特表-13160945IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年10月31日
【発行日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】エコー消去装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/23 20060101AFI20151124BHJP
   H04M 1/60 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   H04B3/23
   H04M1/60 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2014-512015(P2014-512015)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年4月25日
(11)【特許番号】特許第5631523号(P5631523)
(45)【特許公報発行日】2014年11月26日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100173934
【弁理士】
【氏名又は名称】久米 輝代
(74)【代理人】
【識別番号】100156351
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 秀央
(72)【発明者】
【氏名】須藤 貴志
(72)【発明者】
【氏名】矢野 敦仁
(72)【発明者】
【氏名】粟野 智治
【テーマコード(参考)】
5K046
5K127
【Fターム(参考)】
5K046BB01
5K046HH11
5K046HH57
5K046HH79
5K127AA03
5K127BB16
5K127GB47
5K127GB72
5K127MA02
5K127MA06
5K127MA34
(57)【要約】
ダウンサンプラ34,44によるダウンサンプリング時にエイリアシングが発生しない特性のLPF31,41により低域信号を分割し、ダウンサンプラ35,45によるダウンサンプリング時にエイリアシングが発生しない特性のHPF32,42により高域信号を分割し、加減算器36,46により分割前の信号から低域信号と高域信号を減じて中域信号を生成し、帯域毎にエコーを消去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照信号および音声信号それぞれを、複数の帯域に分割して複数の1次分割信号を出力する1次帯域分割部と、
個々の前記帯域について、前記参照信号の1次分割信号を参照して前記音声信号の1次分割信号のエコー消去処理を行うエコー処理部と、
前記エコー処理部で前記帯域別にエコー消去処理された前記音声信号の1次分割信号を合成する帯域合成部とを備え、
前記1次帯域分割部は、
ダウンサンプリングする際にエイリアシングが発生しないフィルタ特性であって、分割対象の信号のうちの低域成分を分割して低域の1次分割信号を生成するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタで分割された前記低域の1次分割信号をダウンサンプリングする低域側ダウンサンプラと、
ダウンサンプリングする際にエイリアシングが発生しないフィルタ特性であって、前記分割対象の信号のうちの高域成分を分割して高域の1次分割信号を生成するハイパスフィルタと、
前記ハイパスフィルタで分割された前記高域の1次分割信号をダウンサンプリングする高域側ダウンサンプラと、
前記低域側ダウンサンプラから出力された前記低域の1次分割信号および前記高域側ダウンサンプラから出力された前記高域の1次分割信号を、前記分割対象の信号から減じて、中域の1次分割信号を生成する加減算器とを有することを特徴とするエコー消去装置。
【請求項2】
前記1次帯域分割部で分割された前記複数の帯域のうちの少なくとも1つの帯域の1次分割信号を、さらに複数の帯域に分割して複数の2次分割信号を出力する2次帯域分割部を備え、
前記2次帯域分割部は、
ダウンサンプリングする際にエイリアシングが発生しないフィルタ特性であって、分割対象の帯域の前記1次分割信号のうちの低域成分を分割して低域の2次分割信号を生成するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタで分割された前記低域の2次分割信号をダウンサンプリングする低域側ダウンサンプラと、
ダウンサンプリングする際にエイリアシングが発生しないフィルタ特性であって、前記分割対象の帯域の前記1次分割信号のうちの高域成分を分割して高域の2次分割信号を生成するハイパスフィルタと、
前記ハイパスフィルタで分割された前記高域の2次分割信号をダウンサンプリングする高域側ダウンサンプラと、
前記低域側ダウンサンプラから出力された前記低域の2次分割信号および前記高域側ダウンサンプラから出力された前記高域の2次分割信号を、前記分割対象の帯域の前記1次分割信号から減じて、中域の2次分割信号を生成する加減算器とを有することを特徴とする請求項1記載のエコー消去装置。
【請求項3】
前記エコー処理部は、前記低域の1次分割信号および前記高域の1次分割信号に対して適応フィルタを用いたエコー消去処理を行い、前記中域の1次分割信号に対しては、適応フィルタを用いたエコー消去処理に代えて、エコー抑圧処理を行うことを特徴とする請求項1記載のエコー消去装置。
【請求項4】
前記エコー処理部は、個々の前記帯域について、前記参照信号の2次分割信号を参照して前記音声信号の2次分割信号のエコー消去処理を行い、前記低域の2次分割信号および前記高域の2次分割信号に対して適応フィルタを用いたエコー消去処理を行い、前記中域の2次分割信号に対しては、適応フィルタを用いたエコー消去処理に代えて、エコー抑圧処理を行うことを特徴とする請求項2記載のエコー消去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音響信号に重畳したエコー信号を消去するエコー消去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンズフリー通話システムおよび電話会議システムのような、スピーカからの出力がマイクに入り込むシステム系において、その通話品質の確保、特に双方向通話時に発生する音響結合により生じるエコーの消去が必要である。このエコーを消去する技術として、スピーカ・マイク間の伝達関数を同定する適応フィルタを有し、この適応フィルタで同定したエコーパスを用いて疑似エコー信号を生成し、マイクの入力信号から疑似エコー信号を減じることによりスピーカからマイクへ伝達されたエコーの消去を行う音響エコーキャンセラがあった。従来の音響エコーキャンセラでは、単一の適応フィルタを用いてエコーを消去するが、音響信号は周波数帯域上でエネルギ分布に偏りがある信号なので、単一の適応フィルタでは、収束遅延等によって十分なエコー抑圧ができないという欠点があった。
【0003】
そこで、このような欠点を解消する音響エコーキャンセラとして、音響信号を複数の周波数帯域に分割し、個別の帯域毎にエコー消去を行うサブバンドエコーキャンセラが提案されている。このサブバンドエコーキャンセラでは、狭い帯域幅毎に適応フィルタによる学習を行うことになるので、エネルギ分布の偏りによる影響を排除することが期待できる。また、帯域を分割することでサンプリング周波数を低減することが可能になるため、演算量の削減が期待できる。例えば、サンプリング周波数8kHzである信号の帯域(0〜4kHz)を0〜2kHzと2〜4kHzの2等分に分割にするとき、それぞれの帯域幅は2kHz分しかないため、サンプリング周波数4kHzの信号として表現可能であることから、サンプリング周波数を1/2に低減できる。
【0004】
しかし、ダウンサンプリングにより生じるエイリアシングの影響で、分割した帯域の境界付近のエコーが十分に除去されず、残留エコーが生じるという問題があった。ここで、図5に、ダウンサンプリングにより生じるエイリアシングの説明図を示す。サンプリング周波数16kHzの信号をダウンサンプリングしてサンプリング周波数8kHzに変換する際、サンプリング周波数の1/2を超える周波数帯域に信号成分があると、折り返し信号、即ちエイリアシングが生じる。
【0005】
例えば特許文献1では、QMF(Quadrature Mirror Filter)を使用してマイクの入力信号を高域成分と低域成分に分離した後、各成分を間引くダウンサンプリングを行っているため、それぞれの帯域におけるエコーキャンセラは少ない演算量で達成できる。また、入力信号の低域成分に対して高周波成分のみを通過させるHPF(High Pass Filter)を設けることにより、帯域境界付近のエコー信号を除去するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−203358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1では、帯域境界付近のエコー除去を目的として、入力信号に対してHPF処理を施しているが、これにより入力信号自身の低域成分が失われてしまうため、音質を損なうという課題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、帯域分割によって生じるエイリアシングの影響を除去することにより、音質を損なうことなくエコーを消去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のエコー消去装置は、1次帯域分割部が、ダウンサンプリングする際にエイリアシングが発生しないフィルタ特性であって、分割対象の信号のうちの低域成分を分割して低域の1次分割信号を生成するローパスフィルタと、ローパスフィルタで分割された低域の1次分割信号をダウンサンプリングする低域側ダウンサンプラと、ダウンサンプリングする際にエイリアシングが発生しないフィルタ特性であって、分割対象の信号のうちの高域成分を分割して高域の1次分割信号を生成するハイパスフィルタと、ハイパスフィルタで分割された高域の1次分割信号をダウンサンプリングする高域側ダウンサンプラと、低域側ダウンサンプラから出力された低域の1次分割信号および高域側ダウンサンプラから出力された高域の1次分割信号を、分割対象の信号から減じて、中域の1次分割信号を生成する加減算器とを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ダウンサンプリングする際にエイリアシングが生じない特性を持つローパスフィルタおよびハイパスフィルタを用いて原信号から低域の信号と高域の信号を分割し、低域の信号と高域の信号を原信号から減じて中域の信号を生成することにより、帯域分割の際のダウンサンプリングによって生じるエイリアシングの影響を除去でき、音質を損なうことなくエコーを消去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の実施の形態1に係るエコー消去装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係るエコー消去装置が用いるローパスフィルタとハイパスフィルタの特性を示すグラフである。
図3図2に示すローパスフィルタとハイパスフィルタの出力信号を合成した信号の周波数特性を示すグラフである。
図4】この発明の実施の形態2に係るエコー消去装置の構成を示すブロック図である。
図5】従来のサブバンドエコーキャンセラにおいて、ダウンサンプリングにより生じるエイリアシングを説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1に示すエコー消去装置は、例えばハンズフリー通話システムに適用され、このシステムの通信装置で受信した通話先の音声信号をスピーカ10に出力すると共に、周囲の音声をマイク20で収音して通信装置から通話先へ送信する。このエコー消去装置は、スピーカ10へ出力する受信信号を参照信号に用いて、マイク20の入力信号(音声信号)に重畳したエコーを消去するために、帯域分割部(1次帯域分割部)30,40、低域エコー処理部51、中域エコー処理部52、高域エコー処理部53および帯域合成部60を備える。
【0013】
帯域分割部30は、LPF(Low Pass Filter)31、HPF32、遅延器33、ダウンサンプラ(低域側ダウンサンプラ)34、ダウンサンプラ(高域側ダウンサンプラ)35および加減算器36から構成されている。帯域分割部30は受信信号を受け、LPF31により低域成分を抽出し、ダウンサンプラ34により低域成分のダウンサンプリング処理を行い、ダウンサンプルされた低域信号(低域の1次分割信号)を生成する。また、HPF32により受信信号から高域成分を抽出し、ダウンサンプラ35により高域成分のダウンサンプリング処理を行い、ダウンサンプルされた高域信号(高域の1次分割信号)を生成する。さらに、受信信号を遅延器33により遅延させた後、LPF31の出力する低域成分およびHPF32の出力する高域成分を加減算器36において減じることで、中域信号(中域の1次分割信号)を生成する。
【0014】
帯域分割部40も帯域分割部30と同様に、LPF41、HPF42、遅延器43、ダウンサンプラ44,45および加減算器46から構成されている。帯域分割部40はマイク20の入力信号を受け、LPF41により低域成分を抽出し、ダウンサンプラ44により低域成分のダウンサンプリング処理を行い、ダウンサンプルされた低域信号を生成する。また、HPF42により入力信号から高域成分を抽出し、ダウンサンプラ45によりダウンサンプリング処理を行い、ダウンサンプルされた高域信号を生成する。さらに、入力信号を遅延器43により遅延させた後、LPF41の出力する低域成分およびHPF42の出力する高域成分を加減算器46において減じることで、中域信号を生成する。
【0015】
低域エコー処理部51は、帯域分割部30および帯域分割部40において生成された低域信号を入力としてエコー消去処理を実施する。中域エコー処理部52は、帯域分割部30および帯域分割部40において生成された中域信号を入力としてエコー消去処理を実施する。高域エコー処理部53は、帯域分割部30および帯域分割部40において生成された高域信号を入力としてエコー消去処理を実施する。
【0016】
ここで、低域エコー処理部51および高域エコー処理部53は、適応フィルタを用いてエコー消去処理を行うこととし、適応フィルタとして例えばNLMS(Normalized Least Mean Squares filter)を用いる。低域エコー処理部51は、帯域分割部30で得られる受信側の低域信号を参照信号とし、帯域分割部40で得られる入力側の低域信号を用いて適応化処理を実施し、エコー成分を推定する。この推定したエコー成分を入力側の低域信号から減じた信号が低域エコー処理部51の出力信号となる。
【0017】
同様に高域エコー処理部53も、帯域分割部30で得られる受信側の高域信号を参照信号とし、帯域分割部40で得られる入力側の高域信号を用いて適応化処理を実施し、エコー成分を推定する。この推定したエコー成分を入力側の高域信号から減じた信号が高域エコー処理部53の出力信号となる。
【0018】
なお、適応フィルタとしてNLMSを用いたが、LMS(Least Mean Squares filter)、RLS(Recursive Least Squares filter)、アフィン射影フィルタなど他の適応フィルタを用いてもよい。
【0019】
一方、中域エコー処理部52は、その帯域幅が狭いことから、適応フィルタによるエコー消去ではなく、時間領域でのエコー抑圧処理によってエコー低減を図っている。本実施の形態1では、中域エコー処理部52は、帯域分割部30で得られる受信側の中域信号を参照信号にし、帯域分割部40で得られる入力側の中域信号のパワー情報を基にエコー抑圧量を決定する。
【0020】
帯域合成部60は、アップサンプラ61,62、遅延器63、LPF64、HPF65および加算器66から構成されている。帯域合成部60は低域エコー処理部51の出力信号を受けて、アップサンプラ61によりアップサンプリング処理を行い、アップサンプリング処理で発生した折り返し成分をLPF64で除去して低域信号を生成する。また、帯域合成部60は高域エコー処理部53の出力信号を受けて、アップサンプラ62によりアップサンプリング処理を行い、アップサンプリング処理で発生した折り返し成分をHPF65で除去して高域信号を生成する。そして、中域エコー処理部52の出力する中域信号を遅延器63で遅延させ、遅延させた中域信号と、LPF64の出力する低域信号と、HPF65の出力する高域信号とを加算器66において合算し、送信信号を生成する。
【0021】
次に、動作を説明する。
帯域分割部30は、受信信号を受けて、まず低域信号と高域信号を生成し、その後、受信信号全体から低域信号および高域信号を減ずることにより中域信号を生成する。
【0022】
図2(a)に低域信号を生成するLPF31の特性の一例を示し、図2(b)に高域信号を生成するHPF32の特性の一例を示す。図3は、LPF31およびHPF32の出力信号を合成した信号の周波数特性を示す。受信信号の帯域を2分割する場合、LPF31の遮断周波数は1/2以下、HPF32の遮断周波数は1/2以上にする。このような特性のフィルタを用いることによって、ダウンサンプラ34,35におけるダウンサンプリング処理を実施しても、その出力信号にエイリアシングが発生しないため、後段の低域エコー処理部51および高域エコー処理部53の出力結果を帯域合成部60にて合成した送信信号にもエイリアシングの影響が無い。
【0023】
しかし、図2のフィルタ特性にて低域信号と高域信号を生成した場合、それらの信号を合成すると、図3に示すようにLPF31およびHPF32の遮断周波数として設定した境界帯域1.5kHz付近の信号が欠落してしまう。そこで、境界帯域付近の信号を欠落させないために、中域信号を生成する。中域信号の生成方法は以下の通りである。
まず、受信信号を遅延器33において、LPF31およびHPF32で発生する遅延と同じだけ遅延させる。その後、加減算器36にて、遅延器33の出力信号からLPF31およびHPF32の各出力信号を減ずることにより、境界帯域付近の中域信号を算出する。
【0024】
帯域分割部40は、入力に用いる信号が受信信号ではなくマイク20の入力信号である点以外は帯域分割部30と同様の動作をするよう設計する。つまり、LPF41およびHPF42のフィルタ特性はそれぞれLPF31およびHPF32のフィルタ特性と同じにする。
【0025】
以上より、実施の形態1によれば、エコー消去装置は、ダウンサンプリングする際にエイリアシングが発生しないフィルタ特性であって受信信号のうちの低域成分を分割して低域信号を生成するLPF31と、LPF31で分割された低域信号をダウンサンプリングするダウンサンプラ34と、ダウンサンプリングする際にエイリアシングが発生しないフィルタ特性であって受信信号のうちの高域成分を分割して高域信号を生成するHPF32と、HPF32で分割された高域信号をダウンサンプリングするダウンサンプラ35と、ダウンサンプラ34,35から出力された低域信号および高域信号を遅延器33で遅延した受信信号から減じて中域信号を生成する加減算器36とから構成される帯域分割部30、および、同様の構成のマイク20の入力信号用の帯域分割部40を備えるようにした。このため、帯域分割の際のダウンサンプリングによって生じるエイリアシングの影響を受けることなくエコー消去処理を実施することができる。また、上記特許文献1のような従来のサブバンドエコーキャンセラとは異なり低域信号に対するHPF処理を施す必要がないため、入力信号に対する低域の歪みが発生せず、音質を維持できるという効果もある。
【0026】
また、実施の形態1によれば、エコー消去装置において、低域エコー処理部51および高域エコー処理部53は、低域信号および高域信号に対して適応フィルタを用いたエコー消去処理を行い、中域エコー処理部52は中域信号に対してエコー抑圧処理を行うように構成したので、ダウンサンプリング処理を行っていない中域信号に対するエコー処理の演算量を抑制することができる。
【0027】
なお、上記実施の形態1では、帯域分割を行う上で、LPF31,41およびHPF32,42のフィルタ特性を図2に示す特性にしたが、ダウンサンプルする際にエイリアシングの発生しない特性を持つフィルタであれば、図2に示す特性のフィルタに限らず適用することができる。
【0028】
また、中域エコー処理部52のみエコー抑圧処理を実施しているが、適応フィルタを用いたエコー消去処理を実施してもよい。さらに、中域信号をダウンサンプリングせず、そのままのサンプリング周波数でエコー処理を実施しているが、例えばサンプリング周波数を1/2ではなく2/3となるようにダウンサンプリングを実施してから中域エコー処理を実施してもよい。この場合、サンプリング周波数が低減することによるエコー処理の演算削減量とダウンサンプリング処理の演算増加量のトレードオフになる。
【0029】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、帯域を低域、中域、高域に3分割するように構成したが、さらに狭帯域に分割することも可能である。そこで、本実施の形態2では、低域信号をさらに帯域分割する例を説明する。
【0030】
図4は、本実施の形態2に係るエコー消去装置の構成を示すブロック図であり、図4において図1と同一または相当の部分については同一の符号を付す。本実施の形態2では、帯域分割部30,40を、受信信号および入力信号を低域、中域、高域の1次分割信号に1次分割する1次帯域分割部として用いる。また、帯域分割部30a,40aを2次帯域分割部として用い、1次帯域分割部で帯域分割された低域の1次分割信号をさらに細かく2次分割して低域(低域Aと称す)、中域(低域Bと称す)、高域(低域Cと称す)の2次分割信号を生成する。
【0031】
図4において、帯域分割部30は受信信号を受け、帯域を低域、中域、高域に3分割する。帯域分割部40はマイク20の入力信号を受け、帯域を低域、中域、高域に3分割する。上記実施の形態1では帯域分割部30および帯域分割部40で得られた各低域信号を低域エコー処理部51においてエコー消去処理したが、本実施の形態2では、低域信号を帯域分割部30aおよび帯域分割部40aによって、さらに低域A、低域B、低域Cの3つの帯域に分割する点が異なる。
【0032】
帯域分割部30aは、図1に示した帯域分割部30と同一の内部構成であって、帯域分割部30の生成した低域信号からLPFにより低域A成分を抽出し、ダウンサンプラにより低域A成分のダウンサンプリング処理を行い、低域A信号を生成する。また、HPFにより低域信号から低域C成分を抽出し、ダウンサンプラにより低域C成分のダウンサンプリング処理を行い、低域C信号を生成する。さらに、低域信号を遅延器により遅延させた後、低域A成分および低域C成分を加減算器において減じることで、低域B信号を生成する。
【0033】
帯域分割部40aも、入力に用いる信号が受信側の低域信号ではなく、マイク20の入力側の低域信号である点以外は帯域分割部30aと同様の動作を行い、低域A信号、低域B信号および低域C信号を生成する。
なお、帯域分割部30a,40aにおいて、低域A成分および低域C成分を抽出するLPFおよびHPFのフィルタ特性は、例えば図2に示すフィルタ特性のように、ダウンサンプリングする際にエイリアシングの発生しないものとする。
【0034】
低域Aエコー処理部51aは、帯域分割部30aおよび帯域分割部40aにおいて生成された低域A信号を入力としてエコー消去処理を実施する。低域Bエコー処理部51bは、帯域分割部30aおよび帯域分割部40aにおいて生成された低域B信号を入力としてエコー消去処理を実施する。低域Cエコー処理部51cは、帯域分割部30aおよび帯域分割部40aにおいて生成された低域C信号を入力としてエコー消去処理を実施する。
上記実施の形態1で説明したように、低域Aエコー処理部51aおよび低域Cエコー処理部51cは適応フィルタを用いたエコー消去処理を行い、他方、低域Bエコー処理部51bは適応フィルタを用いたエコー消去処理を行ってもよいし適応フィルタを用いずエコー抑圧処理を行ってもよい。
【0035】
帯域合成部60aは、図1に示した帯域合成部60と同一の内部構成であって、低域Aエコー処理部51aの出力信号を受けて、アップサンプラによりアップサンプリング処理を行い、折り返し成分をLPFで除去して低域A信号を生成する。また、低域Bエコー処理部51bの出力信号を受けて、アップサンプラによりアップサンプリング処理を行い、折り返し成分をHPFで除去して低域C信号を生成する。そして、低域Bエコー処理部51bの出力信号を遅延器で遅延させ、遅延させた低域B信号と、LPFを通過した低域A信号と、HPFを通過した低域C信号とを加算器において合算して低域信号を生成し、帯域合成部60へ出力する。
【0036】
帯域合成部60aで得られた低域信号は、帯域合成部60において、中域エコー処理部52で得られた中域信号および高域エコー処理部53で得られた高域信号と合算され、送信信号が生成される。
【0037】
以上より、実施の形態2によれば、エコー消去装置は、帯域分割部30,40で分割された低域信号を、さらに複数の帯域に分割して低域A〜低域C信号を出力する帯域分割部30a,40aを備えるように構成した。このため、エイリアシングの影響を受けることなくエコー消去処理を実施することができる上に、上記実施の形態1と比較して低域信号におけるエコー消去処理の演算量をさらに削減することができる。
【0038】
なお、上記実施の形態2では、帯域分割部30および帯域分割部40で使用するLPF31,41およびHPF32,42、ならびに帯域分割部30aおよび帯域分割部40aで使用するLPFおよびHPFについて、同じフィルタ特性のものを使用したが、例えば、帯域分割部30,40と帯域分割部30a,40aとでフィルタ特性を異なるものとしてもよい。
【0039】
また、上記実施の形態2では、帯域分割部30a,40aを追加して低域信号をさらに3分割したが、中域信号および高域信号の一方、または両方に対しても帯域分割部を追加してさらに3分割してもよい。
【0040】
また、上記実施の形態1では3分割の帯域分割、上記実施の形態2では5分割の帯域分割を例として説明したが、これに限定されるものではなく、任意の分割数としてもよい。
例えば、2分割の場合、LPF31とHPF32のフィルタ長を長くして、その特性を急峻にする(即ち、通過域と遮断域が同じになるようにする)ことで、中間域が発生しないようにすることが可能である。
また例えば、4分割の場合、高域、中域および低域の3分割した信号のうち、低域信号をさらに2分割することで、合計4分割の帯域分割が可能である。なお、低域信号を2分割する場合は、上記のように、中間域が発生しない特性のフィルタを使用する必要がある。
【0041】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、この発明に係るエコー消去装置は、エイリアシングの影響を受けることなくエコー消去処理を実施するようにしたので、ハンズフリー通話システムおよび電話会議システムのような、スピーカからの出力がマイクに入り込むシステム系などに用いるのに適している。
【符号の説明】
【0043】
10 スピーカ、20 マイク、30,40 (1次)帯域分割部、30a,40a (2次)帯域分割部、31,41,64 LPF、32,42,65 HPF、33,43,63 遅延器、34,44 (低域側)ダウンサンプラ、35,45 (高域側)ダウンサンプラ、36,46 加減算器、51 低域エコー処理部、51a 低域Aエコー処理部、51b 低域Bエコー処理部、51c 低域Cエコー処理部、52 中域エコー処理部、53 高域エコー処理部、60,60a 帯域合成部、61,62 アップサンプラ、66 加算器。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】