特表-16121750IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2016-121750難燃性エポキシ樹脂組成物、それを用いてなるプリプレグ及び積層板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年8月4日
【発行日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】難燃性エポキシ樹脂組成物、それを用いてなるプリプレグ及び積層板
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20171013BHJP
   C08K 5/49 20060101ALI20171013BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20171013BHJP
   B32B 15/092 20060101ALI20171013BHJP
【FI】
   C08L63/00 C
   C08K5/49
   C08J5/24CFC
   B32B15/092
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】特願2016-572053(P2016-572053)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年1月26日
(31)【優先権主張番号】特願2015-15549(P2015-15549)
(32)【優先日】2015年1月29日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
【住所又は居所】東京都荒川区東尾久7丁目2番35号
(74)【代理人】
【識別番号】100087631
【弁理士】
【氏名又は名称】滝田 清暉
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(74)【代理人】
【識別番号】100144543
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 有穂
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 剛
【住所又は居所】福岡県飯塚市堀池132−11
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸三
【住所又は居所】福岡県小郡市美鈴の杜3丁目10−24
(72)【発明者】
【氏名】玉祖 健一
【住所又は居所】埼玉県久喜市菖蒲町昭和沼20番地 株式会社ADEKA 内
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 千裕
【住所又は居所】埼玉県久喜市菖蒲町昭和沼20番地 株式会社ADEKA 内
(72)【発明者】
【氏名】小川 亮
【住所又は居所】埼玉県久喜市菖蒲町昭和沼20番地 株式会社ADEKA 内
【テーマコード(参考)】
4F072
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F072AA07
4F072AB09
4F072AB28
4F072AD27
4F072AE02
4F072AF03
4F072AF06
4F072AF30
4F072AG03
4F072AH02
4F072AH21
4F072AK05
4F072AL12
4F072AL13
4F100AA04A
4F100AB01B
4F100AB01C
4F100AB33B
4F100AB33C
4F100AK53A
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4F100BA02
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10B
4F100BA10C
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4J002EN076
4J002ER026
4J002EU116
4J002EW137
4J002FD010
4J002FD137
4J002FD146
4J002FD150
4J002GQ00
(57)【要約】
エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び下記一般式(1)で表される含リン化合物(C)を含有することを特徴とする、難燃性エポキシ樹脂組成物;それを用いたプリプレグ及び該プリプレグを用いた積層板;
但し、上記式(1)中のmは2〜10の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、又はアリール基を表し、Rは、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子を含んでも良い炭化水素基、Xは酸素原子又は硫黄原子、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は―NR―を表し、ここでRは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び下記一般式(1)で表される含リン化合物(C)を含有することを特徴とする、難燃性エポキシ樹脂組成物;
但し、上記式(1)中のmは2〜10の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、又はアリール基を表し、Rは、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子を含んでも良い炭化水素基、Xは酸素原子又は硫黄原子、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は―NR―を表し、ここでRは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
【請求項2】
前記式(1)中のRが、芳香環を少なくとも1個有する炭化水素基である、請求項1に記載されたエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記式(1)中のX及びYが共に酸素原子であり、R及びRが、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、Rが下記一般式(2−1)〜(2−6)から選択される何れかの構造を有する基である、請求項1又は2に記載されたエポキシ樹脂組成物;
但し、上記式(2−1)中のRは、水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を表す;
但し、上記式(2−2)中のnは0〜3の整数、oは0〜50の整数を表し、Rは、水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基、Rは、酸素原子又は硫黄原子を含んでもよい炭化水素基を表し、Zは水酸基又は下記一般式(2−3)で表される官能基である;
但し、上記式(2−3)中のR及びRは、それぞれ独立に、アルキル基又は下記のアリール基を表す;
【請求項4】
無機繊維及び有機繊維から選択され得た少なくとも1種の繊維からなるシート状基材と、請求項1に記載されたエポキシ樹脂組成物とからなることを特徴とするプリプレグ。
【請求項5】
請求項4に記載されたプリプレグ又は2以上の該プリプレグを積層してなる積層体の少なくとも一方の表面に金属箔を配置して積層し、熱圧着することを特徴とするエポキシ樹脂積層板の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載された方法によって製造されてなるエポキシ樹脂積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性エポキシ樹脂組成物に関し、特に、リン系の反応性難燃剤を含有し、環境適合性に優れた難燃性エポキシ樹脂組成物、及び、該難燃性エポキシ樹脂組成物を用いたエポキシ樹脂積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、工業的に幅広い用途で使用されてきているが、エポキシ樹脂に要求される性能は、産業の発展と共に近年ますます高度化している。例えば、電子部品や電子機器に使用される銅張積層板や注型材等には、従来からエポキシ樹脂が用いられているが、これらのエポキシ樹脂には、火災の防止や延焼の遅延など、安全性の観点から、難燃性の効果をもたらす臭素化エポキシ樹脂が使用されてきた。しかしながら環境問題の観点から、近年は、ハロゲンに代わる難燃効果を示す材料の開発が盛んに行われている。
【0003】
エポキシ樹脂に難燃性を与える先行技術としては、多種多様の有機含リン化合物を用いた方法が既に提示されている。難燃性の効果をもたらすためには、組成物中のリン含有率を増やすことが有効な手段の一つであり、リン含有率の高い難燃剤を添加する方法が知られている(例えば、特許文献1など)。しかしながら、上記の方法の場合には、難燃性に関してはある程度有効な効果を上げることができるものの、エポキシ樹脂と反応しないために、エポキシ樹脂組成物を加熱硬化させた場合に、難燃剤が一部遊離するブリード現象が生じたり、硬化物のTgが大きく下がったりするという欠点があった。
【0004】
また、エポキシ樹脂と反応する含リン化合物を用いた、難燃性を有するエポキシ樹脂組成物を製造する方法も知られている(例えば、特許文献2など)。しかし、この方法の場合には、含リン化合物がエポキシ樹脂と反応することにより、上記ブリード現象の問題は解消されるものの、含リン化合物の反応点が一つしかないために、エポキシ樹脂を加熱硬化させた時に、硬化物の物性や耐熱性が低下するという欠点があった。また、使用される含リン化合物の結晶性が高いため、組成物とした時の作業性が悪いという欠点もあった。
【0005】
そこで本発明者等は上記の欠点を改善すべく鋭意検討した結果、硬化時に難燃剤のブリード現象が発生せず、硬化物の物性が低下しない上作業性にも優れた、反応性含リン化合物を用いてなる難燃性エポキシ樹脂組成物を見出し、本発明に到達した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−235449号公報
【特許文献2】特開平11−166035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の第一の目的は、環境適正に優れたリン系の反応性難燃剤を含有してなる、作業性や硬化物の物性に優れた難燃性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第二の目的は、環境適正に優れると共に硬化物の物性や耐熱性にも優れた、積層板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち本発明は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び、下記一般式(1)で表されるリン系化合物(以下、単に「含リン化合物」とする。)(C)を含有することを特徴とする難燃性エポキシ樹脂組成物である。
但し、上記式(1)中のmは2〜10の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、Rは、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子を含んでも良い炭化水素基、Xは酸素原子又は硫黄原子、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は―NR―を表し、ここでRは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハロゲンを使用しないので環境適正に優れると共に作業性にも優れる上、硬化物の物性や耐熱性に優れた、難燃性エポキシ樹脂組成物が得られる。また、該エポキシ樹脂組成物を用いることにより、耐熱性及び難燃性のみならず環境適正にも優れた、積層板を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明で用いる、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、及び含リン化合物(C)について説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物の使用用途は特に限定されるものではなく、例えば、電子回路基板に用いられる積層板、電子部品に用いられる封止剤、注型材、フィルム材、接着剤、電気絶縁塗料、難燃性の必要な複合材、及び粉体塗料等に使用することができる。本発明においては、特に電子回路基板に用いられる積層板、電子部品に用いられる封止剤、及び注型材等に使用することが好ましく、積層板に使用することが最も好ましい。
【0011】
本発明で使用するエポキシ樹脂(A)は、分子中にエポキシ基を2つ以上有するものである限り、分子構造、分子量等に特に制限はなく、公知のエポキシ樹脂の中から適宜選択することができるが、使用する用途によって使い分けることが好ましい。
【0012】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノールや水添ビスフェノールA等から得られる脂環式エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物であるエポキシ化物、及びビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;及びフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0013】
上記したエポキシ樹脂は単独で用いても、2種以上を併用しても良いが、積層版に用いられるエポキシ樹脂組成物に対しては、ノボラック型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0014】
また、封止剤に用いられるエポキシ樹脂組成物に対しては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、及び、ナフタレン型エポキシ樹脂の中から選択される、少なくとも1種のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、注型材に用いられるエポキシ樹脂組成物に対しては、ビスフェノール型エポキシ樹脂及び/又は脂環式エポキシ樹脂類が好ましい。
【0015】
本発明においてエポキシ樹脂を使用する場合、所望の粘度に調整するために、反応性希釈剤を併用することができる。このような反応性希釈剤としては、エポキシ樹脂組成物を硬化させた時の、硬化物の、耐熱性やガラス転移温度の低下を抑制する観点から、エポキシ基を少なくとも1つ有する希釈剤を使用する。
【0016】
上記反応性希釈剤に含まれるエポキシ基の数は、1個でも2個以上でもよく、特に限定されるものではない。エポキシ基の数が1個の反応性希釈剤としては、例えばn−ブチルグリシジルエーテル、C12〜C14のアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、及び3級カルボン酸グリシジルエステル等が挙げられる。
【0017】
エポキシ基の数が2個の反応性希釈剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、及びネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ基の数が3個の反応性希釈剤としては、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、及びグリセリントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0018】
上記反応性希釈剤のエポキシ樹脂に対する配合量は、特に限定されるものではないが、使用する用途によって使い分けることが好ましい。積層板に用いられるエポキシ樹脂組成物の場合には、製品のガラス転移温度の低下を避ける観点から、反応性希釈剤を使用しないことが好ましい。封止剤に用いられるエポキシ樹脂組成物の場合には、エポキシ樹脂100質量部に対して3〜50質量部配合することが好ましく、5〜30質量部配合することがより好ましい。また、注型材に用いられるエポキシ樹脂組成物の場合にも、エポキシ樹脂100質量部に対して3〜50質量部配合することが好ましく、5〜30質量部配合することがより好ましい。
【0019】
次に、本発明に用いられる硬化剤(B)としては、フェノール樹脂類、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、潜在性硬化剤、及び酸無水物類が挙げられる。本発明においては、これらの硬化剤を用途によって使い分けることが好ましい。
具体的には、積層板の用途に関しては、フェノール樹脂類又は潜在性硬化剤を使用することが好ましく、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、又はジシアンジアミド型潜在性硬化剤を使用することがより好ましい。封止剤に関しては、潜在性硬化剤又は酸無水物類を使用することが好ましく、注型材の用途に関しては、脂肪族アミン、芳香族アミン、又は酸無水物類を使用することが好ましい。これらの硬化剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用しても良い
【0020】
前記フェノール樹脂類としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリスフェニロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮合ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮合ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(フェノール骨格、トリアジン環及び1級アミノ基を分子構造中に有する化合物)、及び、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。
【0021】
前記フェノール樹脂類からなる硬化剤(B)のエポキシ樹脂(A)に対する配合量は、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂中のエポキシ基1個に対し、フェノール樹脂類中の水酸基が0.3〜1.5個になるように配合することが好ましく、0.8〜1.2個になるように配合することがより好ましい。
【0022】
前記脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)スルホン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、及びメタキシレンジアミン等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、適宜混合した混合物として用いることもできる。
【0023】
前記脂肪族アミン類からなる硬化剤(B)のエポキシ樹脂(A)に対する配合量は、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂中のエポキシ基1個に対し、脂肪族アミン中の活性水素が0.6〜1.5個になるように配合することが好ましく、0.8〜1.2個になるように配合することがより好ましい。
【0024】
前記芳香族アミン類としては、ジエチルトルエンジアミン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及び3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられ、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を用いることができる。
【0025】
前記脂肪族アミン類からなる硬化剤(B)のエポキシ樹脂(A)に対する配合量は、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂中のエポキシ基1個に対し、脂肪族アミン中の活性水素が0.6〜1.5個になるように配合することが好ましく、0.8〜1.2個になるように配合することがより好ましい。
【0026】
前記潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド型、イミダゾール型、ポリアミン型化合物等の、室温でエポキシ樹脂と混合した時に、混合物の粘度変化や物性変化が小さい潜在性硬化剤が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、市販品である、アデカハードナー EH−3636AS(株式会社ADEKA製、ジシアンジアミド型潜在性硬化剤)、アデカハードナー EH−4351S(株式会社ADEKA製、ジシアンジアミド型潜在性硬化剤)、アデカハードナー EH−5011S(株式会社ADEKA製、イミダゾール型潜在性硬化剤)、アデカハードナー EH−5046S(株式会社ADEKA製、イミダゾール型潜在性硬化剤)、アデカハードナー EH−4357S(株式会社ADEKA製、ポリアミン型潜在性硬化剤)、アデカハードナー EH−5057P(株式会社ADEKA製、ポリアミン型潜在性硬化剤)、及びアデカハードナー EH−5057PK(株式会社ADEKA製、ポリアミン型潜在性硬化剤)等が挙げられ、これらを単独で、又は適宜混合した混合物として用いることができる。
【0027】
前記潜在性硬化剤からなる硬化剤(B)のエポキシ樹脂(A)に対する配合量は、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂100質量部に対して1〜70質量部であることが好ましく、3〜60質量部であることがより好ましい。
【0028】
前記酸無水物類としては、無水ハイミック酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水メチルハイミック酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、及び水素化メチルナジック酸無水物等が挙げられる。
【0029】
前記酸無水物類からなる硬化剤(B)のエポキシ樹脂(A)に対する配合量は、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂中のエポキシ基1個に対し、酸無水物類中の酸無水物基の数が0.7〜1.6個であることが好ましく、0.9〜1.2個であることがより好ましい。
【0030】
本発明においては、前記硬化剤(B)と共に、必要に応じて公知のエポキシ樹脂硬化促進剤を併用することができる。これらの硬化促進剤の具体例としては、トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物;テトラフェニルホスフォニウムブロマイド等のホスホニウム塩;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;前記イミダゾール類と、トリメリット酸、イソシアヌル酸、硼素等との塩であるイミダゾール塩類;ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミン類;トリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;及び、三フッ化硼素と、アミン類やエーテル化合物等との錯化合物等を例示することができる。これらの硬化促進剤は、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0031】
次に、本発明で使用する、下記一般式(1)で表される(C)成分の含リン化合物について説明する。
但し、上記式(1)中のmは2〜10の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、又はアリール基を表し、Rは、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子を含んでも良い炭化水素基、Xは酸素原子又は硫黄原子、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は―NR―を表し、ここでRは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
【0032】
本発明で用いられる(C)成分の含リン化合物は、下記一般式(3)に示す反応式により、エポキシ基と反応する化合物である。
但し、上記式(3)中のmは2〜10の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、Rは、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子を含んでも良い炭化水素基、Rはアルキル基又はアリール基、Xは酸素原子又は硫黄原子、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は―NR―を表し、ここでRは、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
【0033】
上記式(1)中のmは2〜7であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。mが1であると、エポキシ基と反応する官能基が1つとなり、エポキシ樹脂を硬化した時の硬化物のガラス転移温度や、強度が著しく低下するので好ましくない。mが10より大きい数の場合には、含リン化合物を製造する際に、粘度が高くなって製造が困難となるので好ましくない。
【0034】
上記式(1)中のR又はR2で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、アミル基、イソアミル基、第三アミル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、第三オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。また、上記R1又はR2で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
本発明においては、これらの中でも、R及び/又はR2が、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数が2〜5のアルキル基であることがより好ましく、エチル基又はプロピル基であることが最も好ましい。
【0035】
前記式(1)中のR3で表される炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、アミル基、イソアミル基、第三アミル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、第三オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;メチレン基、エチレン基、プロピレン基、エタンジイル基、オクタンジイル基等のアルカンジイル基;メチレントリイル、1,1,3−エチレントリイル基等のアルカントリイル基;1,1,2,2−エチレントリイル等のアルカンテトライル基;及び、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルシノール等の単核多価フェノール化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホニルビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の、多核多価フェノール化合物の芳香族基が挙げられる。
【0036】
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物の物性の観点から、本発明で用いられる(C)成分の含リン化合物は、骨格に芳香環を少なくとも1個含む化合物であることが好ましく、下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基を含有する化合物であることが特に好ましい。
但し、上記式(2−1)中のRは、水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を表す。
【0037】
但し、上記式(2−2)中のnは0〜3の整数、oは0〜50の整数を表し、Rは水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基、Rは、酸素原子及び硫黄原子を含んでもよい炭化水素基を表し、Zは水酸基、又は、下記一般式(2−3)で表される官能基である。
但し、上記式(2−3)中のR及びRは、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表す。
【0038】
【0039】
前記式(1)におけるRが、上記(2−1)〜(2−6)で表される基である含リン化合物の中では、Rが前記(2−1)又は(2−2)で表される構造であるものを使用することが特に好ましい。また、前記(2−1)の構造の中でも、R、Rが、それぞれ独立にエチル基又はプロピル基であり、Rが水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
一方、前記(2−2)の構造の場合には、nが0又は1、oが1〜5の整数であり、R、Rがそれぞれ独立にエチル基又はプロピル基、Rがメチル基であり、Rがメチレン基、エタンジイル基、又はプロパンジイル基であることが好ましい。
このような化合物としては、例えば、下記式(4−1)〜(4−4)で表される化合物が挙げられる。
【0040】
但し、上記式(4−4)におけるpは1〜5の整数である。
【0041】
本発明のエポキシ樹脂組成物中における上記含リン化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂組成物の全固形分中における、前記含リン化合物に起因するリン含有量が0.1〜5質量%となる量であることが好ましく、0.5〜3質量%となる量であることがより好ましい。リン含有量が0.1質量%となる量より少ない場合には、エポキシ樹脂組成物の難燃性が著しく低下する場合がある。一方、リン含有量が5質量%となる量より多い場合には、エポキシ樹脂組成物の耐水性が著しく低下する場合がある。
【0042】
本発明で使用する含リン化合物は、下記一般式(5)に表した方法等によって製造することができる。
【0043】
上記式(5)中におけるmは2〜10の整数、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、Rは、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子を含んでも良い炭化水素基、Xは酸素原子又は硫黄原子、Yは、酸素原子、硫黄原子、または―NR―を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
【0044】
前記一般式(5)で使用される塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン;ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類;1−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のホスフィン類;等が挙げられる。本発明においては、これらの塩基の中でも3級アミンを使用することが好ましく、トリエチルアミンを使用することが最も好ましい。
【0045】
前記一般式(5)で使用される溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒の中では、エーテル類又はハロゲン化脂肪族炭化水素が好ましく、エーテル類が特に好ましい。
本発明においては、上記の反応を、−80〜100℃、好ましくは室温〜50℃で、0.5時間〜72時間、好ましくは1時間〜24時間かけて行わせることができる。
【0046】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、粘度調整剤として有機溶剤を用いることができる。この場合の有機溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。本発明においては、これらの溶剤の少なくとも一種を混合して、エポキシ樹脂組成物全体の質量に対して、30〜80質量%の範囲となるように配合することができる。
【0047】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、無機充填剤を添加してもよい。このような無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、炭酸カルシウム、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミ、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、及びガラス繊維等が挙げられる。これらの無機充填剤は、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0048】
本発明においては、上記した無機充填剤を、使用する用途によって使い分けることが好ましい。積層板の用途に関しては、溶融シリカ、水酸化アルミニウム等を使用することが好ましく、封止剤の用途に関しては、溶融シリカ、結晶シリカ等を使用することが好ましく、溶融シリカを使用することが特に好ましい。注型材の用途に関しては、溶融シリカ、結晶シリカ、又は水酸化アルミニウム等を使用することが好ましく、溶融シリカを使用することが特に好ましい。
【0049】
前記無機充填剤の配合量は、エポキシ樹脂組成物の全固形分に対して、20〜90質量%であることが好ましく、25〜80質量%であることが、より好ましい。無機充填剤の配合量が20質量%未満では、硬化物の熱膨張係数の低減効果が低くなる傾向があり、90質量%を超えるとエポキシ樹脂組成物の粘度が上昇し、作業性が著しく低下する傾向となる。
【0050】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、前記無機充填剤以外の添加剤を併用してもよい。上記添加剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ベンジルアルコール、コールタール等の非反応性の希釈剤(可塑剤);ガラス繊維、パルプ繊維、合成繊維、セラミック繊維等の繊維質充填材;ガラスクロス・アラミドクロス、カーボンファイバー等の補強材;顔料;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ろう、イボタロウ、みつろう、ラノリン、鯨ろう、モンタンワックス、石油ワックス、脂肪酸ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族エステル、芳香族エーテル等の潤滑剤;増粘剤;チキソトロピック剤;酸化防止剤;光安定剤;紫外線吸収剤;上記含リン化合物以外の難燃剤;消泡剤;防錆剤;コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等の常用の添加物をあげる事ができる。本発明においては、更に、キシレン樹脂、石油樹脂等の粘着性の樹脂類を併用することもできる。
【0051】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、電子回路基板に用いられる積層板、電子部品に用いられる封止剤、注型材、フィルム材、接着剤、電気絶縁塗料、難燃性の必要な複合材、及び粉体塗料等に使用することができ、中でも電子回路基板に用いられる積層板、電子部品に用いられる封止剤、及び注型材に使用することが好適である。
【0052】
本発明の積層板は、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグを、所定の枚数、例えば1〜20枚重ね合わせ、その片面又は両面に銅やアルミニウム等の金属箔を配置して積層した後、多段プレス機、多段真空プレス機等を用いて、所定の温度、例えば100〜250℃で熱圧着して製造することができる。
【0053】
上記、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を、基材に含浸させ又は塗布し、加熱等により半硬化(Bステージ化)させて製造することができる。
上記プリプレグの基材としては、例えば、ガラス繊維や炭素繊維等の無機繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等の、公知のものを使用することができる。
【0054】
これらの基材の形状としては、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等のシート状の基材が挙げられる。これら基材の材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択される。必要により、単独で又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせて使用することができる。
【0055】
電子部品に用いられる本発明の封止剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物を、必要により加熱処理しながら、撹拌、溶融、混合、分散させることにより製造することができる。この場合の、撹拌、溶融、混合、分散に使用する装置は特に限定されるものではなく、本発明においては、撹拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル等を使用することができる。また、これら装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0056】
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた注型材は、例えば、ミキサー等を用いて本発明のエポキシ樹脂組成物を混合し、真空脱泡した後、金型を用いて製造することができる。
【0057】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、以下の実施例等における%は、特に記載がない限り質量基準である。また、プリプレグの外観は、目視観察した場合に、均一な外観のものを良好と評価し、外観が不均一な物を不良とした。同様に、プリプレグを用いて加圧硬化させ、両面銅張積層板を作製した後の外観の評価を目視で観察し、均一に硬化しているものを良好とし、不均一に硬化しているものを不良とした。難燃性は、両面銅張積層板の銅箔をエッチングによって除去し、長さ127mm、幅12.7mmに加工した試験片について、UL(Underwriters Laboratories)の“Test for Flammability of Plastic Materials UL 94”に準じて試験をし、下記の様にして判定した。
<判定方法>
試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後、炎を取り除き、試験片に着火した火が消える迄の時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行ない、1回目と同様にして、着火した火が消える迄の時間を測定した。また、落下する火種により、試験片の下に置いた綿が着火するか否かについても同時に評価した。
1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無等からUL−94V規格にしたがって燃焼ランクを評価した。燃焼ランクはV−0が最高であり、V−1、V−2となるにしたがって難燃性は低下する。但し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとした。
【0058】
硬化物のガラス転位温度はTMA(熱機械分析装置、株式会社日立ハイテクサイエンス製、EXSTAR TMA/SS-6100)を用いて測定した。また、銅箔の剥離強さはJIS C 6481 5.7に準じて測定した。
【0059】
<製造例1:含リン化合物(I―1)の合成>
撹拌羽、還流管、温度計、滴下漏斗及びセプタムを備えた500mLの五口フラスコを、十分に乾燥・窒素置換し、4,4’−ビフェノール29.8g(0.16mol)、トリエチルアミン34.4g(0.34mol)、及び超脱水テトラヒドロフラン300mLを仕込んだ。滴下漏斗にジエチルホスフィン酸クロリド47.8g(0.34mol)を仕込み、反応温度が50℃を超えないように滴下した。滴下終了後、一晩攪拌した。反応溶液を分液漏斗に移し、クロロホルム500mL及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mLを加えて良く撹拌し、油水分離した後、水層を除去した。有機層を蒸留水200mLで二回水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレーターで溶媒を除去し、含リン化合物(I‐1)60.6g(収率96.1%)を得た。
【0060】
<製造例2:含リン化合物(I―2)の合成>
撹拌羽、還流管、温度計、滴下漏斗及びセプタムを備えた500mLの五口フラスコを、十分に乾燥・窒素置換し、HF‐1M(フェノールノボラック樹脂、明和化成株式会社製)34.2g(0.16mol)、トリエチルアミン34.4g(0.34mol)、及び超脱水テトラヒドロフラン300mLを仕込んだ。滴下漏斗にジエチルホスフィン酸クロリド47.8g(0.34mol)を仕込み、反応温度が50℃を超えないように滴下した。滴下終了後、一晩攪拌した。反応溶液を分液漏斗に移し、クロロホルム500mL及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mLを加えて良く撹拌し、油水分離した後、水層を除去した。有機層を蒸留水200mLで二回水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレーターで溶媒を除去し、含リン化合物(I‐2)66.4g(収率98.3%)を得た。
【0061】
<製造例3:含リン化合物(I―3)の合成>
撹拌羽、還流管、温度計、滴下漏斗及びセプタムを備えた500mLの五口フラスコを、十分に乾燥・窒素置換し、ビスフェノールA45.7g(0.20mol)、トリエチルアミン42.5g(0.42mol)、及び超脱水テトラヒドロフラン300mLを仕込んだ。滴下漏斗にジエチルホスフィン酸クロリド59.0g(0.42mol)を仕込み、反応温度が50℃を超えないように滴下した。滴下終了後、一晩攪拌した。反応溶液を分液漏斗に移し、クロロホルム500mL及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mLを加えて良く撹拌し、油水分離した後、水層を除去した。有機層を蒸留水200mLで二回水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレーターで溶媒を除去し、含リン化合物(I‐3)78.1g(収率89.4%)を得た。
【0062】
<製造例4:含リン化合物(I―4)の合成>
撹拌羽、還流管、温度計、滴下漏斗及びセプタムを備えた500mLの五口フラスコを、十分に乾燥・窒素置換し、ビスフェノールF32.0g(0.16mol)、トリエチルアミン34.4g(0.34mol)、及び超脱水テトラヒドロフラン300mLを仕込んだ。滴下漏斗にジエチルホスフィン酸クロリド47.8g(0.34mol)を仕込み、反応温度が50℃を超えないように滴下した。滴下終了後、一晩攪拌した。反応溶液を分液漏斗に移し、クロロホルム500mL及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mLを加えて良く撹拌し、油水分離した後水層を除去した。有機層を蒸留水200mLで二回水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレーターで溶媒を除去し、含リン化合物(I‐4)60.9g(収率93.2%)を得た。
【0063】
[実施例1]
EOCN−104S(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製)49.1g、HP−350(水酸化アルミニウム、昭和電工株式会社製)60.1g及びSFP−130MC(球状シリカ、電気化学工業株式会社製)60.1gをメチルエチルケトン100gに加え、三本ロールで分散させた。次いで、製造例1で得られた含リン化合物(I−1)15.3gを、メタノール3gに溶解して加えた。更に、EOCN−104S 50.9g、アデカハードナー EH−3636AS(ジシアンジアミド型潜在性硬化剤、株式会社ADEKA製)5g(5phr)、及びメチルエチルケトン100gを追加してディスパーで分散し、樹脂ワニスを作製した。
【0064】
得られた樹脂ワニスをガラスクロス(日東紡績株式会社製、#7628)に含浸させ、120℃の熱風循環炉で10分間加熱乾燥してプリプレグを作製した。このときのプリプレグ中の樹脂量は、プリプレグ全体の40〜50質量%であった。更に、作製したプリプレグを4枚重ね、その両側に厚さ35μmの銅箔(福田金属箔粉工業株式会社製)を配置し、190℃の温度、10kg/cmの圧力条件で120分間熱圧着して、両面銅張積層板を得た。上記のようにして得られた両面銅張積層板の物性を表1に示した。
【0065】
<製造例5:含リン化合物(I−5)の合成>
回転子、還流管、セプタムを備えた100mL三口フラスコを十分に乾燥、窒素置換し、フェノール28.2g(0.30mol)、トリエチルアミン32.4g(0.32mol)、超脱水テトラヒドロフラン300mLを仕込んだ。滴下漏斗にジエチルホスフィン酸クロリド45.0g(0.32mol)を仕込み、反応温度が50℃を超えないように滴下した。滴下終了後、一晩攪拌した。反応溶液を分液漏斗に移し、クロロホルム500mL及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mL を加えて良く撹拌し、油水分離後、水層を除去した。有機層を蒸留水200mL で二回水洗し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後エバポレーターで溶媒を除去し、含リン化合物(I−5)50.7g(収率85.3%)を得た。
【0066】
<実施例2〜4、比較例1〜4>
表1に記載した組成で配合したこと以外は、実施例1と同様にして両面銅張積層板を作製して各種評価を行った。結果は表1に示した通りである。
【表1】
*1 HCA−HQ:下記構造式(6)で表される化合物、三光株式会社製
*2 FP−600:下記構造式(7)で表される化合物、株式会社ADEKA製
【0067】
比較例1ではプリプレグの作製時に、用いた含リン化合物が結晶化したので、均一なプリプレグを得ることができず、その後の評価も実施できなかった。比較例2では、両面銅張積層板作製時の加圧硬化の時に、一部FP−600と思われる成分が分離し、均一な積層板を得ることができなかった。
表1の結果から、本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物を使用した積層板は、良好な難燃性を示すことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物は、ハロゲンを使用しないので環境適正に優れているのみならず、エポキシ樹脂が有するエポキシ基との反応点を2箇所以上有するリン系難燃剤を使用するため、作業性に優れると共に硬化時に難燃剤のブリード現象が発生せず、硬化物の物性も低下しない。特に、本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物を用いて製造した積層板等は、難燃性に優れているのみならず、製造適正、環境適正及び物性にも優れているので、本発明は産業上極めて有用である。
【国際調査報告】