特表-15029981IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2015-29981含フッ素化合物、パターン形成用基板、光分解性カップリング剤、パターン形成方法、化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2015年3月5日
【発行日】2017年3月2日
(54)【発明の名称】含フッ素化合物、パターン形成用基板、光分解性カップリング剤、パターン形成方法、化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20170210BHJP
   C07D 207/46 20060101ALI20170210BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20170210BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20170210BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20170210BHJP
【FI】
   C07F7/18 LCSP
   C07D207/46
   G03F7/004 521
   G03F7/075 501
   G03F7/20 501
   G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
【出願番号】特願2015-534222(P2015-534222)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2014年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-176023(P2013-176023)
(32)【優先日】2013年8月27日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
(71)【出願人】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(72)【発明者】
【氏名】山口 和夫
(72)【発明者】
【氏名】川上 雄介
【テーマコード(参考)】
2H125
2H197
4C069
4H049
【Fターム(参考)】
2H125BA05P
2H125CA12
2H125CB05
2H125CC07
2H197CA05
2H197CD30
2H197CE02
2H197CE10
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
4C069AC30
4C069BC12
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ38
4H049VR21
4H049VR43
4H049VU22
4H049VU24
4H049VU28
4H049VU29
4H049VW02
(57)【要約】
下記一般式(1)で表されることを特徴とする含フッ素化合物。
[一般式(1)中、Xはハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、Rf1、Rf2はそれぞれ独立にフッ素化アルコキシ基であって、nは0以上の整数を表す。]
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されることを特徴とする含フッ素化合物。
【化1】
[一般式(1)中、
Xはハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、
は水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Rf2はそれぞれ独立にフッ素化アルコキシ基であって、
nは0以上の整数を表す。]
【請求項2】
請求項1に記載の含フッ素化合物で化学修飾された表面を有するパターン形成用基板。
【請求項3】
請求項1に記載の含フッ素化合物からなることを特徴とする光分解性カップリング剤。
【請求項4】
対象物の被処理面にパターンを形成するパターン形成方法であって、
請求項1に記載の含フッ素化合物を用いて、前記被処理面を化学修飾する第1の工程と、
化学修飾された前記被処理面に所定パターンの光を照射して、親水領域及び撥水領域からなる潜像を生成させる第2の工程と、
前記親水領域又は撥水領域にパターン形成材料を配置させる第3の工程と、
を含むパターン形成方法。
【請求項5】
可撓性の基板の上に電子デバイス用の回路パターンを形成する方法であって、
前記基板の表面の全体、または特定の領域内を、請求項1に記載の含フッ素化合物を用いて化学修飾する第1の工程と、
前記化学修飾された前記基板の表面に、前記回路パターンに対応した分布の光エネルギーを照射することによって、前記基板の表面に、親撥水性の違いによる前記回路パターンの潜像を生成させる第2の工程と、
前記基板の表面の前記潜像の部分に流動性のパターン形成材料を接触させ、前記親撥水性の違いによって前記パターン形成材料を前記回路パターンの形状で前記基板上に捕捉させる第3の工程と、
を含むパターン形成方法。
【請求項6】
前記パターン形成材料は、液状の導電材料、液状の半導体材料、又は液状の絶縁材料を含む請求項4又は5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記光は波長が200nm〜450nmの範囲に含まれる光を含む請求項4〜6のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
下記一般式(f)で表される化合物。
【化2】
[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、Rf1、Rf2はそれぞれ独立にフッ素化アルコキシ基である。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素化合物、パターン形成用基板、光分解性カップリング剤、パターン形成方法及び化合物に関する。
本願は、2013年8月27日に、日本に出願された特願2013−176023号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子、集積回路、有機ELディスプレイ用デバイス等の微細デバイス等の製造において、基板上に、表面特性の異なるパターンを形成し、その表面特性の違いを利用して微細デバイスを作製する方法が提案されている。
基板上の表面特性の違いを利用したパターン形成方法としては、たとえば、基板上に親水領域と撥水領域とを形成し、機能性材料の水溶液を親水領域に塗布する方法がある。この方法は、親水領域でのみ機能性材料の水溶液が濡れ広がるため、機能性材料の薄膜パターンが形成できる。
【0003】
基板上に親水領域と撥水領域とを形成できる材料として、近年、カップリング剤が用いられている。特許文献1には、光照射の前後で接触角を大きく変化させることができる、すなわち、光照射の前後で親水特性/撥水特性を大きく変化させることができる光分解性カップリング剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−50321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような光分解性カップリング剤は、光照射の前後での接触角差や照射された光への感度において、未だ改良の余地があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、光照射の前後で接触角差が大きく、感度がより優れた、カップリング剤として有用な含フッ素化合物、該含フッ素化合物を用いたパターン形成用基板、該含フッ素化合物を用いた光分解性カップリング剤、パターン形成方法、及び前記含フッ素化合物を製造する際に中間体として有用な化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする含フッ素化合物である。
【0008】
【化1】
[一般式(1)中、
Xはハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、
は水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Rf2はそれぞれ独立にフッ素化アルコキシ基であって、
nは0以上の整数を表す。]
【0009】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の含フッ素化合物で化学修飾された表面を有するパターン形成用基板である。
本発明の第三の態様は、前記第一の態様の含フッ素化合物からなることを特徴とする光分解性カップリング剤である。
本発明の第四の態様は、対象物の被処理面にパターンを形成するパターン形成方法であって、前記第一の態様の含フッ素化合物を用いて、前記被処理面を化学修飾する第1の工程と、化学修飾された前記被処理面に所定パターンの光を照射して、親水領域及び撥水領域からなる潜像を生成させる第2の工程と、前記親水領域又は撥水領域にパターン形成材料を配置させる第3の工程と、を含むパターン形成方法である。
本発明の第五の態様は、可撓性の基板の上に電子デバイス用の回路パターンを形成する方法であって、前記基板の表面の全体、または特定の領域内を、前記第一の態様の含フッ素化合物を用いて化学修飾する第1の工程と、前記化学修飾された前記基板の表面に、前記回路パターンに対応した分布の光エネルギーを照射することによって、前記基板の表面に、親撥水性の違いによる前記回路パターンの潜像を生成させる第2の工程と、前記基板の表面の前記潜像の部分に流動性のパターン形成材料を接触させ、前記親撥水性の違いによって前記パターン形成材料を前記回路パターンの形状で前記基板上に捕捉させる第3の工程と、を含むパターン形成方法である。
本発明の第四又は第五の態様のパターン形成方法において、パターン形成材料は、液状の導電材料、液状の半導体材料、又は液状の絶縁材料を含むことが好ましく、光は波長が200nm〜450nmの範囲に含まれる光を含むことが好ましい。
本発明の第六の態様は、下記一般式(f)で表される化合物である。
【0010】
【化2】
[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Rf2はそれぞれ独立にフッ素化アルコキシ基である。]
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光照射の前後で接触角差が大きく、感度がより優れた、カップリング剤として有用な含フッ素化合物、該含フッ素化合物を用いたパターン形成用基板、該含フッ素化合物を用いた光分解性カップリング剤、パターン形成方法、及び前記含フッ素化合物を製造する際に中間体として有用な化合物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のパターン形成方法において好適な基板処理装置の全体構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施例において、水の静的接触角の経時変化を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪含フッ素化合物≫
本発明の第一の態様は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする含フッ素化合物である。
【0014】
【化3】
[一般式(1)中、
Xはハロゲン原子又はアルコキシ基を表し、
は水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、
f1、Rf2はそれぞれ独立にフッ素化アルコキシ基であって、
nは0以上の整数を表す。]
【0015】
前記一般式(1)中、Xはハロゲン原子又はアルコキシ基である。
Xのハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等を挙げることができる。
Xのアルコキシ基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましく、1又は2が最も好ましい。
Xはハロゲン原子であるよりもアルコキシ基であることが好ましい。
【0016】
nは0以上の整数を表し、出発原料の入手の容易さの点から、1〜20の整数であることが好ましく、2〜15の整数であることがより好ましい。また、nは3以上であることも好ましく、4以上であることがより好ましい。
【0017】
前記一般式(1)中、Rは水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である。
のアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
環状のアルキル基としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
本発明においては、Rは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることが好ましい。
【0018】
前記一般式(1)中、Rf1、Rf2はそれぞれ独立にフッ素化アルコキシ基である。
前記一般式(1)中、Rf1、Rf2のフッ素化アルコキシ基は、好ましくは炭素数3以上のアルコキシ基であって、部分的にフッ素化されたものであってもよく、パーフルオロアルコキシ基であってもよい。本発明においては、部分的にフッ素化されたフッ素化アルコキシ基であることが好ましい。
【0019】
本発明において、Rf1、Rf2のフッ素化アルコキシ基としては、例えば、−O−(CHf1−(Cf22nf2+1)で表される基が挙げられる。前記nf1は0以上の整数であり、nf2は1以上の整数である。
本発明において、nf1は0〜30であることが好ましく、0〜15であることがより好ましく、0〜5であることが特に好ましい。
また、本発明において、nf2は1〜30であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜6であることが特に好ましい。
【0020】
以下に一般式(1)で表される含フッ素化合物の具体例を示す。
【0021】
【化4】
【0022】
≪化合物≫
本発明の第六の態様は、下記一般式(f)で表される化合物である。
【0023】
【化5】
[一般式(f)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表し、Rf1、Rf2はそれぞれ独立にフッ素化アルコキシ基である。]
【0024】
一般式(f)中、R、Rf1、Rf2についての説明は、前記一般式(1)中のR、Rf1、Rf2についての説明と同様である。
【0025】
<含フッ素化合物の製造方法>
本発明の含フッ素化合物は、本発明の第六の態様の化合物を原料(中間体)として製造することが好ましい。
【0026】
下記工程において、用いられる溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0027】
本発明の第6の態様の化合物は、例えば、以下のそれぞれの工程を経ることにより、得ることができる。
【0028】
【化6】
【0029】
上記式中、R、Rf1及びRf2は、前記一般式(1)中のR、Rf1及びRf2と同様であり、I−Rf1’、I−Rf2’中のRf1’、Rf2’はそれぞれ、前記Rf1、Rf2と同様である。
【0030】
【化7】
【0031】
上記式中、R、Rf1及びRf2は、前記一般式(1)中のR、Rf1及びRf2と同様である。
【0032】
【化8】
【0033】
上記式中、R、Rf1及びRf2は、前記一般式(1)中のR、Rf1及びRf2と同様である。
【0034】
【化9】
【0035】
上記反応式中、R、Rf1、Rf2についての説明は前記一般式(1)中におけるR、Rf1、Rf2についての説明と同様である。
【0036】
本発明の第一の態様の含フッ素化合物は、例えば、以下の工程により、得ることができる。以下の式中、X、R、Rf1、Rf2、nについての説明は前記一般式(1)中におけるX、R、Rf1、Rf2、nについての説明と同様である。
【0037】
【化10】
【0038】
<2段階表面変換>
本発明の含フッ素化合物を用いて、2段階表面変換する場合について説明する。まず、下記[第1段階]に示すように、基板表面を本発明の含フッ素化合物を用いて基板の表面修飾を行い、基板表面を撥水性とする。その後、光照射を行うことにより、基板表面の接触角が小さくなり、撥水性基板の基板表面が親水性に変化する。
さらに、下記第2段階に示すように、第1段階で親水性に変化させた基板に末端カーボネート化合物等を作用させることにより、第1段階で親水性に変化させた基板表面の接触角を大きくすることができ、撥水性表面に変化させることができる。
以下の式中、Rは基板表面に撥水性を付与するためのフッ素原子含有基であって、例えば前記Rf1、Rf2のフッ素化アルコキシ基が挙げられる。
【0039】
【化11】
【0040】
≪パターン形成用基板≫
本発明の第二の態様は、前記含フッ素化合物で化学修飾された表面を有するパターン形成用基板である。
【0041】
基板の材料としては、特に限定されず、ガラス、石英ガラス、シリコンウェハ、プラスチック板、金属板等が好ましく挙げられる。また、これらの基板上に、金属薄膜が形成された基板を用いてもよい。
【0042】
基板の形状としては、特に限定されず、平面、曲面、または部分的に曲面を有する平面が好ましく、平面がより好ましい。また基板の表面積も特に限定されず、従来の塗布方法が適用できる限りの大きさの表面を有する基板を採用できる。また、前記含フッ素化合物で化学修飾された表面は平面上の基板の片面に形成するのが好ましい。
【0043】
基板の表面を修飾する際は、基板表面を前処理しておくことが好ましい。前処理方法としては、ピラニア溶液での前処理や、UV−オゾンクリーナーによる前処理が好ましい。
【0044】
基板の表面を修飾する方法としては、前記一般式(1)中の、反応性のSiに結合したXの少なくとも一部が脱離することにより、基板と該脱離後の含フッ素化合物とが結合する方法であれば特に限定されず、浸漬法、化学処理法等の公知の方法を用いることができる。
【0045】
≪光分解性カップリング剤≫
本発明の第三の態様は、前記含フッ素化合物からなる光分解性カップリング剤である。
本態様の光分解性カップリング剤は、撥液基を備えた光分解性基と、この光分解性基に官能基を介して連結された付着基Xとを備え、撥液基が末端にフッ素化アルコキシ鎖Rf1、Rf2を有するものであり、また、官能基が光分解後にアミノ基を残基とするものである。そのため、本発明の光分解性カップリング剤は、光照射前後での接触角の差を大きく確保することができる。
【0046】
≪パターン形成方法≫
本発明の第四の態様は、対象物の被処理面にパターンを形成するパターン形成方法であって、前記第一の態様の含フッ素化合物を用いて、前記被処理面を化学修飾する第1の工程と、化学修飾された前記被処理面に所定パターンの光を照射して、親水領域及び撥水領域からなる潜像を生成させる第2の工程と、前記親水領域又は撥水領域にパターン形成材料を配置させる第3の工程と、を含むパターン形成方法である。
【0047】
[第1の工程]
第1の工程は、対象物の被処理面にパターンを形成するパターン形成方法において、前記第一の態様の含フッ素化合物を用いて、前記被処理面を化学修飾する工程である。
【0048】
対象物としては、特に限定されない。例えば、金属、結晶質材料(例えば単結晶質、多結晶質および部分結晶質材料)、非晶質材料、導体、半導体、絶縁体、光学素子、塗装基板、繊維、ガラス、セラミックス、ゼオライト、プラスチック、熱硬化性および熱可塑性材料(例えば、場合によってドープされた:ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、セルロースポリマー、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、樹脂、ポリエステル、ポリフェニレンなど)、フィルム、薄膜、箔、が挙げられる。
【0049】
本態様のパターン形成方法は、可撓性の基板の上に電子デバイス用の回路パターンを形成するパターン形成方法であることが好ましい。すなわち、対象物は可撓性の基板であることが好ましい。
【0050】
ここで可撓性とは、基板に自重程度の力を加えても線断したり破断したりすることはなく、該基板を撓めることが可能な性質をいう。また、自重程度の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、上記可撓性は、該基板の材質、大きさ、厚さ、又は温度などの環境、等に応じて変わる。なお、基板としては、1枚の帯状の基板を用いても構わないが、複数の単位基板を接続して帯状に形成される構成としても構わない。
【0051】
可撓性の基板(対象物)としては、例えば樹脂フィルムやステンレス鋼などの箔(フォイル)を用いることができる。例えば、樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、などの材料を用いることができる。
【0052】
第1の工程では、対象物の被処理面の表面全体を、前記含フッ素化合物により化学修飾してもよく、特定の領域内を前記含フッ素化合物により化学修飾することが好ましい。
【0053】
対象物の被処理面を化学修飾する方法としては、前記一般式(1)中の、反応性のSiに結合したXの少なくとも一部が脱離することにより、基板と該脱離後の含フッ素化合物とが結合する方法であれば特に限定されず、浸漬法、化学処理法等の公知の方法を用いることができる。
【0054】
第1の工程における化学修飾の一例を下記に示す。下記式中、X,R、Rf1、Rf2、nについての説明は前記一般式(1)中におけるX、R、Rf1、Rf2、nについての説明と同様である。
【0055】
【化12】
【0056】
[第2の工程]
第2の工程は、化学修飾された被処理面に所定パターンの光を照射して、親水領域及び撥水領域からなる潜像を生成させる工程である。
【0057】
照射する光は紫外線が好ましい。照射する光は、200〜450nmの範囲に含まれる波長を有する光を含むことが好ましく、320〜450nmの範囲に含まれる波長を有する光を含むことがより好ましい。また、波長が365nmの光を含む光を照射することも好ましい。これらの波長を有する光は、本発明の態様の光分解性基を効率よく分解することができる。光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプ;窒素等の気体レーザー、有機色素溶液の液体レーザー、無機単結晶に希土類イオンを含有させた固体レーザー等が挙げられる。
また、単色光が得られるレーザー以外の光源としては、広帯域の線スペクトル、連続スペクトルをバンドパスフィルター、カットオフフィルター等の光学フィルターを使用して取出した特定波長の光を使用してもよい。一度に大きな面積を照射することができることから、光源としては高圧水銀ランプまたは超高圧水銀ランプが好ましい。
本発明のパターン形成方法においては、上記の範囲で任意に光を照射することができるが、特に回路パターンに対応した分布の光エネルギーを照射することが好ましい。
【0058】
第2の工程において、化学修飾された被処理面に所定パターンの光を照射することにより、撥水性能を有する基が解離し、親水性能を有する残基(アミノ基)が生じるため、光照射後においては、親水領域及び撥水領域からなる潜像を形成することができる。
【0059】
第2の工程においては、回路パターンに対応した光の照射により、可撓性基板の表面に、親撥水の違いによる回路パターンの潜像を生成させることができる。
【0060】
下記に化学修飾された被処理面に所定パターンの光を照射することにより、撥水性能を有する基が解離し、親水性能を有する残基(アミノ基)が生じる工程の例を示す。下記式中、R、Rf1、Rf2、n、についての説明は前記一般式(1)中におけるR、Rf1、Rf2、nについての説明と同様である。
【0061】
【化13】
【0062】
[第3の工程]
第3の工程は、第2の工程で生成した親水領域又は撥水領域にパターン形成材料を配置させる工程である。
【0063】
パターン形成材料としては、金、銀、銅やこれらの合金などの粒子を所定の溶媒に分散させた配線材料(金属溶液)、又は、上記した金属を含む前駆体溶液、絶縁体(樹脂)、半導体、有機EL発光材などを所定の溶媒に分散させた電子材料、レジスト液などが挙げられる。
【0064】
本態様のパターン形成方法においては、パターン形成材料は、液状の導電材料、液状の半導体材料、又は液状の絶縁材料であることが好ましい。
【0065】
液状の導電材料としては、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液からなるパターン形成材料が挙げられる。導電性微粒子として、例えば、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル及びITOのうちのいずれかを含有する金属微粒子の他、これらの酸化物、並びに導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。
【0066】
これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。
【0067】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0068】
液状の半導体材料としては、分散媒に分散又は溶解させた有機半導体材料を用いることができる。有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体、ペンタセン等の可溶性の高分子材料が挙げられる。
【0069】
液状の絶縁材料としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、ポリシラザン系SOGや、シリケート系SOG(Spin on Glass)、アルコキシシリケート系SOG、シロキサンポリマーに代表されるSi−CH結合を有するSiO等を分散媒に分散又は溶解させた絶縁材料が挙げられる。
【0070】
第3の工程において、パターン形成材料を被処理面の親水領域又は撥水領域に配置させる方法としては、液滴吐出法、インクジェット法、スピンコート法、ロールコート法、スロットコート法等を適用することができる。
【0071】
以下、図面を参照して、本発明の態様のパターン形成方法を説明する。
本態様のパターン形成方法において、いわゆるロール・ツー・ロールプロセスに対応する可撓性の基板を用いる場合には、図1に示すような、ロール・ツー・ロール装置である基板処理装置100を用いてパターンを形成してもよい。図1に基板処理装置100の構成を示す。
【0072】
図1に示すように、基板処理装置100は、帯状の基板(例えば、帯状のフィルム部材)Sを供給する基板供給部2と、基板Sの表面(被処理面)Saに対して処理を行う基板処理部3と、基板Sを回収する基板回収部4と、含フッ素化合物の塗布部6と、露光部7と、マスク8と、パターン形成材料塗布部9と、これらの各部を制御する制御部CONTと、を有している。基板処理部3は、基板供給部2から基板Sが送り出されてから、基板回収部4によって基板Sが回収されるまでの間に、基板Sの表面に各種処理を実行できる。
この基板処理装置100は、基板S上に例えば有機EL素子、液晶表示素子等の表示素子(電子デバイス)を形成する場合に好適に用いることができる。
【0073】
なお、図1は、所望のパターン光を生成するためにフォトマスクを用いる方式を図示したものであるが、本発明は、フォトマスクを用いないマスクレス露光方式にも好適に適用することができる。フォトマスクを用いずにパターン光を生成するマスクレス露光方式としては、DMD等の空間光変調素子を用いる方法、レーザービームプリンターのようにスポット光を走査する方式等が挙げられる。
【0074】
本態様のパターン形成方法においては、図1に示すようにXYZ座標系を設定し、以下では適宜このXYZ座標系を用いて説明を行う。XYZ座標系は、例えば、水平面に沿ってX軸及びY軸が設定され、鉛直方向に沿って上向きにZ軸が設定される。また、基板処理装置100は、全体としてX軸に沿って、そのマイナス側(−側)からプラス側(+側)へ基板Sを搬送する。その際、帯状の基板Sの幅方向(短尺方向)は、Y軸方向に設定される。
【0075】
基板処理装置100において処理対象となる基板Sとしては、例えば樹脂フィルムやステンレス鋼などの箔(フォイル)を用いることができる。例えば、樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、などの材料を用いることができる。
【0076】
基板Sは、例えば200℃程度の熱を受けても寸法が変わらないように熱膨張係数が小さい方が好ましい。例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合して熱膨張係数を小さくすることができる。無機フィラーの例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素などが挙げられる。また、基板Sはフロート法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラスの単体、或いはその極薄ガラスに上記樹脂フィルムやアルミ箔を貼り合わせた積層体であっても良い。
【0077】
基板Sの幅方向(短尺方向)の寸法は例えば1m〜2m程度に形成されており、長さ方向(長尺方向)の寸法は例えば10m以上に形成されている。勿論、この寸法は一例に過ぎず、これに限られることは無い。例えば基板SのY方向の寸法が50cm以下であっても構わないし、2m以上であっても構わない。また、基板SのX方向の寸法が10m以下であっても構わない。
【0078】
基板Sは、可撓性を有するように形成されていることが好ましい。ここで可撓性とは、基板に自重程度の力を加えても線断したり破断したりすることはなく、該基板を撓めることが可能な性質をいう。また、自重程度の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。
また、上記可撓性は、該基板の材質、大きさ、厚さ、又は温度などの環境、等に応じて変わる。なお、基板Sとしては、1枚の帯状の基板を用いても構わないが、複数の単位基板を接続して帯状に形成される構成としても構わない。
【0079】
基板供給部2は、例えばロール状に巻かれた基板Sを基板処理部3へ送り出して供給する。この場合、基板供給部2には、基板Sを巻きつける軸部や当該軸部を回転させる回転駆動装置などが設けられる。この他、例えばロール状に巻かれた状態の基板Sを覆うカバー部などが設けられた構成であっても構わない。なお、基板供給部2は、ロール状に巻かれた基板Sを送り出す機構に限定されず、帯状の基板Sをその長さ方向に順次送り出す機構(例えばニップ式の駆動ローラ等)を含むものであればよい。
【0080】
基板回収部4は、基板処理装置100を通過した基板Sを例えばロール状に巻きとって回収する。基板回収部4には、基板供給部2と同様に、基板Sを巻きつけるための軸部や当該軸部を回転させる回転駆動源、回収した基板Sを覆うカバー部などが設けられている。なお、基板処理部3において基板Sがパネル状に切断される場合などには例えば基板Sを重ねた状態に回収するなど、ロール状に巻いた状態とは異なる状態で基板Sを回収する構成であっても構わない。
【0081】
基板処理部3は、基板供給部2から供給される基板Sを基板回収部4へ搬送すると共に、搬送の過程で基板Sの被処理面Saに対して含フッ素化合物を用いた化学修飾をする工程、化学修飾された被処理面に所定パターンの光を照射する工程、及びパターン形成材料を配置させる工程を行う。基板処理部3は、基板Sの被処理面Saに対して含フッ素化合物を塗布する含フッ素化合物塗布部6と、光を照射する露光部7と、マスク8と、パターン形成材料塗布部9と、加工処理の形態に対応した条件で基板Sを送る駆動ローラR等を含む搬送装置20とを有している。
【0082】
含フッ素化合物塗布部6と、パターン形成材料塗布部9は、液滴塗布装置(例えば、液滴吐出型塗布装置、インクジェット型塗布装置、スピンコート型塗布装置、ロールコート型塗布装置、スロットコート型塗布装置など)が挙げられる。
【0083】
これらの各装置は、基板Sの搬送経路に沿って適宜設けられ、フレキシブル・ディスプレイのパネル等が、所謂ロール・ツー・ロール方式で生産可能となっている。本実施形態では、露光部7が設けられるものとし、その前後の工程(感光層形成工程、感光層現像工程等)を担う装置も必要に応じてインライン化して設けられる。
【0084】
本発明の含フッ素化合物は、末端にフッ素化アルコキシ鎖を有する撥水基を備えた光分解性基を有するので、基材表面に付着させた場合の接触角を大きくさせることが可能である。また、光を照射させて撥水性能を有する基を解離させることにより、親水性能を有する残基(アミノ基)が生じるため、光照射後においては、良好な親水性能を呈し、接触角を小さくすることが可能となる。
【0085】
本発明の含フッ素化合物は、例えば有機薄膜トランジスタを作製する際に使用される有機薄膜層(「自己組織化単分子層」ともいう)の形成に好適に用いることができる。
自己組織化単分子層は、有機半導体材料のぬれ性を向上させ、有機半導体材料の結晶性(結晶の大きさ、配列)を良好なものとすることができるものである。また、有機薄膜トランジスタを構成するソース電極及びドレイン電極と有機半導体層との電気的な接続を良好なものできるものである。
【0086】
例えば有機薄膜トランジスタを構成する絶縁層上に本発明の含フッ素化合物を用いた自己組織化単分子層を形成し、露光によりぬれ性を変化させて有機半導体材料の塗布性を向上させることができ、併せて有機半導体移動度の向上にも寄与できると考えられる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0088】
≪実施例1:含フッ素化合物(1)の合成≫
100mLのナスフラスコにo−ジメトキシベンゼンを9.02g(65.4mmol)とヨウ素結晶0.311g(2.45mmol)、イソ酪酸無水物20.7g(131mmol)を入れ、170℃で6時間還流し、室温に戻して31時間撹拌した。その後、減圧留去し、精製水(80mL)を加え、ジエチルエーテル(80mL×3)で抽出した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(80mL)、飽和食塩水(80mL)、精製水(80mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により単離精製し、濃縮、真空乾燥を行い淡黄色粘体(化合物(I1))3.90g(18.7mmol,29%)を得た。
【0089】
上記合成で得られた化合物(化合物(I1))1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−メチルプロパノンの同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.22(6H,d,J=6.8Hz),3.55(1H,sep,J=6.8Hz),3.94and3.95(6H,s,s),6.90(1H,d,J=8.4Hz),7.55(1H,d,J=2.0Hz),7.60(1H,d,J=2.0Hz).
IR(NaCl):1674(C=O)cm−1
【0090】
【化14】
【0091】
次に、100mL二口ナスフラスコに化合物(I1)を2.73g(13.1mmol)入れ、窒素雰囲気下でN,N−ジメチルホルムアミド乾燥溶媒(以下、「DMF」という。)50mL、塩化リチウム11.2g(262mmol:20eq)、を加えた。170℃で29時間還流し、100℃で32時間撹拌した。その後、飽和食塩水200mL、2規定の塩酸50mLを加え、酢酸エチル150mL×3回で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、真空乾燥した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)により単離精製し、濃縮、真空乾燥を行い黄色粘体(化合物(I2))1.50g(8.30mmol,63%)を得た。
【0092】
上記合成で得られた化合物(化合物(I2))1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパノンの同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.21(6H,d,J=6.8Hz),3.53(1H,sep,J=6.9Hz),6.35(1H,s),6.94(1H,d,J=8.4Hz),7.39(1H,s),7.52(1H,d,J=8.4Hz),7.83(1H,d,J=2.0Hz).
IR (NaCl):1656(C=O),3349(OH)cm−1
【0093】
【化15】
【0094】
100mL二口ナスフラスコに化合物(I2)を1.02g(5.67mmol)、DMFを15mL、炭酸カリウムを1.57g(11.3mmol:2eq)入れ、室温で2時間撹拌した。その後、1−ヨード−1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフルオロヘプタン4.64g(12.0mmol:2.1eq)にDMF7mLを加え、滴下し、60℃で14時間撹拌した。反応溶液を減圧留去し、精製水60mL、2規定の塩酸20mLを加え、酢酸エチル(60mL×4)で抽出、飽和食塩水(60mL×5)で洗浄を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮、真空乾燥を行い、橙色固体(化合物(I3))3.62g(5.17mmol,91%)を得た。
【0095】
上記合成で得られた(化合物(I3))1−(3,4−ジ(1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフルオロヘプチルオキシ)フェニル)−2−メチルプロパノンの同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.21(6H,d,J=6.8Hz),2.15−2.19(4H,m),2.32−2.34(4H,m),3.53(1H,sep,J=6.9Hz),4.13and4.14(4H,t,t),6.88(1H,d,J=8.5Hz),7.52(1H,d,J=2.0Hz),7.58(1H,d,J=8.4Hz).
IR(KBr):722(CF),1226(CF,CF),1678(C=O)cm−1
【0096】
【化16】
【0097】
100mLナスフラスコに化合物(I3)の0.502g(0.717mmol)を入れジエチルエーテル3mLで溶解し、氷浴中で70%硝酸5mLを少しずつ加え、氷浴中で1.5時間撹拌した。その後、氷に反応溶液を注ぎ、精製水50mL、 酢酸エチル(50mL×3)で抽出、5%炭酸水素ナトリウム(50mL×3)で洗浄を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。濃縮したものをエタノール20mLで溶解し、再結晶を行った。結晶を吸引ろ過、真空乾燥を行い、薄黄色針状結晶(化合物(I4))0.256g(3.43mmol,48%)を得た。
【0098】
上記合成で得られた化合物(化合物(I4))1−(2−ニトロ−4,5−ジ(1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフルオロヘプチルオキシ)フェニル)−2−メチルプロパノンの同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.21(6H,d,J=6.8Hz),2.15−2.23(4H,m),2.27−2.34(4H,m),2.89(1H,sep),4.16and4.17(4H,t,t),6.67(1H,s),7.64(1H,s).
IR(KBr):721(CF),1228(CF,CF),1358and1523(NO),1703(C=O)cm−1
【0099】
【化17】
【0100】
100mLナスフラスコに化合物(I4)を2.96g(3.97mmol)、テトラヒドロフラン12mL、メタノール8mLを入れ、氷浴中で水素化ホウ素ナトリウム0.300g(7.94mmol:2eq)を少しずつ加え90分間撹拌した。その後、室温で30分間撹拌した。反応溶液を濃縮し、精製水60mL、2規定の塩酸20mL、酢酸エチル(50mL×3)で抽出、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)により単離精製し、濃縮、真空乾燥を行い黄色粘体(化合物(I5))2.17g(2.90mmol,76%)を得た。
【0101】
上記合成で得られた化合物(化合物(I5))1−(2−ニトロ−4,5−ジ(1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフルオロヘプチルオキシ)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オールの同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.94and0.96 (6H,d,d,J=6.8Hz),1.97−2.03(1H,m),2.14−2.21(5H,m),2.27−2.40(4H,m),4.08−4.23(4H,m),5.27(1H,t,J=4.8Hz),7.20(1H,s),7.55(1H,s).
IR(NaCl):742(CF),1228(CF,CF),1334and1522(NO),3547(OH)cm−1
【0102】
【化18】
【0103】
窒素雰囲気下、100mLの二口ナスフラスコに(化合物(I5))1.43g(1.91mmol:1eq.)、トリエチルアミン0.580g(5.73mmol:3eq.)、ドライーアセトニトリル20mL、炭酸N−スクシンイミジル0.735g(2.87mmol:1.5eq.)を入れ、室温で40時間撹拌した。その後、反応溶液を濃縮し、精製水30mL、2規定の塩酸5mLを加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出、5%食塩水(30mL×3)で洗浄を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で単離精製し、濃縮、真空乾燥を行い黄色粘体(化合物(I6))1.55g(1.74mmol,91%)を得た。
【0104】
上記合成で得られた化合物(化合物(I6))1−(2−ニトロ−4,5−ジ(1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフルオロヘプトキシ)フェニル)−2−メチルプロピル N−スクシンイミジルカーボネートの同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.03and1.11(6H,d,d,J=7.2Hz),2.05−2.40(9H,m),2.79(4H,s),4.12−4.37(4H,m),6.38(1H,d,J=4.8Hz),6.96(1H,s),7.65(1H,s).
IR(NaCl):720(CF),1227(CF,CF),1336and1524(NO),1746(C=O)cm−1
【0105】
【化19】
【0106】
30mLの二口ナスフラスコに(化合物(I6))を0.603g(0.680mmol)、ドライーテトラヒドロフラン(以下、「THF」という。)を10mL、3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.136g(0.759mmol:1.1eq)加え、室温で3.5時間撹拌した。反応溶液を濃縮し、中圧カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:テトラメトキシシラン=3:1:0.04)で単離し、濃縮、真空乾燥をして、淡黄色固体(化合物(1))0.451g(0.473mmol,70%)を得た。
【0107】
上記合成で得られた化合物(1)1−(2−ニトロ−4,5−ジ(1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフルオロヘプトキシ)フェニル)−2−メチルプロピルN−(3−トリメトキシシリル)プロピルカルバメートの同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.58−0.67(2H,m),0.98(6H,dd,J=6.8,4.0Hz),1.56−1.63(2H,m),2.10−2.20(5H,m),2.26−2.41(4H,m),3.09−3.16(2H,m),3.56(9H,s),4.10−4.15(4H,m),5.00(1H,t,J=5.8Hz),6.20(1H,d,J=5.2Hz),6.87(1H,s),7.57(1H,s).
IR(KBr):720(CF),1227(CF,CF),1336and1524(NO),1746(C=O)cm−1
【0108】
【化20】
【0109】
≪実施例2:含フッ素化合物(2)の合成≫
実施例として、1−(2−ニトロ−4,5−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル)オキシ)フェニル)エチル(3−(トリエトキシシリル)プロピル)カルバメート(含フッ素化合物(2))を示す。後述の[化25]に示す工程で合成した。
【0110】
1−(3,4−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチル)オキシ)フェニル)エタノンの合成(ステップ1)
1−(3,4−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチル)オキシ)フェニル)エタノン(化合物(I21))を以下に示す工程で合成した。
【0111】
100mL三口ナスフラスコに炭酸カリウム1.11g(8.03mmol)を量りとり、反応器内を窒素置換したDMF10mL、1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)エタノン0.61g(4.01mmol)を加え室温で10分間撹拌した。その後、DMF8mLに溶解させた1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロ−9−ヨードノネート4.00g(8.20mmol)を加え、滴下し、室温で24時間撹拌した。その後60℃に昇温し、1時間撹拌した。反応溶液を減圧留去し、精製水20mL、飽和塩化アンモニウム水溶液60ml、1.2規定塩酸40mLを加え、酢酸エチル(50mL×6)で抽出、飽和塩化ナトリウム水溶液(40mL×3)で洗浄を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮、真空乾燥を行い白色固体(化合物(I21))3.46g(3.97mmol,99%)を得た。
【0112】
上記合成で得られた化合物(化合物(I21))の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)2.10−2.19(4H,m),2.26−2.40(4H,m),3.05(3H,s),4.12and4.13(4H,t,t,J=7.2Hz),6.88(1H,d,J=10.5Hz),7.50(1H,d,J=2.5Hz),7.56(1H,dd,J=2.5,14.8Hz).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)20.63,26.29,27.88,67.35,111.64,112.21,123.69,130.91,148.35,152.74,196.78.
19F−NMR(376MHz,CDCl):δ(ppm)−126.29(4F),−123.53(4F),−123.01(4F),−122.04(4F),−114.62(4F),−80.92(6F).
【0113】
【化21】
【0114】
1−(2−ニトロ−4,5−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル)オキシ)フェニル)エタノンの合成(ステップ2)
1−(2−ニトロ−4,5−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル)オキシ)フェニル)エタノン(化合物(I22))を以下に示す工程で合成した。
【0115】
50mLナスフラスコに1−(3,4−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル)オキシ)フェニル)エタノン100g(1.15mmol)を入れ酢酸3mLで溶解させた。さらに酢酸2mlに溶解させた60%硝酸3mLを滴下し、50℃に昇温し4時間撹拌した。その後、反応器内に氷水を100ml加え、酢酸エチル(50mL×6)で抽出、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL×3)で洗浄を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=5:1〜0:1)により単離精製し、濃縮、真空乾燥を行い乳白色固体(化合物(I22))0.84g(0.92mmol,80%)を得た。
【0116】
上記合成で得られた化合物(化合物(I22))の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)2.15−2.21(4H,m),2.27−2.39(4H,m),2.48(3H,s),4.16and4.16(4H,t),6.64(1H,s),7.59(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)20.46,27.68,30.47,67.80,108.15,109.78,133.16,138.65,148.82,153.29,199.93.
19F−NMR(376MHz,CDCl):δ(ppm)−126.28(4F),−123.52(4F),−123.01(4F),−122.03(4F),−114.64(4F),−80.84(6F).
【0117】
【化22】
【0118】
1−(2−ニトロ−4,5−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル)オキシ)フェニル)エタノールの合成(ステップ3)
1−(2−ニトロ−4,5−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル)オキシ)フェニル)エタノール(化合物(I23))を以下に示す工程で合成した。
【0119】
50mLナスフラスコに水素化ホウ素ナトリウム0.080g(2.11mmol)、テトラヒドロフラン1mL、メタノール1mLを入5分間撹拌した。別容器でテトラヒドロフラン2mL、メタノール2mLに溶解させた1−(2−ニトロ−4,5−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル)オキシ)フェニル)エタノン0.84g(0.92mmol)を、0℃下でゆっくりと滴下した。15分後室温に昇温し、45分間撹拌した。反応溶液を濃縮し、精製水5mL、飽和塩化アンモニウム水溶液20ml、酢酸エチル(50mL×4)で抽出、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1〜3:1)により単離精製し、濃縮、真空乾燥を行い黄緑色粘体(化合物(I23))0.40g(0.43mmol,80%)を得た。
【0120】
上記合成で得られた化合物(化合物(I23))の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)2.12−2.20(4H,m),2.27−2.40(5H,m),4.10−4.20(3H,m),7.29(1H,s),7.55(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)20.05,24.45,27.76,65.81,67.59,109.34,109.84,137.25,139.84,146.96,153.17.
19F−NMR(376MHz,CDCl):δ(ppm)−126.27(4F),−123.52(4F),−123.00(4F),−122.02(4F),−114.62(4F),−80.86(6F).
【0121】
【化23】
【0122】
1−(2−ニトロ−4,5−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル)オキシ)フェニル)エチル(3−(トリエトキシシリル)プロピル)カルバメートの合成(ステップ4)
1−(2−ニトロ−4,5−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル)オキシ)フェニル)エチル(3−(トリエトキシシリル)プロピル)カルバメート(含フッ素化合物(2))を以下に示す工程で合成した。
【0123】
30mLナスフラスコに窒素下で1−(2−ニトロ−4,5−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロノニル)オキシ)フェニル)エタノール0.24g(0.26mmol)、テトラヒドロフラン3mL、トリエトキシ(3−イソシアネートプロピル)シラン0.17g(0.71mmol)を加え、さらにテトラヒドロフラン2mLに溶解させたジブチルチンジラウレートを滴下した。室温で30分間撹拌した後、加熱還流させ21時間撹拌した。反応溶液を濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1〜3:1)で単離し、濃縮、真空乾燥をして、淡黄色固体(含フッ素化合物(2))0.29g(0.25mmol,93%)を得た。
【0124】
上記合成で得られた化合物(含フッ素化合物(2))の同定を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)0.56−0.64(4H,m),1.18−1.24(12H,m),1.55−1.65(5H,m),2.11−2.19(4H,m),2.24−2.40(4H,m),3.05−3.50(2H,m),3.77−3.83(6H,m),4.08−4.16(4H,m),5.03(1H,t),6.33(1H,q),6.97(1H,s),7.56(1H,s).
13C−NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)7.67,18.13,20.49,22.14,23.20,27.72,43.34,58.42,67.53,67.65,68.55,109.45,109.54,134.63,140.06,147.10,152.95,155.23.
19F−NMR(376MHz,CDCl):δ(ppm)−126.27(4F),−123.54(4F),−123.01(4F),−122.03(4F),−114.64(4F),−80.88(6F).
【0125】
【化24】
【0126】
下記に、1−(2−ニトロ−4,5−ビス((4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロフェニル)オキシ)フェニル)エチル(3−(トリエトキシシリル)プロピル)カルバメート(含フッ素化合物(2))の合成経路を示す。
【0127】
【化25】
【0128】
≪実施例3:含フッ素化合物(1)による基板の表面修飾≫
上記に合成方法によって得られた、含フッ素化合物(1)を用いて基板の表面修飾を行った。
得られた修飾基板は、水の静的接触角を測定し、UVから表面密度を算出した。光分解については、水の静的接触角の変化により追跡し、X線光電子分光法(X−ray photoelectron spectroscopy,以下、「XPS」という。)、X線反射率法(X−ray Reflectometer,以下「XRR」という。)により光照射前後を比較した。
【0129】
[前処理工程]
シリコンウェハ(3.5cm×1.5cm)、石英ガラス(4cm×1cm)について、UV−オゾンクリーナーにより前処理を行った。
シリコンウェハ、石英ガラスをメタノール、純水、アセトンでそれぞれ5分間超音波洗浄した。基板を取り出し窒素気流で乾燥させ、UVオゾンクリーナーで、シリコンウェハは鏡面にUVを1.5時間照射し、石英ガラスは1.5時間ずつ両面を前処理した。UV−オゾンクリーナーの酸素注入は流量6L/minで3分間注入し、UV照射は1.5時間とし、生じたオゾンは窒素を流量6L/minで10分間流して排出した。
【0130】
[表面修飾工程]
続いて、50mLのナスフラスコにドライ−トルエン溶液 20mL、含フッ素化合物(1)19.1mg(20.0μmol)を入れ、1mMの溶液を調製した。前処理済みの基板をこのナスフラスコに入れ、窒素下で100℃に加熱し、1時間浸漬させた。基板をメタノールで洗浄し、メタノール、クロロホルムで各10分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した。この基板を実施例3とした。
比較例1として、下記化合物(11)を修飾剤化合物として用いたこと以外は上記と同様の方法により、基板を修飾した。
【0131】
【化26】
【0132】
実施例3において、基板の化学修飾は下記のように行われたと考えられる。
【0133】
【化27】
【0134】
実施例3において、得られた基板表面の水の静的接触角は、シリコンウェハでは101°、石英ガラスでは100°であり、いずれも疎水性を示したことから基板上が修飾されたと考えられる。また、XPS測定の結果より、修飾後の基板においてFピークの出現が見られたことからも修飾できたことを示した。その結果を表1に示す。また、石英ガラスにおいてUVから算出した表面密度は、1.7×1014分子/cmであった。
【0135】
≪修飾基板への光照射≫
その後、得られた修飾基板の光分解性を調べるために、超高圧水銀灯で、320nm以下の波長の光を遮断する硫酸銅フィルターを通して、照度25mW/cmで光照射した。光照射した基板をメタノール、クロロホルムで洗い流し、クロロホルムで5分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した。
光分解は次式のようになされ、光照射するとニトロベンジル基の光分解によりニトロソ化合物が脱離し、基板表面にアミノ基を導入できる。
【0136】
【化28】
【0137】
図2に、実施例3及び比較例1(共にシリコンウェハ基板)の基板に光照射して水の静的接触角の継時変化を測定した結果を示す。図2中、比較例化合物は比較例1を、実施例化合物は実施例3を示す。
図2に示す修飾基板への光照射による水の静的接触角の変化より、実施例3は、露光量に伴い接触角は減少し、最終的に34°と親水表面になったことから、光分解が進行したことを確認した。また、表1に示す各元素の組成比より、Fが大幅に減少したことからも光分解性基の脱離を示したことが確認できた。
また、比較例1に比べて、実施例3は光照射前後の接触角差が大きかった。
【0138】
下記表1に実施例3及び比較例1(ともにシリコンウェハ基板)の基板の光照射前後のXPSスペクトルより求めたSi−Siの元素組成比を1として規格化した各元素の組成比を示す。
【0139】
【表1】
【0140】
表1に示すとおり、光分解性基に基づく元素のピークは消失し、露光により光分解性基が脱離していることが確認できた。
【0141】
≪2段階表面変換の実験例≫
下記実験例1に示すように、本発明の含フッ素子化合物を用いて、基板表面を2段階表面変換する実験例を記載する。
まず、本発明の含フッ素化合物でシリコンウェハ基板の表面修飾を行い、露光することにより(λ>320nm、25mW/cm)、接触角を101°から34°に変化させることができた(下記実験例1の[第1段階]、(A)、(B)参照)。
次に、第1段階で得られた(B)に下記化合物(C)を、トリエチルアミン 80μL、ドライDMSO 20mL下、室温で40時間反応させた。これにより、基板表面の接触角は75°に変化し(下記実験例1の[第2段階]、(D)参照)、2段階での表面の変換が可能であることが確認できた。
【0142】
【化29】
【0143】
上記2段階表面変換実験例における、(A)、(B)、(D)のXPS測定結果を表2に、XRR測定結果を表3に示す。
【0144】
【表2】
【0145】
【表3】
【0146】
上記結果に示すとおり、XPS測定結果及びXRR測定結果からも、2段階での表面の化学修飾が可能であることが確認できた。これにより、親水−撥水パターンと有機半導体との密着性を両立できる可能性がある。
【符号の説明】
【0147】
S…基板 CONT…制御部 Sa…被処理面 2…基板供給部
3…基板処理部 4…基板回収部 6…含フッ素化合物塗布部 7…露光部
8…マスク 9…パターン形成材料塗布部 100…基板処理装置
図1
図2
【国際調査報告】