(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
フィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟むように積層された一対の基材層3,4と、を備えており、基材層3,4の外縁3a,4aは、粘着層2の外縁2aよりも外側に張り出しており、粘着層2は、アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を含む粘着性樹脂組成物から形成され、25℃における剪断貯蔵弾性率が30〜150kPaである、画像表示装置用粘着シート1。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態(第一実施形態及び第二実施形態)について説明をするが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。なお、両実施形態で重複する記載については、第一実施形態においてのみ説明するものとし、第二実施形態の説明においては適宜記載を省略する。また、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0020】
[第一実施形態]
<画像表示装置用粘着シート>
本実施形態の画像表示装置用粘着シートは、粘着層と、粘着層を挟むように積層された一対の基材層と、を備えており、基材層の外縁は、粘着層の外縁よりも外側に張り出している。
【0021】
すなわち、
図2及び
図3に示されるように、本実施形態に係る粘着シート1は、透明なフィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟む重剥離セパレータ3(一方の基材)及び軽剥離セパレータ4(他方の基材)とを備えている。この粘着層2は、例えば、携帯端末用のタッチパネル式ディスプレイ等の画像表示装置において、透明保護板とタッチパネルとの間、又はタッチパネルと液晶表示ユニットとの間に配置される透明なフィルムである。
【0022】
粘着層2は、例えば、重剥離セパレータ3上に、上記アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレート成分及び必要に応じて添加される(メタ)アクリロイル基を有する成分を含む粘着性樹脂組成物を任意の厚みで塗工し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後に所望の大きさに切断することで形成される。活性エネルギー線の光源としては、波長400nm以下に発光分布を有するものが好ましく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ及びマイクロウェーブ励起水銀灯が使用できる。また照射エネルギーは特に限定されないが、粘着層の25℃における剪断貯蔵弾性率を30〜150kPaとするために、160〜650mJ/cm
2であることが好ましく、180〜600mJ/cm
2であることがより好ましく、200〜500mJ/cm
2であることがさらに好ましい。
【0023】
粘着層2は、アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を含む粘着性樹脂組成物から形成されるため、粘着力により優れる効果を奏する。
【0024】
粘着層2において、上記アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構造単位は、粘着性樹脂組成物を構成するポリマー成分に起因するものであってもよいし、モノマー成分に起因するものであってもよい。すなわち、該ポリマー成分中にアルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートに由来の骨格を含有させることによって、粘着性樹脂組成物に当該構造単位を付与してもよいし、モノマー成分中にアルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートを含有させることで、当該構造単位を付与してもよい。ただし、当該構造単位は、ポリマー成分とモノマー成分の両者に起因するものであることが、粘着層2の透明性を向上する観点から好ましい。
【0025】
アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構造単位の含有量は、粘着層2の全質量に対して、30〜90質量%であることが、粘着性、透明性及び取り扱い性を向上させる点から好ましい。以上の観点から、同含有量は40〜85質量%であることがより好ましく、50〜80質量%であることがさらに好ましい。
【0026】
粘着性樹脂組成物は、(メタ)アクリロイルモルホリンに由来する構造単位をさらに有することが好ましい。(メタ)アクリロイルモルホリンは、具体的には、下記式(a)で表される化合物である。(メタ)アクリロイルモルホリンに由来する構造単位の含有量は、粘着層2の全質量に対して、10〜40質量%であることが、粘着性、透明性及び取り扱い性を向上させる点から好ましい。以上の観点から、その含有量は15〜35質量%であることがより好ましく、18〜32質量%であることがさらに好ましい。
【0027】
【化1】
式(a)中、Xは水素原子又はメチル基を示す。
【0028】
粘着層2は、下記のような物性を有することが好ましい。すなわち、25℃における剪断貯蔵弾性率が30〜150kPaであることが好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)が−30〜10℃であることが好ましい。また、−20〜25℃におけるtanδが0.5〜1.0であることが好ましい。
【0029】
ここで、tanδとは、損失弾性率を剪断貯蔵弾性率で除した値であり、損失弾性率、剪断貯蔵弾性率は、広域動的粘弾性測定装置により測定した値である。ガラス転移温度、損失弾性率及び剪断貯蔵弾性率は、具体的には、以下の方法で測定したものである。
【0030】
(ガラス転移温度、損失弾性率及び剪断貯蔵弾性率の測定)
厚み0.5mm、幅10mm、長さ10mmの粘着層を作製し、広域動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific社製、Solids Analyzer RSA−II)を用いて、条件「シェアサンドイッチモード、周波数1.0Hz、測定温度範囲−20〜100℃で昇温速度5℃/分」にて測定できる。
【0031】
粘着層2は、25℃における剪断貯蔵弾性率が30kPa未満であると、切断性(打ち抜き性)が低下する。一方、25℃における剪断貯蔵弾性率が150kPaを超えると段差埋め込み性が低下する。以上の観点から、25℃における剪断貯蔵弾性率は35〜120kPaの範囲であることが好ましく、35〜110kPaの範囲であることがより好ましい。
【0032】
粘着層2のガラス転移温度は、段差埋め込み性及びフィルム形成性を良好に保つ観点から、−30〜10℃の範囲であることが好ましく、−20〜0℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度が10℃以下であると、粘着性及び段差埋め込み性を向上できる傾向がある。また、ガラス転移温度が−30℃以上であると、後述する軽剥離セパレータ4を剥離する際に、良好に剥離し易くなる傾向がある。なお、本願におけるガラス転移温度は、上記測定温度範囲において、tanδがピークを示す温度とする。ただし、この温度範囲に2つ以上のtanδピークが観測されるときは、最もtanδの値が大きい値を示す温度をガラス転移温度とする。
【0033】
また、粘着層2は、−20〜25℃でのtanδが0.5以上であると、段差埋め込み性を向上できる傾向がある。一方、−20〜25℃でのtanδが1.0以下であるとフィルム形成が良好になる傾向がある。以上の観点から、−20〜25℃でのtanδは、0.6〜1.0の範囲であることがより好ましい。
【0034】
粘着層2の厚さは、使用用途及び方法により適宜調整されるため特に限定されないが、0.02〜3mm程度が好ましく、0.1〜1mmがより好ましく、0.15mm(150μm)〜0.5mm(500μm)がさらに好ましい。この範囲で使用した場合、ディスプレイ上に光学部材を貼合せるための透明な粘着シートとして特に優れた効果を発揮する。
【0035】
粘着性樹脂組成物は、(A)(メタ)アクリル酸誘導体ポリマー、(B)(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー、(C)2官能の(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤及び(D)光重合開始剤を含有する。
【0036】
[(A)成分:(A)(メタ)アクリル酸誘導体ポリマー]
(A)(メタ)アクリル酸誘導体ポリマーとは、(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有するモノマーを1種で重合するか又は2種以上組み合わせて共重合したものをいう。なお、本実施形態の効果を損なわない範囲であれば、(A)成分は、(メタ)アクリロイル基を分子内に2個以上有する化合物、又は(メタ)アクリロイル基を有していない重合性化合物(アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン等の重合性不飽和結合を分子内に1個有する化合物、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物)を、(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有するモノマーと共重合させたものであってもよい。
【0037】
(A)成分を形成する(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリロイルモルホリン(上記式(a)で示される化合物);メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(n−ラウリル(メタ)アクリレート)、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート;アルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0038】
(A)成分には、上記化合物の中でも、下記式(b)に示されるアルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートが含まれていることが好ましく、炭素数6〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが含まれていることがより好ましい。また、このような(メタ)アクリレートの含有割合は、共重合されたポリマー全質量に対して、50〜90質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがより好ましく、65〜75質量%であることがさらに好ましい。下記式(b)で示される(メタ)アクリレートの含有割合がこのような範囲であると、形成した粘着層の加工性が向上し、また、粘着層と透明保護板(ガラス基板、プラスチック基板等)との密着性も向上する。このような共重合割合のポリマーは、一般に、各モノマーを上記共重合割合と同じ割合で配合し、共重合させることで得ることができる。また、重合率は、実質的に100質量%に近づくようにすることがより好ましい。
CH
2=CXCOOR ・・・(b)
式(b)中、Xは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数4〜18のアルキル基を示す。
【0039】
アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、その中でもn−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましい。また、アルキルメタクリレートよりもアルキルアクリレートの方が好ましい。これらのアルキル(メタ)アクリレートは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートと共重合する他のモノマーとしては、上記に記載したものに限定されないが、水酸基、モルホリノ基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基、アルキレングリコール由来の基等の極性基を有するモノマーが好ましい。これら極性基を有する(メタ)アクリレートによって、粘着層と透明保護板との粘着性が向上する。
【0041】
特に、アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートと、下記式(x)で示されるアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートとを併用することが好ましい。
CH
2=CXCOO(C
pH
2pO)
qR ・・・(x)
式(x)中、Xは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、pは2〜4の整数を示し、qは1〜10の整数を示す。
【0042】
式(x)で表されるアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘプタプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。また、これらのアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
また、(A)成分を形成するモノマーは、モルホリノ基を有する(メタ)アクリレートである式(a)で表される(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。特に、後に詳述する(B)成分に(メタ)アクリロイルモルホリンを含有しない場合には、(A)成分に(メタ)アクリロイルモルホリンを含有することが好ましい。
【0044】
(A)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値が、80000〜700000であることが好ましい。重量平均分子量が80000以上であると、透明保護板等に対してより剥がれの発生しにくい粘着力を有する粘着層を得ることができ、一方、700000以下であると、粘着性樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、粘着性樹脂組成物をシート状の粘着層にする際の加工性がより良好になる。以上の観点から、(A)成分の重量平均分子量は100000〜500000であることがより好ましく、100000〜300000であることがさらに好ましい。
【0045】
(A)成分の重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の既知の重合方法を用いることができる。
【0046】
(A)成分を重合する際の重合開始剤としては、熱によりラジカルを発生する化合物を用いることができる。具体的には、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキシド等のような有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のようなアゾ系化合物が挙げられる。
【0047】
(A)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して、15〜80質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることがより好ましく、15〜50質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が15〜80質量%であると、粘着性樹脂組成物の粘度が粘着層を作製する際の適正粘度範囲に入り、加工性がより良好となる。また、得られた粘着層は、ガラス基板、プラスチック基板等の透明保護板への粘着性が良好となる。
【0048】
[(B)成分:(B)(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー]
(B)(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとしては、前記(A)成分を形成する(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有するモノマーとして例示した化合物と同様のものが挙げられる。
【0049】
尚、本実施形態においては、粘着性及び透明性を確保する観点から、(B)成分は、アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましく、アルキル基の炭素数が6〜12であるアルキル(メタ)アクリレートを含有することがより好ましく、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含有することがさらに好ましい。また、粘着性、透明性及び取り扱い性の観点から、(B)成分は、前記式(a)で表される(メタ)アクリロイルモルホリンを含有することが好ましい。
【0050】
(B)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して15〜80質量%が好ましい。(B)成分の含有量が、15〜80質量%の範囲であると、粘着性樹脂組成物の粘度が粘着層を作製する際の適正粘度範囲に入り、加工性がより良好となる。また、得られた粘着シートの粘着性及び透明性にもより優れるものとなる。そして、得られた粘着層が段差埋め込み性にもより優れるものとなる。以上の観点から、(B)成分の含有量は、30〜80質量%がより好ましく、40〜80質量%がさらに好ましい。
【0051】
[(C)成分:(C)2官能の(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤]
(C)成分の具体例としては、下記式(c)〜(h)で表される化合物が好適に例示される。ただし、式(c)、(d)及び(e)中、sは1から20の整数を示し、式(f)及び(g)中、m及びnはそれぞれ独立に、1から10の整数を示す。
【0058】
また、ウレタン結合を有するウレタンジ(メタ)アクリレートも(C)成分として使用可能である。
【0059】
ウレタン結合を有するウレタンジ(メタ)アクリレートは、他の成分との相溶性が良好である観点から、ポリアルキレングリコール鎖を有することが好ましい。また、透明性を確保する観点から脂環式構造を有することが好ましい。(C)成分と、(A)成分及び(B)成分との相溶性が低い場合、硬化物が白濁する可能性がある。
【0060】
(C)成分は、高温又は高温高湿下における気泡及び剥がれの発生をより抑制できる観点から、重量平均分子量が100000以下であることが好ましく300〜100000であることがより好ましく、500〜80000であることがさらに好ましい。
【0061】
(C)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して、15質量%以下であることが好ましい。該含有量が15質量%以下であると架橋密度が高くなり過ぎないため、より十分な粘着性を有し、かつ弾性が高く、脆さのない粘着層を得ることができる。また、段差埋め込み性をより向上できる観点から、(C)成分の含有量は、10質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることがさらに好ましい。
【0062】
(C)成分の含有量の下限については特に制限はないが、フィルム形成性をより良好にする観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。
【0063】
[(D)成分:(D)光重合開始剤]
(D)成分は、活性エネルギー線の照射により粘着性樹脂組成物の硬化反応を促進させるために当該組成物に含まれる。ここで活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
【0064】
(D)成分は特に限定されるものではなく、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイル系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料を使用することが可能である。
【0065】
(D)成分として、具体的には、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等の芳香族ケトン化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジル、ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;β−(アクリジン−9−イル)(メタ)アクリル酸エステル等のエステル化合物;9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)などが挙げられる。これらの化合物は単独で使用しても複数を組み合わせて使用してもよい。
【0066】
特に、粘着性樹脂組成物の着色を抑制する観点から、(D)成分としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)などが挙げられ、特にこれらを組み合わせたものが好ましい。
【0067】
また、特に厚いシート(粘着層)を作製するためには、(D)成分は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含むことが好ましい。
【0068】
本実施形態における(D)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して、0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%がさらに好ましい。(D)成分の含有量を5質量%以下とすることで、透過率が高く、また色相も黄味を帯びることがなく、且つ段差埋め込み性にもより優れる粘着層を得ることができる。
【0069】
[その他添加剤]
粘着性樹脂組成物には、必要に応じて上記の(A)、(B)、(C)、及び(D)成分とは別に、各種添加剤を含有させてもよい。含有可能な各種添加剤としては、例えば、粘着性樹脂組成物の保存安定性を高める目的で添加するパラメトキシフェノール等の重合禁止剤、粘着性樹脂組成物を光硬化させて得られる粘着層の耐熱性を高める目的で添加するトリフェニルホスファイト等の酸化防止剤、紫外線等の光に対する粘着性樹脂組成物の耐性を高める目的で添加するHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)等の光安定化剤、ガラス等に対する粘着性樹脂組成物の密着性を高めるために添加するシランカップリング剤が挙げられる。
【0070】
なお、画像表示装置用粘着シートを得る際に、粘着層はポリエチレンテレフタレートフィルム等の重合体フィルムの基材(重剥離セパレータ3)と同素材のカバーフィルム(軽剥離セパレータ4)で挟まれる構成となる。このとき、粘着層と、それらのポリエチレンテレフタレートフィルム等の基材及びカバーフィルムとの剥離性を制御するために、粘着性樹脂組成物には、ポリジメチルシロキサン系、フッ素系等の界面活性剤を含有させることができる。
【0071】
これらの添加剤は、単独で用いてもよく、また複数の添加剤を組み合わせて含有させてもよい。なお、これらのその他添加剤の含有量は、通常、上記の(A)、(B)、(C)及び(D)の合計含有量と比較すると少量であり、一般に粘着性樹脂組成物の全質量に対して0.01〜5質量%程度である。
【0072】
重剥離セパレータ3としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムが好ましく、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という場合もある)がより好ましい。重剥離セパレータ3の厚みは、作業性の観点から、50μm以上200μm以下であることが好ましく、60μm以上150μm以下であることがより好ましく、70μm以上130μm以下であることがさらに好ましい。重剥離セパレータ3の平面形状は、粘着層2の平面形状よりも大きく、重剥離セパレータ3の外縁は粘着層2の外縁よりも外側に張り出していることが好ましい。重剥離セパレータ3の外縁が粘着層2の外縁よりも張り出す量は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、2mm以上20mm以下であることが好ましく、4mm以上10mm以下であることがより好ましい。粘着層2及び重剥離セパレータ3の平面形状が略長方形等の略矩形状である場合には、重剥離セパレータ3の外縁が粘着層2の外縁よりも張り出す量は、少なくとも1つの辺において2mm以上20mm以下であることが好ましく、少なくとも1つの辺において4mm以上10mm以下であることがより好ましく、全ての辺において2mm以上20mm以下であることがさらに好ましく、全ての辺において4mm以上10mm以下であることが特に好ましい。
【0073】
軽剥離セパレータ4としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムが好ましく、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることがより好ましい。軽剥離セパレータ4の厚みは、作業性の観点から、25μm以上150μm以下であることが好ましく、30μm以上100μm以下であることがより好ましく、40μm以上75μm以下であることがさらに好ましい。軽剥離セパレータ4の平面形状は、粘着層2の平面形状よりも大きく、軽剥離セパレータ4の外縁は粘着層2の外縁よりも外側に張り出していることが好ましい。軽剥離セパレータ4の外縁が粘着層2の外縁よりも張り出す量は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、2mm以上20mm以下であることが好ましく、4mm以上10mm以下であることがより好ましい。粘着層2及び軽剥離セパレータ4の平面形状が略長方形等の略矩形状である場合には、軽剥離セパレータ4の外縁が粘着層2の外縁よりも張り出す量は、少なくとも1つの辺において2mm以上20mm以下であることが好ましく、少なくとも1つの辺において4mm以上10mm以下であることがより好ましく、全ての辺において2mm以上20mm以下であることがさらに好ましく、全ての辺において4mm以上10mm以下であることが特に好ましい。
【0074】
軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低いことが好ましい。これにより、重剥離セパレータ3は軽剥離セパレータ4よりも粘着層2から剥離し難くなる。また、後述するように、粘着層2には、重剥離セパレータ3側に向かってブレードBが通されるため、粘着層2の外縁部が重剥離セパレータ3に押し付けられることとなる。これにより、重剥離セパレータ3は軽剥離セパレータ4よりも更に粘着層2から剥離し難くなり、重剥離セパレータ3に剥離が生じる前に軽剥離セパレータ4を剥離させることが可能となる。従って、セパレータ3,4を片方ずつ剥離させることができ、セパレータ3,4を剥離して粘着層2を別々の被着物に貼り付ける作業を、片方ずつ確実に行うことができる。なお、重剥離セパレータ3と粘着層2、及び軽剥離セパレータ4と粘着層2との剥離強度は、例えば、重剥離セパレータ3、軽剥離セパレータ4の表面処理を施すこと等によって調整することができる。表面処理方法としては、例えば、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物で離型処理することが挙げられる。
【0075】
<画像表示装置用粘着シートの製造方法>
以上に説明した粘着シート1は、次のように製造される。まず、
図4に示されるように、重剥離セパレータ3上に粘着層2が形成され、粘着層2上に仮セパレータ6が形成された母材フィルム10を準備する。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
【0076】
続いて、
図5に示されるように、ブレードBを備えた打抜装置(不図示)により、仮セパレータ6及び粘着層2を所望の形状に切断する。打抜装置は、クランク式の打抜装置であってもよいし、レシプロ式の打抜装置であってもよいし、ロータリー式の打抜装置であってもよい。各基材の剥離性の観点からは、ロータリー式の打抜装置が好ましい。この工程では、重剥離セパレータ3に到達する深さでブレードBを仮セパレータ6及び粘着層2に通し、仮セパレータ6及び粘着層2を切断することが好ましい。これにより、重剥離セパレータ3には切込部3cが形成され、粘着層2からの重剥離セパレータ3の剥離が容易になる。
【0077】
続いて、
図6に示されるように仮セパレータ6及び粘着層2の外側部分を除去し、
図7に示されるように粘着層2から仮セパレータ6を剥離し、
図8に示されるように粘着層2に軽剥離セパレータ4を貼付する。以上の工程で粘着シート1が完成する。
【0078】
<画像表示装置>
次に、粘着シート1を用いて作製される画像表示装置について説明する。粘着シート1が備える粘着層2は、各種画像表示装置に適用することができる。画像表示装置としては、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ(OELD)、3Dディスプレイ、電子ペーパー(EP)等が挙げられる。本実施形態の粘着層2は、画像表示装置の反射防止層、防汚層、色素層、ハードコート層等の機能性を有する機能層、透明保護板を組み合わせて貼り合わせるために使用することもできる。
【0079】
前記反射防止層は、可視光反射率が5%以下となる反射防止性を有している層であればよく、透明なプラスチックフィルム等の透明基材に対し既知の反射防止処理を施した層を用いることができる。
【0080】
前記防汚層は、表面に汚れがつきにくくするためのものであり、このような層としては、表面張力を下げるためにフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等で構成される既知の層を用いることができる。
【0081】
前記色素層は、色純度を高めるために使用されるもので、具体的には液晶表示ユニット等の画像表示ユニットから発する光の色純度が低い場合に不要な光を低減するために使用される。このような層は、不要な部分の光を吸収する色素を樹脂に溶解させ、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等の基材フィルムに製膜または積層して得ることができる。
【0082】
前記ハードコート層は、表面硬度を高くするために使用される。ハードコート層としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリル樹脂;エポキシ樹脂などをポリエチレンフィルム等の基材フィルムに製膜又は積層したものを使用することができる。同様に表面硬度を高めるために、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の透明保護板にハードコート層を製膜又は積層したものを使用することもできる。
【0083】
粘着層2は、偏光板に積層して使用することができる。この場合、偏光板の視認面側に積層することもでき、その反対側に積層することもできる。
【0084】
偏光板の視認面側に使用する場合には、粘着層2のさらに視認面側に反射防止層、防汚層及びハードコート層を積層することができ、偏光板と液晶セルの間に使用する場合には、偏光板の視認面側にこれら機能性を有する層を積層することができる。
【0085】
このような積層物とする場合、粘着層2は、ロールラミネータ、真空貼合機又は枚葉貼合機を用いて積層することができる。
【0086】
粘着層2は、画像表示装置の画像表示ユニットと視認側最前面の透明保護板の間であって、視認側の適切な位置に配置されることが好ましい。具体的には、画像表示ユニットと透明保護板の間に応用(use)されることが好ましい。
【0087】
また、タッチパネルを画像表示ユニットに組み合わせた画像表示装置においては、タッチパネルと画像表示ユニットの間及び/又はタッチパネルと透明保護板の間に配置されることが好ましいが、画像表示装置の構成上、本実施形態の粘着層2が適用可能であれば、配置位置は上記に記載した位置に限るものではない。
【0088】
以下、画像表示装置の一つである液晶表示装置を例として、
図9及び10を用いて詳細に説明する。
【0089】
図9は、本発明の液晶表示装置の一実施形態を模式的に示す側面断面図である。
図9に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル12及び偏光板20がこの順で積層されてなる画像表示ユニット7と、液晶表示装置の視認側となる偏光板20の上面に設けられた透明樹脂層32と、その表面に設けられた透明保護板(保護パネル)40とから構成される。透明保護板40の表面に設けられた段差60は、透明樹脂層32により埋め込まれている。なお、透明樹脂層32が、基本的に本実施形態の粘着層に相当する。段差60の厚さは、液晶表示装置の大きさ等により異なるが、厚さが40〜100μm、特に60〜100μmである場合、本実施形態の粘着層を用いることが有用である。
【0090】
図10は、本発明の液晶表示装置の一実施形態である、タッチパネルを搭載した液晶表示装置を模式的に示す側面断面図である。
図10に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル12及び偏光板20がこの順で積層されてなる画像表示ユニット7と、液晶表示装置の視認側となる偏光板20の上面に設けられた透明樹脂層32と、透明樹脂層32の上面に設けられたタッチパネル30と、タッチパネル30の上面に設けられた透明樹脂層31と、その表面に設けられた透明保護板40とから構成される。透明保護板40の表面に設けられた段差60は、透明樹脂層31により埋め込まれている。なお、透明樹脂層31及び透明樹脂層32が、基本的に本実施形態の粘着層に相当する。
【0091】
なお、
図10の液晶表示装置においては、画像表示ユニット7とタッチパネル30との間、及びタッチパネル30と段差60を有する透明保護板40との間の両方に透明樹脂層が介在しているが、透明樹脂層はこれらの少なくとも一方に介在していればよく、特に本実施形態の粘着層を用いる場合はタッチパネル30と段差60を有する透明保護板40との間に介在することが好ましい。また、タッチパネルがオンセルとなる場合は、タッチパネルと液晶表示セルが一体化される。その具体例としては、
図9の液晶表示装置の液晶表示セル12が、オンセルで置き換えられたものが挙げられる。
【0092】
図9及び
図10に示す液晶表示装置によれば、本実施形態の粘着層を透明樹脂層31又は32として備えるので、耐衝撃性を有し、二重写りがなく鮮明でコントラストの高い画像が得られる。
【0093】
液晶表示セル12は、当技術分野で周知の液晶材料から構成されるものを使用することができる。液晶表示セルは、液晶材料の制御方法によって、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super−twisted nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In−Place−Switching)方式等に分類されるが、本発明では、いずれの制御方法を使用した液晶表示セルであってもよい。
【0094】
偏光板20及び22としては、当技術分野で一般的な偏光板を使用することができる。それら偏光板の表面は、反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていてもよい。このような表面処理は、偏光板の片面に対して、又はその両面に対して実施されていてよい。
【0095】
タッチパネル30としては、当技術分野で一般的に用いられているものを使用することができる。
【0096】
透明樹脂層31又は32は、例えば0.02〜3mmの厚さで形成することができる。特に、本実施形態の硬化性樹脂組成物においては厚膜にすることでより一層優れた効果を発揮させることができ、0.1mm以上の透明樹脂層31又は32を形成する場合に好適に用いることができる。
【0097】
透明保護板40としては、一般的な光学用透明基板を使用することができる。その具体例としては、ガラス基板、石英板等の無機物の板;アクリル樹脂基板、ポリカーボネート板等のプラスチック基板;厚手のポリエステルシート等の樹脂シートなどが挙げられる。高い表面硬度が必要とされる場合にはガラス基板、アクリル樹脂基板が好ましく、ガラス基板がより好ましい。これらの透明保護板の表面には、反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていてもよい。そのような表面処理は、透明保護板の片面に対して、又は両面に対して実施されていてもよい。透明保護板は、その複数枚を組み合わせて使用することもできる。
【0098】
バックライトシステム50は、代表的には反射板等の反射手段とランプ等の照明手段とから構成される。
【0099】
<画像表示装置の製造方法>
粘着シート1は、画像表示装置の組み立て等において次のように使用される。まず、
図11に示されるように、軽剥離セパレータ4を粘着シート1からから剥離して粘着層2の粘着面2bを露出させる。続いて、
図12に示されるように、粘着層2の粘着面2bを被着物A1に貼り付け、ローラーR等で押し付ける。この際、被着物A1の表面に設けられた段差60は、粘着層2により埋め込まれる。被着物A1は、例えば画像表示ユニット、透明保護板又はタッチパネルである。続いて、
図13に示されるように、重剥離セパレータ3を粘着層2から剥離して粘着層2の粘着面2cを露出させる。続いて、
図14に示されるように、粘着層2の粘着面2cを被着物A2に貼り付け、加熱加圧処理(オートクレーブ処理)をする。被着物A2は、例えば画像表示ユニット、透明保護板又はタッチパネルである。このようにして、粘着層2を介して被着物同士を貼り合わせ、積層体を得ることができる。なお、この時の加熱加圧処理条件は、温度が40〜80℃であり、圧力が0.3〜0.8MPaであるが、被着物表面の段差が40〜100μmである場合は、段差近傍の気泡をより除去できる観点から、温度が50〜70℃であり圧力が0.4〜0.7MPaであることが好ましい。また、処理時間は、5〜60分が好ましく、10〜50分であることがより好ましい。
【0100】
また、上記製造方法は、オートクレーブ処理の前又は後に、粘着層2に対して、両被着物(例えば、透明保護板、タッチパネル)のいずれか一方の側から紫外線を照射する工程を含む。これにより、高温高湿下における信頼性(気泡の発生低減及び剥がれの抑制)及び接着力をより向上できる。高温高湿下における信頼性を更に向上できる観点からは、段差部を有しない被着物(例えば、タッチパネル)側から紫外線を照射することが好ましい。
【0101】
紫外線の照射量は、特に制限がないが、500〜5000mJ/cm
2程度であることが好ましい。尚、紫外線を照射する工程は、高温高湿下における信頼性を向上する観点から、オートクレーブ処理後に行うことが好ましい。このようにして得られた構造体において、被着物としてガラス基板(ソーダライムガラス)又はアクリル樹脂基板を採用した場合、粘着層2とこれらの基板との間の剥離強度は、5〜30N/10mmであることが好ましく、8〜30N/10mmであることがより好ましく、10〜30N/10mmであることがさらに好ましい。なお、剥離強度は、引張試験機((株)オリエンテック製「RTC−1210」)を用いて、180度ピール(剥離速度300mm/分で3秒間、測定温度25℃)を行うことで測定することができる。
【0102】
以上の工程で、被着物A1と被着物A2との間に粘着層2が配置される。粘着層2は、特に、透明保護板とタッチパネルとの間、又はタッチパネルと画像表示ユニットとの間に配置されて使用されることが好ましい。
【0103】
上述の
図9の液晶表示装置は、画像表示ユニットと透明保護板との間に上記本実施形態の粘着層を介在させて積層体を得ることにより製造することができる。すなわち、
図9に記載の画像表示装置において、偏光板20の上面に本実施形態の粘着層をラミネート法によって積層することができる。
【0104】
上述の
図10の液晶表示装置は、画像表示ユニットとタッチパネルとの間、及び/又は、タッチパネルと透明保護板との間に上記本実施形態の粘着層を介在させて積層体を得ることより製造することができる。
【0105】
[第二実施形態]
<画像表示装置用粘着シート>
本実施形態の画像表示装置用粘着シートは、フィルム状の粘着層と、粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層と、第2の基材層に更に積層されたキャリア層と、を備えており、第1の基材層及びキャリア層の外縁は、粘着層の外縁よりも外側に張り出している。
【0106】
すなわち、
図15及び
図16に示されるように、本実施形態に係る粘着シート1は、透明なフィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟むように積層された軽剥離セパレータ4(第1の基材層)及び重剥離セパレータ3(第2の基材層)と、重剥離セパレータ3に更に積層されたキャリアフィルム5(キャリア層)とを備えている。
【0107】
キャリアフィルム5の外縁5aは、粘着層2の外縁2aよりも外側に張り出している。これにより、外側に張り出したキャリアフィルム5の外縁部をつまむことで、キャリアフィルム5を第2の基材層から容易に剥離させることができる。また、キャリアフィルム5の外縁5aは、軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも外側に張り出していることが好ましい。これにより、キャリアフィルム5の外縁部が更につまみ易くなっているため、キャリアフィルム5をより容易に剥離させることができる。キャリアフィルム5の外縁5aが軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも張り出す量は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上5mm以下であることがより好ましい。キャリアフィルム5、粘着層2、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4の平面形状が略長方形等の略矩形状である場合には、キャリアフィルム5の外縁5aが軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも張り出す量は、少なくとも1つの辺において0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、少なくとも1つの辺において1mm以上5mm以下であることがより好ましく、全ての辺において0.5mm以上10mm以下であることがさらに好ましく、全ての辺において1mm以上5mm以下であることが特に好ましい。
【0108】
重剥離セパレータ3は、直前の工程までキャリアフィルム5によって保護されているため、重剥離セパレータ3の表面の傷が少なくなる。これにより、粘着層2の傷を容易に視認でき、傷が生じている粘着層2を被着物に貼り付ける前に容易に排除できる。
【0109】
キャリアフィルム5は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであり、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。キャリアフィルム5の厚みは、作業性の観点から、15μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上80μm以下であることがより好ましく、20μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
【0110】
軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との間の剥離強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。ここで、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との間の剥離強度は、軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度より低いことがより好ましいが、高くても本願の効果を損なうことはない。
【0111】
キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との剥離強度は、例えばキャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に形成させる接着剤層の種類及び接着剤の厚みによって調整される。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に形成させる接着剤の種類としては、例えば、アクリル系接着剤等の接着剤が挙げられる。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に形成させる接着剤層の厚みは、0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
【0112】
このように、本実施形態の粘着シート1によれば、粘着層2を保護しつつ、各セパレータ3,4及びキャリアフィルム5を確実に所定の順序で剥離不良無く容易に剥離させることができる。
【0113】
<画像表示装置用粘着シートの製造方法>
粘着シート1は、次のように製造される。まず、
図17に示されるように、キャリアフィルム5上に、重剥離セパレータ3、粘着層2、及び仮セパレータ6が順に積層された母材フィルム10を準備する。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
【0114】
続いて、ブレードBを備えた打抜装置(不図示)により、仮セパレータ6、粘着層2、及び重剥離セパレータ3を所望の形状に切断する。この工程では、
図18に示されるように、仮セパレータ6、粘着層2、及び重剥離セパレータ3に対し、キャリアフィルム5に到達する深さでブレードBを通すことが好ましい。これにより、キャリアフィルム5の粘着層2側の面5bには、切込部5cが形成される。このように、仮セパレータ6からキャリアフィルム5にブレードBを到達させることにより、粘着層2及び重剥離セパレータ3を完全に切断することができる。
【0115】
続いて、
図19に示されるように仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3の外側部分を除去する。この時、キャリアフィルム5の外縁が重剥離セパレータ3の外縁よりも外側に張り出さないよう、
図20に示されるように重剥離セパレータ3の外縁は、キャリアフィルム5の外縁と略面一となっていることが好ましい。すなわち、仮セパレータ6及び粘着層2の外側部分のみを除去し、重剥離セパレータ3の外側部分は除去せずにキャリアフィルム5上に残し、切断後の重剥離セパレータ3はそのままキャリアフィルム5に付いた状態であることが好ましい。これにより、キャリアフィルム5の粘着層側の面5bの露出部分が他の部分へ接着するという問題を効果的に防ぐことができる。
【0116】
図19に示されるように仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3の外側部分を除去した後、続いて
図21に示されるように粘着層2から仮セパレータ6を剥離し、
図22に示されるように粘着層2に軽剥離セパレータ4を貼付する。以上の工程で本実施形態の粘着シート1が完成する。このように、重剥離セパレータ3の外縁を、粘着層2の外縁と略面一とするように切断されたフィルムであれば、軽剥離セパレータ4と重剥離セパレータ3との剥離し易さの差がより顕著となるため、重剥離セパレータ3を剥離する前に、軽剥離セパレータ4をより容易に剥離することができる。更に、重剥離セパレータ3の外縁と粘着層2の外縁とが揃うことで、粘着層2の外縁の位置が明確になるため、粘着層2と被着物との位置合わせが容易となる。
【0117】
<画像表示装置の製造方法>
本実施形態の粘着シート1は、最初に、
図23に示されるように、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ3から剥離してから用いることを除いては、第一実施形態の粘着シートと同様にして使用することができる。
【0118】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【実施例】
【0119】
以下、実施例により本発明の説明をする。本実施例では、第一実施形態及び第二実施形態に係る粘着シートを作製しているが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0120】
(アクリル酸誘導体ポリマー(A−1)の合成)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管の付いた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート84.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート36.0g及びメチルエチルケトン150.0gを加え、100mL/分の風量で窒素置換しながら、15分間で常温(25℃)から70℃まで加熱することで溶液aを調製した。
【0121】
反応容器を70℃に保ちながら、2−エチルヘキシルアクリレート21.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート9.0g及びラウロイルパーオキシド1.0gを混合して溶液bを調製した。この溶液bを60分間かけて溶液a中に滴下し、滴下終了後さらに2時間反応させた。
【0122】
続いて、メチルエチルケトンを留去することにより、上記A成分の2−エチルヘキシルアクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの共重合樹脂であるアクリル酸誘導体ポリマー(A−1:重量平均分子量150000)を得た。
【0123】
なお、重量平均分子量は、下記の装置及び測定条件を用いて、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用して測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算することによって決定した。検量線の作成にあたっては、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(PStQuick MP−H, PStQuick B[東ソー(株)製、商品名])を用いた。
【0124】
装置:高速GPC装置 HCL−8320GPC(検出器:示差屈折計)
(東ソー(株)製、商品名)
使用溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム:カラムTSKGEL SuperMultipore HZ−H
(東ソー(株)製、商品名)
カラムサイズ:カラム長が15cm、カラム内径が4.6mm
測定温度:40℃
流量:0.35ml/分
試料濃度:10mg/THF5ml
注入量:20μl
【0125】
(ポリウレタンジアクリレート(PUDA)の合成)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び空気注入管のついた反応容器に、ポリプロピレングリコール(分子量2000)303.92g、ε−カプロラクトン2モルで変性した2−ヒドロキシエチルアクリレート(プラクセルFA2D:ダイセル化学工業株式会社、商品名)8.66g、2−ヒドロキシエチルアクリレート99.74g、p−メトキシフェノール0.12g及びジブチル錫ジラウレート0.5gを加えて空気を流しながら75℃に昇温し、さらに75℃で攪拌しつつ、イソホロンジイソシアネート36.41gを2時間かけて均一滴下し、反応を行った。
【0126】
滴下終了後、5時間反応させたところで、さらに2−ヒドロキシエチルアクリレート44.88gを反応液に追加し、1時間反応させた。IR測定の結果、イソシアネートが消失したことを確認して反応を終了した。これにより、ポリプロピレングリコールとイソホロンジイソシアネートとを構造単位として有し、重合性不飽和結合を有するポリウレタンジアクリレート(PUDA:重量平均分子量20000)を得た。
【0127】
粘着性樹脂組成物の原料となる以下の各成分を準備した。
A成分:アクリル酸誘導体ポリマー(A−1)
B成分:アクリロイルモルホリン(ACMO)
:2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)
C成分:ポリプロピレングリコールジアクリレート(FA−P240A:日立化成工業(株)製「ファンクリル FA−P240A」:式(e)で示され、nの平均値が7)
:ポリウレタンジアクリレート(PUDA:2官能の(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤)
D成分:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(I−184:BASF社製)
【0128】
<実施例1>
[粘着シート1の作製(3層品)]
重剥離セパレータ3として厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)社製)、並びに軽剥離セパレータ4及び仮セパレータ6として厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)社製)を用いて、以下の(I)〜(VI)の手順で粘着シート1を作製した。
【0129】
(I)アクリル酸誘導体ポリマー(A−1)35g、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)35.5g、アクリロイルモルホリン(ACMO)22g、ポリウレタンジアクリレート(PUDA)7g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(I−184)0.5gを秤量し、これらを攪拌混合することで、常温で液状の粘着性樹脂組成物を得た。
【0130】
(II)この粘着性樹脂組成物を重剥離セパレータ3上に塗工して塗膜を形成した後、粘着層2上に仮セパレータ6を積層し、紫外線を照射(200mJ/cm
2)することで重剥離セパレータ3と仮セパレータ6とで粘着層2を挟んだ粘着シートを得た。なお、粘着層2の厚みは250μmとなるように調整して塗工した。
【0131】
(III)220mm×180mmになるように重剥離セパレータ3、粘着層2、及び仮セパレータ6を直径72mmのロータリーブレードにより切断した。
【0132】
(IV)粘着層2及び仮セパレータ6を205mm×160mmになるように直径72mmのロータリーブレードにより切断した。この時、重剥離セパレータ3の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より7.5mm張り出すように、また、重剥離セパレータ3の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より5mm張り出すように切断した。尚、(III)及び(IV)の切断は、ロータリー式打抜装置を用いた。
【0133】
(V)仮セパレータ6を剥離し、215mm×170mmの軽剥離セパレータ4を粘着層2上に積層した。このようにして、粘着シート1を得た。この時、軽剥離セパレータ4の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より5mm張り出すように、又軽剥離セパレータ4の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より5mm張り出すように積層した。
【0134】
<実施例2〜6及び比較例1〜2>
配合条件及び露光量を表1及び表2に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シート1を得た。
【0135】
[各種評価]
各実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、以下の(1)〜(6)の評価を行った。
【0136】
(1)ガラス転移温度(Tg)、剪断貯蔵弾性率、損失弾性率及びtanδの測定
厚さ250μmの粘着層を2枚重ねて約500μm厚さにし、幅10mm、長さ10mmに裁断してサンプルを作製した。前記サンプルを2つ準備し、
図24に示すように、治具100を用いて両端のプレートP1と中央のプレートP2との間でサンプルSをはさみ込み測定サンプルとした。そして、広域動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific社製、Solids Analyzer RSA−II)を用いて、サンプルのガラス転移温度(Tg)、剪断貯蔵弾性率、損失弾性率及びtanδを測定した。測定条件は「シェアサンドイッチモード、周波数1.0Hz、測定温度範囲−20〜100℃で昇温速度5℃/分」とした。
【0137】
(2)段差埋め込み性評価
各実施例及び比較例で得られた粘着シートを幅50mm、長さ80mmのサイズに裁断した。そして、軽剥離セパレータ4を剥離し、粘着層を58mm×86mm×0.7mm(厚さ)のガラス基板Aにローラーを用いて貼り合わせた。
【0138】
次いで、重剥離セパレータ3を剥離した。そして、ガラス基板Aを貼り合わせていないもう一方の粘着層側に、厚さ60μmになるように外周部が印刷された段差部を有するガラス基板B(段差60μm)を、ラミネータ装置を用いて貼り合わせた。その後オートクレーブ処理(60℃、0.5MPa)を30分間行い、以下の基準で評価した。尚、外周部が印刷された段差部を有するガラス基板Bは、ガラス基板Aと同一の外寸法を有し、内寸法45mm×68mmの開口部を有する。上記ガラス基板Bを、入力装置又は画像表示装置の代用として用いて、埋め込み性の評価を行った。
(評価基準)
段差部内周壁とガラス基板との接合部近傍(開口部が有する4辺)における気泡の有無を確認した。
A:気泡無し、又は1辺のみに気泡が残る
B:2辺に気泡が残る
C:3辺以上に気泡が残る
【0139】
(3)切断性評価
(III)の切断の工程において、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:重剥離セパレータ3、粘着層2、及び仮セパレータ6を所望の形状に容易に切断できる。
B:粘着層がロータリーブレードに張り付き作業性が低下する、又は重剥離セパレータ3、粘着層2、及び仮セパレータ6を所望の形状に切断できない。
【0140】
(4)剥離強度の測定
各実施例及び比較例で得られた粘着シートを幅10mm、長さ50mmのサイズに裁断した。そして、軽剥離セパレータ4を剥離し、粘着層2をガラス基板(ソーダライムガラス)又はアクリル樹脂基板(以下、「アクリル基板」という場合もある)に貼り付けた後、紫外線照射装置により各基板側から紫外線を2000mJ/cm
2照射した。その後、重剥離セパレータ3を剥離し、引張試験機((株)オリエンテック製「RTC−1210」)を用いて粘着層2を180度剥離した際の、粘着層2と各基板との剥離強度を測定した。測定条件は、剥離速度300mm/分で3秒間剥離とし、測定温度は25℃として測定した。
【0141】
(5)外観評価
各実施例及び比較例で得られた粘着シートを幅50mm、長さ100mmのサイズに裁断した。そして、軽剥離セパレータ4を剥離し、粘着層2を、50mm×100mm×0.7mm(厚さ)の寸法のガラス基板に、25℃、大気圧下において、ゴムローラー(ローラー径:50mm、ローラー幅:210mm)を用いて荷重500gで貼付した。
【0142】
次いで、重剥離セパレータ3を剥離し、粘着層2上に、外周部に印刷された段差部を有する50mm×100mm×0.7mm(厚さ)の寸法のガラス基板(段差:60μm、内寸法45mm×68mmの開口部を有する)、又は外周部に印刷された段差部を有する50mm×100mm×1.5mm(厚さ)の寸法のアクリル樹脂基板(段差:60μm、内寸法45mm×68mmの開口部を有する)を、それぞれゴムローラーを用いて貼り合わせた。そして、下記の二種類の構造体を作製した。
構造体1:ガラス基板とガラス基板の間に粘着層を挟んだ構造体
構造体2:ガラス基板とアクリル樹脂基板の間に粘着層を挟んだ構造体
【0143】
その後、各構造体に対してオートクレーブ処理(60℃、0.5MPa、30分間)を行い、さらに段差部を有しないガラス基板側から紫外線照射装置を用いて紫外線を2000mJ/cm
2照射し、評価サンプルとした。
【0144】
評価サンプルに対し以下の試験を行い、試験器から取り出した後の外観評価(粘着層2中の気泡の有無、基板の剥がれの有無の評価)を目視にて行った。
高温高湿試験(表中では「85℃/85%RH」と記載):評価サンプルを85℃、85%RHの条件下で24時間放置した。
高温試験(表中では「100℃」と記載):評価サンプルを100℃の条件下で24時間放置した。
熱サイクル試験(表中では「TCT」と記載):評価サンプルを−40℃雰囲気に30分間放置し、100℃雰囲気に30分間放置するヒートサイクル(100回)を施した。
(評価基準)
A:剥離及び気泡の発生無し
B:剥離が無く、気泡の数が1個以上5個未満
C:気泡が5個以上発生
*ただし、気泡を5倍のルーペで目視により観察し、直径が約10μm以上の気泡を1個として数えた。
【0145】
(6)粘着シート作製の可否
粘着層2が良好に切断でき、所望の形状を備える粘着シートを作製できたものをA、作製できなかったものをBと評価した。
【0146】
各実施例及び比較例の評価結果を表1及び表2に示す。
【0147】
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
<実施例7>
[粘着シート2の作製(4層品)]
(I)実施例1と同様の方法で液状の粘着性樹脂組成物を得た。
(II)この粘着性樹脂組成物を重剥離セパレータ3の一方の面上に塗工して塗膜を形成した後、粘着層2上に仮セパレータ6を積層し、紫外線を照射(200mJ/cm
2)し、さらにその後、重剥離セパレータ3の他方の面に、アクリル系接着剤(ヒタレックスK−6040(商品名)、日立化成工業(株)製)をラミネートし、その上にキャリアフィルム5を積層した。
(III)220mm×180mmになるように重剥離セパレータ3、粘着層2、仮セパレータ6及びキャリアフィルム5を切断した。
(IV)粘着層2、重剥離セパレータ3及び仮セパレータ6を205mm×160mmになるように、直径72mmのロータリーブレードにより切断した。切断には、ロータリー式打抜装置を用いた。この時、キャリアフィルム5の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より7.5mm張り出すように、また、キャリアフィルム5の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より5mm張り出すように切断した。
(V)仮セパレータ6を剥離し、215mm×170mmの軽剥離セパレータ4を粘着層2上に積層した。このようにして、粘着シート2を得た。この時、軽剥離セパレータ4の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より5mm張り出すように、又軽剥離セパレータ4の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より5mm張り出すように積層した。
【0150】
粘着シート2について上記と同様の評価を行ったところ、所望の形状を備える粘着シートを作製することができ、なおかつ実施例1と同様に段差埋め込み性、切断性及び外観のいずれにも優れる結果となった。
【0151】
本発明によれば、透明性、取り扱い性、段差埋め込み性及び切断性に優れた粘着層を備える、画像表示装置用粘着シートを製造することができる。また、基材等を貼り合わせ後に、粘着層の架橋反応を促進することで、粘着層自体の密着力及び保持力を向上させることができる。このような粘着層が組み込まれたデバイスは高い信頼性を示すため、本発明の粘着シートは画像表示装置の用途に適している。特にタッチパネル等の情報入力装置と透明保護板との間を充填する際に用いられるシート材料として極めて有用である。