように、まず電圧パルスが生じ、このときA相がハイ、B相がローの場合には、回転数は、変化しない。次に電圧パルスが生じ、A相がローでB相がハイのとき、回転数を+1カウントアップする。
【0010】
次に、モーター回転軸の回転が途中で反転した場合について述べる。図17は、特許文献1の装置において、モーター回転軸の回転方向がCWからCCWに反転した場合の、上記二つのコイルA、Bに加わる磁界と電圧パルスとの関係、並びに、A相出力及びB相出力を図示している。図17の(a)は、モーター回転軸の回転角が175+φ/2°回転した後に、CWからCCW方向に回転軸が反転した場合を示している。また、図17の(b)は、そのときのモーターの回転数に対するA相出力及びB相出力を示している。反転前の電圧パルスが生じたとき、A相出力がロー、B相出力がハイであり、反転後最初に電圧パルスが生じたときのA相出力はロー、B相出力はハイとなる。
【0011】
このように、前回の電圧パルスが生じたときと、A相及びB相の出力状態が同じときには、回転方向が反転したと判定する。反転後、次にA相出力がロー、B相出力がハイになったときに、回転数を−1カウントダウンする。
【0012】
更に別の角度にてモーター回転軸の回転が途中で反転した場合について述べる。図17の(b)は、モーター回転軸の回転角が175−φ/2°回転した後に、CWからCCW方向に回転軸が反転した場合を示している。このときのモーターの回転数に対するA相出力及びB相出力を図16の(c)に示す。この場合、A相出力及びB相出力は、CWからCCWの反転に関わらず、ハイからロー、ローからハイに変化する。そのため、モーター回転の反転を検出できず、回転数をカウントダウンすることができない。
【0013】
このように、特許文献1の装置にあっては、回転軸の回転方向に関わらず、A相出力がハイ、B相出力がローの状態から、A相出力がロー、B相出力がハイの状態へ繰り返し変化するだけであるため、モーター回転軸の回転角によっては、回転軸の回転方向が逆転したときのシグナルを検出できない場合が生じる。よって、特許文献1の装置では、正確にモーター回転数を検出することができないという問題がある。
【0014】
また、磁性ワイヤは、閾値をわずかに超える印加磁界が与えられて磁化反転したとき、それを更に反転する場合に発生する電圧パルスが低下することがあり、その減少量が大きい場合には信号処理回路が駆動できず、電圧パルスの検出抜けが発生する可能性があるという問題がある。
【0015】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、従来に比べてより正確に回転軸の回転数を検出可能な多回転エンコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様におけるバッテリレス多回転エンコーダは、外部からの電力供給を受けることなく、回転軸の回転方向及び回転数を検出し保持するバッテリレス多回転エンコーダであって、上記回転軸と伴に回転する磁石と、この磁石の磁界に対してバルクハウゼン効果を有する磁性ワイヤで構成され上記磁石の回転円周上に位相角をずらして配置されるL(≧2)個の検出コイルとを有する回転検出機構と、この回転検出機構と電気的に接続される信号処理回路と、を備える。それぞれの上記検出コイルは、上記回転軸の1回転ごとに、上記磁石の磁極数Nに対応してLN回、正、負の異符号の電圧パルスを正、負または負、正の順で発生して上記信号処理回路へ送出する。上記信号処理回路は、それぞれの検出コイルで発生した各電圧パルスの正、負の両方の符号及び電圧パルスが生じていないことを元に、上記検出コイルの状態を又は上記検出コイルの状態とその前の検出コイルの状態をハイ、ローにて定義し、及び電圧パルスが生じていないときにはハイ又はローを維持して、この検出コイルの状態をメモリに記憶するコントローラと、コントローラから各検出コイルの状態が供給され、この状態の変化に対応して上記回転軸の回転数を更新するアダーと、を有し、上記回転軸の回転角を約1/(LN)回転単位以内で判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様におけるバッテリレス多回転エンコーダによれば、信号処理回路におけるコントローラは、L個の検出コイルが送出する正、負両方の電圧パルスを用いて、電圧パルスの正負の符号及び電圧パルスが生じていないことを元に、各検出コイルの状態をハイ、ロー、及び電圧パルスが生じていないときにはハイ又はローを維持して、検出コイルの状態をメモリに記憶する。そしてこの記憶した状態を元に回転数を検出することから、回転途中で回転軸が逆転しても、数え落とすことなく回転数をカウントすることができる。よって、回転検出機構に備わる磁石の磁極数をNとしたとき、回転軸の回転角を約1/(LN)回転以内で検出することができ、従来に比べてより正確に回転軸の回転数を検出可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態1におけるバッテリレス多回転エンコーダの構成を示す図である。
図2図1に示すバッテリレス多回転エンコーダに備わる各検出コイルの配置を示す説明図である。
図3図1に示すバッテリレス多回転エンコーダに備わる各検出コイルの磁性ワイヤに加わる磁界と各検出コイルから出力される電圧パルスとの関係、及び各検出コイルの状態を示す説明図である。
図4図1に示すバッテリレス多回転エンコーダにおいて、回転軸の回転に対する各検出コイルの状態を示す説明図である。
図5図1に示すバッテリレス多回転エンコーダに備わる各検出コイルの磁性ワイヤに加わる磁界と各検出コイルから出力される電圧パルスとのヒステリシスを示す説明図である。
図6図1に示すバッテリレス多回転エンコーダにおいて、回転軸の回転方向が反転するときの各検出コイルの状態を示す説明図である。
図7図1に示すバッテリレス多回転エンコーダにおける角検出コイルの状態と回転数を判別する信号処理テーブルとを示す図である。
図8】本発明の実施の形態2におけるバッテリレス多回転エンコーダにおける信号処理ICの構成を示す図である。
図9】本発明の実施の形態3におけるバッテリレス多回転エンコーダにおける信号処理ICの構成を示す図である。
図10】本発明の実施の形態4におけるバッテリレス多回転エンコーダにおける検出コイルの配置を示す図である。
図11】本発明の実施の形態4におけるバッテリレス多回転エンコーダにおける検出コイルの状態と回転数を判別する信号処理テーブルを示す図である。
図12】本発明の実施の形態5における多回転エンコーダの構成を示す図である。
図13】バルクハウゼンジャンプを示す磁性ワイヤの磁界H−磁化M曲線である。
図14】磁性ワイヤに加わる磁界と検出コイルから出力される電圧パルスとの関係を示す図である。
図15】従来のバッテリレス多回転エンコーダにおいて、磁性ワイヤに加わる磁界と各検出コイルから出力される電圧パルスとの関係、及び各検出コイルの状態を示す説明図である。
図16】従来のバッテリレス多回転エンコーダにおいて、回転軸の回転に対する各検出コイルの状態を示す説明図である。
図17】従来のバッテリレス多回転エンコーダにおいて、回転軸の回転方向が反転したときの磁性ワイヤに加わる磁界と各検出コイルから出力される電圧パルスとの関係、及び各検出コイルの状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態であるバッテリレス多回転エンコーダについて、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。また、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け当業者の理解を容易にするため、既によく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0020】
実施の形態1.
図1には、本発明の実施の形態1によるバッテリレス多回転エンコーダ101の構成が示されている。本実施の形態のバッテリレス多回転エンコーダ101は、外部からの電力供給を受けることなく、回転軸の回転方向及び回転数を検出し保持する多回転エンコーダであり、大きく分けて、回転検出機構110と、この回転検出機構110と電気的に接続される信号処理回路120とを備える。
【0021】
回転検出機構110は、図2に示すように、磁石111と、検出コイル112、113とを有し、回転軸115の回転を検出する機構である。尚、回転軸115は、例えばモーターの出力軸(回転軸)等が相当するが、これに限定されず、軸周り方向に回転可能な回転体が相当する。
磁石111は、円板状であり、回転軸115と同心上に取り付けられており、回転軸115と伴にCW(時計回り)及びCCW(反時計回り)に回転する。回転軸115と磁石111とは、本実施形態ではこのように同心状に配置しているが、回転軸115の回動に対応して磁石111が回動する構成であればよい。また磁石111は、本実施形態では半円周ずつ2つの磁極を有するが、これ以上の磁極数を有しても良い。
【0022】
検出コイル112、113は、磁石111の上方で磁石111の回転円周上に配置され、大バルクハウゼン効果を有する磁性ワイヤで形成されている。本実施形態では、2つの検出コイル112,113が設けられるが、3つ以上の検出コイルを設けても良い。
【0023】
ここで、2極に着磁された磁石111と、検出コイル112、113との位置関係、及び、回転軸115の回転数の検出ロジックについて説明する。
まず、検出コイル112と検出コイル113との位置関係について説明する。大バルクハウゼン効果を有する磁性ワイヤでは、図14を参照し説明したように、回転数φだけヒステリシスが生じるため、回転軸115の回転方向に関わらず、検出コイル112、113の出力がオーバーラップするのを避けるため、検出コイル113は、検出コイル112に対して、位相角がφより大きく且つ180−φより小さくなるように設置する。
【0024】
一般的には、磁石111の磁極数をNとしたとき、ヒステリシス角度φを元に、一つの第1検出コイル(例えば検出コイル112)に対して一又は複数の第2検出コイル(例えば検出コイル113)は、第1検出コイルと第2検出コイルとの位相角がヒステリシス角度φより大きく、(360/N)−φより小さい角度範囲に配置される。
尚、以下では、説明の簡略化のため、上記位相角を90°として説明を行う。
【0025】
図3は、磁石111から検出コイル112、113に加わる磁界と、検出コイル112,113から得られる電圧パルスとの関係、並びに、検出コイル112からの出力をデジタル化したA相出力、検出コイル113からの出力をデジタル化したB相出力、検出コイル112のA状態、検出コイル113のB状態を図示している。図3の(a)は、回転方向がCW方向での図、図3の(b)は、CCW方向での図である。
【0026】
A相出力及びB相出力は、検出コイル112、113からの出力が、正符号の電圧パルスの場合にはハイ、負符号の電圧パルスの場合にはロー、電圧パルスが生じていない場合には無し(ゼロ)として出力される。
【0027】
A状態及びB状態は、それぞれ、A相出力、B相出力がハイの場合には各状態をハイとし、ローの場合には状態をローとし、また、無し(ゼロ)の場合には状態を変更しない。このA状態及びB状態の回転数に対する遷移を図4に示す。図4の(a)は、回転軸115の回転方向がCWの場合であり、図4の(b)は、回転方向がCCWの場合を示す。A状態及びB状態のそれぞれのハイ、ローの状態により、回転軸115の回転角は、90°あるいはφ°から180°−φ°の範囲で区別することができることがわかる。そこで、A状態がローからハイ、B状態がローで変更無しのとき、+1カウントアップし、A状態がハイからロー、B状態がローで変更無しのとき、−1カウントダウンとすることにより、回転方向に関係なく回転数を検出することができる。
【0028】
次に、回転軸115の回転方向が途中で反転した場合における、回転角に対するA状態、B状態、及びカウント数を図6に示す。回転軸115の回転に伴い、検出コイル112,113から発生するそれぞれの電圧パルスにより、1回転内を領域分けすると、図5の(a)、(b)に示すように領域Aから領域Hまで8領域に分類することができる(図5の(a)はCW方向に回転した場合、図5の(b)はCCW方向に回転した場合を示す)。そのため、図6では、各領域において、回転方向がCWからCCWに反転した場合の全てについて示している。図6におけるカウント数の項目を参照すると、どの領域で回転軸115が反転した場合でも、カウント数にずれが生じていないことがわかる。
尚、検出コイルを3以上、又は磁石111の着磁数を3以上として、1回転内の分解能を90°あるいはφ°から180°−φ°の範囲より小さくしても問題はない。
【0029】
次に検出コイル112、113からそれぞれ電圧パルスが生じたときの、信号処理IC(上述の信号処理回路に同じ)120の動作について説明する。
信号処理IC120は、本実施形態では図1に示すように、全波整流回路121、定電圧回路122、Enable回路123、パルス波形符号判定回路124、コントローラ125、アダー126、不揮発メモリ127、外部回路インターフェイス128、及び電源切替129を有する。信号処理IC120の基本的構成部分としては、コントローラ125及びアダー126が相当する。
【0030】
このような構成において、検出コイル112,113で発生したそれぞれの電圧パルスは、全波整流回路121、121でそれぞれ整流された後、定電圧回路122によって一定電圧にされる。この一定電圧は、Enable回路123、パルス波形符号判定回路124、コントローラ125、アダー126、及び不揮発メモリ127に電力として供給される。なお、電源切替129は、定電圧回路122と外部からの電力供給とを切り替えて出力する機能を有し、コントローラ125、不揮発メモリ127には、電源切替129を介して一定電圧が供給される。また、外部電源はバックアップ電源に相当せず主電源であるので、電源切替129を設けたことはバッテリレス多回転エンコーダの構成に反するものではない。
【0031】
次にEnable回路123は、定電圧回路122からの電圧が十分安定したのを確認した後、パルス波形符号判定回路124、コントローラ125、アダー126、及び不揮発メモリ127へ動作開始トリガーを送信する。
【0032】
動作開始トリガーを受け取ったパルス波形符号判定回路124は、検出コイル112、113からの各電圧パルスからA相出力及びB相出力を判定し、コントローラ125に送信する。
コントローラ125は、不揮発メモリ127から、前回に電圧パルスが生じたときの回転軸115の回転数と、A状態及びB状態とを読み取り、これをアダー126に送信する。
【0033】
アダー126は、受け取った情報(回転数、A相出力B相出力、A状態、B状態の値)から、図7の変換テーブルを用いて、状態A、状態B及び回転数の更新を行い、最新のA状態、B状態、及び回転数をコントローラ125に送信する。
コントローラ125は、アダー126からの情報を再度不揮発メモリ127にアクセスし、これらの書き込みを実施する。
【0034】
信号処理IC120は、これら一連の動作を、検出コイル112、113からの各電圧パルスによって全波整流回路121、及び定電圧回路122で発生させた電力のみで行い、且つ次の電圧パルスが生じる前に動作を終了する。
【0035】
当該バッテリレス多回転エンコーダ101の外部から、回転軸115の回転数を読み取る場合には、外部回路インターフェイス128、コントローラ125の順に、これらを介して不揮発メモリ127にアクセスして、回転数の読み取りを行う。このとき、回転数検出の一連の動作と、外部からの読み取り動作とがバッティングしないように、コントローラ125が、外部からの不揮発メモリ127へのアクセスを制限する。また、外部からアクセスするときには、コントローラ125、不揮発メモリ127には電源切替129を介して外部から、外部回路インターフェイス128には直接外部から電力供給を行うため、検出コイル112,113の電圧パルスからの電力によらず、回転数の読み取りが可能である。
【0036】
以上説明したように、バッテリレス多回転エンコーダ101では、二つ検出コイル112、113から生じる電圧パルスの正、負の両方の符号を用いて、検出コイル112、113の状態をA状態、B状態として不揮発メモリ127に保持することによって、途中で回転軸115が逆回転した場合でも、回転数を数え落とすことなく検出することができ、且つ上述の動作を、検出コイル112、113からの電圧パルスの電力のみで実行することができる。
【0037】
なお、バッテリレス多回転エンコーダ101の組み立てるとき、または一度分解後に再度組み立てたときには、不揮発メモリ127にある前回電圧パルスが生じたときの状態A及び状態Bから推定される磁石111と検出コイル112、113との位置関係と、実際の磁石111と検出コイル112、113との位置関係とは、必ずしも一致しない。そのため、初期設定モードでは、不揮発メモリ127にある、前回電圧パルスが生じたときの状態A及び状態Bが実際の磁石111と検出コイル112、113との位置関係を反映する少なくとも電圧パルスが2回以上生じるまで、コントローラ125、及びアダー126は、回転数の更新を行わず、不揮発メモリ127にある状態A及び状態Bを更新し続ける動作を行う。
【0038】
実施の形態2.
図8を参照して、本発明の実施の形態2におけるバッテリレス多回転エンコーダ102について説明する。
本実施形態のバッテリレス多回転エンコーダ102も、上述のバッテリレス多回転エンコーダ101と同様に、回転検出機構110と、この回転検出機構110と電気的に接続される信号処理回路とを備える。本実施形態のバッテリレス多回転エンコーダ102では、信号処理回路120に代えて信号処理回路131を有する点で、上述のバッテリレス多回転エンコーダ101と相違する。また、信号処理回路120と信号処理回路131との違いは、不揮発メモリ127を信号処理回路の外部へ配置した点である。信号処理回路131におけるその他の構成は、信号処理回路120と同じである。
【0039】
このように構成することで、バッテリレス多回転エンコーダ102によれば、バッテリレス多回転エンコーダ101と同じ効果が得られるとともに、さらに、信号処理ICの製造時に、不揮発メモリ127用のプロセスが不要となる。よって、バッテリレス多回転エンコーダ102によれば、バッテリレス多回転エンコーダ101に比べて、信号処理ICのコスト低減、製造先を増やすことが可能となり、また、不揮発メモリ127として汎用品を使用することが出来るため、入手性、コストの改善が可能となる。
【0040】
実施の形態3.
図9を参照して、本発明の実施の形態3におけるバッテリレス多回転エンコーダ103について説明する。
本実施形態のバッテリレス多回転エンコーダ103も、上述のバッテリレス多回転エンコーダ101と同様に、回転検出機構110と、この回転検出機構110と電気的に接続される信号処理回路とを備える。本実施形態のバッテリレス多回転エンコーダ103では、信号処理回路120に代えて信号処理回路132を有する点で、上述のバッテリレス多回転エンコーダ101と相違する。また、信号処理回路120と信号処理回路132との違いは、全波整流回路121及び定電圧回路122を、信号処理回路の外部で、回転検出機構110と信号処理回路132との間に配置した点である。信号処理回路132におけるその他の構成は、信号処理回路120と同じである。
【0041】
このように構成することで、バッテリレス多回転エンコーダ103によれば、バッテリレス多回転エンコーダ101と同じ効果が得られるとともに、さらに、信号処理回路132に入力される電圧値を制限することが出来る。よって、バッテリレス多回転エンコーダ103によれば、バッテリレス多回転エンコーダ101に比べて、信号処理回路132の入力電圧耐性を下げることができ、コスト低減を図ることができる。
【0042】
実施の形態4.
図10及び図11を用いて実施の形態4におけるバッテリレス多回転エンコーダ104について説明する。
本実施形態のバッテリレス多回転エンコーダ104においても、上述のバッテリレス多回転エンコーダ101と同様に、回転検出機構と、この回転検出機構と電気的に接続される信号処理回路120とを備える。本実施形態のバッテリレス多回転エンコーダ104では、回転検出機構110に代えて回転検出機構110−4を有する点で上述のバッテリレス多回転エンコーダ101と相違する。図10に、回転検出機構110−4の構成を図示する。
【0043】
本実施形態のバッテリレス多回転エンコーダ104は、3個以上の検出コイル112,113,114を磁石111の回転円周上に位相角をずらせて配置し、信号処理回路120における不揮発性メモリ127は、磁石111の回転に伴い設定された上記検出コイルの前回と前々回とにおける状態を保持し、信号処理回路120は、上記検出コイルの何れかより電圧パルスが発生したことで、前回発生した電圧パルスにより設定されたコイル状態と比較し、前回のコイル状態で指定される磁石111の回転位置からの移動として想定される電圧パルスと上記発生した電圧パルスとが異なる状態では、上記前回及び前々回のパルス状態と上記発生電圧パルスとにより、回転軸の回転数の値を補正する、或いはエラー出力を発生するものである。
【0044】
このように構成されるバッテリレス多回転エンコーダ104によれば、3個以上の検出コイルと前々回の検出コイルの状態の情報を用いてパルス検出が抜けた場合の訂正位置を特定できることから、回転途中で回転軸が逆転しても、数え落とすことなく回転数をカウントすることができるのみならず、一回のパルス抜けを許容した信頼性の高い回転数の検出が可能となる。
【0045】
次に、本実施形態のバッテリレス多回転エンコーダ104の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。
バルクハウゼン効果を有する磁性ワイヤは、図13を用いて先に説明したように、特定の磁界により急激に磁化が反転し、コイルから一定の電圧パルスを発生する。しかしながら、印加される磁界が磁化反転の閾値より十分に大きくならない場合、つまり印加磁界が上記閾値を僅かに上回って電圧パルスを発生させた直後に磁石111の回転が反転するような場合には、磁石111の回転によって上記電圧パルスを発生させた印加磁界とは逆方向の印加磁界方向で、たとえ印加される磁界が閾値を上回ったときでも、発生する電圧パルスの強度が小さくなるという現象がある。この発生電圧パルスの低下が激しい場合には、信号処理回路120が動作できず、回転する磁石111の実際の位置と、検出した電圧パルスに保持された状態により指定される磁石111の想定位置とが異なる現象が発生する。
【0046】
そこで本実施の形態のバッテリレス多回転エンコーダ104の回転検出機構110−4では、図10に示すように、回転する磁石111に対して所定の位相にてずれた位置に、A相の検出コイル112、B相の検出コイル113、C相の検出コイル114の3個の検出コイルを配置する。各検出コイルの配置は、本実施の形態では、磁石111の中心角において、検出コイル113に対してCW方向及びCCW方向にそれぞれ60度の位置に検出コイル112、114を配置している。しかしながら、各検出コイルの配置位置は、これに限定するものではない。また、検出コイルの数も3個以上であればよい。
また、各検出コイル112、113、114によって、「原点位置」から6個の角度領域に分割し、その各々を原点位置よりCW方向に「領域1」から「領域6」とする。また、CW方向にSよりNに変化する回転磁石111の角度位置を「磁石基準」とする。
【0047】
今、原点位置にB相の検出コイル113が配置され、磁石基準が原点位置にある状況から、磁石基準がCW方向へ領域6側から領域1に移動し、これによりB相の検出コイル113において磁化反転の閾値を超えたとする。このとき、B相検出コイル113から電圧パルスが発生する。ここで、この電圧パルスが発生した位置から磁石111の回転が反転して、磁石基準が領域1から領域6に戻った場合、バッテリレス多回転エンコーダ104の信号処理回路120は、次のように動作する。即ち、上述したように、磁石111がCCW方向に回転することで、B相検出コイル113に対して逆側の磁界方向で磁石111からの磁界が閾値を超えて作用する。しかしながら、B相の検出コイル113で発生する電圧パルスが小さく信号処理回路120が動作しないことから、信号処理回路120は、磁石111の磁石基準の位置が領域1であることを指示するB相の検出コイル113の状態を維持する。さらに回転磁石111がCCW方向に進むとき、A相検出コイル112の閾値を超えて電圧パルスが発生する。しかしながら、信号処理回路120は、磁石基準の位置が領域1であることを保持しており、領域1から領域6又は領域2への移動で電圧パルスが発生するのはB相検出コイル113又はC相検出コイル114だけであるので、誤動作が発生したことが検知できる。尚、以下の説明上、この動作を「先の例」と記す。
【0048】
上述の、領域1の状態を保持してA相の検出コイル112に電圧パルスが発生する状況は、磁石基準がCCW方向に領域2より領域1に移動し、その後、回転の反転により領域1から領域2へ切り替わるが、電圧パルスが抜け、さらにCW方向に回転して領域3に移動した場合にも同様に発生する。この場合においても先の例と同様に領域1からA相検出コイル112に電圧パルスの発生する領域移動は存在しないので誤動作の発生が検知できる。尚、説明上、この動作を「後の例」と記す。
先の例と後の例は、何れも検出コイルの前回の状態で指定される磁石111の磁石基準の位置が領域1で同一あり、このままでは誤動作を検知できるが補正をすることは出来ない。一方、信号処理回路120で保持されている検出コイルの前々回の状態で指定される磁石111の磁石基準の位置は先の例で領域6であり後の例では領域2であるので、両者は異なっており区別することができる。先の実施例では、領域1から領域6に移動する際の電圧パルスが抜けて領域6から領域5に移動する際のA相検出コイルの電圧パルスが発生したものと特定出来て、信号処理回路120の保持状態を領域1から1領域跳んだ領域5に補正すると共に回転数の値を−1カウント補正することが出来る。また、後の例でも同様に補正することができる。このように、前回及び前々回のパルス状態と上記発生電圧パルスとにより、パルス状態の保持状態と回転軸の回転数の値を補正することができる。
そして信号処理回路120は、上述のように検出パルスの状態を信号処理回路120の不揮発メモリ127に保持する。上述の状態の遷移を表にしたものが図11である。図11において、上述の状態に符合するものがNo.6(上記「先の例」に相当)及びNo.4(上記「後の例」に相当)である。前回の検出コイル状態により現領域が決定され、前々回の検出コイル状態によって前領域が決定される。上述の図11の状態遷移表で表されない状態遷移が現れた場合は、想定されるパルス抜けと異なる事象が発生しており信号処理回路120ではエラーを出力する。
【0049】
尚、前領域は、現領域に対し前領域からCWかCCWかいずれの方向で遷移したかの情報を有することで一意に決定できるので、この遷移方向情報を用いて記憶する情報量を削減してもよい。
また、図11の表中の「前領域」において「or」で記載されているものは、正しく領域の判定が行われている場合で、前領域として現領域と隣接するいずれの領域でも、次の領域への遷移は同一となることを意味する。例えば、No.1の場合、前領域として「1or3」のいずれの領域でも、次領域は「3」で、同一になる。
【0050】
尚、実施の形態4におけるバッテリレス多回転エンコーダ104において、実施の形態2又は3で説明した構成を採ることも可能である。
また、上述の各実施の形態を適宜組み合わせた構成を採ることもできる。そのような構成では、組み合わした実施形態が奏する各効果を得ることができる。
【0051】
実施の形態5.
図12を参照して、本発明の実施の形態5における多回転エンコーダ105について説明する。
本実施形態の多回転エンコーダ105も、上述のバッテリレス多回転エンコーダ101〜103と同様に、回転検出機構110と、この回転検出機構110と電気的に接続される信号処理回路とを備える。本実施形態の多回転エンコーダ105では、信号処理回路120、131、132に代えて信号処理回路140を有する点で、上述のバッテリレス多回転エンコーダ101〜103と相違する。また、信号処理回路120と信号処理回路140との違いは、半波整流回路141を設け、バッテリ142を内蔵し、メモリ143を信号処理回路内に配置した点である。このように本実施の形態5における多回転エンコーダ105は、バッテリ142を内蔵することからバッテリレスタイプではない点で、実施の形態1〜4における多回転エンコーダとは相違する。
【0052】
また、本実施の形態5における多回転エンコーダ105の信号処理回路140では、半波整流回路141は、検出コイル112,113で発生したそれぞれの電圧パルスの半サイクル分で整流を行い、これをパルス波形符号判定回路124へ出力する。また、バッテリ142は、電源切替129に接続され、定電圧回路122は、Enable回路123にのみ定電圧を供給する。その他の、アダー121、パルス波形符号判定回路124、コントローラ125、外部回路インターフェイス128、メモリ143は、電源切替129を介して外部又はバッテリ142から電力供給を受ける。これに伴い、メモリ143は、不揮発性メモリである必要はなく、揮発性メモリでもよい。本実施形態では揮発性メモリを採る。
尚、信号処理回路140におけるその他の構成は、信号処理回路120と同じである。
【0053】
このように構成することで、信号処理回路140は、常にバッテリ142から電力供給を受けられるため、多回転エンコーダ105によれば、多回転エンコーダ101と同じ効果が得られるとともに、さらに、集積回路で構成する信号処理回路140の製造時に、不揮発メモリ127用のプロセスが不要であり、且つ、信号処理回路140の低消費電力での駆動が不要となる。よって、本実施の形態5における多回転エンコーダ105によれば、バッテリレス多回転エンコーダ101に比べて、信号処理回路140の製造コスト低減、製造先を増やすことが可能となり、また、メモリ143として汎用品を使用することができるため、その入手性、コストの改善が可能となる。
【0054】
尚、実施の形態5における多回転エンコーダ105において、実施の形態2、3又は4で説明した構成を採ることも可能である。
【0055】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
又、2012年4月17日に出願された、日本国特許出願No.特願2012−94088号、及び2012年9月11日に出願された、日本国特許出願No.特願2012−199164号における、それぞれの明細書、図面、特許請求の範囲、及び要約書の開示内容の全ては、参考として本明細書中に編入されるものである。
【符号の説明】
【0056】
101〜103 バッテリレス多回転エンコーダ、
105 多回転エンコーダ
110 回転検出機構、111 磁石、112,113 検出コイル、
115 回転軸、120 信号処理回路、121 全波整流回路、
122 定電圧回路、124 パルス波形符号判定回路、125 コントローラ、
126 アダー、127 不揮発メモリ、131,132、140 信号処理回路、
142 バッテリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】