特表-13081081IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2013年6月6日
【発行日】2015年4月27日
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物を用いた絶縁材料
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/40 20060101AFI20150331BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20150331BHJP
【FI】
   C08G59/40
   H05K1/03 610L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
【出願番号】特願2013-547223(P2013-547223)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年11月22日
(31)【優先権主張番号】特願2011-259741(P2011-259741)
(32)【優先日】2011年11月29日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
【住所又は居所】北海道札幌市中央区北3条西1丁目2番地
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100075524
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 重光
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 さやか
(72)【発明者】
【氏名】高橋 航
【住所又は居所】茨城県鹿嶋市光3番地 エア・ウォーター株式会社内
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AC09
4J036AC14
4J036AD07
4J036AD08
4J036AE05
4J036AE07
4J036AF06
4J036AF08
4J036AF09
4J036AF15
4J036CC03
4J036CD16
4J036DD08
4J036FB16
4J036GA28
4J036HA12
4J036JA08
(57)【要約】
本発明は、優れた誘電特性と実用特性を併せ持つエポキシ樹脂組成物を用いた絶縁材料であって、多層プリント配線基板の層間絶縁材料に好適な絶縁材料を提供する。
本発明は、エポキシ樹脂硬化剤として、水酸基当量が1000〜8000g/eqの範囲である重縮合型アリーロキシシラン化合物を50〜100wt%含み、エポキシ当量が200〜500であるエポキシ樹脂とでなり、それを180℃以下の温度で硬化させたときの熱硬化物の常温下1GHzにおける誘電率、および誘電正接が、それぞれ3.00以下、および0.015以下を示すエポキシ樹脂組成物を用いて得られる絶縁材料である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂硬化剤として、下記一般式(1)で示される骨格を有し、水酸基当量が1000〜8000g/eqの範囲である重縮合型アリーロキシシラン化合物を50〜100wt%含み、エポキシ当量が200〜500であるエポキシ樹脂とでなり、それを180℃以下の温度で硬化させたときの熱硬化物の常温下1GHzにおける誘電率、および誘電正接が、それぞれ3.00以下、および0.015以下を示すエポキシ樹脂組成物を用いて得られる絶縁材料。
【化1】
(式中、RおよびRは炭素数1〜12の炭化水素基であり、ArおよびArは置換基が存在していてよい炭素数6〜10のアリーレン基であり、Xは直接結合、炭素数1〜6の2価の炭化水素基、O、SまたはSOであり、mは0〜2の整数であり、nは1〜20の整数であり、Zは下記一般式(2)で示される基であり、Zは水素または下記一般式(3)で示される基である。)
(式中、Ar、ArおよびXは、式(1)と同じ。)
(式中、RおよびRは、式(1)と同じであり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
【請求項2】
前記エポキシ樹脂硬化剤のRおよびRがメチル基またはフェニル基、ArおよびArがフェニル基またはナフチル基である請求の範囲第1項に記載の絶縁材料。
【請求項3】
請求の範囲第1または2項に記載のエポキシ樹脂組成物を熱硬化させて得られた常温下1GHzにおいてその熱硬化物の誘電率が3.00以下、および誘電正接が0.015以下を示すエポキシ樹脂硬化物を用いて得られる絶縁材料。
【請求項4】
前記絶縁材料が、多層プリント配線基板の層間絶縁材料である請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載の絶縁材料。
【請求項5】
請求の範囲第4項に記載の層間絶縁材料を用いて作成した多層プリント配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物を用いた絶縁材料に関する。さらに詳しくは、エポキシ樹脂組成物を用いた多層プリント配線基板の絶縁層形成に好適な絶縁材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信機器の高機能化、高密度化などの性能向上にしたがい、プリント配線板にもそれに適応した性能が求められている。特に情報伝送量の増大と高速化のため高周波信号を用いることになるがそれによる伝送損失を抑制するため、多層プリント配線板の絶縁材料として誘電率および誘電正接がともに低い材料が求められてきた。特にエポキシ系材料はその高接着性や価格面から該用途に汎用されており、その誘電特性の改善に向けて様々なアプローチがこれまでに試みられてきた。
一般に、エポキシ樹脂硬化物に存在する水酸基は誘電率を高める要因になっており、低誘電率化のために、水酸基当量の大きいフェノール系硬化剤を使用、あるいは多価フェノール類をアシル保護した構造を持つ活性エステル型の硬化剤を使用するなどのアプローチがこれまでに試みられてきた。しかしこれらのアプローチにおいても近年の該用途の要求レベルの低誘電率および低誘電正接の実現が困難、あるいは硬化剤の反応性が低いためシビアな硬化条件を必要とし実用上の制約を生じるなど、誘電特性上の課題と実用上の課題の両方を打開する良策が見つかっていないのが現状である。
一方、フェノキシシラン化合物もエポキシ樹脂硬化剤として利用することが可能である。これは活性エステルと同じく水酸基保護型の硬化剤であるが、活性エステルは反応性が低いためフェノール系硬化剤よりも高温の硬化温度を必要とするのに対し、フェノキシシラン化合物は従来のフェノール系硬化剤と同じ硬化温度で硬化物を作成することが可能である(特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−53675号公報
【特許文献2】特開平8−208807号公報
【特許文献3】特開平10−168283号公報
【特許文献4】特開2005−145911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記課題を鑑み、優れた誘電特性と実用特性を併せ持つエポキシ樹脂組成物を用いた絶縁材料を提供する。
本発明は、優れた誘電特性と実用特性を併せ持つエポキシ樹脂組成物を用いた多層プリント配線基板の層間絶縁材料に好適な絶縁材料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、エポキシ樹脂硬化剤として、下記一般式(1)で示される骨格を有し、水酸基当量が1000〜8000g/eqの範囲である重縮合型アリーロキシシラン化合物を50〜100wt%含み、エポキシ当量が200〜500であるエポキシ樹脂とでなり、それを180℃以下の温度で硬化させたときの熱硬化物の常温下1GHzにおける誘電率、および誘電正接が、それぞれ3.00以下、および0.015以下を示すエポキシ樹脂組成物を用いて得られる絶縁材料を提供する。
(式中、RおよびRは炭素数1〜12の炭化水素基であり、ArおよびArは置換基が存在していてよい炭素数6〜10のアリーレン基であり、Xは直接結合、炭素数1〜6の2価の炭化水素基、O、SまたはSOであり、mは0〜2の整数であり、nは1〜20の整数であり、Zは下記一般式(2)で示される基であり、Zは水素または下記一般式(3)で示される基である。)
(式中、Ar、ArおよびXは、式(1)と同じ。)
(式中、RおよびRは、式(1)と同じであり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)
本発明はまた、前記したエポキシ樹脂組成物を熱硬化させて得られた常温下1GHzにおいてその熱硬化物の誘電率が3.00以下、および誘電正接が0.015以下を示すエポキシ樹脂硬化物を用いて得られる絶縁材料を提供する。
前記の絶縁材料が、多層プリント配線基板の層間絶縁材料である態様は本発明の好ましい態様である。
さらに本発明は、前記した層間絶縁材料を用いて作成した多層プリント配線基板を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、優れた誘電特性と実用特性を併せ持つエポキシ樹脂組成物を用いた層間絶縁材料に好適な絶縁材料が提供される。
本発明の特定のエポキシ樹脂組成物を用いることにより、優れた誘電特性と実用特性を併せ持つ多層プリント配線基板の絶縁材料の提供が可能になった。
すなわち、重縮合型アリーロキシシラン化合物をエポキシ樹脂硬化剤として含むエポキシ樹脂組成物は、従来のフェノール系硬化剤を用いた時の硬化温度でスムーズに熱硬化が進行し、低誘電率および低誘電正接の層間絶縁層を与える。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、エポキシ樹脂硬化剤として、前記一般式(1)で示される骨格を有し、水酸基当量が1000〜8000g/eqの範囲である重縮合型アリーロキシシラン化合物を50〜100wt%含み、エポキシ当量が200〜500であるエポキシ樹脂とでなり、それを180℃以下の温度で硬化させたときの熱硬化物の常温下1GHzにおける誘電率、および誘電正接が、それぞれ3.00以下、および0.015以下を示すエポキシ樹脂組成物を用いて得られる絶縁材料を提供する。
本発明で使用されるエポキシ樹脂硬化剤は、前記一般式(1)の基本骨格を有する重縮合型アリーロキシシラン化合物を50〜100wt%の割合で含むものであり、式中のRおよびRは、それぞれ同一または異なる炭化水素であって、異種原子、例えば弗素原子、酸素原子を含んでいてもよく、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、トリフルオロメチル、2−エトキシエチル、ビニルなどの置換または非置換のアルキル基、フェニル、2−、3−または4−メチルフェニル、2−、3−または4−メチルフェニル、2−、3−または4−エチルフェニル、2−、3−または4−イソプロピルフェニル、2−、3−または4−イソブチルフェニル、2−、3−または4−tert−ブチルフェニル、2−、3−または4−フルオロフェニル、2−、3−または4−エトキシエチルフェニル、2−、3−または4−フェニルフェニル、α−またはβ−ナフチルなどの置換または非置換のアリール基を挙げることができる。RおよびRの種類を変えることにより硬化速度や硬化物の誘電特性を調整することができるが、原料の入手容易性を考慮すると、RおよびRはメチル基またはフェニル基であることが好ましい。
重縮合型アリーロキシシラン化合物は後述の多価フェノール類と下記一般式(4)に示すジアルコキシシラン類との反応により合成することができる(特開2005−145911号公報参照)。反応によりRおよびR由来のアルコールが副生するが、合成上の観点からRおよびRはアルコールとして留去が容易な炭素数1〜4のものが選ばれ、基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチルなどの低級アルキル基が挙げられる。具体的には、ジエトキシジメチルシラン、ジプロポキシジメチルシラン、ジブトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジメトキシジフェニルシランなどが例示される。なお、ジアルコキシシラン類による多価フェノール類のシリル化において、多価フェノール類の水酸基1当量に対しジアルコキシシラン類のアルコキシシリル基が0.5〜1.5当量、特に0.7〜1.0当量となるような原料比でシリル化を行うのが特性上の観点から好ましい。
(式中、RおよびRは、式(1)と同じ、RおよびRは、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
前記一般式(1)中、ArおよびArは、芳香環に炭化水素基、ハロゲン、水酸基のような置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基などのアリーレン基であり、またXは、直接結合、例えばメチレン、エチレン、エチリデン、イソプロピリデン、ブチリデン、シクロアルキレンなどの2価の炭化水素基、O、SまたはSOであり、mは0〜2の整数、好ましくは0または1である。より具体的には、一般式(1)中の下記(5)で表される基
として、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、メチルヒドロキノン、エチルレゾルシン、プロピルカテコール、ピロガロール、フロログルシン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、o,o’−ビフェノール、o,m’−ビフェノール、o,p’−ビフェノール、m,m’−ビフェノール、m,p’−ビフェノール、p,p’−ビフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂などの多価フェノール類の残基を例示することができる。これらの中では、2価フェノール類の残基であることが好ましい。
重縮合型アリーロキシシラン化合物の一般式(1)において、nの値は一般にはその調製方法に基づきnの値がそれぞれ異なる混合物として得られる。nの平均値が大きすぎるものはワニスにする場合に溶解性が低下することになり、逆に小さすぎるものは良好な誘電特性が得られにくい上、一般式(1)のZにおいて一般式(3)に相当する成分が多い場合には熱硬化物にボイドを生じやすい。したがってnの好適な平均値は、使用した原料の種類や他種硬化剤との混合比率にもよるが、1〜20の範囲であればよく、好ましくは12〜18の範囲とすることが望ましい。
本発明で用いられるエポキシ樹脂硬化剤は、重縮合型アリーロキシシラン化合物を単独使用しても良いが、他種のエポキシ樹脂硬化剤と併用しても良い。具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂などの2価以上の多価フェノール類、およびこれら多価フェノールの水酸基をアシル保護した活性エステル類など水酸基保護型のものも含むフェノール系硬化剤との併用が好ましく、これらを複合使用しても良い。中でも水酸基当量が200g/eq以上の多価フェノール類、または活性エステルなどの水酸基保護型のフェノール系硬化剤の使用が特に好ましい。これらも含むエポキシ樹脂硬化剤全体における重縮合型アリーロキシシラン化合物の割合は、良好な誘電特性を得ることを考慮すると50〜100wt%とするのが良い。
本発明で使用されるエポキシ樹脂は公知のものを使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノール、ナフトールなどのキシリレン結合によるアラルキル樹脂のエポキシ化物、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などの2価以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独使用でも2種類以上併用してもよい。とりわけ、良好な誘電特性を得ることを考慮すると、フェノ−ルビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノール、ナフトールなどのキシリレン結合によるアラルキル樹脂のエポキシ化物、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物のようなエポキシ当量が大きいものを使用するのが好ましい。
エポキシ樹脂の硬化に際しては、硬化促進剤を併用することが好ましい。かかる硬化促進剤としては、エポキシ樹脂をフェノール系硬化剤で硬化させるための公知の硬化促進剤を用いることができ、例えば、3級アミン化合物、4級アンモニウム塩、イミダゾール類、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩などを挙げることができる。より具体的には、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどのホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラナフトエ酸ボレートなどのホスホニウム塩、トリフェニルホスホニオフェノラート、ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンの反応物などのベタイン状有機リン化合物を挙げることができる。とりわけ重縮合型アリーロキシシラン化合物による硬化をスムーズに行う観点から、3級アミン化合物、イミダゾール類、ホスホニウム塩、ベタイン状有機リン化合物の使用が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂の配合比は、エポキシ樹脂硬化剤の反応性官能基/エポキシ樹脂のエポキシ基の当量比が0.5〜1.5、特に0.8〜1.2の範囲にあることが好ましい。硬化促進剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で使用するのが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、その配合成分およびその組成比にも依存するが、公知のフェノール系硬化剤を用いた配合で行われる硬化温度、たとえば100〜250℃の温度範囲で硬化が進行するが、良好な誘電特性を得る目的で使用される公知の活性エステルを用いた配合では十分な硬化が困難な180℃以下で硬化物を作成することも可能である。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、溶剤、無機充填剤、着色剤、増粘剤、シランカップリング剤、難燃剤、低応力剤などを添加または予め反応して用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、特に多層プリント配線基板の層間絶縁材料に適する。例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解させることにより、回路基板に塗布して絶縁層とするための層間絶縁用ワニスとすることができ、ワニス状のエポキシ樹脂組成物をガラス繊維に含浸させて加熱処理を行うことにより該用途のプリプレグとすることができ、ワニス状のエポキシ樹脂組成物を支持フィルム上で加熱処理してフィルム状とすれば該用途の接着シートとすることができる。これらはいずれの形態で使用しても多層プリント配線基板における層間絶縁層とすることができる。
【実施例】
【0008】
以下に実施例、比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
〔参考例1〕
容量500mlのフラスコに、レゾルシン110.11g(1.00モル)、ジメトキシメチルフェニルシラン175.00g(0.96モル)、テトライソプロポキシチタン0.28g(1.0ミリモル)を仕込み、160℃で溶融させ20時間攪拌した。得られた重縮合型アリーロキシシラン化合物は223.87gであり、これを硬化剤Aとした。その反応前後の重量変化より算出した水酸基当量は2795g/eqであり、エポキシ基に対する反応官能基当量は112g/eqである。
〔参考例2〕
容量500mlのフラスコに、メチルヒドロキノン124.14g(1.00モル)、ジメトキシメチルフェニルシラン175.00g(0.96モル)、テトライソプロポキシチタン0.28g(1.0ミリモル)を仕込み、160℃で溶融させ20時間攪拌した。得られた重縮合型アリーロキシシラン化合物は224.15gであり、これを硬化剤Bとした。その反応前後の重量変化より算出した水酸基当量は2970g/eqであり、エポキシ基に対する反応官能基当量は119g/eqである。
[参考例3]
下記一般式(6)で示されるフェノールビフェニルアラルキル樹脂(エア・ウォーター(株)製、HE200C−10)を硬化剤Cとした。
(式中、nは1〜10の数)
[実施例1]
下記一般式(7)で示されるエポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC−3000P、ビフェニルアラルキル型、エポキシ当量272g/eq)、参考例1で得た硬化剤A、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7を表1に示す割合で配合し、充分に混合した後、85℃±3℃の2本ロールで3分混練し、冷却、粉砕することにより、成形用組成物を得た。トランスファー成形機でこの成形用組成物を、圧力100kgf/cmで175℃、2分間成形した後、180℃で6時間のポストキュア、および200℃で6時間のポストキュアによる2種類の物性評価用のテストピースを作成した。得られたテストピースの物性を測定しその結果を表1に示した。
(式中、Gはグリシジル基、nは1〜10の数)
[実施例2]
実施例1において、参考例1で得た硬化剤Aに代えて参考例2に記載の硬化剤Bを用いる以外は同様に成形用組成物を調製し、これより物性評価用のテストピースを得た。得られたテストピースの物性を測定しその結果を表1に示した。
[比較例]
実施例1において、参考例1で得た硬化剤Aに代えて参考例3に記載の硬化剤Cを用いる以外は同様に成形用組成物を調製し、これより物性評価用のテストピースを得た。得られたテストピースの物性を測定しその結果を表1に示した。
本発明における物性の測定は、下記の方法によって行った。
(1)ガラス転移温度
TMAにより、テストピースの線膨張係数を昇温速度10℃/分で測定し、線膨張係数の変曲点をガラス転移温度とした。
(2)誘電率および誘電正接
1GHzにおける誘電率および誘電正接はJIS C6481にしたがい測定した。(測定誤差範囲:誘電率3%以下、誘電正接5%以下)
【表1】
表1より、全てのテストピースにおいて観測されたガラス転移温度は、180℃硬化物と200℃硬化物の測定結果に差はほとんどなく、より低温の180℃以下であっても問題なく熱硬化が進行することがわかる。また実施例1〜2は比較例のテストピースに対し、95〜96%の誘電率、55〜65%の誘電正接といずれも低くなっており、テストピース中の遊離水酸基の数が比較例のそれよりも少なくなっていることを示す。また、それら誘電特性の測定結果もガラス転移温度の測定結果と同様、硬化温度の違いはほとんどなかった。
したがって、実施例1〜2は水酸基保護型の硬化剤を配合成分として含みながらも硬化がスムーズに進行し、低誘電率および低誘電正接の硬化物の提供が可能であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明により、優れた誘電特性と実用特性を併せ持つエポキシ樹脂組成物を用いた層間絶縁材料に好適な絶縁材料が提供される。
本発明の特定のエポキシ樹脂組成物を用いた絶縁材料により、優れた誘電特性と実用特性を併せ持つ多層プリント配線基板の絶縁材料の提供が可能になった。
本発明が提供するエポキシ樹脂組成物およびその硬化物は、低伝送損失が求められる高周波信号用の多層プリント配線基板の層間絶縁材料用途に好適に使用することができる。
【国際調査報告】